予算特別委員会速記録第五号

   午後二時四十分開議

○尾崎副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 内山真吾理事の発言を許します。

○内山委員 それでは、都民ファーストの会東京都議団を代表しまして、締めくくり総括質疑を始めさせていただきたいと思います。
 いきなり私ごとですが、初めてこの予算特別委員会質疑に立たせていただいたのが平成三十一年。あのとき、待機児童や幼児教育の充実の話をさせていただくとともに、娘が幼稚園を卒園するという話をさせていただきました。その娘が今日午前中、小学校を卒業いたしまして、時の長さを感じるとともに、この六年間といいますか、十二年間、子育て環境の本当に大きな変化というのを当事者の一人として感じています。当時は待機児童にもなりましたし、一時保育のたらい回しにも遭って、本当に大変な保活というのを私も経験をしました。
 今、待機児童は九〇%以上解消しておりまして、何が何でもこの保育園じゃなきゃ駄目だということでなければ、比較的保育のサービスを受けられると、こういう状況になっておりますし、当時は、〇一八サポートもなければ、学校給食の無償化もなければ、医療費の無償化も所得制限で外される、こういうような状況でありました。
 一方で、長女の六年間の小学校生活を考えてみますと、半分超の三年半がコロナ禍ということでありました。私は本当に強く思っているのは、この子たちが、今後、恐らく十年後、社会に出たときに、この子たちはコロナ世代だからしようがないよねといわれるようなことがあってはならないというふうに思うんです。ですから、私たちはしっかりと、チルドレンファーストの視点に立って、これからの、今無償化という意味では令和六年かなり大きく進むことができたと思いますが、教育環境の充実について取組を進めていきたいという思いをまず冒頭申し上げまして、質疑に入らせていただきたいというように思います。
 私たちは、子供たちの芸術文化体験の推進についても力を入れてまいりました。都は、子供の未来を育む様々な体験活動を推進しておりますが、子供の頃に芸術文化に触れることは、将来の芸術文化の担い手やファンを増やすということのみならず、子供の創造力やコミュニケーション能力を高める上で大変重要であると考えます。
 多くの子供たちが自分に合った芸術文化を体験できる環境を整えることが必要と考えますが、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 子供たちが小さな頃から芸術文化に直接触れ、また、心に残る新鮮な体験を通じて豊かな感受性を育むということはとても重要でございます。
 都はこれまでも、東京に集積する様々な文化資源を生かしまして、子供たちに伝統芸能、そして音楽などの芸術文化体験を提供してまいりました。
 来年度は、より多くの子供たちに体験機会を提供できますよう司令塔となるセンターを新たに整備いたします。このセンターでは、工房でのものづくり体験から、オペラ制作への参加など本格的なものまで多彩なプログラムを用意いたしまして、可能性に満ちた子供たちの夢の実現を応援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。ニーズに沿った新たな事業の開発を行うとのことで、子供たちの声を聞きながら、質の高いプログラムとなるよう取組を求めたいと思います。
 また、私たちからは、子供の体験格差解消の取組をかねてから進めてまいりました。芸術文化においても、民間事業者などの力も借り、あらゆる子供たちに体験をしてもらうことが必要と考えますが、見解を伺います。

○古屋生活文化スポーツ局長 多様な体験メニューを提供するためには、民間企業や地域の文化団体など幅広い機関との連携が不可欠でございます。そのため、今後、事業趣旨に賛同してくださる民間事業者にも積極的に協力を呼びかけまして、民間での体験事業も含めて、一体的にコーディネートやPRを実施してまいります。
 また、既存の助成事業を拡充しまして、子供の芸術文化体験の格差解消に取り組む民間団体の活動を支援するなど、多面的に体験活動の充実を図ってまいります。
 年間五万人の子供たちに体験機会を提供することを当面の目標として取り組みまして、東京全体で子供たちの感性を育んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。子供たちの芸術文化体験の拡充という意味においては、この事業は確実に成果を出していくのではないかなというふうに思います。
 一方で、格差の解消と考えたときには、これ難しい問題がありまして、例えば体験格差というものの一つは、やっぱり貧困の問題というのがあります。貧困の中にある格差の中に、体験格差であったり、その中には情報の格差というのもあります。子供たちにしっかりとプログラムが届くような仕掛けを打っていくというのは結構大変だと思いますけれども、ぜひ取組を充実させていただくよう求めたいと思います。
 続きまして、コロナ禍によって大きく失われたものの一つとして、今取り上げさせていただいた芸術文化体験も含めた子供たちの総合的な体験活動というものがあります。子供を笑顔にするプロジェクトというのが立ち上がりまして、コロナ禍で子供たちの様々な体験が失われていった、そして、例えば運動会が中止や延期になったり、規模縮小になったり、移動教室や様々なイベントが中止や延期になった、そういった中で、全ての公立私立、小中高、特別支援学校全ての学校で様々な体験活動を選ぶことができるという中で、この子供を笑顔にするプロジェクトという中で、プログラムが立ち上がりまして、そして、二年目からは、今度はそこに笑顔だけじゃなくて、学びや体験活動というものを入れていこうということで、笑顔と学びの体験活動プロジェクトとバージョンアップして、この間、二年間実施されているというように認識をしております。
 この笑顔と学びの体験活動プロジェクトになってから、五つの体験領域という、例えば協働して課題に取り組む体験であったり、オリ・パラ教育のまさに延長線上にあるスポーツに親しむ体験であったり、また、理数離れというものが懸念されている中で科学や先端技術等に触れる体験であったり、様々な領域があって、それを学校の先生方に選んでいただいていると、こういう取組であると思いますが、一つ一つの取組が、例えば協働的な学びというものが不登校の未然防止というものにつながっていく、もしくは理数離れというものが科学や先端技術に触れる体験というのはそこに資する体験になっていくという、こういうことに容易に想像がつくわけですが、メインの教育庁さんのその取組をされている部署との連携というのはこれまで取れていないということでありました。ぜひここに、こういった子供たちの体験活動がかなり今東京都の知見の中で蓄積されてきている中で、教育庁内の関係部署との連携というのは極めて有効なのではないかなというふうに思っています。
 また、教員が自分のある種嗜好によってプログラムを選ぶのではなくて、学校の課題等を理解した上で解決につながるような体験プログラムを選択、実施することによって、より高い効果を引き出すことができるというように考えておりますが、都教育委員会の取組についてお伺いをしたいと思います。

○坂本教育長 児童や生徒が学校において良好な人間関係をつくるほか、学びの基礎となる体力を高める上で様々な体験の機会を確保することは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、児童等が多様な体験のできるプログラムを民間と協力し実施をしてまいりました。来年度は、こうした取組に関し、不登校への対応や体育の指導等を担当する様々な部署が研究者などを交え民間と協議し、内容をつくり上げる仕組みを導入いたします。
 また、各学校がプログラムを適切に活用できるよう、新たに内容をきめ細かく紹介する動画をつくり、情報提供を行います。さらに、学校で教員と児童等がプログラムを企画し実施をする取組を百校で展開をいたします。

○内山委員 ありがとうございます。この様々ある体験が、今、教育庁さんの方で抱えている様々な政策課題についてアプローチしていくことができるということは極めて重要だと思いますので、期待したいと思います。
 続きまして、都立学校における生徒会の機能強化についてお伺いしたいと思います。
 都立高校等の生徒が生徒会活動等によって自主自立的に学校の校則など決まりについて積極的に話し合い、学校に意見を述べ、それが校則の見直しや、よりよい学校の生活改善へとつながっていくという経験は極めて重要だと思います。
 主権者教育を例えば幾ら行っても、自分たちの代表である生徒会が様々な意見を出し合ってそれを学校にぶつけたら全然変わらなかったと。何だやっぱりやっても変わらないじゃないかと、こういう原体験ではなくて、やっぱり自分たちで環境を変えられるんだと、こういう原体験がやはり主権者教育の根っこになっていくんではないかなと思います。
 そういった中で、教育委員会は令和三年度から、校則等の自己点検及び見直しを実施してきております。この取組をさらに次の段階へと推し進めていくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○坂本教育長 都立高校の校則は、生徒が健全な学校生活を送り、よりよい成長を遂げることなどを目的とし、校長の権限と責任により策定をしているところでございます。こうした校則につきまして、生徒が意見を述べることは、その意義を理解し、主体的に校則を守る意識を高める上で有効でございます。
 このため、都教育委員会は、都立高校において、毎年度、校則の内容を点検し、必要に応じ見直しをする取組を進めるに当たりまして、生徒の意見等を踏まえるよう促しているところでございます。
 今後、校則に関し生徒が意見を述べる重要性について、校長を集め教育施策などを伝える会議等を通じ、改めて説明を実施いたします。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、特別支援教育、インクルーシブ教育についてお伺いをしたいと思います。
 さきの文教委員会でも、我が会派の龍円あいり議員が、今後、都立高校と特別支援学校の同一の敷地内で運用されていく、こういう方向性について、ぜひ積極的な交流をという、こういう質疑があったかと思います。
 では、いざ小中学校の現場を見てみると、通常学級と特別支援学級というのは同じ敷地内にあるわけです。一方で、ここの交流や共同学習が盛んに行われているかといえば、もともとそんなに行われていなかったように聞いていますが、コロナ禍でどうしても一緒にできない環境が生まれてしまったという中で、それが三年半近く続いてしまった。これによって、なかなか特別支援学級と通常学級が共に学んだり、もしくは交流するという機会がほぼなくなってしまったというふうに伺っています。
 一方で、関西地方では八割近くを共同で学習していて、さすがにそれはちょっと、制度も違うんだから半分ぐらいにしなさいよという文科省からの通達があるというふうに聞いています。
 そういった中で、やはり我々が社会の中でインクルーシブな社会を目指していく、こういった中で、特別支援学級に在籍する児童生徒が通常学級の児童生徒としっかりと交流しながら、時に共同で学びながらインクルーシブな教育を進めていくということは極めて重要だというように思います。
 そのため、交流及び共同学習の取組というのをしっかりと各市区町村にも働きかけをしながら、取組を進めることが重要だと思いますが、今後の取組についてお伺いをいたします。

○坂本教育長 小中学校におきまして、障害の有無にかかわらず、子供たちが交流し共に学ぶ仕組みを充実するための取組は重要でございます。
 このため、都教育委員会は、区市町村に対し、小中学校で障害のある子供の通う特別支援学級と通常学級とが交流や共に学ぶ機会を設けるための働きかけを強化いたします。
 具体的には、そうした交流や学びの取組について優れた事例の収集を行い、今後、特別支援学級を持つ学校向けに説明会を開き、情報の提供を進めます。また、特別支援学級の児童が通常学級で学ぶサポートをする人材等の配置支援につきまして、来年度、その規模を百五十八校増やし千百五十五校といたします。

○内山委員 ありがとうございます。特別支援学級と通常学級が共同的に学ぶといったときに、やはり管理職であったり、特別支援学級の教員であったり、通常学級の教員であったり、この三人というか、この三ポジションの先生方の意識というのは極めて重要なんだと思います。ぜひ都教委からも、やり方も含めて強烈にバックアップをしていただければなというように思います。
 さらに、続きまして副籍交流についてお伺いをしたいと思います。
 今、特別支援学校に在籍をしている児童生徒が地元の学校に、副籍交流といって、児童生徒によるんですけれども、一年に一回とか、一学期に一回とか、一月に一回とか、そういった形で、地元の学校で通常学級で学ぶことができるという、こういう取組を進めているところでありますが、この副籍交流を進める上で、保護者が引率というか、送り迎えをしなくてはならないという中で、そこがかなり推進をしていく上でボトルネックになっているんではないかという声が私の下にも届いております。
 そういった中で、この副籍交流をさらに促進、推進していく上で、保護者の付添いに係る負担を減らすことは極めて重要だと思いますが、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○坂本教育長 特別支援学校で学ぶ子供が自宅の近くにある小中学校に出向き、地域で暮らす友人等と交流をする副籍の活用を促進することは重要でございます。
 この仕組みにつきまして、保護者が子供に付添いをする場合が多く、その負担を減らすことは利用の増加に結びつく効果を期待できると考えております。
 これまで都教育委員会は、特別支援学校におきまして副籍の利用を高めるため、小学校での円滑な受入れ体制の進め方等に関し検討を行ってまいりました。
 来年度は、三つの特別支援学校を選び、副籍に関し保護者が付添いをする負担の軽減に関して様々な面から研究を行います。

○内山委員 ありがとうございます。しっかりと調査研究をしていただいて、それができるだけ早い段階で保護者の負担軽減、またこの副籍交流の促進につながるよう取組を求めたいと思います。
 また、インクルーシブ支援員というのがあります。特別支援学校で学ぶのが適しているという判断をされた児童生徒が特別支援学級に行くときにこのインクルーシブ支援員というのが使えるわけなんですが、どうしても市区町村の利用負担が二分の一出てしまうという中で、これはなかなかフルで活用しづらいということもあろうかと思います。ぜひ、このインクルーシブ支援員の普及についても、併せて求めていきたいというふうに思います。
 そして、少し一回、ちょっと順番を入れ替えましてエデュケーションアシスタントについてお伺いをしたいと思います。
 先日の予算特別委員会での代表質疑において、小学校一年生へのエデュケーションアシスタントをクラスごとに新たに配置するプレクラスの取組を行うということ確認をいたしました。
 このエデュケーションアシスタントは、私たちからの提案により、現在一年生から三年生までに各校一名配置をされておりますが、一方で、学校の状況によっては、四年生や五年生、六年生の学級運営が大変な場合もあるという声も届いております。
 こうした状況に対応するためにも、学校の判断で柔軟に四年生から六年生までにも配置できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本教育長 公立小学校で学級運営に係る様々な負担を減らし、きめ細かい教育を行う上で、担任の教員を支援する体制を充実することは効果的でございます。
 これまで都教育委員会は、小学校の一年から三年までの学級で、授業や様々な業務の負担の多い担任教員を支援するため、外部人材を活用する取組を後押ししてまいりました。この支援につきまして、今年度から全ての公立小学校で活用できるようにしたところでございます。
 こうした中、小学校からは、四年より上の学年のクラス担任に同様のサポートを要望する場合も出てきております。そのため、来年度、学校の状況に応じ、柔軟に外部人材を四年から六年までの担任のサポートにも活用できる取組をモデル的に実施をして、効果の検証を行います。

○内山委員 ありがとうございます。もちろん一年生から三年生の学級運営も大変だという声もある一方で、四年生から六年生にはまた違った大変さもありまして、それは学校によってどちらが重いかというのはもろもろあろうかと思います。ぜひ対応していただいて、そして今後の施策につなげていっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、給食についてお伺いをいたします。
 私たちは、保護者の経済的負担を軽減するため、給食費の無償化を求めてまいりましたが、現在の区市町村の無償化の実施状況と、長引く物価高騰の影響はこの無償化の取組において反映されているのか、伺いたいと思います。

○坂本教育長 都は今年度から、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担の軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を助成しております。さらに、市町村の学校給食費無償化を後押しするため、市町村総合交付金の拡充によりまして、無償化に係る経費全体の八分の七相当までを支援しております。
 こうした中、公立小中学校の学校給食費は、今年一月から都内の全ての区市町村において無償化されております。
 食材価格の上昇は続いておりまして、学校給食を提供する区市町村の状況を踏まえまして、来年度も引き続き物価上昇を考慮した補助単価を設定し、児童等に良質な食事提供のできるよう支援をいたします。
 これによりまして、学校給食に関し、子育て世帯の経済的な負担の軽減を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。物価高騰により、同じ予算で同じ質の食材を確保することが難しくなるといった声や、食物アレルギー対応が縮小されたといった声が実際私たちの下にも届いております。しっかりと対応することを改めて求めておきたいと思います。
 また、無償化の取組と同時に、給食の質の確保、向上も求めてまいりました。昨年には、会派のメンバーで都立立川国際小学校のオーガニック給食の取組についても視察をしてまいりました。率直な印象としては、オーガニックの推進もさることながら、やはり食育についてかなり力を入れていたなという、私はそういう印象を持ちました。
 給食において、健康にも環境にも優しいオーガニック食材の活用を普及するため、食育の取組を一層推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本教育長 食に関する正しい知識を高める食育を進め、環境問題の理解を高める上で、化学肥料等を使用しない有機農産物を学校給食を通じ提供することは効果的でございます。
 このため、都教育委員会は、今年度、四つの都立学校におきまして、食育に係る知識を学ぶため、有機農産物を使ったメニューの給食を出しております。
 来年度は、こうした取組をほかの都立学校にも広げてまいります。また、区市町村の学校給食に関わる教職員に対する研修を通じまして、都立学校での食育の内容に加え、有機農産物を活用するレシピなどを新たに紹介をしてまいります。
 これらによりまして、学校給食での有機農産物の活用を進めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、病児保育についてお伺いをしたいと思います。
 私たちの重点要望を受けて、都は来年度から、病児保育施設の経営の安定化や保育所等の看護師の確保に向け、都独自の新たな補助制度を創設すること、また、ベビーシッター事業者を支援する取組も開始することを評価いたします。
 さて、こうした施策は、都民に周知されなければ利用促進にはつながりません。区市町村での取組が進むよう積極的に働きかけるとともに、病児保育を必要とする都民に対し事業の周知を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、来年度から開始する病児保育の新たな事業につきまして、あらゆる機会を捉えて事業実施主体の区市町村に対しまして強力に働きかけ、取組を促進してまいります。
 また、子育て世帯がサービスを利用しやすくなるよう、区市町村が実施する病児保育の取組内容に加えまして、新たに病児保育を提供するベビーシッターの事業者名やサービスの提供地域などをSNSやホームページなどを通じて分かりやすく提供いたします。
 さらに、こうした情報を子育て世帯に対しましてメールマガジンにより配信するなど、都民に必要な情報が届くよう取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。都民のニーズと病児保育やベビーシッターの提供がしっかりマッチングしていくように取組をお願いいたします。
 なお、現状は、働きながらの子育てに病児保育は重要ですが、そもそも子供が病気になったときに仕事の休みを取りやすい環境整備や在宅のテレワークなども併せて重要であり、私たちはそうした社会の意識改革にも引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 続きまして、地域における多様な居場所確保についてお伺いしたいと思います。
 私たちはこれまでも、不登校の子供たちの多様な学びの選択肢として、フリースクールやチャレンジスクールの拡充など様々な提案をしてまいりました。来年度、都は、私たちの求めに応じ、フリースクールの受入れ規模や事業者補助の規模を拡充いたしました。都民からは歓迎の声が上がる一方、こうした学びの場に定着するまでの間、子供が登校渋りなどに陥るケースも多く、子供支援や保護者支援の面からも、地域の中に不登校の子供を受け入れる多様な受皿を整備すべきと考えます。
 地域の団体と連携し、空きスペースなどを活用した不登校の子供の居場所づくりを都としても支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は来年度、小学校の環境になじめず、学校を休みがちになった児童の一時的な受皿としまして、保育所や児童館など地域の社会資源を活用した多様な居場所の提供を行う区市町村への支援を開始いたします。
 居場所におきましては、支援調整員が保護者や学校等と連携しながら児童の見守りを行いまして、児童が安心して過ごせる環境を確保してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、ひとり親家庭支援についてお伺いしたいと思います。
 ひとり親家庭では、母子世帯の約三割が収入二百万円以下と経済的に厳しい状況が続いております。経済的に厳しい家庭にとって養育費は重要ですが、受け取っている割合は約三割にとどまり、特に養育費の取決めをしていない世帯では受取り割合が低くなっております。
 今年度、民法改正により、法定養育費制度など、離婚後の子の養育に関する新たなルールが導入されました。
 こうした社会状況変化を踏まえ、ひとり親家庭の支援を拡充すべきです。特に支援の入り口となる相談体制については、支援を必要とする人が必ずしも窓口につながっていないという指摘があります。また、養育費については専門的な相談につなげていくことが重要です。
 養育費の確保に向けて、仕事と子育てで時間的余裕のない親が身近な場所で相談できる体制確保を進めるべきですが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、ひとり親家庭支援センターにおきまして、養育費に関する専門的な相談に対応しているほか、養育費の立替保証や公正証書の作成などに要する費用を助成する区市を支援しております。
 来年度は、センターにおける専門相談の実施回数を拡充するほか、自治体職員などに対しまして、養育費の取扱いなど民法改正の概要に関する研修や専門的助言を実施いたします。
 また、区市が弁護士などによる養育費の専門相談を行う際の費用等を新たに補助するとともに、先駆的な取組を行う場合には区市負担分を全額負担とするなど、身近な地域での相談体制の確保を進めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 一方で、ひとり親は子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担い、時間の貧困に陥りやすい状況にあるといわれています。ひとり親の仕事と子育て両立には、突発的な出来事に対応できる柔軟な子育て支援サービスも必要です。
 負担の大きいひとり親家庭に寄り添い、そのニーズに対応した子育て支援を行うことが重要と考えますが、来年度の取組についてお伺いをいたします。

○山口福祉局長 都は来年度、家事や育児支援を行うヘルパーをひとり親家庭に派遣する取組の広報や、ヘルパーの質の向上に向けた研修を実施する区市町村を新たに包括補助で支援いたします。
 また、一時的に保育を必要とするひとり親家庭の保護者がベビーシッターを利用する場合の区市町村への支援につきまして、利用上限時間を児童一人当たり年間百四十四時間から二百八十八時間に拡充いたします。
 こうした取組によりまして、ひとり親家庭の負担を一層軽減し、安心して子育てできる環境を確保してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。着実な取組を求めたいと思います。
 続きまして、受験生チャレンジ支援貸付事業についてお伺いをしたいと思います。
 受験生チャレンジ支援貸付事業は、経済的に厳しい子供たちの学びやチャレンジを支える仕組みとして極めて重要な施策であります。将来を担う子供たちが希望する進路を選択できるよう支援することは、家庭の経済格差を子供の学力格差や将来の所得格差につなげないためにも極めて重要です。
 私たちの要望を踏まえ、都は令和四年度から、収入要件を緩和いたしました。
 引き続きこの事業の一層の拡充を図るべきと考えますが、来年度の見直しの考え方について伺いたいと思います。

○山口福祉局長 都が今年度実施した調査では、受験生に対する貸付事業を開始した平成二十年度と比較して、学習塾代の年間平均支出額が、令和三年度は約一・五倍に上昇していることを踏まえまして、来年度から学習塾代の貸付上限額を二十万円から三十万円に増額いたします。
 また、大学受験料は、受験の多様化などを背景としまして、令和五年度の平均支出額が約十二万円となっていることから、大学受験料の貸付上限額についても八万円から十二万円に増額いたします。

○内山委員 ありがとうございます。
 さて、この制度名には貸付という言葉が入っておりますが、高校、大学へ入学した場合は返済免除される制度であり、九九%が返済免除になっていると承知をしております。実質的には、給付型奨学金に近いものといえると思います。
 令和四年度の収入要件の緩和により、制度利用件数は年間約七千件から約一万一千件へと増えたとのことでございますが、対象に該当する世帯に、返済免除の点も含めて、制度の周知を一層図り、より多くの子供たちに活用してもらうようにすべきと考えますが、来年度どのように周知に取り組むのか伺いたいと思います。

○山口福祉局長 都はこれまで、本事業が無利子貸付であること、志望校へ入学した場合に貸付けの返済が免除となることなどを盛り込んだリーフレットやポスターを作成し、区市町村や都内全ての中学校、高校に配布するほか、SNSや専用サイトも活用しまして周知に取り組んでまいりました。
 来年度からは、本事業が保護者にさらに認知されるよう検索サイトにディスプレー広告を表示するほか、学習塾などの情報を集約して提供するサイトに広告を掲載するなど、広報の充実を図ります。
 低所得世帯の子供が希望する進路を選択できるよう、本事業の一層の活用に向けまして積極的に取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、児童相談所の一時保護所の支援改善の取組についてお伺いをしたいと思います。
 平成三十一年三月に、一時保護所の第三者委員による一時保護所における支援改善に関する意見書の提出後、都は、支援改善のための検討会を立ち上げ、継続的に支援改善に関わる八項目の取組を進めております。
 具体的には、当時私もこの予算委員会の場で指摘をさせていただきましたが、当時は虐待等で仮に保護されても必ず髪は黒染めしなきゃいけない、こういうルールがあったり、都市伝説といわれていたような体育館百周という個別指導という、ある種懲罰的な運用があったり、そういった、例えば階段の踊り場のところにパーティション立てて八時間辞書を書き写しさせたりとか、こういった、もともとは都市伝説といわれていたようなものが実際に行われていたという中で、私はこういった、歴史的な経緯はあれど、矯正施設的な側面からしっかりと福祉的な施設、また、子供たちのケアができるような施設に生まれ変わらせるべきだということを指摘させていただきました。
 そこから、都もかなり、この支援改善の取組、もう私は一時保護所改革といってもいいと思うんですが、かなり精力的に取組を進めてこられたというように認識をしております。
 改めて、その一時保護所改革、支援改善の進捗状況を伺いたいと思います。

○山口福祉局長 都は、一時保護所における支援を向上させるため、第三者委員が参画した委員会を毎年開催しまして、職員の支援力向上や私物の持込みルールなどの支援改善に係る取組状況、児童が選択できる日中活動プログラムの提供など、先進的な取組事例を全ての保護所で共有しております。
 また、児童の意見をよりきめ細かく支援の向上に生かすため、昨年度から、第三者委員が保護所を訪問して児童と面談する活動を月一回から二回に拡充しております。
 本定例会に提出しております一時保護所の基準条例案では、児童の意見や意向を尊重した支援を講じることなどを明記しておりまして、今後さらに児童の権利を尊重した支援の充実に向けて取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。センターごとに、この改善八項目の進捗状況ということで、私も見させていただいておりますが、丸か二重丸の項目が全てですかね、というふうになっていまして、二重丸はむしろ先駆的な取組ということで、かなり意欲的に改善に取組をされているんだなというふうに印象を持ちました。
 こういったところも、やはり私は小池知事になって、これまでの様々な光が当たらなかったところに光が当たっていって、そこから、これまでどちらかというと、いや、都の児相の一時保護所なんか虐待されていたって入りたくないよ、当時はいわれていたものが、今は徐々にそういったものが改善されているということなんだと思います。引き続き、不断の取組を要望したいという、期待をしたいというように思っております。
 また、続きましては、こちらも以前の予算特別委員会で取組をさせていただいた女性自立支援施設についてお伺いをしたいと思います。
 女性自立支援施設、以前は婦人保護施設というふうに名称があったものが変わったわけですが、こちらは様々な困難な問題を抱えた女性を対象に、心と体の健康や権利の回復を図り、安定して自立した生活ができるよう中長期的な支援を行う重要な機関だと思います。
 これまで、令和三年、令和四年の予算特別委員会や、令和五年、令和六年の厚生委員会で、入所を円滑に進め施設を積極的に活用できるよう、女性相談センターの一時保護所を経由せずに施設に直接入所できる仕組みについて質問し、こうした仕組みの整備や取組の推進について答弁がありました。
 女性相談センター、これはなかなか私も理解するまでに当時時間がかかったんですが、児童相談所があるように女性相談センター、女性相談所があって、児相に一時保護所があるように、女性相談センターにも一時保護所がある。ここの定員が三十名しかいないので、当時は婦人保護施設、女性自立支援施設に入りたくても、ここの三十名の枠がボトルネックになっていて、なかなかこの施設の活用がされていない、当時、たしか入居率二割、三割といった状況だったかと思います。
 これを一時保護委託から直接入所できる仕組みをつくるべきじゃないかということで、当時福祉保健局の皆さんも尽力いただいて、この仕組みが今、定着をし始めているということです。一方で、それでもやっぱり入居率というのは上がりましたけど、まだ少し伸び代があるように私も資料を見て感じています。
 過去三年間、少しずつ増えてはいるものの、本人の意向を踏まえながら、女性自立支援施設の機能をより一層活用した支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、より本人の意向を踏まえた支援を行えるよう、一時保護所に入所せず、女性自立支援施設で一定期間生活を体験した後、施設への入所を決定する取組を令和四年度から試行しまして、今年度からは本格実施しております。
 一方、施設での支援が望ましいと考えられる女性であっても、集団生活への不安から本人の同意が得られないなどの理由で入所に至らないケースもございます。
 そのため、来年度、こうした方が施設へ通所しながら安定的な日常生活を営むために必要な専門相談などの支援を継続的に受けられる取組を新たに開始いたします。
 このように、施設の機能を有効活用しまして、きめ細かな自立支援の充実を進めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。きみまもであったり、若年被害女性支援事業であったり、様々な相談事業があるわけですが、どうしても相談から女性を保護したり受け入れても受皿がなかなかないんだという、こういう話というのはずっと局の皆さんも聞いているんだと思います。
 そういった中で、この女性自立支援施設というのは極めて受皿としては、私はまだまだ伸び代があると思いますので、ぜひ取組を充実させていただければというように思っています。
 続きまして、自殺対策についてお伺いをいたします。
 コロナ禍をきっかけに自殺者の数が増加に転じ、若年層や女性の自殺が増えてまいりました。厚労省の調査では、二〇二二年と二三年に自殺した小中高生千二十七人のうち二割に自殺未遂歴があり、女子高生については三七%に達しておりました。厚労省は、未遂段階で専門家につなげることが重要としております。
 また、働き盛りの四十代から五十代の自殺も多く、このボリュームゾーンへの取組も重要です。
 計画に基づいた取組を着実に進めるとともに、最新の自殺実態やその背景の分析に基づき、生きる支援としての自殺対策をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、若年層や働き盛りの方々の自殺防止などを自殺総合対策計画の重点項目に位置づけており、今年度は、こころといのちのサポートネットに子供サポートチームを設置して、学校などにも活用を促し、自殺リスクの高い子供への支援の充実を図っております。
 来年度は、依然として多い働き盛りの男性の自殺の原因、動機や相談傾向を踏まえ、悩みを抱える方を検索連動型広告により専用のメール相談に誘導し、支援につなげる取組を新たに開始いたします。
 自殺対策は生きることの包括的支援として推進するものであり、教育や福祉などの関係機関と連携して、さらなる取組の充実を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。取組の充実、期待をしたいと思います。
 一方で、令和三年予算特別委員会の一般質問において、私は、コロナ禍で自殺者数が増加している一方で、都の自殺相談ダイヤルの応答率が低いという状態を指摘させていただいて、広報啓発よりも、まずはこの応答率が低いわけですから、相談体制を拡充すべきとの要望をさせていただきました。
 その後、早速、都は、令和三年の七月から自殺相談ダイヤルの相談開始時間の前倒しや、二十二時以降の深夜時間帯の相談体制の強化を行い、令和五年十月からは十九時から二十二時の相談体制を強化するなど、少しずつ体制の拡充が行われております。しかし、まだまだその対応力は十分ではなく、さらなる拡充が必要であると考えています。
 今後、都としてどのように希死念慮を抱える都民からの相談に対応していくのか、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、深刻な悩みを抱える方を早期に適切な支援につなげるため、自殺総合対策のホームページで悩みに応じた相談窓口を案内するとともに、自殺相談ダイヤルやSNS相談の体制強化を図っております。
 自殺相談ダイヤルにつきましては、専門性を備えた相談員を育成しながら、深夜や早朝の時間帯から段階的に回線数や相談員の拡充を進めてきておりまして、本年十月からは午後五時から午後七時までの時間帯の回線数を拡大し、より多くの相談を受け止めてまいります。
 今後も、自殺の背景となる様々な要因に対応する相談機関と連携いたしまして、悩みを抱える方を支え、自殺を防ぐ取組を一層推進してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。この自殺相談ダイヤルというのは、私は応答率は極めて重要な数字だと思っています。もうわらにもすがる思いで電話なりLINEなり様々なアプローチをしても、そこが応答されなかったとなると、その方が逆に絶望するというか、都にも見捨てられたんじゃないかというふうに思ってしまうという意見も、私も当事者から伺ったことがありました。ぜひ、難しい問題というのは重々承知をしておりますが、さらなる対応の拡充について取組を求めておきたいと思います。
 一方で、もう少し広い、都民の若者総合相談センターに若ナビαというのがあります。昨年の平均応答率は、電話相談が九割以上ということで極めて高い数字となっております。一方で、LINE相談は五割程度というふうに伺っています。この若者を対象とする若ナビαにとって、LINE相談は若者と親和性の高いSNSを使った相談ツールであるため、応答率の向上が大切だと思います。
 策定中の第三期東京都子供・若者計画には、LINE相談体制を増強するとの記載がありますが、現在、LINE相談にはどのような課題があり、それに向けてどう解決を図っていくのか、伺いたいと思います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 若ナビαでは、十一時から二十三時までLINE相談を実施しております。昨年度は十九時から二十三時までの四時間のアクセスが全体の半数程度を占めており、つながりにくい状況も見られました。
 このため、来年度から、夕方以降のLINE相談の回線を増やし、応答率の向上を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。昨年度の若ナビαの相談件数は一万一千八百十六件でありました。二十代、三十代の若者が都内に約三百七十万人いることを踏まえると、応答率の向上を図ることだけでなくて、やはり次のステップとしては、この若ナビαの認知度をさらに上げていくことが求められると思います。
 若者にリーチする最大のツールはインターネットと今なっています。実際のところ、相談者の約七割がインターネットを経由して若ナビαとつながっているというように伺っています。
 そこで、例えば、若者に訴求する内容でSNS、例えばユーチューブショートだとかティックトックだとか、そういったショート動画などの発信によって認知度向上に向けた広報を工夫していくべきと考えます。
 来年度、都はどのような広報を行っていくのか、伺いたいと思います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、若ナビαを周知するため、今年度、若者が身近に利用するコンビニやスーパーのレジなどに設置されているディスプレーで動画広告を展開しております。
 また、この動画をインスタグラムでも活用したほか、XやLINEによる発信、検索結果に連動して掲載されるリスティング広告なども実施をいたしております。
 来年度は、媒体に応じてコンテンツやデザインを工夫し、悩みを抱える若者により一層届く広報を行い、認知度の向上を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。私ももう四十五歳でありますので、若者、若者、私も若いつもりでいるんですけど、本当の若者の感覚というのは正直分からないところもあるんです。なので、ぜひ当事者に様々意見を聞きながら、本当の若者に届く広報の工夫をしていただければなというように思います。
 続きまして、超高齢社会における医療、介護、こういった取組についてお伺いをしたいと思います。
 私たちは、シニアの安心を守る介護や医療インフラの整備を進めてまいりました。その中でも、近年、医療ニーズが高いがんや難病などの高齢者を主な入所対象とした住居型有料老人ホーム、いわゆるホスピス型有料老人ホームが増加しており、施設併設あるいは連携した訪問看護ステーションが入所高齢者に過剰なサービスを提供したり不正請求が疑われるケースが表面化し、問題となってきております。
 先般、パーキンソン病や難病者向けホスピス大手が二十八億円の不正請求、そして一昨日もホスピス型有料老人ホームの最大手事業者の不正請求が報じられたばかりであり、業界そのもののルールの見直しが求められてきております。
 一部の有料老人ホームに併設する訪問看護ステーションで不正請求が疑われる事例が報道されており、指導を強化すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 診療報酬請求に関する悪質な法令違反には厳正に対処する必要があり、訪問看護ステーションに対しましても、都は、国民健康保険法などに基づき処分権限等を有する国と共同で指導や監査を行っております。
 国は、今月、昨今の訪問看護に関する医療費の請求状況などを踏まえ、広域に運営する事業者への効果的な指導の仕組みや、高額な請求など一定の基準に該当する事業所への、教育的な視点による個別指導の機会の新設など、訪問看護ステーションへの新たな指導方針を示しました。
 都といたしましても、こうした方針に基づきまして、国と共同して訪問看護ステーションに対する指導を強化してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。今後、都としても国と連携して指導していくとのことで、早急な対応を求めたいというように思います。
 一方で、こうした医療ニーズの高い高齢者を集めるため、有料老人ホームから高額な紹介料を取る紹介業者も出現してきています。中には、難病患者を一人紹介につき百五十万円支給するなど過剰な金額で取引する悪質な紹介会社も多く、有料老人ホームに対して、不適切な紹介料の設定等に応じないよう指導監督を行うことが必要です。
 国は、入居者の居住の安定を確保する観点から、有料老人ホームの設置運営標準指導指針を改正したところであり、有料老人ホームの指導監督権限を有する東京都としても対策を強化すべきであると考えます。
 国の指針の改正を受け、都として有料老人ホームを運営する事業者などに対し適切な対応を取るよう指導すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、老人福祉法や国の標準指導指針等を踏まえて策定した指導指針に基づきまして、有料老人ホームの運営事業者に対して適切な施設運営やサービスの提供を行うよう指導を実施しております。
 昨年十二月に国の指針が改正されたことを踏まえまして、今後、有料老人ホームが、高齢者向け住まいへの入所希望者に関する情報提供などを行う事業者と、委託契約等を締結する場合の留意事項につきまして、都の指導指針に新たに盛り込み、必要な指導を実施してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。新たな指針を基に厳格な運用をお願いしたいと思います。
 また、私たちは、地域包括ケアの要であるケアマネジャーの処遇改善や資格要件の改善など、ケアマネ改革を進めてまいりました。
 今年度、国は、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会を開催し、資格がありながらもケアマネジャーの仕事に就いていない、いわゆる潜在ケアマネジャーに対する復職支援等の必要性について議論をしております。
 既に、人材紹介会社などでは、報奨金を支給することで復職支援を実施しているケースもあり、都としても、潜在ケアマネの復職に向けた実効性の高い施策を講じるべきと考えます。
 将来的な介護支援専門員の不足が懸念される中、都としても、人材確保に向け潜在ケアマネジャーを積極的に活用すべきと考えますが、今後の取組をお伺いいたします。

○山口福祉局長 都が今年度実施いたしました調査では、介護支援専門員の資格を有しながら職に従事していない、いわゆる潜在ケアマネジャーのうち、復職を検討している方や実務未経験者の半数以上が就労相談や復職、転職の際の支援を希望していることが明らかになりました。
 そのため、来年度から、潜在ケアマネジャーの就労に向けた相談窓口を新たに開設しまして、都の支援策や研修などの情報を提供するとともに、職場への定着を促すため、居宅介護支援事業所等に六か月以上従事した方に対しまして十万円の奨励金の支給を開始いたします。
 これらの取組によりまして、介護支援専門員のさらなる確保、定着を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。本制度の周知啓発をしっかり進め、ケアマネジャーの人材確保対策を進めていくことを求めたいと思います。
 また、私たちは、さきの本会議代表質問で、シニアの社会参加を支えるためにシルバーパスの改善を求めました。
 知事からは、アクティブな長寿社会の実現を目指し、高齢者施策全体を総合的に議論する中で制度の改善に向けて検討するとの答弁がありました。地域のコミュニティバスを支援し、シルバーパスの対象となるよう要望しておきたいと思います。
 続きまして、DXの進捗と今後の展望についてお伺いしたいと思います。
 二〇一七年の都議会議員就任以来、私たちは、小池知事と共に都政のデジタル化、DXを推進してまいりました。民間出身のCIO設置を求め、元ヤフー会長の宮坂学副知事就任後は爆速で都庁のデジタル化が進展いたしました。
 二〇二三年九月には外部DX組織GovTech東京を始動させ、同年八月には全国自治体初となる生成AI利活用ガイドラインを公表いたしました。
 現在、東京都AI戦略策定も進めております。二〇一七年から比べると、都政は驚くべき進化を遂げました。
 二〇一九年から副知事を務め、都政のDXを最前線で進めてきた宮坂副知事に、都政のこれまでのデジタル化、DXの進捗状況と総括、そして、生成AIなど新たなテクノロジーを都民サービスの向上にどのように生かしていくかなど、今後の展望についてお伺いをいたします。

○宮坂副知事 副知事就任以来、都庁のデジタル環境を刷新し、職員のワークスタイルを変革するとともに、顧客視点のサービスデザインを定着させてまいりました。また、ICT職の採用やGovTech東京の設立を通じて、デジタル化を加速する人材を約二百五十名確保し、質の高いサービスにつなげてきました。
 次なる挑戦は、組織分野を超えた政策DXの推進による都民が実感できるサービスの変革です。その鍵となるのは劇的な進化をし続けるAIの徹底活用でございます。来年度、GovTech東京に専門組織を設置し、現場のアイデアを基に業務効率化に役立つアプリを生み出していきます。
 また、東京アプリについては、将来的に様々なサービスの一元的な窓口に進化させ、都民と行政のつながり方を大きく変えることを目指します。
 世界で最も情報技術を使い倒す東京、便利で快適なスマート東京を実現してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 一方で、都民が行政サービスをより簡単便利に利用できるようにするためには、これまで以上に国や都、区市町村との連携が重要であり、都は来年度から、組織や分野を超えて業務改革を進める政策DXに本格的に取り組むとしております。その先行となる取組がこどもDXです。
 都は、令和五年十二月から、プッシュ型子育てサービスや保活ワンストップサービスなど、四つのこどもDXプロジェクトを推進してまいりました。これからの取組をさらに進めるためには、子育て世代からの要望が多いワンストップ、ワンスオンリーを様々なサービスで実現することで、負担の軽減や手取り時間の創出につなげることが重要です。
 その実現のためには、国や区市町村など多様な主体を巻き込み、組織の垣根を超えた取組を進めていく必要があると思いますが、都は来年度、こどもDXのさらなる展開に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

○山田デジタルサービス局長 都は、利用者視点に立ったサービス変革に向け、国や区市町村とも連携いたしまして、こどもDXを推進しているところでございます。
 保活ワンストップは、先行自治体で利用者から高い満足度を得ておりまして、都の先駆的な取組を基に、国は全国活用に向けたシステム構築を開始しております。
 来年度は、都内では昭島市など十九自治体にサービスを拡大するとともに、自治体への相談をオンラインで行える機能等を充実させ、成果を国と共有し、さらなる改善に努めていきたいと思います。
 また、区市町村とも連携いたしまして、出生届や児童手当など、出産後に複数の窓口に行く必要がある様々な手続のオンライン化、ワンストップ化に新たに着手いたします。
 組織横断で取組を推進いたしまして、子育て世代が便利になったと実感できるサービスを展開してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、私たちがこれまで度重なり要請をしてきた自然環境デジタルミュージアムについてお伺いをしたいと思います。
 こちらの具体化に向けていよいよ動き出すということで、都は先月、ミュージアムで備えていく機能などを明らかにした基本計画案を公表いたしました。
 東京は、奥多摩の山地から島しょ部まで多様で豊かな自然を有する世界でも類を見ない大都市です。しかしながら、東京の野生生物や生態系に関する情報は、これまで必ずしも十分に把握されてこなかったという課題があります。
 生物多様性の保全回復を進めていくためには、その前提として、東京の自然環境に関する情報が収集、蓄積されているということが重要です。こうした情報の基盤を整備することこそ、ミュージアムの根幹をなす取組になるのではないでしょうか。
 そこで、都としてどのように情報基盤の構築を進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

○須藤環境局長 ミュージアムの基本計画案では、多様な主体と連携しながら、東京の生物多様性に関する情報を収集、蓄積していくこととしております。
 このため、アプリなどを通じて都民から提供された野生生物の情報や今後収集していく標本や文献などの情報を基に、専門家の助言を踏まえ、デジタル版野生生物目録、東京いきもの台帳として作成を進めてまいります。
 加えて、他の博物館などとも連携を図ることで、過去から現在に至る東京の自然環境に関する情報を一元的に検索できるデータベースを構築してまいります。
 こうした取組により、専門家や都民それぞれのニーズに応じた活用が可能となる情報基盤を構築してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。大事なことは、苦労して集めた情報をいかに分かりやすく発信していくかという点にあると思います。私たちは、リアルな場や物が私たちに与える説得力は大きく、とりわけ生物の息遣いや存在感、フィールドとのつながりを重視していくことを提案してまいりました。
 そこで、収集した情報を基にどのように東京の自然の魅力を発信していくのか、伺いたいと思います。

○須藤環境局長 東京の自然の魅力を感じられる映像や、ARを用いた体感型コンテンツなどをSusHi Tech Squareに展示した東京自然いきもの展には、これまで延べ約五万七千人の方々にご来場いただいております。
 来年度は、こうしたコンテンツに加え、収蔵施設の整備に先行して収集した標本などをビジターセンターや公園施設等において巡回展示をすることで、より多くの都民が実物資料でしか得られない生き物のすばらしさ、不思議さに触れられる機会を提供してまいります。
 デジタルならではの表現力とリアルの持つ強みを組み合わせた発信を行っていくことで、都民の生物多様性への理解を醸成し、行動変容につなげてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。ミュージアムの管理運営の方針についてはこれから具体の検討に入られるとのことですが、ミュージアムの充実や積極的な利活用の推進において重要となるのは、人が果たす役割であります。
 基本計画案で示された、みんなでつくり、育てるとのコンセプトに沿って、ミュージアムが結節点となり、東京の強みである人材や専門機関の集積を生かして有機的に連携、活用を図りながら事業を進めていただくことを求めておきたいと思います。
 インクルーシブ社会実現のため、私たちは、情報保障にも力を入れてまいりました。都は、多様な色覚の方向けに東京都カラーユニバーサルデザインガイドラインを策定し、活用しておりますが、本ガイドラインは策定から十年が経過をしております。近年増加しているLDなどの発達障害や高齢化による白内障、さらには外国人の増加など、幅広い都民への情報保障を支えるものへとリニューアルすべきであると考えます。
 昨年の予算特別委員会での私たちの求めに応じ、都は、新ガイドライン策定に向け、検討をしていると認識をしております。
 全ての都民に優しい色やデザインとなるよう、検討の内容も踏まえ、早期にカラーユニバーサルデザインを改定すべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都はこれまで、色弱者などが必要な情報を得られるよう、見分けやすい色の選び方や色の組合せ方などのポイントをまとめたガイドラインを策定しまして、カラーユニバーサルデザインの取組を推進してまいりました。
 今年度、この取組をさらに進め、年齢、障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もがスムーズに情報を入手できるよう、学識経験者、当事者、事業者などで構成する検討会でガイドラインの改定を進めております。
 新たなガイドラインでは、文字の大きさや種類、行間や余白などレイアウトの工夫、やさしい日本語の使用など、分かりやすい表現方法を記載するほか、高齢者や障害者、外国人など対象者の特性に応じた配慮事項についても掲載する予定でございます。

○内山委員 新たなガイドラインの改定では、先ほど指摘した高齢者や障害など、あらゆる人にとって情報保障されたガイドラインになっていることが確認をされました。
 今後は、このガイドラインがあらゆる媒体に活用され、実効性高く取り組まれることが重要です。
 また、改定された新たなガイドラインが、全ての公共調達や広報物などに反映されるよう、庁内周知や入札要件の改善はもちろんのこと、区市町村にも本取組を広げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は来年度、印刷物やホームページなどを作成する際に新たなガイドラインの遵守を事業者に求めることを庁内に徹底するほか、職員向けにガイドラインの内容を解説する説明会を開催いたします。
 また、区市町村に対してガイドラインの積極的な活用を働きかけるとともに、都のホームページ等で幅広く周知するなど、情報アクセシビリティーの確保に向けた取組を一層推進してまいります。

○内山委員 ありがとうございました。続きまして、都のイベント運営の労働環境確保についてお伺いをしたいと思います。
 昨年十二月、GRAND CYCLE TOKYO実行委員会が主催するレインボーライド二〇二四が開催され、約六千人の参加者が東京の景色とともにサイクリングを楽しみました。参加者が安全にサイクリングをできたのは、コースの設営や案内誘導など、多くの関連事業者のスタッフの尽力があったからこそだと思います。
 しかし、昨年のイベントに関して、設営スタッフが寒空の下、何時間も待たされた、深夜に床で雑魚寝で仮眠を取らされたなど、一部の声を基にした労働環境を不安視する報道がありました。
 都では、全ての公共調達に対して受託者に適正な労務管理と労働環境の確保等を求める東京都社会的責任調達指針の適用がこの四月から開始される中、早急に改善が必要です。
 このイベントを安定的に運営していくためには、スタッフにも、またこのイベントに携わりたいと思ってもらえるよう、スタッフの労働環境に対する配慮も必要であり、レインボーライドにおいてはスタッフが気持ちよく働けるよう、実行委員会は次回の開催に向けてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○古屋生活文化スポーツ局長 本イベントは、千人規模のスタッフが参加し、深夜帯に準備を行うといった特殊性があるため、実行委員会は、スタッフが安全・安心に働ける環境を整えるとともに、都の契約制度等に準じ、法令遵守を徹底してまいりました。そのため、毎年イベント後は現場の課題や意見等を確認し、運営の質を向上させるサイクルを実施しております。
 来年度は、受託事業者の選定において、労働環境への配慮を新たに評価項目に加え、事業者の積極的な提案を求めることといたします。
 今後も安全・安心な運営を行いまして、参加者もスタッフも楽しめるイベントとしてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。レインボーライドは、自転車ファンのみならず、家族連れも楽しむことができ、都民の運動機会の提供、健康増進にもつながる意義のあるイベントだと思います。スタッフの労働環境にも配慮し、このイベントをますます大きく育てていってほしいと思います。
 続きまして、オーバーツーリズム未然防止についてお伺いをしたいと思います。
 東京の持続的な成長には、拡大が見込まれる海外観光需要の取り込みが欠かせず、さらに誘客を進めることは重要です。一方で、外国人観光客の急増による混雑など生活への影響を懸念するオーバーツーリズムの声も少なくありません。
 東京の観光振興を考える有識者会議では、オーバーツーリズム未然防止のため、都民生活への影響度を測る必要があり、旅行者とのトラブルの件数や住民意識などを地域ごとに調査することなどが提案をされております。
 観光による地域のにぎわいと良好な生活環境とのバランスを保つことが重要であり、都民ファーストの視点で、生活への影響の実態把握に努めるべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 観光振興により地域の活性化を図る上で、住民の生活環境との調和を図ることは重要でございます。
 都はこれまで、区市町村が外国人旅行者の増加に伴う混雑緩和対策などを行う場合、その経費について最大四分の三を助成しており、来年度もこうした支援を引き続き実施し、地域の取組を後押しいたします。
 また、四半期ごとに実施いたします観光に関する都民の意識調査におきまして、日常生活への影響などの調査項目を追加いたします。さらに、区市町村への丁寧なヒアリングなどを通じ、多くの旅行者が訪れる地域の実情や取組につきまして、継続的な把握に努めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。続きまして、立川防災拠点へのアクセスについてお伺いをしたいと思います。
 立川市の多摩広域防災倉庫は、二〇二八年頃に着工し、最新設備を備えた倉庫へと建て替えられる計画となっております。この施設は、多摩地域や都内全域の災害時司令塔として重要な役割を担い、非常時には十トントラックでの物資の搬出入が想定をされております。
 しかし、防災拠点へのアクセス道路への脆弱なところで直結する都市計画道路の早期推進や、中央自動車道へのアクセス向上は喫緊の課題となっております。加えて、広域的な視点では、高速道路から防災拠点へのアクセスの確保も必要であり、国に要望を行うなど、中央道に接続するスマートインターチェンジ等の実現に向けて取り組むべきであると考えます。
 いつ起きるか分からない首都直下地震に備えるためには、立川広域防災基地を中心とした災害対策のグランドイメージを見据えることが重要であり、防災基地へのアクセス強化が不可欠であると考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 あらゆるリスクから都民の命を守るためには、都心から離れた多摩地域におきまして様々な防災機関が集積をいたします立川広域防災基地の機能を最大限に発揮させるため、この基地へのアクセスを強化することが重要でございます。
 このため、多摩のまちづくり戦略案におきまして、骨格幹線道路の整備、鉄道との立体交差化の実現に加えまして、中央道へつながるスマートインターチェンジなどについて、取組の方向性を示したところでございます。
 都といたしましては、こうしたスマートインターチェンジなどの取組について、国に必要な協力を要請するとともに、関係者と連携しながら着実に実行しまして、首都東京のレジリエンスをさらに高めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。続きまして、五歳児健診発達検査についてお伺いをしたいと思います。
 私たちは障害のある子もない子も共に学び育つインクルーシブ社会の実現に取り組んでおりますが、発達障害と診断される子供は十年間で倍増しており、対策が急務です。
 私たちの提案により、昨年、都は、発達障害の早期診断、支援充実のための緊急対策事業を創設いたしました。こども家庭庁も発達障害の可能性を見極める五歳児健診の一〇〇%実施を目指しております。
 五歳児は自閉スペクトラム症やADHDなどの特性が顕在化しやすい時期とされ、適切なスクリーニングで課題を早期に把握し支援につなげることが重要ですが、区市町村では検査体制などに課題があります。
 都は、今年度始めた区市町村における発達調査に関する緊急支援を強化するとともに、五歳児健診の取組も進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は来年度から、発達検査体制の充実に向けまして、事前相談や検査後のフォローなどを行う人員配置等に取り組む区市町村を支援し、自治体職員向けの研修を充実するほか、初診待機の解消に取り組む医療機関への支援やデジタルブックによる保護者などへの普及啓発を進めてまいります。
 また、子供一人一人の発達特性を早期に把握する五歳児健診を推進するため、健診の実施や健診後のフォローアップに係る体制の構築などを行うコーディネーターを配置する区市町村への支援を開始いたします。
 こうした取組を通じまして、発達検査や五歳児健診の体制整備を都として強力に後押ししてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。最後に、大学提案についてお伺いをいたします。
 都は、都政の課題解決のため、令和元年度から大学提案制度を実施しております。大学の研究成果を都政に生かす画期的な仕組みで、大学関係者や都民から高い評価を得ています。しかし最近、一部の大学で研究者による経費の不正使用疑惑が発生し、この取組に水を差される事態となってしまっております。
 大学提案制度は、東京都というフィールドを生かし、大学の研究成果を都民に直接還元する貴重な制度です。この歩みを止めることなく発展させ、成果をしっかり発信して、多くの方に知っていただくべきだと思います。
 大学提案制度のこれまでの成果と今後の展開について知事の見解を伺います。

○小池知事 大学研究者による事業提案制度でございますが、都内の大学研究者の研究成果などを都の施策に積極的に活用するために、令和元年度予算編成から導入をいたしました。
 具体的な成果といたしましては、例えば、令和元年度予算編成におきまして、東京大学から、都民がスマートフォンを通じ、都道の不具合を投稿できるアプリの提案がございました。現在では、これがMy City Reportという名称で、都道や都立公園などの管理に活用し、現場の巡回だけでは発見しづらかった損傷箇所の補修につなげるなど、インフラの安全性の確保に大きく貢献をしております。
 このように、大学研究者の知見を都の施策として発展させていくことによりまして、幅広い分野で都政の課題解決につなげてまいります。
 今後、さらに大学提案の成果に関する広報を強化いたしまして、効果的な発信に取り組むことで、大学研究者の提案意欲の増進や都民の理解促進を一層図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。東京都は、立地的にも大学や研究機関が集積する、そういった強みがあると思います。引き続き、この大学提案の事業、この成果を大きく拡充していただくよう要望したいと思います。
 令和七年度の予算は、強固な財政基盤を堅持しつつ、二〇五〇東京戦略に基づき、子育て、教育、福祉、医療、環境など、まさに私たち都民の生活を様々なニーズで支える予算となっております。
 私たちが生活に、例えば、子供を預けられない、また親の介護がある、こういった不安を抱えながらであると、なかなか仕事に全力を傾けることができない、そういった事態にもなっていきます。都民の皆さんがしっかりと自らの力を十分に発揮して活躍できる、そういった環境の整備というものは極めて重要だと思います。
 私たち都民ファーストの会東京都議団は、都民の一人一人の思いや願いを受け止めつつ、東京の未来を切り開いていくため、引き続き、全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

○尾崎副委員長 内山真吾理事の発言は終わりました。