予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○尾崎副委員長 かまた悦子委員の発言を許します。
   〔尾崎副委員長退席、中山副委員長着席〕

○かまた委員 初めに、日本語指導について質問いたします。
 日本語を母語としない児童生徒の日本語指導につきましては、二十年ほど前から様々な対策が進められており、都議会公明党も何度も質問を重ねてまいりました。
 その間、都としましても、多くの取組を進めておりますが、いまだ指導が必要な子供たちに指導が行き渡ったという実感は得られず、課題意識が残るという声が寄せられております。
 一方で、私は、学校現場にいた頃から、日常の生活に必要な言葉であれば、子供は比較的すぐに習得していくものの、授業の中で考えを伝え合ったり、国語の長文を読み解いたりする際に必要な日本語能力については、習得するまでに時間がかかるという実感がありました。そして、今でも、日々の授業を進めながら、日本語習得を両立させていくことは非常に困難であるという実感を抱いております。
 都教育委員会は、学校現場における日本語指導の課題を踏まえ、昨年度末に日本語指導のガイドラインを作成しましたが、作成した効果について明らかにするべきです。見解を求めます。

○坂本教育長 外国人児童生徒等が日本語を的確に使い社会生活を送るため、日常会話の言葉に加え、学習に必要な語学力を確実に学ぶことは重要でございます。
 都教育委員会は、昨年三月、そうした児童生徒の学びを担当する教員向けに、指導の進め方などを示すガイドラインを作成いたしました。その中では、日常生活の言語能力に加え、学習で使う言語に関して、担当教員が計画的に指導する必要があるとしてございます。
 また、児童等の状況を十二のモデルに分け、それを踏まえたきめ細かな指導計画のつくり方等も示したところでございます。
 さらに、小中高校を六つ選び、ガイドラインに基づく教育をモデル的に進めたところです。
 こうした取組によりまして、各学校の日本語指導のレベルは、着実に向上をしております。

○かまた委員 都教育委員会でも、学校での日本語指導が充実するようにガイドラインを作成していただいたわけですけれども、学校現場だけで課題を克服するのは非常に困難であるという、この私が抱いているジレンマの原因を見つけるために、海外における在住外国人への言語学習の体制について調べてみました。そして、感じたことが二つあります。
 一つは、移民が多い国々は、移民の方々を社会の力にするという国の目的の下で、戦略的に体制構築が進められているということでした。つまり、社会の人材として活躍できるよう、学校以外の場所でも、言語指導が充実をしているのです。
 そして、二つ目は、国が言語指導を戦略的に進めている地域では、言語の能力を最初に把握をして、そのレベルに応じた言語指導が体制化されているということであります。つまり、国の力の入れ方が全く異なるわけです。
 現在、文部科学省も、日本語の能力を的確に評価をするため、対話型アセスメントを開発しましたが、学校現場において、毎日の授業と日本語指導の両立を進めるための体制は、まだまだ不十分でありますので、国が体制づくりを進めることが必要なんだということを、私も強く訴えてまいりたいと考えております。
 その上で、都としましても、子供たちが自分らしく生きていけるよう、特に、社会に巣立つ直前の高校において、力強く後押しを進めていく必要があります。
 そこで、都立高校において、日本語を母語としない生徒たちが、自らの長所や強みを活用し、可能性を発揮していけるよう、そして、多文化共生という視点で、日本語指導を拡充していくべきと考えます。都教育委員会の今後の取組について見解を求めます。

○坂本教育長 グローバル化が進展する東京におきまして、子供たちが異なる文化や価値観を理解できるよう、後押しをすることは重要でございます。
 都教育委員会は、在京外国人等の生徒の受入れの枠を持つ都立高校について、現在の八校から来年度はさらに四校増やします。この新たな四校に関しまして、日本語を教える国家資格を持つ教員を採用して配置をし、指導内容のレベルを高めます。また、これらの学校から、リモートにより日本語を教えるニーズの高い高校に対しまして、講座も行うことといたします。さらに、在校する外国人生徒の出身地に出向き、交流を行うほか、様々な海外の文化を学ぶ講演会などを実施いたします。
 こうした取組によりまして、ダイバーシティ教育を推進してまいります。

○かまた委員 日本語指導の充実となりますと、学校現場での取組にフォーカスをされがちですけれども、本当に子供の幸せを考えたとき、ご家庭の大人も同時に日本語学習の機会を得ることこそが重要な取組であります。なぜなら、保護者の方が日本語習得の機会を得られていない場合、学校で日本語を習得した子供が、学校からのお知らせや行政手続等の通訳を担うことになり、ヤングケアラーのように、言語の介助という側面で、子供が親の面倒を見なければならないからであります。
 実際、私が関わった子供の中には、学校からの手紙や連絡を全て子供自身が通訳して親に伝えているというケースもあり、そのご家庭との連携については、特別に配慮しながら進める必要がありました。
 今後は、こうした言語面のヤングケアラーを生まないための取組も忘れてはならない重要な視点であります。
 都は一昨年度から、区市町村が地域日本語教室の設置などを行う際に支援をしており、なかなか日本語学習につながることのない大人などへ学習機会の場を提供することとしておりますが、教室に来るのを待つだけではなく、地域日本語教室につながる工夫を進めるべきと考えます。都の見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 都は、自治体が主導して地域の日本語教育の体制づくりを行う場合に、設置や運営に関する区市町村へのアドバイスや財政支援を行っておりまして、現在十四の区市で取組が進んでおります。
 その中には、日本語学習だけでなく、生活の相談や交流、地域での生活に必要な情報を得られるなど、教室を居場所とすることで、地域の外国人が積極的に参加されているところもございます。
 今後、こうした好事例を参考に、各区市町村の実情に合った効果的な体制づくりを支援してまいります。

○かまた委員 日本語指導の充実につきましては、まず、国に対して法整備を含めた体制構築を求めていくとともに、地域を挙げて取組を進めていく必要がありますので、今後も関係局で連携をしながら進めていただきたいと思います。
 続きまして、朝の子供の居場所づくりについて質問をいたします。
 都は、多様なニーズに応えた子供の居場所づくりとして、始業前の二時間の範囲で、小学校を活用した子供の居場所を設けるとのことですが、朝の子供の居場所づくり事業を始める背景と目的について見解を求めます。

○坂本教育長 小学校の授業が始まる前に保護者が出勤をする事例は増えておりまして、そうした児童に関し、朝の時間を安全で安心に過ごす場所を確保することは重要でございます。
 このため、都教育委員会は、来年度、始業前の二時間に関しまして、地域住民や民間等の力の活用によりまして、小学校に児童の居場所を提供する区市町村の取組への支援を開始いたします。
 具体的には、子供を見守る人材に関わる経費のほか、現場で速やかに連絡を取り合うための携帯電話の導入に係る経費等の三分の二につきまして、地元自治体へ助成を行います。
 これによりまして、子供が始業前に安全で安心に過ごすための環境をつくり上げてまいります。

○かまた委員 働く保護者のニーズに応えて実施するとのことで、働く保護者の方々は、大いに期待を寄せております。
 しかしながら、本来、学校生活以外の子供の居場所につきましては、家庭的な保育が必要となることから、学童クラブと同様に、福祉的事業の一環とするべきだと私は強く主張しますが、都教育委員会が本事業に着手をしてくださいましたので、一つ確認をさせていただきます。
 朝の居場所づくりを運営する人材は、民間や地域人材とのことですが、実施場所が小学校の校内であることから、学校への負担軽減対策はどのようになるのでしょうか。
 例えば、けがが起きた場合や子供同士のトラブルが起きた場合、教員に声がかかることはないのでしょうか。教員は、校内に子供たちがいれば、自分たちの管轄外といわれていても、けがや子供同士のトラブルなどは気になるものであります。また、非常事態で声がかかれば、すぐに子供の下に駆けつけます。そのため、学校の負担がゼロになるということはありません。
 そこで、せめて負担を軽減する準備を前もって十分していただきたいと考えています。
 具体的には、来る途中の事故を早期発見するため、来るべき子供が来ていない場合の確認をどのように進めるのでしょうか。救急車を呼ぶべき判断や手順はどうするのでしょうか。子供同士のトラブルが起きたときの対応と家庭への連絡体制はどう分担するのでしょうか。挙げればまだまだありますが、入念な対策を事前に用意しなければ、これらの対応が全て学校現場の教員に課せられていきます。
 そこで、本事業を実施するに当たっては、教員への負担をかけないように配慮することは重要ですので、都は、その観点に配慮して実施されている他地域の先行事例を実施する自治体に示すべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本教育長 小学校の児童が始業前に過ごす環境をつくる上で、民間等の力を効果的に活用し、教員への負担を増やすことがないよう取り組むことは重要でございます。
 都教育委員会は、来年度から、小学校の児童に朝の居場所を提供する区市町村の取組、これを支援する中で、教員の負担の増加に結びつかないよう工夫を進めてまいります。
 このため、始業前に児童が校内にいる場合、子供を見守る民間等の人材が様々な業務を幅広く担えるよう後押しをいたします。具体的には、学校の門を開け、遊びや自習の様子を見守るほか、緊急的な対応が生じた場合の連絡対応等も実施ができるよう区市町村に働きかけを行います。
 そのため、道府県の自治体の様々な事例を集め、情報提供などを進めてまいります。

○かまた委員 本事業の目的であります子供の安全・安心の確保には本当に多くの配慮が必要となりますので、参考となる好事例を示していただく際は、重要な準備事項であることをしっかりと伝えていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、本事業を生み出した、ここにいる私たちが子供を安全に受け入れるための詳細な準備に思いをはせなければ、子供たちに大きな負担をかけることとなります。
 そして、学校には、教育活動以外の業務を新たに担わせることになります。これまでも、このような点を懸念しなかったからこそ、学校がやるべき業務以外の責務を学校の先生方が担わされてきたわけであります。
 そこで、子供のための取組を進める際は、本当に学校や教員に課すべき内容なのか、つまり、教育という分野の問題なのか、または福祉や教員以外の専門家に託すべき分野であり、学校や教員が関わらないで済む体制を構築すべき内容なのか、その点をしっかり踏まえて議論を進めていくべきだと私は考えております。
 その視点を常に持ちながら、子供のための政策を検討してほしいことを強く要望いたします。
 また、本事業の目的であります、朝、子供が安全で安心して過ごすための環境づくりに向けてやるべきことは、もう一つあると私は考えております。
 以前、朝早くから夕方遅くまで、学童クラブに通っている子供たちと話をする機会がありました。その子供たちの声で忘れられない言葉があります。それは、どうして僕は学童に行かなきゃいけないのか、僕は家に帰りたいんだという言葉でありました。子供たちの中には、本当は家でゆっくり過ごしたいと思いながらも、一生懸命に耐えてくれている子供もいます。
 子供目線で本事業を考えたとき、一番重要なことは、保護者や子供が希望するのであれば、例えば、テレワークやフレキシブル出勤などにより、子供が登校する時間まで保護者が家にいて、行ってらっしゃいと子供を見送ることができるような社会を形成することであります。
 そこで、朝の子供の居場所づくりについては、子供やご家庭の判断で、家庭でも、行政が用意する居場所でも、どちらでも選べる体制になることが理想でありますので、さらに子育てと仕事の両立支援を進めていくべきです。
 また、企業の経営者の中には、子育てがかなり前に終わっていたり、自分が子育てに関わらないで終わってしまったという方もいらっしゃいますので、子育ての大変さを実感していただくような取組も進めるべきと考えます。併せて見解を求めます。

○田中産業労働局長 育児と仕事の両立に向け、子供と過ごす時間を十分に確保することができるよう後押しすることは重要でございます。
 都は、残業が少ない働き方の実現に積極的に取り組み、一定の成果を上げた企業を幅広く紹介するなど、育児と仕事が両立しやすい職場環境の整備を促進してございます。
 来年度は、育児がしやすい職場づくりへの奨励金を強化いたします。具体的には、子育て中の社員が、朝や夕方などの様々な場面で直面する状況を経営層などが体験し、理解する研修を行う場合に、二十万円を加算することとしてございます。
 これらによりまして、社員が子供と関わる時間を確保できるよう配慮する企業の拡大に取り組んでまいります。

○かまた委員 子育てしやすい社会とは、子供が喜んでいる社会という意味であると私は考えております。今後とも、子供中心の社会が形成されるよう、引き続き、子育てと仕事の両立支援を進めていただきたいことを要望いたします。
 続きまして、夢を抱いて東京に集まる若手アーティストへの支援についてお伺いをいたします。
 都は、昨年度から、アートノトを立ち上げ、アーティストの活動を支える支援を開始しました。
 ところが、先日、芸術分野で成功することを目指して東京に上京された若い世代の方々と懇談をさせていただいたところ、都の支援策があまり知られていないということを痛感いたしました。また、経済的に生活が厳しい若手アーティストに向けた支援の強化の必要性も改めて感じました。
 まだ独り立ちができていない若手人材を育てる仕組みは、様々な専門家集団で歴史的に形成をされてきました。
 例えば、プロ野球や大相撲などでは、支配下契約から三軍や二軍に至る選手、入門から幕下に至るまでの力士など、ある程度、生活を支えてもらいながら、自身の力を向上させる仕組みがあります。都内の若手アーティストの育成でも、社会的に育成できるという取組の充実が必要ではないかと考えるものです。
 そこで、夢を抱いてチャレンジする若手アーティストを応援する東京ですとのメッセージにつながるよう、若手アーティストの育成支援を充実させるべきと考えますが、知事の見解を求めます。

○小池知事 東京の魅力の源泉でありますアートシーンを拡大させていく、そのためには、未来を担うアーティストの新たな挑戦と持続的な活動をサポートすることが重要でございます。
 このため、アーティストとしてのキャリアをスタートして間もない若手を対象に、企画展、そして、舞台公演を行うための助成を実施いたしまして、その表現の場を広げる後押しをしております。
 また、東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトにおきましては、活動資金のつくり方やセルフプロデュースの方法など、活動に必要な知識やノウハウを届けるため、来年度、大学やアートイベントでのアウトリーチ活動を充実させてまいります。
 こうした取組を多面的に展開をしまして、東京の若きアーティストが夢に向かって羽ばたけますように支援をしてまいります。

○かまた委員 ぜひ、頑張る若手アーティストのやる気を今後も応援していただくようお願いいたします。
 また、将来、世界で成功を収めるためには、早い段階から、世界を視野に活動を展開していくことは重要ですが、経済的な理由から、海外でのオーディションチャレンジにちゅうちょするとの声を伺います。
 また、アーティストが活躍の場を広げていくためには、若手アーティストの活躍の状況をよく知り、活躍のチャンスを与えてくれる演出家やプロデューサーなどの育成も重要です。
 そこで、芸術文化の担い手が海外で活躍するための支援を充実させていくべきと考えますが、見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 意欲あふれる担い手の挑戦を後押しするため、都は、演出家やキュレーターなど若手のアートマネジメント人材を対象に、海外への派遣事業を実施しております。この事業では、エディンバラ・フェスティバルやベネチア・ビエンナーレなど舞台芸術祭、美術展に幅広い人材を派遣して、最先端の舞台美術や展示手法に触れ、著名なディレクターなどと交流することで、帰国後に国際的な視点に立った創作ができるよう支援しております。
 来年度は、派遣先を映画祭などにも拡充しまして、世界で活躍できる東京の若い人材をさらに育ててまいります。

○かまた委員 次に、マンション防災について質問をいたします。
 都は、令和六年度より、町会・マンションみんなで防災訓練を開始し、初めは、町会との連携の主体となり得る管理組合が組織されている分譲マンションから取組を始めました。地元の方から、自分の住んでいる集合住宅には自治会などの組織がないが、都の様々な防災対策に申請したいとの声をいただき、改善に向けて、委員会等で質問を重ねてまいりました。
 そこで、管理組合等を持たない場合でも、本事業に参加できるようにすべきです。来年度の変更点について見解を伺います。

○古屋生活文化スポーツ局長 都は今年度、町会とマンションの合同防災訓練をきっかけに、災害時に備えて地域のつながりを強化する取組を支援しております。
 本事業では、事前の打合せや住民への呼びかけなどが必要であるため、これを行える分譲マンションの管理組合を対象としておりました。
 来年度は、賃貸マンションや公営住宅などにおいても、オーナーや住民組織がこうした活動ができる場合には、連携の対象といたします。

○かまた委員 マンション防災は、生活文化スポーツ局、住宅政策本部、総務局とが連携して進めている事業であり、町会・マンションみんなで防災訓練に参加したマンションは、住宅政策本部の東京とどまるマンション事業の防災備蓄資器材の補助を受けることもできます。
 ところが、生活文化スポーツ局や地元区市町村が支援する合同防災訓練を実施する前に補助金申請をすることとなっていたため、一部のマンションで、補助金の申請に間に合わなかったとの声もありました。
 そこで、とどまるマンションを多くの管理組合に利用していただくためにも、申請する側の管理組合に補助制度を分かりやすく伝えたり、利用者しやすくするための一層の工夫を進めるべきです。見解を求めます。

○小笠原住宅政策本部長 都は、現在、東京とどまるマンションの登録マンションを対象に、防災備蓄資器材の補助を実施しております。
 実施に当たりまして、申請の手引などをホームページで周知したほか、昨年十一月には、申請受付に迅速かつ丁寧に対応するため、専用の補助金申請窓口を新たに設けました。
 来年度は、東京とどまるマンションの登録申請も同じ窓口で受け付ける予定でございまして、登録申請から補助金申請まで、相談も含めて、一貫してきめ細かく対応してまいります。あわせて、書類の記載例や申請手順などを分かりやすく説明する動画も作成いたしまして、管理組合等が初めての補助金申請でも困らないよう、円滑な申請をサポートしてまいります。

○かまた委員 マンション防災の事業は、三局が中心となってお互いに連携をして進めている事業であるため、周知の裾野が広がり、役所の縦割りという慣例を打ち破るすばらしい事業であります。また、都民にとって有益なものにしていかなければなりません。
 そこで、これまで取り組んできた三局で、それぞれの関係局での情報共有を一層進めるなど、これまで以上に連携を深めるべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤総務局長 都はこれまで、マンション防災の強化に向け、関係局で議論を重ね、連携して事業を推進してまいりました。具体例として、東京とどまるマンションに登録し、町会と合同で防災訓練を行う管理組合等に対し、防災備蓄資器材購入費の補助率を引き上げることで、相互の連携を促してまいりました。さらに、イベントやセミナー等では、各局が相互に協力をして、普及啓発を行っております。
 マンション防災は、住民の防災意識の向上、資器材等の確保、地域との連携を一体的に促進する視点が欠かせないわけでございます。今後、情報共有など、関係局のさらなる連携強化を図りますことで、実効性のある取組を一層推進してまいります。

○かまた委員 次に、浸水対策についてお伺いをいたします。
 令和五年十二月に、東京都豪雨対策基本方針を改訂し、気候変動に対応した豪雨対策に都は取り組んでおります。
 現在、下水道局では、この方針に基づき、内水氾濫による被害を防止するため、ハード面の対策を推進していますが、区部における下水道の浸水対策取組状況について答弁を求めます。

○佐々木下水道局長 下水道局では、時間七十五ミリ降雨を目標整備水準とし、くぼ地や坂下など浸水の危険性が高い六十七地区を重点化し、施設整備を進めております。
 重点化した六十七地区のうち、令和五年度までに二十八地区で事業が完了し、二十地区で工事に着手しており、十九地区で設計を実施しております。
 今年度は、事業中の二十地区のうち、文京区千石、豊島区南大塚地区での対策が完了いたします。

○かまた委員 重点地区全てが設計作業等に着手しているとのことですが、重点地区に掲げられた地域では、一日も早い完成を待ちわびております。
 昨年の七月三十一日には、板橋区赤塚で時間百九ミリの豪雨が観測をされましたが、その際、重点地区に掲げられていた西台、徳丸地域では、床上浸水の被害を受けたお宅が出てしまいました。私も復旧作業をさせていただきましたけれども、畳や家財道具は少しでも使えるものがあればと思いながら選定をするものの、ほとんどの物が使用不可能な状態の上、外に運び出すにも重労働であり、家のフローリングは拭いても拭いても泥がなくならないという状況でありました。
 被害に遭われた方々が、どれほど不安と喪失感を抱かれているかと思うと、本当に心が痛みましたし、このような思いをこの方々には二度と味わわせてはいけないと強く思いました。
 下水道整備は大がかりな工事のため、長い年月がかかることは十分承知をしておりますが、都が重点地区に掲げた地域の皆様には、一日も早く安心してほしいと考えます。
 そこで、浸水被害を早期に軽減するため、現在事業に取り組んでいる重点地区の対策を一層推進するべきと考えますが、令和七年度の取組について答弁を求めます。

○佐々木下水道局長 令和七年度は、平成二十一年度から事業を進めてきた足立区千住地区で、千住関屋ポンプ所を稼働させるなど二地区で対策を完了させてまいります。
 また、新たに板橋区西台、徳丸地区において、排水能力を増強する下水道管の整備に着手いたします。
 さらに、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働するなどの工夫により、早期に整備効果を発揮させる取組を併せて進めてまいります。
 これらの取組を推進し、安全・安心の確保に積極的に取り組んでまいります。

○かまた委員 地元の重点地区、西台、徳丸地区も整備着手とのことで、大いに期待をしております。また、ほかの重点地区で設計中の地域に関しましても、早期の整備着手について要望をいたします。
 続いて、防犯対策についてお伺いをいたします。
 近年、高齢者や弱者を狙った押し込み強盗、いわゆる闇バイト強盗や特殊詐欺が各地で発生をしております。高齢者を被害から守るためには、防犯カメラや資機材の活用とともに、地域の見守り活動を強化することで、防犯効果がさらに発揮されると私は考えております。
 特に、日常的に高齢者の方々と直接接する事業者の協力を得て、例えば、新たな犯罪手口や防犯対策について情報を提供したり、心配な電話や不審な人がいないかどうかを確認する一声をかけていただくなど、直接顔を合わせて声を掛け合う見守り活動を強化するべきであります。
 そこで、地域を巡回する事業者にもご協力いただき、防犯体制を強化していくべきと考えますが、見解を求めます。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、地域を巡回する民間事業者等に、高齢者への声かけなど、まちの防犯活動に協力してもらう、ながら見守り連携事業を進めており、現在三十五の事業者等と協働しております。
 連携事業者等には、適宜、不審者情報等を共有するほか、昨年末には、いわゆる闇バイトに関する啓発資料を配布するなど、効果的な活動を支援しております。
 さらに、令和七年度は、個人宅を定期的に訪問する連携事業者等を中心に、都が新たに開始する住宅向け防犯カメラ等の購入、設置の緊急補助事業に関する情報の発信についても協力を求めてまいります。

○かまた委員 今後は、ご協力いただく事業者を拡充していただくとともに、ながら見守りにご協力いただく連携事業者の方が、高齢者の方とお話し中に駐車違反などに遭わないような工夫も進めていただきたいことを要望しまして、次の質問に移ります。
 次は、デフリンピックについてお伺いしていきます。
 大会開催に当たっては、聴覚の有無という壁を越えて、選手や観客が一体感を感じていけるよう、約三千名のボランティアの方々に、その担い手としてご活躍いただける大会にしていくべきであります。
 また、ボランティアの募集にご応募いただきながらも、惜しくも抽せんに漏れた方々の存在も重要です。何らかの形で、デフリンピックに関わっていただき、盛り上げの一翼を担っていただけるよう工夫するべきです。
 さらに、それらの方々が、大会後も障害者支援の取組やデフスポーツのサポーターとして長くご活躍いただけるよう取り組むべきです。見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 運営に携わるボランティアの方たちは、聞こえる人、聞こえない人が一体となって大会をつくり上げる上で重要な役割を果たしていただきます。このため、選手や観客に寄り添ったサポートができるよう、ろう者の文化やタブレットを使ったコミュニケーションなどを学ぶ研修を実施いたします。
 当選されなかった方につきましても、引き続き大会を応援していただくため、大会情報を定期的に提供するほか、会場に足を運んでいただけるような企画を今後検討してまいります。
 さらに、今回の応募を機に、継続的なボランティア活動につながりますよう、ボランティアレガシーネットワークや障スポ & サポートへの登録を全員に呼びかけてまいります。

○かまた委員 また、先進機器を活用し、聴覚の有無を越えた一体感を醸成するべきです。機器を活用すれば、選手だけではなく、聞こえない観客の方々も、会場の音声的な盛り上がりを体感していただけることが期待できます。
 そこで、先進機器を積極的に活用して、聴覚の有無を越えた一体感の創出が大きく前進する大会を目指すべきと考えます。見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 デフリンピックでは、会場の一体感を創出するため、聞こえる人も聞こえない人も競技の臨場感を体感できるよう、デジタル技術を活用することとしております。
 先般実施しましたみるカフェでは、音を振動で感じる機器を来場者の皆様に体験していただきました。また、大会時に卓球競技が行われる会場で、ラリー音を場内のビジョンに文字で表示する取組も行いました。
 今後、関連イベントのほか、競技大会など様々な場面でこうした技術の実証を積み重ねまして、大会本番に向けて準備を進めてまいります。

○かまた委員 続きまして、アフォーダブル住宅についてお伺いをいたします。
 私の地元でも、アフォーダブル住宅に対する期待値が高く、ぜひ我が地域にもアフォーダブル住宅を整備してほしいとの声が上がり、地元の方からも、区内のJR団地が昔は満室であったけれども、今は空き室が多くなっているとの情報をいただきました。
 そこで、アフォーダブル住宅が、一部の地域だけではなく、ニーズの高い地域に整備されるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を求めます。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 来年度、都が組成するファンドは、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者の取組を支援することで、民間での供給の促進につなげていくものでございまして、対象地域は都内全域としております。
 今後、民間事業者から、供給する住宅の種類、想定する家賃水準と引下げの方策、供給予定戸数や対象地域などを含めた事業提案を募り、審査を通じて優れた運営事業者を複数選定し、中古ビルや空き家の活用など、創意工夫を生かした多様な住宅の供給を進めます。住宅供給状況について適時適切に公表するなど、ファンドの成果等を共有し、民間主体の供給機運の醸成につなげることで、子育て世帯等が住みやすい環境の形成に取り組んでまいります

○かまた委員 続きまして、都営地下鉄の利便性向上について質問をいたします。
 先日、子育て中のお父さんから、都営地下鉄のトイレに子供用の補助便座がなかったため困ったとの声をいただきました。
 そこで、子育て支援に取り組む都営地下鉄において、子供連れでの外出をしやすくするための取組を充実させるべきです。見解を求めます。

○久我交通局長 都営地下鉄では、車両への子育て応援スペースの導入、駅トイレへのベビーチェアやベビーシートの設置など、子育てを支援する様々な取組を行ってまいりました。
 加えて、赤ちゃんや小さなお子様とのお出かけをサポートするこどもスマイルスポットを大江戸線上野御徒町駅など三駅に展開し、育児用品自動販売機の設置やベビーカーレンタルサービスの提供などを行っております。
 今後とも、他事業者の事例なども参考にしながら、お子様連れのお客様により安心してご利用いただける環境づくりに努めてまいります。

○かまた委員 続きまして、町会施策についてお伺いをいたします。
 町会、自治会のコミュニティの力は、今後の東京、日本に伝え残さなければならない文化であります。
 都は、二〇五〇東京戦略の中で、町会、自治会活動への参加率向上を政策目標に設定しておりますが、この目標を設定した趣旨と背景について、見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 昨年実施した町会・自治会活動に関する調査におきましては、加入者のうち、活動に参加されているのは約四割でございました。
 町会、自治会活動の持続や活性化には、加入者による主体的な活動の促進が必要であるため、活動への参加率を目標として設定したところでございます。

○かまた委員 町会、自治会は、活動の担い手不足、転居住人の未加入などの課題も抱えておりますので、新たな担い手が増えていくような取組も必要です。
 都は来年度、区市町村と実施する町会・自治会加入促進事業に取り組むとしておりますが、加入促進に取り組む上での課題は、それぞれの地域の特徴に応じて異なっていきます。
 そこで、本事業の実施に際しては、異なる課題を持った自治体が選出され、それぞれに応じた加入促進策が示されていくべきと考えますが、見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 本事業は、区市町村から、町会、自治会の加入促進につながる共同事業の提案を受けまして、他の自治体にも展開できる好事例の創出を目指すものでございます。
 事業の採択は、地域の特性や課題を踏まえた提案か、また高い効果が期待できるかなどの視点から行います。

○かまた委員 都は来年度、都民提案事業であります地域とつながる若者フォーラム事業に取り組むとのことですが、フォーラムに参加した若者が、町会に参加してみよう、友達も町会に誘ってみようと思っていただくための工夫が必要です。実際、私は町会に参加しようと思ったのは、直接町会の方々と語り合ったことがきっかけでありました。
 そこで、若者フォーラムを開催する際は、若い世代と町会、自治会関係者との交流を図るとともに、フォーラムの成果を都内の町会、自治会に還元していくべきと考えますが、見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 来年度開催するフォーラムには、若い世代だけでなく、町会、自治会の関係者や有識者の皆様などにもご参加いただきます。
 若者の側から地域活動に気軽に参加したくなるアイデアを発表していただき、意見交換を行うなど、双方にとって有意義なものといたします。
 フォーラムの結果は、ホームページ等で公表しまして、区市町村や町会、自治会の関係者の皆様などとも共有いたします。

○かまた委員 最後に、TEPROの人材バンク機能についてお伺いをいたします。
 都は来年度、人材バンク機能の充実に向けた取組として、TEPROの人材バンクシステムにAIを活用していくとのことですが、AIの活用を進める際も、丁寧なマッチングが重要であると考えます。
 見解を求めて、質問を終わります。

○坂本教育長 東京都教育支援機構、いわゆるTEPROにおきましては、公立学校と教員のサポートを希望する人材、この両者を円滑にマッチングする仕組みとして人材バンクシステムを導入しております。これによりまして、年間で約千六百人が学校の教育活動や業務運営の支援を行っております。
 今後、学校と人材とのマッチングについて、より迅速に効果的な対応のできる機能を高めるため、最先端のAI技術の導入を進めてまいります。具体的には、そうした機能に関して人材の情報を詳しく分析し、学校のニーズに一層適切に対応するAIを活用する設計等に着手し開発を進めます。また、人材バンクでマッチングを実現した事例について、TEPROがそれぞれに問合せをし、その内容をデータとして蓄積し、将来のAI活用に役立ててまいります。

○中山副委員長 かまた悦子委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩