予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○松田副委員長 白戸太朗委員の発言を許します。
   〔松田副委員長退席、尾崎副委員長着席〕

○白戸委員 本日は、このような状態で予算特別委員会の質疑に立つことをご容赦いただきたいと思います。
 骨は折れても、心は折れず。今日は、お見苦しい点もあるとは思いますけれども、しっかりと心を込めて最後まで質疑をさせていただきます。よろしくお願いします。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 現在、このようにハンデを持った形で社会生活を送りますと、今までなかなか気づかなかったようなことが様々見えてまいります。
 例えば、ペットボトルを開けられないとか、かばんから荷物を取り出せないとか、靴ひもが結べない。あとは歯磨き粉を歯ブラシにつけるのが、これが結構難しいです。そういう、やってみないと分からないという立場がありまして、非常に新鮮な生活を送らせていただいております。
 そして、この立場で公共交通を使いますと、東京の公共交通の優秀さに気づかされることも多々あります。
 逆をいいますと、このバリアフリーのための施設は、健常者だとなかなかその有用性や存在に気づきにくいということでございます。
 例えば、エスカレーターなどは健常者でも日常的に利用しているものですから、その利便性を享受しており、場所なども把握されていると思いますけれども、エレベーターはふだんあまり使うことがなく、いざ車椅子を利用するとか、大きな荷物を持っていくとか、ベビーカーを使うようになったりしたときに、改めてエレベーターの存在のありがたさがよく分かります。
 ちなみに、マラソンの後は、すごく筋肉痛があったときは下りのエスカレーターというのが非常にありがたいんですけれども、そんなときに限って上りのエスカレーターしかないということがありまして、本当に絶望的な気分になるものです。
 ともあれ、都営交通は、そういった点も含めてかなり行き届いているのかなと思いますけれども、交通局は、駅のバリアフリー化の取組として、狭い構内であり困難な中でも積極的にエレベーターの設置に取り組んでこられたと思います。
 そこでまず、地下鉄のエレベーター設置に係る取組状況についてお伺いします。

○久我交通局長 都営地下鉄では、全駅でエレベーターなどによるワンルート整備を完了しており、さらなる取組として、駅の構造や周辺状況等を踏まえ、再開発などの機会も捉えながら、バリアフリールートの充実を進めております。
 現在、新宿線瑞江駅や大江戸線光が丘駅など四駅で整備を進めており、令和九年度までに、大江戸線大門駅を加えた五駅におきましてエレベーターを供用開始する計画でございます。

○白戸委員 今おっしゃったように、ワンルート整備が一〇〇%、さらにバリアフリー化を進めているということでございました。
 近年、大きな荷物を持った旅行者などにもエレベーターの需要がありまして、非常にありがたいものだなと思います。
 当たり前なんですけれども、地下鉄の駅というのは、都内の非常に便利な場所にございますから、土地の確保が大変だと思います。その中で、これは大いに評価できるものかなと考えます。
 しかし、このバリアフリーというのは、ハードの整備そのものももちろん重要なんですが、例えばエレベーターを必要とされる方が、その場所を分かりやすく認識するとともに、困っている方を周囲の方が支えるような意識を醸成していくということも重要かと考えます。
 一般利用者が先に乗り、ベビーカーを押したお母さんが待つようなことがあっては、これはいけません。また、足の不便な方、私のように体が思うように動かない方が素早く動けなくても、周りが温かく見守っていただけるような、そんな機運も大事かと考えます。
 都営地下鉄におけるバリアフリーにおいて、お客様に分かりやすく案内し、周囲に協力を促していくことが重要かと考えますが、局の取組を伺います。

○久我交通局長 都営地下鉄では、駅構内のバリアフリールートにつきまして、案内サインや構内図などに加え、局ホームページや駅で配布しているバリアフリーガイドでご案内しております。
 加えて、現在、エレベーターの場所をより分かりやすく表示するなど案内サインの充実を進めており、来年度は、新宿線一之江駅等で改修を実施する予定でございます。
 また、各駅におきましては、係員が障害のあるお客様などへのお声がけやサポートを行うほか、エレベーターの優先利用への協力をお願いするポスターなどを掲示し、マナー啓発に取り組んでおります。
 引き続き、こうした取組を通じて、誰もが安心して利用できる都営地下鉄を実現してまいります。

○白戸委員 パラリンピックを契機にさらに広がった東京の公共交通のバリアフリーは、世界のトップクラスではないかなと私自身は思っております。東京に住む者としては、これは非常に誇らしいところです。
 ところが、残念ながら、それを使う人間のソフト部分においては、まだまだこれからでないかなというふうに思います。
 先日も、電車に乗っていて、私にぶつかってくるような人がいました。ホームでも同じような経験をしました。
 もちろん、朝ですから急がれているのは理解できますけれども、体の事情で機敏に動けない人もいる。公共交通はいろいろな人が使っているんだという想像力が、残念ながら働いていないのかなというふうにも感じました。
 ぜひ、東京のバリアフリーを、ハードだけじゃなくてソフトも世界のトップにするべく、啓蒙活動も進めていただくことをお願いしておきます。
 ここまでは都営交通のバリアフリーの取組について伺ってまいりましたけれども、この議論をしていますと、やはり心のバリアフリーがいかに重要であるかということを改めて感じさせていただきます。
 今朝も、地下鉄の中で、手をかばって手すりにしがみついていたら、私の前の席に無理やり割り込んでくるような人もいれば、何もいわずに目でしっかりと合図をしてくれて、配慮し、スペースをつくってくれるような方もいらっしゃいます。
 自分から、手をけがしているんですとか不便なんですというのは、なかなかこれはいえないものですが、そんな中で、健常者であるときは気づかない人の優しさというのも感じる日々でございます。
 我が会派でも、今までも共生社会の実現に向けて、障害への理解に加えまして、周囲の援助や配慮を求めやすくするための取組を進めるよう求めてきました。
 障害は、まちに存在しているのではなく、それぞれの心にあるという言葉がありますが、まさにそのとおりだと思います。健常者がどのように捉えるかによって大きく変わります。
 日本ではこれまで、教育課程等で障害者と切り離されてきたので、障害者との相対の仕方が不慣れであったことは否めません。そして、パラリンピックを契機に様々な機会が生まれ、インクルーシブ教育も動き出し、少しずつ相互理解が進み出しているということも感じます。
 これまでも、都では様々なバリアフリーの取組がされていますが、ハード面の整備に合わせて、周囲の理解を深めるなどソフト面での取組も、なお一層必要と感じているところです。
 改めて、障害への理解促進に向けた都のこれまでの取組と来年度の取組を伺います。

○山口福祉局長 都はこれまで、障害特性や配慮すべき事項について、特設サイトや都民、事業者向けのハンドブックなどにより普及啓発を進めてまいりました。
 来年度は、デフリンピックの機運醸成のため、商業施設で障害の疑似体験ができるイベントを行うほか、障害の特性に応じた支援方法を分かりやすく紹介する動画を新たに作成いたします。
 また、障害への理解促進に取り組む企業などを登録、公表するとともに、共生社会の理念に賛意を示すシンボルデザインを公募し、啓発に活用するなど、障害への理解が一層広まるよう、様々な取組を推進してまいります。

○白戸委員 ハードは、つくれば完成します。そして成果となりますが、ソフトは成果が見えにくく、目的までの道は長いと思われます。
 心に呼びかけ、行動変容を起こしていくのは時間がかかります。だからこそ、粘り強く取り組んでいただけるようお願いしておきます。
 教員の負担軽減、働き方改革、少子化、社会の価値観の変化などにより、部活の地域移行化のニーズは高まっております。
 そんな中で、国が示した公立中学校の部活動の地域連携、地域移行における三年間の改革推進期間のうち、二年目が終わろうとしています。
 都においても、この二年間、様々な取組を進められてきましたが、これまでの都教育委員会の取組と各地区の進捗状況について伺います。

○坂本教育長 都教育委員会は、中学校の部活動の地域移行等を進め、生徒が身近な場でスポーツや文化芸術に触れる活動の後押しを行ってまいりました。
 具体的には、区市町村が部活動の地域移行を円滑に進めるための計画をつくるサポートとして、様々な助言を行ってきたところでございます。これによりまして、計画を作成した自治体は、昨年度の八団体から、今年度、全六十二団体となっております。
 また、地域の関係者による協議のほか、スポーツ活動等に詳しい専門家の活用などに係る経費への支援も実施をいたしました。
 さらに、地域移行等の優れた事例を紹介するシンポジウムを開催し、自治体間で情報の共有を図ったところでございます。
 こうした取組によりまして、区市町村は、地域の実情に応じ、部活動の移行等を着実に進めております。

○白戸委員 部活で育った私としても、本件に対する課題意識は非常に強いところです。
 様々現場の意見を聞いているところですが、その中で非常に実感するのは、地域によって課題も違い、状況も違うということです。つまり、国や都が決まった形で進めても、その地域ではうまく導入できないというケースが非常に多い。適切なコーチがいない、生徒が分散している、場所の確保、予算の確保が困難であるなど。
 そんな中で、それぞれの地域に合った計画をそれぞれつくってもらい、都教委はそれをサポートする側に立つというのは、今後の導入に向けて非常に現実的で、賢明な方向性であると考えます。
 さらに、先行事例が少ない中で、様々な事例を学ぶ機会や他自治体との情報交換も有益でしょう。
 ぜひ、次のフェーズに向けて、この流れを促進させていただきたいと思います。
 その一方、子供にとっても、これまでの部活ではできなかったような活動が、今回の地域移行によってできるようになることが大切かと考えます。
 例えば、日本のスポーツ教育の欠点といわれてきた、子供の単一スポーツに特化させる文化です。日本では、一つの部活をぶれずに続けることが正しいとされ、それを推奨する傾向があります。その結果、幼少期から触れられるスポーツが少なくなり、これが後々の伸び代に影響しているのではないかという指摘がされております。
 いよいよ来週、東京にやってきますドジャースの大谷翔平選手は、バドミントンや水泳、陸上やり投げ金メダリストの北口榛花選手も、バドミントンと水泳で全国レベルであったことは有名です。バスケットボール、NBAで活躍しています八村塁選手は野球、テニスの錦織圭選手はサッカーの経験があったことも知られています。(発言する者あり)私もスキーをやっております。
 神経発達の目覚ましい六歳から十二歳、これをゴールデンエイジというのですが、この時代において、いかに様々な神経を刺激できるかが、その後に大きく左右されるといわれており、中学生期もその延長で、その世代に多くのスポーツに触れる機会をつくることが大変重要です。
 しかし、これまでの日本の部活制度では、それができませんでした。
 そこで、この地域移行を機に、これまで学校でなかなかできなかった経験が多くできる機会を持つべきと考えますが、都教委の今後の取組について伺います。

○坂本教育長 公立中学校の部活動を地域移行するに当たりまして、スポーツや文化芸術の分野で、これまでとは異なる体験のできる機会をつくる工夫は重要でございます。
 このため、都教育委員会は来年度、都立の十の中学校の生徒を対象として、学校の部活動では体験することの少ないプログラムをモデル的に実施いたします。
 具体的には、スポーツや文化芸術の分野を対象に、ボルダリングや軽音楽等、六つのコースを設け、それぞれを年間を通じ二十回程度、学校の枠を超えて休日に体験できる取組を行います。
 また、これらのコースについて、生徒は複数を組み合わせて選択をできる仕組みといたします。
 この成果に関しまして、今後、部活動の地域移行の取組に役立ててまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。これ、非常に大切なポイントでありまして、ぜひ推進いただきたいと思います。
 これ、スポーツ界では、もうかなり前から分かっていたんですが、なかなかこの日本の社会システム、教育システムの中で実行できなかったことなんですね。また、複数スポーツに幼い頃から触れる中で、複数のコミュニティにも触れ合えるということで、社会性が養われるという研究結果も出ています。
 そもそも、この部活の地域移行が語られる中で、主語がほとんど教員とか大人であることが多いように私自身は感じておりました。もちろん、実行するに当たって大人は大きく関与するのですが、本来は子供のためにすることであります。子供の課外活動をいかに充実したものにできるのか、そんな視点がなおざりにされることが多いのを危惧しております。
 今回の多種目を経験できるようなモデルのように、対象である子供たちにとって何をすべきなのか、そんな視点を大事に、今後も進めていただけるようお願いします。
 都立の修学旅行は教育旅行として、国内旅行と海外旅行の二種類に分かれています。都教育委員会は、これらの教育旅行の責任者となる学校長に対し、上限額を提示してきました。
 昨年春、国内修学旅行の上限は一万円上がりましたが、海外修学旅行は据え置かれました。円安、インフレが進む中で、修学旅行の金額が据え置かれたため、現場では、安全と安心の確保が難しいのではないかという懸念の声が上がり、我が会派でも改善を求めてきました。こちらは先ほど青木委員の質疑でもございました。
 また、別の視点では、選ばれる都立高校であり続けるためには、各校がそれぞれ持つ資源を活用して特色化を図ることが重要です。そのためには、生徒一人一人の可能性を最大限に引き出し、未来を切り開く力を養うことができる教育活動を行う必要があります。
 その中心となる活動が探究的な学習です。探究的な学習の充実により、生徒たちは自らも考え、創造力や問題解決能力を高めることができます。中でも、海外で行う探究活動は、子供たちが自信を持ち、様々な経験を踏まえ、将来、国際社会で活躍することにもつながります。
 探究的な学習を海外でも効果的に実施することは重要であり、海外修学旅行においても同様です。海外での探究的な学びなどを後押しする取組について、都教育委員会の見解を伺います。

○坂本教育長 都立高校等の生徒が社会的な課題を主体的に設定し、その解決を図る探究的な学習を進める上で、海外に出向き様々な取組を行うことは効果的でございます。
 このため、都教育委員会は来年度、生徒による探究学習を海外で実施することを目指す学校を募り、訪問先での活動のサポートを行います。これによりまして、都立高校等の生徒が現地の学校と外国語を使いながら交流し、様々な課題に関し、協力して解決を目指す取組を支援いたします。
 また、修学旅行に関し、海外での学びや交流の機会を確保するための後押しを行います。具体的には、海外への修学旅行に当たり、学校の定める費用の上限について、昨今の交通費等の上昇を踏まえまして、その柔軟な運用を可能といたします。

○白戸委員 まさにスマホネーティブな世代の子供たちが自ら海外を体感し、実体験を重ね、その後の人生に関わってくるような機会の創出を応援いただけるようお願いいたします。
 次に、きみまも@歌舞伎町について伺います。
 令和五年度の青少年問題協議会の議論を受け、都は、トー横キッズの居場所の設置を進め、令和六年五月末に常設の相談窓口、きみまも@歌舞伎町を設置いたしました。
 まずは、このきみまもの初年度の相談窓口の評価を伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 きみまも@歌舞伎町を利用する青少年、若者は、様々な困難な背景から生じる不安や悩みを抱えており、相談員が丁寧に利用者の話を聞き取っております。その中で、利用者からの希望に応じて、関係行政機関や民間支援団体等と連携し、安全の確保や就労支援などを行っております。
 こうした取組によりまして、安全・安心な場所として認知され、昨年五月三十一日の開設から年末まで、延べ六千三百九十四名の利用がございました。

○白戸委員 安全・安心な場所として認知されまして、六千名を超える多くの利用があったこと、まずはよかったと思います。
 私も昨年、現地を視察させていただきまして、相談員の皆様の丁寧な施設の環境づくりなどを拝見させていただきました。これなら若者が来やすい雰囲気であるなとも感じました。ただ、逆に利用者が多くなり過ぎて、利用制限をかけなければいけない状況も起きているというのも聞いております。これは必要としている若者がまだまだ多くいるということでもあります。
 令和七年度は、より多くの若者を受け入れられるよう環境整備が必要と考えますが、都の対応を伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 今年度は、想定以上の利用があったことから、相談員が一人一人の状況を的確に把握し、また、利用者が落ち着いて過ごせるように受入れ人数を設定しております。
 このような状況を踏まえまして、四月から同じビル内で移転をし、現行の二倍の面積に拡大をいたします。あわせまして、相談員の増員や看護師を配置するなど体制を強化することで、これまで以上に多くの青少年や若者を受け入れてまいります。

○白戸委員 相談窓口の強化をして、多くの青少年、若者を受け入れていただくということです。ぜひ進めていただきたいと思います。ただ、新しい場所に移転するとなると、様々準備も必要だと推察いたします。ぜひ利用者に十分配慮して、この移転も進めていただきたいと思います。
 さらに、令和七年度は相談窓口の体制を強化されるということですが、より様々な悩みを抱える若者に応えられるよう、支援内容をこれまで以上に充実していく必要があると考えますが、対応を伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 利用者の抱える悩みは、家族問題や金銭等のトラブル、生活困窮など様々でございます。利用者にきめ細やかに対応するため、これまで、市販薬の乱用防止や自殺対策等に知見を有する民間支援団体とも連携してまいりました。
 令和七年度は、これに加えまして、利用者の抱えるトラブルに対して法的な視点から助言できる機関の協力も得て支援につなげてまいります。
 また、七夕や節分などの季節の催しを企画するなど、歌舞伎町を訪れる青少年や若者が気軽に立ち寄れるような工夫をし、青少年や若者の犯罪被害等の防止に努めてまいります。

○白戸委員 令和六年度、模索しながら始めたきみまも事業ですけども、これまでの反省、課題を踏まえまして、支援員の増員、専門性の向上、さらに法的なサポートを進めるということです。そして、昨年も行われていました季節の催物なども充実されるとのこと。今後も創意工夫を重ねながら、若者の安心できる相談場所として進めていただきたいと思います。
 利用者を増やし、施設に来て対話を深めることで、ここに来なくても若者たちが自己肯定感を高め、本来の生活に戻っていけるよう、さらなるご尽力をお願いします。
 次に、児童相談所と警察の情報共有について伺います。
 都内の児童虐待相談対応件数は二万五千から二万六千件程度で推移しており、その通報経路は、児童相談所と警察がそれぞれ五〇%程度です。児童虐待案件は、関係者の迅速な情報共有が求められるのですが、都の場合、警視庁からの情報提供は随時共有されておりますけれども、一方で、児童相談所から警視庁への情報提供は、緊急性が高いものを除き、月に一度程度でした。
 我が会派は、児童相談所と警察の情報共有システムの導入を提案してまいりました。児童虐待への対応のために共有システム導入を早急に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口福祉局長 都は、児童相談所と警察がより迅速かつ緊密に連携して対応できるよう、リスクが高いと考えられる全ての児童虐待に関する情報をリアルタイムで共有できる仕組みの運用を来年度から開始いたします。
 具体的には、警察が児童虐待に関する必要な情報を随時閲覧できるよう、児童相談所情報管理システムにアクセス可能な端末を都内の警察署などに設置をいたします。
 今後、運用状況や課題などを検証しまして、その結果を踏まえ、警察と情報を共有する新たなシステムを開発し、さらなる情報連携強化を図ってまいります。

○白戸委員 情報共有システムの構築と効果的な運用に大いに期待しております。なお、児童相談所における導入後は、特別区の児相にもこのシステムを広げられるよう要望しておきます。
 次に、舟運活用について伺います。
 東京都は千四百万人が生活し、様々な交通インフラが移動手段として都内で使われております。当然のことながら、移動が集中する朝夕はそれらが混み合い、利用者の疲弊につながっています。これがどの程度経済損失につながっているいるのかといいますと、コロナ前の試算ではありますが、通勤ラッシュ、満員電車が引き起こす経済損失は、肉体的、精神的ストレスによる経済損失、ラッシュで身動きが全く取れないことによる経済損失、満員電車が遅延する損失などで、首都圏だけでも年間三千二百億円程度だといわれております。現在はリモートワークがかなり導入されておりますので、緩和されているとはいえ、まだまだ東京の課題であるといえます。
 東京は、東京湾に面し、豊かな水域を有しています。ここでは水産業はもちろん、海運や観光には積極的に活用されていますが、日常のインフラにはほとんど利用されていないのが現状です。そのため、我が会派では、以前より舟運の生活インフラ活用について提案してきましたし、私も再三、一般質問などで取り上げてきたところでございます。
 そんな中で、都は、舟運が身近な交通手段として定着し、水辺のにぎわいを創出する取組も進めてまいりました。この取組の一環として、令和五年度に船旅通勤の実装に向けた補助制度を創設し、航路が徐々に拡大されています。
 そこでまず、船旅通勤の意義とこれまでの取組について伺います。

○谷崎東京都技監 都市交通としての船は、混雑や渋滞を回避し、快適に移動できる交通手段であり、船旅通勤により、新しい通勤スタイル、ライフスタイルとしての活用が期待されております。
 都が創設いたしました補助制度を活用し、現在、日本橋−豊洲間、晴海−日の出間を結ぶ航路が開設されております。新しい移動手段ができたことにより、利用者からは、移動時間が短くなった、景色を楽しみながら移動できたなどの意見がございました。
 都は、本年一月に新たに三航路目といたしまして、五反田−天王洲間の運航を開始することを公表し、現在、事業者におきまして国に対し手続を実施しております。

○白戸委員 船旅通勤は、快適な移動はもちろんなんですが、路線によっては地上インフラより円滑に移動できるなど、生活の利便性だけではなくて、豊かさを深めることにもなります。海外でも、ニューヨークやシドニーなどで積極的に活用している事例も少なくありません。東京も、効率、能率だけではなく、通勤にも豊かさを求められるフェーズにあるのではないかなというふうに思います。
 さて、今回追加される三航路目は、商業機能が多く集積する五反田エリアと大規模ビルが多く立地する天王洲エリアを、桜やイルミネーションなどを楽しめる目黒川を通り、乗換えなしで結ぶルートでございます。魅力ある二拠点を船で結ぶことにより、通勤、通学の選択肢が増え、移動中に景色を楽しむことができるなど、新たな価値が創出されるのではないかと考えます。船旅通勤を観光だけでなく、身近な移動手段として定着させれば、水辺に新たなにぎわいが生まれ、東京の魅力はさらに高まっていくのではないでしょうか。
 そのためには、船着場周辺のまちづくりとも連携していくべきと考えますが、見解を伺います。

○谷崎東京都技監 船旅通勤を都民のライフスタイルとして定着させていくためには、地域のまちづくりと併せまして、船着場のアクセス改善やオープンスペースの確保、船着場周辺の商業施設との連携などを図る必要がございます。
 例えば、晴海五丁目船着場周辺では、新たなまちづくりの機会を捉えまして、BRTなどが発着するマルチモビリティーステーションを整備し、シームレスな乗換えを実現しております。周辺開発が進みます日の出船着場周辺では、鉄道駅への快適な歩行者空間の整備が進められております。
 引き続き、新たな航路も含め、関係区、事業者、地元のエリアマネジメント団体などと協力しながら、舟運の活性化を図り、東京の魅力を高めてまいります。

○白戸委員 舟運の課題は、海と陸の接続点の整備です。この接続点の環境や接続性の整備こそが、舟運活用のポイントになってくると思われます。今後も、豊かで魅力的な水辺空間が、通勤や観光、また、日常の交通手段として利用され、都民生活を豊かにできるよう、引き続き取組を推進していただくことを要望しておきます。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 二〇二五年は、世界陸上とデフリンピックがいよいよ開催されます。現在、本番に向けて各運営組織が中心となって鋭意準備をされているところだと思いますが、両大会はオリ・パラ以降、東京で開催される規模の大きい国際スポーツ大会となります。
 一連の国際大会の開催を東京がさらに発展していく推進力とするため、オリ・パラを開催した都市として、そこで生まれたレガシーを両大会でもしっかりと生かしていくことが重要かと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京二〇二〇大会では、都市のバリアフリーの進展、サステーナブルな社会への道筋が示されるなど、多くのかけがえのないレガシーが生まれました。
 世界陸上とデフリンピックにおきましては、こうしたレガシーを継承、発展させまして、デジタルを活用した新たなコミュニケーション技術を公共施設、駅に導入いたしまして、社会実装につなげてまいります。
 会場の周辺では、次世代型ソーラーセルといった先進技術を活用するなど、大会を契機としまして幅広い取組を展開してまいります。
 東京二〇二〇大会で培いました経験をしっかりと生かして、両大会を成功させる、スポーツの力で東京の新たな未来を切り開いてまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。オリ・パラのときと同様、その盛り上がりを一過性のものとせず、スポーツへの関心やその熱を持続的なものにしていかなければ意味がありません。そのためには、戦略的な施策展開が必要です。
 大会開催の意味として、都市のプレゼンス向上、経済効果、国際交流、インクルーシブ機運の醸成などがありますが、やはり大切なのは、都民のスポーツに対する関心を高め、スポーツを身近に感じてもらうことだと思います。
 現行の東京都スポーツ推進総合計画は、東京二〇二〇大会を前に、障害者スポーツ振興計画を統合し、一体的に進めていく計画として策定されました。その結果、まちのバリアフリー化の促進や障害者のスポーツ実施率が上昇するなど、インクルーシブ社会に向けた取組が着実に成果として表れてきています。
 しかし、スポーツは生き物です。現在、計画の改定が行われていますが、スポーツの新たな課題やニーズを捉え、都民生活を向上させていく方策を示すことが重要です。
 スポーツ推進総合計画の改定に当たり、今後どのような視点を重視してスポーツ施策を推進していくのか、都の見解を伺います。

○古屋生活文化スポーツ局長 新たなスポーツ推進総合計画では、現行計画の主要な目標であるスポーツ実施率の向上に加えまして、障害者や高齢者を含め誰もがスポーツに親しみ、一人一人のウエルビーイングを高めることを重視しております。
 このため、スポーツへの関わりを広げる方策として、する、見る、支えるに応援するを新たに加えまして、好きな選手やチームへの興味関心などもきっかけにして、自らに合ったスポーツを選び、楽しめるよう施策を展開してまいります。
 こうした観点から、子供やダイバーシティなど六つのテーマごとに具体的なプロジェクトを推し進め、スポーツを通じて都民の生きがいや幸福感の向上につなげてまいります。

○白戸委員 スポーツの幸福度や、応援するなど、国の第三期スポーツ基本計画でも取り上げていないような新たな視点が取り上げられていること、少子化対策などと同様、都が国に先駆けて率先し、スポーツ施策を推進していることを高く評価して期待したいと思います。
 新たな計画では、重点政策のテーマに子供を挙げています。地元の子供がアスリートとして活躍することは、多くの子供たちのスポーツへの関心を高めることはもちろんですが、地域においては皆で応援するということにもつながります。
 競技スポーツの振興には、これまでは競技団体が中心となってアスリートを強化、育成することで進めてまいりました。次年度は、これに合わせ、競技に打ち込む子供たちの個性を伸ばすために、例えば、自らが希望する競技活動ができるようにするなど、アスリート本人に寄り添った支援をすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○古屋生活文化スポーツ局長 都はこれまで、ジュニア層の発掘、育成や、強化選手の合同練習会など、競技団体に対する支援を通じて、アスリートの強化に取り組んでまいりました。
 来年度は、高みを目指す子供や若者を後押しする輝け!TOKYO未来アスリート応援事業を新たに創設いたしまして、アスリート一人一人に着目した取組を開始いたします。
 具体的には、東京都スポーツ協会などの加盟団体の推薦に基づきまして、大会への参加費や用具の購入費などについて、三十万円を上限に、若手アスリートに対して支援いたします。

○白戸委員 スポーツは子供の心身の成長に欠かせない大切な要素をたくさん持っています。自分の可能性に挑戦したいというジュニアや若手のアスリートの熱い思いを受け止め、さらにその応援が地域に広がっていくよう、彼らの挑戦を後押しいただけるよう求めておきます。
 パラスポーツも重要政策のテーマの一つです。我が会派では、東京二〇二〇大会で高まったパラスポーツの機運を風化させることなく、パラスポーツのすばらしさを多くの都民に感じていただける取組を継続することが重要であると主張してきました。新たな計画では、パラスポーツのメモリアルイベントを開催することが挙げられています。
 ちなみに、私自身も現在このような不便な生活を送っていますと、片手が使えないだけなんですが、こんなに生活が不便なのかと気づかされることが多いです。
 そうした観点で考えますと、生活をするだけでこんなハンデを抱えているのに、さらにスポーツをするとなると、その手間暇たるや想像することがなかなか難しい。つまり、健常者が考える以上に、ハンデを抱える方がスポーツに挑戦するということはハードルが高いんだということを痛感させられます。だからこそ、行政がアシストしていく必要があると感じるとともに、彼らに対する敬意を改めて示す必要があるのではないかとも思います。
 今年はデフリンピックが開催され、より多くの都民にデフスポーツを含むパラスポーツを知っていただく絶好の機会です。ぜひ多くの都民にパラスポーツに興味を持っていただけるよう取組を実施することが重要と考えますが、都の具体的な取組を伺います。

○古屋生活文化スポーツ局長 都は、デフリンピックを契機にパラスポーツへの関心をさらに高めるため、大会期間中に競技会場の一つである駒沢オリンピック公園で参加体験型のイベントを実施いたします。
 イベントでは、デフスポーツを含むパラスポーツの魅力を知っていただけるよう、競技体験のほか、アスリートと交流できる機会を提供いたします。
 また、来場者がデフリンピックの会場に足を運び、試合を実際に観戦していただけるよう、競技やアスリートを紹介するブースなども設置いたします。

○白戸委員 パラリンピックとデフリンピックを開催した世界でも数少ない都市として、パラスポーツをする、見る、支えるはもちろん、応援するなど、様々な形で関わる人を増やし、スポーツへの参画を通して都民が幸福感を得られるよう、着実に取組を進めていただくことを求めておきます。
 次に、都立スポーツ施設について伺います。
 スポーツ振興に取り組むに当たり、スポーツインフラの中核を担う都立スポーツ施設が果たす役割は大きいと思います。
 誰もがスポーツを楽しむ東京を実現するために、都立スポーツ施設という都の貴重な財産を有効に活用していくこともワイズスペンディング、また、昨日の我が会派の小山委員の質疑にありました都有財産の積極的活用でもあります。
 東京二〇二〇大会を通して、これまで施設のハード面の整備は進んでまいりました。今後求められるのは、さらに使い勝手のよい施設となるための運営の工夫や改善。今年は、朝活などの都民のライフスタイルの変化やそれに伴うニーズも生じています。
 民間スポーツクラブなどに聞きますと、明らかに十年前と比較して混雑する時間帯が変化してきた、プールなども早朝が混み、夜にすいていたりするという顧客の行動変容が見られるということでした。
 都立スポーツ施設が都民にとってスポーツを楽しめる利便性の高い施設となるため、ライフスタイルの変化に伴う利用者ニーズも十分に把握していくことが必要と考えますが、都の見解を求めます。

○古屋生活文化スポーツ局長 都立スポーツ施設の役割を最大限に発揮し、価値あるスポーツ環境を都民に提供し続けるため、都はこれまでも、利用者ニーズの把握に努めてまいりました。そうしたニーズや立地特性を踏まえ、施設の開場時間を拡大する等の柔軟な運営を行っております。
 引き続き、指定管理者とも連携しまして、施設運営に関するアンケート調査や、日々の要望、意見の収集を通じまして、ライフスタイルの変化に伴うニーズも把握してまいります。

○白戸委員 ニーズは時代とともに変化します。一度決めたら終わりではなく、使用者の声に耳を傾け、臨機応変な対応こそが施設を最大限に生かすということにもなります。ぜひこれからも意見に耳を傾けていただけるようお願い申し上げます。
 また、都立のスポーツ施設には、都立公園スポーツ施設もあります。建設局所管の都立公園の運動施設についても、同じく都民の利用状況を踏まえた運営が必要と考えます。
 都立公園には弓道場がある公園が複数あり、いずれも使いやすい施設ではありますが、現状、終わりが早く、利用時間がかなり限定的であるため、大きな大会を開催することが難しい状況です。
 夕方の時間帯も使えるようにするなど、弓道場の運用の見直しを図っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○花井建設局長 都立公園の弓道場は、弓矢による事故を防止するため、安全管理の観点から、公園管理所が開所している時間帯に合わせて運用しております。
 近年、大会の大型化などに伴い、従前に比べ競技時間を要する大会が増えておりますことから、必要な安全対策を講じた上で利用時間の延長を検討いたします。具体的には、安全を監視する人員を大会主催者が配置するなどの対応がなされた場合、公園管理所の閉所後でも、日没までの明るい時間帯に弓道場を利用できるようにいたします。
 今後、安全対策のための詳細な利用ルールを取りまとめまして、速やかに大会等の利用ニーズに応えてまいります。

○白戸委員 ありがとうございます。利用時間の延長に向けて調整いただけるとのこと。
 この弓道場をはじめ、東京都には利用価値の高いすばらしい施設をたくさん持っています。その維持のために予算をかけていることも、もちろん事実でございます。だからこそ、そのポテンシャルを生かし、最大限に活用していくことこそが、都有財産の積極的活用です。今後も、使用者のニーズを酌み取って運営いただけるよう要望しておきます。
 本日も、都民の目線に立った様々な提案、提言をさせていただきました。社会が大きな変化をしている中で、我々は変化を恐れず、目線をぶらさず、都民ファーストの視点を忘れず、さらに目先だけではなく、未来を視野に入れた提言をしていくことをお誓い申し上げ、質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○尾崎副委員長 白戸太朗委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十二分休憩