予算特別委員会速記録第五号

○川松委員長 須山たかし委員の発言を許します。
   〔委員長退席、松田副委員長着席〕

○須山委員 令和七年度予算を審議してきましたこの予算特別委員会も締めくくりとなりました。この間の知事並びに特別職の答弁については、残念ながら不誠実極まりない、答弁拒否に等しいといわざるを得ないと思っております。
 三月七日の定例記者会見での知事のファンデーションが違う発言は、入り口から議論を排除する認識であり、自分に批判的な意見に向き合わない姿勢は残念としかいいようがありません。一部の都民にしか目を向けない予算ではなく、より多くの人が納得できる予算を目指すべきであり、そのために議論をしていくべきだと考えますが、知事の予算審議に当たっての基本姿勢について伺います。

○小池知事 ご質問でございます。
 より多くの人が納得できる予算にするためには、二元代表制の下で予算案の内容についてしっかりと議論を行うことは重要でございます。だからこそ、この予算特別委員会の場がございまして、また先日来、議員の皆様と幅広い観点から多くの議論を重ねているものと、このように認識をいたしております。
 そのような中において、今のご質問の趣旨に応じて、執行機関として適切に答弁しているものでありまして、ご指摘には当たりません。

○須山委員 適切に答弁をするとおっしゃってはおりますけれども、この間の議論では、例えばアフォーダブル住宅に関しては、百億円をかけて何戸供給できるかも分からない。英語スピーキングテストでは、どんなに問題を挙げても、適切に行われていると繰り返すばかり。また、ODAIBAファウンテンでは、経済効果など不確定要素の議論に終始しました。議論になっていないなと考えております。
 都民の支払っている大切な税金の使い方を議論する私たち議会での議論がこれでよいのか、東京における二元代表制は機能しているのか、これを強く問いたいと思います。
 さて、小池知事は、選挙公約でありました子育て世帯への家賃負担の軽減すら令和七年度予算に盛り込んでおられません。先ほど申し上げたアフォーダブル住宅は、詳細も明らかにされませんでした。
 東京では、民営借家の家賃は全国の約一・七倍にも上っております。東京都議会立憲民主党はこれまで、都議会立憲東京ビジョンをはじめとして、あらゆる機会に、住まいの確保は最もベーシックな生活保障であり、家賃補助で住まいの安心を確保するべきだと求めてまいりました。
 都として家賃補助を実施するべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小笠原住宅政策本部長 家賃補助につきましては、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識をしております。
 都におきましては、真に住宅に困窮する低所得者に低廉な家賃で賃貸する都営住宅の積極的な活用に加え、家賃低廉化補助の対象となる東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進等に取り組んでおります。
 また、都は、都民がニーズに応じた住宅を確保できる環境の整備に向け、良質な住宅の供給を促進しているほか、来年度は民間活力を活用して、子育て世帯等への低廉な家賃の実現に取り組むアフォーダブル住宅の供給促進に取り組むこととしており、そのための予算も計上しております。
 したがいまして、子育て世帯への家賃負担の軽減が令和七年度予算案に盛り込まれていないとのご指摘は当たらないと考えております。

○須山委員 ご指摘は当たらないというご答弁ではありましたけれども、いつもどおりの答えかなというふうに思います。
 多くの課題があるのは分かりますけれども、だからこそ、そこをしっかりと乗り越えて、その乗り越えるための知恵を働かせる、これが必要なのではないでしょうか。
 知事は以前、できない理由を探すよりは、できる方法を考えろと職員の皆さんにおっしゃったようですけれども、皆さんお忘れになってしまったんでしょうか。
 続きまして、賃上げについて伺います。
 これまで、知事自ら率先した賃上げ機運醸成を求めてまいりましたが、なかなか動いていただけないようです。
 そこで、知事に伺います。
 令和七年度予算案に計上されている都内中小企業における賃上げ等を支援する事業は、都内中小企業数四十一万社に対し、対象が僅か千四百社、予算三十億円。あまりにも少な過ぎます。
 私は、少なくとも一万社を対象として支援し、賃上げのムーブメントを起こしていくべきだと考えております。これは、最大でも約二百十四億円で実施可能であり、賃上げを補助しつつ、今後の成長にもつながる取組を大規模に行うべきだと考えますけれども、知事の見解を伺います。

○田中産業労働局長 まず、賃金等の労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 都といたしましては、労働者の処遇改善に取り組む中小企業に対し、その取組への様々なサポートを行うなど、多面的な支援を行っておりまして、それぞれの事業規模について適切に設定し、持続的な賃上げにつながるよう後押しすることとしております。

○須山委員 賃上げに関してもいつもどおりですが、やはり機運を高めるためには知事からの強い発信というものが欲しかったなというふうに思います。都として大規模に取り組んでいくことも必要だと考えておりますし、ぜひ、だからこそ、今日は知事が答えていただかなかったことが非常に残念だと改めて申し上げさせていただきます。
 続きまして、義務教育の完全無償化について伺います。
 これも私たちが重点的に求めてきた点ですが、令和七年度予算案には盛り込まれませんでした。教材費や学用品、課外活動費や修学旅行費など、見えない教育費を含む義務教育の無償化は、施策の優先度が高いものだと考えます。
 この間、学校給食費の無償化でも、先般の給付型奨学金制度の創設でも、教育長は極めて冷たい答弁でしたが、実現に向けて検討をするべきだと考えます。
 最低限、義務教育では学用品や修学旅行費などの学校教育費を無償化すべく取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○坂本教育長 憲法では義務教育を無償とすることが定められておりますが、無償とは、最高裁判決で、授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
 保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれの判断で対応するものでございます。

○須山委員 これもいつもどおりのお答えです。私は、本当に社会で子供を育てていく、そして全ての子供たちに教育が平等に受けられるべきだと、そのように考えております。
 だからこそ、まずは完全無償化に向けて東京都から進めていってほしいと訴えさせていただきます。
 続きまして、ベイエリアに関して質問させていただきます。
 東京都は今年一月、二〇五〇東京戦略や東京ベイeSGプロジェクトVersion二・〇案を公表し、東京ベイeSGプロジェクトを加速させると打ち上げました。東京ベイeSGまちづくり戦略二〇二二では、臨海副都心などのにぎわい、交流、イノベーションなどを生むまちづくりについて、既往計画の必要な見直し等を行うと記しています。
 こうした都の各局による戦略などがある中で、この地域のまちづくりをどうしていくのか、都民に具体的な計画を示す必要があります。
 東京ベイエリアのまちづくりを今後どうしていくのか、財源を含めて、都民に対し、責任を持った計画を示すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 ベイエリアは、世界から人と投資を呼び込み、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京をリードするエリアとして発展させることが重要でございます。
 このため、二〇四〇年代のベイエリアを実現するための行政の取組や民間誘導の方策を示す実行戦略として、東京ベイeSGまちづくり戦略二〇二二を策定いたしました。
 具体的には、質の高い緑と魅力ある水辺空間の形成や、デジタルと先端技術の実装など五つの戦略を示すとともに、個別の拠点の将来像を定めております。
 eSGプロジェクトなども踏まえつつ、引き続き将来像の実現に向け、取り組んでまいります。

○須山委員 今月の四日に、私たち立憲民主党はお台場海浜公園の視察を行いました。そして、改めて東京都自らの噴水整備よりも、臨海副都心のまちづくりの底上げが必要だと感じました。
 この噴水は、東京臨海副都心まちづくり協議会からの具体的な要望を受けて整備するものではありません。にぎわいは必要ですが、その一つであるお台場レインボー花火は、地元企業などの実行委員会が主催し、協議会が共催、都港湾局が後援をして実施されております。噴水もこうした整備運営が求められているのではないかと考えます。
 都の公金一〇〇%で整備運営する噴水は、破格の投資です。都民の財産である臨海地域開発事業会計での出資、事業は、都民生活に資するものでなくてはなりません。臨海副都心には、台場地区は潤いのある複合市街地とするプランがあり、未処分地をどうするのか、課題もあります。
 同じ公営企業会計である市場や交通、水道、下水道事業のように、経営ビジョン、プランが必要です。
 噴水事業に都自らが注力をするのではなく、臨海副都心地域全体をどうしていくのか、経営ビジョンを示すべきだと考えますが、見解を伺います。

○松川港湾局長 都は、臨海副都心まちづくり推進計画などに基づきまして、職、住、学、遊のバランスの取れた複合的なまちを目指して開発を進めております。
 開発に当たりましては、臨海地域開発事業会計の収支を見込みながら、安定した財政基盤の維持を図ってまいりました。
 さらに、東京ベイeSGプロジェクト及び東京ベイeSGまちづくり戦略二〇二二で示されました将来像の実現に向け、脱炭素化や先端技術の実装などにより、魅力あるまちづくりに取り組んでおります。
 引き続き、都市基盤施設の更新や新たな投資を行いながら、民間企業等と連携し、臨海副都心のさらなる価値向上を図り、東京の成長を牽引してまいります。

○須山委員 今、民間企業等と連携ということもありましたし、やはり、であるならば、しっかりと東京都が自前で噴水整備をするんではなくて、民間との連携、これが必要なんじゃないかなというふうに思いますので、それも申し上げさせていただきます。
 臨海副都心のまちづくり、まち全体の底上げのための計画の実施を引き続きお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、DEI、ダイバーシティ、エクイティー、そしてインクルージョンの推進について伺います。
 米国ではトランプ政権になり、反DEIの動きが加速し、ウォルマートやマクドナルド、メタやアマゾン、フォード、ボーイングなどが、こぞってDEIの目標見直しを表明しております。
 関税政策やパリ協定脱退など、都民生活にも大きな影響を及ぼすであろう動きから目が離せませんが、DEIのD、ダイバーシティは知事の公約の柱でもあります。
 引き続き、ダイバーシティをはじめ、DEIを推進していく姿勢に変わりはないのか、知事の見解を伺います。

○佐藤政策企画局長 都はこれまでも、多様性と包摂性あふれる都市東京を目指し、一人一人が社会の一員として活躍できる環境の整備や普及啓発等を進めてまいりました。
 二〇五〇東京戦略におきましても、多様性を尊重する価値観が浸透し、誰もが自分らしく活躍できる社会の実現をビジョンとして掲げ、引き続き、共生社会実現に向けた取組を推進することとしております。

○須山委員 アメリカでは、新型コロナの感染の拡大時には、中国系をはじめとするアジア人への差別が深刻化したことは記憶に新しいところです。
 関東大震災では、朝鮮人をはじめ、中国人、障害者、社会主義者など、社会的な少数者が尊い命を奪われましたが、とりわけ非常時においては、群衆の感情は少数の人たちに向かい、まさに弱者切捨てになってしまいます。
 現在も、在日朝鮮人をはじめ、トランスジェンダーであったりとか、生活保護受給者などに対する厳しい非難の声を聞きますが、都民の理解が得られなくても、マイノリティーを擁護する、包摂をしていくという、そういった姿勢は極めて重要だと考えます。
 誰一人取り残さない包摂的な社会づくりについて、知事の見解を伺います。

○佐藤総務局長 東京都人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重され、東京が持続可能なよりよい未来のために人権尊重の理念が実現した都市であり続けることは、都民全ての願いであると規定をされております。

○須山委員 いや、これはね、本当に知事にお答えをいただきたかったなというふうに思います。ダイバーシティを訴えている知事だからこそ、マイノリティーを守り、そして支えていくという、そういった言葉を伺いたかったです。
 さて、東京都はいつも同じ答弁を繰り返して、朝鮮人学校への補助金の支給を停止したままですが、朝鮮学校に通う子供たちは、これからもこの日本に住み、暮らしていく人たちです。
 朝鮮学校の子供たちは、日常的に差別と偏見の中で過ごしておりますけれども、東京都がその差別を率先して解消していくことが必要だと考えます。見解を伺います。

○佐藤総務局長 都は、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民などに一層浸透した都市となることを目的として人権尊重条例を定めまして、人権施策の充実を図ってまいりました。今後とも、条例に基づく取組を着実に進めてまいります。
 なお、各局が実施いたします施策につきましては、条例の理念と、その施策の性質を踏まえ、判断されるべきものと考えております。

○須山委員 各局の施策については、人権尊重条例に基づくということでした。そうなんですか。何かちょっとこれは、本当に私も昔から、前からいわせてもらっていますけど、本当にちょっと人権尊重条例に適しているのか、本当に疑問を呈させていただきます。
 学校への運営費補助、復活ではなくて、子供たちにしっかりと着目をして、そして保護者負担の軽減を再構築していっていただきたいと思います。人権尊重条例を制定した、人権施策を充実しているというのであれば、朝鮮学校の子供たちへの差別と偏見、これを行政からしっかりとやめていき、守っていくべきだと考えます。チルドレンファーストを掲げる知事なら分かるはずです。
 続きまして、インターナショナルスクールに関して伺います。
 都内では、公立や私立学校などの、いわゆる一条校ではない、インターナショナルスクールに子供を通わせる例が増え、それに伴い、インターナショナルスクールが年度末を迎える六月以降、夏休みまでの三週間の間だけ、地元の公立学校に通わせてほしいとの要望が増えているそうです。
 自治体の中には、ホームページに、インターナショナルスクール等の長期休業などを理由に、一時的に区立学校へ就学することはできないとして、区立学校への就学を希望される場合、インターナショナルスクール等を退学したことが確認できる書類等を求めると記載しているところがあります。
 自治体の気持ちも分かります。七月の三週間だけ公立学校に通わせたいといわれ、仮にそれが十数人にも上れば、教室や先生はどうすればいいのでしょうか。
 そこで、東京都に伺います。その場合、区教委は受け入れる必要があるのか。受け入れた結果、学級編制基準を超えてしまうような場合、区教委はどう対応すればいいのか。都教委は、それに対して何かしらの支援をするのか。見解を伺います。

○坂本教育長 小中学校への就学につきましては、学校教育法等に基づき、区市町村教育委員会が適切に対応することとなっております。

○須山委員 区市町村教育委員会の対応だということでありました。
 つい数年前も、設立されたばかりのインターナショナルスクールが、外国人生徒が集まらなかったことなどを理由に廃止となっております。
 また、今も申し上げた子供たちの長期休暇中の課題、とりわけ公立小中学校の運営に過大な負担を生じさせてしまうような課題もあります。
 こうした課題解決に取り組みながら、インターナショナルスクールの整備を進めていくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 高度外国人材を呼び込むためのインターナショナルスクール等の教育環境の充実に向けまして、都は今年度、実態把握のための学校へのヒアリングを実施したほか、学校運営者や関係事業者、日本在住の外国人の方や、そのご家族、行政などの関係者によるラウンドテーブルを開催し、その整備や子供たちの学習、生活面での諸課題について把握、共有したところでございます。
 来年度は、これらの課題を踏まえ、都内進出を検討する学校に対する伴走支援を実施するほか、既設の学校情報についての効果的な発信、地域との交流イベントの実施など、生活、教育環境整備に向け、関係自治体や事業者等と連携した取組を進めることとしてございます。

○須山委員 今、答弁にありまして、いつもちょっと気になってるんですけど、高度外国人材というのは、ちょっとどうなんだろうなというのは思っちゃいますけど、それはちょっと、また今度議論させていただきたいと思いますけれども、課題の共有を含めて様々行っているということは分かりました。整備をしていくのであれば、子供たちに不利益のないように取組を進めていくことを強く要望させていただきます。
 続きまして、英語スピーキングテストについて。
 英語スピーキングテストの事業者であるブリティッシュ・カウンシルの財政危機が報じられました。
 コロナ禍からの一万九千七百万ポンド、日本円で三百八十億円もの負債があるといわれておりますけれども、そもそも六年間の事業の契約をする、ましてや、高校入試に関わる、つまり中学生たちの人生に関わるテスト、これを執行する事業者として、東京都は財政状況を含め、適切に把握をしておく必要があったと考えます。また、その後、事業者からの報告を受けた際、教育庁は、事業者の財務情報を入手したのか。併せて伺います。

○坂本教育長 都教育委員会は、今回の英語スピーキングテストの事業者を選定するに当たり、その財務状況を確認する手続を行いました。具体的には、事業者の複数年にわたる財務諸表に関し、公認会計士が調べ、財務面では問題がないとされたところでございます。
 今年の二月に、テストを実施する事業者であるブリティッシュ・カウンシルから、英国において同団体の財務状況について報道がされているとの連絡がございました。これに合わせまして、同団体からは、財務面では全く問題がなく、中学校英語スピーキングテスト事業は、引き続き最優先事項である旨の報告もあったところでございます。
 これを受けまして、公認会計士に同団体の最新の財務状況を調べるよう依頼をしたところ、問題はないとされております。

○須山委員 事業選定の際に都が公認会計士に依頼をして、そして財務状況を調べたと。報道後にも同様の確認をしたということでした。今後、こうして財務状況が厳しいからといって運営費も調達できない、そういったお粗末なことにならないように、しっかりとこれはチェックしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、多摩振興について伺います。
 去年もこの場で申し上げましたが、東京都が多摩と島しょを一くくりにしていることに私は強い違和感を抱いております。二十三区か、それ以外か、そんな響きを感じるのは私だけでしょうか。
 海に浮かぶ島と、内陸部にある多摩は、それぞれの地域の特徴や課題も異なり、課題に対応した施策も異なるはずです。それぞれ大変重要であり、一くくりにすることは適切ではないと考えます。
 さて、多摩振興アクションプランの素案、多摩のまちづくり戦略(案)のパブコメが三月三日まで行われました。正直いって、知事所信の緑のTAMA手箱、移住、定住対策の言葉には違和感がありましたが、プランや戦略自体は、多摩の各地域が抱える課題や特徴を分析した内容であり、着実に実現をしていってほしいと考えております。
 多摩地域は東京の約半分の面積、三分の一の人口を占めております。多摩の各自治体は、人口動向、土地利用、産業構造など、地域ごとに大きく異なる課題を抱えています。多摩振興アクションプラン、多摩のまちづくり戦略の両プランを踏まえ、各地域の持続的発展をどのように実現していくのか、多摩に特化した視点から、知事の基本的見解を伺います。

○佐藤総務局長 都は、多摩地域の持つ可能性を最大限生かし、地域全体の持続的発展や地域ごとの課題解決を図るという一貫した考えの下、政策を推進しております。こうした考え方の下、多摩振興アクションプランの素案などを策定いたしました。
 具体的には、多摩地域の防災拠点の機能強化や、空き家を活用した移住、定住の促進などを盛り込んでおりまして、中長期も見据えながら、戦略的に施策を推進していくこととしております。

○須山委員 私の地元の八王子は、市内の中だけでも、ニュータウンがあって、市街地があって、また高尾山というのもあります。本当に多摩というのは場所柄というか、本当に様々な地域特色があると思います。そうした一つ一つの特色を強みとした多摩振興に努めていっていただきたいと思います。
 次に、多摩の観光振興について伺います。
 多摩地域の特性を踏まえた振興策が必要です。宿泊、娯楽施設が限られる多摩地域においては、体験重視のメニューを開拓するなど、地域特性に合わせた取組が必要です。交通の便など課題もありますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都では、多摩地域の観光協会などが、豊かな自然や文化を生かした魅力的なツアーをつくる取組に対し、必要な経費の助成や専門家による助言などにより支援しております。
 また、多摩地域の観光スポットを巡る交通手段の充実に向けた支援も行っております。
 来年度は、こうした取組のほか、多摩地域の観光情報を提供するウェブサイトを新たに設け、その魅力をきめ細かく発信することとしております。

○須山委員 地域特性に応じて様々、そして今できることから取り組んでいただいているなということがよく分かりました。
 インバウンド対応はもちろん、羽田直通ルートであったりとか、そもそも多摩地域に来るまで、やっぱり遠いんですよね。そういったところでしっかりと交通にも、やはり力を入れていただきたいので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、多摩産材利用促進について伺います。
 東京の山や森を守って樹木を育てることと、都民の健康にも資する優良な多摩産材を生かして提供することが求められております。そこで、都内山林への丁寧な育林作業が必要です。
 近県では、明治中期以降に林業地として発展した埼玉県の入間川などの流域に西川材といった優良木材を供給する地域があります。
 多摩産材を切って、使って、植えて、育てることへの支援をすることで、森林資源の循環利用を定着させるための人材確保、育成を進め、優良材を供給し、地域を活性化させ、そして二〇五〇年カーボンニュートラルの実現につなげることが必要だと考えます。
 多摩産材への総合的な支援推進について、知事の見解を伺います。

○田中産業労働局長 二酸化炭素の吸収などにも寄与いたします東京の森林を守るためには、森林整備や多摩産材の利用拡大が重要でございます。
 このため、都は、高性能な林業機械の導入や人材の育成を行っており、来年度は専門家を活用し、森林所有者や境界の明確化に取り組んでまいります。
 また、多くの都民が訪れます公共施設や商業施設等での多摩産材の利用も支援しておりまして、引き続き、新たな需要に応えることとしております。

○須山委員 多摩産材の利用促進のためには、公共建築に多摩産材を利用する必要もあると考えます。
 先日、ある事業者さんと話をしていましたら、都内の公共建築で管理事務所のトイレに使う資材として、LVLが設計の仕様とされて使われていたために、多摩産材では対応ができなかったという話を聞きました。さらに、多摩産材の丸太から切り出した無垢材を使用するならば、費用は三分の一で済んだということでした。
 公共建築の場においても、さらに多摩産材の利用促進を図るよう取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、公共建築物を含む都内の建築物等において、多摩産材の利用を促進するための方針を策定しておりまして、庁内の連絡会等で周知を図っております。
 また、多摩産材を活用し、公共施設を建築する区市町村に対し補助しており、来年度は、対象に設計費を加えるとともに、工事費への補助限度額を三千万円から六千万円に引き上げることとしております。

○須山委員 補助限度額の引上げを含め、利用促進を進めていただいていることは分かりました。公共建築での利用促進にさらに取り組んでいっていただきたいと強く要望させていただきます。
 そして、民間での多摩産材の利用促進、これも必要だと考えますけれども、木材利用ポイント事業では、住宅新築で床材など内装のみに多摩産材を使用した場合、ポイント付与要件を満たせず付与されない、住宅リフォームの際に多摩産材を使ったフェンスやウッドデッキをつけても対象外、また店舗兼住宅の新築は対象外と、使い勝手が悪いという、そういったご指摘もいただいております。改善を求めます。
 また、ある工務店さんから、せっかく都民が住宅建築に多摩産材を使用してくれたのに、建設地が神奈川県であったために、東京都の木材利用ポイントが付与されなかったと聞きました。
 九都県市首脳会議において、木材利用のネットワークを構築するなど取組を進めていくことによって、多摩産材がさらに利用される機会をつくるべきだと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、全国知事会などの場におきまして、全国の自治体と連携し、国産木材の利用拡大に取り組んでおります。
 また、都内の住宅への多摩産材の利用を促すため、自宅の新築やリフォームをした場合に、多摩産材の利用量に応じてポイントを付与する事業を実施しております。
 来年度は、多くの消費者に事業の情報が届くよう、SNSを活用するなど事業の周知を図り、多摩産材の需要を拡大していくこととしております。

○須山委員 豊かな森のある東京の山、これはまさに東京都の財産であると考えます。
 そもそも花粉症対策に関しての課題を抱いて東京都の山を調べ始めましたけれども、こちらに関しては西崎議員が委員会で質疑をしたので、割愛します。
 切って、運び出して、そして製材して、販売して、植えてと、そうした一連の林業の流れを、また自伐型の林業といった小規模のものも含めて、しっかりと支えていただいて、そして、質、量ともに多摩産材の利用促進を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、PFAS問題に関して。
 都は、国や関係自治体と共に横田基地の立入りを行いましたが、私たち都議会立憲民主党もこれを受けて、国会議員の皆さんと連携をした議連で、国からの聞き取りを行いました。
 今後、泡消火剤の漏出がないよう、引き続き監視を行っていただきたいと考えます。漏出などが判明したときには、都や地元自治体に速やかな情報提供など、必要な措置が行われるよう取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都はこれまでも、国に対し、地元自治体と共に、横田基地内でのPFOS等を含む泡消火薬剤の保有量、保管場所等について速やかに情報提供すること、また、PFOS等の漏出があった場合には、その全てについて詳細な情報提供を迅速に行うことを要請してまいりました。
 なお、国からは、横田飛行場においては、令和六年五月末までに旧式の泡消火薬剤の廃棄を完了しており、置き換えられた泡消火薬剤については、原料にPFOS、PFOA及びPFHxSのいずれも含まれていないと聞いております。

○須山委員 国への要請をしていただいているということは分かりました。基地内には、いまだに泡消火剤が入った水が保管されております。これ、すぐに処理してくれればいいのになと思うところではありますけれども、その処理までしっかりと監視をしていただくことを求めます。
 PFOS及びPFOAによる健康不安の声が上がる中、これらの有機フッ素化合物の影響として懸念される、がんやコレステロール値、低体重出生児などが、ほかの地域と比べて差異はないかなどの情報を発信していくことが好ましいと、昨年十一月に公表された手引でも指摘をされております。
 そこで、東京都においても、都内区市町村、各道府県などとの情報を共有し、都内におけるPFOS及びPFOAに対する健康影響の情報を積極的に提供していくべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 環境省が設置したPFASに対する総合戦略検討専門家会議では、PFOS、PFOAは、どの程度の量が身体に入ると影響が出るのかについて、いまだ確定的な知見はないとしております。
 PFOS、PFOAに関する地域住民の健康状態の把握に関しましては、評価の手法など、その詳細について国から示されておらず、都はこれまでも、国に対し、PFOS等に関する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価を明確にし、国民に分かりやすく示すこと、健康影響等が懸念される場合は、対策等も併せて検討し、自治体への情報提供と必要な支援を行うことを要望しているところでございます。

○須山委員 環境・建設委員会でもいわせていただきましたけれども、一義的にはやっぱり、これは国がやるべきことは非常に大きいと思います。
 しかし、東京都は、国が動かないなら率先をして東京都が動くことが多々あります。都として何度も国への要請をしていただいていることは評価しておりますけれども、一方で、国が動かないのであれば、東京都が率先して対応をしていっていただきたいと強く要望させていただきます。
 最後に、都内の公共交通、バスの路線維持について伺います。
 都内においても、利用客の減少だけでなく、運転士不足によるバス路線の減便や廃止といった地域の生活に影響を与える状況が出てきています。一方で、東京都には運輸事業振興助成交付金があり、その交付対象には、サービスの改善及び向上に関する事業があります。
 バス事業者と現況に関する話合いを進めることも含めて、バス路線など地域公共サービスの維持に向け、都が取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 バス事業においては、二〇二四年問題等に起因する労働時間の制約などにより運転士不足が生じ、路線バスやコミュニティバスの減便や廃止が顕在化しております。
 都は、乗合バス事業者が参画する連絡会議におきまして、パートタイムの運転士の活用拡大など、運転士の確保に向けた意見交換を実施しております。
 来年度は、AI翻訳等のDX技術の試験導入など、運転士の負担軽減への支援に取り組んでまいります。
 引き続き、バス事業者等と緊密に連携いたしまして、広域的な立場から持続可能な公共交通の実現を目指してまいります。

○須山委員 昨年度の最終補正予算から、業界別人材確保強化緊急支援事業が行われております。
 今後、業界団体が構成員の企業におけるバス運転士の確保など、後押しをする支援を引き続き行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、バスなどの運輸業の業界団体が自主的に行います社員の運転免許取得支援などの人材確保の取組に対し、対象経費の二分の一を助成しております。
 今年度は運輸業の業界団体などにつきまして、上限額を五千万円に引き上げており、引き続きバス運転士の人材確保を後押しすることとしております。

○須山委員 私の地元の八王子市においても、この課題、本当に大きくあります。そうした中で、人材不足のために、バスの自動運転などの取組も一部で進んでおります。
 しかし、それによって、今まさに働いている皆さんが今度は不安を感じているという声も伺います。まずは、しっかりと人材確保と育成の後押しに取り組んでいただいて、そして、市民、都民の移動の要であります公共交通、これをしっかりと支えていただきたい。
 このことを強く訴えさせていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。(拍手)

○松田副委員長 須山たかし委員の発言は終わりました。