予算特別委員会速記録第二号〔速報版〕

   午後三時二十分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 伊藤しょうこう副委員長の発言を許します。

○伊藤(し)委員 よろしくお願いします。
 東京の持続的な成長は、日本経済全体を力強く牽引し、都民、国民生活の向上や、我が国の国際競争力を支える重要な基盤です。
 先日の我が会派の代表質問において、世界の都市総合力ランキングを踏まえ、東京の国際的地位を一層高めるための政策展開について確認しました。
 これに対して知事からは、二〇五〇東京戦略の下、日本をリードする政策を先手、先手で実践し、世界で一番の都市東京を実現していくとの決意が示されました。
 激動する国際社会の中で東京がさらなる飛躍を遂げるためには、これまでの取組の成果を礎に、持続的な成長へとつなげていく戦略的な施策展開が不可欠です。
 そこで、二〇五〇東京戦略を一層推進するため、どのように施策の充実を図っていくのか、まず知事の見解を伺います。

○小池知事 不確実で不安定な時代だからこそ、都のグランドデザインであります二〇五〇東京戦略で描きました未来を見据えて、東京をよりよい方向へと導くことが都政に課せられた使命でございます。
 戦略に掲げる政策目標の進捗状況を踏まえて、特に順調なものは目標を上方修正しまして取組を加速するとともに、取組のさらなる推進が必要な目標につきましては、課題を分析してPDCAを徹底することで、令和八年度予算案におけます施策の充実強化へとつなげております。
 なすべきは、変化の先に待つ未来の姿を見据えながら、持続可能な成長力を育むことでございます。
 一人一人の自己実現を応援する、人への投資を一層進めるとともに、日本そして世界をリードする産業政策や安全・安心で強靱な都市づくりなど、幅広い取組を加速しまして、世界で一番の都市東京を実現してまいります。

○伊藤(し)委員 社会情勢が激変する中、東京を世界一の都市へとつくり上げるため、戦略に掲げた政策目標について、しっかりと取り組んでいただくことを確認しました。将来に向けて、あらゆる面から都政を前進させることを期待いたします。
 さて、先月行われた衆議院総選挙では、高市政権に対して、国民からの力強い信任を与えていただきました。この結果におごることなく、着実に政策を進めることが大切です。
 また、高市総理が掲げる日本列島を強く豊かにという旗は、我々都議会自民党も志を同じくしています。
 そして、高市総理が日本の未来を切り開くために進めようとしている挑戦と、二〇五〇東京戦略による東京の成長は、それぞれが別のものではなく、同じ未来を目指す取組とも考えます。
 世界で一番の都市東京の実現に向け、国とも協力し、東京、ひいては国の成長を実現していかなければなりません。国のトップの高市総理と都のリーダーの小池知事は、今後どのように向き合っていくのか、知事のお考えを伺います。

○小池知事 今、我が国が問われているのは、本当の意味での成長力です。そして、その鍵を握るのは、成長の源泉である人であり、未来への投資でございます。
 そのため、都はこれまでも、二〇五〇東京戦略のもと、少子化対策や女性活躍の推進、デジタルやスタートアップなど、都市の持続的成長に向けた政策に果敢に取り組んで、国を先導してまいりました。
 高市総理におかれましても、強い経済を掲げ、成長投資を重視する姿勢を示しておられ、こうした方向性は、都が進める成長戦略と軌を一にいたしております。
 東京は、日本の成長を牽引するエンジンであります。新たな協議体なども活用しまして、国と緊密に連携しながら、東京、ひいては日本を真の成長へと導いてまいります。

○伊藤(し)委員 強い経済を掲げ、成長投資を重視する高市総理の姿勢は、小池知事が進めてきた成長戦略と同じ方向性と確認をいたしました。ぜひとも都と国で様々な課題を乗り越えられるよう連携していただきたいと思いますし、我が会派もしっかりと後押しをしてまいります。
 次に、国による地方税制度の改悪、いわゆる偏在是正について伺います。
 令和八年度与党税制改正大綱では、東京と地方の財政力格差が拡大しており、いわゆる偏在是正措置のさらなる検討をすることとしています。
 国が主張する東京都と地方の財政力格差については、地方交付税を算定する上での財源超過額というものを根拠にしています。つまり偏在是正の議論には、地方交付税制度が深く関わっています。
 東京都は不交付団体ですので、地方交付税制度は、都民からするとあまりなじみがないと思いますので、改めてその仕組みを確認したいと思います。
 先ほどの財源超過額は、国の基準に基づいて、自治体ごとに必要となる標準的な経費と収入を見積もり、経費を上回る収入部分を指しています。つまり、国は都の財源超過額が増加していることを踏まえて、自治体間の財政力格差が拡大しているという認識のようです。
 それでは、そもそも地方交付税制度における財源超過額は、都の実態を正確に表しているのか伺います。

○山下財務局長 地方交付税の算定は、限られた交付税の総額を各自治体に配分するため、国が全国一律で定めた基準に基づき、個々の団体の収入や需要を、いわば機械的に積み上げたものでございます。
 このため、例えば、三百万人を超える都の昼間流入人口は、交付税算定上、国の上限値によりまして、七十二万人分しか反映されていないなど、約四千五百億円が見込まれておりません。
 また、都は、国会など重要施設の安全確保などの首都警察業務を担っておりますが、その関連経費など、約一千八百億円が未反映でございます。
 このように国がいう財源超過額は、あくまでも交付税制度における配分技術上の数字にすぎず、都の実態を表したものではございません。

○伊藤(し)委員 ご答弁のとおり、都の財源超過額は国の都合で算定されたもので、実態とは乖離しており、財政力格差の根拠としては乏しいものと考えます。
 その一方で、近年は、地方自治体の税収は過去最大の状況になっています。こうした中でも、ほかの自治体からは、財政が厳しい、東京のような施策はできないという声が聞かれます。これは、国が地方の財源を保障する地方交付税制度に何らかの問題があるからではないかとも思います。
 それでは、地方交付税制度の課題についても、都の見解を伺います。

○山下財務局長 地方交付税制度は、自治体間の財源の不均衡を調整し、全ての団体が一定水準の行政サービスを提供できるよう、財源を保障することを目的としております。
 しかし、地方税収が増加しても、税収増のうち七五%が交付税額と相殺されますため、実質的には残りの二五%分しか新たな財源として使えません。自治体の努力が報われない仕組みとなってございます。
 こうした地方交付税制度を抜本的に改善し、地方の努力が報われるインセンティブを強化すると同時に、交付税率の引上げなど、地方税財源全体を拡充することが必要であると認識してございます。

○伊藤(し)委員 つまり、不交付団体の都は、税収増がそのまま収入増になりますが、都以外の交付団体である全国の道府県は、税収増の四分の一しか収入にならず、ある意味で地方の成長を阻む制度になっていると理解しました。このほか、そもそも自治体での住民サービスが増える中、地方税財源全体の拡充も必要と思います。
 つまり、偏在是正の議論の背景には、地方交付税制度の課題が存在していることが問題の解決のポイントの一つになります。
 今後設置される国との協議においても、こうした問題点を指摘し、地方財政全体の改善に向けて、しっかりと働きかけてほしいと思います。
 さて、先ほど知事からご答弁のあった、今後設置される国との協議体においても、さらなる偏在是正の動きに待ったをかけ、東京の財源を守るために取り組むことは重要です。
 一方、日本全体の発展のためには、地方税財政全体がどうあるべきかという視点も重要であり、こうした問題について協議体の場でしっかり指摘し、地方税財政制度の改善、ひいては地方も含めた我が国全体の成長に向け、働きかけるべきと考えます。
 我々都議会自民党は、国政とのパイプを生かし、東京、そして我が国全体の発展に向けて積極的に働きかけをしていく所存ですが、どのような決意で高市政権との協議に臨むのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 激動する国際情勢の中にありまして、我が国が成長し続けていくためには、首都東京がポテンシャルを最大限発揮していくことが不可欠でございます。
 こうした考えの下、首都東京が国と連携しながら、人への投資、国際競争力の強化、都市の強靱化などに積極的に取り組むことで、日本の成長を牽引することが重要であります。
 今般、高市総理からのご提案で、国と都との間で新たな協議体を設けることとなりました。この中で総理と私が直接向き合いまして、大局的な見地から、東京、ひいては日本全体の持続的な成長、またあるべき地方税制の在り方を議論してまいります。
 この協議体を通じまして、国に対して、我が国の成長戦略はもとより、地方の責任と役割に応じた地方税財源の拡充もしっかりと働きかけてまいります。

○伊藤(し)委員 国との協議に臨む知事の考え方を確認いたしました。
 東京、そして我が国全体の成長と発展に向けた議論はとても重要です。同時に、東京はもとより地方全体のため、地方税制のあるべき姿や地方税財源の拡充についても、高市総理としっかり協議し、実を結ぶよう取り組んでいただきたいと思います。我々都議会自民党も全力で働きかけてまいります。
 次に、物価高騰対策について伺います。
 エネルギー価格の高騰や、人手不足などによる供給力不足を要因の一つとした物価高騰が続き、事業者の活動や都民生活は厳しさを増しています。
 こうした要因に対応するとともに、物価高の影響を受ける都内の事業者や都民に対して、迅速かつ着実に支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山下財務局長 物価高騰の要因の一つであります供給力不足の解消のため、事業者の生産性向上などを図ることが重要でございます。このため、令和八年度予算では、中小企業の持続的な成長に向け、デジタル技術の活用や競争力強化に資する設備投資への支援などを行います。
 加えまして、事業者の賃上げや価格転嫁対策などを講じますとともに、工事単価や労務単価など、官公需における積算単価の引上げにも適切に対応してまいります。
 また、物価高騰の影響を受ける都民等への支援として、今年の夏に限った水道基本料金を無償とする臨時的な特別措置なども行います。
 こうした取組によりまして、東京の経済や都民生活を下支えしてまいります。

○伊藤(し)委員 昨今の物価高騰に苦しむ都民や事業者の切実な状況を踏まえ、必要な対策が盛り込まれた予算であると評価しますが、迅速な執行と併せて必要な場合には、追加の支援策も求めておきます。
 次に、都市づくりのグランドデザインについて伺います。
 知事が施政方針で表明したとおり、二〇五〇年代の東京の都市像などを示す、都市づくりのグランドデザインの改定に向けた中間のまとめが今月、三月に公表されました。
 策定から八年が経過し、都市づくりが進展する一方で、本格的な少子高齢社会の到来や災害の激甚化、新技術の驚異的な進化など、様々な変化に直面しています。
 こうした社会情勢においても、世界で一番の都市東京の実現に向けた歩みを着実に進めることが重要ですが、都市づくりのグランドデザイン改定に向けた都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 時代が激動する中、東京が一段と質の高い成長を遂げるためには、未来を見据え、今後の都市づくりの在り方をしっかりと描くことが重要でございます。
 中間のまとめでは、特色ある拠点の形成や、先端技術を活用した交通、物流ネットワークの効率化による国際競争力の強化、災害リスクに対しまして、世界の範となる解決モデルの発信など、都市づくりを新たなステージへ導く方向性を示しております。
 今後、令和八年度の改定に向け、将来を見据えた戦略や新たな時代にふさわしい都市づくりの方策などの検討を進めてまいります。
 このことにより、持続的に成長と成熟が両立し、世界を力強くリードする都市を実現してまいります。

○伊藤(し)委員 国際競争力の強化とご答弁にあったように、国内だけではなく、世界から投資を呼び込み、成長の機会を拡大していく視点が重要です。
 そのためには、持続的な成長を生み、活力ある拠点形成や、ダイナミックな人、物、情報の交流の実現、災害に備えたレジリエンスのさらなる強化に向けた取組が必要と考えます。
 こうした点も踏まえて、都市づくりの最上位計画である都市づくりのグランドデザインを改定することにより、東京のプレゼンスを一層高め、夢と希望を抱ける都市の実現を求めておきます。
 次に、都市の強靱化や防災対策について順次伺います。
 近年、激甚化や頻発化が顕著な風水害に加え、首都直下地震などの災害リスクが想定されています。首都東京で大規模災害が発生すれば、多くの人命が失われるとともに、社会経済活動が麻痺し、我が国全体に影響を及ぼすおそれがあります。
 深刻な事態を回避し、都民の命と暮らし、そして首都機能を守るためには、都と国や地元自治体との連携が不可欠であり、ハード、ソフト両面から防災力を高める必要があります。
 我が会派は、直面する危機への備えとともに、将来を見据え、東京と日本全体の強靱化につながる施策展開を、国政とのパイプを生かし、積極的に前に進めてまいります。
 さて、今月、国土交通省の技監と東京都技監という国と都の技術系のトップが会を取り仕切る、災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議が開催されました。この会議において、どのような議論がなされたのか伺います。

○谷崎東京都技監 都は、国と共に令和二年に設置いたしました連絡会議におきまして、災害に強い首都東京形成ビジョンを策定し、国や地元自治体と連携を図り、防災まちづくりの取組を着実に進めてまいりました。
 今月開催いたしました連絡会議では、昨今の社会情勢の変化や能登半島地震の教訓を踏まえ、水害対策や地震対策の強化に加え、地震後の水害等による複合災害対策について議論し、ビジョンの内容を改定して施策の充実を図ってまいります。
 今後、国、都、地元自治体の連携を強化し、災害に強い首都東京の実現に向け、取組を加速してまいります。

○伊藤(し)委員 近年の災害の教訓などを踏まえ、複合災害対策などを加えたビジョンに改定したことを確認しました。
 さて、東京で大規模水害が発生した場合、東部低地帯を中心に長期間にわたる浸水被害が生じ、甚大な被害が発生することが想定されます。
 その対策として、治水施設の整備や広域避難の取組が重要ですが、現実には様々な事情により避難が間に合わないケースも想定されます。
 このような大規模水害に備えて確実に命を守ることができるよう、防災まちづくりを進めることが重要ですが、新年度の取組を伺います。

○谷崎東京都技監 大規模水害時に、都民の命や財産を守る高台まちづくりを進めることは重要であり、これまで荒川、江戸川沿いの八か所のモデル地区で取組を進めてまいりました。
 今般、ビジョンを改定いたしまして、令和八年度から荒川沿いの江東区や、多摩川沿いの大田区などにおきまして、七か所をモデル地区に追加いたします。
 加えて、都は、高台まちづくり方針を定める計画の策定や、避難スペースを有する建物間のデッキ整備などに取り組む自治体を新たに支援するなど、高台まちづくりの取組を加速してまいります。

○伊藤(し)委員 都が高台まちづくりを計画から整備段階まで支援し、地元自治体を後押ししていることを確認しました。高台まちづくりは、地域特性に応じた取組が重要であり、モデル地区で得られた知見を共有しながら、他の地域へも着実に展開することを期待します。
 次に、東京都避難者生活支援指針について伺います。
 過去の災害事例を教訓に、昨年に避難所運営指針を策定し、生活空間やトイレの確保など、目指すべき避難所の基準と取り組む具体的事項を示し、避難所改革を推進してきました。
 その上で、先月には避難者生活支援指針の素案を示し、避難生活を避難所、在宅避難、被災地外避難の三つに分類し、避難者全員が安心して過ごせる東京の実現を目指しています。
 指針に記載された取組はどれも必要な内容ですので、避難者への生活支援を担う市区町村の意見を踏まえて進めることが重要と考えますが、見解を伺います。

○佐藤総務局長 新たな指針では、避難者の生活支援に関する基本的な考え方と、都と区市町村において取り組むべき具体的な事項などをガイドラインとして示しております。策定に当たりましてはヒアリングを行い、区市町村が既に実施している好事例などを、進めるべき主な取組として指針に反映をしております。
 来年度は、この指針を踏まえまして、区市町村が取組を進められますよう、防災備蓄倉庫やポータブル電源等を補助対象に追加するなど、補助事業を拡充いたします。さらに、専門家を派遣し、在宅避難に関するマニュアル策定など、区市町村を支援してまいります。

○伊藤(し)委員 避難者の生活支援の最前線を現場で担う市区町村をしっかり後押しをすることを求めます。
 次に、能登半島の被災地支援について伺います。
 昨年の十二月に党都連壮年部で能登地震の被災地を視察しました。
 輪島市では被災直後、道路網の寸断で孤立集落が多数存在したり、また市長ご本人も市役所に自衛隊ヘリで到着したのは発災二日後ということで、極めて困難な状況での対応であったそうです。
 七尾市の和倉温泉でも被害が大きく、海辺の護岸復旧は始まりましたが、宿泊施設の解体、建て替えなどは、まさにこれから始まる段階でした。
 地震から二年、奥能登豪雨から一年五か月余りたちましたが、未曽有の地震、豪雨被害からの復興には、相当の時間を要することが見込まれます。
 特に人材確保が難しい技術職については、被災自治体でも充足させるのは困難な状況と聞きました。また、事務職についても確保に苦労しているそうです。
 都は、発災直後から継続的に職員を派遣し、現在でも、土木関係や産業振興などの支援を実施中であり、ご対応いただいた輪島市の市議会議長さんや、市の担当者からも非常に感謝されました。
 復興はこれからが本番であり、首都東京としての支援を継続すべきと考えます。
 そこで、能登半島地震等の被災自治体への職員派遣について、これまでの実績をまず伺います。

○佐藤総務局長 都は、能登半島地震の発生直後から被災地に職員を派遣し、避難所運営や上下水道の応急復旧等を支援してまいりました。
 現在は、漁港、道路、河川などのインフラ復旧や災害公営住宅の建設、災害廃棄物の広域処理や産業復興に係る事務などに従事するため、中長期の職員派遣を行っております。
 令和八年二月末現在、石川県に十八名、輪島市に九名、富山県に一名の合計二十八名を派遣しており、延べ派遣者数は千七百七十四名となっております。

○伊藤(し)委員 都が積極的に多数の職員を派遣したことを確認し、心強い限りです。また、発災直後からは、水道事業者など民間の事業者の皆様にもご尽力をいただいたことに改めて感謝を申し上げます。
 さて、地震と豪雨災害は、人々の暮らしに壊滅的な被害を与えましたが、住民も行政も災害前より強靱化した創造的復興を目指しており、これから息の長い支援が必要です。
 そこで、来年度の被災自治体への技術系職員の派遣についても伺います。

○佐藤総務局長 能登半島地震等の被災自治体では、令和八年度以降、数多くのインフラの復旧、復興事業などが本格化いたしますことから、技術系職員について、これまで以上の職員派遣を必要としております。
 このため、東京都では四月から、各局の職員と一般任期付職員を合わせまして、二十一名の技術職員を派遣するとともに、現在、技術系の一般任期付職員の募集を行っておりまして、採用でき次第、被災地に追加で派遣することにしております。

○伊藤(し)委員 都の人的支援による取組を確認しました。派遣される職員の皆様には、感謝申し上げたいと思います。今後も率先して復興支援を進め、求められる役割を果たしていただきたいと思います。
 次に、市町村下水道事業の支援について伺います。
 我が会派の代表質問に対し、都は、市町村下水道に対する強靱化の補助対象に、再構築を追加する旨の答弁がありました。
 多摩地域の一部の下水道は、昭和三十年代から整備を始めており、今後老朽化が進行する中で、こうした補助を積極的に活用し、強靱化を進めることは極めて有意義と考えます。
 一方、インフラの安全・安心を守る市町村の技術職は限られており、財政支援はもとより、技術面での支援も不可欠です。
 そこで都は、拡充する補助制度の実効性を高めるため、どのように取り組むのか伺います。

○藤橋下水道局長 都は、市町村下水道の強靱化を支援する補助制度に、令和八年度からは耐震性の向上などを図る再構築を新たに追加し、予算額十五億円の増額を行い、財政支援を拡充いたします。
 この補助制度を活用し、市町村が計画的、効率的に対策を進められるよう、都は、新たに再構築に係る実践的な技術講習会を追加するほか、幅広く専門的な技術が学べる局の研修への受入れを開始するなど、技術と人材育成の両面から支援を充実いたします。
 浸水、地震対策だけでなく、老朽化対策も含めた市町村の強靱化の取組について、実情に応じた技術面の相談などに丁寧に対応してまいります。

○伊藤(し)委員 市町村下水道への強靱化への対策がスピードアップするよう、都が財政と技術の両面から力強く支援することを確認しました。局の持つ技術やノウハウを生かし、しっかりとサポートすることを求めます。
 次に、多摩地域の雨天時浸入水対策について伺います。
 多摩地域の下水道の多くは、雨水と汚水を別々の管で流す分流式下水道を採用していますが、豪雨時には、市町村が管理する汚水管に大量の雨水が浸入することで、排水能力を超えた水がマンホールからあふれ、浸水被害が発生しています。
 私の地元八王子市の小宮地区では、令和元年の台風の際に、長時間にわたる溢水による浸水被害が発生し、住民へ大きな被害や不安を与えました。
 それでは、多摩地域の雨天時浸入水対策として、これまでどのように取り組んできたのか伺います。

○藤橋下水道局長 雨天時浸入水対策については、都と市町村が連携し、豪雨時に雨水が市町村下水道の汚水管に浸入する原因を特定して、対策を行うことが効果的でございます。
 このため、都は、下水道管内の水位をリアルタイムで測定できる多機能型マンホール蓋を三十七か所設置して、浸入水量の多い地域を効果的に絞り込み、市町村が行う発生源の特定や対策工事の実施を後押ししてまいりました。
 また、都においても、流域下水道幹線の流下能力を向上させる改造を行うとともに、水再生センターのポンプ能力を増強するなど、排水能力をより一層強化してまいりました。

○伊藤(し)委員 都と市町村が連携して、様々な対策を着実に進めてきたことは確認しました。
 しかし、全国的に豪雨が頻発する中、令和六年の台風十号は、八王子市で観測史上一位の豪雨となり、マンホールからの溢水による浸水被害が再び同じ小宮地区で発生しました。
 これまでの浸水被害対策への取組は評価しますが、下水処理施設、すなわち水再生センターの立地住民に浸水被害が起こることは絶対に防がねばなりません。
 そこで、地域住民に安心して生活してもらうためにも、雨天時浸入水のさらなる対策が必要ですが、都の見解を伺います。

○藤橋下水道局長 令和六年度の台風による浸水被害の状況を踏まえまして、都は市町村と連携して、雨天時浸入水対策の取組をさらに強化していくこととしております。
 具体的には、流出解析シミュレーションの結果を基に、流域下水道幹線に一時的に貯留できる機能を加えるほか、水再生センターの貯留、排水機能をさらに向上させるなど、新たな対策を実施してまいります。
 また、技術講習会などを通じて、雨天時浸入水対策計画を策定する市町村を支援するとともに、強靱化補助制度により対策工事を後押しいたします。
 今後とも、浸水被害への対策について市町村と連携し、多摩地域の雨天時浸入水対策に全力で取り組み、都民の安全と安心を確保してまいります。

○伊藤(し)委員 浸水被害が二度と起きないようにあらゆる対策を行い、住民の安全・安心の確保を求めたいと思います。
 次に、多摩地域の振興について伺います。
 東京の持続可能な成長に向けては、都内人口のおよそ三分の一が暮らす多摩地域の発展が極めて重要な鍵を握っています。
 一方で、少子高齢化の進展、道路交通インフラのさらなる充実、激甚化する災害への備えなど、対応が求められる課題はいまだ多く残っています。
 それでは、さらなる多摩地域の振興に向けて、都はどのように取り組むのか、まず見解を伺います。

○佐藤総務局長 都は昨年度、多摩振興アクションプランを策定いたしまして、多摩地域のさらなる発展に向けて市町村とも緊密に連携し、戦略的に施策を推進しております。
 令和八年度は、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸に先駆け、地域の魅力を発信するプロジェクトを展開いたします。また、南北方向の道路等の整備、浸水、地震対策など防災力の向上、多摩の特色を生かした観光や地域産業、農林水産業の振興に積極的に取り組むなど、幅広い施策を進めてまいります。

○伊藤(し)委員 緑豊かな自然や産業の集積、魅力あふれる観光資源など、多摩地域の発展は東京の発展に不可欠ですので、さらに前進させるようよろしくお願いいたします。
 次に、多摩地域のまちづくりについても伺います。
 都はこれまで、多摩地域の拠点整備とともに、連続立体交差や骨格幹線道路などのインフラ整備を進めてきました。
 多摩のまちづくりについては、こうした基盤整備の効果を最大限に発揮できるよう、魅力ある拠点を形成し、成長へとつなげることが重要です。
 都は、社会状況の変化なども踏まえ、昨年三月に多摩のまちづくり戦略を策定しましたが、どのように拠点のまちづくりを進めていくのか伺います。

○谷崎東京都技監 企業や大学の集積など地域の多様な魅力を向上させるためには、拠点の形成やインフラ整備に合わせたまちづくりが重要でございます。
 このため、都は、多摩地域における五十八の拠点を対象に、今年度創設いたしましたTAMA拠点形成プロジェクト推進支援事業の規模を来年度拡充いたしまして、地元自治体のまちづくりを促進いたします。
 加えまして、道路交通ネットワークの整備に合わせて、人々の交流や活動を呼び込むまちづくりなどに対しても支援を行います。
 今後も、地元自治体との連携をさらに深め、個性を生かした魅力あふれる拠点づくりを進めることで、多摩地域を緑のTAMA手箱にしてまいります。

○伊藤(し)委員 多摩地域と一口にいっても多様性に富んでおります。各地域の課題も異なりますので、地元自治体とも連携したまちづくりを求めておきます。
 次に、多摩ニュータウンのまちづくりについて伺います。
 八王子市など南多摩四市にまたがる多摩ニュータウンは、昭和四十六年に多摩市の諏訪、永山での入居に始まり、緑豊かな多摩地域の拠点として成長してきました。
 また、多摩ニュータウンは高齢化などが課題といわれてきましたが、昨年末に、空家が減り、若年世代の転入が目立ち、再生の取組は進んでいるという記事もありました。
 これまでニュータウンの再生を強く訴えてきた我が会派としては喜ばしいことですが、今後も再生の歩みを止めてはなりません。
 そこで、多摩ニュータウンのまちづくりをどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 多摩ニュータウンは、昭和四十年代から入居が始まりまして、東京の経済成長を支えるベッドタウンとして発展してまいりましたが、現在、施設の老朽化等の課題が顕在化いたしております。
 都は、多摩のまちづくり戦略を策定しまして、多摩ニュータウンにつきましては、住、育、職が連携した新たなまちとして再生していくことといたしております。
 その実現に向けて、今月末、多摩ニュータウン実行プログラムを策定しまして、諏訪、永山や多摩センター駅周辺、南大沢の三つの地区で先行プロジェクトを展開しまして、その取組を他の地区へ広げてまいります。
 また、プログラムでは実効性を持たせるため、都や地元市、企業等各主体の役割を明確にしまして、十年後に向けた取組の方向性を示すとともに、子育て世代にも選ばれるまちづくりの情報発信を積極的に展開してまいります。
 今後も、持続可能で活力ある多摩ニュータウンの再生を推進してまいります。

○伊藤(し)委員 多摩ニュータウンは高度経済成長期の都心のベッドタウンとして、すなわち国策として国や東京都が事業主体となり、地元自治体が受け入れてきた経緯は知事もご承知のとおりです。再生に向けても、生みの親として都が主体性を持って取り組むことを求めます。
 さて、全国でも多摩ニュータウンと同様に、高齢化や老朽化などの課題を抱えていると聞いています。その中には、大阪の千里ニュータウンのように、再生に向けて取組を始めているところもあるようです。
 よって、多摩ニュータウンのまちづくりを進めるに当たり、こうした他のニュータウンの好事例を参考にするとともに、多摩ニュータウンでの先進的な取組も紹介するなど、他の自治体との連携も進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 多摩ニュータウンと同様に、高度成長期に整備が進められた全国のニュータウンでは、高齢化や施設の高経年化など課題を抱えており、自治体間での課題や取組の相互共有を図ることが必要でございます。
 例えば、都が南大沢におきまして推進している自動配送ロボットは、他の自治体からの関心が高く、こうした先進事例を共有することで、ニュータウン再生が進むことが期待されます。
 このため、来年度、都の呼びかけにより全国ニュータウン連絡会を立ち上げ、自治体間での情報共有、意見交換等を進めることで、ニュータウンにおける課題解決を目指してまいります。

○伊藤(し)委員 ニュータウン固有の課題を共有し、課題解決を目指すことは意義があると思います。自治体のみならず、時には国にも連携を図ることも求めておきます。
 次に、多摩都市モノレール延伸部の沿線まちづくりについて伺います。
 昨年十一月にモノレールの箱根ケ崎方面への延伸が事業認可されました。二〇三〇年代半ばの開業に対する住民の期待は高く、鉄道がなかった地域へのインパクトも大きいと思います。
 第三回定例会でも取り上げたとおり、この地域には、狭山丘陵や農地、先端技術を備えた工場など、既に多彩な支援が存在しますので、延伸に先駆け、まちの魅力や個性を生かした将来像を発信することが、まちの発展や新たな開発の誘導につながるものと考えます。
 よって、モノレール延伸と併せて、地域の資源や特徴を生かしたまちづくりを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 多摩都市モノレールの延伸を契機といたしまして、沿線の魅力を高めていくため、今後のまちづくりの方向性を実施計画として今月末に取りまとめます。
 この中で、地域資源を生かした東京屈指の観光スポットや、企業や住民が主導する新たなまちの将来像など、沿線の将来イメージを位置づけてまいります。
 また、来年度から、まちの魅力を体感できるツーリズムや、多様な主体との連携、協働の場となるプラットフォームの構築など、まちづくりを先導するプロジェクトを展開してまいります。
 沿線のまちづくりを進めるとともに、延伸に先駆け、まちづくりの機運を高めることにより、多くの人が訪れるまちの実現を目指してまいります。

○伊藤(し)委員 モノレールの延伸が地元のまちづくりにしっかり貢献できるよう、自治体や経済界、住民にも耳を傾けて進めていただきたいと思います。
 次に、産業競争力の強化について伺います。
 多摩地域は、製造出荷額が都内の約半数を占めており、大企業の研究所や工場、高い技術を持つ中小企業など、多様なものづくり企業による都内有数の産業集積地ですが、近年では大規模工場の撤退等により事業所数が減少しています。
 こうした中でも、モノレールの延伸や幹線道路の整備など、交通ネットワークの強化により、地域の将来性に期待が寄せられています。加えて、国では高市政権の下、成長戦略の取りまとめが進められ、成長投資への機運も高まっています。
 これらの動きを好機と捉え、多摩地域の産業の持続的な成長に向け、先端的な研究所や工場を整備する民間事業者の投資を積極的に促進すべきであります。
 東京の産業の成長投資を促すため、産業競争力のある企業立地を戦略的に進めるべきと考えますが、新年度の取組について伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、都内における革新的な研究開発拠点や経済安全保障に資する生産拠点の整備を行います企業等を支援する新たな取組を開始いたします。
 具体的には、半導体や環境、食品分野など波及効果の高い産業を対象に、整備に係る建設改修費や設備導入費、人件費などに加え、東京の用地特性を踏まえ、賃借料も含めて最大で補助率二分の一、五十億円を上限に補助いたします。
 また、都の企業立地相談センターや産業集積に力を入れている市区町村等とも連携いたしまして、企業等に対する事業周知や立地に関する情報提供も行ってまいります。
 こうした取組によりまして、持続的な成長に向けた投資を促進し、東京の産業競争力強化につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 東京の産業競争力の強化としても、多摩地域のポテンシャルを生かした企業立地が重要です。事業の実施に当たっては、地元自治体とも緊密に連携を図りながら進めることを求めます。
 次に、地域公共交通の確保に関して、バス運転手の人材育成について伺います。
 乗合バスは、地域公共交通の要として、通勤や通学、高齢者の通院など、地域の暮らしを支える重要なインフラです。しかし、バスの運転手は減少傾向であり、都内ではバス路線の減便や廃止が生じている地域もあります。
 我が会派の代表質問において、運転手の高齢化や、若い世代の運転手の担い手不足を指摘しましたが、バス路線が安定的に運営されるためには、若い世代の活用が重要です。
 都は新年度、若者等を採用し、育成や定着に取り組むバス事業者を後押しするとのことですが、具体的な取組内容について伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、深刻化するバス運転手の不足に対応するため、次代を担う若者等の人材確保、育成に取り組むバス事業者の支援を開始いたします。
 具体的には、都内の乗合バスの事業者が運転手として若者等を採用するとともに、メンターの配置や運転に係る研修などの人材育成を行った場合、一社当たり最大百五十万円の奨励金を支給いたします。さらに、運転手の意欲向上に資する報奨金制度を導入した場合などには、最大四十万円を加算いたします。
 これによりまして、地域を支えるバス事業者の持続的な運営を後押ししてまいります。

○伊藤(し)委員 都が、積極的に若手人材の育成に取り組むバス事業者を支援することを確認しました。
 私の地元八王子市でも、この二年間で約五千五百便あった路線バスの一割が減少して、地域公共交通に大きな影響が出ています。
 こうした課題解決のため、今年の秋からコミュニティバスの抜本的な再編を行いますが、市の担当者に聞いたところ、都の支援に本当に感謝しているとのことでした。引き続き、事業者団体やバス事業者に寄り添うとともに、市区町村への後押しも進め、地域公共交通の確保に努めていただきたいと思います。
 次に、農業振興について伺います。
 農家の労働時間は、一般的な会社員と比べて約一・五倍と長く、時には早朝から夜遅くまでの作業を余儀なくされるなど、労働環境の改善は喫緊の課題です。
 また、東京の農業は少量多品目といわれ、季節に合わせて多くの種類の野菜等を少しずつつくるのが特徴です。このため、収穫や出荷作業と並行して、次の作付に向けた種まきなども必要となり、農家の皆さんは休む間もなく作業をしています。
 また、他県で見られるような大型機械で一斉に収穫、出荷する効率的な農業経営が難しいという側面もあります。さらに出荷の際には、個別包装が求められるなど、消費者ニーズの高度化も農業者の作業量を増やしています。
 こうした現状を踏まえ、農業者の経営の効率性を高める取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田中産業労働局長 農業者の高齢化や担い手不足が進む中、作業の負担軽減や時間短縮を図ることは重要でありまして、都は来年度から、農作業の機械化、スマート化を促す新たな取組を開始いたします。
 具体的には、収穫後の洗浄、袋詰めといった単純ではありながら時間を要する作業を代替する機械などの導入に対し、補助率二分の一、上限額百万円での支援を行います。
 あわせて、東京都農林総合研究センターと機械メーカー等が連携し、農業者個々の課題に応じた機器の紹介や技術開発を行う窓口を開設いたします。
 これらによりまして、農作業の効率性を高め、持続可能な東京農業の実現につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 地元の若手の農家の方々と昨年意見交換をいたしましたが、農作物の価格は基本的に上がっておらず、一方で、材料やお手伝いの人件費など経費が上がる中、どこでやりくりするかというと、結局自分の作業時間を増やすことになるとのことでした。
 東京の都市農業を支える農家の皆さんの現場にしっかりと寄り添い、支援が届くよう取り組むことを求めておきます。
 次に、豊洲市場における水産物流等DX実証事業について伺います。
 我が会派の代表質問に対して、都からは、生鮮品等流通を取り巻く労働力不足などの状況を踏まえ、将来を見据えて、豊洲市場にてDXを活用した市場流通の効率化に新たに着手するとの答弁がありました。
 全国から水産物など生鮮品が集まる豊洲市場におけるDXの推進は、早朝から現場で汗を流す市場業者を下支えするだけではなく、働き方改革の契機ともなり、市場流通全体の強靱性や活力を高める上でも、意義ある取組と考えます。
 そこで、まず新年度の豊洲市場におけるDXの推進に向けた内容について伺います。

○猪口中央卸売市場長 豊洲市場におけるDXの推進は、生鮮品等供給の基幹インフラとしての機能をより強固にするだけでなく、市場流通全体の効率化や働き方改革にも寄与するものでございます。
 来年度、都と市場業界が共同でAIやロボティクスなどの先端技術を活用し、取引をはじめとした市場業務の高度化に向けまして、その基盤となります情報通信環境の強化などに取り組むこととしております。

○伊藤(し)委員 豊洲市場のDX推進に向けては、まず情報通信基盤の強化に取り組むということを確認いたしました。
 さて、物流環境の激減など社会が変化しても、卸売市場が将来にわたり、その機能を発揮していくためにはDXの推進は不可欠です。
 一方で、市場における取引業務は、利害の異なる多様な関係者が担っており、長年にわたり培われてきた知恵やノウハウ、多様な商慣習によっても支えられているそうです。
 こうした、いわば河岸のよき伝統を受け継ぎ、次世代に向け市場の高度化を図るには、多くの関係者が議論を尽くした上で取組を進める必要があります。そのためには、都が現場の実態に丁寧に向き合い、関係者間の合意形成や業務の標準化に関わることが重要です。
 そこで、都と市場業界が手を携え、DX推進を積極的に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○猪口中央卸売市場長 労働力不足など市場の現場で起きている問題は、安定的な生鮮品等流通の確保の観点から、開設者である都にとりましても先送りできない課題でございます。
 都は、実効性あるDXが市場業界全体で着実に進展するよう、具体的な事業の構築段階や、関係者間の合意形成などの機会を通じまして、緊密に市場業界と連携してまいります。

○伊藤(し)委員 この取組は、卸売市場が将来にわたって基幹インフラとしての役割を果たすために重要です。都と市場業界が一体となって、長期的な視点で取り組むことを求めます。
 次に、スタートアップのデータベース発信について伺います。
 スタートアップの製品を住民に身近な行政現場で活用することは、都民に活動やその意義をご理解いただく上でも大切です。
 また、スタートアップについて分かりやすく伝えるという視点も、都民の理解を得ることや、東京から新たな産業が育っていることを世界へ明らかにする意味でも重要です。
 スタートアップが経済成長や雇用創出にどれだけ寄与しているのか、客観的なデータを見える化し、発信していくこと、そして東京のみならず、日本中の優れたスタートアップ企業の情報を集めた大きなデータ共通基盤を構築する必要があると考えますが、見解を伺います。

○吉村スタートアップ戦略推進本部長 東京のスタートアップエコシステムの広がりや、産業競争力の強さを効果的に測り、伝えるため、企業の成長状況や経済効果などを把握し、それを見える化するデータベースの構築を進めております。
 今年度は、これまで協働したスタートアップなどの資金調達状況や雇用数等を収集し、来月のSusHi Tech Tokyoで、ダッシュボードとして発信する準備を進めております。
 来年度は、周辺自治体等と連携し、情報を拡充するとともに、世界市場への発信に向け、海外投資家等が利用するグローバルデータベースと連携を図ってまいります。
 こうした取組を全国と共有いたしまして、オールジャパンでの世界に向けた積極的な発信につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 スタートアップ企業は、優れたサービスや製品を生み出しながらも、会社の知名度向上や製品の優秀性などを広く理解してもらうことに苦労しているとも聞いています。このようなデータベース化をすることが、こうした諸課題の解決につながることを期待しておきます。
 次に、市区町村の基幹業務システムについて伺います。
 国が進める市区町村の住民記録や税などの基幹二十業務システムの標準化は、今年度、移行のピークを迎えています。都がGovTech東京と連携して移行支援し、大きな障害などを発生させずに着実に進めていることは評価します。
 一方で、デジタル庁によると、人口規模が大きく、複雑なシステムを有する区部を中心に、三十八の市区町村が新年度以降に標準化の予定であり、今後も丁寧な支援が重要です。
 また、システムの標準化だけでは、都民サービスや職員の働き方は変わりません。昨年の第二回定例会において我が会派が主張したとおり、こうした取組は、都民サービスの向上につなげてこそ意味があります。
 今後は、移行を控えている市区町村へのきめ細かな支援に加えて、都民や自治体職員が標準化のメリットを実感できることが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○高野デジタルサービス局長 都は、都民の利便性向上や職員の業務効率化に向け、市区町村の基幹システムの標準化支援に取り組んでおります。
 具体的には、GovTech東京と連携した技術支援を通じ、全体の六割を超える約七百のシステムの円滑な標準化を後押ししてまいりました。
 来年度からは、複雑なシステムを有し、事業者間の調整に苦慮する自治体への伴走型の支援を強化いたします。また、新たに複数の自治体と連携して、標準化後のシステムを活用した異なる分野の手続を一括申請できる窓口など、BPR事例を創出し、横展開を図ってまいります。
 これにより、市区町村職員の手取り時間を増やし、質の高い都民サービスの実現につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 基幹業務システムの標準化が、都民サービスの向上や人手不足に悩む自治体職員の業務の効率化につながるよう、後押しを期待しています。
 次に、東京アプリ生活応援事業について伺います。
 さきの本会議で、我が会派はこの事業に当たって、高齢者をはじめ、デジタルに不慣れな方が円滑に参加できるよう、きめ細かな支援を行うべきと質疑し、都からは、コールセンターでのきめの細かい対応や、市区町村と連携した申請方法の動画での説明などに取り組むとともに、代理申請の仕組みを今後導入するとの答弁がありました。
 スマホでの申込みが難しい方も含めて、多くの都民に本事業へ安心して参加してもらうためには、代理申請は重要な取組の一つであると考えます。
 そこで、代理申請の仕組みをどのように導入していくのか伺います。

○高野デジタルサービス局長 生活応援事業に参加を希望する方にアプリを通じてポイントを届けられるよう、障害がある方など、スマホでの申請が困難な方を対象とした代理申請の仕組みを来年度導入いたします。
 今後、代理申請が可能な対象者、代理人の範囲、運用方法等の視点から、障害の程度や本人との関係性、申請方法や代理関係の確認手順などについて、課題も含め整理の上、検討を進めてまいります。
 また、現在のアプリからの本人申請に加えて、代理申請を導入するためには、重複付与の防止など、技術面での検証も必要となります。GovTech東京と連携し、検討を進め、多くの都民とつながるよう全力で取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 新年度の代理申請導入に向けて、詳細な検討を進めているとのことでした。
 様々な課題があると思いますが、東京アプリ生活応援事業は来年四月一日までです。代理申請の導入時期が遅くなりますと、そこまでの間、スマホ操作が困難な方は参加できなくなるため、できるだけ早期での導入に向けた検討を進めることを求めます。
 一方で、代理申請が可能になっても、悪意のある人や詐欺集団に悪用される仕組みであっては意味をなしません。そこで、代理申請を導入するに当たり、こうした悪用事例が発生しないよう取り組むことが重要ですが、都の見解を伺います。

○高野デジタルサービス局長 代理申請の制度設計に当たっては、なりすましや不正利用の防止などの観点から、厳格な確認が必要となります。そのため、本人と代理人との関係性や代理関係の確認方法について、丁寧に検討を進めてまいります。
 また、併せて広報紙等で不正利用に関する注意喚起も行い、スマホでの申請が困難な方々が安心して参加いただけるよう、代理申請の導入に向け、取り組んでまいります。

○伊藤(し)委員 なりすましや不正の防止に向けて検討を進めているとのことです。都がこうした取組を進めることは、詐欺など犯罪防止に向けた抑止力にもつながるため、しっかりとした取組を求めておきます。
 次に、地域に根差した公衆浴場支援について伺います。
 公衆浴場は、地域住民の憩いやコミュニティづくりの拠点にもなっており、地域にとって欠かせない存在です。しかし、物価高騰により改修などの費用が負担できず、やむなく廃業する浴場もあると聞いています。
 公衆浴場が、今後も地域でその役割を果たし、営業を継続するためには、実態を十分把握し、地元自治体と共に支援を強化すべきですが、どのような取組を行うのか伺います。

○古屋生活文化局長 都は、昨年実施しました若手の浴場主との意見交換などを踏まえまして、浴場の存続にとって大きな課題となっている施設の老朽化対策について、来年度、改築、改修工事の補助率と補助上限額の引上げを行います。
 特に、高齢者の交流イベントを行うなど、地域において活用されている浴場について、区市が都と連携して浴場への支援を行う場合には、都の補助率を最大三分の二まで引き上げ、自己負担額の大幅な軽減を図ってまいります。
 今後も、区市との連携を深め、共に公衆浴場への支援を行ってまいります。

○伊藤(し)委員 事業者負担軽減のため、補助率の引上げなどを行うことを確認しました。
 それぞれの地元には、銭湯を大切に思い、応援している住民もおられると思います。都は新年度、大学生やNPOなどとも協力して浴場が行う活動も、新しく支援の対象にすると聞いていますので、しっかり支援していくことを求めます。
 次に、町会、自治会活動の支援について伺います。
 都は、町会、自治会活動を支援する、地域の底力発展事業助成について、新年度は十年ぶりに予算を増額します。
 しかし、現場でお聞きしますと、役員の担い手不足や会員の減少などの課題を抱えておりますので、地域にとって必要不可欠な町会、自治会が充実した活動ができるよう、より一層後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○古屋生活文化局長 都は、地域の底力発展事業助成を通じまして、地域コミュニティの核となる町会、自治会活動を支援しており、今年度、申請件数が過去最多となりました。
 来年度は、地域全体で子育てや女性活躍を応援する活動を対象に拡充し、子育て世帯や女性などの新たな参加につなげるほか、助成上限額も二割引き上げ、町会、自治会の活動をさらに後押しいたします。
 また、若い世代が参加しやすい環境を整えるため、非対面での町会費徴収が可能となるクレジットカード決済も、新たに支援対象といたします。
 こうした取組によりまして、町会、自治会が地域での活動を持続できるよう支援を進めてまいります。

○伊藤(し)委員 町会、自治会活動は、もう皆様ご承知のとおり、地域コミュニティづくりの基盤であるほか、青少年健全育成、地域の助け合い、防災、環境美化活動など、東京の将来の発展のためにも大切な活動です。現場の声に耳を傾けて、引き続き、できるだけの支援をお願いいたします。
 次に、江戸文化の世界遺産登録に向けた取組について伺います。
 我が会派では、江戸の歴史文化の世界遺産登録による東京のプレゼンス向上を公約として掲げ、一昨年の予算特別委員会で質問して以来、一貫して都の取組を後押ししてきました。
 世界遺産の登録は、国内外へのインパクトが非常に大きく、江戸文化の認知度向上をはじめ、文化や自然保護、地域経済の活性化などを通じて、東京のプレゼンス向上に大きく寄与すると考えます。
 都は昨年、有識者会議を設置し、具体的な検討に入ったとのことですが、その取組状況について伺います。

○古屋生活文化局長 世界遺産登録に当たりましては、対象となる史跡や建物が、人類の歴史や文化を理解する上で重要である世界共通の価値を有しているかを説明することが求められます。
 都は、これまでに有識者会議を七回開催しまして、都内の世界遺産の候補となりうる文化資源や、江戸と国内外の文化比較、国際的な理解の重要性など、多くの論点について議論いただいているところでございます。
 また、世界遺産として求められる保存の在り方につきまして、関係機関への紹介や調査を行っているところでございます。

○伊藤(し)委員 史跡や建物などのハードを対象とする世界遺産に取り組むことを理解しました。
 あわせて、江戸文化への理解や、世界遺産制度の議論が深められており、特に単なる国内目線での重要性ではなく、世界視点の重要性が必要と確認しました。
 それでは、今後の世界遺産登録に向けた取組についても伺います。

○古屋生活文化局長 世界遺産登録におきましては、国からユネスコに推薦されるため、国の推薦候補に選定されることが前提となります。
 都として候補とする文化資源を選び、当該資源について国内外の事例との比較や分析を行った上で、世界共通の価値を持つことを立証する提案書をつくり上げる必要がございます。
 また、候補となりうる文化資源を将来世代に継承する保存管理体制を構築するために、所有者や地元自治体の理解や協力を得ることも重要でございます。
 世界遺産登録に必要な項目を丁寧に整理し、取組を着実に進めてまいります。

○伊藤(し)委員 間もなく、江戸東京博物館がリニューアルオープンとなりますが、江戸文化を体感できる発信拠点であり、注目が高まることは、登録に向けた勢いにつながると思いますので、着実に取組を進めてほしいと思います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 昨年東京で開催された世界陸上及びデフリンピックは、大盛況のうちに幕を閉じました。特にデフリンピックでは、認知度が一年間で三九%から七三・一%にまで上昇するなど、共生社会の推進にも貢献し、スポーツの持つ社会を変える力を改めて証明しました。
 さて、都はこれまでも市区町村によるスポーツ施設の整備に支援をしてきましたが、継続して地域スポーツの振興に生かすことも必要です。
 よって、今後とも身近な地域におけるスポーツ環境整備のために、市区町村の取組を力強く後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○渡邉スポーツ推進本部長 都はこれまで、区市町村が行うスポーツ施設等の整備に対し、支援を行ってまいりました。
 来年度は、学校施設の市民開放や、デジタル技術を活用したスポーツ環境の整備など、区市町村の取組を促進いたします。また、暑さ対策やユニバーサルデザイン化などの推進にもつながる取組を支援いたします。
 こうした施設整備には、区市町村がより中長期的な視点で取り組む必要があることから、事業期間を三年から五年に延長いたします。
 このような取組を通じまして、区市町村と連携し、身近なスポーツの場の拡大につなげてまいります。

○伊藤(し)委員 私の尊敬するスポーツ指導者からいわれたことは、スポーツの発展には、プレーヤーとよき指導者と、そしてスポーツを行う場所、すなわち施設の三要素が必要とのことで、そのとおりだと思います。
 世界陸上やデフリンピックの終了後も、都が自治体のスポーツ施設の整備もしっかり支援をしていくことを求めておきます。
 次に、フロン対策の推進について伺います。
 フロンは、オフィスや商業施設、家庭用などエアコンや、冷凍冷蔵設備等の冷媒として広く活用されていますが、二酸化炭素の数十倍から一万倍を超える温室効果があり、都内温室効果ガスの排出量の約一割にも及ぶ状況です。
 業務用機器からのフロン排出量の推移は減少に転じたとのことですが、都は昨年に、フロン排出量を二〇三五年までに二〇一四年度比で七〇%削減する新たな目標を設定しており、さらなる削減が急務です。
 そのためには、業務用機器について、ノンフロン機器への転換に加え、ノンフロン製品が開発途上の大型空調機器等への対策が不可欠です。
 都はこれまで、飲食店の冷蔵ショーケースなどに省エネ型ノンフロン機器を導入する事業者への支援を実施してきましたが、今後どのように取り組むのか伺います。

○須藤環境局長 都は、令和元年度から開始した中小企業等へのノンフロン機器導入支援により、約一千台の更新を後押しするなど、フロン排出削減に取り組んでまいりました。
 来年度は、対策の効果が高い倉庫業と食品製造業を新たに補助対象に加えるほか、規模を約十六億円に拡充するなど、広くリプレースを促すことで高い温室効果を持つフロンへの対策を強化いたします。
 また、高いスキルが必要となる既存の大型空調機器等の冷媒を入れ替える際、温暖化への影響を低減するレトロフィットに取り組む事業者などを公募し、新しい技術の実装に向けた検証を開始いたします。
 こうした多面的な取組を通じて、業務用機器からのフロン排出量削減をさらに加速させてまいります。

○伊藤(し)委員 新年度は、業務用機器のノンフロン化に加え、新技術の活用を視野に入れ、取り組むことを確認しました。
 一方で、家庭用エアコンからのフロン排出量は、いまだ増加傾向にあり、その原因は機器の老朽化やエアコンの不適切な取り外しによる冷媒が漏れることなどといわれているそうです。
 排出量が増加傾向にある家庭用エアコンの総合的な対策については、具体的にどのように取り組むのか伺います。

○須藤環境局長 家庭用エアコンからのフロンの漏えい防止には、都民の正しい理解の醸成が必要であり、都はこれまで、フロンの温室効果や適正な廃棄の必要性について、動画などを活用し、啓発してまいりました。
 令和八年度は、新たに業界団体と連携し、エアコンの取り外し時等におけるフロン回収技術向上に向けた研修を開始するなど、電気工事事業者等のスキルの底上げを図ってまいります。
 さらに、優良な事業者を登録する新たな制度を設け、広く活用を促すことで、取り外しから廃棄まで一貫して漏えいを防止できる体制を構築いたします。
 こうした取組を含めて事業規模を約六倍に拡大し、家庭用エアコンのフロン対策を推進してまいります。

○伊藤(し)委員 新年度から、家庭用エアコンのフロン対策に本格的に取り組むことを確認しました。都内には約七百六十万世帯あり、ほとんどの家庭がエアコンを使用していますが、新たな取組が浸透することで、排出量の低減につながることを期待します。
 次に、水源林管理について伺います。
 さきの本会議でも会派から質疑しましたが、昨年末から太平洋側を中心に渇水傾向が続き、都の水源でも例年より貯水量は少ない状況です。
 こうした中でも、都の独自水源である小河内ダム上流の水道水源林からは、日々途絶えることなく水が流れ続けており、緑のダムと呼ばれる水源林の効果が現れています。
 水道局は先月、百二十年以上にわたる歴史ある水源林について、今後十年間の管理計画の素案を公表しました。
 少雨により水源の重要性が高まる中、新たな計画において、森林を取り巻く様々な課題にどのように対応していくのか、見解を伺います。

○山口水道局長 多摩川の安定した河川流量を確保していくためには、水道水源林を適切に管理し、健全な森に育てる取組を着実に継承することが重要でございます。
 新たな管理計画では、これまでの積極的な民有林の購入により、管理面積が増加したことを踏まえまして、保全作業に欠かせない林道の整備など、管理基盤の充実を図るとともに、より効率的に管理するための先進技術を積極的に取り入れてまいります。
 また現在、深刻な課題となっている鹿や熊による樹木被害、山林火災を防ぐ取組を強化するとともに、様々な野生動物が健全に生息できる森づくりについても推進いたします。

○伊藤(し)委員 現在の水源林を取り巻く様々な課題についての対応を確認しました。
 二年ほど前に我が会派で水源林管理の現場を視察し、長年にわたる水源林管理の取組の経過や実績を学ばせていただきました。
 さて、ご答弁のとおり、水道局では荒廃した民有林を積極的に購入しており、それらも含め、森林を再生する取組を着実に進める必要があります。一方、林業従事者の高齢化などにより、森林管理の担い手は減少しているとも聞いています。
 先ほど新たな基盤整備や新技術の導入なども進めるとのことでしたが、新計画における森林保全管理の効率化に向けた取組についても伺います。

○山口水道局長 新たな管理計画では、急傾斜地を移動する作業用モノレール、通称森レールを八路線増設することとしておりまして、来年度はそのための調査を開始するとともに、一路線の整備を実施いたします。
 また、赤外線レーザーなどにより、樹木を短時間かつ精緻に計測する三次元の測定システムの導入に向けた検討についても開始いたします。
 さらに、森に降った雨を土壌に蓄える水源涵養機能を数値や地図で可視化し、定量的に評価することで森づくりに生かすモデルの構築も進めてまいります。
 これらの取組によりまして、都民の貴重な水源である多摩川上流域の水源林を守り、将来世代に確実に引き継いでまいります。

○伊藤(し)委員 ご答弁にあったように、水源涵養機能を数値や地図で可視化し、定量的に評価できれば、その知見は豪雨対策や生物多様性戦略、地球温暖化対策にも流用できます。
 水道水源林が飲料水の提供のみではなく、都民生活に大きな利益をもたらす可能性があることを申し添えて、次の質問に移ります。
 次に、都立高校の魅力向上について伺います。
 我が会派は、これまで都立高校が今後も都民から選ばれ続けるためには、行ける学校にとどまらず、行きたい学校としての魅力を一層高めていく取組が不可欠であると主張してきました。
 また、今後、少子高齢化や生産年齢人口の減少が見込まれる中、国は、高校教育改革に関するグランドデザインを策定するとともに、都道府県に対する財政支援の仕組みを構築し、専門高校の機能強化など、先進的な取組を後押しするとしています。
 こうした国の動きを踏まえ、社会の要請や都民ニーズに応える都立高校をつくり、その魅力の向上につなげるため、今後どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 我が国の社会や経済の変化が進み、世界情勢の見通しの難しさが増す中、最先端のAIの広がりにも揺らぐことのない確かな技術や、国際的な舞台で活躍のできる専門性の高い実力を身につける魅力ある教育を、都立高校から率先して行うことは重要でございます。
 東京の企業活動を担う人材の育成に向けまして、工科高校の実践的な教育に磨きをかけ、様々な産業との連携を確実に進めてまいります。
 今月初めには、工科高校とまちづくりに係る産業との協議会を立ち上げまして、現場の最新の技術や知識を直接学ぶ機会の充実を進めてまいりました。また、こうした取組を他の産業とも速やかに広げてまいります。
 また、海外で活躍する基礎づくりに役立ちます国際バカロレアによる教育のコースと、世界でのビジネスに必要な国際金融の知識を重点的に学ぶ課程の両方を持つ商業高校をつくりまして、新たな学びの魅力につなげてまいります。
 都立高校の活性化に役立てる国からの基金の効果的な活用も図りながら、新しい時代にふさわしい都立高校をつくる取組を、教育委員会と連携して進めてまいります。

○伊藤(し)委員 都立高校の魅力向上に向けての知事の見解を伺いました。
 さて、先日、三多摩議員連絡協議会の研修会にて、文科省の統括審議官による人材育成の取組について、お話をお聞きしました。
 二〇四〇年に向けた人材育成については、産業構造が大きく転換する中、文系など事務職は余り、AIやロボットを利活用する専門職や現場人材が不足するとのことでした。人材の需要と供給のミスマッチを解消するため、そして何よりも子供たちの将来を見据えた都立高校改革を進めていただきたいと思います。
 次に、デザイン系学科の充実・強化事業について伺います。
 我が会派は、成長が見込まれるコンテンツ産業を東京の重要な産業分野の一つとして位置づけ、その振興と人材育成に注目してきました。日本を代表するアニメをはじめ、映像やデザイン、コンテンツ分野の人材の育成においては、創造性と技術力を併せ持つ人材を早い段階から育てていくことが重要です。
 都立工科高校には、建築や電気などの専門分野に加え、デザイン系学科が設置されており、実習重視の教育や制作活動を通じて、コンテンツ分野の人材育成の下地があります。
 一方で、映像やコンテンツ分野は技術革新が速く、教育現場でも、最新の制作環境の整備や、現場で活躍する外部人材の指導を一層充実させることが不可欠です。
 そこで、デザイン系学科を有する工科高校において、制作環境の刷新や外部講師の活用を積極的に進め、工科高校の強みを伸ばし、コンテンツ産業を支える人材育成につなげるべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本教育長 都立工科高校等でデザインに係る学習を充実することは、将来の成長分野であるコンテンツ産業の担い手の育成を図る上で重要な取組でございます。
 これまで、工科高校など九つの学校では、デザインを専門的に学ぶコースを設けております。これによりまして、生徒は画像をつくる基礎的なスキルから高度なデジタル技術を活用した映像づくりまで、幅広く学ぶ仕組みとしているところです。
 こうした教育の充実に向けまして、都教育委員会は来年度、優れたデザインのコンテンツを制作するためのデジタル機器を、新たに約四百台導入いたします。
 また、全てのデザインのコースで、外部人材が最先端のデザイン技術を指導する体制もつくり上げてまいります。

○伊藤(し)委員 最新の機材を活用した制作環境や、外部の専門人材を活用し、実践的な指導の充実を図ることを確認しました。
 コンテンツ産業ではありませんが、今日私がしているネクタイは、都立八王子桑志高校のデザイン系学科の生徒が、地元の織物組合とコラボして制作したネクタイです。
 工科高校の強みを魅力に変えていく取組を期待したいと思います。
 次に、商業高校の魅力向上に向けた取組についても伺います。
 先月、都立の入試がありましたが、商業高校の応募倍率はまだ伸ばせる余地があると思います。
 こうした状況を踏まえ、商業高校は、授業の中心科目である簿記等の会計科目に加え、様々なビジネススキルを身につけるための学習機会拡充に取り組んでいます。加えて、その成果として、キャリア形成に必要な難関資格を高校生でもチャレンジできるよう、支援することが必要と考えます。
 そこで、商業高校の魅力向上に向けて、実践的なビジネススキルの習得支援をさらに充実させるべきと考えますが、都教委の見解を伺います。

○坂本教育長 都立の商業高校で学ぶ内容を基に、さらにレベルの高い知識等を習得できるよう、様々な資格試験に係る学習を後押しすることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、商業高校の生徒が民間団体の実施する会計や英語のほか、デジタル技術に係る資格試験を受ける後押しをしております。具体的には、民間団体による受験の前の講座に参加する経費の負担を行っているところでございます。
 これらに加えまして、来年度、税理士試験や知的財産に係る検定など、八つの資格試験についても、事前の学習の講座に参加する場合は経費負担を行います。
 こうした取組によりまして、商業高校の生徒の学びをサポートしてまいります。

○伊藤(し)委員 高校生が学びを基に、資格に挑戦できる環境を提供することは有益な取組だと思いますので、ぜひ続けていただきたいと思います。
 次に、校内の別室を活用した不登校児童生徒への支援について伺います。
 我が会派の提案により、国に先駆けて令和五年度から実施した校内別室指導支援員配置事業については、私の地元でも、学校や保護者、地域住民から効果の高い事業であると聞いています。
 しかし、都が始めた事業は補助率十分の十でしたが、二年間限定とのことで、三年目以降の支援の継続を求める声が寄せられ、都教委にも再三要請してまいりました。
 各地区における別室の運用及び支援員による子供への有効な手だてが継続できるよう、さらには新規の別室設置も可能にすべきと考えますが、新年度の取組について伺います。

○坂本教育長 公立の小中学校の学級で学ぶことが難しい不登校の子供について、校内の別室で受け入れ、学習の指導や相談等を行う取組の充実は重要でございます。
 都教育委員会では、今年度、二百七十の小中学校で空き教室を別室として使い、学習の指導を行う人材の活用を後押ししております。
 これによりまして、子供が勉強に自信を持ち、友人と会話もできるようになり、不登校の日数が減るなどの成果が出ているところです。
 こうした取組の継続と新たに三百の学校に別室を設ける対応を支援するため、来年度より三年間、人材の配置に係る経費の三分の二に助成を行います。

○伊藤(し)委員 この校内別室指導により、子供が勉強に自信を持ったり、通えるように少しずつなったりということで、不登校の日数が減るなどの成果が出ており、来年度から新たに三年間の補助をする仕組みを開始することは評価をいたします。
 その一方で、不登校の子供にとって別室での支援は欠かすことができないものであり、そのためには、補助期間終了後も、各市区町村において持続可能な仕組みづくりが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○坂本教育長 公立の小中学校において、不登校の子供を校内の別室で受け入れる対応を続ける上で、そうした支援を行う人材の力を高める取組は重要でございます。
 これまで都教育委員会は、校内別室で指導に取り組む支援員の対応の力を高めるため、研修教材をつくり、様々な知識やスキルの提供を進めてまいりました。
 来年度、不登校の子供に関し、家庭を訪れ相談対応を行う人材等を校内別室で活用し、成果を上げた事例を区市町村に提供し、今後の取組に役立てます。
 また、不登校対応に係る四百以上の事例を登録したデータベースに関し、AI機能を取り入れ、活用を一層容易にし、支援員などの力の向上につなげてまいります。

○小山委員長 伊藤しょうこう副委員長の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十七分休憩