予算特別委員会速記録第五号

○内山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十四日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 田村利光理事の発言を許します。
   〔委員長退席、小松副委員長着席〕

○田村委員 質問に先立ち、能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々へお見舞いを申し上げます。
 さて、令和六年度の都税収入も六兆三千八百六十五億円と堅調に推移する中で、平成二十年度税制改正以降の、いわゆる偏在是正措置による令和六年度の影響額は約一兆三千億円に及び、現行の見直しが導入された令和元年度税制改正時の試算九千億円を大きく上回っています。一方で、地方税全体で見ても、地方税収は増加傾向にあり、地方財政計画ベースにおける令和元年度の地方税収の決算額四十兆円から、令和六年度は四十二兆七千億円と増収になるようです。
 こうした中、さらなる偏在是正を求める声が出てきていますが、東京富裕論を招かぬよう、都として毅然と主張し、正しい理解を広げる努力が必要だと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 令和六年度予算では、東京、そして日本が抱える課題の解決に向けまして、都市力を磨き抜く大胆な施策を盛り込んだところでございます。
 こうした取組の実現は、無駄をなくす取組を徹底しまして、この八年間で約八千百億円の財源を確保するなど、賢い支出に努めてきた成果にほかなりません。
 東京があたかも裕福であるかのような主張は、財政運営上の努力や都が果たすべき役割を顧みず、税収規模など一面のみを取り上げました乱暴な議論でございます。地方税収に地方交付税等を加えました人口一人当たりの一般財源額で見ますと、東京は全国平均と同水準でございまして、是正すべき偏在はございません。
 そもそも、我が国の財政でございますが、歳出の配分が国と地方で四対六であるのに対しまして、租税収入の配分が六対四と、逆転状態が続いております。
 日本が持続的成長を遂げるため、地方が果たすべき役割と権限に見合う地方税の充実こそが重要でございます。こうした都の主張を皆様に共感いただけますよう、様々な機会を捉えまして分かりやすく発信をしてまいります。

○田村委員 東京と地方の共存共栄の意義と在り方を、都民、国民の皆様にしっかりと理解していただくよう、一丸となって取り組んでいくべきと考えます。
 去る三月十九日、日本銀行の金融政策決定会合において、マイナス金利の解除が決定いたしました。この十七年ぶりの金融政策の変更や、今後見込まれる金利上昇が、基金や都債といった都の財政運営に与える影響についてどのように認識しているのか、都の見解を伺います。

○山下財務局長 日本銀行の金融政策の変更が都の財政運営に与える影響といたしまして、基金の預金利子が増加する一方、都債の償還に要する利払い費の増加などが見込まれます。
 特に、利払い費に影響がある都債残高につきまして、都はこれまでも、計画的に償還を進め、将来負担を見据え、発行額を抑制することで着実に減少させてまいりました。こうした取組の成果もあり、金利の上昇が見込まれる中でも、令和六年度の利払い費は四百十二億円と、ピーク時の平成十二年度と比較いたしまして約六分の一の水準となっております。
 今後とも、金利の変動がある中にあっても、必要な施策に的確に財源を振り向けることができますよう、中長期を見据えた持続可能な財政運営に努めてまいります。

○田村委員 金利が上昇する局面においても、これまでどおり堅実な財政運営が必要です。
 さて、都税収入は、その主力となっているのは大企業であり、中小企業の六割以上が欠損法人であるという統計は長らく変わっていません。企業にとって利益を上げることは、納税という社会的義務を果たすのと同時に、コロナ禍のような不測の事態への対応力を養うことでもあります。
 そこで、都の中小企業施策について幾つかお聞きします。
 まず、時間外労働上限規制適用がいよいよスタートとなる建設業に関連して質問します。
 建設現場では、工事書類の作成に多大な労力と時間を要しています。そのような中、今年度、業界団体は、書類削減について建設局と意見交換を重ねていると聞きます。
 この問題への取組は、令和六年度以降も引き続いての対応が必要ですが、建設局における現在の検討状況と今後の取組について伺います。

○中島東京都技監 受注者の負担軽減のために工事関係書類を削減、簡素化することは重要でございます。
 このため、建設局ではこれまで、書類の様式等に関する基準の改定を行い、削減、簡素化に取り組んでまいりました。
 この四月からは、業界団体の意見も踏まえまして、施工体制台帳に記載する下請負人の範囲を限定するとともに、添付を求めていた建設業許可の写しを不要とするなど、一部の工事関係書類について、さらなる削減、簡素化を図ります。
 加えて、工事材料の確認手法の簡素化を予定しておりまして、これにより一層の書類削減を図るなど、受注者の負担軽減に向け、積極的に取り組んでまいります。

○田村委員 災害時には、救援段階においても、復旧段階においても強力なサポートを約束してくれている建設事業者を支えるためにも、二〇二四年問題への対応をさらに進めていくべきです。
 次に、入札制度について伺います。
 受注者にとって、出来形数量の根拠資料の作成が負担となっている実態があり、第一回定例会の代表質問で、負担軽減に取り組むべきとして見解を伺いました。都は、根拠資料の一部を省略するなど、受注者の負担軽減に向けた検討を進めると答弁しましたが、具体的にどのような検討を進めていくのか、また、実施に当たり各局にどのように浸透させていくのか伺います。

○山下財務局長 土木工事では、完成した構造物の寸法を測量し、その結果を基に出来形数量を算出することとしておりまして、都は受注者に対し、算出の根拠資料の提出を求めております。
 今後、受注者の負担軽減に向けて、具体的には、設計図書の寸法に対し、測量結果が都の定める規格値を満たしていると確認できた場合、根拠資料の提出を求めないなどの検討を進めてまいります。
 検討結果を踏まえ、必要な工事仕様書等に反映するとともに、実施に当たりましては、監督員等がその内容を適切に運用できるよう、関係局で構成される協議会等を通じて周知を図ってまいります。

○田村委員 次に、入札制度について伺います。
 総合評価方式は、確実な履行や品質の確保等に有効であることから、都では工事規模や技術的課題に応じて四類型を運用しております。
 このうち、技術提案型については、第三回定例会代表質問において、我が会派の質問に対し、簡易な総合評価方式の導入について検討を進めるとの答弁がありましたが、検討状況を伺います。

○山下財務局長 工事契約における総合評価方式のうち、技術提案型につきましては、現状では三つの課題に対する技術提案を求めるなど、技術的工夫の余地の大きい大型の施設整備で活用されております。
 今後、中小企業が、より技術提案型に参加できますよう、案件の規模に応じて、提案を求める課題数を絞ることにより、提出書類の削減や手続期間の短縮など、受発注者双方の負担軽減にもつながる新たな方式の検討に着手しております。
 こうした方向性につきまして、本年二月に学識経験者等へ示し、ご意見をいただいておりまして、今後、制度設計の具体化を進め、来年度中の制度構築に向けて取り組んでまいります。

○田村委員 総合評価方式のほかの類型についても、随時モニタリングを実施し、取り巻く社会状況の変化に応じて適切に見直しを行っていくべきと考えます。都の見解を伺います。

○山下財務局長 技術提案型以外の三類型につきましても、実施状況等を分析し、必要な制度改善に向けた検討を行っております。
 このうち、中小規模の工事を対象に工事成績等を評価する施工能力審査型では、ダンピング対策の効果をより高めるために、価格点の算出方法の修正を検討しております。
 施工計画を重視する技術力評価型は、活用促進に向け、現場の声を踏まえた評価項目の見直しを検討してまいります。
 技術的課題の少ない比較的大規模の工事を対象といたします技術実績評価型は、技術点と価格点がバランスよく運用されておりまして、現行制度を維持してまいります。引き続き、総合評価方式を適切に運用し、品質の確保に努めてまいります。

○田村委員 時代は刻一刻と変化しています。適正な価額と良質な品質を確保するために不断の努力をすべきと申し上げます。
 次に、特別養護老人ホーム等の支援について伺います。
 近年の急激な建築費高騰により、新規の施設整備や既存施設の改修など、施設整備に影響が生じています。そのため、昨年の第四回定例会の代表質問において、整備費補助に物価スライド方式を導入するよう求めたのに対して、検討を進めるとの答弁がありました。
 そこで、整備費補助における物価高騰への対応について伺います。

○佐藤福祉局長 都は平成二十六年度から、建築費高騰に対する整備費補助の加算を創設し、必要に応じて加算額を増額するなど、独自の支援策を講じてまいりました。
 近年の急激な建築費高騰により、新規の施設整備をはじめ、施設の建て替えや大規模改修などに影響が生じる事業者もいることから、来年度、直近の建築費高騰の状況を反映できますよう、整備費補助に物価スライド方式を導入いたします。
 これによりまして、事業者の負担軽減を図り、必要な整備を進められるよう支援してまいります。

○田村委員 都は令和六年度、高齢者施設の運営について、介護従事者、ケアマネジャーへの家賃補助など、支援を強化していくことは、現場からも感謝の声が届いています。
 しかし、実態として、六割以上の施設が赤字だという統計もあります。施設の運営に関する全般の支援をさらに充実させていくべきです。
 次に、高齢者施設等での人材確保支援についてお聞きします。
 二〇一九年に始まった特定技能の制度では、国は、今後五年間で八十二万人の受入れを見込んでおり、介護の分野でも今まで以上に活躍することが期待されています。特定技能の外国人を雇用する場合、民間の登録支援機関に支払う委託手数料の負担が大きく、また、コミュニケーション面での不安も根強くあります。
 そこで、事業者への支援を一層強化していくべきと考えますが、今後の取組について伺います。

○佐藤福祉局長 都は、特定技能の在留資格を持つ外国人を受け入れる介護施設等を支援するため、来年度から新たに、日本語や介護技能の学習に必要な経費を補助いたします。
 さらに、特定技能外国人の受入れ施設等が、登録支援機関などに支払う紹介料につきまして、補助基準額三十万円の二分の一を補助する事業を開始し、都が行う海外の外国人や送り出し機関への情報発信に協力する場合には、補助率を三分の二に引き上げるなど、事業者への支援を強化いたします。
 こうした取組により、特定技能外国人が介護分野で活躍できる環境を整備してまいります。

○田村委員 人手不足による機会損失によって赤字額が増えている例もあります。日本の文化や風土になじみ、ホスピタリティーあふれる外国人介護従事者が人手不足を補うことで、都民が安心して過ごせる高齢化社会をつくるべきです。
 次に、中小企業の人手不足解消にも寄与する都立高校の取組について伺います。
 まず、都立工科高校について伺います。
 これまでも工科高校は、東京の地域経済を支えるものづくり人材を数多く輩出し、社会に貢献してきました。にもかかわらず、工科高校を志望する生徒数は伸びていないというデータがあります。その状況で、本質的に知事の強力な発信が不可欠であると考えます。
 今、日本がドイツにGDP成長率で抜かれ、インドがすぐそこに迫っております。都立伝統校も工科高校も同じ価値、重みがあると、知事が先頭に立って発信することが重要です。
 ものづくりの世界も、今後、さらにグローバル化が進んでいくことを見据えて、工科高校においても、世界に伍する人材を育成していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 急速に進む少子高齢化や国際競争力の低下など、日本が直面する課題に対応していくためには、首都東京として、未来を切り開く人の育成が急務となっております。
 東京の産業基盤を支えるものづくり企業におきましても、経済のグローバル化やDXの進展に対応できます人材が求められており、その担い手を育成する都立工科高校の役割は、一層重要となっております。
 このため、来年度、都立工科高校におきましても、ものづくりスペシャリストの育成に向けました資格取得支援制度を新たに創設するとともに、最新のデジタル機器の導入や海外派遣研修を初めとします、グローバル教育の充実を進めるなど、世界を視野にして活躍できる技能人材を育成してまいります。

○田村委員 工科高校では、一定数の生徒が卒業後就職する傾向にあり、地元の企業が頻繁に来校し、生徒とも接する機会があります。その点、社会に近い環境がつくられているといえます。
 一方、普通科高校では、大学、専門学校への全入時代となり、より進学が当たり前の意識が進み、地域の企業と接する機会もありません。
 そのような中、都教育委員会は、大学や専門学校への進学、企業への就職など、卒業後の進路が多様な普通科高校の魅力向上のため、今年度から十五校をスキルアップ推進校として指定しました。
 スキルアップ推進校では、様々な実践的なスキルの習得を支援しています。取組の中でも、ジョブキャンプと呼ばれる職場体験は、生徒の進学先や職業選択の可能性を広げるよい機会となっていると考えます。
 一方で、都内の中小企業の多くは人材不足に陥っており、人材確保は喫緊の課題となっています。
 そこで、ジョブキャンプに、地元の企業を数多く体験先として加えることが大切と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 ジョブキャンプは、ビジネスマナー研修と職場体験を組み合わせたプログラムであり、生徒が将来の職業を考える契機とするとともに、ビジネス現場におけるコミュニケーションスキルを身につけることを目的に実施しております。参加した生徒からは、企業訪問前にビジネスマナーを学べてよかった、就職したい業界が見つかったなどの感想が寄せられております。
 来年度は、介護や保育等の福祉業界、製造業、観光業など地域を支える多様な企業で職場体験ができるようにするため、各学校の地元の企業に対して体験先としてご協力いただけるよう積極的に働きかけるなど、地域の企業との連携を進めてまいります。

○田村委員 大学全入時代になり、奨学金を借りて大学へ進学し、結局ついていけずに退学をして、奨学金が借金となり、ヤミバイトに手を出してしまう生徒もいると聞きます。
 であれば、地元の優良な企業に就職し、地元で安心して暮らしていく、そういうルートを選択肢の一つとして確立すべきです。
 昨今、保育士の児童に対するわいせつ行為が発生しており、都内でも昨年十一月にベビーシッターによるわいせつ事故が、また、本年一月には墨田区の認可保育所でも事故が発覚しました。
 墨田区の事故に至っては、先週十八日にも四度目の逮捕となり、しかも、警察は、さらにこれ以外にも複数の児童が被害に遭っていると見て捜査を継続しているとのことです。自ら声を上げることのできない幼児に対する極めて卑劣な犯行であり、大変許し難いものです。
 昨年四月に施行された改正後の児童福祉法では、保育士登録の取消し事由に、刑事罰の有無にかかわらず児童に性暴力を行った場合が追加され、保育士を雇用する際にその事由により保育士登録を消された者のデータベースの活用が雇用主に義務づけられるとのことです。
 このような中、都は保育所における性被害防止にどのように取組を行っているのか伺います。

○佐藤福祉局長 保育士による性暴力などを未然に防ぐためには、ほかの保育士の目が行き届きにくくなる場面をできる限り減らし、組織的な支援体制を構築するなど、性暴力等につながる行為をさせないこと、そのような行為につながる環境や体制などに潜むリスクを取り除くことが必要でございます。
 都は現在、保育所等の職員向けの研修動画の作成に取り組んでおりまして、その中に、カメラの設置のほか、おむつ替えの分担や職員間のコミュニケーションの取り方など、性暴力の予防に向けた内容も盛り込み、周知をしてまいります。

○田村委員 地域における子供の居場所支援について伺います。
 家庭や学校に居場所がない子供が、トー横などの繁華街で犯罪に巻き込まれるケースが多発しています。子供が地域で安心して過ごせる環境づくりが必要です。
 こうした中、国は来年度から、地域における児童虐待の防止と児童の健全育成を図るため、児童育成支援拠点事業を新たに実施します。
 複雑な課題を抱えている子供たちには、保護者と共にきめ細かい支援が必要です。そのためには、専門職の配置など、しっかりとした支援体制が必要となります。
 この事業では、こうした子供たちをどのような体制で支援していくのか伺います。

○佐藤福祉局長 国が来年度から実施する児童育成支援拠点事業は、養育環境などに課題があるなど、支援が必要な児童を対象に、区市町村が児童館や児童養護施設などを活用して、居場所の確保や食事の提供、課外活動などを行うものでございます。
 本事業は、区市町村の子供家庭支援センターが児童や家庭のアセスメントを行った上で支援計画を策定し、これに基づいて支援することとされております。
 また、職員の配置については、児童指導員等の有資格者を必ず配置するほか、必要に応じて、心のケアに対応する心理療法担当職員や関係機関との連携などを担うソーシャルワーカーを配置することとされております。

○田村委員 今の答弁では、課外活動も行うとのお話でしたが、子供たちが様々な体験活動や遊びなどを通じて、友情を育めるような魅力ある居場所としていく必要があります。
 具体的に、どのような内容を想定しているのか、また、この取組を区市町村にどのように広げていくのか、見解を伺います。

○佐藤福祉局長 本事業では、課外活動として農業体験や職業体験、地域の年中行事やイベントへの参加、ボランティア活動などを通じて、人との出会いや自己肯定感を高める機会をつくることとされております。
 今後、本事業の活用について、区市町村の児童主管課長会などにおいて周知をしてまいります。

○田村委員 地域において居場所を必要としている一人でも多くの子供たちの支援につながるよう、都としても区市町村と連携して、この取組を進めるべきと考えます。
 先ほど、ジョブキャンプについて質問をいたしましたけれども、普通科高校から地域への企業の就職につながったとしても、社会人としての生活で必要なお金の知識がなければ、早期退職や様々なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。高校在学中に、お金の基本的なこと、例えば一人暮らしをする場合にかかる経費や借入れをした場合の返済計画などを勉強させる必要があります。
 そこで、都立高校における消費者教育の取組について伺います。

○浜教育長 各都立高校では、家庭科や公民科等の授業で、進学、就職、結婚、育児など、ライフスタイルを見通しながら、病気等のリスクにも備えた家計管理や計画の重要性について考えさせることを通して、生徒が消費生活に関する知識と実践力を身につけられるよう指導しております。
 また、都教育委員会は、毎年度、消費生活総合センター等と連携し、全都立高校の消費者教育担当教員を対象とした研修の実施や家計管理に関する指導例を示した教員向け資料の作成など、学校の取組を支援しております。
 来年度は、こうした取組に加え、家庭科や公民科の教科主任連絡会等において、先進的な事例の共有を図るなど、学校における消費者教育の一層の推進を図ってまいります。

○田村委員 公立小中学校においては、放課後の居場所として、学童保育等が整備されており、特別支援学校においても、知的障害や肢体不自由の場合には、地域の放課後等デイサービスが受入れを担っています。
 ところが、聴覚障害児の場合には、都立ろう学校には通学区域が設定されておらず、広範囲の地域から子供たちが集まっており、地元の学童を利用することも簡単ではありません。
 また、放課後等デイサービスについては、聴覚障害児を受け入れる施設が少ないことや、受け入れたとしても送迎サービスがないなどして利用できる施設が限られているため、保護者の中には、学校内に放課後の居場所をつくってほしいとの声も上がっています。
 こうした声が出てくるのは、都立ろう学校の場合は、子供が一人で通えるまでの間は、学校の時間に合わせて保護者が送迎しなければならず、大きな負担となっているからであり、保護者負担の軽減のために、都教育委員会としても、対応を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 都立ろう学校は、知的障害特別支援学校や肢体不自由特別支援学校とは異なり、通学区域が広く、低学年の児童については、保護者に送迎をお願いしていることなどから、通学に当たっての保護者負担について様々な声が上がっていることは承知しております。
 聴覚障害児の放課後の居場所の確保に向けましては、活動場所や管理運営体制の確保などの様々な課題があり、都教育委員会は、保護者の負担軽減のため、関係局とも連携して検討してまいります。

○田村委員 ろう学校は、ほかの障害と異なり通学区域が広く、それだけに安全・安心の施策を強化し、聴覚障害があっても社会で活躍する基礎をつくる場にしていくべきと考えます。
 次に、フレイル予防についてお聞きします。
 高齢者のフレイル予防には、栄養、体力、社会参加の三つの予防習慣と口腔の対策を行うことが重要です。外出など、社会参加の取組は広がっているところですが、栄養、食べることと、口腔、かむ力についても、都民への周知を広げていく必要があると考えます。
 都は、高齢者の社会参加を進める観点から、来年度、TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業を行うこととしていますが、こうした食に関連のあるところで、フレイル予防の普及啓発を行っていくことが有効と考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤福祉局長 都は、高齢者の交流機会の増加、心身の健康増進、多世代交流の促進を目的として、高齢者が外出し、地域の中で気軽に立ち寄り、会食できる居場所づくりに取り組む区市町村を支援しております。
 本事業では、会食の場を活用した高齢者の心身の健康増進や安全・安心な生活に資する講座の開催などに要する費用も補助対象としております。
 こうした場で、高齢者が特に摂取すべき食品群や、お口の健康のための体操などを分かりやすく示した都のリーフレットなどを活用いただくよう呼びかけてまいります。
 同時に、区市町村に対し、本事業の実施を積極的に働きかけてまいります。

○田村委員 TOKYO長寿ふれあい食堂が、単に外出、交流するだけでなく、そこでの食事がフレイル予防につながり、効果を発揮するよう、さらに進化させていくべきと考えます。
 さて、食生活はフレイル予防に限らず、健康維持、向上の観点からも重要です。
 都保健所は、健康のために必要とされる量の野菜を食べられるメニューを提供する飲食店を野菜メニュー店としてPRしています。外出の機会にもなることから、生活習慣病の予防、ひいてはフレイルの予防のためにも、こうした取組を一層進めることが必要です。
 そこで、野菜メニュー店に関する取組の来年度の展開について伺います。

○雲田保健医療局長 高齢者を含めた様々な世代が健康的な食生活を実践するには、外食におきましても、健康に配慮した食事が取れる環境づくりが重要でございます。
 このため、都は、野菜の摂取量に配慮した食事を提供する野菜メニュー店の普及啓発に取り組んでおり、来年度は、健康推進プラン21の改定を踏まえ、野菜メニュー店に加えて、栄養バランスや減塩に配慮した取組を行う飲食店等を普及対象に追加いたします。
 また、区市町村が作成いたしましたウオーキングマップを紹介する都のポータルサイトにおきまして、こうした飲食店等を新たに地図上に表示し、さらなる認知度向上を図るなど、引き続き、都民の食生活の改善につながる取組を推進してまいります。

○田村委員 フレイル予防策として、外出をすることが重要であり、その外出の目的が食、食べることであり、しかも、その食事がフレイル予防になれば、なおさら効果が期待されます。TOKYO長寿ふれあい食堂と共に、日常的な外食先のご近所の定食屋さんやレストランが、フレイル予防になる食事をおいしく、雰囲気よく提供してくれれば、おのずと足が向くのではないでしょうか。現在の野菜メニュー店をさらに進化させて、元気な高齢化社会を担う拠点に育て上げるべきと考えます。
 次に、ワンヘルスについてお聞きします。
 コロナ禍のパンデミックにより、人類は未曽有の危機に陥りました。次なるコロナを防ぐため、人と動物の医療や公衆衛生、環境保全に関わる十二の機関、団体が、人と動物、生態系の健康は一つ、ワンヘルス共同宣言を発表しました。
 環境破壊が急速に進んだこの五十年で、新たな人獣共通感染症の発生頻度も高まり、毎年、三つから四つの新興感染症の発生が確認されています。その多くは、自然破壊に伴い接触機会が増えた野生動物に由来するとの指摘があります。
 都において、次のパンデミックを防止し、人や動物、そして自然が共に健康的に生きられる社会を実現していくためには、予防的アプローチであるワンヘルスの実現が不可欠です。
 地球規模の持続可能性に配慮し、将来にわたって生物多様性の恵みを受け続けることのできる、自然と共生する豊かな社会を目指すことを基本理念とした東京都生物多様性地域戦略は、まさにワンヘルスの理念そのものといえます。
 さきのパンデミックで得た知見を生かし、ワンヘルスの実現に寄与するためにも、こうした環境保全哲学を広く都民や次世代を担う若者などに積極的に発信すべきだと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 野生動物は、様々な病原体を持っている可能性があり、その接触によるパンデミックを防ぐためには、動物や生態系に配慮した行動が重要でございます。
 都は、生物多様性地域戦略におきまして、自然と共生する豊かな社会を目指し、希少動物やその生息環境の保全に加え、人と野生動物との適切な関係構築を行動方針の一つに掲げてございます。
 具体的には、野生動物の生息域を保全しつつ、過度な接触や餌づけの禁止などをホームページで発信するほか、チラシの配布や鳥獣保護の専門家による注意喚起等によりまして、都民の理解促進を図ってございます。
 今後も、環境教育や山の日イベント等で、人と自然との関係を見直すワンヘルスの考え方を積極的に啓発してまいります。

○田村委員 ワンヘルスの考えを積極的に啓発との答弁がありました。
 人と動物の健康と環境保全を一体的に考えるワンヘルスを、四十年以上の長きにわたって推進してきた藏内勇夫日本獣医師会会長が、世界獣医師会の次期会長に就任との報道が今月十四日にありました。日本人として初めての快挙です。
 この機会を生かし、世界都市首都東京に国際会議として戦略的に誘致することを提言しておきます。国際社会の一員として、全人類的視野に立ち、世界の潮流を踏まえたMICEなどの取組は、我が国の優れた文化を伝えるとともに、首都東京のプレゼンス向上にもつながると考えます。見解を伺います。

○坂本産業労働局長 海外から都内へ国際会議に訪れる中で、優れた文化や先進的な対応に触れる方を増やすことは、東京の都市としての存在感を高める重要な取組でございます。
 これまで都は、国際会議のレセプションを美術館等で開く場合、備品や照明機材などの借り上げに必要な経費に支援をしております。来年度は、会場借り上げの経費を支援対象に加え、補助率も二分の一から三分の二へと引き上げます。
 また、国際会議の施設運営者や主催者に建物の電力を再エネで確保する仕組みや会場装飾のリサイクル方法等を紹介するイベントを開きます。
 これによりまして、施設の環境配慮の取組を後押しし、主催者に東京開催のメリットを効果的に伝えることといたします。これらによりまして、MICE誘致を戦略的に進めてまいります。

○田村委員 MICE誘致を戦略的に進めることや、開催に係る経費補助の拡充など、坂本局長から力強い覚悟を伺いました。改めて、首都東京で世界獣医学大会の開催を求めておきます。
 さて、本年五月のSusHi Tech Tokyoでは、都市の首長級が集結する国際会議、シティ・リーダーズプログラムが開催されます。世界の五大陸から都市課題を持ち寄って議論するとともに、東京の先端技術やスタートアップの力も生かして解決に導く実践的な国際会議と聞いています。世界の都市課題の解決を牽引し、首都東京の存在感を示す絶好の機会となることを期待し、次の質問に移ります。
 我が会派ではこれまで、オープンデータの利活用促進について、度々質問を行ってきましたが、その代表的な取組が、都が実施するオープンデータハッカソンです。
 このハッカソンは、参加者が年々増加し、オープンデータを活用した数多くのデジタルサービスが提案されています。三回目の開催となる今年度も、先日、三月十六日の成果報告会で、都民生活の向上に向けたサービスのリリースが発表されたと聞いています。
 都民の方々を初めとして、非常に面白いアイデアを持っている方々はたくさんいます。多様化する行政課題の解決のためには、こうした市民の方々の力も活用し、官と民が協働してイノベーションを起こして、新たなデジタルサービスを創出していくことが重要です。行政と市民等のかけ橋となるのがオープンデータであり、民間ニーズを踏まえ、行政が保有するデータを積極的に公開するだけでなく、市民等による利活用を促していくことが不可欠です。
 より多くの市民の方々が、オープンデータを活用して、多様な知識やアイデア等を発揮し、行政課題の解決に参画してもらうことが重要ですが、官民共創によるサービスの創出に向けた都の取組を伺います。

○山田デジタルサービス局長 都は、官民共創によるサービス創出に向け、オープンデータを活用したアプリなどの開発を行うハッカソンを開催しており、今年度は、育児相談チャットボットなど、八件の提供がスタートいたしました。
 今後、さらに様々なテーマで募集イベントを開催するなど、多様な世代やバックグラウンドを持つ方々の参加促進に取り組んでまいります。
 また、参加者の自由な提案に加え、新たに各局や区市町村の行政課題に対する提案も募集いたします。アイデアソンなどを通じて、行政と市民等が課題を共有し、知恵や発想を出し合いながら、共にサービスをつくり上げてまいります。
 生み出されたサービスが広く活用されるよう、アプリなどのオープンソース化に向け、GovTech東京と連携し、技術的な支援を行ってまいります。

○田村委員 学生やシニアの方々など、多様な方々にハッカソンに参加していただき、オープンデータの機運を盛り上げていくことが重要だと考えます。これからも、様々な参加者が増える場になることを望んでおります。
 次に、都内でも超高齢化社会をいち早く迎える多摩・島しょ地域の移住、定住の促進について伺います。
 多摩・島しょ地域においては、今後、人口が減少していくことが見込まれており、移住、定住の促進に取り組んでいます。都は今年度から、多摩島しょ暮らし体験ツアーを開始しましたが、私は、無料だから参加をするいわゆるフリーライダー対策として、彼らにとってはつまらないけれども、移住を本気で考えている人には参考となる、例えば、地域の行事の手伝いをするなどの企画をお願いしました。結果、参加後、移住を真剣に検討していただける参加者が出るなど、成果のあるものになりました。
 その成功事例の中に、地域のニーズに応じて、医療人材に限定したツアーがありました。今後もこうしたツアーを実施するなど、地域の状況を踏まえた移住、定住施策を促進し、地域の活性化を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○野間総務局長 都は、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進するため、相談窓口において、移住希望者のニーズに応じたきめ細かい対応を行ってございます。
 また、今年度から、移住後の生活をイメージできる暮らし体験ツアーを市町村と連携して実施してございます。
 来年度は、地域での活躍が期待できる看護師等の専門人材や子育て世代などを対象としたツアーを拡充し、地域と移住希望者との一層のマッチングを図ってまいります。
 今後、ワーケーション体験ツアーを新たに実施することにより、企業単位での地域との交流を促進し、多摩・島しょ地域の関係人口の創出につなげてまいります。

○田村委員 今年度のツアーでは、移住希望者に移住希望先の地域を理解してもらうことに重点が置かれました。来年度は、次のステップとして、地域がどんな人に来てもらいたいかを明確にしたツアーにすることで、さらにミスマッチが減るはずです。
 そして、その前提には、自分たちの地域をどんな地域にしていきたいかが明らかになっている必要があり、それを明らかにする過程も都が支援すべきと考えます。
 次に、都発注工事における建設発生土対策について質問します。
 令和三年七月に熱海市で発生した土石流災害を受け、不正な行為による盛土や不法な投棄が発生しないよう、発生土の受入れ側を規制する宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法が令和五年五月に施行されるとともに、搬出側を規制する資源有効利用促進法省令が改正され、ストックヤード運営事業者登録制度も創設されました。
 都発注工事においても、発生土の搬出先の確認が不可欠と考えますが、どのように対応していくのか、都の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 これまで都は、都発注工事などの適切な建設発生土処分に向けて、東京都建設リサイクルガイドライン等を定め、工事の受注者に対し、都が指定する搬出先に発生土を搬出することを規定してまいりました。
 省令の改正により、令和六年度から、最終搬出先の確認等が受注者に義務づけられることから、今般、都はガイドラインを改定し、確実に確認できる、国に登録されたストックヤード等に発生土を搬出することを規定いたしました。
 都発注工事等におきましても、発生土が最終搬出先に確実に搬出されるよう、法令等に基づき、引き続き取り組んでまいります。

○田村委員 熱海市の土石流災害を発端として、盛土法が制定されました。その盛土法を受入れ側の規制とするならば、今回の規制は発生側の規制です。この両輪がうまく機能し、盛土災害の抑止にさらに力を入れていくべきと考えます。
 次に、災害廃棄物の処理について伺います。
 我が党は、昨年の第二回定例会の代表質問において、災害廃棄物の円滑な処理に向けて、民間事業者との連携強化の必要性を指摘しました。能登半島地震においても、避難所ごみ等の収集運搬や家財道具などのいわゆる片づけごみの処理について、民間事業者が活躍していると聞いています。
 加えて、今後、被災家屋等の解体が本格化した際には、日頃から同様の業務を担っている解体業者や産業廃棄物業者の役割が極めて重要となります。
 昨年改定した災害廃棄物処理計画でも言及しているとおり、都は、平常時から民間事業者との連携強化に取り組むべきと考えますが、具体的にどのように取り組むのか伺います。

○栗岡環境局長 災害廃棄物の円滑な処理に向けては、能登半島地震の事例でも明らかなとおり、様々な主体が発災直後から緊密に連携することが重要でございます。
 都は現在、業界団体と連携し、自治体ごとに窓口となる事業者の選定や廃棄物の品目ごとに処理可能な事業者の情報整理を進めてございます。
 また、災害廃棄物の収集運搬や仮置場の運営に不可欠な車両等の資機材につきまして、都内で活用可能な数量の把握を進めてございます。
 今後、建物解体業者や建設業者と協定締結も視野に連携強化を図り、こうした事業者も含めた合同処理本部の設置を自治体に促してまいります。これらによりまして、発災直後から災害廃棄物の処理に迅速に取り組める体制づくりを推進してまいります。

○田村委員 平常時に合同処理本部をつくってしっかりと備えておくことが、いざというときの適切な行動につながります。都は、さらに様々な関係者を巻き込んで、先手先手で準備をしていくべきです。
 次に、災害時の在宅避難の考え方についてお聞きします。
 被災時に自宅の被害が大きい場合、避難所生活が余儀なくされますが、居住可能な状況であれば、在宅避難が安全・安心なケースもあります。
 首都直下地震の被害想定によれば、都内だけでも最大約二百万人の避難所避難者が想定されています。現在、それを上回る収容人数の避難所が確保されているとのことですが、避難所運営の観点からは、できるだけ避難者の数を減らすことが重要であり、また、在宅避難なら、住み慣れた自宅において生活を継続できるというメリットもあります。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、大地震があっても倒れない、燃えない、助かるまちをつくるとしており、災害時の住宅の安全性や居住機能を確保することで、在宅避難を増やすことも可能になります。
 そこで、プロジェクトにおいて、より多くの人が災害時に在宅避難できるよう、環境整備に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○古谷政策企画局長 TOKYO強靱化プロジェクトでは、感染症との複合災害も想定し、混雑する避難所をなくすことを目標に掲げております。その実現に向け、在宅避難が可能となります環境の整備などを進めてまいります。
 具体的には、昨年末のアップグレードを踏まえ、戸建て住宅の耐震化や液状化対策に向けた支援の強化、災害時の電源となります太陽光発電設備のさらなる導入を促進してまいります。
 また、東京とどまるマンションの一層の普及促進に向け、エレベーターの非常用電源の整備や防災備蓄資器材の確保への支援を拡充してまいります。
 今後とも、災害時に、より多くの住民が自宅で生活を継続できる安全・安心な東京の実現に取り組んでまいります。

○田村委員 TOKYO強靱化プロジェクトでは、在宅避難を可能とするための取組を推進していくとのことでした。在宅避難に向けた環境整備は急務です。引き続き取組を進めるべきです。
 東京で大規模震災が発災した場合、とにかく避難所に行かなくてはと思っている都民は多く、在宅避難の考え方がいまだ十分に浸透していないのではないかと考えます。
 そこで、都は、災害時の選択肢の一つである在宅避難について、どのように普及啓発をしていくのか伺います。

○野間総務局長 地域防災計画では、建物に大きな被害がなくても、排水管などの損傷等によりトイレやエレベーターが長期間にわたり使用できなくなる可能性がありますが、家具転倒防止や携帯トイレの備蓄など必要な備えを行えば、プライバシーが確保され、住み慣れた自宅にとどまることは有効であるとしてございます。
 このため、都は、各家庭の日常備蓄などを記載した防災ブックを全世帯に配布するほか、町会等を対象とした出前講座を実施し、在宅避難の備えについて周知してまいりました。
 今後、リニューアルした防災アプリや動画等による発信、マンションにおける発災時を想定した体感型イベントを実施するなど、都民への普及啓発に取り組んでまいります。

○田村委員 先日、能登半島地震で被災された視覚障害者の方のお話を伺いました。被害が大きく、早く自宅から避難しなければならないことをテレビから繰り返し耳にしたものの、外の状況は分からず、一人で逃げる二次被害のことが頭をよぎり、やむを得ず覚悟を決めて自宅待機を選択したというお話でした。
 視覚障害や肢体不自由などの障害のある方は、在宅避難を判断する以前に、地震が起きた瞬間に机の下に隠れるなどの避難行動を瞬時に取ることができません。また、自ら避難所へ足を運ぶことも容易ではありません。このような障害のある方の命がまずは守られることが重要です。
 都は、戸建て住宅の耐震化助成制度について令和六年度より補助限度額を引き上げますが、もう一歩取組を進め、障害者の発災直後の安全・安心を確保するための対策を急ぎ検討するべきであります。
 先ほどの話の続きですが、その障害者の方は、その後スマホを使って知人に安否を知らせることができ、余震が落ち着いたタイミングに救助してもらえたとのことでした。災害時には、デジタル機器が障害者の命を守る手段となり得る一つの事例といえます。
 障害を持つ方がスマートフォンなどのデジタル機器を活用することで、日常生活や就労など様々な場面で活躍の場を広げることができるなど、意思疎通や情報保障の観点からも、もはや生活に不可欠なツールといえます。
 障害者のデジタル機器活用促進は重要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 障害の有無にかかわらず、都民一人一人が自分らしく輝くことができる共生社会、これが目指すべき東京の姿でございます。
 デジタル技術等の先端技術の活用は、障害のある方の情報保障を推進しまして、社会参加を促進するための有効な手段でございます。こうした技術は、災害時にも、障害のある方自らが安否や居場所を伝え、助けを求める手段となり得るなど、命を守ることにもつながってまいります。
 障害のある方が円滑に意思疎通ができ、安全・安心、快適な生活を送れますよう、デジタル技術などを活用いたしました情報保障の取組をさらに進めてまいります。

○田村委員 障害者の情報保障を進めていく上ではデジタル技術等の先端技術の活用が有用であるとの答弁をいただきました。
 都は、東京都障害者IT地域支援センターにおいて、デジタル機器に関する相談支援を行っています。また、昨年度から国際福祉機器展にも出展し、障害者の情報保障や意思疎通に資するデジタル機器やスマートフォンアプリの普及にも取り組んでいます。
 来年度には、障害者の意思疎通を支援する機器を障害者の利用が多い窓口に設置し、その使用に当たっての意見等を開発者にフィードバックすることにより情報保障機器の開発も支援すると聞いています。
 こうした都の姿勢や多面的な取組には期待をしていますが、スマートフォン等のデジタル機器は年々高額になっており、経済的理由から購入が難しいという声も聞かれます。
 そこで、区市町村が給付する日常生活用具給付等事業の対象にスマートフォンなどを組み込むことで普及促進を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤福祉局長 国は、日常生活用具給付等事業として給付する用具の要件を、用具の製作、改良または開発に当たり障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないものとしており、パソコン、タブレットなどはこれに該当しないものとして例示をしております。
 現在、信号の色や点字ブロックなど周囲の状況を音声で伝え外出をサポートするアプリですとか、音声を文字化してコミュニケーションを支援するアプリなど、主に障害者の方を対象とした様々なアプリが開発をされております。
 このため、都は、情報保障の観点から、タブレット等についても、こうしたアプリと組み合わせた場合は日常生活用具の対象とするよう、国に対して提案要求してまいります。

○田村委員 スマホ等の機器も対象とするべく、国に対して提案要求をするとの答弁がありました。あわせて、障害者の情報保障に対する知事や都の方針について、区市町村に対し丁寧に共有し、理解を得る努力をしていただきたいと思います。
 同時に、災害対策は急務であり、国の対象拡大までの間、都独自の購入費補助についても検討することを求めます。
 気候変動の影響により、近年各地で毎年のように水害が発生しており、昨年も、梅雨前線や台風七号などにより全国的に被害が発生しました。このような状況に対応するため、都では、昨年十二月に東京都豪雨対策基本方針を改定し、目標降雨を引き上げたところと認識しています。
 また、水害に強い家づくり、まちづくりの取組として、グリーンインフラを位置づけるなど、目標を超えるような雨にも対応するため、もしもの備えをしていくと聞いています。
 引き上げた目標に対応するため、河川、下水の整備のみならず、個々の取組は小さいながら、皆で取り組むことで大きな力を発揮する流域対策を一層強化することが重要です。また、もしもの備えとしてグリーンインフラの導入を進めることも必要です。
 これまで我が会派では、現在、対策強化流域に限られている支援対策の地域と補助対象を拡大するなどし、都内全域で対象を強化することも効果的であり、グリーンインフラに関しても、その効果検証を実施すべきと主張してきました。
 そこで、基本方針改定を踏まえ、流出抑制策の強化についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 気候変動の影響により、激甚化、頻発化する豪雨に対応するためには、河川や下水道の整備と併せて、その負荷を軽減する流出抑制策の一層の強化が必要でございます。
 これまで都は、対策強化流域において、公共施設や個人住宅等の雨水貯留浸透施設設置への補助対象の拡充などを行ってまいりました。
 今後は、グリーンインフラを補助メニューに加えるとともに、雨水流出抑制に係る補助の対象を都内全域に拡大してまいります。一方で、公共施設へ設置したグリーンインフラにおいて具体的な効果を検証いたします。
 こうした取組により、流出抑制策の強化を図ってまいります。

○田村委員 雨水涵養機能は、ただ土が露出していればいいわけではなく、その土壌の質が大きく影響します。また、涵養機能の高い土壌は、生物多様性にも寄与します。効果検証を行いながら、自然の力を活用した水害対策をさらに進めていくべきです。
 次に、東京グリーンビズについて伺います。
 気候変動等の課題解決に向けて、世界的に都市の緑が持つ機能に対する期待がますます高まっています。
 国政においては、自由民主党が都市における緑地の確保に関する提言をまとめ、先月、都市緑地法等の一部を改正する法律案の閣議決定がなされました。今後、法律案の審議となりますが、都市環境整備への民間投資の呼び込み等を内容とするものであり、都の東京グリーンビズとも軌を一にするものと考えます。
 そこで、東京グリーンビズを推進していくためには、こうした国の動きとも連動しながら取り組むことが重要であると考えますが、見解を伺います。

○古谷政策企画局長 東京グリーンビズを推進していくためには、国をはじめとした様々な主体との連携が重要でございます。
 これまで都は、国に対して、緑の保全と創出に係る税財政措置の拡充や、農業の振興と農地の保全に向けた制度改善等を提案してまいりました。
 今回の法改正案では、屋敷林など緑地の保全にも活用が期待できます機能維持増進事業の創設が盛り込まれました。
 引き続き、法案審議の動向等も踏まえつつ、国とも連携し、東京グリーンビズの取組を加速することで、東京を持続可能な都市へと進化させてまいります。

○田村委員 東京グリーンビズは重要なプロジェクトです。緑に関する取組が予算面、制度面、施策面で大幅に強化されるものと理解しています。国の新たな制度も活用しながら取組を加速すべきです。
 続いて、民間企業との連携について伺います。
 近年、環境分野への民間投資の機運が拡大しており、民間の再開発等による基準以上の緑地を確保している事例も見受けられるようになっています。
 そこで、民間企業による緑の創出を後押しするためには、良質な緑地確保の取組を見える化し、発信していくことが有効と考えますが、都としてどのように取り組むのか伺います。

○古谷政策企画局長 東京グリーンビズでは、企業、団体と協働して、東京の緑を守る、育てる、生かす取組を進めるため、コラボレーションパートナーの募集を今月十五日から開始いたしました。
 民間主催の展示会への出展やシンポジウムの開催などにより、緑に関する知見を共有し、相互の取組に生かしてまいります。
 こうした取組に加えて、今後作成いたします東京グリーンビズマップにおいて、公園や街路樹、緑あふれる民間の施設情報や、緑に関する官民のイベント等を発信し、緑と生きるまちづくりを官民連携で進めてまいります。

○田村委員 東京グリーンビズでは、東京都だけでなく民間企業も巻き込み、取組を進めようとしていることが分かりました。
 最近開業した麻布台ヒルズ等では、都市の再生と併せて緑豊かな空間が創出されています。今後も、良質な民間開発をしっかりと誘導し、まちづくりと併せて都市に緑を生み出していくべきです。
 また、都市に緑を生み出すとともに、多摩地域等に広がる森林を守り、育て、生かしていくことも必要です。
 知事は、さきの令和五年第四回定例会の我が会派の代表質問に対し、東京の森林がグリーンインフラとして機能を有していると答弁をされました。そこで、ここからは、東京の森林の持つグリーンビズへの効果について幾つかお聞きします。
 まず、水道水源林について伺います。
 森林には様々な機能があり、森に降った雨を蓄える水源涵養機能は重要と考えます。近年、民間企業が管理する森林において、森林土壌が蓄える水の流動やメカニズムを解析し、機能を科学的に試算する取組がなされています。
 このようなことから、昨年度、水源林の持つ機能を評価し、検証することの必要性について質疑を行い、水道局からは、今年度、水源涵養機能の評価について具体的な検討を始めるとの答弁がありました。
 そこで、水源涵養機能の評価の検討状況について伺います。

○西山水道局長 水源涵養機能は、水道水源林の持つ重要な役割であり、より適切な管理につなげていくために、その機能を定量的に評価することは有効でございます。
 そのため、水道局では、令和五年度に水源涵養機能の評価に向けた基礎調査として、国等が実施した研究事例の収集分析や、各種の解析モデルの比較検討、解析に必要なデータ項目の選定などを行ってまいりました。
 六年度は、水道水源林に合わせた解析モデルの構築に着手するとともに、解析に必要な森林の状態や降雨量などのデータの整理、土壌特性の現地調査などを実施してまいります。

○田村委員 水源林の持つ水源涵養機能の評価に向けて、引き続き検討を進め、その結果を踏まえ、これまでの保全管理の取組の評価や今後の管理に役立てていくことが重要です。効果的な検証ができた際には、ぜひ水源林にとどまることなく、東京の森林全体の整備に生かしていくべきです。
 次に、生物多様性の保全について伺います。
 近年、企業や団体などが自然を活用して社会的課題を解決するNbS、ネーチャーベースドソリューションズの考え方が世界的に注目されています。自然の持つ機能を活用したグリーンインフラなど類似する言葉もありますが、NbSは、それらを包括する概念といわれています。私なりに解釈をすると、東京グリーンビズの世界版ともいう概念です。
 そして都は、昨年四月に生物多様性地域戦略を改定し、二〇三〇年目標の実現に向け、Tokyo-NbSアクションの推進を行動目標の一つに掲げています。
 今年度は、事業者や民間団体の優れた先行事例を掘り起こし、その取組を効果的に発信するために、本年一月に十四の団体の先行事例を発表した普及啓発イベントを開催し、約三百名が参加したとのことです。加えて、連携してNbSの普及と取組の定着を図っていくため、主体的に取り組む事業者等の募集を開始したと聞いています。
 地域戦略の目標年次である二〇三〇年までにNbSの取組を定着させていくためには、引き続き積極的な普及啓発を進めるとともに、NbSに取り組む企業等を広げていく必要があります。
 今後の事業展開について伺います。

○栗岡環境局長 NbSの取組の定着には、優れた事例の発信と事業者等の積極的な活動を促す仕組みが必要でございます。
 このため、都は、都と連携して普及活動を行う事業者等の募集を継続して行うとともに、登録者が実施しているNbSの取組につきまして、その内容や成果をSNS等を通じ、分かりやすく効果的に発信してまいります。
 また、来年度は、新たに優れた取組を表彰し広くPRすることで、団体のモチベーションを高め、さらなるレベルアップを促すほか、他者の新たな活動に結びつけてまいります。
 これらを積極的に展開することで、NbSの裾野を広げるとともに、優れた取組を都の施策にも活用し、生物多様性を持続的に利用した都民生活の向上につなげてまいります。

○田村委員 企業や団体の優れた取組を都の施策にも活用するという答弁をいただきました。
 例えば、大手飲料メーカーは、自分たちで商売のために使った水は、自分たちでつくるという取組を長年にわたって行っています。それらの既に外部で蓄積された知見を、都自らの取組に生かすことも重要だと考えます。
 カーボンニュートラルの達成に向けては、CO2の排出削減のみでなく、大気中のCO2を吸収したり除去する、いわゆるネガティブエミッションの取組も不可欠です。こうした中、海外を中心に森林保全や間伐などのプロジェクトにより吸収されたCO2について、カーボンクレジットの認証を取得する取組が進んでいます。
 東京は、西多摩地域などに豊富な自然資源を有しており、多くのCO2を吸収、除去することができる可能性を秘めていますが、実際にプロジェクトを実施しクレジットを創出するためには、革新的な技術やサービスが必要となります。
 そこで、こうしたビジネスに取り組む事業者のアイデアを活用し、都内の豊富な自然環境をフィールドとして、CO2を吸収、除去する取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の脱炭素化を進める上で、CO2について、排出量を削減するとともに、自然などを活用し大気中からそれを取り除く取組は重要でございます。
 このため、都は来年度、森林や農地等において植物などを活用し、CO2を大気から吸収し、そうして取り除いた量に値段をつけるクレジットをつくる取組を開始いたします。
 具体的には、環境分野で優れた技術を持つスタートアップと協力し、多摩地域の森林でCO2の吸収を増やす工夫や、木炭の肥料としての活用によりCO2を土壌にとどめる方法等の成果をクレジットにつくり上げます。
 このプロジェクトに必要となる経費を、二年間で最大四千万円まで資金面からサポートいたします。

○田村委員 都内の森林によるCO2吸収量は、都の推計によると、二〇二〇年のみマイナスですが、おおむね年間八万トンから九万トンで推移しています。
 一方、太陽光パネル義務化による吸収量は十万トンという数字もあります。費用対効果はもちろん、森林その他の効能も加味すれば、改めて森林政策へ力を入れるべきと考えます。
 次に、森林環境譲与税について伺います。
 都は昨年、森林を有する多摩地域の市町村に加え、都市部の自治体とも協力して、森林環境譲与税を活用しながら、東京の森林を整備する取組を開始しました。この財源となる森林環境税については、来月、令和六年四月一日から課税が開始され、一人当たり年間千円を負担することになります。
 こうした中、森林環境税が森林整備に効果的に活用されていることを都民の皆様に理解してもらうことは大切です。都民が多摩の森に関心を持ち、身近に感じていただけるようにすべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○坂本産業労働局長 都は、昨年七月に十二の区市町村と協定を結び、森林環境譲与税を財源として多摩の森林の整備や保全のほか、木材利用への理解を深める広域的な取組を開始いたしました。
 来年度は、こうした取組をPRして、協定に加わる自治体を増やすとともに、各自治体と協力し、区内で暮らす親子が多摩の森林で杉の伐採や山歩きなどを楽しむツアーを年六回、約三百名の規模で実施をいたします。
 また、都は、臨海エリアの公園でイベントを開催し、林業で使う最先端の機械を展示し木工教室を開くほか、譲与税の効果的な活用事例を紹介するシンポジウムを行います。これらによりまして、東京の林業の振興を進めてまいります。

○田村委員 森林環境譲与税が導入される際、私は幾つかの二十三区の区を回りました。どちらでも、異口同音に区民を森林に親しませたい、そんな声がありました。一方で、自分たちが払う森林環境税が自分たちの区に落ちない、つまり森林が自分たちの区にないために落とすことができないことに、じくじたる思いもあるようでした。
 私は、何とかその形が取れないか模索をしましたが、当時の地域通貨等の仕組みでは実現ができませんでした。
 しかし、今般、東京都が検討している仮称Tokyo Tokyo Pointを使えば、そのことが実現可能になると考えております。ぜひ産業労働局とデジタルサービス局協業で実現をしていただきたいと思います。
 以上、東京の面積の約四割を占める約八万ヘクタールの森林には、グリーンビズを体現する様々な可能性があることが分かりました。
 今年八月には、山の日全国大会が東京で開催されることになっています。東京の森林をグリーンビズという軸で、関係各局をまたいだ事業や取組を総合的に発信し、持続可能な東京を実現するための取組を加速していくチャンスです。
 東京グリーンビズにおいて、山の持つ機能を最大限発揮していくことが重要であると考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京には、先人たちが共有の財産として守り育ててきた美しい山々が広がっております。そして、豊かな緑、清らかに流れる水、それらは人々に潤いを与え、様々な恵みをもたらしております。そこには多種多彩な生物が生息し、生物多様性の宝庫であることはいうまでもございません。
 加えまして、水源涵養、土砂流出防止のほか、二酸化炭素の吸収源にもなるなど、グリーンインフラとしての多様な機能も有しております。
 こうした山の持つ機能を最大限発揮させるには、東京グリーンビズの下、庁内の横串を刺しまして、取組を強化していくことが重要でございます。
 水源林の保全、また、森林の整備などの取組に加えまして、今年八月、東京で開催いたします山の日全国大会も機にいたしまして、東京の豊かな生物多様性や山の持つ様々な魅力を都民に分かりやすく発信をしてまいります。
 山の多様な機能や魅力を引き出しまして、理解を深めていただく、そのことで、東京を自然と調和した持続可能な都市へと進化させ、未来へ継承してまいります。

○田村委員 グリーンビズの中核をなすグリーンインフラは、アメリカでは、都市部における洪水対策として、ハードインフラの代わりに自然を活用することを主目的としています。一方、欧州では、生態系サービスの維持形成を主目的として取組が進められています。
 東京のような自然と共存する大都市が、アメリカ、欧州の思想を両方取り込み、その両面から取組を推進することはまさに先駆的であり、世界のモデルとなり得ると思います。世界一の都市東京が世界的にもまれな緑と生きるまちづくりによって実現することを願います。
 さて、脱炭素化には、原料の調達から製造、配送、販売、消費といったサプライチェーン全体での脱炭素化が必要です。
 特に大企業においては、自社製品等のサプライチェーンに多くの中小企業を抱えており、そうした一連の取引先企業に対してCO2排出削減を求める動きが広がっています。
 今後、中小企業が大企業との取引を継続していくためには、サプライチェーンを担う中小企業同士が一体となって脱炭素化に取り組むことが重要であり、支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の産業の脱炭素化を図る上で、サプライチェーンに加わる中小企業が協力し、CO2の排出削減を進めることは効果的でございます。
 こうした取組に関し、都は来年度、中小企業がグループをつくり、計画を策定し実行する場合の支援を新たに開始をいたします。
 具体的には、専門家をグループに派遣し、計画づくりに必要な知識やノウハウを提供するほか、各社で脱炭素の取組の中心となる人材の育成を支援いたします。
 また、計画に基づき、CO2の排出削減の状況をお互いに確認のできるシステムの整備や、省エネ設備の導入等に必要となる経費の三分の二を最大三千万円まで助成をいたします。

○田村委員 今、産業界には、義務量以上のCO2を削減することが企業活動に不可欠という流れが生まれつつあります。都がサプライチェーンに加わる中小企業を支援することに大きな意味があり、今後も支援していくべきと考えます。
 次に、水素ステーションについて伺います。
 水素は、利用時に二酸化炭素を排出しないことに加え、日本の優れた技術による国際競争力向上にも資するものです。
 自動車メーカー各社が水素自動車の新車を開発していますが、こうした中、都内二十か所の水素ステーションの経営は大変厳しい状況にあると聞いています。
 今後、新たに都内で増やしていくには、多少充填能力が低くても、コストが低い機器の導入やステーション以外からの収入の確保など、事業者の取組を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の水素ステーションを増やす上で、その整備のコストを抑え、運営の負担を減らす支援は重要でございます。
 このため、都は来年度、水素ステーションの整備や運営に取り組む事業者に対する新たな支援を実施いたします。
 具体的には、水素の充填等を通常より低い三十五メガパスカルの圧力で行う機器を導入し整備コストを抑え、運営の収支改善に役立つレンタカー事業などを隣で行うステーションをサポートいたします。これに取り組む中小企業者には、整備費用を最大五億円まで全額助成をいたします。
 また、レンタカーとして燃料電池車を購入する場合は、一台当たり三百万円の助成を行います。

○田村委員 水素活用拡大には、充填したいときに充填できる環境が欠かせません。都としては、今後とも、事業者の取組を後押しするべきであると申し添えておきます。
 次に、都内ガソリンスタンドへの支援策についてお聞きします。
 自動車の保有台数の減少や低燃費化等により、都内のガソリンスタンドは減少が続いていますが、ガソリンスタンドは、地域を支えるインフラとして都民の生活を守る重要な役割を果たしています。
 脱炭素化を進めるに当たっては、こうした役割に十分配慮しながら、ZEVの普及に合わせて、水素ステーションや充電設備を備えたエネルギー供給拠点へとソフトランディングできるよう取り組むことが重要です。
 また、再生可能エネルギーでつくる水素とCO2から製造される合成燃料e-fuelについては、既存の石油供給インフラを活用できるため、業界でも期待が高まっており、こうした動きを後押しすることも重要です。
 都は、ガソリンスタンドが今後も地域のエネルギー供給拠点として経営を続けられるよう支援するとともに、将来を見据え、e-fuelの実用化に向けた取組も促していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の脱炭素化に向け、水素や電気で走行する自動車に対してもエネルギーを提供できるスタンドを増やすことは重要でございます。
 これまで都は、水素の充填やEVへの電気供給を行うステーションの設置を目指すスタンドの事業者に対して、整備や運営の経費に関し支援をしてまいりました。
 来年度より、こうしたスタンドの事業者の経営力を高めるため、顧客管理のシステムの導入のほか、収益確保に役立つ新たな事業展開等に必要となる経費の三分の二を最大二千万円まで助成を開始いたします。
 これに加えまして、新エネルギーに係る研究開発の支援事業によりまして、合成燃料の実用化もサポートできる仕組みとしております。

○田村委員 今回、令和六年度の予算審議を、予算特別委員会、各常任委員会できめ細かく議論を行ってまいりました。様々な分野の事業について、各会派それぞれの言及がなされてきたわけです。
 中でも、特に都民の皆様の関心が高く、私たち都議会自民党も重要と位置づけているのが防災であります。
 改めて、今後三十年以内に首都直下地震の発生率は七〇%に上るといわれており、政治や経済の中枢、首都圏から通勤通学する人々が集中する東京で大地震が発生すれば、大規模な被害が想定される中で、国の中央防災審議会によると、経済的な損失は九十五兆円にも上ると試算されております。防災対策を、後であのときこうしておけばよかったとならぬよう、積極的に進めるべきことを要望しておきます。

○小松副委員長 田村利光理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時二十一分休憩