予算特別委員会速記録第三号〔速報版〕

○小松副委員長 入江のぶこ委員の発言を許します。
   〔小松副委員長退席、菅原副委員長着席〕

○入江委員 お願いいたします。
 まず初めに、新年早々、能登半島地震や羽田空港事故で亡くなられた皆様に心よりお悔やみ申し上げます。そして、被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
 私もかつて、海外在住のときに突然、報道特派員だった夫が取材中の小型飛行機墜落事故で亡くなりました。予期せぬ事故や災害などで家族を亡くし、遺族と呼ばれる人々がその後立ち直っていくには、多くの困難とともに心の葛藤がございます。
 今回の能登半島地震により被災された方を都営住宅で受け入れることを都はいち早く表明いたしましたが、実績について伺います。

○山口住宅政策本部長 都は、令和六年能登半島地震の発災後、被災された方に対しまして、都営住宅への受入れを一月十二日から開始し、三月十日現在、三十三世帯が入居しております。
 各住戸には、入居後速やかに生活できるよう、エアコン、テレビ、冷蔵庫等の備品を設置しております。
 引き続き、希望者に対して都営住宅の提供を行ってまいります。

○入江委員 慣れない東京での暮らしを始めた被災者の皆様に寄り添い、きめ細やかな対応が必要だと考えております。
 都では、避難者向けに総合相談窓口を設置していますが、その取組内容と主な相談事項について伺います。

○野間総務局長 能登半島地震都内避難者総合相談窓口では、不安やストレスなど、心理的な困り事も含め、避難生活全般に関する相談を受け付けており、匿名でも利用できます。
 これまでに、住まいや医療、福祉サービスなどに関する相談が寄せられており、相談者の状況に応じ、専門相談窓口やお住まいの地域の機関などにつなぐなど、シームレスに対応してございます。
 引き続き、避難者の方々の実情を十分に踏まえ、きめ細かな支援を行ってまいります。

○入江委員 丁寧にご対応いただいていることが分かりました。引き続きのご支援をお願いいたします。
 さて、行政活動の財源の根幹は都税収入です。都内に事務所や事業所などがある企業の収益の堅調な推移により、法人事業税や法人都民税が増収となるなど、前年比で一千八百五十五億円増加いたしました。
 産業振興、経済浮揚、東京の魅力創出など、東京都がしっかりと旗を振り、政策を前に推し進めることで都税収入の増加につながります。経済の好循環を実現し、加えて、ワイズスペンディングの取組を一層徹底することで、充実した福祉政策や災害対策につながっていくと考えております。
 こうした観点から、経済活動の活性化に向けて、東京をさらに磨き上げるための施策について伺ってまいります。
 第四回定例会で私は、東京のナイトタイム観光を一層進めるべきとの立場から質疑を行い、知事からは、外国人旅行者が東京の夜を満喫するスポットや催しをつくり上げ、観光消費の増加に結びつける戦略的取組は重要との答弁をいただきました。都民ファーストの会は、来年度の重点施策の中で、東京の魅力向上とインバウンドの活性化を図るナイトタイムエコノミーの推進を提案し、知事のご認識と軌を一にしております。
 都はこれまで、ユニークベニューとして夜の美術館の活用のほか、夜景や食などの観光スポットの紹介、都庁舎でのプロジェクションマッピングなど、多面的な取組を進めてまいりました。二月に発表した三か年の観光産業振興の実行プランでもナイトタイム観光を重点分野の一つに位置づけており、さらなる取組の強化を期待しております。
 そこで、東京のナイトタイムの価値の向上という観点から、今後の観光振興にどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 外国人の旅行者が夜の時間帯を満喫し、観光消費が活況となるまちをつくり上げていきたい。東京には、そうした期待に応えることのできる、まずは十分なポテンシャルがございます。そして、様々なスポットや催しを戦略的に活用する、そういった取組が不可欠でございます。
 都庁舎はプロジェクションマッピングを投影することで、新たな光の輝きにより、観光資源としての存在感を発揮するようになりました。そして、夜の美術館などもユニークベニューで活用いたしまして、旅行者が食事と憩いを楽しむ機会を増やしてまいりたいと考えております。
 外国人が数多く行き交う夜の繁華街で斬新なアートと出会う非日常の演出などにも力を入れてまいります。
 東京の夜間の魅力を見いだし、観光資源として集客を図るため、有識者による検討の場を立ち上げて、多くの知見と、そしてアイデアを結集しまして、ナイトタイム観光の充実に向けました道筋をしっかりとつくり上げてまいります。

○入江委員 ご答弁ありがとうございます。東京のナイトタイムの魅力を見いだし、観光資源とするために新たな検討の場を立ち上げていただいたとのことで、期待しております。
 さて、各地域が特色を生かした夜間の観光振興の取組を推進することがナイトタイム観光を充実させていく上で重要です。民間の柔軟な発想を生かし、都の取組と併せてナイトタイム観光を点ではなく面として展開するよう、支援をさらに強化する必要がございます。
 そこで、来年度から実施するナイトタイムなどにおける観光促進事業により、どのように各地域の夜間観光を盛り上げていくのか、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の観光振興を進める上で、各地域がその特色を生かした誘客を確実に進めることは重要でございます。
 このため、都は来年度、区市町村や観光協会が地元の文化や自然を生かし、観光資源をつくり、夜間の旅行者誘致に結びつける取組等に支援を行います。
 具体的には、伝統的な祭りや自然豊かな景色などを活用し、夜間の誘客に役立つ新たなイベントを開催する場合、その経費について、最大三千万円を上限に三分の二を助成いたします。また、こうした取組の定着に向け、三年間にわたり継続的なサポートを行う仕組みといたします。さらに、この支援を受けた夜間のイベントなどに関し、ウェブサイトを通じ、幅広く情報提供をしてまいります。

○入江委員 地域でのナイトタイムの観光振興が定着するように、三年間、継続的にもサポートしていただくということで、評価いたします。
 さて、先般発表された「未来の東京」戦略 version up 二〇二四の中には、江戸の歴史、文化を世界遺産にとの記載がございます。
 前の質問でナイトタイムエコノミーについて取り上げましたが、先日行われた東京の観光振興を考える有識者会議においては、ナイトタイムの部会に加え、江戸の魅力に関する部会についても設置することになったと認識しております。
 江戸から続く伝統や文化は、まさにオールド・ミーツ・ニュー、海外の方々にも響く東京の大きな魅力です。この魅力を育て上げていくことが東京のプレゼンスの向上にもつながると思っております。
 改めて、世界遺産にという言葉に込められた思いを知事に伺います。

○小池知事 約二百六十年続いた江戸でございます。当時は世界最大の人口を有しておりました。そして、安定した平和社会の中で多彩な文化が育まれてまいりました。
 浮世絵、風呂敷、そして、のれんなど、今では世界に広く知られる文化が栄え、そして水道などのインフラ技術、今もその風格を残しますお寺や神社など、寺社等の建造物に加えまして、暮らしのあらゆる場面でリサイクルやリユースが行われて循環型社会が成立をいたしておりました。
 今も受け継がれる江戸の歴史、文化におきましては、持続可能性が求められる現代において、社会課題を解決するポテンシャルが秘められております。江戸から続く有形無形の魅力を磨き上げるため、有識者からのご助言もいただきながら、観光、文化、まちづくり、歴史など、様々な観点から深掘りをいたしまして、世界に誇る遺産として後世へと継承していくという考えであります。
 江戸の英知で世界を引きつけ、東京のプレゼンスを向上させてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。江戸時代から現在まで残る伝統的な知恵や技術、知事にお話しいただきましたが、ここに現代文化やテクノロジーと融合させることで、また新しい価値も生まれてくると考えております。世界を視野に、機運を高めながら、ぜひ取組を前に進めていただきたいです。
 さて、東京の観光都市としての大きな魅力の一つが食であり、旅行者の誘致に最大限生かしていく必要がございます。
 今年度は、要望いたしまして、新たにシェフの方と素材の産地の方とが連携したガストロノミーツーリズムの魅力を発信する取組も始まり、奥多摩のワサビやごせき晩生コマツナの収穫を体験するなどのモデルツアーも実施されました。
 食の魅力の強化は、PRIME観光都市・東京のプランでも、今後重点的に取り組む分野の一つとなっております。食の魅力を生かした観光振興について、今後の取組を伺います。

○坂本産業労働局長 都内を訪れる国内外の旅行者を増やす上で、東京の優れた食の魅力を生かした観光振興は重要でございます。
 このため、都は来年度、より効果的な旅行者誘致に向け、都の食の魅力を国内外のメディアなどが直接体験する機会を設けます。
 具体的には、東京で評判の料理店のシェフなどを講師として招き、旅行雑誌等のメディアやグルメ料理に関心を持つ方に人気のインフルエンサーが食材の解説を受け、試食を行うイベントを六回にわたり開催いたします。
 これに加えまして、都内で生産した野菜などを用いた料理を楽しむ観光の魅力をインフルエンサーなどを通じ、幅広く紹介する取組も新たに行います。

○入江委員 ありがとうございます。食の世界は、コロナ禍でも大変ダメージを受けた産業でもございます。新たな魅力創出、そして、東京の食を世界に向けてもっと発信していただくよう、お願い申し上げます。
 都内を訪れている外国人旅行者の方々がヘアメークや着つけなど、美容を体験している姿を頻繁に目にするようになりました。東京には質の高い美容サービスを提供する事業者が数多く存在しており、東京の美容技術は貴重な観光資源です。
 そこで、外国人旅行者の観光消費の拡大をさらに図っていくためには、美容を新たな観光コンテンツとして活用する取組を都として積極的に後押しすべきと考えます。見解を伺います。

○坂本産業労働局長 海外からの誘客に向け、東京を訪れる外国人旅行者が良質なサービスを体験する機会を増やすことは重要でございます。
 このため、都は来年度、海外からの旅行者向けにヘアセット等の美容サービスを新たな観光資源とする取組への支援を開始いたします。
 具体的には、美容室などを運営する事業者が外国人旅行者を受け入れるため、サービス内容を多言語で伝える機器などを整備する場合に必要となる経費について、その三分の二を最大二百万円まで助成をいたします。
 また、優れた美容サービスをPRするため、外国人のインフルエンサーをモニターとするツアーを実施し、SNS等を活用した幅広い発信に結びつけてまいります。

○入江委員 日本の美容技術の高さを発信する新たな取組でございますので、大変期待しております。
 さて、SusHi Tech Tokyo 二〇二四は、持続可能な未来に向けて、世界の都市のリーダーやスタートアップや投資家が一堂に会し、イノベーションを生み出すとともに、都民に未来の姿をアピールしていただくし、イメージしていただく、またとない機会であり、大いに期待しております。
 四月末から開催が目前に迫ったショーケースプログラムでは、最先端テクノロジーに支えられた魅力的な東京の未来を多くの方に体感していただきたいです。
 改めて、このプログラムの具体的な中身、見どころについて伺います。

○古谷政策企画局長 ショーケースプログラムでは、都民や国内外からの来場者が最先端技術の実装された未来の東京を体感できる様々な仕掛けを展開してまいります。
 具体的には、VR映像による没入型の宇宙旅行体験や日常に溶け込んだロボットの姿、空飛ぶ車や自動運転など、テクノロジーが示す未来の可能性を実感していただきます。
 また、食の未来をテーマに、環境負荷の少ない国産陸上養殖サーモン、未利用食材などのアップサイクルフード、植物由来のプラントベースフードなどを提供してまいります。
 こうした体験により、持続可能な未来への共感の輪を広げ、一人一人の行動変容のきっかけとしてまいります。

○入江委員 ベイエリアの複数の会場で、今ご紹介いただいたような様々なコンテンツが展開されております。そして、そのいろいろなエリアを効果的に周遊していただく策の一つとしてNFTを活用することが有効です。
 第四回定例会の私の質問に対して、知事は、ショーケースプログラムでNFTを活用することを表明されました。NFTは、ブロックチェーンを活用し、デジタル資産に唯一無二の価値を与える技術であり、都民の皆様も気軽に触れることができる新しいテクノロジーとして期待しております。
 都がこのような大規模イベントで初めてNFTを使うことは、この技術に対する理解を広げていくために大きな意義があると考えます。具体的な検討状況について伺います。

○古谷政策企画局長 ショーケースプログラムでは、有明アリーナをはじめとした四つの会場ごとに来訪記念として、プログラムにちなんだ画像等のNFTを配布し、集客や会場間の回遊性向上を図ってまいります。
 この新しい技術を気軽に楽しみながら体験いただくため、QRコードで読み取る簡単な操作で入手可能とするとともに、各会場オリジナルのデザインで人々を引きつけ、全て集めた方には、さらに特別なNFTを配布するなど、工夫を凝らしてまいります。
 こうした仕掛けも駆使しながら、多くの方にご来場いただき、未来を支える様々なテクノロジーへの理解と共感を促してまいります。

○入江委員 来場された方が記念として大変喜ばれ、そして、話題となるデザインとなるスシテックNFTを期待しております。
 私はこれまで、ベイエリア、臨海副都心の魅力向上やにぎわい創出に向けた取組の重要性について、本会議や常任委員会の場で取り上げてまいりました。SusHi Tech Tokyo 二〇二四が開催される約一か月間は、会場となる臨海副都心に国内外から多くの方が訪れることが予想されます。
 開催期間に合わせ、臨海副都心の魅力を体感してもらえる取組を積極的に展開すべきと考えます。見解を伺います。

○松川港湾局長 SusHi Tech Tokyo 二〇二四の開催に伴い、臨海副都心への注目が高まるこの機を捉え、まちの魅力を積極的にPRし、にぎわい創出につなげていくことは重要でございます。
 このため、都は、臨海副都心のナイトコンテンツとして人気の高いアートイルミネーションをシンボルプロムナード公園の夢の広場全域で華やかに展開してまいります。
 また、これまで取り組んでまいりました自動運転に関し、多くの方が乗車して新たな技術を体験していただけるよう、会場がある複数のエリアをつなぐ自動運転バスを運行いたします。これまで推進してまいりましたアートや先端技術を活用した取組を国内外から多くの来訪者に楽しんでいただくことを通じて、臨海副都心の魅力を広く発信してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。SusHi Tech Tokyo 二〇二四のショーケースプログラムとともに臨海副都心のプロモーションを重層的に展開することによって、大きな相乗効果が生み出されることを期待しております。
 さて、第四回定例会で、私は、世界に対して東京のアートシーンを大きく発信するイベントを実現するべきと質問いたしまして、知事からは、芸術文化で躍動する都市東京の実現に向け、多様な魅力やポテンシャルを持つエリアを舞台とした新たなアートイベントについて議論を深めていくとご答弁をいただきました。これを受け、令和六年度予算案に、ベイエリアにおけるアートイベントの予算を新たに計上したことを高く評価しております。
 また、東京文化戦略二〇二三においても先進的で発信力のあるフェスティバルの展開により、東京のブランド力の向上を図るとしております。
 東京の芸術文化の魅力を世界に発信するとともに、多くの方々にアートに親しんでいただくためにベイエリアを舞台にしたアートイベントを世界からも評価される取組へと育てていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 世界につながる海の玄関口でありますロケーションや、お台場の歴史的な成り立ちなどに着目をいたしまして、ベイエリアにおいて作品の展示を行う国際的なアートイベントを展開いたします。
 開催に当たりましては、地元のまちづくり協議会や企業とも連携をし、官民の力を結集した発信力の高いイベントとしてまいります。
 その成功に向け、来年度は、世界から多様な人々が集うSusHi Tech Tokyo 二〇二四の開催時期に合わせてキックオフとなるイベントを実施するなど、国内外からの注目度を高め、期待感を醸成してまいります。

○入江委員 全国を見回しますと、都市型の国際芸術祭はございますが、首都東京で行うアートイベントであれば、国内外に発信できる、世界に誇れる国際芸術祭に育てていただきたいと思います。
 アートの魅力は多種多様ですが、コンピューターのアルゴリズムによって生成されるデジタルアート作品であるジェネラティブアートが、昨今、非常に注目されております。
 都では、令和四年十月にアートとデジタルテクノロジーの創造拠点であるシビック・クリエイティブ・ベース東京、CCBTがオープンいたしました。
 私も先月、恵比寿映像祭で、CCBTから生み出される作品を鑑賞しましたが、東京らしい最先端で実験的な取組を展開していると実感いたしました。
 CCBTという拠点ができて一年を超えましたが、CCBTのこれまでの取組の実績と令和六年度の主な取組内容について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 CCBTは、オープン以来、アーティストや様々な領域のクリエーターと共に新たな表現の創造を目指して多様なプログラムを展開してまいりました。
 AIと人間の知能ゲームやロボットによるダンスパフォーマンスなどの作品を、拠点内のみならず、都内各所で開催されたアートイベントやオーストリアでのフェスティバルにも出展して紹介をしてまいりました。
 令和六年度は文化機関や大学、企業などとも連携した独自のワークショップの開発にも着手をいたしまして、子供から大人まで多くの方が楽しみながら先進的な作品に触れる取組を充実させてまいります。

○入江委員 CCBTはアーティストやクリエーターの皆さんからも大変評価が高いです。今後は、CCBTで子供たちがメディアアートなどを学べる機会もさらに増やしていただきたいと思っております。
 新しい芸術文化を創造するためには、アートやエンターテインメントの担い手であるアーティストやスタッフなどの皆様が活動しやすい環境をつくることが重要です。
 一方、残念ながら昨今の芸能界では、ハラスメントや不適切な契約の問題などがいまだに報道されており、心を痛めております。特に、フリーランスや小規模団体など不安定な立場に置かれている人が多く、こうした方々を支えることが不可欠です。
 そうした中、都は、アーティストなどの切実な声を受けて、東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトを昨年十月に総合オープンいたしました。アーティストや関係者からは、気軽に相談できる場ができて大変ありがたいという声が届いております。
 アートノトをさらに多くの方に利用していただき、より一層フリーランスや小規模団体で活動する方々をサポートできるよう取組を進めるべきと考えます。見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 昨年十月のオープン以降、アートノトには、活動資金や契約、ハラスメントなどの多岐にわたる相談が寄せられております。来年度は、アートイベント等を活用した出張相談を本格的に開始をいたしまして、気軽に対面で相談できる機会を充実いたします。
 また、いわゆるフリーランス新法など社会の動きに合わせて必要な情報がタイムリーに届くようプッシュ型の情報提供を実施するほか、ハラスメント防止など創作環境の整備に取り組む主催者を対象に講座を行うなど、アーティストの持続的な活動をさらに後押ししてまいります。

○入江委員 さらに活動を重層的にしていただくということが分かりました。
 匿名でもメールで相談できたりしますので、多くのアーティストの関係者の皆さんにお使いいただきたいと思っております。アートノトの活動により、芸術文化、エンターテインメントに関わる全ての方々の創作環境が向上することを期待しております。
 さて、アートやエンターテインメントは人々を引きつける都市の個性であるとともに、他者とのつながりや信頼を深めるためにも大変重要です。
 都はコロナ禍の中、いち早くアーティスト支援に取り組むとともに、文化戦略を策定し、先ほどの質疑で触れましたが、CCBTやアートノトなどの芸術文化の新たな創造交流拠点や支援拠点を整備するほか、共生社会の実現を目指したアール・ブリュットの振興などにも取り組み、東京の芸術文化を発展させてまいりました。
 東京には、伝統的なものから革新的なものまで多種多様な芸術文化が集積しており、令和七年の世界陸上やデフリンピックは世界に東京の芸術文化の魅力をPRする絶好の機会となります。
 そこで、アートとエンターテインメントの力を活用し、東京のまちの魅力を高めるとともに、人々のウエルビーイングに資する取組を一層進めていくべきと考えます。知事の見解を伺います。

○小池知事 国際スポーツ大会を契機に世界の注目が東京へ集まる中で、アートやエンターテインメントの力で都市の存在感を発揮して、国内外の人々との絆を深めることは重要でございます。
 来年度からは、新たにベイエリアを舞台にした国際的なアートイベントや工事現場の仮囲いを活用しましたアートプロジェクトなど様々な取組を展開しまして、都市の魅力を発信してまいります。
 また、誰もが輝く共生社会の共感を呼び起こして、その実現に向けた推進力となりますように、世界陸上、そしてデフリンピックに向けた文化プログラムを展開してまいります。
 まちづくりやダイバーシティの推進など様々な分野に芸術文化の視点を取り入れる、そのことによって社会に多様な彩りをもたらし、人が輝く活力あふれる都市を築いてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。アートやエンターテインメントのあふれる東京、そして、誰もがそうしたものに触れられる環境をつくっていただきたいと思っております。
 さて、東京都が昨年有楽町にプレオープンした一大支援拠点、Tokyo Innovation Base、TIBは、連日様々なイベントなどを開催し、先月にはワークスペースやコンシェルジュサービスの提供も始まりました。また、国内外から多くの支援機関、投資家、行政関係者などが連日来訪しており、都庁職員も交流し、顔の見える関係づくりを進めているところです。
 SusHi Tech Tokyo 二〇二四が開催される五月にはTIBもグランドオープンとなり、三階にスタートアップと支援者の交流エリアが整備されるなど、施設としては完成形を迎えると伺っております。
 しかし、TIBの真骨頂は、こうしたハードの部分のみにあるのではなく、人と人をつなぐ結節点としての機能にあると私は考えております。
 国内外に幅広い人的ネットワークを持つ方々などキープレーヤーを巻き込みながら、TIBをスタートアップやその支援者が集まる大きなプラットフォームへと育てていく必要があると考えます。都の今後の取組を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 都は来年度、Tokyo Innovation Base、TIBの本格稼働に伴い、人々をつなぐ結節点としての機能をさらに強化いたします。
 国内外の支援者との幅広いネットワークを持つ複数の団体などを選定し、都と連携してTIBの活動を担うコミュニティづくりを進めてまいります。また、経験豊富な経営者や企業内人材の方々をメンターとして登録し、スタートアップに引き合わせる仕組みを導入いたします。
 さらに、起業を志す学生が気軽に集まるたまり場をつくるプロジェクトを学生主導で展開いたします。
 こうした多様な主体の賛同と協力を得ながら、人々が集い、交流する大きなプラットフォームをつくり上げてまいります。

○入江委員 幅広い人々の協働により、TIBの活動を発展させていくことが私も非常に重要だと思っております。
 先日のTIBで開催されたデジタル証券、セキュリティトークンの課題と展望のシンポジウムでは私も大きな熱気を感じました。
 Web3の世界では、すさまじいスピードでイノベーションが起きております。ブロックチェーン技術を活用して発行されるデジタル証券、セキュリティトークンは、従来の有価証券に比べて小口での発行が可能なことから、個人投資家の新たな投資対象となります。また、ブロックチェーンにより、資金調達者と企業やプロジェクトを応援したい顧客が直接つながったりファンが自分の推しとつながったりすることができ、エンゲージメントが高められるという特徴がございます。
 こうしたポテンシャルがあるデジタル証券ですが、発行事例はまだ少なく黎明期にあります。都が今年度から、全国に先駆けて発行費用の補助など支援に取り組んでいることは大変意義のあることです。
 今回のシンポジウムを糧に、都は今後、デジタル証券の発行拡大に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 今年度、都は、黎明期にあるデジタル証券の発行事例を創出するため、発行に係るシステムや専門家の経費への支援を開始し、これまで五件の取組を後押ししてまいりました。
 シンポジウムでは、都が支援した三社や専門家が登壇し、デジタル証券の発行は顧客マーケティングとして有効であることや、誰もが購入しやすいようアプリの画面遷移の工夫が重要であるなどの議論が交わされました。
 こうした取組を通じて発行機運の醸成を図るとともに、来年度はSDGs債やスタートアップへの小口投資など先進的な取組を重点的に後押しするなど支援を拡充することにより、多様な発行事例を生み出し、デジタル証券市場のさらなる発展につなげてまいります。

○入江委員 都が関係者と共に議論の枠組みをつくり、市場を育てていくことは、業界へのメッセージにもなります。引き続き、この最先端のデジタル化の取組を進めていただきたいと思います。
 Web3のような最先端のテクノロジーを活用したイノベーションを起こすには、国や地域の枠を超えたグローバルな交流が重要です。世界ではデジタルやスマートシティ、フィンテックなど様々な分野に焦点を当てたグローバルイベントが数多く開催されています。
 昨年都も、Web3のイベントを後援していますが、こうしたグローバルな交流イベントが日本でもっと増えてほしいと思っております。その際には、グローバルスタンダードである英語でのセッションなどを強く意識していくことが重要です。
 グローバルスタンダードを備えた交流をさらに進めるため、都はどのように取り組むのか伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 スタートアップ戦略で掲げた、初めから世界を目指すボーングローバルを実践するべく、五月に開催するSusHi Tech Tokyoでは、主要なセッションや館内表示を英語で統一し、グローバルイベントにふさわしい内容といたします。
 また、民間イベントにつきましても、国際的な交流を促進するため、都は来年度、新たに英語によるピッチや外国人起業家による講演会などを企画、実施し、多くの海外人材の呼び込みに取り組む事業者への支援を開始いたします。
 様々な分野の取組を支援することで、グローバルスタンダードな交流を生み出してまいります。

○入江委員 特に、次世代を担うZ世代の起業家がボーダーレスでワールドワイドに活躍する上では、日本にいても英語で世界と交流する機会が大変必要です。今回の新たな支援を活用していただきたいと思っております。
 さて、五月には、アジア最大規模となるSusHi Tech Tokyo 二〇二四のグローバルスタートアッププログラムの開催を控えております。
 TIBにおける人と人をつなぐ活動の成果を大いに生かし、そして連動させながら、SusHi Tech Tokyo 二〇二四を、世界中から人々が集い、イノベーションを生み出すビッグイベントとして成功させていただきたいと思います。知事の見解を伺います。

○小池知事 国境や垣根を越えた人と人との結びつきが世の中を変える大きなイノベーションにつながってまいります。私はこうした思いで世界各地に赴きまして、多くの方々と対話を重ね、一つずつ関係を築いてまいりました。
 こうしたつながりづくりを、Tokyo Innovation Base、TIBは、結節点といたしまして、これをノードといいますけれども、日々実践をしてまいります。
 こうして培ったつながりを生かしまして、世界中の人々と共にイノベーションの芽を見いだす場がSusHi Tech Tokyoでございます。
 大企業や世界の都市が技術を競い合うパビリオン展示や、海外の著名な起業家によりますセッション、そしてまた、投資家との出会いや、さらには、同時に開催される様々な関連イベント、これを通じて人々の新たな交流を生み出してまいります。
 毎年五月は東京に行こう、東京で会いましょうと、これが世界の合い言葉になりますように、様々なプレーヤーの皆さんと力を合わせて、SusHi Tech Tokyoを、アジアを代表するグローバルイベントへと成長させてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。毎年五月は新緑が美しい東京でございます。毎年五月に東京で会おう、すばらしいと思います。世界のプレーヤーの皆さんが、五月は東京、例えば一月はラスベガスのCESとか、いろいろありますけれども、そういうふうになっていただけたらと思います。
 TIBとSusHi Tech Tokyoを有機的に連動して毎年のサイクルにしていくことが重要だと考えております。そのことが、東京、日本のエコシステムを大きくしていくことにつながると思います。
 さて、私たちは、平成三十年に都議会で初めてeスポーツについて取り上げ、スポーツ文化産業としてのポテンシャルの高さを訴え、都へも産業振興の後押しを求めてまいりました。私たちの求めに応じて都が開催した最初のeスポーツフェスタから五年が経過し、年々、参加者、来場者ともに増加傾向で、イベントとしては成熟してきたものと認識しております。
 今後、この取組をさらに昇華させるために、三点提案いたします。
 まず、都として、年一回イベントを開催するだけではなく、より多くの都民がeスポーツを楽しめる機会を提供すること、次に、eスポーツのワールドカップ開催を計画しているサウジアラビアの高校生との交流などにより、国際的な連携を深めること、そして、高齢者、障害者、不登校の子供たちなどの観点から、eスポーツの活用を普及することで産業の裾野を広げることです。
 都として、東京eスポーツフェスタをさらに発展させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 eスポーツについてのお尋ねでございます。
 eスポーツは、最先端のデジタル技術を駆使して、リモートで場所を問わずゲームの腕を競い合う新たな競技といたしまして、これから、ますます大きな発展が見込まれております。また、関連する産業に優れた影響を及ぼすことも期待ができるところでございます。
 このポテンシャルを東京から国内外に広げていくという取組は欠かせません。
 都におきましては、いち早くこの可能性に着目して、これまで五回にわたってeスポーツのイベントを開催いたしまして、数多くの集客、そしてビジネス展開に結びつけてまいりました。
 こうした催しを増やしまして、ファンの裾野を広げるほか、高齢者や障害を持つ方なども誰もが楽しめる競技として普及を進め、そして、競技で使用する機器を生み出す産業分野の活性化にも結びつけてまいりたいと考えております。
 世界ではeスポーツの展開は目覚ましく、今お話がございましたように、例えばサウジアラビアなどでも国際大会が開かれまして、活況を呈しております。
 外国でeスポーツを楽しむ多くの若者と東京の学生などとが都内のイベントで競技を通じて交流する機会を生み出す検討も進めてまいります。
 これらにより、東京でのeスポーツを新たな発展のステージへと飛躍させてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。eスポーツの国際大会、海外と東京の学生などが都内で交流する機会というのを大変期待しております。
 さて、都民ファーストの会の要望を踏まえ、XRやメタバース、Web3、AIなどの新たな産業分野のビジネスを後押しする場として、本年一月、TOKYOXR・メタバース & コンテンツビジネスワールドが初開催されました。
 クリエーターやアーティストなどのコンテンツ関連事業者を含め、都内産業をさらに成長に導く第一歩として評価しております。
 私も、開催期間である三日間を通しまして会場を訪れましたが、イベントの熱気を肌で感じるとともに、出展者やセミナー講師の方々などとも意見交換を行い、改めて、この分野の成長の可能性を実感いたしました。
 本展示会での開催実績について伺うとともに、今回の開催を踏まえ、次回の開催に向けてどのような工夫を行っていこうとしているのか、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、デジタル空間でのビジネスを後押しするため、この一月に、XRやメタバースに係る事業者とコンテンツをつくるクリエーター等が一堂に会する展示会を開催いたしました。
 これには約百六十の事業者が参加し、三日間で約一万人の来場があり、商談などのきっかけづくりに役立ちました。
 来年度は、将来の成長の期待できる最新の技術を使う事業者の出展を増やす取組を進めます。
 具体的には、ブロックチェーンの技術により複製のできないコンテンツをつくり、その取引を図るWeb3のほか、AI関連の事業者への出展の働きかけを強化いたします。
 また、より多くの来場者の見込める時期を選び、開催する工夫も進めてまいります。

○入江委員 多くのクリエーターやアーティストの皆さんからのご要望も受けて初開催していただいたことを大変評価しております。本展示会が、参加者にとって新たな産業分野でビジネスを拡大するきっかけづくりの場となるよう、今回の結果をしっかりと分析し、次回の開催に生かしていただきたいです。
 また、多くの最新の領域がさらに参加しやすくなるように、イベントタイトルの再検討についても要望しておきます。
 さて、中小企業の従業員の賃上げについて伺います。
 変動はありますけれども、日経平均株価の上昇や円安の傾向が続いております。世界の投資先が日本に向かっているのではないかと期待しているところでございます。日本企業への注目が今また集まる中、中小企業がDXやAIなどを活用し、企業価値を高めて資金を呼び込み、従業員の賃上げにつなげる好循環を図ることが重要です。
 都は、都民ファーストの会の要望に応じ、デジタル化の支援策において、令和四年第三回都議会定例会の補正予算以降、賃上げの取組をする場合に補助率を高める取組を開始いたしました。従業員の収入の増加に結びつける事業者は、四十三社中十六社、約四割となったことを令和四年度決算特別委員会で確認しております。
 都内中小企業がDXやAIなどを活用し、得られた成果が従業員の賃上げにつながるよう、より一層後押ししていくべきと考えます。見解を伺います。

○坂本産業労働局長 これまで都は、中小企業が生産性向上に役立つデジタル機器や競争力を強化する最新設備等を導入する際の支援について、従業員の収入増加を図る場合、手厚い助成を行い、賃上げの実現を後押ししてまいりました。
 今後は、DXを活用した新たな事業展開やイノベーションの創出に向けて新製品の生産に取り組むために必要な設備投資へのサポートに関しましても、その成果を賃上げにつなげる場合は、助成率を三分の二から四分の三に引き上げ、取組の促進を図ります。
 また、デジタルの力で生産性を高め賃上げに結びつける助成の限度額を三百万円から三千万円に引き上げます。
 これらによりまして、中小企業の賃上げを支援してまいります。

○入江委員 大変後押しする、拡大していただくということで、評価いたします。大変重要な取組ですので、しっかりと中小企業を後押ししていただきたいと思います。
 さて、卵子凍結については、都が全国で初めて支援したことがきっかけとなり、世間の関心が高まりました。その結果、例えば凍結卵子に生じた損害を補償する保険が開発されるなど、社会環境にも変化が生まれております。多くの女性の希望に確実に応えていくことが必要です。
 また、安心して卵子凍結を行うには、家庭や職場の理解が欠かせません。第四回定例会で都民の理解を促す取組を求めた私の質問に対して、都民に向けた手引を作成するとの答弁をいただいており、評価しております。
 卵子凍結に関心や希望のある女性が選択しやすくなるよう、さらなる取組が必要と考えます。令和六年度の卵子凍結への支援について伺います。

○佐藤福祉局長 都は今年度、卵子凍結に係る助成の受け付けを昨年十月に開始いたしまして、多くの方から申請をいただいております。これを踏まえまして、来年度は、助成件数の予算規模を二百件から二千件へと十倍に拡大をいたします。
 また、家庭や職場など、周囲の方にも卵子凍結について正しい知識を持っていただけるよう、年代や性別を問わず、広く都民を対象に、卵子凍結のメリット、デメリットや採卵から凍結までの医療行為の流れなどを説明するセミナーを新たに開催いたします。
 今後とも、希望する方が安全かつ安心して卵子凍結を行えるよう、支援をしてまいります。

○入江委員 都民のニーズを反映しまして、予算規模が十倍となることを高く評価いたします。多様な皆様が様々な選択をして、この東京で幸せに、そして、希望を持って生きていただけるよう、取り組んでまいります。
 終わります。ありがとうございました。(拍手)

○菅原副委員長 入江のぶこ委員の発言は終わりました。
     

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