予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○川松委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで、第百五十九号議案及び第百六十号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 林あきひろ理事の発言を許します。

○林委員 冒頭、一言申し上げます。
 昨日の日本共産党の白石委員が、裏金議員当事者の松田委員からと発言をされました。本件については、既に司法機関の判断がされているにもかかわらず、事実無根かつ虚偽の発言であります。言語道断、断固抗議いたします。
 さて、今、国際紛争や気候変動、貿易政策等も影響し、世界経済の不確実性が大幅に高まっています。各国の政治情勢の変化もあり、経済政策が大きく転換されるなど今後世界的な影響が広がることが予見されております。
 こうした中にあって、首都東京は持続的な経済発展、成長に向けた取組を強化し、前に進めることが非常に重要ではないかと考えております。それがひいては、東京を世界一の都市へと押し上げていくものと考えます。
 経済が活性化すれば、企業の収益は拡大し賃金が向上する。そして、雇用の増加など好循環が生み出されます。それが後に子育てや福祉などへと還元されることで、人々の生活に豊かさをもたらしてまいります。
 一方で、資源は無限ではございません。地球規模で気候危機が深刻化する現代、本日の新聞にも、サンゴ礁が山形県沖で発見されたというような、そんなニュースもございました。脱炭素という観点が企業価値の向上、経済面で発展していくために不可欠な要素となっています。また、高度経済成長期とは異なり、ただ生産し、消費するというスタイルの成長では、五十年先、百年先の未来を考えたときに、様々な点において課題が生じ、いずれは限界を迎えてまいります。
 そこで、先般、新たな長期戦略であります二〇五〇東京戦略(案)が公表されておりますけれども、地球環境を守りながら、いかに経済発展につなげていかれるのか、知事のご見解を伺いたいと思います。

○小池知事 気候危機への対応は、もはや一刻の猶予もない、このような状況でございます。成長と成熟が両立した持続可能な社会を実現する、そのためには、今こそ東京が世界のモデルとなる脱炭素都市へと飛躍していかなければなりません。
 予想を超える速度で進む時代の変化であります。それをむしろチャンスに変える、そして新たな技術をてこにして、東京の成長を確固たるものとして日本を牽引していくことが重要でございます。
 そのため、新たに策定いたしました二〇五〇東京戦略におきまして、脱炭素社会を実現して、世界のネットゼロ達成に大きく貢献というビジョンを掲げております。この戦略の下で浮体式の洋上風力など再エネ実装の加速、GXスタートアップの育成や投資の促進、サプライチェーン全体でのサーキュラーエコノミーの推進によります産業競争力の強化など重層的に取り組んでまいります。
 脱炭素分野におけます東京発の先駆的な取組を通じまして、持続的な経済発展につなげてまいります。

○林委員 ありがとうございました。先駆的な取組を行っていただくということ、東京からスタートをしていくということが非常に大事だと思っておりますので、ぜひとも、今後ともご期待申し上げたいと思いますけれども、民主主義と世界は、民主主義と権威主義というものが、今、世界を二分しているといわれている中で、米国のトランプ大統領の再登場によって混沌とした世界情勢というものは、さらに混迷を深める様相を呈しておりますけれども、我が国の行く末を非常に案じております。
 ただ、首都東京でできることは、東京から持続可能な経済発展に向けた歩みを加速させること、そしてその経済を成長路線に乗せること、そのことが国力を強くすることにつながると思っております。そして都としては、その成長の果実というものを都民福祉のさらなる充実に振り向けていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 都債について、TOKYOレジリエンスボンド、SDGs債について伺います。
 いわゆる地方交付税制度における不交付団体でございます東京都は、ほかの自治体以上に自立的な財政運営が求められており、独自の財源確保策、とりわけ都債による資金調達について、これまで様々な工夫を重ねて、例えばグリーンボンドやソーシャルボンドなどのSDGs債を全国の自治体に先駆けて発行してまいりました。以前の予特でも伺わせていただきましたけれども、サステーナブルファイナンス市場の活性化にも貢献しているわけでございます。
 一方世界に目を向けますと、本年一月に先ほど申し上げましたトランプ氏がアメリカの大統領に再び就任して以降、米国系の機関投資家のみならず、ここのところ、我が国の金融機関もそうなんですけれども、相次ぎ国際的な脱炭素の同盟から脱退するなど、サステーナブルファイナンスへの逆風が吹き始めていることはご承知のとおりでございます。
 しかしながら、こういった状況下にあっても、金融面から環境政策の推進などを後押ししていくことが、国際金融都市東京のプレゼンス確立に向けた重要な礎となっていくのではないでしょうか。
 都は来年度、資金の充当先を災害対策など、都市の強靱化に特化したTOKYOレジリエンスボンドを海外市場で新たに発行するとのことですが、TOKYOレジリエンスボンドの発行の意義と、今後のSDGs債の発行方針について伺います。

○山下財務局長 我が国はもとより、世界におきましても温暖化によって激甚化する風水害の対策は急務でございまして、都が率先して、これらの気候変動適応策への投資を促進することは重要でございます。
 こうした考えの下、来年度、自治体の資金調達の新たなモデルとなりますTOKYOレジリエンスボンドを海外市場で発行いたします。この取組を通じまして、風水害対策等に多様な投資家から資金を呼び込むとともに、海外に向けて都の強靱化対策を発信してまいります。
 来年度は、レジリエンスボンドを含め、SDGs債全体で一千三百億円程度の発行を予定しておりまして、今後もサステーナブルファイナンスの取組を一層強化しながら、金融分野から持続可能な社会の実現を後押ししてまいります。

○林委員 金融分野から持続可能な社会の実現を後押ししていくということ、非常に重要だと思っております。
 昨年来、世界各所での政治とか経済の動きなどによって、日々金利が動いて、投資家の動向というのが目まぐるしく変わっております。変動が激しく先の読みにくい金融市場の現状ではございますけれども、だからこそ我が国の自治体の中において、SDGs債のトップランナーでございます都においては、国内外の投資家にこのSDGs債の投資意義というものをより丁寧に説明していただいて、金融分野から環境対策や都市の強靱化等、都として重要な政策を後押ししていただくことで、持続可能な社会づくりというものを推進していただくことを要望させていただきます。
 洋上風力について伺わせていただきます。
 先般、都は二〇五〇東京戦略(案)を公表し、二〇三五年までに再エネ電力利用の割合を六〇%以上とする目標案を提示いたしました。
 戦略案では、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化に向け、東京のポテンシャルを最大限に生かして、再エネ実装をさらに加速していくこととして、伊豆諸島海域に浮体式洋上風力のギガワット級ファームを導入することとして、エネルギーの安定供給やレジリエンス向上を図ることとしております。伊豆諸島において洋上風力の導入を進めていくことは、我が党として繰り返し述べてきたところであり、その導入に当たっては、地域との共生というものが不可欠であると考えております。
 都は、地元の理解を得るべく、昨年九月、各町村に検討会を設置し、地元の自治体や漁業に携わる方々との検討を開始したと伺っております。検討会では様々なお話があったということです。地元の方々からの意見というものは傾聴に値するものだったと思いますけれども、これらの意見に対して、都は来年度、どのような取組を行っていくのか伺います。

○須藤環境局長 来年度は、伊豆諸島近海での漁業操業の実態調査を行うとともに、鳥類、コウモリ類、海生哺乳類の生息状況などの調査を実施することで、漁業や生態系への影響が最小限となるよう検討を進めてまいります。
 あわせて、洋上風力について地元の方々へ分かりやすく情報提供を行うための広報物及び映像などを制作し、住民説明会で活用するとともに、将来を担う地元の子供たち向けの環境学習イベントを開催いたします。こうした取組により、地元の方々の理解促進を図ってまいります。

○林委員 地元の方々の意見に対して丁寧に対応していくということが、やはり理解を深めていくこと、理解醸成につながると思いますので、そこら辺はしっかりと丁寧に進めていただきたいと思います。
 また、さきの第四回定例会での我が党の質問に対しまして、新たな雇用の創出や水産業振興など、地域との共存共栄につながる将来像というものを地元と共につくり上げていく旨の答弁がございましたけれども、具体的にどのような検討を行っていくのか伺いたいと思います。

○須藤環境局長 先行地域の事例では、漁獲量の増加を目指した人工魚礁や藻場の造成を実施するとともに、洋上風力に関連する雇用の創出により移住定住の促進などを進めております。先行事例を参考に地元の方々と共に、水産業や観光など様々な視点から各町村における現状や課題を抽出し、洋上風力と共存する島の将来像を描きながら漁業振興策や地域振興策を検討してまいります。
 こうした取組を通じて、地元との連携をさらに深め、洋上風力の導入を目指してまいります。

○林委員 長引く物価高騰とか円安の影響によって、この洋上風力を取り巻く状況というもの、環境というものは厳しくなってきているわけですけれども、海に囲まれた日本においては、やはりこの再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札とされます洋上風力の導入を図っていくことは、産業の活性化や地域への経済波及効果という観点からも非常に重要だと思っております。
 二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けて、島しょ地域のみならず、東京圏の電力も賄う、この一大プロジェクトというものを確実なものとすることで、島しょ地域の振興や防災力向上など地元の期待にもしっかりと応えられるよう、国とも連携をしていただいて、スピード感を持って導入に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、フロン対策の推進について伺います。
 温室効果が非常に高いフロンの排出削減も大きな課題であります。都内の排出量は近年鈍化傾向にあるものの、温室効果ガス総排出量の一割に及んでいます。
 先般、都は都内のフロン排出量を二〇三五年までに二〇一四年度比七〇%削減する新たな目標を示されておりますけれども、新たな羅針盤として目標を掲げたことは意義があると思いますけれども、肝腎なのは抜本的な対策強化により、この目標をいかに実現するかだと考えております。
 そのためには、最新の技術というものを活用して、できる限り市中のフロンを減らしていく必要があります。ノンフロン機器のさらなる普及拡大とともに、現在ノンフロン製品が開発途上の大型空調機器などについても、新たな製品の開発というものや既存の機器を温室効果の低い冷媒に入れ替えて使用するというレトロフィットの普及を促していくべきではないかと考えております。
 新年度予算には、こうした事業費として合計で約十二億五千万円を計上されています。事業実施に当たっては、冷媒をフロンに頼らない技術の普及、開発を中長期的な視点から戦略的に進めていくことが大切と考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

○須藤環境局長 都は、ノンフロン機器の導入を促進するため、令和元年度から飲食店の冷蔵ショーケースの更新などを支援しており、これまでに八百七十三台の買換えなどを後押ししてまいりました。来年度は、中小事業者等でも設備更新に取り組みやすい環境を整えるため、既存設備などの撤去費用を新たに補助対象に追加し、最大三分の二を支援することで、さらなる普及拡大を図ります。また、大型空調機器のノンフロン化や既存機器の冷媒のみを入れ替えるレトロフィットなどの新技術について、専門家の意見も踏まえ、進展状況等を整理し、早期の実装事業につなげてまいります。
 こうした取組を新技術の動向を踏まえながら、多元的に展開し、機器のノンフロン化を強力に推進してまいります。

○林委員 ノンフロン化を強力に推進していくこと、非常に重要だと思っております。オゾン層の破壊物質であり、温室効果ガスでもあるフロン対策というものは、オゾン層の保護、そして地球温暖化の防止の観点からも非常に重要です。
 フロンの増加を抑えるには、ノンフロン機器への転換というものが根本的な解決策にはなりますけれども、現段階では、ノンフロン冷媒を使用した機器というものは限られております。先ほど申し上げましたレトロフィットへの転換、そしてコスト高といわれておりますけれども、ノンフロン機器の導入、普及を進めていくために、事業者へのノンフロン機器転換支援というものを継続的に行っていくこと、そして新技術の導入に向けた検証、さらには経済的な支援も含めて、実装に向けた取組というものを強力に、そして早急に進めていくことを求めておきます。
 次に、一般廃棄物処理業務に係る市町村の契約適正化に向けた取組について伺います。
 近年、物価高騰や人件費の上昇、人手不足など中小企業にとって厳しい状況が続いております。一般廃棄物である家庭ごみの処理事業というものは、衛生的な生活環境を確保するため、市区町村がその責任を担うものですけれども、収集運搬の多くは民間事業者に業務を委託する形で実施されております。
 こうした事業は、真夏の炎天下の中でも屋外の厳しい作業が求められており、パッカー車等の代替ができない特殊車両が必要な業務でもございます。家庭からのごみの取りこぼしや不適正な処理というものは許されません。
 市区町村がごみ収集業務を発注する際には、事業者が収集業務を確実に履行できるよう、熱中症対策などの働き方改革や担い手不足に対応する業務効率化などへの適切な対応を促していく必要があります。
 国は昨年の九月、一般廃棄物処理業務における労務費等の適切な価格転嫁や働き方改革に向けて対応すべき重要事項を通知いたしました。これらを踏まえ、都はどのような取組を行ってきたのか、また、市町村の対応状況と都の受け止め方について伺います。

○須藤環境局長 都は、昨今の猛暑や働き方改革への対応が急務の中、昨年六月以降、各自治体を直接訪問し、一般廃棄物収集運搬事業者の取組促進に向けた契約の改善を促してまいりました。また、昨年九月の国通知も踏まえ、市長会などを通じて各自治体の取組状況に係る実態調査を行った上で、予算の算定方法や契約等の早期の見直しを要請しております。
 調査の中では、厳格な原価計算に基づく必要経費の算定が行われておらず、深刻な担い手不足を踏まえた業務効率化などの経費が十分計上されていない自治体がございました。加えて、労働環境の改善や不測の事態への対応などに必要な経費の計上が不十分な自治体もあり、適切な契約への見直しが必要と認識しております。

○林委員 事業者を取り巻く環境というものは大きく変化しております。全国的に見ても、ごみ収集に係る作業員の担い手不足というものは深刻化しており、事業者の廃業等によって事業に支障を来す自治体も出てきているというふうに伺っております。
 先ほどの答弁では、一部の自治体では委託料に係る原価の計算が行われていないということです。昨今の急激な物価上昇や賃上げが進む中においても、事業者は働き方改革など新たな経営課題に対応する投資というものを早急に行っていく必要がありますが、その源泉となる委託料を各自治体が適切に算定した上で、契約の見直しにつなげていくことは重要であり、喫緊の課題であると考えます。
 そこで、都は一般廃棄物の収集運搬に係る各自治体の契約というものが、国の通知に対応したものとなるよう広域自治体としての働きかけを強めるべきと考えますが、今後の取組について伺います。

○須藤環境局長 都は、一般廃棄物の収集運搬事業において業務の確実な履行が確保されるよう、市区町村への技術的助言を強化するほか、働き方改革に向けた取組を総合的に支援いたします。
 具体的には、今年度開始した自治体との連携による熱中症対策支援の活用拡大を図り、事業者の対策を促します。また、来年度からは、市区町村などが適正な契約を確保できるよう、専門人材が助言を行う取組を開始いたします。加えて、収集運搬の効率化のほか、猛暑や不測の事態に備えた対策など働き方改革に資する取組について、各自治体の早急な対応を促すため、三年間の支援を行います。
 これらにより、事業者の人材確保や労働環境向上に向けた各自治体の契約の適正化につなげてまいります。

○林委員 一般廃棄物の適正な処理に向けて、その事業基盤というものは着実に整えるべきだというふうに思います。
 都は、事業者が適正な契約を確保できますよう、専門人材が助言を行うといった市区町村の取組というものをしっかりと後押しするということで、循環型社会形成の担い手となりますエッセンシャルワーカーの皆さん、一般廃棄物処理業の持続的な事業運営をしっかりと支えていただくように要望させていただきます。
 エコ農産物の販売拡大について伺います。
 近年のSDGsやエシカル消費への都民の意識の高まりから、環境に配慮した農業の取組が求められております。
 このような中、都は、農薬等を削減して生産する農産物を認証する東京都エコ農産物認証制度を推進しておりますけれども、認証を取得した農業者からは、栽培に労力がかかる割には売上げに手応えが感じられず、認証農産物の栽培を続けていくことにメリットを感じにくいとの声も伺います。
 そこで都は、より多くの都民にエコ農産物の価値を理解していただき、農家の収益にもつながるようにするべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○田中産業労働局長 環境に優しい農業の推進に向けまして、農薬などを減らして生産に取り組む農業者を支援することは重要であり、都は来年度、エコ農産物の普及を図る取組を強化いたします。
 具体的には、PR効果が高い都心部に新たな情報発信を行う販売拠点を常設し、新鮮なエコ農産物を提供するとともに、意義や価値を消費者に伝えるイベントを実施いたします。また、年間を通じてエコ農産物を供給できる農業者を増やすため、新たに栽培する野菜等の種や苗のほか、農薬削減に必要な資材の購入経費を補助率二分の一、規模約百五十件で助成する取組を開始いたします。

○林委員 都心部にPR効果の高い販売拠点を常設してイベントを行っていただくと。非常にいいことだと思いますけれども、エコ認証に取り組む農業者への支援が始まることは、環境に負荷をかけない農業の普及を後押しすると同時に、安全・安心な農産物というものが消費者に提供できることとなります。
 しかしながら、こうした取組を進める農業者においては、先ほど申し上げましたけれども、通常の作業に一手間、二手間かける場面も多いというふうに伺っています。都では、こうした認証農家が設備導入する場合への助成制度を開始して、生産拡大を図る農家の後押しを始めるとのことでございますけれども、多くの農業者の方がこの支援を利用できるように周知をしていただき、進めていただきたいと思います。
 次に、島しょ地域における再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けて、島しょ地域の特性を生かした再エネの導入拡大を図ることは重要です。しかしながら、島しょ地域では、輸送費などの再エネの導入コストが本土と比べて割高なことに加えて、再エネ固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度は、全国一律の買取り価格となっていることなどから、プロジェクトを実施する事業者のコスト回収というものが難しく、参入が進んでいない現状がございます。
 島しょ地域における再エネ導入は、島のエネルギー自給率や防災力向上の観点からも重要であり、こうした民間事業者にとっての参入障壁というものを緩和する新たな仕組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 再生エネルギーの導入拡大に向けまして、島しょ地域のポテンシャルを生かした取組を推進することは重要でございます。
 都は、来年度から新たに、輸送費など内地に比べて再エネ導入コストが高い島しょ地域特有の負担を軽減するため、発電量に応じた事業者への支援を開始いたします。
 具体的には、いわゆるFIT価格で手当てされない島しょ地域特有のコスト相当額として、全電源のFIT価格の平均値の半分を運転開始後五年間にわたり支援いたします。これに基づきまして、来年度から運転する設備に対しましては、一キロワットアワー当たり十二円を補助いたします。
 こうした取組により、民間事業者の参入を促し、島しょ地域の再エネ導入拡大を図ってまいります。

○林委員 この島しょ地域の再エネ導入拡大に向けては、都が来年度から島しょ地域特有のコスト負担を軽減する事業者への支援という新たな取組を開始するということですが、このことは島のエネルギー自給率や防災力の向上の観点からも非常に重要です。
 こうした民間事業者にとっての参入障壁というものを緩和する新たな仕組みはもとより、引き続き島しょ地域の実情を踏まえた支援、取組をお願いしたいと思います。
 商店街における他都市との連携について伺います。
 阪神・淡路大震災から三十年がたち、東日本大震災からは今月で十四年が経過いたしました。その後も熊本地震や、昨年発生しました能登半島地震は記憶に新しく、復旧、復興がいまだ道半ばであります。
 私の地元の商店街で話を伺いますと、被災地の復興への協力や区市町村の姉妹都市等との連携したイベントを実施したい、実際しているんですけれども、そういう声がある一方、そうした取組には当然ながら予算がかかるため、なかなか商店街として取り組むのが難しいといった声も伺います。
 商店街が被災地をはじめとした全国の様々な都市と連携することは、我が会派がこれまでも度々取り上げてまいりました地方との共存共栄の観点はもとより、商店街の活性化にもつながる重要な取組であると考えています。
 そこで、都は、商店街が被災地等と連携するイベントについて力強く後押しすべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○田中産業労働局長 都では、魅力ある商店街づくりに向けまして、商店街が取り組むイベント事業等に要する費用を助成しております。
 来年度は、商店街が被災地や友好都市と連携したイベントの開催により、商店街のにぎわいを創出する取組を後押しいたします。
 具体的には、商店街が実施する被災地の特産品等を紹介するブースの出展や友好都市の伝統芸能の披露などを含むイベントに対し、都が九分の五を、地元自治体が三分の一を助成し、商店街の負担を九分の一まで引き下げる支援を開始いたします。
 これらによりまして、商店街の来街者を増やす取組を後押しするとともに、商店街と日本各地の活性化に結びつくよう支援してまいります。

○林委員 商店街の負担がかなり下がるということは、非常に壁が少し低くなってやりやすい環境ができたのかなと思っております。
 一昨日も、実は地元の調布駅前において、東日本大震災十四年イベントが開かれておりまして、東北からはもちろんですけれども、能登半島からも復興支援の特産品等を販売しておりました。被災地の皆様に寄り添い、友好都市の方々との交流の窓口として魅力ある商店街づくりにも資する施策であるというふうに思い、評価したいと思います。
 引き続き、商店街振興への取組にご期待申し上げたいと思います。
 次に、中小企業の脱炭素化支援について伺います。
 昨今、中小企業が大手などの取引先からCO2削減の要請を受ける割合というものが増えているということでございまして、中小企業にとっても、取引関係を維持するためにも、脱炭素の取組というものを経営戦略として進めることが必要になっているというふうに伺っております。
 企業がCO2の排出削減を行うに当たっては、まず自社がどのくらいCO2を排出しているかを知って、その上で削減目標を適切に設定し、着実な排出削減に取り組むことが重要です。
 こうした取組を進めるため、都は、省エネ設備への更新に対する支援を行っていますが、中小企業の取組を加速させるためには、支援の充実が必要と考えます。
 そこで、中小企業の脱炭素化を促進するため、どのような取組を展開しているのか見解を伺います。

○田中産業労働局長 都はこれまで、中小企業における省エネ設備の導入やCO2排出量算出のモデル的な取組などへの支援を行っており、来年度はそのレベルアップを図ることとしてございます。
 中小企業が事業に伴い排出するCO2の量を算定するシステムの導入を新たに三百社支援するほか、中長期的な削減目標をつくり、環境配慮に関する国際的な認定を取得する際に要する経費への三分の二の助成を開始いたします。また、中小企業が省エネ設備を導入する際の支援を強化し、一定以上のCO2の削減効果が得られる場合、助成率を三分の二から四分の三に、上限額を最大二千五百万円から四千五百万円に引き上げます。
 これらによりまして、中小企業の脱炭素化を強力に推進してまいります。

○林委員 来年度、レベルアップを図っていただけるということですけれども、この中小企業の脱炭素化に向けてCO2排出量の算定から削減の取組支援までの助成率、上限額をともにこれまで以上に厚く、また幅広く支援していくということは、企業のCO2の排出削減への意識というものがこれまで以上に高まるとともに、その取組が着実に進むことを期待したいと思っています。
 引き続き、中小企業の脱炭素への取組を後押ししていただきたいと思います。
 次に、国産SAFの供給拡大に向けた取組について伺います。
 SAFは、使用済みの食用油などを原料として、航空分野の脱炭素化に欠かせません。環境負荷の少ない燃料として、近年注目されていることはご承知のとおりであります。
 これまで輸入に頼っておりましたけれども、来年度、いよいよ国内で商用ベースでの製造が開始される予定というふうに聞いております。ただ、製造や供給に係るコストに対して手厚い支援がある海外産に比べて、まだ国産は価格面などで課題があるとのことであり、安定的な生産と供給の体制が求められています。
 また、航空会社が国際的なルールでCO2の排出削減を求められる中、空港でのSAF給油の可否が国際線の就航地を決める重要な要素とも聞いております。羽田での国産SAFの供給は、東京の競争力の観点でも重要となります。
 そこで、来年度から製造が始まります国産SAFを羽田空港で供給できるよう、都としても支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、国産SAFを羽田空港で供給する事業者への支援を開始し、その活用を促進いたします。
 具体的には、国内でSAFを製造し、羽田空港で航空会社へ供給する燃料事業者などに対し、海外産のSAFと比べても競争力が確保できるよう、一リットル当たり百円を上限に供給価格に対する補助を行います。この支援により、来年度は二千五百キロリットル以上の国産SAFを羽田空港で供給することを目指します。
 この取組を通じまして、航空分野の脱炭素化を後押しするとともに、SAFが国内で安定的に製造、供給される環境の整備や羽田空港の国際競争力の強化につなげてまいります。

○林委員 国は、国内における二〇三〇年のSAF供給目標量というものを航空燃料消費量の一〇%とするという方針を発表されているようなんですね。羽田空港の二〇二二年の航空燃料供給実績に同方針を当てはめた場合、年間約二十二万キロリットルのSAFが必要だというふうにいわれています。
 二千五百キロリットル以上の供給というものは、そのごくごく一部かもしれませんけれども、都が航空分野の脱炭素化のほか、様々な観点から国産のSAFに対する支援を行っていくことは重要だと思っています。
 一方で、廃食油などの主要原料が足りないとか、また需要が高まって価格も高まっているとか、いろいろ問題あるんですけれども、今後SAFの一層の供給拡大や活用促進につながることを期待したいと思います。
 データセンターについて伺います。
 生成AIなどのデジタル技術は、私たちの暮らしをより豊かなものにする可能性を秘めています。こうしたデジタル技術を利用する上で大量のデータ処理をするデータセンターは、必要不可欠な社会インフラだと考えております。
 一方で、今後データセンターの新設等が相次ぐことに伴って、電力需要が大きく伸びるとの見込みもあり、電力需給の安定化やエネルギー消費の抑制とデジタル社会の高度化を両立できるような対応が求められています。
 その対策の一つとして、都内にも設置が進んでおりますけれども、データセンターの省エネを進めていくことが重要であると考えますけれども、都の見解を伺います。

○田中産業労働局長 デジタル技術の活用を支えるデータセンターの新設等に伴う電力需要の増加を見据え、来年度、都はデータセンターが行う省エネ対策への支援を開始いたします。データセンターでのエネルギー効率を高める先駆的な対策のモデルを構築し、その普及を図るため、新技術の実装を行う事業者を後押しいたします。
 具体的には、従来の空冷方式に比べ、より少ないエネルギーで高い冷却効果を実現する液冷方式など新たな手法の実用化を目指すプロジェクトを公募し、二件程度を採択いたします。また、多くのデータセンターで導入可能な省エネ対策の手法を調査し、その知見や技術を広く事業者に提供することで、都内のデータセンターの省エネを一層促進してまいります。

○林委員 このデータセンターの先進的な省エネ対策のモデルづくりというものはしっかりと進めていただきたいと思いますけれども、省エネに加えて重要となりますのが、データセンターにおける再エネ利用の促進であります。最近では、使用する電力全て再エネで賄うデータセンターも出てきていると伺っておりますけれども、データセンターの整備と脱炭素化を両立するためには、こうした再エネの導入を後押しすることが重要です。
 そこで、データセンターによる再エネ利用促進に向けて、来年度、都はどのように取り組むのか伺います。

○田中産業労働局長 都はこれまで、事業者が都外に再エネ発電設備を設置し、その電気を利用する取組などを支援するとともに、小売電気事業者による再エネ電源開発を後押ししてまいりました。
 来年度は、データセンターをはじめとした大規模な電力需要へ対応するため、支援の拡充を図ります。
 具体的には、事業者が、特別高圧を含む、より大きな再エネ発電設備を導入する場合にも対応できるよう、助成限度額を倍増し、最大六億円といたします。また、小売電気事業者への支援においても、三メガワット以上のより大きな再エネ電源開発にも対応できる支援メニューを新設いたします。
 こうした取組によりまして、データセンターの再エネ利用促進を図ってまいります。

○林委員 来年度から、データセンターによる再エネ利用促進に向けた支援を強化されるということですけれども、世の中はスマートデバイスの普及とかソーシャルメディアの活用、またオンラインビジネスの拡大などが、インターネットのネットワークを流れるデータ量というものが非常に増加しているわけなんですね。そういったことでデータセンターの需要というものが高まっているわけなんですけれども、ICT社会における重要なインフラとなっているこのデータセンターの需要は、さらにはリモートワークの浸透とか、クラウドサービスの利用拡大に後押しされて、まだまだ増加するといわれています。
 社会経済の持続的な発展に不可欠なこのデータセンターについて、都としても、電力需要の増加に合わせて省エネ、再エネ施策も積極的に推進していただきたいと思います。
 ユーザーレビューについて伺います。
 私は昨年、令和六年の第一回定例会で、デジタルを活用したサービス改革をどのように展開していくのかという質疑を行って、知事からは、行政手続のデジタル化の推進とか、デジタルサービスにユーザーレビューを導入していく取組などによって、誰もが利便性が向上したと実感できる都政を実現していくとのご答弁をいただきました。
 都は、今年の一月に公表したシン・トセイXの素案において、都民の身近な接点である窓口を皮切りにユーザーレビューを順次拡大して、都民サービスの向上を一層推進していくこととしておりますけれども、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○山田デジタルサービス局長 都は今年度から、都民との接点である全ての窓口で、満足度を評価してもらうユーザーレビューを開始いたしました。
 来年度は、デジタル化された全ての行政手続に拡大をいたします。また、新たにレビューの結果をサービスの質の向上につなげるため、デジタルサービス局が一括で確保する約三億円の予算を柔軟に活用し、各局が行う迅速なシステム改善を後押しいたします。さらに、ユーザー目線に立った改善サイクルを加速できるよう都民の意見や要望を可視化し、各局に共有する新たなシステムの開発に着手をいたします。
 利用者の声を反映した見直しを重ねることで、便利で快適なサービスの提供を全庁で実現してまいります。

○林委員 レビューの結果というものを都民の目線で、デジタルサービスを通じて窓口での接遇をはじめとした都民サービス向上につなげていくことは非常に大切なことだと思っております。
 デジタルサービス局の予算を活用して、各局が行う迅速なシステム改善を後押しするということは、ある意味、縦割り組織になりがちな都庁にいい意味での横串を刺すことにもつながって、風通しのいい組織づくりにつながっていくんじゃないかなと思っています。
 さらに、都民の意見とか要望を可視化して、各局に共有する新たなシステムの開発に着手するということですけれども、今後のシステム開発の成果というものを提供した効果を期待したいと思います。
 オープンローミング対応Wi-Fiについて伺います。
 我が会派はこれまで、災害時などいつでもどこでもつながる通信環境の確保に向けて、様々な通信手段を確保すべきと主張してまいりました。モバイル通信に加えて、都は公衆Wi-Fiの拡充を重要な取組の一つとして進めてきました。これは急増するインバウンド対応にもなり、都の魅力を高める要素となっています。
 一方で、これまでの公衆Wi-Fiはセキュリティに不安だという声もあって、安全で快適な通信を提供できるようにする必要がございます。そこで都は、オープンローミング対応Wi-Fi設置を進めておりますけれども、これまでの取組について伺います。

○山田デジタルサービス局長 オープンローミング対応Wi-Fiは、安全で利便性の高い国際規格でございまして、通信の多重化を確保するため、都は公共施設での整備を推進しております。
 都有施設については、令和七年度末までに既存設備の切替えや新規整備を行う予定でございます。これまでに美術館や公園、島しょの船客待合所など八百五十九か所に整備をいたしました。
 区市町村施設につきましては、今年度から既存設備の切替えを行う際の財政支援や技術サポートを開始いたしまして、七自治体、百七十五か所で整備が進められているところでございます。

○林委員 公共施設での整備というものが着実に進んでいることが分かりましたけれども、人が多く集まる場所ではモバイル通信への負荷が大きくて、つながりにくいというお話も伺います。災害発生時に情報を入手するためにも、このWi-Fiを活用することが非常に有用だというふうに考えます。
 このため、公共施設に加えて人が多く集まります屋外にも、オープンローミング対応Wi-Fiというものを拡充する必要があると考えますが、来年度の取組について伺います。

○山田デジタルサービス局長 都は来年度、都有施設約三百か所で設置を予定しておりまして、Wi-Fi整備が効果的な都民が多く集まる施設について、おおむね整備が完了いたします。また、区市町村施設への導入を促進するため、既存の設備の切替えに加えまして、新規の整備も新たに補助対象といたしまして支援を拡充してまいります。
 さらに、主要駅周辺など屋外にも整備を進めるため、新たに民間と連携した取組を開始いたします。電話ボックスなどの民間アセットを活用いたしまして、来年度は六百か所に設置をいたします。
 今後は、通信速度や電波強度など品質の確保も図りながら、Wi-Fiの安全で快適な利用環境を広げてまいります。

○林委員 これまでのフリーWi-Fiですね、いわゆる、これまでに比べて高い安全性と利便性を特徴としたこのオープンローミング対応Wi-Fiというものを着実に設置されていくことは、接続の方法の利便性からインバウンド対応はもちろんですけれども、災害時も有効であるということから、引き続き、これは区市町村と一緒に設置の拡大に向けてお取り組みいただきたいと思います。
 コミュニケーションバリアフリー事業について伺います。
 都内には、身体障害者手帳を持つ聴覚障害者の方がおよそ五万人いらっしゃいます。今年は東京でデフリンピックも開催され、多くの聞こえない方もしくは聞こえづらい方が東京を訪れます。これを契機に、聴覚障害者への理解がさらに進むことが期待されるわけなんですけれども、東京都は令和四年に手話言語条例を制定して、手話の使用しやすい環境の整備に取り組んでおられますけれども、手話通訳については、対面では人材というものに限りがあって、その育成にも時間がかかるということでございます。
 そのような中、東京都は様々な場面において手話等でコミュニケーションができるように、大学の研究者による事業提案制度において、私の地元でございます調布の電気通信大学等が提案した対話型AIを活用したコミュニケーションバリアフリー事業を選定いたしました。このコミュニケーションバリアフリー事業の概要と目的を伺います。

○山口福祉局長 都は来年度から、電気通信大学などと連携しまして、音声による言語と手話や文字を双方向に変換する対話型AIコミュニケーションシステムを実用化する事業を開始いたします。事業計画期間は三か年で、手話の単語を学習させ、変換の正確性を高めるとともに、手話に対する理解と知識、デジタルリテラシーを併せ持つ人材を育成いたします。
 来年度は、公共交通機関や行政窓口などで使われる単語のデータベース構築に向けまして、障害当事者や手話通訳者などに対する調査に必要な経費三千万円を予算案に計上しております。こうした取組を通じまして、聴覚に障害がある方への支援を充実させてまいります。

○林委員 本事業については、都が今年度、大学の研究者から事業案を募集されて、四十六件の事業が提案されたというふうに伺っております。その後、有識者等との審査と都民によるインターネット投票の結果などを踏まえて五件の事業が予算化されていますけれども、これは行政窓口とか公共交通機関等において、聴覚に障害がある方への支援サービスの拡充や受付、手話通訳等において意思疎通が改善されるなど、その開発には大いに期待をしたいと思います。
 続いて、認知症抗体医薬について伺います。
 昨年、認知症の新薬としてレカネマブに続き、国内二例目の薬でございますドナネマブの販売が開始されまして、第四回定例会の我が会派の質問に対して、都は身近な地域で適切に認知症抗体医薬による治療が提供できるよう取り組んでいくというふうにご答弁されました。
 来年度、抗体医薬治療を望む方が最適な医療を安心して受けられるよう、医療提供体制をどのように整備していかれるのか伺います。

○山口福祉局長 都は来年度、抗体医薬に関する相談対応や投与患者への継続的な支援などを強化するため、認知症のある人や家族、地域の医療機関などからの治療に係る相談に応じる、認知症疾患医療センターに対しまして、運営経費を一か所当たり最大約七十万円増額をいたします。
 また、東京都健康長寿医療センターにおきまして、抗体医薬の投与を受けた患者、家族の支援事例を収集しまして、関係機関の連携などに関する課題分析や対応策の検討などを進められるよう、約三千万円増額して約七千二百万円を予算案に計上しております。
 これらの取組によりまして、希望する方が身近な地域で適切な治療を受けられる医療提供体制の整備を進めてまいります。

○林委員 認知症の高齢者は、団塊ジュニアの世代が六十五歳以上になる二〇四〇年には五百八十四万人余りに上るという推計を厚労省の研究班がまとめておるというふうに伺っています。これは高齢者全体のおよそ一五%に当たるわけでして、その頃には私自身も対象者になる可能性もあり、決して人ごとではないんですけれども、早期発見、早期治療によって症状の悪化を緩やかにできることができるといわれているわけですから、身近な地域での相談というものが大切になってくるかと思います。
 治療を希望される方が一人でも多く相談できる、支援できる体制づくりというものに今後とも積極的にお取り組みいただきたいと思います。
 野川、仙川における河川整備について伺います。
 近年、全国各地で甚大な豪雨災害が発生しており、地域の住民から河川整備を求める声が私の元にも届いております。
 私の地元の調布市内を流れる野川や仙川では河川の整備を進めているところですけれども、今後も降雨量はさらに増加する見込みであり、浸水被害の防止に向けた整備を着実に進めていく必要が求められています。
 昨年の夏にも都内では局所的な集中豪雨が発生しておりまして、野川流域においても氾濫危険情報が七月に一回、八月に二回の合計三回発表されています。その際は、調布飛行場の脇にあるんですけれども、野川大沢調節池で洪水を取水したことで調節池下流部の水位上昇が抑えられたというふうに伺っています。調節池は豪雨に対して高い効果を発揮できる施設というあかしだろうと思っております。
 調布市内においても河床掘削など河道の整備とともに、令和五年度に仙川で事業化していただきました調節池の整備を鋭意進めていくことが重要であると考えておりますけれども、野川及び仙川の令和七年度の取組について伺います。

○花井建設局長 野川及び仙川につきましては、年超過確率二十分の一規模の降雨に対応する護岸や調節池の整備を進めております。
 野川では、流下能力を向上させるため、下流から順次、河床掘削等を進めておりまして、令和七年度は、調布市内の小金橋上流約五百メートルの区間で実施いたします。
 仙川では、約四万二千立米の洪水を貯留する仮称仙川第一調整池を、都営仙川アパートの建て替えに伴い創出される用地を活用して整備することとしております。
 現在、基本設計を実施しておりまして、七年度は水理模型実験を行い、取水施設の形状等を検討いたします。
 こうした取組を着実に進め、野川及び仙川の安全性を高めてまいります。

○林委員 ありがとうございました。いずれも、着実に河川整備が進められてることで防災対策が図られていることは理解いたしました。
 仙川の調節池については、一般的には、この調節池の完成というもの、十年前後を要するものというふうに思われますけれども、都営の仙川アパート、通称緑ヶ丘団地というんですけれども、近隣の住民の皆さん、ひいては下流域の世田谷区の皆様が安心してお住まいいただけるように、一日も早い供用開始に向けた整備計画を進めていただきますようお願いしたいと思います。
 次に、多摩地域における下水道管の老朽化対策について伺います。
 定例会における我が会派の質問では、八潮市の道路陥没を受けた都の対応と老朽化対策について質問し、伺ってまいりました。
 多摩地区は流域下水道ということで市町村と一緒にやっているんですけれども、この流域下水道幹線の老朽化対策について、令和七年度の取組を伺います。

○佐々木下水道局長 将来にわたって安定的に下水道機能を確保していくためには、流域下水道幹線の適切な維持管理と計画的な再構築に取り組むことが重要でございます。
 都はこれまでも、調布市など六市の下水を受け入れる野川第一幹線など全三十四幹線について、計画的な調査により健全度を把握し、状態に応じた補修等を実施しております。
 加えて、令和七年度から新たに流域下水道幹線の再構築を開始いたします。具体的には、調布幹線など三幹線について、水位が高く工事を行うことが困難な幹線の下水の流れを切り替えるバイパス管の整備などに着手いたします。
 今後も多摩地域の下水道の予防保全型管理に取り組み、都民の安全・安心を確保してまいります。

○林委員 多摩地域の下水道というものは、先ほど申し上げましたけれども、都の流域下水道と市町村が管理する公共下水道というものが一体となって機能するシステムなんでございますので、都は多摩地域の安全性を高めていただくために、市町村下水道の強靱化に対する、今、補助を行っておりますけれども、さらなる連携と、そして緊密な関係を築いて、財政的支援も含めてですけれども、強固なものにしていただくことを要望して、次の質問に移ってまいります。
 水道事業でございます。次は多摩地区の水道施設の老朽化対策です。
 先日、所沢市において老朽化した水道管というものが破壊して、周辺道路が冠水して、被害が発生しているわけですけれども、私の地元調布市においても、昨年末に交通量の多い都道の交差点付近において、水道管からの漏水が発生しました。しばらくの間、警備員が立たれてたので、地元の方からの心配の声をいただいたわけですけれども、そこで多摩地区、特に調布市、狛江市における老朽化した水道管への対応について伺います。

○西山水道局長 水道局では、強度に優れた水道管への取替えをほぼ完了しており、現在は地下埋設物がふくそうしているなど、施工が困難な箇所に埋設され、布設年度が古い管について、令和八年度までの解消に向け取り組んでございます。
 多摩地区でもこうした管が一部残存しており、これまで既存の管を撤去せずに新たな管を挿入したり、障害物を避けて別ルートで新たな管を布設するなど、現場の環境に合わせた適切な工法を採用することで着実に取組を進めておりまして、調布市及び狛江市については、今年度末までに全て解消いたします。
 今後とも管路の更新を計画的に進め、多摩地区における安定給水の確保に鋭意取り組んでまいります。

○林委員 続いて、コンクリート塊の資源循環について伺います。
 都は、コンクリート塊の資源循環に関して、リサイクル推進計画に基づき資源循環を推進しています。また、調達方針においても使用を推進しておりますけれども、再資源化施設に再生砕石が滞留しているとの声を伺っています。滞留を解消するためには目標を定めて取り組むことが重要と考えますが、都はどのように取り組んでいくのか伺い、質問を終わります。

○谷崎東京都技監 現在、国の社会資本整備審議会の下部組織でございます建設リサイクル推進施策検討小委員会におきまして、建設リサイクル推進計画における再生材の利用促進に関する指標や目標値の設定などの在り方について検討しております。
 都は、国の依頼を受け、本年一月の小委員会に出席いたしまして、再生材の利用促進に当たり、コンクリート塊の資源循環における課題や、国や近隣県との連携の必要性などを説明いたしました。
 今後、都といたしましては、国の動向を注視しつつ、併せて実施されている国の建設副産物実態調査の結果も踏まえまして、再生材の利用促進に関する指標、目標値の設定や広域的な資源循環などについても検討いたします。

○川松委員長 林あきひろ理事の発言は終わりました。(拍手)