○松田副委員長 もり愛委員の発言を許します。
〔松田副委員長退席、委員長着席〕
○もり委員 ミライ会議、もり愛です。
スタートアップ事業について質問します。
令和六年度から三か年の研究者提案事業、アントレプレナーシップ教育に関する東京の未来を拓く起業家教育循環システム事業が、第一年度の途中で東京都と法政大学の間で合意解除されました。
研究者提案事業は、有識者等による審査、都民による投票、知事による決定、予算に対する議会の議決という慎重な手続を踏んでいます。
この事業は、有識者等による審査でどう評価されて都民投票に付されたのか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 大学提案事業でございますが、都政の喫緊の課題解決や東京の未来の創出に資する政策立案へと活用するため、都内大学研究者からの研究成果、研究課題を踏まえた事業提案を募集するものでございます。
令和五年度は、四月から五月の間に公募いたしまして、計三十三件の応募がございました。
このうち、本事業の提案は、小中学生、高校生向けに起業家教育を実施するとともに、大学生が教えながら自分も育つ循環型の起業家育成システムを構築するという内容でございました。
応募案件三十三件について、有識者等が公共性、有効性や実現可能性などの観点から審査し、都民投票対象の九件に選出されております。
○もり委員 都民投票による投票を経て、知事にどう評価されて決定されたのか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 有識者等による審査で選出された九件を対象といたしまして、令和五年七月から八月の間に都民による投票を実施いたしました。
この結果、同年十一月に、本事業を含めた五件の提案を事業化の候補として公表した上で、これらを予算案に計上し、事業化したものでございます。
○もり委員 年度途中での不正使用の疑いについて伺います。
都は、昨年十一月に、本事業の実施に際して経費を不正に使用した疑いがあり、十二月には、大学から都に対し、事業継続が困難になったことを理由に協定解除の申入れがあり、これを解除したと答弁しています。
都から交付する資金について、年度途中で不正使用ということが起こり得るとすればどのようなケースなのか、都の見解を簡潔にお願いします。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 今、研究費の不正使用についてのお尋ねでございますけれども、まず、そもそも本件研究費の不正使用というのは、大学が定める研究費の使用ルールを逸脱して研究費が使用されている疑いがあると大学側が判断して、大学において調査を実施しているものでございます。
本事業の実施に際して、都と大学は協定を締結し、計画に基づき大学が事業を実施し、当該年度の終了後に実施状況報告を都に提出いたします。
事業実施完了を確認後、都から大学に経費を支払うことになっておりました。また、完了確認前の経費は、大学側で経理処理することになっておりました。
事業の実施状況につきまして、都は、第二・四半期までは報告を受けていたものの、昨年十一月、大学側から、研究費の不正使用の疑いがあり、大学において調査中である旨の報告がありました。
その後の十二月に、このために事業継続が困難となったことを理由に、事業中止の申出が大学からあり、これを受け、協定を解除したものでございます。
年度途中で本事業が中止となったことにつきまして、大変困惑してございます。
○もり委員 支払われていない東京都の資金に対して、不正使用ということがそもそも起こり得るのでしょうか。それとも、不正使用未遂で合意解除としたのでしょうか。全く理解ができません。
都議会の政務活動費もそうですが、その使い道が条例の趣旨に合致したものであるかどうか年度末に整理するもので、年度途中の不正使用ということは、そもそも生じようがないのではないですか。
都は理由を知らないけれども、法政大学は年度途中でも不正使用が起こり得ると考えているということですか。
法政大学では、二〇二四年十二月に工事丸投げ問題が表面化した、大学の一〇〇%出資子会社、エイチ・ユーが検収センターの仕事の支援をしている可能性もあり、検収事務の実態が明らかではありません。
研究者提案事業では、政務活動費の条例に相当する規範は、大学研究者による事業提案制度実施要綱、6に記された、都と提案者との協議により、必要に応じて修正を加える場合があるとされた内容であると考えられますが、都の見解を伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 今答弁申し上げたとおり、聞いていただきたいんですが、本件研究費の不正使用というのは、大学が定める研究費の使用ルールを逸脱して研究費が使用されている疑いがあると大学側が判断して、大学において調査を実施しているものでございます。
本事業につきましては、法人である大学と都の間で協定を締結し、当該協定に基づいて実施してきたものでございまして、大学から、事業継続が困難であることを理由に、申出により協定を解除したものでございます。
なお、今お話がございました実施要綱の規定ですが、本事業提案制度に応募する提案者に対し、提案が事業採択された場合、その事業の具体化に際して、都と提案者の協議により、必要に応じて修正を加える場合がある旨、あらかじめ示したものでございまして、ご指摘は全く当たらないものと考えております。
○もり委員 費用の支払いについて伺います。
受託研究申請書の提出についても、実際、都の担当者名欄などに誰を書いていいのか戸惑うものですが、都は、令和六年度事業を開始するに当たり、二〇二四年二月頃、受託研究申請書の入金予定日、事務担当者名や連絡先等の記載について、法政大学の事務担当者を指導したことがあったのか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 今お話が出ました受託研究申請書でございますけれども、大学内の手続のものでございまして、都として知る立場にはございませんが、一応、大学に念のために確認をいたしました。大学内の事務局と研究者との間でやり取りされた書類とのことでございます。
受託研究申請書でございますので、大学外の団体からの研究を受託する際に、研究者が大学に届け出るための書類でございます。
今回の都と大学との協定による事業もこれに該当するため、大学事務局が研究者に提出を求めたとのことでございます。
その際、都の担当事務窓口など必要な記載事項につきまして、都に照会し、大学事務局が研究者に伝えたと大学事務局から聞いてございます。
○もり委員 受託研究申請書の書き方について、都職員と研究者との仲立を大学事務局がしたということですが、申請書の二〇二四年度分の入金予定日が二四年五月頃ではないでしょうか。
次に、移ります。
基本協定は二〇二四年四月一日に締結されていると承知していますが、基本協定に全体計画書は添付していたのかどうか、また、令和六年度協定書に令和六年度計画書を添付していたのか伺います。
また、令和五年三月の募集要項の、都が研究者、大学に対して支援を行う対象経費では、都が大学に対し概算額を支出し、各年度における研究調査等の終了後、実績に応じて精算を行うと書かれています。
これは、年度計画書は令和六年度協定書に添付されるものですから、年度協定書も締結されています。そこには、四半期ごとの概算額を四半期に支払う、すなわち四月から六月の費用は四月から六月の間に概算額を支払うと書いてあるのではないかと思います。
令和六年度協定書の提出をお願いいたします。
法政大学側からお金を振り込んでくれとの請求があったのかなかったのか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 本事業に係る基本協定書には同協定に基づく全体計画書が、令和六年度協定書には同協定に基づきます年度計画書が、大学から併せて提出されております。
当初、都と大学で締結した協定では、四半期ごとに、大学側からの請求により概算払いをする旨、定めておりました。
この協定に基づきまして、第一・四半期分の支出に向けて、都と大学の事務担当者間でやり取りを進めていたところ、四半期ごとに経費の精算を行うなどの事務の煩瑣を避けたい旨の意見が大学側から示され、協議を進めた結果、年度内の経費の経理処理は大学側で行い、都と大学との経費のやり取りは年度末にまとめて行う方が効率的であるとの結論に至り、年度末の一括払いへと協定を変更いたしております。
このため、本事業による都から大学への経費の支出は行われておりません。
○もり委員 これ、変だと思うんですけれども、これまで行ってきた研究者提案事業では概算払いがされているのではないですか。
なぜ本事業だけ、事業終了後、精算払いなのか。事業終了後だと三年後になってしまいます。
質問を続けます。
都が実施する連携事業の現状において、起業家教育循環システム事業は、三年の事業で合計三・八億円。三・八億円の内訳は、研究者が行う研究調査は、令和六年度から八年度まで、各三千万円の合計九千万円。都が行う連携事業は、令和七年と八年で合計二億九千万円です。
都は、二年目から行う連携事業を行う場所として、どこを予定し、その準備がどこまで進んでいたのか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 先ほどの件、もう一度ご説明させていただきたいと思います。
当初、都と大学で締結した協定では、四半期ごとに、大学からの請求により概算払いをする旨、定めておりました。(もり委員「ではなくて、すみません、都の事業において準備をして……」と呼ぶ)今、すみません、答弁していますので。
この協定に基づきまして、第一・四半期分の支出に向けて、(もり委員「先ほど答弁いただいていますので」と呼ぶ)すみません、先ほど答弁申し上げたんですけれども、正確にご理解いただきたいと思いまして、答弁させていただきます。
この協定に基づきまして、第一・四半期分の支出に向けて、都と大学の事務担当者間でやり取りを進めていたところ、四半期ごとに経費の精算を行うなどの事務の煩瑣を避けたい旨の意見が大学側から示され、協議を進めた結果、年度内の経費の経理処理は大学側で行い、都と大学との経費のやり取りは年度末でまとめて行う方が効率的であるとの結論に至り、年度末の一括払いへと協定を変更いたしております。
このため、本事業による都から大学への経費の支出は行われておりません。
また、今のお話でございますけれども、大学側の計画では、事業初年度に研究調査を行い、二年目に小中学生向けの起業家教育等を行う施設を大学近郊に整備することとしておりました。
都と大学は、次年度に向けて、計画の具体化を進める観点からやり取りを行ってきております。例えば、計画書には、都の施設で代替できればその分の経費は不要となる旨の記載があったことから、TIBの活用を提案するなどのやり取りをしております。
このことも含めまして、次年度に向けた事業の進め方を、都と大学事務局、研究者を含めて打ち合わせるべく、十一月下旬にミーティングを設定していたところ、直前に、大学からの申出によりキャンセルとなり、その後、研究費の不正使用の疑いについて大学から報告を受けたものであり、大変困惑したところでございます。
○もり委員 調査研究を行うのは研究者であり、事業の打合せの相手は研究者なはずです。打合せの相手が研究者ではなく大学なのが理解ができません。
また、合意解除についてなんですけれども、現場で執行管理の責任を負っている研究代表者からのヒアリングをすることなく、本事業を大学との間で合意解除した理由について伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 本事業に係る協定は、法人である大学と都の間で締結しておりまして、事業の実施、中止等の協議を大学と都の間で行うのは当然のことでございます。
都は、大学から第二・四半期までは事業実施状況の報告を受けていたものの、昨年十一月、大学側から、研究費の不正使用の疑いがあり、大学において調査中である旨の報告を受け、研究者との接触を控えるよう依頼がございました。
その後、十二月に、事業継続が困難となったことを理由に事業中止の申出が大学からあったもので、事業協定を解除いたしました。
なお、協定上、研究者を研究調査を実施する際の執行管理の責任者としているのは、本事業が学術研究に係るものであることを踏まえたものであり、研究事業の内容について、都は、直接または事務局を通じて適切にやり取りをしてきてございます。
○もり委員 都は、不正があれば、基本協定十六条で協定を解除できることになっていますが、大学としての判断がなされてもいない二〇二四年十二月に、二十三条を根拠として合意解除を行っています。
都として、不正を確認していないが合意解除をしたということか伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 何度も申し上げていますけれども、本件に係る協定解除についてでございますが、大学において研究費の不正使用の疑いが生じ、大学が調査を進める中で、本件協定事業を実施するめどが立たなくなったため、大学側から、事業継続困難を理由に申出があったものでございます。
なお、研究費の不正使用につきましては、当事者である大学が調査を行っており、都は、その状況について随時報告を受けることとしております。
○もり委員 研究者提案事業は、研究者の提案を受けて始めた事業であって、事業継続のために研究者と話し合うことが先行であってと思うんですけれども、都としても、法政大学内の第三者委員会を含めて厳しくチェックする必要があると考えます。
この事業では、既に二千万円程度の経費が支出をされています。
この事業の進行管理では、東京都及び法政大学に不手際があり、研究者に知らされることなく、事業は東京都と大学の間で合意解除し、使用済みの経費は、都は一切負担をしない、法政大学は研究者個人に負担させるために不正使用といっている、そのような構図が懸念をされます。
二〇二二年六月二十三日に、スルガ銀行不正融資事件では、役員の懲戒解雇は不当という判決が出ています。これは第三者委員会報告書格付け委員会の久保利英明弁護士が委員長のスルガ銀行危機管理委員会の報告、中村直人弁護士が委員長の第三者委員会の報告の内容を全く否定した判決です。
この事件では、第三者の名の下に、一方当事者である会社側の虚構のストーリーをバックアップする結果をもたらした第三者委員会の責任は重いという菅野志桜里さんの指摘があります。
格付け委員会を含め、いわゆる第三者委員会ビジネスに対しても、セカンドオピニオン、チェックも必要だということを述べて、次の質問に移ります。
教育について伺います。
私たちは、一貫して英語スピーキングテストの実施に反対をしてまいりました。
これまで、ESAT-Jの著作権はベネッセにありますが、新しく中学三年生の英語スピーキングテストを受託したブリティッシュ・カウンシルは、全く新しく試験問題や採点基準などをつくったのでしょうか。それとも、ベネッセから、東京都またはブリティッシュ・カウンシルが著作権を買い取ったのか伺います。
○坂本教育長 今年度、中学三年生の受験した英語スピーキングテストは、都教育委員会の示した出題方針に基づきまして、事業者が問題や採点基準を作成し、都教育委員会が同意、さらには決定をすることによって実施をしたものでございます。
こうした問題や基準等に係る著作権は、都教育委員会に帰属するルールとしております。
このため、昨年度にテストを実施した事業者との間で著作権に関わるやり取りをする必要はございません。
○もり委員 今年度の英語スピーキングテストの採点について、ベネッセの採点の際にはフィリピンで採点が行われましたが、ブリティッシュ・カウンシルでは誰が採点しているのか、採点者の水準は同じなのか伺います。
○坂本教育長 今年度の英語スピーキングテストの採点につきましては、英国ほか複数の拠点において、昨年度までと同様の能力を持つ人材が実施をしております。
具体的には、大学の学位や英語教授法の資格を持つなど、高度な英語力と英語教育に関する専門性を有する人材が、事前に研修を受講した上で採点を行う仕組みとしております。
○もり委員 ベネッセとブリティッシュ・カウンシルが同じだとは思いませんが、今後さらに深掘りをしてまいります。
次に、教育の無償化について伺います。
憲法の義務教育の無償化は授業料の無償化を意味していますが、無償化が定められていない高校の授業料を国に先立って無償化してきた都が、どうして義務教育である小中学校の補助教材、体操服など、隠れ教育費の無償化、すなわち義務教育の完全無償化をしないのか、都の見解を伺います。
○坂本教育長 憲法におきましては、義務教育を無償とすることが定められておりますが、無償とは、最高裁判決で、授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれの判断で対応をするものでございます。
○もり委員 私たちの繰り返しの要望を受け、都内の小中学校の給食無償化が実現をしたことは前進ですが、一方で、現在の物価高騰の波を受け、都内においても、給食の内容、質と量が成長期の子供たちに十分ではないとの保護者の声が聞こえます。現場の栄養士さん、調理師さんの努力だけでは立ち行かないところまで来ています。
子供食堂や民間のフードパントリー等の支援もありますが、まずは行政がしっかりと子供たちの健やかな成長を支えるべきです。
都は、物価高騰により、給食の質と量が十分でない現状に対して、給食費補助拡大を行うとともに、有機食材の活用等、子供たちの健やかな成長を支えるため、給食の支援拡大に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○坂本教育長 学校給食費につきましては、国の責任と財源で無償化を実現すべきものでございます。
都は、国に先行いたしまして、都立学校の保護者等が負担する学校給食の費用について支援をしております。
また、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を補助しております。
さらに、市町村総合交付金の拡充によりまして、無償化に係る経費全体の八分の七相当までを支援しております。
国では、法律に基づきまして、児童や生徒に必要な栄養量などについての望ましいレベルを、学校給食実施基準、こうした基準の中で定めているところでございます。
これによりまして、各学校の設置者は、基準に照らし適切な学校給食の実施に努めております。
○もり委員 品川区など、オーガニック給食が始まった自治体もあります。
本当に英語スピーキングテストに巨額な予算を投じるのであれば、こういったところをもっと拡充していただきたいと要望しておきます。
教育行政の一元化について伺います。
税金を投入しての高校無償化の下、教育委員会は都立高校、私立高校は知事部局という二元行政を見直し、私立、都立の教育一元化を実施し、共に教育の質を確保することが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
○坂本教育長 都教育委員会におきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律にのっとりまして、学校を管理し、都立学校の教育の質を確保しております。
なお、私立学校につきましては、私立学校法等に基づき、関係局において必要な支援策を行っているものと認識をしております。
○もり委員 税金を投入するのですから、税金の使い方をチェックするのは当然のことだと考えます。
教員等学校関係者によるいじめ、それによる指導死は、学校管理外については初等中等局長通知による行政指導しかなく、法律の空白領域となっていますが、私立学校、公立学校いずれも無償化となる今、条例化すべきと考えます。都の見解についてお伺いをいたします。
○坂本教育長 公立学校における生徒指導につきましては、各教育委員会が適切に対応してございまして、教職員による不適切な行為があった場合、厳正に対処をしております。
なお、私立学校における指導につきましては、生徒指導提要等を踏まえまして、各学校が責任を持って実施をしていると認識をしております。
○もり委員 私学で実際に問題が起こっても、学校で動いてもらえない場合は、本当に泣き寝入りをしてしまったり退学してしまった例も数多く知っております。
各学校が責任を持って実施といっておりますが、やはり都としても、子供の命を守るルールづくりを強く求めます。
次に、地元の蒲蒲線について伺います。
現在、羽田空港は、京急エアポート快特で品川から十三分、東京モノレール快特で浜松町から十三分です。
JRは既に、二〇三一年開業を目指し、東京−羽田空港間十八分の東山手ルートと、新木場−羽田空港約二十分の臨海部ルート、そして新宿駅−羽田空港二十三分の西山手ルートを計画しています。
そんな中、東急と大田区は、線路や駅を整備する羽田エアポートライン株式会社をつくり、JRに遅れること十一年の二〇四二年三月を目指し、東急矢口渡駅から蒲田駅を通って京急蒲田駅付近までの一・七キロを地下化し、線路を整備する計画を進めています。
総事業費が一千三百六十億円、さらに羽田空港へのアクセスには第二期工事が必要で、この第二期工事については、総工費等、全容も明らかになっていません。
既に物価が高騰し、人手不足となっている現状で、第一期工事一千三百六十億円が二千億円、三千億円と膨れ上がっていくことを危惧しております。都の見解をお伺いいたします。
○谷崎東京都技監 矢口渡から京急蒲田までの区間につきましては、令和四年に東京都と大田区との新空港線に関する協議の場で検討した事業費は約千三百六十億円でございます。
本年一月に、大田区と鉄道事業者が設立いたしました、整備主体となる羽田エアポートライン株式会社が事業費を精査した整備構想につきまして、国に申請したところでございます。
構想の内容につきましては、現在、国と協議、調整を実施中であると聞いております。
○もり委員 整備構想の内容は協議、調整中ということで、やはり費用は増えると懸念をします。
第二期工事では、京急蒲田駅から地下駅を掘り進めて、大鳥居で新空港線の路線をつなぐことが計画をされています。
レール幅がそもそも違うため、京急と東急だと三百六十八ミリも違っており、大田区は、いまだ開発されていないフリーゲージトレインを導入するとしています。新規車両をどれだけ造って投入できるか、その費用は計り知れません。
フリーゲージトレイン車両の開発、実装の実現可能性と費用対効果について、都の見解を伺います。
○谷崎東京都技監 京急蒲田から大鳥居までの整備時期につきましては未定でございますが、国の交通政策審議会答申第百九十八号において、新空港線の新設は、大鳥居駅において京急空港線と相互直通運転を行うとされております。
また、同答申では、軌間が異なる路線間の接続方法などの課題が示されており、こうした課題について、地元区が主体となって検討を進めていると聞いております。
なお、同答申では、矢口渡から京急蒲田までの整備により、蒲田駅と京急蒲田駅間のミッシングリンクを解消し、今、蒲田駅と京急蒲田駅、線路がございませんので、そこが線路でつながります。乗換えは生じますが、羽田空港へのアクセスは改善いたします。そのように、早期の事業効果の発現が可能となりますので、都としても同様の認識でございます。
○もり委員 レール幅が異なる問題の解決は、地元大田区が主体になって検討を行うということですが、都の支出もあるので、都も主体的に検討を行っていただきたいと思います。
また、JRが羽田空港アクセス線の工事を進め、二〇三一年に開業することを踏まえ、羽田まで乗り入れることの当初の需要予測は変わってくると考えます。
また、本当に渋谷駅から東急の線路が、多摩川駅を経て多摩川線に乗り入れ、蒲田を通って羽田空港に行こうとすれば、東横線は八両から十両編成、多摩川線は三両編成なので、ホームの延長なども必要となるか、多摩川線は全く停車しないかのどちらかになります。
渋谷駅から羽田空港まで直通で行けるという新空港線の構想は、実現可能性がないか、費用対効果が極めて低いものになると考え、白紙撤回が必要だということを強調し、次の質問に移ります。
地場の中小企業振興対策について伺います。
地元大田区をはじめ、京浜工業地帯といわれた地域には、技術力を持ち、日本の高度成長期を支えた中小企業が数多くあり、ピーク時に一万社を超えた町工場は次々とマンションに姿を変え、産業集積は失われつつあります。
準工地域が開発しやすい背景がある中で、大田区では、地域力を生かした大田区まちづくり条例を制定しておりますが、町工場の減少を食い止める一層の取組が求められます。
中小企業の安定化を図るため、東京都独自の振興策として、都の基金等による特別融資策、また、事業承継に当たっての、国の事業承継税制の活用に対するコンサル支援など、包括的かつ事業者のニーズに寄り添ったコンシェルジュ的な支援制度をつくるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○田中産業労働局長 都は、中小企業の経営安定化に向けまして、様々な相談への対応や、専門家を現場に派遣した助言を行うとともに、資金繰り支援を実施するなど、経営と金融の両面からサポートしております。
○もり委員 次、神宮外苑について伺います。
知事は、所信表明で、世界遺産登録も見据えながら、江戸から続く歴史文化の価値や奥深い魅力を明らかにすると述べていて、強く賛同いたします。
ユネスコ世界遺産登録には、専門機関であるイコモスによる審査が必要ですが、世界文化遺産登録を目指すならば、イコモスのアラートが指摘しているように、明治神宮を含む江戸の庭園文化がその第一候補として考えられますが、都の見解を伺います。
○古屋生活文化スポーツ局長 江戸が二百六十年の平和と繁栄の中で生み出した有形無形の独自の文化、歌舞伎や浮世絵、建築、そして江戸前の食などがございますが、これらは、現在まで世界に誇る東京の魅力でございます。
本年一月に立ち上げた有識者会議では、世界遺産登録も見据えた江戸文化の価値の整理に向けて、日本近世史や建築史、都市計画、外交など各分野の専門家から、江戸が築いた傑出した伝統や価値、国際的な理解の重要性などについてご議論いただいております。
今後、会議でいただいた多くのご意見を基に、個々の文化資源の専門的かつ学術的な見地からの整理も進めまして、江戸文化の魅力を浮き彫りにしてまいります。
○もり委員 イコモスの明治神宮外苑への批判を意識して、あえて、江戸から続く文化ではなく江戸文化と所信表明を修正されたということでしょうか。
江戸から続く文化というならば、ぜひ神宮外苑、そして築地浴恩園の保全についても、前向きな取組を強く求めます。
また、都は、神宮外苑開発の過程で、イコモスの専門家などの疑問を呈する専門家の意見を審議会が聴取することも、事業者に対して意見交換を推進することも徹底的に排除しています。
多様な意見を聞くことは、都民と決める、都民と進めることになると考えますが、知事の見解を伺います。
○谷崎東京都技監 神宮外苑地区のまちづくりは、明治神宮などの民間事業者が自らの所有地におきまして実施するものでございます。
まちづくりを進めるに当たりましては、多くの都民の理解と共感を得ることが重要でございまして、都はこれまでも、都民から寄せられた声なども踏まえ、事業者に対し、分かりやすい情報発信や幅広い都民参画などに取り組むよう、再三にわたり求めております。
事業者におきましては、法令等に基づいた説明会に加え、さらに住民の理解を深めるための説明会を複数回開催し、あわせて、ホームページでの質問の受付及び回答を行うなど、広くまちづくりへの都民等の参加の機会を設けております。
○もり委員 神宮外苑は、スポーツクラスター構想から始まる東京都主導の開発です。事業者の責任に転嫁すべきではありません。
現在、都議会神宮議連では、環境アセス審議会に専門家を招致し、評価書の虚偽があった場合には知事が必要な措置を講じることができるよう、条例改正案を提出しています。
百年の森を破壊した知事、議会として名を残すことがないよう、次の百年に神宮外苑の自然と文化を守ることを強く求めます。
最後に、アフォーダブル住宅について伺います。
昨年の決算特別委員会でも指摘をしてまいりましたが、住宅価格の上昇により、子育て家庭が安心して都内に住めなくなっている現状が顕著になっています。
東京都では七・三%を占めるひとり親世帯は、子育て施策においても特に重要な対象です。
これまで私も、住宅政策審議会でも、ひとり親家庭を支えるシェアハウスの整備を求めてきた経緯があり、来年度の新規事業として、アフォーダブル住宅の供給として、ひとり親家庭を支える住宅を整備することを高く評価をしております。
一方で、都と民間合わせて二百億円規模のファンドを活用するとのことですが、どれだけのニーズがあり、いつまでに何戸整備をしていくのか、明確な整備目標が示されていないようです。
ひとり親家庭など子育て世帯に対して住まいの面から支えていく、今回のアフォーダブル住宅の供給をどのように進めていくのか伺います。
○小笠原住宅政策本部長 都は来年度、空き家の民間支援事業を再構築し、ひとり親世帯向けのシェアハウスへの改修を後押しいたします。
また、官民連携のファンドによりまして、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給を進めてまいります。
こうした取組を通じまして、子供を育てる世帯の住環境の整備を進めてまいります。
○もり委員 アフォーダブル住宅の対象であるひとり親家庭のシェアハウスはもちろんのこと、親亡き後の障害者のグループホームの設置も喫緊の課題であり、基金による民間の整備を待つのではなく、都が、都内の既存ストックである空き家を率先して借り上げ、必要なリフォーム等を行い提供していく新たなスキームが求められると考えます。
都として積極的に整備を推進することを強く求めます。
また、昨年の決算でも指摘をしましたが、オリンピック選手村であった晴海フラッグなど、本来であれば、ファミリー向け住宅として必要とする都民に提供するべきでしたが、投機目的として高値転売されている課題を指摘し、一昨日は転売防止要請について答弁がありました。
多くの空き家、空き室が出ている中で、特に二十三区では、再開発により、大きなタワマンが建設、計画をされており、民間によるまち壊しを助長するのではなく、都として、五十年後、百年後の人口減少社会での東京で必要とされる住宅需要を想定し、住宅政策を設計すべきと考えます。
住宅政策本部と都市整備局が連携し、まちづくり、住宅政策の整備方針を総量規制も含めて示し、持続可能で誰一人取り残さない住宅政策を求め、質問を終わります。(拍手)
○川松委員長 もり愛委員の発言は終わりました。
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