予算特別委員会速記録第二号〔速報版〕

   午後二時五十五分開議

○小松副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 川松真一朗委員の発言を許します。

○川松委員 まず、質疑に当たりまして、今の東京、日本の課題整理が必要ではないかと思います。
 一九八〇年代、日本は経済成長を背景に世界二位の経済大国となり、企業の時価総額番付トップを日本企業が席巻しておりました。ものづくりの繁栄モデルは、ジャパン・アズ・ナンバーワンと称されたわけであります。
 それが、一九九〇年代から、日本は上がらない三十年という停滞期に突入し、GDPは現在四位に、そして、近くインドにも抜かれてしまうのではないかといわれております。
 今、日経平均株価は高値を更新したものの、世界の伸びには遠く及びません。グローバル化、デジタル化、脱炭素による産業構造など、世界は目まぐるしく変化しているものの、日本の地位は相対的に下げの一途をたどっております。
 私たちは、今この時代を生きる者に広がる閉塞感、無力感、そういったものをこの首都東京から打破し、上がらない三十年のトレンドを変える使命があるのではないかと思っています。それをベースに、世界で一番の都市東京、これを実現させるために、皆さんと強い思いを共有し、質問に入らせていただきます。
 ちょうど四年前のこの時期の予算特別委員会というのは、新型コロナウイルスが流行し始めたときであり、それからは、この都議会の中においても、医療面、行動制限、あるいはダメージを受けた都民の皆様、都内事業者の皆様への支援策を徹底して議論してきたわけであります。そして、ようやくコロナとの闘いが見えてきた今、世界情勢も大変なことになって、今はエネルギー高、物価高がこの首都東京を襲っているわけです。
 小池知事は、各方面において大胆な支援策を打ち出しておりますが、それは、光の当たらないところにも光を届けるという点で、一定の理解はしておりますが、財政運営の点で心配な点がございます。
 令和六年度の一般会計当初予算は、〇一八サポートの継続、高校授業料の実質無償化、給食費の負担軽減などの少子化対策をはじめ、東京が日本の成長を牽引し、持続可能な都市へと発展していくための多くの新規事業や拡充事業が盛り込まれています。こうした施策展開を支えているのは、好調な税収によるところも大きいと認識していますが、今後もこれ、右肩上がりに推移していくとは限りません。
 先般の代表質問でも触れましたが、かつて美濃部都政において、福祉施策を拡充したものの、その後のオイルショックなどによる景気悪化により、東京都の財政が困難な状況に陥ったということは忘れてはならないと思います。
 賢者は歴史に学ぶという言葉がありますが、いつ何がトリガーとなって景気後退に陥るか分かりません。そういった負の側面を常に想定した財政運営が必要だと思います。
 今後も東京の発展につながる施策を着実に展開していくために、いかなる状況変化に対応できるよう、中長期的な視点に立った財政運営を行うことが重要だと考えておりますが、今、知事はどのような思いで運営されているのか、見解を伺います。

○小池知事 人口が減少し、そして国際競争力が低下するなど、我が国が抱える課題の突破口を開く、そして日本の成長を牽引するということは、首都東京の責務だと考えております。
 一方、都の財政でございますが、収入の大宗を都税収入が占めており、景気変動の影響を受けやすい構造にございます。
 いかなる財政環境にありましても、都政に課せられた使命を確実に果たしていくため、強靱な財政基盤を堅持していかなければなりません。
 こうした考えの下で、令和五年度最終補正予算におきましては、税収の伸びなどにより生まれました財源を活用して、三つのシティ実現に向けた基金に約三千五百億円を積み立てるなど、財政対応力の強化を図ったところでございます。
 また、六年度の予算でございますが、施策の見直しや事後検証を徹底いたしまして、効率性、実効性の一層の向上を図りました。
 加えまして、将来世代の負担も考慮しまして、都債を計画的に活用することで、その残高を着実に減少させております。
 今後も、中長期的な視点に立ちまして、持続可能な財政運営を行うことで、東京、ひいては日本の輝かしい未来を切り開いてまいります。

○川松委員 いかなる財政環境においても都政の使命を果たしていくんだ、そのためには強靱な財政基盤を確保していくんだという知事の力強い答弁がございました。
 改めて、この日経平均株価が最高値を更新し、国内経済は成長に向けて歩みを進めておりますけれども、海外景気の下振れリスク、物価動向に関する不確実性などがあることも、これは事実です。
 過去の景気後退による反動として、リーマンショック時には、都税収入が一年で一兆円もの減収となりました。これは法人二税の減少がそのまま大幅な減収につながったわけでありますけれども、都財政が大きく影響を受けるのは、そういったところを考えながら運営していかなきゃいけないと。
 もし仮に、今、リーマンショック級の景気後退が生じた場合、どのように対応しようと考えているのか、都の見解を伺います。

○山下財務局長 都財政は、景気変動の影響を受けやすい構造にあり、仮にリーマンショック級の景気後退が生じた場合には、過去の例を見ましても、相当程度の税収減が想定されます。
 都はこれまで、財政再建団体への転落の危機、リーマンショックや近年のコロナ禍など、幾度となく厳しい財政状況を経験し、乗り越えてまいりました。
 これらにより得た教訓を踏まえ、引き続き、事業評価による施策の見直しの徹底、基金残高や都債発行余力の確保など、財政対応力の強化を図ってまいります。

○川松委員 今のご答弁でコロナについても触れられていましたが、経済悪化の要因というのは、一つに自然災害であったり、今いったようなこの生物災害によるものと考えられます。
 IMF、国際通貨基金の推計では、コロナによる全世界の経済損失は、二〇二〇年と二一年のデータが出ていますけど、合計で十一兆ドル、およそ千六百兆円にも上るとされています。
 災害はいつ発生するか分かりませんが、首都直下地震や新興感染症などが同時多発的に発生することもあり得ます。
 首都直下地震については、二〇一三年に国が経済的被害をおよそ九十五兆円と推計しておりますが、想定を超えるような複数の危機が同時に襲ってきた場合でも、耐え得る想定をしていくことが必要だと考えます。
 そこで、仮に複数の災害が同時に発生した場合、都財政はどのように対応されていくのか、見解を伺います。

○山下財務局長 お話の想定を超える危機に直面した場合、都民の生命と財産を守るための施策展開を下支えすることが財政の役割でございます。
 具体的には、基金の取崩し、都債の積極的な発行に加えまして、国に財源を求めるなど、あらゆる手だてを尽くしていくことになります。
 そうしたことを踏まえますと、日頃より財政対応力を強化していくことが重要であると考えてございます。

○川松委員 常に財政対応力を強化していくことが重要なんだという答弁だったと思いますけれども、財政対応力というと、先ほどの答弁にもありました基金の積立てや都債の計画的な活用などといったことがまず挙げられると思いますけれども、関連して、都税収入の安定的な確保に向けた取組も重要だというのは誰もが分かると思います。
 こうした歳出面からの取組に加えて、歳入面、税収の確保に向けた取組ということを考えたときに、都税収入を支えるのは、法人二税の約六割が大企業、大企業によってこの法人二税は支えられている。
 こういうことを踏まえると、これらの大企業、特に日本を代表するような大規模な企業には、集中的に東京都側、主税局側の人的資源を集中的に投下して調査する必要があるんじゃないかと思うんですね。
 大規模法人の場合、事業や雇用形態を頻繁に変えることもありますから、その変化に申告手続が追いつかない実態があります。また、一つのミスで、課税標準額ベースで数億円規模の申告誤りになるケースもあるといわれておりまして、専門性を高めるなど、東京都側の調査体制の強化が期待されるわけです。
 今後、大企業への課税調査について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○児玉主税局長 申告納税制度を適正に運用するためには、調査により申告内容を正確に確認する必要があります。
 近年、ビジネスの多様化や度重なる税制改正等により、事業規模の大きい法人の申告は複雑化しています。
 このため、都は、令和四年度に資本金五百億円以上の大規模法人に対する専門調査チームを設置しました。調査を行うに当たっては、より高度な税務知識が必要なため、来年度、専門調査チームに助言指導等を行う専門課長を新たに配置いたします。
 調査体制の強化により、引き続き、適正、公平な申告納税の実現と税収確保に取り組んでまいります。

○川松委員 来年度、大企業向けの専門調査チームに専門の課長を新たに配置するという答弁でありました。
 あらゆる危機においても都民サービスを継続すべく、強固で柔軟な財政対応力を堅持しなければなりません。
 都はこれまでも、徴収力強化の取組を行い、一定の成果を上げていますが、今回の取組により、さらなる都財政の強化につながることを期待します。
 さて、改めまして、去る一月一日に発生した能登半島地震で多くの尊い命や日常が奪われました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、今なお避難所で生活をされている皆様、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 そこで、防災施策です。
 都は、来年度予算におきまして、能登半島地震を踏まえた防災施策の充実を掲げており、新たな取組も含めて予算案を計上されました。このことは当然、必要なことですが、ここで一度立ち止まる必要があるんじゃないかと私は考えています。
 例えば、関東大震災を百年前に経験してから、間違いなくこの首都東京は、倒れないまち、燃えないまちになったんだと思います。それによって、我々が課題だといってきたマンション防災というような新たな課題も出てきていますけれども、防災力は強化されてきた。この間、先人から現代に至るまで多くの皆様への、尽力されたことに対しては敬意を表するわけであります。
 このことを否定するわけじゃないんですが、能登半島でも、それまで想定をしていたものではなく、想定を超える断層のずれがあって、生活インフラ破壊のダメージが大きかったことを念頭にすると、いま一度、現状の防災に関する計画や施策が首都直下地震のような大規模災害に本当に対処できるものなのか、ゼロベースでいち早く再点検すべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○野間総務局長 大規模災害への対応力を高めるためには、過去の災害の経験も踏まえながら、防災施策についての不断の見直しを図ることが重要でございます。
 都はこれまでも、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害の教訓を生かし、東京の地域特性も踏まえながら、防災に係る計画や事業の充実に努めてまいりました。
 昨年度公表した被害想定では、東京で起こり得る被害の様相を定性的に明らかにいたしました。その上で、地域防災計画の修正を行い、新たな減災目標を定め、改めてその達成に向けた指標及び主な取組を掲げてまいりました。
 今回の能登半島地震についても検証を行い、東京の防災力の向上につなげてまいります。

○川松委員 三・一一、東日本大震災のあの大津波を経験して、あの頃も想定外の想定という言葉が各所で叫ばれました。
 都の最大の使命ともいえるこの防災について、常に想定外の想定を考え続け、真に強い東京を我々は共に実現していかなければいけないわけですが、冒頭にいった世界で一番の都市を目指すに当たって、世界都市ランキングの様々な項目を見ていったときに、自然災害のリスクについての項目は、二三年データ、二二年データもともに四十一位です。この東京のほかの指標に比べれば、やはり低い方に入ります。
 本当にここは最重要課題であるということで、さらに力を入れるべきだと思いますが、この能登半島地震では、食料や衣類等、多くの支援物資が全国から届けられている様子が連日報道されました。
 首都直下地震など、大規模災害発生時には、多くの都民の皆様が避難所生活を余儀なくされるため、膨大な物資が必要となることはいうまでもありません。
 東京都は来年度、多摩地域の防災拠点の機能強化に向けた検討を行い、基本構想を策定するとしておりますが、多摩地域の防災拠点の一つである多摩広域防災倉庫が、首都直下地震などの大規模災害発生時にどのような役割を果たすのか見解を伺います。

○野間総務局長 多摩広域防災倉庫は、発災時に国や民間事業者等からの支援物資を受け入れ、区市町村に輸送する広域輸送基地としての機能に加え、発災後直ちに必要となる支援物資を保管する重要な役割を担ってございます。
 今回の能登半島地震の被災地支援においても、被災地からの物資支援要請を受け、多摩広域防災倉庫に備蓄していた物資を速やかに搬送いたしました。
 首都直下地震等の大規模災害において、多摩広域防災倉庫は避難生活を支える基幹的な物資供給拠点でございまして、今後、都民の安全・安心を確保していくため、機能強化について検討してまいります。

○川松委員 今の最後の部分で機能強化について検討とありますけれども、これ検討じゃなくて、やっぱりすぐやるという答弁をね、こういう場で都民の皆さんに私はお答えすべきだと思うんです。
 災害発生時には、物資が必要な避難所などへ迅速に物資を運ぶことが大変重要である。いざというときに適切に対応できるためには、この多摩広域防災倉庫の機能強化、必ず、検討ではなくて取り組むことを要望いたします。
 先ほどお話ししたように、能登半島地震では、現地のインフラは壊滅的な被害を受け、人々の生活に直結する水道、下水道の被害も非常に深刻な状況となっています。
 東京都水道局、下水道局は、応援要請に基づいて、発災後速やかに現地に駆けつけ、水道、下水道の復旧に当たっており、これらの支援活動は現在も継続中であります。
 これまでに派遣した職員は、延べおよそ六百名、都内の工事事業者、延べおよそ百社、およそ六百四十名ということで聞いておりますが、雪が降り積もる厳しい寒さ、崖崩れや倒壊家屋が間近に迫る中での作業など、苛酷な状況の中、懸命に復旧に対応されています。
 改めて、現地に行かれ、復旧に当たっておられた方、当たってこられた方々、これ東京水道、下水道の重要な仲間である技術者の皆さん方です。そして、今後も東京都の安全・安心を支えてくださる皆様に対して、小池知事から、今後も含めて感謝の意を表すべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○小池知事 能登半島地震に伴いまして、深刻な断水の被害が発生した輪島市におきましては、都が全力を挙げまして復旧支援を行っているところでございます。
 復旧に当たりましては、都内の工事事業者の熟練した現場ノウハウは不可欠でございまして、水道局、そして下水道局の職員と共に、官民の総力を結集して対応に当たっているところでございます。
 その結果、輪島市の市街地の中心部では基幹となる水道管、そして下水道管のほぼ全てが復旧をいたしまして、仮設住宅など、被災者の生活拠点への通水も順次進んでおります。
 先週には、現地で支援に取り組んだ職員から活動の報告を受けました。そして、激励、慰労もいたしたところでございます。
 引き続き、都と事業者が連携しまして、水道、下水道の一日も早い復旧に取り組むとともに、苛酷な状況の中で現地で尽力いただいている事業者に対して、今もアイ・エヌ・ジー形ではございますけれども、感謝の意を表していきたいと考えております。

○川松委員 今、知事から、感謝の意を表するということについて答弁いただいたわけですが、ぜひよろしくお願いいたします。
 というのは、平成二十八年の熊本地震の際は、現地で復旧支援をされた事業者に対して局から感謝状が送られているんですね。今回は、能登半島で活躍され、現地の復旧の貢献に寄与されたお一人お一人に、この敬意がしっかり伝わるようなことを、知事からもメッセージを発信していただきたいということを求めまして、次の質問に移ります。
 能登半島地震では、輪島市の観光名所である朝市通りの建物が火災で二百棟以上焼失しました。報道によると、朝市通りではたった一か所から出た火が瞬く間に広がり、消火活動を阻む幾つもの想定外と誤算が重なってしまったことで、朝市通りの区画が全て焼けてしまったというふうにいわれております。
 また、今から百年前に起きた関東大震災の際は、死者、行方不明者およそ十万五千人のうち九割が火災による被害でありました。
 私の地元であります墨田区でも、火災旋風によって三万八千人もの尊い命が失われまして、災害時の出火防止は非常に重要であると、この間も訴えてきたわけであります。
 東京都は現在、感震ブレーカーの効果について、全世帯に配布している防災ブックなどで普及啓発を行うとともに、感震ブレーカーを木造密集地域の対象世帯に配布しており、私の墨田区にも既に配布されています。
 改めて、来年度、出火防止対策にどう取り組んでいくのか見解を伺います。

○野間総務局長 地震発生時に被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により、火災の発生を未然に防ぐことが重要でございます。
 地域防災計画では、二〇三〇年度までに首都直下地震による人的、物的被害をおおむね半減するという目標達成のために、出火防止対策等として、感震ブレーカーや消火器の設置などを推進することとしてございます。
 このため、都は、来年度も木造住宅密集地域の希望する対象世帯に感震ブレーカーを配布いたします。
 また、家庭における消火器の設置を促すなど、区市町村と連携して取組を進めていくとともに、出火防止対策の重要性などについて、特設ホームページ等で周知いたします。
 こうした取組によりまして、出火防止対策を強化してまいります。

○川松委員 今お話しありましたように、来年度も出火防止対策を強化していくということでありますが、墨田区をはじめ、東京各地まだまだ木密地域が残っております。もし首都直下地震が起きたときに、一たび木密地域で火が出れば、大火事になってしまう危険がありますので、しっかりと対策に取り組んでいただきたいと考えます。
 そして、能登半島地震の発生直後は、避難所で土足のまま過ごされているケースが複数ありました。能登町のある避難所におきましては、一月下旬になっても土足で過ごされていて、外からの汚れが入ってくるなどして、感染症のリスクが懸念されているという報道もあったところでございます。
 東京で首都直下地震等が発生した際にも、避難所の運営に当たっては最初から土足禁止にするなどの衛生マニュアルを徹底して、そして皆さんに周知しておくべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○野間総務局長 被災者が健康で良好な避難生活を送るためには、避難所の衛生環境の維持は不可欠でございます。
 このため、都は、地域防災計画において、トイレの不足等による衛生環境の悪化防止や感染症対策の実施などについて定めてございます。
 また、区市町村に対し、アレルギーがある方などにも配慮して、避難所内は開設時から土足禁止が望ましいことを周知するなど、衛生管理に取り組んでおります。
 これらを踏まえまして、各区市町村において事前に避難所管理運営マニュアルを作成することとしてございまして、引き続き区市町村と連携し、避難所の衛生環境の維持に努めてまいります。

○川松委員 本当に大変なときの避難所の運営ですので、非常に現場のオペレーションというのは難しいということは理解しているんですが、これ平時から考えていくこと、衛生環境を保つことが、まさに被災者の命に関わることでもありますので、災害が起きた直後、混乱している時期だと思いますけれども、避難所開設時から土足禁止にすべきだということを改めて徹底して呼びかけていただきたいと思います。
 次に、避難所に避難されてきた方への医薬品の対応についてということで考えていきたいんですが、能登半島地震におきましては、モバイルファーマシー、これは動く薬局というか、動く調剤室というか、車に載せて動くわけですけれども、このモバイルファーマシーが活用され、被災者に対する医薬品提供に寄与されました。
 私は、このモバイルファーマシーについては、地元墨田区薬剤師会や東京都薬剤師会の皆さんと研究してきましたし、この都議会におきましても、公明党さんも質疑で取り上げられております。
 改めて、この今の状況を踏まえると、この東京都において、緊急時に備えてモバイルファーマシーの導入に向けた検討に踏み出すべき、このタイミングだと考えますけれども、都の見解を伺います。

○雲田保健医療局長 災害時には、医療救護所等におきまして、被災者に処方された医薬品を適切に提供する必要がございます。
 東京都地域防災計画では、災害時に医薬品を適切に提供するため、区市町村は、医薬品の調達や医療救護所等での調剤体制を整備し、都は、区市町村内で調達が困難な場合、協定締結団体を通じて医薬品を供給する仕組みを確保しております。
 モバイルファーマシーは、今般の能登半島地震におきましても、被災地での調剤や医薬品の供給に有効に活用されたと承知しておりますが、平時における維持管理など、導入に当たりましては検討が必要な様々な課題がございます。
 こうした状況等も参考に、都内の実情に即した災害時の医薬品供給体制につきまして検討してまいります。

○川松委員 確かに緊急時は活用できる、今、局長おっしゃったように、平時はどうするか維持管理などの課題もあります。どこに置くべきなのか、そして誰がこれを管理すべきか。
 例えば、地元の墨田区なんかでは、このモバイルファーマシーがうちの地元に来て、お子さんたちに調剤体験をその車でしてもらって、普及とか、いざあったときにはこういう車が活躍するんですよなんていうことをやっておりました。
 ぜひ都内の薬科大学との連携ということも一つの手法だと思いますので、ここは一歩踏み込んで、災害対策のために、局長、もっと強い答弁をしていただきたかったなと思うんですが、この緊急時の医薬品についてなんですけど、今回の能登半島地震を受けても、避難所等における性暴力、性被害の発生が報道されています。
 必要時に備えて緊急避妊薬の備蓄、この必要性を東京都薬剤師会の先生方も強く訴えられていますけれども、東京都は、区市町村に災害用の医薬品備蓄リストを参考として示しているんですが、この中に緊急避妊薬が入っていません。
 僕は、最悪の想定を考えたときには常備しておくべきだと考えますけれども、都の見解を伺います。

○雲田保健医療局長 東京都地域防災計画では、区市町村は災害時に備え、地区の医師会や薬剤師会等と協議の上、医療救護所等で使用する医薬品等の備蓄に努めることとされております。
 都は、区市町村の取組の参考となりますよう、災害時における医薬品の使用実績のほか、医師である災害医療コーディネーターや薬剤師会等に意見照会し、医薬品の特性等を踏まえて慎重に検討を行い、鎮痛剤や抗生物質などの備蓄医薬品等のリストを作成してございます。
 今後も区市町村や関係機関と連携し、災害時に必要な医薬品を確保できますよう取り組みますとともに、取扱いに注意を要する緊急避妊薬を必要とする方が迅速に受診し、安全に服用できるよう、関係機関と意見交換してまいります。

○川松委員 関係機関と意見交換していくという話ですが、我々は現場の、例えば能登半島の現場に行かれた皆さん方からも、こういう備蓄が必要じゃないかといわれているんです。
 それを東京都から、しかも今、東京都が保管するというよりも、このリストの中に入れることさえもできないということの、その思いがどこにあるんだろうかと。あまりにも役所的な仕事をしていませんか。
 九九・九%の平時の話じゃなくて、いつ起きるか分からないことかもしれませんけど、そこで一歩踏み出す判断とか決断というのを、都民の皆さんのため、あるいはそこで暮らしている皆さん方のために求められるのが、首都東京役所の使命だと私は思いますよ。
 一方で、今いったように、報道されているように、避難所に避難してきた女性が性犯罪や性暴力に遭っている。問題になっているんです。中には災害ボランティアが加害者になっているケースもあるわけですよ。
 こういうことは断じて許されないわけで、女性が性犯罪や性暴力に遭うことのないように守っていかなければなりませんが、東京で首都直下地震が発生した際、女性が性犯罪や性被害に遭わないための安全管理対策、総務局としてはどう取り組むのか教えてください。

○野間総務局長 避難所における性暴力等の発生を防ぎ、避難生活の安全・安心を確保することは重要でございます。
 このため、都は、避難所管理運営指針で警察との連携や警備員の雇用、トイレや入浴施設付近等の巡回警備、防犯ブザーやホイッスルの配布等の対策を示し、区市町村の安全・安心な避難所運営を支援しております。
 また、リニューアルした「東京くらし防災」では、避難所における性犯罪から身を守るため、可能な限り単独での行動は避ける等の対策を広く都民に周知してございます。
 能登半島地震の状況も踏まえながら、今後も区市町村や関係機関と連携し、避難所における犯罪防止対策の強化を図ってまいります。

○川松委員 やはり今のような答弁があるということは、そういった事例があることを認識しているということです。
 実際に、犯罪の類型として、不同意性交罪や不同意わいせつ罪、あるいは、聞いた話だと、授乳されているときに凝視される。ボランティアの皆さん方が来たと思っているけれども、嫌な思いをしているという声がどんどん届いているわけですね。
 だから、マニュアルももっと徹底していく、あるいは、これ、避難所だからとか、そういうときだからではなくて、ちゃんと今から総務局も含めて各所に周知徹底していく。その上で、先ほどいった緊急避妊薬の常備というのも関係各機関と調整するということだったら、いち早く手をつけていただくようお願いを申し上げます。
 こうして防災の各部署が、それはそれぞれ各局によって防災対策というのは異なりますけれども、いざというときに、一つでも機能しなかったときには困る方がたくさんいらっしゃいますので、避難所の問題、今、性被害、性暴力だけを取り上げていますけれども、そのほか含めて、いま一度皆さんに点検をしていただきたいということを要望します。
 次に、災害時におけるZEVの活用促進について伺います。
 東京都は、運輸部門におけるCO2の排出量を削減する取組の一つとして、電気自動車をはじめとしたZEVの普及促進を図っています。
 ゼロエミッション東京の実現を目指す上で、ZEVの普及は必要だと思いますけれども、今般の能登半島地震を踏まえて、今までこれ、ZEVというのは環境対策ということで、補助金などを皆さんつけてきたわけですが、走る蓄電池としてZEVの活用を促すことが重要ではないかという提案です。
 ZEVというのは、バッテリーを搭載していまして、自動車メーカーによりますと、一般家庭でおよそ四日間、家中の家電の電力を賄える大容量バッテリーを備えた車両もあるそうです。こうした車両の普及が進めば、レジリエンス向上に大きく寄与することが期待できます。
 ですので、東京都は、ZEV購入への補助事業を、今までも環境ということで実施してきていますけれども、さらなる普及を促して、災害時には皆さん方の携帯電話の充電をするとか、そういった意味でZEVの蓄電機能が発揮されるよう、支援の拡充等を図ることが今こそ必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 ZEVの普及拡大は、ゼロエミッション東京の実現だけでなく、災害時の非常電源確保にも有効でございます。
 このため、都は、ZEV購入支援事業におきまして、今年度から災害時の活用等を考慮し、家電製品等への給電が可能な車両への手厚い補助を行ってございます。
 加えて、来年度からは、車両から住宅への電力供給が可能となるV2H充放電機器を導入する場合には、補助額をさらに十万円上乗せしてまいります。
 さらに、関係各局や自治体と連携し、災害発生時に地域等でZEVを非常電源として有効活用するための方策について検討を深めるなど、気候変動対策と災害対応力強化の両面からZEVの普及拡大と活用を図ってまいります。

○川松委員 ぜひ、今、補助額を上乗せするという答弁もありましたけど、ZEVの補助金を受けた皆さん方にも、改めて災害時には、この車がまちに出れば人を救うことができるんだ、人々の電源を確保することができるんだということを、PRも含めて、どんどん補助を促していくというか、ZEVを広げていくということが重要だと思います。
 私の墨田区では、熊本地震で車から電源を取っている様子を見て、これは個人ではなくて、事業者と業務提携というか災害協定を結んでいて、何かあれば、この電源が取れる車が墨田区で走る。そして、多くの皆さん方を助けることになっていますので、墨田区でできることだったら、私は東京都でできるんじゃないかということを提案してきましたけれども、いまだにそこまで一歩踏み込めていないので、ZEVの購入額上乗せだけでなく、それがより全都的に広がるような促進策も考えていただきたいと思います。
 こうしたレジリエンス向上に資する電気自動車をさらに普及させるために、今までいろんなことを取り組んでこられました、東京都も。例えば家の自宅に充電ポートを設置する補助金などもありましたけれども、よくよく考えてみれば、都内マンションに住まれている方は、ほとんど自分のところに駐車場がなくて、月極駐車場を借りたりしているわけですよ。
 だけど、これ、月極駐車場に充電ポートがなければ、当然広く都民の皆さん方に、このEVカーが普及するはずもないわけですから、今こそ、今いった防災の観点も含めて、環境だけでなくて防災の観点も含めて、EVの車が普及していくことが重要であると考えれば、月極駐車場への充電設備の設置を一層推進すべきじゃないかと思いますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 電気自動車の普及に向け、日々の生活や事業活動の中で、車両を長時間止める場所で充電のできる設備の導入を促進することは重要でございます。
 これまで都は、自宅や事業所のほか、月極の駐車場で長時間にわたり充電をする設備の設置に対し支援を行ってまいりました。
 来年度は、こうした普通充電器の導入をより一層増やすため、支援の充実を図ります。
 具体的には、その設置に係る工事費の補助上限額を八十一万円から百三十五万円に引き上げます。また、普通充電器を増やす見込みのある駐車場について、あらかじめ地中等に電線とそれを収納する配管を設置する工事に関し、一台分につき最大三十万円の助成を行います。

○川松委員 都が電気自動車の普及促進のため、月極駐車場も含めた充電環境の整備を促進し、さらに、この金額も上げていくんだというようなお話がありましたけれども、とにかく環境面だけではなくて、防災面で重要だということも含めて、普及に向けて引き続き都民や事業者のニーズを的確に把握して、その取組を効果的に支援していただきたいということを要望いたします。
 次に、コロナとの闘いというのは、ゴールは見えているのか見えていないのかというような状況でありますけれども、冒頭お話ししたように、四年前から我々は様々な提言をし、そして、いろんな議論をし、我々の意見が採用されたものもあれば、全く採用されずに今に至っているものもありますが、その一つが臨時の医療施設というものです。
 何度も私たちはお話ししていますが、通常今ある病院で、コロナ感染症以外の皆さん方の受診控えをし、あるいは受診拒否をして、診察拒否をして、ベッドを閉じて、コロナ感染症のためだけに特化するような病院であるならば、別途に臨時の医療施設を構えておいて、そこにそれぞれの病院から一人、二人、医療人材に集まっていただいて運用する、これが通常医療を止めることなく、このコロナ感染症を迎え入れるんだと、そのために臨時の医療施設が必要だということを都議会自民党も、そして東京都医師会も、繰り返し繰り返し要望してきたわけですが、改めて都の見解を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、新型コロナ対応におきまして、医療機関等の協力も得ながら、病床確保や臨時の医療施設の設置など、様々な対策を実施し、的確に医療提供体制を構築してまいりました。
 新興感染症に備え、あらかじめ臨時の医療施設を設置することは、施設整備や医療人材の確保など、様々な課題や論点があり、現在これらの整理を行っているところでございます。
 今後ともコロナ対応の知見や経験を生かし、関係機関との連携の下、有事への備えを着実に進めてまいります。

○川松委員 課題や論点を整理しているという話ですけれども、何年整理しているんですか。四年前からこの話をして、ここまで来ているわけですよね。
 改めて、この論点があるということ、次なる感染症に備えるということですが、今、人獣共通感染症対策というのは世界的な課題でありますけれども、速やかな対応が必要だと思います。
 臨時の医療施設を常に備えておくことについて、どのような課題や論点があるんでしょうか。そして、どんなことを今まで整理してきたのか、なぜこんな時間がかかっているのか、同じことの繰り返しなので、局長、今何やっているのか現状を教えてください。

○雲田保健医療局長 新興感染症発生時への備えにつきましては、新型コロナ対応で得た知見や経験を生かし、実効性を確保していくことが必要でございます。
 現在、高齢者等医療支援型施設など、コロナ対応で設置いたしました臨時の医療施設の効果や課題を確認いたしますとともに、施設整備や医療人材の確保など、あらかじめ施設を設置する際の課題や論点につきまして、東京iCDCや感染症医療体制戦略ボードなどの専門家と意見交換を行いながら、検討を進めているところでございます。
 引き続き、新興感染症に的確に対応できますよう着実に取り組んでまいります。

○川松委員 ここは重要な点でして、要は、皆さん方の思いと、東京都医師会の皆さん方や現場の先生たちが求めていることがずうっとかみ合わないまま四年がたちました。
 今、新興感染症の備えというお話もありましたけれども、新興だけじゃなくて再興感染症のおそれもある中で、ここで準備しておくということさえもできない、あるいは協議会さえも設置できないということが、私は不思議でなりません。
 早く整理していただいて、まずは現場の関係者と東京都の協議会設置、これはもうすぐできると思いますから、これを強く要望いたします。
 次に、スタートアップ支援について伺います。
 今、世界は、貧困や食料危機、気候変動など、持続可能性を揺るがすような数多くの問題に直面しています。これを解決するために、これまで誰も考えつかなかったような、自由で斬新な発想や革新的な技術が求められています。
 だからこそ、こうした世界の問題の解決に貢献するスタートアップを生み出すことが求められているんだと思います。
 例えば、過日、私の地元墨田区に本社を構えるアストロスケール社は、二月十八日に人工衛星ADRAS-Jの打ち上げに成功しました。CEOらと共に、その打ち上げ成功の報告を小池知事にいち早く行ったわけでありますけれども、この企業は、宇宙のごみを掃除しましょうと。
 それぞれ皆さんが世界中で上がっている人工衛星が増えてきて、今使い捨てみたいになっているから、この人工衛星を掃除したり、あるいは使い捨てにならないように、燃料補給ができるような開発をしましょうということを打ち出して、様々な方が支援しているわけですけれども、当初、早い段階で東京都産業労働局から大型の支援を受けて研究を進めて、この東京都からの公的支援が他社への信用となって、世界中から注目をされて、今やユニコーンといわれてもよいレベルまで急成長している企業であります。
 こういったスタートアップを大きく育てるのは、マーケット、市場の力であります。価値のあるサービスはマーケットの中で売れるし、投資家も資金を提供する、これ、経済の原理です。
 私は、スタートアップ支援における行政の役割、議員の中には、行政がもっとスタートアップにお金出せ、お金出せという方もいらっしゃいますけれども、私は、A社、B社を直接支援することではないんじゃないかと思うんですね、行政は。いいものだったら、どんどんお金が集まってくる。これがスタートアップだと思います。
 つまり、ベンチャーキャピタルなど、民間のプレーヤーが育てたくなる、この会社いいな、投資したいなと思う優良なスタートアップの芽を発掘する、そして、民民のビジネスの世界に乗せていくこと、これが東京都という行政に期待される役割なんじゃないでしょうか。
 おととしの十一月、スタートアップ戦略を策定して以降、都は、様々な施策を打ち出して、取組を加速させてきましたが、改めて、スタートアップ戦略をどのように進めていこうとしているのか、小池知事の考えを伺います。

○小池知事 スタートアップについてのお尋ねでございます。
 気候変動、そしてエネルギー危機など、世界の問題を解決に導く大きなイノベーションを生み出すこと、これこそが人類の存続、そしてまた、都市の未来を切り開いてまいる鍵かと思います。
 こうした強い思いで、スタートアップ戦略では、起業数、ユニコーン数、官民協働の実践数、それぞれ五年で十倍にするという大胆な目標を掲げたところでございます。
 その実現に必要なことは、常に世界を視野に入れて、グローバルということですね、そして、官民の力を結集し、社会全体でスタートアップの挑戦を後押しすることだと考えております。
 主役となるのは、夢やアイデアを持つ若者、投資家、大学、そして支援機関など、世界中のプレーヤーでございます。
 海外の支援機関による育成プログラムや全国各地と連携したコミュニティづくりなど、プラットフォームとしての活動を展開しまして、挑戦者と支援者を結びつけてまいります。
 新たな化学変化を起こすことによりまして、また、投資につなげることで、世界に飛躍するユニコーンを生み出してまいります。

○川松委員 スタートアップをユニコーンに育てていく上で不可欠なのは、彼らを世界へと導いてくれる支援者、とりわけグローバルマーケットに精通した投資家の存在です。
 世界目線での投資を呼び込むことの重要性については、先日の本会議一般質問におきまして、我が会派の土屋議員が取り上げ、東京都が今後、取組を強化していくんだということを確認いたしました。
 折しも、この五月には、アジア最大規模となるグローバルスタートアップイベント、SusHi Tech Tokyo 二〇二四年大会が開催されるわけですが、世界中から多くの投資家が東京に集まるこの機会を逃すことなく、世界を狙うスタートアップたちと結びつけていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 都は、本年五月、SusHi Tech Tokyo 二〇二四におきまして、海外の投資家と東京のスタートアップを結びつけ、グローバルな投資を呼び込む取組を新たに開始いたします。
 会場内にミニステージや専用の商談室を備えたベンチャーキャピタル向けのパビリオンを設置し、海外の投資家も招いて、スタートアップとの交流や個別のマッチングを行います。
 さらに、日本への進出を検討している海外の投資家と、投資家との協業に関心のある日本企業との交流会をTokyo Innovation Base、TIBで開催いたします。
 こうした取組により、世界目線の投資を促進し、グローバルな成長につなげてまいります。

○川松委員 ベンチャーキャピタルなどの投資家とスタートアップとのつながりを築いて広げていく、そういう答弁でありましたけれども、一過性の関係性ではなくて、こういった人たちが継続して関係性を築いていけるような支援ということも重要なんだと思いますが、先ほど小池知事が答弁されました、大きなユニコーンを育てるためには、世界のマーケットを視野に入れた事業展開が必要だということでありますが、東京都が取り組んでいるキングサーモンプロジェクト、名前のとおりスタートアップが海外で活躍し、大きく育ち、日本のエコシステムに貢献することを想定した事業でありますが、実は、ここ現在のところ、ユニコーン企業は輩出されていないわけです。
 世界の課題に挑戦する有望なスタートアップを見いだして、大きく育てるためには、本当にもし心の底からですね、ボーングローバルな視点に立った取組を徹底すべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 スタートアップの飛躍的な成長を導き出すためには、当初から海外市場を見据えることが必要であることから、都は来年度、キングサーモンプロジェクトにおきまして、支援事業者と協働し、海外販路開拓やベンチャーキャピタルからの資金調達など、海外展開に向けた伴走支援を強化いたします。
 また、これまで都政現場を製品やサービスの実証フィールドとして活用してまいりましたが、これを拡大し、スタートアップが海外都市の課題に挑戦する取組を新たに開始いたします。
 TIBも活用し、こうしたボーングローバルな視点を持った取組を展開してまいります。

○川松委員 今は都政の課題解決みたいなもので企業を探していましたけれども、来年度からはそうではなくて、やっぱり世界の課題解決に挑戦するスタートアップ、東京都から世界を変えていくような企業が一つ、二つ、三つと増えていけば、先ほど冒頭からいっている、世界で一番の都市東京に近づくのはいうまでもありません。
 ぜひこの新しい支援体制、官民連携した支援については、皆さん方、力強く行っていただいて、大きく成長させて、ユニコーンを早く生み出してほしいなと思っておりますが、このスタートアップを育てていく上で重要な視点は、東京の強みを最大限生かすということではないかと考えています。
 私の地元墨田区はじめ、中小のものづくり企業の高度な技術をスタートアップの成長に活用しない手はないんじゃないか。今までどっちかというとサービスとか、あるいはそのソフトみたいなところに特化してきている面がありますけれども、私はものづくりということもスタートアップの視点に入れていかなきゃいけないと思いますが、地元で長年ものづくり支援に携わっているある企業のトップの方から、スタートアップ、企業、大学など、それぞれが強みを持ち寄って協働することが重要と話しておりましたが、ものづくりの分野というのはやっぱりこうした事例が少ないわけですね。やっぱり設備投資があり時間がかかったり、人が必要だったりします。
 そこで、スタートアップ支援に関わる様々なプレーヤーが集まるTokyo Innovation Baseにおいて、ものづくりのスタートアップと優れた技術を持つ中小企業のコラボレーションなど、成長に向けた東京ならではの協働の取組を後押しすることが必要と考えますが、見解を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 TIBでは来年度、ものづくりスタートアップと中小企業や研究機関が協働し、高度な技術とアイデアを掛け合わせ製品開発を進めるプラットフォームを構築いたします。
 ものづくり企業、投資家などとの幅広いつながりや支援ノウハウを持つ事業者と連携し、試作品の製作環境を備えたエリア、ファブを五月に新設いたします。
 設計から試作、製造までの開発工程を専門的に学ぶ育成プログラムを提供するとともに、TIBの多様なネットワークを生かし、共同開発、量産、出資などのパートナーとの関係づくりを後押しするなどにより、ものづくりスタートアップの成長につなげてまいります。

○川松委員 今の答弁重要でして、本当に、ソフトだけじゃなくてハード事業に取り組むスタートアップが大きく育つことが、まさにものづくりの技術が高い我が国にとって非常に重要な視点だと思いますので、今後の成長に期待しております。
 そして、こうなってくると、ずっと私は各局の皆さんにいっていますが、スタートアップ支援と産業労働局等のベンチャー支援というのが一体どういうふうに違いがあるんだろうかと。何が似ていて何が異なるのかということも整理して、それぞれの事業のマインド、あるいはそれぞれ求めるものというのを明確にした上で、一つ一つどんな目標を立てるのか、そういう取組を、せっかく新しく部署ができたわけですから、このすみ分けもしながら、それぞれで大きな企業を、産業労働局も含めて育てていっていただきたいということを要望いたします。
 そこでなんですが、スタートアップの皆さん方、片仮名語とか、要はよく分からない言葉を使われているという指摘がございます。これ、多くの仲間を集めなきゃいけないわけですよ。それを都民の皆さん方にも、理解するときに、やはりできるだけ平易な言葉に置き換えたりして努力して、市民権はどこで得ているんだろうかという言葉遣いを丁寧にしていっていただきたいなと。
 ちなみに、東京都の公文書の規程施行細目では、正確であること、平易であること、簡潔であることが公文書に載る言葉だとなっていますので、ちょっと分かりづらい言葉とか、すぐSUとかいっぱい書いてあって一体これ何だという指摘を受けますけど、ちゃんとそこはスタートアップといったり、そういう配慮が、一人一人支援者を増やしていくということになるんじゃないのかなと思います。
 また、スタートアップ支援においては、スタートアップがもっと東京都の仕事を取れるようにみたいな指摘があって、東京都は優れた技術、製品等を有するスタートアップに係る等級によらない入札参加制度というのを実施されているわけですが、調べてみたら、財務局長、二百件以上対象事業があったのに、まだ誰も、ゼロ件ですよ、これ。ゼロ件って成立がゼロ件じゃなくて、申請さえもゼロ件と。
 だから、何でもかんでも提案すればいいということじゃなくて、提案したことをやっぱり実証性を持たせて、地に足ついた支援事業の中でスタートアップを大きく育てていただきたいということを要望いたします。
 このスタートアップの支援のために、世界中のVC、ベンチャーキャピタルやVVIPの皆さんをTIBに集めていきたいというようなお話ありましたが、その一つのキーワードに、僕は現代アートの振興策というのがあるんじゃないかと思うんですね。
 これ、現代アートが、やはりそういった投資家の皆さん方と、世界中を見渡せば密接に関係をしているので、アートに対する税制優遇制度が整備されているか否かが、さらにこのTIB発展にも大きなポイントになってくると思います。
 今東京にいるすばらしい才能を持つアーティストが活動拠点を海外へ移してしまう、東京のアート産業が衰退してしまうということを繰り返し私は危惧しているわけですが、改めて、アート産業に新たな活力をもたらすため税制優遇措置を国に対して働きかけるなど、アーティストが東京で活躍し、継続的に活動できる環境を整備すべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 アーティストが活躍するためには、アートが都民に身近なものとなり、作品が購入され、新たな創造につながるという好循環をつくり出すことが必要であります。
 都は、アート作品を都民の日常に根づかせる事業に対する助成や若手アーティストの成長段階に応じた様々な支援に取り組むなど、多面的に施策を展開してまいりました。国に対しましても、アート市場の活性化や才能ある人材に対する支援を提案要求しております。
 今後も、アーティストの持続的活動につながる提案を国に対して行うなど、国や芸術文化団体等とも連携しながら文化政策を推し進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。東京の食とかアニメは世界中から注目されているのはいうまでもありませんが、世界の都市総合力ランキングでは、繰り返し使いますけど買物の魅力は世界で一位、食事の魅力世界一位、そして文化イベントの開催件数一位なんですよ。
 ところが、いざこのアートを支援するとか取引になった途端にがくんと落ちてしまうということは、ここが東京の弱点だとするならば、ここのポイントというのはやはり国に対しても、どんどんどんどんプッシュしていって、世界からいろんな人たちを呼ぶ、あるいは東京のアーティストを知ってもらうという機会が出れば、また、これ世界一位の都市に近づくんじゃないのかなと思います。
 ぜひ、東京のアート作品の本質的価値が認められて、世界から、もうメガギャラリーといわれているような人たち、あるいはアートフェアを呼び込んで、税制面の抜本的改革を文化庁と共に連携して進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 私たち都議会自民党は、命を守る、東京を動かすをスローガンに、さきの東京都議会議員選挙におきまして個人都民税二〇%、事業所税五〇%の減税を提案いたしました。昨年の予算特別委員会でも、主に個人都民税減税について議論をしましたが、その際、都は、減税を行う上での課題としてシステムの問題や税の公平性などを掲げて減税を行うことは困難であるかのような答弁をしていましたけれども、よくよくちゃんと聞いてみれば、議論の中ではっきりしたことは個人都民税の減税は不可能ではないということであります。
 この点について小池知事の英断を強く求めるとともに、今日はもう一方の事業所税に焦点を当ててお聞きします。
 事業所税の概要と、令和六年度予算案における事業所税の金額を伺います。

○児玉主税局長 事業所税は、都市環境の整備及び改善に必要な財源を確保するために昭和五十年度に創設された目的税であり、地方税法で定められた、人口三十万人以上の都市等において課税される市町村税でございます。
 事業所税は、特別区内においては地方税法に基づく特例として都が課税しており、事業所等の床面積に応じて課税する資産割と従業者の給与総額に応じて課税する従業者割がございます。
 令和六年度当初予算案においては、約一千二百億円の税収を見込んでおります。

○川松委員 この事業所税というのは、今お話がありましたように目的税であります。これ、都市の環境整備に使うという目的なんですが、都のインフラ整備などを支える貴重な税という認識ではありますけれども、都市の環境整備という点では、ほかにも充てられる財源があるのではないかと思います。
 好調な税収動向や事業評価などの取組を通じた財源を活用することで、必ずしも事業所税に頼らなければならない状況にはない。つまりは、事業所税を減税してしまうと、直ちに今何かが止まってしまうという事業があるわけではないと考えます。
 そこで、以前にも確認をしましたが、事業所税五〇%減税を行うことはできるのだろうか、このことについて見解を伺います。

○児玉主税局長 事業所税は、地方税法上、地方自治体が税率を変更できない一定税率とされており、都が独自に税率を変更することはできない制度となってございます。

○川松委員 事業所税は、地方税法で税率が定められているため、独自に変更できない。これ、勉強した人たちならみんな分かると思うんですけど、何度も申し上げてきましたが、裁量がないからできないと立ち止まるのではなくて、どうすればできるのかを考える局面なんじゃないんでしょうか。
 都民の皆様から預かった税金を、現状に苦しむ都民の皆様を守るために還元するという点、これで減税を求めているわけです。我々は時限的なものでもいいからということで求めています。
 事業所税を減税すること自体は都が独自にはできないとしても、施策により同等の効果を生じさせることはできるのかなと今考えるわけですが、ここで、令和六年度予算で、仮称としてTokyo Tokyo Point、TTPという新たなデジタル通貨プラットフォームの構築に向けた予算が計上されておりますが、この目的とどのような活用か、どういうふうに考えているのか、デジタルサービス局にお伺いします。

○山田デジタルサービス局長 新たに構築いたしましたデジタル地域通貨プラットフォームは、都の各種施策へのインセンティブや、地域振興に活用できる共通基盤でございます。
 これまでは、こうした施策をデジタルで展開する場合には、その都度、個別にアプリ開発等を行っており、迅速な対応が難しいなどの課題がございました。
 また、都内区市町村では、コストなどの課題から、独自のシステム開発が困難なというところもございました。
 このため、多くの都民が利用している民間QRコード決済を活用し、都庁各局や区市町村の多様な事業に活用できるデジタル共通基盤として構築するとしたものでございます。

○川松委員 これ、一般的に考えられるのは、ポイントとして都民の方々に還元する仕組みなどがこれから検討されていくというか、打ち出されていくということなんだと思うんですが、このTokyo Tokyo Pointを活用することで、事業所税の減税分相当の財源によって、都民の皆様に還元することが可能なのではないでしょうか。
 DX、デジタルトランスフォーメーションのために皆さんの局があるとするならば、価値観も変えていかなきゃいけない、トランスフォーメーションするという意味では、都民の方々の暮らしの支援につながるため、そして、消費を喚起して地域経済の活性化につなげたい、そんな思いの中で、私は、事業所税を財源としたTTPの還元施策というのを考えていただきたいということを要望します。
 令和六年度予算案に計上された〇一八サポートの継続、高校授業料の実質無償化、給食費の負担軽減などの事業費の合計金額は、都民税二〇%減税の影響額とほぼ同規模となり、減税とほぼ同等の効果が得られたと考えております。
 こうした取組によって、都民、事業者を守り抜くという強いメッセージを発信すべきであるということを皆様に申し上げまして、次の質問に移ります。
 そこで、今いったようなDXの話なんですけど、知事側、皆さん方に我々都議会自民党で要望したときも、DXのDはだんだん見えてきたんで、Xは一体何を指すのか、何をやろうとしているのかということを再三求めてきましたが、今、皆さんがやられているこどもDX、これ、進める狙いについてお伺いします。

○山田デジタルサービス局長 都は、昨年九月に東京デジタル二〇三〇ビジョンを策定いたしまして、デジタルの力でサービスの利便性が向上したと都民が実感できるよう、将来を見据えた取組を開始いたしました。
 都民の暮らしや事業者の活動をより便利で快適なものにしていくため、まずは変革の突破口として、仕事や育児に忙しい子育て世代のサービスから着手したものでございます。
 こどもDXでは、都が先導して、国や区市町村、民間団体と共に、データやシステムを組織や行政の垣根を越えてつなぎ、シームレスなサービス提供を今後二年間で全国に先駆けて実現をしてまいります。
 また、プッシュ型サービスや申請のワンスオンリー、一連の手続のワンストップ化などによりまして、飛躍的に利便性を向上させていきたいと思っております。

○川松委員 今お話をされている内容というのは、利用者にとってはプラスになっていくという点では否定をしませんが、このX、トランスフォーメーションは何かと考えたときに、例えば国、東京都なら東京都区市町村、こういった自治体ごとの縦割りがあると。東京都の役所の中を見れば、それぞれの皆さん方の局の縦割りがあると。いろんな支援事業を見れば、年齢によって縦割りがあると。
 これを一気通貫で変えていくのが東京都のDXの使命だと私は思っているんですが、そのこどもDXをやっていることというのは、何か今やれることをやりましょうみたいな雰囲気に聞こえるんですね。
 一気に進んでいくという意味では、今やれないことに対してアプローチして、があんと進んでいくのが構造改革だと思いますけれども、この責任者である宮坂副知事は、どうやってこの後DXを進めようとされるのか、見解を伺います。

○宮坂副知事 都のデジタル行政を統括するCIO、最高情報責任者として、アナログ環境からの脱却、そして、都庁のデジタル化をこれまで進めてきました。
 都庁は、次のステージへ基礎を固めることはできましたが、身近な行政サービスの多くは基礎自治体が担っており、区市町村を含めた、そして、国も含めたオール東京のデジタルトランスフォーメーションを成し遂げなければ、真に都民に評価されるサービスは実現できません。
 今、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッドワンストップというのがデジタル行政をつくるための三つのコンセプトというふうに国にいわれていますけど、デジタルファーストは、デジタルファースト条例で一応できるようになりました。
 次は、いよいよ組織の壁を越えたコネクテッドワンストップ、ワンスオンリーを実現できるようにどうするかというところが今問われていると思います。
 その推進に向けて、構えをつくるという意味で、デジタルサービス局に加えて、新しくデジタルの技術者集団、GovTech東京を始動させて、デジタルサービス局と両輪で、区市町村、国と一体化したデジタルトランスフォーメーションを実現したいと思います。

○川松委員 本当おっしゃるとおりだと思うんですね。ただ、そのIT技術者の皆さんは、役所の難しい縦割りの雰囲気、分からないと思うんですよ。宮坂さんもそこに座られるようになって、いかにこの役所の縦割り行政は大変かということを肌で感じられていると思いますから、だからこそ、その責任と権限のある宮坂副知事が先頭になって、この構造改革に取り組んでいく、それに対して、デジタルサービス局が、ほかの局にですよ、恨まれようと、この壁を突破していくというのが、まさに東京がなし得るDXだと思いますので、ぜひ知事も支援を力強くして、まさに東京大改革につながるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、人はスポーツを通じて喜びや達成感を得たり、挫折感を味わったりする。そして、スポーツに懸命に取り組む姿は、多くの人々に感動を与えます。これらは、性別や年齢、国籍を問わず、誰もがスポーツから直接享受することができるものであります。
 このようなスポーツが持つ多様な力を改めて多くの人たちに共感してもらうに当たりまして、来年、二〇二五年に開催される世界陸上とデフリンピックは絶好の機会となります。
 そのため、二〇二五年という年がスポーツで東京が盛り上がる年となるよう、両大会の機運醸成に全力で取り組まなければなりません。
 とりわけ認知度が低いデフリンピックについては、この間、長濱ねるさんをはじめ、四名の方々をデフリンピック応援アンバサダーに起用したり、デフリンピック開催二年前の節目に、みるカフェを実施するなど様々な取組を行ってきましたが、まだまだ十分とはいえません。
 今後、両大会のPRを積極的に推し進めていくことが必要と考えますが、令和六年度の取組について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 大会一年前となる令和六年度は、様々な主体と連携し、都民の関心を高めていく重要な時期でございます。
 このため、都民一人一人に大会を身近に感じてもらえるよう、区市町村とも連携し、各種イベント等で選手への応援メッセージを募るなど、都民が大会と主体的につながる機会を幅広く設けてまいります。
 また、都民の注目を集めやすいボランティアの募集や、メダルデザインの発表などにつきまして、アスリートやアンバサダーの協力を得るなどの工夫を行い、多様なメディアを通じて大会を効果的にPRしてまいります。

○川松委員 もう本当に来年のことですから時間がないわけです。ぜひこれ、予算も含めてですが、多くの都民に大会を応援してもらって、会場で一緒に熱気を体感できるよう、積極的なPRを行っていただく必要があると思いますが、今、答弁にありましたボランティアについてですが、東京二〇二〇大会の重要なレガシーであると私たちは認識しています。
 我が会派は、さきの第三回定例会で、特に二〇二五年のデフリンピックについて、手話を学ばれている学生さんたちがボランティアに参加できるようにしていただきたいと要望いたしました。
 次代を担う子供や若者が、二〇二五年の両大会を契機に学び、成長できるよう、大会に参画できる取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 次代を担う子供や若者が夢や希望を育めるよう、大会への参画機会を設けることは重要でございます。
 都はこれまでも、デフリンピックのエンブレムデザインを都内中高生の投票で決定するなど、子供たちとつくる大会に向けた取組を進めてまいりました。
 今後、子供たちから募ったオリジナルの世界陸上ロゴデザインを大会関連イベントの装飾などで活用していくほか、両大会に向けて、子供たちの声を反映する取組について検討してまいります。
 また、デフリンピックのボランティアにつきましては、国際手話を学んでいる学生の参画が進むよう、募集内容や効果的な周知方法を具体的に検討してまいります。

○川松委員 大会で得られる経験、体験というのは、必ずその後の成長の糧になります。未来の東京を支える宝である子供、若者が、この両大会でしか得られない体験をし、その後の歩みの一歩となるよう、大会への参画機会を幅広く設けていただきたいと要望します。
 さて、私は、映画館で行われています聞こえない、聞こえにくい方でも映画が楽しめるよう、眼鏡型の機器、スマートグラスを使って字幕つきの映画が楽しめる取組に関心がありまして、調査をしているわけですね。
 海外の映画であれば字幕が出ますが、日本の映画は字幕が出ません。それに対して、このスマートグラスというのをかければ、そこに文字が見えるようになるというものですが、障害者の映画鑑賞体験を劇的に改善するこの取組というのは、聴覚障害者の方の社会参画の可能性を大きく広げるものでありまして、その普及は共生社会の実現に貢献するものと期待しています。
 来年、二〇二五年十一月に東京でデフリンピックが開催される。国内外の多くのデフアスリートや関係者が集い、共生社会の大きな弾みとなり得るこの大会については、我が会派も第四回定例会代表質問におきまして、大会を共生社会の象徴として、レガシーを残すとともに、都民に様々な効果を共感してもらえるよう要望したところであります。
 大会に向けて、スマートグラスのような障害者の社会参画に資する取組について、大会後のレガシーとなるよう広く発信していくべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 デフリンピックは、共生社会づくりに貢献する優れた取組を広めていく好機となります。
 このため、社会の幅広い場面で聴覚障害者の参画に資すると期待される取組を大会を契機に発信をしてまいります。
 具体的には、日々進化する様々な技術を大会関連イベント等で活用することとし、音声情報を文字に変換するスマートグラスなどにつきましても、大会一年前のイベント等において紹介をいたします。あわせて、来場者に機器を体験してもらえるよう検討してまいります。
 こうした取組を通じまして、都民に大会を通じた社会の変化を実感してもらい、レガシーの創出につなげてまいります。

○川松委員 先ほどの子供や若者の参画、今のスマートグラスの発信など、ぜひ積極的に取り組んでいただいて、大会を通じたレガシーとしていっていただきたいと思います。
 今、ここにおられますけれども、我が党の林委員の地元の調布では、このスマートグラスの効果というのが出ていますので、ぜひそんなことも含めて東京発信ということが重要だと思います。
 世界陸上、デフリンピックに向けて、四月から皆さん方の組織が強化されるというふうに伺いました。
 大会はいよいよ来年。ここから一気に準備を加速させて、大会の成功はもちろん、東京に新しいレガシーを残し、未来を切り開いていっていただきたいと思いますが、大会を通じたレガシーの中で、とりわけ重要なのは、やはりスポーツ振興です。
 スポーツが大きく盛り上がっていくこの好機を生かし、子供のみならず、幅広い世代の方々が気軽にスポーツに親しむきっかけをつくっていくことが重要ですが、両大会の開催に向けて、来年度のスポーツ振興をどのように進めていくかについて都の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 国際スポーツ大会の開催は、スポーツへの関心を高め、スポーツが持つ心身の健康やウエルネスの向上などの価値を再認識する機会となります。
 都は来年度、推しスポーツプロジェクトといたしまして、都民一人一人の好みや特性に合ったスポーツを見つけられるよう、スポーツに親しむ機会を創出いたします。
 体力診断を通じた個々の適性に合った運動計画の提供や、区市町村等とも連携した多様な競技体験の推進、子供とアスリートの交流などにより、継続的なスポーツ実施に結びつけてまいります。

○川松委員 ぜひ両大会の盛り上がりを生かして、スポーツ振興を前に進めていただきたいと思いますが、子供から高齢者まで、そして障害のあるなしにかかわらず誰もが楽しめる取組として、近年、eスポーツも大きな注目を集めています。大規模な大会やイベントも開かれるなど、東京を元気にすることができるコンテンツです。
 東京都としても、スポーツにおけるeスポーツの持つ様々な可能性について、今は何か産業労働局ですとかという人たちが多いんですけれども、生活文化スポーツ局も含めて、一緒になって検討していっていただきたいということを要望いたします。
 さて、東京都庁プロジェクションマッピングについてお伺いします。
 新たな観光資源として、建物に投影する常設展示としては最大で、ギネス記録に認定されましたが、世の中は全体的に批判の声であふれています。ここにおられる委員の皆様も、それぞれの地元で結構厳しい声をいただいているんじゃないんでしょうか。
 改めて、今日この場で、この事業チェックをする必要があると思いまして、幾つか聞いてまいりますが、まず、都庁舎でプロジェクションマッピングを行う意義、目的について伺います。

○坂本産業労働局長 プロジェクションマッピングは、高い芸術性と世界をリードする技術によって都市の価値を高める日本のキラーコンテンツでございます。東京の夜間の観光振興に向け、これを活用することは極めて重要でございます。
 特に、海外から数多くの観光客を誘致する上で、東京の代表的なランドマークである都庁舎を投影場所として活用することは効果的でございます。
 東京の観光振興に係る有識者会議の中でも、プロジェクションマッピングを都庁舎に投影するダイナミックな取組は、東京ならではの観光資源になるとの趣旨の意見をいただいております。

○川松委員 都庁舎を舞台として世界中から旅行客を引きつける、観光資源としてキラーコンテンツであると、そういう力強い答弁ありましたけど、一方で、SNSなどでは幾つもの数値が飛び交って、予算かけ過ぎじゃないのと批判的な声があるわけですよ。
 これは東京都庁舎の巨大な投影面に光を当てますから、多くの電力を使って、CO2の排出を増やすことにつながるんじゃないかなっていう懸念の声もあります。
 今、賛成、反対、いろんな声もこの議場で出ていますが、改めて令和五年度、六年度の都庁舎におけるプロジェクションマッピングに関する予算額、でっかい予算額だけじゃなくて、その内訳も含めて、そして電力の確保も含めてお伺いします。

○坂本産業労働局長 都庁舎にプロジェクションマッピングを投影する委員会の令和五年度の予算額は七億円となっております。これによりまして、投影の機器の設置や映像の制作等には約四億九千万円、投影の機器のリースや保守点検等には約一億四千万円を使っております。
 また、都は、令和六年度に九億五千万円の予算で経費負担を行います。その主な内訳は、映像の制作等で三億二千万円、投影の機器のリースや保守点検等で六億三千万円となっております。
 これに係る電力は約二百キロワットまで出力のできるものを使いまして、小売電気事業者から再生可能エネルギーを購入し確保をしております。そのため、発電に係るCO2の排出はございません。

○川松委員 今、さっきのキラーコンテンツですって、よしといった人が、金額聞いても黙っているわけですよ。これが実態なんですね。だから、予算額が来年度九億五千万円、内訳として映像の制作等で三億二千万円、投影機のリースや保守点検で六億三千万円と確認できたわけでありますが、これが一般の都民の皆さんからすると、えっ、経費として高くない?って、そんな印象になるわけですね。
 この予算金額は妥当なのか、なぜこれほど予算がかかるのか、妥当だ、妥当だとやじも飛んでいますけど、しっかり説明をお願いします。

○坂本産業労働局長 プロジェクションマッピングは、高い芸術性を持ち、世界をリードする技術によってつくられます。これを都庁舎に投影し、外国人旅行者を数多く誘致するため、世界で最高水準のコンテンツとスケールを用意し、年間を通じ、優れた運営体制で提供することが不可欠でございます。
 このため、投影する映像は、プロジェクションマッピングの国際大会で高い評価を受けた国内外のクリエーターが制作をしております。
 また、建築物に年間を通じ投影する面積としては世界最大で、その明るさも世界のトップレベルにございます。さらに、これを四十台の機器により円滑に投影する体制を確保しております。

○川松委員 今のお話というのは、とても重要な話なんだと思いますね。世界の都市ランキングで弱いところを見ると、ナイトライフ充実度というのが二〇二三年の指標で三十位なんですね。二二年が二十七位だったんで、ランキングが落ちてきた中で、今、夜をどうにかしようというのが多分観光施策としての産業労働局の考えなんだと思いますが、今の値段が高いか安いかというのは、そのコンテンツの中身を判断しなきゃいけないんですけど、プロジェクションマッピングの投影というのは、今いったように、そのギネス級の都庁舎に映すというのは難しい技術であると。
 そして明るく映し出す、そして繊細に映し出すいうのが、この機器を使わなきゃいけないんですが、日本の機械を使っているということですね。世界の観光の皆さんがここへ来て見たときに、あ、日本の技術はすごいなと、まず発信できる一つ効果があるということは、私は理解しました。
 四十台という話がありましたけれども、四十台の機器をリースで集めたときに、これ、どこで投影しているのかなと思って見てみたら、この議会棟の上に置いて投影しているわけです。だから、この議会棟の上に投影するような重たいものを載せたら使えませんから、もう物すごいレベルの高いもので軽量なものにすると、こういうお金がかかっちゃうんだということは理解しました。
 あと、その後のクリエーターの話、私、この観光部なのか、広報戦略部なのか分かりませんが、課題なのは、このクリエーターの宣伝が弱過ぎると思うんですよ。例えば、これ、休日のコンテンツの人たちを見ると、香港ディズニーランドのメインステージを担当された方とか、カナダのアート週間イベントを手がけて世界の二百以上の建物アートを投影された方とか、嵐の解散コンサートの演出をされた方、Superfly、乃木坂46、LiSAなどのライブ映像を担当された方、CG制作などでは、もう世界的に有名な方とか、たくさんこういった人たちがアーティストとして使われているということについて、発信がないから、えっ、ちょっとお金かけ過ぎなんじゃないのということなんだと思います。
 だから、ここを含めていくと、観光名所として、世界のトップクリエーターが集まっているんだ、この間の日曜日も物すごい人が集まっているわけですね。世間のメディアでは批判されているけど、現場に行ってみたら、あっ、こんな人いるんだみたいなギャップを感じている人がたくさんいらっしゃいます。
 そうすると、今までの東京都の感覚でいくと、プロジェクションマッピングとか光を投影するというと、チームラボの存在が大きくて、何かチームラボという名前が出てくると、みんなすばらしいと思うけど、あまり宣伝しなくて東京都がやっていると。
 しかも、お金かけるから何か批判されるのを恐れてか、今は力強く答弁されていますけど、やるときは何か控え目にやっているから余計に攻撃されるんじゃないかなと思いますが、改めて、この物すごいコンテンツをどう発信していくのか、この意義を局長として、今後どうやって進めていくのか、これ事業、高額な予算をつけますから、大きな今、境目に来ていると思いますけれども、局長の思いを聞かせてください。

○坂本産業労働局長 都庁舎に投影するプロジェクションマッピングの開始に当たりまして、国内外で知名度の高いアーティストの出演するイベントを開き、魅力を効果的に発信をする工夫を行ったところでございます。
 また、その投影面積について、ギネス世界記録に申請し、世界最大であるとの認定を受けました。これによりまして、話題性を高め、テレビや新聞など海外を含め、七百を超えるメディアで取り上げられ、認知度の向上に結びつけたところでございます。
 今後、国内外で人気の高い映画やアニメに登場するコンテンツを活用した投影を行うなど、より一層の注目を集める取組を実施いたします。
 また、専用のウェブサイトやSNSを通じ、多言語による情報発信を進め、海外からの注目を高め、効果的な誘客につなげてまいります。

○川松委員 そういう思いはありますので、多分これ、結果出していかなきゃいけないと思うんです。インバウンドだけじゃなくて、国内の皆さん方も今たくさん集まられていますが、そのプロジェクションマッピングを出しますと、それだけ本来だったらお金をかけて見に行くものが、ここに来れば無料で見られますということと同時に、あの都民広場をもっと活用して、東京の名産を発信するとか、東京の技術とか、もっともっと有効活用して、人の集客、流れを生み出すこともできると思います。
 そういう付加価値をつけていく工夫について見解をお伺いします。

○坂本産業労働局長 都庁舎にプロジェクションマッピングを投影することによりまして、インバウンドに加え、国内からも来訪者を数多く誘致し、観光消費に結びつける視点は重要でございます。
 今回の取組に合わせ、周辺の観光関連施設では、集客に向けた新たなサービス提供が始まっております。
 今後、こうした対応が数多く増えるよう後押しを行うほか、地元の自治体や地域の活性化を進める団体などと連携を図りまして、都庁舎のプロジェクションマッピングに関し、観光資源としての集客力を高めてまいります。

○川松委員 今、そういう視点は重要だという答弁をいただきましたけど、さっきもちょっと触れましたが、食事の魅力ランキングは東京、世界で一番なわけですね。だから、そこに世界でトップクラスのクリエーターと世界で一番のグルメが融合するとか、さっきのTIBの運営の仕方もそうなんですが、何か一つ自分たちの部署のことだけじゃなくて、幅広い視点で工夫をしていくということが私は重要なんだと思います。
 このプロジェクションマッピングを夜の強力な観光資源として育てていくのであれば、単発的じゃなくて継続的に行っていく、粘り強くその魅力を伝えていくことが必要なんじゃないかと思いますけど、プロジェクションマッピング、いつまで行っていくと考えているのか見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都庁舎に投影するプロジェクションマッピングが、インバウンドや国内からの来訪者を数多く誘致できるよう、観光資源としての魅力向上、こちらを継続的に行うことは重要でございます。
 このため、都は来年度、そのコンテンツについて充実を図るとともに、新たなものも増やし、繰り返し訪れる観光客や新規の来訪者の確保に結びつけてまいります。
 また、国内外に向け、様々なメディアを効果的に使ったPRの強化を進めます。
 さらに、都庁の周辺や地域の団体のほか、民間とも協力し、観光消費の拡大にも結びつけてまいります。
 これらによる成果を都庁舎でのプロジェクションマッピングの今後の継続した展開につなげてまいります。

○川松委員 先ほどからお話ししているように、東京は来年、世界陸上も控えます。こうしたことをチャンスと捉えて、東京を訪れる観客、世界中のVVIPなどに広くその魅力を伝えていく、それが効果的と考えますので、ぜひ工夫をしていただきたいということを提案します。
 今、先ほども触れましたが、都庁舎のプロジェクションマッピングには、今のところ、今のところ、多くの観覧客が訪れています。問題は、これをどう長く続かせていけるかということがにぎわいにつながると思いますが、成果が都民の皆さんに伝わらなければ、またずうっと一年間批判ですよ、これ。
 そのことを含めて、都民の理解がそもそも十分じゃないところから今スタートしているわけですから、都民の皆さんの理解を求め、そして、このコンテンツのすばらしさを伝え、継続していく粘り強さを局長に求めて、次の質問に移りますが、観光という視点でいくと、「未来の東京」戦略ビジョンに基づくこのマスタープランの中で、東京駅の八重洲、この八重洲口というのは、東京の玄関口にふさわしい風格であるまち並みを有すると書いてあるんですね。
 新幹線、例えば大阪、関西方面から新幹線に乗ってきて八重洲で降ります。タクシーに乗ろうと思ったら、なかなかタクシーに乗れない。これは駅のロータリーの構造として、タクシー乗り場がうまく整備されていなかったということなんですが、改めて八重洲駅前広場が利用者にとって利用しやすいようにする、あるいは、今度降りる人にとって渋滞に巻き込まれないようにするために、再構築が必要だと思います。
 関係者などと対策を考えるべきですが、都の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 東京駅は、国内外からの来客等でにぎわう我が国有数の交通結節拠点でございます。八重洲駅前広場は、広域交通ネットワークの拠点として重要な機能を有しております。
 この駅前広場につきましては、自動車交通のふくそうや広場の歩行者空間が不足していたことから、管理者であるJR東日本が、これまで駅前広場の再整備などを実施してまいりました。
 しかし、タクシー乗り場につきましては、現在、乗客の待機列が生じていると関連団体等から聞いております。
 都といたしましては、駅前広場に関する現状を関係者と共有するとともに、管理者等に対して必要な改善を働きかけてまいります。

○川松委員 ここ、本当重要ですので、もう一度、東京都とJRの皆さんとの協議をしていただきたい。八重洲は玄関口であるという、この東京都の位置づけに基づいて、私は要望しました。
 また一方で、八重洲は玄関口であるという視点でいくと、観光バスの問題があります。現在は旧都庁舎の跡地、鍛冶橋地区に観光バスが待機をしていて、そして東京駅に来る修学旅行生だとか多くの皆さん方を乗せるんですが、今後の開発を見てみると、この空間がなくなるわけですね。
 そうしたら、この東京駅で今まで待機していたバスはどこに行ってしまうのか問題というのがありまして、これも今から手をつけておかないと、タクシー問題同様、八重洲は東京の玄関口ではなくなってしまう危険性がありますので、引き続き、都としてどこに代替地ができるのか、あるいは、どんな工夫をすればいいのかということをタクシーとバス、これは東京の観光産業を支える上で重要なポイントですので、まちづくりの観点から、ぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、このコロナ禍を経て、感染症対策は生活に直結する大きな問題だということ、コロナの反省を生かして前に進まなければなりません。特に、東京は繁華街、飲食店の皆さん方にご迷惑をおかけし、まちが閉じていく、そんなことのきっかけをつくった都市でもあります。
 新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に蔓延し、パンデミックとして人類を恐怖に陥れました。近年発生している新興、再興感染症は、いずれも動物由来の人獣共通感染症でありまして、その予防や蔓延防止のためには、人と動物の健康と環境の健全性を一体的に守る、ワンヘルスの実践に基づく感染症対策が世界的に必要とされています。
 去年一月の国会で岸田総理は、ワンヘルスは重要な課題、G7広島サミットでも重要な課題の一つとして位置づけるというふうに話をされました。
 厚生労働省でも、人、動物、環境の健康に関する分野横断的に関係者、関係機関が協力し、その解決に向けて取り組むワンヘルスの考え方を広く普及啓発しているところです。
 既にこれは世界の共通言語となっているワンヘルスの概念に基づいて、医師、獣医師、環境の研究者等の関係者の連携協力の下に、将来にわたって都民の健康を守るとともに、人と動物の共生社会づくり、生物多様性や環境の保全などによって、地域や社会の持続的発展を目指すべきですが、都としてワンヘルスの考えを施策に取り入れていくべきと考えますが、見解を伺います。

○雲田保健医療局長 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としておりますことから、人、動物、生態系の健康を一つと捉え、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が国際的にも広がっており、国は、毎年シンポジウムを開催し、普及啓発するなどの取組を行っております。
 都は、動物由来感染症の発生動向の監視や、動物及び河川における薬剤耐性菌の調査などに取り組むとともに、エムポックス患者の国内での発生に備え、東京iCDCにワンヘルス・アプローチ推進タスクフォースを令和四年七月に設置しております。
 今後とも、関係者が互いに連携協力し、ワンヘルスの考え方を踏まえて施策を進めてまいります。

○川松委員 東京都として、ワンヘルスをさらに進めるという答弁がありました。ただ、今答弁いただいた保健医療の分野だけじゃなくて、これはまさに環境もそうですし、農水産業、あるいは教育、災害、危機管理、局横断、全てこれ、いろんな人たちが集まって、人の健康、動物の健康、社会環境の健全性というものをつくり上げていかなければなりません。
 ぜひ今、踏み込むという答弁であるならば、関係者間でワンヘルスの在り方や具体的施策の検討や協議を進めて、世界で一番の都市を目指すということであるならば、まさにこの分野で何かを打ち出していくようなテーマのシンポジウム、あるいは国際会議をリードすべきだと思います。
 こうした動きこそ、国際都市競争におけるプレゼンス向上に資するものと考えますが、東京から世界を守っていくという視点において、小池知事、この辺りの見解、いかがでしょうか。

○小池知事 気候変動、食品の安全、生態系など、人類を取り巻く課題は、よりグローバル化いたしております。
 いわゆる新興の感染症でございますが、それに対しましても、コロナの教訓を生かして、そして都庁関係機関、もとより、東京iCDCが有しております国際ネットワークなども活用しながら、国際社会があらゆる分野で団結して取り組むことが必要だと考えております。
 都では、共通の都市課題の解決に向けて、世界各都市とのネットワークを推進することで、都市間の連携を深めて、グローバルな課題解決に取り組んでおります。
 こうした機会も通じまして、感染症や保健衛生などの諸課題にもアプローチをしまして、国際的な連携協力を進めてまいります。

○川松委員 新型コロナの対応で、東京モデルといって全国に広がっていきました。今度は新興、再興感染症に対して、東京モデルが世界に広がっていっていただきたいと思います。
 そのことがロンドン、ニューヨークに追いつき追い越すそのことでありますし、例えば温室効果ガス総排出量の削減目標の京都議定書、いまだに京都議定書と出てきたり、あるいは、このワンヘルスの実現に向けた取組だと、国内であれば福岡宣言というものがあります。
 ワンヘルスの考えのもともとは、二十年前のニューヨークのマンハッタン原則から始まっていまして、これを機に、コロナを乗り越えた今こそ、東京から何か新しい原則を打ち出していっていただきたいと思いますが、これは身体的健康、精神的健康、社会的環境の健康というのを求められていて、東京だと、やっぱりメンタルヘルスの充実度というのも、これ、世界の都市ランキングでは低いんですよね。メンタルヘルスが低いので、これを上げていかなきゃいけない。
 そうすると、人がこれだけストレスたまっているんだから、ペットもストレスたまっているだろうということで、今、都立公園では、十二の公園でドッグランを設置して整備を完了しています。
 これ、公園だけじゃなくて、まちじゅう至るところに都有地はありますから、財務局長、未利用の都有地を都立公園同様にドッグランなどにどんどんどんどん開放して、ペットの精神的健康も保っていくべきだと思いますが、見解を伺います。

○山下財務局長 都有地は、都民からの負託を受けた貴重な財産でありますことから、各局や区市町村による様々な施策の実現や地域課題の解決に向け、最大限有効活用を図っていくことが必要でございます。
 そうしたことから、現在、未利用の都有地につきましては、都庁各局や区市町村の主体的な取組に基づいて有効活用を図っております。
 今お話しのドッグランでございますけれども、やはりペットの健康というのも非常に大きな地域の課題であるというふうに考えておりまして、こうしたことを実行する区市町村などが未利用都有地を利用する場合には、周辺環境への配慮、地元との調整など適切な管理を図ることが必要でありまして、財務局としても、そうした取組を後押ししてまいります。

○川松委員 これ、ドッグランを求めている方、多いんですが、今、局長は区市町村から相談があれば開放していきたいという答弁ですから、まさにワンヘルスの考え方に基づいて、どんどん区市町村の要望には応えていっていただきたいと思います。
 次に、若年被害女性等支援事業ということにお伺いしますが、去年の予算特別委員会も含めて、いろんなところで私は議論をし、いろんなところで批判もされてきましたけれども、結果、東京都とすれば、委託事業から補助事業に変えました。この制度が変わったことによって、状況はどうなっているのかお聞かせください。

○佐藤福祉局長 都は、若年被害女性等支援事業を今年度から補助事業化し、五団体に対して交付決定を行っております。現在、各団体がそれぞれの強みを生かしながら、若年女性への支援を実施しております。
 また、支援が必要な女性を確実に自立につなげるため、女性相談センターに専任の職員を配置いたしまして、民間団体との連携を強化しております。

○川松委員 この件については、領収証を見せてくださいといっても、嫌ですという団体があって、委託事業から補助事業に変えたわけですけれども、今年度は確実に履行確認ができる仕組みになっているというふうに聞いています。
 ですから、引き続きこの事業の在り方というのを考えなければいけないんですが、なぜこれ、民間に委託するのかと私が皆さん方に聞いたときには、若年被害女性等の皆さん方というのは、行政に相談しづらいからだという話がありました。
 ところが、一方で、トー横問題に関しては、行政が窓口つくっているんですね。こっちでは行政に相談しにくいから、民間の皆さんにお金を出して事業をやってもらいますよと。でも、トー横問題になったら行政で窓口つくる、私は矛盾していると思いますけれども、これ、矛盾していないんですか、局長。これ、最後に聞いて、私の質問終わりにしたいと思います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 トー横では、最近も青少年の犯罪被害等が生じております。
 そういうことを踏まえまして、都としては利用者が立ち寄りやすい場所に安心して過ごせる空間を確保するなどし、相談のノウハウを有する民間事業者に委託して、臨時相談窓口を設置いたしました。

○川松委員 これ、今、矛盾かどうかを聞いているんですが、あまり答えにならないので、この続きは文教委員会の場でいろいろお聞きしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。今日はありがとうございました。(拍手)

○小松副委員長 川松真一朗委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後四時三十六分休憩

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