予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

   午後六時開議

〇伊藤(し)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 青木英太委員の発言を許します。

〇青木委員 昨日、私たちは東日本大震災から十五年目の節目を迎えました。当時、私は大学一年生でありまして、テレビ中継に映し出される恐ろしい津波の映像を前に、ただ、立ち尽くしていたのを強く覚えております。
 あの未曽有の災害は、私たちの防災に対する意識を根底から覆しました。
 また昨日、夜のラジオ番組において、『首都圏四知事と考える防災』という特別企画がありまして、小池知事もインタビュー形式で、首都防衛についてお話しされているのを聞いておりました。
 まさに、その首都防衛において、東日本大震災での脅威というものは、決して他人事ではありません。首都直下地震が発生すれば、建物の倒壊や火災の多発に加え、膨大な避難者の発生などが懸念されます。
 国によりますと、南関東地域でマグニチュード七程度の地震が今後三十年以内に発生する確率が七〇%とされておりまして、首都直下地震はいつ発生してもおかしくない状況にあります。
 そこで、都は、甚大な被害が想定される首都直下地震に備え、防災対策をより一層強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

〇小池知事 切迫性が高いといわれます首都直下地震から、都民の命を守るためには、ハード、ソフトの両面から取組を強力に進めていくことが必要でございます。
 令和四年に策定した都の被害想定におきましては、建物被害、死者数ともに大きく改善をいたしております。
 都は、建物の耐震化や不燃化、ライフラインの強靱化をさらに加速させてまいります。多摩地域の新たな防災拠点の整備も進めるなど、災害への備えを一層充実させてまいります。
 ソフト面につきましては、避難所改革の取組に加えまして、マンション防災の充実など在宅避難への支援、被災地外に避難した方への支援など、安全・安心な避難生活が可能となりますよう、区市町村と連携し、取り組んでまいります。
 備えよ常にの精神の下、首都東京の防災力、一層向上させてまいります。

〇青木委員 ハード、ソフトの両面から、より一層強化に努めるという答弁でありました。
 国におきましては、省庁横断の司令塔となる防災庁の設置法案を三月六日、閣議決定されました。今回この国会で成立すれば十一月の設置が予定されています。
 防災庁は設置がされれば、大規模災害時における東京都と国との連携の在り方も大きく変わることが予測されるため、都は早期の情報収集に努め、速やかに国と強固な連携体制を構築するべきです。
 あわせて、防災庁の創設に伴い、防災の最前線の現場である地方自治体の対策への支援を抜本的に強化するために、新たに防災力強化総合交付金が創設されると聞き及んでおります。
 この国の新たな交付金制度を、区市町村における避難所環境の抜本的改善を加速するための呼び水として、戦略的かつ積極的に活用できるよう、東京都として各自治体をフォローしていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 いつ起きてもおかしくない首都直下地震の脅威に対し、都民の命を守り抜くためには、科学データに基づいた都民一人一人の迅速な行動変容が不可欠です。
 来年度予算案では、東京大学の平田直名誉教授や目黒公郎教授などの知見を生かした大学からの提案事業として、首都直下地震対応へ、「揺れ」を感じて・測って・備える、都市と都民の強靱化事業が計上されております。
 現在、気象庁が都内に設置している震度計は百三十二か所にとどまっておりますが、この事業では、個人、企業、学校、公共団体等に協力をいただき、多くの施設等に室内震度計を配備し、計測するという、揺れの可視化を行う先進的な取組であると感じております。
 地盤や建物の特性によって異なる、地点ごとの揺れの違いを的確に把握することは、発災時の迅速な救助活動の初動を早めるだけでなく、自身の住まいのリスクを正しく理解することにもつながり、極めて高い有用性があると考えます。
 そこで、この事業について、具体的なスケジュールと今後の展開について伺います。

〇佐藤総務局長 本事業は、個々の建物の室内の揺れを測定する超小型室内震度計を一千台規模で都内に設置することで、高密度の地震観測網を整備し、発災時の情報共有や都民の防災意識の向上、防災訓練等に活用することを目的に提案されたものでございます。事業期間は三年間となっております。
 来年度は、大学の専門的知見を生かして、観測に必要な震度計の設計や観測データの収集方法などの検討を行います。その後、モニターの募集、データの観測及び分析などを行うこととしております。
 本事業で得られた成果を検証し、都の防災施策に取り入れるなど、東京の強靱化に生かしてまいります。

〇青木委員 ありがとうございます。
 次に、つながる東京の取組についてお伺いします。
 知事は今定例会の施政方針で、島しょ地域の強靱化に向けて、空飛ぶ基地局と呼ばれるHAPSの活用検討などを行う旨、説明されました。
 令和八年度予算案には、高高度プラットフォーム、いわゆるHAPSの行政活用に向けた調査・検討として新規に予算計上がされております。
 このHAPSをめぐっては、国においても、総務省が二〇二六年の実用化を目指しておりまして、民間でも今月、スペイン・バルセロナで開催されました世界最大規模の通信見本市、MWCで、日本国内でのプレ商用サービスが開始され、大きな注目を集めるなど、いよいよこのHAPSについては、社会実装の元年として迎えようとしております。
 本委員会では、こういった最先端の技術がどういったもので、それを活用することでどのような課題解決につながるのか、都民に分かりやすくひもといていく必要があると思っております。
 そこで、空飛ぶ基地局といわれるHAPSとは、どういった特性を持った技術で、その特性を生かして今後どのように東京都における行政活用につなげていくのか、見解を伺います。

〇高野デジタルサービス局長 HAPSは、低軌道衛星よりも地上に近い成層圏を飛行する機体を利用し、高速大容量の通信を可能とする技術でございます。
 必要に応じて柔軟に飛行場所を移動することが可能であり、地上にアンテナ設備を必要としないことから、災害に強い仕組みとされております。
 都は、この特性を生かしまして、災害発生時には、5GやWi-Fiなど通信のバックアップとしての活用を想定しております。
 また、機体にセンサーを搭載して画像等を取得することで、早期の被災状況の把握も期待できます。
 来年度は、こうした最先端技術の有事における効果的な活用方法を検討し、早期運用につなげてまいります。

〇青木委員 HAPSが5GやWi-Fiといった地上のモバイル通信や、既存の衛星通信、それぞれの強みを生かし、弱点を補完する革新的な技術であることは改めて分かりました。
 このような最先端の技術の実用化に向けては、技術や制度面などで今後様々なハードルもあると考えられますが、国や関係機関、民間事業者と共に連携を図りながら、着実に取組を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 公立小中学校は、子供たちの学び場であるとともに、地域の拠点ともなる重要な施設であります。その施設の老朽化が進む中、その建て替え等が急務の課題となっております。
 現在、建て替え費用は、資材高騰や労務費が上昇しており、目黒の事例でいいますと、令和四年時点での財政計画では一校当たり平均更新費は七十億円という試算から、三年後の令和七年度の試算では約百三十二億円と、約二倍に膨れ上がっております。
 補助金を見ると、国の補助は目黒区の場合、事業費全体の一割の見込みでありまして、また、算定根拠となる補助単価は、実勢価格と大きく乖離しているという声もあります。
 さらに、目黒区は今後三十年間で二十四校を建て替える計画でありまして、長期的に見ても、建て替え費用の高騰は自治体財政を著しく圧迫し、教育環境、また避難拠点としての維持を困難にする事態であると考えますし、そして、これは私の地元だけでなく、都内多くの自治体において抱えている課題であると私は認識しております。
 そこで、子供の学びの質を高め、地域に根差した教育を実現するため、学校施設への支援を充実するべきでありますし、また、こうした取組を進めながら、学校の建て替えについては、国の補助スキームにおいて、東京の実勢価格を反映した補助単価の大幅な引上げ、及び補助率の抜本的な見直しを、都が先頭に立って国に対し、これまで以上に強力に要望すべきではないかと考えますが、教育長の見解を伺います。

〇坂本教育長 公立の小中学校の中で、地域の住民が教員等と協力し、放課後の学びや様々な行事のサポートを行う取組等に向け、施設の充実を図ることは重要でございます。
 このため、都教育委員会は、学校施設に係る整備を行う場合への支援の拡充などを進めてまいります。
 具体的には、校内に住民が入る際に役立つ多様な設備の導入や、施設の整備に必要な経費への助成の規模を四十校から百五十五校に増やします。
 これによりまして、インターホンや電子錠などの導入のほか、高齢の方などに対応するバリアフリー化を推進いたします。
 また、小中学校の施設の老朽化の進む中、その改築に係る支援を行う国に対しまして、物価高騰の影響を踏まえ、補助の率や単価の引上げなどを強く要望いたします。

〇青木委員 教育長から強く要望するというご答弁いただきました。
 学校の建て替えに関しましては、財政状況や平準化の観点から、各自治体が起債を行っていくところだと思っております。
 目黒区の場合は、全体の事業費百三十二億円の試算の中で、七十三億円を起債で賄う計算をしております。
 東京都としましては、東京都区市町村振興基金におきまして、自治体の財政負担緩和を目的に、各自治体に長期的な貸付けを行っておりまして、調べてみますと、自治体として、学校建て替えで活用しているという実績もあります。
 今後、学校建て替えが増加する背景を考えますと、各自治体において、この貸付けの需要が高まることが考えられますので、自治体の財政状況をしっかりと注視していただき、自治体の財政負担がしっかり緩和できるよう対応していただくことを要望し、次の質問に移ります。
 東京都には、世界的な研究機関や大学が数多く集積しておりまして、これらアカデミアの知見を都政に反映させることは、複雑化する都市課題を解決する上で極めて重要であります。
 そのため、都では、大学の知見を活用するため、大学提案事業を実施しておりますが、まさに、先ほど取り上げた東京大学における揺れの可視化に関する事業もそれでありまして、大学にとっては研究の進展、そして、東京都にとっては都民への還元という形で、ウイン・ウインの形をつくっていくことが理想であると考えております。
 そこで、改めて大学研究者による事業提案制度の目的と、その仕組みと、成果について伺います。

〇山下財務局長 大学研究者による事業提案は、都内の大学研究者の研究成果等を都の施策に積極的に活用する制度でございまして、公募により提案を受け、有識者等による審査や都民投票を経て選定した事業を最大三年間実施いたします。
 令和元年度予算編成から導入し、これまでに三百六十七件の提案を受け、三十七件を事業化してまいりました。
 具体的な成果といたしまして、例えば、令和六年度まで実施した廃棄物処理等の自動化推進事業において、オフィスビルなどで廃棄された飲料容器をバックヤード等で自動選別するロボットの開発につなげることができました。
 これによりまして、サプライチェーン全体の省力化を推進し、リサイクル率の向上に貢献していくことができると認識してございます。

〇青木委員 目的や成果など、制度を実施する意義について確認させていただきました。
 東京には百を超える大学が集積しておりまして、そこには計り知れない知の財産が眠っております。現在の大学提案事業という枠組みをさらに発展させ、都政へ取り込んでいくことが必要であります。
 答弁から、令和元年度から提案数の累計は三百六十七件ということでありましたが、単年度で平均すると一年五十件程度でして、都内の大学数から考えれば、より多くの提案数を受けるポテンシャルは東京都にはまだまだあるはずです。
 大学の専門知をより多く、かつ幅広い事業に柔軟に活用できるよう、取組を発展させていくべきと考えます。
 そこで、大学研究者から提案数の確保や多様な提案が受けられるよう、都としてどのように取り組んでいくか伺います。

〇山下財務局長 都はこれまで、大学提案の実績をまとめた成果集の公表や、SNSを活用した大学研究者へのインタビュー記事の配信等を通しまして、大学関係者の提案意欲を高める取組を進めてまいりました。
 令和八年度は、過去の採択者が提案に至った背景や提案のポイントなどを紹介する動画を新たに作成し、募集開始に合わせまして、広く発信してまいります。
 今後とも、効果的な情報発信や大学研究者が提案しやすい環境づくりなど、創意工夫を凝らしながら、幅広い提案をいただけるよう、制度の一層の充実に努めてまいります。

〇青木委員 広報強化という都の取組の方向性は分かりました。効果的な施策につなげるよう、この取組は引き続き努めていただきたいと思います。
 東京都の外に目を向けますと、横浜市では、大学・都市パートナーシップ協議会という組織体の中に市内三十大学が参加しておりまして、大学との連携事例は年間で約六百件に達しております。
 これは、特定の予算枠に縛られる公募だけではなくて、共創フロントという常設の相談窓口を設けることで、大学側からの提案を、全庁的な事業と機動的にマッチングさせる体制を整えているものであります。
 都においても、こういった事例を参考に、大学のリソースを有効活用し、より効果的に都政へ還元してほしいと思っております。
 また、政策企画局では、大学との定例懇談会などをやるなど、各局でも個別に大学との連携を行っている事業はあると思いますので、ぜひ各局の連携についても横断的に行っていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 二〇二六年の花粉の飛散ペースは、まさに異常事態といわざるを得ません。最新の観測データによれば、多摩地域では三月初旬の段階で、既にシーズン予測最大量の約五〇%が飛散しておりまして、その累計飛散量は昨年の同時期と比較して、何と約十倍という驚異的なペースで推移しておりまして、花粉の影響は、私も含め多くの都民に、例年をはるかに超える深刻な状況として出ております。
 西多摩地域には、約五万ヘクタールの森林が広がっておりまして、このうち三万ヘクタールは、戦後の復興、高度経済成長期の木材需要に応えるために植林された杉やヒノキの人工林であります。
 これらは既に利用期を迎えておりまして、これまで我が会派は、花粉削減と林業振興を両立する、森林循環の促進を求めてまいりました。
 昨年の第四回定例会においても、伐採量をどのように増やしていくかの質問に、都からは、林道の開設や改修等を進めるとの答弁がありました。
 都は、先進林業の機械の導入を積極的に支援してきましたが、良好な伐採現場にもかかわらず、残念ながら、林道の橋梁部分がネックとなりまして、通行できない場所もあると聞いております。
 森林の循環を一層進めていくためには、伐採、搬出に寄与する林道の整備が重要と考えますが、来年度の具体的な取組について伺います。

〇田中産業労働局長 都は来年度から、森林循環を一層進めるため、伐採、搬出の効率化を主眼とした林道整備を推進いたします。
 具体的には、多くの収穫量を期待できる現場につながる路線におきまして、高性能林業機械等の使用にネックとなっている橋梁部分や急なカーブを改良いたします。
 あわせて、現在、機械が通行できている路線におきましても、搬出効率を高めるため、道路に隣接する丸太の一時置場や車両の回転場の整備等を進め、これらの予算を一・八倍に引き上げます。
 こうした取組によりまして、伐採等のインフラを整え、林業経営体の人員増や設備投資意欲の引き出しにつなげ、林業振興と花粉発生源対策を加速してまいります。

〇青木委員 林道を使いやすくし、伐採を強化することは、花粉発生源対策にも寄与することが分かりました。
 現在、都民の二人に一人が花粉症に悩まされている中、松本副知事をトップに関係各局が参加する花粉症対策を推進する本部を設置し、取り組んでいると承知しております。
 花粉の少ない森づくりは、世代を超えて進める重要な取組であります。都は、二〇三〇年の実装を目指し、自ら開発した無花粉杉の苗木を大量に生産するプロジェクトを民間と連携して進めていると聞いております。
 ぜひとも成功させていただき、花粉発生源対策に一層進むよう期待をし、次の質問に移らさせていただきます。
 現在、私たちの生活には〇〇ペイなどのキャッシュレス決済が浸透していますが、これらは特定の運営企業だけで完結する、閉じられた仕組みが主流であります。
 これに対し、法定通貨と価値が連動するステーブルコインは、ブロックチェーン技術を活用したオープンな決済インフラでありまして、海外送金や加盟店手数料が非常に安価に抑えられるというメリットがございます。
 世界のステーブルコインの流通量は、既に約五十兆円規模に達しておりまして、デジタル経済の血液として不可欠な存在となっております。
 一方、日本では、二〇二三年六月に、世界に先駆けて改正資金決済法が施行されたものの、現在の国内流通額は僅か数億円規模にとどまっている状況です。
 さらに深刻なのは、世界のステーブルコインの九九%以上が米ドル建てであるという事実でございます。
 このまま日本円のデジタル化が遅れれば、将来的に日本の決済インフラの主導権を外国資本に完全に握られてしまう恐れがあり、これは経済安全保障の観点からも看過できない事態であります。
 国際金融都市としてのプレゼンス向上のため、東京都として、この新たな国際的決済手段の普及を力強く後押しし、国内資本による決済の主権を確保していくことは、極めて重要な責務であると考えます。
 そこで、新年度から開始されるステーブルコイン社会実装促進事業において、都民や事業者の社会課題解決に資する先進的な事例をどのように創出し、東京、そして日本の金融競争力をどう高めていくのか、都の見解を伺います。

〇田中産業労働局長 円建てステーブルコインの普及は、両替コストがなく、為替の影響も受けない決済や取引につながり、決済収益の海外流出の防止や企業の決済コストの低減のほか、国内での資金流通の多様化、迅速化による新たな経済効果を創出する可能性がございます。
 このため、都は来年度、利用促進に向け、都民や企業が利便性、効率性等を実感できますよう、店舗での活用や企業間決済などのユースケースの拡大を図ってまいります。
 こうした取組を通じ、円建てステーブルコインの流通量を増加させることで、円ベースのデジタル経済圏を構築し、日本円のプレゼンスを高め、東京の金融面での競争力強化につなげてまいります。

〇青木委員 国は二〇二六年の夏に、金融庁に新たに、暗号資産・ステーブルコイン課を設置する予定と聞いておりますので、国との情報交換を密にし、取組を進めていくことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 我が国では、AIや量子コンピューター、クリーンエネルギーに関する技術などのディープテックを活用した製品開発が進められております。その成果は、社会課題の解決や新たな産業の創出につながるものと期待されています。
 そのため、開発に取り組むスタートアップや中小企業への支援が必要です。
 一方、ディープテックは高度な技術であるため、開発に長期間を必要とし、ビジネス化までに品質の安定化や生産効率など量産に向けた課題もあります。
 また、これらの取組に必要となる資金のやりくりに苦労していると、私自身聞いております。
 そこで、都は、ディープテックのさらなる社会実装を促すため、先進的な技術を製品化するための開発や、市場投入に向けた効果的な生産体制の構築を支援していくべきと考えますが、今後の取組について伺います。

〇田中産業労働局長 都は来年度、ディープテックのスタートアップや中小企業の事業展開を強力に後押しするため、製品化や生産方法の確立など、社会実装に必要な取組への支援に着手いたします。
 具体的には、事業化に向けた試作品の開発と安定的な量産を見据えた設備導入や製品改良に伴う費用などに対して、二年間で補助率三分の二、最大三十億円の手厚い助成を行います。
 また、試作品の開発を確実なものにするため、技術的知見の習得や資金の確保に必要な経営資源を持っております大手企業との協業を後押ししてまいります。
 これらによりまして、ディープテックの社会実装に向けた取組をより一層加速させてまいります。

〇青木委員 次に、国産AIモデルの開発について伺います。
 今やAIは生活を豊かにするための強力なツールの一つでありまして、都では、都民サービスの向上に向けて、積極的にAI活用を進めているところであります。
 一方で、現在、多くのAIのサービスが海外製に依存しており、言語も英語を中心としたのが大半であり、正確性や情報漏えい、文化への理解等の課題があります。
 不透明な国際情勢の中、地政学的リスクの対応という経済安全保障上の観点からも、AIやデータを自国で安全に管理運用できるようにすることが重要であります。
 行政機関は機密情報を多く抱えていることから、こうした視点を踏まえ、取組を展開していくことが欠かせません。
 こうした都議会自民党の考え方に呼応する形で、都は来年度、国産をベースとした行政特化型のAIモデルの開発、実証に予算計上したことを評価いたします。
 そこで、今後、本事業をどのように進めていくか伺います。

〇高野デジタルサービス局長 安全かつ効果的に、行政におけるAI活用を進めていくという考えの下、都は、日本語に特化した国産AIをベースに都が保有するデータを学習させ、行政の専門知識を持った特化型のAIモデルの構築を目指してまいります。
 具体的には、行政データを保有する都と、AIモデルの構築を担うGovTech東京が協働して、来年度、本事業に技術面から協力が得られる大学を公募いたします。
 AIの大規模言語モデル等に豊富な知見を有する大学と連携して、専門的かつ高度な判断が求められる業務分野を選定した上で、複数年かけAIモデルの開発、実証に取り組んでまいります。

〇青木委員 来年度の都のAIモデルの実証の取組をしっかりと進めていただくと同時に、ぜひ区市町村への展開や、国との連携も見据えて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 都は、二〇二一年のデジタルサービス局の発足と同時に、技術職であるICT職の任用を開始し、これまで都政のDX推進を支える人材として確保、育成を着実に進め、来年度は二百五十名を超える人材規模になると伺っております。
 都がさらなるAIの利活用を進めていくためには、AI技術を理解し、それを業務の効率化や行政サービスの質の向上に役立てることができるコア人材の育成など、体制の整備が急務であると考えております。
 そこで、都政におけるAI利活用を一層加速していくために、ICT職の育成を進め、彼らを推進力として各局のAIの取組を促進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇高野デジタルサービス局長 都としてAIの利活用を徹底していくためには、技術と行政の知識を有するICT職を中核人材として育成するとともに、各職場のDXを先導する職員が協働して取り組むことが重要でございます。
 都は来年度、これまでの各職場の推進役であるDXアンバサダーに加え、ICT職を全局に配置いたします。
 これらの人材が中心となり、各職員が様々な課題に応じた業務アプリを作成できるよう、実践的な研修の実施に加え、技術の専門家集団であるGovTech東京と連携し、職員のコミュニティ形成を通じた開発の輪を拡大してまいります。
 こうした取組を通じ、各局の取組を強力に後押しし、質の高い行政サービスを実現してまいります。

〇青木委員 ICT職を育成し、彼らを中心に各局のAIの利活用を一層加速させていくことが分かりました。
 先ほどのAI推進体制の取組に加えまして、都は、AI戦略策定後、速やかに庁内向けのAIワンストップ相談窓口を稼働させたと聞いておりまして、こうした取組は、各局におけるAIの利活用を後押しする上で重要な取組であると考えております。
 一方で、AIの導入や利活用に当たっては、AIがもたらす様々なリスク、例えば、著作権侵害や個人情報の取扱いなどの法的なリスクも含め、適切に対応していくことが求められますが、これは判断に迷うケースも多々あると考えられます。
 そこで、例えば、AIワンストップ相談窓口の充実を図るなど、各局がAIを様々な行政サービスに積極的に導入できるよう、取組を強化することが重要だと考えますが、見解を伺います。

〇高野デジタルサービス局長 AI利活用に係る各局の相談に一元的に対応するため、ワンストップ相談窓口を昨年八月から稼働させております。
 これまで、日々様々な相談が継続的に寄せられており、AI導入時の留意点など、技術面を含め、GovTech東京と協働して対応しております。
 一方で、業務上作成する資料や動画の取扱いなど、法的判断を要する相談も増えております。
 このため、来年度、AIと法務、リスク両面で知見を有する外部専門家を活用し、より専門的、かつ、実務に即した助言ができるよう、機能強化を図ってまいります。
 あわせて、蓄積した対応事例を、AIを活用して共有する仕組みを構築するなどし、各局の取組を後押しすることで、積極的な利活用につなげてまいります。

〇青木委員 専門家の知見により法的な懸念を払拭し、各局が安心して新たな活用に挑戦できる環境を整えること、また、事例共有の仕組みを実効性あるものとし、都庁全体の利活用を一段と加速させることを強く要望し、次の質問に移ります。
 都はこれまでも、スタートアップと協働し、その製品やサービスの導入を進めてきておりますが、来年度、新たに開始する、課題即応型官民協働ブーストアップ事業は、斬新な対応が必要な都政課題に対して、自治体の認定を受けた製品、サービスについて、随意契約での導入を可能とする仕組み、いわゆる政策目的随意契約を活用し、製品の導入をこれまで以上にスピーディーに進めるものと伺っております。
 最近でも、夏の暑さ対策や台風などの災害、獣害、地方では大雪など、様々な突発事象が起こる中、行政はその対応に追われていますが、こうした事象にスタートアップの製品を迅速に導入する趣旨で、期待をするものです。
 導入のスピードアップはとても重要なことですが、私はそれと同時に、導入した結果、高い効果を上げることも同じぐらい必要だと考えております。
 今回の取組は、これまでと何が異なるのか、時間短縮を図りながら、現場の課題解決に合う製品、サービスを導入するために、どのような仕組みを設けていくのか、まずは伺います。

〇吉村スタートアップ戦略推進本部長 これまでの官民協働の取組では、都政現場をフィールドとして製品やサービスの実証を行うため、一定の期間を要しておりましたが、本事業では、製品として完成し、量産体制が整っているものなどについて、迅速な検証を行った上で、都政現場への即時の導入を図るものでございます。
 スタートアップのプロダクトの機能や効果の確認は、書面、訪問調査のほか、現場の課題解決策をスタートアップが提案するピッチ審査を行いまして、その上で外部有識者等による判定会議を開催し、政策目的随意契約の認定を行います。
 こうしたプロセスによりまして、効果的なスタートアップ製品の導入を速やかに進めてまいります。

〇青木委員 導入にかかるスピードと質の確保の両立が図られるよう、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思います。
 また、予期せぬタイミングで課題が生じた場合でも、機動的に対応できる事業実施の工夫が必要であります。
 突発的な行政課題の解決に向けて、本事業が効果的に活用されるよう、スタートアップ戦略推進本部が積極的にサポートしていくことが重要と考えますが、見解を伺います。

〇吉村スタートアップ戦略推進本部長 本事業では、年度途中で突発的に生じた課題に、スタートアップの製品、サービスを迅速に導入するため、課題が発生した都度、その内容や規模に応じてプロジェクトを組成し、製品などの募集、選定、導入を行う仕組みといたします。
 庁内横断組織、Team Tokyo Innovationを通じまして、各局の課題を幅広く捉えるとともに、これまでに当本部が培った官民協働のノウハウや、関係者とのつながりを生かしまして、課題の解決に有効な技術、サービスを掘り起こし、各局での活用につなげてまいります。
 こうした緊密な連携と機動的な対応によりまして、スタートアップの技術を効果的に活用してまいります。

〇青木委員 次に、プレコンセプションケアについて伺います。
 都はこれまで、TOKYOプレコンゼミ等を通じまして、主に初産の方への啓発を行ってきましたが、今後は産後ケアの空白期間に潜むリスクにも目を向けるべきです。
 妊娠高血圧や妊娠糖尿病を経験した経産婦は、次回の妊娠でも同様のリスクを繰り返す確率が極めて高く、今後は産後ケアと連動し、特にリスクを抱える経産婦への継続的なフォローアップ、すなわちインターコンセプションケアの普及にも踏み出すべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇高崎福祉局長 都はこれまで、性別、年代別の啓発動画やTOKYOプレコンゼミにより、プレコンセプションケアの取組を推進してまいりました。
 来年度は、前回の妊娠で産科合併症があった方や基礎疾患のある方が安心して妊娠、出産に臨めるよう、前回の妊娠と次の妊娠の間に提供されるケアであるインターコンセプションケアについて解説動画を新たに作成しまして、広く周知するなど、普及啓発に取り組んでまいります。

〇青木委員 また、基礎疾患がある妊産婦や妊娠を希望する女性は、服薬している薬が胎児に影響を与えないか心配する方もおります。
 こうした方が適切に専門的な相談支援を受けられることも重要と考えますが、都の見解を伺います。

〇高崎福祉局長 都は来年度、基礎疾患がある妊産婦や妊娠を希望する女性が、妊娠と薬に関する相談に適切につながるよう、専門医療機関による相談体制の整備を行います。
 具体的には、国立成育医療研究センターなど、都内四病院に設置されている妊娠と薬外来において、妊娠や授乳中の薬物治療に関する相談に対応するとともに、妊産婦等の相談に係る自己負担を軽減いたします。

〇青木委員 次に、国内では、ゲリラ豪雨と称される局地的な猛烈な雨が頻発しております。
 その背景には、地球温暖化に伴う大気中の水蒸気量の増加に加え、都市部の特有のヒートアイランド現象によって上昇気流が生じ、積乱雲が急激に発達しやすくなっているという指摘もあります。
 私の地元である目黒区の蛇崩川流域では、昨年の七月、九月の大雨により浸水被害が二度にわたって発生しております。
 浸水被害後、下水道局では、三回にわたって地元説明会を開催するなど、丁寧に対応していただきました。
 また、説明会の中で蛇崩川幹線の水位計について、機器の不具合があったと伺いましたが、既に復旧したと聞いております。
 住民説明会では、様々な対策により浸水被害の軽減を図っていくとのことでありました。 対策の実施に当たっては地元区との連携が重要であります。
 そこで、蛇崩川流域における区と連携した浸水対策の取組について伺います。

〇藤橋下水道局長 下水道局では、浸水リスクが高い蛇崩川流域を重点地区と位置づけ、蛇崩川増強幹線等の整備を推進しております。
 大規模な施設整備には長期間を要するため、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働させており、今後、事業の進捗に合わせ、貯留容量を拡大いたします。
 来年度は、浸水被害の軽減効果が見込める短期対策として、シミュレーションの結果も踏まえ、雨水ますの増設や下水の流れを切り替えるバイパス管の整備に着手するなど、地域の特性に応じた細やかな対策を地元区とも連携して実施してまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、早期の被害軽減に向けた浸水対策を推進してまいります。

〇青木委員 蛇崩地域にお住まいの方々は、今年の台風シーズンを含めて豪雨に非常に危機感を今もなお感じております。水位計の不具合など、説明会で出た不安要素については、区と連携の下、一つ一つクリアしていただくことを引き続き尽力していただきたいと思います。
 次に、子供のスポーツ振興について伺います。
 都の調査では、子供の学年が上がるにつれて、スポーツをすることが好きな子供の割合は減少傾向にあるという統計結果が出ております。都民が生涯を通じてスポーツに親しみ、一人一人のウエルビーイングを高めていくためにも、子供たちのスポーツ離れを防いでいくことが重要だと考えております。
 こうした中、東京都では、読売ジャイアンツをはじめ、東京を本拠地に活動するプロのスポーツチーム等が参画するTOKYO UNITEというプロジェクト体がありまして、昨年の八月には、スポーツ推進本部とTOKYO UNITEとで包括的な連携協定を締結し、様々な競技種目を通じた子供のスポーツ振興を効果的に推進することとしたと聞いております。
 そこで、プロスポーツチームの力を活用して、子供たちのスポーツ振興を一層推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

〇渡邉スポーツ推進本部長 都は、子供たち一人一人に合ったスポーツの楽しみ方、関わり方を発見してもらえるよう、TOKYO UNITEと連携し、様々な取組を実施してまいります。
 具体的には、プロ選手の高い技術力や豊かな経験を生かし、野球やサッカー、バレーボールなど、様々な種目に触れるマルチスポーツの体験会を行います。
 また、ふだん見られない試合の舞台裏の見学や、子供向けに競技解説をつけた観戦プログラムを開催いたします。
 東京に集積するプロチームと共に、スポーツを通じた子供たちの健やかな成長を支えてまいります。

〇青木委員 我が会派は、代表質問におきまして、ジュニアスポーツにおける経費負担の軽減など、子供のスポーツ振興について取組を進めてまいりました。
 子供たちが伸び伸びとスポーツができ、また学べる環境づくりを引き続き東京都として整備していただくことを要望し、次の質問に移らさせていただきます。
 駒沢オリンピック公園総合運動場は、今年度、日本で初開催されたデフリンピックの会場ともなりました。体育館ではバレーボールが、屋内競技場ではハンドボールが、陸上競技場では陸上競技が開催され、入場規制がかかるほどの観客が押し寄せたところであります。
 駒沢陸上競技場は総合運動場の主要施設として、陸上、サッカー、ラグビー等の大規模大会が例年開催され、都民や競技団体に愛されている施設でありますが、建築から六十年以上が経過し、近年、改築、改修が行われた体育館、屋内球技場に比べ、老朽化が進行しているという認識を持っております。
 そこで、駒沢陸上競技場について、老朽化対応に加え、ニーズに即した魅力的な競技場としていく必要があると考えますが、見解を伺います。

〇渡邉スポーツ推進本部長 駒沢総合運動場は、一九六四年東京大会のレガシー施設として、利用者ニーズ等も踏まえ、これまでも計画的に改修を行ってまいりました。
 陸上競技場につきましては、令和十年からの改修工事を予定しておりまして、既存建物の長寿命化をするとともに、大型映像装置の増設やアクセシビリティーの向上、再生可能エネルギー導入など、施設の機能向上を図る予定でございます。
 利用者や時代のニーズを踏まえた、都民や競技団体に愛される魅力的な施設としてまいります。

〇青木委員 より利用者にとって利便性の高い施設になるよう期待しております。
 競技場施設を所管するスポーツ推進本部と、駒沢公園全体のマネジメントプランを策定する建設局が一体となって、引き続きしっかりと整備に取り組んでいただくことを要望し、最後の質問に移ります。
 現在、都民広場では、芝生空間の活用やテークアウトの浸透により、都心部における憩いと滞留の質が確実に変化しております。
 さらに、ピックルボール等のアーバンスポーツを通じた多目的利用が進むなど、単なる通過点から交流と活動の場へと、広場のポテンシャルが顕著化しつつあります。
 そこで、都民広場が、訪れる方々が気持ちよく滞在できる空間とするさらなる取組を進めるべきと考えますが、見解を伺い、私の質問とさせていただきます。

〇山下財務局長 都庁舎のさらなるにぎわい創出のため、都民広場を誰もが気軽に立ち寄り、快適に滞在できる空間とすることは重要です。
 都はこれまで、都民広場への椅子やテーブルの設置に加え、お子さんも楽しめるハンモックや日差しをしのげるパラソルも用意するなど、飲食しながらくつろぎ、滞在できる環境づくりを行ってまいりました。
 さらに、より開放的な雰囲気で飲食を楽しみながら憩うことのできるウッドデッキエリアの設置を来年度から開始し、芝生エリアともつなげる広場全体の空間整備を行います。
 あわせて、スポーツ利用の充実や写真映えするスポットの設置など、都庁舎の魅力を感じていただくための取組を進めてまいります。

〇伊藤(し)副委員長 青木英太委員の発言は終わりました。(拍手)