午後二時四十分開議
○菅原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
白戸太朗理事の発言を許します。
○白戸委員 よろしくお願いします。
令和六年度予算案は、知事が都民の共感を得ながら進めてきた政策をさらに強化する予算となっています。三月十二日の予算特別委員会初日の総括質疑で、私たちはその中でも、防災、子育て環境整備、そして環境対策、働き方改革など人と都市の持続可能性に焦点を当てた施策を中心に取り上げてまいりました。
本日は、まず、二〇二五年の世界陸上及びデフリンピックについて取り上げます。
来年、世界陸上とデフリンピックが東京で開催されます。大きな国際的なスポーツイベントである両大会を同年に開催するならば、相互に相乗効果を生みながら、その開催効果を最大化していくことが重要です。そうした観点から、私たちはかねてより、両大会を一体的に盛り上げていくことを求めてまいりました。
都も、陸上のアスリートやデフアスリートを双方の大会関連イベントで起用したほか、特設ウェブサイトや広報東京などによる魅力発信などにも取り組んでいますが、二〇二五年に二つの大会が開催されることの意味そのものを、都民に広く伝えていくことこそ重要でございます。
二〇二五年に世界陸上とデフリンピックという二つの国際スポーツ大会を開催することが、東京にとってどのような意味を持つのか、そして、具体化にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
○小池知事 二〇二五年、団塊世代が全て後期高齢者となり、社会経済の構造が大きく変化するとともに、国際競争が激化する中で世界陸上とデフリンピック、この二つの国際的なスポーツ大会が東京で開催されます。
両大会は、スポーツのすばらしさや多様な価値観を認め合うことの大切さを伝え、そしてインクルーシブな社会への歩みを一層加速させる推進力を持ち、東京のプレゼンスを向上させます。
こうした視点に基づきまして、デジタルを活用した新たなコミュニケーション技術の普及促進や東京ならではの魅力の世界へ向けた発信など、大会を未来の東京へつなげるための取組指針といたしまして、ビジョン二〇二五アクションブックを策定いたしました。
幅広い取組を積み重ねて両大会を成功に導き、未来の東京への確かな礎を築いてまいります。
○白戸委員 両大会には、純粋なスポーツとしての側面はもとより、国籍や障害など壁を乗り越えた共生社会の体現など多くの共通したメッセージがあり、こんなときだからこそ、開催する意義があると考えます。
知事のリーダーシップを遺憾なく発揮していただき、こうしたメッセージを広く伝えるとともに、様々な取組を重層的に展開し、大会の価値を確かなものにしていただきたいと思います。
さらに、それぞれの大会について、より深く知っていただくことも重要です。
まず、二〇二五年のデフリンピックについてですが、世界中から東京を訪れるデフアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるようにするとともに、聞こえる聞こえないにかかわらず、より多くの観客に応援していただける大会になるよう、デフリンピックの魅力などを発信していかなければなりません。
都では、招致決定以来、様々な取組をしてきたと承知しており、マスメディアやSNSでも取り上げられてきました。様々な調査結果を見ると、デフリンピックの認知度は少しずつ上がってきているとも考えますが、さらに多くの人たちに大会を知ってもらえるように取り組んでいくべきであり、都の見解を伺います。
○横山生活文化スポーツ局長 都は、多くの都民に大会を知ってもらえるよう様々な取組を進めておりまして、その認知度は着実に上昇しております。
今後、より幅広く都民の関心を喚起するため、開催前年となる令和六年度におきましては、年間を通じて様々なイベントで積極的にPRを図るとともに、多数の企業関係者が集まる展示会への出展等を通じて広報してまいります。
また、スポーツへの関心が高い層にさらなる訴求を図るため、デフリンピック一年前のイベントに陸上アスリートを招聘するなど、世界陸上との一体的な取組も進めます。
こうした取組を多様なメディアを通じて発信するとともに、関係機関と連携して大会の意義を広く伝えてまいります。
○白戸委員 ぜひしっかりとお願いしたいと思います。
昨年三月に日本財団が公表した都民スポーツ実態調査では、デフの認知度は一〇・九%でした。一方、二〇二一年に同じ日本財団が実施した調査によりますと、前夏季大会の開催国であったブラジル国内での認知度、これは何と三八・〇%でした。
二〇二五年のデフリンピックに向けて、さらに多くの都民に知ってもらい、応援してもらえるよう取組を進めていただけるようお願いします。
一方、二〇二五年には世界陸上も東京で開催されます。世界陸上もデフリンピックと同様、多くの都民に楽しんでいただき、応援してもらう大会とする必要があります。
過日開催された東京マラソンは、三万八千人のランナーに加え、沿道の百万人の観客や大会を支えるボランティアも一体となって盛り上がり、本当に感動的ですばらしい一日だったと思います。このように、見る人、支える人を含め、一体的に盛り上げていくとともに、世界に東京を発信していくこと、これが非常に重要だと考えます。
そこで、世界陸上において東京マラソンの経験を生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○横山生活文化スポーツ局長 世界陸上は、トップアスリートが集い、世界中で多くの人が視聴する大会でありまして、特にマラソンは注目度が高い競技であります。選手、観客、ボランティアが東京のまち並みを背景に盛り上がり、その姿を通じて、東京の都市としての魅力を世界に伝えていく絶好の好機でもあります。
東京マラソンは、ホスピタリティーにあふれ、東京が一つになる大会として国内外からの評価も高く、東京のプレゼンス向上にも寄与しております。
世界陸上におきましても、東京マラソンをモデルに、より魅力的な大会となるよう、都としても世界陸上財団をサポートしてまいります。
○白戸委員 そうなんですよ。これこそが、まさに本来は二〇二〇東京大会で東京都がやりたかったことだと考えます。単に競技会を発信するのではなくて、競技が行われているまちと共に世界に発信していく。どちらかだけでなく、一緒に発信するから、一緒に発信できるからこそ、開催する意味があると考えます。
世界陸上を単なる観戦スポーツにしない、東京が主体となって盛り上げ、選手からも、そして世界からも、東京のエネルギーはすごい、東京のスポーツリテラシーは高いんだと思っていただけるような取組を進めていただきたいと思います。
小池都知事は、就任直後の平成二十九年、国が国内産業の立て直しとデフレ脱却を目的に異次元の金融緩和政策を続ける中、東京が世界に冠たる国際金融都市の地位を取り戻すため、金融の活性化に向けた構想、「国際金融都市・東京」を発表いたしました。
ここでは、外国企業誘致や海外プロモーションなど、海外に目を向けた施策と計画が描かれており、「国際金融都市・東京」構想二・〇となって、現在も取組が進められております。
その後、私たちからの、都内産業振興の中でもスタートアップの支援が重要であるとの提案を受け、都は、令和四年十一月にスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSを策定しました。
昨年十一月には、私たちの提案も受けて設立されたTokyo Innovation Base、TIBがプレオープンし、日頃から多くの若者や投資家、そしてスタートアップ関係者が集う場として認識されつつあります。
TIBをユニコーンを生み出すハブにするには、ユニコーンを生み出している海外にあって国内にないものを丁寧に洗い出し、一つ一つ対策を打っていく必要があります。
例えば、私たちは特にレイター期の支援が不足していることを指摘、本定例会の私たちの代表質問に対し、来年度新たに三百億円規模の官民連携ファンドを創設する旨、公表されました。また、中小企業等のスモールビジネスの起業の量を単に増やすだけでなく、質を高める取組も重要です。
バイオベンチャー創設期に投資するベンチャーキャピタルの多くが共通して行っているのが、カンパニークリエーションという手法です。ベンチャーキャピタル自らが学会や論文、研究者ネットワークなどから起業前の優れた技術を見つけ出し、起業準備段階から事業戦略、資本政策まで二人三脚でビジネスを立ち上げていくというもので、新型コロナのワクチンを開発した、あの有名なモデルナ社も事例の一つといわれております。
カンパニークリエーションの手法も参考にしながら、社会課題の解決に資するスタートアップを集中的に支援し、グローバルなユニコーンを生み出すべきですが、見解を伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 世界では、クライメートテックなどのイノベーションの種を見いだし、課題が解決した場合の効果の大きさや技術、プロダクトを吟味した上で、大胆な投資を行うというユニコーンを育てる手法が広がっております。
都は来年度、こうした手法に学び、世界目線の投資に向けて、スタートアップが挑戦する取組を開始いたします。海外の有力な支援機関を複数誘致し、起業初期段階の経営者育成に合わせて投資を行うプログラムを新たに実施いたします。
また、有望な起業家を海外に派遣し、投資家にアピールする機会を設けるほか、SusHi Tech Tokyoでは、日本の企業が世界のベンチャーキャピタルと交流する場を提供するなどにより、大きく飛躍するスタートアップの輩出につなげてまいります。
○白戸委員 ユニコーンになるには、グローバルな事業展開を前提とした投資を受けることが不可欠です。カンパニークリエーションの手法も参考に、都が来年度から海外支援機関の誘致や有望な起業家の海外派遣、SusHi Tech Tokyoの活用など、多角的に取組を開始することを高く評価いたします。
この数年の間に、国内でもベンチャー企業を育てる環境、いわゆるエコシステムが整いつつありますが、東証マザーズへの上場や起業から数年で企業価値百億円程度のバイアウトを目標とするなど、ベンチャーキャピタルも起業家も視点が低く、スタートアップを生み出すエコシステムになっていないという指摘があります。
視点を上げるために有効だと考えられるのが、グローバル企業に成長させた創業者からの直接のアドバイスです。
予算特別委員会で、我が会派の入江議員の質問に対し、TIBで経験豊富な経営者などをメンターとして登録し、スタートアップに引き合わせる仕組みを導入するとの答弁がありました。中でも、グローバル企業まで育て上げた経験を持つ創業者の経験を伝えていくことは、東京都だからできる取組です。
将来有望な才能ある起業家を選抜し、グローバルの第一線で活躍する経営者をメンターとして引き合わせることにより、大きな成長へ導いていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 世界のビジネスを動かしている卓越した経営者と、じかに言葉を交わし、その世界観や経営哲学などに触れることは、世界市場を目指すスタートアップにとりまして、またとない成長の機会となります。
このため、夢やアイデアを持つ若者の挑戦を社会全体で応援する取組として、TIBは、豊富な経験や高度なスキルを持った人材がスタートアップに助言などを行う新たな仕組みを来年度構築をいたします。
この中で、トップクラスの先輩起業家の賛同と協力をいただきまして、将来の可能性を秘めた、才能ある若手経営者にメンタリングの機会を提供いたします。経験と情熱を伝え、大いなる刺激を通じて、その力を花開かせ、次代、次の時代のユニコーンの輩出につなげてまいります。
○白戸委員 ありがとうございます。ただいま知事から第一線で活躍する経営者とスタートアップを引き合わせる取組を行うという答弁をいただきました。スタートアップを生み出すエコシステムと国内のエコシステムを一段と成長させる、まさに東京都だからできる取組だと考えます。
このような第一線で活躍する経営者が社業を拡大させていったプロセスは、多くのスタートアップにとって大変参考になると考えます。これらを都が聞き取り、形式知化することなどは都が行うにふさわしいと考えますが、都の見解を伺います。
○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 世界的な企業の創業者などが成長の過程でどのような壁に突き当たり、どう判断して、それを乗り越えていったのかなどの経験は、多くのスタートアップにとって参考になるものでございます。
都は、来年度開始する人材バンクの仕組みの中で様々な起業家を登録し、スタートアップへのサポートを行っていただく取組を実施いたします。
この中で、トップクラスの起業家などのご協力を得て、豊富な経験談や若者へのメッセージなどをいただき、後輩起業家たちと共有する情報発信の取組を進めてまいります。
○白戸委員 スタートアップ時に必要なのは、資金、そして経験です。どちらも調達は簡単ではなく、だからこそ行政のアシストが非常に有効だと考えます。ぜひよろしくお願いします。
東京は、海外の諸都市と比較して、夕食後、すなわちナイトタイムに楽しむコンテンツが少なく、これを充実することはインバウンドの消費をはじめとして、飲食、宿泊、交通、体験を楽しむ事消費まで幅広く、高い経済効果が見込まれます。
都は、ナイトタイムエコノミーの新たな需要開拓の起爆剤として、都庁舎に投影するプロジェクションマッピングを開始しましたが、連日、多くの旅行者や外国人旅行者が訪れ、色彩豊かな迫力ある光のショーを楽しまれています。
新たに夜の観光スポットとしての期待が高まる中、継続して集客していくためには、ここ都庁舎でしか見られないコンテンツを投影していくことが不可欠です。
そこで、今後、多くの国内外の旅行者を引きつけるために、集客に役立つコンテンツを発信していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都庁舎に投影するプロジェクションマッピングにより、インバウンドに加え、国内から来訪者を数多く誘致することは重要でございます。
このため、投影する映像につきまして、世界でも最高水準のデザインと演出による内容とするほか、国内外で幅広い人気のあるコンテンツを提供する工夫も行います。具体的には、国際大会で高い評価を受けたクリエーターの作品に加えまして、三月中旬よりオープニングのイベントで使った特別なコンテンツを平日にも投影をしております。
今後、国内外で人気の高い映画に登場するコンテンツについて、旅行者の増える時期に合わせ、投影する取組を進めてまいります。
○白戸委員 場所、大きさとか、インパクト、これは残念ながらまだ一過性なんです。継続的な人気を得るためには、都庁舎でしか見ることのできないという唯一無二のコンテンツが大事になってきます。日本が誇るコンテンツを十分に生かした作品を投影し、世界に発信していただきたいと思います。
一方、都庁舎でのプロジェクションマッピングには最先端の技術を活用しており、加えて、世界のトップレベルのクリエーターによる作品を通年で投影するには、どうしてもコストがかかります。
東京を訪れる世界中の旅行者に楽しんでいただき、新たな名所にしていくためには、継続的な実施が求められますが、そのためにも、都民の皆様の理解を得るために丁寧な情報公開が不可欠であります。
そこで、都庁舎におけるプロジェクションマッピングの実施に係る情報をさらに分かりやすく提供していく取組も必要となると考えますが、都の見解を伺います。
○坂本産業労働局長 都庁舎にプロジェクションマッピングを投影し、国内外の旅行者を数多く誘致するため、世界で最高水準のコンテンツとスケールを用意し、年間を通じ優れた体制で運営を行っております。これらに係る様々な情報を適切に提供することは重要でございます。
この取組につきまして実行委員会に情報の公開を求めた場合、都のルールに準じ、参加団体の合意に基づき、適切に対応を進める仕組みとなっております。
実行委員会では、既に昨年三月から問合せに対応する連絡先をウェブサイトに公開をしているところでございます。今後は、この連絡先で対応のできる具体的な内容が分かるような改善に取り組むとしております。
○白戸委員 観光振興に大きく寄与する取組であるからこそ、情報公開と丁寧な説明により、都民の皆様に理解を得ていくこと、これが大切です。しっかりと取組を進めていただけるようお願いします。
また、本事業は都が都庁舎にプロジェクションマッピングができる、このプラットフォームを整備したというふうに捉えることもできます。つまり、今後は民間による利用についても検討いただけるよう要望しておきます。
私たちはこれまで、様々な情報が子供、高齢者、障害者、外国の方などにも見やすく、伝わりやすくするための配慮手法であるメディアユニバーサルデザインについて勉強を重ねてまいりました。
情報伝達分野で配慮が必要な方は、白内障で悩む高齢者、色覚障害者、弱視、知的障害者、精神障害者、外国人、子供に加えて、訪日観光客まで含めると約一億三千万人程度ともいわれています。情報保障のためには、文字の大きさやフォント、イラストのレイアウト、色使い、やさしい日本語の活用など様々な配慮が求められます。
障害者差別解消法の施行、障害者雇用促進法の改定により、法的にも情報伝達分野での合理的配慮が求められています。
まず、都が率先して、都の公共調達にメディアユニバーサルデザインの考え方に基づく情報保障の考え方を取り入れ、民間の取組をリードし、社会的責任を果たしていくことが重要です。
都は、東京都社会的責任調達指針の素案を取りまとめ、パブリックコメントを募集し、現在、令和六年五月の策定を目指しておりますが、この指針の中においても、情報保障を人権尊重の視点の中に盛り込んで、事業者の取組を促していくべきと考えますが、見解を伺います。
○山下財務局長 社会的責任調達指針の素案におきましては、持続可能性確保に向けた人権尊重に係る視点として、人権尊重条例の理念を踏まえながら、多様性と包摂性の観点を重視することとしております。
年齢や国籍、障害の有無などによらず、全ての人々にとっての情報アクセシビリティーの確保を図る、いわゆる情報保障の考え方は多様性が尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現する上で重要であると認識しております。
こうした考え方をより一層明確に示すことができますよう、公募で受け付けた意見の反映と併せ、五月の策定に向けて指針の記載内容の充実につきまして検討してまいります。
○白戸委員 私たちの提案を踏まえ、調達指針の記載内容の充実も検討していくという前向きな答弁をいただきました。パブリックコメントの意見も踏まえながら、この指針に情報保障の考え方が取り入れられるよう対応を求めておきます。
多様な色覚の方に対する見やすい情報保障に向けて、既に都は、東京都カラーユニバーサルデザインガイドラインを策定し、印刷物、ホームページ、案内サインなどを作成する際に活用されています。
今後は色覚障害者だけではなく、高齢者、障害のある人、外国人など幅広い都民にとって見やすく、伝わりやすい、いわゆるメディアユニバーサルデザインの考え方にのっとり、東京都カラーユニバーサルデザインガイドラインを改定すべきと考えますが、見解を求めます。
○佐藤福祉局長 都は、色弱者などが必要な情報を得られますよう、庁内の印刷物などに使う色の選び方や組合せ方などのポイントをまとめたガイドラインを策定し、カラーユニバーサルデザインの取組を推進しております。
来年度は、この取組をさらに進め、年齢、障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もがスムーズに情報を入手できるよう、色に加え、文字の大きさ、図表のレイアウト、やさしい日本語の活用などの様々な観点から、最新の知見を踏まえた検討を行い、新たなガイドラインを策定いたします。
このガイドラインは、庁内のほか、連絡会議などを通じて区市町村にも周知をいたしまして、ホームページや案内サインなどへの活用も促し、情報アクセシビリティー確保の取組を一層推進してまいります。
○白戸委員 来年度、新たなガイドラインを策定するとの答弁でした。ガイドラインは策定後、使われてこそ意味のある制度になります。庁内周知や区市町村との連携など、関係者を巻き込んで、この施策の実効性を高めていただくことを要望し、次の質疑に移ります。
働き方改革と休み方改革は表裏一体です。国もかねてより、有給休暇の取得義務化や夏休みなどの長期休暇を地域ごとに分散させ、大人と子供がまとまった休日を過ごす機会を創出することや、観光需要の平準化などが期待されるキッズウイークといった取組を進めています。様々な観点から、社会の休み方改革を一層進めていくべきです。
具体的には、企業や個人単位で休日を柔軟に設定できる環境づくり、欧米と比べて低い水準にある有給休暇の取得促進、子供と家族が一緒に休める環境や仕組みづくりなどが重要であり、オーバーツーリズム対策としても、休みの分散化を促進すべきです。
企業の有給取得率向上、柔軟な休暇取得など平日に休みを取りやすくなる支援を強化し、休み方改革を社会全体で推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本産業労働局長 会社の従業員が生活と仕事の両立に向け、柔軟な働き方の仕組みや業務の効率化により、休暇の取得を増やすよう後押しをすることは重要でございます。
このため、都は来年度、休暇の取得が生産性の向上に結びつくことを経営者に伝えるセミナーを開催いたします。また、従業員の休暇取得に積極的な企業に専門家を派遣し、働き方の仕組みの見直しについて助言を行います。
これらにより、一定の成果を上げた三百社を登録企業として幅広く紹介するほか、希望に応じ、二十社を対象にDXによる業務改善に向けたサポートも行います。さらに、こうした会社の特に優れた事例について、賞金が最大五十万円の表彰も行います。
○白戸委員 企業において、休み方改革を一層進める取組を歓迎いたします。子供の休み方改革についても、都立校での試験的な導入や先行自治体の事例分析など、子供目線での休み方改革の検討も進めていただけるよう求めておきます。
私たちは、子供たちがより豊かな体験ができるよう、親子で出かけやすい環境の整備についても継続して求めてまいりました。都はこれを受けて、たまモノこどもワンデーパスとして子供の運賃割引を実施しています。
この流れを東京全体に広げるべく、私たちは、さきの第四回定例会において、都営地下鉄のワンデーパスなどに関して、ゴールデンウイークや夏休みなどの長期休暇などを活用し、子供向け割引を実施することを求め、交通局長からは、今後ほかの鉄道事業者の事例も参考に検討していくと前向きな答弁をいただいたところです。
関心のある多くの親子に利用してもらうように、価格設定や期間、手続などを工夫して進めるべきと考えますが、検討状況を伺います。
○久我交通局長 都営地下鉄では、車両に子育て応援スペースを導入するとともに、昨年はポイントサービスを活用した小学生向けキャンペーンを実施するなど、お子様連れのお客様が安心して、気兼ねなくご利用いただける環境づくりに取り組んでおります。
長期休暇などに、お子様連れのお客様にこれまで以上に都営地下鉄を広くご利用いただけるよう、現在、小児二百五十円で全線が一日乗り放題となる都営地下鉄ワンデーパスを活用した方策につきまして、お客様の利便性などを勘案しながら、今年の夏休みに向け検討を進めております。
○白戸委員 今年の夏休みに向けて検討中ということで、子供たちと共に大いに期待しております。
続いて、給食の質の確保について伺います。
私たちはかねてより、給食にオーガニック食材の導入を求めており、今年度から立川国際附属小学校において、食育の取組が始まりました。
来年度の立川国際附属小学校における取組を、ほかの都立学校や都内の区市町村へも波及させるべきと考えますが、見解を伺います。
○浜教育長 化学肥料や農薬を使用しないなど環境への負荷を低減した有機農産物を活用し、その生産過程や環境問題への理解を深めることは食育を推進する有効な取組でございます。
このため、今年度、立川国際中等教育学校附属小学校におきまして、食育の授業を行った際に、給食にタマネギなどの有機農産物を使ったメニューを提供いたしました。
来年度は、附属小学校における取組を他の都立学校にも拡大することを検討するとともに、区市町村の学校栄養職員等に対する研修の機会などを活用し、こうした食育の取組事例について普及を図ってまいります。
○白戸委員 ほかの都立学校にも拡大することを検討するという前向きな答弁をいただきました。食べることというのは生きることだと思います。食を意識し、正しく理解することは生きる上で重要なことであると考えます。ぜひ、しっかりと進めていただけるよう要望しておきます。
長期休暇中の学童での昼食についても、多くの保護者からお声をいただいております。
私たちの要望を受けて、都は今年度、学童での昼食提供についての課題を調査し、区市町村が学童クラブにおけるサービスの充実を図れるよう支援していくとのことでしたが、来年度どのように取り組むのか伺います。
○佐藤福祉局長 都は、学童クラブにおけるサービスの充実を図れるよう、今年度、夏休みなどの長期休業期間中における学童クラブでの昼食提供について、民間事業者の活用事例など様々な取組状況を紹介し、区市町村に働きかけを行いました。
来年度は、こうした学童クラブの昼食提供の取組がさらに進みますよう、区市町村包括補助により支援をいたします。
具体的には、保護者がスマートフォンで昼食の申込みや支払いができる注文システムの導入や、外部業者による昼食の運搬などに係る経費を補助対象とし、補助率十分の十で支援をいたします。
○白戸委員 包括補助の中に新たなメニューを設けて、区市町村を積極的に応援していくとのこと、親にとっても子供にとっても喜ばれる、都民から要望の高い施策だと思いますので、多くの区市町村で展開されるようお願いいたします。
私たちはこれまでも、認証保育所の改革を求め、在宅子育て家庭や学齢児の受入れなど、質の向上に向けた様々な取組を実現してまいりました。
近年、保護者や保育事業者からの困り事として多いのは、発達障害の子供たちの支援です。発達障害の特性は、二、三歳頃から目立ち始めることが多く、子供の最も身近な通いの場である保育園や幼稚園などで適切に支援につなげていく必要があります。
認証保育所は、少人数できめ細やかな保育を実施していることから、発達障害の子供の受入れやその保護者の対応などに適性があります。しかし、認証保育所に対する助成は認可保育所と比較して少なく、発達障害の子供への支援を進めるには、都が体制整備を後押しする必要があります。
認証保育所で発達障害を含む障害児の受入れが進むよう支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は、障害児に対する保育サービスが適切に提供されるよう、保育力強化事業に障害児保育加算を設け、障害児を受け入れる認証保育所の取組を区市町村と連携して支援をしております。
来年度からは、認証保育所において障害児の受入れが一層進むよう、発達障害児を含む障害児二人につき保育士一人を配置した場合に、障害児一人当たり月額十八万八千四百二十円を補助いたします。また、補助職員を配置し、保育所を利用する児童に加えて、地域の子供の療育支援に取り組む場合に、一施設当たり月額最大五万九千百八十円を補助いたします。
○白戸委員 来年度、新たに保育士の配置に月額約十九万円、補助職員の配置に月約六万円を上乗せするとのことで、支援策が大幅に拡充されることが確認できました。多くの認可保育所で支援が進むよう周知をお願いします。
医療介護分野については、私たちは継続して社会保障費の増大を抑えつつ、質を高める取組を提案してきました。都において、障害者手帳のデジタル化や母子手帳のデジタル化など、福祉、保健医療を取り巻くDXが進んでいることを高く評価いたします。
令和四年第一回定例会の代表質問において、私たちは、高校生などへの医療費助成制度の開始に当たっても、保険証と医療証を一体化し、デジタル化するなど利便性の向上について求めてまいりました。また、現在、都の難病医療費助成制度の受給者証も紙のみの運用となっており、紛失が心配であるとの声を当事者の方からいただいております。
国は現在、医療DXの取組として、マイナンバーカード一つで医療費助成を受けられるよう、自治体や医療機関などのシステムをつなぐ情報連携基盤を開発しており、国が先行実施の参加自治体を募集しているということですが、都はもちろん、子供医療費助成を行う区市町村にも早期に参画してもらうべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 現在、国におきまして、医療費助成や母子保健等に関する医療機関や自治体の情報連携基盤であるPMH、パブリックメディカルハブの構築が進められております。
自治体等が保有する各業務のシステムを、このPMHに接続することにより、医療費助成では、紙の受給者証が不要となるほか、患者情報を入力する医療機関の負担が軽減されるなど利便性や効率性等の観点から有効でございます。
都は今般、難病や精神疾患等の医療費助成につきまして、国の先行実施事業への参画を表明したところであり、子供の医療費助成等を実施する区市町村に対しましても、接続のメリットを周知するなど、東京全体としてこどもDXを推進する観点から、積極的な参画を働きかけてまいります。
○白戸委員 業務負担軽減や効率化に加えて、患者によりよい医療を提供するためには、医療従事者の業務環境のデジタル化も重要です。
都は、医療圏内の病院や診療所が電子カルテを通じて取得した医療データの共有ができるよう、専用回線を使用して医療機関間で電子カルテを相互参照する東京都医師会の東京総合医療ネットワークの取組を支援してまいりました。
一方、国が開発を進める標準型電子カルテや電子カルテ共有サービスの標準規格として、インターネット通信を前提としたHL7FHIRが定められました。
東京総合医療ネットワークの電子カルテ情報の共有が、今後、より一層進むよう、このHL7FHIRの出力を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○雲田保健医療局長 国は、全国の医療機関等で電子カルテ情報を共有するため、医療情報システムの新たな標準規格であるHL7FHIRに準拠した電子カルテ共有サービスの開発を進めております。
都は、地域医療連携を推進するため、都全域を対象に電子カルテの相互参照を可能とする東京都医師会の東京総合医療ネットワークの取組を支援しており、今年度は医療機関のニーズを踏まえ、医療用画像を共有する機能の追加を支援対象といたしました。
来年度は、国の動向も踏まえまして、電子カルテ情報の共有が一層進みますよう、新たな標準規格に対応する機能の追加を支援してまいります。
○白戸委員 東京総合医療ネットワークが全国の医療機関の電子カルテ共有に向けた規格に対応するための支援を新たに行うことを確認できました。よろしくお願いします。
都民の健康増進について伺います。
先日、私たちの有志メンバーがビッグサイトで開催されました大人の体力測定イベントに参加しまして、体力測定を体験してきました。データ技術の活用で、誰もが気軽に体力年齢や同年代でのランキングを確認でき、健康に興味のない人でも健康づくりへの意識を変えられるための工夫が盛り込まれておりました。
働く人材の高齢化に伴い、企業経営において健康経営が重要な課題となっており、シニアの皆様が仕事を続けるためには、健康が第一です。定年まで副業などで様々な経験を積み、退職後のセカンドキャリアの幅を広げていくためにも、仕事のマッチング支援と並行して、健康づくりの意識を高められるよう工夫する必要があります。
そこで、都は、プラチナ・キャリアセンターにおいて、センターの利用者が健康測定を行い、仕事を選ぶ際の参考にできるようにするなど、シニア世代が健康的に働き続けられるための支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○坂本産業労働局長 シニア世代の社員が、その経験や意欲に応じ、働く上で日々の業務を行う基礎となる健康の維持と向上を図ることは必要でございます。
都では、定年退職をした高齢者が新たな職場で円滑に仕事を進めるための心がけ等を学ぶ講座の中で、健康づくりの知識の提供を行ってまいりました。また、高齢者向けの就職面接会に合わせ、その会場で健康状態を自ら調べる機会を設けております。
来年度は、実務能力の高いベテランの方の就業を支援するプラチナ・キャリアセンターを設け、中小企業の柔軟な働き方を聞き、就職先を選ぶほか、その勤務にふさわしい健康状態を最先端の機器で確認できるサポートも行います。
○白戸委員 仕事、職場での健康に加え、これまで都は、地域における健康長寿の実現のために、フィットネス業界の方々とも連携しながら、気軽なスポーツ体験機会の提供のほか、健康データの収集なども進めてまいりました。これまでの成果を踏まえ、取組をさらに強化していく必要があります。
来年度予算案に盛り込まれていますスポーツを通じた健康増進事業において、運動の習慣化に向けて、体力測定を実施し、個人に体力データを示すとともに、都としてもビッグデータを積み上げ、次の施策展開に生かすべきと考えますが、見解を伺います。
○横山生活文化スポーツ局長 様々な機会を活用して、スポーツに対する動機づけを進めていくことは重要でございます。
都はこれまで、子供や高齢者を対象に、気軽に取り組める運動を紹介する動画の公開や体験教室を実施してまいりました。
来年度は、都民が体力のデータを含めて、自身の健康情報をアプリで広く把握できるようにいたします。また、専門家等により分析を行い、オープンデータ化を見据えて、今後の健康増進事業への活用も検討してまいります。
身体活動や運動の状況が健康に及ぼす影響をデータで見える化することにより、都民が健康に関心を持ち、スポーツに取り組める環境の整備を進めてまいります。
○白戸委員 都はこれまでに、高齢者の健康づくりのためのスマートウオッチ等の活用も進めてまいりましたが、他局の取組で得られたデータとの連携も視野に入れながら、健康データを効果的に活用した都民の健康増進策を期待しております。
東京で暮らすシニアの健康寿命を延ばし、生き生きとした生活を応援するために、私たちは来年度予算要望において、シニア総合政策パッケージを提案、補聴器補助や歩数に応じた健康ポイント制度、高齢者の身元保証終活支援窓口などで、多くの政策が予算案に反映されました。
その一つが、シニアが何歳になっても食べる力を維持していくオーラルフレイル対策です。
虫歯や歯周病の放置などから口の機能が低下するケースは多く、口腔機能の衰えは食欲の低下、さらには全身の機能低下、低栄養などに進み、要介護状態へつながる可能性があります。
区市町村の中には、独自の検診費用助成や受診促進事業に取り組んでいるところもあり、こうした取組も参考にしながら、高齢者が定期的に歯科健診を受診できる体制整備を行うべきです。
オーラルフレイル対策をさらに進めるため、高齢者が毎年、区市町村において歯科健診が受けられる体制を支援するとともに、区市町村の受診促進に向けた取組に対する支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 口腔機能の低下は、身体機能の低下と密接に関わるとされており、高齢期において口腔機能を維持することは重要でございます。
都はこれまで、区市町村に対し、健康増進法に基づく歯周疾患検診等に係る費用を補助するほか、歯科健診の定期的な受診や予防処置などの重要性について、都民に対し、普及啓発を行っております。
来年度は、さらなる受診の促進に向け、区市町村が実施する歯科健診や、区市町村の創意工夫による受診率向上に向けた取組等に係る経費の二分の一を包括補助で支援するなど、都民の歯と口の健康づくりを一層推進してまいります。
○白戸委員 健康寿命を延ばすためには、認知症になっても社会と関わり、生きがいや希望を持って暮らせるようにしていく必要があります。
本年施行された共生社会の実現を推進するための認知症基本法では、都道府県、区市町村に認知症の人の社会参加の機会の確保に向けた施策を求めています。
昨年、私たちが視察も行った千葉県船橋市でも、認知症の高齢者がコンビニやカフェなどで清掃などの有償ボランティアに取り組んでおられました。
こうした取組なども参考に、認知症の人の社会参加を促すべきですが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は来年度、区市町村が地域の関係機関や民間企業など多様な主体による話合いの場を設置し、認知症の方の社会参加の機会創出やイベントなどを通じた住民への普及啓発、企業等での認知症の方の受入れに関するノウハウなどの情報提供を行う場合に、補助率十分の十で支援する取組を先行的に開始をいたします。
また、今後の本格実施に向け、区市町村、民間団体等から成る検討会を設置し、民間団体等との連携や有償ボランティア等を通じた社会参加など、地域の状況に応じた取組につきまして、先行自治体の事例も参考に幅広く検討してまいります。
○白戸委員 今や高齢者の五人に一人が認知症になる時代において、認知症になった先の共生社会をどうつくるか、これ非常に重要だと考えます。今回の先行事例で、当事者や支援団体、区市町村などから幅広い声を集めていただきまして、本格実施につなげることを要望し、次の質問に移ります。
介護が必要な高齢者を支える介護職員への支援について、私たちは継続して取り上げてまいりました。特に、処遇の低さは課題として指摘されながら、国が改善してこなかった問題であり、私たちは一昨年の予算要望の最重点政策の一つに、介護職員の処遇改善として宿舎借り上げ支援拡充を求め、要件や対象の大幅拡充を実現してきました。
一方、事業者からは、四年間の助成期間撤廃など、さらなる支援拡充を求める声が届いています。
介護人材確保と防災対策のさらなる強化に向け、介護職員宿舎借り上げ支援のさらなる拡充を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は、介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を対象に、一戸当たり月額八万二千円を上限として、最大で八分の七を補助しております。
昨年度から補助対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設などに加え、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所や、そのほかの在宅サービス事業所等にも拡大をいたしました。
来年度からは、一戸当たりの助成期間の制限を撤廃し、外国人介護従事者を戸数制限の枠外といたします。また、より多くの事業所が災害時協力協定を締結できますよう、その要件に、災害時における避難所等への誘導を加えたいと考えております。
こうした取組により、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を一層推進してまいります。
○白戸委員 また、全ての介護職員に届く支援策として、来年度予算案において、全介護職員への月額一万円から二万円の住宅手当が新たに盛り込まれました。
特に、私たちの求めに応じまして、人材不足が顕著にあるにもかかわらず、国の処遇改善加算の対象になっていないケアマネジャーも対象にしたことは画期的でございます。
さきの予算委員会総括質疑では、ケアマネジャーの更新研修の内容改善に向けた前向きな答弁を得たところではありますが、ケアマネジャーとして登録するために必要な実務経験者向け研修の費用負担も大きな課題です。
五万八千三百円という高額なために、国の調査によれば、これを負担に感じている割合は七割を超えており、都内でも研修を受講せずに資格を失効する方が毎年二千人以上もいると聞いております。一部自治体では人材不足対策として、この費用助成を行っており、こうした事例を参考に、都としても支援を強化すべきです。
深刻な介護支援専門員不足の現状を鑑み、都としても介護支援専門員更新研修費用の負担軽減策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○佐藤福祉局長 都は来年度から、研修受講者の負担軽減を図るため、都内の居宅介護支援事業所等に勤務する介護支援専門員が資格の更新に必要な研修を受講する場合、受講料を負担する事業所に対し、新たに受講料の四分の三を補助いたします。
○白戸委員 更新研修費用の四分の三補助ということが実現するというわけで、ケアマネジャーの経済的な負担は大きく軽減されると思います。今後も、介護する人、される人が安心できる、そして制度の持続可能性を高める施策の充実を求め、次の質疑に移ります。
エネルギーの安定確保と脱炭素の両面で重要になるのが水素です。
知事は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、令和四年に東京水素ビジョンを策定、今年二月には、H2グローバル財団との間で水素の普及について連携・協力合意書を締結するなど、自ら先頭に立ち、水素エネルギーの普及、導入に向けた取組を進めてまいりました。
あらゆる分野での水素活用が期待される水素社会では、航空業界も例外ではありません。中でも、日本の玄関口である羽田空港は、水素を先行的に活用し、脱炭素化の取組を世界にアピールするには絶好の場所です。
水素航空機の実用化は、もう少し時間がかかるものの、空港内には多様なモビリティーが使われており、これらの車両に対する燃料電池などの活用は早期に進めていくべきです。
都は空港エリアでの水素活用を促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 東京の脱炭素化に向けまして、水素のエネルギーとしての利用と供給を進めることは不可欠でございます。
水素を産業で使い、それをパイプラインなどによりまして提供する新たな都市の姿を羽田空港を含めました臨海エリアでつくり上げ、広く示してまいりたいと考えております。
海外から川崎に届く水素を羽田へと確保するため、自治体同士で協定を結んでおります。そうした水素が、将来、SAFを使う航空機の行き交う空港の様々な作業で幅広く活用されるようにしたい。これをモデルにしまして、臨海エリアの水素の利活用の普及を図ってまいります。
都は、空港で燃料電池フォークリフトの利用を進めまして、今後、機体や貨物を牽引する車両も水素で動かしてまいります。
これに合わせまして、空港臨海エリアにおいて、水素利用のニーズのある事業者とその供給の会社とが自治体と共に一堂に会する協議会を立ち上げまして、将来に向けた展開と道筋を明らかにしてまいります。
こうした取組によって、東京が先導して水素エネルギーの普及を推し進めてまいります。
○白戸委員 川崎からパイプラインで羽田に届いた水素を空港内で利活用するということでした。今後も都が先導して水素エネルギー普及に取り組んでいただくことを求め、次の質疑に移ります。
都は、都民と共に暮らしにゆとりと潤いをもたらす緑を育み、百年先に継承する緑のプロジェクト、東京グリーンビズを令和五年七月に始動しました。
来年度予算では、公共用地におけるグリーンインフラの導入と、雨水浸透能力の評価、屋敷林や農地を守るための補助の拡充、基礎自治体の取組への支援など、手厚く予算が組まれました。これを評価します。
加えて、今定例会の私たちの代表質問に対し、知事からは、都民参加型のシンポジウムの開催や民間イベントとの連携、都内の緑あふれるスポットを紹介する東京グリーンビズマップを通じた発信など、都民と共に緑と生きるまちづくりを進める旨が表明されました。
グリーンビズマップを作成するに当たり、ニューヨークやサンフランシスコ、メルボルン、シンガポールなどの諸都市で利用が広がっているツリーマップが参考になります。
ウェブで公開されたこのマップには、樹木の位置や種類、さらに幹のサイズに加えまして、樹木一本一本の雨水流出抑制量、節電効果、大気汚染物質の除去量など、エコロジカルベネフィットが公開されています。
加えて、マップのデータなどを用いて樹冠被覆率を算出し、街路樹整備に役立てているほか、樹木に関する行政のメンテナンス情報や、ボランティアによる清掃活動の状況なども得ることができるようになっています。
このように、諸外国の取組をはじめ、都が来年度手がける雨水貯留浸透効果の測定、そして都民アンケートなど、都市における緑の在り方について多角的に検証し、都民の癒やしと都市の持続可能性につながる緑の創出の管理を行うべきです。
そこで、改めて、東京グリーンビズを推進するに当たり、指標やデータに基づきながら都民の理解を得ることが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 世界では、気候変動への適応や、感染症を契機といたしました人々の価値観の変化、生物多様性への取組など、自然環境と都市の機能の調和が重要視されております。
百年先を見据えまして、東京の緑の価値を高めていくため、東京グリーンビズを始動しまして、今般、施策を強化いたしました。
取組の推進に当たりましては、目標や成果を示し、都民の理解と共感を得ることが重要でございます。
このため、世界における様々な取組事例も参考にいたしまして、新たなプラットフォームとして構築する東京グリーンビズマップを通して、緑に関する多様なデータ等を見える化し、効果的に発信をしてまいります。
これによりまして、都民をはじめ様々な主体との連携協力をはじめ、東京の緑を守る、育てる、生かす取組の輪を拡大いたしまして、自然と調和した持続可能な都市へと進化させてまいります。
○白戸委員 グリーンインフラの導入や効果検証、緑の価値を見える化していくという前向きな答弁をいただきました。
このプロジェクトは本格的に始動したばかりです。ぜひとも、海外の先行事例などを取り入れながら、バージョンアップを繰り返し、東京グリーンビズの下、緑あふれる成熟都市東京を実現していただくよう要望いたします。
今定例会の私たちの代表質問では、来年度から都内の公共施設三十か所を対象に、特徴的な地域を選定しつつ、レインガーデンの設置などを先行的に進めることが表明されました。大変意義のある取組だと考えます。
都内の土地利用を考えますと、グリーンインフラの導入が期待されるのが都道、そして区市町村道です。
昨年の決算特別委員会の私たちの質疑に対し、雨水浸透ますの都道における導入状況が二・四%にとどまっていることを確認しました。その理由の一つに、構造が複雑で、通行量の多い都道での設置工事が難しいということがあります。
一方で、アメリカでは、街路樹や植栽を、雨水を導入するバイオスウェルとして活用する事例があります。雨水浸透ますに比べると簡便に導入できる一方で、流れ込んだ水の水質が植栽に与える影響についての懸念もあります。
道路における雨水浸透策として、植栽をグリーンインフラの手法の一つであるバイオスウェルとすることについて検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中島東京都技監 道路において雨水を浸透させることは、グリーンインフラの考え方に照らしまして、有効な取組であると認識しております。
一方、導入に当たりましては、道路排水を地中に浸透させることによる道路構造や土壌環境へ与える影響が懸念されます。
このため、お話のバイオスウェルについて、来年度から、関係局と連携して道路に導入する場合の検証を行ってまいります。
○白戸委員 来年度からバイオスウェルを道路に導入する場合の検証をするということですが、ぜひよろしくお願いいたします。
令和五年四月に策定された東京都生物多様性地域戦略アクションプランには、河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進の記載がなされました。これに大きく寄与するのが、河川整備におけるグリーンインフラの導入です。
近年、自然環境と都市機能の調和が重要視される中、都は、野川などの一部の河川工事で、人々が水辺に親しめるようにした親水護岸の整備事例をつくるなどしてきましたが、最近施工されました善福寺川下流域においては、都立公園に接して流れているにもかかわらず、これまでのとおりの工事が行われたとの指摘があります。
河川工事は、浸水防止が、当然ですが最優先の課題ということは理解しつつも、今後は生物多様性への配慮とグリーンインフラとしての側面についても、可能な限りこれを考慮されるべきであり、そのためにも、公園と水辺が一体となり連続した緑化空間にすることが可能な親水護岸の導入は非常に重要であると考えます。
そこで、治水対策と自然環境の両立が可能な親水護岸の整備をさらに進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○中島東京都技監 中小河川の整備に当たりましては、洪水対策に加え、潤いと安らぎを与える水辺空間を創出する取組を行うことが重要でございます。
都はこれまで、野川や落合川などにおいて、河川改修に合わせて人々が水辺に近づける親水護岸を整備してきており、石神井川の東伏見公園予定地内では、現在、公園と一体となった傾斜の緩い護岸の整備を実施しているところでございます。
今後も、河川の背後に広い用地が確保できるなど、可能な箇所におきましては、地域の意見を聞きながら、親水性に配慮した河川整備に取り組んでまいります。
○白戸委員 住民の意見を丁寧に聞き、住民に親しまれる河川整備を進めていただくようお願いいたします。
現在、善福寺川流域の浸水対策として、調節池の設置が公表されています。地下施設として浸水対策の有効性は疑いないものの、住民の注目が集まっているからこそ、住民理解と参画を促す取組を求める声が住民からは寄せられております。
河川は都市における貴重なオープンスペースであり、人が集い、親しめる空間です。そのため、河川での取組は都民への理解促進につながりやすいと考えます。
そこで、河川整備のために取得した用地についても、施設の性能に影響を及ぼさない範囲で、良好な河川環境を保全、創出するために、グリーンインフラの導入にも努めるべきと考えますが、見解を伺います。
○中島東京都技監 環境に配慮した川づくりを進めるためには、水害対策に万全を期した上で、自然の多様な機能を生かすグリーンインフラを活用することが重要でございます。
河川の整備に当たりましては、これまで緑豊かな緩傾斜護岸や自然石を用いた石積み護岸の整備、湧水の保全など、自然を生かした取組を行ってまいりました。
これらの取組に加えまして、令和六年度は、旧河川敷や既存の調節池の緑化などについて検討し、グリーンインフラの導入を図ってまいります。
○白戸委員 来年度から、旧河川敷や既存の調節池敷地の緑化など、グリーンインフラとしての機能を持つ整備も検討するという前向きなご答弁、取組が進むことを期待しております。
国交省の調査によると、住民の多くが、都心や中心市街地において、公園や広場など、自転車や徒歩で行けるエリアに緑があることを望んでおります。
都市の中で都民が触れる緑を増やす方策として、大規模な民間開発において、建物緑化などの立体的な緑の創出を推進するなど、確実に緑を増やすよう取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○谷崎都市整備局長 安らぎや潤いのある快適な都市環境を形成するためには、様々な都市開発の機会を捉えて、地上部に加え、建物上にも立体的な緑を誘導することが有効でございます。
このため、都市開発諸制度を今年度改定し、持続可能な都市東京を先導するベイエリアで、緑化基準を四割から五割に引き上げ、建物におけるテラス等に緑を増やすことにより、立体的な緑の創出を促進いたします。
来年度は、都心部等において、緑が持つ多面的機能に着目して、屋上やテラス等を活用した緑化の効果を測定評価し、民間の都市づくりにも生かしてまいります。
これらにより、緑あふれる東京の実現に向けて取組を加速してまいります。
○白戸委員 ベイエリアにおける緑化基準を四割から五割に引き上げるということに加えまして、緑化の効果も測定評価するというご答弁でした。まち中の立体的な緑に向けた民間の創意工夫を進めるものと高く評価いたします。
神宮外苑の再開発に関して一言申し上げます。
樹木の伐採という側面だけを取り上げて批判する声もありますが、グリーンインフラの専門家や普及啓発を進めるNPOのメンバーなどから、そのような批判、聞いたことがありません。
そもそも、神宮外苑の緑は人が植樹したものであり、来訪者の安全確保を徹底する観点から、日常的に枯損木の除去など、人が手入れをし、管理をしてきました。
そして、今回の再開発では、イチョウ並木を中心とする美しい都市景観は守られ、緑や都民が憩うためのオープンスペースは従来よりも増える計画となっています。
都市の中の緑には、人々の癒やし、生物の多様性の促進、グリーンインフラとしての側面など、多面的な価値があります。これらを踏まえた上で、都市の持続可能性を高めるために、人の手をかけて適正に維持管理していただきたいと思います。
そして、今後のグリーンインフラの導入についても一言申し上げます。
都は、今後の浸水被害対策として、東京都豪雨対策基本方針において、重点的に対策を進めるエリアを定め、順次拡大していくこととしています。グリーンインフラの先行実施や定量評価でその効果が認められた暁には、これらのエリアにおいて、導入を一層加速するよう要望いたします。
ふるさと納税について伺います。
私たちはかねてより、ふるさと納税の問題について取り上げてまいりました。貴重な税金が仲介サイト事業者の手数料に投入されているなど、様々な問題が指摘されている中、都におけるふるさと納税による減収額は年々増加し、都財政に及ぼす影響も大きくなっております。
先日、アマゾンジャパンがふるさと納税仲介事業への来春の参入を目指すという報道がありましたが、ネット販売最大手の参入によって、ふるさと納税市場の拡大が想定されます。
そこで、まず、ふるさと納税による都及び都内区市町村の令和五年度の減収額を伺います。
あわせて、仮にも今後、寄附額の増加により都の減収額が増え続けた場合、どこまで減収額が膨らむ可能性があるのか伺います。
○児玉主税局長 ふるさと納税による令和五年度の減収額は、都分が六百七十五億円、都内区市町村分が一千十三億円、合計で一千六百八十八億円でございます。
仮に、全ての個人都民税の納税義務者が上限である所得割額の二割まで税額控除を受けると仮定して機械的に試算しますと、減収額は都分が約二千億円、都内区市町村分が約三千億円、合計で約五千億円となります。
○白戸委員 五千億円というのは、あくまでも影響が最大になった場合という機械的な試算とのことですが、都民一人当たりに換算すると約三万五千円もの税の流出ということになります。
アマゾンジャパンの参入によって、ネットショッピング感覚で寄附を行うなど、本来の趣旨から逸脱した利用が拡大することで、都民のために使われるべき財源のさらなる流出につながりかねないという状況に危機感を持っております。
こうした動きについて、都の認識を伺うとともに、都民への周知啓発など、さらなる対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
○児玉主税局長 ふるさと納税には被災した自治体の復興支援等に寄与する面もありますが、受益と負担という地方税の原則をゆがめているなど、多くの課題がございます。
このため、都は昨年末、都内区市町村と連携して、国に対し、制度の抜本的な見直しを求める共同要請を実施いたしました。
大手のEC事業者の参入により、いわば官製ネットショッピングともいえるふるさと納税の利用者の大幅な増加が見込まれ、貴重な税金が手数料としてさらに仲介サイトに流入することになります。
また、都や都内区市町村からの税源の流出額はますます拡大し、事態は一層深刻になり、見過ごすことはできません。
今後さらに都民サービスへの影響が大きくなるおそれがあることなど、ふるさと納税が抱える構造的な問題について、より多くの方にご理解いただく必要があります。そのため、戦略的広報を積極的に推進いたします。
加えて、問題意識を同じくする他の自治体とも連携しながら、国に対して一層強力に抜本的な見直しを求めてまいります。
○白戸委員 局長の思い、共有するところではございます。
しかし、現状の制度に問題があるにせよ、ふるさと納税のCMが広く流れ、都民に一定程度受け入れられているのが実態でございます。寄附本来の姿ではない利用者が多い一方で、返礼品を受け取らずに寄附をする都民も一定数いると見られます。
政治への信頼が大きく揺らぐ中で、税金を自分の意志で納得感を持って納めたいという都民感情も理解できるところであり、こうした都民の行動や認識を把握した上で、都民への行政サービスが低下しないためには、あらゆる選択肢も視野に、制度のゆがみについて、強い意志を持って国に働きかけていくことを求めておきます。
先日、包括外部監査人から、中央卸売市場の事業に関する事務の執行及び経営管理についての報告が出されました。
私たちもかねてより、経営の抜本的な改善を強く求めてきたところでありますが、包括外部監査人からの指摘も、例年の他局と比べて厳しいものであったという印象です。
いうまでもなく、監査は指摘や意見を速やかに改善してこそ最大限の効果を発揮します。特に、市場全体の施設整備に係る長期的なロードマップの具体的作成、必ずしもうまく機能していないとする市場使用料の在り方などは、市場経営の根幹に影響するものです。
包括外部監査人の指摘、意見に対して、丁寧かつ速やかに対応すべきと考えますが、どのように取り組むのか、見解を伺います。
○早川中央卸売市場長 今回の包括外部監査におきましては、中央卸売市場が、その役割を将来にわたって果たしていくために必要な事柄について、専門的知見から様々な指摘、ご意見をいただいたと認識しております。丁寧かつ速やかに指摘、意見について検討を行い、改善を図ってまいります。
とりわけ、施設整備の全体計画であるマスタープランの策定や使用料の在り方等につきまして、業界との意見交換を継続的に実施することで課題認識を共有し、理解と協力を得ながら、持続可能な市場運営の実現に向けて積極果敢に取り組んでまいります。
○白戸委員 持続可能な市場のためには、長期的なロードマップの作成と市場使用料の見直しは必須と考えます。今後五十年続く市場に向けた取組をお願いします。
私たちは、東京都受動喫煙防止条例の制定以降、公衆喫煙所整備に関する区市町村への支援を求めてきました。
都は、令和二年四月の東京都受動喫煙防止条例の全面施行や東京二〇二〇大会の開催に向け、平成三十年度から区市町村が取り組む公衆喫煙所整備を補助しており、令和四年度から令和六年度までの三か年の事業期間として、包括補助により支援、これまでに補助を活用して、三百を超える公衆喫煙所が整備されました。
一方、屋外の、都の補助が創設する以前から設置されている喫煙所の一部では、周辺に漏れ出すたばこの煙に対して、住民から基礎自治体にクレームが入ることがあるとも聞いております。
都として、このたばこの煙が人通りの多い方向に漏れにくい公衆喫煙所の設置や改修が進むように取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 都は、区市町村が地域の実情に応じて取り組む公衆喫煙所の設置を支援しており、屋外の公衆喫煙所については、パーティション等で区画された喫煙専用の場所とすることや、建物の入り口や窓から可能な限り離して設置することなどを要件とし、改修についても補助対象としております。
来年度は、補助に際して、人通りの多い方向にたばこの煙が漏れ出ることを防ぐための具体策を確認するほか、事業説明会等の場を活用し、屋外公衆喫煙所における設備の設置に関する好事例を共有するなど、区市町村と連携協力しながら公衆喫煙所の整備を進めてまいります。
○白戸委員 新規に設置する公衆喫煙所については改善が期待される一方で、既存設置のものについては、要件を満たすための改修が補助対象であることを、より丁寧に説明いただくよう求めておきます。
予算特別委員会の総括質疑は、能登半島地震を受けて、震災対策から始めました。この締めくくり総括も震災対策で締めたいと思います。
能登半島地震の発生からもうすぐ三か月が経過するにもかかわらず、被災地の景色は瓦礫だらけのまま変わっていません。被災者の一日も早い生活再建と復興には、速やかな住家被害認定や罹災証明書の発行が不可欠です。
首都直下地震などが発生した場合、都の想定では、全壊、半壊、火災延焼を合わせた建物の被害が最大で四十万棟と見込まれています。都が被災したときの対応を想定しておかなければ、いざという場面で機動的な対応は図れません。
さきの我が会派の要望も受け、先日、都は国に対して、住家被害認定を行える者の範囲や判定基準の見直しについて要望を行いました。問題意識を迅速に行動につなげた都の姿勢は高く評価いたします。
さらなる罹災証明書交付までの時間短縮に向けては、AIなどを活用した被害状況の判定や、被災者生活再建支援システム活用による業務のデジタル化などの取組が進んでいます。
もし東京で大規模な地震が起こった場合、住家被害認定や罹災証明書の発行を円滑に行えるよう取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○小池知事 能登半島地震では、多くの建物被害が発生する中、住家被害の認定を行える人材の不足や判定基準の複雑さなど、罹災証明の迅速な交付を阻む制度的な課題が浮き彫りになりました。罹災証明の交付の遅れは、保育、学校、介護など、様々な場面で被災者への支援に大きな影響を及ぼします。
いつ起きるとも知れない首都直下地震等に備えまして、被災者に寄り添い、そして早期の生活再建を実現する仕組みの整備が急務でございます。
こうした強い危機感から、都は、国に対しまして、応援職員の権限の拡大や判定基準の徹底した簡略化、さらには抜本的な見直しについて緊急要望を行いました。
こうした国への要望の実現を強く働きかけるとともに、都といたしまして、大規模災害が発生した際にデジタルツインやAIなど最新技術も活用し、区市町村が行います被害判定の迅速化を図ることで被災者の円滑な生活再建につなげてまいります。
○白戸委員 今回の地震による甚大な被害を受けまして、改めて強く感じるのがデジタル技術の有用性でございます。
かねてより私たちは、XYZの位置情報を持つ、点の集合体としての地形や物体などを捉える点群データに代表されるデジタルツインの検討と、中でも防災分野への応用を求めてまいりました。
今回の能登半島地震において、都のデジタルツインビューアーを提供し、点群データなどによる被災状況の可視化を通じて復興支援を後押ししていると聞いております。都の技術力で速やかに支援を開始していることは高く評価いたします。
今回の支援は、首都直下型地震の備えを強化する意味でも大変重要です。今後、点群データやサイバー空間上で都市を再現するデジタルツインを防災に一層活用すべきと考えますが、都の取組について伺います。
○山田デジタルサービス局長 都が都内全域で整備している点群データは、公開されている航空レーザー測量によるデータでは日本最高精度であり、山間部の都道の斜面点検、水害シミュレーション、土石流に対する安全対策など、庁内活用を進めております。
来年度は、発災前後の地形比較による被害状況の把握により、迅速な復旧、復興につながるよう、各局や区市町村と連携し具体的な活用策を検討してまいります。
さらに、デジタルツインに民間事業者の保有する車両の位置情報等を取り込み、自治体で唯一都が構築いたしました三次元でデータを可視化できる3Dビューアーを活用し、災害時の通行シミュレーションの検証を関係局と行うなど、全庁の防災対策への活用に向けて取り組んでまいります。
○白戸委員 点群データや、このデジタルツインなど、都の首都直下型地震の備えに生かし、都の災害力強化につなげることを要望しておきます。
以上、私たち都民ファーストの会東京都議団は、小池都知事が取り組む東京大改革を共に進めるという都民の負託に応え、人が輝き、活力あふれる、そして日本を牽引する東京の実現に向けて、引き続き全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質疑を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○菅原副委員長 白戸太朗理事の発言は終わりました。
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