午後四時五十分開議
○中山副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
まつば多美子理事の発言を許します。
○まつば委員 初めに、持続可能な財政運営について質問します。
都の政策を安定的に実施し、都政の重要課題に対応するためには、歳出精査などにより生み出した財源を積み立てる計画的な基金残高の確保による持続可能な財政運営が大事です。
都税収入は、リーマンショックにより、平成二十一年度から二十四年度までの四年間、四兆円台まで落ち込みました。令和七年度は、六・九兆円まで都税収入が伸びたことにより、一般歳出も過去最高の六・九兆円規模まで膨らんでいます。
他方、基金は、目的別基金と財政調整基金と合わせても一兆七千億円しかありません。いつ感染症によるパンデミックやリーマンショックのような経済恐慌が起こるか分からない現代において、これだけの基金で持続可能な財政運営ができるのか心配する声もあります。
そこで、持続可能な財政運営に対する知事の見解を伺います。
○小池知事 都の歳入構造でございますが、まず、法人二税の占める割合が高い、そして景気変動の影響を受けやすいという特徴を有しております。加えまして、都は、地方交付税の不交付団体でもございますので、突発的な財政需要、税収の減などに備えるために、都財政にとりまして基金は重要でございます。
こうした認識の下で、令和七年度の当初予算におきましては、特定目的基金を都市の強靱化などに適切に活用いたしております。一方で、財政調整基金につきましては、税収増の一部等を活用しまして、令和六年度の最終補正予算と合わせまして、約一千百億円を積み立てております。
この結果でございますが、七年度末の基金全体の残高は一・七兆円となり、これはリーマンショック前と同水準の確保ということになります。また、そのほか都債の残高を着実に減少させるなど、将来を見据えました財政基盤の確保に努めております。
今後も、予算の執行段階での歳出精査によります基金の取崩しの抑制、中長期を見据えた積立てなど、持続可能な財政運営に取り組んでまいります。
○まつば委員 知事より、財政運営についての見解をお伺いさせていただきました。
その上で、都議会公明党が掲げる家計応援計画について質問していきたいと思います。
一、教育負担がかからない東京へ、二、現役世帯の年収が増える東京へ、三、物価高に負けない東京へ、四、安全・安心な東京への四つの目標です。
まず初めに、現役世帯の年収を増やす取組について質問をいたします。
都議会公明党は、さきの代表質問におきまして、物価高に負けない賃上げを実現するための思い切った財政支援の必要性を訴え、都から力強い回答を得ており、令和七年度予算における具体的な対応を確認していきたいと思います。
まず、持続的な賃上げには、中小企業の成長が不可欠です。そのためには、設備投資により生産性や競争力を高めて収益を増やす必要があります。賃上げ等により、従業員の生活を豊かにしていきたいと考える成長投資に意欲的な中小企業は、ここ数年増えています。また、設備を新しくしたいが、経費的な負担が大きいため、踏み出せない零細企業もおられます。
都は、中小企業の設備投資のさらなる後押しをするとともに、その効果を賃上げにつなげるために、支援の充実を図るべきと考えますが、見解を求めます。
○田中産業労働局長 都は、中小企業が生産性の向上を図るため、DXなどの最新の機械設備等を導入する取組への支援におきまして、賃上げを計画的に進める場合、手厚い助成を行っております。
来年度は、新たにサプライチェーンの中核を担おうとする中小企業等が賃上げを行うとともに、下請企業との間で適正な取引を行うことを宣言した場合は、大型の設備導入に係る助成限度額を一億円から二億円といたします。
また、小規模事業者が競争力の強化を図るために、機械設備を導入し、その成果を賃上げに結びつけた場合には、助成率を五分の四に引き上げます。
これらによりまして、持続的な賃上げを後押しいたします。
○まつば委員 次に、DX導入支援です。
都内には大小様々な事業者がいるため、個々の取組状況に応じた支援策を構築し、継続的に支援していくことが必要となります。
そこで、都は、多くの中小企業がDXの取組を進められるように、支援を拡充すべきと考えますが、令和七年度の取組について答弁を求めます。
○田中産業労働局長 これまで都は、ダイレクトメール等により、DXの必要性を周知するほか、六百社を超える企業に専門家が訪問し、企業の状況に応じたデジタルツールなどを提案するとともに、導入に係る経費を助成してまいりました。
来年度は、より多くの企業の取組を促すため、周知の強化を図るとともに、専門家による企業訪問の規模を一千社に拡大いたします。また、システム等を導入した企業にアドバイザーを派遣し、社内の実情を踏まえた活用方法に関する助言や、デジタルに詳しい社員を育成する研修などのフォローアップを新たに行います。
これらによりまして、中小企業のDXを積極的に後押ししてまいります。
○まつば委員 生産性向上には、DXによる業務効率化に加えまして、それを進める人材の育成も必要でございます。
また、最新のデジタル技術に適応するための社員一人一人のスキル向上も欠かせません。デジタル分野に限らず、従業員が自らの成長や希望するキャリアの実現のため、リスキリングや学び直しのための時間をつくることは、働きがいが高まり、生産性向上にもつながると考えます。
都は、社員のリスキリングを推進する企業を支援すべきでありますが、令和七年度予算における具体的な取組について見解を求めます。
○田中産業労働局長 都は、来年度、従業員がリスキリングに取り組む環境整備を行う企業への新たな支援を開始いたします。
具体的には、専門家が企業を訪問し、リスキリング推進のための助言を行うとともに、社員がデジタル技術の習得などに必要な講座を受講するための経費の支援制度や、受講する際に休暇を取得できる制度などを導入する企業に対し、最大四十万円の奨励金を支給いたします。
また、就職やスキルアップを目指す方への支援アプリにつきまして、AIにより本人の希望や関心に適した職業訓練等の情報を表示するほか、キャリア開発の成功事例の紹介も増やすなどの強化を図りまして、主体的な能力開発を後押ししてまいります。
○まつば委員 企業の設備投資、DX推進などに向けた社員のリスキリング、両面から支援を強化していくことを確認いたしました。
持続的な賃上げの実現には、これらにより生み出された付加価値を人への投資にしっかりと振り向けていくことが何より大切であります。
知事のリーダーシップの下、持続的な賃上げに様々な政策を総動員し、企業による人への投資を促していくべきと考えますが、改めて小池知事の決意をお伺いいたします。
○小池知事 中小企業が生産性を高め、それにより得られた付加価値が働く方々に分配される流れをつくってまいります。
このため、都は、業務改善により得た利益を社員に還元することの重要性を普及するとともに、賃金制度を見直す企業を支援しております。
来年度は、新たな相談窓口を設けまして、賃上げを効果的に実現するための労使の関係づくりを後押ししてまいります。社員のリスキリングやキャリア形成も促してまいります。
キャリアの幅を広げ、収入の増加にもつながる副業の導入などに取り組む企業には、最大二百三十万円の奨励金による支援も開始をいたします。
働く人の手取り時間を増やす取組も含めまして、人への投資を促す多面的な施策を強力に推進してまいります。
○まつば委員 ぜひ知事のリーダーシップの下、公労使で課題認識を共有していただきまして、進めていっていただきたいと要望をいたします。
次に、物価高に負けない東京へです。
都議会公明党は、第四回定例会で、全ての都民を対象にした物価高騰対策を実施すべきと提案をいたしまして、都は、東京アプリのつながるキャンペーンで、十五歳以上、お一人七〇〇〇ポイントを付与することを盛り込んだ最終補正予算を提案し、成立したところであります。
都議会公明党は、先日の代表質問におきまして、東京アプリのつながるキャンペーンについて、スマホを持っていない方に対する手だてを講じるべきと質問をし、都からは、新たに高齢者を対象に、購入費の助成を検討していくとの答弁がありました。デジタルに不慣れな高齢者の方もキャンペーンに参加できるよう、デジタルデバイド対策を強化すべきであります。
このたびの高齢者を対象とするスマホ購入費助成の検討状況について説明を求めます。
○山田デジタルサービス局長 都は、高齢者を対象にスマホ体験会などを開催し、スマホの貸出しも行いながら、操作の習得、利便性の実感につなげてまいりました。
今後、東京アプリの浸透を図るキャンペーンを契機に、スマホをお持ちでない高齢者に向けた支援を強化いたします。
具体的には、来年度、スマホ未所有の高齢者の購入費を助成するため、高齢者施策推進区市町村包括補助の先駆的事業による支援を行ってまいります。
現在、購入に係る経費の最新状況を調査するとともに、関係局と連携し、対象者への助成内容など詳細の検討を進めているところでございます。
高齢者への後押しとなる効果的な仕組みを構築し、四月に行う説明会を皮切りに、区市町村と連携して迅速に実施していきます。
○まつば委員 速やかに制度設計を進めていただくように要望いたします。
デジタル化の取組は、それ自体が目的ではなく、生活が豊かになるなど、都民の皆様がその恩恵を実感できることが重要です。
これまでも都議会公明党では、都政の様々な分野において、デジタルを最大限に活用した取組を進めていくことを提案し、デジタル化やデジタルデバイド対策、こどもDXの推進などの取組が進んできています。
しかし、まだ取組の多くは、局ごとに部署単位で行われているものが大半で、子育て世帯や介護を必要とする方への手続など、それぞれの窓口に出向き、多くの書類を提出しなければならないことを不便に感じている方々は多いのも実情でございます。
さきの代表質問におきましても、東村幹事長から、介護DXを進めるべきとの提案に対し、知事より前向きなご答弁もあったところです。
こうした課題に対しまして、都民視点に立った取組を加速していく必要があります。これまでの取組を踏まえ、宮坂副知事に、DX推進に向けた今後の展開について見解を求めます。
○宮坂副知事 デジタル化の土壌づくりから始め、都民視点でサービスをデザインし、品質を高め、利用者の声を聞き、改善を繰り返す組織文化が全庁に根づきつつあります。
都民が真に利便性を実感できるサービスへとさらなる進化を果たすために、組織や分野を超えて横串、縦串を刺し、サービス変革を実現する政策DXにより、都民の手取り時間の増加など、新たな価値を生み出していきます。利用者目線で推進しているこどもDXに続き、介護DXなど、今後様々な分野で変革を起こしていきます。
また、東京アプリは、都民のデジタル体験を大きく変え、暮らしを便利にスマートにするものであり、デジタルに不慣れな方にも寄り添った丁寧な対応で浸透を図ってまいります。
十年後、さらにその先を見据え、実現できないと言い訳をしない、ノーモアしようがないの精神で挑戦し、生活を豊かにするDXを推進してまいります。
○まつば委員 介護DXをはじめ、様々な分野への変革をお願いいたします。
次に、都内マンション価格高騰の抑制策についてであります。
報道によりますと、二十三区内のマンション価格は平均で一億円を超えました。そのような中、都が都議会公明党の要請を受け、都が百億円、民間百億円の出資によるファンドを形成し、手頃な家賃で子育て世帯、母子家庭、若者などにアフォーダブル住宅を提供するとしたことは高く評価をいたします。ただ、令和七年度においては事業者を募集し、住宅提供は令和八年度からということです。
その間も都内マンション価格は、投機的な取引により高騰し続けています。この投機的な取引を抑制しない限り、マンション価格は高騰し続け、子育て世帯などは周辺県に移住せざるを得ない状況は変わりません。
都が施行した再開発事業で整備したマンションである晴海フラッグは、法人が一部の部屋を投機目的で取得するケースが相次ぎ見られ、不動産仲介サイトには、転売や賃貸に出されているという報道がありました。
都内マンション価格の高止まりにもつながりかねない転売については、都としてもしかるべき対策を講じるべきです。
そこで、今後の都施行再開発事業におけるマンション建設の投機目的を抑制する取組について見解を求めます。
○谷崎東京都技監 都が施行する市街地再開発事業におきましては、施行者である都に代わって、建物の建築、販売等を民間事業者が行う特定建築者制度を活用しております。
晴海フラッグでは、申込みが高倍率となったため、状況の改善に向けた対応を特定建築者に要請いたしました。
これを受けまして、一名義につき申込みを二戸までとするなどの対策が実施され、倍率が大幅に低下するなどの効果を確認いたしました。
こうした取組もあり、現在、晴海フラッグには七千五百人を超える多くの方が居住しております。
今後の泉岳寺駅地区など、都が施行する市街地再開発事業におきましては、申込みの制限といった実効性のある対策を特定建築者に対し要請するなど、必要な対応を実施してまいります。
○まつば委員 神戸市においては、令和六年、タワーマンションとの関わりのあり方に関する有識者会議を設置し、令和七年一月に取りまとめられた報告書では、タワーマンションの立地に伴い、現在及び将来にわたり顕在化し得る課題のうち、優先的に取り組む必要がある事項を明らかにし、特に空き部屋所有者に対する課税等に言及をいたしました。
こうした神戸市のタワーマンションに関する様々な検討内容は、現在、都が直面しているマンション価格の高騰の一つといわれている投機的取引の抑制効果も期待できます。
そこで、都内マンション価格の高騰に対して、都としてもマンションの実態を十分に把握しながら、幅広い側面から検討し、対応していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
○小笠原住宅政策本部長 都内のマンションには、老朽化や適正管理、防災など、様々な課題があり、また、価格高騰による都民の購入意欲への影響が懸念されていることは承知しております。
都は現在、都内全てのマンションの戸数、階数、立地等の基礎情報に加え、空室の状況や修繕の実施状況などを把握するため、マンション実態調査を実施しております。
今後、こうした調査結果を活用するとともに、国のマンション関連法の改正の動向も注視しながら、マンションの適正管理や都市機能と居住機能のバランスの取れたまちづくり、マンション価格の高騰など、マンションを取り巻く様々な課題について、住宅政策審議会等におきまして、学識経験者や業界団体等の意見を伺ってまいります。
○まつば委員 今後、住宅政策審議会等におきまして、しっかりと審議をしていただくよう要望をいたします。
次に、安全・安心な東京です。
初めに、水害対策について質問します。
二〇〇五年九月四日、杉並区や中野区を中心に、一時間当たり百十二ミリの集中豪雨がありました。杉並区内でも二千三百三十七世帯の床上、床下浸水という甚大な被害がありました。
私も当日急行し、その後、浸水被害に遭われた方々のお見舞いに歩かせていただきました。その中で、二度と水害を起こしたくないと、そのように決意をいたしたところでございます。
都はこれまでに、護岸や調節池等の整備を進め、水害に強い都市東京の実現に向けて取り組んできています。調節池は、豪雨に対して大きな効果を発揮することから、住民への丁寧な説明や配慮をしながら整備し、流域の安全度を高めていくことが大事であると思います。
さらに、今後は、気候変動の影響などによる降雨量の増加に対応していくためにも、都議会公明党のチャレンジエイトにも掲げている調節池の整備を着実に進めていくことが重要であると考えます。
そこで、今後の調節池整備の取組について、都の見解を求めます。
○花井建設局長 激甚化、頻発化する水害から都民の命と暮らしを守るためには、調節池の整備を推進することが重要でございます。
都はこれまで、二十七か所、総貯留量二百六十四万立米分の調節池を整備し、現在、神田川の下高井戸調節池など八か所で工事を実施しております。
来年度は、石神井川などにおいて三か所、合計六十五万立米の調節池の本体工事に着手いたします。
また、二〇三五年度までの事業化目標でございます二百五十万立米の達成に向けまして、東村山市内の柳瀬川上流部などにおいて、新たな調節池を二か所で事業化し、基本設計に着手いたします。
こうした調節池の整備を一層推進し、水害に強い都市東京を実現してまいります。
○まつば委員 次に、チャレンジエイトの一つである駅ホームドアの設置についてです。
さきの代表質問での都議会公明党の質問に対し、都からは、来年度から、都が事業者に直接補助する制度を創設し、ホームドア整備のさらなる加速を実現していくとの答弁がありました。これにより、我が党がかねてより求めてきたホームドアの設置が大きく前進することを期待しています。
首都東京の鉄道網の骨格をなし、区部と多摩を東西に結ぶJR東日本の中央快速線は、多くの都民の通勤や通学など、移動の足となっています。
しかし、一方で頻繁に事故や遅延が生じており、都民の仕事や暮らしに大きな影響を及ぼしており、一刻も早くホームドアを設置すべきと考えます。
そこで、都の補助制度拡充も踏まえたJR中央快速線の今後の見通しと都の見解を求めます。
○谷崎東京都技監 都は、先月開催いたしました協議会におきまして、鉄道事業者との共同宣言として、新たな補助制度の活用や国と連携した技術的支援により、ホームドアの整備加速に取り組んでいくことを表明いたしました。
JR東日本は、この共同宣言も踏まえ、本年三月に、今後四年間の計画といたしまして、都内五十三駅の百二十九番線で、ホームドア整備を進めることを公表いたしました。これにより、中央快速線では、中野駅から西国分寺駅までの各駅などにおきまして、ホームドアが整備されることとなります。
都といたしましては、整備が計画的に進むよう、引き続き事業者の積極的な取組を支援してまいります。
○まつば委員 次に、消防団の処遇改善についてです。
消防団の皆様は、火災のみならず、台風、豪雨、地震などの自然災害発生時や警戒活動、訓練、器材整備のほか、地域行事の警備活動など、様々に地域の安全・安心のために活躍してくださっています。
都議会公明党は、昨年末、令和七年度最重点要望として、消防団の処遇改善について、知事へ要望をいたしました。
昨今、物価高騰などの社会情勢が大きく変化している中にあって、特別区消防団の活動強化のため、団員に支給される費用弁償の増額など、処遇改善を図るべきと考えます。消防総監の見解を伺います。
○吉田消防総監 消防団の活動力を強化するためには、訓練を積み重ねるとともに、処遇や施設の改善など、消防団員が活動しやすい環境をつくることが重要でございます。
これまでも、社会情勢の変化等を踏まえ、費用弁償を増額するとともに、分団本部施設の規模、機能及び設備が十分でない施設の改築に取り組んでまいりました。
来年度は、消防団員に支給する費用弁償について、四千円から四千五百円に引き上げるとともに、引き続き分団本部施設の計画的な整備を行います。
これらの取組により、消防団員が活動しやすい環境づくりを推進し、消防団の活動力の強化を図ってまいります。
○まつば委員 都議会公明党は、令和六年第二回定例会におきまして、災害の現場において、ドローンの持つ機動力や汎用性は大きな意義があることから、災害活動時におけるドローンのさらなる活用について提案をしました。
それに対し、消防庁より、ドローンの活用方策と効果的な配置について検証し、災害活動体制の強化を図るとの答弁がありました。
ドローン技術の進展は目覚ましいものがありますが、昨今のドローンの技術革新の動向を踏まえ、情報収集のみならず、新たな視点で効果的に災害活動に活用すべきと考えますが、見解を求めます。
○吉田消防総監 ドローンは機動性に優れており、消防活動において、様々な活用ができると認識しております。
東京消防庁では、これまで災害現場での情報収集や物資搬送にドローンを活用しており、今年度は、有線給電により最大三十メートルの高さの飛行が可能で、長時間、継続的に災害状況等を把握することが可能な機体を配備し、情報収集体制の強化を図ってまいりました。
来年度は、国内の民間企業等と共同で、消火活動に活用できる新たなドローンの開発を目指します。
これらの取組により、消防活動体制の強化に努めてまいります。
○まつば委員 消防活動体制の強化に努めるとの答弁でございましたが、新たなドローンについては、これまでにない機能を備えることで、都民の安全・安心をさらに高められると考えますが、その具体的な機能について答弁を求めます。
○吉田消防総監 新たなドローンは、道路狭隘地域等で、はしご車の接近が困難な中層建物の火災現場において、屋外からの消火活動を迅速に行うことを目的に開発をいたします。
このため、消火弾を火点室に投入できるドローンや、消火用ホースをつないだ状態で二十メートル以上の高さまで飛行し、継続的に放水できるドローンの開発を目指してまいります。
今後、開発したドローンを効果的に活用し、消防活動体制の充実を図り、都民の安全・安心を実現してまいります。
○まつば委員 次に、教育負担がかからない東京へです。
チルドレンファースト社会実現に向けた取組について質問します。
都議会公明党は、チルドレンファースト実現に向けて、都立、私立高校の授業料の実質無償化や、保育料や医療費の無償化などを提案し、小池知事もこれを受け止め、積極的な取組をしていただいてきました。
そこで、チルドレンファースト社会実現へ向け、知事が令和七年度予算に込めた思いについて伺います。
○小池知事 子供は社会にとってかけがえのない宝でございます。私は、知事に就任しまして以来、未来の担い手であります子供を大切に育むチルドレンファースト社会の実現に着実に取り組んでまいりました。
国全体で少子化に歯止めがかからない中で、全ての子供の健やかな育ちを支える、そのために取組を一歩も二歩も前へ進めてまいります。
こうした思いから、来年度予算案では、保育料の第一子無償化、医療費助成の所得制限撤廃、出産・子育て応援事業における都独自の支援の拡充など、チルドレンファースト社会の実現に向けまして、施策全体で一千四百億円増、約二兆円を計上いたしております。
この予算をてこといたしまして、未来を担う子供にとって、希望に満ちあふれる東京を全力でつくり上げてまいります。
○まつば委員 知事より、チルドレンファースト社会実現へ向けての力強いご答弁をいただきました。
今、知事のご答弁にもありましたが、今年九月からのゼロ歳から二歳の第一子の保育料の無償化が予算に盛り込まれております。
都は、都議会公明党の提案を受け、東京型こども誰でも通園制度ともいえる多様な他者との関わりの機会の創出事業について、昨年度より開始し、今年度からは、第二子以降の利用料の無償化も行い、さらに本年九月からは、第一子の利用料の無償化を行うことになったことに喜びの声が届いております。
一方で、医療的ケア等により、地域の保育所等に通えない子供については、現在支援の対象となっておりません。医療的ケアが必要な子供たちが、保護者の就労の有無にかかわらず、保育士など他者と関わる機会を得ることについて、昨年の第二回定例会代表質問において提案したところですが、令和七年度の取組について見解を求めます。
○山口福祉局長 都は来年度、保育所などを利用できない医療的ケア児等が他者との関わりの中で健やかに成長できるよう、保護者の就労などの有無にかかわらず、ベビーシッターによる保育を提供する医療的ケア児等の育ちの支援事業を新たに開始いたします。
本事業では、医療的ケア児等の対応に必要な知識、経験を有する看護師や保育士などをベビーシッターとして派遣する事業者に対しまして、区市町村を通じて必要な経費を補助いたします。
また、本年九月から、多様な他者との関わりの機会の創出事業と同様、第一子も含め、利用者負担額を無償化いたします。
今後、区市町村に本事業の実施を積極的に働きかけまして、医療的ケア児等の育ちの支援を一層充実してまいります。
○まつば委員 次に、すくわくプログラムについてです。
都議会公明党は、本会議や委員会質問などを通して、乳幼児期の集団保育において培われる共感力や忍耐力といった非認知能力の重要性について繰り返し提案をしてきました。
そうした中、都は今年度から、子供の豊かな育ちを応援するとうきょうすくわくプログラムを都内全域で展開し、約千六百の幼稚園や保育所などで取組が見込まれているとのことで、大きな広がりを見せていることを評価したいと思います。
先日、都議会公明党は、江戸川区にある企業主導型の保育園を視察しました。その園では、月齢に対応する様々な取組を行っており、すくわくプログラムの理念に通じるものを感じました。
そこで、来年度、より多くの園がすくわくプログラムに取り組むことができるよう、実施規模の拡大に加えて、対象施設の拡充を図るべきと考えますが、見解を求めます。
○田中子供政策連携室長 都は、とうきょうすくわくプログラムの全域展開に向け、意欲ある多くの幼稚園や保育所等においてプログラムの取組が進むよう、実践に係る支援をさらに充実し、子供たちの興味、関心に応じた探究活動に取り組める環境を整えてまいります。
具体的には、実施する園の規模を今年度の約千六百園から、来年度は二千七百五十園に大幅に拡大いたします。
また、補助対象の施設につきまして、現在の幼稚園や認可保育所、認定こども園、認証保育所等に加えて、新たに企業主導型保育事業所や家庭的保育事業等を追加することで、幅広い施設での多様な体験や経験の機会を創出してまいります。
○まつば委員 取組の輪を広げるのと同時に、取組の質を確保していくことも重要です。
都は、実践をサポートするために、都内全ての園を対象にして、実践的な研修会の開催や専門家のアドバイスをまとめたヒント集の作成など、様々な取組を講じていますが、支援体制のさらなる充実が必要であると考えます。
第三回定例会の都議会公明党の質問に対し、都から、優良な活動を行う園が他園に対して、探究活動の内容や方法について実践的な助言を行う仕組みの在り方について検討するとの答弁がありましたが、令和七年度の質向上に向けた具体的な取組内容を伺います。
○田中子供政策連携室長 幼稚園や保育所等における質の高いプログラムの実践をサポートするため、都は来年度、すくわくナビゲーター園制度を創設いたします。
具体的には、優良な取組を行うナビゲーター園が、新たにプログラムに取り組む園などに対して、疑問や悩みの相談、活動充実に向けた助言などを行い、すくわくプログラム実践園全体のレベルアップを図ってまいります。
ナビゲーター園につきましては、東京大学CEDEPと連携して実施するワークショップに参加し、プログラムの意義や探究活動への理解を深めた園の中から選定することで、質の高い多様な実践事例の創出につなげてまいります。
○まつば委員 次に、不登校児童生徒の保護者への支援について伺います。
都内の公立学校での不登校児童生徒は、二〇二三年度時点で、小中高を合わせて三万七千五十九人です。学校よりも自分に合った学習ができる環境や、学校に行きたいのに学校を怖がってしまって行けなくなった場合の居場所など、多様性を尊重した適切な支援が重要です。
都は、都議会公明党の提案を受け、今年度からフリースクール等の利用者や運営費への財政支援を開始いたしました。こうした支援に引き続き取り組むとともに、今後は不登校の児童生徒を育てる保護者のサポートにも力を入れていく必要があります。
保護者の中には、相談先や各種サービスの情報も十分に把握できない方も多くおられます。不安や悩みを抱え、苦しんでいる保護者に一層寄り添った取組を行うべきです。都の見解を求めます。
○田中子供政策連携室長 都は今年度、小中学生の保護者向けに、不登校経験者による講演会や子供の接し方に関するセミナーなど、不登校の理解等を深める取組を実施してまいりました。
こうした取組に加えまして、来年度は、保護者が相談先や各種支援策など、必要な情報を入手することができるよう、行政の不登校対策やフリースクール等の民間支援などに関する幅広い情報を一元的に掲載するポータルサイトを構築いたします。
さらに、フリースクール等の具体的な活動内容など、ポータルサイトだけでは得ることができない情報を直接入手することができるよう、多様な学び、居場所に関する相談会を開催いたします。
○まつば委員 次に、歩行訓練士の活用について伺います。
視覚障害者が日常生活及び社会生活を安全かつ自由に送るためには、この分野唯一の専門職である歩行訓練士による生活歩行訓練が不可欠です。
昨年十月、都議会公明党の議員が、全国盲学校PTA連合会による厚生労働大臣への歩行訓練士の養成推進などを求める要望書の提出をサポートし、同行いたしました。
そして、第四回定例会代表質問におきまして、都議会公明党は、都立盲学校四校のうち、二校では歩行訓練士の資格を持つ教員がおられますが、二校にはいない状況であることから、都立盲学校における歩行訓練士の活用について質問し、都教育委員会からは、歩行訓練士の資格を持つ外部の人材の活用について検討していくと答弁を得ました。
そこで、都立盲学校において、歩行訓練士の力を活用することにより、教員の専門的指導力を向上させるべきと考えますが、具体的な対応を伺います。
○坂本教育長 視覚障害のある児童や生徒に係る教育について、その内容を高めるため、優れた知識やノウハウを持つ専門家である歩行訓練士の力を活用することは重要でございます。
このため、都教育委員会は、来年度から、都立の四つの盲学校に歩行訓練士の資格を持つ外部人材を週一回程度派遣し、現場での実技の指導に関し、助言等を行います。
また、こうした歩行訓練士が、新たに盲学校へ配属となった教員などに対し、指導の基礎に係る四回の校内研修を実施いたします。さらに、様々な場所を想定し、適切に歩行できるよう指導する研修を年四回担当いたします。
これらによりまして、都立の盲学校の教育のレベルの一層の向上を着実に進めてまいります。
○まつば委員 都内で仕事をしておられる歩行訓練士の方は、三十名程度しかおられないという中で、この盲学校への外部の人材というのを確保していただいたということで、感謝をしたいと思います。
次に、教員のメンタルヘルス対策について質問します。
児童生徒の健全な成長は、東京の未来を明るく照らすものであり、その育成に携わる教員の心身にわたる健康はとても重要です。教員志望者不足への対応が求められる中で、メンタルヘルス対策は、都として全力を挙げて改善を図るべき喫緊の課題といえます。
メンタルヘルス対策の中でも最優先すべき課題の一つは、発症の未然防止であります。この点、都教育委員会は、これまで都議会公明党の求めに応え、教員支援の強化を図ってきました。
しかし、これらの取組の中には、現状、実施対象が小学校に限られているものがあります。メンタルヘルスの不調を未然防止するためには、不調の兆候を早期に発見し、初期段階から適切に支援する取組を中学校や高校、特別支援学校などにも広げるべきです。
加えて、取組の効果を校種の違いを超えて一層高めていくべきであります。併せて見解を求めます。
○坂本教育長 心の病にかかることを防ぐ上で、新規採用の教員が学校現場の新たな職場環境に慣れるための後押しの充実は必要でございます。
都教育委員会では、公立学校からの要望に応じ、臨床心理士を年間で約一万二千回派遣し、全ての職員と面談を行っております。また、公立の小学校に関し、全ての新規採用の教員に面談を行っており、来年度はこれを中学校や都立学校にも広げます。
また、小学校では、新規採用の教員について、年齢の近い先輩をつけ、相談のできる仕組みを導入しており、来年度は中学校や都立学校にも取り入れます。
これらの成果を集め、区市町村や各学校に共有をしてまいります。
○まつば委員 メンタルヘルスの不調により休職している教員等の復職支援については、発症の直後から、休職中、さらには復職の判断、復職後の支援に至るまで、一気通貫して第三者の専門家が支援し、助言していくことが重要であると再三指摘してきたところであります。特に、採用間もない若手教員の不調の事例が多く、若者の教職離れに拍車をかけています。
これまで新規採用教員は、条件付採用期間に当たるなどの事情から、そもそも長期休職等にカウントされることなく、復職支援の取組からは漏れがちでありました。新規採用向けの復職支援を強化すべきです。
また、都教育委員会は、都立高校で実施する取組を区市町村に対しても積極的に情報提供し、ノウハウや成果も共有していくべきです。
加えて、希望があれば、区市町村立の小中学校の教員向けにも、モデル的な先行実施事例として、都の復職支援の取組を適宜適用を拡大していくべきであります。併せて見解を求めます。
○坂本教育長 これまで都教育委員会は、公立学校の教員が心の病で休職する中、回復の進む場合には専門家が相談に乗り、職場への復帰訓練をサポートする取組を行ってまいりました。
来年度から、都立学校において休職の仕組みのない新規採用教員も含め、休みに入った直後から復職後まで、一貫して臨床心理士等が助言を行う伴走型の支援を開始いたします。
また、休職する教員等への管理職によるサポートに関し、これまで学校の要請に応じノウハウの提供を行ってまいりましたが、今後は休職者のいる全ての都立学校に対応を行います。
これらの取組の成果に関し、区市町村教育委員会に対して説明会を開き、情報提供を行い、今後の小中学校における対応に役立ててまいります。
○まつば委員 次に、若者施策について質問をいたします。
モニターに映しました資料、また、お手元にお配りさせていただきました資料でございます。二〇五〇東京戦略案の政策の柱の一つに若者が位置づけられました。都議会公明党が若者支援の重要性を度重ねて訴えてきた結果であると考えています。
この資料は、二〇五〇東京戦略に掲げられている主な若者施策を抜き出したものです。大別して、若者のチャレンジを応援と、困難を抱える若者をサポートにまとめました。
これを見ますと、若者のチャレンジを応援は八局、困難を抱える若者をサポートは五局という、都庁の局が所管局としてついているということが分かります。今後、このそれぞれの若者施策をしっかりと前に進めていただきたいと思います。
その上で、令和七年度の若者施策について何点か伺ってまいります。
初めに、困難を抱える若者をサポートです。
都は、都議会公明党の提案を受け、東京都子供・若者計画の改定を議論する審議会に若者が参加する若者部会を設け、また、NPOなど、若者支援団体からも様々な意見を聞いてきました。
今月中には子供・若者計画が策定され、今後、施策へと展開していくことになりますが、計画期間は五年間と長期にわたるものです。若者たちが意見を出し、議論し、提案された方向に施策が進んでいるのか、また、見直しの必要性がないのか等、しっかりとフィードバックを行っていくべきと考えます。
そのため、若者部会を設置するなどして意見を聞いていくべきと考えますが、見解を求めます。
○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 若者の支援に当たりましては、若者の実態や意識の変化を的確に把握し、施策に反映していく必要がございます。
このため、都は、今回の計画の検討に際しまして、二十代から三十代の若者で構成する部会を青少年問題協議会に設置し、意見を聞いてまいりました。
今後、計画の進捗状況の把握等を行う子供・若者支援協議会に若者部会を設け、継続して意見を聞いてまいります。
○まつば委員 子供・若者支援協議会に若者部会を設けて、継続して意見を聞いていくということでございました。
この若者部会には、若者の居場所を運営されている支援団体の方々も加わっており−−この計画をつくった段階の若者部会です−−居場所の必要性について提案がなされました。学識経験者を集めた部会でも、居場所を利用する若者から意見を聞くなどしています。
これらを踏まえ、東京都子供・若者計画案には、若者の問題に対応するための新たに居場所の設置支援が盛り込まれていますが、若者を対象とした居場所を設置する都内の区市町村は、約三割にとどまっています。
都は、この計画をてこに、地域における若者の居場所づくりに対し、一層の支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。
○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、今回の計画策定に当たりまして、区市町村に若者の居場所づくりにおける課題をヒアリングいたしました。そこでは、設置の前段階での実態調査から開設に至るまでの負担が大きいなどの意見をいただきました。
これを踏まえまして、来年度から、若者の居場所を新たに設置する区市町村への支援を充実することといたしまして、これまでの補助上限額三百万円を、調査費等につきましては六百万円、開設費等につきましては二千万まで引き上げることを考えております。
○まつば委員 困難を抱えておられる若者の支援には、居場所、住宅、就労支援が大変重要な取組です。
そこで、次に、就労支援についてであります。
雇用情勢は、空前の売手市場といわれ、初任給が三十万を超える大企業が続々と登場するなど、人材の獲得競争が激化しています。一方で、そうした中でも、何度も求人に応募しても不合格になり、就職活動を続ける意欲を失う方などもおられます。
昨年の第四回定例会で、都議会公明党は、これまで産業労働局が女性に重点を置いて強化を図ってきた自宅や地域での就労支援を、今後は、女性に限らず広げていくべきと提案をしました。その際、産業労働局長は、効果的な方策を検討すると前向きに答弁されたところです。
就労が困難な様々な状況にある若者や都民の皆様が安定した生活を手に入れられるように、都営住宅や地域の集会所を活用した新しい就労支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。
○田中産業労働局長 生活力の向上を目指す方に対し、就労への様々な支援の選択肢を参加しやすい場所で提示し、就職やキャリアアップを後押しすることは重要でございます。
都は、女性を対象とした生活相談等を組み合わせた出張型の就労支援を実施しており、来年度、男女を問わず支援できるように運用していくこととしてございます。
具体的には、都営住宅や地域の集会所を活用した就労に困難を抱える方向けの出張相談会を区部と多摩で試行いたします。相談会では、男性も参加しやすい講座を設けるとともに、都営住宅の居住者向けの広報誌を活用して職業訓練の情報も提供し、スキル習得を後押しいたします。
○まつば委員 次に、若者のチャレンジを応援する取組についてであります。
都議会公明党は、昨年末の小池知事への予算要望におきまして、子供から大人へと生活が定着するまでの移行期に当たるユース世代、特に十八歳から二十五歳ぐらいまでの世代を対象に、思い切った支援を求めたところであります。
具体的には、ユース世代の学びの積極的な後押しを図り、東京の未来を担う人材確保にも資する大学生向け奨学金制度の構築を最重点項目として要望しました。そして、教員や技術系公務員を対象とした奨学金返還支援が令和七年度予算案に盛り込まれました。
東京都の予算発表資料では、奨学金返還支援について、本人にとっては実質的な給付型奨学金であるとしています。給付型奨学金を希望する学生も多いことから、奨学金返還支援を実質的な給付型奨学金であるとする説明については、都民目線に立って、その意味合いを分かりやすく解き明かす必要があると考えます。
そこでまず、来年度予算案に計上している奨学金返還支援による負担軽減について、経済的メリットという観点から、具体的な数字で分かりやすく説明していただきたいと思います。答弁を求めます。
○田中子供政策連携室長 日本学生支援機構における四年制、無利子の大学生向け奨学金貸与スキームのうち、最も金額の大きい私立、自宅外の返済モデルによりますと、大学四年間で月六万四千円、総額三百七万二千円を定額返還方式で借り入れた場合、返還年数は十八年となりまして、返還初年度は原則七か月目から返還開始のため、平年度化する二年目以降の返還額は月約一万四千円、年間約十七万一千円となります。
このモデルケースにおきまして、奨学金返還支援制度を活用した場合、奨学金返還総額三百万円を上限といたしまして、その二分の一を十年間にわたり、都が本人に代わって返還することから、年間で十五万円、月当たりに換算すると約一万二千円支援されることとなりまして、負担軽減後の本人の返還額は月約二千円、年間約二万一千円となります。
○まつば委員 採用後、年数の浅い職員の給与水準を踏まえると、年間十五万円、月当たり約一万二千円の奨学金返還の負担軽減は、本人にとって大きな経済的メリットがあると思います。
令和七年度予算案に計上されている奨学金返還支援の特徴の一つとして、都が本人に代わって奨学金を返還するスキームとあります。本人への直接給付ではなく、代理返還制度を採用したことによる本人にとってのメリットについて見解を求めます。
○田中子供政策連携室長 来年度創設いたします奨学金返還支援制度は、貸与型の奨学金を借りていた学生が、都内で勤務する教員や、都市の強靱化に携わる技術系公務員になった場合、返還総額三百万円を限度として、その半額を都が本人に代わって返還する仕組みでございまして、代理返還の手法を活用しております。
代理返還の手法を活用することで、本人にとってのメリットといたしましては、支援額が通常の給与と明確に区分され、かつ支援額が奨学金の返還に充てられるものであることから、税制上、支援額に係る所得税が非課税となり得るとされております。
○まつば委員 ここまでの質疑を通じて、奨学金返還支援制度の経済的メリット、代理返還のメリットを確認させていただきました。
この新規事業である、教員や技術系公務員への返還支援制度でございますけれども、中小企業を対象とした奨学金返還支援制度は、都議会公明党の提案から、令和四年度から行われてきました。
この中小企業での返還支援事業は、三年間で最大百五十万円の負債がなくなることから、若者の負担感が短期で減る効果があります。また、現在の労働市場は、転職を行う若者も多く、企業側も中途採用を活用して人材を確保する動きが活発です。
都は、都議会公明党の要望を踏まえ、募集要件を二十代まで拡大したことは評価するものの、さらに使いやすくしてほしいとの声をいただいています。
そこで、転職時代の労働市場を考えると、三十代の転職者も含め、より多くの若者がチャレンジできるようにすべきと考えます。都の見解を求めます。
○田中産業労働局長 奨学金の返還の負担を減らす支援につきまして、ものづくり分野等の中小企業が優秀な技術人材を幅広く確保できるよう運用していくことは重要です。
都はこれまで、この支援の効果を高めるため、大学と連携したPRを行うなど、学生の利用を増やす工夫を図るとともに、採用後一定の期間、生産や営業の仕事を行う方や、卒業後に転職する二十代の若手も対象に含める見直しを行っております。
今後、労働市場の動向や中小企業の意向などを踏まえた支援の在り方を検討してまいります。
○まつば委員 来年新たに創設される奨学金の返還支援制度と、そして、今ご答弁いただいた中小企業向けの奨学金返還支援制度、両方ともの充実を求めさせていただきます。
次に、留学支援について伺います。
ユース世代の支援という点では、令和七年度予算案に海外留学に踏み出す大学生等に対する都独自の支援が盛り込まれたことも大きな一歩であると思います。
近年、世界的に物価高が続いており、急激な円安の影響も相まって、留学費用が高騰しています。国の調査でも、留学に興味や憧れがあるものの、一歩を踏み出せない人の八割以上が経済的な余裕がないことを理由に挙げるなど、費用面が大きなハードルとなっています。
また、留学先によっては、費用が大きく異なることにも留意しなければならない課題です。
事業の実施に向けては、経済的な問題で海外留学を諦めることがないよう、きめ細かく制度設計すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○田中子供政策連携室長 海外留学支援制度の創設に向けましては、留学先の物価水準を考慮し、地域ごとにきめ細かく支援単価を設定いたします。
具体的には、物価水準に応じて留学先の地域を三つ程度に区分し、それぞれの地域ごとに補助上限額を設定いたします。
区分や対象地域などの詳細につきましては、今後、具体的に検討してまいります。
○まつば委員 海外留学支援制度の支援対象者をどう考えていくのかも大事な点であると思います。
海外留学支援制度の実施に当たっては、支援対象者を語学力のみで選ぶのではなく、意欲や主体性なども加味して、より多くの学生がチャレンジできるよう工夫を凝らすべきと考えますが、都の見解を求めます。
○田中子供政策連携室長 未来を切り開くチャレンジ精神を重視するため、意欲ある大学生等が自ら主体的に海外大学等への留学計画を立てることを支援対象の要件とする予定でございまして、制度の詳細は今後検討してまいります。
○まつば委員 若者施策について質問いたしましたが、今後も都議会公明党は質疑を重ねていきたいと思います。
次に、女性活躍支援について質問します。
女性活躍について、小池知事と共に私も取り組ませていただいてきました。例えば、東京都防災会議の女性委員は、二〇一三年当時、六十人中一人で、知事が指名、任命する委員は一人もおりませんでした。
その後、小池知事就任後、二回の東京都防災会議条例の改正を経て、現在では八十八名中二十八名となり、三割が女性の委員となりました。
また、審議会全体におきましても、クオーター制を導入して、女性の委員は四七%となり、小池知事就任後、女性が意思決定に関わる比率が格段に上がりました。
そこで、今日の質疑では、民間企業支援の角度で質問をいたしたいと思います。
様々な分野で活躍したいとの思いを持ち、新たな仕事に就きたいと考え、自らスキルアップを進める女性も少なくありません。しかし、企業では、女性を採用し、増やしていくことや、これまで男性がやってきた職務への女性の配置や、働きやすい勤務環境の整備などに困難さを感じている状況もあります。
こうした状況にあっては、新しい仕事に挑戦し、成長の機会を増やしていきたいと考える意欲ある女性が増えても、女性たちの能力の多くが埋もれてしまうこともあります。
そこで、女性が能力を発揮できるよう取組を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 女性の力は、持続可能で明るい未来を切り開く最大のエネルギーと考えております。女性が能力を生かすことができる社会を実現するためには、働き方や生き方の選択肢を増やし、活躍の場を広げることが必要でございます。
都は、家庭と仕事の両立が実現しやすい環境づくりに取り組む企業への支援、また、キャリアアップを目指す女性のサポート、経営者の意識改革等、幅広く取組を展開いたしております。
さらに、女性が仕事を通じて自己実現できますよう、いわゆる年収の壁の突破、男女間の賃金格差の是正、性別によります無意識の思い込みの払拭など、構造的課題の解決に取り組んでまいります。
今後、条例の制定に向けた議論を進めまして、女性活躍の場を旗印に、新たなステージへ引き上げまして、東京から社会へ大きなうねりを起こしてまいります。
○まつば委員 次に、建設現場で働く女性の環境整備について伺います。
男性が大多数を占める建設業界におきまして、近年少しずつ女性が増えており、土木現場で重機を操作する女性や、一人親方として活躍する女性も出てきています。
こうした女性に共通する悩みがトイレの問題です。先日、建設現場で働く重機女子の皆様からお話を伺う機会がありました。小池知事も直接お話を聞いていただきました。ありがとうございます。
現場にトイレがない、あってもかなり遠い、非常に汚いなど劣悪な環境であり、我慢を強いられ、健康への影響も懸念されるなどの切実な状況を伺いました。
労働衛生にも関わり、制度面での対応を求める声もありましたが、現場でできる対応として、最近増えている移動型の仮設トイレや、いわゆる軽トラトイレも効果的であり、都は、こうした取組が現場作業の最前線を担う下請事業者にも広がるよう後押ししていくべきであると考えます。
都は、建設や土木の分野での女性活躍を推進するため、現場従事者が快適な環境で仕事ができるよう、中小企業の支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
○田中産業労働局長 女性活躍を推進するため、職域の拡大や職場環境の改善に向けた企業の取組を支援することは重要でございます。
都は来年度、中小企業における女性の活躍を後押しするため、ハード、ソフト両面から取組の充実を図ることとしてございます。
具体的には、工事現場等におけます女性用トイレや更衣室など、職場環境の整備を支援する助成金につきまして、移動可能な車載型の仮設トイレも助成対象といたします。
また、建設等の業界の声も踏まえながら、性別を問わず、働きやすい現場環境の整備につきまして、セミナー等により事業主への意識啓発を進めるとともに、企業の先進事例の紹介も行うこととしてございます。
○まつば委員 移動可能な車載型の仮設トイレも助成対象とするというご答弁でした。ぜひ、トイレカーというようなものも今出ておりますので、快適なトイレ環境ということで、トイレカーなどについても検討していただきたいということを要望いたします。
次に、年収の壁についてです。
短時間労働者の収入が一定額に達するまで税や保険料が免除される年収の壁は、夫婦のどちらかがフルタイムで働くことが難しい世帯を保護する一方、女性の社会進出を阻む結果ももたらしています。
専門家の研究では、既婚女性の年収が百三万円や百三十万円に多く分布し、様々な年収の壁を意識した就業調整が行われていることも明らかになっています。
これに対して、最近では、世帯の収入を夫婦で共に稼ぎたいというニーズが多数を占めるようになってきています。時代の変化に応じた社会保障制度の見直しや賃金制度の見直しなど、企業や働く人が自ら壁を越えていく後押しも重要であると考えます。
都は、年収の壁の課題解決を促進するため、パート労働者の経済的自立に向けた後押しをするとともに、企業の取組を支援すべきですが、来年度の取組を伺います。
○田中産業労働局長 都は来年度、働く方が税や年金制度を理解した上で、希望するキャリアを選択し、生涯にわたる安定した生活を確保するためのサポートを強化いたします。
具体的には、パートなどで働く方や企業に対するセミナーを拡充し、年収の壁の正確な理解を促すとともに、生涯収入を可視化する独自ツールも活用しながら、働く時間を延ばす後押しを進めてまいります。
また、企業への奨励金も強化いたします。配偶者手当の見直しや社会保険料の負担を和らげる仕組みづくりに対して、それぞれ三十万円、どちらも実施する場合は五十万円を支給し、三年間で合計三千九百社の規模で支援いたします。
○まつば委員 支援規模が大幅増となることを確認いたしました。企業や働く方への啓発と取組への支援をしっかり進めていただきたいと思います。
次に、高齢者支援について質問します。
初めに、居住支援特別手当についてであります。
介護が必要な高齢者を支えるために、介護事業者や介護職員などを支援すべきとの都議会公明党の提案を受け、都は今年度から、介護職員等の居住支援特別手当事業を開始いたしました。
これは、介護職員、介護支援専門員や福祉職員などに月一万円から二万円の手当を支給する事業者を支援するものであります。制度創設当初より、都議会公明党にもこの事業に対する喜びと期待の声が届いておりました。
申請後、遡って四月から支給対象とするなど、制度としても充実を図ってのスタートでしたが、事業所からの申請がなかなか進まない現状があり、都の福祉局の職員が直接事業所に電話をし、相談に乗るなどして、申請に際しての懸念点の解消などに当たったとも聞いております。
申請受付終了日の十二月二十七日を経て、これまでの成果と課題について答弁を求めます。
○山口福祉局長 都は今年度から、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等の福祉、介護職員を対象に、居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。
これまで介護分野では、約一万五千事業所の約八割が申請をしております。
障害分野では、介護事業所を併設する事業所で、職員が兼務する場合に介護部門でまとめて申請する事例もあり、約一万五千事業所のうち、申請したのは約五割となっております。
入所系のサービスでは、申請率が介護分野では約九割、障害分野では約八割である一方、両分野とも訪問系のサービスなど、小規模な事業所の申請率が低いことが課題でございます。
○まつば委員 小規模な事業所の申請率が低かったとの答弁でありました。介護職員全ての方に手当が行き渡るようにすべきでありますが、事業所が申請をされないと、それはかなわないわけです。
都内全ての事業者が居住支援特別手当事業を活用できるように取り組んでいくべきと考えますが、来年度の予算の概要と取組について答弁を求めます。
○山口福祉局長 来年度は、本事業の申請に当たっての課題を把握するため、全事業者にアンケート調査を実施するとともに、小規模な事業者を中心とした未申請の事業者に対しましては、プッシュ型で本事業の周知を図るほか、伴走型で申請手続をきめ細かく支援をいたします。
また、今年度申請を行った事業者につきましては、既に入力した情報の活用を可能とすることで、申請手続の負担軽減を図ります。
このほか、介護事業所等への就職希望者が就職先を選択する際の参考となるよう、都のホームページで手当を支給する事業者を公表いたします。
こうした取組によりまして、本事業のさらなる活用を進め、介護職員等の処遇改善に確実につなげてまいります。
○まつば委員 介護職員の皆様の処遇改善、これ大事でございますので、取組をよろしくお願いいたします。
次に、デマンド交通について質問します。
身近な地域交通の担い手の一つであるバスにおいても、運転手の不足から減便や路線廃止の懸念が現実のものとなっています。
一方、高齢化の進展から、都内の区市町村においては、住民に最も身近な自治体として、地域交通手段の確保がますます逼迫した課題として重要性を増しており、都としても、都内全体の課題として、より本格的な支援に乗り出すべきです。
デマンド交通を実施する自治体の関係者からは、赤字を覚悟で立ち上げてみたが、いつまで実施できるか不安、あるいは立ち上げにあまり手間を要せず、かつ多くの利用者からも喜ばれるような手法を見極めたいといった声が聞かれています。その結果、初期経費だけでなく、ランニングコストに対する補助への期待の声もあります。
青梅市が令和七年度から試行的に実施するとしているマイナンバーカードを利用し、高齢者がタクシーに乗車する際に助成するといった簡明な手法に注目が集まり始めています。これについても都による積極的な対応を求める要望が高まっています。
都は、バスのドライバー不足が深刻化する中にあっても、身近な地域での公共交通手段の確保を望む高齢者の切実な願いが、都内の様々な自治体にむしろますます広がり始めている現状を踏まえて、これまでの補助要件の枠組みを見直し、より多くの自治体にとって取り組みやすく、より多くの都民にとって利用しやすい新たな地域公共交通が育つよう、支援内容の改善を図るべきです。見解を求めます。
○谷崎東京都技監 デマンド交通は、運行ダイヤをあらかじめ定めないなど、利用者のニーズに応じまして柔軟に運行する手段であり、都内の導入は令和六年度で十五自治体と年々増加しております。
都は、地域公共交通の基本方針に基づき、新規導入時の運行経費等の一部を区市町村に補助しております。
今年度、事業を進める上での課題やニーズを把握するため、区市町村にアンケートを実施いたしましたところ、乗降場所の確保や車両の更新費用などが必要との意見がございました。
今後は、こうした地域のニーズを踏まえまして、令和八年度に基本方針の改定を進めていく中で、デマンド交通などの地域公共交通の充実に向け、より幅広く区市町村を後押しする取組について検討してまいります。
○まつば委員 デマンド交通について、より幅広く区市町村を後押しする取組について検討していくとの答弁でありました。大変前向きで画期的な答弁であったと思います。具体化をお願いいたします。
その上で、都議会公明党は、当面の進展を図るべく、令和六年の予算特別委員会におきまして、自治体がデマンド交通を導入する際の乗降場所の確保について提案を行いました。
乗り降りする高齢者などの利便性や安全性などの面から、駐車施設を自前で備えるコンビニエンスストアの活用が効果的であるとし、都に対し、運営会社への協力要請を行うよう求め、前向きに取り組む旨の答弁を得ていたところであります。
従来からの支援に加え、デマンド交通の導入に取り組む自治体を都がより丁寧に支えていくべきと考えますが、コンビニエンスストアの活用に関するこれまでの都による支援の成果と今後の取組内容について見解を求めます。
○谷崎東京都技監 デマンド交通の導入に当たりましては、区市町村が関係者と連携を図り、地域ニーズを踏まえた乗降場所の設置等により、利用者の利便性を高めていくことが重要でございます。
都は今年度、株式会社ローソンと新たな協定を締結するとともに、株式会社ファミリーマートとのワイドコラボ協定を活用することで連携を開始し、杉並区など三区市において、コンビニエンスストアに新たな乗降場所が設置されました。
今後は、区市町村との行政連絡会を通じて活用事例を共有するなど、利便性向上に向けて官民連携の取組を一層推進し、地域公共交通を主体的に担う地元自治体を支援してまいります。
○まつば委員 次に、デフリンピックについて質問します。
大会の成功とは、円滑な運営もさることながら、共生社会の構築という開催の意義をより多くの人が実感できるようになる点にあると考えます。
都の調査では、都内での大会の認知度が一四・八ポイントから三九ポイントまで上昇し、過去の開催国と比べても、ようやく遜色のない段階に至り始めました。
十一月の開催までに準備にさらに万全を期すとともに、大会本番の試合を待つことなく、様々な機会を捉えて、障害の有無を超えた共感の広がりを一人でも多くの人々に実感してもらえることが重要です。
聞こえる、聞こえないの壁を越えた交流への意欲や熱意の重要性に、より多くの人が互いに気づき合える環境の創出こそが、今回のデフリンピック大会がもたらす重要なレガシーとなるべきものであり、大会本番の盛り上がりにも直結するものと考えます。
都は今後、デフリンピックへの準備を通じて、共生社会につながる取組を一層進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
○古屋生活文化スポーツ局長 都は、デフリンピックを契機に、聞こえる人も聞こえない人も一体となって楽しめるよう、手話をベースに動きで応援を伝えるサインエールを新たに開発いたしました。今後、スポーツイベントなどで紹介し、幅広く普及してまいります。
また、多くの人が集まる節目のイベントにおいて、手話を交えたパフォーマンスやデフアスリートと一緒に楽しむスポーツ体験などを実施いたします。
大会に向け、様々な機会を捉えて、都民がろう者の文化に触れ、理解を深めるきっかけを創出してまいります。
○まつば委員 大会の盛り上がりを一過性のブームで終わらせることなく、かつ経費的にも持続可能な都予算の範囲の中で、大会時の興奮を日常的な関心の高まりへと昇華する取組が必要です。
こうした難題を乗り越え、大会後もデフスポーツをさらに発展させ、共感の輪を社会的に一層広げていくためには、みるカフェでも紹介されていたような民間の先進技術を効果的に活用して、障害の有無を乗り越える取組が必要です。
あわせて、技術力だけでなく、企業や事業所などがそれぞれの得意分野を生かし合って、競技団体等に対する多種多様で幅広いサポートの仕組みを構築することができれば、デフスポーツだけでなく、パラスポーツ全体の振興につながるものと考えます。
デフリンピックを契機に、デフスポーツを含めたパラスポーツに対する民間部門からの支援の取組を資金面からの貢献も含めて、より一層充実させていくべきです。見解を求めます。
○古屋生活文化スポーツ局長 都はこれまで、企業によるパラスポーツへの支援の充実を図るため、パラアスリート雇用などの先進的な取組事例をセミナーで紹介するほか、競技団体との交流会も開催しまして、製品の提供などにつなげております。
来年度は、これに加え、新たにオンライン上で交流できるプラットフォームを構築し、デフスポーツを含む競技団体のニーズと企業のノウハウや製品を継続的にマッチングしてまいります。
より多くの企業がこの仕組みを活用してパラスポーツを支援いただけますよう、今後、企業のCSR部門などに働きかけてまいります。
○まつば委員 次に、健康増進について質問します。
都議会公明党は、都のアーバン・フィットネス事業などを通じて、社会人などに向けた健康増進の取組を応援しています。
生活文化スポーツ局では、日本フィットネス産業協会とコラボして、スマートフォンなどで成果を確認できる体力テストアプリを開発しています。
今後は、こうしたアプリも活用し、働き盛り世代のうちから将来を見据え、より無理なく運動習慣を身につけてもらえるよう、さらなる取組を進めるべきですが、見解を求めます。
○古屋生活文化スポーツ局長 都はこれまで、業界団体と連携した運動能力測定を様々な地域イベントなどで実施してまいりました。
そして、その際、測定結果を記録するアプリにより、体力の評価や運動アドバイスを行い、自らの体の状態を知ってもらうことで、運動に取り組むきっかけを提供してまいりました。
来年度は、新たに従業員のスポーツ支援に取り組む企業などと連携しまして、スポーツ実施率の低い働き盛り世代を対象に、職場での測定を実施いたします。
また、区市町村が実施するアプリを活用した運動能力測定への補助を行いまして、都民の運動習慣の定着につなげてまいります。
○まつば委員 また、この働き盛り世代向けの体力テストアプリは、企業がCSRや人材確保策として取り組む健康経営の取組でも有効です。
健康経営の推進について、都は、全国健康保険協会、各種の保険組合、東京商工会議所などと連携し、健康経営に取り組む企業を認定する制度を設けています。
一方、全国に目を向けると、健康経営に関する知事表彰制度を設けている自治体もあります。
こうした状況を踏まえつつ、生活文化スポーツ局によるアプリを活用した取組との連動や表彰制度の創設など、働き盛り世代の健康増進を強力に推し進めるため、健康経営をさらに推進していくための効果的な取組を展開すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
○小池知事 多くの企業が集積する東京におきまして、働く世代の健康を維持増進するためには、職場での健康づくりが重要でございます。
都は、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する健康経営に取り組む企業を増やす、そのため、事業者団体と連携しまして、経営層への普及啓発などに取り組んでおります。
来年度でございますが、企業が従業員の食生活や運動習慣などを定量的に把握をし、継続して検証できる仕組みの構築によって、健康経営の取組を一層推進してまいります。
今後、健康づくりの動機づけにつながる体力測定など、企業の好事例を広く周知するとともに、健康経営に対する意欲をさらに高められるように取り組んでまいります。
○まつば委員 数値の裏づけを重要視しての健康増進は、高齢者などでもより効果的な取組につながるものと考えます。
例えば福祉局では、令和七年度にアプリを活用した高齢者の健康づくり推進事業を開始して、区市町村を通じて、高齢者にアプリとスマートウオッチを配布し、区市町村での健康増進やフレイル対策を進めるとのことです。
また、アプリを活用し、離れて住む家族による見守りや医療機関との連携も図るとのことであり、大いに期待するものであります。
このアプリの活用を期待する中で、具体的な七年度事業の取組内容と今後の展開について見解を求めます。
○山口福祉局長 都は現在、東京都健康長寿医療センターの知見を活用し、バイタル情報や身体活動量から健康状態を把握するアプリの開発を進めておりまして、来年度は、区市町村のフレイル予防事業などに参加する高齢者に本アプリを提供いたします。
本アプリには、高齢者自らが健康づくりに主体的に取り組めるよう、身体活動量などの変化に応じて行動変容を促すメッセージを発信する機能のほか、別居の家族などが高齢者の日々の活動状況を確認できる機能も実装いたします。
今後、こうした計測データをかかりつけ医などが有効に利用できる仕組みを検討するなど、本アプリの活用により、高齢者の一層の健康維持増進に取り組んでまいります。
○中山副委員長 まつば多美子理事の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時十六分休憩
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