予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

   午後六時十五分開議

○菅原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○保坂委員 初めに、東京の防災対策から伺ってまいります。
 能登半島地震では、多くの電柱の傾斜や折損、電線の断線などが発生しておりまして、今なお復旧に至っていない地域も数多い状況です。
 このような自然災害対策の中でも、無電柱化は、迅速な避難や救急活動を行うことに直結する大変重要な事業であります。
 都はこれまで、小池都政の下、無電柱化加速化戦略を策定し、都道の整備規模を倍増することを掲げ、積極的に無電柱化を進めてきており、我が会派も推進をしてきました。首都東京の都市防災機能向上に向けて、面的な無電柱化を進めるためにも課題となっています区市町村道の事業を一層促進すべきであります。
 そこで、さらなる区市町村道の無電柱化の促進に向けた知事の見解を伺います。

○小池知事 私は、知事就任後、都道府県で初となる条例を制定いたしまして、都道の無電柱化を推進してきたところでございます。
 そして、今ご指摘のありました年明けに発生した能登半島地震でございますが、実際に倒れた電柱、そして電線が避難や救助活動の妨げとなった、いろいろな報道を見ておりましても、そのような状況が推察されるわけでございます。
 都においても、首都直下地震に備えて、無電柱化は一層加速していかなければなりません。
 東京全体の防災機能を強化する、そのためには、都内の道路の約九割を占める区市町村道の取組が重要でありまして、都は、区市町村を積極的に支援をいたしております。
 事業費を全額補助するチャレンジ支援事業制度については、これまでに都内五十一の区市町村が活用しております。
 都は、来年度、さらなる事業促進に向けまして、チャレンジ支援事業制度の期限を延長するとともに、都と区市町村との新たな協議体を設置しまして、都道の無電柱化との連携を強化してまいります。
 引き続き、区市町村の取組を都が積極的に牽引して、都内全域の無電柱化を全力で推進してまいります。

○保坂委員 大変力強い答弁をいただき安心しました。よろしくお願いします。
 私の地元台東区は、昔ながらのまち並みが大変多く残る下町風情が観光人気でありますけれども、電柱がいまだに多いため、無電柱化の一層の推進を区に強く求めてきております。
 現在、区は、都のチャレンジ支援事業制度を活用して、都からの支援を受けながら無電柱化を進めておりますが、よりスピード感のある取組が必要です。
 そこで、台東区道の無電柱化への都の支援状況と来年度の取組を伺います。

○中島東京都技監 台東区は、令和二年三月に無電柱化推進計画を策定し、浅草寺周辺及び谷中地区内の四路線を令和十一年度までに無電柱化の着手を目指す優先整備路線として位置づけ、無電柱化事業に取り組んでおります。
 都は、これらの路線について、チャレンジ支援事業制度による補助を行いますとともに、技術検討会に参加するなどの支援を実施しております。
 これにより、区は来年度、例えば浅草寺直近の区道において、約百十メートルの電線共同溝本体工事を行う予定でございます。
 引き続き、安全・安心な東京の実現に向けまして、積極的に区市町村を支援してまいります。

○保坂委員 区市町村への財政支援、技術支援に取り組むことで、区市町村道の無電柱化を一層推進していくことを求めておきます。
 都は、木造住宅密集地域での火災が燃え広がらないよう、住宅の建て替え支援などを進めておりまして、地元の自治体も地域の住民と共に取り組んでおり、私も区議のときから取り組んでいるテーマであります。
 地元の台東区の谷中は整備地域に指定されておりまして、まちの燃えにくさを示す不燃化率七〇%、これには到底及んでおりません。都全体でも七〇%以上は四地域のみであり、我が会派もてこ入れを求めております。
 そのため、都は今年度、木造住宅密集地域を対象にした出火防止対策促進事業を推進してきたことは評価いたします。
 そこで、出火防止の取組は、人的、物的被害の軽減に向けた大変重要な取組の一つでありますが、現在の実施状況について伺います。

○野間総務局長 出火防止対策促進事業では、出火防止対策の重要性について普及啓発を行うとともに、希望する対象世帯全てに感震ブレーカーを配布してございます。
 対象世帯へは、申込案内とともに、感震ブレーカーが地震による電気火災の防止に有効であることを記載したリーフレットを配布し、普及啓発を行ったところでございます。
 また、申込みに至っていない世帯に対して、一月から戸別訪問を行い、感震ブレーカーの配布と併せて出火防止対策の必要性を説明し、理解促進を図ってまいりました。
 感震ブレーカーを受け取った都民からは、自宅でも出火防止対策に取り組む必要性を感じたなどの声をいただいてございます。

○保坂委員 今の答弁で、申込み制だけではなく、都が戸別訪問までするのは大変な労力だと思いますが、都の決意を感じます。区もここまではしてきませんでした。
 私の地元でも、感震ブレーカーが配布され早速設置された方、説明を受けて改めてその必要性を認識できたなど、私の下にも感想をいただいております。
 そこで、今年度、本事業を実施したことによります機運の高まりを生かしていくためにも、来年度も区市町村と連携をして、さらに都民に出火防止対策への取組を浸透させていくことが大変重要と考えますが、今後の取組について伺います。

○野間総務局長 大規模災害時における火災の被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により火災の発生を未然に防ぐことが重要でございます。
 このため来年度も、震災時に延焼による被害の拡大が懸念される木造住宅密集地域の希望する対象世帯に感震ブレーカーを配布するとともに、新たに出火防止対策の重要性を広く都民に啓発してまいります。
 具体的には、感震ブレーカーが出火防止に有効であることを伝える動画を作成し、都の防災訓練や区市町村が主催するイベント等において活用することなどによりまして、都民の具体的な行動につなげてまいりたいと考えてございます。

○保坂委員 事業の実施については、今後の区市町村の取組の参考のためにも適宜情報共有をしていくよう求めておきます。
 続いて、集合住宅の防災対策についてです。
 さきの定例会では、マンション防災について、東京とどまるマンションについての周知や、ソフト面での取組を強化すべきとの質問に対して、知事から効果的な意識啓発や防災備蓄資器材の支援を一層強化するとの答弁をいただいております。
 また、先日の代表質疑において、防災備蓄資器材補助について、町会などと合同防災訓練を行った際に補助率を拡充すべきとの質疑に対して、十分の十に引き上げるとの答弁もいただきました。
 そこで、東京とどまるマンションの防災備蓄資器材補助において、町会などと合同で防災訓練を行った際、補助率を引き上げますが、具体的にこの施策にどのように取り組んでいくのか伺います。

○山口住宅政策本部長 地域全体の安全性を高めるためには、マンションの防災力向上を通じて地域との共助を促進する必要がございます。
 そのため、都は来年度、登録マンションが地域と連携して防災活動に取り組む場合、防災備蓄資器材補助の補助率を十分の十に、上限額を百万円に引き上げてまいります。
 具体的には、都や区市町村の支援を受けて防災活動に取り組む町会等と合同防災訓練を行う場合、地域全体の防災力向上にも役立つ組立て式トイレや大型炊き出し器等の資器材の購入を支援いたします。
 都のホームページでの情報発信のほか、今月中に作成する動画やパンフレットも効果的に活用しながら、関係局や区市町村と連携して、管理組合等に利用を促してまいります。

○保坂委員 都が、町会とマンションの連携を強化する、この事業を開始することを評価する一方で、この背景には、地域の防災力を強化する上で、これまでも町会、自治会とマンションの連携がなかなか難しかったことがあると認識しています。
 都が、その課題解決を後押ししていくという試みは大変重要であり、既に私の地元でも関心が高まっています。
 そこでまず、新年度の取組を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 来年度、町会とマンションの合同防災訓練をきっかけに地域のつながりの構築や強化を進める事業を開始いたします。
 町会、自治会から申請を受け付けましてコーディネーターを派遣し、マンションとつながるきっかけづくりや訓練に向けた調整、助言など、準備から振り返りまでトータルで支援をいたします。
 令和六年度は、三十の町会を目途に連携支援を行う予定でございます。

○保坂委員 着実に成功例をつくっていくためにも、三十件をめどにということのようですが、東京全体でこの取組を広げていくことが重要と考えます。
 そこで、それぞれの防災訓練に、都はもちろん、地元自治体も現場にしっかり入って検証し、次につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 本事業では、様々な地域において合同防災訓練が行われ、それを通じて町会とマンションの連携を広げていくことを目的としておりまして、区市町村の協力を得ながら、町会、自治会に制度の活用を促してまいります。
 また、訓練で得られたつながりが継続されることが重要であることから、区市町村の地域コミュニティを所管する部署などに対しまして、準備段階から参加して、取組状況や事業で得られた成果、課題などを共有し、町会とマンションを支援するよう働きかけてまいります。

○保坂委員 防災訓練を通じて、町会、マンション、自治体のコミュニケーションが生まれることで、地域力も一層高まることが期待されます。
 町会とマンションの防災連携に際しては、一過性に終わらせないためにも、今後の取組につなげていくことが大変大切だと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は、地域の底力発展事業助成で、防災訓練や防災講習会など、町会、自治会が取り組む防災活動を支援しております。
 来年度開始します合同防災訓練の事業をきっかけに生まれた町会とマンションのつながりが、地域の防災力の強化につながりますよう、区市町村とも連携しながら、この助成事業の活用により、継続して支援を行ってまいります。

○保坂委員 来年度は、とどまるマンション、地域の底力発展事業、町会、マンション、みんなの防災訓練など、多くのマンション関連の防災支援メニューが用意されます。マンション、町会や自治会が混乱しないよう、区市町村との連携はもちろん、生活文化スポーツ局と住宅政策本部もしっかり連携をされて、分かりやすい情報共有やサポートを求めておきます。
 マンションに続いて、都内に千六百団地を有する都営住宅における防災対策についても伺ってまいります。
 地域防災という観点からも、今後、都営住宅もより積極的な地域連携が必要と考えます。
 現在、老朽化した都営住宅は、施設更新が順次進んでおり、特に東部低地帯の地域にとっては、大規模な水害発生時での役割が期待されております。
 そこで都は、そうした視点を取り入れた住棟設計を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 大規模な水害に備え、都民の安全・安心の確保に資するため、都営住宅の建て替えに当たりまして、平成二十七年度からは、原則として三層ごとの共用廊下に防災備蓄物資の保管スペースを確保しております。
 また、建て替え計画の策定に当たり、地元自治体の要望に応じて、自治会とも調整の上で、集会室を上層階に設置する協議を行うこととしております。現在、江東区との協議がまとまり、塩浜二丁目アパートで設置を予定しております。
 今後も地元自治体の要望を踏まえながら、他の団地での設置も検討し、水害のおそれのある地域における地域住民の避難先の確保に貢献してまいります。

○保坂委員 都が、都営住宅の建て替えに合わせて安全対策を講じていることが分かりました。
 一方で、都営住宅は、公営施設として、既存の建物も周辺住民の避難に活用していく視点が重要になってきます。
 そこで、都は、地元自治体と覚書を締結され、都営住宅を水害時の垂直避難先としていく取組を進めておりますが、私の地元もそうですが、周辺の方々が認識していないケースが散見され、その施策効果を高めていく必要があります。
 そこで、都は、地元自治体と連携して、地域住民への認知度を高めていくべきと考えますが、現在の取組状況と併せて、今後の取組を伺います。

○山口住宅政策本部長 現在、都は、都営住宅等の上層階の廊下等の共用部分を緊急避難先とする覚書を十区二市と締結しており、都のホームページで、これらの自治体を公表しております。
 一部の区市でも、覚書の締結についてホームページに掲載しており、その中には緊急避難先となる都営住宅の団地名や所在地などの情報を公表している自治体もございます。
 今後、こうした事例を参考に、各区市と連携しまして、地域住民への一層の情報提供を行うなど、都民の認知度の向上に努めてまいります。

○保坂委員 垂直避難は、そのとき逃げ場がない方の緊急避難先であり、まさに人命がかかっておりますので、各区市と連携して周知をお願いします。
 さきのマンション防災の質疑でも確認をさせていただきましたが、地域防災力を高めていくためには、これまで以上の都営住宅の地元地域との防災連携も必要になってまいります。
 地域防災の推進のためには、地域が一体となった取組が重要であり、区市町村が主催する防災活動への参加だけでなく、町会主催の防災活動に自治会が参加するなど、日頃からの交流が有効と考えます。
 そこで、都は、自治会に対して、地域と連携した防災活動への取組強化を促すべきですが、見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 都営住宅の自治会が、近隣の町会と連携し、地域全体での防災対策に取り組んでいくことは重要でございます。
 都はこれまで、指定管理者である東京都住宅供給公社を通じ、都営住宅等における自衛消防訓練の実施や区市町などが実施する地域の防災訓練への参加を促してきており、地域と連携した防災活動に取り組んでいる自治会もございます。
 今後、公社が自治会に配布している広報誌「すまいのきずな」や自治会同士の懇談会におきまして、こうした好事例を紹介し、取組を促してまいります。

○保坂委員 続きまして、公衆浴場、銭湯について伺っていきたいと思います。
 能登半島地震での被災地では、地元の銭湯が被災者のために営業されており、お風呂のありがたみを心底感じたというニュースに触れるたびに、まちの銭湯は守っていかなければいけないと感じております。
 一方で、昨今の銭湯経営を見ますと、施設の老朽化や事業継承、燃料費の高騰などに加えて、都民の生活スタイルが変化するなどの影響で、利用者数はこの十五年間で四百四十四件と半減しております。
 地元の台東区でも、スーパー銭湯ではない昔ながらの銭湯が減ってきており、銭湯を守るため、都はこれまでも様々な支援を行ってきておりますが、改めて、銭湯の意義について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 銭湯は、都民の公衆衛生水準を確保するとともに、地域交流や高齢者の見守りの場となるなど、重要な役割を担っております。また、江戸から続く生活文化であり、今後も守るべき伝統文化であります。
 こうした意義を踏まえ、都は、都民の入浴機会の確保と銭湯経営の安定を図るため、公衆浴場の利用促進事業補助など、各種支援策を実施しております。

○保坂委員 都民の公衆衛生から生活文化、伝統まで、銭湯が果たす役割を改めて確認できました。
 最近では、地元でも銭湯文化が盛んになり、様々なイベントや、複数の銭湯を株式会社化して経営する、そういった新たな取組が生まれてきており、こうした取組を都は一層支援していくべきと考えます。
 そこで、都は来年度、銭湯のキャッシュレス決済導入費用を補助することを決めましたが、浴場主は高齢者の方が多いこともあり、実施に当たっては組合と連携するなど、より丁寧なフォローが必要と考えますが、本事業の内容についてを伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 本事業では、銭湯利用者の利便性を向上するとともに、インバウンドや若者など新たな利用者層の開拓を目的といたしまして、キャッシュレス決済機器を導入する銭湯に対し、費用の一部を助成いたします。
 事業の実施に当たりましては、東京都浴場組合において、事業周知や申請の取りまとめを行うほか、相談窓口の設置や端末操作方法についての研修会を開催するなど、機器の導入が円滑に進むよう、各浴場に対しきめ細かく支援を行うこととしております。

○保坂委員 キャッシュレス決済は、自治体や民間によるキャッシュレスポイント還元事業などへの参加だけでなく、今後に生かせるデータ収集にもつながりますので、本事業に大いに期待をしております。
 また、銭湯を観光利用する視点は重要です。私の地元でも、浴場組合が様々な主体と連携して魅力的なイベントを企画しており、海外からも多くの観光客が銭湯に訪れるようになっております。
 こうした観光要素を取り入れた仕掛けが都内全体にも波及できるよう、都による支援を求めてきました。
 そこで、来年度より都が始めます観光客向けの銭湯の魅力発信・利用促進プロジェクトについては、ホテル、旅館業界などとも連携をして進めることが重要と考えますが、本事業の目的と、着実な実施に向けて具体的にどのように取り組むのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 このプロジェクトは、銭湯の魅力を広く国内外に発信し、観光客に体験をしてもらうことで、さらなる銭湯利用者の呼び込みにつなげることを目的としております。
 東京を訪れる観光客に対して、空港や駅などで、デジタルサイネージやポスターを通じて東京の銭湯の魅力をPRするほか、海外メディア向けに動画等で発信をいたします。
 また、ホテル等にご協力をいただきまして、宿泊客に割引入浴モバイルクーポンを配布する銭湯体験キャンペーンを展開いたします。
 あわせて、外国人観光客を受け入れるため、多言語対応などを行う銭湯を支援いたします。

○保坂委員 銭湯は、東京に欠かせない観光資源として期待もされております。各自治体、各観光団体、産業労働局とも連携をして取り組んでいかれることを求めておきます。
 続いて、都市の緑化について伺ってまいります。
 まずは、都立公園の拡張整備についてです。
 私の地元上野恩賜公園は、地元の強い要望と都の努力によって、昨年度、新たに公園用地が取得されました。緑豊かな空間が増え、多くの都民に親しまれることが期待できます。
 都立公園は、都市の緑として大きな役割を担っており、都市の緑の保全や創出において極めて重要です。
 次世代に向けて、東京の緑をさらに増やすためには、公園用地を着実に取得して、都立公園の整備を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○中島東京都技監 都は、公園の整備効果を早期に発現するため、令和十一年度までの事業着手を目標とした優先整備区域を設定し、計画的に事業を行っております。現在、その約七割となる二百一ヘクタールの事業認可を取得し、用地取得を進めています。
 令和六年度は、林試の森公園の国家公務員宿舎跡地約一・二ヘクタールなどの大規模用地を取得するほか、東伏見公園等において、政策連携団体を活用した新たな体制を構築することで用地取得を加速し、公園整備を一層推進してまいります。

○保坂委員 私の地元、都立旧岩崎邸庭園も国有地が隣接しており、地元の方々からも公園拡張を長年都に要望されておりますので、チャンスを逃さないようお願いいたします。
 続いて、駅まち一体開発による緑の創出について伺ってまいります。
 現在、新宿や品川などのターミナル駅では、駅と駅周辺の民間開発が連携した大規模な開発プロジェクトが進行しております。また、虎ノ門、大井町など、都心の地下鉄駅や地域の拠点となる駅においても、駅周辺の民間開発と連携して、まちの顔となるサンクンガーデンの整備や、駅空間の拡大などが行われております。
 私の地元上野でも、上野駅周辺で構想されている再開発を契機に、経年化が一層進む上野駅舎と駅周辺のまちや都立上野恩賜公園との一体的な再整備や、上野駅の線路上の空間の活用も期待されております。
 都は、東京グリーンビズの中で、まちづくりに合わせて緑を創出することとしていますが、例えば、鉄道事業者が線路上空を利用して開発する際、その屋上などを活用して、緑をさらに増やすこともできると考えます。
 そこで、駅まち一体開発を推進する際には、新たな緑の創出にも配慮して取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 複数の鉄道が乗り入れ、都市機能が集積する拠点駅周辺では、その多くで混雑や滞留空間の不足、バリアフリー対策等の課題を抱えております。このため、駅周辺のまちづくりと連携し、地域の課題の解決を図る駅まち一体開発の取組を進めております。
 お尋ねの緑の創出につきましては、例えば新宿や品川では、鉄道駅の空間を再編し、混雑緩和などを図ることに加え、開発により生み出したスペースを活用して取り組んでいく予定でございます。
 引き続き、地元自治体や鉄道事業者、開発事業者と連携した取組により、駅周辺で利便性が高く、緑にも配慮した快適な空間づくりを進めてまいります。

○保坂委員 都心の限られた環境の中で、新たな緑の創出を図る上で、駅や線路の上空の活用は大変有効ですので、積極的に鉄道事業者や自治体と連携して取り組んでいただくよう、今後も求めていきます。
 続いて、都心部・臨海地域地下鉄について伺ってまいります。
 東京ベイエリアの鉄道ネットワークにおいて、都心部・臨海地域地下鉄は、最重要路線として一日も早い実現が求められております。
 こうした中、令和四年に都心部・臨海地域地下鉄構想事業計画検討会による事業計画案が、その後、本年二月には、都が事業主体として本事業への参加を予定する鉄道・運輸機構と、りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道とともに事業計画の検討を行うことが発表されました。その実現に向けて、着実に歩みが進んでいることに、周辺の地域の方々も期待を高めております。
 都は、事業計画の取りまとめに当たって、まずは、同線の単独整備について検討を行うということにとどめており、都心部・臨海地域地下鉄の事業計画の取りまとめに向けて工程のスケジュールが待たれておりますが、来年度の取組について、知事に伺います。

○小池知事 都心部・臨海地域地下鉄は、国際競争力の強化に資する路線でありまして、都心部と臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有しております。
 今年一月、整備に関することにつきましては、国の独立行政法人である鉄道・運輸機構と、営業に関することにつきましては、東京臨海高速鉄道株式会社とともに事業計画の検討を行うことで合意したところでございまして、来年度、三者で事業計画を検討いたします。
 引き続き、国を含めた関係者と連携して検討を積極的に進めるなど、本路線の事業化に向けて着実に取り組み、ベイエリアのポテンシャルを引き出すことで、日本の成長を確かなものとしてまいります。

○保坂委員 知事から決意の籠もった力強い答弁をいただきました。ぜひ早い取りまとめをお願いいたします。
 今回、都は、まずは単独整備を前提にしたことによる都心部・臨海地域地下鉄の事業計画の検討に、鉄道・運輸機構と東京臨海高速鉄道を選定した理由を伺います。

○谷崎都市整備局長 整備に関する検討担う鉄道・運輸機構は、国の独立行政法人として鉄道の建設等に関する業務を行っており、昨年三月には、相鉄・東急直通線を開業するなど、鉄道整備に関する豊富な知見、実績及び技術力を有しております。
 営業に関する検討を担う東京臨海高速鉄道株式会社は、臨海部の大動脈であるりんかい線を営業し、臨海部における基幹的公共交通機関としての役割を担っております。
 都は、二者と連携して事業計画の検討を行ってまいります。

○保坂委員 発着駅となります東京駅周辺では、現在、八重洲から日本橋にかけて大規模な開発工事とともに、同区間の地下街の連結なども計画されており、新駅との連携も期待されます。
 また、昨年、つくばエクスプレス、TX沿線自治体七市二区が共同で、TX東京駅延伸の要望書をTXを運営する首都圏新都市鉄道株式会社に提出をしております。
 さらに、茨城県はTXの県内延伸の方面先はJR土浦駅とすることを決定し、具体化に向けて検討を進めていくこととしています。
 そこで、都は、こうした動きを見ながら、今後、臨海地域地下鉄の事業計画の取りまとめに向けて、TX東京延伸との接続についても検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 令和五年一月に開催した事業計画検討会において、つくばエクスプレスの東京延伸との接続を検討し、その場合でも本路線の事業性が確保できることを確認をしております。
 一方、つくばエクスプレスの東京延伸につきましては、関係者間でルートや導入空間の確保、事業費等の課題を踏まえつつ、事業計画の十分な検討が必要でございます。
 都といたしましては、運営会社の車両長編成化事業や経営状況等を踏まえ、国も含めた関係者間で連携を図りながら適切に対応するとともに、まずは臨海地下鉄の東京から有明までの区間について検討を行ってまいります。

○保坂委員 私の地元沿線の浅草、新御徒町駅周辺でも、商店街を中心にTX東京駅延伸促進協議会を立ち上げており、TXの東京駅延伸と臨海地域地下鉄の連携を強く求めておりますこともお伝えをしておきます。
 次のテーマに移ります。
 都は、都外ナンバーの広告宣伝車、いわゆるアドトラックに対する東京都屋外広告物条例による規制について、今年度内に規則を改正し、六月に規制を開始するということであります。これは我が会派も都に求めてきたものであります。
 これまで都条例では、都内ナンバー車の車体利用広告のみの規制対象としており、このたび規制は都外ナンバーの自動車の車体利用広告に対する初めての規制となります。この新たな規制を円滑に進めるためには、許可権者である区との連携が重要であり、先般、都は、規則改正に先立ち、区に対して規制の内容や手続について説明会を行ったと聞いております。
 そこでまず、新たな規制開始後に都外ナンバーの広告宣伝車は都内の複数の区を走行することとなると思いますが、許可申請はどこに提出するのでしょうか、伺います。

○谷崎都市整備局長 都外ナンバーの広告宣伝車の多くが、都外から複数の区を通過して都内の繁華街に向けて走行すると思われます。
 広告宣伝車の許可申請につきましては、複数の区に提出させるのではなく、最初に繁華街を周回走行するなどの広告宣伝活動を行う区に提出させる予定でございます。

○保坂委員 今回の規制が効果を発揮するためには、都外ナンバーの広告宣伝車が都内を走行する際に、確実に許可を受けてもらう必要があります。都には、許可申請方法についても、事業者や許可権者である区に対して、丁寧な説明を行っていくよう求めておきます。
 ところで、先ほどの質疑では、都外ナンバーの広告宣伝車の許可申請先は一か所のみの区になるということでしたが、実際には、目的地に向かって都外から都内の複数の区をまたいで移動することになります。すなわち、許可権者以外の区も通過することになります。
 そこで、許可権者以外の区にも何かしらの走行ルートや許可に関する情報を共有する必要があるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 都外ナンバーの広告宣伝車の許可申請に当たっては、広告の表示場所として、都内における走行ルート図の提出を求め、通過する区を明らかにいたします。
 また、広告宣伝車の許可番号や許可期間、走行ルート図、広告デザインなどの許可情報について、都で集約の上、許可権者以外の区にも共有することといたしております。

○保坂委員 今の答弁での都外ナンバーの広告宣伝車の許可情報を各区と共有するとのことですが、これは大変重要です。これにより、許可を受けずに走行する車両や許可を受けた内容と異なる表示をしている車両などに対する規制の実効性が高められると考えます。
 しかしながら、実際にこうした違反車が出現した場合、警視庁との連携が必要であり、区だけで取締りを行うことはなかなか難しいと考えます。
 そこで、都外ナンバーの違反車の取締りに当たっては、昨年十一月の都、区、警視庁との広告宣伝車合同実態調査のように、都も積極的に関わっていくべきと考えますが、見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 都外ナンバーの広告宣伝車への取締りに当たっては、許可権者である区と都で連携していくことが重要でございます。
 また、都条例では、都と区に車を停止させる権限がないため、警視庁の協力も不可欠でございます。
 改正規則の施行後、都が区及び警視庁と連携し、三者で取締りを実施する予定でございます。

○保坂委員 ぜひしっかりとした取締りを、特に、主要な繁華街での取締りをお願いしたいと思います。
 続いて、高校教育におけるグローバル人材の育成について伺います。
 先日の代表質問で、我が会派からの求めに応じて、都教育委員会は、都立高校生の国際交流プログラムとして、来年度、二百七十名を世界の様々な国や地域に派遣する旨の答弁をいただきました。こうした取組を私立高校生にも幅広く展開していくことが、東京全体のグローバル人材の育成という面からも重要です。
 都は、都内の私立高校に在学する生徒が、その学校の留学プログラムへの参加推薦を受けて参加する際に、保護者が学校へ支払う参加費用の一部を助成する制度を展開しており、私どもはその拡充を求めてきました。
 そこでまず、令和六年度の予算において、補助制度の拡充のために予算がいよいよ増額されますが、この制度拡充の内容について改めて伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 次代を担う国際感覚豊かな人材の育成は重要でありまして、特色ある教育を行っている私立学校の役割は大きいものがございます。
 そのため、都は、私立高等学校海外留学推進補助によりまして、私立高校が責任を持って実施する海外留学プログラムに生徒が参加するための費用の一部を支援しております。
 来年度は、より多くの生徒が留学の機会を得ることができるよう、本補助を活用する各学校の上限額を、現状の六百六十万円から八百万円に引き上げます。

○保坂委員 海外留学の実施や補助制度の活用については、各学校の方針によって異なるところもあると思いますが、都内の約二百四十の私立高校のうち、この補助制度を実際に活用している私立高校はどのぐらいありますか。新型コロナウイルスの影響を受けた令和二年度以降の状況を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 この補助を活用している私立高校は、令和二年度及び三年度は、新型コロナウイルスによる渡航制限の影響等により数校にとどまっておりましたが、令和四年度におきましては百六校、令和五年度は百三十一校となる見込みでございます。

○保坂委員 コロナ禍においても利用があったとのことで、制度が維持されてきたことは評価します。今は利用者数も戻ってきており、約半数以上の私立高校が補助を受けているということですが、今後、より多くの生徒が海外留学を経験できるようにすることが重要と考えます。
 そこで、私立高校における海外留学促進のために、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は、本補助制度に加えまして、経常費補助におきましても、海外留学の促進に取り組む私立高校を支援しております。
 具体的には、おおむね三か月以上の海外留学制度を創設し参加生徒の募集を行う場合や、海外留学する生徒に対して授業料の減免を実施した場合に補助を行っております。
 今後、各学校に対しまして、こうした多面的な支援につきまして、様々な機会を捉えて、利用実績を含め一層の周知を図り、さらなる活用を促してまいります。

○保坂委員 ぜひよろしくお願いします。
 続いて、子供を守る環境について伺ってまいります。
 先日、私の地元台東区で発生した四歳児の死亡事案は、児童相談所と台東区の子供家庭支援センターが連携をして対応していたとのことであります。
 様々な児童虐待相談に適切に対応するためには、この二つの組織がそれぞれの役割の下、その機能を効果的に発揮して綿密に連携を図っていく必要があります。
 そこで、児童相談所と子供家庭支援センターのそれぞれの役割について改めて伺います。

○佐藤福祉局長 児童相談所は、一時保護や立入調査などの法的対応や専門的な相談支援を担っており、子供家庭支援センターは、地域の第一義的な相談窓口として、児童や保護者からの相談等に対応しております。
 こうした役割を踏まえ、虐待対応などにおける連携、協働のための東京ルールに基づきまして、児童相談所と子供家庭支援センターは、情報共有や同行訪問を行うなど、緊密に連携しながら児童と家庭を支援しております。

○保坂委員 児童虐待の相談件数は、児童相談所だけでなく、子供家庭支援センターも増加の一途をたどっております。二つの組織が、その機能を発揮するためには、児童相談所の体制強化はもとより、子供家庭支援センターの対応力の強化も不可欠であります。
 そこで、子供家庭支援センターについて幾つか伺いますが、複雑化、深刻化する児童虐待に的確に対応するために、子供家庭支援センターの体制強化を図るとともに、児童相談所とのさらなる連携強化に向けて新たな取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤福祉局長 都はこれまで、子供家庭支援センターにおいて、虐待相談等に対応する虐待対策ワーカーや、関係機関との調整などを担う虐待対策コーディネーターの配置を進めるなど、区市町村の虐待対応力の強化を支援してまいりました。
 来年度は、子供家庭支援センターの体制を一層充実させるため、子供の泣き声に対する通告などに伴う安全確認や関係機関への調査などを行う職員の増配置を支援いたします。
 さらに、サテライトオフィスなどの連携拠点に、児童相談所と共同して相談支援を行う専任職員を新たに配置する子供家庭支援センターを支援いたします。

○保坂委員 様々な児童虐待相談に対応するためには、職員の支援の質の向上も必要です。法的対応を担う児童相談所は高い専門性を持っておりますが、子供家庭支援センターにおいても、保護者支援のスキルなど、相談援助業務に係る専門性の高いノウハウが求められます。
 そこで、都として、子供家庭支援センターに職員の専門性向上を支援していくことが必要と考えますが、今後の取組について伺います。

○佐藤福祉局長 都は来年度、虐待対策コーディネーターなど、子供家庭支援センターの基幹職員の専門性の向上を図るため、児童相談所への研修派遣を行う区市町村に必要な経費を補助いたします。
 また、子供家庭支援センターの新任職員向けに、面接スキルの向上に向けたロールプレーイングやグループワークによる事例検討など、実践的な研修を都が直接実施いたしまして、人材育成を支援いたします。

○保坂委員 ぜひ今回の事案の台東区の子供家庭支援センターへのさらなるサポートもお願いします。
 虐待の予防については、地域に根差した相談支援を行う区市町村にしかできない役割でもあります。国の法改正によって、令和六年度に子供家庭部門と母子保健部門とが、妊娠期から切れ目なく包括的な相談支援を行うこども家庭センターが施行されます。
 そこで、全ての区市町村がこども家庭センターを設置して、虐待の未然防止に効果的に取り組むことが期待されますが、今後都としてどのように区市町村を支援していくのか、私からこれを最後の質問にしたいと思います。よろしくお願いします。

○佐藤福祉局長 都は、子供家庭支援センターと母子保健部門が一体となって、妊娠期から出産後まで継続的なアウトリーチ支援を行い虐待を未然に防止するモデル事業を令和三年度から実施しておりまして、これまで両部門共通のアセスメント基準の作成や専門職の育成プログラムの開発などを行ってまいりました。
 今年度は、モデル事業の成果を踏まえ、チームで子育て家庭を効果的に支援するためのノウハウを、研修を通じて区市町村に提供しておりまして、さらに来年度は、両部門の連携を担うリーダー職員の配置を支援いたします。
 こうした取組によりまして、区市町村の子育て部門と母子保健部門との連携を強化し、虐待予防を支援してまいります。

○菅原副委員長 保坂まさひろ委員の発言は終わりました。(拍手)

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