午後六時五分開議
○中山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
たかく則男委員の発言を許します。
○たかく委員 最初に、順番を変更して、木密地域の不燃化の促進についてから伺います。
昨年起きた能登半島地震では、輪島市の朝市通り周辺において、一か所の出火場所から発生した火災が十四時間にわたって燃え広がり、約五万平方メートル、二百四十棟が焼失する被害が発生しました。
国がまとめた報告書では、火災拡大の要因として、道路が狭隘であり、火災が発生すると延焼拡大しやすい木造住宅が密集した市街地であったことなどが挙げられております。
都内には、木造住宅が密集する、いわゆる木密地域が広範囲にわたって存在しており、切迫する首都直下地震に備え、市街地の不燃化などの対策が急務であります。
そこで、能登半島の地震の教訓を踏まえ、木密地域の解消に向けた新たな施策を展開すべきと考えます。知事の見解を伺います。
○小池知事 いつ起きてもおかしくない首都直下地震などの脅威から、将来にわたって都民の命、そして暮らしを守り抜くこと、すなわち首都防衛が都政に課せられました使命と考えております。
木密地域の解消を加速させていくため、一月に防災都市づくり推進計画の基本方針改定案を公表いたしました。
改定案におきまして、能登半島地震における輪島市での延焼被害の状況などを踏まえて、局所的に対策が必要な地区を新たに防災環境向上地区として指定をいたしました。
指定された地区におきましては、地元の自治体によるきめ細やかな取組を令和八年度から十年間、集中的に支援をするなど、木密地域の解消に向けましてギアを一段と引き上げてまいります。
災害の脅威から都民を守る強靱な東京の実現に向けまして、燃えない、燃え広がらないまちづくりを強力に推進をしてまいります。
○たかく委員 今ご答弁いただいたとおり、新たに防災環境向上地区を指定して、地元自治体への支援を開始するとのことで、木密地域の解消に向けての重要な一歩と思います。
防災環境向上地区では、区市との協議により、三十三地区、約千ヘクタールを新規に指定し、東京全体の不燃化の取組を加速させるとのことであります。
私の地元の世田谷区でも祖師谷一丁目で十七・七ヘクタールが防災環境向上地区に指定されました。地元区市との連携強化を図り、取組を促進していくことを要望させていただきます。
都は、全ての整備地域において、不燃領域率七〇%の目標を目指すとしており、不燃化特区制度を活用しながら、二〇二一年時点で約六六%まで向上してきたとのことであります。
世田谷区でも、五地区で不燃化特区制度を活用しながら、木密地域の不燃化を積極的に進めておりますが、例えば北沢地域などでは、いまだに不燃領域率が五九%となっており、目標とする七〇%には到達しておりません。地元区によるさらなる取組の促進が必要と認識いたします。
私は、世田谷区議会議員のときに、二〇一六年に大火災に遭われた糸魚川市に調査に行ってまいりました。火災現場では、木造密集地域で百四十七棟が焼失したとのことでした。
住民からのお話では、最初の火災発生時には数軒の延焼で済むかと思われていましたが、火の粉がどんどんどんどん強風であおられて飛び火をして、しまいには、もう消せないような状況になっていたとのことでありました。
現地に消防車が来て、消火栓から取水をしていましたが、大量に消火栓にホースを突っ込んだために、水圧が下がって水が全然出てこなかったという話もお聞きしました。その意味では、防火水槽などの水利を公園や空地に整備することは極めて重要なことと考えております。
そこで、このたびの改定により、整備地域における強化する具体的な取組についてお伺いいたします。
○谷崎東京都技監 整備地域におきましては、不燃化特区制度を活用することなどにより、防災性は着実に向上しておりますが、地域特性の違いなどにより、不燃化の状況に差が生じております。
このため、基本方針の改定案では特区制度を五年間延長し、無接道敷地の解消や高齢者世帯の建て替えなどの促進に向けた制度拡充を図るとともに、不燃化の進捗状況の公表などにより、区市の取組を促すこととしております。
また、輪島市の大規模火災は、消火栓の断水などが延焼拡大の要因とされていることを踏まえまして、耐震性貯水槽や防火井戸などの防災機能を備えた公園整備への支援を拡充することで、整備地域の防災性を高めてまいります。
○たかく委員 今回、令和七年度終了予定の不燃化特区制度が、我が党の推進によって継続されることは評価するものであります。
今の答弁では、今後、防災機能を備えた公園の整備などへの支援を拡充するとのことですが、さらなる木密地域の不燃化促進を求めて、次の質問に移ります。
次は、駅のホームドアの設置について質問いたします。
東京都のホームドアの整備率は、二〇二三年度で三五%でありました。都は、JR及び私鉄駅で二〇三〇年度に約六割の駅にホームドアを設置することを目指して、事業者に整備計画の拡充を求めてきました。
今回、ホームドアの早期拡充を粘り強く訴えてきた都議会公明党の主張を受けて、達成を二年前倒しで二〇二八年度に約六割達成を目標にしたことについては評価いたします。
また、先月の第一回定例会の代表質問でも、都議会公明党が、整備加速には国と連携した技術的な対応の強化や補助制度の拡充による、より踏み込んだ実効性のある支援をすべきと取り上げました。都からは、来年度から事業者に直接補助を行う制度を創設するとの答弁もありました。
最初に、来年度予算案におけるホームドアの整備に関わる予算総額と今後の見通しについて見解を伺います。
○谷崎東京都技監 令和七年度予算におきましては、ホームドア等整備促進事業といたしまして、七億六千六百万円を計上しております。
加えまして、都が鉄道事業者に直接補助を行うホームドア整備加速緊急対策事業を新たに創設し、六億四千万円を計上しております。
また、ホームドア整備加速緊急対策事業におきましては、年度にとらわれず工事を進められるよう、令和八年度から十年度まで二百十三億五千万円の債務負担行為を設定しております。
○たかく委員 昨年、官民の連携した協議会を立ち上げ、加速策の検討を進め、新たな補助制度を導入したことにより、今後、事業者がその制度を活用し、整備が進んでいくことを大きく期待いたします。
さて、世田谷区内には、東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄が乗り入れております。東急電鉄は、世田谷線を除く全ての駅にいち早くホームドアの整備を実施しました。
今年一月には、京王電鉄が井の頭線を含む全路線の整備スケジュールを表明しました。井の頭線を利用されている区民の方からは、喜びの声をいただいております。
世田谷区内でホームドア整備が残されているのは、小田急線の豪徳寺駅以西であり、地元からは早期の整備を要望されております。
現在、豪徳寺駅、経堂駅、千歳船橋駅、喜多見駅は整備計画が示されておりますが、祖師ヶ谷大蔵駅、成城学園前駅では、整備スケジュールはいまだ示されておりません。
ホームドア整備加速緊急対策事業では、既存補助対象外駅でも五駅以上連続して整備する場合には、直接補助の対象になるとのことです。
小田急線には、まだ未整備の駅が五駅以上もあります。こうした補助制度を活用し、世田谷区内の小田急線においても早期にホームドアの設置を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎東京都技監 世田谷区内の小田急線の駅は十駅ございますが、四駅では整備済み、三駅ではホームドア等整備促進事業を活用して整備中でございます。残りの三駅は未整備でございますが、そのうち経堂駅につきましては、来年度整備に着手する予定となっております。
新たに実施する補助制度では、事業者が令和十年度までのホームドアの設置を整備計画として公表することを前提条件としております。
そのため、都は、鉄道事業者に対しまして、未整備駅について新たな補助制度を活用できるよう、整備計画の策定を働きかけ、ホームドアの整備を加速してまいります。
○たかく委員 次に、関連して道路のバリアフリー化についてお聞きいたします。
日常、視覚障害者の方が一人で出かける際に、時として踏切を横断することがあります。視覚障害者にとって、点字ブロックはまさに命綱であります。
二〇二二年四月、奈良県で、視覚障害のある全盲の女性が踏切内で列車と接触して亡くなるという痛ましい事故が発生しました。その事故を受けて、国土交通省は二〇二四年一月、道路の移動等円滑化に関するガイドラインを改定。また、踏切道の改良促進法に基づき、改良すべき踏切として都道十二か所を指定しました。
世田谷区内の東急目黒線奥沢一号踏切では、二〇〇一年頃、視覚障害のある方が踏切道を渡る際に踏み外されたということが発生しております。この踏切は、都道十二か所のうちの一つとして指定されております。
高齢者や障害者等が安全・安心に外出するためには、改良すべき踏切道の早急なバリアフリー対策が必要と考えます。
奥沢一号踏切を含む踏切道のバリアフリー対策について、早急に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○花井建設局長 高齢者や障害者など、全ての人が安全で円滑に移動するためには、踏切道を含めた道路のバリアフリー化を進めていくことが重要でございます。
指定された踏切道の整備に向けまして、都は、改定された移動等円滑化ガイドラインを踏まえた対策方法などについて鉄道事業者と調整を進めております。
奥沢一号踏切では、視覚障害者団体の意向を確認しながら、既設誘導ブロックの付け替え等について、鉄道事業者と意見交換を実施しております。
今後とも鉄道事業者と連携し、誰もが安全で安心して利用できる歩行者空間の確保に取り組んでまいります。
○たかく委員 続きまして、感染症パンデミックや大規模災害時の臨時医療施設の設置について伺います。
安全・安心のまちづくりには、全ての危機に対抗できる強い都市づくりが何よりも必要と考えます。
新型コロナ感染症を経験した我々は、医療面において強靱な都市を目指していく上で、いかなるときも、どんな状況でも、医療ができる限りのことを行い、持ちこたえること。それには平時から準備をし、備えることで災害有事に力を発揮できることを学びました。
新型コロナ感染症拡大時において、東京都では、パンデミック時の医療体制が逼迫する中、青山の旧都民の城や旧赤羽中央総合病院内などに臨時医療施設を開設し、高齢者などの介護の必要な患者や救急医療を受け入れ、コロナ病床として、最大時に約七百床を用意しました。
病院以外でもこのような施設を整備することによって、ハイリスクのある高齢者の受入れや、施設や病院でのクラスター発生時の早期隔離で医療逼迫を回避できたものと考えます。
東京都医師会では、令和七年度の予算要望で、感染症パンデミックや大規模災害時の臨時の医療施設の創設について要望されております。
新興感染症等の発生時に一気に増大する医療需要に対応するためには、患者を速やかに収容するためのパンデミック対応の臨時の医療施設の設置が必要と考えます。見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、新型コロナ対応におきまして、感染状況などに応じて、酸素・医療提供ステーションや高齢者等医療支援型施設などの臨時の医療施設を戦略的に設置いたしました。
これらの施設は、患者の治療のほか、介護度の高い高齢患者などの受入れやリハビリテーションの実施、二十四時間の救急受入れ体制の確保、症状が軽快した患者の転院受入れなど、その時々の状況に応じて医療機関の病床を補完する役割を果たしてまいりました。
今後の新興感染症などの発生時には、感染症予防計画に基づきまして、感染症の特性や地域の状況などを踏まえ、臨時の医療施設を機動的に設置し、医療機関の協力も得ながら必要な医療提供体制を確保してまいります。
○たかく委員 都として、有事の際に臨時の医療施設を設置することの必要性を認識されていることは理解いたしました。
昨年九月に世田谷区医師会では、新型コロナ対応で臨時の医療施設として活用した世田谷区内の介護老人保健施設を借りて、大規模な災害や感染症の蔓延に備えて、地域の医療従事者に対してトリアージ方法を学ぶ訓練を実施していました。
主催者からは、有事に臨時の医療施設を円滑に設置運営するためには、平時からこのような訓練等を都内各地で実施することが重要と考え、訓練を実施したということをお聞きいたしました。
感染症有事に臨時の医療施設を円滑に設置運営するために、都として平時からの訓練等に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は今年度、感染症発生時に臨時の医療施設を迅速に開設し、円滑に運営できるよう、都医師会と意見交換を実施するとともに、都内の病院などと調整を行い、候補となる施設とその運営を担う法人を選定いたしました。
また、有事に人材派遣を行う協定を締結した医療機関などを対象に、臨時の医療施設の運営に関する講演や、感染防護具の着脱訓練などの研修を開始いたしました。
来年度は、候補となる法人を対象に、臨時の医療施設における患者の入所対応や、施設のゾーニングなどの実践的な研修を新たに実施いたします。
こうした取組によりまして、有事の際に臨時の医療施設を機動的に設置運営できる体制を整備してまいります。
○たかく委員 今までは感染症パンデミック対応について質問しましたが、感染症だけではなく、首都直下地震などの大規模災害時の医療対応は不可欠であります。
現在、重症の負傷者を受け入れる災害拠点病院等が指定されておりますが、災害時には負傷者だけではなく、避難者や施設、自宅などで避難生活を送る高齢者などへの対応も必要であります。体調が悪化すれば命に危険が及び、災害関連死へとつながるからであります。
大規模災害時にも負傷者や体調が悪化した避難者など、膨大な傷病者を収容するため、臨時の医療施設が必要になることは必至と考えます。都の見解を求めます。
○雲田保健医療局長 都は、大規模災害時におきまして、多数の傷病者に対応するため、都内全ての医療機関に、有する機能に応じてあらかじめ役割分担を定めております。
発災時に症状に応じた必要な医療を提供するには、医療機関において入院患者を確実に受け入れる体制に加え、避難所などで体調が悪化しても入院までは必要のない避難者や、入院していた患者で避難所などでの生活が難しい方などの受入れ体制を整備することが重要でございます。
このため、都は来年度、有識者や医療関係者などで構成する災害医療協議会の下に新たな部会を設置し、区市町村や関係機関と連携して、臨時の医療施設を含め、こうした災害時要配慮者に対する医療救護体制を検討してまいります。
○たかく委員 ありがとうございます。続きまして、子育て世帯訪問支援事業について伺います。
世田谷区では、二〇二〇年に児童虐待を地域で防止する体制を強化するために、区児童相談所を東京都でいち早く立ち上げました。
世田谷区児相における相談件数は、二〇二〇年度の二千百三十二件から、二〇二三年度二千四百二十五件と毎年増え続けております。同様に、全国の児童相談所における虐待相談件数でも増加をし続け、二〇二二年度には二十一万件を超えております。
また、虐待による子供が死亡する事件は後を絶たず、かけがえのない子供の命が失われております。
このような子供への虐待リスクを未然に防ぐために、国は、養育支援が特に必要な方への訪問支援を行う養育訪問支援事業のうち、家事育児援助の支援を子育て世帯訪問支援事業として再構築をし、今年度よりスタートしました。
この事業は、訪問支援員が家事育児等に対し不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦やヤングケアラー等がいる家庭を直接訪問することにより、虐待リスク等を未然に防ぐもので、子供の命を守るために極めて重要な事業と考えます。
都内では、現在四十七の自治体で子育て世帯訪問事業を実施しております。小学校就学後の子供も対象として、この事業を行っている自治体では、小中学生がいる家庭に対し、訪問支援員が継続的に、親のみならず子供にも関わりを持つことで、不登校の子供が学校への復帰が可能になったとの事例も多く報告されております。
その意味から、本事業において就学後の小中学生までケアできるよう、東京都としても区市町村をバックアップすべきと考えます。しかし、支援側の人材不足等により、就学後の子供がいる家庭のケアまではなかなか至っていない状況にあります。
そこで、東京都として、さらなる区市町村における人材の確保と育成を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
○山口福祉局長 都は来年度、訪問支援員の確保と育成を図るため、保護者とのコミュニケーションや、子育て家庭が抱える不安や悩みを傾聴し、適切な支援につなげるスキルなどに重点を置いた都独自の研修カリキュラムを作成いたします。
また、このカリキュラムに基づく支援員への研修の実施や、研修を受講した支援員に対し、報酬の上乗せを行う区市町村を支援いたします。
○たかく委員 今後、都として、各区市町村に研修カリキュラムを提供する際には、自治体の取組状況や効果など、把握しながら継続的に支援していくことを要望します。
次に、利用促進に向けた課題について伺います。
この事業は、区市町村が子育て家庭に寄り添いながら、不安や悩みを傾聴し、家庭や養育環境を整える必要がある場合には利用を勧奨するなど、積極的な活用が求められております。
現在、国の仕組みでは、本事業には一定の利用者負担が必要とされております。
本事業の利用促進のため、区市町村が行う利用者負担の軽減策について、東京都として、なお一層支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山口福祉局長 国は、本事業について、利用者が所得に応じた利用料を負担することを基本としております。
都は、利用者一人一人のサポートプランの作成や、ヤングケアラーコーディネーターの配置などを要件に、利用者負担の軽減に取り組む区市町村に対しまして、必要な経費の二分の一を独自に補助しております。
来年度は、区市町村の取組がさらに進むよう、都の負担割合を二分の一から三分の二に拡充いたします。
○たかく委員 次に、運営上の課題について伺います。
この事業は、区市町村が地域のNPO法人等に委託しているケースも多くあります。国の補助では、訪問支援員の人件費のほか、実施に関わる事務費、管理費も補助対象となっており、一事業所当たり約五十六万円の補助基準額となっております。
しかし、この事業による対象を広げていくには、訪問支援の調整や管理など、事務管理に関わる費用も増すこととなり、この補助基準額では運営が厳しいとの声もいただいております。
今後、子育て世帯訪問支援事業による支援の拡大を図っていくためにも、都として訪問支援の事務管理に関わる課題等を把握し、事業者が安定的に運営するために必要な支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
○山口福祉局長 都は来年度、訪問支援員に対する研修カリキュラムの策定に向けまして、学識経験者や民間団体等から成るワーキンググループを設置いたします。
このワーキンググループでは、区市町村や事業を受託した事業者へのヒアリングを予定しておりまして、事業の運営に関する課題について、さらなる実態の把握に取り組んでまいります。
○たかく委員 ワーキンググループで事業者へのヒアリングを予定しているとのことで、事業運営の実態把握を行っていただくように要望して、次の質問に移ります。
次に、特別支援学校における医療的ケア児への支援について伺います。
世田谷区には、国立成育医療研究センターがあり、全国から多くの医療的ケアの必要なお子さんが入院、また通院もされております。
現在、都内で医療的ケアの必要なお子さんは約二千人、私の地元世田谷区でも約百九十人いらっしゃると聞いております。
私は、区議会議員のときより、医療的ケア児の家族の方からいろいろな相談をいただき、区内で受入れできる保育園や学校の整備等に取り組んでまいりました。
また、都議会議員になってからも、都立特別支援学校での看護師付添いの専用車両での通園支援など、取組を進めてきたところであります。
現在、都立特別支援学校に在籍する医療的ケアの必要な児童生徒数が増加しております。
都内公立特別支援学校の児童生徒数は、平成三十年度の七百二十九人から、令和五年度には八百六十五人と、五年間で百三十六人の増加とのことであります。
この状況を踏まえ、医療的ケアの必要な児童生徒に対し、来年度にも現在取り組んでいる医療的ケア児通学専用車両をさらに増やしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本教育長 医療的ケアを必要とする児童や生徒の増える中、そうした子供たちが特別支援学校に安全で確実に通うための仕組みを充実することは重要でございます。
これまで都教育委員会は、肢体不自由のある児童等が医療的ケアを受けながら学校に通うことのできる専用の車両について、平成三十年度より運行を開始しております。また、知的障害のある児童等については、今年度より同様の対応を行っております。
こうした中、今後とも特別支援学校で医療的ケアを必要とする児童等の増加は見込まれております。
このため、来年度、通学で医療的ケアを必要とする子供に対応できる専用の車両を十台増やし、百三十四台といたします。
これによりまして、特別支援学校での医療的ケアの充実を図ります。
○たかく委員 また、医療的ケア児専用通学車両の運行や新たな医療的ケアの実施など、校内の医療的ケア体制を充実させるためには、看護師対応は必須と考えます。
看護師増員についての見解を伺います。
○坂本教育長 特別支援学校における医療的ケアを行う上で、校内や通学時の対応を適切に進める体制の充実は重要でございます。
これまで都教育委員会は、特別支援学校に非常勤の看護師を配置し、児童や生徒が、医療的ケアを必要に応じ受けることのできる環境を整えてまいりました。
また、そうした児童等を送迎する車両に看護師が乗り、ケアを行う仕組みも実施をしております。
特別支援学校での医療的ケアに係るニーズの高まる中、来年度、児童等への対応を行う非常勤看護師の体制の充実を図ります。
具体的には、専門性の高い対応を行う看護師を五名増やすほか、その他のケアに必要な人件費を一割以上拡充をいたします。
○たかく委員 ありがとうございます。関連して、医療的ケアを必要とする障害者の地域生活基盤の整備について伺います。
医療的ケア児者に対する理解や支援策は、二〇二一年九月に施行された医療的ケア児支援法を契機に進みつつあり、以前よりも医療的ケア児を取り巻く制度や資源は充実している一方で、まだ課題があると認識いたします。
特別支援学校に通っているお子さんをお持ちのご家庭からは、卒業後、医療的ケアに対応できる生活介護事業所は数が少なく、不安があるとお聞きしております。
また、医療的ケア児者親の会の方からは、医療的ケアが必要であっても、将来は自立して自分らしく暮らしていくためのグループホーム等の整備をしてほしいとの声をいただいております。
そこで、医療的ケアが必要な障害者の日中活動の場や生活の場の整備について、今後の都の取組について伺います。
○山口福祉局長 都は、今年度からの障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、医療的ケアが必要な重度障害者等を受け入れる日中活動の場や、グループホームの利用者数の目標を定めまして、施設を整備する場合の補助基準額を一・五倍とするなど、設置を促進しております。
来年度は、医療的ケアが必要な重度障害者の受入れがさらに進むよう、グループホームや短期入所の施設整備に併せまして、医療用モニターや人工呼吸器等の整備を行う場合の加算を新たに創設いたします。
こうした取組により、医療的ケアが必要な重度障害者の地域生活を支援してまいります。
○たかく委員 続いて、多摩川の排水樋門について二点伺います。
二〇一九年十月の台風十九号においては、多摩川の田園調布の水位観測所でも、国の観測記録上の最高水位を記録する大雨となり、多摩川流域の玉堤や上野毛、野毛地区で広範囲にわたって浸水するなど、甚大な被害が発生しました。
その後、都では、多摩川の水位が計画高水位まで上昇しても、雨水をできるだけ排水できるようにするため、大田区内の上沼部排水樋門でのポンプゲートの排水能力増強や、世田谷区内での下野毛排水樋門でのポンプゲートの新設を進めております。このポンプゲートは、内水の排水で大きな効力があり、地元からは完成が期待されているところであります。
現在、世田谷区内には、排水樋管が二か所、下水道の排水樋門が四か所あります。樋門の開閉等については区に委託されており、水防活動を行う区との連携は非常に重要と考えます。
最初に、世田谷区内の排水樋門について、下水道局と区との役割分担と、これまでの取組について伺います。
○佐々木下水道局長 世田谷区内の四か所の排水樋門は、下水道局が設置したものでございまして、区が協定に基づき、日常の維持管理に加え、河川の水位が一定の高さに達した場合の樋門の閉鎖作業などを行っております。
下水道局では、これまでに排水樋門の操作の安全性を向上させるため、堤防から河川に張り出した通路を通らなくても、宅地側から遠隔操作ができるよう対策を実施いたしました。
また、区と合同で樋門の操作訓練を実施するとともに、ホームページやSNSを活用して樋門の操作状況を広く周知するなど、区との連携を強化いたしました。
○たかく委員 世田谷区で行われた二〇一九年の台風十九号に伴う浸水被害への取組に関する住民説明会では、それぞれの排水樋門、樋管の閉鎖等によることが浸水被害の想定要因として説明されておりました。
世田谷区からは、排水樋門、樋管へのポンプゲートの新規整備を要請しており、現在、整備を進めている下野毛排水樋門以外の三か所の排水樋門にもポンプゲートの整備が必要と考えます。
下野毛排水樋門におけるポンプゲート新設について、新年度の取組について伺います。あわせて、多摩川沿いにおけるポンプゲートをはじめとする対策について認識を伺います。
○佐々木下水道局長 下野毛排水樋門では、区が用地を確保できたことから、下水道局がポンプゲートの整備を行い、区が維持管理を行うこととしております。
これまでに既存の樋門に設置可能なポンプゲートの詳細な仕様を決定し、現在、河川管理者をはじめ、関係機関との協議を進めており、来年度の工事着手につなげてまいります。
多摩川沿いの低地部における対策につきましては、引き続き地元区など関係機関と調整してまいります。
○たかく委員 それでは、最後に、東京トイレ防災マスタープラン素案について伺います。
東京都では、二月に新たにトイレ防災マスタープランの素案を公表しました。その中で、災害時に使用できるトイレがある施設の徒歩約五分圏外を災害時トイレ空白エリアと設定し、区市町村における災害用トイレ確保を促進し、二〇三〇年度までに空白エリアの解消を目指すとしております。
プランによりますと、区部で一週間以内、最大五万四千九十八基、一週間以降、最大十三万八千二十一基のトイレ不足が想定されております。
これを二〇二五年、二六年、二七年で空白エリアをおおむね解消させるとのことですが、具体的に解消するための整備主体となる区市町村への支援について見解を伺います。
○佐藤総務局長 都は、東京トイレ防災マスタープランで災害用トイレの整備方針を示すとともに、不足数量を算出するシートを提供するなど、区市町村が地域の実情を踏まえ、トイレ確保に向けた計画を策定できるよう支援してまいります。
さらに、区市町村に対し、発災直後、復旧期それぞれの段階や、被害想定などに応じて必要となる様々な災害用トイレ整備の補助を行うとともに、区市町村の意向を踏まえ、学校や公園などの都立施設においても、マンホールトイレなどの災害用トイレを確保してまいります。
○たかく委員 来年度から区市町村に対して実施されるこの補助制度は、区市町村が避難所等の環境を整備するに当たり、大変効果がある一方で、実際に活用されることが重要と考えます。
補助の対象となる資器材については、都のトライアル発注認定制度で認定された新規性の高い優れた製品等、品質がよく、施設管理者や避難者にとっても使いやすいものを的確に補助の対象とするなど、活用しやすいものにすることが不可欠です。
そこで、区市町村が補助を活用し、資器材を適切に整備できるように支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤総務局長 避難所の環境などの整備に向けて区市町村が主体的に取り組むためには、使いやすい補助制度とすることが重要でございます。
そのため、新たに創設する補助制度では、区市町村がより効果的、効率的に整備できるよう、地域の特性や区市町村のニーズに合わせて、適切な資器材を柔軟に選択できるような仕組みといたします。
さらに、他自治体における資器材の導入事例を紹介するなど、区市町村を支援してまいります。
○たかく委員 都や区市町村が災害時のトイレ環境を確保する体制を図ってきました。一方で、衛生的なトイレ環境を維持するためには、運用面が重要となります。衛生的な環境が保たれなければ、トイレが汚損し、避難者等の健康への影響も懸念されることになるからであります。
そこで、災害時におけるトイレの質を確保するために、衛生的なトイレ環境を維持する取組について見解を伺います。
○佐藤総務局長 災害時において、被災者がストレスなく快適にトイレを利用するためには、衛生的なトイレ環境を確保することが重要でございます。
そのため、避難所運営指針の素案においては、発災直後から水洗トイレを使用できることを都独自の基準として示しております。
また、東京トイレ防災マスタープランの素案において、施設管理者や避難所運営者等が災害用トイレの使用手順や清掃の実施体制、必要備品などの項目をチェックするアセスメントシートを作成し、適切な維持管理に活用できるようにしております。
今後、アセスメントシートの活用を区市町村などに丁寧に働きかけてまいります。
○たかく委員 今後、アセスメントシートを活用して、区市町村に丁寧に働きかけていくということでありますので、しっかりと推進をしていただくことを要望申し上げ、私からの質問を終わります。(拍手)
○中山副委員長 たかく則男委員の発言は終わりました。
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