予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○内山委員長 磯山亮委員の発言を許します。
   〔委員長退席、小松副委員長着席〕

○磯山委員 四月から企業の法定雇用率が引き上げられます。東京都は基準をクリアしていますが、都内の市区町村では目標を達成していない地域も見られます。また、大企業は特例子会社などを活用した取組が進んでいるものの、中小企業においては課題も多い現状です。障害者の採用定着に向け一層の支援が必要となります。
 私は、障害者を雇わなければならないという風潮を変え、一人一人の特性や能力に応じて、戦力として活躍できる障害者雇用の実現を進めたいと考えています。そのための一つのアプローチが、ニューロダイバーシティであります。
 ニューロダイバーシティは、障害、発達障害の特性を生かし、戦力として活躍するという考え方であり、私は、令和四年の第一回定例会で最初に都に提案して以来、その推進を訴えてまいりました。
 令和四年の法改正では、事業主の責務として、障害者の職業能力の開発及び向上が明示され、障害者が真に職場の戦力として活躍するD&I、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの構築が求められています。
 先月、地元小平で開催された東京アビリンピックでは、十を超える競技で、障害者の方々が、日々磨き上げたスキルを真剣なまなざしで競い合っていました。私も応援に伺いましたが、見学席で見守るご家族や関係者の期待と不安の入り交じる表情から、私は周囲のサポートの下、共に仕事に励み、成長してこられた日々の積み重ねを、その選手の皆様を見て、肌身をもって感じました。
 ダイバーシティ・アンド・インクルージョンは、テクノロジーの進化も後押しとなっています。例えば、これまで外出が難しかった重度障害の方が、分身ロボットにより自宅からお客様とコミュニケーションを取り、サービスを提供する事例も出てきております。
 中央区にカフェがあり、中央区の石島都議と現場に行って、体験もしてまいりました。
 そこで、企業におけるダイバーシティ・アンド・インクルージョンが進むよう、重度障害者を含めた障害者がその力を生かし、戦力として働く事例を幅広く発信し、都内企業に波及させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 障害を持つ方の雇用を増やす、そのために、記憶や計算で極めて高い能力を発揮する発達障害者の特性をしっかりと生かしてまいります。
 また、ご質問にございましたニューロダイバーシティの発想を広げながら、重度の障害者を含め、誰もが働き手として活躍できる社会を東京からつくり上げていきたいと考えております。
 発達障害の方が傑出したポテンシャルと集中力で、デジタル開発の現場で生き生きと働く事例を集めまして、表彰を通じ、幅広く紹介をいたしました。
 こうした職場環境をつくり上げるノウハウを多くの企業と共有いたしまして、新たな障害者の雇用を生み出す努力へとつなげてまいります。
 重度の障害により外出の難しい方が、リモートでロボット、分身ロボットを動かして、都庁の展望室で観光客の案内を行う、こうした雇用を率先して進め、障害者の新たな働き方のフォーマットを広げてまいります。
 これらの取組については、都庁関係者の総力を束ねまして、障害者の活躍の裾野の拡大に結びつけてまいります。

○磯山委員 川端康成は、ノーベル賞受賞式で行った有名なスピーチで、私たち日本人は百輪の花よりも一輪の花に華やかさ思うという美意識を有していると述べています。茶の湯、茶道では、茶室の床には、ただ一輪の花。しかも、つぼみを生けることが多いのであります。
 人間はそれぞれ、この世の中にたった一人の存在であります。一人一人の都民が自分の生き方や存在に迷ったり、悩みを抱えることなく、それぞれの花を咲かせることができる。それこそがダイバーシティ・アンド・インクルーシブな東京であります。
 一輪一輪の花が、千四百万都民によって、まさに百花繚乱となるよう、知事のリーダーシップに大いに期待して、次の質問に移ります。
 教育現場における意識改革も待ったなしです。
 学校では、集団での学習になじめない子供、学習障害、ギフテッド、外国ルーツの子供など、教室には様々な子供たちが、将来、花を咲かすことを、絶望にのまれそうになりながら、夢見ています。
 コロナ禍を経て、学校では子供たちに一人一台端末が整備されました。
 こうしたデジタル機器を活用することで、従来の授業ではうまく順応ができなかった多様な子供たちにも、わくわくできる授業を行う可能性が広がると考えますが、都の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、全ての子供たちが学びへの意欲を持ち、主体的に学習に取り組めるよう、デジタルを活用した新たな指導法の研究を令和五年から進めております。
 この指導法では、一人一台端末を活用し、教員は多様な子供の実態に応じて、個々にヒントを出したり、進度に応じて発展的な課題を用意するなど支援を行い、子供は自分のペースで学習を進めていきます。こうした学習を一斉講義と組み合わせ、学びへの意欲を高めてまいります。
 先行して取り組んでいる学校からは、授業に消極的だった子供も意欲的に取り組み、学力も向上したとの報告を受けております。
 来年度は、この指導法に取り組む学校を増やし、それらの成果を取りまとめ、都内全公立学校に普及してまいります。

○磯山委員 この取組が進み、一人でも多くの子供たちがわくわくして学校に通学できるようになることを大いに期待しております。
 デジタルを活用するということで、教育現場において考えると、川松委員、また、松田委員からも提案がありました、コンテンツとして例えばeスポーツというものをどう取り入れていくかということも、私は課題であると思っております。
 例えば不登校の子たちだったり、障害、発達障害の方に相性がいいという話ももちろんありますし、例えば今、都立高校では、部活なんかでもeスポーツ部が増えているというお話も伺っております。
 今後、教育庁でも、そのeスポーツをデジタルコンテンツとしてどう活用していくかということをしっかりと検討していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 一方で、現在の支援の充実には、スピード感を持って取り組まなければなりません。例えば、読み書きに困難を抱えるディスレクシア等、学習に困難を抱える子供たちの多くは、通常学級の中でその特性の影響を受け、勉強ができない生徒として悩んでいます。
 昨年の四定で質疑させていただきましたが、発達障害教育支援員の配置の促進など、既存施策のさらなる拡充が必要です。また、子供たち一人一人に端末が配布されている中、これらを有効に活用した指導が求められますが、必ずしも十分に活用されていない状況も見られます。
 そこで、教員の理解、啓発も含め、支援の拡充を図る必要があると考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、学習障害を含む発達障害のある児童生徒の学習を在籍学級でサポートする支援員を、これまで発達障害教育支援員として配置経費を補助してまいりました。
 来年度からは、様々な障害のある児童生徒の支援を対象とするインクルーシブ教育支援員配置補助事業において、学習障害を含む発達障害のある児童生徒への支援についても引き続き補助をするとともに、配置を促進するため、全ての学校で実態に応じた複数配置を可能とします。
 また、学習用端末の活用の促進につきましては、読み上げ機能を使って教科書の理解を助けるなど、効果的な支援方法等を示した教員向けリーフレットを新たに作成し、指導の充実を促進いたします。

○磯山委員 他者に理解されないことほどつらいものはありません。それが学校の先生であれば、なおさらなんじゃないかなと思います。
 子供たち一人一人が可能性を秘めている。いわばユニコーンの卵であります。スタートアップ支援を行うのであれば、教育への投資も今以上に行っていただくことを要望いたします。
 次に、家計の基本である給与所得をいかに増やしていくかについて質疑をしていきたいと思います。
 人事委員会勧告を行うために実施している職種別民間給与実態調査によると、三十年前の平成五年、民間従業員の給与月額は四十一万六百五十二円、都の職員は四十万三千七百七十七円です。
 現在、令和五年ですけれども、民間は四十万九千八百八十二円、都は四十万六千三百十三円になっています。やっと三十年前の給与に戻ったねという状況でございます。
 私たち都議会自民党は、特に中間層世帯の可処分所得を増やすために、減税など様々な政策を訴えてきております。
 さて、給与所得の向上のためには、都内企業の約九九%を占める中小企業が、物価上昇を乗り越える賃上げを実現するための原資を確保することが必要不可欠です。
 しかしながら、都内中小企業の賃上げに対しては課題も多い現状です。社会保障の負担など大きな負担となる一方、物価高の影響も簡単には価格転嫁できません。
 消費者に理解してもらうための周知も大切ですが、中小企業が原材料費などのコスト増加分を取引価格に上乗せする価格転嫁も必要であります。
 そこで、中小企業の価格転嫁に対して、都でもさらなる支援を行うべきですが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都では、中小企業が適正な価格で取引ができるよう、中小企業振興公社に専門の組織を設け、相談対応や紛争解決の後押しを行っております。また、専門家が現場を巡回し、取引の適正なルール等を伝えております。さらに、民間の取引業務の経験の豊富な専門家が現場に出向き、価格交渉のノウハウなどを提供しているところでございます。
 こうした支援に加えまして、来年度、取引の価格の基礎となる原価を把握し、交渉を効果的に進める方法を学ぶ講習会を開催いたします。また、現場のコスト管理等に詳しい専門家を会社に派遣し、製品ごとの原価計算などの知識を提供するサポートを行います。
 これらによりまして、中小企業が適切な収益を確保できるよう、価格転嫁に向けた後押しをいたします。

○磯山委員 企業が着実に利益を確保していくためには、取引の適正化とともに、何よりも売上げを伸ばすことが重要です。
 そのためには、都内での消費を促進して経済を活性化する取組はとても有効であると思っております。ポイント還元キャンペーンに関しては、高く評価をいたします。ぜひ継続しての取組を要望しておきます。
 企業の価格転嫁が進んで、消費の拡大路線に見通しを抱くことができれば、賃上げも現実を帯びてくると思います。
 しかし、三十年のデフレの経験は、経営者の脳に深くしみついているといっても過言ではありません。賃金上げをすることが将来の企業の経営にプラスになるというマインドを持ってもらうことが重要です。
 事業経営の不安を解消していくための相談体制を充実させること、また、賃上げをすることに利点を感じてもらうための施策も同時に必要であると考えます。
 そこで、都内中小企業が賃上げを行う際に専門家のアドバイスなど、都がこれまで以上に積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業が従業員の賃金の引上げに向け、正確な知識を持ち、経営面から適切な対応を進めることは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が専門家の助言により働き方改革に併せて賃上げを行う場合に奨励金を支給する事業を行っておりまして、来年度、この規模を一千四百社に拡充をいたします。
 また、賃上げのため、給料に関わる制度の見直しを進める中小企業に対しまして、社会保険労務士等の専門家を一社当たり五回まで派遣をいたします。さらに、賃上げで社員の意欲を高め、優れた人材の確保を実現した企業の実例の紹介も行います。
 これに加えまして、中小企業に対し、賃上げにつながる業務効率の改善を助言するサポートも行ってまいります。

○磯山委員 持続的な賃上げを実現するためには、企業が適正な取引や生産性の向上により利益を増やし、それを原資に従業員の賃金を引き上げることや、公による消費喚起施策によって消費行動が促進されることで、さらなる企業利益と賃金の向上につながる、いわゆる成長と分配の好循環をつくり出すことが重要であります。
 東京の経済を発展させていくためには、こうしたサイクルで経済全体を押し上げていくことと同時に、あと社会環境の変化に伴い生じる各企業の抱える課題に向き合っていく必要があると思っております。
 そこで、個別の課題について二点質問をいたします。
 まずは、事業承継についてです。
 経営者が事業承継の必要性を認識したとしても、その親族や従業員の中に適任者がいない場合、承継が進まないという実態があります。近年は、後継ぎとなる経営者の掘り起こしから事業の承継までを包括的に行うファンドの活用が広がりつつあります。
 都は、来年度、こうした手法を活用し、第三者への円滑な事業承継の促進をするためにサーチファンドへの出資を行うとのことでありますけれども、具体的な取組を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業の承継を円滑に進めるため、会社の事業展開にふさわしい新たな経営者と資金の確保は重要でございます。
 このため、都は、来年度、事業の承継を目指す中小企業に新たな経営者を紹介し、資金も提供するサーチファンドによる支援を開始いたします。
 具体的には、こうしたファンドの運営事業者が、経営に関し能力の高い人材を会社に社長候補として送り、経営の状況に応じ出資をする仕組みにより、会社の承継を効果的に後押しいたします。
 この取組につきましては、都は、ファンドに二十億円を出資するほか、その運営事業者が新たな経営者に助言を行うなど、きめ細かいサポートも展開をいたします。

○磯山委員 続いて、多様な担い手による創業へのチャレンジを支援することも重要です。
 都議会自民党では、創業を希望する方への後押しを強く求め、都では、女性・若者・シニア創業サポート事業を開始し、十年がたちました。
 中でも、女性の創業においては、資金を十分に準備できない傾向があると伺っております。女性の活躍の推進が求められる中、この事業を強化し、金融面からサポートすることが必要です。
 都は、来年度、女性の起業に対する融資の制度をよりレベルの高いものとするべきと考えますが、具体的な取組を伺います。

○坂本産業労働局長 女性が起業に取り組み、事業を着実に展開する上で、資金調達を円滑に行うためのサポートは重要でございます。
 都は、起業を目指す方や創業して間もない事業者に対し、経営の専門家を派遣し、計画をつくり、それに基づき、信用金庫や信用組合が低い金利で融資を行う事業を行ってまいりました。
 この取組に関しまして、来年度から、女性の起業家について、融資の限度額を二千万円まで引き上げるほか、借入れのできる時期を創業の七年後までに延ばします。
 また、融資の申込みに当たり経営の知識を学ぶ機会を設けるほか、こうした支援を受けた女性経営者等と交流する場を提供いたします。
 さらに、創業の機運を高めるため、優れた実績を上げた女性の起業家や女性への融資に積極的な金融機関を表彰いたします。

○磯山委員 それでは、次に、家計の支出部分について見てみたいと思います。
 税負担はどうなっているのか、今回は国保を例に取ってみたいと思います。
 全国の国保料での比較では、制度が変わっているところはございますが、所得三百万から四百万の一世帯当たりの保険料は、平成三年が約二十八万二千円、令和三年が約三十五万九千円、所得五百万から七百万円の世帯では三十八万二千円から約五十八万七千円と、いずれも大きく増加をしております。
 現時点における日本の社会保障の将来見通しは、現在の若者世代のマインドをマイナスする要因になっていると考えます。
 施政方針での明るい未来への道筋が見えないことに対する人々が感じる不安、これに目をつぶり、何も手を打たないことは政治の責任放棄との知事の発言には大変共感するところであります。
 さて、国民健康保険制度は構造的な問題を抱えており、国は、平成三十年度に財政運営を都道府県単位化する制度改革を行ったものの、依然として厳しい状況が続いています。
 国保制度を安定的に運営することは、都の役割が重要であると私はこれまで質疑をしてまいりました。
 都は、令和六年度からの国保運営方針を改定しますが、課題を抱える国保制度が安定的に運営されるよう、どのように取り組んでいくのか伺います。

○雲田保健医療局長 都は、国民健康保険に関する事務につきまして、区市町村との共通認識の下で実施するための統一的な方針として、東京都国民健康保険運営方針を策定しております。
 令和六年度からの運営方針では、国の制度改革を踏まえ、決算補填等を目的とする一般会計からの法定外繰入れの削減、解消について目標を設定するほか、区市町村が行う収納対策や医療費適正化の取組を支援することとしております。
 また、将来の保険料水準の完全統一に向けた第一段階として、区市町村の納付金の算定において、医療費水準を反映しない納付金ベースの統一を令和十二年度に目指すとしております。

○磯山委員 都は、令和十二年度に納付金ベースの統一を行い、将来的には完全統一も目指すとのことでありますけれども、市区町村は、被用者保険の対象拡大などにより、被保険者が減少している中、法定外繰入れの解消など、一層厳しい状況が続いています。
 また、現在は、保険税率や収納率は市区町村により様々でありまして、これらの課題解決は容易ではなく、今後も統一を目指すのであれば、急激な負担増に配慮するなど、市区町村と丁寧に議論を進めていく必要があると考えます。
 そこで、保険料水準統一に向けた来年度の都の取組について伺います。

○雲田保健医療局長 都はこれまで、保険料水準の統一に向け、納付金ベースの統一の年次等につきまして区市町村と議論を重ねてまいりました。
 納付金ベースの統一に伴い、医療費水準が低い区市町村の納付金が増加いたしますことから、都は、緩和措置として、医療費水準の反映を段階的に引き下げてまいります。
 あわせて、都の法定交付金で納付金増加額の四分の三を補助するとともに、この緩和措置に用いた法定交付金の減少分と同額を都独自に支援するため、約十九億円を予算計上しております。
 また、制度設計者である国に対し、保険料水準の統一を推進するためのインセンティブとなる措置を改めて要望するほか、引き続き、国民健康保険の安定的な運営ができますよう、区市町村と連携して取り組んでまいります。

○磯山委員 今回は、給与所得を切り口に都の施策について伺ってまいりましたが、特に子育て世帯の所得の状況は、都の喫緊の課題である少子化対策を行う際にも十分に検討すべき観点であると考えております。
 入りと出を考慮した上で、各局連携した施策を展開していただくよう要望いたします。
 次に、持続可能な社会の構築に関しての再生可能エネルギー関連の質問に移ります。
 都内における太陽光発電設備の導入量は、二〇一〇年度の約十三万キロワットから、二〇二一年度に約六十七万キロワットまで増加しました。
 二〇三〇年度には二百万キロワット以上導入することを目指しております、都は。これに伴い、将来廃棄される太陽光パネルはますます増えることが予想されます。
 太陽光パネルの寿命は一般的に二十年から三十年といわれ、本格廃棄は二〇三〇年代半ば以降と推計されていますが、設置義務化を進める都は、住宅用パネルの廃棄量が少ない今のうちから、効率的なリサイクル体制を構築していくことが必要だと考えます。都の取組について伺います。

○栗岡環境局長 将来のパネル本格廃棄を見据え、早期に効率的なリサイクル体制を構築することが重要でございます。
 都は今年度、パネルを高度にリサイクルできる施設を公募の上、六施設を指定し、当該施設で処理される住宅用パネルの費用を補助する事業を開始いたしました。
 関係事業者で構成する協議会や、太陽光発電協会が主催するイベント、各種広報媒体の活用などによりまして幅広い周知活動を行い、住宅からの廃棄が極めて少ない中、これまで七件をリサイクルに誘導してございます。
 今後、指定施設の追加による処理体制の強化を図るほか、補助対象の発電出力の引上げやカーポート設置型を新たに含めるなど支援策を拡充し、リサイクルの流れを確実にしてまいります。

○磯山委員 次に、太陽光パネルに係るサプライチェーン上の人権配慮、そして、次世代太陽電池の技術開発支援について伺います。
 太陽光パネルをめぐる人権への懸念に対し、都がどのように向き合っていくのかが重要です。
 都は、太陽光発電協会と連携し、人権に関するガイダンスを作成するとともに、企業の継続的な取組と公表を促していくとしておりましたが、進捗状況はどうなっていますでしょうか。
 また、人権問題に対する一つの答えと考えられるのが、日本生まれの技術であるペロブスカイト太陽電池です。原材料の多くが中国で生産されている現在のパネルに対して、主原料のヨウ素を他国に頼らず、国内で安定供給できる最も有望な新技術の一つであります。
 令和七年四月の太陽光パネルに係る新制度開始後は、パネルの需要がますます高まると思います。
 都は、都有施設を活用した検証を通じて企業を後押ししていますが、新制度開始前の早期実用化に向けて、さらなる支援が必要です。
 そこで、こうした太陽光パネルに係る人権配慮や新技術への支援について都の対応を伺います。

○栗岡環境局長 太陽光発電産業に係る人権配慮につきましては、国際標準にのっとり、企業の適切な取組を促すことが重要でございます。
 そのため、都は、業界団体と連携し、団体内に新設された委員会を核に取組の深化を図る議論を重ねてございます。
 これを受けまして、同団体では、他の業界に先駆け、先月から会員各社の人権方針等を順次公表してございまして、今後も積極的に情報公開を促してまいります。
 また、国産の資源や技術が生かせるペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けまして、来年度から、開発企業が都内の施設等で行う実装検証に要する経費の三分の二、四千万を上限に支援し、社会実装を加速してまいります。
 こうした取組によりまして、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

○磯山委員 次に、再エネの実装拡大に向けて鍵を握るのは、太陽光発電と並んで風力発電もあります。
 国内においても、洋上風力を再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として開発が進められるとともに、昨日、洋上風力発電の設置場所を、領海内から排他的経済水域、EEZまで広げる法改正案が閣議決定され、今国会に提出されました。
 EEZは水深が深い海域が多いことから、そうした海域でも設置できる浮体式洋上風力の導入拡大に期待が寄せられています。
 都議会自民党ではこれまでも、島しょ地域は太陽光や風力、地熱発電等、自然を生かした再エネの導入に非常に大きな可能性がある旨、主張してまいりました。
 こうした中、現在、大島において、町や事業者が小型の洋上風力発電の設置の検討を進めていると聞いております。
 島しょ地域における洋上風力発電の早期設置に向け、大島における取組に対して都も積極的に支援を行うべきと考えます。
 そこで、都としての取組について伺います。

○坂本産業労働局長 島しょ地域において、再生可能エネルギーの導入に向け、洋上風力を使うことは効果的でございます。
 大島では、浮体式の洋上風力発電の事業化を目指し、町が協議会を設け取組を進めております。都は、これに参加し、事業のサポートを行うほか、大島町に技術面から助言等を実施しております。
 こうした中、都では、この事業の早期実現に向け、島の電力需要に応じ、三百キロワットの発電ができる小型の洋上風力の導入を後押しいたします。
 来年度は、洋上風力に必要な風車の設計や製作等に関し資金面からサポートをいたします。

○磯山委員 まずは、大島での取組を着実に進めていただきたいと思います。
 また、第二回再エネ実装専門家ボードでは、伊豆諸島の海域はおおむね毎秒九メートルを超える好風況で、洋上風力及び波力発電のポテンシャルがある旨の意見が出ておりました。
 加えて、風力発電機器の製造や運用保守などを含め多くの関連部品等があり、その数は約三万点に上ります。都が取組を進めることで、中小企業を含めた都内企業が活躍できるチャンスも生まれるのではないでしょうか。
 島しょ地域におけるポテンシャルや技術開発の進展を見逃すことなく、離島のカーボンニュートラル化のみならず、電力の大消費地である東京全体のエネルギー源としての活用やレジリエンス向上、新たな産業振興という観点からも、積極的に取組を進めていただきたいと考えております。
 そこで、島しょ地域における洋上風力発電の設置に向けて今後どのように取り組むのか、予定を伺います。

○栗岡環境局長 伊豆諸島の海域は好風況で、洋上風力発電に適した地域である旨、再エネ実装専門家ボードからもご意見をいただいてございます。
 洋上風力発電の導入に当たっては、地元のご理解、ご協力が必要でございます。
 そのため、地元自治体はもとより、漁業関係者等、地元の方々の意見を伺いながら、洋上風力発電の導入可能性や導入可能な海域について調査検討を進めてまいります。
 また、伊豆諸島の地域特性に配慮するため、自然環境や生態系、景観への影響等について有識者へのヒアリングを行うとともに、地元への情報提供を進め、理解促進を図ってまいります。

○磯山委員 島しょ地域は、我が国屈指の好漁場があるとともに、新東京百景にも選ばれている景勝地が多数あることなどから、しっかりと漁業関係者や住民の方々の声を聞きながら、島しょ地域の将来を見据え、しっかりと取組を進めていただくことを強く要望いたします。
 次に、保育士の処遇改善について伺います。
 安全・安心の保育所運営を行っていく上では、保育士の安定した定着が求められております。そのためには、保育士がやりがいを持って働き続けられる環境の整備が必要です。現場の保育所からもそのような声を寄せられており、我が会派としても都に対して要望をしてきたところであります。
 そこで、都として来年度予算における保育士の処遇改善や資質向上の充実のほか、宿舎借り上げの継続などの取組について伺います。

○佐藤福祉局長 都は、保育士等キャリアアップ補助におきまして、来年度から、処遇改善等加算の要件を満たし、国の加算対象上限を超えて配置した場合には、一人当たり月額五千円を独自に補助いたします。
 また、保育士等の研修支援につきましては、代替保育士の雇い上げ経費などを一人当たり三万二千円を上限に、来年度から三年間、包括補助により補助率十分の十で支援をいたします。
 さらに、職員用の宿舎を借り上げる事業者に対し、国事業に加え、対象の施設や職種を拡大するとともに、採用年数の制限を撤廃するなど独自に補助しており、来年度も支援を継続してまいります。

○磯山委員 また、被災時には子供や職員が帰宅困難となる場合も想定されることから、保育所への防災対策を強化すべきと考えますが、都の対応を伺います。

○佐藤福祉局長 都は、保育所等における備蓄品の購入や、BCPの策定支援など、防災対策の強化や災害時の事業継続を図る区市町村の取組を支援しております。
 災害時には、保育所等に一定時間、帰宅困難な園児などがとどまることも想定されますため、必要な電源を確保できるよう、来年度から、BCPを策定している保育所等を対象に、非常用自家発電設備設置に係る費用を補助するとともに、可動式の電源等の整備についても支援を開始いたします。

○磯山委員 次に、認証保育所への支援について伺います。
 都は、昨年七月に、認証保育所に対して使用済み紙おむつの処理状況を調査したと思いますけれども、その結果を踏まえ、どのような支援を実施することになったのか伺います。

○佐藤福祉局長 都が昨年、認証保育所を対象に実施した調査結果では、回答した保育所の約九五%が使用済みおむつを自園において処理しておりました。
 一方、自園での処理に当たっては、保管スペースの確保や衛生面の管理などが課題として挙げられておりまして、都は来年度、認証保育所が保育環境の改善に必要な備品を購入できるよう補助を拡充し、使用済みおむつの保管用ごみ箱等の購入経費も対象としてまいります。

○磯山委員 都は来年度、認証保育所に対して、認可保育所と同様、地域の子育て家庭への支援に取り組めるよう、保育力強化事業で地域の子育て家庭を対象にした保育所体験などのメニューの拡充を予定しております。
 様々なメニューがあるんですけれども、認証保育所の中には、新たな取組をしたくても、どのように対応したらよいのか分からず、一歩が踏み出せない園も相当数あるのではないかと推察いたします。
 都は、認証保育所が地域への子育て支援を始められるよう、どのように支援していくのか伺います。

○佐藤福祉局長 都はこれまで、認証保育所による地域の子育て家庭を対象とした育児講座や育児相談などの取組を支援してまいりました。
 来年度は、認証保育所がより一層地域の子育て家庭への支援に取り組めますよう、地域の子育てニーズの調査、分析や、新たな取組の立ち上げに向けた助言などを行うコンサルティング経費を補助いたします。

○磯山委員 次に、都内生産物生産者と市場業者との交流機会の創出について伺います。
 先日、私の地元である小平市の野菜生産者の方々と豊洲市場の青果部門を視察させていただきました。その際、市場業者の方々から、小平産をはじめとした都内農産物への関心が示され、品ぞろえを充実させるためにも取り扱ってみたいというような前向きな声も伺うことができました。
 そこで、都が、都内農産物の生産者と市場業者との交流の機会を設けることは意義があると考えますが、見解を伺います。

○早川中央卸売市場長 都内農産物の生産者の意欲を高めるとともに、市場業者の経営活性化を図る上で、中央卸売市場において都民に身近な都内農産物の集荷を促進する取組を進めていくことは効果的でございます。
 このため、地産地消に向けた取組をより多くの都民の皆様に実感していただけるよう、来年度、都は、多様な販路を有する市場業者に都内農産物に関する情報提供を行うとともに、生産者と交流する機会を創出するなど、市場業者をサポートしてまいります。
 こうした取組を通じて、都民の豊かな食生活の実現に向け、多様な生鮮食料品等の安定的な供給に尽力してまいります。

○磯山委員 続いて、臓器移植の現状と支援について伺います。
 臓器移植は、善意の第三者に支えられております。日本で臓器移植を希望して待機している方約一万六千人に対し、移植を受けられる方は年間およそ四百人となっており、臓器移植を待っている方が多くいます。
 先般、豚の腎臓を胎児に移植する臨床研究についての報道がされ、臓器提供の不足を解消する切り札として期待されていますけれども、技術面、倫理面等の課題ももちろんある現状です。
 日本の臓器移植件数は、アメリカやヨーロッパの諸外国と比べ格段に少ない現状があります。
 都では、都内二か所の医療機関に、臓器提供を希望する方が現れた医療機関等と連絡調整を行う東京都臓器移植コーディネーターを配置し、医療機関を支援していると令和五年の事務事業質疑で伺いました。
 さらなる移植医療の推進のためには、提供施設での取組も重要と考えます。今後の都の取組を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、都内全域を対象に、臓器提供から移植まで一連の調整業務を担う臓器移植コーディネーターを設置し、移植医療を推進しております。
 今後、取組を一層進めていくには、臓器提供を行う医療機関におきまして、マニュアルの整備や事例の発生を想定したシミュレーションの実施など、院内の体制整備を行う必要がございます。
 このため、来年度は、医療機関に対し、院内の体制整備や連携の確保などにおいて中心的な役割を担う院内コーディネーターの配置を働きかけるとともに、臓器提供時の具体的な手順に関する研修を実施するなど、移植医療のさらなる推進に向けて取り組んでまいります。

○磯山委員 最後に、ふるさと納税について伺います。
 能登半島地震を受けて、多くの人が返礼品などの見返りを求めず、寄附を行っている現状があります。
 一方で、適正な運用とはいい難い事例が多発しております。産地偽装の問題、入札情報漏えいの疑いなどがあります。
 都内においても、ふるさと納税の対象として指定された認定NPO法人の会長が、自腹を切って百万円寄附、さらに、自分がどうせ払わない住民税から、ふるさと納税分を相殺できるなどブログで公表したことがSNSで話題になっています。
 そこで、このように、ふるさと納税が様々な問題を抱えている中、現状のふるさと納税について、都はどのように認識しているのか伺います。

○児玉主税局長 ふるさと納税には、被災自治体の復興支援や地域の活性化に寄与する面もありますが、受益と負担という地方税の原則をゆがめていることに加えて、返礼品競争が続いている中で、不適切な運用も見られるなど、寄附本来の趣旨を促す制度となっていないという大きな問題がございます。
 このため、都は、ふるさと納税の指定を受けるための申出を行っておらず、また、昨年十二月には、都内区市町村と連携して、国に対し制度の抜本的な見直しを求める共同要請を実施いたしました。
 引き続き、制度の抜本的な見直しを求めてまいります。

○小松副委員長 磯山亮委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時四十四分休憩

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