予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○内山委員長 本橋たくみ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、小松副委員長着席〕

○本橋委員 よろしくお願いいたします。
 まず、少子化対策について伺います。
 先月、国が発表した人口動態統計の速報値によりますと、昨年の出生数は七十六万人を割り込み、過去最少となったわけであります。また、婚姻数は五十万組を下回り、戦後最少となるなど、我が国の少子化の進行が危機的な状況にあることが改めて浮き彫りになりました。
 少子化の主な要因として、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少が挙げられておりますが、その背景は複雑で、歯止めをかけるためには、多様な主体が連携し、社会全体で幅広い取組を推進していくことが必要であると考えます。
 私はかねてより、取組の推進に当たっては、住民に最も身近な自治体である市区町村の役割が重要であることを申し上げるとともに、都内でも地域によって子育て家庭を取り巻く環境には違いがあり、有効な取組も異なるのではないかと指摘をしてまいりました。
 東京を一くくりに見るのではなく、地域の状況を深掘りし、市区町村の少子化対策を後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田中子供政策連携室長 都内には、区部や多摩・島しょなど、特性が異なる多様な地域が存在し、若年層や子育て世帯を取り巻く環境にも違いがあります。
 そのため、都は、市区町村が地域の実情に応じて独自に実施する少子化対策を支援するとともに、各市区町村の取組をウェブサイトで紹介しております。
 こうした取組に加えまして、来年度は、人口構造や子育て、教育環境、居住、雇用環境、地域のつながり等に関連する様々な指標を用いて、地域ごとの状況や特徴を把握、分析してまいります。
 得られた成果を市区町村と共有し、少子化対策の一層の推進に生かしてまいります。

○本橋委員 地域ごとの分析は大切だと思いますし、さらにその分析を生かして少子化対策に生かしていただきたいと思います。
 私たち都議会自民党は、少子化対策は今がラストチャンスと訴えてまいりました。首都東京の課題ではありますが、地域ごとに対策が異なり、市区町村と課題を共有して、市区町村に対する支援も要望をしておきます。
 続いて、行政サービス等のデジタル化、いわゆるプッシュ型子育てサービスについて伺います。
 都が昨年九月に策定した東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、デジタルの力で都民の生活の質を高めていくため、顧客目線で行政の垣根を越えて一人一人にタイムリーにサービスを届けるという変革に挑戦することを掲げております。
 都は、この変革について、まずは子供分野から取り組んでいくとのことであり、子供の状況や成長のステージに応じて様々な行政サービスを受ける子育て世代の利便性向上につながることに大きな期待を寄せています。
 昨年十二月に発表された国のデジタル行政改革の中間とりまとめでも、子育て支援制度やその申請方法が複雑で自治体ごとにばらつきがあると指摘されており、子育て世代の負担を軽減するためには、必要な情報を最適に届ける仕組みの構築とともに、マイナンバーカードを活用したスムーズな申請にもつなげていくことが重要であると考えます。
 そこで、都は、プッシュ型の子育て支援の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○山田デジタルサービス局長 都が進めておりますプッシュ型子育てサービスでは、子育て世代のニーズに応じた最適な情報を先回りで都民に届け、知らなかったや申込み忘れを防ぐことを目指しております。
 まず、プッシュ通知につきましては、先行実施を踏まえ、来年度、全ての区市町村の子育て支援制度をオープンデータ化し、電子母子手帳などのアプリから給付金などの情報を利用者にタイムリーに届けてまいります。
 さらに、申請の簡素化などサービスの利便性向上を図るとともに、民間アプリとマイナポータルとの連携などを推進してまいります。
 国やGovTech東京と共に、顧客視点に立った取組を加速してまいります。

○本橋委員 〇一八サポートの申請が煩雑だったという声もあったわけでありますが、データが連携されることで、手続の負担が軽くなることは、忙しい子育て世代への一つの助けになるとも思います。分かりやすく便利なシステムの構築に向け、今後も、国、市区町村と連携し取組を進めていっていただきたいと思います。
 続いて、一人一台端末の更新について伺います。
 国がGIGAスクール構想として、令和二年度から集中的に整備した全国の小中学校等における学習用の一人一台端末が更新時期を迎えています。
 前回の調達の際には、コロナ禍において短期間で端末を調達する中、規模の小さい自治体では、ICTに詳しい職員の確保ができず十分な検討ができなかったり、一部の職員に事務負担が集中するなどの課題があったようであります。また、導入後の端末の活用状況についても、自治体によって差があると聞いております。
 都内全ての自治体で、端末が着実に更新されるとともに、利活用が一層推進されるよう支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、一人一台端末の更新に当たり、都内全区市町村が参加する共同調達に関する会議を設置いたします。
 共同調達会議では、各区市町村の端末調達計画に基づき、更新台数や時期等を把握するとともに、デジタルサービス局やGovTech東京の技術的支援等も受けながら、端末の仕様調整や調達業者の選定などを行います。
 これにより、各区市町村の計画的な端末更新を支えてまいります。
 また、共同調達会議において、授業での端末利活用の好事例の共有を行うとともに、担当者向けの連絡会で日常的な活用について情報を提供するなど、全ての区市町村の授業で端末が適切に活用されるよう推進してまいります。

○本橋委員 私自身、導入当時、市議会におりまして、機器の選定からスペック、システムをどうするのか等、様々議論があって、また、課題もあったと認識をしておりますけれども、答弁にもありましたように、各区市町村の計画的な端末更新の後押しとともに、端末の利活用についても情報共有ができるようお願いをいたします。
 次に、東京のプレゼンス向上について伺います。
 日本のGDPはドイツに抜かれ、第四位に転落するなど、国際競争力の低下が浮き彫りとなっています。この二月には平均株価がバブル期の史上最高値を更新するなど好調な兆しも見せる中、物価高に対して賃金の伸びが追いついておらず、生活への実感には程遠く感じられています。
 日本を再び成長軌道に乗せていくためには、投資と経済成長の好循環を生み出す必要があり、首都東京がそれを牽引していかなければなりません。
 そのためには、五十年先、百年先の未来を見据えた先端技術を、東京が官民を挙げて大胆に実装していくことが必要であります。
 都は、これまで東京ベイeSGプロジェクトとして未来を描き、空を飛ぶ車など先端技術の実装支援に取り組んでおり、四月から開催されるSusHi Tech Tokyo 二〇二四では、多くの方々にこうした未来の都市モデルを体験していただくとのことであります。
 SusHi Tech Tokyo 二〇二四をどのように東京の成長、またプレゼンス向上につなげていくのか、知事に見解を伺います。

○小池知事 都市間競争が激化する中で、近年、日本の国際競争力は低下の一途をたどってまいりました。
 ただ、この状況を打破しなければならない。そして、そのために、東京が持つ様々なポテンシャルを最大限発揮し、大きな変革を生み出していく必要がございます。
 また、世界が変わる中で、改めて日本のポテンシャル、東京のポテンシャルが見直されているということも付け加えておきたいと思います。
 そして、その起爆剤となりますのが、ご指摘のSusHi Techでございます。
 持続可能な都市を高い技術力で実現する、この理念の下で、世界から都市のリーダーや挑戦者などが集いまして、議論を交わし、そして、東京から新たなイノベーションの種を生み出す。
 さらに、環境や食など、世界が抱える課題を最先端技術で解決する未来の都市像を示すことによって共感を広げていきたいと考えております。
 ビジネスや行政、市民が集う世界でもまれなこの機会を契機といたしまして、東京のプレゼンスを高めてまいります。
 そして、世界中から人と投資を呼び込みまして、東京を世界から選ばれる都市へと成長させてまいります。

○本橋委員 日本を牽引していくのはまさに東京であるとともに、そのポテンシャルを生かして、アジア、そして世界の都市の中から選ばれる東京を実現していただきたいと思いますし、また、国内外のスタートアップ、さらには世界各国の都市にとっても大きなビジネスチャンスとなるよう、ぜひとも東京が成長していくための起爆剤としていただきたいと思います。
 投資を呼び込むためには、まだ見ぬ技術、新たな技術を磨き上げ、育てていくことが重要であります。
 東京ベイeSGプロジェクトがベイエリアで実施している最先端技術の実装に向けた伴走支援は、取組の開始から来年度で三年となり、いよいよ成果が見えてくる段階に来ていると考えます。
 そこで、東京ベイeSGプロジェクトにおける最先端技術の実装の状況と、今後の展開について伺います。

○古谷政策企画局長 東京ベイeSGプロジェクトでは、ベイエリアを舞台に最先端技術の実装を進めるため、次世代モビリティー、最先端再生可能エネルギー、環境改善・資源循環の三分野で、現時点で計十五件の事業を展開しております。
 具体的には、空の移動革命ともなる空飛ぶ車や、インフラ管理に有効な世界初の水空一体型ドローン、水面を有効活用できる日本初の洋上での太陽光発電、災害現場にも持ち込めます可搬式の風力発電などの実装に向けた取組を進めております。
 今後、SusHi Tech Tokyo 二〇二四などの機会を通じて発信し、国内外での実装につなげてまいります。

○本橋委員 まさに私が子供の頃見ていたドラえもんの世界が現実味を帯びてきたなと感じているところであります。
 ぜひ投資を呼び込んで、東京の成長を先導するような世界最先端の技術を生み出していっていただきたいと思います。
 東京ベイeSGプロジェクトが目指す未来の実現に向けては、未来を生きる子供たちが自ら考える機会を創出することも重要であると考えます。
 SusHi Tech Tokyo 二〇二四のショーケースプログラムの中でも、子供たちにフォーカスした取組が実施されると聞いています。
 そこで、東京ベイeSGプロジェクトにおける子供の発想や意見を生かす取組について伺います。

○古谷政策企画局長 東京の未来を構想する東京ベイeSGプロジェクトの推進に当たりましては、未来を担う子供たちの意見やアイデアを取り入れていくことが重要でございます。
 そのため、子供たちが、未来のベイエリアの姿を、ゲームなど親しみやすいツールを用いて自由に表現する機会を通じ、持続可能なまちづくりへの関心を高めてまいりました。
 今後は、SusHi Tech二〇二四のショーケースプログラムにおいて、未来の道具を発明するワークショップをはじめ、子供たちがサステーナブルな社会を楽しみながら考える場を提供してまいります。
 さらに、日本科学未来館に設ける新たな拠点も活用し、積極的に子供たちの参画を促し、声を引き出すなど、プロジェクトに生かしてまいります。

○本橋委員 子供たちが持続可能な未来について考えていくきっかけとするためにも、このeSGプロジェクト、SusHi Tech Tokyo 二〇二四には期待をしております。
 東京ベイeSGプロジェクトが当面の目標としている二〇三〇年は目の前であります。どのように東京が変わるのかをしっかりと描いていただき、東京のプレゼンス向上に向け、さらに取り組んでいただくようお願いをいたします。
 続いて、観光振興について伺います。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、観光産業に深刻な影響を及ぼしました。
 昨年の水際対策の終了に伴って観光需要が復活し、東京を訪れる外国人旅行者数は、コロナ前の水準を既に上回っています。
 インバウンドが急回復しているこのチャンスを捉えて効果的な観光誘致に取り組み、観光産業の回復を確実なものとしなければなりません。
 都では先日、今後三か年の観光産業振興実行プランを策定したところでありますが、今後の観光振興の進め方について、知事に見解を伺います。

○小池知事 東京の都市としての発展を実現する上で、観光振興を通じ国内外から多くの旅行者を誘致して、存在感を高める戦略的な取組は欠かせません。
 インバウンドの回復によります消費を確保できる持続可能な観光を推し進めまして、事業者の一層の発展をしっかりと後押しをしていきたいと考えております。
 また、海外からの旅行者の関心にも応えまして、夜間の観光の充実につながります、例えばプロジェクションマッピングの活用を進めてまいります。江戸の歴史や文化に加えまして、世界で人気のアニメを生かしまして、効果の高い集客に取り組んでまいります。
 将来にわたります持続的な観光の推進に向けて、環境への負荷を減らし、地域の文化や住民の暮らしに配慮する取組なども欠かせません。
 事業者がDXによる経営力を高めまして、優れた人材を数多く職場に迎え入れる支援によりまして、観光産業の飛躍的な発展の基盤を強固なものとしていきたいと考えております。
 これらを新しいステージに応じたプランにのっとりまして、世界最高の観光都市東京をつくり上げてまいります。

○本橋委員 知事のご答弁の中で、川松委員が取り上げていただいたプロジェクションマッピングや、また、松田理事が取り上げた江戸歴史の文化についても触れていただきました。
 ぜひ、東京の魅力やポテンシャルをさらに磨き上げていただいて、さらに発信し、より旅行者を世界中から積極的に呼び込む、観光消費を拡大し、都心部のみならず、都内全域にこの波を広げていっていただきたいと思います。
 そこで、多摩地域の誘客促進について伺いたいと思います。
 多摩地域は都心からのアクセスもよく、少し足を延ばすだけで都心部にはない美しい清流や湧水、緑深い山々といった恵まれた自然や地域で育まれた豊かな食などを体験できる貴重な地域であり、水辺の散策や秋の紅葉などで訪れる人も多いわけであります。
 また、私の地元には、谷保天満宮や天平時代に全国最大級の国分寺があった武蔵国分寺の史跡、殿ヶ谷戸庭園など歴史的な施設も数多く点在をしております。
 しかしながら、インバウンドを含めて都心部に比べると誘客面でまだ課題が多いのも実態であります。
 特に気温が低い冬などは旅行者も減少するため、継続的に観光客を誘致する工夫を講じることも必要であると考えますが、多摩地域へのさらなる誘客促進に向けて、都は来年度どのように取り組んでいかれるのか見解を伺います。

○坂本産業労働局長 多摩地域の観光振興を進める上で、冬場の寒さや荒天による旅行者の減少を抑え、安定した集客を図ることは重要でございます。
 このため、都は来年度、多摩地域の観光関連事業者が季節や天候により来訪者の減る時期において、インバウンドを含め重点的に集客を進める取組に対し、新たな支援を実施いたします。
 具体的には、冬場の澄んだ空気の中で星空を観賞するイベントの開催や屋内で楽しむアクティビティーの整備のほか、温泉施設の改修等に必要となる経費に対し、二千万円を上限に三分の二の助成を行います。
 こうした取組によりまして、多摩地域への誘客を促進してまいります。

○本橋委員 都心部と比べると、やはり多摩地域に行きますと外国人を見かける機会が少ない状況にあるわけでありまして、多摩地域への観光客の誘客は、インバウンド観光客も含めて、四季を問わず大きな課題であると考えます。
 自然、文化、食、体験等、多摩の潜在的なポテンシャルはあるものの、認知度やインフラを含めたアクセス面、ホテルの少なさなど課題があります。今後も総合的なさらなる後押しをお願いいたします。
 続いて、中小企業の経営環境の変化への対応について伺います。
 円安や原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあります。
 加えて、気候変動や世界情勢、感染症や災害など、社会経済状況の変化のスピードも速く、中小企業は、先行きが見通せない中で柔軟に事業運営を行い、経営を継続していくことが求められております。
 我が党はさきの代表質問において、様々な状況の変化に対応する中小企業を支援するべきと訴え、都からは、来年度、中小企業が新たな経営環境に対応する取組への支援を開始するとの答弁がありました。様々な課題に挑戦する中小企業を強力に後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業が新たな経営環境に対応するため、様々な取組を一体的に進める場合への支援を開始いたします。
 具体的には、中小企業が市場調査を行い、それに基づき国内外の見本市に出展し、新たな取引に係る高性能な生産設備や品質向上に役立つ機器等を導入する取組を新規に支援いたします。
 これらに必要となる経費に関し、その三分の二を、八百万円を上限に助成をいたします。
 また、こうした取組が確実に進むよう、専門家を派遣し、見本市での商談を効果的に行う助言や導入した機器を活用して業務効率を高める工夫の提案などを実施いたします。

○本橋委員 きめ細かいサポートを行うことが確認をできました。
 こうした取組をしっかりと行って、中小企業の経営を着実かつタイムリーな支援で経営を継続していくことができるよう後押しをお願いいたします。
 次に、就業支援について伺います。
 今月、二〇二五年春卒業予定の学生への採用広報が解禁されました。深刻な人手不足を背景に、内定率は年々上昇し既に三割を超えるなど、人材の獲得競争が激化をしております。
 転職市場もまた活況であり、国や民間企業の調査によると、転職希望者は五年前に比べ二割増え、中途採用の求人倍率は大卒を上回るなど、売手市場となっております。
 一方、一九九〇年以降のバブル崩壊や金融不安により厳しい雇用環境にさらされてきた就職氷河期世代の中には、長い間、非正規雇用を続けざるを得なかった方や、履歴書でアピールできる経歴がなく活況な転職市場の恩恵を受けられない方、厳しい転職活動のトラウマから転職への一歩を踏み出せない方がいるのも実態であります。
 また、働く期間が延びる中、転職してセカンドキャリアを目指したいものの、スキルに不安を抱える人もいらっしゃいます。
 企業の中には、こうした苦労を積んだ氷河期世代や、人生百年時代の折り返しを迎えた中高年の方を活用することにメリットを感じ、人手不足解消につなげる動きも出てきており、行政としてもこうした動きを積極的に支援し広げていくべきであると考えます。
 都は、令和六年度予算にキャリアチェンジ再就職支援事業を計上しておりますが、企業が深刻な人手不足に直面し採用意欲が旺盛なこの機に、様々な事情を抱えながら転職を目指す方を支援し、企業と求職者双方のニーズに合った再就職が実現するよう後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、転職や再就職を目指す方について、これまでに業務経験のない分野の中小企業等に就職できるよう新たな支援を開始いたします。
 具体的には、求職者に対しAIが希望や適性に応じた業種や職種を紹介するほか、スキルを計画的に学ぶための助言を専門家がきめ細かく行います。
 また、建設や運輸等の様々な業界の仕事の内容を学ぶセミナーや、業務に必要なスキルをeラーニングにより習得する講座を開催いたします。
 その後、中小企業などの現場で二か月間派遣により働き正社員として就職する支援も行います。

○本橋委員 転職は若い世代ほど成功率が高いといわれておりますが、若い世代の離職に苦しむ経営者も実際には多くいる実態があります。企業、また、中小企業等もつながるところでありますけれども、ぜひ人手不足の解消につながる後押しをお願いいたします。
 続いて、テレワークについて伺います。
 コロナ禍における感染拡大防止と事業活動両立への対策として、企業や都民に急速に広がったテレワークについて、都の調査では、ピーク時の実施率は六五%まで上昇したものの、五類移行等に伴って、現在は四〇%台に落ちている状況であると聞いております。
 しかし、テレワークは、感染症対策のみではなく、生産性の向上や人材活用、そして働き方改革など、企業活動の幅広い分野において効果的な手法であると考えます。
 都は、ポストコロナの時代においても、引き続きテレワークの推進を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 テレワークを進める上で、働き方を改革し生産性を高めることに加え、職場での対面による仕事が生み出す成果等に配慮をすることは重要でございます。
 これまで都は、テレワークを初めて導入しその定着を図る会社に対し相談対応を行うほか、必要となる機器の導入に対し助成などを行ってまいりました。
 こうした中、テレワークのできる環境で働くことを希望する社員等が増える一方、対面の打合せを通じ一体感を高め、斬新なアイデアを増やす工夫も必要となっております。
 このため、都は来年度、テレワークのより効果的な活用に向け、リモートと出社に係る新たなルールづくりに取り組む会社に対し、最大四十万円の奨励金を支給します。

○本橋委員 コロナ禍では一律に在宅勤務を行うことが求められましたが、本来、企業にとって最適な働き方は百社百様であるわけであります。
 ポストコロナにおいても、企業の実情に合わせたテレワークがしっかりと進むよう、取組を進めていくことを求めます。
 国は昨年末、従業員の子供が三歳になるまでテレワークができるよう、企業に努力義務を課す方針をまとめました。
 これにより、育児や介護との両立への環境整備が進むことが期待できますが、都の調査によると、テレワークの実施率は、直近で従業員数三百人以上の企業で六割を超える一方、百人から二百九十九人の企業は四〇%台、三十人から九十九人までの企業は三〇%台にとどまっております。
 子育てや介護をしながら働く人の中には、自宅にテレワーク環境を用意できない場合もありますし、テレワークの実施場所は自宅に限られるものではないわけであります。
 効率的な働き方を追求する人の間では、外回りの途中に寄れる駅に設置されたテレワークブースやコワーキングスペースなど、自宅でもオフィスでもない第三の職場、いわゆるサードプレースの利用も広がっております。
 企業が人材を確保していく戦略としても、こうした勤務の方法を取り入れる効果は大きく、中小企業にもそのノウハウを伝え、後押ししていくべきだと考えます。
 都は、中小企業において、育児、介護との両立支援として、また、人材確保、定着の戦略として、様々な形のテレワークの導入が進むよう取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 育児や介護と仕事の両立に向け、中小企業がテレワークを活用した働き方を導入することは重要でございます。
 このため、都は来年度、そうした従業員のため就業規則の見直しをする中小企業に二十万円の奨励金を支給するほか、テレワークの機器導入に係る経費も支援をいたします。
 また、育児や介護のため自宅でのテレワークが難しい方を含めた中小企業の従業員が、サテライトオフィスを活用するよう後押しすることは必要でございます。
 このため、中小企業がサテライトオフィスの運営事業者と交流するイベントを年二回開催いたします。
 これに加えまして、サテライトオフィスを使用できる就業規則をつくり、従業員の利用があった場合、十万円の奨励金を会社に支給をいたします。

○本橋委員 中小企業が置かれた状況を適切に把握し、サテライトオフィス勤務を含めたテレワークの導入が着実に図られるよう、引き続き対応することを要望し、次の質問に移ります。
 手続サクサクプロジェクトの推進についてでありますけれども、企業の事務の簡素化というところでありますが、中小企業はどこでも人手不足で、例えば補助金を申請するにしても、手続が毎回煩雑で事務作業を行うのも大変と聞いており、事業者の負担軽減に向けた本プロジェクトを確実に進めてほしいと考えます。
 来年度の取組について伺います。

○山田デジタルサービス局長 事業者の申請時の負担軽減を目指す手続サクサクプロジェクトにつきましては、今年度、システム構築に先駆け、事業者情報の収集を開始いたしました。
 また、来年度中の稼働に向け、全庁での幅広い活用を視野に、各局とヒアリングを行い、ニーズの把握や業務フローの分析を実施いたしました。
 来年度は、GovTech東京の技術力を生かし、全庁共通基盤としての事業者データベースシステムの開発を進めてまいります。
 各局と連携し、補助金申請をはじめとする手続での活用を促進することで、ワンスオンリーを実現し、広く事業者の負担軽減を図ってまいります。

○本橋委員 極力負担が軽減できる使い勝手のいい仕組みとなるよう、各局とも連携しつつ、しっかりと取組を推進していただきたいと思います。
 続いて、次世代再エネ技術について伺います。
 都は、令和四年度から、東京ベイeSGプロジェクトを開始しており、例えば、駐車場や歩道で舗装式太陽光発電や輸送が可能で、災害時の電源供給等に資する垂直軸型風力発電システムの実証も行っているところであります。
 脱炭素社会の実現に向け、再エネの技術開発は日進月歩で進んでいるため、太陽光一辺倒の施策ではなく、多様な再エネ技術の実装を推進していくことも必要であります。
 来年度、次世代再生可能エネルギー技術の実装推進事業が予算計上されておりますが、取組内容について伺います。

○栗岡環境局長 東京をあらゆる場所で発電する未来都市とするためには、ペロブスカイト太陽電池を含む次世代再生可能エネルギー技術の早期実用化が不可欠でございます。
 そのため、ペロブスカイト太陽電池に続く次世代再エネ発電技術の早期社会実装に向けまして、東京特有の環境下での検証事業に要する経費の一部を補助する次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業を来年度から開始いたします。
 具体的には、設計費、設備費、工事費等に対しまして、補助率三分の二、上限一億円を開発業者に対し支援することで、早期実用化を後押ししてまいります。

○本橋委員 ただいま東京特有の環境下で検証を行う旨答弁がありましたが、具体的にどのような事業を想定されているのか、また、どのような場所で検証を想定しているのか伺います。

○栗岡環境局長 本事業は、提案募集型で次世代再エネ技術を募り、東京の地域特性、実装の将来性、実現可能性等を評価し、事業者を決定してまいります。
 また、東京全域におきまして、大小様々な建築物等が密集、林立する建物の内外や、島しょ地域の強風の影響など、東京特有の環境下での検証を想定してございます。
 本事業を通じまして、都内の様々な建築物、施設等への汎用性を確認することで、都内での普及拡大につなげてまいります。

○本橋委員 ペロブスカイトに続く次世代技術ということで、ぜひ、先行して実施されている東京ベイeSGプロジェクト等とも連携して進めていっていただきたいと思いますし、また、太陽光一辺倒の施策ではなく、多様な再エネ技術の実装の推進をお願いいたします。
 続いて、カーボンニュートラルに向けた運輸、物流分野の取組について質問をします。
 都内ではCO2排出量の約二割を運輸部門が占めており、その排出量の削減は重要であります。
 運輸事業者の中には、エコドライブの推進など、物流の省エネ化に取り組んでいる事業者もいますが、さらなる脱炭素化に向けては、運輸事業者のこうした取組を広げるのと同時に、原材料の仕入れや製品の発送などを行う荷主、とりわけ都内企業の大部分を占める中小企業の荷主も含めた取組を進めることが必要であると考えます。
 そこで、運輸、物流分野の脱炭素化に向け、今後どのように都として取り組んでいくのか伺います。

○坂本産業労働局長 運輸に関係する事業者の脱炭素化を進める上で、運送会社と荷主のそれぞれに応じた支援を行うことは効果的でございます。
 このため、都は来年度、運送会社に対し環境に配慮していることを示すグリーン経営認証等を取得する際に必要となる経費の二分の一に五十万円まで補助を行います。
 こうした会社には、ZEVのトラックなどを導入する場合の助成金に五十万円を上乗せし支給する仕組みといたします。
 また、中小規模の荷主がグリーン認証等を持つ運送会社を利用する場合に、運送料金の二分の一を百万円まで助成いたします。
 これらによりまして、運用分野の脱炭素化を促進してまいります。

○本橋委員 ありがとうございます。
 同時に航空貨物輸送での脱炭素化も重要であると考えますけれども、カーボンニュートラルを実現するために、持続可能な航空燃料であるSAFは脱炭素の切り札ともいわれており、国は二〇三〇年のSAF供給量を一〇%とすることを目標に掲げています。
 企業にとっても、航空貨物輸送は鉄道や船舶等に比べCO2排出量が大きいことから、対応が不可欠となっております。
 一方で、SAFは現時点では供給量も限られており、従来のジェット燃料と比較して価格が高いため、企業にとってはコスト負担が大きく、普及拡大の障壁となっております。
 このような状況を踏まえ、企業が製品等を航空貨物で輸送する際にSAFを活用しやすい環境づくりを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 航空機を使う物流分野の脱炭素化を進める上で、植物由来のバイオ燃料等をジェット燃料に混ぜてつくるSAFの活用を広げることは効果的でございます。
 一方で、SAFは価格が高く、輸送に関係する会社の負担は重くなります。
 このため、都は来年度、こうしたSAFの利用のコストを抑えるための支援を新たに実施いたします。
 具体的には、羽田空港などに離発着をする航空機がSAFを使い貨物を運ぶ場合、その輸送料金に上乗せされる部分を対象に、中小規模の荷主に三百万円を上限に全額の助成等を行います。
 また、こうした荷主には、CO2の削減量を記載した証明書を渡し、脱炭素化に貢献していることをPRできる仕組みといたします。

○本橋委員 SAFの活用をぜひお願いしたいところであります。
 最後に、新規就農者への取組について伺いたいところであります。
 都内の新規就農者は近年増加傾向にあります。東京農業の持続的な発展を図るためには、こうした方々への支援が重要であります。
 農業を始めるに当たっての課題の一つに、初期投資の経費があります。初めて農業に取り組む方はもちろん、農家の後継者であっても、親から独立した経営を行う場合は、農薬を散布する機器やビニールハウスの設置などの費用が必要となります。
 このため、我が会派は本定例会の代表質問において、農業者が早期に経営を軌道に乗せることができるよう、小規模な施設や機器の導入について柔軟な支援を訴えてまいりました。
 都からは、速やかに助成する仕組みを開始するとの答弁がありましたが、来年度の具体的な取組について伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、新規就農者が安定した経営を早期に実現できるよう、農業用の施設の整備や機器の購入を円滑に進めるための支援を強化いたします。
 具体的には、就農して五年以内の農業者が、簡易なパイプハウスの整備や小型の耕運機の導入などを行う場合に必要となる経費の四分の三に助成を行います。
 この取組について、個々の農業者の状況を理解する農業団体と協力し、生産の内容や規模に応じた適切な助言や相談対応等を行い、様々な整備などの速やかな実現を図ります。
 こうした取組によりまして、東京農業の担い手の確保を進めてまいります。

○本橋委員 家族が後継者となり、独立して経営を行う場合の支援など、この取組により、東京農業の担い手の確保につながるものと考えます。
 小池知事が掲げるグリーンビズの視点からも重要だと考えますので、幅広い支援を求めておきます。
 農業に関連して、学校給食における東京農産物の利活用についてですが、東京農産物を学校給食に活用することは、地産地消を進める上で有効な手段であるだけでなく、東京の農業や生産者への理解を深めることにもつながり、大切な取組であります。
 農業者にとっても、安定的な販路の確保や経営規模の拡大という効果が期待をできるところであります。
 このため、学校給食に意欲的に取り組む農家を後押しするとともに、栄養士など学校関係者に対しても、東京農産物の理解促進と導入の働きかけを行うことが重要であります。
 都は来年度、学校給食における東京農産物の活用を進めるため、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、東京の農産物の販路拡大と地産地消を図るため、学校給食での利用を促進する取組を強化いたします。
 具体的には、学校給食で使う野菜などの分量は多く、その納入に向け、農業者が新たに計画をつくり、それに基づき機器等を導入する場合に必要となる経費の三分の二に助成を行います。また、給食での利用に意欲的に取り組む農業者を、動画を通じ幅広く紹介するほか、出荷量などで高い実績を持つ方を対象に表彰を行います。
 さらに、給食のメニューを作る栄養士を対象に、東京産の農産物をPRするセミナーを実施するほか、学校での機運を高めるため、小学生によるレシピコンテストも開催いたします。

○小松副委員長 本橋たくみ委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時二十三分休憩

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