予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○内山委員長 五十嵐えり委員の発言を許します。

○五十嵐委員 私は、総事業費十七兆円のTOKYO強靱化プロジェクトに関して、東京都の行う治水事業、そして、公共事業に関して、その必要性と正当性を支える重大な事実について指摘をいたしまして、問題提起をしたいと思っております。議場の皆さんにもぜひ考えていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 私の地元の武蔵野市の武蔵野中央公園では、石神井川上流地下調節池の整備事業が予定されておりまして、本年の二月二十六日から準備工事が始まっています。本体工事は令和七年度からでございます。
 この事業は、十年間で一千億円の非常に大きな事業でございまして、東京都は説明しているというふうにいうんですけれども、地元の皆さんは、やっぱりまだあまり知らないという方が多いという状況です。
 冒頭、確認をさせていただきます。石神井川上流地下調節池の概要について伺います。

○中島東京都技監 都内におきまして、時間五十ミリを超える降雨に伴う水害が頻発していることから、平成二十四年に中小河川における都の整備方針を策定し、目標降雨を年超過確率二十分の一、区部では時間七十五ミリに設定いたしました。
 これを受け、二十八年三月に石神井川河川整備計画を改定し、新たな調節池を複数位置づけたところでございます。
 このうち、石神井川上流地下調節池は、青梅街道等の道路下の空間を利用し、西東京市にある南町調節池から武蔵野市の都立武蔵野中央公園に至るトンネル式地下調節池でございまして、延長は約一・九キロメートル、貯留量は約三十万立米でございます。
 令和四年三月に都市計画を決定し、四年十月に都市計画事業認可を受け、現在準備工事を行っているところでございます。

○五十嵐委員 もうちょっと簡潔に答えていただけるとありがたいんですけれども、私、この事業、BバイCといって、費用便益分析について非常に問題があると思っています。
 まず、現時点で、そのBバイCについて、非常に、一ぎりぎりな時点であるということを指摘したいと思います。
 そもそも、この問題に気づいたのが住民説明会でした。この事業の住民説明会が、本年の二月二十二日と二十三日に武蔵野市の千川小学校で住民説明会がありました。私も二日参加いたしました。
 市民から質問が出たんですね。これ、事業費幾らですかと。そうしたら、東京都は、建設局は九百八十九億というふうに説明をいたしました。そうしたら、住民が非常に驚きました。何で驚いたかというと、昨年の一月十八日と二十二日の住民説明会、同じように千川小学校であったんですけれども、そのときは東京都、この事業費について六百億円というふうに説明していたんですね。なのに、一年たった後に説明会に来たら、事業費が約四百億円も上がっているということで、市民が大変驚いて、何で四百億も上がるんですかということを質問されていました。
 私も金額を調べました。そうしたら、昨年の一月の住民説明会では、建設局は事業費を六百億円と説明しています。昨年一月二十七日に公表した令和五年度の予算公表では九百八十九億円で、本日も資料をお配りしておりますけれども、昨年の十一月二十七日の資料では、コストは八百七十七億円と書いてあります。今年の説明会では九百八十九億円と説明し、令和六年度の予算の概要、これ、一月二十六日に公表されていますけれども、これについて一千七十三億円と記載されています。
 この二年間で、六百億だったり、八百七十七億だったり、九百八十九億だったり、一千七十三億というふうに四パターンあるんですね。何でこんなに住民に対して説明した金額が一年で約四百億円、三百八十九億円も上がったのかについての理由を伺います。

○中島東京都技監 本事業に関しまして、設計の進捗や、その時点の資材価格等を踏まえまして、適切に事業費を算出しております。トンネルや立て坑などの構造がほぼ決まった段階での事業費が九百八十九億円ということで、令和五年一月末に公表しているものでございます。
 その後、トンネルを構成する主要資材の価格が上昇したため、事業費は一千七十三億円となり、今年の一月末に公表してございます。
 なお、お話の六百億円についてでございますが、これは計画内容を検討していた段階での数字でございまして、概算で、これまでの都が施行した調節池のシールドトンネルの工事の事業費などを参考に六百億円と算定しているものでございます。
 なお、今お話ありました昨年一月の説明会で住民から質問された際に、ちょうど一月末に九百八十九億円を公表する直前だったものですから、この概略計画に基づく事業費として約六百億円と回答しておりますが、その後、五年の九月にも、西東京市ですね、説明会を実施して、その際、質問されましたので、約一千億と回答し、ホームページ上で既に修正しております。

○五十嵐委員 値上げしたということなんですけれども、一年でやっぱり四百億も増えたというのは、非常に住民は驚いたということですね。やっぱり、ただ、コスト増は費用便益分析というのに関わってくるところでございます。
 BバイC、公共事業でのBバイC、費用便益分析というものがありますけれども、これは事業から生じる効果を費用と比較して事業の投資効果を評価するものです。
 簡単にいえば、ある事業の実施に要する費用、建設費だったり、維持管理費に対して、その事業の実施によって社会的に得られる便益、例えば事故、災害の減少によって家屋が守られたりとか、環境の質が改善したりとか、そういう大きさがどのくらいあるかというものを見るものでございます。
 国交省も、所管公共事業の評価の結果の信頼性を一層高める観点から、分析に係るマニュアルや共通指針を出しております。
 このBバイCも、本日、皆様のお手元に資料にお配りしておりますけれども、この四ページが、東京都が昨年の十一月二十七日に作成したBバイC、右下の方に一・三一と書いてあるんですけれども、この事業のBバイC、要するに便益をコストで割ったものですね。本来、コスト以上の便益がある事業を行うべきものなんですけれども、その数値は、この事業については一・三一となっています。
 この一・三一という数字なんですけれども、この四ページにもありますけれども、治水経済調査マニュアル(案)に基づき算出してあるというふうに書いてあります。
 この十一月二十七日の資料なんですけれども、誰に要求されて、誰が作成して、どこに提出したものなのかについて伺います。
 なお、答弁は簡潔に。想定していたよりも非常に、答弁案が非常に長くて、時間稼ぎをしているように見受けられますので、短めにお願いします。

○中島東京都技監 お答えする前に、先ほど一年で四百億とおっしゃっていましたけれども、六百億は令和元年の数字ですので、四年前でございます。
 ただいまのご質問ですが、お話の資料につきましては、国庫補助の採用を申請するために都が作成し、河川工学や環境経済学などの学識経験者から成る河川整備計画策定専門家委員会に諮ったものでございます。

○五十嵐委員 これ、国の補助を受けるもので、国の補助率は五〇%なんですね。つまり、一千億の事業だったら国から五百億円出る。そのための前提の、専門家の先生がいる委員会にかけるための資料として出したものでございます。
 この数値、一・三一、私、これ、非常に問題があると思っています。ここの便益、一千百五十四億円と書いてあります。この根拠を教えてください。

○中島東京都技監 詳細な過程はちょっと取りあえず省きますけれども、今回、石神井川上流の調節池、これができることによる便益を算出しているものでして、この調節池があったときとなかったときの、それぞれどれぐらい浸水被害、川から水があふれて浸水が起こるか、それによって被害がどれくらい起こるか、それの差分、これを計算しまして、出来上がってから五十年分の数値でございますが、現在価値に割り引いて、割り戻して、その合計が一千百五十四億円ということでございます。

○五十嵐委員 今ご説明いただいた、この一一五四億円という金額なんですけれども、これ、年平均被害軽減期待額八十五・四億円というのがあります。
 この資料の一枚目、見ていただきたいんですけれども、二分の一と十分の一の二段のケースがあって、この右側の方に、年平均被害額の累計ということで八十五・四億円というふうに書いてあります。
 この計算なんですけれども、なぜ東京都は二分の一と十分の一、この二ケース、二つの段で計算しているのでしょうか、伺います。

○中島東京都技監 この二分の一と十分の一、超過確率と書いてございますが、洪水の発生確率です。簡単にいえば。
 二分の一、大体これは、石神井川の場合には時間四十ミリぐらいに相当しますが、このぐらいの量ですと、この石神井川自体、あふれずに済むと、そういう水準でございます。
 十分の一でございますけれども、こちらは今回、石神井川の上流の地下調節池を整備すると、それの効果を図るために、目標水準ですね、時間七十五ミリですが、流域対策が十ミリ分入っていますので、まず六十五ミリまでということで、六十五ミリに相当するのが十分の一ということで、この二つの差を出して、効果ですね、どれぐらいあふれ度合いが違うかというのを出しているということでございます。

○五十嵐委員 確認なんですけれども、この無害流量、ここ二分の一と書いてありますけれども、東京都にとっての最少超過確率というのは二分の一でよろしいんでしょうか。

○中島東京都技監 河川ごとによって状況は違いますが、この石神井川については二分の一、大体時間四十ミリ相当の降雨に対応というか、それぐらいだったら問題なく流せるということでございます。

○五十嵐委員 すみません、その数字が最少超過確率でよいのかについても教えてください。つまり三分の一だと被害が出るということなのか、ちょっと確認させてください。二分の一が最少の超過確率なのか伺います。

○中島東京都技監 河川ごとによって最少超過確率は違います。石神井川は二分の一ということです。

○五十嵐委員 ちょっと分かりづらくて、東京都の説明によると、この便益一千百五十四億円をどういうふうに算出しているのかっていうところの今説明だったんですけれども、とにかく東京都の説明によると、二年に一回降る規模の雨ならば被害はゼロ。それが上の段ですね。
 下の段が、十年に一回降る雨の場合には、軽減額四百二十七億円というふうに書いてあるんですけれども、十年に一回規模の雨であれば、被害が、この施設が、左側が、この調節池がなかった場合には一千四十四億円、右側のこの調節池があった場合には六百十六億円の被害で済むという計算で、この差額を取って四百二十七億円という計算をしているということでございます。
 実は、この四百二十七億円という数字というか、この年平均被害額が八十五・四億円というふうに、東京都ではこの石神井川上流地下調節池について算出しておりまして、先ほど技監おっしゃっていただいたように、その八十五・四億円を、この調節池の事業というのは五十年間ありますので、この施設が十年後に完成してから五十年間積み上がって、そして現在価値化したものの総和は一千百五十四億円ということになるという説明でございました。
 この実は二ケース設定というのがポイントだと思っています。私、この数字が適切だとは到底思えないんですね。それをご説明いたします。
 東京都のこの資料、先ほども配布いたしておりますけれども、四ページに治水経済調査マニュアル(案)というのが書いてあります。
 確認なんですけれども、この治水経済調査マニュアル(案)というのは、今私が配布しております令和二年四月国土交通省水管理・国土保全局のものでよろしいですかね。

○中島東京都技監 今お話ありましたように国土交通省のものでございます。

○五十嵐委員 このマニュアル、これ資料をつけています。五ページにつけています。ここに何て書いてあるかといいますと、いろんなことが書いてあるんで、ちょっと時間がないんで省略させていただきますけれども、六ケース程度設定することと。確率規模というのがこの二段の表の超過確率というんですけれども、この確率規模の想定に当たっては、下記の例に示すとおり、年平均被害軽減額の推計時に支障がないよう、区間確率が滑らかに減少するように配慮するというふうに書いてあるんですね。
 これ、マニュアルでは六ケース設定するようにというふうに書いてあるんです。ただ、東京都は二ケースしかやっていないと。これ、非常に問題が私はあると思っています。
 何でかというと、この施設があった場合となかった場合の効果、被害の差。なかった場合には一千億の被害、あった場合には六百億の被害で済むと。その差が四百二十七億円ということなんですけれども、単純に十分の一の規模の雨が降ったときに四百二十七億円の軽減があるということは、十年に一回に平均すると、一年間の被害軽減期待額というのは四十二・七になるわけなんですね。分かりますか。大丈夫ですか。——はい。
 そうですね、一〇%の確率で四百二十七億円の軽減効果がある。十年に一回の規模で四百二十七億円の軽減がある、効果があるということは、その十年に一回を、十年平均すると、単純に十で割って四十二・七になるんですね。
 なので、私は、この施設があることとないことによって、年平均被害額の期待額が四十二・七になるんじゃないかなというふうに私は思うわけです。なのに、東京都では、八十五・四というふうにすごく高い数字が出ているんですね。
 これ本来ならば、国交省のマニュアルに従ってやるならば、この国交省のマニュアルにもありますように、無害流量、先ほど技監に答弁していただいた二分の一の無害流量以降は、例えば五分の一とか、七分の一とか、十分の一というふうに区切ってやりなさいというのがこのマニュアルに書いてあるんですね。
 だけれども、東京都は二段しかやっていない。で、二ケースしかやっていないことによって何が起きるかというと、この年平均被害軽減期待額というのは、非常に分かりやすい一番最後の、この千葉県の資料が一番最後についているんですけれども、この一番最後の千葉県が公開している資料なんですけれども、普通は、こういう川が氾濫して洪水が起きたときの被害というのは、こういうふうに滑らかに発生するんですね。いっていること分かりますかね。
 三分の一から十分の一のときには被害が少なくて、でも三十年に一回の雨のときにはちょっと上がって、例えば五十年に一回の雨のときには物すごい被害が出ると。それが実態なんですね。
 ただ、東京都のように、例えば、いきなりこの三分の一と五十分の一を直線で結んだ場合っていうのは、平均の被害額が高く出てしまうんです。これ、二ケースの表であるんですけれども、これ無害流量は二分の一、そして、東京都が想定している十分の一では六十五ミリ、これ四百二十七。その平均が二百十三となって、区間確率といって、その発生確率を根底として掛けると八十五・四となるという、普通に考えれば四十二・七となるべきところが八十五・四と非常に高くなっていると。これ、そうなんです。
 このマニュアルでは、非常にやっぱり、これおかしくて、例えば四十二・七で計算すると、BバイCですね、先ほどコストで割ると幾つになるかってご存じですか。〇・六六です。つまり、一切るんですね、普通に考えれば。ただ、この二ケースで雑に、ずさんに計算をすると、途端に四十二・七じゃなくて八十五・四になるんです。
 この数字、このやり方で本当に合っていますか、これ。国交省はマニュアルでは六ケース想定していますが、なぜ東京都では二ケースしかやっていないのかについて伺います。

○中島東京都技監 ちょっとやや詳しくご説明させていただきますが、五ページ見ていただきますと、六ケースございますが、よい例ですね、六ケースとありますけれども、三分の一から百五十分の一までいっています。今回は二分の一と十分の一の比較です。
 今お話ありましたように、六ページ見ていただきまして、この棒グラフというか、黒で、黒じゃないんですかね、皆さん。着色しているところですね。これ三分の一が一番右側にあって、一番左が五十分の一です。
 これが上がっていくと、等比級数的に上がるということで、十分の一と三分の一を見ていただくと、なだらかですよね、これ。今回は二分の一と十分の一を比較していますので、その二つで十分だということでございます。
 それからもう一つ、八十五・四億円の話がございましたけれども、一ページですね。これ見ていただいて、上の表ですけれども、超過確率二分の一と十分の一があります。今、委員おっしゃられた軽減額四百二十七億円、これが左から四番目ですか、入っていますが、これは平均をして、なだらかにするために平均したわけです。二分の一と十分の一。半分になって、なおかつ区間確率ですね。これは十分の一と二分の一の差分です。これを掛けて二百十三・六掛ける〇・四、これで八十五・一です。四十二・七割る十ではありません。二百十三・六掛ける〇・四です。正確にご理解いただければと思います。

○五十嵐委員 今マニュアルに照らし十分というふうに東京都は答弁いたしましたけれども、これは本当にそんな答弁で大丈夫ですかと私は思います。
 近隣の神奈川県や埼玉県や千葉県など、私ネットでも確認しましたけれども、複数ケースでやっていますよ、これ。ほかの他県の皆さん。何でかっていうと、やっぱりこのゼロと四百二十七の平均を取ることで、この年平均被害額というのが途端に上がるんですね。それは不適切ということで、他県はこんなことやっていません。
 例えば神奈川では、無害流量ともう一つだけってどうですかというふうに聞いたら、やっぱり計算結果が飛んでしまうのでできないとかっておっしゃっていますし、千葉県もこのマニュアルを出していますし、たとえその十分の一で、最初が、スタートが二分の一、ゴールが十分の一だとしても、その間三分の一、五分の一、七分の一と区切っている都道府県はありますよ。東京都だけですよ、二ケースだけでやっているの。
 こんなやり方で、私は、これ国からの補助を受けるためにマニュアルに反する計算をあえてして、不当にBバイCを一以上にしたように見えると思われても仕方がないように私は思いますけど、本当に二ケースで大丈夫なんでしょうか。
 ちなみに、あの神田川・環状七号線地下調節池も二十分の一と二分の一の二ケースで想定、計算をしていますけれども、これの理由を教えてください。簡潔にお願いします。時間がないので。まだありますから、論点。

○中島東京都技監 神田川が二十分の一かというご質問でよろしかったでしょうか。よろしかったですか。(五十嵐委員「はい」と呼ぶ)神田川では、河川整備計画、これの策定時に、整備期間全体における費用対効果、これは長期の区間になりますが、そのためにその間の費用対効果を評価するために、調節池に加えまして流域対策、あるいは護岸、これらの全てが完成した場合の効果を算定しているということで二十分の一、これ区部ですと七十五ミリに相当するものですけれども。
 一方で、石神井川上流地下調節池では、調節池のみの効果を評価するということで、河川分が受け持つ六十五ミリ、十分の一です。これに相当した確率を用いているということで、その違いでございます。

○五十嵐委員 ちょっと完成しているからといっていますけれども、そんな理屈どこにも見当たらないので、いっていることおかしいと思います。二分の一から十分の一であっても、マニュアルのようにせめて数ケース設定すべきだと思いますよ。
 建設局さん、何か独自の説をおっしゃっていますけれども、東京都内の中小河川における今後の整備のあり方についてを基に計算しているっていっているんだったら、三年の四十七・六ミリ、四年の五十二・二ミリ、五年の五十五・六ミリという、それぞれ区切って計算しないと、不適切な数字が出るという認識ないんでしょうか。
 そもそもこの算定の根拠となる被害金額も非常に過大です、これ。皆さん、考えていただきたいんです。練馬区の皆さん、練馬区の——考えていただきたいんですけど、この東京都の想定、この一枚目のペーパー。私は今パワーポイント出しています。モニターに出していますけれども、一枚目の紙に、これ何かというと、十年に一度の規模の雨の想定で、この石神井川上流地下調節池がないと一千億円の被害が出るということを想定しているんですね。
 果たして、そんな被害が出るということなんでしょうか。この資料〔2〕のケース二というのは、どういう場合を想定したのかについて伺います。

○中島東京都技監 ケース一の一が、これが調節池が整備されていない状態で、ケース一の二が、六百十六億ですね、これが整備された状態ということです。
 正確に申し上げますが、本費用便益分析は、今回整備する調節池、石神井川上流の地下調節池ですけれども、これの効果を評価すると。そのために現況の流下能力、まだ護岸が完全に仕上がっていない状態での流下能力を前提として、国のマニュアルに沿って、これは計算をしております。
 その結果が、計算値ですけれども、あくまで。一千四十三億円と六百十六億円ということで、むしろ整備による効果ですので、この差分の方が大事です。千四十四引く六百十六の方が、先ほどの四百二十七億円という数字ですが、こちらが大事ということですので。
 また、この一・三一については、東京都におきましても、補助採択のために、先ほどお答えを申し上げましたけれども、学識経験者、河川工学などの専門家が入った専門委員会に確認をしてございます。

○五十嵐委員 浸水の被害の状況と原因を私も全てデータを調べました。石神井川の有堤溢水の記録としては、近年、溢水によって、川があふれたことによって被害が出たというのは、平成十七年九月四日の台風十九号の豪雨、このとき時間最大雨量は百九ミリです。
 このときどんな被害が起きたのかなというと、練馬区内の床上、床下浸水が合計三十二棟で、これも河川の狭隘箇所、ボトルネックといわれる一番の危険なところで起きているものです。三十二棟の被害が直近の水害です。
 このマニュアル二七ページにも、著名な水害でできるだけ近年のものともあります。三十二棟の被害しか起きていないのに、この十年に一度の被害として一千億円起きるというのは非常に現実的に過大ではないでしょうか。
 石神井川の現地は、西東京側に十分な調節池があって、今回の取水口となる南町調節池も一度も満タンになったことはないんですね。下流の練馬区側も着実に護岸整備が進んでいて、隣の西武新宿線の立体交差化事業も着手になって、護岸整備での川のボトルネックを解消しつつあります。
 ちょっと実態とかなり、本当にこの事業がなくて、十年に一度の雨で石神井川が氾濫して、一千億円の被害が起きると想定していること自体、大丈夫かなと思うんですけれども、その根拠として、東京都は氾濫図というのを出していますね、氾濫図。この氾濫図、私、開示請求で出していただいたんですけれども、この氾濫図が練馬区と西東京がつくっているハザードマップよりも氾濫図の方が広いんですね。
 つまり何がいいたいかというと、東京都が十年に一回の雨で一千億円の被害が生じる、その根拠が東京都が出している氾濫図なんですけれども、その氾濫図は、時間雨量六十五ミリで計算したはずなのに、このハザードマップ、西東京と練馬がつくっているハザードマップ、このハザードマップは最大雨量百五十三ミリを想定しているにもかかわらず、その東京都が算出の根拠とした氾濫図、そっちの方が六十五で、極めて雨量としては少ないんですね。
 これは何でハザードマップとこれ、合わないんでしょうか。合わないというか、何でハザードマップの方が浸水予想区域が狭いんでしょうか、伺います。

○中島東京都技監 一千億の数字、まずは申し上げたいんですが、今回、治水経済マニュアルの案に沿って計算した結果でして、被害額と事業費を合わせるとか、そういう意図は全くございません。
 それから今の氾濫区域の話ですが、費用便益分析に用いました氾濫区域でございますが、これは調節池の効果を評価するために、マニュアルの案に沿って適切に表示したものです。
 一方、ハザードマップの浸水エリアでございますが、これ目的が違っていまして、いざというときの住民の避難行動を促すということが目的でつくっているものでして、例えば内水氾濫、下水の方からちょっとあふれるとかそういったもの、現実的なケースに沿って作成されているということです。

○五十嵐委員 東京都はこれ、下請というか委託して、この数値を全部出させていると思うんですけれども、ちゃんと精査できているのかなというのは非常に疑問に思います。
 そもそも今回開示請求で出した、この便益、一千百五十四億円の算定の根拠ですね、開示請求で出してくださいというふうにいったら、三点ほどしか出さなくて、算出根拠及び関連する一切の資料と書いたときに氾濫図を出してきて、最初から氾濫図出さなかったというところに、そもそもが非常に問題があるんですけれども、やっぱりこの数値というのは、被害額、金額とか、やっぱり都民の目にちゃんと見せられるようにというか、ちゃんと都民が評価できるように、開示請求しなくても開示すべきだというふうに思います。
 国交省のこのマニュアルの八一ページにも、原則公表するというふうに書いてありますね。
 東京都、今後、こういう公共事業、費用便益の根拠の資料をちゃんと公表すべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○中島東京都技監 本事業の費用便益分析の結果、一・三一、これは既に公表しております。
 費用便益分析の詳細につきましては、今のやり取りでもお分かりかと思いますが、内容が専門的であり、説明が必要であるということから、現在公表の在り方を検討しているところでございます。

○五十嵐委員 誰も見ると思っていないから、ずさんなものでもそのまま放置している可能性があるっていうことですよね。
 これ、BバイCが一、これまでBバイCの議論をしてきましたけれども、BバイCが一を切った事業というのはあるんでしょうか、伺います。

○中島東京都技監 建設局では、事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を目的としまして、学識経験者から成る事業評価委員会を開催してございます。
 委員会の議事要旨及び資料を公表している平成二十八年度以降、この委員会の対象となった建設局の事業で費用対効果が一を下回ったものはございません。

○内山委員長 五十嵐えり委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後七時五十九分休憩

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