予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

   午後六時三十分開議

○川松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 銀川ゆい子委員の発言を許します。

○銀川委員 私は、まず初めに、女性活躍の推進についてお伺いをいたします。
 最近、メディアにおいても女性トイレの混雑事情が度々取り上げられています。それだけ社会的に問題になってきているということではないでしょうか。私も、知事の目指す女性活躍の推進はぜひ積極的に進めていただきたいと思いますが、ここでは、まちづくりの観点から、女性の活躍できる環境づくり、とりわけトイレの問題について取り上げたいと思います。
 二月の十四日、東京都避難所運営指針が発表され、トイレについては、発災当初は五十人に一基、発災一週間以降は二十人に一基、そして、これが重要なことなんですけれども、その男女比は一対三を実現ということが公表されました。
 この一対三という比率は重要と考えますが、避難所運営指針でのトイレの男女比一対三についての考え方、根拠について確認をしたいと思います。

○佐藤総務局長 トイレの衛生環境の確保は、避難生活における感染症の蔓延を防止することや、トイレを我慢することによる健康被害を予防する上で重要でございます。
 そのため、本指針の素案では、国際的な人道支援の最低基準であるスフィア基準に準拠し、避難所におけるトイレの設置数や女性用と男性用の設置数の比率をガイドラインとしてまとめております。

○銀川委員 スフィア基準に準拠したということなんですけれども、この一対三というのは、労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則にも見ることができます。
 予算特別委員会の資料では、都庁舎における男女別トイレの数をお願いしています。現在、都庁舎には、第一本庁舎で約七千七百人、第二本庁舎に約六千二百人の方がいるとされていますが、例えば第一本庁舎、福祉局や保健医療局、主税局や産業労働局、生活文化スポーツ局など官房系が入っており、トイレの個室の数は、男性二百十二、女性二百三十五、四十七・四対五十二・六とほぼ同数となっています。
 事務所衛生基準の規則第十七条では、事業者は、ざっくりいうと、男性用トイレの個室は六十人に一個、女性は二十人に一個を設けなければならないとされ、数的には足りているとは思いますが、その比率は適切なのか。知事部局の多数が第一本庁舎にあります。知事部局の常勤職員の女性の数、男性の数はそれぞれが何人なのか伺います。

○佐藤総務局長 まず、令和六年四月一日現在で、知事部局の常勤職員のうち、男性職員は一万二千九百八十三人、女性職員は八千七百五十五人でございまして、その割合は約四割でございます。
 また、お話ございましたように、第一本庁舎には、常勤職員や会計年度任用職員などを含めまして、約七千七百人が勤務をしております。
 第一本庁舎には、女子トイレが二百三十五基設置されておりまして、事務所衛生基準規則にある女性二十人に一基の基準に当てはめますと、女性四千七百人分に相当することから、必要数は充足しているものと考えております。

○銀川委員 予算特別委員会の資料第43号での都庁舎の男女別トイレの数をお示しいただきました。今後、より詳細なデータを把握しておく必要があると思いますので、こちらに対応する職員の数も把握しておいてほしいと思います。
 さて、議会局の職員は百三十六人のうち女性が五十五人ですが、ここにカウントされていない会計年度任用職員二十九名は全てが女性です。こうした方たちを足すと、女性が多いともいえます。
 本会議の休憩時間も、女性議員が増えたことで延ばす必要があったと聞いており、世の中のルールは男性基準となっていることがほとんどです。
 まちの中でも女性のトイレは大変です。地下鉄や劇場、商業施設、テーマパークなど、女性トイレは混雑率が非常に高くなっています。男性の皆様も、トイレの入り口から外まで長蛇の列となっている光景を見ることは多いと思います。
 予算特別委員会資料第199号では、地下鉄のトイレの個数の数をお願いしています。都営地下鉄利用者における男女比について伺います。また、このトイレの数、男女比はどのような基準で決められているのか、伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、一般的に駅構内が狭く、トイレに活用可能な面積が限られる中、各駅における女性トイレの個室数は男性と同数またはそれ以上を確保してきております。
 また、改修の際には、国が監修するバリアフリー整備ガイドラインに基づき、オストメイト対応などバリアフリーの充実を図る必要がございますが、個室の数は可能な限り維持することとしております。
 なお、同ガイドラインには、トイレの個室の男女比につきましては、特段の定めはございません。

○銀川委員 女性トイレの数が男性と同等でも可能というのが、既に時代遅れなのではないかと思います。
 当初、都営地下鉄の利用者における男女比について聞いていたんですけれども、把握をされていないということで質問を見送って、地下鉄の男女トイレの個室数としましたけれども、東京都交通局が発行しているメディアガイド二〇二三という冊子に、二〇〇八年の数字なんですけれども、六本木駅の使用者の性別、年代別構成比が載っています。こちらを局に確認したところ、当時、駅の特性をこちらの冊子に掲載することで、広告媒体の販売促進につながるために、新橋駅と併せ二駅のみ調査したということでした。
 こちらによれば、六本木駅の平日の利用は、男性が五七・五%、女性が四二・四%ですが、休日は男性が四六・八%に対して、女性は五三・一%と、女性の方が多くなっています。平日の利用も、女性の社会進出が進み、二〇〇八年よりも多くなっていると思います。六本木駅のトイレの個数は、男性八、女性九の計十七ですけれども、十七を同数ではなく一対三にすれば、男性は四・二五、女性は九・七五となります。
 トイレの数を決めたのは過去の例を参考にしているかもしれませんが、過去の例には統計上も経験上も女性が入っていないというのが明らかです。キャロライン・クリアド・ペレスの著書、「存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」の中に、人類史の大部分はデータが著しく欠落している。人類の発展において女性が果たしてきた役割については、文化的にも生物学的にもほとんど言及されていない。一方、男性の生態は人類の生態を代表するものとして扱われてきた。こうした無視はあらゆる場所で横行し、映画、ニュース、文学、化学、都市計画、経済学はもちろんのこと、私たちの文化全体にはびこっていると述べられています。
 日本におけるトイレ計画やデータにおいても、ジェンダーギャップが見過ごされてきた現実があるのではないでしょうか。
 鉄道利用の男女比は、五年ごとに行われる交通政策センサスである程度分かりますけれども、二〇一七年六月に公開された第十二回の調査結果を分析すると、都内で通勤定期券を利用している人の数は三百一万九千八百三十七人、うち女性は百三十四万二千五百四十二人と、四四・五%を占めています。しかも、年齢階層別で最も定期券利用が多い二十五歳から二十九歳では、女性が五二・四%と男性よりも多く、これでは駅のトイレに女性が並ぶのも当然です。女性の社会進出、女性活躍が当たり前になっているこの時代に考慮すべきではないでしょうか。
 そこで、女性活躍の観点から、これから制定に向けて動き出している女性活躍基本条例について触れたいと思います。
 知事が制定を目指す女性活躍基本条例について、都幹部は、都独自の切り口で女性活躍の実効性を高める具体策を議論したいと述べていたことが報じられています。女性活躍基本条例の策定スケジュールを伺います。

○田中産業労働局長 少子高齢化が進む中、持続可能な社会をつくるためには、女性の力を引き出していくことが必要でございます。
 女性活躍をさらに進めていくため、現在、有識者から成る検討部会において、条例の制定に向け、基本的な考え方等について議論を進めているところでございます。

○銀川委員 今後も女性がまちに出て活躍できるように、トイレの混雑問題も意識をしていただきながら、小池都知事が目指す女性活躍の推進に取り組んでいただきたいと思います。そして、東京都から女性のトイレ問題を解消し、民間事業者にも働きかけていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、東京二〇二五デフリンピックについて伺います。
 東京二〇二五デフリンピックは、デフアスリートにとって最高峰の舞台であるだけでなく、障害の有無に関係なく、誰もが意思を疎通し合える社会へと大きく進展する意義のある大会であります。
 足立区にある東京武道館でも、空手、柔道と二つの競技が行われます。デフリンピックの認知度が徐々に向上しており、地元の人たちの注目も高まってきており、ぜひ大会を成功させてほしいと思います。
 そこで、大会の開催に向け、これまで準備を進めてきた知事の考えを伺います。

○小池知事 大会の開催は、デフスポーツ、そして、ろう者の文化への理解を深める、共生社会の実現に大きく寄与するものと考えております。
 様々なレガシーを創出いたしまして、大会の成功とその先の未来に向けまして、取り組んでまいります。

○銀川委員 私も成功を願っております。
 デフリンピックは、東京都が子供たちを招待する子供観戦もあります。ぜひ多くの子供たちに観戦をしてほしいと思います。観戦は学校単位と聞いており、事前の準備や引率する先生の負担、そして子供の安全確保など、学校現場の負担にも配慮をしながら取り組んでいただけますようお願いをいたします。
 次の質問に移ります。
 二〇二〇年はオリンピックがあり、今年はデフリンピックもあるので、さらなる受動喫煙の取組強化ということから、このテーマを取り上げたいと思います。受動喫煙の防止について伺います。
 私は、昨年九月の本会議一般質問でもこの問題を取り上げ、コンテナ型の公衆喫煙所の整備にも対応可能な補助限度額の引上げも含めた予算の拡充を求めてきました。
 七年度予算では、区市町村による公衆喫煙所の整備について、どのように支援していくのか伺います。

○雲田保健医療局長 都は、区市町村が取り組む公衆喫煙所の整備につきまして、屋外コンテナ型の補助基準額を、来年度一千万円から一千七百万円に引き上げ、引き続き支援を行うこととしております。

○銀川委員 東京都受動喫煙防止条例の制定によって、都内が受動喫煙に遭わない環境に大きく改善したことは評価します。
 一方で、健康増進法の一部改正などでも、一部オフィスでは喫煙が禁止されていないなどの課題が残ったままになっているという指摘や、飲食店でもたばこの出張販売の許可を得て、喫煙目的施設となっているのか、以前よりも喫煙可能な飲食店が増えているようにも思います。また、歩行者の多い道路に面した飲食店の出入口やバス停付近、ベランダでの喫煙、加熱式たばこであれば問題ないという誤解なども広がっています。
 事例なんですけれども、私の周りでも先日、奥様がヘビースモーカーで、非喫煙者のご主人が肺がんで亡くなった方、ご主人がヘビースモーカーで、非喫煙者の奥様の肺が喫煙者以上に黒くなっていたというお話も伺いました。受動喫煙防止は十分普及しているとはいえず、個人の意識改革も含めて、まだまだ課題が残っていると思います。
 そこで、伺います。足立区では、子どもの健康を守る卒煙チャレンジ支援事業を実施しています。十八歳未満の子供と同居する保護者もしくは妊婦さん、そのパートナーを対象とし、治療を終えた対象者には最大二万円の助成を行っています。足立区のこの事業は東京都が補助を行っているとのことなんですが、こうした区市町村支援のほかに、東京都も都内の家庭における子供や配偶者の受動喫煙の被害防止を推進する取組はできないのか、伺います。

○雲田保健医療局長 都は、子供を持つ家庭向けのリーフレットなどによりまして、家庭内での受動喫煙による子供や妊婦への悪影響について注意を促しております。
 また、来年度は、主に喫煙者を対象とした検索連動型広告を行い、喫煙が禁止されていない場所でも、受動喫煙の配慮が必要であることについて普及啓発を行うこととしております。

○銀川委員 リーフレットを配布しているとのことなんですけれども、東京都が本気になれば、やれることはたくさんあります。子育て政策に力を入れている小池都知事に、家庭内の受動喫煙対策も子育て支援の一環と捉え、都が主体となって、より一層力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、インバウンドで訪れる外国人観光客向けに、コンテナ型喫煙所のPRを強化すべきと考えます。例えば大阪市では、路上喫煙禁止地区を示すポスターの多言語化を進めたり、巡回員に多言語表記のカードを持たせて指導を強化、渋谷区では、喫煙場所をまとめたマップを閲覧できるようにしています。
 外国人観光客に向けた啓発の強化について、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、東京を訪れる外国の方に、都内の受動喫煙対策や屋外も含めた喫煙ルールを理解してもらうため、これまで行ってまいりました外国人向けリーフレットなどによる啓発に加え、来年度新たに、ターゲティング広告などによる働きかけを行うこととしております。

○銀川委員 ターゲティング広告と併せて、空港や鉄道主要駅の喫煙所、観光地に路上喫煙の禁止やコンテナ型喫煙所での喫煙のお願いのポスターの掲示など、さらなる強化に取り組んでいただきたいと思います。
 COPDによる死亡者数は増加傾向にあり、今後さらに患者数の増大が懸念されます。診断のついていないCOPD患者が多数存在し、そのほとんどがたばこを原因として進行、そして発症します。一部の地区ではCOPD検診を導入し、早い段階での禁煙指導、治療が行われ、その有効性が期待をされています。
 たばこ対策の一環としてもCOPD検診を都内でモデル事業として展開することを要望しますが、どうか、伺います。

○雲田保健医療局長 都は、COPDの最大の原因が喫煙であることを踏まえ、発症の予防や早期発見、早期治療の促進に向けて、喫煙者などに対し、正しい知識の普及啓発を行うとともに、禁煙外来の医療費助成を行う区市町村を支援するなど、関係機関と連携して対策に取り組んでおります。

○銀川委員 東京のさらなる魅力を引き上げるためには、受動喫煙防止の徹底も重要です。今後もコンテナ型喫煙所の設置の促進や、各自治体の取組のバックアップをお願いいたします。そして、私も第三回定例会で言及をいたしましたが、特別区長会から要請のある喫煙所の維持管理費も対象とした補助制度及び上限額の引上げなども含めたさらなる支援拡充、取組を推し進めることをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、火葬問題について伺います。
 私は、この問題を昨年九月二十六日の一般質問でも取り上げました。二〇四〇年代には、年間の死亡者数が今の倍近くになると推計をされていますが、今でさえ東京都は火葬待ち、料金が高いという状況です。火葬場の整備については、東京都はかたくなに基礎的自治体の仕事だという姿勢ですが、一方で、都立施設として江戸川区に瑞江葬儀所があります。この瑞江葬儀所は、第二次都庁改革アクションプランなどにおいて、区移管という議論もありましたけれども、この区移管はどうなったのか伺います。

○花井建設局長 都立瑞江葬儀所につきまして、地元区とは日頃から運営管理に関する情報共有などを行っております。

○銀川委員 第二次アクションプランから二十年以上が経過をしているんですけれども、いまだ議論が進展していないということで、この現状を見た都民から、火葬場も都がやるものだと思われても仕方がないですよね。
 次に、都立の瑞江葬儀所は、予定どおり令和八年二月に改修工事が終了すれば、年間の火葬件数が七千五百件から約一万件まで拡大可能になるとも聞きます。これまで休業日としていた友引も開業するということですが、現在、十時から十四時となっている火葬の受付時間帯についても、地元町会との約束もあるのでしょうが、引き続き、受入れ拡大に取り組んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。

○花井建設局長 都立瑞江葬儀所の新施設は、最新の火葬炉を備えておりまして、排煙設備等の環境性能が改善いたします。これによりまして、地元の理解の下、稼働時間を拡大し、現在一日二十五件の火葬可能数を三十件にすることとしております。

○銀川委員 区市町村の中には、火葬費用を請求する手続の負担が大きく、請求を行わない自治体もあると聞きますが、都の五年度決算では、一件当たり十三万三千七百円の支出となっています。孤独死などで、中には親族と連絡が取れない、身元が分からないという方も当然におられます。こうした方々の火葬など葬儀の手続を行うのは基礎的自治体ですが、法令的には、その費用を負担するのは東京都です。火葬の費用を東京都も担っているという現状があるのなら、一律に区の仕事といい切るのも難しいのではないでしょうか。火葬料等を都が負担しているという現状に鑑み、広く都民の火葬料も都が負担してもよいのではないかと思います。
 そこで、都民の火葬料負担の軽減策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 墓地、埋葬等に関する法律、いわゆる墓埋法では、火葬場の管理等は、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることが求められており、国は、指導権限を有する自治体に対し、公衆衛生の確保のほか、永続性の確保や利用者の利益の保護等の観点から、適正な経営、管理について指導監督の徹底を求めております。

○銀川委員 負担策を考えていないということですが、東京都の火葬について、そもそも同じ二十三区の都民であるのに、瑞江葬儀所利用可能地域の都民は五万九千六百円、臨海斎場地域五区の都民は四万四千円、その他の十七区在住のほとんどの都民は九万円となっている現状について、東京都は問題があるという認識はないのか伺います。

○雲田保健医療局長 墓埋法では、特別区の地域は、区が火葬場の指導監督を行うことになっております。

○銀川委員 東京の火葬料は高いとマスコミでも大々的に取り上げられている中で、墓地埋葬法で特別区の責任は区長にあるからと都が静観している状況に危機感を持っています。他会派の発言でもありましたが、東京都の問題として捉えていただきたいと思います。
 次に、公共交通機関における都のカスタマーハラスメントの取組について伺います。
 東京都は、カスタマーハラスメントが就業環境を害し、事業継続にも影響を及ぼすとの認識の下、カスタマーハラスメントを禁止する東京都カスタマー・ハラスメント防止条例を制定しました。条例制定を高く評価しています。
 都が発表しているカスタマーハラスメントガイドラインの中に、カスタマーハラスメントは、働く人を傷つけるのみならず、商品またはサービスの提供を受ける環境や事業の継続に悪影響を及ぼすものと記載があります。
 条例が全ての事業者を広く対象としているのは承知をしています。その中で、昨日は我が会派の西沢けいた議員から、医療現場に対するカスハラ防止対策の指摘がありました。おとといは、他会派から介護事業者においても指摘がありました。どちらも優先順位が高いことはいうまでもありません。
 私からも、優先順位の高い事業者を指摘させていただきたいと思います。鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関の場合、暴力や理不尽ないいがかりなどの行き過ぎたカスハラ行為が、最悪の場合、事故につながってしまう可能性があります。遅延など、ほかの利用者も巻き込んで影響が及んでしまうこともあります。他業種と同じくくりの通り一遍の対策ではなく、より啓発、安全性を高めた取組を進めてほしいと考えます。
 そこで伺います。鉄道やバス、タクシーなど公共性が高い業種に対するカスハラ対策と安全性の確保について、東京都はどのように取り組んでいくのか、伺います。

○田中産業労働局長 条例では、あらゆる場におけるカスタマーハラスメントを禁止し、指針では、交通機関の乗降客から駅員や運転手などに対する行為を例示してございます。
 共通マニュアルでは、業種ごとに特有の迷惑行為から就業者の安全を確保する必要性やその方法を示しており、公共サービスの現場も含めた対策を促すこととしてございます。

○銀川委員 テレビ広告やユーチューブ広告、電車内の電子広告など、多くの都民が自然と目にする広告などで、公共交通機関関係従事者への暴力が条例違反であることを周知啓発する取組を都として検討してほしいと思いますが、伺います。

○田中産業労働局長 働く人への暴力行為につきましては、条例に基づく指針において刑法等により処罰される可能性を示しており、共通マニュアルでは、暴行にはちゅうちょせず警察に通報することを促しております。
 こうした考え方について、啓発ポスターや動画広告等も活用した効果的な情報発信を進めることとしてございます。

○銀川委員 それぞれの事業者が予防策に取り組むことは前提として、都としても、カスタマー・ハラスメント条例を活用し、鉄道やバス、タクシーなどの公共性の高い現場が安全で快適な交通環境となるように努めていただきたいと思います。
 次に、北千住駅の乗換え不便解消について伺います。
 私は、昨年十一月の都市整備委員会の事務事業質疑で、北千住駅の常磐線緩行線と常磐線快速線の乗換え不便についての質疑を行いました。千代田線改札階から常磐線快速線下りホーム、上りホームのエレベーターに直結できるよう、地下道の整備をすることを提案するものです。
 常磐線緩行線で北千住駅に着くと、いや応なしに地下鉄のホームに入ってしまいます。そして、北千住駅で同じ常磐線である快速線上野方向に乗り換えようと思っても、地下二階のホームから八十三段も階段を上っていかなくてはなりません。エスカレーターのないところもあります。
 常磐線の快速線のホームまで行くというのは大変な距離があり、ベビーカーや車椅子を利用される方、障害者、高齢者は苦労しています。全くバリアフリーになっているとはいえない、ひどいものとなっています。この乗換え時の苦労を避けるために、北千住駅で降車せず、やむを得ず利用したくない東京メトロ線で初乗り運賃を含む料金を支払わせられながら、西日暮里駅で乗り換えるということを強いられているという問題にもつながっています。
 質疑に対し、東京都の答弁は、地元区の要望があれば必要に応じて対応を検討するというものでした。ご答弁を受けて、改めて伺います。
 足立区や葛飾区などの地元から東京都に要請さえすれば、鉄道事業者への働きかけや、乗換え不便についての足立区、葛飾区、JR、東京メトロ、四者への勉強会の参加や連携など、具体的に検討し、動いてくれるということでしょうか。見解を伺います。

○谷崎東京都技監 北千住駅では、JR東日本の常磐緩行線と東京メトロ千代田線が地下二階ホームを使用しており、JR東日本の常磐快速線が一階ホームを使用しております。この二つのホームの乗換えにおきましては、エレベーターにより段差なく移動できるバリアフリー経路は確保されております。
 その上で、足立区が、葛飾区、JR東日本、東京メトロと北千住駅のバリアフリー経路に関する勉強会を設置し、より利用しやすい施設となるよう、課題の共有や整備推進方策の検討を行っていると聞いております。
 地元区等の状況を踏まえ、適切に対応してまいります。

○銀川委員 地元の住民からはバリアフリー化を進めてほしいという声が届いています。ターミナル駅である北千住駅の長年続く乗換え不便解消のために、ぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、都営地下鉄と東京メトロ一元化と初乗り運賃について伺います。
 二〇〇四年の営団地下鉄の民営化に伴い設立された東京メトロは、全株式を売却して完全民営化する方針が定められ、今回、都の保有する株式の売却もし、千六百二十四億円の収入が補正予算でも計上されたところです。この売却により、東京都のメトロに対する株保有率が四六・〇%から二三・二九%に下がりました。
 東京メトロが事業主体となる地下鉄の延伸整備が終わるまでは、国と都が株式の二分の一を保有することが適切であるとの方針から、当面は完全民営化とはならずに、都の影響力は存在しているのです。だからこそ、重要な公共交通を担っている以上、将来的にも、都営交通と東京メトロとのサービス一元化に向けて取り組んでいくべきです。さらにいえば、首都圏の鉄道会社が連携をして、利用者の利便性向上に取り組むべきだと強く要望をするものです。
 少なくとも、東京メトロの株式保有割合が減少する中にあっても、引き続き、都営交通と東京メトロとのサービス一体化について取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都民などの利用者にとって、東京の地下鉄が一層使いやすいものとなるよう、地下鉄全体のサービス向上に取り組むことが重要でございます。
 このため、現在、都営地下鉄と東京メトロは連携し、混雑の緩和や案内サインの充実など、サービスの改善、一体化を進めているところでございます。

○銀川委員 ぜひこれまで以上のサービス向上の取組をお願いいたします。
 乗換えの中で都民が不便に感じているのは初乗り運賃です。例えば、私が住む足立区の西新井駅から都庁に出てくる場合、仲御徒町での大江戸線乗換えで五百十円かかります。東武伊勢崎線、東京メトロ日比谷線、都営大江戸線で、距離の合計は十八・七キロ、この十八・七キロというのは、メトロ単独であれば二百六十円、都営単独でも三百三十円の運賃です。つまり、足立区の住民は、各社の初乗り料金がかかることで、倍近い運賃を取られています。
 パリやロンドンをはじめ多くの都市で採用されている制度にゾーン運賃制というものがあります。これは、都市内を幾つかのゾーンに分類し、乗車してから下車するまでに通過するゾーンの数で運賃を決める方式で、合理的だと思います。
 そこで、私は、東京都においてもゾーン運賃制の導入に向けて検討すべきと強く求めます。少なくとも、都営交通と東京メトロとの運賃割引制度は、初乗り運賃全額割引か拡大に向けて取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○久我交通局長 運賃は収入の大宗を占め、安定した事業運営を継続していくための根幹であり、安全・安心を確保し、質の高いサービスを提供するための貴重な原資でございます。
 東京メトロと都営地下鉄とを乗り継いだ場合のいわゆる初乗り運賃の無料化につきましては、両地下鉄とも減収となり、経営に大きな影響を与えることなど、様々な課題がございます。
 なお、現在、両地下鉄を乗り継ぐ際には、普通運賃の七十円割引や定期券の一五%割引を実施するとともに、割安な共通企画乗車券を販売しており、運賃負担の軽減に努めております。

○銀川委員 東京都の持ち株が多い少ないにかかわらず、メトロとサービスの一体化を続けていただいているのであれば、株を持っているいないにかかわらず、ほかの民間鉄道ともサービス向上についてご検討いただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、シルバーパスのIC化について伺います。
 シルバーパスの利用者負担軽減は、評価するとともに感謝をしております。シルバーパスのIC化と今後の在り方について伺います。シルバーパスをIC化に決めた都の目的について伺います。

○山口福祉局長 シルバーパスにつきましては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、利用実態を把握しながら検討することとしております。
 来年度は、利用実態の把握や利便性向上のため、シルバーパスのICカード化に向けたシステム改修等に着手することとしております。

○銀川委員 現在は、運転士に見せるだけのシルバーパスがICカード化することで、利用実態の可視化が可能となります。都内では、各地でバスの減便や路線廃止が続いていますが、可視化の検証結果を今後のバス路線適正化のために活用すべきと思いますが、伺います。

○山口福祉局長 シルバーパスにつきましては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら検討することとしております。

○銀川委員 可視化されたデータを都として分析、検証をし、バス協会側から寄せられている増額要望など真摯に取り組んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 シルバーパスにつきましては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら検討することとしております。
 来年度は、バス業界を取り巻く環境が厳しいことを考慮しまして、指定団体である東京バス協会に対し、緊急的措置として支援を行うこととしております。

○銀川委員 引き続き、地域の公共交通を守る取組をしていただければと思います。
 最後の質問に移ります。まちづくりの拠点形成について伺います。
 二〇五〇東京戦略の成長を支える多様な拠点の形成には、東京、新宿、渋谷、品川、池袋と、山手線沿線の拠点がノミネートされています。上野も山手線沿いに位置していますが、計画がありません。拠点の中に上野などの東側エリアがなく、優先順位が低いように感じます。また、都市整備局のパンフレットである東京の都市整備の国際競争力の強化に資する都市の再生においても、都心部ばかりが取り上げられ、東側エリアはほぼ計画が見当たりません。
 東京の東側には魅力ある施設や場所がたくさんあります。都心部と同じように、魅力や活力をさらに発掘する取組はできないのか、東側エリアにももっと注目してほしいと思うがどうか伺います。

○谷崎東京都技監 東京が成熟都市として一段と質の高い成長を遂げるためには、東京の東部地域も含め、各地域の特色や個性を生かしていくことが必要でございます。
 都は、都市計画区域マスタープランにおきまして、東部地域では上野や浅草などを中核的な拠点、北千住や綾瀬などを活力とにぎわいの拠点として位置づけるとともに、各拠点の将来像などをお示ししております。
 引き続き、区市等と連携し、民間活力等も活用しながらまちづくりを進め、東京ならではの魅力を生かした拠点の形成を図ってまいります。

○川松委員長 銀川ゆい子委員の発言は終わりました。(拍手)