予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○川松委員長 清水やすこ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、尾崎副委員長着席〕

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 まず、私からは、移住、定住の促進について伺います。
 多摩地域においては、二〇二五年をピークに人口が減少していくことが見込まれており、私の地元の西多摩地域では既に減少に転じています。
 三年前の一般質問で、移住相談窓口を設置してくださいとお願いして、それから東京都で設置していただき、毎年度、移住、定住を促進する取組を強化していただいたことにより、西多摩地域の市町村においても、独自の移住、定住施策を始めている自治体もあります。
 こうした取組の効果もあり、移住相談窓口で西多摩地域など、移住の希望先とする方が増加して、先日、何と、ふるさと回帰支援センターで発表した移住希望地ランキングの初の十四位に東京都がランクインしました。ありがとうございます。
 一方で、西多摩地域の自治体を取り巻く環境は厳しさを増しており、様々な行政需要が高まる中においても、せっかく芽吹いた移住、定住の好循環を切らさず、継続的に取組を展開していけるよう、都の積極的な支援が必要と思います。
 都は、移住、定住促進に向けた市町村の取組をより一層後押ししていくために、新たな補助金を創設したところですが、その意義と効果についてお伺いいたします。

○佐藤総務局長 都は、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進するため、市町村と連携し、移住定住フェアや暮らし体験ツアーを実施してまいりました。これらの取組が着実に成果を上げまして、移住、定住施策に対する市町村の意欲が高まってまいりました。
 来年度は、これまで都が実施してきた事業を市町村の自主的な取組をより一層後押しするため、人口減少が進む自治体を重点的に支援する補助事業に再構築いたします。
 本事業により、市町村による全国規模の移住イベントへの単独出展や地域に根差した移住体験ツアーの実施などを後押しすることで、多摩地域の自治体が、移住先としてより一層認知され、移住、定住が進むよう取り組んでまいります。

○清水委員 感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
 一方で、私が東京都議会議員を八年間やらせていただいて、どうしても埋められない溝があります。それは何かと申しますと、今回の政策に限ったことではありませんが、いろいろな補助金、支援金が二分の一補助など、たくさんご用意いただいていますが、西多摩地域の自治体も、やりたくなくて手を挙げないのではなく、やりたくても、どうしても資金的な課題などで手が挙げられない状況であるということです。このままでは、西多摩の格差、そして多摩格差など、埋まらないと思っています。例えば、提案ですが、各市町村の自主財源を分子に持ってきて、その市町村ごとの歳出総額を分母に持ってきて、その値で二分の一をもっと使いやすい割合に上げていただくなど、強く強く要望したいと思います。
 次の質問に参ります。避難所改革について伺います。
 先日の代表質問においても、避難所改革について質問をしましたが、避難所・避難生活学会は、避難所運営について、TKB48を提案しています。TKB48とは、トイレ、キッチン、ベッドを四十八時間以内に整備するということです。
 このうち、まずはベッド、睡眠環境について伺います。
 例えば、雑魚寝の解消のために、プライベートテントや間仕切りを避難所開設後速やかにできるよう備蓄を進めるとともに、訓練などによって実効性を高めることが必要と考えますが、都の見解を求めます。

○佐藤総務局長 都は、避難所運営指針の素案におきまして、要配慮者の方に対して、避難所開設後、速やかに簡易ベッド、パーティション、テントを提供することや円滑な設置に向けた住民の方による訓練の実施など、区市町村が取り組むべき具体的方策を示しております。
 今年度は、板橋区と合同で、住民による簡易ベッド等の設置訓練を実施しておりまして、その成果や課題を来年度の総合防災訓練に生かすとともに、区市町村に共有し、さらなる訓練の実施を促してまいります。
 さらに、区市町村が必要な資機材の整備を進められるよう新たな補助金を創設し、寝床の改善を図ってまいります。

○清水委員 次に、避難所の生活の質、QOLの確保のために重要となる温かい食事について伺います。
 これまでの避難所では、単調で画一的なメニューの改善や温かい食事の提供を求める声がありました。避難所生活の中、温かい食事の提供など避難所の要望に応えていくためには、民間事業者の協力に加えて、学校など既存の調理施設の活用など有効と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○佐藤総務局長 避難所におきまして、温かい食事の提供など食事の質を維持できるよう、重層的に食料供給の手段を確保することが重要でございます。避難所は学校などを使用することが多いことから、キッチンカーや給食センターなどを運営する民間事業者との協定締結に加えまして、学校調理室の活用を素案に盛り込んでおります。
 来年度は、こうした取組が着実に進みますよう、区市町村に対し、指針の内容を丁寧に説明するとともに、専門家によるセミナーの開催などにより、区市町村を支援し、避難所における食事の改善を図ってまいります。

○清水委員 温かい食事の提供など、食事の質を維持するためには、調理設備だけでなく、調理をする人の確保も重要です。小学校や中学校によっては、学校ごとに給食室がある地域もあり、給食事業者などと協力することにより、避難所の生活の質のQOLの確保につながっていくと思いますので、取組を進めていっていただきたいと思います。
 次に、避難所は、近隣の在宅避難者にとっても生活の基盤となります。能登半島地震では、WOTAのような循環型の水処理によって、避難所の生活の質が大きく向上しました。東京の上下水道の耐震化は、完全とはいえないまでも、ある程度確保されているという報告がありますので、循環型の水処理だけでなく、避難所に温水シャワーのような施設を設置することも可能と考えます。
 そこで、避難生活のQOLを進めるためにも、温水シャワーや温かい水が提供できるような仕組みも備えることも検討すべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤総務局長 都は、避難所における入浴機会の確保のため、素案の中で、スフィア基準に準拠した入浴設備を五十人に一基割り当てることとし、地域のホテル、旅館や銭湯などの入浴施設の活用や災害用温水シャワーの備蓄などを示しております。
 来年度は、区市町村が災害用温水シャワーの整備を進めることができるよう、新たな補助金を創設いたしまして、入浴機会の確保を図ってまいります。

○清水委員 令和七年度予算には、区市町村を支援する各種メニューが計上されていることが分かりました。首都直下地震はいつ起こってもおかしくありません。ぜひ、区市町村と連携して、避難所改革を進めていっていただきたいと思います。
 次に、多摩産材の伐採についてお伺いいたします。
 我が国の林業では、世代交代により、相続の状況や境界が不明瞭な森林が課題となっています。国土交通省の調査では、登記簿上の所有者の所在が不明な森林は約三割もあり、西多摩の山についても同じ状況にあると感じています。
 さらに、今後、高齢化が進むことで状況がますます深刻化し、利用に適した時期を迎えている杉、ヒノキの伐採、植え替えを進めていく上で、大きな支障となることが懸念されます。
 そこで、都は、こうした課題を解決し、多摩産材の伐採、搬出を一層円滑に進めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 東京の森林は、木材を供給するほか、水源を涵養し、地球温暖化を緩和するなど、豊かな都民生活を支える重要な役割を担っております。
 この貴重な森林を守るには、森林の伐採と植え替えによる好循環を促すことが重要でございます。
 都は、東京特有の急峻な地形での作業の効率化を図るため、高性能な林業機械の導入を後押しするほか、高度な技術を持つ担い手の育成を図っております。
 また、ヘリコプターを活用した奥山からの搬出にも取り組んでおります。
 来年度は、所有者や境界が不明確なことで整備が進まない森林につきまして、全国に先駆けて、専門家を活用した相続登記や境界の明確化などの支援を開始いたします。
 こうした取組によって、都民共有の財産であります東京の森林を守り抜いてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 森林の循環を促進するためには、木材の利用を進めることも重要です。
 都はこれまでも、年間利用者が五万人以上を基準として、人が多く集まる商業ビル、例えば、近場では立川のGREEN SPRINGSなどありますが、などでの多摩産材の利用拡大に取り組んでいます。ところが、肝腎要の搬出地、西多摩地域では、こうした要件を満たす対象地域が多くありません。
 そこで、今後、駅や商業施設等での新設や改修での活用も期待される中、都は、多摩産材の利用を一層進めるため、より多くの方に支援策を利用してもらう取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、多摩産材の利用拡大を図るため、利用者が多い商業施設や駅舎などのにぎわい施設で多摩産材を利用する場合に、補助率二分の一で最大五千万円まで助成しております。
 こうした取組に加えまして、利用者数にかかわらず、都民の目に触れ、接することのできる建築物を対象に、外壁、外構などで多摩産材を使用する場合は、最大三千万円まで助成してございます。
 来年度は、これらの取組につきまして、約二億四千万円の予算を計上し、新たな需要に応えてまいります。

○清水委員 ぜひぜひ積極的な施策をお願いいたします。
 次に、出口戦略について伺います。
 令和四年度から始まった多摩産材を使った住宅を建築した施主にポイントを付与し、都内産農産物などと交換できる木材利用ポイント事業について、私の地元西多摩での建築士さんなどに繰り返し伺って回っておりますが、実はこの取組については、あまり知名度がない、知らないとの声も多く聞かれました。
 そこで、都は、住宅における多摩産材の利用を進めるため、より多くの方に届く情報発信を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○田中産業労働局長 都は、住宅での多摩産材の利用量に応じてポイントを付与する事業につきまして、リフォームを対象に含めるなど、要件緩和なども進めまして、実績は、令和五年度の六件から、令和六年度は十二月末時点で三十八件と増加してございます。
 来年度は、消費者や地域の建築士の皆様方にも届きますよう、SNSの活用に加えまして、幅広い層に訴求するため、新聞への広告掲載などによりまして、事業の周知を図ってまいります。

○清水委員 次に、杉やヒノキなどの人工林を取って利用し、植え替え、育てるという森林循環を促進するために、都が間伐や下刈りなどの経費を支援することは重要であります。
 一方で、西多摩の現場では、こうした支援の詳細について把握していない方が多いです。例えば、森林組合に加入していない森林所有者の方に対しても、必要な情報を分かりやすく提供することが森林整備を促進する上で重要です。
 そこで、持続可能な東京の森林循環を実現するため、適切な情報提供に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、水源の涵養や土砂災害の防止など、森林の持つ公益的な機能を十分に発揮させるため、森林所有者が行います植栽、下刈り、間伐などの森林整備作業に対して補助を行ってございます。
 こうした取組の周知を図るため、支援メニューを紹介するパンフレットを作成し、市町村や関係団体を通じて林業事業者などに配布するとともに、ホームページに掲載するなど、制度の普及に取り組んでございます。
 来年度からは、森林所有者にも情報が届くよう、ダイレクトメールの発送や地元自治体の広報紙への掲載を行ってまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 実は私も税理士でありながら、森林の相続などは、とても敬遠をしてしまっていたんですけれども、西多摩に入るようになって、そして、あっ、この森林手入れできるかもと思うと、まず法務局に自分たちで行って、調べて、そうすると、江戸時代−−江戸時代はないんですけれども、昔の紙の台帳が出てきたり、非常に情報がばらばらなんですね。そんなところもプッシュ型でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 また、近年は放置竹林にイノシシが住みつき、食害によりさらに荒廃を加速させています。ちょうどこれからタケノコが出る時期なので、それに伴ってイノシシがそこに住みつきます。そこを荒らしたりして、毎日毎日予防が大変です。
 こうした荒廃竹林の整備も、私は取り組みたいと思っていますが、杉と併せて竹林を整備する従来の支援だけではなく、放置竹林単独で使えるような施策もぜひともお願いいたします。
 次は、多摩都市モノレールについてお伺いいたします。
 多摩都市モノレールは、地元の市町村により構成される多摩地域都市モノレール等建設促進協議会において、例年、構想路線全九十三キロの早期開業を期することとしており、国や東京都、関係機関に対して事業促進を求めるなど、多摩地域にとって多摩都市モノレールの延伸は悲願です。
 その中でも、箱根ケ崎方面と町田方面については、国の答申で、べき路線に位置づけられ、取組が進められていると認識しています。
 そこで、箱根ケ崎及び町田方面への延伸について、現在の状況と今後の取組についてお伺いいたします。

○谷崎東京都技監 多摩都市モノレールの延伸により、開業区間と一体となって、南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。
 箱根ケ崎方面につきましては、導入空間となります新青梅街道の拡幅を進めており、来年度、事業に着手してまいります。
 町田方面につきましては、地元市の沿線まちづくり構想の策定を踏まえ、今年度から連絡調整会議を開催し、導入空間となる道路の検討や延伸の事業性の検証を行っております。
 引き続き、沿線の市町等との協議、調整を進めまして、多摩地域における交通インフラの充実強化に取り組んでまいります。

○清水委員 両方面への延伸については、着実に取り組まれていることが確認できました。また、瑞穂町のお隣、埼玉県の入間でも、数マイル運動が起きるなど、とりわけ箱根ケ崎方面への延伸が決まった今、地元あきる野市でも将来を見据え、その先のあきる野市方面へのさらなる延伸を求める要望活動も行われています。盛り上がっています。
 このような地元の声も踏まえ、あきる野市方面への延伸実現にも向けて、地元市長と意見交換を細やかに行うなど、連携して取り組まれることを要望いたします。よろしくお願いいたします。
 次に、檜原南北道路の整備について伺います。
 人の移動や物資の輸送のほとんどが道路を利用する山間地域の住民の生命、財産を守るために、大地震や激甚化する自然災害への備えとして、防災力を高める道路整備により、東京の強靱化を推進する必要があると思っています。
 ところが、西多摩地域では、東京の強靱化を推進する既存道路のダブルルートが進められていますが、一方で、檜原村を南北に縦断する檜原南北道路も、都道をダブルルート化する事業の一つであります。
 現状、檜原村では、北檜原地区を走る都道第二〇五号線から南檜原数馬地区に行くには、本宿を経由する都道を通っていかなければならず、車で約一時間も、同じ村内なのにかかっています。
 檜原南北道路の整備は、地域の一体性確保や観光面での大きな効果が期待されることに加え、地域の防災性を向上させるものでありますが、工事に着手した後、平成十二年から中断しています。
 これまで、東京都町村会からの整備の要望が出ており、昨年八月には、檜原村村長からも建設局に対し、建設再開してくださいと要望書が提出されています。
 そこで、檜原南北道路の整備についてお伺いさせていただきます。

○花井建設局長 檜原南北道路は、檜原村の南郷地区と樋里地区の約三・二キロメートルの区間を約三キロのトンネルと二つの橋梁でつなぐ路線でございます。
 現在、檜原村におきましては、檜原街道の斜面崩落を防止するのり枠などの道路災害防除事業や災害時の代替路として、防災性の向上に資する秋川南岸道路の整備事業を進めております。
 今後、檜原村の防災力の向上に向けた道路の整備などにつきまして、村と意見交換を実施してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。次に、認知症基本法についてお伺いさせていただきます。
 認知症基本法では、都道府県、区市町村に認知症の人の社会参加の機会の確保に向けた施策を講じることを求めています。
 都は、我が会派の要望により、今年度から認知症の人の社会参加推進事業を開始しましたが、今年度の成果を踏まえた来年度の取組についてお伺いいたします。

○山口福祉局長 都は、今年度から、地域の関係機関や民間企業など多様な主体による話合いの場を設置し、認知症のある方の社会参加の機会創出に取り組む区市町村を支援をしておりまして、認知症のある方のカフェでの接客や近隣住民と一緒に行う畑作業など、地域の特色を生かした取組が行われました。
 来年度は、こうした取組や工夫などを盛り込んだマニュアルを東京都健康長寿医療センターの知見も生かしながら作成しまして、地域における認知症のある方の社会参加を促進してまいります。

○清水委員 次に、内水面における養殖業の振興について伺います。
 多摩地域では、都がブランド魚として開発した奥多摩やまめなどの養殖が行われ、地域の特産品や観光資源として欠くことができないものとなっています。
 このため、都の奥多摩さかな養殖センターでは、これらの稚魚や卵を生産し、養殖業者へ配布することで、内水面養殖業の振興を後押ししてきました。
 しかし、近年では気候変動による渇水などにより、養殖センターでの生産が不安定になっています。奥多摩やまめの卵の配布は、昨年度の猛暑などにより、約五万粒の要望に対して実際は約一万粒にとどまっています。
 小学生がコップに入れた卵を持ち帰り、数日後に冷蔵庫でふ化したときのきらきらした表情は忘れられません。漁業組合の皆様や地元の飲食店からも安定生産を望む声が寄せられています。
 そこで都は、養殖業者の経営安定のため、奥多摩さかな養殖センターでの卵や稚魚の供給をより確実に行えるよう取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、内水面養殖業者に供給します奥多摩やまめなどの種苗を安定的に生産するため、デジタル技術も活用し、奥多摩さかな養殖センターの機能強化を図ることとしてございます。
 具体的には、豪雨による飼育池の濁りを防ぐため、水質の異常を感知する装置の導入や濁り水の流入を自動的に停止できる水門の設置を行います。また、水不足に影響を受けず安定的に飼育できるよう、ろ過装置や冷却機などを備えた閉鎖型の水循環システムを新たに導入いたします。さらに、病原菌等の侵入や蔓延を防ぐため、飼育池に設置する紫外線殺菌灯の増設に向けた設計に着手いたします。
 これらの取組に、令和六年度予算の約三億円に対し、令和七年度は約六億円を計上し、内水面養殖業の振興を図ってまいります。

○清水委員 次に、農地貸借についてお伺いいたします。
 私の地元西多摩地域には、東京の農業生産を支える農業振興地域が広がっており、十分に利用が進んでいない農地も見受けられます。一方で、東京で農業を始めたいと考える方も多く、都は、農業以外からの就農者の育成や農地の貸借を奨励する取組を始めています。
 地元の課題は、そもそも農地地域の縛りがあること、今後、高齢化が進み、耕作できない農地が増えることが懸念されています。
 そこで東京都は、東京農業の発展に向け、農業振興地域における農地の賃貸借をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 東京農業の振興を図る上で、農業振興地域における農地の利用を促進し、農業者の経営規模の拡大や就農者の増加につなげることは重要でございます。
 都は今年度から、農業振興地域を中心とした市街化区域外において、農地の長期間の貸出しを増やすため、土地所有者に対し、面積に応じた奨励金の支給に取り組んでおります。
 この取組により、意欲ある農業者が農地を拡大し、施設整備に取り組むなど経営力強化につなげる事例も見られてございます。
 このため、来年度は、奨励金の支給額を十アール当たり最大二十万円から四十万円に引き上げて、貸借の加速化を図ってまいります。

○清水委員 大麦代駐車場について伺います。
 奥多摩町には、水道局の管理する東京都の水資源の二割を供給する小河内ダムがあります。近くにある大麦代駐車場には、休日、多くの観光客がにぎわっています。
 この駐車場では、水道局が奥多摩湖周辺街商組合に対して土地の使用貸借を行い、組合が売店を設置して営業しています。
 周囲に商業施設がない中、この売店は貴重な存在ですが、建物の老朽化や従業員の高齢化など課題を抱えています。
 今ある売店の建て替えも含めて、水道局がもう一歩踏み込んで積極的に関与し、売店の営業支援を行うなど、訪れる方の利便性向上やにぎわいの創出に貢献すべきと考えますが、見解を伺います。

○西山水道局長 水道局では、小河内貯水池の隣接地に、奥多摩水と緑のふれあい館を開設し、都民に広く水源地保全の重要性を伝えるとともに、奥多摩町と共同で地域の自然や歴史をPRするなど地域振興を行ってございます。
 また、周辺の当局所有地では、奥多摩町が大麦代駐車場を設置しているほか、貯水池建設に伴う移転補償として、事業者に許可した店舗の運営を通じ、訪れる方々の利便性向上にも寄与してございます。許可の更新時などには、事業者の意見や要望をより丁寧に伺ってまいります。
 今後とも、地元自治体等からの地域振興や観光に関する要請を踏まえ、水源地保全の理解促進を図るとともに、地域のにぎわい創出に一層貢献してまいります。

○清水委員 次に、西多摩地域の自治体へのデジタル面での支援についてお伺いいたします。
 西多摩で八年間議員を続ける中で、先ほども触れましたが、市町村の職員の声に耳を傾けると、人手不足の話が真っ先に上がってきます。自治体の規模が小さくても、国や都からの業務スパンは同じです。人数の少ない中で対応しているのが実態で、このため、デジタル化を進めたくても人手が足らず、日常業務に追われ、思うように進められないということもあります。
 都は、区市町村の情報政策の責任者であるCIOとの協議の場を設けていると伺っています。
 そこで、西多摩地域の状況をしっかりと把握して、市区町村の支援につなげていってほしいと思いますが、都のCIOである宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 オール東京のデジタル化推進のため、私はこれまで、全自治体のトップ層との対話を重ねてまいりました。人材確保に課題を抱える西多摩地区のCIOからは、業務改善のためのツール導入や活用のハードルが高く、一歩を踏み出せない等の声を伺っております。このため、今年度は、西多摩町村等をデジタル技術者が訪問し、職員に日常業務でAI議事録等を実際に使ってもらい、有用性を実感していただく取組を実施しました。
 来年度は、業務効率化に資するツールの導入、活用、定着につなげるため、都とGovTech東京のデジタル人材から成る新たな支援チームをつくり、対応を強化していきます。
 また、自治体の実情やニーズに応じたデジタル化の処方箋に基づき、生産性向上に寄与する生成AIツール等を職員が使いこなせるように支援していきます。
 小さな成功を積み重ね、西多摩町村のデジタル化を共に一歩ずつ前進させてまいります。

○清水委員 西多摩地域は、職員がほとんど兼担兼担で日夜頑張っています。ぜひ自治体がデジタルの強みを生かし、住民サービスの向上や業務の活性化、効率化を図れるよう、地域の実情に寄り添った支援に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、グリーン水素の普及に向けた取組について伺います。
 ゼロエミッション東京の実現に向け、様々な分野での水素の利用拡大を図ることは重要です。水素は燃料電池などのエネルギー源として使われているだけでなく、身近な洗剤や化粧品、肥料などの製造でも多くの水素が使われていると聞きます。
 脱炭素化に効果の高いグリーン水素をこうした産業分野で活用し、カーボンニュートラル社会の実現をリードするとともに、都民にグリーン水素をもっと身近に感じてもらう取組が必要だと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 水素社会の実現には、都が率先いたしましてグリーン水素の製造や利活用を図り、脱炭素化を進めるとともに、都民に身近なものとしていくことが重要でございます。
 水素はエネルギーとしてだけではございません。油を固めたり、臭いを取り除く性質を持っておりまして、化粧品をつくる原料などとしても広く利用されているところでございます。
 こうした水素をグリーン水素に置き換えることは、産業界の脱炭素化に貢献するだけではなく、環境負荷の少ないグリーン製品に対する都民や企業の意識を高めるきっかけとなると考えております。
 年内に大田区京浜島で都内初の大規模なグリーン水素の製造拠点を稼働させます。そして、企業と連携したパイロット事業といたしまして、ここで製造した水素を使って化粧品をつくる。これをイベントなどで広く配布いたしまして、都民がグリーン水素を肌で身近に感じる機会を提供することになります。
 脱炭素社会実現の切り札でありますグリーン水素の普及に向けて、様々な分野での活用を進めてまいります。

○清水委員 東京には、私の地元の西多摩を含め、多くのものづくりの工場があります。グリーン水素が都民に身近なものになり、こうした取組が民間企業に波及することを期待して、次の質問に移ります。
 障害者休養ホームについて質問させていただきます。
 都は、さきの東京二〇二〇大会開催に向け、都内では三千二百室のバリアフリー対応の客室を確保しました。一方、それが障害者の休養ホームとしてバージョンアップして生かされているのかについて伺います。
 昭和五十六年から始まった障害者休養ホーム事業は、こうした施設が対象になっていないほか、宿泊のみを対象としているなど、本当に障害のある方が使いやすい事業なのか検討をしました。地元では、この事業を知らない、利用したことがないという方がほとんどでした。そして、できればバスの送迎や日帰りでも利用したい、そんな方もたくさんいました。
 この事業をよりよくするためには、利用者のアンケートの分析をするほか、知っている人だけに利用されるのではなく、今まで利用したことがない、そんな新規の方にも新たに活用していただけるよう、積極的に事業の周知を図る必要があります。
 そこで、本事業において指定施設はどのように選んでいるのか。また、多くの方に事業を知ってもらう必要があると考えますが、来年度の取組について伺います。

○山口福祉局長 本事業の宿泊施設は、地理的条件のほか、障害特性に応じた丁寧な対応やエレベーターの設置など、バリアフリー化の状況を考慮して指定しております。
 来年度は、交通アクセスがよく利用実績が多い東京近郊のエリアにある施設や、入り口から客室まで段差がなく、客室内に設置されたトイレや浴室の出入口の幅を一定以上確保している西多摩地域の施設など、五施設を新たに指定いたします。
 また、区市町村窓口での周知に加えまして、来年度から当事者団体や障害者の通所施設等への情報提供を行うなど、本事業が一層活用されるよう取り組んでまいります。

○清水委員 今やスマートフォンは、生活のあらゆる場面で活用され、モバイル通信は、非常に重要な社会インフラとなっています。私自身が東京都内三分の一の面積である西多摩でうろうろできるのも、このモバイル通信のおかげであるともいえます。
 一方、先日、日の出町の山間部では、台風などの倒木により通信ケーブルの断線事故が複数回発生しており、通信障害によって、生活への支障が生じています。
 私は、かねてより、災害によって孤立集落が発生した場合にも、都民が安心して対応できるよう、モバイル通信の強靱化を進めるべきと訴え、都は、来年度から、携帯基地局の強靱化に向けた支援を開始すると伺いました。
 そこで、西多摩地域における通信強靱化やつながりにくい地域の解消に向け、都はどのように取組を進めていくのか伺います。

○山田デジタルサービス局長 都は、携帯基地局の強靱化を加速するため、来年度から非常用電源の長時間化や衛星によるバックアップ回線の導入費用を国と共に全額補助いたします。今後、通信事業者と連携いたしまして、早期に対策を講じてまいります。
 西多摩地域では、災害拠点病院など二十一施設をカバーする基地局が対象となっており、通信事業者の整備を強力に後押ししてまいります。
 また、都が行う現地での電波の実測調査を基に、通信事業者に対しまして、共同での基地局整備を提案するなど、つながりにくい地域の改善を強く働きかけてまいります。
 つながる東京の実現に向けて、西多摩地域に住み、働く都民の生活を支える通信環境の確保に取り組んでまいります。

○清水委員 高齢者施設において、医療ニーズの高い要介護高齢者を受け入れる体制構築に当たっては、人材確保や緊急時の対応など様々な課題があり、現場の実態等を十分把握した上で、効果的な施策を検討する必要があると考えています。そこで、見解をお伺いいたします。

○山口福祉局長 後期高齢者など、医療ニーズの高い方の増加が見込まれる中、高齢者の生活を医療と介護の両面で支える施設は重要でございます。
 都は、現在、医療ニーズの高い高齢者を多く受け入れている特別養護老人ホームのほか、要介護高齢者の長期療養や生活のための施設である介護医療院に対しまして、利用者の受入れに必要な医療、看護体制や体調急変時の対応など、現場の実態や課題についてヒアリングを行っております。
 今後、医療ニーズの高い高齢者の施設での受入れがさらに進むよう、区市町村や施設を対象に調査を実施し、実態を詳細に把握するとともに、調査結果等を踏まえまして、必要な施策を検討してまいります。

○清水委員 次に、福祉避難所についてお伺いいたします。
 区市町村では、水害や地震など大規模な災害に備え、特別養護老人ホームなどと協定を結び、福祉避難所を確保しています。
 高齢者や障害者など特に配慮を要する方が避難生活を送るための福祉避難所の整備は重要ですが、その確保をはじめ取組には、区市町村によってばらつきがあり、都としてしっかり支援していく必要があります。
 私もこれまで、都として区市町村の取組を後押しすることが必要ではないかと訴えてきました。
 そこで、都として区市町村による福祉避難所の実態を把握し、区市町村による取組が進むよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、来年度、都内自治体や社会福祉施設へのヒアリングなどを行いまして、発災時の避難所運営に関する状況を調査するとともに、円滑な連携事例を周知し、区市町村による施設との協議を促進いたします。
 また、発災時に、福祉避難所において高齢者などの要配慮者の受入れが進むよう、区市町村が新たに福祉避難所を確保する際に必要となる備蓄物資の購入経費に対する補助を開始いたします。
 こうした取組によりまして、発災時にも要配慮者が安心して生活できる避難所運営に取り組む区市町村を支援してまいります。

○清水委員 次に、防災の話に参ります。
 昨年六月、奥多摩建設業協会と奥多摩消防署が連携し、新たな初の取組で、土砂災害訓練が実施されました。同様に羽村市では、日野自動車第一羽村寮跡地にて、消防団や消防署、ハイパーレスキューなどが連携、そして初となる、近くに米空軍横田基地がありますが、そこのファイアーマンも賛同していただき、訓練を積みました。これは大変実践的な訓練であったと、私も現地で、ドア一枚を開けるのにこんなに違うんだということを見せていただきました。
 災害時の対応力強化には、地域それぞれの特性を踏まえた体制整備が重要ですが、地域との連携訓練も不可欠です。
 そこで、地域事業所等と連携した訓練の推進について、消防庁の見解をお伺いいたします。

○吉田消防総監 首都直下地震等の発生に備え、災害時に協力を得られる地域の事業所等と協定を締結し、平素からの訓練を通じて連携を深めておくことは重要でございます。
 このことから、東京消防庁では、職員、資機材の水上輸送に活用可能な船舶を有する屋形船東京都協同組合や消火用水の搬送に活用できるミキサー車を有する東京セメント建材協同組合等と協定を結んでおります。
 これらの取組により、今後も地域特性に応じて事業所等との連携を深め、災害対応力の強化に努めてまいります。

○清水委員 次に、公立病院の支援について伺います。
 西多摩地域では、地域医療を支えるため、民間病院とともに公立病院も重要な役割を担っています。
 一方で、公立病院も、民間病院と同様に経営の厳しさを増しています。こうした状況にあっても、小児科や救急など人材の確保が難しい診療科の体制を維持するとともに、今後の高齢化を見据えて、高齢者の受入れ体制もしっかり確保していくことが課題です。
 こうした課題に対応し、地域医療を安定的に確保するためには、公立病院への支援も重要と考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○雲田保健医療局長 都は、公立病院の安定的な運営支援のため、がん、リハビリなど、提供する医療の内容や病床数などに応じて運営費を補助しております。
 また、来年度から新たな事業として、高齢者用の病床を確保した病院に対し、一床当たり年間約六百二十九万円を、また、小児科、産科や救急医療を担う病院に対し、一診療科当たり年間一千百十四万円を支援する取組を開始いたします。
 この新たな取組は、地域住民の医療の確保という観点から、公立病院も支援対象といたしまして、誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられるよう取組を進めてまいります。

○尾崎副委員長 清水やすこ委員の発言は終わりました。(拍手)