予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○菅原副委員長 中山信行委員の発言を許します。
   〔菅原副委員長退席、谷村副委員長着席〕

○中山委員 最初に、受験生チャレンジ支援貸付事業の充実について質問します。
 本事業は、我が党が提案させていただいたものでございますけれども、小池知事の時代に入って、令和四年度、一挙に対象が約五倍に拡大されています。
 しかし、残念なことに、その結果、執行率が減少しております。
 最近の実績と令和六年度予算案額をまとめたものがこちらのパネルとなります。こちらですね。執行率が四割に満たない現状を踏まえ、通信制高校と連携する、いわゆるサポート校の授業料等への適用拡大を提案したいと思います。
 サポート校と連携する通信高校の多くは、順次、私学就学支援金、すなわち高校授業料の実質無償化の対象範囲が拡大され、来年度からは所得制限も撤廃されます。しかし、サポート校の多くは学校法人ではなく、私学無償化の対象でもない上に、受験生チャレンジ支援貸付事業を利用できたという声を聞いたこともありません。
 サポート校には、中学生時代に不登校であった生徒が多く通っており、ようやく居場所を見つけ、笑顔を取り戻し、進学や将来の夢、社会参加に向かって歩み出し始めています。まさに受験生チャレンジ支援貸付事業の対象とすべき方々だと思います。
 都は、受験生チャレンジ支援事業が必要な方に利用されますよう、いわゆる専門学校への進学も対象となることを含めて周知に努めるべきです。
 加えて、サポート校の授業料を受験生チャレンジ支援貸付事業の対象とするよう検討を進めるべきです。併せて見解を求めます。

○佐藤福祉局長 本事業による受験料の貸付けは、高等学校、大学のほか、専修学校も対象としておりまして、中学校や高等学校等にリーフレットで周知するとともに、専用サイトで事業内容を詳しく紹介をしております。
 来年度はさらに、受験専門サイトへのバナー広告の掲載も開始いたしまして、情報発信を強化してまいります。
 また、通信制高校の生徒が通うサポート校の学費につきましては、平成三十年度より、受験用のコースを別に設けている場合に貸付対象としております。
 近年、通信制高校の学校数や生徒数、また、大学等への進学率も増加傾向にありますことから、貸付けの対象範囲につきまして、サポート校における受験に向けた取組の実態を把握した上で対応をしてまいります。

○中山委員 対応していくという答弁でございまして、大変前向きな答弁と受け止め、評価します。早期に拡大の朗報を対象者の方々にお伝えできますよう、ご努力をお願い申し上げます。
 続きまして、制度融資について質問します。
 我が党はさきの代表質問で、中小企業の経営者保証のない制度融資について質問しました。
 国は、信用保証料の上乗せにより、経営者の個人保証を取らない新たな信用保証制度を創設しております。
 都においては、今月十五日からこの制度をスタートさせることになっており、これまでの融資慣行を根本から見直す画期的な取組といえます。
 我が党の代表質問に対し、産業労働局長は、都の融資制度では、債務超過でも、財務の状況を見極め、保証料を引き上げ、経営者の保証を取らない仕組みを開始と答弁しました。
 一般的に、バランスシート上、債務超過である中小企業に融資をした場合、貸倒れのリスクが高くなるわけであり、財務状況を見極めて融資を実行する必要があります。その判断基準はどうなるのか、具体的に説明を求めたいと思います。

○坂本産業労働局長 経営者の保証を不要とする国の保証制度の導入に合わせまして、都の制度融資は、中小企業に対し、歳入超過でも、一定の要件に基づき、経営者の保証を取らない仕組みを開始いたします。
 具体的な要件といたしましては、中小企業から経営者に貸付けがなく、金融機関に決算書を提出しているほか、会社の財務の状況が一定の条件をクリアしていることを定めております。
 特に、この一定の条件のうち、財務の状況に関しましては、中小企業の損益計算書の減価償却前の経常利益が、直近の二期連続して赤字でなければ、債務超過であっても融資を行います。
 こうした場合には、保証料率を〇・四五%上乗せをするルールとしております。

○中山委員 今回の制度では、減価償却前の経常利益が、直近、二期連続赤字でないことがポイントとなっております。
 では、減価償却前の経常利益が、直近、二期連続赤字である中小企業については、経営者の保証を取らない制度融資を受けることはできないのかというところが関心を呼ぶところでございます。この点の見解を求めます。

○坂本産業労働局長 中小企業の財務の状況に関し、損益計算書の減価償却前の経常利益が、直近の二期連続して赤字の場合であっても、財務諸表が債務超過でなければ、信用保証料率を〇・四五%上乗せをすることによりまして、経営者の保証を不要とする融資を受けることができることとしております。

○中山委員 この制度が三月十五日から始まる仕組みでありますので、都は、金融機関や事業者に速やかに周知し、中小企業者が利用できますようにすべきであると申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、農業振興について質問します。
 こちらのパネルをご覧ください。森記念財団のデータをグラフ化したものです。緑の確保という点で、東京の都市部に課題がある旨を示唆しております。
 次のパネルをご用意いただけますか。公表されているデータを基に、私の方で都内農地の減少の状況を取りまとめたものです。
 さきの代表質問で、このままいくと、この先五十年で都内農地が消滅してしまうと指摘しましたのは、この分析に基づくものです。ありがとうございました。
 農地は、相続などを機に減少します。農地を守るためには、農業者の経営力を高め、農業によって十分な収益を得られますよう、後押しをすることが肝要です。
 しかし、生産緑地は面積が限られておりまして、通常の方法では収益の増加を図ることは困難といわれております。
 そこで、スマート農業といわれる最新の技術を用いて、集約性の高い農業を推進する必要があります。来年度の具体的な取組について見解を求めます。
 加えまして、先日の代表質問におきまして、体験農園への支援の強化を求める我が党の指摘に対し、知事からは、野菜づくり等を体験できる農園の開設をサポートするとの答弁がございました。この点の来年度の具体的な取組も含めまして、併せて見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、農業者の経営効率を高めるため、DXの活用を後押しいたします。
 具体的には、専門家を派遣し、その計画に基づきDXの機器等を導入する場合、対象経費の上限を五百万円とし、その三分の二に助成を行います。
 さらに、デジタルを活用した施設整備では、経費の四分の三に上限七千五百万円で助成を行います。
 また、自治体等による体験農園を増やす取組を進めます。このため、体験農園の開設を生産緑地の借り上げにより進めることを目指す自治体等に運営のノウハウを提供いたします。
 さらに、そうした農園に係る機器の導入や倉庫の整備の経費に対し、一千万円を上限に二分の一を助成いたします。
 これに加えまして、農園で貸し出す農具の購入など、運営経費について、初年度は一千万円を上限に三分の二を補助いたします。

○中山委員 ありがとうございました。都内農地の減少を食い止めるため、我が党はさらに提案を重ねていくことを表明し、次の質問に移ります。
 次いで、デマンド交通について質問します。
 都は、最大で三年間、上限額の二分の一の立ち上げ補助を自治体に対して実施しておりますが、どの自治体も苦労するのが乗り降り場所の確保です。その点、都内のコンビニエンスストアは、高齢者にとって日頃からなじみがあります。多くが駐車場を備えていて、乗り降りするのに安全です。
 そこで都は、既に災害時帰宅支援ステーションとして都と協定を結んでいるコンビニエンスストアの運営会社等と、新たにデマンド交通の乗降場所に関する協定を結ぶなどして協力を求めるべきです。
 あらかじめ、広く都内を対象にデマンド交通用の乗降場所を確保しておけば、新たに導入を検討する自治体も取り組みやすくなるものと考えます。見解を求めます。
 加えまして、都内区市町村は地域交通を確保する必要性を重視し、赤字も覚悟で取組を始めていますが、その継続は並大抵ではありません。都は、デマンド交通について、立ち上げ時の支援のほか、事業安定化のために、さらなる支援をすべきであります。併せて見解を求めます。

○谷崎都市整備局長 デマンド交通の導入促進のためには、区市町村が関係者と緊密な連携を図りながら取り組むことが重要でございます。
 実施主体となる区市町村が取組を進める上で、デマンド交通の乗降場所の適地の確保が課題となっております。
 都といたしましては、こうした課題に対応するため、庁内関係部署とも連携しながら、コンビニエンスストアの運営会社等に対して乗降場所に関する協力要請を行うなど、積極的に取り組む区市町村を後押しし、デマンド交通の導入を促進してまいります。
 また、事業安定化のための支援につきましては、これまでの運行管理等における課題や区市町村のニーズを踏まえ、今後の車両更新や運行エリアの変更などに対応できるよう、改善方策について検討してまいります。

○中山委員 前向きな答弁と受け止めます。検討結果の早期の具体化を期待して、次の質問に移ります。
 次に、教員のメンタルヘルスについて質問します。
 教員のメンタルヘルスの現状は、都庁が総力を挙げて取り組むべき課題であり、知事によります強力な発信が必要と考えます。
 知事は、カスタマーハラスメント防止条例の制定を目指されています。教育現場でも、度を超えた要求などが続くことによりまして授業に支障を来したり、教育人材の枯渇につながるようなことは社会全体としての不利益であります。
 都のカスハラ条例には、尋常な度合いを超えた保護者等からの苦情対応などの事例も想定に入れて整備を進めるべきと考えます。知事の見解を求めます。

○小池知事 サービスの利用者などから過大な要求や不当なクレームを受けて、働く方々が人格を傷つけられて精神的なダメージを受ける状況をなくすことを目指しまして、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠でございます。
 公労使会議の議論を受けて専門家等が検討を進めて、こうしたハラスメントに関しまして、民間や行政の現場の実態やルールづくりの必要性が明らかになりました。
 学校や警察など公共サービスの最前線の働き手に対しまして、社会的な常識や通念を超えた言動を行うことを抑える、そのような視点も重要となります。
 カスタマーハラスメントの考え方、そして、その防止の理念を示しまして、対応のよりどころとなる条例の制定を検討いたします。その実効性を確保するガイドラインなどもつくりまして、仕事の内容に応じた現場での取組を後押ししてまいります。

○中山委員 ありがとうございました。
 今の知事のご答弁を熱いメッセージとして、広く関係者の方々にお伝えいただくことを求めます。
 また、カスハラ条例の制定が、保護者、教員の双方においてウイン・ウインの望ましい環境が整うことに寄与することを願っております。
 次いで、我が党は、さきの代表質問で、心理の専門家が学校現場にアウトリーチして面談を行う取組を取り上げました。この取組では、面談を行った心理士が報告書を作成する前に専門家同士で様々な角度から話合い、精度の高い報告書とすることが重要となります。
 国は、令和五年度から五つの自治体で教員のメンタルヘルスに関するモデル事業を開始しました。
 都議会公明党は、この国の五事業のうち、那覇市、千葉市、神戸市の三つを手がける専門家と意見交換を行いました。その専門家が、今述べた精度の高い点への信頼性が重要であり、その確認がおろそかになると報告書の内容がありきたりなものになって、協力する側の教員の意欲が薄らぎ、改善が遅れてしまうと危惧していました。私も同感であります。
 都は、受託者に対し、しっかりと精度の向上を求めて確認し、学校現場での効果も見極め、必要に応じて、その後のブラッシュアップを受託者に求めていくべきと考えます。見解を求めます。

○浜教育長 各学校での面談結果につきましては、臨床心理士などの専門家が、組織経営や業務改善に知見を有する者の意見も踏まえて、チームで悩みの傾向を分析するとともに、職場の改善につながる専門的なアドバイスを行っており、都教育委員会においても進捗状況を確認しております。
 また、都教育委員会として全学校の分析結果を集約し、都全体で悩みの傾向等の分析を行い、働きやすい職場づくりに向けたアドバイス等とともに、定期的に全区市町村教育委員会と学校に提供しております。
 教員が安心して働ける環境づくりに向けて、効果的な取組を一層推進してまいります。

○中山委員 ぜひ、確実に成果が上がりますようお願い申し上げます。
 教員における二か月以上の長期休職の発生率で、東京は長年上位にランクされております。一位を続けている沖縄県が、那覇市が今回、国のモデル事業に参画したことによりまして、目標として掲げた長期休職の発生率の三割減を実現できれば、東京が発生件数、発生率において、共にワーストワンになりかねない状況にあります。
 他県の状況が改善されることは喜ばしいことでありますが、都としましても強い危機感を持って取組の改善を期すべきです。
 さきに触れました意見交換会の中で、専門家は、発症直後、休職中、さらには復職の判断、復職後の支援に至るまで、一気通貫して学校現場と連携できる第三者の専門家が支援、助言していくことが重要と指摘しております。また、こうした復職の対策は、再休職率の抑制などの効果に結びつきやすいとも指摘しています。
 我が党が昨年の第三回定例会の代表質問で提言したとおり、都は、国の三か年にわたりますモデル事業の成果を待つことなく、復職過程への第三者の心理の専門家による積極的な関与を実現し、取組の強化を図るべきです。見解を求めます。

○浜教育長 休職から復職までの過程において、心理の専門家等が関与することは重要でございまして、都教育委員会は、精神疾患で休職中の教員に対する復帰訓練や、復帰後の本人や学校へのフォローアップにおいて、精神科医や心理士等を活用し、円滑な職場復帰を支援してまいりました。
 来年度は、休職者などに向けて精神科医等の知見を生かし、心の健康の回復に役立つ知識などを学べるミニ動画を定期的に配信いたします。また、視聴者の声を新たな動画のテーマ等に生かすことで事業の効果を高めてまいります。
 さらに、休職期間における心理の専門家等の一層の活用について具体的に検討し、教員が安心して復職できるよう、支援の充実に努めてまいります。

○中山委員 この点も具体的に成果を上げていただきますようお願いいたします。
 次に、生徒に寄り添いました都立高校の魅力の増進を求めまして質問します。
 学力への不安は、幾つかの調査で不登校となる原因の上位を占めております。例えば、進学率が高い高校に入学できた喜びもつかの間、自信喪失に陥ってしまう事例もございます。
 一方、一部の都立高校には、放課後に教員が外部人材と連携して補習を行う校内寺子屋制度を設けています。進学校を含め、全ての都立高校において、学び直しの取組には大きな期待が寄せられています。
 校内寺子屋を実施していない高校であっても、また、校内寺子屋に携わっていない教員であっても、必要なときには、いつでも学び直し指導を実践できますよう、普及を図るべきです。
 加えまして、学び直しに限らず、スポーツや芸術、奉仕活動など、入学した全ての生徒が、自分はこの点で頑張れたと胸を張って卒業できますよう、何かしらの点で成功体験をつかめる指導をしていく取組を広げ、もって都立高校の大きな魅力とすべきと考えます。併せて見解を求めます。

○浜教育長 各都立高校では、教員が生徒一人一人の学習の状況を把握し、必要に応じて外部人材も活用しながら計画的に補習や面談を行い、学力の定着を図っております。
 また、授業や学校行事、部活動等における成果を広く発表する機会を設けるなど、生徒が充実感や達成感を得られ、自信を持つことができる取組を工夫して行っております。
 今後、都教育委員会は、いわゆる校内寺子屋実施校を含め、各学校が生徒の学び直しや習熟度に応じた学習の手だてを講じるよう、学校訪問等を通して助言するとともに、生徒の自己肯定感を高める優れた取組をホームページに掲載し、共有化を図るなど、個々の生徒の力を最大限に伸ばす教育を充実させてまいります。

○中山委員 また、職業の選択や専門的に学びたい分野への興味、関心が湧き、将来への夢や希望が見えてくることも高校生活の特徴の一つでございます。MLBで活躍する大谷選手も、高校時代に今の活躍の姿を夢に描き、人生設計を立案し、取組を開始しております。
 同様に、都立高校の生徒が将来の夢を具体的に描き、自分はこの分野で知見を深めたい、この分野に進むための学力をさらに伸ばしたいと、通常の授業の予習、復習の域を超えて模索を始めるときには、これを積極的に応援し、指導していただけることを念願するものです。
 この点での指導体制の整備と実践もまた、都立高校の新たな魅力にすべきと考えますが、見解を求めます。

○浜教育長 全ての都立高校で行われている都独自の教科、人間と社会では、生徒がよりよい生き方を主体的に選択できるよう、自分の将来像を描きながら働くことの意義を考えさせる指導等を行っております。
 また、総合的な探究の時間では、生徒が興味、関心のあることから課題を設定し、解決を図る学びを実現することで、自分の進路に結びつけることなどを目指しています。
 来年度、都教育委員会は、学校における指導の一層の充実を図るため、指導助言に当たる大学生等の外部人材の配置や企業等との連携を拡充するとともに、その成果を各校のホームページで発信するよう促すなど、生徒の夢や希望の実現に向け、学校の取組を後押ししてまいります。

○中山委員 ぜひよろしくお願いいたします。各学校が、先ほどの質問、今回の質問、それぞれホームページで発表していただけることがとても大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、都立高校の自転車用ヘルメットについて質問します。
 昨年四月の道路交通法の改正により、自転車を運転する場合にはヘルメットの着用が義務化されました。
 都教育委員会は、生徒の命を守るため、本年四月から自転車で通学する際に、ヘルメットの着用をルール化するとのことであります。
 一月以降、私の元に保護者や販売事業者から問合せが重なりました。他県では規格は統一する例もあり、都はどうするのか、どのくらいの数を仕入れればよいのか教えてほしいという声もございました。
 昨年の四月の改正道交法の施行の際には、品切れが発生しております。再度、品薄となれば、店側に苦情が集中しかねないと不安を抱いたようでもございました。
 都教育委員会は、ヘルメット着用に向けた取組を確実に進めるため、学校内での置き場所の工夫、デザインや色に対する生徒の希望への対応、SGマークなどによる安全性の担保、購入が間に合わない場合の猶予期間の設定など丁寧な対応を図るべきと考えます。見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会は、昨年十月に、都立学校生徒や保護者に対し、自転車乗車時にヘルメットの着用を促すチラシを配布するとともに、学校に対しては、必要に応じて配布する保管用ネットの活用等により、校内に置き場所を確保するよう周知をしたところでございます。
 また、本年一月以降、ビデオメッセージを配信するなど、学校と連携して、デザインや色にかかわらず、SGマーク等のついたヘルメットの着用を繰り返し促すとともに、こうした取組を自転車販売組合にも情報提供しております。
 本年四月から新たに自転車通学を始める生徒が購入が間に合わない場合には、購入後速やかに着用するよう各学校において指導することとしており、引き続き、都教育委員会は必要に応じて学校に助言をしてまいります。

○中山委員 都立高校生へのヘルメット着用の推進は極めて重要でございます。多くの都立高校生が自発的に気持ちよく着用に取り組めますよう、様々な不安に適切に対処していただくことをお願いいたします。
 介護などの福祉分野で人材確保の持続性を高めるためには、省人化の推進や働く人の負担緩和が重要であります。
 さきの代表質問では、産業労働局に対し、負担を緩和する機器の開発を都内中小企業の技術力を結集して行うことを求めました。
 この点、介護現場から利用者目線で開発者に提案を行いますことは、より効果的な開発につながり、利用者が自らの経験を基に、機材の利用方法などをコンサルティングしていけば、より活用が広がるものと考えます。
 利用者が実感したメリットを強調し、利用者目線に立った活用の促進を図るとともに、そうした声を集約して紹介、発信する機能を整えるべきです。
 加えて、利用者目線からの技術開発が進みますよう、産業労働局と連携するべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、デジタル機器導入時のコンサルティング経費等の補助に加えまして、次世代介護機器を導入する際のモデルとなる施設を育成し、その成果や職員の声を紹介するセミナーのほか、施設見学会などを開催しております。
 来年度からは、在宅サービスでの機器の活用を促進するため、モデル施設の対象を訪問や通所サービスの事業所に拡大して実施をいたします。
 また、中小企業支援を行う部署と協力いたしまして、介護機器を生産する会社が介護事業者と意見交換する機会を設け、現場のニーズを反映した機器の開発を促してまいります。

○中山委員 福祉局と産労局の連携が進めば、開発の進展と活用の普及とをパッケージで進める環境が整います。この点は、例えば、保健医療局と産業労働局との間でも同じです。
 また、車両の自動運転化や安全性の向上などでは、都市整備局や建設局と産業労働局、さらには、住宅設備性能の向上では住宅政策本部と、やはり産業労働局との連携も期待できるものと考えます。
 知事にお伺いいたしますが、今後、こうした局間の連携につきましては、必要が生じてから検討するのではなくて、むしろ東京の持つ新たなポテンシャルの発現につながるものと捉えて、積極的に推進し、政策の効果を一層高めるべきと考えます。ご見解をお伺いいたします。

○小池知事 時代が加速度的に変化する中で、人々の価値観には大きな変化が生じるほか、都市の成熟化によりまして、社会課題の多様化や複雑化が進んでおります。
 こうした状況におきましては、これまでの常識や発想にとらわれることなく、積極果敢に政策を展開していかなければなりません。
 これまで、チルドレンファーストの子供施策、また、脱炭素に向けたHTT、東京グリーンビズによる新たな緑のまちづくり、アクティブ長寿社会の実現など、全庁横断的な検討によりまして施策の充実を図ってまいりました。
 都政課題の解決に当たりましては、未来を見据えました鳥の目で全体を俯瞰し、そして新たな視点で政策を生み出すことが重要でございます。
 都民のニーズを的確に酌み取るとともに、常に時代の先を読んで、先手先手で施策を練り上げる、そして東京の持つポテンシャルを最大限発揮して、誰もが輝く未来の東京を実現してまいります。

○中山委員 ありがとうございました。局間連携の推進を新たな都政推進の柱としていただいて、東京が有するポテンシャルの最大限の発揮をぜひお願い申し上げます。
 次に、救援物資の輸送の問題を取り上げます。
 発災後三日間の都や区市町村からの物資提供であれ、四日目以降の国や他県からのプッシュ型の提供であれ、輸送に必要なのはドライバーとトラックであります。
 そのドライバーとトラックは、都と災害時の協定を結ぶ団体、具体的には東京都トラック協会と、AZ-COM丸和・支援ネットワークという二つの団体が供給してくださると聞いております。
 都のトラック協会には約三千社、AZ-COMグループには約千九百社の会員企業が登録していますが、どれほどトラックやドライバーが提供されても、どこに保管されている、どんな物資をどれだけ運んで、どちらの避難所に運んでもらうのかという指示がなければ、物資は必要とする場所に届きません。このオペレーションを誰が行うのかが大事であります。
 東京が被災地となった場合、救援活動は数か月にも及ぶかもしれず、この間のオペレーションを、自らも被害を被るトラック協会の会員企業の方々に、そのご努力に委ね、甘え続けることはできませんし、物理的にも困難と考えます。
 都としてどのような体制で臨むのか、まず見解を求めます。
 加えまして、仮に都職員が中心となってそのオペレーションを担うのだとすれば、日頃からの訓練が必要となります。しかし、そのオペレーションには、前提としてドライバーとトラックの情報が必要です。協定団体の会員企業が提供してくださるデータを一元的に取りまとめるデータ収集の体制整備が必要であります。
 データ収集をどのように行うのか、この点も併せて見解を求めます。

○野間総務局長 災害時に円滑な物資支援を行うため、都災害対策本部が物資調達・輸送調整等支援システムを活用し、支援物資の需給調整を行うこととしてございます。
 発災時、支援物資をより迅速で確実に輸送するためには、都が使用できるトラックの台数等の情報を速やかに把握し、輸送オペレーションを円滑に行う必要がございます。
 このため、輸送に係る協定団体が都からの要請を受けた後、手配可能な台数等の情報を都に提供することとなってございます。
 今後、災害時のトラック確保等に関する情報集約の一層の効率化について、協定団体と議論を重ねてまいります。

○中山委員 また一方で、都が管理する保管庫内の救援物資につきまして、期限が来た分を破棄して新品と取り替え、場合によりましては食品ロスの観点から、必要とされる方々に早めにお届けするといった一連のローリングが必要であります。
 ある区では、二百か所の保管庫の内容を、日頃二名の職員の方がエクセルで管理しているそうですが、二百か所ともなれば、ほぼ毎日一か所ずつのローリングが必要であり、とても対応できないということで外部委託を検討していると聞きます。
 都は、我が党の求めなどに応じまして、物資保管を担ってきた福祉局の生活福祉部の機能と職員を、令和六年度から総務局の総合防災部に移管させ、日頃のローリングから災害時対応までを一気通貫して総合防災部が担う体制としました。
 このタイミングを生かして、平時から災害時に至るまで、備蓄物資のローリングと搬出の業務について、一括して外部委託化することも選択肢の一つに、効率的な対応を図るべきと考えます。見解を求めます。

○野間総務局長 都は、災害時に物資供給オペレーションを確実に行うため、平時より直接物資を備蓄し保管管理することで、物資の状況を的確に把握してまいりました。
 また、物流事業者やトラック運送に係る業界団体と連携し、円滑に搬出、輸送する体制を構築してございます。
 令和六年度は、区市町村における物資備蓄や災害時に想定される都の備蓄倉庫から区市町村の物資拠点までの輸送状況等を調査し、備蓄物資の配置計画等を策定いたしますとともに、能登半島地震の検証を踏まえ、保管方法の在り方も検討し、より円滑な物資の供給に取り組んでまいります。

○中山委員 続きまして、フェーズフリートイレについて質問します。
 先日、我が党の同僚議員と一緒にビッグサイトの防災展を視察し、フェーズフリートイレが自治体に実際導入が始まっているということを伺いました。こちらがその実例でございます。
 短時間のうちに、し尿を汚物と水に分離させるだけでなく、臭いが全くしません。私も、二百回分のし尿を受け止めたというタンクの蓋を開けてもらいましたが、臭いがしないことを同僚議員と一緒に確認しました。
 太陽光発電と蓄電の装置もビルトインしており、停電時でも分離された水の上澄みをポンプでくみ取り、水洗トイレとして機能するとのことです。
 こうしたトイレの存在は、停電や断水、下水道も使えない状態での救助活動や避難生活でのQOLを飛躍的に向上させる可能性があり、注目に値します。
 こうしたフェーズフリーであり、かつ自己完結型ともいえる災害対応トイレを、都は、都民の避難先となる場所で日頃から常設化し、計画的に増やすべきと考えます。見解を求めます。

○野間総務局長 大規模災害発生時の不衛生な環境による被災者の健康被害を防ぐため、都は、昨年修正した地域防災計画において、衛生、快適性などの多様な視点で災害用トイレを確保し、避難環境の改善を図ることを新たに位置づけました。
 能登半島地震では、し尿処理装置がトイレ自体に備わっている自己処理型のトイレなど、平時、災害時、双方のフェーズに対応できるトイレが活用されました。
 これらの事例の検証を行うとともに、昨年度見直した被害想定や応急から復旧の局面に応じた多様なトイレの活用について整理し、災害時におけるトイレ環境の向上に向けた計画として取りまとめてまいります。

○中山委員 フェーズフリートイレであれ、マンホールトイレであれ、下水道が使えない状態で使用する場合には、最終的にはバキュームカーで運び、下水処理が必要となります。
 しかし、バキュームカーの台数は年々減少しておりまして、特に区部で激しく減少しております。
 産業廃棄物を取り扱う会社では一定の台数があると聞いておりますけれども、救助、避難のQOLを高める自己完結も可能なフェーズフリートイレが増えていくことに備えまして、バキュームカーについては、都は、都内の相互融通の体制や、近県との間での相互融通の体制を構築しておくべきと考えます。見解を求めます。

○栗岡環境局長 避難所の生活環境を保全するため、仮設トイレのし尿を着実に回収、処理することが重要でございます。
 地域防災計画では、都は、区市町村からの要請に基づき、被災していない他の自治体や事業者団体などに対しまして、し尿収集車の確保についての広域的な調整、応援要請を行うこととしてございます。
 また、昨年九月に改定しました災害廃棄物処理計画では、区市町村や一部事務組合で設置する災害廃棄物合同処理本部における平時の検討事項として、仮設トイレのし尿の収集運搬体制の構築等を示してございます。
 今後、能登半島地震の経験にも学びながら、災害発生時には、国が構築している広域処理の枠組みへの支援要請も含めまして、必要な台数の確保に積極的な役割を果たしてまいります。

○中山委員 続きまして、市場の老朽化対策について質問します。
 都内の十一の中央卸売市場は、豊洲を除きまして老朽化に直面しております。そのリニューアルには大変な費用を要します。
 しかし、その費用を捻出するためにも、商業施設などの合築等にも取り組むことが一つの選択肢ではないかと考えます。
 豊洲では、市場棟とにぎわい棟は別の建物でございました。しかし、ほかの市場では用地が限られておりますので、横並びで建てるのはよいが、合築などは駄目というわけではないかと思います。
 再整備に当たって、収入確保を図るための市場施設の一層の利活用を図るべきです。見解を求めます。

○早川中央卸売市場長 都は、収入確保策といたしまして、未利用であった市場施設の新たな活用など、各市場における資産の有効活用等の取組をこれまで鋭意実施してきております。
 さらなる収入確保に向けましては、平成三十年の卸売市場法の改正の趣旨を踏まえ、令和四年三月に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画に基づき、各市場の立地や特性に応じ、市場取引の活性化や収益性向上の観点から、施設の高度、複合的な利用を市場業者との合意形成を図りながら推進してまいります。

○中山委員 豊洲は移転開設でしたけれども、他の市場は、その場所で営業しながらのリニューアルになります。大変難しい。
 民間事業者ともしっかり意見交換を行うべきと思いますけれども、この点の見解をお伺いします。

○早川中央卸売市場長 都は今後、老朽化した市場について、再整備など大規模な施設整備により機能強化を図る場合には、市場関係者と十分に協議を重ねることはもとより、施設の高度、複合的な利用などの推進に向けまして、建築技術や資産の利活用など、お話の点も含めまして、より一層、多角的な観点に立ちながら検討を進めてまいります。

○中山委員 最後に、都立公園の駐車場の活用についてお伺いします。
 調べていただいたところ、舎人公園を例に取りますと、いわゆる夜はあまり使われていないということが明らかになりました。
 しかし、その近所では、トラックなどの違法駐車が盛んに増えておりまして、対策が必要でございます。
 社会貢献の意味も含めて、都立公園の夜間での駐車場の開放に向けてご努力いただきたいと思いますが、ご見解をお伺いいたします。

○中島東京都技監 都立公園の駐車場は、広域的な利用を前提として、車で来園する公園利用者のために設置しております。
 舎人公園の第一駐車場は夜間利用が少なく、来園者の利用を妨げることなく大型車両の駐車が可能な場所がございます。このため、地域への貢献として、公園周辺の路上に滞留している大型トラックの一時的な待機場所として活用することを検討いたします。
 今後、駐車場の利用方法や負担の在り方、公園利用者へのサービスに支障が生じない利用ルールなどについて、具体的な検討を進めてまいります。

○谷村副委員長 中山信行委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩します。
   午後三時二十六分休憩

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