午後二時五十五分開議
○尾崎副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
小山くにひこ委員の発言を許します。
○小山委員 初めに、二月二十六日に発生しました大船渡市の大規模な山林火災について申し上げます。この火災では、二千九百ヘクタールが焼失したとのことでありますが、既に鎮圧が宣言され、避難指示は全面解除されましたが、消火活動は今も継続中であります。被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、現地で消火活動に当たっていただきました東京消防庁の消防隊員の皆様に心より敬意を表し、質問に入ります。
小池知事は、知事就任後、東京大改革を実現するため、ワイズスペンディングを徹底され、常に事業を見直し、新たな事業へとつなげてこられました。赤ちゃんファースト、〇一八サポートなど、都の先進的な事業を支えているのが持続可能な財政運営です。私たちの提案により、都は事業評価の仕組みを強化することで、年間一千億円以上、九年間で約九千四百億円の財源を新たに生み出し、人への投資等に充てておられます。
都は、財政の健全性を維持しながら、様々な課題に対応してきたといえますが、今後も多くの財政需要を抱えていることを踏まえると、ワイズスペンディングのさらなる徹底が必要です。
私たちは、評価制度における外部専門家の一層の活用を求め、昨年の第四回定例会において財務局長から、評価制度全体のさらなる深化に向け、外部有識者との意見交換を行うなど、評価制度の充実に取り組んでいく旨の答弁がありました。
そこで、評価制度の充実に当たっては、しっかりと財源を確保し、外部専門家の目がさらに入るような体制とするとともに、その視点を分かりやすく公開し、都民の理解と共感を得られるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山下財務局長 都は、予算編成の一環として、一つ一つの事業を徹底的に検証すると同時に、より成果重視の視点から、外部有識者の意見等を踏まえ、施策全体の方向性を一体的に評価するなど、評価制度の充実に取り組んでまいりました。
また、評価結果を一件別に公表するほか、評価の取組を通じた外部有識者からの意見と対応状況もホームページ上のダッシュボードに掲載するなど、アカウンタビリティーの確保にも努めております。
こうした取組を踏まえつつ、評価制度のバージョンアップの観点から、新たに外部有識者による会議を立ち上げ、より効果的な仕組みやアカウンタビリティーの向上策などの意見をいただき、今後の予算編成に反映してまいります。
○小山委員 評価制度の取組強化に加え、私たちは令和七年度予算要望で、ワイズスペンディングの一環として三兆六千億の都の基金の積極運用による税外収入の確保を提案させていただきました。これらにより得られる運用益を教育、福祉、産業振興などの未来への投資に充てることを目指すべきであります。
今年一月の日銀の政策金利引上げにより、十年物国債の利回りは約十五年ぶりの高水準となる一・五%超となりました。外部専門家も運用環境の改善を指摘しておりまして、今後も金利上昇が予想される中、都基金の積極運用に移行する絶好のタイミングだと考えます。
そこで、都は、令和七年度の基金の運用について、外部有識者の意見も踏まえ、どのように取り組んでいくのか伺います。
○梅村会計管理局長 有識者からは、安全性を最優先とする公金管理の基本方針は維持する中でも、金利がある世界となり、預金に比べ比較的利回りの見込める債券の比重を高めることが合理的である、また、金利上昇局面を踏まえた対応が必要であるなどの意見がございました。
こうした知見を踏まえまして、安全性の確保を前提に、現在三割の債券運用割合を四割に段階的に引き上げていくことを検討しております。その際、短期の債券を組み入れ流動性を確保するほか、金利上昇の動きを的確に捉え利回り向上につなげるため、購入時期を計画的に分散することを想定しております。
これらの取組を来年度の公金管理計画に反映し、金融環境に柔軟に応じながら運用収益の最大化を図ってまいります。
○小山委員 続いて、私たち都民ファーストの会東京都議団が最も重視をしております人への投資であります。
ワイズスペンディングで生み出した財源は、人が輝く東京の実現に向けた投資強化に使うべきであります。
まず重要なのは子供たちの健やかな成長です。子供たちが自ら未来を切り開いていく上で、コミュニケーション力や意欲、忍耐力など、数値で測定がし難い非認知能力の育成がますます重要になっております。非認知能力は、四歳から五歳の未就学児段階で大きく発達し、学童期、思春期に伸びるとされていまして、意欲、自己肯定感、社会性などの非認知能力を養うことをコンセプトとするすくわくプログラムは大変意欲的な取組です。
一方で、この非認知能力の伸長というのはまだ研究段階にあることから、効果検証が難しいことも事実であります。
この状況において、質を高める方法として、私たちは学校教育で実績のある研究授業などを参考にするよう求めてまいりました。今後、すくわくプログラムが量的に拡大していく中で、来年度、質を高める取組の充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
○田中子供政策連携室長 幼稚園や保育所等におけるプログラム実践の質を高めるため、都は、取組のポイントを紹介する動画や実践に携わる専門家のアドバイスをまとめたヒント集を提供するとともに、頻度の高い質問に答えるチャットボットを今月導入するなど、きめ細かく実践をサポートいたします。
こうした取組に加えまして、来年度、新たにすくわくナビゲーター園制度を立ち上げます。具体的には、優良な取組を行うナビゲーター園が他園に対して見学の受入れや交流、取組の紹介等を行うことで、園同士のネットワークを創出し、相互に学び合う仕組みを構築してまいります。
重層的な支援を通じまして、質の高いプログラムの実践を後押ししてまいります。
○小山委員 卒業式や卒園式の時期を迎えまして、間もなく入学式も挙行されます。とりわけ、小学校一年生は、保育園や幼稚園など様々な施設から来た子供たちでございまして、新たな集団生活を始める時期となります。子供の特性も多様で、集団行動に慣れない、あるいは授業中に座っていられない状態が続く小一プロブレムや、環境対応の難しさから不登校になるケースが増加をしておりまして、早急な対策が必要だと考えます。
そこで、一部の自治体では、入学後一か月間は仮の学級、プレクラスを編制して子供の様子を見た上で、その上で学級を再編制する取組を行っております。
そこで、子供の特性に応じた指導や学級編制の工夫を行う区市町村を支援するなど、小学校一年生への支援の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本教育長 小学校に入った児童が、集団での行動や授業の時間割等のルールに慣れ、学校での生活を円滑に送るためのサポートは重要でございます。
このため、都教育委員会は、来年度、小学校の一年生を担当する教員等を支援する体制の強化を図ります。具体的には、小学校の低学年で担任教員をサポートする外部人材を、一年生の学級に新たに配置するモデル的な取組を開始いたします。
これによりまして、入学当初の一か月を含め、年間を通じ、担任と外部の人材が児童の状況をきめ細かく把握し対応できる仕組みといたします。また、この体制を活用いたしまして、幼稚園や保育所と情報交換を進め、連携の強化に役立ててまいります。
○小山委員 私たちの要望を受け、都では今年度から国に先駆けて所得制限を撤廃し、高校授業料の実質無償化が実施をされました。しかし、高校生の保護者からは、授業料以外にも学用品購入、修学旅行費、模擬試験受験料など様々な教育費を負担しておられ、都教育委員会は授業料以外の教育費支援として、国の奨学給付金に加え、都独自の給付型奨学金制度を実施しております。私たちの要望により、この模擬試験、検定試験受験料から修学旅行費、校外学習費へと対象経費を拡大し、教育費負担軽減を図ってきたことは評価をしたいと思います。
一方、対象経費拡大により予算執行率は上昇しておりますが、まだ六割程度にとどまっているのが現状でもあります。
また、物価高騰が長期化しているこの状況も踏まえ、給付型奨学金の支給対象を一層拡大するなど、教育費の保護者負担の軽減を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本教育長 家庭の経済状況にかかわらず、都立高校等に通う生徒が多様な教育活動に主体的に参加できるよう、保護者負担の軽減を図っていくことは重要でございます。
このため、都教育委員会は、都独自の給付型奨学金等によりまして、低所得世帯への支援を実施しております。この奨学金では、保護者の負担すべき経費や国の奨学給付金の仕組みを考慮した上で、対象の項目を決めているところでございます。こうした中、多様な教育ニーズに十分対応できるよう、修学旅行や補助教材の経費を対象に含めるなどの充実を図っております。
来年度から、体育祭や文化祭を含めた学校行事に係る経費等を新たに対象に加えまして、保護者負担の軽減に一層役立つ給付型奨学金の制度といたします。
○小山委員 一方、グローバル化の進展によりまして、一国では解決できない課題に世界が直面している中、世界の至るところで生み出されている技術、あるいはアイデア、これらが融合することで課題を解決できる新しい価値を創出しております。こうしたイノベーションを牽引しているのは、まさに若者でありまして、その支援と育成は極めて重要であります。
先日、知事は、都立大学における国際系新学部の開設を目指し、準備を進めることを表明されましたが、都立大学の国際化を積極的に後押しする知事の姿勢を高く評価させていただきます。
そこで、国際系学部を新設することを契機に、世界と渡り合える人材の育成強化を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 次の世代、次世代を担う若者が自らの可能性を大きく広げていくには、世界を知り、グローバルな素養を磨くことが重要でございます。
都立大学では、これまでも秋入学の導入や国際的な視点を養う特別講座の開講など、世界に通用する教育を推進してまいりました。今般、グローバル人材の育成を一層進めるため、令和十年度の新学部開設を目指しまして準備に着手をいたしました。
新学部では、幅広い分野の授業を英語で実施いたしまして、海外への留学を必須といたします。加えまして、他の学部でも英語で学位が取得できるプログラムを拡大いたします。
こうした取組によって、国内外から学生が集い、互いに切磋琢磨する中で、多様な価値観や文化の違いを超えて協働し、課題を解決する力を養ってまいります。
来年度、新しい理事長を迎えることといたしております。新しい体制の下で、未来を切り開く人材を育成する都立大学の取組を、都は全力で支援してまいります。
○小山委員 ぜひ東京から日本の未来、世界の未来を切り開く人材育成をお願いしたいと思います。
少子高齢化の進行や地域社会の変化に伴い、地域福祉の最前線を担う民生児童委員の役割はかつてないほど重要となっております。子育て世帯への支援、高齢者の見守り、さらには生活困窮者や外国人住民への対応など、民生児童委員が直面する課題は多岐にわたり、複雑化をしております。民生児童委員の委員活動の多様化に伴って、経済的な負担も増加していることから、活動費の増額や地区の協議会に対する支援を求めてまいりました。
しかし、いまだ負担感が大きく、成り手不足が常態化している中で、民生児童委員のさらなる活動費の増額、活動をサポートするための協議会活動やデジタル機器を用いた情報共有など、負担を軽減するあらゆる取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。
○山口福祉局長 都は、地域社会を支える重要な役割を担う民生児童委員に対して、実費相当の活動費の支給やタブレット端末の配布、委員同士の意見交換などを行う協議会に対する支援などによりまして、活動環境の整備に取り組んでおります。
近年、高齢化の進展や地域住民が抱える課題の複雑化、複合化などにより、委員の負担が増大をしております。
こうしたことを踏まえまして、来年度から、活動費について、一般委員の例で一人当たり月額八千八百円から一万円に拡充するとともに、区市町村が行うデジタル機器の整備などを支援いたします。
今後も、民生児童委員や区市町村などの意見を聞きながら活動を支援してまいります。
○小山委員 次に、介護、医療のセーフティーネット強化についてお伺いをいたします。
団塊の世代全員が七十五歳となる介護の二〇二五年問題に直面することとなり、介護対策は待ったなしの状況であります。昨年度の介護給付費用は十一兆円を超え、介護保険創設以来、三倍以上に増大をしました。
国では、持続可能な社会保険制度の議論が進んでおりますが、人生百年時代には介護の質向上と制度の持続可能性を両立させるため、見守る介護から元気にする介護への転換が急務だと考えます。現在の介護保険制度では、介護度が高いほど事業者への報酬が高くなるため、高齢者の介護度改善へのインセンティブが働きにくい課題があります。
そこで、私たちは、科学的データに基づき介護度改善に努める事業者への報奨金制度を提案し、事業化をいたしました。参加事業者では、要介護度の維持改善など、着実な成果が出ているとのことであります。
しかし、介護現場からは、自立支援介護の取組のきっかけになったという喜びの声がある一方で、育成にも課題があるようであります。
来年度、本事業をより実効性のあるものとするため、科学的介護の取組を進め、自立支援に向けた介護に取り組む事業者の育成に資する取組も後押しをしてまいるべきと考えますが、見解を伺います。
○山口福祉局長 科学的介護に基づく利用者の自立支援に向けた取組を開始していない事業者からは、手法や手順が分からない、介護報酬の減収につながるなどの懸念の声がございます。
そのため、都は、このような事業者の取組が進むよう、来年度から新たに、自立支援に向けた介護のノウハウを有する事業者が研修や伴走型支援などを行い、その成果を分析、評価し、関係団体に共有するなどの取組に対して、最大千五百万円の支援を行います。
こうした取組を通じまして、自立支援に向けた介護を推進してまいります。
○小山委員 ぜひ元気にする介護へと大きな転換を図っていただきたいと思います。
介護休業については、かねてより、育業に比べて取得率が圧倒的に低いことが課題となっております。この四月から、社員に対して介護に係る両立支援制度の情報提供を企業に義務づける改正育児・介護休業法が施行をされます。
しかしながら、国の調査では、介護離職に至った人の多くが介護休業等を利用しにくい雰囲気があったと回答しておりまして、介護休業をしやすい職場環境づくりにさらなる後押しが必要と考えます。
こうした考えの下、私たちは、昨年第四回定例会の代表質問におきまして、育業を行う社員の同僚への支援と同様の取組を介護についても行うように求め、都から検討する旨の答弁を得たところであります。今後、介護休業を取得する社員が社内で多くの理解を得られるよう取り組むべきでありますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 介護を抱えます従業員を職場全体で支え、誰もが気兼ねなく介護休業等を取得できるよう後押しすることは重要でございます。
都は来年度、介護休業を促進する奨励金につきまして、休業する社員の同僚への手当の支給や、休業中の業務継続の計画づくりなどに取り組む企業に対しまして、新たに最大五十万円の加算を行うとともに、規模を八十社に拡充いたします。
また、介護と仕事の両立ができる職場環境づくりを促す奨励金につきまして、介護を抱える従業員の置かれている状況を理解するための疑似体験型研修を管理職向けに行った場合に二十万円の加算を新設いたします。
○小山委員 介護休業も介護休暇も利用せずに退職に至る方は、代替要員が確保しにくい中小企業ほど多いといわれております。同僚と助け合うことをねぎらう取組も広がっておりまして、大切な人材を失わないためにも、都の支援をしっかり伝えていただくことを求めておきます。
オーラルフレイル対策についてお伺いをいたします。
口腔内環境の悪化は認知症進行にも関連するため、食べる力を維持する支援強化が重要であります。昨年の第四回定例会で私たちの質問に対し、都は、東京都後期高齢者医療広域連合と連携して歯科健診の受診促進策を検討すると答弁をいたしました。
長崎県では、後期高齢者の歯科健診が毎年無料でありまして、このような事例も参考にすべきと考えます。
そこで、後期高齢者のオーラルフレイル対策を推進するため、歯科健診の受診促進に向けたさらなる支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 後期高齢者のオーラルフレイルを予防するには、そしゃくや嚥下など口腔機能の評価を含む歯科健診を住み慣れた地域で受診できる環境を整備することが重要でございます。
このため、都は、来年度から新たに、自己負担なしで口腔機能の評価を含めた歯科健診を実施する区市町村を支援いたします。具体的には、東京都後期高齢者医療広域連合を通じ、区市町村の財政負担を二分の一に軽減する考えの下、都独自に国の補助額と同額の上乗せ補助を行います。
こうした取組によりまして、後期高齢者の口腔機能の評価を実施する区市町村の拡大を図り、身近な地域における歯科健診の受診を一層促進し、歯と口の健康づくりを推進してまいります。
○小山委員 来年度予算には、私たちが強く求めました地域医療確保のための緊急支援が計上されております。医療機関の持続可能な経営には、患者に寄り添ったサービス展開が重要です。
病院では、診察の待ち時間や会計、処方箋受け取りまでの時間が長く、医師との数分の診察のために、全体で一時間以上かかることもあります。
これまで私たちは、都立病院の待ち時間短縮を進めてまいりました。具体的には、スマートフォンで診察順を確認できるアプリの導入や、クレジットカード事前登録による診療費を後払いサービスにするという、こういったことも実際に患者サービスの向上へとつながっております。
今後は、都立病院におけます取組を民間病院においても展開することが必要と考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 患者や家族の目線に立ったサービスの質の向上は重要であり、都立病院では、院内のWi-Fi設置や専用のスマートフォンアプリによる診療費の後払いサービスの導入など、デジタル技術を活用した取組を進めております。
また、都は、医療機関に対して、患者の症状に応じた質問を自動で行うAI問診や、診療記録の音声自動入力など、AI技術の活用を支援するほか、電子処方箋の導入経費を補助しております。
今後、こうした取組の検証や、患者満足度調査によるデジタル技術の活用に関する患者ニーズの把握も行いながら、都医師会とも連携し、診療前後の待ち時間の短縮など患者サービスの充実に向けた取組を推進してまいります。
○小山委員 人が輝く東京の実現とともに、都民の命と財産を守る防犯、防災対策は極めて重要な課題であります。
近年の匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウによる特殊詐欺や強盗への対策は喫緊の課題となっています。
令和七年度予算への私たちの最重点要望として、特殊詐欺や強盗から都民を守る防犯対策強化を求め、防犯対策機器への新規補助事業創設を要望いたしました。
本予算案では、防犯カメラやカメラ付インターホンなどの設置への二万円助成が計上され、大いに期待をされております。
このような中、戸建て住宅だけでなく、マンションやアパートなどの集合住宅居住者からも、対象となるか多数の問合せをいただいております。都内には、集合住宅が地域の大半を占める基礎自治体もございます。
そこで、防犯上の有効性を高め、地域の実情に即して広く都民の皆様が対象となるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、いわゆる闇バイトが関係する強盗の発生を受け、これまで被害を防ぐためのポイントを示したポスターを作成し、都民に防犯対策の重要性を訴えてまいりました。
令和七年度から開始する防犯機器等の購入、設置に対する補助事業では、戸建てに加え、集合住宅も対象としており、住まいに合った防犯対策を講じられるよう、防犯カメラや防犯フィルム、補助錠など、住宅の防犯に有用な機器を幅広く例示してまいります。
補助の実施主体となる市区町村が、地域の住宅事情を踏まえ、対象とする住宅や効果が期待できる防犯機器等を選定できる制度といたします。
引き続き、自治体の実情をよく聞き取りながら準備を進めてまいります。
○小山委員 東日本大震災から十四年の歳月がたちました。十四年前の昨日、三月十一日は都議会の閉会日でございました。全ての議事を終えまして閉会し、控室に戻った直後に、あの大きな揺れを感じたわけであります。控室のテレビをつけ、報道により事態の深刻さを私たちも知ることになったわけでありますが、その状況を今でも鮮明に覚えております。現実のものとは思えないあの津波報道に愕然といたしましたし、府中への帰路は、多くの帰宅困難者が長蛇の列となっている事態が生じておりました。
以来、東京都として、東日本大震災をはじめこれまでの災害を教訓として、災害対策、防災の充実強化を不断に図ってこられました。小池知事は、備えよ常にの下、首都防衛としてさらなる取組と強化を図られております。
昨年元日に発災しました能登半島地震では、改めてトイレの課題が教訓として残りました。発災翌日には阪神・淡路大震災の際と同様にトイレパニックが生じました。これまでの災害時の避難生活では、トイレを使いたくないために水や食事を控えることにより、エコノミー症候群のリスクが高まったり、あるいは栄養不足となるケースが続出をいたしております。災害時のトイレの確保は、被災者の命を守る上でも極めて重要な課題です。
そこで、都は、区市町村と連携して、必要な量の災害用トイレの整備を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤総務局長 都は、東京トイレ防災マスタープランや避難所運営指針の素案におきまして、災害発生当初は避難者五十人に一基、一週間以降は二十人に一基とし、必要なトイレの数量や携帯トイレ、マンホールトイレなど様々な種類を示しております。また、避難所におきましては、女性用トイレの数を男性用の三倍とするほか、発災直後から水洗トイレを使用できることを都独自の基準としております。
来年度は、プラン等の内容を丁寧に説明し、区市町村がトイレ確保に向けた計画を策定できるよう支援をいたします。さらに、地域の特性や被害想定等に応じた有効なトイレを十分に確保できるよう、これまでの防災資器材への補助に加えまして、マンホールトイレやトイレカーなど、様々な災害用トイレを対象とする新たな補助金を創設いたします。
○小山委員 災害時のトイレについては、十分な量を確保することに加えまして、使用後のし尿の処理なども重要な課題となっております。区市町村等と連携して対策を進めることを求めておきたいと思います。
また、能登半島地震では、道路や上下水道施設を中心に甚大な被害が発生をいたしました。六県において最大十三・六万戸で断水が発生し、特に石川県輪島市や珠洲市では長期間にわたって断水が続き、給水を求める被災者の方々は厳しい環境の中で長蛇の列となるなど、大変つらい思いをされました。
私たちは昨年の予算特別委員会において、避難所における応急給水に関する改善の提案をし、知事から災害時における都民の給水に万全を期すとの答弁をいただいております。
そこで、避難所で円滑に給水ができるよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○佐藤総務局長 都は、避難所などの重要施設への管路や給水管の耐震化を令和四年度までに終えており、災害時においても、通常の給水用設備により水道水を供給できるようにしております。これに加えまして、学校など約二千か所の避難所につきましては、応急給水栓を設置し、より体制を強化しております。
令和七年度からは、能登半島地震での教訓を踏まえまして、応急給水栓を設置している避難所に四口の蛇口を備えた資機材を順次配備していくことで、被災者に速やかに水道水を供給できるようにいたします。
さらに、避難所を管理する区市町村との調整を進めまして、避難所に配備する応急給水栓を拡充するなど、災害時の給水体制のさらなる整備を進めてまいります。
○小山委員 高まる首都直下地震などの脅威に対して、都民の命を守り、被害を最小限に抑えるには、災害時の連絡や情報共有の手段となる携帯電話がつながる環境を確保することも極めて重要であります。
いつ発生してもおかしくない災害への備えを早急に進めるため、私たちは昨年の第四回定例会で、携帯電話基地局の強靱化を推進することを求めました。それを受け、都は、発災時に拠点となる施設周辺の基地局について、通信事業者に対し、電源確保や衛星活用などの支援策を検討していくとの答弁がありました。
喫緊の課題である基地局強靱化を迅速に進めていくため、通信事業者の取組をしっかりと支援し、災害時の通信確保を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山田デジタルサービス局長 災害時の初動や応急復旧にはモバイル通信が不可欠であることから、通信事業者の基地局強靱化に向けた取組に対しまして、新たに支援策を開始いたします。
具体的には、主要駅や災害拠点病院など重要な施設周辺の都内の約三千の基地局を対象に、電源の長時間化や衛星通信を用いましたバックアップ回線の導入費用を、国と共に全額補助いたしまして、強力に後押しをしてまいります。
来年度は、都内約四百五十か所の整備を計画しておりまして、整備内容の調整や基地局が設置されている民間ビルなどの所有者への働きかけを進め、迅速な着手につなげてまいります。
災害時の生命線となる通信の確保に向けまして、官民で緊密に連携いたしまして、基地局の強靱化を推進してまいります。
○小山委員 気候変動の影響から、日本各地で毎年、集中豪雨や台風による豪雨災害が頻発をいたしております。昨年九月には能登半島で地震からの復興途上で線状降水帯による豪雨災害が追い打ちをかけました。一日で数百ミリの豪雨も珍しくなくなり、都内でも、昨年夏には時間百ミリを超える局所的な集中豪雨が発生しておりまして、大規模水害のリスクが高まっております。
都はこれまで、護岸や調節池等の河川整備を進め、浸水被害の軽減に大きな効果を上げております。特に調節池は降水時に多くの水をため、河川水位を下げる重要な役割を果たしております。
そこで、豪雨から都民の命と暮らしを守るため、今後もこうした調節池整備を推進していく必要があると考えますが、これまでの整備状況と今後の取組について伺います。
○花井建設局長 水害から都民の命と暮らしを守るため、護岸に加え、調節池等の整備を推進していくことが重要でございます。
都はこれまで、二十七か所、総貯留量二百六十四万立米分の調節池を整備してきており、昨年は延べ百十五万立米の洪水を取水し、下流の水位を低下させました。
令和七年度は、城北中央公園調節池など九か所で工事を実施いたします。また、二〇三五年度までの事業化目標でございます二百五十万立米の達成に向けまして、野川など八河川で候補地や形式の検討を行います。
加えまして、環七地下広域調整池等を連結し、東京湾までつなぐ地下河川では、トンネルの基本構造等の検討を進めてまいります。
こうした取組によりまして、水害に強い東京を実現してまいります。
○小山委員 先ほども申し上げましたが、気候変動による気温上昇は水害リスクも高めております。気候変動や暑さへの対策は、災害対策と同様に都民の命と財産を守る重要な課題であります。
令和六年夏は統計史上最高の暑さで、熱中症による都内救急搬送者数も過去最多でございました。気象庁によりますと、今年も猛暑の見込みでございまして、災害級の厳しい状況が想定をされます。気候変動で猛暑は今後さらに深刻化し、都市環境や自然災害など広範囲に影響が出ると見込まれます。
昨年の第三回定例会で小池知事は、全庁横断のチームで暑さ対策を強化するとの答弁をされております。
そこで、今般公表されました。二〇五〇東京戦略(案)の策定に当たり、暑さ対策を全庁横断のチームでどのように強化をされ、また、どのように推進をしていくのか、知事の見解を伺います。
○小池知事 ご質問にもありましたように、昨年の世界の平均気温、観測史上最高を記録したといわれております。まさに地球沸騰化が叫ばれる中、猛暑から都民を守ることは首都防衛の重要課題の一つでございます。
都はこれまでも、東京二〇二〇大会のレガシーも生かしまして、時期やターゲット層に応じた戦略的な広報展開や、また、救急医療体制の強化、遮熱性舗装など暑さ対策に取り組んでまいりました。
暑さ対策を一層強化、推進するため、エネルギー等対策本部の下に新たにプロジェクトチームを設置いたしまして、全庁横断でハード、ソフト両面から対策の検討を進めてまいりました。
今後、二〇五〇東京戦略の下、気候変動に適応した都市の形成に向けまして、緑化や住宅の断熱化など、都市、住宅環境の整備を一層進めてまいります。
また、福祉や教育現場、スポーツイベント、工事現場等における熱中症対策の推進、きめ細かな情報発信など、暑さから命を守る取組を幅広く強化してまいります。
全庁横断のチームで暑さ対策に取り組んで、都民が安心して暮らせる持続可能な都市を実現してまいります。
○小山委員 ただいま小池知事から大変力強いご答弁をいただきました。プロジェクトチームも設置をされ、全庁横断での取組がまさに令和七年度予算でも各取組につながっているものと評価をしたいと思います。
都立学校では、暑さ指数測定器を用意するなど、自主的な暑さ対策も見られます。気象庁の、先ほども申し上げましたように、長期予報によりますと、当然、今年の夏も暑くなる見通しでありまして、生徒が熱中症で救急搬送されることがないよう、都立学校の熱中症対策を強化すべきと考えますが、具体的な取組内容をお伺いいたします。
○坂本教育長 夏の気温の上がる中、屋外で学校教育を行う場合、生徒の安全と安心を確保する取組の充実は重要でございます。
これまで都教育委員会は、全ての都立学校の普通教室や体育館等に空調設備の導入を行ってまいりました。
また、屋外を含め学校で暑さ等の度合いが高くなった場合の対応を定めたガイドラインを策定いたしまして、各校の取組に役立てているところでございます。
来年度は、屋外での熱中症の発生を抑えるため二つの都立学校で校庭に一定の広さの日よけをモデル的に設置し、効果を検証いたします。
また、全ての都立学校で暑さ指数の測定器のほか、テントやミストシャワーなどを確保できるよう、新たに事業経費を計上しております。
これによりまして、都立学校での熱中症対策を強化いたします。
○小山委員 ぜひ都立学校での対策に加えまして、都内小学校、中学校の児童生徒を守る対策を区市町村教育委員会と連携して対応していただくことも求めておきたいと思います。
先ほど知事からもありましたように、まさにこの暑さはスポーツにも大きな影響が生じております。
スポーツイベントの延期、中止やあるいは試合や大会などで、熱中症によりアスリートや観客の皆様が体調悪化を訴える、そういった事態も生じております。
また、審判など試合や大会を支える人にとっても命に関わる危険性があります。
そこで、誰もがスポーツを楽しめるよう、より一層このスポーツの暑さ対策が必要と考えますが、今後の取組を伺います。
○古屋生活文化スポーツ局長 都は今年度から、審判員を含む全ての参加者が適切に暑さ対策を行えるよう、区市町村の体育、スポーツ協会を対象に、飲料や氷のうといった消耗品に加えまして、備品の購入経費も補助する事業を開始し、全体の八割を超える四十九の協会で利用されております。
来年度は、より参加者の多い大会や強化練習会においても活用できるよう、事業の対象に都内を統括する競技団体も加えまして、一団体百万円を上限に支援してまいります。暑さよけテントやスポットクーラーの設置などに活用していただきまして、暑さ対策を一層充実いたします。
○小山委員 ただいまご答弁いただきました取組を含め、ぜひ夏場におけるスポーツ活動が安全・安心に実施されるように求めておきたいと思います。
もう一つ、介護の分野でも、高齢者宅に訪問するヘルパーなどが熱中症のリスクが極めて高く、対応が必要と考えますが、今後の取組内容についてお伺いをいたします。
○山口福祉局長 都は来年度、夏場に自転車などで高齢者宅を訪問する訪問介護員等の熱中症対策として、訪問介護事業所や訪問看護事業所などを対象に、ファン付作業着や保冷剤入りベスト、首掛け扇風機などの購入経費への支援を開始いたします。
事業所には、職員数に応じまして、補助基準額を十万円から五十万円まで設定をし、その四分の三を補助いたします。
○小山委員 働く人の暑さ対策としては、猛暑日の外出を控えるためのテレワークも有効であります。
都はこれまで、コロナ禍で浮き彫りとなりましたデジタル化の遅れなどを爆速で対応を進めてこられました。その結果、都内企業のテレワーク導入率は約六割に上昇しましたが、出社する社員とテレワークをする社員との公平性などに配慮し、出社回帰の動きも見られております。
猛暑時などで屋外で働かざるを得ない作業員を多く抱える等の事情からテレワークの導入が進まない業種もありますが、そうした企業に対する支援も必要であります。
そこで、テレワークを使いこなすことにより、誰もが希望に応じた柔軟な働き方ができるよう、企業を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 テレワークの浸透を図るためには、テレワークを必要とする社員が確実に利用できる環境を整えるとともに、その活用が困難な現場に配慮した対応が必要でございます。
都は来年度、テレワークを導入する企業への支援を強化いたします。具体的には、育児や介護を行います社員のために在宅勤務制度を整備する場合や、猛暑時においてもテレワークが活用できない現場作業の社員に配慮した対策を行う場合に助成金の加算を行い、延べ四百社を支援いたします。
また、出社とテレワークのベストバランスの構築に当たり課題となる労務管理や仕事の評価について、解決手法のモデルを示すなど企業への支援も強化いたします。
○小山委員 気候変動、暑さ対策に関連してフロン対策についてお伺いします。
フロンは冷凍冷蔵機器等の冷媒として広く活用されておりますが、非常に高い温室効果があり、気候変動対策としてその排出削減は大きな課題となっています。
都は、都内フロン排出量を二〇三五年までに二〇一四年度比七〇%削減する新目標を提示いたしました。
二〇二二年度の都内フロン排出量はCO2換算で約六百四十万トン、温室効果ガス総排出量の約一割に及んでおります。目標達成には、これまでの取組に加え、実効性のある対策を早急に実施すべきであります。
現在、フロン漏えいの大半を占める業務用機器からの漏えいは、七割が使用時に発生しておりまして、機器の故障や配管劣化などによりフロンの漏えいが起こったまま使用していることが原因とのことであります。
そこで、都もAI等の先進技術を積極的に活用し、使用時の漏えいを抑える対策を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○須藤環境局長 フロン漏えいの発見は極めて難しく、機器の不具合が発生するまで漏えいが進行してしまう場合がございます。
そこで都は、AIなどを活用し、漏えいを早期に発見する技術を実証してまいりました。
この結果、遠隔での迅速な検知に加え、使用電力や管理コストの軽減などの効果を確認いたしました。
来年度は、こうした優れた技術を導入する事業者に対し、機器購入費や設置工事費の最大三分の二を支援する新たな事業を開始するほか、活用事例や事業者向けセミナーなどによりメリットを広く発信し、活用を促してまいります。
また、AIなどを活用した漏えいリスクを判定するシステムを構築し、法令による立入検査等で活用するなど、フロン削減に向けた実効ある取組を進め、対策を加速してまいります。
○小山委員 都内にはいまだフロン冷媒を使用した空調、冷凍冷蔵設備が多く設置されております。これらの機器からのフロン漏えいを効率的に早期発見するには、AIなどの先進技術活用が欠かせません。
今後も、都自らが積極的に先進技術を活用するとともに、事業者への普及啓発と効果的な支援の継続を要望いたします。
今年一月、先ほど来、申し上げておりますように、二〇二四年、令和六年は観測史上最も暑い一年だったと発表されました。
地球温暖化は確実に進行しておりまして、気候変動を一・五度C以内に抑える目標達成には、先進国だけでなく、今後エネルギー消費が大幅に増加するグローバルサウス諸国の脱炭素化も重要であります。
この課題解決には様々な技術活用が必要でありますが、資源の少ない日本には世界に誇る省エネ技術を持つ企業が多数ありまして、大きく貢献できる可能性があります。
そこで、グローバルサウス諸国の脱炭素化に都内企業の持つ優れた技術を生かし、海外での新たなビジネス展開につなげられるよう、効果的に後押しをすべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 都は、脱炭素化につながる優れた技術を有する東京の企業がグローバルサウス諸国で行う事業を支援する新たなプロジェクトを開始いたします。
具体的には、省エネや再エネなどの分野で強みを持つ中堅、中小企業やスタートアップ三十社の公募を行い、海外での商慣習に精通し豊富なネットワークを有する商社や銀行などとも連携して、パートナーとなる現地企業とのマッチングやビジネス展開をハンズオンで支援することとしてございます。
また、計画策定や事業実施に要する経費の一部を三年間で最大三億円まで助成するなど強力に後押しすることで、グローバルサウス諸国の脱炭素化を契機とした都内企業の海外でのビジネス機会の創出につなげてまいります。
○小山委員 グローバルサウス諸国は国ごとに事情が異なりますので、企業の現地進出には手厚いサポートをお願いしたいと思います。
様々な主体と連携して、現地ニーズに合った成功事例が多数生まれることを期待いたしております。
地域の脱炭素化について伺います。
都は二〇五〇東京戦略で、二〇三五年に向けて、再エネ実装や省エネ強化等の加速により、脱炭素化とエネルギー安定供給を実現という方向性を示しております。
これまで新築住宅等への太陽光パネル設置義務化や支援策で建築物の脱炭素化を進めてこられました。
二〇三五年の新目標達成や、その先のゼロエミッション実現には、これまでの延長線上ではない実効性ある取組が必要であります。
現在、都内四十八区市町村がゼロカーボンシティを表明するなど、自治体による脱炭素化への機運が高まっております。
こうした中、それぞれの地域特性を踏まえた地域全体での脱炭素化への取組を都が区市町村と一体となって推進していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○須藤環境局長 ゼロエミッション東京に向け、都は来年度から、これまでの住宅や事業所などへの各種補助事業等を通じた点での対策に加え、各自治体の地域特性に応じた実効性の高い取組を面的に推進する新たな事業を開始いたします。
本事業では、意欲ある自治体に対し、伴走型で事業者などとのマッチング等を後押しするとともに、一定のエリアで再エネ設備や基盤インフラなどを整備する際に必要な経費の三分の二を上限十億円で、最長五年間支援いたします。
また、次世代型ソーラーセルの設置や集合住宅の断熱改修などを採択要件とし、地域独自の取組と都の重点施策を一体的に展開いたします。
これらにより、都独自のゼロエミ地区を創出してまいります。
○小山委員 脱炭素化には、都だけでなく区市町村を含めたオール東京での取組が不可欠であります。面的な脱炭素化という新アプローチで、実効性ある多様な取組が都内全域に広がることを求めておきます。
次に、東京の将来を見据えた都市づくりについて伺います。
現在、資材、人件費をはじめ物価高騰が続く中、都心部のマンション購入価格や賃貸価格についても高騰の一途をたどっています。
こうした状況においても、世界に伍していく都市として、東京は活力にあふれ、様々な地域の個性が生かされ、東京ならではの魅力に彩られた唯一無二の都市として進化していく必要があります。そのためにも、知事は先日、都市づくりのグランドデザインの改定に着手する考えを示されました。
東京が世界都市として成長と成熟を遂げていくために、都は、現下の状況をどう捉え、都市づくりをどう進めていくのか、お伺いをいたします。
○谷崎東京都技監 都内の住宅価格は、需要と供給との関係や資材価格、労務費等の建築コスト等が影響していると認識しております。
一方、都市づくりは、都市の活力、防災、環境など、多様な要素を踏まえ、長期的な視点で進めていく必要がございます。
都はこれまで、将来の社会情勢の変化等を見据え、都市づくりに関する長期計画を策定し、その実現に向け、土地利用の規制や誘導等による良質な居住環境の確保や都市の活力を支える都市基盤の整備等を、区市町村とも連携し、民間活力等も活用しながら、適切に進めてまいりました。
今後も将来を見据え、これまでの取組をさらに進めるとともに、都民が豊かさを実感し、多様なライフスタイルがかなう世界一の都市東京の実現を目指しまして、都市づくりを進めてまいります。
○小山委員 都市の魅力ということで申し上げますと、都市における緑の創出について、これまでも私たちは、小池知事が進める東京グリーンビズの下、緑化を拡充し、KK線を東京の緑の空中回廊としていくことを求めてまいりました。
先日、首都高八重洲線の通行止めと合わせ、本年四月のKK線の廃止日時が公表されました。KK線は長きにわたる自動車道としての役割を終え、これからは人中心の東京の新たな魅力的な空間に生まれ変わっていくための新たなフェーズに入っていくこととなります。
KK線の廃止後、緑の充実に加えて、誰もが楽しめる魅力的な歩行者空間としての活用が期待をされておりますが、KK線の魅力向上に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。
○谷崎東京都技監 世界から注目される観光拠点を目指し、KK線の魅力を高めていくためには、潤いやにぎわいのある空間へ再生することが重要でございます。
このため、四季を感じられる緑や日差しを和らげる緑陰の形成、場の使い方に合わせて動かせる緑など、多様な緑の整備について、専門家や企業等とも連携し、東京高速道路株式会社と共に幅広く検討してまいります。
また、デジタルサイネージの掲出など空間の利活用に向けた試行を実施し、広告物のルールについても検討してまいります。
本年四月には、緑や地域の歴史など、テーマ別に専門家と歩くツアー等を実施するほか、デフリンピックの競技会場として活用するなど、KK線の魅力を広く発信してまいります。
○小山委員 小池知事と共に進めてまいりました都民の安全・安心を守り、鉄道遅延をなくすホームドア整備についてお伺いをいたします。
私たちは毎年、中央線をはじめ都内鉄道駅のホームドア整備を知事に強く要望してまいりました。昨年の都知事選で知事から新たな取組が示され、令和七年度予算で整備補助が拡充をされました。その結果、各鉄道事業者からホームドア整備計画が続々と発表されております。
私の地元府中市内には、JRや京王電鉄など多くの方が利用する駅が幾つもあり、これら二社は、都心と多摩地域の移動を支える重要な交通インフラとなっています。
そこで、JR及び京王電鉄等の都内におけるホームドアの早期整備に向け、都としても着実に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎東京都技監 都は二〇二八年度までに、都内におけるJR及び私鉄駅の約六割にホームドアを設置することを目標に、鉄道事業者と共に取り組んでいくことを共同で宣言いたしました。
京王電鉄は、都内全六十六駅のうち、今後、二〇二八年度までに三十一駅で整備すること、JR東日本は、二〇二八年度末までに都内百二十九番線の整備を進め、六割以上のホームで設置を完了する見込みを公表いたしました。
これにより、乗降客数の多い京王線府中駅やJR中央線御茶ノ水駅などでホームドアが設置されることとなります。
都といたしましては、こうした計画を踏まえ、事業者に直接補助を行う新たな制度の活用を促すことなどにより、着実な整備を求めてまいります。
○小山委員 交通インフラ整備の観点からは、鉄道の混雑解消も重要な課題であります。
特に日暮里・舎人ライナーは、四年連続で日本一の混雑率となっており、これまで以上の対策が急務であります。
去る一月二十四日には、足立区より交通局に対し、日暮里・舎人ライナーのさらなる混雑緩和策を求める要望書が提出をされました。
オフピーク通勤のさらなる推進と、バスを活用した混雑緩和の社会実験の実施について要望されたものでありますが、今回注目したいのは、足立区から交通局に対する一方的な要望ではなく、足立区と交通局と連携して取り組むことを求めた点であります。
日暮里・舎人ライナーの混雑に関する区民からの切実な声を踏まえた、区の決意の表れと受け止めております。
こうした足立区の要望を踏まえ、交通局と区とで連携しながら、さらなる交通混雑の緩和に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○久我交通局長 交通局では、これまで、車庫の留置能力の限界を超える合計二十編成まで車両を増備するなど、日暮里・舎人ライナーの混雑対策に最優先で取り組んできたものの、営業を継続しながらハード対策により抜本的な混雑緩和を図ることは困難な状況となっております。
このため、お客様の協力を得ながらご乗車の分散を図るソフト対策が今後一層重要となるものと認識しております。
こうした認識の下、先月には、足立区とも連携しながらオフピークキャンペーンを実施しており、今後、区から要望のあったオフピーク通勤のさらなる促進や、バスを活用した社会実験の具体的内容について、区との協議を進めてまいります。
○小山委員 小池知事は知事就任以来、私たちの強い要望を踏まえ、市町村総合交付金の大幅な増額を含め、多摩地域の振興に力を尽くしていただいております。
今般、二〇五〇東京戦略で、これからの多摩地域のビジョンが示されました。
加えて、その実現などに向け、多摩に特化した視点で多摩振興の施策を取りまとめた多摩振興アクションプランも策定をされ、多摩地域のさらなる発展に取り組んでいただいております。
知事は、二〇五〇年代に向け、多摩地域を誰もが行きたい、住みたいと憧れる地域にするという力強いメッセージを打ち出されております。
そのためには、将来を展望し、社会の変化を捉えて多摩地域の振興を進めることが重要と考えますが、知事の多摩振興への決意をお伺いいたします。
○小池知事 今ご質問にありましたように、私は就任以来、多摩の各地に足を運びまして、市町村長と意見交換を重ねてまいりました。そして、地域の実情をつぶさに把握をしてまいったところでございます。
この間、多摩都市モノレールの延伸、創業支援拠点の開設などの新たな取組を進めましたほか、総合交付金を大幅に増額しております。
そして、都と市町村が連携して、待機児童解消などの政策課題に的確に対応してまいりました。
高度経済成長期に急速に発展いたしました多摩地域がさらなる成長を遂げるためには、人口減少や高齢化、そして空き家の問題、空き家の増加など、地域の課題を逆にむしろチャンスに変えていくという発想が重要かと存じます。
こうした考え方の下で、今般、多摩振興アクションプランの素案を策定いたしました。
このプランでは、空き家を活用いたしました移住、定住の促進、自動運転社会の実現、スマート農業の展開、スタートアップなどによるイノベーション創出など、地域のポテンシャルを最大限に生かした取組を進めてまいります。
中長期も見据えまして、戦略的に施策を推進しまして、三十市町村、色とりどりの個性を伸ばすことで、多摩地域を緑のTAMA手箱といたしまして一層発展させるよう、全力で取り組んでまいります。
○小山委員 多摩振興に格別な力を尽くされてまいりました知事よりご答弁をいただいた、多摩地域を緑のTAMA手箱とするためにも、ぜひ多摩都市モノレールをはじめ、多摩地域の交通インフラの整備や、羽田空港やリニア橋本駅との交通アクセス向上を都として力強く推進していただきますよう強く求めておきたいと思います。
また、多摩の安全・安心の確保の観点から申し上げます。
本年度の予算において、特別区の消防団員の処遇改善が盛り込まれておりますが、多摩地域の消防団員の皆様の処遇改善につきましても、しっかり取り組まれるよう求めておきたいと思います。
先ほど申し上げましたように、多摩地域は、豊かな自然、大規模な工場の立地など、区部とは異なる多様な魅力や価値を有しておりまして、さらなる成長が期待できる地域でございます。
一方で、多摩地域は、区部と比べ高齢化が進んでおり、区部よりも早く人口減少に転じると予測をされております。
一部の地域では、既に人口減少が始まっておりまして、このような状況に的確に対応し、多摩地域の持続的な発展を図っていくことが重要であります。
そこで、多摩地域のまちづくりを今後、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○谷崎東京都技監 少子高齢化の進展や人口減少が見込まれる中においても、都市の持続的発展を可能とするためには、身近な地域で誰もが活動でき、快適に暮らせるまちへの再構築に向けた取組を推進することが重要でございます。
そのため、地域の状況に応じて、都市機能の集積を図るまちづくりに加え、インフラや建物などの既存ストックを活用していくことを、多摩のまちづくり戦略案でお示しいたしました。
リノベーションなどによる子育て世帯が暮らしやすい環境の創出や、デマンド交通、パーソナルモビリティー等の活用による移動手段の確保など、多摩の特性を踏まえたまちづくりを進めてまいります。
○小山委員 多摩地域の振興に向けて、多摩都市モノレールの延伸や構想路線の事業化と、知事の公約にもございました多摩都市モノレールをシルバーパスの対象としていただくことなど、強く要望しておきたいと思います。
東京アプリについて伺います。
二月にリリースされました東京アプリについては、都が大胆な普及促進キャンペーンを示したこともありまして、既に十七万を超えるダウンロードがあったと聞いております。
そして、さきの代表質問において、知事からは、アプリの段階的な機能拡充を行い、都民生活を便利でスマートにするアプリを目指していくとの力強い答弁をいただきました。
このようなアプリを実現するためには、都民に身近な区市町村との連携が欠かせないものと考えております。
私の地元府中市においても、この夏に予定されています、ふちゅペイなどのデジタル地域通貨との連携など、東京アプリを活用した地域経済の活性化などに期待の声が寄せられております。
そこで、東京アプリを都民にとって日常に欠かせないものとし、利便性を実感できるアプリとしていくために、オール東京で着実に取組を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 東京アプリについてでございますが、都庁が丸ごとポケットに入っているかのように行政を身近に感じられるアプリへと磨き上げてまいります。
このアプリを都民生活に浸透させまして暮らしを便利にするためには、地域に根差したサービスを担っている区市町村と歩みを一にいたしまして、相乗効果を生み出していくことが欠かせません。
来年度は、自治体独自アプリと連携をいたしましたポイント交換の機能を実装してまいります。地域の活性化につながりますよう、区市町村のアイデアを形にしていきたいと考えております。
将来的に、様々な手続やサービスの一元的な窓口となりまして、都民の日常に欠かせないアプリとなりますよう、オール東京で取組を進めてまいります。
○小山委員 続いて、都民ファーストの視点で私たちが推進してまいりました受動喫煙対策についてお伺いいたします。
来月で、東京都受動喫煙防止条例の全面施行から満五年を迎えます。
条例により、都内飲食店における禁煙、分煙の取組は進みました。現在、都民の八割から九割、また、喫煙者に限っても八割弱が、条例を良い、やや良いと評価し、非常に高評価を得ております。
もっとも、一部の居酒屋などにおいて、健康増進法上の喫煙目的施設の要件を満たさないにもかかわらず、独自に喫煙目的施設をうたい、全面的に喫煙を認めている店舗が見受けられております。
健康推進プラン21推進会議の施策検討部会でも、喫煙目的施設について、課題として意見が出ていると聞いています。
都は、国に対し、同施設の明確な定義や基準、証明書類等を示すよう、繰り返し提案要求しているとのことでありますが、国において実効的な対策は取られておりません。
そこで、都において、さらなる対策を講じていくべきと考えますが、今後どのように対応していくのか、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 喫煙目的施設は、シガーバーなど喫煙場所の提供を主たる目的とする健康増進法で定める施設でございますが、国が定める要件が曖昧なため、喫煙目的施設を標榜する居酒屋などに対する指導が難しい例がございます。
受動喫煙対策を一層推進するには、施設の基準などの明確化が必要であり、受動喫煙防止条例の施行状況や対策の進捗状況などの評価を行っております都の会議でも指摘されております。
都はこれまで、国への提案要求や九都県市による要望を行ってまいりましたが、国におきまして、改正法が施行され五年が経過した時点の状況に係る検討が予定されておりますことから、改めて国に対し要望してまいります。
○小山委員 今後、喫煙目的施設については、都において、条例改正によって法律よりも要件を加重する等も視野に入れて、対策を検討するよう要望しておきたいと思います。
次に、喫煙禁止場所以外の場所においても、望まない受動喫煙を生じさせることがないようにとの配慮義務が法律に規定をされております。
家庭、居住場所、自家用自動車内、社用車内、屋外などにおいて、都は、望む、望まないにかかわらず、受動喫煙を生じさせることがないよう、周知、啓発を一層図るべきと考えますが、今後の取組について見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、今年度行いました調査で、屋外での受動喫煙を経験した方が一定数いたことなどを踏まえ、来年度から新たに、検索連動型広告を活用し、主に喫煙者を対象に、屋外での喫煙の際に必要な受動喫煙への配慮などについて、具体的な事例を用いた普及啓発を行ってまいります。
また、受動喫煙を生じさせない環境整備をさらに進めるため、区市町村が取り組む公衆喫煙所の整備につきまして、煙が漏れにくい屋外コンテナ型の補助基準額を、一千万円から一千七百万円に引き上げ、支援を拡充いたします。
今後、ソフト、ハード両面から取組を強化し、都民や事業者の理解を得ながら、区市町村とも連携して、受動喫煙対策を一層推進してまいります。
○小山委員 国は、健康日本21及びがん対策推進基本計画におきまして、令和四年度までに禁煙希望者が禁煙することにより成人喫煙率を一二%とするという目標を掲げておりました。都もまた、東京都がん対策推進計画において、令和五年度までに、成人喫煙率一二%を目標としていました。
しかしながら、この目標値は達成できず、新たな計画では、国は引き続き一二%を目標とし、都は一〇%未満を目標にするということでございます。
近年は、喫煙率の下げ止まりも懸念されておりまして、喫煙率を下げるには、喫煙者に効果的にアプローチし、本人のたばこをやめたいという気持ちを引き出し、強化することが、また、その支援が重要と考えます。
都は、喫煙率を減少させるためにどのように取り組むのか伺います。
○雲田保健医療局長 都は、健康推進プラン21におきまして、令和十七年度までに喫煙率を一〇%未満に下げることを目標に、喫煙の健康影響の啓発や、禁煙外来の医療費を助成する区市町村の支援などに取り組んでおります。現在、区市町村と連携し、特定健診受診者を対象とした禁煙支援プログラムによるモデル事業を実施しておりまして、来年度は、分析結果を区市町村などに提供し、効果的な支援につなげてまいります。
また、今年度から、世界禁煙デーや禁煙週間におきまして、都医師会と共同で都庁や東京スカイツリーなどのライトアップを行うなど、禁煙などについて考える機運を高める取組を強化しており、今後、区市町村や関係団体とも連携して、喫煙率減少に向けた取組をさらに推進してまいります。
○小山委員 全国初のカスタマー・ハラスメント防止条例の施行がこの四月に迫っています。
この条例の実効性の鍵は現場にあり、私たちは現場マニュアルの作成促進を都に求めてまいりました。都はガイドラインや共通マニュアルを公表していますが、これらが都内企業や働く人々に広く行き渡ることが重要であります。
また、カスハラを行う可能性がある人々にも条例の存在を伝え、自分事として捉えてもらう工夫が必要であります。
そこで、カスハラ防止条例の普及啓発に向けて様々な施策を展開すべきでありますが、来年度の取組について伺います。
○田中産業労働局長 都は、四月の条例施行に向け、ポスターやPR動画などにより消費者を含めた情報提供に取り組むとともに、企業の経営層や人事労務担当者向けのシンポジウムを開催するなど、普及啓発を進めております。
これらに加え、来年度は、業界団体との連携による普及啓発も開始いたします。具体的には、顧客との接点を多く持つ業界におきまして、そうした特色を生かした効果的な方法で条例の広報を担う場合に、都と団体が経費の二分の一ずつを負担いたします。これにより、条例が幅広い現場で正しく運用されるよう、その理念や考え方を浸透させてまいります。
○小山委員 ハラスメントは誰もが被害者にも加害者にもなり得るもので、少しの気づきで問題を防ぐことができます。こうした機運の醸成をぜひお願いをいたします。
普及啓発と併せて重要なのは、企業が各現場に合わせた実効性のある具体的取組を始めることであります。
来年度予算には私たちが要望してまいりました録音、録画などの対策への支援を含め、中小企業支援が計上されたことを高く評価します。働く人を守るために企業がすべきことや、行政支援の受け方といった情報を中小企業に早く届け、速やかな支援につなげる必要があります。
そこで、カスタマー・ハラスメント防止条例で求める内容が事業者に早期に着手されるよう取り組むとともに、奨励金を速やかに支給できるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 中小企業がカスタマー・ハラスメント防止条例に適切に対応し、従業員を守る措置が講じられるよう、様々なサポートを速やかに実施することは重要でございます。
都は来年度、カスハラ防止に関する対応や都の支援情報に関する相談に一元的に応じる総合窓口を開設いたします。この窓口について、まずは電話相談を四月に開始するとともに、その後、専門相談員を配置し強化を図ることとしてございます。
また、防止手引を作成し録音、録画環境の整備などの対応を図る中小企業等に対し、四十万円の奨励金を支給いたします。これにつきまして、業界団体と連携して早期に情報提供するとともに、簡素な手続により支給できるよう工夫いたします。
○小山委員 行政の支援情報を知らずに取組を始める企業もあると聞いております。速やかな周知をお願いいたします。助成金による直接支援は大きな意義がありますが、モデル的な取組の横展開も重要であります。条例に基づき迅速に対応した企業の事例や様々な試みが多くの事業者に伝わるよう、支援情報の早期かつ丁寧な周知を求めておきます。
カスタマーハラスメント対策が特に急務なのが介護業界です。介護中の利用者からの暴力や、利用者家族からの暴言などの深刻な問題で職員が退職をせざるを得ないケースもあります。特に訪問介護では利用者の自宅で介護を行うため、被害を受けても泣き寝入りすることが多く、介護現場の特性を考慮した実効性の高い支援策が必要であります。
そこで、四月からの条例施行に合わせ、介護業界の実態に合わせたカスハラ対策を都として行うべきと考えますが、見解を伺います。
○山口福祉局長 都はこれまで、介護サービスの利用者や家族などからのハラスメント対策について、職員向けの相談窓口や管理者向けの法律相談窓口を設置するとともに、リーフレットや説明会の開催による普及啓発を行ってまいりました。
来年度は、専門知識のある相談員がワンストップで対応する総合相談窓口を四月から開設するほか、高齢者宅を複数人で訪問する場合の人件費を補助いたします。また、防犯機器の導入経費について、一事業所当たり最大五万円の補助を開始いたします。
こうした取組によりまして、職員が安全で、安心して働ける環境を整備してまいります。
○小山委員 次に、手取りを増やす賃上げについて質問をいたします。
国では手取りを増やすことを最重要課題として議論が活発化しており、国民の期待も高まっております。私たちもこれまで、都独自の補助金などにより働く人の手取りを増やしていく取組を後押ししてきたところであります。
春闘が本格化し、物価上昇を上回る賃上げへの分水嶺を迎えております。課題は大企業と中小企業の賃上げ率格差です。原材料、光熱水費高騰の影響を受けやすく、価格転嫁が進んでいないなどの理由で賃金伸び率が小さい中小企業の改善が急がれます。また、内閣府のリポートでは、労働組合がない企業は賃上げ率が低いとの分析もあり、こうした職場への賃上げ波及を後押しする必要があります。
重要なのは、賃上げが一過性ではなく定着することであります。そのためには、生産性向上と労働者への利益分配が企業成長につながる好循環を促し、賃金額面だけでなく時間の手取りも増やすなど、多面的なアプローチが必要であります。
そこで、賃上げの促進に向け、働く人のエンゲージメント向上などの施策について、付加価値が適切に労働者に分配され豊かさを実感できるようレベルアップを図るべきでありますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとしていくことは重要でございます。
都は来年度、従業員の働きがいを高める取組を行う中小企業への奨励金につきまして、賃上げを併せて行う場合の支給額を、賃金動向を踏まえ引き上げることとしてございます。
具体的には、一時間六十円以上の賃上げを行う場合に一人当たり十二万円、最大十人分、百二十万円を支給することに加えまして、手取り時間を増やす取組等を併せて行う場合、最大二百三十万円を支給する新たな支援を開始いたします。
また、労使の参画による持続的な賃上げの実現に向けて助言する相談窓口も設け、施策の効果を高めてまいります。
○小山委員 労働者の四割近くを占める非正規雇用の方の待遇も忘れてはなりません。人手不足を背景にアルバイトの時給上昇などが見られるものの、正社員と比べて非正規社員の賃金は七割にとどまるなど、非正規雇用の待遇が低い状況が続いております。
近年、正社員と非正規雇用の二極化を緩和する取組が進み、不本意ながら非正規で働く人は減少しているとのデータもありますが、アルバイトで働く方の多くが経済的ゆとりを感じておらず、正社員を希望しながら実現できていない方への支援も引き続き必要であります。
賃上げの流れを確実にするため、非正規雇用の処遇向上や正社員化を進め、賃金水準全体の底上げにつなげていくべきと考えますが、来年度の取組について見解を伺います。
○田中産業労働局長 都は、国の助成を受け、非正規で働く方の正社員化に取り組んだ中小企業を対象として、研修やメンターの配置など職場定着を図る取組に対し、助成金による支援を行ってございます。
来年度は、国の助成金の実績を踏まえ、その規模を一千四百件に見直す一方、賃金の引上げを行う場合の加算金額を一人当たり十二万円、最大三人分、三十六万円に引き上げます。
また、賃金制度の見直しのノウハウを伝えるセミナーにおいて、非正規雇用も含めた賃上げの重要性について啓発し、賃金水準全体の底上げを後押ししてまいります。
○小山委員 非正規雇用への支援について、国の支援動向を見ながら規模を設定していることを確認いたしました。賃上げが一時期のムーブメントで終わらず、正規、非正規問わず働く人が豊かさを実感できる社会の実現へ、多面的な施策展開とその不断の見直しを求めておきます。
産業振興について伺います。
東京には、ゲーム、アニメ、漫画など、国際競争力を有する知的財産が集積しており、私たちは、かねてより魅力的なコンテンツを生み出す源泉であるクリエーターなどへの支援を求めてきたところであります。
都は、こうした声に応え、中野にあるコンテンツ分野の創業支援施設において事業者などへのサポートを実施しておりますが、急速なデジタル化や他国の台頭などの動きにもしっかりと対応した取組を行っていく必要があります。
このたび、創業支援施設は仮移転を行うとのことでありますが、東京ひいては日本の競争力をさらに高めていくために、クリエーターをはじめとしたコンテンツ事業者へのさらなる支援の充実を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 アニメ、漫画など、日本発のコンテンツは、世界中の多くの方々に愛されております。一方、デジタル化が進展する中で、アジア諸国も台頭しておりまして、国際競争力の強化は待ったなしでございます。中野にありますクリエーターの成長を支援する施設の移転を契機としまして、日本の宝であるキラーコンテンツにさらに磨きをかけてまいります。
世界でも著名なクリエーターなどを招きましたビジネスプランコンテストを開催して、有望な人材を発掘してまいります。また、アニメ配信会社や出版社などとの取引や資金の調達につながる機会を設けるほか、海外市場への進出の後押しも行ってまいります。
さらに、仲間と共に切磋琢磨しながら先端3DCGやモーションキャプチャーなどの最新デジタル技術を活用し、制作に没頭できる環境を整備してまいります。
現代版のトキワ荘となる支援の場をつくり上げまして、世界に羽ばたくクリエーターを生み出してまいります。
○小山委員 都内企業の九九%を占める中小企業は、都内経済を下支えしておりまして、その持続的経営が不可欠であります。しかしながら、後継者不足による廃業に加え、都外への転出などの影響により、東京のサプライチェーンの要である都内製造事業者は減少を続けております。
このままでは、都内中小企業が培ってきた技術やノウハウが失われ、東京の活力喪失にもつながりかねません。こうした中で、M&Aなどにより事業の継続を図る企業の動きも見られています。
そこで、都は、経営統合を機に新たな事業に取り組もうとする中小企業を支援するべきと考えますが、見解を伺います。
○田中産業労働局長 都内中小企業が経営統合により事業の多角化等を進め競争力強化や取引拡大などを図り、サプライチェーンを強化することは東京の産業力の維持発展につながります。
都は来年度、発展的なM&Aを行ったものづくり企業などが取り組みます新たな事業展開に必要な工場建設や設備導入等に必要となる経費につきまして、最大で助成率三分の二、四億円を上限に助成する支援を開始いたします。
また、業務統合等の実務に詳しい専門家を新たに派遣し、相乗効果の最大化に向けた助言を行います。
こうした取組によりまして、東京の産業集積を促進し、都内経済のさらなる活性化を図ってまいります。
○小山委員 東京における農業は、私たちの命を守る極めて重要な産業です。農業を営む農地の問題は、昨年の第三回定例会におきまして、相続税の抜本的な改正が必要であることを申し上げ、東京都は国への最重点要望として取り組んでいただく旨の答弁をいただきました。
農地の減少に加え、東京の農業は、高齢化の進展や後継者不足などにより担い手の減少が続いており、農業人材の確保、育成を図ることが重要であります。
そのような中で、農業法人に就職するなど、従業員として働く農業者が増えています。また、働き方や生活スタイルが多様化する中、副業やボランティアなど空き時間を活用して農業に関わる方も多く、こうした方を新たな担い手として育成していく必要があります。私たちは、これまでも新しい農業への関わり方を進めるための環境づくりを求めてまいりました。
そこで、こうした多様な人材を農業の担い手として育成していくべきと考えますが、都の来年度の取組を伺います。
○田中産業労働局長 農業の担い手を増やすためには、独立して農業を始めたい方への支援のほか、農外から農業法人への就職や副業など多様な形態での就農を促進することが重要でございます。
来年度は、新規就農者向けの研修に、法人等で働きたい方が栽培技術を十日間程度で学べるコースを新たに開始いたします。また、人材を雇用し育成する際に一人当たり最大六十万円を助成する仕組みにつきまして、法人以外の農業者にも利用を拡大いたします。
さらに、副業による就農を目指す人材が、栽培技術を学び農家と交流する拠点の整備につきましては、拠点での支援内容を検討するとともに施設の実施設計に着手いたします。
これらによりまして農業の担い手確保を図ってまいります。
○小山委員 都は、担い手確保に加え、職場環境改善のための働き方ガイドライン策定などを進めるとのことであります。環境意識の高まりとスマート農業の進展で、東京では若者の新規就農希望者が増えております。様々な施策を効果的に組み合わせ、都民生活に不可欠な東京の農業を次世代に引き継げるよう強く要望し、最後の質問に移ります。
最後は、都有財産の積極活用です。
本日、多岐にわたる分野の政策について確認をさせていただきました。施策の積極展開には、冒頭申し上げましたとおり、ワイズスペンディングによる財源の確保や都有財産の積極活用が求められております。
都有財産は、都民からの負託を受けた貴重な財産でありまして、様々な施策実現や区市町村との連携事業に活用されてまいりました。また、本格的な行政利用までの間も暫定利用が進められておりまして、これらの利活用により、規模や形状、時間的制約などにより活用されていない財産については、新たに民間有識者の知見を取り入れて効果的な活用方策を検討することで、都有財産のさらなる利活用促進につなげることができると考えております。
そこで、ガイドライン策定などの取組を、今後、早期に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○山下財務局長 具体的な利活用に至っていない財産の効果的な活用方策を検証するため、各局の建物の利活用状況調査を既に開始しておりまして、毎年度、定例的に行っている土地の調査と併せ、令和七年夏頃までに状況を把握いたします。
こうした土地建物の調査結果の分析に加え、民間有識者の知見を得ながら活用方策を検討してまいります。
この検討の成果を生かしまして、活用の事例や実施スキームを七年度末までにガイドラインとして取りまとめ、各局へこれを展開することで、全庁的な財産の利活用を促してまいります。
○小山委員 ただいまご答弁をいただきました都有財産の積極活用、そして、冒頭申し上げましたように、ワイズスペンディング、これによって、持続的な財政、これをしっかり基盤として、小池知事が、まさに東京の課題、この東京の課題のみならず、日本の課題の解決にも着手をいただいております。まさに東京大改革は小池知事が進めてこられた政策にあると私たちは考えております。
その東京大改革をこれから一層進めていくとともに、何よりも都民ファーストの都政、都民の安全と安心、全ての人が安心をして笑顔で暮らせる、そういった都政の実現に向けて、小池知事と共に私ども都議団、協力をして、連携して進めていくことをお誓い申し上げまして、代表の質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○尾崎副委員長 小山くにひこ委員の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後四時二十八分休憩
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