予算特別委員会速記録第二号〔速報版〕

   午後四時五十五分開議

○谷村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 まつば多美子理事の発言を許します。

○まつば委員 都議会公明党を代表して質問いたします。
 令和六年度予算案では、子供施策の予算が令和五年度の一兆六千億円から一兆八千億円へと増額されるなど、都議会公明党が一貫して求めてきた人への投資が積極的に予算化されています。また、今回の予算案では、高校授業料実質無償化の所得制限撤廃や給食費の負担軽減など、都議会公明党が提言してきた施策が随所に盛り込まれており、高く評価します。
 都議会公明党は、平成十三年度、今から二十年以上も前から、従来の会計手法を抜本的に改める新たな公会計制度の導入を訴え、効率的、効果的な行政運営の実現を目指してまいりました。
 都は、都議会公明党の提案を踏まえ、平成十八年度にこの新公会計制度を導入し、平成十九年度予算編成からは、この制度も分析のツールとして活用した事業評価の取組を開始することで、継続的に事業の見直しを重ねてきたわけであります。
 そこでまず、この新公会計制度を導入した平成十九年度予算編成以降の事業評価の取組の成果と財源確保額について説明を求めます。

○山下財務局長 都は、限られた財源の中、都政の諸課題に対応するため、予算編成の一環として事業評価を実施しており、無駄をなくす取組の徹底や、一つ一つの事業の効率性、実効性の向上に取り組んでおります。
 評価に当たりましては、事業別財務諸表を活用した分析、事業終期の設定による事後検証の徹底、専門的視点からのチェックなど、毎年度、創意工夫を凝らしながら着実に実績を積み重ねてまいりました。
 こうした取組により、令和六年度予算編成では過去最高となる一千二百六十六億円の財源を確保し、事業評価の取組を開始した平成十九年度以降、十八年間の合計で約一兆円の財源確保へとつなげたところでございます。

○まつば委員 平成十九年度予算編成からの継続した取組により、これまでの累計で実に一兆円もの財源を確保してきたことは大変注目すべきことです。また、近年、都税収入は堅調に推移しているわけでありますが、リーマンショックの際には一年間で一兆円もの税収減に見舞われたわけであります。
 待ったなしの少子化への対応や激甚化する風水害への備えなど、都民の命と財産を守るため、膨大な財政需要を抱え、景気の影響を受けやすい歳入構造にある都が持続可能な財政運営を行うためには、基金や都債を戦略的に活用していくことが重要であります。
 今後も東京の抱える課題に着実に対応していくため、基金や都債を戦略的に活用し、急激な景気変動などにも耐え得る強靱な財政基盤を確保すべきと考えます。知事の見解を伺います。

○小池知事 都は、都市の強靱化や少子高齢化への対応など、東京、日本の将来を見据えました施策を積極的に展開していかなければなりません。
 これらの取組を安定的かつ継続的に推進していくためには、年度間の財源調整機能を持つ基金と都債を戦略的に活用することが重要でございます。
 こうした考えの下で、令和五年度の最終補正予算におきましては、税収増や不断の見直しによって生み出した財源を活用し、約三千五百億円を基金へと積み立てたところでございます。
 また、六年度の予算におきましては、未来への投資に積極的に活用しつつ、年度末における基金残高は、ご指摘のリーマンショック、その前とほぼ同水準の一・六兆円を確保しております。
 さらに、都債につきましては、将来世代の負担を考慮しまして計画的に活用しつつ、起債依存度を三・七%と、国や地方全体と比べますと低い水準に維持するなど、健全な財政運営を行っております。
 今後も、基金や都債などの財政対応力を最大限活用いたしまして、都政に課せられた使命を確実に果たしてまいります。

○まつば委員 事業評価による見直しの徹底、そして基金、都債の戦略的な活用。こうした財政運営上の工夫を積み重ねることで、様々な新たな施策展開がなされていると考えております。
 そこで、来年度予算への小池知事への都議会公明党の要望の中で、最重点要望として三十一の要望をいたしましたが、そのうちの二点についてまず質問をいたします。
 一点目は、都立、私立高校の授業料の実質無償化の所得制限の撤廃であります。
 私立高校授業料の実質無償化につきましては、都議会公明党の提案で、平成二十九年、二〇一七年度、年収七百六十万円未満世帯からスタートいたしまして、国が就学支援金を拡充し、令和二年、二〇二〇年度に年収九百十万円未満世帯、都立高校と同じ所得制限まで対象を大幅に拡大をいたしたわけです。また、この間、通信制高校も対象になりました。そして、いよいよ令和六年、二〇二四年度、所得制限の撤廃ということでございます。
 都議会公明党の要望を踏まえて、来年度予算案に盛り込んだ小池知事の決断に敬意を表します。
 保護者負担の軽減につきましては、二〇二〇年第四回定例会代表質問におきまして、保護者が実際に補助金を受け取るまでに数か月を要しており、改善が必要と訴えて以来、代表質問で度々取り上げてまいりました。十二月まで九か月間、補助金を受け取るまで時間を要しておりましたが、今年度、令和五年度から補助金支給の早期化が図られております。
 そこでまず、その内容と支給時期について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 私立高校授業料の保護者負担軽減につきましては、授業料を負担している保護者にできる限り早期に補助金が支給できるよう、昨年度まで書類による申請でございましたが、今年度からオンライン申請とすることで手続の簡素化及び審査事務の効率化を図りまして、支給時期をこれまでの十二月から十月へと前倒しをしてございます。

○まつば委員 二か月前倒しができたという、そういうことでした。
 モニターをご覧いただきたいと思います。私立高校の授業料実質無償化に関する国と都の補助額を説明させていただきたいと思います。
 年間の補助額である四十八万四千円のうち、五百九十万円未満世帯の方々につきましては、国の財源で三十九万六千円、都の財源で八万八千円を支給させていただいております。九百十万円未満五百九十万円以上世帯のご家庭につきましては、国の財源から十一万八千八百円、都の財源から三十六万五千二百円ということでございます。そして、九百十万円以上につきましては、都の財源で全て四十八万四千円を賄うということになっております。
 この新たな制度では所得制限を撤廃することから、保護者からは、手続はしなくてもいいのでしょうかといった問合せも届いております。
 そこで、補助金の受給対象となる保護者の来年度の手続及び補助金の支給時期について見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 私立高校授業料の保護者負担軽減の補助金につきましては、今ご指摘をいただきましたように、国と都の二つの制度がございます。国の制度は所得制限がございまして、所得により支給額が異なるというものでございます。
 都制度の支給額を決定するためには、所得審査を行いまして、この国制度の支給額を確定させる必要がございます。
 保護者の方々には七月に所得状況等の情報をそろえて申請をしていただきまして、審査を開始いたします。
 支給時期につきましては、今年度と同様の十月頃の支給を想定しております。

○まつば委員 保護者にとってみれば、国の財源か都の財源かは関係ないわけでございまして、所得制限撤廃後も今年と同じ十月に補助金の支給のままということは、その間、約二十八万円を一時的にではありますが負担をしていただくことになります。この負担は大変に重いわけであります。
 こうした来年度の実情を踏まえて、保護者の皆様に制度や手続についてご理解をいただくことが重要であると考えますが、都の取組について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 来年度は、所得制限撤廃に伴いまして、都内在住の全ての生徒さんが対象となります。その保護者全員に制度を理解し、確実に申請をしていただくことが必要でございます。
 そのために、都は、リーフレットや手引の内容を工夫するとともに、情報発信の頻度の増加や電話回線の増設による問合せ窓口の体制強化など、学校とも緊密に連携をいたしまして周知にしっかりと取り組んでまいります。

○まつば委員 都議会公明党も、国会議員と共に国に対しても柔軟な対応を求めております。
 都は、国の就学支援金の立替えや都の特別奨学金の早期支給によって、できるだけ速やかに保護者の負担をなくすための実質無償化分の補助金を支給する仕組みを構築していただきたいと思います。都の真剣な取組を求めます。
 次に、介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当について質問します。
 代表質問でも取り上げましたが、都における介護職員数は、令和七年度には約三万一千人の不足が見込まれております。その要因が極端な介護職の低賃金にあるとして、都議会公明党は、昨年の第四回定例会代表質問において、介護報酬を都が独自に設定できない代わりに、都独自の手当の支給で支援を行うよう求めました。さらに、知事への予算要望では、家賃などコストの高い東京の特性を踏まえた手当の支給を最重点事項として要望をいたしました。
 これに対し、都は、介護だけでなく障害者施設で働く人も対象として居住支援の特別手当を支給することとしたことを評価するものです。
 そこで、制度の具体的内容について質問をします。
 まず一点目です。介護現場は、正規の職員だけでなく様々な方が働いておられます。特に、在宅介護の要である訪問介護サービスは、非常勤の訪問介護員の方々が支えておられることから、非常勤の訪問介護職員の方々も手当の対象とすべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 介護職員等の居住支援特別手当の対象者は、介護保険サービス事業所の介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等事業所の福祉介護職員でありまして、常勤職員だけではなく、週二十時間以上勤務する非常勤職員も対象といたします。

○まつば委員 週二十時間以上勤務する非常勤職員の方も対象となると、明確なご答弁でした。
 二点目です。令和六年四月支給分から補助の対象とするとのことですが、事業者によっては、すぐに給与規程などの改正ができないことが予測されます。そうした事業者でも、職員に支給した場合には四月分から補助できるよう配慮すべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 事業者が給与規程等の改正を行い、新たに居住支援特別手当を設けまして介護職員等に遡及して支給した場合には、令和六年四月分から補助の対象といたします。

○まつば委員 三点目です。介護業界は、大企業から個人で運営されておられるようなところまで様々あり、小規模な事業者は資金繰りに苦労されている事業者も多いと聞いています。
 社会保険料の雇用主負担分も補助の対象とすることは大変評価いたしますが、資金繰りが厳しい小規模事業者こそ、本事業を活用できるように配慮すべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 事業の実施に当たりましては、介護事業者の中には手当支給の立替えが難しい小規模な介護事業者等でも利用しやすいよう、年間の手当支給予定額を前払いで交付できるようにいたします。

○まつば委員 年間の手当支給予定額を前払いで交付できるようにするという具体的な答弁をいただきました。
 四点目です。本事業は、介護職員の処遇を改善する大変重要な事業であります。既に報道もなされていることから、介護職員の方々からの期待の声も都議会公明党には多く届いております。
 全ての事業者にご活用いただけるように、事業者に十分な周知を行うとともに、早期に受付を開始し、丁寧に相談に応じていくべきと考えますが、具体的な取組について答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 今月中に区市町村や事業者団体等と連携をいたしまして、介護事業者を対象とした説明会を開催するなど、本事業を事業者に周知いたしますほか、四月には事業に関する問合せ窓口を開設いたしまして、六月中旬から補助申請の受付を開始いたします。
 今後、事業を丁寧に周知していくことで、介護職員等の処遇改善に確実につながるよう取り組んでまいります。

○まつば委員 四月には事業に関する問合せ窓口を開設とのことでもありますが、ぜひとも丁寧にご対応いただきまして、全ての事業者にご活用いただけるよう進めていただきたいと思います。
 続きまして、都議会公明党が二〇二一年に掲げました政策目標、チャレンジエイトに関連して質問をいたします。
 チャレンジエイトとは、一つが第二子の保育料無償化、高校三年生までの医療費無償化、肺炎球菌ワクチン無償化、がん治療への粒子線の導入、駅ホームドアの整備、高速道路上の料金所撤廃、動物愛護センターの新設、豪雨に備える地下調節池の整備でございます。
 まず、この一のゼロ歳から二歳の第二子の保育料無償化は、昨年、二〇二三年の十月から実施をされております。また、二の高校三年生までの医療費無償化につきましても二〇二三年四月より実施をされておりまして、二つとも都議会公明党の度重なる質問、要望に対し、小池知事が英断されたもので、多くの都民から喜びの声を聞いております。
 ただ、保育料無償化に対し課題があります。それは、企業主導型保育所への対応です。
 認可外保育所である企業主導型保育所では、区市町村によって無償化の判断が分かれていると聞いております。令和五年十月現在の児童育成協会の調べによりますと、東京都内の企業主導型保育事業設置数は四百三十四施設で、ゼロ歳から二歳の在籍児童数は五千九百八十七人となっています。
 企業主導型保育所には近隣区からも通っているケースもあることから、区市町村によって無償化の判断が分かれているため、同じ園に通っていても無償化になるご家庭とそうでないご家庭が出るなどしています。同じ東京都の子供たちの保育料の格差があることは望ましくありません。区市町村が実施しない理由も丁寧に聞き取りもしていただいて対応すべきです。
 さきの代表質問で明らかになったように、昨年来要望してきました、専業主婦のご家庭なども利用できる多様な他者との関わり創出事業も、来年度から第二子の保育料の無償化がスタートします。
 この機を捉え、企業主導型保育所におきましても、区市町村の差なく無償化が進むよう取組を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、企業主導型保育施設を含め、指導監督基準を満たす認可外保育施設を第二子の保育料無償化の対象としておりまして、対象施設を利用している方への補助は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情に応じて実施をしております。
 今後、区市町村に対しまして、企業主導型保育施設など認可外保育施設の無償化の実態を詳細に調査をいたしまして、その結果を待機児童対策協議会等において共有するとともに、より多くの児童が無償化の支援を受けられるよう、区市町村の取組状況に応じまして個別に働きかけてまいります。

○まつば委員 続きまして、三番目の肺炎球菌ワクチンについて質問いたします。
 都は、都議会公明党の求めに応じ、肺炎球菌ワクチンの定期予防接種に係る自己負担額の一部、二千五百円を限度として軽減する取組を二〇二一年十月より実施をいたしておりまして、都内六十一自治体で高齢者の命を守る取組を進めてきました。
 しかし、国は、昨年十二月に突然、二〇一四年度より十年間実施してきた高齢者用肺炎球菌ワクチン定期接種の経過措置を今年度で終了すると決定をいたしました。
 これまで経過措置対象だった方は、来年度以降、定期接種対象でなくなるため、費用負担が大きくなり接種控えが起こることが懸念をされます。
 そこで、来年度の都の取組について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 経過措置の終了に関する都民への周知期間が短いことや、コロナ禍における外出自粛の影響などにより接種機会を逃した方が一定数存在する可能性を踏まえ、都は、経過措置期間中に接種を受けることができなかった方に対する救済措置として、令和六年度に限り補助事業を実施することといたしました。
 補助対象は六十五歳以上の全年齢とし、定期接種対象者は公費負担を除く自己負担額の一部を、全額自己負担である任意接種対象者は区市町村が助成する額と同額を、それぞれ二千五百円を上限に補助いたします。

○まつば委員 二〇二四年度の補助事業は、二〇二三年度までの経過措置期間中に接種することができなかった方の救済を目的とした単年度事業ということでありますので、六十五歳以上の未接種者に対して周知がしっかりと行き渡ることが重要であります。
 区市町村に対する呼びかけと都民に対する周知が必要でありますが、具体的な対応策について見解を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、来年度における補助事業について、予算案の発表後、実施主体である区市町村の担当者会議等を活用して事業の趣旨や内容を説明し、意見交換を行っております。
 今後は、区市町村に対し、Q&Aを用いて制度の詳細を丁寧に説明するとともに、対象者への効果的な周知の好事例を区市町村間で共有し、円滑な事業実施につなげてまいります。
 また、都のホームページに区市町村の事業実施状況を取りまとめて掲載するほか、都民向けの啓発用リーフレットを作成するなど周知を図ってまいります。

○まつば委員 国の厚生科学審議会予防接種部会において、肺炎球菌ワクチンの医療経済的な評価がなされ、ワクチン接種に要する費用よりも接種によって削減が見込まれる医療費の方が大きく上回るとの報告がなされております。二〇二五年度以降も、接種を希望される都民に対し、高齢者用肺炎球菌ワクチン定期接種を実質無償化にしていくべきと強く要望いたします。
 四番目の、がん治療に重粒子線についてを質問します。
 都が昨年末に公表しました都立病院粒子線治療施設整備計画(素案)では、結論として、駒込病院に陽子線治療施設を整備することとされ、また、デザインビルド方式などによる整備スケジュール案が示されています。
 先般発表された都の令和六年度予算案では、その整備に関する基本設計の費用として一億円が計上されておりまして、一日でも早い整備が都民の命と健康を守ることにつながります。
 都として早期の粒子線治療施設の開始を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都は、がん対策推進計画におきまして、医療提供体制の充実やライフステージに応じましたきめ細かな支援などの施策を総合的に展開をいたしております。
 粒子線治療でございますが、体への負担が少ないこと、仕事や学業、日常生活との両立も可能ということで最先端の治療法とされております。
 都民のがん治療の選択肢が広がりますように、粒子線治療の中でも、小児がんを含め、様々ながんを治療できる陽子線治療施設を駒込病院に整備をいたします。
 今年度末に策定予定の整備計画に基づいて、設計と工事工程を並行するなど整備手法に工夫を凝らしまして、令和十二年度の運用開始を目指してまいります。

○まつば委員 都立病院では初めての粒子線治療であり、人材の確保、育成を同時に進めていかなければなりません。見解を求めます。

○雲田保健医療局長 陽子線治療施設の安定的な稼働には、専門人材の確保などの体制づくりが重要でございます。
 今後、陽子線治療の経験者の採用や、陽子線治療施設を導入している大学病院等での放射線治療医や医学物理士、放射線技師、看護師等の継続的な研修受講などにより、専門人材を確保、育成してまいります。

○まつば委員 都議会公明党は、駒込病院と共に、小児総合医療センターに隣接する多摩総合医療センターに陽子線治療を整備すべきと訴えてきました。小児総合医療センターは、我が国でトップの小児の治療体制を誇る病院であり、小児の治療にお母さんやご家族が宿泊できる施設も準備しています。小児がんに有効な粒子線治療として陽子線治療が決まったことからも、多摩総合医療センターにも設置することを要望いたします。
 五番目の、駅ホームドアの整備について質問します。
 都議会公明党は、令和三年第一回定例会代表質問、続く令和四年第一回定例会代表質問におきまして、ホームドアの整備は道半ばにあり、整備の加速には財源の確保とともに、都がイニシアチブを取り、技術的な課題の解決に取り組むことが重要であると主張し、都からは、事業者との検討の場の設置や課題の解決に向けた技術的な方策の整理、検討するとの答弁を得ました。
 さらに令和五年の予算特別委員会質疑では、こうした検討結果の活用について見解を求め、都は、これらの検討成果の活用と継続する補助制度を支援の両輪として、事業者に整備計画の充実や前倒しを求め、さらなるホームドア整備の推進を図っていくとの方向性を示しました。
 また、都議会公明党はかねてより、利用者十万人以下で視覚障害者の利用が多い駅へホームドアを優先的に整備することが不可欠と訴えました。盲学校をはじめとする特別支援学校の最寄り駅など、安全性への配慮が必要な駅の早期整備についても、昨年の議会における都議会公明党の質疑も踏まえ、進めていると考えます。
 これまでの質疑を踏まえ、一層の加速が求められているJR及び私鉄駅につきまして、今年度のホームドア整備の実績と来年度の取組について答弁を求めます。

○谷崎都市整備局長 都は、ホームドアの整備について、JR及び私鉄駅では二〇三〇年度に約六割の駅に設置することを目標とし、早期整備に向け、事業者に整備計画の拡充を求めております。これに対し、今年度、JRなど六社が、整備計画として整備予定の全駅名を明らかにいたしました。
 今年度末にはJR及び私鉄駅の十四駅でホームドアが新設される見込みであり、来年度は十八駅に補助を行います。また、整備の前倒しに向け、年度にとらわれず工事を進められるよう、債務負担行為を活用した補助も開始いたします。
 都は、引き続き、事業者に整備計画の充実、前倒しを求めるなど、さらなるホームドア整備の推進を図ってまいります。

○まつば委員 六番目の、高速道路上の料金所撤廃についてですが、これはさきの代表質問で東村幹事長が取り上げております。このときのご答弁どおり、来年度こそしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 七番目の、保護付動物愛護センターについて質問します。
 都議会公明党は、新たな動物愛護相談センターの整備について、しっかりとした保護機能つきの施設にするとともに、多くの人が気軽に立ち寄って楽しめるアミューズメント性も備えた施設にするよう訴えてきました。
 東京都は、令和五年度に新たなセンター整備に向けて基本計画を策定するとしています。間もなく基本計画が公表されると思いますが、取組状況について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 動物愛護相談センターは、都の動物愛護管理施策の中核を担う施設として、本所、城南島出張所、多摩支所の三施設が役割を分担し、動物愛護管理に関する普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導などの業務に対応しております。
 センターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、保護した動物の飼養環境の向上や都民等との協働の促進など、本所をはじめ三施設が有する現在の機能を強化する必要がございます。
 このため、今年度末に策定する基本計画の中で、新たなセンターの機能の在り方について、本所の移転やサテライトの新設など、それぞれの場合ごとに示すことを検討しております。

○まつば委員 令和六年度予算案には、再び基本計画を策定する予算が盛り込まれています。基本計画には、本来、整備地をどこにするか明記すべきと思いますが、令和六年度に改めて基本計画をつくるということは、整備地がまだ決まっていないことが理由と思われます。
 整備地の決定に当たっては、周辺の住民の方々に十分情報提供し、理解を得ていくことが不可欠となります。そのためには、来年度のできるだけ早い時期に整備地を絞り込む必要があります。改めて基本計画を策定する来年度の取組について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 来年度は、この基本計画に基づき整備を進めるため、機能の在り方を踏まえた整備候補地の検討を行い、建築規模や設備を具体化するなど、新たなセンターの基本設計に向けた取組を進めてまいります。

○まつば委員 八番目の、豪雨に備える地下調節池について質問します。
 昨年も全国各地で豪雨被害がありました。六月には都内におきましても河川からの溢水が発生いたしました。
 都はこれまで、護岸に加え調節池等を整備し、浸水被害を着実に低減させています。
 令和元年東日本台風のときは、過去最多となる二十一か所の調節池で洪水を取水し、調節池の下流では溢水はありませんでした。また、神田川・環状七号線地下調節池では、総容量の約九割の四十九万立方メートルを貯留し、下流の中野区内では推定で最大約一・五メートルの水位低下効果があったと推測されています。激甚化、頻発化する豪雨に対しては、大きな効果を発揮する調節池の整備をさらに推進していく必要があると考えます。
 また、将来は、気候変動による気温上昇に伴い、降雨量がさらに増加していく予測もあります。
 工事に当たっては、地域住民の皆様のご理解、ご協力をいただけるよう、十分に、丁寧にご対応いただくことはいうまでもありません。その上で、将来にわたって豪雨から都民の皆様の安心・安全を守っていく必要があると考えます。
 そこで、今後の調節池整備の取組について伺います。

○中島東京都技監 激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 都は、これまでに二十七か所、総貯留量約二百六十四万立米の調節池を整備し、現在、城北中央公園調節池など八か所で工事を進めているところでございます。来年度は、新たに仮称境川中流第三調節池等の工事に着手いたします。
 また、気候変動の影響を踏まえまして、二〇三〇年度までに約二百万立米の調節池の事業化を目指し、神田川など十河川において候補地や形式の検討を実施します。加えて、新たな整備手法である地下河川の事業化に向けた取組に着手いたします。
 こうした取組によりまして、水害に強い東京を実現してまいります。

○まつば委員 繰り返しになりますが、既に実現をいたしましたゼロ歳から二歳の保育料の第二子の無償化、そして高校三年生世代までの医療費の無償化に加えまして、あと六項目の実現へ向けまして、今後とも都議会公明党は粘り強く取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、「未来の東京」戦略では三つのCを掲げています。頭文字がCから始まるChildren、Choju、Communityでございますが、この順番で質問をさせていただきます。
 まず、チルドレンファースト社会実現に向けてであります。
 東京都の子供政策は、今まさに大きな転換点を迎えています。都議会公明党が原案を作成した東京都こども基本条例が全会派一致で可決、成立し、二〇二一年の四月に施行されました。東京都こども基本条例が、各会派の政治的な立場を乗り越えて、都議会の全会派が賛同して成立したことは大きな意味を持つものであります。
 この東京都こども基本条例の成立が国にも波及し、国政の自民党、公明党の主導の下、こども基本法が二〇二二年六月に成立し、二〇二三年四月に施行されたところであります。
 都におきましては、東京都こども基本条例成立後、小池知事の英断により、子供政策の司令塔となる子供政策連携室が二〇二二年四月に発足し、国においては、こども家庭庁が二〇二三年四月に発足したところであります。都の子供政策が常に先手先手を打たれて進んでおり、東京都が日本の子供政策をリードしていると考えます。
 子供政策連携室が発足して約二年を経過したところですが、子供政策連携室という新しい組織ができて都の子供政策がどのように変わったのかという観点から、体系的に質問していきたいと思います。
 そこでまず、子供政策連携室という組織をどのような思いを込めて立ち上げたのか、そして、子供政策連携室ができたことで都の子供政策がどのように変わったのか、知事の基本認識をお伺いします。

○小池知事 お答えいたします。
 都政全体を子供目線で捉え直し、福祉、教育といった行政分野の垣根を越えまして、子供目線を徹底した政策を展開するために、昨年度、子供政策連携室を設置したものでございます。
 子供政策連携室が子供政策の企画立案機能、総合調整機能、これらを一元的に担うことで、従来の延長線にとどまらない具体的なアクションに果断に踏み出しております。
 来年度の予算案には、乳幼児の非認知能力を育む、とうきょうすくわくプログラムの都内全域での展開や、フリースクールなどの支援など、都独自の施策も盛り込んだところでございます。
 今、この瞬間にも子供はどんどん成長しているわけでございます。困難を抱えた子供を守り、支え、全ての子供が健やかに成長できますよう、スピード感を持って子供政策を不断にバージョンアップしてまいります。

○まつば委員 子供政策連携室が発足したことは、都の子供政策における極めて重要な一歩だと認識しております。
 ただいま知事より子供政策連携室と子供政策についての基本認識を語っていただきましたが、既に従来の延長線上にとどまらない具体的なアクションに果断に踏み出していると、知事の実行力に改めて敬意を表します。
 先月公表されたこども未来アクション二〇二四では、今年度、子供との対話の実施規模が、昨年度の七倍となる一万八千人であることが記載されています。子供との対話の実施規模が大幅に拡充されたところであり、このこと自体は特筆すべきことでありますが、それ以上に、都の子供政策の真ん中に子供の声や意見がしっかりと位置づけられていることにも注目しなければならないと思います。
 子供政策連携室が旗振り役となって子供との対話を実践されているところでありますが、庁内各局の事務事業におきましても、子供との対話に取り組んでいくよう子供政策連携室がリーダーシップを発揮していくべきと考えますが、見解を求めます。

○田中子供政策連携室長 子供政策連携室では今年度、子供の居場所におけるヒアリングの実施規模を大幅に拡大したところでありまして、実践を通じて様々なノウハウや知見を蓄積してまいりました。
 来年度、こうしたヒアリング型の対話を都庁全体に広げていくため、新たに立ち上げました専門家会議の意見も取り入れながら、具体的な手法や留意点等を取りまとめた実践事例集を年度内に作成し、庁内各局と共有してまいります。
 さらに、各局の事務事業におきまして子供との対話が円滑に実践されるよう、伴走型の支援にも取り組んでまいります。
 これらを通じまして、庁内各局におけます子供との対話の質を高めてまいります。

○まつば委員 子供政策連携室が発足したことによりまして、子供政策の真ん中に子供の意見が位置づけられるようになったということは紛れもない事実であります。加えて、縦割り行政の打破、行政分野の垣根を越えて政策展開をするという観点での子供政策連携室の発足の意義があると考えております。
 その取組の象徴として、子供の遊びの環境づくりという政策課題があります。子供の遊びというテーマは、従来の都政におきましてはなかなか十分に光が当てられてこなかった視点と考えております。
 東京都こども基本条例では第七条で子供の遊び場づくりに関する規定がありますが、条例の理念を受け止めながら、子供政策連携室が中心となって組織横断の推進チームを立ち上げ、子供の遊びの環境づくりに取り組まれておられると思います。
 子供の声をしっかり受け止めた上で、子供の最善の利益という視点に立って、子供たちが思い切り遊べる遊び場づくりを強力に推進していくべきと考えますが、見解を求めます。

○田中子供政策連携室長 こども都庁モニターや子供の居場所におけるヒアリングなどを通じて、プレーパークやボール遊び場などに対するニーズが高いことを踏まえまして、来年度、子供の意見を反映した遊び場づくりを強力に推進してまいります。
 具体的には、区市町村が子供の意見を踏まえながら、地域の資源を活用した遊び場等を整備する事業に対し、補助率十分の十、一か年度一億円を限度に最大三か年の補助を行うとともに、新規採択事業の予算規模を倍増させます。
 これによりまして、子供目線に立った魅力的な遊び場を増やしてまいります。

○まつば委員 子供の遊びという政策テーマに加えまして、フリースクールへの支援が挙げられます。
 東京都こども基本条例の第七条では、子供の遊び場づくりに加えまして居場所づくりについて規定しており、第八条では子供の学び、成長への支援について規定しています。不登校の児童生徒数は過去最多を更新し、増加の一途をたどっております。学校生活になじめず生きづらさを抱えた子供が、学校はもとより学校外においても学ぶことができ、自分らしく過ごすことができる居場所をつくっていくことは、条例の理念の実践そのものであります。
 各地域では、フリースクールが様々な工夫を凝らしながら、子供たちの学びの場、居場所としての重要な役割を果たしている一方で、これまでフリースクールに対して公的な支援は行われてきませんでした。フリースクールの経営者からは、困難に直面している子供たちのために活動内容を充実させたいと考えても、公的な支援がないため現状では困難であるとの声を伺っております。
 とりわけ、小規模フリースクールでは、子供目線に立った取組を充実強化していく上で公的な支援へのニーズは高く、早急に具体的な手だてを講じていく必要があります。子供の最善の利益という観点から、フリースクールに対するきめ細やかな財政支援に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

○田中子供政策連携室長 都は来年度、子供の活動支援の充実等に取り組むフリースクール等に対する補助制度を創設いたします。
 具体的には、不登校状態にある義務教育段階の児童生徒への支援等を主たる目的とした都内の通所型施設であり、子供一人一人のサポートプランを作成、実践する施設を補助対象事業者といたしまして、予算規模を五十団体としております。
 また、サポートプランの作成、実践に係る人件費や防犯カメラの設置等の安全性向上に資する経費、子供の体験活動の充実に係る経費等を補助対象経費といたします。
 補助率は二分の一を基本とした上で、サポートプランの作成、実践に係る人件費については四分の三に引き上げ、さらに、小規模な施設が作成、実践する場合は十分の十に引き上げることとしております。

○まつば委員 フリースクールへの支援につきましても、組織横断の推進チームを立ち上げ、来年度予算案に関連施策が盛り込まれたことを評価しております。
 東京都こども基本条例と子供政策連携室を軸に、東京都の子供政策の現在地を確認させていただきました。小池知事、子供政策連携室をはじめとする各局におかれましては、引き続き、子供の最善の利益という観点から、真に求められるものに果敢に挑戦していただく、チャレンジしていただきたいと思います。
 次に、専業主婦の方など就労の有無にかかわらず保育利用ができる多様な他者との関わり創出事業についてであります。
 都のこの事業は、乳幼児期の他者との関わりが、非認知能力の向上など子供のよりよい成長につながることを重視し、保護者の就労の有無にかかわらず、希望すれば全ての乳幼児が保育を受けることができる事業で、本年度からスタートしたことを評価しております。
 国事業で、こども誰でも通園制度がありますが、この国事業と都事業の多様な他者との関わり創出事業が令和五年度、ともにスタートいたしました。国事業と都事業の来年度の違いについて答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 国事業では、対象となる子供の年齢がゼロ歳六か月から二歳までとしているほか、利用時間の上限が一か月当たり十時間までとされております。
 都は今年度、他者との関わりの中で、非認知能力の向上など子供の成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を定期的に預かる取組を開始いたしました。
 この取組では、より多くの児童が利用できるよう、国事業では対象とならないゼロ歳六か月未満や三歳以上の就学前児童も対象とするほか、利用時間の上限を設けておりません。また、来年度から第二子以降の利用料を無償化いたします。
 来年度実施予定の自治体については、国事業は四自治体、都事業は三十三自治体でございます。

○まつば委員 令和八年度には、国は、こども誰でも通園制度への対応を全自治体で義務づけるとしています。そうした動向も踏まえて、都は、区市町村が取組を進めていけるようにすることが肝要です。
 都事業について、来年度、三十三自治体が実施予定ということでした。都事業である多様な他者との関わり創出事業は、対象者の年齢や利用時間に加え、都議会公明党が要望してきた第二子以降の保育料が無償化になることなど、国のこども誰でも通園制度よりも充実した内容となっており、実際、多くの区市町村も都の事業を実施していることが分かりました。
 国の動向も注視しながら、都として、区市町村や事業者の意見を聞きながら、よりよい事業にしていただきたいと思います。
 こうした事業を進めるためには、保育人材の積極的な確保、育成に取り組んでいくことが重要です。このため、保育職の賃金増や研修支援なども代表質問や知事要望などで行ってきました。
 そこで、保育人材の確保と育成について、保育士等キャリアアップ補助について明らかにするとともに、研修支援についても答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 国は、一定の要件を満たした場合に、保育士等に対する処遇改善の加算を設けておりますが、国の加算対象人数には上限がありまして、十分な改善につながっていない状況がございます。
 そのため、都は、保育士等キャリアアップ補助につきまして、来年度から、処遇改善等加算の要件を満たし、国の加算対象上限を超えて配置した場合に、一人当たり月額五千円を独自に補助をいたします。
 また、研修支援につきましては、保育士等が研修に参加する際の代替保育士の雇上げ経費や研修受講費用などを、一人当たり三万二千円を上限に、来年度から三年間、包括補助により補助率十分の十で支援をいたします。

○まつば委員 ジュニア世代のスポーツについて伺います。
 サッカーやバスケットボールなど、プロリーグやオリンピックで人気のスポーツ以外にも、様々なスポーツの国際大会で活躍する子供たちがいます。
 例えば、同じ長さのロープ二本のみでできるダブルダッチというアーバンスポーツがあります。私の地元杉並区の中学生ユニットが、昨年三月、国際大会への出場権を獲得し、出発前に小池知事から直接激励を受けました。結果は見事優勝いたしました。
 このダブルダッチのように、メディアではあまり取り上げられていないスポーツであっても、世界に挑戦し、自分の夢を追い求める子供たちがいます。子供や若者が、今と未来を担う存在として活躍できる社会の実現が重要であると、都議会公明党は主張してきました。
 日本のみならず、海外のアスリートとも切磋琢磨するジュニア選手を応援するとともに、子供たちが幅広いスポーツを知り、運動やスポーツに自ら進んで取り組みたいと思えるようにすべきと考えますが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、ジュニア世代がスポーツに親しめるよう、競技団体と連携した体験会を開催するとともに、プロスポーツの観戦会などを実施してまいりました。
 今後は、子供たちがより一層夢を持って羽ばたけるよう、新たにTOKYOジュニアスポーツアンバサダー事業を開始いたします。
 具体的には、競技の魅力や国際大会での経験を子供ならではの感性で発信することなどを都が支援し、同世代を中心にスポーツへの憧れや興味を喚起いたします。
 こうしたことを通じまして、子供たちが多様なスポーツに取り組む機運を醸成し、多くのジュニア選手の国際大会へのチャレンジを後押ししてまいります。

○まつば委員 これまで光の当たらなかったスポーツに取り組むジュニア選手に対しても、しっかりと支援を行っていただくということでありますので、お願いをいたします。
 次に、長寿についてであります。
 二〇四〇年代には長寿が世界共通語になり、健康長寿社会の東京モデルをつくり上げることを都は目指しております。
 都議会公明党は、約八割の元気な高齢者の皆様が健康寿命を延ばしていただくため、シルバーパスやシルバー人材センターの充実、地域での交流や、社会参加のための施策の重要性を指摘してまいりました。
 都は、令和元年と二年に、高齢期における地域活動等の意向について調査を行っており、その調査によりますと、現在の高齢者の社会参加は約五割に対しまして、参加を希望されている方は約八割であり、参加しない理由は、きっかけがない、興味ある活動内容や活動情報がないなどでした。
 知事は、施政方針におきまして、高齢者が自分らしく活躍し、不安なく生活できる社会の実現を目指すアクティブChojuプロジェクトを展開すると表明をされました。
 都は、令和七年度に、社会参加を希望する方々を様々な活動につなげるオンラインプラットフォームの構築を予定しており、今年度から先行実施サイト、地域参加のトビラを開始しています。また、今年度から、会食を通じた居場所づくりへの支援を行い、地域での高齢者の方々などの交流を推進しています。
 来年度、こうした取組を充実させ、高齢者の方々が身近な地域や社会で自分らしく活躍できるよう環境づくりを推進していくべきと考えますが、見解を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、シニア、プレシニアを社会参加活動につなげる地域参加のトビラを昨年九月からホームページに公開しておりまして、来年度は、地域活動等の情報提供に加え、人手不足が深刻化する介護現場での有償ボランティア等とのマッチングを行うChot介護を開始いたします。
 また、現在、地域で高齢者が気軽に立ち寄り、会食できる食堂などの居場所づくりに取り組む区市町村を支援しており、来年度は、新たに、高齢者自身がスタッフとして活動する場合には、食堂の立ち上げに係る経費を補助率十分の十で支援をいたします。
 こうした取組を通じまして、高齢者がこれまでの経験を生かして、地域社会を支える担い手としても活躍できる環境づくりを一層推進してまいります。

○まつば委員 こうした取組は、令和四年度に設置した人生百年時代社会参加施策検討委員会などにおける検討を踏まえていると伺っておりますが、人生百年時代へ、充実した長寿社会実現へ向け、都議会公明党もこれからも政策提案をしてまいります。
 次に、コミュニティについて質問します。
 「未来の東京」戦略では、誰もが居場所に集いつながるコミュニティの実現へとして、区市町村への補助事業などでその実現を目指していると承知をしています。その上で、特に若者の居場所について、今日は取り上げます。
 昨年の第四回定例会で、都議会公明党は、社会的孤立に悩む若者にとって、夜の時間を安心して過ごせる居場所づくりが重要であり、都内各所に若者の居場所の設置を進めるように求めました。
 都からは、さらなる居場所の確保に向けて取り組むとの答弁がありましたが、地域における若者の居場所づくりに対し、さらなる支援を行うべきであると考えますが、見解を求めます。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、区市町村が若者への支援施策を円滑に実施できるよう、相談センターの設置や居場所づくり等に対し補助を行っております。
 若者の抱える問題が複雑化する中、より多くの区市町村でそれぞれのニーズに応じた若者の居場所づくりが進むよう、来年度から補助上限額を二百万円から三百万円に引き上げます。
 今後、区市町村に対し、新たな居場所の設置や既存施設の夜間延長等を働きかけてまいります。

○まつば委員 ぜひとも都内各所への設置へ向けて取り組んでいただきたいと思いますが、現状、身近に居場所があるとはいい難い状況があります。
 住む場所にかかわらず、若者の誰もが安心して過ごせる居場所を確保できるよう、広域自治体としての都の取組が求められると考えますが、見解を求めます。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、来年度、悩みを抱える若者が自分に合ったサポートや居場所を見つけられるよう、スマートフォン等でいつでも気軽に困り事に応じた相談窓口や支援内容等を検索できるポータルサイト、若ぽたプラスを構築いたします。
 このサイトにおきまして、様々な民間支援団体等と連携して、住む場所にかかわらず誰もが利用できる居場所を掲載し、団体からのメッセージや利用者の声を動画等で分かりやすく紹介するなど、若者利用につながるよう情報発信を行ってまいります。

○まつば委員 若者支援につきましては、今、答弁がございました居場所のほか、住宅支援、就労支援などを総合的に進めていく必要があります。
 昨年の第四回定例会の答弁で、庁内横串を刺して各局横断で施策の強化を図っていくというものがありましたが、都庁一丸となって進めていただくことを改めて要望いたします。
 次に、被災地支援について質問いたします。
 元旦に発生した能登半島地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地の復旧に当たられている全ての皆様に感謝申し上げます。
 昨日、東日本大震災から十三年がたちました。今なお三万人の方々が避難生活を続けられておられ、心よりお見舞い申し上げます。
 都議会公明党は、この間、被災地に寄り添い、何度も被災地を訪問し、被災地の復興に向けて東京都と共に支援をさせていただいてまいりました。
 そうした意味からも、令和六年度予算案において、一億円の予算をつけ、一人一泊三千円を支援する福島県への被災地応援ツアーを継続して実施することは、福島県の観光に携われておられる方々からも喜ばれており、高く評価をいたします。
 そこでまず、この被災地応援ツアーを東日本大震災から十三年がたった令和六年度においても実施する意義について、知事の見解を求めます。

○小池知事 東日本大震災の発生から、昨日で十三年が経過をいたしました。
 被災によるダメージの大きかった福島は、多くの困難と向き合い、復興を着実に進めてこられました。その歩みを引き続きしっかり後押しすることは大切でございます。
 都は、震災直後の平成二十三年度より被災地応援ツアーを実施し、東京から福島に旅行者が訪れる仕組みをつくり、復興に向けた現地の努力を下支えしてまいりました。福島への来訪者の数、感染症の影響によります一時的な落ち込みはございましたけれども、回復に向かっております。観光のいち早い復興を通じまして、多くの方が震災の記憶に触れる貴重な機会にもつなげてまいります。
 福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえまして、来年度も被災地応援ツアーを実施いたしまして、震災からの復興につなげてまいります。

○まつば委員 能登半島地震により、石川県は、産業や観光が大きなダメージを受けています。本来、石川県については、北陸新幹線が金沢まで開通したことにより、多くの東京都民が訪れている場所でした。輪島や和倉温泉などの能登半島では、現状、受入れが厳しい状況ですが、石川県には、金沢市内や加賀温泉郷などの多くの観光地や温泉街があります。
 こういった場所を訪れることにより、石川県の経済が盛り上がり、結果、被災地の復興を後押しすることになると考えております。このことは、東日本大震災の被災地支援で経験しております。
 そこで、都議会公明党は、代表質問で取り上げ、都は現地に職員も出向き状況を把握した上で、観光にふさわしい地域や時期に関する情報の発信を進めるとご答弁されました。
 そこで、調査を踏まえた今後の対応について、都の見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都では、職員が石川県に出向き、現地で旅行者の来訪や旅館等の観光関連施設の状況の把握を行うほか、県庁で様々な地域の観光の様子について情報の提供を受けました。
 これによりまして、現在、震災による被害は少なかったものの、観光客の数は十分に回復をしていないエリアのあることが分かりました。また、多くの観光スポットを抱える金沢について、震災直後の一か月は来訪者が大幅に減ったが、現在は回復が進んでいるとのことでした。
 国による観光支援や新幹線の延伸により、今後、春にかけ、県内の観光の回復が期待をされております。
 引き続き、県庁と意見交換を行いながら、都と石川県とが連携したプロモーションの実施について検討をいたします。

○まつば委員 しっかりプロモーションを実施し、福島県と同様に被災地応援ツアーを実施していただくことを要望いたします。
 市場においても、都議会公明党の提案を受け、被災地支援に取り組んできています。
 昨年七月から、豊洲市場の水産仲卸団体が、福島県水産物を中心にPRする事業に取り組んだ三陸常磐夢市楽座を一月十六日に小池知事が視察をされておられます。大消費地を抱える中央卸売市場におきまして、今回の三陸常磐夢市楽座の取組のように被災地を応援していくことは、社会的意義もあると考えておりますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東日本大震災や能登半島地震など、被災地におけます水産物の取引を活性化させるためには、大消費地であります東京において、その消費拡大に向けました取組を進める必要がございます。
 このため、東日本大震災から十三年となった今般、岩手県、宮城県、福島県を引き続き応援するために、三県の水産物の魅力を紹介する動画を作成いたしております。
 これに先立って、本年の一月ですが、豊洲市場を訪問いたしました際には、商品知識の豊富な市場関係者が、三陸常磐物のよさを都民に直接伝えるという夢市楽座の取組に接しまして、卸売市場の発信力の大きさを実感したところでございます。
 今後も、被災地産品の流通拡大に向けまして、生鮮食料品等の供給拠点であります卸売市場の特性を生かした方策を業界とともに講じてまいります。

○まつば委員 知事からは、東日本大震災の被災地に加え、能登半島地震なども含めた被災地産品の流通拡大に向けて取り組んでいくとのご答弁がありました。
 市場業者ならではの力を生かしながら、被災地産品の消費拡大を図り、都には、来年度もしっかりとした被災地支援に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、防災対策について質問します。
 水圧遠隔監視システムについてであります。
 都議会公明党は、重要施設における地震等による水道管路の被害を即時に把握し、迅速な復旧活動を行うため、水道管路の水圧を遠隔で監視するシステムの整備が重要であると主張してきました。水道局からは、首都中枢機関などに対して水圧測定機器を導入し、令和四年度末までに設置が完了し、令和五年度からは設置対象を拡大していると答弁を得ています。
 能登半島地震では、地震の揺れによる水道管路の抜き出しや損傷等で断水が発生しました。発災直後は、石川県能登町の公立病院で職員が自ら浄水場より水を運ぶなどの対応に追われていたとの報道がありました。
 こうした医療機関こそ、速やかな復旧に向け、水道の被害状況の確認が可能となる水圧測定機器を優先的に設置すべきと考えます。
 そこで、水圧測定機器の設置対象と設置の優先順位について見解を求めます。

○西山水道局長 水道局では、震災時に給水状況を直ちに把握するため、平成二十八年度から水圧を遠隔で監視するシステムを導入し、水圧測定機器を国会議事堂や中央省庁などの首都中枢機関、三次救急医療機関、災害拠点病院、計百四十二施設について、令和四年度末までに設置をいたしました。
 令和五年度からは、対象の医療機関を拡大するほか、多数の避難者が集まる施設なども新たに追加し、約八百施設について令和八年度までの四年間で設置を進めてございます。
 整備に当たりましては、二次救急医療機関、災害拠点連携病院を優先し、人命救助につながる重要な施設の速やかな復旧に備えてまいります。

○まつば委員 能登半島地震の水道の復旧には、都内からも都庁職員や企業の技術者が赴き、懸命に活動に従事していただいていると聞いております。心から敬意を表します。
 現地で復旧に汗を流す方々の話を漏れ聞くところでは、地震被害の大きさに加えまして、仮復旧ではなく本復旧を優先していたために進展がなかなかはかどらない面があったとの話もあります。
 地震発生後約二か月が経過した三月一日現在でも、約一万九千戸の断水が継続しています。水道局は、現地の現状をどう認識しているのか、見解を求めます。

○西山水道局長 今回の地震で水道局が復旧を支援している輪島市では、浄水場や浄水場と配水池とをつなぐ基幹管路が損傷したほか、配水管についても広範囲に損傷しており、これら管路の復旧に時間を要してございます。
 路上への仮配管等の仮復旧は、道路の掘削を必要とせず施工が容易であり、早期の通水に有効な手法でございます。一方、倒壊家屋が多数ある輪島市では、瓦礫撤去や宅地への車の出入りの支障となることが懸念され、路上への仮配管の採用が当初見送られました。
 その後、管路の被害状況等を踏まえ、土砂崩れで道路を迂回する箇所や橋梁部、倒壊建物の少ない山間部などに仮配管を採用し、復旧作業を進めてございます。

○まつば委員 東京で大規模な地震が発生し水道の破損が生じれば、給水が必要となる都民の数は数百万人に及びかねず、二か月を経過しても断水が継続していることがないように対策を講じるべきです。
 都内で大規模地震の発生時は、本復旧を優先することなく仮復旧を優先し、水道管による給水の復活を急ぐべきと考えますが、見解を求めます。

○西山水道局長 水道局では、被害想定における断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、優先的に配水管の耐震継ぎ手化に取り組むとともに、管路のネットワーク化、二重化を進め、断水被害の軽減を図ってございます。
 一方、災害により断水が発生した場合には、都民の生活に欠かせない水を供給することが何よりも大切でございます。そのため、避難所など重要な施設に対しては仮配管を優先するなど、あらゆる手法を活用し、速やかに通水を確保してまいります。
 今回の地震で支援に携わった事業者や職員の経験、被害実態の分析等も踏まえ、想定される首都直下地震等への対応に万全を期してまいります。

○まつば委員 次に、AIチャットボットによる被災者支援についてです。
 被災した際には、困り事に応じて利用できる支援策が求められます。
 そこで、国は、被災者支援に関する各種制度の概要をウェブ上で公開しています。しかし、支援メニューは豊富であるものの、六十ページもあるPDFファイルの中から自身に該当する支援を探し出すのは困難です。
 能登半島地震では、富山市に拠点を構えるIT企業が、被災者に困っていることをAIチャットボットに質問すると、約百の支援制度の中から該当する支援を回答してくれるサービスを無償で公開しています。
 都においては、東京都防災ホームページ上では、防サイくんに質問というチャットボットで防災情報を入手することができます。一方、発災時の支援策は防災ブックなどで確認できますが、チャットボットでは見つけにくいのが現状です。
 そこで、例えばこうしたチャットボットを活用し、大規模災害発生時に備えて、都民が手軽な方法で被災者支援に関する情報を手に入れることができるようにすべきと考えますが、見解を求めます。

○野間総務局長 発災後、被災した都民が円滑に支援を受けるためには、平時から必要な情報を正確かつ迅速に収集できる仕組みが重要でございます。
 このため、都は、防災ブックや防災アプリ、震災復興マニュアルなどの様々な媒体により発災後に生活再建への支援を行う制度を分かりやすく発信してまいりました。
 今後は、被災者が発災後の支援に関する情報を対話形式で得られるよう、防災ホームページに設けているチャットボットを活用した情報提供の在り方を検討してまいります。

○まつば委員 能登半島地震では、膨大な災害対応業務が発生し、マンパワーが不足しており、デジタルの活用が課題になっていると聞いています。
 こうしたことを受け、都は、被災地にデジタル人材を派遣しているほか、被災者の生活支援の基礎となる罹災証明書交付に必要な業務のリモートでの応援や、都のデジタルツインを活用した被害状況の可視化の支援を行うなど、取組を進めています。
 大規模災害が東京で発生した場合には、さらに甚大な被害が想定されることから、防災分野のDXを進めていくことが重要です。
 今後、災害対策に先端のデジタル技術をより一層、積極的に活用していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○山田デジタルサービス局長 デジタル技術を災害対策に最大限活用できるよう全庁的な取組を進めるため、地形や建物を三次元でデジタル上に再現できる点群データを効果的に活用する庁内利用環境を来年度整備いたします。関係局と連携して、発災前後の地形比較など具体的な事例での検証を進め、発災時の迅速な復旧、復興への活用につなげてまいります。
 また、新たに夜間や悪天候でも広域撮影が可能な人工衛星等のデータを取得し、発災直後の迅速な状況把握の活用や倒壊家屋のAIによる自動判別などの実証を行い、業務効率化による人的資源の有効活用につなげてまいります。
 各局と共に新技術の活用を進め、DXによる災害対策の高度化を図ってまいります。

○まつば委員 防災対策に女性視点を入れることが必要であると、都議会公明党は、東日本大震災の教訓から、この間、都に求めてまいりました。東京都防災会議への女性委員の登用や、また女性視点の防災ブックの提案など、小池知事に様々な提案をさせていただいてまいりました。小池知事が誕生してから、女性視点の防災対策が大きく進んだといっても過言ではないと思っております。
 そこで、防災対策の質問の最後でありますが、都の防災対策において、あらゆる場面で女性の視点を取り入れていくべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 大規模な災害が発生した折には、様々な場面で被災者に対するきめ細かな支援が必要でございます。そして、そのためにも女性の視点に立った配慮は欠かせません。
 都はこれまで、東京くらし防災の作成や女性防災リーダーの育成、乳児用の液体ミルクの確保など、防災施策に女性の視点を取り入れてまいりました。
 また、東京都防災会議条例の改正などによりまして、女性委員の任用は、現在三十八人中二十名と五〇%を超えておりまして、女性の声を地域防災計画の修正などに反映をさせております。
 今後も、家庭や地域での備蓄や、発災後の衛生環境の整備、被災者からの様々な相談への対応など、事前の備えから応急復旧段階の生活支援に至るまで、幅広く女性の視点を防災対策に反映してまいります。
 こうした取組によりまして、都民の安全・安心を確保してまいります。

○まつば委員 今、知事からご答弁がございましたけれども、二〇一三年のときには、東京都防災会議、女性が一人も委員としておりませんでした。そうしたところから、この東京都防災会議条例の改正をする中で、今は五〇%を超えるというところまで来たということでございます。
 また、東日本大震災の教訓として、行政の防災分野での女性職員の登用も重要であると、そういうことも指摘されておりましたが、この点も、現在、都の総合防災部には、女性の管理職が四名おられるということでございまして、多くの女性職員が勤務をされているということでございました。私が存じ上げている中で、初めての女性の防災管理課長も出ているということであると思っています。こうした女性職員を中心に、小池知事の下、女性視点の防災対策をさらに進めていただきたいと思います。
 続きまして、芸術文化施策について質問いたします。
 都は、都議会公明党の提案を受け、これまで都立文化施設において障害のある方のための特別鑑賞会を行うとともに、発表の場の提供やアール・ブリュットの普及など、様々な取組を展開してきました。また、芸術文化による社会支援助成を通じ、様々な人々とアートをつなぐ取組や、芸術文化で社会課題に取り組む活動を支援してきています。
 二〇二五年のデフリンピック開催を契機として、聴覚障害がある方が芸術文化に親しめる環境の整備をしていくことが重要だと考えています。
 例えば、音楽コンサートに聴覚障害の方が参加する際に、現状では、手話通訳者のチケット代も参加する聴覚障害者の方が負担しなければならず、また、コンサート手話通訳といわれるスキルのある手話通訳者が少ないなどの課題があると聞いています。しかし、海外では音楽コンサートに手話通訳者が派遣されることが当たり前となっている国もあると聞いております。
 そこで、デフリンピックを開催する東京において、聴覚障害者が芸術文化を楽しめる取組を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 デフリンピックを契機として、芸術文化の面から共生社会の実現に寄与していくことは重要でございます。
 都は、都立文化施設等におきまして、障害者向けプログラムを実施しておりまして、来年度は、より多くの鑑賞機会を提供するため、ポータブル字幕機などのツールを導入するほか、手話通訳つきのプログラムなどを新たに展開いたします。
 また、民間団体が開催する公演等に対しまして、百五十万円を上限に費用を全額助成する鑑賞サポートに特化した制度を創設するなど、障害の有無にかかわらず、誰もが芸術文化に親しめる環境を整備してまいります。

○まつば委員 芸術文化団体にとって、持ち出しなく鑑賞サポートが実施できる制度を創設されたことを大変評価しております。障害者差別解消法の改正においても、四月からは、事業者による障害のある方への合理的配慮の提供が義務化されます。芸術文化団体の中には、情報保障の取組に関する経験が十分でなく、不安に思うという声も聞いています。
 都議会公明党はかねてより、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援し、積極的なサポート体制を構築することを求めてまいりました。これを受け、昨年十月に東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトがオープンしました。このアートノトが、アーティスト等の活動に対し、機動的に実効性ある役割を果たしていくことに期待しているところです。
 そこで、アートノトと連携し、より多くの団体が情報保障の取組を推進できるよう、団体へのきめ細やかなサポートをすべきと考えます。見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 多くの芸術文化団体に情報保障の取組を広めるため、都内で活動するアーティスト等を総合的に支援する窓口、アートノトでは、来年度から、障害への理解や鑑賞サポートのノウハウを普及するための講座を新たに開設をいたします。
 また、民間団体等の優れた事例など、活動に役立つ情報へのアクセスにつなげ、取組を一層普及させるため、LINEを活用したプッシュ型の情報提供を開始いたします。
 相談窓口を活用して、専門家とも連携しながら、芸術文化団体が障害者へ適切な対応ができるように支援してまいります。

○まつば委員 次に、痴漢対策について伺います。
 二〇〇三年、都議会公明党は、痴漢被害から女性を守るために都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、二〇〇五年に都営新宿線に導入をされました。また、二〇二二年での本会議などの質問を通して、都営大江戸線で女性専用車両の導入が決定され、昨年二〇二三年一月十八日より運行が開始されました。
 東京都においては、今年度、実態把握調査を実施したほか、受験シーズンに合わせてキャンペーンを展開するなど、痴漢撲滅に向けた取組を進めています。本年一月から二月に実施した痴漢撲滅キャンペーンの取組をさらに有効なものにしていくことが重要ですが、来年度は、大学や高校の受験日に合わせた取組や、受験会場があるターミナル駅などで、見守りの強化や鉄道の車内放送でのアナウンスなどに取組を進めるべきと考えます。
 今後の取組をさらに有効なものにしていくことが重要ですが、都の取組について答弁を求めます。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 痴漢被害をなくすためには、第三者の行動が有効でございます。都は、鉄道事業者等と共に動画の配信やグッズの配布などを行ってまいりました。
 来年度は、受験シーズンの痴漢被害をより効果的に防止するため、受験日や受験生が集まるターミナル駅等も意識して、啓発活動を実施する日時や場所を工夫するなど、戦略的なキャンペーンを展開してまいります。
 加えて、鉄道事業者等と連携し、痴漢は犯罪であるというメッセージを強力に発信するなど、痴漢撲滅に向けた取組を推進してまいります。

○まつば委員 警視庁防犯アプリ、Digi Policeの痴漢撃退機能や防犯ブザーも役立っていると聞いておりますが、痴漢加害者は第三者の介入を最も嫌うという有識者の意見があります。都の調査でも、目撃者が行動すると痴漢被害の九割が止まるという結果があります。
 都が今年度作成した点滅機能つきキーホルダーは、痴漢被害に遭いそうで心配なときや目撃した際に使うことができ、痴漢被害を止める効果が期待されています。モニターに今、映し出させていただいています。
 子供や若者の意見も聞きながら、点滅機能つきキーホルダーをより普及して、痴漢撲滅を都民の皆様のご協力をいただきながら進めていくことが必要だと思いますが、見解を伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 今年度作成いたしましたキーホルダーは、都の安全・安心を推進するキャラクターである、みまもりぃぬをデザインしたもので、着用することで痴漢ノーの意思を示すとともに、点滅させることで周囲の注目を集め、加害行為をやめさせることを目的としております。
 作成に当たりましては、とりわけ被害に遭いやすい若者から意見を聞いており、駅窓口やイベント会場等で配布しております。
 今後、高校の協力を得て生徒に配布し、使いやすさなどについてアンケートを行います。それを参考に、機能やデザイン等をより使いやすいものとし、キーホルダーの普及拡大を図ってまいります。

○まつば委員 高校生の協力を得て、より使いやすいものにしていくとの答弁でした。痴漢撲滅に向けて取組の強化をお願いします。
 医療保険分野について質問します。
 帯状疱疹ワクチンの接種補助についてであります。
 都議会公明党は、令和四年第二回定例会、第四回定例会で、帯状疱疹ワクチンへの費用助成について提案をし、それを受けて、都は令和五年度から、実施する区市町村への補助を開始しました。
 そこで、初年度の実績と今後の都の取組について見解を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、帯状疱疹ワクチンが定期接種化されるまでの措置として、今年度から、接種費用の助成を行う区市町村に対し、経費の二分の一を補助する独自の財政支援を実施しており、六十の区市町村から交付申請を受けております。
 また、ホームページに区市町村の実施状況を掲載するほか、帯状疱疹の原因や症状、ワクチンの種類や有効性などについて分かりやすく紹介しております。
 来年度の実施に当たりましては、接種希望者が助成制度を利用できますよう、区市町村の取組状況を踏まえた経費を予算計上するとともに、事業の周知に向け、SNSなども活用し、広く情報発信してまいります。
 あわせて、国に対し、定期接種化に向けた検討の促進を改めて働きかけてまいります。

○まつば委員 次に、医師の働き方改革についてであります。
 医師の働き方改革が四月から始まります。都議会公明党は、医師の時間外労働の上限規制適用後も、引き続き大学病院から医師が派遣され、地域の医療体制が確保できるよう、国に対して働きかけを行うべきと求めてきました。
 本年四月から上限規制の適用が開始されますが、医師の派遣に向けた都の取組について見解を求めます。

○雲田保健医療局長 医師の働き方改革により、勤務医の時間外、休日労働時間の上限規制が適用された後におきましても、地域医療提供体制を安定的に確保していくことは重要でございます。
 このため、都は、国に対し、地域に必要な医療機能の確保や医療機関の経営への影響も考慮した支援などを提案要求してございます。
 来年度は、地域医療介護総合確保基金を活用し、大学病院等から医師派遣を受けている地域の中核病院等が診療に支障を来さないよう、新たな支援を開始いたします。
 具体的には、派遣元の大学病院等に対し、派遣する医師の診療があれば得られた利益相当額を補助することで着実な派遣を支援し、地域医療の確保に努めてまいります。

○まつば委員 最後に、女性活躍で一点です。
 都は今年度、働く女性のウエルネス向上事業を開始しましたが、今年度の取組について見解を求めて、質問を終わります。

○坂本産業労働局長 女性に特有の健康上の課題に対応し、職場でその活躍を後押しする事業者を支援することは重要でございます。
 これまで都は、働く女性の健康を支える優れた取組を進める会社の事例をウェブにより幅広く紹介しております。
 また、女性の健康や体調の管理に関わる知識やノウハウを提供する講座を動画により配信をしているところでございます。
 これらに加えまして、来年度、企業が女性に特有の健康課題に関し新たな職場環境の整備を図る場合に、十万円の奨励金を支給いたします。このサポートによりまして、女性がリモートで医師と健康面の相談をできる仕組みの導入や、社内の洗面所の中で体調を整えるスペースの整備等を後押ししてまいります。

○谷村副委員長 まつば多美子理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十二分休憩

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