予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○菅原副委員長 竹平ちはる委員の発言を許します。
   〔菅原副委員長退席、谷村副委員長着席〕

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、AYA世代がん患者の在宅療養支援について質問いたします。
 私は、区議会議員になる前は、訪問看護師として、ご自宅で療養されているがん患者さんなどのケアに当たってまいりましたが、四十歳未満のがん患者の場合、自宅でベッドや車椅子などの福祉用具や介護サービスが必要になっても、介護保険制度は適用されず、全て実費となることから、家族にとって経済的にも身体的にも負担になっており、課題を感じておりました。
 その後、私の地元江戸川区では、区議会公明党の要望を受け、令和四年度から、AYA世代がん患者に対して、介護保険と同様のサービスが受けられる在宅療養支援をスタートいたしました。
 私は、都議会議員になって初めてとなる令和四年第一回定例会で、AYA世代がん患者への在宅療養支援について取り上げ、事務事業質疑でも、都として支援すべきと求めてまいりました。昨年第四回定例会において、区市町村によるAYA世代がん患者の在宅療養支援に取り組む支援をすべきとの我が党の提案に対し、都として支援策について検討していくとの方針が示され、来年度予算にその支援策が盛り込まれたことを評価いたします。
 そこで、その具体的な支援内容について説明を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、AYA世代がん患者の療養生活の充実を図るため、来年度新たに、介護保険制度の対象とならない四十歳未満のがん患者に対し、在宅サービス等の費用の助成に取り組む区市町村を包括補助で支援いたします。
 具体的には、主治医の意見書やケアプランの作成費用、訪問介護などの居宅サービスの利用料、福祉用具の貸与や購入の経費を対象に、区市町村が患者に助成する費用の二分の一を都が支援いたします。

○竹平委員 ただいまのご説明では、包括補助により支援するとのことですが、多くの区市町村で実施できるよう、活用しやすい仕組みとするなど、AYA世代がん患者の在宅療養支援に取り組む区市町村の拡大を図っていくべきと考えますが、今後どのように進めていくのか、見解を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、区市町村の人口規模に応じて補助額の上限を設定しております包括補助におきまして、補助メニューの一つであるAYA世代がん患者の在宅療養支援がより多くの区市町村で活用されますよう、この上限を超過する場合でも補助できる取扱いとしてまいります。
 また、来月開催予定の区市町村に対する補助事業の説明会で、先行自治体の好事例を横展開するなど、今後、区市町村に対し、様々な機会を通じて積極的に本事業の活用を働きかけてまいります。

○竹平委員 ぜひとも、各区市町村で支援が進むよう、本事業について、丁寧に説明を行っていただくようお願いいたします。
 私はこれまで、今回のAYA世代がん患者の在宅療養支援のほか、相談支援の充実や生殖機能温存治療費助成事業の周知、アピアランスケアの支援の必要性などを訴えてまいりました。
 そして、今年度から、我が党の要望を受け、アピアランスケアの支援に取り組む区市町村への補助もスタートし、現在十七区、十市町で取組が進んでおります。在宅療養支援とともに、アピアランスケア支援についても、より多くの自治体で取り組めるよう働きかけていただきたいと思います。
 次に、女性医療について質問いたします。
 三月八日は国際女性デーです。都議会公明党は、これまで女性が元気に活躍できるため、一貫して女性の健康、命を守るための都の施策を進めてまいりました。女性は思春期、成熟期に、妊娠、出産、子育て、仕事、さらには更年期、老年期など、ライフステージにおいて女性のホルモンの変動があります。そのため、心身の変化に応じたきめ細やかな医療の提供が必要であることから、私は令和四年第四回定例会で、女性特有の疾患にワンストップで対応できる医療体制の構築を求めました。
 都知事より、都立大久保病院に女性特有の疾患を早期発見、早期治療や不安に寄り添いながらの相談などを有する女性医療センターを設けていくとの答弁がありました。そして、昨年七月に女性医療センターが開設され、本年一月には、センターに女性泌尿器外来を新設したと聞いております。そこで、女性医療センターの現在の取組状況と今後の展開について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 都立大久保病院の女性医療センターでは、女性特有の疾患の早期発見、早期治療等に向けて、プライバシーへの配慮など女性が安心して受診できる環境の下、婦人科や乳腺外科、整形外科等が連携して治療する体制を構築するとともに、痛みのないMRI乳がん検診等も行っております。
 本年一月には女性泌尿器外来を新設し、加齢や出産を機に増加する排尿トラブル等への専門的治療を開始しており、幅広い世代の女性のQOL向上に向けて、女性医療の充実に努めてまいります。

○竹平委員 私も現地を視察させていただきまして、診療する医師よりお話を伺い、女性医療への熱い思いをお聞きいたしました。本センターは、やや狭い感はありましたが、プライバシーを守る工夫がなされており、とても落ち着いた雰囲気でございました。まだスタートしたばかりですので、都民や医療機関などに、この女性医療センターの周知をしていただくよう要望いたします。
 次に、多摩メディカルキャンパス整備事業についてでございます。
 令和七年四月に、精密検査機能に重点的に取り組む施設を開設するとの報告を受けております。都議会公明党はこれまで、微小な病変でも発見できる検査装置の導入や、女性専用エリアなど、女性が受診しやすい環境づくりを進め、女性医療を充実していくことを求めてきましたが、その後の進捗状況について見解を求めます。

○雲田保健医療局長 令和七年四月に、がん検診センターの精密検査部門を統合し、多摩総合医療センターの別館として新設する施設では、内視鏡検査等の体制を拡充するほか、女性特有のがんも含め、短時間で高精度な検査が可能となる半導体PET−CTの導入などを予定しております。
 また、婦人科や乳腺外科の患者が受診しやすい環境となりますよう、問診から超音波やマンモグラフィーなどによる検査、診察まで完結できる女性専用のエリアを設けることとしております。現在、建物工事を進めており、着実に整備を推進してまいります。

○竹平委員 ぜひ、着実な推進をよろしくお願いいたします。
 次に、都立病院における不妊治療について質問いたします。
 我が党は、令和四年四月の不妊治療の保険適用拡大により、不妊治療や治療に関する相談の必要性が高まることから、都民に身近な都立病院でこうしたニーズに的確に対応すべきであると求めてまいりました。これを受けて、都立病院で不妊治療の相談窓口が開設されました。また、今後取り組むべき不妊治療について具体的な議論を進めているとの答弁も得ています。実施に向けて、都の見解を求めます。

○雲田保健医療局長 都立病院では、望む人誰もが子供を産み育てられる社会の実現に寄与するため、求められる役割や都立五病院の不妊治療相談窓口での相談内容等も踏まえながら、不妊治療の取組の方向性を整理いたしました。
 具体的には、周産期医療や女性医療に強みがある都立大塚病院におきまして、体外受精や顕微授精等の生殖補助医療に取り組むとともに、地域の医療機関では対応が困難な内科疾患等を有する合併症患者にも対応してまいります。来年度は培養室等の整備に向けた設計を行うなど、不妊治療に対する取組を着実に進めてまいります。

○竹平委員 ただいまご案内ありましたとおり、大塚病院は、地域の医療機関では対応困難な合併症をお持ちの方に対しても対応していくとのことでございます。この都立大塚病院で不妊治療を行う意義は大きいと思います。ぜひ、着実な推進をよろしくお願いいたします。
 次に、女性の就労について伺います。
 女性が自らの希望に応じた働き方を選択し、自分らしく生き生きと輝いて活躍できる社会を実現するためには、職場や生活のあらゆる場面に存在する障害を取り除き、その自己実現を後押しする環境を整備する必要があります。
 女性のキャリアを見ると、都内事業所の管理職に占める女性の割合は年々緩やかに上昇しているものの、家庭との両立が困難との理由などから、男性との差は依然として大きく、女性活躍実現への行政の粘り強い取組が求められます。
 また、ひとり親や生活について悩みを抱える女性など、活躍が阻まれている方々の就労へのサポートも不可欠であります。都は、働く女性のキャリアアップや家庭との両立などの課題について、これまで積み重ねてきた男女平等参画の取組や困難な問題を抱える女性への支援の状況にも配慮しながら、幅広く支援すべきでありますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 女性が職場で活躍し、様々な業務やマネジメントにおいて十分に力を発揮するための後押しは重要でございます。このため都は来年度、女性社員等に対し、職場に係る相談対応を行う拠点、はたらく女性スクエアを青山に開設いたします。
 これによりまして、業務の中で生ずる課題や悩みを効果的に解決できるよう、女性の管理職や社員などを対象とする労働相談や、年六回のセミナーを開催いたします。また、専門家の窓口相談も行い、平日と土曜日に夜間まで対応をいたします。さらに、このスクエアと同じ建物内の東京ウィメンズプラザとも協力し、女性の仕事と家庭の両立に向けたサポートを行うほか、女性福祉等の関係機関と共に女性の就業支援を進めてまいります。

○竹平委員 新たに開設されるはたらく女性スクエアには大変期待をしております。働く女性が抱える事情は様々であり、そうした一つ一つにしっかりと寄り添い、きめの細かい対応を行うことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、女性デジタル人材の育成について伺います。
 女性が高度なデジタルスキルを習得し、専門性を高めて、正社員として活躍することは、所得の向上や柔軟な働き方の実現につながるため、女性デジタル人材の育成に取り組むことは重要であります。都議会公明党からの提案を受け、都は今年度から女性ITエンジニア育成事業を実施していますが、IT業界での経験がない方でも即戦力として活躍できるように訓練をより充実させることや、受講者がモチベーションを維持できるようサポートを手厚くしていくことが重要であります。
 そこで、来年度、女性がデジタルスキルを習得し、ITエンジニアとして活躍できるよう支援を充実していくべきと考えますが、知事の見解を求めます。

○小池知事 我が国で、いまだ十分に生かし切れていない女性の力を最先端の産業分野で発揮することは重要でございます。企業の最前線の現場で非正規の仕事に就く女性がデジタルの技術を身につけて、そして、新たな職場で存分に腕を振るう後押しを進めてまいりたいと考えております。
 非正規で働く女性が、情報システムのプログラミング作業の様子に触れ、ITの知識や技能を学ぶ意欲を高め、それに続くeラーニングで訓練を積み重ねてスキルを習得する支援を進めております。受講生には専門家がつきまして、その力を着実に伸ばし、就職活動をスムーズに進めるサポートを行って、希望に応じた会社の紹介も行っております。
 今後はこうした取組を大幅に充実するほか、受講生が会場に集まり、実践的な訓練を行う工夫や、先輩の女性技術者と交流し、デジタルの仕事の魅力を実感できる機会の提供を行ってまいります。これによって、働く女性が新たな分野で活躍する支援を進めてまいります。

○竹平委員 再就職を希望する多くの女性がITエンジニアとして活躍できるよう支援を強化するとの答弁でございました。女性の雇用の安定と収入の増加に向けて、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、強度行動障害を有する方への支援について質問いたします。
 重度の知的障害で強度行動障害のお子さんの親御さんから、自分は高齢になり体力的にとても家で見るのは厳しい、しかし、受け入れてもらえるところがないとの切実な声をいただいております。私は、今年度に実施した厚生委員会で、重度障害者を受け入れるグループホームを視察いたしました。入所している方の特性に合った部屋の整備など、様々工夫がなされていました。先の見通しが立つことで安心できるとのことで、その方の特性をよく知り、関わり方などを工夫することで、穏やかに落ち着いて過ごされているとのことでした。
 ただ、スタッフの人員や働く人のスキルが十分必要であり、視察を通じて、その重要性を再認識いたしました。中でも、他害行為などを伴う強度行動障害を有する方を受け入れていくことは喫緊の課題であります。そこで、強度行動障害の特性に応じた環境整備を進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、来年度からの障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、強度行動障害も含めたグループホームでの重度障害者の利用者数を千人増やす目標を新たに設定をいたしました。来年度は、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合に、補助基準額を一・五倍とするほか、民間事業者への特別助成の補助率を社会福祉法人並みに引き上げます。こうした取組を通じまして、重度障害者を受け入れるグループホームの整備を強力に促進してまいります。

○竹平委員 受入れの拡充と併せて、運営する職員の質の確保も重要であり、事業所における課題を踏まえた施策の実施が必要であります。そのため、都議会公明党では、事業所を対象とした実態調査の実施を求めてきました。そこで、強度行動障害を有する方の受入れをさらに進めるためには、実態調査の結果を踏まえ、支援者養成研修の規模や対象を拡充するなど、正しい理解を広げながら、取組を強力に推し進めていくべきでありますが、都の見解を求めます。

○佐藤福祉局長 都が昨年実施いたしました調査では、グループホームや生活介護事業所におきまして、強度行動障害を有する方の受入れを進めていくためには、障害特性に応じた人員配置や職員の対応力の向上が必要であることが分かりました。
 都は来年度、強度行動障害を有する方の受入れ促進に向けまして、人員体制の強化を行う事業所への補助を充実するとともに、支援者養成研修の対象に障害福祉サービス事業所等と連携して支援を行う特別支援学校の教員を加えまして、研修の規模も拡充いたします。また、支援困難事例に対して助言などを行うアドバイザーを発達障害者支援センターに新たに配置をいたしまして、事業所を支援してまいります。

○竹平委員 ぜひ、しっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、アプリを活用した助け合いサービスについて質問いたします。
 二〇二一年都議会公明党は、障害者が移動時に困ったときに、デジタルを活用して手助けする方をマッチングする取組を提案いたしました。障害者の方は、外出に当たって、多くの困り事に直面していると、障害者団体などから聞いております。
 例えば、聴覚障害者は、見た目では障害があることが分からず、店舗スタッフが声をかけて初めてサポートが必要であることを知り、円滑なコミュニケーションができないことが多いといいます。このような困り事を解決するため、デジタルの力を効果的に活用し、障害の有無にかかわらず、やりたいことがスムーズにできる社会を実現することが重要であります。
 そこで、都は、来年開催のデフリンピックも見据え、デジタルを活用し、障害者のまち中での活動をサポートする取組を進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○山田デジタルサービス局長 都は来年度、スマート東京先行実施エリアであります西新宿におきまして、アプリなどを活用し、障害者の方がまちで直面する困り事の解決に向けたスマートサービスを提供する事業を開始いたします。
 具体的には、店舗などに近づくと、希望するサポート内容がスタッフに自動で伝わる仕組みや、アプリを通じて必要な連絡ができるなど、適切なサポートにつながるサービスなどを検討しております。障害者団体等の意見を聞きながら、今後、都庁や飲食店、宿泊施設などでの導入に向けて、施設管理者、テナントなど関係者との調整を進めてまいります。デフリンピックに向けた取組とも連携し、障害者が安心してまち中で活動できるよう、デジタルの力を活用した支援を進めてまいります。

○竹平委員 障害者が安心して活動できるように、障害者が困ったときにスマートフォンなどを活用し、チャットボットで問合せをして、素早く回答が来る取組を進めるべきと考えますが、都の見解を求めます。

○佐藤福祉局長 これまで障害当事者等が抱えている生活上の悩み事などについては、都や区市町村の窓口のほか、電話で対応してまいりました。来年度は、障害者が時間や場所に限らず、必要な情報を入手できるよう、行政サービスの情報や、例えば視覚障害者の方の薬の管理方法など、日常生活の困り事を乗り越えるための工夫などをAIチャットボットにより入手できる事業を実施いたします。
 実施に当たりましては、実践的な内容となりますよう、視覚障害者や聴覚障害者が有する生活の知恵やノウハウを収集いたしまして、日常生活における場面ごとに分類、発信するなど、障害者の生活の質の向上に向けて取り組んでまいります。

○竹平委員 ぜひ取組を進めていただきますようお願いいたします。
 次に、災害対策について質問いたします。
 初めに、液状化対策についてであります。
 本年一月の能登半島地震では、地震に伴う液状化現象により、建物だけでなく、道路などの公共施設にも被害が発生していることが報道されております。東京都が作成した液状化予測図を見ると、私の地元江戸川区は、液状化現象が発生する可能性の高い地域が多く点在しています。東日本大震災では、液状化により住宅が傾き、道路は泥水が噴き出るなど、大きな被害が発生しました。首都直下地震が切迫する中、液状化被害を抑制するためのさらなる予防的対策を促進することは極めて重要であります。都は我が党の要望を受け、令和六年度、戸建て住宅等の対策に必要な地盤調査や工事を支援するための予算要求を行うなど、取組を進めていることは評価いたします。
 一方、今般の震災における面的な被害発生を受け、対策のさらなる推進に向けて、戸建て住宅など個別対策だけでなく、これまで都議会公明党が繰り返し要望してきました区画整理事業などに合わせた面的対策のさらなる支援を急ぐべきと考えますが、都の見解を求めます。

○谷崎都市整備局長 首都直下地震等における被害想定では、都内でも広範囲で液状化の被害が示されており、能登半島地震を踏まえ、液状化対策を進めていくことが重要と再認識いたしました。土地区画整理事業などに合わせた面的対策については、今年度、国や区市へのヒアリングを行ったところ、国の補助制度は三千平米以上かつ家屋が十戸以上の区域など、対象が限定的であることや、住民や自治体の工事費負担が大きいことなどの課題が明らかになりました。
 今後、国に補助制度の改善を求めていくとともに、有識者の意見も聞きながら、東京の地域特性に適合した対策工法や、まちづくりを契機とした面的事業における対策の検討を加速してまいります。

○竹平委員 都民の安全・安心を守るため、ぜひとも液状化防止と土地区画整理事業など面的整備の組合せが可能となるよう、国に強く要望し、液状化の予防的対策を積極的に進めていただきたいと思います。さらに、液状化が起こる可能性が高い地域での災害時の避難道路は、都民の避難経路確保のために、液状化対策を進めていただくよう要望し、次の質問に移ります。
 次に、災害時の区市町村との情報共有について質問いたします。
 能登半島地震では、道路が複数箇所で寸断され、辛うじて通れる道路では渋滞が発生するなど、厳しい交通状況となりました。詳細な状況が分からないまま、救出救助活動等の支障となり、その後、復旧、復興にも大きな影響を及ぼしています。
 私の地元江戸川区では、今後、被害状況を素早く把握できるよう、半径およそ三百メートル置きに約二百台の防災用カメラを設置していくとしております。道路の被害状況を把握することは、復旧の優先度を判断する上で有効であり、このような区市町村との災害時における道路情報の共有は極めて重要です。
 災害時における道路情報の共有について、都の取組を伺います。

○野間総務局長 大規模災害時には、迅速な救出救助等のため、道路状況を把握することは重要でございます。
 このため、都は、道路が被災した場合、その情報が都の災害情報システムを通じて、都と区市町村等の間で相互に共有される仕組みを構築してございます。
 このシステムを活用し、災害時に道路の通行の可否や建物の損壊状況など、様々な情報を地図上に重ね合わせて表示することにより、道路の被災情報を速やかに視覚的に把握してまいります。

○竹平委員 救出救助や応急活動等の生命線となる道路でございますけれども、都では、災害情報システムにより、災害時の道路情報について共有されていることを確認させていただきました。
 一方、能登半島地震では、道路のみならず、水道も寸断され、被災者は状況が分からないまま、水道すら使用できない不便な避難生活を余儀なくされました。被災者の避難に役立つ情報についても積極的に情報収集し、適切に情報提供していくことが重要であります。
 災害時に被災者が少しでも安心して快適に過ごせるよう、水道をはじめとするライフラインなどの情報を提供していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○野間総務局長 都は、都民が最寄りの避難所の位置などを一目で確認できるよう、東京都防災マップで発信してございます。また、発災時には、水道をはじめとするライフラインの状況について、ホームページやSNS等で発信することとしてございます。
 現在、避難所における水道利用の可否情報など、避難生活にとって重要な情報の発信を一層充実させる観点から、防災マップの改修を進めてございます。
 今後とも、被災者への分かりやすい情報提供に努めてまいります。

○竹平委員 能登では、長期的に断水が続き、都の職員も応急給水活動や復旧支援などに従事されていると聞いております。
 都では、新たに水道利用の可否などについて、防災マップで情報発信されることを確認させていただきました。速やかな情報発信に努めていただきたいと思います。
 一方、能登半島地震の被災自治体では、既に様々な防災システムが導入されておりましたが、被災した市や町と、支援する都道府県や国との間で情報共有がうまく進まないといった課題に直面したと聞いております。国は次期総合防災情報システムを構築するとも聞いておりますが、まずは能登半島地震での経験を検証し、教訓を踏まえ、広域的な連携強化も視野に入れたシステムの構築が待たれます。
 特に、都に隣接する県との情報は重要でございます。
 私の地元の江戸川区は、川を挟んで千葉県と隣接しており、災害時には千葉県に避難することもございます。都民が都県境を越えて避難する場合には、避難先となり得る地域の状況を把握することも重要です。こういった他県を含めた広域的な情報共有ができるようにしていただきたいと思います。
 そして、冒頭に紹介した区の防災カメラ設置などの動きにも注視しながら、ぜひ情報共有を進めていただきますよう要望いたします。
 次に、下水道管と下水道施設の耐震化について質問いたします。
 私の地元江戸川区では、東京都が公表している都心南部直下地震の被害想定において、震度六強以上が予測されているエリアが約八割を占めており、甚大な被害が見込まれております。今回の地震でも、避難所でトイレが使用できないなどの問題が生じていたと聞いていますが、地震発生後の下水道の機能確保は地元の住民も大きな関心を寄せております。
 下水道局では、下水道管や水再生センター、ポンプ所で耐震化を進めていると聞いておりますが、下水道の震災対策を着実に進めていくべきと考えます。
 江戸川区内の整備状況と今後の取組について見解を求めます。

○佐々木下水道局長 下水道局では、震災時の下水道機能を確保するため、避難所などからの排水を受け入れる下水道管の耐震化を進めるとともに、水再生センターなどでは、揚水機能などの最低限の下水道機能に加えまして、流入渠などに対象を拡大し、耐震化を推進しております。
 これまでに江戸川区では、下水道管は、避難所や災害拠点病院などの耐震化を概成するなど、三百十か所の施設で実施いたしました。また、水再生センターなどでは、区内の全七施設のうち、東小松川ポンプ所など二施設で対策が完了しております。
 令和六年度は、引き続き下水道管や小松川ポンプ所などの耐震化を進め、さらなる震災対策の強化に取り組んでまいります。

○竹平委員 震災対策は喫緊の課題でございます。引き続き着実に進めていただくよう要望いたします。
 次に、下水道施設の耐水化について質問いたします。
 私の地元江戸川区は、荒川、江戸川と東京湾に囲まれ、七割が海面より低いゼロメートル地帯であり、荒川の溢水など、大規模水害時の対応も必要です。
 水害により、下水道施設のポンプの運転が停止してしまうと、汚水や雨水の処理ができなくなってしまうおそれがあります。万が一の水害からポンプを守る耐水化の取組が重要であります。
 私は昨年、津波対策として耐水化が行われた江戸川区の篠崎ポンプ所を視察いたしました。建物内部への水の浸入を防がなければならない箇所が想像以上に多くあったことや、現に維持管理、ポンプの運転を行っている中で対策を進めたことなどを伺い、耐水化工事の難しさを肌で感じました。
 一方で、東京都豪雨対策基本方針によれば、津波だけでなく、今後は高潮や河川の氾濫に対応するため、耐水化をレベルアップしていくとされております。
 長年、高潮に対応した耐水化を求めてきた都議会公明党としても、この取組は重要であり、速やかに対策を進めていくべきと考えますが、下水道施設の耐水化のレベルアップについて、江戸川区における今後の取組を伺います。

○佐々木下水道局長 目標を超える降雨や複合災害などにより水害が発生した場合でも、揚水機能などを確保することは重要でございます。
 このため、高潮や外水氾濫などのうち、最大となる浸水深に対し、防水扉や止水板などにより、耐水化をレベルアップしてまいります。
 江戸川区におきましては、篠崎ポンプ所で必要な対策の検討を進めており、令和六年度は、この検討結果を踏まえ、換気口の高さや防水扉の構造の検討など、実施設計に着手いたします。
 今後も、下水道施設の耐水化を推進し、強靱で持続可能な都市東京の実現に貢献してまいります。

○竹平委員 耐水化の完了には長い時間を要しますが、東部低地帯に位置する江戸川区にとって極めて重要な施策であります。来年度、区内では篠崎ポンプ所の実施設計に着手していくとのことですので、着実に進めていただくとともに、他のポンプ所についても早急に対応がなされることを強く要望いたします。
 次に、都立篠崎公園の高台化について質問いたします。
 我が党はこれまで、防災拠点である篠崎公園の高台化を強く求めてきました。これを受け、将来、公園全体の高台化と避難動線を確保する計画が策定され、いよいよ江戸川沿いにおいて、実現に向けて動き出しました。
 そこで、篠崎公園の江戸川沿いにおける高台化への取組状況について答弁を求めます。

○中島東京都技監 都は、東部低地帯におきまして、水害時の避難動線が確保できるよう、篠崎公園の高台化に向けて段階的な整備に取り組んでおります。
 国等と連携して事業を進めております江戸川沿いの区域では、高台化に伴い、公園施設の移設が必要となるため、都は令和四年度から準備工事を行っております。また、高台化後の公園の整備イメージを近隣住民等に示し、意見を聞くため昨年夏にオープンハウスを開催いたしました。本年一月からは、国による盛土工事も始まっております。
 来年度は、子供や保護者の意見を反映した遊具広場などを整備いたしますとともに、公園の設計を進めてまいります。

○竹平委員 国とも連携し、高台化を着実に進めていただきたいと思います。なお、事業を進めるに当たっては、公園用地の取得もあります。地域住民に丁寧な説明を行い、ご理解、ご協力を得ていくことが重要です。移転にご協力いただく方のご意向も踏まえ、丁寧に進めていただくよう要望いたします。
 高台化が進みつつある篠崎公園には、都県を結ぶ橋梁の補助第二八六号線が計画されています。また、千葉県側には大洲防災公園があり、補助二八六号線は都県の防災上極めて重要な橋であり、早期整備に向けて取り組むべきと考えます。取組状況についてお伺いします。

○中島東京都技監 補助第二八六号線の橋梁は、江戸川で隔てられた地域を結ぶことにより、都県境の道路ネットワークを形成し、慢性的な交通渋滞の解消に資する重要な都市基盤でございます。また、洪水や地震など災害時のリダンダンシーを確保し、広域避難路や緊急物資輸送路となるなど、防災性の向上に寄与いたします。
 本橋梁の計画につきましては、高規格堤防や沿道のまちづくりとの整合を図るため、国など関係機関との調整を進めてまいりました。また、道路構造等に関して、千葉県や地元区と意見交換を継続して行ってきております。
 引き続き、共同事業者となる千葉県などと連携し、橋梁整備に向けて取り組んでまいります。

○竹平委員 補助第二八六号線の橋梁については、早期整備を望む地元江戸川区の強い要望もあることから、来年度以降も千葉県の協力が得られるよう、江戸川区と共に働きかけるなど、橋梁整備の実現に向けて取り組んでいただくよう要望いたします。
 次に、避難ルートとなる中川の左岸堤防上部の通路の連続化についてであります。
 中川の左岸堤防上を高台の葛西南部地域まで移動できるようにするためには、清砂大橋、葛西橋、新川排水機場、そして小松川橋の四か所で、分断されている通路を連続化することが必要であります。
 これまで私は、令和四年都議会第一回定例会や昨年の決算特別委員会において、その取組状況について、都の答弁を求め、ようやく今年から工事に着手したと聞いております。
 そこで、避難ルートの確保に向けた中川堤防上部通路の連続化の進捗状況と今後の取組について伺います。

○中島東京都技監 水害から都民の命と暮らしを守るためには、避難の実効性を高める取組を推進していくことが重要でございます。
 中川では、横断する橋梁等により、堤防上部の通路が、お話の四か所で分断されております。このため、災害時に通路を使って地盤が高い地域へ避難できるよう、堤防の耐震補強工事に合わせた通路の連続化に取り組んでいるところでございます。
 本年二月には、清砂大橋と葛西橋上流部で耐震補強工事に着手し、この中で橋梁と堤防上部をつなぐ通路を整備いたします。来年度は、葛西橋下流部でも工事に着手し、残る二か所でも順次設計や工事を実施してまいります。
 今後とも、地元区等と連携して着実に整備を進め、地域の安全性を高めてまいります。

○竹平委員 ぜひとも、この通路の連続化、着実に進めていただきたいと思います。区民にとって命をつなぐとても重要な避難ルートとなり、多くの区民が完成を心待ちにしていらっしゃいます。
 一方、江戸川区は、令和五年三月に高台まちづくりを進めている船堀駅前地区を対象としたまちづくり基本方針を策定し、船堀駅前地区から葛西南部地区や大島小松川地区に避難する動線として、堅牢な建物やデッキなどを用いた浸水しない経路を整備する構想を示しております。私は、この避難路について、都が管理する中川の堤防や新大橋通りとつなぐことが極めて有効であると考えます。
 都は、今後区が進める船堀駅前地区での避難経路整備について、十分に連携して進めていただくよう要望したいと思います。
 次に、産婦健診について質問いたします。
 産後鬱は、出産直後の母親が育児への不安などから起こる病で、子供への虐待や育児放棄の一因となるといわれております。
 現在、東京都では、この産婦健診を行う区市町村への支援を行っておりますが、今年度の実施自治体は六市区町村とのことでございます。産婦健診は実施主体は区市町村でありますけれども、医療機関に委託して実施されますので、産婦が居住する自治体以外で受診することは珍しくありません。そういったこともございまして、様々な自治体から意見がございます。都として、この産婦健診をどのように進めていくか、お聞かせください。

○谷村副委員長 竹平ちはる委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

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