○尾崎副委員長 高倉良生委員の発言を許します。
〔尾崎副委員長退席、中山副委員長着席〕
○高倉委員 これまで私は、災害時の医療支援について、海から、空から、そして陸上からと、それぞれの対策を訴えてきました。
このうち、海からの災害時医療支援につきましては、国において昨年六月、病院船導入に向けた法律が施行され、今後、具体化に向けて取組が進んでいくものと思います。
昨年の能登半島地震でも、海からの被災者支援のため、船が活用されています。海に囲まれた我が国、そして広大な海を抱える東京都にとって、海からの災害時の支援は大きな意味を持っております。都としてもこれまで、東京港において、病院船導入のための国の実証訓練に協力してきた経緯もございます。
海からの医療支援について、今後、都の防災対策にしっかりと位置づけを行うとともに、病院船の運用に関して国から都への要望があった際には、積極的に協力をしていただきたいと思います。
本日は、この後、空からの支援、陸上からの支援をはじめ、災害対策について質問いたしますけれども、災害時に被災者の命を守るためには、救援、救助活動とともに、医療が極めて重要でございます。
そこで、まず、大規模災害時における医療支援の重要性について、知事の見解をお伺いいたします。
○小池知事 今年は、阪神・淡路大震災から三十年でございます。いつ起きるか分からない大規模災害から都民の命を守る、そのためには、災害対応で得られた経験を教訓として生かしていかなければなりません。
都はこれまで、災害拠点病院の指定や病院の耐震化への支援、東京DMATの創設、東京都ドクターヘリの整備など、ハード、ソフトの両面から体制を整備してまいりました。
一方で、能登半島地震などで、被災自治体の受援体制の構築や災害関連死の防止などの新たな課題が浮き彫りになっておりまして、関係機関とも協議をしながら対策を急いでいく必要がございます。
このため、現在、外部有識者等の意見も聞きながら、関係機関が連携した、より実効性の高い災害医療体制の検討を進めておりまして、こうした取組を加速させ、都民の命と健康を守る首都防衛を実現していきたいと考えております。
○高倉委員 災害時の空からの医療支援について、都議会公明党は、東京型ドクターヘリに加えて、全国的に展開されているドクターヘリの導入を訴えてまいりました。
知事は、二〇一九年の第四回定例会におきまして、都議会公明党の代表質問に対し、東京型ドクターヘリと連携したドクターヘリの導入に向けて検討を進めていくとお答えになり、その後、このドクターヘリが東京に導入をされました。
ドクターヘリは、日常の救急医療とともに、災害時の医療支援にも極めて重要な存在であります。特に、同じシステムのドクターヘリを導入している近隣県などとも相互活用しやすい利点があります。
都議会公明党は、近隣県との相互活用に向けて協定を結ぶよう訴えてまいりましたけれども、先月、都は、山梨県との広域連携に係る基本協定を締結しました。これによる具体的な運用方法はどうなるのか、また、今後、その他の県とも相互運航を進めていく考えなのか、見解をお伺いします。
○雲田保健医療局長 都は先月、山梨県とドクターヘリの広域連携に係る基本協定を締結いたしました。これによりまして、今月末から、災害により多数の傷病者が発生した場合に、都県全域を対象とした相互運航が可能となります。
また、平時におきましても、複数の出動要請を受けた場合などは、陸路搬送ではより時間を要する山間地域を中心に運航を開始し、対象地域を順次拡大してまいります。
今後、山梨県以外の近隣県につきましても、ドクターヘリの相互運航が可能となるよう、連携体制の構築に取り組んでまいります。
○高倉委員 災害時の陸上からの医療支援策の一つとして、都議会公明党は、動く薬局ともいえるモバイルファーマシーの導入を提案してまいりました。令和七年度予算案に、都では初めてとなるモバイルファーマシー導入のための経費を盛り込んだことを高く評価いたします。
能登半島地震でも、他県から十台を超えるモバイルファーマシーが現地に駆けつけ、医療支援に活躍しました。
都のモバイルファーマシーについても、災害時に他県との相互活用ができるよう体制を整えるべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 現在、全国にあるモバイルファーマシーは、主に各地の薬剤師会が所有しており、能登半島地震では、日本薬剤師会が中心となって関係機関と調整を行い、被災地に十三台派遣されました。
都は、都内で災害が発生した場合には、区市町村の被災状況に応じて、都のモバイルファーマシーを迅速に派遣するほか、大規模災害の場合には、能登半島地震と同様の対応になることも想定されるため、今後、都薬剤師会をはじめ関係機関と緊密に連携を図りながら、適切に運用してまいります。
○高倉委員 モバイルファーマシーについては、災害時だけでなく、平時にも都民のために積極的に活用すべきと考えますけれども、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 モバイルファーマシーを既に導入している地域では、車両に搭載された調剤設備を用いた災害対応訓練や薬剤師を対象とした研修、住民向けの普及啓発イベントでの車両の展示などを行っておりまして、平時におきましても様々な方法で活用されております。
今後、都は、都民への周知も図りながら、災害時にモバイルファーマシーを円滑に運用するための訓練などを実施するとともに、薬剤師会などの関係機関や、既に導入している地域の関係者と意見交換を行い、平時における効果的な活用方法を具体的に検討してまいります。
○高倉委員 今回、都で初めて導入をされるこのモバイルファーマシーでありますけれども、東京は、二十三区の地域とそれから多摩地域と、東西に長い東京の中で、大きく二つに分かれているような地理的な条件にもありますので、今後、両方それぞれで活用ができますように、複数台の導入も検討していただくように要望いたしておきたいと思います。
私が都議に初当選した二十年前、東京を襲った激しいゲリラ豪雨によりまして、私の地元中野区でも、神田川に合流する妙正寺川が大氾濫をいたしました。この水害を契機として、私は一貫してこの対策に取り組んでまいりました。
妙正寺川の水害対策は、この二十年で大きく前進をしてまいりました。私は、さらに、西武新宿線鷺ノ宮駅という駅がありますけれども、この駅より上流のエリアにも新たな調節池を設置するよう提唱してきました。
そこで、妙正寺川における現在までの整備状況と今後の取組について答弁を求めます。
○花井建設局長 妙正寺川につきましては、年超過確率二十分の一規模の降雨に対応する護岸や調節池の整備を進めております。
令和五年度末までに四・六キロメートルの護岸と、貯留量約三万五千立米の鷺宮調節池など、五か所の調節池の整備が完了しております。
六年度は、中杉通りの八幡橋下流の護岸約百メートルと、妙正寺川の洪水も貯留する環七地下広域調節池の整備を進めているところでございます。
加えまして、約六万八千立米の洪水を貯留する仮称妙正寺川上流調節池を中野区立鷺宮運動広場などの地下に整備することといたしました。七年度から事業化し、関係機関との協議を進めながら、基本設計を実施してまいります。
こうした取組を着実に進め、妙正寺川の安全性を高めてまいります。
○高倉委員 今、ずっとこれまでの取組について説明もいただきましたけれども、大変、全力を挙げて取組をしていただいて、この間、大きな水害が出ておりません。住民の方々も本当に感謝をされております。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
水害時の被害を最小限に食い止めることを目的として、浸水が想定される区域や避難場所、避難経路などの重要情報を地図の上に表したものがハザードマップであります。
このハザードマップでありますが、視覚障害者の方々は、地図を見ることができないわけであります。そこで開発されたのが、耳で聞くことのできるハザードマップであります。
都議会公明党は、都内の視覚障害者団体の方々と共に、このハザードマップについて、視覚障害者が都内どこでも利用できるようにすべきと都に要請をしてきましたけれども、その取組について答弁を求めます。
○佐藤総務局長 都は来年度から、民間事業者が提供する視覚障害者向け音声版ハザードマップサービスを都内全域で試験的に導入いたします。
視覚障害のある方が、このアプリをスマートフォン等にインストールし、音声読み上げ機能を活用することで、気象情報、水害リスク、避難場所、経路案内といった避難行動に必要な情報を聞くことができるようになります。
今後、区市町村と連携して導入効果を検証した上で、視覚障害のある方への効果的な災害情報の提供につなげてまいります。
○高倉委員 次に、都立学校におけるマンホールトイレの整備についてお伺いします。
先日、素案が示されました東京トイレ防災マスタープランでは、都や区市町村において、マンホールトイレの確保に取り組むとしております。
このマンホールトイレについては、区市町村では、避難所となる小中学校への整備を進めておりますが、区市町村との協定により、避難場所として指定されている都立高校など二百十九校の都立学校についても整備を進めていくべきと考えます。
都立学校におけるマンホールトイレの整備状況と、整備の促進に向けた今後の取組について、教育長の見解を求めます。
○坂本教育長 災害時に避難所となる都立学校の受入れ体制を充実する上で、校内の敷地にマンホールトイレを整備する取組を促進することは重要でございます。
これまで都教育委員会は、新築や改築等の計画のある都立学校の工事に合わせ、マンホールトイレの整備を進めてまいりました。この取組に当たりましては、避難場所となる体育館やトイレに水を供給するプールの位置を踏まえ、排水管等を設ける工夫を行い、現在までに三十五校で導入をしております。
今後、当面の新築や改築等の予定のない都立学校についても、マンホールトイレの整備を進めてまいります。
このため、来年度、そうした対応に適した箇所等を調査する取組に着手をいたします。
○高倉委員 次に、消防団についてお伺いします。
消防団員の方々は、地域の安全・安心のために昼夜を惜しまず献身的に活動をされています。誠に尊いことでありまして、心より敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと思います。
消防団の方々に力を発揮していただくためには、装備をはじめ、活動の安全確保をさらに進めていくことが必要であります。
その一つとして、私は、防火服を国際基準に準拠したものに更新していくよう、東京消防庁に求めてまいりました。多摩地域の消防団では、こうした防火服への更新が行われているところもあるとお聞きをしておりますけれども、特別区の方はこれからであります。
それを踏まえ、今回の令和七年度予算案に防火服の更新に必要な経費が盛り込まれたことを高く評価いたしたいと思います。消防団の団員数を考えれば、単年度では完了しないと思われますけれども、今後、防火服の更新をどう進めていくのか、消防総監の見解を求めます。
○吉田消防総監 安全な消防活動を行うためには、防火服の性能をさらに向上させることは重要でございます。このことから、防火服の動きやすさや暑さ対策に係る検証を行うとともに、デザインについても魅力あるものとするため、全団員に対しアンケート調査を実施いたしました。
これらを踏まえ、新しい防火服はデザインを刷新するとともに、ISO規格に準拠し、耐熱性に優れた生地の採用や露出部分の無いズボン型へと形状を変更することで、安全性を高めました。
この新しい防火服は、来年度より消火活動に従事する消火班から優先的に配置し、五年計画で全団員に整備いたします。
○高倉委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、交通対策について、西武新宿線の連続立体交差事業についてお伺いしたいと思います。
私の地元中野区を走る西武新宿線において、現在、新宿の中井駅と中野区の野方駅の間で鉄道の地下化工事が進んでおりまして、住民からも早期の完成が待ち望まれております。
この区間のうち、野方駅のすぐ東側にあります沼袋四号踏切は、電車が地下から地上に上がってくる途中の場所にありまして、踏切とともに交差道路もなくなってしまいます。そして、その代替施設となる立体横断施設が整備をされるということになっております。
この場所は、毎日相当数の自転車も通行する、まさに大事な場所であります。したがいまして、この立体横断施設整備に当たりましては、自転車を無理なく押して渡れるよう配慮した構造が強く望まれているわけでありまして、現在の検討状況について答弁を求めます。
○花井建設局長 西武新宿線中井駅から野方駅間の連続立体交差事業は、中野通りなど七か所の踏切を除却することで交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
沼袋第四号踏切につきましては、掘り割り区間に位置することから廃止することといたしまして、代替施設として、歩行者と自転車が利用できる横断歩道橋の設置を検討してまいりました。
横断歩道橋は、中野区の意向を踏まえまして斜路付階段とすることとし、現在、構造や設置箇所について、区や鉄道事業者と協議を行っているところでございます。
引き続き、区や鉄道事業者と連携し、検討を深度化してまいります。
○高倉委員 今取り上げました区間の西側、野方駅よりも西側の区間については、早期事業化が望まれているわけでありますけれども、この野方駅のすぐ西側の野方一号踏切という踏切があります。駅に、まさにもうすぐそばにくっついてるような感じの位置にありますけれども、この近くを環状七号線が交差をして走っているため、そうした物理的な条件のために、この連続立体交差化の事業の中で、踏切が除去されないという懸念が、かねてから課題になっておりました。
せっかく開かずの踏切対策をなくしていくための連続立体交差事業であるのに、ここだけが残ってしまうというようなことがあってはならないと私は思っております。
このことについて、私は、一昨年の第三回定例会一般質問で取り上げまして、踏切除去を進めるよう求めましたが、都からは、整理すべき課題解決に向けて、中野区と意見交換を行っていると答弁がありました。
現在、中野区において踏切除去のための検討が行われているようでありますが、都としても区の検討に積極的に関わる必要があると思います。踏切除去に向けた都と区の取組状況について、答弁を求めます。
○花井建設局長 西武新宿線の野方第一号踏切についてでございますが、都では、この踏切を除却するには、既設の道路立体箇所の再整備が必要となりますことから、残存することで検討しております。
一方、中野区におきましては、まちづくりを考える上で重要な課題といたしまして、本踏切の除却が必要と考えております。
そのため、都は、鉄道事業者に区が行う調査への協力を依頼いたしまして、昨年十月、区と鉄道事業者が協定を締結し、具体的な検討を開始いたしました。また、事業範囲や費用負担に関する課題等につきまして、区と意見交換を行っているところでございます。
引き続き、地元区や鉄道事業者と連携しながら、鉄道立体化に向けて着実に取り組んでまいります。
○高倉委員 西武新宿線の質問の最後になりますけれども、東村山駅付近の取組についてお伺いします。
東村山駅付近では、高架化の工事が順調に進み、地元からも期待も高まっていると聞いております。
そこで、東村山駅付近の連続立体交差事業の今後の取組について、答弁を求めたいと思います。
○花井建設局長 西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業は、府中街道など五か所の踏切を除却する事業でございます。
現在、高架橋におきまして線路の敷設を行いますとともに、高架駅の昇降施設などの工事を実施しております。本年六月には、新宿線の下り線を地上から高架橋へ切り替えます。これによりまして、府中街道などの四か所の踏切において、遮断時間が短くなります。
また、切替え前には、地元の皆様などを対象に施設見学会の機会を設ける予定でございます。
引き続き、地元市や鉄道事業者と連携し、本事業を積極的に推進してまいります。
○高倉委員 昨日の本委員会での我が党のまつば多美子政調会長の質問でも、駅のホームドアの質問をさせていただいたところであります。
私の住む中野区の中心にあります中野駅は、一日二十万人以上の利用者がありまして、八番線までホームがあるターミナル駅でございます。利用者から、ホームドアの早期整備を求める声がこれまでも数数多く寄せられております。
現在、中野駅では新しいビルを建設中でありまして、ホームが非常に狭くなっている部分もあり、大変危険な状況になっております。
中野駅のホームドア早期整備に向けた取組について、都の見解を求めます。
○谷崎東京都技監 中野駅には、東京メトロとJR東日本が乗り入れております。
東京メトロが管理するホームにつきましては、来年度末までにホームドア整備が完了する予定でございます。JR東日本が管理するホームにつきましては、本年三月にJR東日本が公表いたしました計画におきまして、二〇二八年度までに整備する予定としております。
新たに創設する事業者へ直接補助を行う制度の活用や、国と連携した技術的支援により、ホームドア整備のさらなる加速を実現してまいります。
○高倉委員 このホームドアの整備は大変重要でありまして、私ども都議会公明党も、チャレンジエイトの中で全力で推進してまいりましたので、さらにしっかりと取組をお願いしたいと思います。
次に、環境施策についてお伺いします。
区市町村が中小の廃棄物処理事業者に委託する一般廃棄物収集運搬処理事業の委託料の適正化、その契約方法に関連して質問いたします。
本来、本事業は、区市町村の極めて重い責任の下で行われる事業であります。この委託料、契約方法が適切に行われていないため、昨年九月、環境省から適正化を求める局長通知が都道府県知事に対して発出され、これを受けて小池知事から、都内区市町村長宛ての通知が昨年の十月に発出をされております。
最高裁判決でも、一般廃棄物処理業につきまして、自由競争に委ねられるべき性格のものではないと明確に示されていますが、いまだに価格競争のみに委ねる契約を行っている市が八市も存在しておりました。環境省通知の趣旨に反し、事業者からヒアリングを行わないで委託料設定をしている区市もございます。
これらを踏まえ、都議会公明党は、都が前面に立って、都内自治体における契約実態の把握や契約手法の適正化に取り組むよう強く求めてまいりましたが、現在の状況について答弁を求めます。
○須藤環境局長 都民生活を支える中小の一般廃棄物収集事業者の安定した事業運営に向けて、これまで都は、業界の特性を踏まえた契約実態の把握や契約手続の確保に努めてまいりました。
具体的には、市区町村を対象に調査を実施し、一部自治体で事業者からの意見聴取や原価計算が不十分であることや、コスト高騰時における対応の遅れなどが生じている事例を確認いたしました。
また、業界団体へのヒアリングを通じ、価格交渉の困難性や数年間に及ぶ価格の据置きなど、事業者の実情を把握いたしました。
その上で、自治体に対し、最高裁判決を踏まえた対応を行うよう繰り返し求めてきた結果、改善が必要な八つの自治体全てが、契約改定時に価格競争のみによらない方法で行う方針を示すなど、進展が図られたところでございます。
○高倉委員 これまで指名競争入札で行ってきた全ての自治体が、価格競争のみによらない方法で契約を行う方針を示したことは適切な対応と思いますが、自治体から業務を受託する中小事業者は、契約時において大変弱い立場にありまして、十分な価格交渉ができないまま、契約に応じざるを得ない状況にあります。
業界団体は、昨年十二月に行われました都への要望の中で、技術的支援や財政支援などを求めておりまして、都は区市町村任せにするのではなく、広域自治体として積極的な役割を果たすべきであります。
一般廃棄物処理事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。このため、区市町村の契約の実態や事業者の実情を踏まえ、契約の適正化等に向けた具体的な取組を行うべきと考えますが、見解を求めます。
○須藤環境局長 物価上昇や人手不足、猛暑日の増加など急激な環境変化に対しては、市区町村による適切な対応が必要でございますが、その緊急性を踏まえ、都は、集中的な支援を実施いたします。
まず、都は、業務の確実な履行の基盤となる契約の適正化に向けたマニュアルを作成し、業務改善を求めるほか、専門相談窓口を設置し、自治体や事業者からの相談にきめ細かく対応いたします。加えて、働き方改革などに向け、適正かつ合理的な取組を行う自治体に対し、経費の二分の一、三千万円を上限とする新たな支援を実施いたします。
これらにより、市区町村の契約の適正化や労働環境の改善に向けた積極的な対応を促してまいります。
○高倉委員 次いで、生物多様性の観点から、野生動物のための森づくりについて質問をさせていただきます。
東京の山間部に生息する多様な野生動物を取り巻く環境を維持向上させるためには、動物にとって食べ物が豊富にある広葉樹の確保、再生を図っていく必要があります。
また、熊などの野生動物との偶発的な接触による人身被害を防ぐための森づくりも必要であります。こうした課題に対する都の取組について、見解を求めます。
○須藤環境局長 都は、林業経営が困難な荒廃した杉やヒノキの人工林を間伐し、針葉樹と広葉樹の交ざり合った針広混交林化を目指す森林再生事業に取り組んでおります。
九千ヘクタールの私有林を対象に、これまでに約九割の八千百ヘクタールで間伐を実施しており、その結果、実の成る広葉樹が育つなど、森林は再生されつつあります。
来年度は、事業対象を市町村が所有する森林に広げ、都が間伐費用の半分を負担して整備を促進することで、野生動物の生息環境のさらなる改善につなげてまいります。
また、新たに民家などと接する林縁部の皆伐を行い、緩衝帯を創出することで、熊などとの予期せぬ遭遇を防いでまいります。
○高倉委員 都は、奥多摩町など六市町村と連携をして、森と人里との間の雑木林を切ってバッファーゾーン、緩衝地帯を設けることや電気柵の設置など、熊が人里に近づかないようにする対策を進めています。
熊の被害を防ぐには、このほか、食べ物の匂いなど熊を引き寄せてしまう誘引物の除去をはじめ、住民自身が取れる対策もありまして、正しい知識や情報を発信していくことも効果的であります。
そのために、専門家やノウハウを有する民間団体との意見交換を行いながら、人と熊との共存に向けた対策を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
○須藤環境局長 地域に熊を引き寄せない環境づくりに向けて、都は、チラシやポスターを作成し、関係市町村の施設や鉄道駅、ビジターセンターなどで、都民などが取れる対策の周知を図っております。
具体的には、果樹などの誘引物を撤去すること、自宅やごみ集積場の戸締まりを徹底することなど、一人一人の心がけが人身被害の防止につながることを呼びかけております。
熊対策については、自然環境保全審議会の専門家や市町村などの関係者と議論を重ね、随時、取組に反映させております。現在進めている鳥獣の保護管理に関する計画改定のプロセスにおいても、ノウハウを有する様々な関係者と意見交換を行い、対策の充実につなげてまいります。
○高倉委員 ところで、熊にばったりと遭遇をしてしまった場合にどうしたらいいか、大変難しいことであろうと思いますが、これを追い払う有効なツールとして、熊スプレーというものがあります。この活用をさらに進めるべきと思いますけれども、見解をお伺いします。
○須藤環境局長 熊スプレーにつきましては、都が市町村と共に進めている防除対策事業において、市町村がスプレーや熊鈴などの対策備品を購入できるメニューを用意し、地域のニーズに応じて活用されております。
来年度は、これに加え、予期せぬ地域での出没などに対応するため、都として一定数を購入し、備蓄をしてまいります。また、登山者向けのチラシや、来年度から新たに実施する地域住民などを対象とした熊対策の出前講座等でスプレーの有効性や使用方法を解説するなど、普及啓発に取り組んでまいります。
○高倉委員 多摩地域の森林には、都行造林というのがあります。漢字で書きますと、東京都の都、それから行動するという字ですね、都行造林というのがあります。これはどういう仕組みなのか、説明をいただきたいと思います。
○田中産業労働局長 都行造林とは、条例に基づいて、水源の涵養や地域の林業振興などを目的に、都が土地所有者に代わって行う森林整備の制度でございます。
具体的には、土地所有者と都が契約を結び、将来樹木を伐採した際に得られる収益を分け合う条件で、一定期間、都が杉、ヒノキの植林や保育作業を行うものでございます。
現在、多摩地域に約八百ヘクタール、島しょ地域に約百ヘクタールの造林地があり、各造林地の生育状況に応じた森林整備を進めております。
○高倉委員 今、多摩地域だけでも都行造林が八百ヘクタールあるというと答弁がありました。
この都行造林の場所の中には、山の奥の方に所在するものがあるわけであります。そうした都行造林は、そもそも伐採や搬出が大変困難であります。都行造林の契約が満期になっても、単にその契約を継続するしかないというような状況のところもあるわけであります。
大切な水源地などとして、また、野生動物の食べ物が豊富にある豊かな自然を積極的に保全、再生しようという、いわゆるトラスト活動に取り組む土地所有者の方々もいらっしゃるわけであります。
しかしながら、この都行造林地で植林した木々は、土地所有者と都の共有財産となるために、なかなか手をつけにくいといったような課題があると聞いております。
山の奥にあり、伐採、搬出が難しい都行造林に、今後都はどう対応していくのか、見解を求めます。
○田中産業労働局長 都は、搬出が難しい山奥での伐採を進めるため、間伐材をヘリコプターで搬出する試みを始めておりまして、安全性や効果的な搬出について検証の上、普及を図ることで、多摩産材の供給量の拡大につなげてまいります。
都行造林につきましては、こうした取組も含め、土地所有者の意向を聞きながら、契約の更新時期に合わせて適切に対応してまいります。
○高倉委員 今、簡単にご答弁がありましたけれども、場所、山の奥の方というのは非常に傾斜が厳しいところもあるんですね。いわゆる登山に慣れているような人でないと行けないような場所もあります。そこに生えている木が、所有者と都の共有財産なんですね。
したがって、これを整備をする、例えば広葉樹を何とか増やしていこうといった場合に、なかなかその財産をどう処分していくのか、こういう問題が実はあるわけでありまして、今後、ぜひしっかり現状を見据えながら対応をお願いしたいと思います。
次いで、福祉、医療施策について伺います。
都立病院についてですが、都立病院機構は先月、多摩北部医療センター整備基本計画案を公表しました。
センター整備について、都議会公明党は、北多摩北部医療圏に出産できる病院が少ないことから、分娩を取り扱う産科を整備することや、感染症への備えの強化などを求めてまいりました。
新病院の整備に当たっては、地域に必要な医療機能を強化していくべきと考えますが、見解を求めます。
○雲田保健医療局長 新病院では、地域の医療ニーズに対応するため、新たに分娩を取り扱う産婦人科病棟を整備いたします。病棟には、母体の負担軽減やプライバシー確保のため、陣痛から産後の回復までを同じ部屋で過ごせる個室を設けるとともに、帝王切開や内科合併症のあるミドルリスク妊産婦などへの対応に必要な処置室等を設置いたします。
また、災害や感染症などへの対応に必要な医療機能を強化するため、屋上ヘリポートや、救急外来に感染症の疑いのある患者専用の入り口や診察室を整備いたします。
こうした機能強化によりまして、平時、有事ともに安全・安心で質の高い医療を提供できる病院を整備し、より一層地域医療に貢献してまいります。
○高倉委員 次いで、ケアリーバー支援についてお伺いします。
令和四年度からは、ケアリーバーのためにアパートなどを借り上げる児童養護施設等を都独自に支援しておりまして、令和五年度には、この居住費支援の対象期間を一年間から最長四年間に延長しております。
しかしながら、自立に向けて社会に出る際に困難を抱えるケアリーバーは少なくありません。今後、都は、ケアリーバー当事者や施設運営者など現場の声を聞き、実態に即した支援策をこれまで以上に講じていくべきであります。
また、都議会公明党がこれまで求めてきた施設退所後も施設の近くで生活できる場の整備も進めるべきであります。併せて見解を求めます。
○山口福祉局長 都は、都内の家賃の水準や当事者の状況などを踏まえまして、来年度から、居住費支援の単価を月額五万三千七百円から七万二千円に増額するほか、児童養護施設などがケアリーバーとの交流を継続するために必要な経費を新たに支援いたします。
昨年四月、改正児童福祉法が施行され、施設などにおいて退所者に共同生活の場などを提供し、日常生活の援助や就業支援などを行うことが国制度の対象となったことから、今後、こうした取組の実施を施設などに対して働きかけてまいります。
○高倉委員 最後に、動物施策について、一点だけお伺いしたいと思います。
私が提案をしてまいりました獣医系大学との協働事業といったものが、この令和七年度の予算案に盛り込まれましたけれども、その内容について答弁を求めます。
○雲田保健医療局長 動物愛護管理施策の推進に当たりまして、専門的な知見を持つ獣医系大学との協働は重要であり、都は、大学教員から助言を得ながら、動物愛護相談センターに保護された動物の飼養管理を行っております。
こうした取組をさらに進めるため、都は来年度、都内の大学と協働事業に関する協定を締結し、大学教員がセンターの職員に対して、動物の治療やトレーニングに関する専門的な研修を実施するほか、センターの職員が大学教員にオンラインで相談できる体制を整えてまいります。
また、大学祭を活用して動物愛護に関する普及啓発を実施するなど、大学との協働を進めてまいります。
○中山副委員長 高倉良生委員の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十九分休憩
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