予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○菅原副委員長 うすい浩一委員の発言を許します。
   〔菅原副委員長退席、谷村副委員長着席〕

○うすい委員 公明党のうすい浩一でございます。よろしくお願いいたします。
 能登半島地震の教訓を受けまして、災害対策に関連して何点か質問したいと思います。
 まずは、能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 初めに、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 都では、地震や風水害などの五つの危機に対し、二〇四〇年代の強靱な東京の実現を目指すTOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げ、全体で十七兆円、当初十年間で七兆円の事業規模を見込んでおります。
 そうした中、年始に発生した能登半島地震は深刻な被害をもたらし、自然災害の脅威を改めて痛感させられた次第でございます。
 そこで、首都直下地震や激甚化する風水害などのリスクに対し、プロジェクトの取組の一層の強化、加速化を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 大規模地震や激甚化、頻発化する風水害など差し迫った災害の脅威から都民の命と暮らしを守る対策の強化は待ったなしでございます。こうした危機感の下、昨年末、プロジェクトをアップグレードいたしました。
 住宅の耐震化や木密地域の不燃化などの支援を拡充するとともに、気候変動を見据え、豪雨対策をレベルアップをいたしまして、また、地下河川の事業化に向けた取組や避難先になる高台まちづくりの推進など、災害への備えを強化してまいります。
 また、今般の能登半島地震も踏まえまして、戸建て住宅の液状化対策をはじめ、避難所の電源確保や衛星通信機器の配備の拡充など強靱化の取組を一層加速してまいります。
 都民の安全・安心の確保に向けまして万全の備えを固めることによって、強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。

○うすい委員 知事の決意を伺い、今後の気候変動なども見据えプロジェクトをアップグレードするとともに、能登半島地震を踏まえ、迅速に取り組んでいることを評価するものでございます。
 二〇四〇年代の災害に強い東京の実現のためには、こうした取組を中長期にわたりしっかりと継続していくことが重要でございます。地震や風水害からの被害の軽減などに向け、TOKYO強靱化プロジェクトの着実な推進が必要であります。都の考えを伺います。

○古谷政策企画局長 プロジェクトが目指す二〇四〇年代の政策目標に向けた道筋をより確かなものとするため、アップグレードに当たり、新たに二〇三〇年頃の中間目標を施策ごとに設定いたしました。
 具体的には、水害に対し新たな調節池等の事業化目標や、地震に対し耐震化や木密地域の不燃化目標、火山に対する国などと連携いたしました除灰体制の構築などを掲げております。
 今後、副知事や関係局長で構成する推進会議の下、政策目標の実現に向けて施策を不断に見直しながらプロジェクトを着実に推進し、強靱で持続可能な東京を実現してまいります。

○うすい委員 今回の能登半島地震のように、状況を踏まえた取組を柔軟に反映することも重要でございます。
 一方で、インフラ整備は長い時間がかかるものであり、中長期にわたりしっかりと進捗管理を行って、着実に進めていただきたいと思います。そのための中間目標の設定は非常に有効なものだと考えております。いつ起きるか分からない首都直下地震や風水害から都民の安全・安心を守る非常に重要な取組を強力に推し進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。
 次に、災害ケースマネジメントについて質問いたします。
 能登半島地震では、今なお一万人以上の被災者が避難所で身を寄せており、生活再建には程遠い状況が続いております。
 国は、被災者一人一人に寄り添い、個別の状況に応じて支援をする災害ケースマネジメントを実施する方針を示しております。
 住宅被害を受けた人には被災者生活再建支援制度があります。事業の再生であれば資金繰り支援があります。しかし、複合的な困難を抱える人には、医療や介護等が必要な人などそうした支援だけでは生活再建にはつながりません。
 災害ケースマネジメントとは、それぞれの被災者に寄り添い、様々な制度を組み合せたオーダーメード型の支援であります。東日本大震災で仙台市が取り組んだのがスタートで、一件一件聞き取り調査をしてデータベースを構築し、生活再建を進めた結果、他の自治体の仮設住宅の撤収する期間が八年かかったところ、仙台市は五年で全世帯の撤去ができたなどの効果が現れております。
 石川県は、一月十九日から、同意を得て県の公式LINEに登録してもらえば災害ケースマネジメントにまでつながる仕組みを構築しました。
 首都直下地震が発生したときには多くの都民が被災することが想定されております。
 そこで、国が掲げる災害ケースマネジメントについて、都は、区市町村との役割分担をどう考えて支援に結びつけていくのか、見解を伺います。

○野間総務局長 災害ケースマネジメントは、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行い、その自立や生活再建を達成するための手段の一つであると認識してございます。
 災害ケースマネジメントを検討する際の参考となるよう取りまとめた国の手引きでは、区市町村は、支援の実施主体として被災者が抱える課題等を個別の相談などにより把握した上で、専門家と連携しながら課題等の解消に向けて継続的な支援を行うこととされてございます。
 都は、弁護士会、行政書士会等を含む二十団体と協定を締結してございまして、今後も専門家などと連携し、区市町村の取組を支援してまいります。

○うすい委員 災害ケースマネジメントにおいて、都が様々な専門家と連携をして、区市町村を後方から支えていくとの答弁をいただきました。生活再建は中期、長期にわたる支援になる場合があります。都の役割は大きなものがあると考えます。
 そこで、都は、被災者支援の主体となる区市町村と連携して、災害ケースマネジメントの考え方に基づく取組の重要性について認識を共有するとともに、平時からの体制構築に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○野間総務局長 被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行うためには、その主体となる区市町村が、平時から保健師や弁護士など福祉、法律等の専門家と連携し、適切に対応できる体制を構築することが重要でございます。
 こうした視点の下、区市町村職員の研修などの機会を通じた普及啓発等について検討してまいります。

○うすい委員 首都東京での災害時において、複合的な困難を抱える人に対しての生活再建ができる限り早く進むように、災害ケースマネジメントの取組の準備を、区市町村と連携の上しっかりと進めていただくことを要望しておきます。
 次に、空き家対策について伺います。
 能登半島地震では、老朽化した建物の倒壊などによる多くの被害が発生しました。都内の空き家の中には、管理が不十分なものや老朽化したものが存在をし、その数は少なくありません。
 空家特措法では、そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態にある空き家は区市町村が特定空家等に認定し、勧告等の措置を講ずることになります。昨年、一部法改正が行われ、このような特定空家等になる前段階から区市町村が対応できるよう、新たに管理不全空き家等に対する指導、勧告ができる仕組みができ、十二月の十三日に施行されております。
 特定空家等の措置に加え、この管理不全空き家等に対する措置を進めることにより、管理が不十分な空き家や危険な老朽空き家の防止につながり、防災面でも効果的であると考えております。
 そこで、都は、法改正により新たに創設された管理不全空き家等に対する取組を促進するため、区市町村への支援を積極的に行っていくべきであります。見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 区市町村が、所有者等に空き家の適切な管理や修繕を促し、管理不全空き家等を解消することは、防災の観点からも有効でございます。
 このため、都は来年度、区市町村が空家特措法の改正等を受け、管理不全空き家等の実態把握のために行う調査や空き家等対策計画の作成などへの財政支援を拡充し、補助率を二分の一から三分の二に引き上げてまいります。
 あわせて、都内の全区市町村が参加する協議会を通じまして、今後蓄積される指導、勧告措置の事例を共有するとともに、具体的な判定基準等についてワーキンググループで検討しノウハウの向上を図るなど技術的な支援に取り組み、区市町村の取組を強力に後押しいたします。

○うすい委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、災害時の歯科保健医療について伺います。
 今回の能登半島地震では、口腔内の不衛生から生じる誤嚥性肺炎を原因とした災害関連死を防止するため、歯科医師や歯科衛生士が避難所を回って口腔ケア等を行っております。災害時の歯科保健医療対策については、被災地において誤嚥性肺炎や齲蝕、歯周病などを予防する取組の重要性を改めて認識をしたところでございます。
 そこで、いつ起こるか分からない災害の発生に備えた歯科保健医療に関する都の取組について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、今年度末に改定いたします歯科保健推進計画に、大規模災害等の健康危機に対応した歯科保健医療対策の推進を重点事項に位置づけ、都や区市町村、関係団体などの活動内容の充実に取り組むこととしております。
 来年度は、災害時歯科医療救護活動ガイドラインを改定し、平時からの区市町村や歯科医師会など関係団体との役割分担や連携強化、避難所における口腔衛生の維持や誤嚥性肺炎の予防対策などに関する内容を充実し、区市町村や関係団体に周知するなど、災害時における歯科保健医療活動の強化を図ってまいります。

○うすい委員 ガイドラインを改定し、平時から関係機関と連携を強化していくという答弁いただきました。ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、認知症検診に関連して質問したいと思います。
 私は、二〇一七年の第三回定例会の一般質問において、二〇二五年には、六十五歳以上の五人に一人が認知症になるとの推計があることから、認知症の早期発見と対応のための認知症検診の重要性と認知症ナビの充実強化を訴えてまいりました。
 また、二〇一八年の予算特別委員会において、認知症に対応できる人材育成の取組の強化、二〇一九年の第一回定例会と、重ねて、認知症への取組について質疑を続けてまいりました。
 その結果、都は、二〇一九年度から来年度までの事業として、認知症検診推進事業を行ってきたわけでございます。
 そうした中、朗報として、認知症の治療においては、新たな抗体医薬であるレカネマブの投与が昨年末に開始されたところでございます。
 そこで、昨年第三回定例会の代表質問で都議会公明党が指摘したとおり、新たな抗体医薬であるレカネマブの投与の対象が早期段階の患者に限られることからも、都は、認知症の早期診断につながるよう、認知症検診推進事業の充実を図る必要があると考えますが、来年度の取組についてお伺いいたします。

○佐藤福祉局長 都は現在、原則七十歳以上の高齢者を対象として、検診を希望する方に問診、認知機能の検査を行いまして、専門機関等につなぐ区市町村の取組を支援しております。
 アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータは、発症の約二十年前から脳内に蓄積するといわれているため、来年度から、検診の対象年齢を原則五十歳以上に拡大いたしまして、その人口規模に応じまして補助基準額を段階的に引き上げるとともに、令和十年度まで補助率十分の十で支援をいたします。

○うすい委員 答弁いただきまして、対象年齢を五十歳以上に拡大、そして、令和十年度まで実施をするなど、認知症検診推進事業の充実について、前向きな取組を評価するものであります。
 今後、レカネマブの投与の対象となるアルツハイマー病による軽度認知障害、MCI、あるいは軽度の認知症の方が、時期を逸することなく診断につながることが必要であり、早期診断、早期支援が、ますます重要となってまいります。
 そこで、認知症の早期診断、早期支援を推進するためには、若い世代を含めた普及啓発の強化が必要であります。来年度の取組について伺います。

○佐藤福祉局長 都は現在、認知症検診の対象となる七十歳以上の高齢者にチェックリストを掲載したパンフレットを送付するなど、認知症に関する正しい知識の普及啓発に取り組む区市町村を支援しております。
 来年度は、これに加えまして、幅広い世代に対する普及啓発を推進するため、住民が集まるイベントでのチラシの配布や自治会掲示板などへのポスター掲示など、各区市町村の実情に応じた取組も補助の対象といたします。
 また、認知症の早期診断の大切さを訴えるリーフレットを新たに作成いたしまして、区市町村に提供してまいります。

○うすい委員 普及啓発の強化とともに、検診後の支援も重要であります。
 軽度認知障害、MCIの方は、必ず認知症になってしまうわけではなく、MCIと診断された方が認知症に進行するのは、一年で一割程度とされています。認知症に進行する可能性も、正常状態に回復する可能性も、両方あるわけであります。
 一方で、MCIと診断された方や家族にとっては、将来回復せずに認知症に進行することへの不安は大きなものがあると思います。しかし、相談支援の取組はいまだ十分ではありません。
 日本認知症本人ワーキンググループの理事長藤田和子氏が提唱した言葉に、空白の期間というものがあります。この空白の期間について、認知症の家族等介護者支援に関する調査研究事業報告書では、早期診断が進むが、診断後の支援が十分とはいえず、その間に社会的な孤立や様々な問題が生じる、初期であるために、とりわけ目立たず、必要な支援につながらないと語られている報告がございます。
 認知機能検査の結果、認知症の疑いがあると診断された方やその家族等が孤立することのないよう、相談支援等の充実が必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤福祉局長 都は、認知症の疑いがあると診断された方の検査結果などを、本人の希望に応じて、専門医療機関や地域包括支援センターに提供し、支援につなげる取組を行う区市町村を支援しております。
 来年度は、こうした取組に加えまして、認知症の疑いと診断された方に対する定期的な連絡や訪問を行う区市町村を支援し、本人や家族等が孤立して悩むことのないよう、早期の相談支援に着実につなげてまいります。

○うすい委員 検診の結果、認知症の疑いがあると診断された方が、今後の生活や症状の進行に不安を抱くのは、まさに当然のことであり、その不安を軽減する取組がますます重要になります。
 適度な身体活動や食事、社会参加等により、認知症の進行を予防する効果が示唆された例も出てきており、相談支援を通じて、地域で行われる活動につながっていくことも大いに期待したいと思います。
 また、高齢者が三つの単語を思い出したり、時計を描いたりする能力を評価する簡単な認知機能テストであるMini-Cogの活用など、対象者ができるだけ負担なく検査を受けられることも重要であります。
 しっかりと取組が進むよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、水再生センターのリンの活用について伺います。
 我が国において、化学肥料の原料であるリンは、農産物育成に不可欠にもかかわらず、ほぼ輸入に依存しており、世界的にも資源が偏在しております。
 このため、国際情勢の急変や輸出制限などの影響を受けると、肥料原料の輸入価格が上昇し、調達が難しくなるなど、食料の安定供給が揺らぐ事態にもなりかねません。
 二〇二一年以降、日本国内の肥料価格は高止まりが続いており、農家経営に大きな影響を与えております。
 一方、下水汚泥はリンを含有しており、肥料として利用できれば、国内で安定的に確保できることから、農林水産業の持続性に貢献するものと思っております。
 私はかねてより、下水道が有する資源の有効利用について注目しており、令和三年度公営企業会計決算特別委員会において質疑を行い、下水汚泥からリンを回収し、輸入原料に頼らない国内資源由来の肥料をつくる必要性を訴えてまいりました。先月には、一月末に稼働した砂町水再生センター内のりん回収・肥料化施設を視察してまいりました。この施設において、下水汚泥からリンを回収する技術の実証を行っていることを確認したところでございます。
 そこで、下水汚泥からリンを回収し、農業者のニーズに合った肥料の実用化に向けた現状と今後の取組についてお伺いをいたします。

○佐々木下水道局長 下水道局では、下水道が有する資源を最大限に活用するため、下水汚泥中のリンの肥料への有効利用に向けて、技術開発に取り組んでおります。
 本年一月には、下水汚泥から良質なリンを効果的に回収するりん回収・肥料化施設を砂町水再生センター内に完成させ、運転を開始いたしました。
 本施設は、年間約七十トンのりん回収物を生産する能力を有しており、現在、リンの回収率や肥料の品質を実証しております。
 今後は、この実証を通じて、リンの回収の低コスト化や、農業者が使いやすい良質な肥料の開発を目指してまいります。

○うすい委員 リンの回収施設が稼働し、今後は、このリンを原料に、メーカー等が肥料の開発を進め、販売される見込みと聞いております。
 都内の農業者にも、こうした東京都産の下水再生リン肥料を積極的に使ってほしいと考えております。そのためには、コストに加え、その肥料としての効果を明確に示すことが大切であります。
 そこで、下水再生リンの利用を促進するため、都としても、その効果を検証し、丁寧な情報提供を行うべきと考えますが、来年度の取組について見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の農業で使う良質な肥料の確保に向け、都は来年度、農林総合研究センターにおきまして、水再生センターの下水再生リンの肥料としての効果等を調べます。
 具体的には、こうしたリンを肥料にコマツナ等の野菜を栽培し、生育状況や収穫量などへの影響を確認いたします。
 この結果について、ウェブ等を通じ分かりやすく紹介するとともに、講習会を開き、各地域の農業者に情報提供を行い、今後の利用促進に結びつけてまいります。

○うすい委員 着実な検証の実施をよろしくお願いいたします。
 都は、国内の下水処理量の約一割を占めているとのことですので、そこに含まれる多量のリンは、都内だけではなく、日本全国で利用できるようにすることが望まれます。
 そこで、農業関係者との調整を加速し、広域利用を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○佐々木下水道局長 全国で最大の下水処理を実施している都が、下水汚泥からリンを回収し、肥料として広域的な利用に取り組むことは重要でございます。
 このため、下水再生リンの流通経路の確保や農業者の理解醸成に向けて、JA全農と連携して取り組んでまいります。
 具体的には、今年の夏頃を目途に肥料製品を開発し、順次、試験栽培やイベントでの肥料配布などを通じ、農業関係者の理解醸成などに取り組んでまいります。
 これらの取組を推進し、広域での下水再生リンを活用した肥料利用を実現してまいります。

○うすい委員 全国的に利用してもらうことになれば、自給自足の観点からも非常に有意義なことだと考えます。ぜひ、メード・イン東京の全国展開を目指して、引き続き、関係者との連携を密に図りながら、取組を進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、下水道事業における地球温暖化対策についてお伺いをいたします。
 世界的な気候変動の影響により、これまで経験したことのない猛暑や豪雨など自然災害発生リスクが高まってきております。例えば、昨年の夏には、全国の平均気温が、統計開始以来過去最高を記録するなど、その影響は身近なところまで差し迫っております。地球温暖化の大きな要因とされる温室効果ガスの排出を削減する方策について、これまで以上に取り組んでいくことが重要であります。
 下水道は、都民生活や都市活動になくてはならない重要な基幹インフラでありますが、東京都内における年間電力使用量の約一%に当たる電力を消費するなど、大量のエネルギーを必要とし、多くの温室効果ガスを排出しています。大量にエネルギーを消費する下水道局が、率先をして行動に移すことが重要であります。
 そこで、脱炭素化に向けて、下水道事業の取組を加速するべきだと考えますが、令和六年度における取組について見解を求めます。

○佐々木下水道局長 下水道局では、地球温暖化防止計画アースプラン二〇二三に基づき、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で五〇%以上削減する目標を掲げ、対策を推進しております。
 令和六年度には、省エネルギー型機器の導入や、焼却廃熱を活用した発電により運転に必要な電力を自給できるエネルギー自立型焼却炉の整備を進めるとともに、発電電力量を約六割増加させる新たな汚泥消化ガスによる発電事業の工事に着手いたします。
 今後は、ペロブスカイト太陽電池などの革新的な技術を活用し、脱炭素化に取り組むことで、環境負荷の少ない都市の実現に貢献してまいります。

○うすい委員 快適な地球環境を次世代に残すために、ぜひ脱炭素化に向けた取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、リカレント教育について質問いたします。
 人生百年時代といわれる昨今ですが、この人生百年時代という言葉は、ロンドン・ビジネススクールの教授であるリンダ・グラットン氏が提唱した言葉であります。リンダ氏は、人生において、学ぶ、働く、老後という三つのステージで人生を考えるのが一般的だったが、人生百年時代においては、年齢を重ねても、新たな学びを繰り返しながら、積極的なマルチステージの生き方が必要と主張しております。新しい楽しみを見つけたり、挑戦し続けたりしていく中で、人生の生きがいに通じるものがあると思います。リカレント教育もそのうちの一つと考えております。
 私は、令和三年第四回定例会の一般質問において、学び直しを希望する都民が調べやすいポータルサイトの構築を提案させていただき、令和四年三月より開設されたところであります。これまでも、サイトの講座の充実など要望させていただいてまいりましたが、改めて、今年度までの到達点、来年度の取組について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、都民のスキルアップに役立つ教育コンテンツを提供している東京リカレントナビにおいて、老若男女を問わず、リカレント教育に取り組みやすくなるようさらに施策を推進していくべきであります。都の見解を伺います。

○野間総務局長 都はこれまで、都民に幅広く学び直しを促すため、SNS広告等により東京リカレントナビをPRするとともに、初学者の学びのきっかけとなる動画を制作してまいりました。
 今年度は、利用者が登録した年齢や興味分野等に即した講座を自動で推奨する機能や、受講履歴を保存できるマイページ機能を追加し、利便性の向上や継続的な学習を支援する取組を行ってございます。
 今後も、マイページから新たに得られた情報を分析し、世代ごとのニーズに即した講座の提供を行うなど、ポータルサイトのさらなる改善に取り組んでまいります。

○うすい委員 リカレント教育には、キャリアアップを図る、生きがいのために教養を身につけるなど、様々なパターンがあります。マイページ登録機能を活用し、個人の興味等に合わせた講座を探しやすくなることは、学ぶ上で、継続性のある非常に有益な取組だと思います。しかし、サイトの掲載講座が少なければ、せっかくの機能も効果を十分発揮しないものになってしまいます。
 そこで、都民のリカレント教育のニーズにより一層応えられるよう、東京リカレントナビにおいて、大学等との連携により掲載講座を充実させていくとともに、効率的なサイト運営を図るべきであります。都の見解を伺います。

○野間総務局長 これまで都は、様々な機会を捉え、大学や自治体、民間企業等と東京リカレントナビの連携を進め、サイトには月平均約五百講座を掲載してございます。
 今年度、日本私立大学連盟等を通じて各大学へ講座提供を依頼したことなどによりまして、連携先大学は、昨年度末から十六増加し、現在二十大学となってございます。
 また、連携先の拡大に伴い、増加する講座掲載依頼に迅速に対応するため、サイトの機能強化を図っております。
 こうした取組をさらに進め、都民の多様な学びのニーズに応えてまいります。

○うすい委員 連携先の大学として、私の地元の足立区の大学も加わったことを聞いております。喜ばしい限りでございます。
 近くの大学で学べることを知り、多様な学びが提供される機会が増えれば、老若男女を問わず、リカレント教育の取組がより一層広がっていくものと考えております。
 都民のあらゆる学びのニーズに応えられるよう、大学等との連携をさらに密にしながら、講座を一層充実させていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、私の地元足立区を走る日暮里・舎人ライナーの降雪の対策について質問いたします。
 先月五日、都心部でも昼前後から雪が降り始め、足立区では十センチ近くの積雪がありました。ライナーは、十九時過ぎに見沼代親水公園駅手前で、列車がスリップにより停車をし、その後も雪が降り続いたことから、営業運転を取りやめる事態となったわけであります。
 日暮里・舎人ライナーのようにゴムタイヤで走る新交通システムは、一般の鉄道と比較して雪の影響を受けやすいとされていますが、利用者目線からは、できる限り運行を確保することが求められております。また、安全に懸念があって運行を停止する場合にあっても、利用者の混乱をできるだけ抑制することが重要であります。
 そこで、降雪時における日暮里・舎人ライナーの対策の強化を求めますが、交通局の見解を伺います。

○久我交通局長 日暮里・舎人ライナーでは、気象の変化を詳細に把握するため、観測装置を増やすほか、除雪用ブラシを改良するなど輸送障害の未然防止の強化に努めてまいりました。
 今後、さらなる輸送の安定性向上に向けて、凍結防止剤の散布装置を増強するとともに、ロードヒーターの増設につきまして検討を進めてまいります。また、大雪による影響が予想される場合には、降雪対策のための運行本数の削減や運行停止の可能性等につきまして、ホームページやSNSなどを活用し、よりきめ細かく事前の情報発信に取り組んでまいります。
 こうした取組を通じまして、お客様の安全を最優先に、安定輸送の確保に努めてまいります。

○うすい委員 雪を解かすロードヒーターの増設、また、情報発信をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、日暮里・舎人ライナーの地震への対策について質問いたします。
 令和三年十月七日に発生した千葉県北西部を震源とした地震により、日暮里・舎人ライナーの脱輪事故が発生をし、多くの利用者に影響を及ぼしました。これを受け、交通局では、緊急地震速報の受信時に列車が自動停止する機能を追加するなど、速やかに対策に取り組んできたことは承知をしているところでありますが、また、昨年二月の運輸安全委員会からの勧告を受け、異常時の対応マニュアルを改定するとともに、事故現場付近の施設における脱輪防止策について検討を進めていると伺っております。
 そこで、地震による日暮里・舎人ライナーの脱輪事故に関する検討状況と今後の取組について見解を伺います。

○久我交通局長 令和三年の地震による日暮里・舎人ライナーの脱輪事故は、車両と構造物双方の揺れに起因することから、運行や設備の管理を担う交通局と構造物の管理者である建設局とが連携して、再発防止策の検討を行っております。
 今年度は、鉄道の専門的知見を有する第三者機関を活用し、構造物自体の揺れを抑える対策や列車の脱輪を防止する設備改修につきまして、想定される工法の有効性に関する評価を行っております。
 来年度は、評価結果を踏まえ、構造物や列車の地震による挙動の詳細なシミュレーションを行い、対策の早期具体化に向けて取り組んでまいります。

○うすい委員 前例がない事故であり、対策の検討に時間を要するとは思いますが、地震がいつ起きるとも限らず、できるだけスピード感を持って、早期に対策を講じることをよろしくお願いいたします。
 次に、都立公園利用のサービス向上について伺います。
 今般、都では、パークマネジメントマスタープランの改定が予定されております。今後十年間、都民をはじめ公園利用者にとって、これまで以上に公園の価値を感じられる施策が方針として掲げられており、その施策の一つとして健康増進について触れられております。
 近年、本格的に超高齢社会に突入し、健康長寿に対する都民の意識はいよいよ高まり、都民が幸せに暮らすための重要な拠点として、公園に期待するところは大きいものがあると考えます。例えば、私の地元足立区には、日暮里・舎人ライナー沿線に舎人公園があり、健康維持のためにジョギングをするランナーが、日によっては三百人程度来園しているとも聞いております。現在、陸上競技場のリニューアル工事を実施しており、ランナーたちがオープンを心待ちにしているとの声も聞いております。
 今後、こうしたランナーをはじめ、憩いや散策、ウオーキングやスポーツなどを行う目的で訪れる公園利用者が、また来たいと思うような公園づくりをしていくべきと考えます。
 パークマネジメントマスタープランの改定に当たり、さらに利用者を増やすよう、サービス向上に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○中島東京都技監 都立公園は、レクリエーションや健康づくり、交流の場など、様々な役割を果たしております。
 都はこれまで、健康への意識の高まりなど公園利用者のニーズを反映し、運動施設の拡充や利用時間拡大などに取り組んでまいりました。
 新たなマスタープランの下においても、運動施設の新設や既存施設の運用の工夫を進めるなど、多様なニーズに的確に対応し、利用者の利便性向上に努めてまいります。

○うすい委員 舎人公園は、休日になると親子連れがアスレチックでにぎわい、また平日には、先ほど触れたように、ウオーキングやジョギング利用のために多くの人が訪れる地元で人気のある公園であり、健康維持のためのランナーなどの利用者は増えていくものと考えます。
 こうした利用者の満足度を上げていくことは重要であり、今後は、朝夕のラッシュ時以外にも日暮里・舎人ライナーに乗っていただいて、そして、多くの来園者が遠方からもたくさん訪れるよう、公園の魅力を一層高めていただくことを要望させていただきます。
 次に、中小企業の人材確保、育成について伺います。
 人手不足が深刻化する中、多くの企業が人材の確保に苦慮しております。とりわけ中小企業では、人材の採用ノウハウに乏しく、時間的にも経済的にも限りがあるため、人材の確保が困難な状況にあります。また、指導する人材の不足などで人材育成もままならず、採用してもすぐに離職してしまうなど、様々な課題を抱えております。
 私の地元にある都立城東職業能力開発センターでは、中小企業の人材確保、育成に関する相談窓口を設けており、企業からの相談に応じて、職業訓練の受講生の採用や従業員向けの講習の受講に結びつけるなど、中小企業が人材確保、育成を図る上で極めて有効な支援を行っております。こうした施策が支援を必要とする企業にしっかりと届くよう、取組を充実していくことが重要であります。
 そこで、都は、人材の確保、育成に取り組む中小企業が、個々の実情に応じて適切な支援を受けられるよう、職業能力開発センターの相談機能を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業が、業務に必要な一定のレベルのスキルを持つ人材を確保し、その育成を確実に進めることができるよう支援することは重要でございます。
 このため、都は来年度、都内四か所にある職業能力開発センターに、中小企業の人材の確保と育成に関する相談対応を行う人材総合サポートデスクを設置いたします。これによりまして、各センターから専門家が地域の中小企業を訪問し、人材の採用や育成に関する課題を聞き取り、その解決に向けた相談を行います。また、中小企業とオンラインによる面談も実施し、相談を効率的に進めます。さらに、相談内容に応じ、しごと財団などと協力し、人材の確保と育成に係るノウハウの提供も行ってまいります。

○うすい委員 来年度の予算案で、小児インフル接種の補助事業が計上されております。大変高く評価するものであります。
 そこで、改めて補助事業の概要について伺います。

○雲田保健医療局長 任意接種である小児へのインフルエンザ予防接種につきましては、十三歳以上は一回、十三歳未満は二回の接種を行うものとされており、都は、子育て支援の観点から、十三歳未満への接種に係る自己負担額が十三歳以上と同程度となりますよう、接種費用の助成を実施する区市町村への財政支援を行うことといたしました。
 具体的には、区市町村が助成を行う場合、都が接種一回当たり千円を上限に、区市町村負担分と同額を補助することとしており、都の補助を上限まで活用した場合、自己負担額は、最低でも一回分の接種費用に相当する四千円の減額となります。

○谷村副委員長 うすい浩一委員の発言は終わりました。(拍手)
     

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