予算特別委員会速記録第四号〔速報版〕

○内山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 星大輔委員の発言を許します。
   〔委員長退席、小松副委員長着席〕

○星委員 よろしくお願いします。
 私からは、多摩の将来像についてからお伺いさせていただきます。
 多摩地域は豊かな自然と充実した子育て環境や生活環境に恵まれ、三十の市町村に約四百万人以上が生活をしています。都道府県と比較しても、静岡県や茨城県を上回る全国十位のレベルに位置しています。加えて、農林業、製造業、サービス業などの産業も集まり、大学や研究機関なども集積しています。住む人にとっても、観光などで訪れる人にとっても、様々な魅力やポテンシャルを有しております。
 都は、政策の羅針盤である「未来の東京」戦略において、こうした魅力をどのように生かし、今後の多摩振興につなげていくとしているのか伺います。

○古谷政策企画局長 多摩地域には、自然あふれる観光名所や歴史を感じられる寺社など多彩な地域資源が存在しております。
 「未来の東京」戦略では、こうした魅力やポテンシャルを掘り起こし、さらなる発展につなげていくこととしております。
 都はこれまで、自然を生かした体験型観光ツアーの支援や多摩全域の名所を回るイベントを実施するなど、多摩の魅力創出、発信に取り組んでまいりました。これらに加えて、緑あふれる歴史、文化施設を巡る観光の活性化や東京二〇二〇大会の自転車ロードレースコースのレガシーとしての活用に取り組むなど、多摩地域のプレゼンス向上により誘客を図り、多摩振興につなげてまいります。

○星委員 観光などで多摩振興につなげていくというご答弁でありました。
 一方で、区部と比較して進行する人口減少や高齢化、交通の不便、大規模工場の撤退による産業の空洞化、大規模団地の老朽化、空き家、土砂災害のリスクなど、まちの活力の低下や将来不安の高まりにつながる課題も多くあります。
 こうした課題にいかに対応し、多摩の活力や発展につなげていくのか伺います。

○古谷政策企画局長 多摩の持続的な発展のためには、地域経済を支える産業の活性化や地域特性に応じたまちづくりを進めていくことが必要でございます。
 そのため、今般の戦略のバージョンアップでは、多摩地域を中心としたイノベーション創出に向け、中小企業と大学等との共同開発を支援するなど、地域産業の活性化に取り組んでまいります。
 また、拠点の形成やまちづくりの推進、多摩ニュータウンの再生から成るTAMAプロジェクトを新たに立ち上げ、地元自治体と連携しながら推進してまいります。
 これらの取組を通じて、多摩が抱える課題の解決を図り、魅力あふれる多摩を実現してまいります。

○星委員 加えて重要なのが、様々な社会状況の変化であります。
 情報技術の社会実装やスマートシティ化、テレワークなどの働き方や暮らし方の変化、気候変動への対応や脱炭素の推進など、これら新たな社会状況の変化にいかに対応していくかも、今後の多摩の在り方を考えていく上で最も重要であると考えます。
 自然や観光などの強みをさらに伸ばし、同時に様々なリスク、弱点を克服する。その際、ただ古きよき多摩を残すとか、足りないものを埋めるという思想だけでなく、社会構造の変化に適応し、次世代技術なども取り入れながら新たな未来都市へと進化していくことが重要と考えます。
 小池知事の見解を伺います。

○小池知事 にぎわいと活力に満ちあふれた輝く多摩の未来をつくり上げていく。そのためには、新たな社会状況の変化に応じまして、多摩をより暮らしやすく、より魅力的な地域に発展させていく必要がございます。
 そのために、豊かな自然や地域が育んできた歴史、そして文化を大切に守りながら、子育て支援、そして災害への備えの充実にも取り組む。また、地域課題の解決に向けまして、先端技術を活用しながら、市町村や大学、企業と連携しまして、誰もが住みやすい環境を整備してまいります。
 また、多摩地域のブランディングを戦略的に展開をいたします。そして、誰もが訪れたい地域として、多摩の多彩な魅力の認知度を向上してまいります。
 こうした取組を着実に進めまして、多摩地域を誰もが憧れる存在へと磨き上げてまいります。

○星委員 ありがとうございました。多摩の多彩な魅力を磨き上げていく、知事の思いを述べていただきました。
 知事のご指摘のとおり、私も多摩は本当に多くのポテンシャルを有していると思いますが、まだまだ十分に生かせていない、そういったのが現状でないかと考えております。
 令和、そしてその先の時代を見据えたまちづくりを、多摩地域で新たな副都心をつくる、それぐらいのスケールで戦略を描いていただくことを求めておきたいと思います。
 多摩のポテンシャルの一つが多摩ニュータウンであります。仮称多摩ニュータウンの新たな再生方針について伺ってまいります。
 この方針の策定については、学識経験者や都、地元四市等で検討委員会を昨年立ち上げ、三回の検討会を重ねて、先月パブコメを実施いたしました。
 多摩ニュータウンは、八王子市、町田市、多摩市、稲城市が地元自治体となりますが、関係市との綿密な調整を十分に行い、パブリックコメントに対しても丁寧に対応していく必要があると考えます。
 素案を拝見いたしますと、都が先行プロジェクトを実施し、地元自治体が主体的なまちづくりを進めるとありますが、ニュータウン事業は昭和四十年代当時の国の住宅政策を受けて、国と都が事業主体となって進めてきた経緯があります。このつくり上げてきた責任は、国と東京都に大きくあると考えます。
 そうした中で、都がニュータウン再生をどのように進めていくのか、見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 都は、多摩ニュータウン再生に向けた総合調整役として、市の範囲を超えて地域を一体的に捉え、戦略的に展開し、効率的、効果的に取組を推進してまいります。
 まずは永山駅周辺の再構築などの先行プロジェクトを実施し、まちづくりを先導してまいります。
 これらのプロジェクトを踏まえ、再生に向けて、まちづくりに取り組む地元自治体と連携し、多摩ニュータウン全体の再生を図ってまいります。

○星委員 以前、多摩ニュータウン事業を進めてきた多摩都市整備本部を廃止する際には、地元では、都の熱意のある取組が進められなくなるのではないか、そんな心配の声が届き、こうした状況を踏まえて、我が会派からは、多摩ニュータウンの総合的窓口となり得る組織を維持するとともに、理事級の職員を配置して、多摩ニュータウンに関連する事業を一体的に推進する体制を整備する必要があるのではないかという指摘をしてまいりました。
 今般、多摩ニュータウンの新たな再生方針の素案が作成されたことは、今後のニュータウンの再生が大きく前進するのではないかと大いに期待するところでありますが、一方で、再生方針に基づいて事業を推進していく体制も必要であると考えます。
 来年度から都市整備局内で組織を改編するとのことですが、新たな組織体制を生かし、多摩地域全体のまちづくりを見据えながら、多摩ニュータウンの再生にどのように取り組んでいくのか伺います。

○谷崎都市整備局長 多摩のまちづくりにつきましては、コロナ禍を経た社会状況の変化を踏まえ、多摩地域を一体として捉えて戦略的に政策を立案、実行していくことが重要でございます。
 このたび、多摩地域全体を俯瞰した政策の立案、実行を力強く牽引するため、多摩地域のまちづくりに関わる組織を再編し、体制を強化することといたしました。
 多摩ニュータウンにつきましては、新体制の下、多摩全体の施策と整合を図りながら、ニュータウンの再生に向けて取り組んでまいります。

○星委員 ニュータウンの再生が多摩のポテンシャルを上げていく大きな力となります。新体制の下、しっかりと取り組んでいくことを改めて強く求め、次の質問に移ります。
 屋敷林などの身近な樹林地の保全について伺います。
 特別緑地保全地区は、土地所有者の合意の下、屋敷林等を地元自治体が地区として指定をし、貴重な緑を未来に守り続けていく地区のことであります。
 この制度は、都市緑地法に基づく制度であり、土地所有者の方が自身の大切な緑を持ち続け、守り続けていく制度でありますが、相続の発生時などに、土地所有者から地元自治体に買取りの申出ができる仕組みとなっています。
 都は、屋敷や寺社仏閣にある樹林地、崖線の緑など、市街地に残る身近な緑を保全していくため、特別緑地保全地区を指定する市区町村に対して積極的に支援し、緑を次世代に継承していくことは重要であります。
 都市緑地法に基づく特別緑地保全地区制度とはどのようにして緑を保全する制度なのか、また、土地所有者は指定を受けることでどのようなメリットがあるのか伺います。

○谷崎都市整備局長 特別緑地保全地区制度は、市街地にある良好な自然環境を持つ民有地の緑地を守ることを目的とした制度であり、指定されますと土地に建築制限がかかり、区市町村から緑の保全を求められる一方、土地の所有者は、区市町村に対して買取りの申出を行うことができる制度でございます。
 土地所有者にとっては、長年守ってきた緑地を確実に次世代に継承できるとともに、一定の条件が合えば、指定地区内の土地の固定資産税等の税制優遇を受けられ、緑地維持に関わる負担が軽減するなどのメリットがございます。

○星委員 それでは、現在、特別緑地保全地区は、都内で何か所指定されており、そのうち町田市内には何か所あるのか伺います。
 また、このうち相手からの申出を受けた場合、公共が取得することが必要な私有地がある箇所は何か所あるのか併せて伺います。

○谷崎都市整備局長 都内には、特別緑地保全地区が五十三か所、約三百二十ヘクタールあり、このうち町田市内には十一か所、約四十七ヘクタールございます。
 また、町田市内の指定箇所のうち、私有地がある箇所は五か所、約四ヘクタールでございます。

○星委員 町田市内には指定箇所が多く、私有地もまだあることから、今後、土地の買取り申出が発生することが十分に想定されます。
 特別緑地保全地区制度が民有地の緑を守る制度として、地元自治体や土地所有者の方々に受け入れられるよう、都が積極的に支援をしていくべきと考えます。
 都が来年度から開始する特別緑地保全地区に指定された緑地を地元自治体が買い取り、整備する際の具体的な補助の内容について伺います。

○谷崎都市整備局長 本補助制度は、地元自治体が緑地を買い取る際の用地費及び一般の方々に緑地を開放するために設ける管理柵や散策路等の整備費について、国費を除いて、都と地元自治体が二分の一ずつを負担するものでございます。

○星委員 町田市では、緑を保全していくため、特別緑地保全地区のさらなる指定に向けて土地の測量などを行い、指定の準備をしていると聞いております。
 都は、屋敷林をはじめ身近な緑を守る特別緑地保全地区の指定を加速するため、地元自治体の財政的な負担を軽減し、取組を後押しすべきであります。
 都は今後、特別緑地保全地区の指定など、身近な樹林地の保全についてどのような目標の下で取組を進めていくのか伺います。

○谷崎都市整備局長 都は、今後二十年間で百か所、約五十ヘクタールの身近な樹林地の確保を目標として、区市町村と共に民有地の緑の保全に取り組んでまいります。

○星委員 これまで都民によって守られてきた屋敷林を良好な資源として未来に継承していくために、所有者が樹木の剪定や樹勢回復等の維持管理に係る費用負担を軽減することが重要であります。
 区市町村の意見を踏まえ、都はこうした維持管理についても支援を行っていくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、ツキノワグマについて伺います。
 昨年は、全国的にツキノワグマの目撃が増加し、都においても私の地元町田市でも初めて目撃されるなど、熊の生息範囲が拡大しております。
 都は、奥多摩町と連携した柵設置などの防除対策になどにより、人への被害は発生しておりませんが、こうした取組で得たノウハウを共有することは重要です。
 令和五年第四回定例会の我が会派の代表質問で、熊出没時の安全を確保するために、マニュアルの充実を図り、広域的な連絡会議を開催することで、全体的な対策の底上げを図っていくとの答弁がありました。
 そこで、現在の東京都の取組について伺います。

○栗岡環境局長 都内においても熊の目撃情報が多く寄せられていることから、都は市町村と連携した取組を強化してございます。
 具体的には、今年度末に改定する熊の対応マニュアルを充実し、緊急度合いに応じた危機レベルの設定により、市町村のほか、警察や都の対応策を明確化してまいります。
 また、市町村が迅速かつ的確に対策に取り組めるよう、犬を活用した追い払い方策など、他県の先進事例を掲載してまいります。
 加えて、広域的な連携により対策の効果を高めるため、先月、熊の出没が確認されました七つの市町村等との連絡会議を開催し、一体的な対策の推進について検討いたしました。
 こうした取組等によりましてノウハウを共有し、広域的な対策の底上げを図ってまいります。

○星委員 都が関係自治体と連携し、住民の安全を確保する取組を強化していることが分かりましたが、こうしている今、間にも、東京の山には都内外から多くの方が登山で足を運んでいます。最近では、海外からの旅行者も増えています。
 住民の安全確保に加えて、こうした方たちが安全・安心に東京の山を楽しんでいただく環境を整備することは急務であります。
 都は、ホームページで熊の出没情報を公表する取組を始めていますが、さらに一歩進めて、登山客が手軽かつリアルタイムに確認ができるよう、スマホアプリやSNS等を活用した情報発信を進め、また自然公園やキャンプ場、登山口などでそのQRコードの周知等を図るべきと考えます。つまり、都による熊出没情報サイト、その名もくまっぷであります。既存のアプリサービスと連携してもよいかもしれません。
 都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 登山客等が東京の山を安全に楽しむには、熊出没情報を手軽かつ迅速、正確に把握できることが重要でございます。
 このため、都は、先月、スマートフォンで見られるよう、熊の出没した日時のほか、場所や頭数などを地図上で示したウェブページを新たに作成し、公表しました。
 来年度は、より多くの登山客等がこのページを活用できるよう、QRコードのSNS等での発信や、ビジターセンターや登山口などへの掲示を実施してまいります。また、東京都防災アプリや警視庁アプリでもPRしてまいります。
 今後、登山客等へ効果的、効率的に発信していくため、今お話にもございました、くまっぷというお話がございましたけれども、民間のアプリとの連携の在り方や迅速な情報更新を可能にする工夫について、さらに検討を重ねてまいります。

○星委員 ありがとうございます。
 今年度、幸い東京では被害が出ていませんが、これからも登山客が安全に東京の山を楽しむため、熊の出没情報がしっかり届かなくてはなりません。また、多くの人にこのサービスを活用してもらうには、やはりなじみやすい名称であることが大切だと思います。
 ぜひ、くまっぷという一案をご検討いただきたいと思いますし、また、ワンヘルスの考えからも環境保護を行い、人と動物との共生社会づくりに取り組まれるよう要望して、次の質問に移ります。
 能登半島地震は、一月一日に発生したこともあり、帰省した家族など住民以外の人も滞在して、避難所に人が殺到するということがあったということ、報道でもございました。
 一方、東京では多くの来訪者があり、首都直下地震が起きれば、行き場のない帰宅困難者が六十六万人と想定され、現在一時滞在施設の確保に向けて取り組んでいると聞いています。
 帰宅困難者が一時滞在施設に殺到することに備え、施設の確保に努めるべきと考えますが、見解を伺います。

○野間総務局長 大規模災害発生時、多数の帰宅困難者による混乱を防止するため、都立高校などの都立一時滞在施設をはじめ、民間の協力も得て、現在約四十七万人分の施設を確保してございます。
 都はこれまで、民間施設に対して帰宅困難者向け備蓄品の購入経費の六分の五を補助するとともに、国の災害時拠点強靱化緊急促進事業の活用による施設整備などを進めてまいりました。
 今後も民間施設への支援を行っていくとともに、再開発の機会を捉えた周知を行うなど、施設のさらなる確保を進めてまいります。

○星委員 総数として一時滞在施設を確保できたとしても、東日本大震災でも見られたように、駅前にいる多数の滞留者をいかに受入れ可能な一時滞在施設に案内していくのか重要だと考え、我が会派はこれまでも訴えてまいりました。
 そこで、駅前の滞留者などの行き場のない帰宅困難者を一時滞在施設に円滑に案内していくべきと考えますが、見解を伺います。

○野間総務局長 都では、帰宅困難者対策訓練において、一時滞在施設の状況把握から駅前滞留者を施設まで案内するなどの訓練を地元自治体と合同で実施し、帰宅困難者の円滑な誘導などの検証を行い、その結果を区市等と共有しております。また、災害時にはSNSで情報発信を行うとともに、防災マップや防災アプリを通じて一時滞在施設等を案内することとしてございます。
 さらに、混雑状況等を迅速に関係機関と共有し、帰宅困難者に対する案内や受付等をアプリ上で円滑に行うためのシステム開発などを進めてございます。
 こうした取組によりまして、災害時の帰宅困難者の円滑な案内につなげてまいります。

○星委員 先ほどのくまっぷ同様、アプリを活用していく、そんなご答弁でありました。そのマップで円滑に案内ができるよう、早急な対応をよろしくお願いいたします。
 続いて、水道局に伺います。
 能登半島地震の発生からはや二か月以上が経過をいたしました。現地で水道局は断水の解消に向けて鋭意復旧作業に従事されています。私からも感謝を申し上げさせていただきたく思います。
 一日も早く現地での復旧作業が進み、地域の方々が不自由なく水道が使えるよう祈るばかりでございます。
 能登半島北部へ続く道路が被害を受け、車両が通行不能となった地域において支援や復旧に遅れが生じたことは、今回の被災状況の特質であろうかと思います。
 昨年度、町田市と隣接する川崎市との間にある水道連絡管の操作訓練を私も視察をいたしました。周囲を神奈川県に囲まれ、東京都から半島状に飛び出している私の地元町田市も、そうした地勢的な特徴を考えたときに発生時に同じような状況に陥ることが懸念をされます。
 能登半島地震では、一ルートで半島北部に水を送っていた送水管が損傷したため断水が長期化したとも聞いていますが、町田市に水を送る主要な送水管の一つである町田線については、昭和四十一年から布設され、多摩地区で最も古いと聞いています。
 町田市への重要な送水機能を担う町田線の更新について、取組を伺います。

○西山水道局長 町田市を含む多摩南東部への送水を担う町田線は、ほかの代替ルートがないことから、その更新に向けては工事に伴う断水を回避する必要がございます。
 水道局では、多摩地区全域での水道施設整備の一環として、令和四年度末に多摩南北幹線の整備を完了し、多摩地区における広域的なネットワークが完成をいたしました。これによりまして、二十二キロメートルに及ぶ町田線の更新に必要な代替ルートが確保できたことから、今年度末に整備方針を策定し、来年度基本設計に着手をいたします。
 本事業の完成により、多摩南東部など約六十万人の給水安定性が向上することから、着実に整備を進めてまいります。

○星委員 来年度基本設計ということでありますが、いつ何どき震災が起きるか分かりません。こちらも早急に進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 特殊詐欺について伺います。
 都内における令和五年の特殊詐欺の被害状況は、被害認知件数こそ減少に転じたものの、被害金額は前年比十三億円増となる約八十一億円に上り、依然として憂慮すべき状況が続いています。
 そのような状況の中、私の地元である町田市は、警視庁町田署が監修し、地元のシンガーソングライターが歌う特殊詐欺やヤミバイト防止を訴えるダメ!ダメ!ソングというものがあります。商店街で流していたり、イベントなどで歌っていただいたりしています。また、昨年の夏から盆踊りバージョンを作成したりと、各地域団体にも様々な啓発活動を行っていただいておりますが、被害認知件数、金額ともに前年から大幅に増加するなど、その被害状況は都内でも上位に位置し、極めて深刻なものであります。
 都はこれまでも、被害に遭いやすい高齢者に対し様々な対策を講じ、被害防止に向けて取り組んできていただいたことは承知をしております。引き続き、日々巧妙化する犯人グループの手口に即した周知啓発などの対策を実施していく必要があると考えます。
 今後、都は特殊詐欺の被害防止に向けてどのような取組を実施していくのか伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、被害が多い高齢者とその家族に向けた自治体主催の防犯講習等に講師を派遣し、特殊詐欺の手口や被害者心理の説明に加え、電話やショートメッセージサービスなどを用いた体験型の啓発事業を実施しております。
 来年度は、具体的防止策を分かりやすく解説したリーフレットの配布に加え、各地で実施しているプロの劇団による実演式防犯講話において、コンピューターウイルス除去などを装うサポート詐欺等、新たな手口を盛り込み効果的な啓発を進めてまいります。
 引き続き、関係機関と連携を図り、特殊詐欺被害の根絶に向けて取り組んでまいります。

○星委員 特殊詐欺の被害を一件でも減らすためには、都民一人一人に特殊詐欺の現状や手口を正しく理解していただき、他人事と思うことなく身近な脅威として捉えていただくことが重要であります。
 そのためにも、都は今後、警視庁などと密に連携し、継続した周知啓発等の被害防止対策の実施に努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、企業の人材確保と定着に向けた中小企業支援について伺います。
 中小企業の現場では人手不足が深刻化しています。中小企業にとって、そもそも人材の採用が難しいだけでなく、売手市場が続く中でようやく採用した人材が早期に離職してしまい、採用や教育にかけた多額のコストが水の泡となってしまう悩みも多く聞かれております。行政には、人材の採用だけでなく、いかに人材を定着させるかに軸足を置いた支援が求められます。
 近年、人手不足の解消に向けた新たな一手として注目されているのが、従業員の奨学金を会社が肩代わりし、日本学生支援機構に直接返済する代理返還制度であります。令和三年に制度が始まって以来、社員の福利厚生として導入する企業が広がりつつあり、その数は全国で千社を超えているとのことであります。
 都は、令和六年度予算で奨学金返還支援企業とのマッチング促進事業を計上し、国の代理返還制度を利用し、働き手の経済的サポートに取り組む中小企業と奨学金の返還を抱える求職者とのマッチングイベントを行うとしておりますが、その具体的な内容について伺います。

○坂本産業労働局長 国では、従業員の抱える奨学金を本人に代わり国に返済する企業に対し、税制上の優遇を行う制度を設けております。
 都では来年度、こうした仕組みを活用する会社と奨学金の返済が必要な求職者とのマッチングを開始いたします。
 具体的には、中小企業に対し、奨学金の返済に係る国の仕組みのメリットを伝えるセミナーをオンラインにより実施をいたします。また、この国の仕組みを活用する企業三十社と奨学金の返済が必要な求職者二百人を集め、就職面接会を二日間にわたり開催いたします。
 こうした取組によりまして、中小企業の人材確保を支援してまいります。

○星委員 奨学金の返済にコストをかけることで人材の確保と定着の双方を実現したい中小企業にとって、行政によるマッチングの場が設けられる意義は大きいですし、この機会が多く中小企業に届くよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 人材の定着は、転職が当たり前となる大転職時代ともいわれる中で、企業の規模を問わず、経営者にとっては頭の痛い悩みとなっています。
 若手社員の定着につなげるため、企業では賃金の引上げや奨学金返還支援など、福利厚生の充実のほか、社員のつながりを深めるレクリエーションやスキルアップの支援に力を入れるなど、様々な工夫が行われております。
 一方、こうした取組の中には、規模が小さく体力のない中小企業が単独で行うことは難しいものもあります。とりわけ入職者よりも離職者の方が多いといわれる製造業の現場では自社で社員を育てる余裕がないとの声も聞かれ、若手社員の離職防止へ行政の後押しも重要であります。
 そこで、都は、製造業をはじめとする中小事業者に対して、採用した人材が長く企業に定着するよう支援の取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業に就職した若手の人材が職場に定着する上で、仕事で必要となる様々な技術を習得し、そのレベルを高めることは必要でございます。
 これまで都は、中小企業の従業員の定着に向けた取組を後押しするため、会社の事業を分かりやすく伝える方法や柔軟で働きやすい勤務条件の導入に関わる知識の提供を行ってまいりました。
 来年度は、ものづくりの中小企業で働く若手の社員に対し、優れた技能を持つ専門家が作業に必要な技術のレベルを高める助言や指導を行うサポートを開始いたします。
 これを二十社を対象に実施し、ベテランの社員にも技術に関わる指導の方法をアドバイスをいたします。

○星委員 仕事の満足には成長しているという実感も重要であり、ものづくりの現場へのサポーターの派遣が若手の成長に寄与し、定着につながることを期待するとともに、全ての中小企業へのさらなる支援も要望して、次の質問に入ります。
 先月発表されたこども未来アクション二〇二四によれば、都は、子供との対話を強化し、昨年度の七倍の一万八千人の子供から意見を聞いたということであります。
 しかし、どれだけ多くの子供から意見を聞いたとしても、聞いて終わりではいけません。子供の意見を聞くことを自己目的化することなく、子供の声を踏まえて具体的な施策の充実につなげ、政策をよりよいものにすることが重要であります。
 都は、切実な思いを伝えてくれた子供たちの期待を裏切ることなく、真に子供目線に立った政策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○田中子供政策連携室長 今年度、都は、様々な工夫を凝らして子供との対話を実践し、子供の声や思いを受け止めてまいりました。子供たちからは、親にお金のことを相談しにくい、身近にボール遊びができる場所がないといった生の声が寄せられております。
 こうした声も踏まえまして、家庭の経済状況にかかわらず、子供が安心して学ぶことができる環境を早期に実現するため、都独自の対策として国に先行して教育費の負担軽減に取り組んでまいります。また、遊び場を整備する区市町村への財政支援を大幅に拡充するなど、子供の遊びを全力でサポートしてまいります。
 こうした子供の声を基軸とした取組を強力に推進し、子供政策のバージョンアップを図ってまいります。

○星委員 こうした声を丁寧に聞き、子供政策の現場を担う市区町村と連携しながら、多様な子供の意見を把握し、具体的な施策につなげていっていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 我が会派は、少子化対策に向けた取組の強化は急務であり、子育てに適した住宅の供給促進に向けた施策を都内全域で速やかに進めていくことが必要であると主張してきました。都内各地で、東京こどもすくすく住宅の認定を受けた住宅の整備が始まり、今後一層の取組が広がっていくことを期待するものであります。
 そこで、今年度の認定状況と来年度の見通しについて伺います。

○山口住宅政策本部長 子育てに適した住宅の供給促進を図るため、都は今年度、認定モデルの多段階化など制度を再構築し、認定住宅の整備費に対する直接補助を開始いたしました。
 従前制度の認定実績が約七年間で三十六件、二千四十六戸であったのに対し、今年度は本年二月末までで分譲と賃貸を合わせまして二十八件、千七百二戸を新たに認定するなど、新しい制度の活用が進んでおります。
 現在も多くの事前相談が寄せられていることから、来年度は支援の規模を大幅に拡大し、新たに約三千戸を認定する見通しでございます。

○星委員 大手ディベロッパーを中心に認定取得や実際の整備が始まっていると聞いていますが、来年度、事業者に対する支援の規模を大幅に拡大させていただくためには、さらに幅広い事業者による参画を施していくことが必要であると考えます。見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 子育てに適した住宅の普及におきましては、中小事業者や賃貸マンションの貸主など、幅広い事業者による取組を促すことが重要でございます。
 都は今年度、住宅事業者団体や住宅管理、リフォームの団体等と連携し、広報誌やイベントなどを活用しまして、制度の認知度向上を図ってまいりました。
 来年度は、実際に認定住宅のよさに触れる機会となる事業者向け見学会の開催回数を大幅に増やすとともに、業界団体からの案内に加え、新たに業界紙への広告掲載を行うことにより、中小事業者等の参加も一層促進し、新たに取り組む事業者を開拓してまいります。
 こうした取組によりまして、認定住宅のさらなる供給を図ってまいります。

○星委員 知事も先月、墨田区の認定されたマンションを視察されたということでありました。ぜひ、今後も子供たちのために、子育て世代と事業者などへのさらなる支援をよろしくお願いをいたします。
 続いて、特別支援教室入室に関わる判定委員会の開催の促進について伺います。
 福祉局は来年度、区市町村の発達検査体制の充実に向けて支援するとのことでありますが、各区市町村教育委員会が行う特別支援教室入室に関わる判定委員会の開催の充実も必要になると考えます。
 この判定委員会については、開催の頻度が地域により差があると聞いていますが、速やかに入室の適否を判断して、適切な時期に特別支援教室への入室ができるよう都として支援する必要があると考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 区市町村教育委員会は、医師、臨床発達心理士、教育学の専門家などによる入室に係る判定委員会を開催し、特別支援教室での指導について総合的に判断をしています。
 一方、区市町村教育委員会では、臨床発達心理士等の確保が困難で適切な時期に判定委員会を開催できない状況も見られます。
 そのため、都教育委員会は、実態把握を行い、発達障害のある児童生徒への早期支援に向けて検討を行うとともに、来年度は緊急的な対応として臨床発達心理士等を区市町村教育委員会に派遣し、適切に実施できるよう支援してまいります。

○星委員 ぜひ、市区町村と教育委員会と連携をしっかりとして、子供たちのためによろしくお願いをしたいと思います。
 次に、不登校、校内別室指導支援員の配置について伺います。
 本定例会の代表質問において、不登校対策の充実のため、校内別室指導支援員の配置を広げるべきと我が会派の主張を受け、都教育委員会からは、小中学校において支援員を拡充していくとのご答弁をいただきました。
 そこで、支援員配置の具体的な取組について伺います。

○浜教育長 今年度、都教育委員会は、学校内の別室であれば登校できる子供への対応を充実させるため、不登校の子供が多い小中高等学校二百二十六校に教員を目指す大学生や元教員などを校内別室指導支援員として配置しております。
 支援員は、子供の近くで学習進度に合わせたドリル指導や友人関係についての相談対応などを行う中で信頼関係を築き、登校への意欲を高める役割等を担っております。
 来年度は、今年度の学校に加え、新たに小中学校百七十九校に支援員を配置し、一人一人の子供に寄り添ったきめ細かな支援の実現を図ってまいります。

○小松副委員長 星大輔委員の発言は終わりました。(拍手)

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