予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○松田副委員長 森口つかさ委員の発言を許します。
   〔松田副委員長退席、尾崎副委員長着席〕

○森口委員 都財政について伺います。
 令和七年度の一般会計は、過去最高の九兆円を超える予算案であり、将来にわたる東京の発展を見据えた持続可能な財政運営が求められております。都の歳入の根幹をなす都税収入は、企業収益の伸長により増加していますが、来年度の歳入見通しとその持続可能性についての見解をお伺いします。

○武田主税局長 令和七年度の都税収入は六兆九千二百九十六億円を見込んでおり、企業収益の堅調な推移や雇用所得環境の改善による法人二税や個人都民税などの増が主な増収要因となっております。
 現在、景気は緩やかな回復が続くことが期待されておりますが、海外景気の下振れリスクなどが指摘されていることから、引き続き税収への影響を注視してまいります。

○森口委員 都税収入は増加基調にあるとのことですが、過去を振り返ると、大幅な減収に見舞われることもありました。
 改めて過去の歴史を振り返りながら、令和七年度予算のポイントを伺います。

○山下財務局長 都は、景気変動の影響を受けやすい不安定な歳入構造にあり、これまでバブル崩壊やリーマンショック等により、都税収入の大幅な減少に幾度となく直面してまいりました。
 このような歴史を踏まえますと、将来にわたり安定的に都民サービスを提供していくためには、事業の不断の見直しに加え、将来への備えの強化など、中長期を見据えた財政運営が重要でございます。
 こうした観点の下、令和七年度予算案では、世界で一番の都市東京の実現に向けて積極的な施策展開を図るとともに、事業評価による無駄をなくす取組の徹底、基金残高や都債の発行余力の確保など、財政対応力にも配慮することで、めり張りのきいた予算としております。

○森口委員 様々努力を行ってきたとのことでありますが、事業評価による無駄をなくす取組はその象徴であり、七年度予算における財源確保額は千三百三億円とのことです。
 一つ一つの事業の費用対効果を高めていくため、どのように事業評価の取組を拡充してきたのか伺います。

○山下財務局長 都は、限られた財源の中、都政の諸課題に的確に対応するため、予算編成の過程で多面的な検証を行う仕組みとして事業評価を実施するなど、一つ一つの事業の効率性と実効性の向上に取り組んでまいりました。
 平成二十九年度予算編成からは、全ての事業に終期を設定し、事後検証を徹底するほか、その後もエビデンスベースによる評価の導入、デジタル関係評価における外部有識者の活用など、その仕組みを継続的に深化させてまいりました。
 今後とも評価制度の充実強化を図ることで、ワイズスペンディングの取組に一層の磨きをかけてまいります。

○森口委員 基金と都債について伺います。
 都財政は景気変動の影響を受けやすい不安定な構造にあり、基金や都債を戦略的に活用し、急激な景気変動などにも対応できるようにすべきと考えますが、基金や都債の残高はどのような水準にあるのか伺います。

○山下財務局長 都市の強靱化や少子高齢化への対応など、都政が抱える様々な課題に対し、安定的かつ計画的に対策を講じていくためには、年度間の財源調整機能を持つ基金と都債を戦略的に活用することが重要でございます。
 令和七年度予算では、都市の強靱化等を着実に進めるため、基金の活用を図る一方で、年度末残高は、リーマンショック前とほぼ同水準の一・七兆円となり、持続可能な財政運営の観点から、一定の残高を確保しております。
 また、都債につきましては、将来世代への負担も考慮し、発行額を抑制してきたことなどにより、年度末における残高は四・四兆円で、ピーク時である平成十三年度の七・六兆円と比較して、約四割減少する見込みでございます。

○森口委員 過去最高水準の税収や予算規模に対し、昨今の急激な物価高騰による負担増を背景に、都においても減税を求める声も少なからず上がっており、その効果や影響を確認したいと思います。
 仮に個人都民税を二割減税した場合、都民一人当たりの実質的な負担軽減額はどの程度となるかお示しください。

○武田主税局長 個人都民税は、主に所得金額に応じて課税することとされております。二割減税した場合の一人当たりの減税額は、所得金額によって異なるものでございます。

○森口委員 都の個人都民税が年間一・一兆円、課税対象者が七百五十万人とすると、平均して一人当たり年間二・五万円の負担の軽減になると、大まかな試算ができるようです。所得が高いほど減税額も大きくなりますが、年収五百万円の給与所得者では、およそ年間二万円弱の減税効果となります。
 一方、都民税を減税した場合、どのような影響があるか、国との関係について伺います。

○山下財務局長 仮に、個人住民税等の普通税を標準税率未満とする減税を行った場合、地方財政法では、地方債の発行に当たり、総務大臣の許可を受けなければならないと規定されております。
 都は、地方交付税の不交付団体でありまして、他の自治体以上に自立的な財政運営が求められる中、都債の発行が現行の届出制から国の許可制に移行した場合、都の財政運営の自主性や主体性が大きく損なわれることが懸念されます。

○森口委員 都民税を減税した場合、都債の発行に総務省の関与が生じ、都の財政運営が損なわれるとのことでありますが、具体的な内容を伺います。

○山下財務局長 起債が許可制に移行した場合の具体的な課題といたしまして、例えば、都債の発行に際し、国の通知では、申請可能な時期があらかじめ限定されております。また、許可を得るまで一定の期間を要しますため、都債を活用する事業の時機を捉えた展開や、年間を通じた弾力的な財政運営が困難となります。
 また、許可に当たりましては、減税による減収額を上回る行政改革の取組や地方税の徴収率などを勘案するともされておりまして、国の判断によっては、起債が許可されず、財政運営に大きな影響を及ぼす事態を招くことになります。
 実際に、かつて起債が制度上許可制であった時代には、都が予定していた起債を国が許可しなかったことから、予算の執行に影響を及ぼした事例がございます。

○森口委員 減税の効果やその影響に関して都の認識を確認しましたが、様々な論点があり、検討が必要であると分かりました。
 一方、国と都の関係という点では、いわゆる偏在是正措置のリスクを抱えています。平成二十年度以降、地方法人税の一部が国税化され、東京都は毎年多額の減収を強いられています。
 この措置による七年度予算への影響額と、これまでの累計額、都民一人当たりに換算した場合の額をそれぞれ伺います。

○武田主税局長 法人二税の国税化による都の令和七年度の影響額は、一兆四千六百五十四億円であり、都民一人当たりに換算すると約十万円となります。
 また、平成二十年度から令和七年度までの累計の影響額は約十・八兆円であり、都民一人当たりに換算いたしますと約八十万円になります。

○森口委員 海外の事例を調べると、イギリス、フランス、中国など、中央集権型の国では、法人税は国税化され、地方への再配分が行われています。アメリカ、ドイツ、カナダなどの地方分権型連邦制では、州、地方ごとに法人税が課されており、国税化して地方に再配分する仕組みは一般的ではありません。
 日本は、憲法や地方自治法に基づき、地方自治体に財政権限がありますが、地方税である法人二税の国税化が進められることで、都の国際競争力の低下や、地方自治の弱体、地域経済の活力低下を引き起こすものと大変危惧いたします。
 国は、法人二税の国税化により東京都から税収を吸い上げることを長年継続していますが、地方税財政制度のあるべき姿について、知事の見解を伺います。

○小池知事 国によります法人二税の国税化でございますが、地方分権の理念と逆行する全く不合理なものでございます。そもそも我が国の財政は、国と地方の歳出配分が四対六である一方、国税と地方税の配分は六対四と逆転をいたしておりまして、地方税の割合は低下の一途をたどっているのが現状でございます。
 真の地方自治につきましては、地方自治体が自らの権限と財源に基づき、主体的に行財政運営を行うということで初めて実現できるものでございます。限られた財源を地方間で奪い合っているようでは、日本全体の持続的な成長にはつながりません。
 地方が果たすべき役割と権限に見合う地方税の充実こそが重要でございます。そして、地方税財政制度のあるべき姿を目指しまして、今後も国に対ししっかりと働きかけをしてまいります。

○森口委員 引き続き、持続可能な財政運営を行い、地方税のあるべき姿の実現に向け、国に強く働きかけていただきたいと思います。
 次に、防災、減災について伺います。
 自然災害は、全国各地で発生をし、そのたびに甚大な被害をもたらしてきました。昨年の能登半島地震や豪雨災害、そして、過去の熊本地震、東日本大震災、さらには三十年前の阪神・淡路大震災など、数多くの災害が記憶に刻まれています。
 国際都市東京は高度に都市機能が集積をしており、一たび大災害が発生すれば、人的、物的被害のみならず、社会経済活動の停滞により、日本及び世界経済に深刻な影響を及ぼしかねません。切迫性が指摘をされている首都直下地震や頻発する風水害などから都民の命と暮らしを守るためには、都市の強靱化を強力に推進する必要があります。
 初めに、首都東京の強靱化に向けた知事の基本理念と決意について伺います。

○小池知事 激甚化する風水害や大規模地震、火山噴火など迫りくる様々な脅威から、将来にわたって都民の命と暮らしを守り、都市機能や経済活動を維持していくことが都政の使命でございます。備えよ常にの精神で、首都東京の強靱化を加速していくことが重要であります。
 そのため、都は、自然災害や電力通信の途絶などの五つの危機や複合災害への備えを強化するために、TOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げて、ハード、ソフトの両面から施策のレベルアップを図り、取組を強力に推進をしてまいりました。
 今後、二〇五〇東京戦略の下で、新たな調節池の整備、地下河川化などによりまして、豪雨対策をさらに前進させるとともに、住宅の耐震化、不燃化、富士山噴火時の降灰対策等の災害への備えを一層充実強化してまいります。
 また、AIによるリスク把握など、先端技術も活用しまして、都市の強靱化を加速してまいります。
 首都防衛、この言葉を胸にしまして、都民が安全・安心に暮らせる世界で最も強靱な都市の実現に取り組んでまいります。

○森口委員 知事は過去の災害から得られた教訓を生かし、防災対策の強化に精力的に取り組んでこられました。
 このような中、現在の首都直下地震等における被害想定について、最新の評価をお示しください。

○佐藤総務局長 都が、令和四年五月に公表した被害想定と平成二十四年度の被害想定を比較いたしますと、建物被害は三十万四千三百棟から十九万四千四百三十一棟に、約十一万棟減少し、死者数も九千六百四十一人から六千百四十八人と、約三千五百人減少するとなっております。
 主な要因は、建物の耐震化や不燃化の進展などが挙げられております。

○森口委員 過去十年間の都の防災施策の成果により、人的、物的被害が大きく減少するなど、都における防災対策の取組が着実に被害の低減につながっております。
 都は、地域防災計画で、令和十二年度までに首都直下地震等における人的、物的被害をおおむね半減させるという高い減災目標を掲げるとともに、重点施策として、二〇〇〇年基準による住宅耐震化の推進、出火抑制対策の強化、そして、家具等の転倒防止対策、以上、三つの取組を位置づけております。
 そこで、まずは重点施策の一つである二〇〇〇年基準による住宅耐震化について、数値目標と来年度の具体的な取組を伺います。

○谷崎東京都技監 東京都耐震改修促進計画では、新耐震基準の耐震性が不十分な木造住宅約二十万戸を令和十二年度末までに半減することを目標としております。
 このため、これらの住宅に対しまして、令和五年度から区市町村への耐震診断や耐震改修への補助を開始し、現在、三十一区市で、建物所有者等に補助を行っております。
 今後、より多くの区市町村で支援が実施されるよう働きかけるとともに、新たに小学校で出前授業を実施するなど、普及啓発を強化し、耐震化を一層推進してまいります。

○森口委員 令和十二年度末までに、十万戸のグレーゾーン木造住宅の耐震化を目標にしており、強力に取組を進めていただきたいと要望いたします。
 次に、同じく重要な取組として位置づけられている、出火抑制対策について、これまでの取組とともに、来年度の具体的な施策と、その実効性を高める工夫について伺います。

○佐藤総務局長 都はこれまで、木造住宅密集地域の対象世帯に対し、区市町村への支援による消火器の設置促進や、感震ブレーカーの直接配布による普及啓発など、出火抑制対策に取り組んでまいりました。
 来年度は、消火器の設置促進を引き続き進めるとともに、区市町村が地域の実情に応じて対象とする世帯に感震ブレーカーの設置を進められるよう、設置経費の二分の一を補助する新たな制度を創設いたします。
 さらに、新築住宅に感震ブレーカーを設置する場合に、住宅事業者に対し、感震ブレーカーの購入費の二分の一、三万円を上限として補助いたします。
 こうした取組を進めることで、対策を強化してまいります。

○森口委員 電気火災の対策率を上げるとともに、初期消火率の向上など、出火抑制対策の数値目標の達成に向けて、着実に進めることを要望いたします。
 減災に向けた重要な取組として、三つ目の対策である、家具の転倒防止対策について伺います。
 まずは、都が実施している防災に関する都民の意識調査にて、家具等の転倒防止対策の実施率はどの程度か伺います。

○佐藤総務局長 令和五年度の防災に関する都民の意識調査におきまして、倒れる危険性があるものは全て実施していると回答した割合が八・七%、一部の家具等に実施していると回答した割合が二十八・五%であり、合計で三七・二%でございます。

○森口委員 家具全てに転倒防止器具を取り付けている世帯は僅か一割以下であり、これまでのような普及啓発によって九割の都民の行動変容が可能か、大変疑問を持ちます。
 近年の地震による被害の三割から五割は、家具類の転倒、落下、移動に起因するとされており、人的被害の軽減において極めて重要な対策です。
 家具の転倒、落下、移動防止対策について、都民の意識改革と行動変容を促すためには、都内の事業所や店舗等に対して、従業員や利用者の命を守るといった観点から、設置の支援とともに義務化を行っていくべきであると、従来より提言をしてきました。
 都は、同様の趣旨の下、震災対策条例において、既に家具等の転倒、落下、移動防止対策を含む事業所防災計画の作成を都内の全事業者に義務づけております。
 一方で、その提出については、一部の施設に限定をしていることから、例えば五十人以下の事業所など、本来対策が義務化されているにもかかわらず、提出義務や第三者による確認や指導等を受ける仕組みがなく、その多くの事業所や施設においては、家具転の対策は行われておらず、従業員や利用者の安全や命は守られておりません。
 家具の転倒、落下、移動防止対策は、都の地域防災計画において、減災の上で重要な三つの対策の一つと位置づけられております。
 阪神・淡路大震災では、約八割の方が家屋の倒壊や家具類の転倒による圧迫死で亡くなりました。首都直下地震に備え、都民の命と暮らしを守るため、全ての事業所において、家具の転倒対策への取組が進むよう、条例や規則の改正を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 振り返りますと、九五年の阪神・淡路大震災、私も、そして森口委員も、最も被害が厳しかったところで生きていたんです。そして、まさに不幸の競い合いのような状況で、悲惨でありました。そういう惨状の中で、特に森口委員は、お兄さんを亡くされたということでございます。
 だからこそ、都議会議員として八年間、森口委員、いつ起こるとも知れない首都直下地震での真にやるべき対策を訴えてこられた。実現につなげていくということを自らの使命としてこられたということをよく承知をいたしております。
 私も、今お話ありました件、よく分かります。そして、都民の命と財産を守るために、条例や規制などは、必要な改正を進めていくことは重要だというふうに考えております。
 ちなみに、家具の突っかい棒ですね、天井と家具の間の、あれは本当に命を守りますので、どうぞ、しっかりと進めてまいりましょう。

○森口委員 この首都東京において、知事のリーダーシップの下、都の総合防災部や各局に連携をいただき、予期せぬ災害から都民の命を守る取組が進み、そして、その先駆的な取組が全国に広がり、多くの命が救われることを願っております。
 従業員や利用者の命を守るといった観点から、今の不十分な条例や規則の改正を早急に行うべきであると、令和五年二定の一般質問より求めてきましたが、改正を行うつもりはあるか伺います。

○佐藤総務局長 事業者が家具類の転倒等防止対策を実施し、従業員や顧客の安全を確保することは重要でございます。
 都は、震災対策条例等に基づき、全ての事業所に対して、家具類の転倒等防止対策を含む事業所防災計画の作成を義務づけております。防災対策上重要な施設や防火管理者の選任が必要な一般事業所などには、その届出も義務づけておりまして、消防法に基づく立入検査等の機会を捉え、計画内容の確認や是正指導を行っております。
 今後は、計画の届出の義務のない事業者に対して、条例の実効性を一層確保する手だてにつきまして、条例や規則による対応も含め検討をしてまいります。

○森口委員 事業者に対する対策の支援とともに、実効性ある制度の設計を求めます。
 次に、地震発生時の緊急車両等の通行機能確保について伺います。
 都はこれまで、条例の下、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めてきました。
 まずは、これまでの成果と今後の目標を伺います。

○谷崎東京都技監 震災時の救援活動等を円滑に実施するため、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めることが重要でございます。
 これまで都は、耐震改修等の費用補助やアドバイザー制度などを通じた建物所有者への支援を行っており、令和七年度末に総合到達率九九%以上とする目標に対しまして、令和六年十二月末時点では九三・八%と、本指標を導入した五年前から二・七ポイント上昇しております。
 今後もこの目標の達成に向けまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進してまいります。

○森口委員 緊急輸送道路への通行機能確保に向けましては、耐震化が義務づけられている特定沿道建築物のみならず、都県境や広域防災拠点から、都内各地の避難所などの地域防災拠点へと通じる道路網全体の通行機能の維持が極めて重要です。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物にとどまらず、安全性の把握が進んでいない一般緊急輸送道路沿道建築物についても、耐震診断や耐震化を加速させるべきと考えますが、これまでの取組と来年度の施策について伺います。

○谷崎東京都技監 東京全体の防災力を高めるためには、消防や病院など、地域の主要な防災拠点等を結ぶ一般緊急輸送道路沿道建築物につきましても、耐震化の促進が重要でございます。
 これまで都は、耐震改修等の費用に対しまして、国と区市町村を合わせた補助率を最大六分の五へと引き上げるとともに、令和六年度には、国に要望していた補助単価の引上げが実現するなど、制度の充実を図ってまいりました。
 引き続き、区市町村に対しまして、都の制度拡充等を踏まえた補助制度の創設や充実を促すなど、所有者が耐震化を進められるよう取組を推進してまいります。

○森口委員 震災発生時の救助や物資輸送の円滑化には、無電柱化の取組も重要です。
 例えば、新宿区内の靖国通りや山手通りを含め、センター・コア・エリア内の都道については、ほぼ一〇〇%、無電柱化を達成するなど着実に進んでおります。
 そこで、これまでの都道における無電柱化の整備実績と今後の取組を伺います。

○花井建設局長 無電柱化は、都市防災機能の強化や安全で快適な歩行空間の確保などの観点から重要な事業でございます。
 これまで都は、数期にわたる計画に基づきまして、防災性の向上に資する緊急輸送道路などで事業を進めまして、令和五年度末時点で、千九十四キロメートルの整備が完了いたしました。
 現在、第一次緊急輸送道路や環状七号線の内側エリアなどで重点的に整備を進めておりまして、来年度は、例えば新宿区では、新目白通りのうち、落合南長崎駅東側の区間におきまして、新たに電線共同溝本体工事に着手いたします。
 引き続き、都内全域で無電柱化を積極的に推進してまいります。

○森口委員 都道の無電柱化が進められている一方、区市町村道の無電柱化率は僅か二%程度にとどまっており、区市町村への支援など、早急の対策が求められます。
 都は、区市町村への財政支援や技術支援を行っており、例えば新宿区においては、都の支援を受けて、女子医大通りなどで事業が進んでおります。また、聖母坂通りなどでは事業が完了しております。
 区市町村道の無電柱化に向けては、都からの後押しが不可欠でありますが、都の今後の支援について伺います。

○花井建設局長 都市防災機能を強化するためには、都道のみならず、区市町村道の無電柱化を促進することが重要でございます。
 都はこれまで、チャレンジ支援事業制度などによりまして、区市町村に対する財政支援を行っておりまして、来年度は、新宿区など四十五自治体が活用する予定でございます。
 また、区市町村が設置する技術検討会に都の職員が参加して技術的助言を行うほか、都が主催する研修会や連絡協議会等を通じて整備事例の情報共有の充実を図るなど、技術支援を強化してまいります。
 引き続き、安全・安心な東京の実現に向け、積極的に区市町村を支援してまいります。

○森口委員 区市町村道の無電柱化の推進には、まちづくりの機会を捉えて面的に整備していくことも重要であります。
 来年度、都市区画整理事業において、どのような取組を行っていくか伺います。

○谷崎東京都技監 土地区画整理事業においては、まち全体の無電柱化を事業実施に併せて、低コストで効率的に進めることができます。
 このため、都は、土地区画整理事業の機会を捉えた面的な無電柱化の推進に向けまして、区市町村や組合などの施行者に対しまして、無電柱化に要する費用を補助しております。
 来年度は、江戸川区の上篠崎一丁目北部地区などの十二地区に対しまして支援してまいります。今後とも、地元自治体などと連携しながら、面的な無電柱化を推進してまいります。

○森口委員 地域の防災力の向上には、木密地域における不燃化の取組も重要です。
 今般、木密地域のさらなる不燃化促進に向け、防災都市づくり推進計画が改定されることになります。
 都内全域の木密地域の不燃化をどのように加速をしていくのか、具体的な取組を伺います。

○谷崎東京都技監 都はこれまで、整備地域において、不燃化特区制度などを活用し、老朽建築物の除却、建て替えなどの不燃化の取組を進めてまいりました。
 取組をさらに加速させるため、整備プログラムにおきまして、防災活動の拠点となる公園の確保や、道路が狭く緊急車両の進入が困難な地域の解消など、地域の実情に応じました整備目標の設定により、区の主体的な取組を促してまいります。
 また、整備地域外において、能登半島地震の延焼被害の状況などを踏まえまして、局所的に対策が必要な木密地域を新たに防災環境向上地区として約千ヘクタール指定いたしまして、区市の取組を支援してまいります。

○森口委員 切迫性が指摘される首都直下地震に備え、各地区で早期に取組を開始することが重要です。
 そこで、新たに指定する防災環境向上地区における不燃化に向けた目標と、その達成に向けた具体的な取組を伺います。

○谷崎東京都技監 新たに指定いたします防災環境向上地区におきましては、令和十七年度までに不燃領域率七〇%を達成し、燃えない、燃え広がらないまちを実現することとしております。
 来年度は、指定した地区における住民との意見交換会の開催や、地域の協働による防災まちづくりの計画策定などを支援いたしまして、区市の取組を促進してまいります。
 とりわけ、まちづくりの検討が進んでいる六地区に対しましては、令和七年度から前倒しで防災生活道路整備に向けた設計や用地取得などへの支援を開始いたします。
 こうした施策を展開することで、木密地域の解消をスピード感を持って進めてまいります。

○森口委員 様々、都の防災、減災対策を確認させていただきました。
 次に、住宅政策について伺います。
 急速な物価の上昇とともに深刻化しているのが、都心部における住宅価格の高騰です。
 まずは、都心部の住宅費の高騰について、その影響や対策に関して、短期的、長期的な視点からどのような分析をされているか、二〇五〇東京戦略を所管する政策企画局、また住宅政策を所管する住宅政策本部、そして都市整備を所管する都市整備局のそれぞれの見解を伺います。

○佐藤政策企画局長 二〇五〇東京戦略の策定に当たりましては、昨今の住環境の状況等を調査するとともに、有識者や都民からの幅広い意見などを反映し、二〇五〇年代に東京が目指す姿の中に日々の暮らしの基盤である住まいの充実を掲げ、人が生き生きと輝く都市東京を実現することとしております。

○小笠原住宅政策本部長 住宅価格につきましては、市場における需要と供給との関係や建設費など、様々な要素が影響していると認識しております。近年、建築費は上昇傾向にあり、引き続き住宅価格の動向について注視してまいります。
 こうした状況の中で、住宅政策といたしましては、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給を含め、都民がニーズに応じた住宅を取得できるよう環境を整備するため、総合的に取組を推進してまいります。

○谷崎東京都技監 都内の住宅価格は、需要と供給との関係や資材価格、労務費等の建築コスト等が影響していると認識しております。
 一方、都市づくりは、都市の活力、防災、環境、景観形成など、多様な要素を踏まえ、長期的な視点で進めていく必要がございます。
 都はこれまで、将来の社会情勢の変化等を見据え、都市づくりに関する長期計画を策定いたしまして、目指すべき都市の将来像を示した上で、その実現に向け取組を進めてまいりました。
 具体的には、地域の特性に応じた土地利用の規制や誘導等により、都市の活力を生み出す拠点の形成や良好な居住環境の確保などに取り組んでおり、引き続き適切に対応してまいります。

○森口委員 都は来年度から、低廉な住宅であるアフォーダブル住宅の供給に取り組んでいくとしています。
 これまで海外の様々な都市の視察において、アフォーダブル住宅の取組を見てまいりました。ロンドンのストラトフォード、パリのサンドニ、ウィーンのカールマルクスホーフやアスペルン、ニューヨークのハドソンヤードやブルックリンなど、低所得や中所得者向けのアフォーダブル住宅と一般の住宅が混在した集合住宅や再開発計画など、海外の主要都市においても低廉な住宅の供給は重要な課題となっています。
 ニューヨークでは、再開発地域において、新築住宅の二五%から三〇%をアフォーダブル住宅として確保することが義務づけられております。
 また、中高密度地区では、開発者が住宅の二〇%をアフォーダブル住宅として提供する場合、建物の床面積を二〇%拡大できるインセンティブが設けられているなど、都市計画の中で低廉な住宅供給が明確に位置づけられ、政策誘導されております。
 世界中で都市部に人、物、資本が集中を続けている中、今後も都心部の低廉な住宅の不足はより深刻化することも想定がされることから、特定エリアの開発や再開発計画において、新築住宅の一定の割合をアフォーダブル住宅とすることを義務づけるとともに、都市開発諸制度を活用し容積率の緩和を行うなど、都市計画において取組を行うことが重要と考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現には、子育て世帯等に対しまして、安心した暮らしの基盤となる住まいを確保することが重要でございます。
 子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給の推進に向けまして、空き家等の既存ストックを活用するとともに、まちづくりに合わせた供給も推進してまいります。
 区市や開発事業者への意見も聞きながら、開発に合わせたアフォーダブル住宅の導入に向けた促進策について検討してまいります。

○森口委員 都市開発諸制度を活用した促進策とともに、低廉な住宅を供給する事業者に対して、不動産取得税、固定資産税、都市計画税といった税の優遇措置や補助金の支給など、経済的なインセンティブを与える制度も海外で行われており、都においても検討を求めます。
 また、都有地を活用した再開発は、アフォーダブル住宅の供給において政策誘導がしやすいため、積極的な検討を求めます。
 住宅価格の高騰とともに、都民の主要な居住形態であるマンションの老朽化も深刻な問題です。
 まず、老朽マンションの増加に関する現状と将来予測を、定量的データに基づき具体的にお示しください。

○小笠原住宅政策本部長 国の社会資本整備審議会の下に設置されているマンション政策小委員会では、築四十年以上のマンションをいわゆる高経年マンションとして捉えて、課題を分析し、施策の方向性を取りまとめております。
 その都内の戸数につきましては、令和四年三月の東京都住宅マスタープランの改定時に、国の住宅・土地統計調査や住宅着工統計を基にして、都が推計を行っております。
 具体的には、平成三十年時点では約二十五万戸でございましたが、建て替えが進まなければ、その二十年後の令和二十年には、約三・五倍の約八十七万戸まで増加するとの推計を行いました。

○森口委員 都は、全国に先駆けて条例を制定をし、対象となるマンションの管理状況の届出を義務化するとともに、管理不全の兆候が見られるマンションに対して対策を講じてきました。
 管理状況届出制度を通じて把握をされた老朽マンションの管理実態と、耐震性や安全性の現状について具体的にお示しください。

○小笠原住宅政策本部長 管理状況届出制度は、昭和五十八年以前に建築された六戸以上のマンションに対して届出を義務づけております。
 昨年三月末時点で、届出対象一万一千三百四十三棟に対して、届出数は一万六百六十五棟、その割合は約九四%でございます。修繕の計画的な実施がないなど、管理不全の兆候があるものは、届出数の約一八%でございます。
 耐震性につきましては、届出のあったマンションのうち、旧耐震基準で建築確認を受けていると見込まれる昭和五十六年五月までに建築されたものは七千八百二十一棟でございまして、その半数以上が耐震診断を行っていないため、当該マンションを対象として全管理組合に耐震化を促す資料を送付するなど、耐震診断の働きかけを行っております。

○森口委員 都民の主要な居住形態であるマンションの適正管理の促進に向けた今後の具体的施策と、数値目標をお伺いします。

○小笠原住宅政策本部長 都は、現行の住宅マスタープランで三十年以上の長期修繕計画に基づく積立金を設定している管理組合の割合を、令和十二年度末までに八〇%とする目標を掲げております。
 この目標の達成に向けまして、管理組合を対象としたセミナーで長期修繕計画の重要性の理解を促進するとともに、管理不全の兆候があるマンションに対しましては、専門家が長期修繕計画や積立金等の見直し案の作成を支援する費用を助成しております。
 来年度は、管理状況届出制度で把握した長期修繕計画を未作成などの管理組合に対しまして、こうした支援策のリーフレットの送付や個別訪問を行うなど、アウトリーチで働きかけ、実際の利用につなげてまいります。

○森口委員 住宅費の高騰や住まいの困窮、さらに老朽化が進み適正管理が難しくなっているマンションの増加など、都民の住環境に関わる深刻な課題について、今後どのように解決していくのか伺います。

○小笠原住宅政策本部長 住宅の価格や家賃が上昇する中、新たな官民連携ファンドを組成し、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給を促進するほか、空き家をひとり親世帯等のシェアハウスに改修する民間事業者の後押しを行うなど、新たな取組を展開してまいります。
 また、いわゆる高経年マンションに関しまして、マンション関連法の改正で創設が予定されている管理不全のマンションに対する財産管理制度の実効性を高めるため、財政措置等を国に要望しており、引き続き国の動向を見ながら管理適正化の取組を推進してまいります。
 都の住宅政策の重要課題に取り組むことで、成長と成熟が両立した都市東京にふさわしい住環境をつくってまいります。

○森口委員 次に、指定管理制度について伺います。
 二〇〇三年の地方自治法改正により全国で指定管理者制度が導入をされ、都においても多様な公施設が指定管理者により管理運営をされています。
 東京都では、入札のない特命選定により、都の外郭団体である政策連携団体が指定管理者に選定される事例が多く、本来、公募を通じた競争性の確保が求められる制度であるにもかかわらず、特命選定が常態化していることは、制度本来の目的を損なっている懸念があります。この問題について、特命選定の基準の厳格化、民間参入の促進といった観点から伺ってまいります。
 まず、東京都の指定管理施設の総数と指定管理料の総額をお示しください。

○佐藤総務局長 都における令和六年四月一日現在の指定管理施設数は二百十二施設であり、令和六年度指定管理料の総額は約七百二十二億七千万円でございます。

○森口委員 来年度、特命選定で指定管理される施設の割合、また特命選定で政策連携団体が指定管理する割合をお教えください。

○佐藤総務局長 東京都指定管理者制度における指針において、指定管理者の選定は公募を原則としつつ、地理的に事業者の参入機会が限定されることや、都の政策等との密接な関連性及び施設の管理運営における団体の適格性があることなどの要件を満たした場合、特命選定を可能としております。
 都では、平成二十八年には、オリ・パラ大会の実施に伴い特命施設が約七割でございましたが、大会終了後の令和五年度には、公募選定への切替えで約五割となっております。
 令和六年四月一日現在、全ての指定管理施設のうち、特命により選定された施設の割合は四九・一%であり、そのうち政策連携団体の割合は八三・七%であり、全体の四一・一%でございます。

○森口委員 二〇一〇年三月の指針の改定以後、地方自治法上の指定管理者制度の本来の趣旨とは異なる都独自の運用ルールとなっていますが、今後、特命選定の基準をより明確にし、都の裁量を抑える形で指針を改めるつもりはあるか伺います。

○佐藤総務局長 指定管理者制度は、多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用し、行政サービスの一層の向上を図ることを目的としております。
 指針では、公募を原則としつつ、都政等と密接に関連があるなど、特命選定の要件を定めており、個別の施設が置かれている状況を十分踏まえ、特命選定の是非を判断しております。
 また、選定に当たりましては、外部専門家などによる選定委員会が、特命の妥当性や管理者としての適格性などの審査を行うほか、議事内容など審査結果を公表することで審査の透明性を確保しておりまして、引き続き適切に対応してまいります。

○森口委員 都独自の現在の指定管理制度の指針について、第三者機関によって適正性を検証するつもりはあるか伺います。

○佐藤総務局長 公の施設は、都民の福祉の増進と生活文化の向上等に寄与するといった行政目的を達成することが目的でございます。
 その目的達成のためには、民間事業者の参入により、サービスの向上を図るとともに、防災公園の管理など、都の政策と密接に関連する施設につきましては、協働して事業を進めていく必要がございます。
 そのため、都の制度におきましては、公募を原則としつつ、都の政策との関連性などを考慮し、特命により政策連携団体等を選定することで、民間活力の活用と都による政策実現の両立を図ってまいりました。
 なお、選定に当たりましては、外部専門家などによる選定委員会が特命の妥当性や管理者としての適格性などを審査するほか、議事内容などの審査結果を公表することで審査の透明性を確保しており、引き続き適切に対応してまいります。

○尾崎副委員長 森口つかさ委員の発言は終わりました。(拍手)