○川松委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
この際、過日の総括質疑を踏まえて、理事者の皆様に申し上げます。
委員会に出席するに当たっては、委員はもとより、全ての都民の皆様に対して、より一層真摯な態度で臨んでいただきたいと思います。
また、答弁に際しては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
これより付託議案の審査を行います。
第一号議案から第二十八号議案まで、第百五十九号議案及び第百六十号議案を一括して議題といたします。
この際、部局別質疑について申し上げます。
去る三月十四日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
これより締めくくり総括質疑を行います。
順次発言を許します。
菅野弘一委員の発言を許します。
○菅野委員 それでは、私の方から締めくくりの総括質疑をさせていただきます。
まず、都の財政運営に関連して、レジリエンスボンドの働きかけについてちょっと伺いたいと思います。
都税収入は堅調で、令和七年度予算案においても、六年度の当初予算額と比べて八・五%の増収を見込んでいます。
一方、都は、平成二十九年度に自治体として初めてグリーンボンドを二百億円発行して以来、SDGs債の発行額を年々増額しており、令和七年度では全体で千三百億円発行することになります。その中には、来年度新たに発行するTOKYOレジリエンスボンドも含まれています。
財政状況は、近年良好であります。都債全体の発行額も抑制している中で、SDGs債を増額することは、すぐには理解しにくい。分かりやすく説明する必要があるかと思います。
先日の本委員会総括質疑でのレジリエンスボンドに関する我が会派の質問に対して、風水害対策等に多様な投資家からの資金を呼び込むとともに、海外に向けて都の強靱化対策を発信していくんだという答弁がございました。
レジリエンスボンドのポイントは、まさにこの点にあると思います。海外投資家の支持を得ることなしには、発行は成功しないものであります。
そして、支持を得るには、単なる発信から一歩踏み込んだ海外投資家とのコミュニケーションが有効であると思います。
そこで、TOKYOレジリエンスボンドに関し、海外投資家に向けてどのように働きかけるのか伺いたいと思います。
○山下財務局長 TOKYOレジリエンスボンドの発行に当たりましては、都の風水害対策等に対する海外投資家の理解を深める取組により、投資意欲を喚起することが重要でございます。
そのため、今後、海外の金融機関や資産運用会社などSDGs投資家との対話の機会を設け、充当対象となる施策の重要性を説明するなど、レジリエンスボンドの意義を直接投資家に訴求してまいります。
また、投資家からの意見を踏まえ、PRポイントを分かりやすくまとめ、国内外の金融経済誌に情報提供するなど、メディアを通じた発信も戦略的に実施いたします。
こうした取組によりまして、世界の金融市場に対し、都の気候変動適応策や、その成果を積極的に伝えることで、海外からの投資資金を広く呼び込んでまいります。
○菅野委員 レジリエンスボンドの成功は、都の強靱化対策の財源をさらに安定的にすると同時に、温暖化対策による災害対策に取り組まなければならないほかの自治体などにも寄与すると思います。
答弁いただいた取組を行うことで着実に投資資金を獲得して、金融市場におけるレジリエンスボンドの評価を確たるものにしていただきたいと思います。
次に、官民連携ファンドについて伺いたいと思います。
官民連携ファンドは、採算性が不透明で未成熟な投資分野に新たな資金の流れを生み出すために、行政の出資を呼び水に、民間の資金やノウハウを引き出す役割を果たすものとして、これまで取り組まれてきています。
国においても、政府の成長戦略の実現、地域活性化への貢献、新たな産業、市場の創出などの観点から、官民ファンドの活用を推進してきておりますが、一部ファンドにおける損失の発生や、官民の出資バランスの課題などが指摘をされています。
都も、幾つかの局で様々な官民連携ファンドが設けられています。一つ一つのファンドの運営は民間の運営事業者が担うものではありますが、都としてリスクを低減しつつ、政策目的を達成するためには、統一的かつ専門的な視点から、官民連携ファンド全体をしっかりとマネジメントしていくことが重要と考えます。都の見解を伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 都が設置運営いたします官民連携ファンドが全体として効果的に運営されるよう、外部の有識者から助言をいただきながら、今年度、関係局から成る検討チームを立ち上げ、統一的な視点でファンドの管理運営を行うための検討を進めてまいりました。
この中で、対象とする政策領域、官民の出資比率、収益性などの考え方、ファンド運営の監視や成果の公表等の際の留意点などを議論いたしまして、適切なマネジメントに向けた認識を共有いたしました。
今後、こうした共通の目線に立って、ファンドのモニタリングをさらに強化するとともに、時宜にかなった分野を選定し、黎明期にある市場に資金を呼び込むことで、官民連携ファンドの役割を果たしてまいります。
○菅野委員 来月から東証プライム市場において、決算短信等の企業情報の英文同時開示が義務化されます。都も、金融・資産運用特区の提案において、英文情報開示の推進を掲げておりますが、こうした取組が進むことで、海外からの投資を呼び込むとともに、海外投資家との対話を通じた企業の国際競争力の強化が期待をされます。
一方で、グロース、スタンダード市場等の規模の小さい企業では、英文情報開示のための体制が整っていないと聞いています。
昨年第一回定例会の我が党の代表質問においては、都は、この英文情報開示の推進に当たって、AIを活用した取組を進めていくということでありましたが、その後の取組を聞きたいと思います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 都は、金融専用モデルとして開発されましたAI翻訳システムにつきまして、今年度、国の情報通信研究機構等の協力を得て、さらなる精度向上に取り組みました。
開示義務対象となる決算短信の過去の日英、日本語と英語のデータを集中的に学習させた結果、翻訳精度が学習前の六割から九割以上へと大幅に向上し、実務での活用を推奨できるレベルとの評価を得ました。来年度、この技術による民間事業者のIR文書翻訳サービスが提供される予定でございます。
都は、義務化されるプライム市場での活用を促すとともに、それ以外のグロース等の企業百社程度に翻訳ライセンスを付与し、専門家によるハンズオン支援を実施するなど、AI翻訳の活用を促進し、英文IRに取り組む企業の裾野を広げてまいります。
○菅野委員 英文情報開示には、企業のIR人材やノウハウの不足などの課題があるといわれています。
ただいま答弁のあったAI翻訳の活用は、マンパワーの限られる企業などの負担軽減には有効と思われます。プライムに加え、グロースやスタンダード市場の企業の実務でもAI翻訳を活用してもらうことで、英文情報開示の裾野を広げて、海外からの投資の呼び込みと企業のグローバル化をぜひ進めていただきたいと思います。
次に、入札制度にちょっと関連して伺いたいと思います。
都は、工事契約の入札において、総合評価方式による場合、四つの類型を整備しています。そのうち、技術的課題の少ない比較的大規模の工事案件において活用される技術実績評価型は、事業者の過去の実績を中心に加点する仕組みでありますが、事業者の社会性や信頼性として、地元事業者を加点する項目を設定しています。
総合評価方式において地元事業者を加点して受注機会の確保を図ることは、地域経済の活性化のみならず、都の防災力強化の観点からも重要だと思います。
しかし、事業者からは、都の現在の制度では、地元事業者への加点が十分に行われていないとの声も聞きます。地元事業者の受注機会確保のため、制度の検証、そして見直しが必要と考えますが、見解を伺います。
○山下財務局長 技術実績評価型総合評価方式の評価項目は、企業の社会性、信頼性といたしまして、環境への配慮や、女性の活躍推進の実績などを設定するほか、災害協定の締結や、地域内における本店等の所在の有無などの五つの評価項目から、案件ごとに都が二項目を選択して設定する形式としております。
中小建設事業者は、都民生活の基盤となる社会資本の整備を担うとともに、災害時における地域の守り手であるということから、この果たす役割は重要であると認識しております。
今後、技術実績評価型の適用案件における選択項目の設定状況や加点状況の確認を行いまして、評価項目の在り方について検証を行ってまいります。
○菅野委員 あわせて、都発注の土木工事における出来形数量の根拠資料の一部省略というのがあるんですが、これについて発注者と受注者双方に浸透させていくことが重要であると考えます。今後どのように対応していくのか伺いたいと思います。
○山下財務局長 都は、受注者の負担軽減に向け、昨年十一月以降の発注工事等におきまして、出来形数量の根拠資料の一部省略を可能といたしました。この取組を進めていくためには、検査等における具体的な運用について、受発注者ともに理解を深めていくことが重要でございます。
このため、監督員や検査員の理解が深まるよう、検査の手順書を作成するとともに、関係局で構成される協議会を通じ、これを周知してまいりました。
今後は、各局職員を対象とした研修の実施や、受注者向けにポイントをまとめたマニュアルの作成に取り組み、実効性を高めてまいります。
○菅野委員 ぜひとも理解を深めていただいて、より多くの事業者に利用していただけるようにお願いしたいなと思います。
続いて、契約手続における事業者の負担軽減について伺いたいと思います。
都政の構造改革における契約手続のデジタル化でございますが、これについて伺います。
事業者の負担軽減を図るため、都は、契約請求システムの導入を進めて、今年度から、デジタルサービス局と財務局が行う物品購入や委託契約を対象に運用を開始し、順次拡大していくと聞いています。
今後、工事契約にもぜひ拡大することで、従来の紙ベースの書類作成や管理をデジタル化して、コストの削減や迅速な処理を可能とするなど、事業者の手間を減らしていくべきだと思います。
契約請求システムの活用を広げ、さらに事業者の負担軽減につながることが重要だと考えていますが、来年度はどのように取り組むのか伺いたいと思います。
○山田デジタルサービス局長 契約請求システムにつきましては、物品購入契約と委託契約で、来年度から全ての知事部局等での利用を開始いたします。さらに、工事契約につきましては、段階的に運用を開始し、令和八年度中に本格稼働をいたします。
これによりまして、前払い金の請求や完了検査などに必要な書類がオンラインで提出可能となるとともに、請求手続の進捗状況などもシステム上で確認できるようになります。
また、会計制度等が異なります公営企業局への導入に向けまして、来年度、構築に必要な要件を取りまとめてまいります。
各局と連携いたしまして、事業者の利便性向上に取り組んでまいります。
○菅野委員 ぜひとも、そうした事業者の利便性向上、これについてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
さて、都の重要課題、これは国もそうですが、重要課題であります、知事が一生懸命、全力で取り組んでいただいております、少子化対策についてちょっと伺いたいと思います。
まず、子育て支援施策の都民の受け止めについて伺っておきたいと思います。
報道によれば、昨年の出生数は七十万人を割り込む見通しであります。この五十年あまり、我が国の出生数は三分の一まで減少しています。
急激な少子化は、社会保障における現役世代の負担増加や、市場規模の縮小など、我が国の社会経済に影響を及ぼすことが指摘されて久しいわけですが、近年、少子化の影響をリアルに実感されるようになったのが、まさに人手不足であります。我が国は、今まさに社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際にあります。
一方、少子化は、社会の様々な課題や価値観の変化などが影響しており、何か一つの有効な処方箋があるわけではありません。
この間、都は、最重要課題の一つとして少子化対策に取り組み、〇一八サポートの創設など、大胆な施策を果断に講じてきたところであり、国政にも大きなインパクトを与えていると思います。
さらに、都独自の子育て支援策は、子育て中の方はもとより、これから子供を産み育てたいと考えている方々に対する都の応援メッセージというふうに受け止められているものだと思います。
そこでまず、東京の子育て施策が都民にどのように受け止められているのかについて、客観的なデータがあればお示しいただきたいと思います。
○田中子供政策連携室長 都が今年度、都内在住の若年層と子育て世代一万人を対象に行ったアンケート調査によりますと、都の子供、子育て支援施策が充実していると思うかという質問に対しまして、既婚者については五二・三%が肯定的な評価を示しており、否定的な評価を約二〇ポイント上回っております。
また、子供がいらっしゃる方につきましては、五七・六%が肯定的な評価を示しており、否定的な評価を約三〇ポイント上回っております。
○菅野委員 都が進める少子化対策が、多くの都民の意識に寄与していることが分かります。
一方で、現時点では、少子化の進行に歯止めがかかっているわけではありません。現在子育てをしている方々のニーズに応え、対策をさらに充実していくことはもちろん、これから子育て世代になる方々にとっても、希望が持てる少子化対策を継続的に展開していくことが何よりも重要であります。
大都市東京は、若者が多く集まり、雇用や出会いの機会を提供する機能もあることから、少子化に歯止めをかけるためには、都民目線に立った少子化対策の充実強化が鍵を握っているといっても過言ではないと思います。
そこで、少子化という国難に対する知事の認識と決意を伺っておきたいと思います。
○小池知事 想定を超えるペースで進展する少子化でございますが、日本社会の存立基盤を揺るがす重大な危機でございまして、国が戦略的に取り組むべきでございます。
一刻の猶予も許されないとの認識の下で、国の児童手当の所得制限撤廃にもつながりました〇一八サポートの創設など、国をも先導する取組を迅速に講じてまいりました。
こうした中、先月公表されました国の調査では、出生数の先行指標ともいわれます婚姻数について、令和六年の都の速報値が前年実績を上回ることが明らかとなりました。
これは、今後の出生数の増加につながり得る明るい兆しであると、このように受け止めております。
引き続き、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、幅広い政策分野において、都民の不安、悩みに寄り添った施策に果断に取り組み、結婚したい、子供を持ちたいと望む人を強力に後押ししてまいります。
○菅野委員 ぜひ幅広い範囲で政策を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
また、少子化対策と並んで、やはりしっかりと力を尽くしていかなければならない、高齢者施策というものがございます。この予算委員会でも様々そうした関連な質疑がされたところではありますけれども、改めてお聞きしておきたいことがございます。
まず、介護人材の確保、定着、育成などに関して伺いたいと思います。
昨今の人材不足や賃金の上昇で人材獲得が激化する中で、必要な人材を確保していくには、そうした介護現場を魅力的な職場環境に変革することが重要だと思います。
そこで、業務の効率化や職員の負担軽減を進め、介護現場のDXを推進していく必要があると考えますが、都の取組を伺いたいと思います。
○山口福祉局長 都はこれまで、車椅子やベッドなどからの移動時の介護のほか、見守りなどを支援する次世代介護機器や、介護記録を作成、共有するデジタル機器等の導入経費の補助などを行いまして、介護現場における業務の効率化や職員の負担軽減を図ってまいりました。
来年度は、身体機能などの訓練や食事、栄養管理を支援する機器等を新たに次世代介護機器導入補助の対象といたします。
また、デジタル機器等の補助対象につきまして、入所施設などを含む全てのサービス種別に拡大するとともに、職員数が百十一人以上の場合で補助上限額を五百万円とするなど、充実を図ります。
今後、介護現場のDXを一層推進しまして、介護人材の確保、定着、育成に取り組んでまいります。
○菅野委員 またさらに、最近やはり単身の高齢者、大変増加をしております。
私の周りでも本当にお一人暮らしの方が大変増えているという中で、特に昨今は、地域の支え合い、こういったものが以前に比べると非常に低下しているということで、一人暮らし高齢者は生活や健康に関する悩みに対し不安を抱えています。
本定例会の代表質問で、地域包括支援センターへの支援強化を求めましたが、改めて、各地域における高齢者の相談体制や見守りの強化に向けた都の見解を伺っておきたいと思います。
○山口福祉局長 都は、一人暮らし高齢者からの相談などを必要なサービスにつなげられるよう、地域包括支援センターの相談支援体制の充実や、高齢者が元気なうちに死後の対応などの助言が受けられる、総合相談窓口の設置などを行う区市町村を独自に支援しております。
来年度は、高齢者へのアウトリーチの強化に加えまして、自治会、民生委員のほか、理美容業など高齢者に身近な生活関連サービス事業者などとも連携した地域づくりを推進するため、見守り相談拠点整備に取り組む区市町村への支援を充実いたします。
こうした取組によりまして、区市町村における高齢者の相談体制や見守り体制の整備をさらに推進してまいります。
○菅野委員 また、もう一方で、やはり元気で長生きをしていただく、これが高齢の方にとっても大事なことであります。そうした意味では、高齢者の活躍、これをしっかりと支える必要があると思います。
六十五歳以上の約八割がそれでも元気な高齢者といわれていますが、こうした方々が健康を維持しながらボランティアなどに参加して社会を支える、また、生きがいや役割を持って自身の健康を維持する、こうした高齢者が活躍する社会、これをしっかりと進めるべきだと思います。
こうしたことについての知事の見解を伺っておきたいと思います。
○小池知事 来るべき超高齢社会をポジティブに捉え、人生百年時代におきまして、高齢者が生き生きと活躍し続けることができますよう、健康長寿社会を見据えた取組を促進する、このことは重要でございます。
そのため、都は、文化、芸術、スポーツなど、高齢者の生きがいづくりや自己実現、フレイル予防につながる区市町村の取組を支援しております。
来年度は、高齢者の興味や関心に応じまして、地域や自治体などの様々な社会活動や健康づくりなどとマッチングを行うオンラインプラットフォーム百年活躍ナビの運用を開始いたしまして、参加状況に応じまして東京ポイントを付与いたしてまいります。
こうした取組によって、高齢者の健康づくりと社会参加を積極的に促して、活力にあふれるアクティブな長寿社会を実現してまいります。
○菅野委員 ヘルプマークについて伺いたいと思います。
内部障害者は、外見からは分かりにくく、社会的認知度も低いため、優先席に座っていると冷ややかな目で見られるなど、日常生活の中で様々な誤解を受けることがありました。
こうした内部障害のほか、義足、人工関節を使用している方、難病や妊娠初期など、目に見えない障害を持っている方が、援助や配慮を必要としていることを知らせ、援助が得やすい東京都が作成したマークがヘルプマークであります。
今年は東京でデフリンピックや世界陸上も開催され、東京が世界から注目を集める絶好の機会であります。この機会を捉えて、国内外に積極的に発信していくべきだと考えます。
そこで、来年度の普及啓発に向けた取組について、知事のご認識を伺いたいと思います。
○小池知事 ヘルプマークは、外見からは分からなくとも、援助、また配慮が必要であるということを知らせるマークとして、都が平成二十四年に作成をし、平成二十九年には東京二〇二〇大会を契機にJIS規格に登録をされまして、現在では全国共通のマークとして浸透が進んでおります。
来年度、さらなる認知度向上を図るため、世界陸上やデフリンピックの開催時期に合わせまして、ファミリー層や若者など多くの方々が集まるショッピングモールなどでヘルプマークを紹介するとともに、デフリンピックの競技会場にもポスターを掲示することといたしております。
こうした取組に加えて、新たにヘルプマークの日を定めまして、SNSなどを活用して国内外に積極的に発信するなど、共生社会の実現に向けて、さらなる普及啓発を進めてまいります。
○菅野委員 二〇一二年に東京都でこのヘルプマーク、配布が始まりまして、二〇一七年七月二十日にJISに登録をされて全国統一基準となりました。この日であれば、世界陸上やデフリンピックを生かすこともできます。ぜひこの機会を生かしてほしいと要望させていただきたいと思います。
次に、電子カルテについて伺いたいと思います。
医療機関の電子カルテの導入推進についてですが、今後、高齢化が進展する中で、都民が必要なときに必要な医療を適切に受けられる環境の整備が重要であります。
そのためには、医療機関のデジタル化を進め、患者の医療情報を効率的に連携することが不可欠であるということで、先日、我が党の東議員の一般質問において、都は、電子カルテの導入を加速化させ、デジタル技術を活用した医療連携を推進していくとの答弁をいただきました。
医療機関に対する電子カルテの導入をしっかりと進めるために、短期集中的かつ関係団体を巻き込んで取り組んでいくことが必要と考えます。今後、都はどのように取り組むのか、見解を伺いたいと思います。
○雲田保健医療局長 都民が質の高い医療を効果的に受けられますよう、医療機関相互の情報共有の基盤となる電子カルテについて、患者のメリットなどのさらなる理解促進や医療機関の取組の後押しを図り、導入を促進する必要がございます。
このため、都は、医療関係団体や患者などで構成する会議体を新設し、導入の目標や患者目線からの効果を共有するなど、関係者が一体となって取組を進めてまいります。
加えて、来年度からの三年間を重点支援期間とし、電子カルテの導入やセキュリティ対策の補助を拡充するほか、医療機関でDXを推進する人材の育成支援を開始いたします。
こうした取組によりまして、電子カルテの導入を加速し、将来にわたって質の高い医療提供体制を確保してまいります。
○菅野委員 ぜひ、三年間、重点期間を使われるということですので、ぜひその三年の期間でしっかりと進めていただきたいと思います。
ここから災害対策、防災対策に行きたいと思います。
近年、全国各地で大規模災害が相次いでいます。こうした中、今年一月には、南海トラフ地震の発生確率が八〇%へと引き上げられました。依然として切迫性の高い首都直下地震など、東京においても大規模災害への備えは急務であります。
東京には、政治経済機能が集積するだけでなく、木造住宅密集地域やタワーマンションが林立する湾岸エリアなど、人口密度の高い地域が点在しており、首都直下地震など大規模災害が発生した場合、こうした東京の特性から、想定を上回る様々な事態が発生することを視野に入れる必要があります。
こうした状況においては、東京都のみならず、区市町村、警察、消防、自衛隊、関係機関など、各主体が一体となって対処に当たることが重要です。
そこで、関係機関が一丸となって、被害の状況に応じて災害対処ができるよう、その実効性を高めるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○佐藤総務局長 地域防災計画では、都や区市町村、警察、消防等の関係機関の役割を定め、それに基づき、おのおのが対応マニュアルを策定し、災害対処を実施することとしております。
能登半島地震では、道路の寸断により重機が搬入できない、被災者や被害に関する情報の共有に時間を要するなど、災害現場における対処や関係者間の連携に様々な課題が顕在化いたしました。
都は、甚大な被害が想定される首都直下地震等への備えに万全を期すため、来年度、救出救助、ライフライン復旧、被災者支援などの役割を担う各主体がそれぞれの力を最大限に発揮し、有機的に連携した、より実効性の高い災害対処が行えるよう、検討を進めてまいります。
○菅野委員 災害は発生の時期、時間などによって異なることから、どれ一つ取っても同じものはありません。
実際の災害発生時に臨機応変に対応することができるように、いつ起こるともしれない大規模災害に備えて、ぜひ関係機関との議論を進めていただきたいと思います。
次に、マンション防災について伺いたいと思います。
災害時の避難生活の質を高めるには、自宅での在宅避難が続けられることが重要です。都はこれまで、東京とどまるマンションの普及に取り組み、防災備蓄資器材や非常用電源などの補助の実施、来年度に向けてエレベーター閉じ込め防止やマンホールトイレ整備など、さらなる支援策を予算案に計上しており、これらの取組は我が会派の要望に応えるもので、高く評価をしております。
また、私の地元港区では、携帯トイレの各戸配布や、エレベーター用防災キャビネットの配布などの支援が実施されており、ほかの自治体においても様々な支援策が打ち出されるなど、マンション防災は各自治体においても広がりを見せております。
こうした動きは好ましいものでありますが、一方、マンション側からは、様々な支援策があるものの、どのように取り組んでいけばいいのか分からないという声も聞かれます。
そこで、地元自治体との連携を一層強化しながら、マンションで効果的に対策が進むよう取り組むべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○小笠原住宅政策本部長 マンション防災の取組を推進するためには、都や区市町村の支援策の相乗効果を発揮する視点が重要でございます。
都は来年度、在宅避難の実効性を高めるため、エレベーターのリスタート機能の追加など、ハード面の補助メニューをさらに拡充する予定でございまして、このタイミングを捉え、管理組合等への周知を一層強化いたします。
具体的には、都や各区市町村がそれぞれ実施する支援策の特徴や要件等の違いを明確にするリーフレットを作成し、都や区市町村が実施するセミナーや専門家派遣において活用するなど、区市町村と連携して周知を図ってまいります。
こうした取組によりまして、管理組合等が最適な支援策を選択し、効果的に活用できるよう促してまいります。
○菅野委員 ぜひ効果的に活用していただきたいと思いますが、また一方で、私がいる港区は区民の九割以上がマンションに居住しています。その中には、いわゆるタワマンといわれる超高層マンションで暮らす方も多くいらっしゃいます。
都は、建物の被害が軽微であれば在宅避難が可能となることは都民に対して周知をしておりますけれども、こうしたマンションをはじめとする自宅で避難生活を送る方々に、物資や情報が確実に届くようにしていただきたいと思います。ぜひ見解を伺いたいと思います。
○佐藤総務局長 都はこれまで、防災ブックや防災アプリなどにより、在宅避難のための備えを周知してまいりました。特にマンションにつきましては、エレベーターやトイレが使えなくなるといった課題があるため、リーフレットやセミナーを活用し、各家庭や管理組合などがあらかじめ備えておくべきことについて普及啓発を行ってまいりました。
来年度は、避難者が著しく多いことや、在宅避難が可能なマンションが多数存在するという東京の特徴などを踏まえまして、在宅避難も含めた避難者支援全体の在り方について検討を進めていくことにしております。
○菅野委員 ぜひとも、そういった集合住宅、特にマンション等の対策をよろしくお願いしたいと思います。
続いて、都保健所の災害対策について伺いたいと思います。
都は、令和六年度、都保健所と市町村との連携強化を進めるため、多摩地域の都保健所に市町村連携課を新設するという大きな組織改正を行いました。
市町村連携課の設置は、新型コロナ対応を踏まえて、次の新興感染症に備えるということがきっかけであったとは思いますが、都保健所と市町村の連携強化は大規模な災害発生時にも役立つと考えます。
都保健所が地域の拠点としての役割をしっかりと果たせるよう、市町村と連携して大規模災害への備えを行うべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○雲田保健医療局長 都保健所は、災害時に市町村が避難所で実施する避難者の健康管理などの保健活動を、地域保健に関する専門的、技術的拠点として支援する役割を担っております。
今年度は、能登半島地震の経験を踏まえ、避難所での感染症予防を含めた衛生管理や健康管理に関する研修会、避難所運営の様々な状況を想定したシミュレーション型訓練を実施し、災害時の保健活動に関する意見交換を行うなど、市町村ごとに課題の共有を図っております。
こうした取組を踏まえまして、来年度は、災害時の役割分担や対応の流れの具体化を進めるなど、市町村と連携を図りながら、大規模災害への備えを着実に進めてまいります。
○菅野委員 そうした災害発生時には、膨大な情報を関係者間で迅速に共有する必要があると思います。
都は、新型コロナ対応の教訓を踏まえ、保健所業務のDXを進めてきているわけですが、災害対応を円滑に行うためにも、デジタルツールの活用が必要であります。
また、能登半島の地震では、今お話あった通信網が寸断され、携帯電話やネット回線が利用できなくなり、初動対応に支障が生じたということで、通信環境の確保も重要であると思います。都の見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は来年度新たに、災害時に市町村の被災状況や支援のニーズなどを速やかに把握し、避難所における保健衛生対策を的確に支援できるよう、都の本庁、保健所及び市町村などの関係機関が迅速かつ効率的に多くの情報を共有できるクラウド型システムを導入いたします。
また、基地局の損壊などにより通信事業者の回線が使用できない場合にも通信手段を確実に確保するため、従来の防災行政無線や衛星電話に加え、大容量のデータ通信が可能となるモバイル衛星通信機器を都保健所に配備いたします。
こうしたデジタルツールを活用した環境整備を進めることによりまして、災害時に保健所や関係機関が円滑に連携して対応する体制の強化を図ってまいります。
○菅野委員 次に、林野火災について伺いたいと思います。
ロサンゼルスの山火事は、その被害の大きさなどが話題になったところであります。
国内においても、岩手県大船渡市や山梨県大月市で大規模な山火事が発生しました。また、長期にわたり消火活動が行われましたが、現在も愛媛県今治市や岡山市で山火事はいまだ消火活動が続いているということで、被災された皆様には本当にお見舞いを申し上げたいと思います。
そういった一方で、東京も面積の約四割が森林とされており、そのうち約七割を多摩地域が占めています。
このような状況を踏まえて、林野火災が発生しないにこしたことはないですが、万が一、都内においても林野火災が発生した際の対応について、消防庁の見解を伺いたいと思います。
○吉田消防総監 林野火災は、気象や地形等の影響により広範囲に延焼する危険があり、消防活動が長時間となることから、隊員及び資機材を迅速に集結させることが重要でございます。
都内で林野火災が発生した際は、直ちに消防ヘリコプターによる空中消火を行うとともに、地上から部隊を投入し、傾斜地においても機動的に走行できる車両等を用いた消防活動を展開いたします。さらに、車両が進入困難な場所では、隊員による背負い式のポンプを活用した消火活動を行うなど、全消防力を投入し対応いたします。
今後、ロサンゼルス市や大船渡市などで発生した林野火災の被害や活動状況等を検証し、さらなる消防活動体制の強化に努めてまいります。
○菅野委員 ぜひ様々な状況も検証しながら、さらに東京を安全な、林野火災にも強い、そうした都市にしていただきたいと思います。
続いて、まちづくりに関して伺いたいと思います。
まず、品川駅周辺のまちづくりについてお聞きしたいと思います。
品川駅は羽田空港に直結するとともに、今後、リニア中央新幹線や品川地下鉄の駅ができます。交通利便性の高いこの地区は、日本の玄関口として国際交流拠点を形成するため、複数の再開発事業などの整備が進められています。
今後、これらの開発が進むことにより、品川駅周辺では、国内外から多くの人や物が往来することになります。そのためには、都は、道路などの都市基盤整備とまちづくりという二つの視点から開発を進めることが重要と考えます。
私の地元高輪では、本拠点につながる幹線道路である環状四号線の整備が行われていますが、環状四号線高輪区間の現在の状況と今後の取組を伺っておきたいと思います。
○谷崎東京都技監 環状四号線は、広域道路ネットワークを形成するとともに、国際交流拠点品川の実現に不可欠な路線でございます。
高輪区間は、品川駅、田町駅周辺のまちづくりガイドラインにおきまして、緑、にぎわいが一体となった沿道エリアを形成することとしており、都有地を活用した土地区画整理事業等による道路整備を進めております。
昨年二月に施行認可を取得し、現在、道路用地の確保などを進めており、令和七年度は、地権者の移転先となる都有地での宅地造成工事などを実施いたします。
引き続き、地権者の声を丁寧に聞きながら、環状第四号線の整備を着実に進めてまいります。
○菅野委員 この地域に関わっている方たちの期待も大きいので、ぜひ前向きに進めていただきたいなと思っています。
続いて、品川駅周辺地域のまちづくりを進めることは、国際競争力を高めることになり、非常に意義があるものと考えます。
そこで、この品川駅周辺地域については、行政と事業者が連携し、にぎわいや文化が感じられる一体となったまちづくりの実施が求められていると思います。都の見解を伺いたいと思います。
○谷崎東京都技監 都は、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインを策定し、本地域の将来像を、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点品川と定め、拠点としての機能強化に取り組んでおります。
今月二十七日には、TAKANAWA GATEWAY CITYのまち開きを迎えるなど、まちづくりが着実に進んでおります。
引き続き、都は、事業主体や開発時期が異なる個々の事業につきまして、駅や駅前広場と周辺建築物が一体となった象徴的でにぎわいのある拠点の形成を図るなど、世界中から人を引きつける魅力あふれた先進的かつ文化的な都市を目指し、まちづくりを進めてまいります。
○菅野委員 こうした都市づくりというのは、国際競争力といった都市の活力や、防災、そして環境、景観形成など、多様な観点から長期的に考えていくことが重要であります。
とりわけ拠点や地域の特性に応じた将来像を実現する上で、再開発は不足している道路や公園など、計画的に整備するとともに、良好な生活環境を備えた住宅の供給や都市機能の更新を図るなど、安全かつ快適な生活空間を創出する総合的なまちづくりとなります。これは重要な取組と私は考えます。
また、再開発による街区の再編や、高度利用により生み出された交流施設、また広場などによって、地域コミュニティの維持や活性化を図り、にぎわいを醸成していくことも大事であります。
我が党は、かねてより再開発のこうした重要性を踏まえて、東京を世界一の都市とするために、都市機能の強化やプレゼンス向上などに向け、政策を提言してまいりました。
各拠点における再開発を積極的に推進することで、都市の持続的な成熟を促し、都民が夢と希望に満ちて活躍することができる東京を実現していくこと、これが極めて重要ということを申し添えて、次の質問に移ります。
続いて、築地まちづくりについてですね、我が会派はこれまで、事業の具体化を事業予定者任せにするのではなくて、都もしっかりと関わりながら検討を進めていくべきと訴えてきました。
都は、我が会派の主張も踏まえて、今年度、有識者も交えたマネジメント会議を設置して、審査過程で出された附帯意見への対応などについて意見交換を行ってきております。計画はどのようにブラッシュアップされ、今後、その計画の実現に向けて都はどのように取り組むのか、伺っておきたいと思います。
○谷崎東京都技監 本事業は、浜離宮や隅田川など水と緑に恵まれ、歴史、文化など高いポテンシャルを有する貴重な土地を長期間活用する重要なプロジェクトでございます。
都は、マネジメント会議等を通じ計画のブラッシュアップを図ってまいりました。
事業予定者からは、附帯意見への対応といたしまして、地区外との回遊性や歩行者の安全性を確保するためのデッキ整備、隅田川沿いのオープンスペースへのアクセス性の強化、食文化の魅力等を効果的に発信するための専門家を入れた検討体制の構築などが示されております。
今後は、今月末を目途に事業予定者などと基本協定を締結し、関係者間の連携を一層強化しながら、世界に誇れるまちづくりの実現に向けて取組を推進してまいります。
○菅野委員 今お話があった基本協定の締結によって、これまでの事業予定者が正式な事業者となります。
いうまでもなく、築地のまちづくりは、東京全体にとっても非常に重要な意味を持つものであります。事業者にはぜひともこれまで以上に、その自覚と責任を持って取り組んでいただくとともに、都としても、事業者任せにすることなく、引き続きしっかりと関与して、東京の持続的発展に資する開発を実現していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続いて、東京港における物流効率化について伺いたいと思います。
東京港は我が国の経済成長を力強く牽引し、国民生活を支える重要な物流拠点であり、その機能強化は待ったなしの課題であります。
我が会派のさきの代表質問において、東京港の主力ふ頭である大井コンテナふ頭を、海外の主要港を見据え、大胆に機能強化していくべきとの質問に対して、世界トップクラスの効率性や、サステーナビリティーを備えたターミナルにリニューアルをしていくとの答弁がございました。
東京港の念願であった大井ふ頭の再編がようやく動き出すということで評価するものでありますが、完成には十年程度かかるということであります。
一方で、東京港のふ頭周辺では、交通混雑が依然として発生していて、中長期的に進めるハード整備と並行して、デジタル技術などを活用した即効性のあるソフト面からの対応も進めていく必要があると思います。
そこで、先端技術を活用して、東京港の物流効率化に迅速に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○松川港湾局長 東京港の機能強化に当たりましては、直面する交通混雑などに即時に対応するため、ターミナル運営のDXを早急に推進することが重要でございます。
このため、都は来年度から、ゲート前待機時間の削減に効果のあるコンテナ搬出入予約制につきまして、実施ターミナルの拡大や通年実施の開始など、実施内容を大幅に拡充してまいります。
さらに、東京港で初めて遠隔操作可能なタイヤ式門型クレーン、いわゆるRTGを一部のふ頭で稼働させてまいります。
今後とも、東京港の物流効率化にスピード感を持って取り組み、国民生活を支え、日本経済を牽引する重要な役割を果たしてまいります。
○菅野委員 次に、集合住宅における脱炭素化の推進について伺いたいと思います。
集合住宅は都内住戸の約七割を占めており、二〇三〇年カーボンハーフやその先の二〇三五年目標実現のためには、集合住宅における取組は極めて重要でありますが、共用設備の維持や管理は管理組合が行うなど、戸建て住宅とは異なる課題があります。
特にEV充電設備の導入では、設備の設置だけではなくて、設備に応じた電源や配線を確保する必要があります。入居後に新たに設置するには、電源容量の増強検討が必要など、単純な充電設備設置費の負担だけではとどまらないと思います。
そこで、集合住宅では、新築段階から計画的に充電設備の導入をする必要があると考えますが、都の取組を伺います。
○須藤環境局長 集合住宅居住者のEV利用環境確保や今後のEV普及を見据え、都は、新築時から充電設備設置を促進するため、大規模建築物を対象とする建築物環境計画書制度により、本年四月から充電設備の整備義務づけを開始いたします。
新制度では、駐車場の規模などに応じ、一定数の設置や、将来の増設に備えた配管整備を義務化するとともに、より多くの設置を誘導するため、台数を三段階で評価いたします。
また、このために必要な充電設備の購入費や工事費などについて、最大十分の十の支援等を引き続き実施いたします。
加えて、不動産広告に表示義務のあるマンション環境性能ラベルで設置台数を見える化し、EV対応の集合住宅が選ばれやすい環境をつくり、その普及を促してまいります。
○菅野委員 大規模な集合住宅では、充電設備を実装するだけではなくて、建築主には将来の増設も視野に入れた整備を義務化して、購入者などに向けては設置台数を見える化する取組を行うことが分かりました。
一方、既存の集合住宅では、充電設備の導入に管理組合による合意形成が必要になるなど、新築時に比べて一層設置が難しいと考えます。
こうした既存集合住宅でのEV充電設備の導入促進に向けたこれまでの成果と、今後の事業展開を伺っておきたいと思います。
○須藤環境局長 都はこれまで、既存集合住宅の管理組合などへの充電設備導入費用の支援に加え、充電サービス事業者とのマッチング、導入検討経費や運用開始後の電気基本料金の補助等、サポートを拡充し、導入を促進してまいりました。
これらの取組により、今年度はこれまでに昨年度を大幅に上回る二百棟を超える既存集合住宅で千八百口以上の申請があり、約四百の駐車場全区画で設置した事例も創出されております。
さらに来年度は、都内に多い機械式駐車場での設置を加速するため、充電設備設置と併せ、EVの重量などに対応した設備に更新する際の費用に対する支援を開始いたします。
今後も関連企業、団体と連携し、充電設備及びZEVの普及拡大に向けて全力で取組を推進いたします。
○菅野委員 既存の集合住宅でも、多数の充電設備の設置が進む事例が出始めていることが分かりました。また、こうした集合住宅では実際にEV自体の利用者数が増加しているとも聞いています。
今後も効果的な取組をしっかりと進めて、充電設備だけではなく、環境負荷の少ないZEVの普及をより一層促進してもらいたいと思います。
次に、再エネ導入について伺います。
集合住宅では、再エネ設備の設置ポテンシャルは大きい一方で、発電した電力は共有部分以外には使われにくいということなどにより、設置が十分に進んでいるとはいえません。
こうした課題を踏まえ、多くの都民が住む集合住宅においても、再エネ設備導入を一層進める必要があると思いますが、都の見解を伺いたいと思います。
○須藤環境局長 都はこれまで、既存集合住宅の再エネ導入を促進するため、太陽光発電設備の設置とともに、共用部に加え、各戸で再エネを利用できる設備への支援を実施してまいりました。
来年度は、とりわけ導入が進みにくい賃貸集合住宅を対象に、太陽光発電設備の補助単価を割り増す支援事業を拡充し、新たに集合住宅向けの蓄電池を支援対象とすることで、さらなる再エネ利用を促進いたします。
また、集合住宅のベランダなどに設置し、各戸のコンセントにつないで利用可能となる太陽光パネルについて、技術的な検討等を行うことにより、実用化に向けた後押しをいたします。
こうした取組を通じて、集合住宅の設置ポテンシャルを生かした再エネ導入を加速してまいります。
○菅野委員 新たな設備の設置が難しいといわれる既存集合住宅においても、様々な方法を用いて再エネ利用拡大に向けて取り組んでいること、これが分かりました。
ぜひ、世界では、日本にはない手法を用いて、集合住宅の脱炭素化を効果的に進めている例もあります。東京都も世界中の知見を貪欲に取り入れて、不断の努力をし続けていただきたいと思います。
次に、多摩産材の利用拡大を伺いたいと思います。
多摩の森林は、土砂災害の防止や環境負荷の低減などの機能を持っていますが、区部の人たちなどには、都民の中には、森林が自分の生活に関係していることを知らない人もいます。多くの方々が多摩の森林の役割や木材利用への理解を深めるためには、都と区市町村が協力して取組を進めることが重要であります。
昨年から森林環境税が徴収され、都民の税の使い道、使途への関心が高まる中、我が会派は、森林整備に効果的に活用されることの重要性を主張してまいりました。また、多くの方が訪れる公共施設での多摩産材の活用を一層進めることも、都民の理解を深めるに当たって必要な取組であると思います。
都は、自治体と連携した多摩産材の利用拡大に一層取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 東京の森林を守り育てるためには、都内自治体と連携した森林整備や木材利用の取組を、森林環境譲与税も活用しながら進めることが効果的でございます。
都は、区市町村と協定を締結し、この譲与税を財源とする多摩地域の森林整備を進めておりまして、参加自治体も増え、現在十三自治体となってございます。
この取組では、間伐などの現場体験ツアーを実施しており、来年度は、体験内容や実施回数を拡充してまいります。
また、都民が身近に木材に触れられるよう、多摩産材を活用し公共施設を建築する区市町村に対する助成につきまして、設計費を助成対象に加えるとともに、工事費への補助限度額を三千万円から六千万円に引き上げることとしております。
○菅野委員 今度は、移住、定住の促進を伺いたいと思います。
多摩・島しょ地域では、今後、人口が減少していくという見込みがあります。西多摩地域や島しょ地域において、既に人口減少が始まっています。
コロナ禍を契機に、多摩地域への関心や移住へのニーズが非常に高まってはきています。しかし、聞くところによれば、一度は移住したが、短い期間でほかの地域に転出してしまう事例もあるということも聞いています。
そこで、移住者を定住につなげていくための都の具体的な取組を伺いたいと思います。
○佐藤総務局長 地域を持続的に発展させるためには、移住者を増やす取組に加えまして、移り住んだ方に長く住み続けてもらうため、地域に溶け込む契機を創出する取組も推進することが重要でございます。
都は来年度から、地域での暮らしをより深く理解してもらうため、移住者と地元住民が協力して地域の活性化に取り組む好事例を動画などで広く紹介をいたします。さらに、移住者と地元住民などとの交流を促すワークショップやボランティア活動などの取組に対する市町村を通じた支援につきまして、対象自治体を拡大するなど、充実を図ります。
こうした取組によりまして、移住者を定住へとより一層結びつけてまいります。
○菅野委員 現在、海外から多くの観光客が東京を訪れていますが、こうした中、我が会派は、さきの本会議や予算特別委員会の質疑において、多摩地域への誘客に向けた取組を強化するよう要望し、都からは前向きな答弁をいただいております。
東京を訪れる外国人の中には、純粋に観光目的で訪れる方ばかりではなくて、ビジネスを目的で来訪して、その合間に観光する方もいます。都心部では多くの国際会議が開催され、海外から参加される方には、ぜひその際に多摩地域まで足を運んでいただきたいと考えます。
そこで、都内で開催される国際会議の参加者が多摩地域を訪れるような取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○田中産業労働局長 都はこれまで、国際会議の参加者が東京の観光も楽しめるよう、都内各地への観光ツアーや伝統文化を体験できる場を提供してまいりました。
来年度は、都内の様々な地域への周遊を促すため、国際会議の会期中に限定していた観光ツアーにつきまして、会期の前後での実施も可能といたします。また、外国人に人気の高い多摩地域の酒づくりなどの観光スポットを巡るコースを新たに設けます。
さらに、こうした多摩地域などの魅力を国際会議の参加者にきめ細かく伝えるため、地域の観光協会と連携して、会議の会場においてPRブースを設置いたします。
これらによりまして、国際会議の参加者の多摩への誘客を図ってまいります。
○菅野委員 水素ステーションのさらなる整備、これについてお聞きしたいと思います。
その運営の担い手となる事業者の裾野を広げていくことが重要だと思いますが、現在、都内の水素ステーションの多くは、大規模事業者により整備、運営されています。
都はこれまでも、そうしたステーションの整備に手厚い支援をしてきておりますが、今後はぜひ中小事業者でも水素ステーション事業に参入し、事業を継続できるよう、よりきめ細かな支援が必要と考えますが、見解を伺いたいと思います。
○田中産業労働局長 都はこれまで、水素ステーション設備の導入費や運営費などにつきまして、中小事業者に対する補助率の上乗せ助成などの支援を行ってまいりました。
来年度は、新規の事業を検討している中小事業者等がステーションをさらに整備しやすくするため、開設等に向けた手続面のサポートに加えまして、経営面や技術面の支援を専門家による伴走型で行います。
また、資金面でのサポートをより強化するため、補助金申請に必要な基本設計費や、計画外の設備修繕については、それぞれ最大一千万円まで、充填ホースなどの予備品購入費については最大五百万円まで新たに助成を行います。
これらによりまして、中小事業者の水素ステーション事業への参画を促してまいります。
○菅野委員 知的障害特別支援学校に通う児童や生徒が年々増加している中で、必要な教室を確保することが喫緊の課題であります。特に小学部、中学部の増加が顕著であり、そこに重点を置いた取組が必要です。
新設、増設等も進めているということでありますが、小中学部を増やすための取組をしっかり進めていただきたいと思います。
このため、単に改築するだけではなくて、小中学部の教室数の確保や、場合によっては小中学部のなかった学校に小中学部を新設する必要があるのではないかと思います。
私の地元港特別支援学校においても、増改築の計画があると聞いていますが、計画について伺いたいと思います。
○坂本教育長 障害のある児童や生徒の学びの場を確保する上で、特別支援学校の小学部や中学部での受入れ施設の拡充を進めることは重要でございます。
このため、都教育委員会は、これまでの対応に加え、特別支援学校に関し、小中学部の受入れを増やすため、学校の新設や、港特別支援学校を含めた増改築に向け取組を進めます。
新設の学校では、小中学部を設けるほか、改築をする学校のうち小中学部のある三つについて、受入れの人数を増やす施設の増築も進めてまいります。
また、港特別支援学校の改築では、現在の高等部に加え、新たに小中学部を設置する施設の増築も行います。
これらを計画的に行い、特別支援教育の充実を図ってまいります。
○菅野委員 私の質問はここまでとして、ここから先は関連質疑で松田副委員長から質問させていただきます。(拍手)
○
ただいま、松田康将副委員長より関連質疑の申出がありました。
本件は、予算特別委員会実施要領第七の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。
松田康将副委員長の関連質疑を認めます。
なお、松田康将副委員長に申し上げます。
発言は、菅野委員の質疑の持ち時間の範囲内となっておりますので、あらかじめご了承願います。
計測を始めてください。
○松田委員 中央卸売市場についてお伺いをいたします。
少子高齢化が進行するとともに、流通チャネルの多元化によって競争環境の厳しさが増大する中、都の中央卸売市場が今後とも役割を果たしていくためには、個々の市場の活性化を図っていき、市場流通の付加価値を高めていくことが重要であります。
この付加価値向上に向けた議論は、市場間の連携を強固にすること、その先の市場全体の規模の最適化も含めて進めていくべきであります。
現在、青果物の広域的な物流拠点として機能強化を進めている板橋市場では、市場業者が関係者のニーズを酌み取り、市場流通の少ない有機農産物について、産地の卸売市場などと連携をして、独自の物流網を形成して流通拡大を図る取組を進めると聞いております。
この具体的な取組内容と、都はどのように支援をしていくのか伺います。
○早川中央卸売市場長 松田副委員長お尋ねの板橋市場における取組は、市場業者が板橋市場をストックポイントとして活用し、新たな市場間ネットワークを形成するとともに、巡回して集荷する仕組みを導入して生産者の負担を軽減し、集荷力を強化する取組でございます。
そこで、都は、市場業者と連携して、産地等に対する本事業のPRに取り組むことはもとより、有機農産物を販売する場内マルシェを試行的に開催し、生産者と消費者とをつなぐ機会を創出するなど、本取組を積極的に支援してまいります。
今後、市場流通全体の付加価値のより一層の向上に鋭意取り組んでまいります。
○松田委員 有機農産物を使った料理をその場で提供する取組も検討するというご答弁でありました。
また、今、品川区で学校給食に有機農産物を導入するという報道がありますが、毎日というのはなかなか現実的ではないなと個人的には思っております。ただ、このオーガニック給食を希望する区市町村に対して、ちょうど北の玄関口であります板橋市場を拠点として支援をしていく、各区市町村に対して支援をしていくというのは、非常に地の利にかなった取組だなというふうに思っております。
また、食育やエシカル消費という点からは、有機農産物だけではなくて、東京農産物の地産地消ということに取り組むことも、社会的に重要な意義があると考えます。また、これに関しては、全ての東京の市場で取り組んでいただくことを要望させていただきます。
オウム真理教による地下鉄サリン事件から三十年が経過をいたしました。私も、このときは高校生でありましたが、強い衝撃を受けたのを今でも覚えております。
本事件に対して、知事はどのように受け止めているのか、所見を伺います。
○小池知事 まずは、改めまして、事件で亡くなられた多くの方々にお悔やみを申し上げたいと思います。ご遺族、後遺症に苦しむ方々のこの三十年の月日を思いますと、本当に胸が痛むばかりでございます。心よりお見舞い申し上げます。
私自身は、事件の朝、議員会館におりまして、前をパトカー、消防車、もう、けたたましい音を鳴らしながら、何事かということ、あのときの空気感ですかね、それを鮮明に覚えております。
また、都庁も人ごとではなくて、当時の都知事宛てに届いた小包爆弾を開封した都の職員が重傷を負ったということもございました。全く許すわけにはいきません。
安全な国と思われていた日本で発生したという事実は、とても重いものだと思います。
三十年という節目を機に、万一の事態にもしっかりと対応できますよう、危機管理への思いを新たにしているところでございます。
○松田委員 知事は議員会館にいらっしゃったということですが、私の妻の父もちょうど厚労省にこのときいて、通っているところのすぐ近くだったということで、そのときのリアルな状況を聞くに至ったところであります。
このオウム真理教に関しては、宗教法人格を剥奪された後も名前を変えて存続をしている状況があります。
公安調査庁によると、分裂した三つの団体が今なお活動を続けており、構成員は三団体合わせて国内だけで千六百人に及び、オウムの後継団体は、若者を対象に勧誘を続けているとされます。
過去十年における三団体の新規構成員は、地下鉄サリン事件などの知識がない二十代から三十代の若者が七割を超えております。団体名を隠し、SNSで偽装サークルを設定して仲間を募集する。メンタルヘルス講座などをうたい、対象を三十歳以下に設定をしているといいます。
地下鉄サリン事件は、オウム真理教以外の者による陰謀だなどと説明し、団体への抵抗感を持たないように誘導していると見られます。
こうしたカルト集団に限らず、悪徳商法などの悪意ある勧誘を受けるなど、若者がトラブルに巻き込まれる危険は多くあります。特に四月は新生活が始まる時期でありまして、周りに相談する人も少ない、一人で悩んで抱え込んでしまう、そういった事例をよく聞いております。
そこで、こうした若者の悩みに的確に対応するための相談先を設けるとともに、若者に対して相談窓口の普及啓発を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、若者が抱える悩みやトラブルに対応するため、相談窓口、若ナビαを設置し、孤独、孤立、人間関係や金銭問題等、様々な相談を受け止め、支援につないでおります。
来年度からは、AI等を活用して相談内容を分析して、若者を取り巻く状況を把握し、対応力の強化を図ってまいります。
引き続き、困難を抱える若者のニーズを的確に捉え、相談体制の強化充実を図るとともに、若者がトラブルに巻き込まれないよう広報にも努めてまいります。
○松田委員 SNSでは、検索が自分の好みによって偏った情報が集まりやすくなっております。そして、SNSでは、意見が似ている者同士がつながりやすくなる、エコーチェンバー現象が起こりやすくなるという特徴もまた一つあります。
ぜひ、この若者に向けて効果的な、さらなる普及啓発に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
先日の予算特別委員会質疑の際に、カスハラの定義に関して、産業労働局長から、顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものとの答弁がありましたが、一般論として、顧客などが就業者に対して高圧的な態度でどなることや、長時間にわたる拘束、例えば九時間にわたる拘束を行う行為は、カスタマーハラスメントに該当するのかを伺います。
○田中産業労働局長 カスタマー・ハラスメント防止条例に基づく指針では、就業者に声を荒げるなど、就業者への威圧的な言動ですとか、あと就業者を個室等で拘束し、長時間にわたって執拗に自らの要求を繰り返すことなど、就業者を拘束する行動というものを、カスタマーハラスメントの代表的な行為類型としてお示ししてございます。
○松田委員 では、議員からの声もカスタマーハラスメントに該当するのか、なり得るのかについて見解を伺います。
○田中産業労働局長 カスタマーハラスメントにつきまして、条例では、その第二条において、顧客等が就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものをいうと定義してございます。
指針につきましては、その行為者、被行為者の例示を出しておりますが、行為者である顧客等と被行為者である就業者の例の中で、議員はその行為者にも被行為者にもなり得るとしてございます。
○松田委員 ここで、予特の前回の質疑以降、私のところに議員の行為に関することで多くの声が届いておりますので、そのうち二つを紹介させていただきます。
立憲民主党や共産党の一部議員から、答弁調整で高圧的な態度で一方的にどなられ、人格を否定された気分になる。こんなことをいわれているなんて、とても自分の部下や家族にはいえず、本当につらい思いをしている。
また、立憲民主党のある議員から、自身に都合のよい答えが出ないことに対して、長時間、長いときでは九時間にわたり会派の控室に拘束をされた。
先ほど産業労働局長から、カスタマー・ハラスメント防止条例に基づく指針では、声を荒げるなどの就業者への威圧的な言動、個室等で拘束をし長時間にわたって執拗に要求を繰り返すなどの就業者を拘束する行動をカスタマーハラスメントの代表的な行為類型として示しているとの答弁がありました。そして、議員は行為者にも被行為者にもなり得るとのことでした。
ここで挙げた職員からの声による立憲民主党や共産党の議員は、明らかにカスタマーハラスメントに当たるということであります。これらにつきまして、また政治倫理条例検討委員会の中でも議論をしなければならないと申し上げておきます。
さて、先ほど質問したオウム真理教は、破壊活動防止法における調査対象団体となっておりますが、オウム真理教のほかに十六団体、この破防法の調査対象団体があり、その一つが日本共産党であります。
さきの予算特別委員会の代表質問で、この日本共産党東京都議団によるしんぶん赤旗の都職員への購読勧誘について取り上げました。総務局長からは、庁舎管理上、禁止をされているという答弁をいただきました。
そこで、やはり多くの職員から声が届いています。よく取り上げてくれた、真実を公表してもらい、ありがたいといった歓迎の声が届く一方、これを機に解約したいが、嫌がらせを受けそうではばかられる、ただでさえ朝まで答弁調整を強いられているのに、これ以上、答弁調整に時間がかかることになったら困るなどとの悲痛な声が届いています。
日本共産党東京都議団はよっぽど耳が痛かったのか、代表質問冒頭で、事実無根であるとして、もっともらしい反論をされました。いわく、幹部職員にしんぶん赤旗の購読をお勧めするのは、憲法が保障する政治活動であるとのことです。この演説は重要です。重要ですよ。共産党都議自ら、しんぶん赤旗の購読をお勧めしているということを認めたことです。事実無根ではないということが明らかになりました。
ここで、この話の問題を明らかにするために、改めてパワハラの定義について伺います。
○田中産業労働局長 パワーハラスメントにつきましては、国の関係法令などによりますと、まず一つ目に、優越的な関係に基づいて行われること、二つ目に、業務の適正な範囲を超えて行われること、三つ目に、身体的もしくは精神的な苦痛を与えることまたは就業環境を害すること、この全てに該当するものを職場のパワーハラスメントとして定義されてございます。
○松田委員 ご答弁があったとおりであります。このしんぶん赤旗の購読勧誘は、職場内での優位性を背景になされている、事実上の強制ではないですか。いつもあれだけにぎやかな共産党さんが、これだけ静かということは、図星なんだろうなと思います。
しんぶん赤旗は、あろうことかあるまいか、職場内で購読料を直接集金に行くということさえ行っています。このようなことが許されるんでしょうか。
共産党都議団は、自由意思によるものと強弁していますが、多くの都職員の悲痛の声からも、実際は強要されたものであることは明らかであります。仮に、それでも自由意思によるものだとするのであれば、一旦、都職員の購読、この一旦解除、全てして、その上で改めて各職員の自由意思によって購読契約を結んではいかがでしょうか。
それができないというのであれば、それはまさに自由意思によるものではない。共産党都議団としてこれを認めているようなものであります。
改めて、しんぶん赤旗の購読強制という、都議会議員の優越的な地位を悪用した問題行動について、今後議論する政治倫理条例の検討においても、しっかり議論をしていく決意でございます。
また、既に北海道千歳市などではしんぶん赤旗の強制購読について管理職を対象とした調査が行われ、勧誘を受けたことがあると答えた職員は五五%、そのうち七割の職員が精神的圧迫を受け、その大半の職員が購読をしているとの事例があります。
来年度には、東京都の職員向けのカスタマーハラスメントのマニュアルができると聞いております。そこで、パワハラやカスハラの実態把握に向けて調査すべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤総務局長 職員向けということで、私の方からご答弁させていただきます。
今後、東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例やガイドラインに基づきましてマニュアルを作成することになりますけれども、ハラスメントにつきましては、職員からの訴えがあれば、マニュアルなどに基づきまして、調査を含めて適切に対応していくことになると考えます。
○松田委員 職員からの訴えがあれば、調査を含めて対応するということですので、議員のカスハラ、そして、この赤旗の講読強制に関して、ぜひ対応をお願いしたいと思います。
先ほどの声は本当に深刻です。今後、このカスハラの防止条例やガイドラインに基づきマニュアルを作成とおっしゃいましたが、総務局長、これ一体いつまでに、できる限り私は早期にやった方がいいと思っていますが、いつ頃作成をする予定なのか伺います。
○佐藤総務局長 今ちょっと具体的な時期は申し上げることはできませんが、七年度の早い時期に策定していくよう努めてまいります。
○松田委員 今、七年度の早い時期というふうに総務局長から答弁がありました。このマニュアルをつくった後、しっかりと、この職員の声が上がってきたら、ぜひ対応、調査、よろしくお願いを申し上げます。
先ほども少し紹介しましたが、本当に私のところに先ほどの質疑以降、みんな本当につらい思いをしていたんだという、そういった声がたくさん届いています。
ぜひ共産党さんも、去年の都知事選のときに、都民の声を聞く知事をって、六月二十日の赤旗の電子版にさっき書いてあるのを確認しましたけれども、ぜひ都庁の職員の声をまず聞いていただいて、しっかり受け止めていただきたいと思いますので、これから都庁の職員からいただいた声を読み上げさせていただきます。
毎月しんぶん赤旗の集金の方が職場に来る、部下に見られているようで、とても肩身が狭い。
しんぶん赤旗を取っていることは妻にはいっていないので、やむなく毎月小遣いの中から購読料を払っている、あんなに消費税には反対しておきながら、しっかり引上げ分を価格転嫁しているところも納得がいかない。
出先課長から本庁課長になって間もない頃、共産党の大幹部の先生から直接お電話いただいた、恐縮するとともに、私のような下っ端にまでと、ある意味、意気に感じるところもあって購読をしてしまったが、今考えれば、あれも作戦だったのかと思う。
これを機に契約解除したいのだが、誰にいえばいいのか分からない、よもや先生にはいえないので、共産党には解約のための相談窓口を設けてほしい。
何度も赤旗の勧誘が来る、あんまりむげに断ると今後の共産党との関係に影響があるかもしれないと思って不安になる、最後は断り切れず、日刊の赤旗購読は負担が大きいため、落としどころとして、赤旗の日曜版を諦めに近い気持ちで購読をしている。
これが日本共産党東京都議団による赤旗購読勧誘の実態であります。
恐らく、局長さんや副知事なども経験があると思いますが、これは個別で聞くと、また何か後で仕事上、不都合を生じても困りますので、ここでは聞かないようにしています。
この実態を知れば、夢を抱いて管理職になろうと思う職員にとって、心理的圧迫になることは間違いないところであります。職員からの訴えがあれば、調査を含めて検討するということですので、ぜひ調査をしていただくことを切に願い、この質問を機に、まずは都庁からカスハラ、パワハラのない東京都をつくっていくという強い決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
○川松委員長 菅野弘一委員及び松田康将副委員長の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時二十二分休憩
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