○尾崎副委員長 小林健二委員の発言を許します。
〔尾崎副委員長退席、中山副委員長着席〕
○小林委員 それでは、初めに、高校授業料無償化について質問します。
今般、国が高校生の授業料の実質無償化に向けて踏み出しましたが、都は、八年前の平成二十九年度から、国に先駆けて私立高校生の授業料の実質無償化に取り組んできました。年収約七百六十万円未満世帯までの支援に始まり、平成三十年度の通信制高校への拡大、令和二年度の九百十万円未満世帯までへの対象拡大と続き、今年度からは所得制限が撤廃をされました。
こうした取組は都議会公明党が一貫して推進してきましたが、来年度以降、都の先駆的な取組がついに全国に波及していくことになります。
そこで、これまで無償化に力を注いできた知事の思いを伺います。
○小池知事 教育は、子供の健全な育ちを支える基盤であります。そして、保護者の所得にかかわらず、子供たちが将来にわたり安心して学べる環境を実現することが重要でございます。
私は、こうした考えの下で、都独自に私立高校の授業料負担の軽減に取り組み、チルドレンファーストの大きな流れをつくってまいりました。
子供は、未来の東京を担う大切な宝でございます。全ての子供が希望を持って健やかに成長できますよう、今後も子供たちの育ちを全力で支えてまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
令和七年度から国の就学支援金の所得制限が撤廃される見込みであり、これにより、高校生の子供を持つ全ての保護者が就学支援金も申請が必要となりますが、いつどのように申請をすればよいのかが分からない保護者も多数いると思われます。保護者が混乱しないよう進めていくべきですが、見解を伺います。
○古屋生活文化スポーツ局長 来年度は、これまで対象でなかった方も含め、私立高校に通う全ての生徒が就学支援金の対象となるため、こうした方々にも制度を理解し、確実に申請していただくことが必要でございます。
具体的な申請スケジュール等については、現在国において検討中でありまして、都は、国からの情報収集に努めるとともに、学校とも緊密に連携しまして、生徒、保護者への周知を適時適切に行ってまいります。
○小林委員 ぜひとも丁寧に進めていただくとともに、かねてより都議会公明党が求めている早期の支給実現に向けた検討も併せてお願いしたいと思います。
次に、都立高校の取組について質問します。
私立高校授業料の実質無償化の流れの中で、都立高校がより選ばれる高校になっていくには、その魅力向上が必要であり、その一つが、グローバル人材の育成であると考えます。
都は、ネーティブ講師とのマンツーマンレッスンによるオンライン英会話事業など令和五年度から取組を拡大しています。英語をより一層学ぶ機会をつくり、在学中に使える英語力をバランスよく育成することが重要です。
そこで、令和七年度における取組について見解を伺います。
○坂本教育長 都立高校の魅力を高める上で、その生徒に対し、将来の進学先での学習や入社後の職場において英語を適切に使うことのできる教育を行うことは効果的でございます。
このため、都教育委員会は来年度、十五の都立高校を選び、大学での英文レポート作成や会社での英語を使う実務に対応できる力を伸ばす教育をモデル的に実施をいたします。
具体的には、生徒の書いた数多くの英文について、AI技術を活用し、速やかに添削を行い、その内容を踏まえ、教員がきめ細かい指導を実施いたします。これに加えまして、都内の海外企業等に職場体験をする機会を設け、英語を使い仕事をする現場の雰囲気に慣れ、将来の職業を考えるきっかけを提供し、学習意欲を高めるサポートを実施いたします。
○小林委員 次に、農業に関する学科を設置している都立高校についてですが、農業の都立高校は、区部三校、多摩・島しょ地域に五校設置されています。
農業の高校では、教室での座学だけでなく、農場や実習施設での体験学習が充実しており、実践的なスキルを身につけることができることに特徴があります。
昨年の文教委員会で、私は、最新技術を活用した農業教育、スマート農業教育について質疑をし、次代の農業を担う若き人材育成の重要性について言及をさせていただきました。東京においては、農業はもとより、食品関連産業を支える人材も求められており、その育成を担う農業の都立高校の役割はますます重要になってきます。
こうした状況を踏まえ、農業の都立高校の魅力向上を図るため、より実践的な人材育成に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本教育長 都立高校で農業を学ぶに当たり、基本的な生産の技術や新たなデジタルのスキルのほか、農作物の納品先となる企業に係る知識を身につけることは重要でございます。
このため、都教育委員会は来年度、農業に関する技術や技能の資格検定を受ける場合に必要となる費用の二分の一を助成する取組を開始いたします。
また、ビニールハウス等の中でデジタル技術を活用し、栽培に最も適した環境をつくるスマート農業を学ぶ学校を三校から五校へ拡充をいたします。
さらに、農作物を仕入れ商品をつくる食品関連の会社で職場体験をする機会を提供し、農業をビジネスとして行う知識やノウハウの習得に向けたきっかけづくりに役立てます。
○小林委員 ありがとうございます。私自身も都立高校を卒業した一人であります。都教育委員会では、都立高校を紹介するホームページ、#だから都立高を展開しておりますが、今後も魅力向上を図り、発信する取組を充実させていただきたいと思います。
次に、子供、若者の自殺対策について伺います。
自殺者の総数は、ピーク時の三万人台から二万人台後半に減っているものの、この三十年、毎年新たに二万人以上もの貴い命が自殺によって失われているのが日本社会の現状です。
昨今、とりわけ深刻なのが、子供の自殺です。小中高生の自殺者数は、二〇二〇年に四百人を超えて以降、高止まりの状況が続いており、二〇二四年は暫定値で過去最多の五百二十七人の子供が自殺で亡くなりました。G7の中で、十代から二十代の死亡原因の第一位が自殺であるのは日本だけであり、子供や若者の自殺は極めて深刻な社会問題です。
そこで、都としても、総合的な自殺対策を進めるべきと考えます。見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、若年層の自殺防止を自殺総合対策計画の重点項目に位置づけ、今年度、こころといのちのサポートネットに子供サポートチームを設置し、学校などが把握した自殺リスクの高い子供を地域での継続的な支援につなげるなど、教育機関等との連携の強化を図っております。
また、自殺対策強化月間には、若年層が利用しやすいSNS相談の体制を拡充しており、来年度の強化月間は、SNSの公式アカウントによる広報を強化するなど、子供や若者がより一層不安や悩みを打ち明けられるよう、相談窓口などの情報提供を充実いたします。
今後、福祉、教育などの関係機関と連携し、社会全体で子供や若者の自殺を防ぐ取組を一層推進してまいります。
○小林委員 都議会公明党はこれまで、潜在的なリスクを抱える児童生徒を教員が見過ごすことのないよう、児童生徒の心のケアの必要性を訴えてきました。これを受けて、都教育委員会では、二〇二〇年度から、全ての都立高校で生徒の心身の変化を把握するためのシステムを導入しております。
そこで、学校での一人一台端末を活用し、このシステムを小中学生も利用できるようにするなど、総合的な児童生徒の心のケアを進めるべきと考えます。見解を伺います。
○坂本教育長 都内の子供たちが、小中学校の段階から心の健康を意識し、その状況を教員も共有することのできる仕組みをつくり上げることは重要でございます。
都教育委員会は、全ての都立高校生等を対象に、心の健康の状態を早期に確認できるオンラインシステム、コンディションレポートを導入しております。これによりまして、生徒が教員と共に健康状態を管理し、心理士等と相談のできる窓口の紹介も行っているところでございます。
来年度は、紹介する窓口の数を十八か所増やすとともに、この仕組みについて、区市町村との連絡会において、小中学校への導入に向け、メリットや活用事例の紹介等を行います。
○小林委員 次に、不登校対策について伺います。
都教育委員会は、不登校などの子供たちの居場所、学びの場として、仮想空間上にバーチャルラーニングプラットフォーム、VLPの運用を開始し、現在、二十八区市町で実施されています。
VLPで朝の会に参加し、一日のリズムをつくったり、VLPで校外学習の事前授業を受け、当日は適応指導教室に通う子供たちと一緒に参加できたりした事例が報告されていますが、私の地元練馬区の保護者からも、VLPを利用できないかという声が寄せられております。
そこで、VLPについて、より多くの子供たちが利用し、充実した支援を受けられるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本教育長 不登校の児童や生徒の居場所を用意するために、仮想空間を活用する工夫を進めることは効果的でございます。
このため、都教育委員会では、都内の二十八の自治体と協力し、不登校の児童等がデジタルの空間に入り、子供同士で交流できるバーチャルラーニングプラットフォームを提供しております。この取組によりまして、仮想空間の中で子供たちは読書の感想を述べ合うほか、手芸を一緒に学びながら友人関係をつくる、こうした事例が出ているところでございます。
こうした事例に関し、各自治体の担当者を集め、定期的に共有し、より効果の高い対応に役立てる支援をしております。
来年度は、これに参加する自治体に関し、練馬区を含め三十二に増やし、不登校の児童等のサポートの充実を図ってまいります。
○小林委員 次に、若者施策の推進について伺います。
三月十二日のまつば理事の総括質疑では、二〇五〇東京戦略案において、政策の柱の一つに若者が位置づけられており、その主な施策について大別すると、若者のチャレンジを応援については八局、困難を抱える若者サポートは五局、全体では、一部重複を除いた計十局で所管している状況を示し、それぞれの若者施策をしっかりと進めていくべきと求めました。
都議会公明党は、とりわけ、子供から大人へと生活が定着するまでの移行期に当たるユース世代、特に十八歳から二十五歳ぐらいまでの世代を対象とした支援を重視しており、この世代に対して行う新たな取組である奨学金返還支援制度と海外留学支援制度については、力を入れて取り組むべきと考えています。
両制度については、複数の局などがその事業の実施を担うことになりますが、制度を充実させたものにするためには、各局の取組が統一感と一体感を持って、迅速かつ円滑に行われるよう、連携を図っていく必要があると考えます。
そこで、奨学金返還支援制度及び海外留学支援制度について、関係各局の連携を推進する体制をつくるべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤総務局長 都の重要な政策につきましては、政策企画局が戦略などを通じて方向性を示すとともに、総合調整を行いまして、各所管局が施策を総合的、一体的に推進をしております。
その上で、奨学金返還支援や海外留学支援といった、思春期の子供から学生を含む成人への移行期を対象とする、これまでの枠組みに収まらない新たな重要施策につきましては、政策企画局の本庁組織である子供政策連携室に新たな課を設置いたしまして、事業を所管する各局の連携を推進してまいります。
○小林委員 子供政策連携室に新たに課を設置するというご答弁でございました。着実な前進をお願いしたいと思います。
次に、防災対策について五点質問します。
初めに、無電柱化についてです。
過去の大震災では、多くの電柱が倒壊し、避難や救援活動に非常に大きな影響が生じました。無電柱化の取組は、電柱の倒壊などを防ぎ、迅速な避難や円滑な救急活動に直結する効果的な事業であり、首都直下地震の切迫性が高まる中、急ぎ対策を強化すべきであります。
都議会公明党は、昨年の第三回定例会においても、DXの活用による無電柱化事業の加速化について質問しましたが、無電柱化は、DXを活用しながら、さらに加速化を図って進めるべきと考えます。
そこで、都道の無電柱化の加速化について見解を伺います。
○花井建設局長 無電柱化は、都市防災機能の強化や安全で快適な歩行空間の確保などの観点から重要な事業でございます。
事業の実施に当たりましては、設計段階から地下埋設物の状況を正確に把握することで、施工時の手戻りをなくし、効率化を図る必要がございます。
このため、今年度から、地下埋設物の位置や設計の3Dデータ化を進めております。
来年度は、その規模を五路線から十三路線へと拡大するとともに、関係事業者間の情報共有などを円滑に行うため、システム構築の検討を深めてまいります。
こうしたDXの取組によりまして、無電柱化を加速してまいります。
○小林委員 さらに、東京の防災機能の強化に向けては、有事の際には避難所までの重要な道路となる区市町村道の無電柱化を進めることが重要であります。
都道の無電柱化が進捗しても、消防署など防災拠点につながるその先の区市町村道が無電柱化されていなければ、災害時における迅速な救急活動の支障となります。
都は、無電柱化チャレンジ支援事業制度などにより、区市町村への様々な支援を実施していますが、震災時に重要な役割を果たす防災拠点周辺において、都道と区市町村道の連続した無電柱化を一層促進することが重要であると考えます。
そこで、防災上重要な区市町村道の無電柱化促進に向け、さらに区市町村を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
○花井建設局長 東京全体の防災機能を強化するためには、都道のみならず、都道と区市町村道との連続した無電柱化を図ることが重要でございます。
このため、都は、今年度設置した区市町村との協議体におきまして、都道から災害拠点病院など防災上重要な拠点につながる区市町村道を優先的に整備する路線として提案し、無電柱化推進計画に位置づけるよう働きかけを行ってまいりました。
こうした路線の整備促進のため、来年度から、設計費等の補助率を二分の一から四分の三に引き上げるなど支援を拡充いたします。
今後とも、安全で強靱な都市東京の実現に向け、都内全域で無電柱化を積極的に推進してまいります。
○小林委員 区市町村道の無電柱化を促進するためには、都の支援が不可欠であり、財政支援を強化することは非常に重要でございます。今後とも、区市町村を積極的に後押しをしていただきたいと思います。
二点目に、配水管の耐震化についてです。
水道における震災対策は、水道施設の耐震化とバックアップ機能の強化の両面から取り組んでいくことが重要であります。
昨年の能登半島地震では、耐震化が図られていない管路が破損し、その復旧に多くの時間と労力を要しました。首都直下地震の対策に当たっては、水道システムの中でも都民に近く、被害が断水に直結する管路の耐震継ぎ手化をこれまで以上に強力に推進していく必要があると考えます。
一方で、都における管路の耐震継ぎ手化のさらなる推進に当たっては、首都機能が集結する都心部特有の困難な課題を抱える現場への対応が求められます。
こうした課題に適切に対応することが、工事のスピードアップ、ひいては災害時における都民の水の確保につながると考えます。
そこで、管路の耐震継ぎ手化に向けた見解を伺います。
○西山水道局長 震災時の断水被害を軽減する水道管路の耐震継ぎ手化をさらに加速させるためには、工事時間の制約や地下埋設物のふくそうなど、高度に都市化が進展した東京の地域特性を踏まえた課題に適切に対応することが重要でございます。
このため、水道局では、令和七年度から掘削を伴わない工法の対象を拡大するとともに、想定外の埋設物による手戻りを防止するための設計段階での試験掘りの徹底やデジタル技術の活用等により、さらなる迅速化を図ってまいります。
また、事業者と協働した現場見学会の開催など、事業への都民の理解を一層深める取組を積極的に進めてまいります。
これらによりまして、管路の耐震継ぎ手化を強力に推進し、震災時における給水安定性をさらに向上させてまいります。
○小林委員 三点目に、災害時における救援物資輸送についてです。
都議会公明党は、墨田区白鬚や立川の備蓄拠点などを視察し、当時、パレット積みすらされていない現状や、大きく重た過ぎて大人四人でも運び出しにくい梱包の仕方、横開き荷台のトラックを横づけ駐車できない課題などを指摘してきましたが、東京が直接の被害地となる大規模災害では、救援物資などの搬送に必要なドライバーの確保、荷台への荷積みに必要な人員の確保が大きな課題となります。
その意味では、今後はDXの力を活用するなどして、こうした物資搬送に可能な限り人員を要しない省力化を図るべきであります。
具体的には、救援物資倉庫では、駆けつけてくださる民間トラックへの物資の運び込みを効率的に行えるよう、進入路、荷積み場所、退出路を一筆化し、敷地内でのUターンや方向転換に気苦労を重ねないで済むよう配慮すべきです。
また、荷積みに際しては、多くの国際的な宅配事業者の大規模倉庫では既に標準化され、国内スーパーマーケットでも、買物客の車両駐車場での実装化の実例もあり、人の手を借りずに物資を荷積み場所まで移動させられるオートメーション化を推進するべきです。とりわけ、立川市の広域物資拠点は、近く老朽化に伴う建て替えが予定される状況にあります。
そこで、都の救援物資倉庫や立川市の広域防災拠点において、新時代にふさわしく、最新技術力を活用するなど、支援物資の搬入、搬出が円滑にできるよう取り組むべきと考えます。見解を伺います。
○佐藤総務局長 発災時に、都の備蓄物資を避難者へ迅速に届けられるよう、現在、都内十六か所の都備蓄倉庫に保管する物資の適正配置の検討を行っており、今後、その結果を踏まえ、各倉庫における搬出の効率性向上に取り組んでまいります。
また、多摩広域防災倉庫におきましては、令和七年度に建て替えのための基本計画を策定する予定でございまして、その中で民間事業者や物流専門家の意見なども伺い、車両動線や必要となる設備について検討してまいります。
こうした取組を進める中で、お話のDXの活用も含めた検討も行い、より一層の円滑な物資の供給に努めてまいります。
○小林委員 DXを活用した実効性の高い物資輸送も検討するとのことであり、可能な限り人手を要しない搬入、搬出体制を整えた広域救援物資拠点とされることを要望するとともに、そのほかの拠点も老朽化対応を前倒しして行い、同様の改善を意欲的に行うことを求めておきたいと思います。
昨年の予算特別委員会では、物資を備蓄倉庫から避難所などに輸送する体制、トラック車両とドライバーの確保に加え、トラックのドライバーに対する運転指示、いわゆるオペレーションの問題を取り上げ、万全の準備を求めました。
首都直下地震が発災した場合は、東京が被害に直面し、都内事業者も被災をします。車両やドライバーの派遣元は、結局のところ個々の事業者であり、事業者は自らの被害状況を把握して、取引先との契約の復旧を図りながら、派遣要請に応えることになります。事業者に派遣要請の内容を伝える業界団体においても、都や都内の各自治体から、それぞればらばらに派遣要請が届いたのでは対処が混乱をしてしまいます。
現在、都は、東京都トラック協会をはじめ、団体や大手企業体を相手方に、おおむね四種類の災害時の物資輸送の協定を結んでいますが、協定に基づく取組が、東京が被害を受けた場合であっても本当に機能するのか、日頃からの情報共有の在り方、システム間の連携を含め、災害時を想定したシミュレーションを積み重ね、万全を期す必要があります。首都直下地震となれば、物資輸送に必要な車両やドライバーの数は膨大なものになります。
発災時に物資を円滑に届けるべく、シミュレーションを通し、あらかじめ課題を洗い出し、平時から着実に解決を図っておくべきです。見解を伺います。
○佐藤総務局長 都はこれまで、東京都トラック協会などの協定団体と物資輸送に係る図上訓練や都の指示に基づくトラック搬送を行う実動訓練を継続的に実施をし、官民の連携手順を確認しながら改善を図ってまいりました。
令和七年度は、さらに、都から物資輸送の要請を受けた協定団体が、会員の運送事業者に車両手配を行う手順の確認を行うなど、より実践的なシミュレーション訓練を実施し、災害対応の実効性を一層向上させてまいります。
○小林委員 シミュレーションを通し、改善点を洗い出して、早期の解決を図るとともに、可能な限りDX化を進め、人員の省力化、担当者の世代交代などにも対応できる体制を目指していただきたいと思います。
四点目は、都立公園の駐車場の活用です。
都立公園の駐車場は、公園利用者のためのものであり、利活用といっても、公園利用者の円滑な利用に支障を来さないことが重要ですが、その上で、災害発生時や夜間帯の活用方法については、都民全体の付加価値の向上に資するように、柔軟に対応すべきと考えます。
災害時では、立地位置によっては、全国や都内各所から届く救援物資などの荷さばき場としての活用が期待されます。また、太陽光発電装置や蓄電池を装備して、停電が続く場合であっても、公園内の照明や通信を保障できる整備が必要です。さらに、上下水道施設を余裕を持って配置し、都議会公明党がかねてから主張しているフェーズフリートイレも備えておく必要があります。
何より、災害時に、都立公園駐車場にトラックの出入りが可能となるようにするべきです。
今後の改善の見通しについて見解を伺います。
○花井建設局長 都の防災公園では、管理所の非常用電源設備や停電時でも点灯する照明、災害用トイレなどの設置を進めております。また、地元自治体から、災害廃棄物の仮置場確保などの協力要請がある場合、救出救助活動拠点の機能との調整を図り、適切に対応しております。
今後、防災機能のさらなる強化を図るため、管理所の改築等に合わせ、太陽光発電設備等の設置を進めますとともに、避難場所の運用主体でございます地元自治体とも調整しながら、災害用トイレの設置を拡充いたします。
また、地元自治体から、災害時の救援物資の荷さばき場として駐車場の利用要請がある場合、大型バス駐車場へのトラックの出入りを可能とするなど、適切に対応してまいります。
○小林委員 災害廃棄物の仮置場として都立公園の駐車場を想定している自治体もあるようですが、首都高速道路の出入口や主要幹線道路と近く、救援物資輸送の中継点としての活用を期待する向きもあります。
今後、立地自治体との連携をさらに重ねて、都立公園駐車場の効果的な災害時対応を柔軟に検討していくことを要望いたします。
加えて、平時であっても、夜間は空いている都立公園の駐車場を社会的な目的に沿って使わせてもらいたいとの声もあります。例えば、足立区の都立舎人公園付近は、周辺道路にトラックターミナルや北足立市場などもあり、トラックの待機車両が夜から朝まで長時間駐車していることが多い状況にあることから、公園駐車場の夜間のトラック向けの開放を望む声が上がっています。そのためには、駐車場の改良に加えて、駐車場法に基づく地元区や警察署との協議のほか、ドライバーに都立公園の駐車場を選択してもらえるような安い料金設定が必要でございます。
都議会公明党は、この点を昨年の予算特別委員会でも提案をしましたが、その後の進捗を含め、令和七年度の取組について見解を伺います。
○花井建設局長 舎人公園の第一駐車場につきましては、夜間利用が少なく、大型車両の駐車が可能な場所でありますことから、地域への貢献といたしまして、公園周辺の路上に滞留している大型トラックの一時的な待機場所として活用に向けた検討を進めております。
また、舎人公園では、近年、来園者の多い時期に、駐車場への入庫待ちにより周辺道路で渋滞が発生しておりますことから、その実態を把握するため、現在、駐車場周辺の交通量調査を行っております。
来年度は、この調査結果を踏まえまして、交通管理者との協議等を進めますとともに、駐車場の改良に向けた設計を実施し、駐車場の利用方法や負担の在り方などにつきましても、引き続き検討を進めてまいります。
○小林委員 災害時の活用であれ、平時夜間での活用であれ、都立公園の駐車について、フェーズフリーの観点やあまり利用されていない時間帯での有効活用などの観点から、一日も早い対応の具体化を要望させていただきます。
五点目に、避難所についてです。
都議会公明党は、さきの代表質問で、避難所の環境改善について、TKB、トイレ、キッチン、ベッド、バスに加えて、子供の居場所の確保など、女性や子供をはじめとする多様な視点で環境改善を進めていくことが重要と指摘し、知事が先頭に立って防災力を向上させるべきと求めました。これに対し、知事は、避難所改革に着手し、女性や子供など要配慮者への対応など防災対策を強化するとの答弁がありました。
今般、都は、避難所運営指針の素案を公表しましたが、女性、要配慮者の方も安心して避難できる避難所の環境改善に向けて取り組むべきと考えます。見解を伺います。
○佐藤総務局長 素案では、女性や要配慮者の運営メンバーへの参加による意見の運営への反映、特に女性につきましては、運営メンバーの四割とし、正副リーダーのいずれかに配置することとしております。
また、避難所の女性用トイレの数を男性用の三倍とすること、さらに、専門的な介護、医療までは要しない要配慮者の一時避難所としてホテル、旅館などの活用など、区市町村が直ちに取り組むべき具体的方策をガイドラインとしてまとめております。
来年度は、指針の内容を丁寧に説明するとともに、専門家によるセミナーの開催など、区市町村を支援し、避難所における女性や要配慮者への対応の改善を図ってまいります。
○小林委員 また、子供の視点に立った避難所運営も重要です。子供は、避難所の集団生活で大声を出してにぎやかに遊ぶ環境がなく、窮屈であっても、声を上げられずに我慢を強いられています。そのことで、精神状態が悪化し、PTSDなど将来へ禍根を残すおそれも指摘されております。
このため、TKBに加えて、子供空間であるC、チャイルドの視点の整備が必要であります。避難所で子供専用の空間がない場合は、子供スペースを確保するための専用トレーラーの配備なども必要と考えます。
イタリアでは、四十八時間以内に、専用トレーラーであるコンテナの子供カーを避難所に設置する体制が取られております。自治体において、この子供カーをふだんは子供の遊び空間として利用し、いざというときには避難所に設置し、保育士や子供のケアをサポートする人材などを配備することが必要と考えます。
二〇五〇東京戦略案においても、セーフシティを進めるために避難所改革が盛り込まれており、子供の視点に立った避難所改革を最優先にすべきです。
そこで、限られた避難所空間の中で子供の居場所をしっかりと確保していく取組や、保育士や子供のケアをサポートする人材などの配備に向けた取組が必要と考えます。見解を伺います。
○佐藤総務局長 避難所におきまして、子供のためのスペース確保や見守る体制づくりは重要でございます。
そのため、都は、素案において、キッズスペースや学習スペースの確保、子供の意見を聞くことによる避難所生活上のニーズの把握、保育士や保健師の人的支援など、具体的取組を示しております。
来年度は、在宅避難を含めた避難者支援の在り方を検討していくこととしており、その中で、子供への配慮につきましても、さらに検討を深めてまいります。
○小林委員 着実な検討をお願いしたいと思います。
次に、木造中高層建築物の促進について質問します。
令和四年に建築基準法が改正され、防火規定の合理化などにより、建築物における木材の利用がしやすくなっていることから、昨今、都内を含め、各地で木材を活用した中高層建築物が見られるようになってきています。この改正は、脱炭素社会の実現に向けて、炭素を貯蔵する機能を持つ木材の建築物での利用を促進させるためのものであり、都においても、この機を捉え、進展を図るべきであると考えます。
都議会公明党は、昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑において、都内で中高層木造建築物の実例を増やしていくために、木造建築物の量産に取り組んでいる北欧諸国に職員を派遣し、知見を積むべきと提案したところであります。
先行諸国での成果を都内で生かすとともに、耐熱、耐火性の検証に真摯に取り組みながら、都市計画的な見地から、責任を持って、中高層建築物におけるCO2排出量が少ない木材利用の普及を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎東京都技監 建築物における脱炭素化を促進するためには、炭素を貯蔵している木材を活用することが有効でございます。
木材の活用に当たりましては、火災への安全性確保が重要であり、耐火性能についての認定取得や消火設備の設置に対し、都独自の支援制度を創設しております。
また、昨年十二月には、先進的に取り組んでいるスウェーデンへ職員を派遣し、木材利用を促す方策や情報発信の重要性について知見を深めてまいりました。
今後、新たに開設するポータルサイトを通じて、魅力的な情報発信を行うとともに、支援制度の活用を促し、中高層建築物の木材利用促進に向け取り組んでまいります。
○小林委員 木造ビルの促進に向け、都が、火災への安全性の確保に向け、国の認定の取得や消火設備設置の支援制度を創設していることがあまり知られておらず、周知に取り組み、活用を図るべきと考えます。
我が国の森林は、コスト面から有効活用の道が開かれず、林業が次第に衰退し、担い手不足から、技術継承のタイムリミットが目前の危機として差し迫っている中、数少ない豊富な国内資源の一つである国産木材の有効活用は、待ったなしの課題といえます。とりわけ、多摩産材の利用は、森林資源の循環を促し、都内でのカーボンニュートラルに寄与する重要な取組です。近年では、強度や耐火性のあるCLTなどの技術開発が進んでおり、多摩産材の利用を図るチャンスが到来しています。
一方で、都内では、生産地と消費地が距離的に近いというメリットに恵まれながらも、生産と輸送のプラットフォーム化が進んでいません。木材をタイミングよく調達したいという建築現場で働く関係者などからの声もあり、切実な課題となっています。
そこで、東京から林業経営の立て直しを図るべく、多摩産材の利用が一層進むよう、都は、需要の創出を図るとともに、木材の利用者が円滑に調達できる仕組みを構築すべきと考えます。
来年度の取組について、知事の見解を伺います。
○小池知事 東京の森林は、木材を供給するほか、二酸化炭素の吸収を通じまして環境負荷を減らすなど、都民に多くの恵みをもたらしています。この貴重な森林を守り育てるには、多摩産材を積極的に活用する、そして、森林循環を促進していくことが重要でございます。
都は、大消費地である強みを生かしまして、日本各地の木材製品を集めた展示商談会を開き、また、多摩産材をはじめとする国産木材の利用拡大に取り組んでおります。多くの都民が訪れる公共施設や商業施設などでの利用を後押ししておりまして、今後も、新たな需要に応えてまいります。
さらに、多摩産材の流通を一層促すため、来年度は、伐採や利用者のニーズに関する情報を、デジタル技術を活用しまして、リアルタイムで把握できるシステムの構築にも着手をしてまいります。
こうした取組によりまして、木の都市東京を実現してまいります。
○小林委員 多摩産材の活用による木造ビルの建築が進み、低炭素の取組や都内林業の活性化を推進していただきたいと思います。
建築物でのCO2排出削減では、低炭素な建材の活用が有効であり、特に木材は断熱性が高く、伐採や植林のサイクルを通じて循環的に利用が可能な優れた建材です。木造を推進する企業の一例によれば、五階建て程度の木造建築のマンションは、同規模の鉄筋コンクリートのマンションより三割程度も建築におけるCO2の排出量が少なくなると試算されております。
ただし、木材は、製造工程における乾燥や輸送距離によるCO2排出量が異なります。今はまだ標準的な排出量としての算定にとどまっているものの、今後、製品化の過程に応じた詳細な排出量の相違についても整備が進むと聞いております。そのため、建築主が、より低炭素な建材を選択できるよう適切に促すことが必要です。
都議会公明党は、昨年の予算特別委員会で、木造建築の重要性を提唱し、都が国に先駆けて普及を進めるべきと提案し、推進を図ってまいりました。
CO2排出量の少ない木材など、低炭素建材の普及に向け、都は、建築主の意欲を高めるため、低炭素化の取組を積極的に評価すべきと考えますが、今後の取組について見解を求めます。
○須藤環境局長 都は、低炭素建材の利用の促進や建設時におけるCO2排出量の把握等の取組の評価などを追加し、建築物の脱炭素化を促す改正建築物環境計画書制度を本年四月から全国に先駆けて開始いたします。
具体的には、適切に保護、管理され、持続的に利用が可能な国産木材や低炭素コンクリートなど、環境に配慮された建材の積極的な活用を建築主に促してまいります。あわせて、こうした建材の製造時や建設時のCO2排出量を算定し、その削減に努める取組を誘導してまいります。
これらの取組を公表し、建築主の意欲を高めるとともに、現在国が行っている建設から解体までのCO2排出量の把握などに向けた制度化の検討にも貢献してまいります。
○小林委員 木材などを利用した建築の排出量評価は、これから本格化していきますが、四月から評価を始める都において、木材の持つ環境面の性能について、建築主に対し、丁寧に伝えていただくことを要望します。
次に、建築の環境性能の向上に向けたBIMの活用についてですが、BIMとは、ビルディングインフォメーションモデリングの略で、建築物、個々の建材の低炭素情報などを3Dモデル化した設計ツールです。BIMと様々な解析ツールと組み合わせて使うことにより、建物の環境性能の見える化が可能となり、環境に配慮した設計についての建築主からの理解を得やすいというメリットがあります。
しかし、BIMは、若手の設計者にとっては取りかかりやすくても、ベテランの設計者にはなじみにくいのかもしれません。
そこで、都は、環境に配慮した建築設計の手法がさらに広く浸透していくよう、幅広い年代層の設計者によるBIM活用を強く後押しをして、省エネ建築の進展につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
○須藤環境局長 都は、環境性能の優れた建物を広げていくため、低炭素な資材の情報を設計の段階から取り入れることが可能なBIMの活用を推進してまいりました。
具体的には、その有効性や方法などの理解を促す専門セミナー等を計五回開催し、延べで千人を超えるご参加をいただきました。また、設計者向けに、BIMと解析ツールを合わせた操作講習会を開催し、定員を超える応募もございました。
来年度は、操作講習会の継続に加え、新たにBIMを用いて、環境配慮設計を行う際のシステム利用料や専門家によるサポート費などへの支援を開始いたします。
こうした環境配慮設計手法の普及により、建物の脱炭素化を一層推進してまいります。
○小林委員 BIMは、主に新築の建築物における環境性能の向上に役立つ取組であります。
一方で、都内の建築物の大半は、既存の建築物であり、そうした既存建築物で、環境性能の高い建物が選択されていることにつながる評価の仕組みが大切です。
大規模な新築の建物では、建築物環境計画書制度により供給者が評価される仕組みが既にあり、新築の住宅向けには、マンション環境性能ラベルによる環境性能の見える化も行われています。
しかし、既存の建築物では、使用されている建材がどういったものであるかとか、設計上の工夫がどのように行われているかなどの環境性能を、建築後数年を経てから後追い的に評価することは、かなり難しい作業であると聞きます。
その点、光熱費は、都民にとって大変に分かりやすい指標です。光熱費の削減という視点から、環境性能の高い住宅を都民が選択できるようにしていけば、住宅の大多数を占める既存住宅での脱炭素化の取組がより進みやすくなるものと考えます。特に、賃貸住宅には、都内の世帯の約半数が居住しており、賃貸住宅を選ぶ際に、光熱費などの過去の実績情報を得られやすくしていくことが効果的です。
そこで、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、都は、既存の賃貸住宅について、過去の光熱費の目安などの環境性能の表示がなされた物件を増やす取組に力を入れていくべきと考えます。見解を伺います。
○須藤環境局長 環境性能表示の普及拡大に向け、都は今年度から、断熱改修等に取り組む賃貸住宅のオーナーを対象に、改修後の光熱費の目安などが分かる省エネ性能診断、表示に係る経費を全額支援しております。
来年度は、この取組を大幅に拡充し、支援規模を現在の二十五棟から五千棟とするほか、助成制度の活用を働きかけるキャンペーンを展開いたします。
また、省エネ性能表示を活用した物件選びが広がるよう、入居者の年齢層などの属性に応じた広報を展開し、高断熱住宅の経済性や健康面の効果とともに、性能表示の内容などを広く周知してまいります。
賃貸住宅のオーナー、入居者双方への取組を通じ、環境性能の高い物件の資産価値が高まる社会環境を構築してまいります。
○小林委員 今、答弁にもありましたが、住宅の環境性能は、入居者の健康に大きな影響を及ぼします。都民が健康で快適な生活を送るために、生活の基盤である住宅の性能が適切に確保されていることは極めて重要です。都には、東京の脱炭素化はもちろん、都民の健康確保などの観点からも、こうした取組をしっかりと進めてもらうことを要望します。
次に、都営住宅について質問します。
昨今、特殊詐欺事件や闇バイトによる凶悪強盗事件の頻発化に伴い、防犯対策への関心が高まっており、支援の充実が必要です。
都は、都議会公明党の要請に応え、令和七年度予算案に、個人住宅などに向けた防犯カメラなど防犯機器等購入緊急補助事業を盛り込みました。さらに、都議会公明党は、戸建て、集合住宅、持家、賃貸など、居住形態に応じて、都民が購入しやすい補助制度にすることを提案し、前向きな答弁を得たところであります。都が二分の一補助としている本制度について、今後、利用者の経済状況などに応じて、さらに負担の緩和を図る区市町村の取組が進んでいく可能性があると考えられます。
一方、都営住宅において、経済的な困窮や身体的な状況などから、補助制度を利用しにくい事情を抱えた居住者の方々もいらっしゃると思います。本補助制度の利用を渇望されながらも、なかなか踏み切れない事情を抱えた都営住宅の居住者が、自治体の制度の相違により、カメラ付インターホンを設置できないといった状況が生じないよう、都が都営住宅の設置者として、踏み込んだ支援策を講じるべきであります。
少なくとも、手や足が不自由で、玄関まで出向いて、来訪者との対応が困難な身体的な状況にある障害のある方や要介護状態にある方を対象に、都が責任を持ったカメラ付インターホンの設置促進策を図るべきと考えます。見解を求めます。
○小笠原住宅政策本部長 カメラ付インターホンにつきましては、防犯性の向上等の観点から、民間住宅では普及が進んでおりますが、公営住宅では標準的な設備としては採用されていないことから、今後、国の方針等について確認しつつ、国と意見交換を行ってまいります。
あわせて、都といたしましても、手や足が不自由で、玄関までの移動や対面での対応が困難な身体状況にある居住者を対象に、調査としてカメラ付インターホンを設置いたしまして、機器仕様や設置方法、コスト等を検討し、課題を整理してまいります。
○小林委員 ぜひ、積極的に取組を進めていただきたいというふうに思います。
次に、農の風景育成地区について質問します。
都の農の風景育成地区制度は、都市における農地を重視した制度であり、私の地元である練馬区でも二地区が指定され、農地や屋敷林等の緑の保全など、営農継続につながる取組を地元の農家や住民が中心となって実施しています。
近年、東京の農業を取り巻く社会情勢や都市環境は大きく変化してきており、新鮮な農作物の供給や都市における緑地としての機能など、その価値はますます高まっています。
こうした状況の中、地区指定の推進が重要であると考えますが、まず、本制度に関するこれまでの都の取組の状況について伺います。
○谷崎東京都技監 都は、農地を保全し、農のある風景を将来に引き継いでいくため、平成二十三年度に農の風景育成地区制度を創設し、これまでに七地区、約三百六十六ヘクタールを指定しております。
制度の運用に当たりまして、都は、区市町が行う候補地選定に向けた調査や農地の保全、活用等に関する計画策定、指定後三年間の普及啓発イベントやボランティア育成等について、その経費を補助するなど、区市町と連携して農の風景の育成を図っております。
さらに、今年度は、制度活用の好事例を伝えるシンポジウムや区市町の担当者を対象といたしましたワークショップを開催するなど、指定拡大に向けた取組を進めております。
○小林委員 昨年十一月、農の風景育成地区に指定されている練馬区南大泉地域において、収穫体験やマルシェを行う農フェスタが開催されましたが、多くの区民が参加し、都市整備局の方にも、現地を当日視察をしていただきました。
昨年の各会計決算特別委員会の都議会公明党の質疑の中で、指定地区内の農家から、地域の方々や地区外に向けて、制度の意義をもっとPRすべきとの声や地区内での取組を将来にわたり続けられるか不安があるなどの意見が寄せられていることを指摘させていただきましたが、地域や農家による取組が、自立的に継続していくためには、取組の中心を担う区市町への中長期的な支援が必要と考えますが、見解を伺います。
○谷崎東京都技監 都市の中で、農のある風景を保全し、育成していくためには、農家による営農や周辺住民などによる農への参画などが長期的に担保されることが重要であり、これに向け、農家と住民の交流拠点の整備やその運営体制の確保などが必要でございます。
このため、令和七年度には、関係局と連携し、区市町や地域の関係者に対する支援ニーズ等の調査を行うとともに、農業やまちづくりの専門家の意見も聞きながら、区市町との連携強化策について検討を行ってまいります。
今後も、農の風景育成地区の指定拡大を図るとともに、地域の取組の活性化や自立的な継続を促し、農のある風景を将来に引き継いでまいります。
○小林委員 関係局とも連携を図りながら、都市農業振興にも寄与する取組の推進をお願いしたいと思います。
次に、医療機関や薬局と自治体の情報連携基盤、PMHへの接続促進について伺います。
医療DXの一環として、国が開発した自治体や医療機関などをつなぐ情報連携基盤のPMH、パブリックメディカルハブについて、国は現在、普及に向けて取り組んでいるところです。医療費助成分野においては、このPMHに接続することで、マイナンバーカードを受給者証としても利用が可能となり、都民は、紙の受給者証を持参する手間がなくなるなど、利便性が向上します。また、医療機関側での医療保険の資格情報や受給者証情報などの手動入力が不要となるなど、業務の効率化が図れることから、医療機関からPMH接続を求める声があります。
しかし、PMHへの接続に当たっては、改修に伴う費用負担がかかっており、導入に向けたハードルとなっています。また、医療機関の負担軽減に向けては、医療機関などの接続とともに、自治体側のPMHへの接続も必要となります。
そこで、まずは医療費助成分野における医療機関などと東京都のシステムの接続に向けた都の取組についてお伺いします。
○雲田保健医療局長 都は今年度、全ての医療機関や薬局に対し、PMHへの接続に向けた働きかけを行うとともに、システム改修を行う医療機関等に国の補助に加えて都独自の支援を実施しており、三月二十四日時点で、八百七十施設への補助を決定しております。
都が実施する医療費助成のうち、今年度は、難病や小児慢性特定疾病などのシステム改修を先行して行っており、今月末には、PMHに接続した医療機関等でマイナ保険証を受給者証として利用することが可能となります。
来年度は、医療機関等の都独自の支援を継続するとともに、接続する医療費助成分野の拡大に着手してまいります。
○小林委員 医療費助成については、受給対象者が多い子供分野でDXの取組を進めていくことが利便性を高める観点から重要であると考えます。
乳幼児医療費助成などの子供医療費助成においては、区市町村を窓口としていることから、区市町村がPMHに接続していく必要があります。
都では、区市町村の子供医療費のシステム改修への働きかけも行っているとのことですが、今年度中に接続を予定しているのは四市町と聞いています。
そこで、区市町村でPMHへの接続がさらに進むよう都として支援していくべきと考えますが、来年度の都の取組について見解を伺います。
○山田デジタルサービス局長 都は来年度、区市町村が子供医療費助成に関するシステムのPMH接続を行う場合、国の補助に加えまして、五百万円を上限にシステム改修経費の二分の一を区市町村に補助する制度を新設いたします。
改修に当たりましては、GovTech東京が技術支援を行うなど、区市町村の取組を強力に後押しをしてまいります。
また、都内で今年度中に接続が予定される先行四自治体の好事例を共有するなど、説明会などを通じまして、接続のメリットを伝えてまいります。
こうした取組を通じて、子育て世代の利便性向上につなげてまいります。
○小林委員 医療機関や薬局と東京都や区市町村など自治体がそれぞれPMHへの接続が行われて初めて業務負担の軽減や利便性の向上につながりますので、国や都の導入への支援について丁寧に周知を図り、より多くの医療機関や薬局、区市町村が取り組めるよう、さらなる推進を強く要望したいと思います。
次に、介護現場のDXについて質問します。
介護人材の確保に向けては、デジタルを活用した職員負担の軽減や生産性の向上が重要です。現在、介護ソフトなどの導入は一定程度進んできているものの、居宅介護事業所と居宅サービス事業所とのケアプランのやり取りは、郵送やファクスを使用しているケースも多いと聞いています。
国は、自治体や事業所の事務負担の軽減やサービスの質を高めるため、利用者本人、区市町村、介護事業所、医療機関といった関係者が利用者に関する情報を共有、活用できるよう、介護情報基盤の整備、いわゆる介護DXを二〇二六年度から始める方針を示しています。そのため、国はオンラインで完結できる仕組みとして、ケアプランデータ連携システムを推奨していますが、令和六年九月時点で、システムの都内の普及率は七・二%です。導入に当たっては、導入コストやランニングコストもかかっており、支援を求める声をいただいております。
そこで、ケアプランデータ連携システムなどの導入促進を含め、介護現場のデジタル化をさらに進めるべきと考えますが、来年度の取組について見解を伺います。
○山口福祉局長 都は、介護現場における生産性の向上を図るため、介護記録の作成に要するソフトウエアなどの導入経費やデジタル機器の選定、活用方法についてのコンサルティング経費を補助しております。
来年度は、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所とのケアプランのやり取りをオンラインで完結できるケアプランデータ連携システムのさらなる普及に向けまして、利用状況調査や事業者の利用料負担軽減、導入時の伴走型支援などを行う区市町村に対し、最大三千万円を新たに補助いたします。
こうした取組を通じまして、介護現場における生産性向上を一層推進してまいります。
○小林委員 全ての区市町村で、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業のケアプランデータの連携が一層進むよう、支援内容を丁寧に周知し、介護現場のDXのさらなる推進を要望いたします。
次に、宿泊業における人材確保について質問します。
人手不足が一層深刻化する中小企業にとっても、東京で働く人材を確保する上で社員の居住支援は重要な課題です。
都は、都議会公明党の求めに応じて、二〇二三年度から若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取組を支援する助成事業を開始しています。とりわけ、インバウンド需要への対応が急務となっている宿泊業の団体からは、外国人材を雇用しようと考えても、都内の家賃が高止まりしている状況では確保が困難であり、こうした事例に対応した助成事業を求める声が寄せられています。
そこで、外国人従業員の居住や生活面の支援に取り組む宿泊事業者をサポートすべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 増加する外国人旅行者を着実に受け入れるため、都は、現在、中小の宿泊事業者に対し、社員の採用や育成などに必要となる経費の三分の二について三百万円を上限に助成しております。
来年度は、外国人社員向けの住宅の借り上げ等に要する初期費用や特定技能外国人を受け入れる際の生活支援を委託する場合の経費などを新たに助成対象に加えます。
あわせて、こうした外国人活用を図る取組に必要な経費につきましては、助成率を四分の三に引き上げ、人材確保への需要の高まりに応じた支援の拡充を図ることとしてございます。
これによりまして、宿泊事業者の取組を適切にサポートいたします。
○小林委員 次に、障害者雇用について質問します。
都では、都議会公明党の推進により、障害者の雇用促進に向けて、オフィスサポートセンターと教育庁サポートオフィス、Paletteが開設され、会計年度任用職員から常勤職員へとステップアップする制度も導入されています。
都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、障害者活躍推進計画の改定年度であることから、計画の改定に当たっては、必要に応じて障害者団体などからも意見を聴取するなど、障害を有する職員にとって働きやすい職場づくりに努めていくことを求めました。
そこで、都庁における障害者活躍推進計画及び東京都教育委員会における障害者活躍推進計画が改定されるに当たり、総務局、教育庁、それぞれの取組状況について見解を伺います。
○佐藤総務局長 都庁における障害者活躍推進計画の改定に当たりましては、職員へのアンケートや障害者団体へのヒアリングなどを実施し、障害を有する職員へのさらなる理解の促進や活躍の場の拡充などについてご意見を伺いました。
これらの意見を計画に反映し、来年度からは、上司などに障害特性などを伝えるコミュニケーションシートの導入を進めるとともに、知的障害を有する職員がオフィスサポートセンター内で行う業務に加えまして、各部局に赴き事務補助等を行う取組の拡大などを進めてまいります。
こうした取組により、障害を有する職員が長期的、安定的に勤務できるようにするとともに、職場満足度を向上させてまいります。
○坂本教育長 障害者が意欲や適性に応じ、その能力を発揮できるよう、教育の職場の中で活躍のできる機会を増やす効果的な対応を進めることは重要でございます。
そうした取組に関する新たな計画を作成するに当たりまして、障害者団体と意見交換を行ったところでございます。その中では、学校現場の事務の一部を仕事の対象とすることや柔軟な働き方の導入等に係る要望がございました。
このため、来年度、障害者の働く場を増やすため、五人程度のグループで現場を巡回し事務補助を行うほか、学校からデータ入力等の作業を請け負う仕組みを導入いたします。
また、短時間勤務を取り入れ、それ以外に時差勤務の一層の活用を進めるほか、関係局と連携し、効果的な求人の働きかけを行ってまいります。
○小林委員 都議会公明党は、監理団体の当時から政策連携団体における障害者の法定雇用率の達成を訴え続けています。法定雇用率達成に向け、例えば、知的障害を有する職員が働くオフィスサポートセンターなど都庁が培ってきたノウハウを都庁グループ全体で共有するなど、達成に向けて取組を強化していくべきと考えますが、見解を求めます。
○佐藤総務局長 都はこれまでも、政策連携団体に対しまして、ハローワーク講師による講義や都庁のオフィスサポートセンターの取組などを紹介する研修会を開催するなど、障害者雇用の促進に向け、理解を促す取組や働きかけを行ってまいりました。
こうした取組によりまして、令和七年二月現在、法定雇用率適用団体のうち、一団体を除き雇用率を達成しております。
今後は、来年七月の法定雇用率の引上げも見据え、政策連携団体がオフィスサポートセンターの取組を導入することに必要なマニュアルや募集要項等を提供し、団体からの相談にきめ細かく対応するなど、支援をより強化してまいります。
○小林委員 次に、文化芸術振興について二点質問します。
初めに、障害者の芸術文化鑑賞についてです。
都議会公明党は、かねてより、障害のある方も分け隔てなく芸術文化に親しみ、楽しめる環境をつくるために、民間によるアクセシビリティーの向上の取組を一層進め、障害のある方の鑑賞の機会を充実すべきと主張してきました。
これを受け、都では今年度、鑑賞サポート助成を創設し、デフリンピックが開催される令和七年度の予算案においては、鑑賞サポート助成の予算を拡充しております。
そこで、今年度の成果と今後の取組について見解を伺います。
○古屋生活文化スポーツ局長 都は、鑑賞サポートを民間にも広げるため、今年度助成制度を開始しまして、都内の六十二の文化事業で活用されております。字幕や音声ガイドを通じて、展覧会や演劇などの公演を存分に楽しむことができたなど、多くの方から好評を得ております。
デフリンピックが開催される来年度は、大会が実施される秋を中心に鑑賞していただける公演等を増やすため、助成規模を約三倍に拡充いたします。また、より多くの当事者の方々に楽しんでいただけるよう福祉局とも連携し、鑑賞サポートつき公演等の情報を積極的に発信してまいります。
今後、大会の開催を契機に、障害の有無にかかわらず、誰もが芸術文化を鑑賞できるよう、都内全体でアクセシビリティーの向上を一層推進してまいります。
○小林委員 次に、文化財保護について質問します。
東日本大震災では、当時の文化庁長官が文化財保護法制定以来の最大の試練と述べるほど、多くの貴重な文化財が被害に遭いました。
私は、令和二年の一般質問で、自然災害から文化財を保護する取組の強化を求めましたが、人類の貴重な足跡でもある文化財を後世に継承していくことは、今を生きる私たちの大切な使命であります。
都議会公明党は本年二月、民間企業が運営するデジタル文化財ミュージアムを視察しましたが、熊本地震で被災した熊本城もVR作品として残されており、地震で崩れた石垣復旧の際に生かされたと、文化財保護の可能性への示唆もありました。
文化財のデジタル化は、文化財の保存、活用の両面で有効であり、都としても、文化財のデジタル化に向けた取組を進めるべきと考えます。見解を伺います。
○坂本教育長 東京の様々な文化財について、デジタル技術を用い電子データをつくることは、その保存と活用を進める上で重要な取組でございます。
これまで、都教育委員会は、文化財の指定をした近代建築物の屋内をデジタルのカメラで撮影し、あらゆる角度から鑑賞のできるコンテンツ等の作成の支援を実施いたしました。
また、文化財について、デジタルによる画像をつくり、解説を多言語で行う取組に係る国の支援について、区市町村を通じ所有者に紹介をしているところでございます。
今後は、こうした紹介に当たりまして、文化財の保存と活用に関しデジタルの力を使うメリットや優れた事例の説明を行うほか、所有者のニーズ等に関し研究をいたします。
○小林委員 ここからは、ちょっと時間の関係で、質問の順番を変えさせていただきます。
次に、償却資産税の申告手続の省略について質問します。
償却資産税は、土地や建物以外の事業用資産、例えば、機械や備品などに課税される固定資産税の一種です。毎年一月一日時点の所有する状況を一月三十一日までに申告する必要があり、課税標準額が百五十万円を超える場合に課税されます。
この課税標準額は、取得価格から減価償却費を控除して算出されます。したがって、法人が法人税の確定申告をする際に添付する別表の減価償却費や、個人事業主が所得税の確定申告をする際に添付する収支内訳書の減価償却費の機械、備品の計算額と類似しています。
この償却資産税の申告は、課税時点から申告までの日数がお正月明けの一月末ということもあり、あまりにも短いため、中小事業者の負担になっています。今後、国税庁の電子申告・納税システムの説明では、e-Taxで申告する国税とeLTAXで電子申告する地方税のデータを連携するとしています。
そうであるならば、償却資産税のデータについては、課税時点のタイムラグはありますが、法人においては法人税のデータから、個人事業主については所得税のデータから入手して、課税の通知を行うべきであります。
デジタル化により手取り時間を増やしていくとしている東京都としても、国と連携して償却資産税の申告手続の省略化を進めていくべきであります。見解を伺います。
○武田主税局長 償却資産の申告は、法人税等と申告期限が異なっているとともに、申告までの期間が短くなっていることから、事業者に負担になっていると認識をしております。
これまで都は、申告、申請の電子化など、納税者のQOS向上に努めており、申告の簡素化は、事業者の事務負担軽減や適正な申告の促進による課税事務の効率化の観点から有効でございます。
このため、納税手続のデジタル化の進展などを踏まえまして、制度を所管する国に対しまして、申告期限の見直しを含む制度の簡素化に向けた検討を進めるよう要望してまいります。
○小林委員 最後に、犯罪被害者支援について質問します。
都は、都議会公明党の提案を受けて、犯罪被害により、今までの住居に住むことが困難となった場合に、転居等の費用を助成しています。
一方、被害者等の支援団体から、特に性犯罪の被害に遭われた方は、被害場所が自宅ではなくとも、加害者が自宅に押しかけてくるのではないかなどの恐怖にさいなまれ、転居を余儀なくされることもあるとの声が寄せられたことから、都議会公明党は、この転居費用助成金について、被害者の住居またはその付近において、犯罪が行われたことが求められる給付要件の改善を訴えました。これを受けて、都は、昨年十月から給付要件を見直し、被害場所にかかわらず、対象とすることとしました。
そこで、犯罪被害者等の生活再建を支えるため早期に経済的支援を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 犯罪の被害に遭われた方及びそのご家族は、犯罪による身体的、精神的被害に加えまして、経済的に困難な状況に直面しておられ、被害直後から途切れることのない支援が必要でございます。こういう考えの下で、都は、見舞金、転居費用の助成などの支援を行ってまいりました。
とりわけ、被害者の方が安心して住める住居を確保することは重要であり、令和七年度からは、物価高騰の状況を踏まえまして、転居費用助成の上限を二十万円から三十万円に引き上げます。制度改正前に被害に遭われた方も対象とするなど、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
さらに、現在、被害者の方が置かれている現状、ニーズ把握、分析をしております。その結果を踏まえまして、来年度の改定を予定いたしております犯罪被害者等支援計画を策定する中におきまして、国の動向なども踏まえながら、より効果的な支援の在り方について検討してまいります。
○中山副委員長 小林健二委員の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時十二分休憩
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