予算特別委員会速記録第五号

○小宮委員長 竹井ようこ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、菅野副委員長着席〕

○竹井委員 よろしくお願いいたします。初めに、〇一八サポート事業について。
 小池都知事による、所得制限があることで、夫婦で一生懸命働いて納税をしているがゆえに給付が受けられないのは、ある意味で子育てに対しての罰ゲームのようという発言は、私も大変共感するものです。
 都は、〇一八サポート事業を予算化するに至った課題背景を、希望する数の子供を持つことをちゅうちょする理由は、教育費など、子育てに多額の費用がかかることとしています。
 また、知事は、〇一八サポート事業を通じて、子供を産み育てたいという願いを応援するというメッセージを発信していくと答弁されました。
 改めて、その意義について知事の見解を伺います。

○小池知事 〇一八サポートでございますが、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けずに、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものでございます。
 この事業など、子供、子育て政策を総合的に推進をして、子供を産み育てたいという願いを支援してまいります。

○竹井委員 一般的には、子供に対する給付金は、養育している親などに支払われますが、〇一八サポート事業は、ゼロ歳から十八歳の子供に直接支払われるということです。保護者に一括して渡すのではなくて、子供一人一人に通知が行って、子供が自分の口座を指定する、子供が小さくて口座を持っていないときは親の口座になるのかもしれませんけれども、そういう立てつけになるんだろうと思っています。
 それはそれで、大きくいえば子育て世帯の経済的負担軽減の一助になるとは理解しますが、子供を産み育てたいという願いを応援するというメッセージには直接なりにくいというふうに思います。
 所得制限を撤廃したのであれば、子供を養育している親への支給でもよかったと思いますが、あえて子供に対する支給とすることについて見解を伺います。

○西山福祉保健局長 本事業は、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳の子供に対して給付するものでございます。

○竹井委員 中学生、まして高校生ともなれば、お金の管理は自分ですることがほとんどです。今回、月額五千円分を一括して来年一月に六万円を支給することになっており、大金ですよね。大金を支給された高校生、中学生がトラブルに巻き込まれることも想定されます。
 ご答弁では、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、親ではなくて子供に支給するとのことでした。本来の事業の意義を損なわない配慮が必要ですけれども、極めて分かりにくい、伝えにくいものとなっていると思います。
 改めて、一括して六万円を受け取る高校生など、子供たちにどのようなメッセージを届けようとしているのか、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 〇一八サポートは、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けず、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものです。
 本事業など、子供、子育て政策は、子供を産み育てたいという願いを社会全体で支え、応援していくという趣旨でございます。

○竹井委員 私は、〇一八サポート事業で、親ではなくて、あえて子供たち一人一人に毎月五千円ずつ配るというのであれば、それにはそれ相応の子供へのメッセージがあるべきだろうと思って質問いたしましたが、それにはお答えがなく、本事業も含めて、子供、子育て政策全体の話にすり替えてお答えになったのかなというふうにも思いました。
 そもそもこの事業、いきなり出てきました。先ほど申し上げましたけれども、もともとは教育費にということでしたので、それなら親に渡すのかなと思いきや、子供に渡すということ。
 そこで、一人五千円配るんだということまでは何となく先に決まっていたのかな、でも、いつまで持続可能なのかもよく分からず、今回、子供へのメッセージを聞いてもよく分からない、後づけのようなことばっかりおっしゃるわけで、パフォーマンスと捉えられても仕方がありません。
 こうした大きな事業を行う際は、自治体とも事前に協議をして、しっかり議論を積み上げた上で政策決定していただきたいと申し上げておきます。
 また、子供が大金を受領するということについては、来年一月の支給時期までに様々な課題の解決に取り組んでいただきまして、円滑な支給を改めて求めておきます。
 また、〇一八サポートは所得制限を撤廃されましたけれども、所得制限は多くのその他の補助金にもかかっています。子育ては罰ゲームというのをやめる、また、子供一人一人の成長をひとしく支えるというメッセージであるならば、子育てに関わるその他の補助金の所得制限もやめるべきだというふうに思います。改めて申し上げておきます。
 相変わらず日本のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百十六位、経済は百二十一位、政治は百三十九位、女性の政治への参画、経済的自立の困難さを表しています。
 また、片や男性の方も、男はばりばり働かなければいけないというような固定観念にとらわれて、家族との時間を増やしたくても増やせないというジレンマに陥っている人もいるのではないかというふうに思います。
 男は仕事、女は家庭はもう古い、男も女も仕事も家庭もの時代である、そう思っていても、例えば昨年九月のニッセイ基礎研究所の調査結果では、配偶者のいる女性は、テレワークで生産性の低下を感じた傾向があって、年収三百万から七百万円未満の女性の間で特に、同居の配偶者がいると生産性が低下した人が多いという話。これ、テレワークのときですけれども、テレワークで新たに昼食用意などの家事や家事分担割合が増えて仕事の生産性が下がったと感じたというふうにまとめています。
 家事や育児における男性の実施率の向上について見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、男性の家事、育児参画の促進に向け、ウェブサイト、TEAM家事・育児で、男性も取り組みやすい家事などの役立つ情報を発信しております。
 また、プロスポーツチームの親子を対象としたイベントで、選手から男性の家事、育児参画の大切さについてメッセージを発信してもらい、幅広い層に普及啓発を行いました。
 さらに、性別による無意識の思い込みについて、エピソードを募集し、それを基に制作した動画をSNSで配信しております。
 こうした取組を通じ、男性の家事、育児参画に向けた社会全体の意識改革に取り組んでまいります。

○竹井委員 一問飛ばしてすみません。ジェンダー平等に向けては、無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスを学ぶ必要があります。
 子供たちがアンコンシャスバイアスにとらわれることなく、将来の選択肢を増やしていくためには、指導する教員がアンコンシャスバイアスに気づき、子供たちを適切に指導していくことが大切であると考えますが、都教委の認識と取組を伺います。

○浜教育長 子供たちが男女平等の考え方を身につけられるようにするためには、教員自身がアンコンシャスバイアスを意識して、適切な指導の在り方を確認していくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、全ての教員に配布している指導資料人権教育プログラムにアンコンシャスバイアスの例や、男女平等に関する指導事例を掲載するなど、教員の理解を深め、指導力の向上を図っております。

○竹井委員 女性が年齢を重ねながら健康を保持して働き続けるためには、生理や妊娠、出産、更年期などの女性の健康への配慮に関する課題を点検し、環境整備と制度導入を進めることが必要です。労働団体も、生理、更年期障害に関するハンドブックを作成、頒布するなど取り組んでいます。
 女性の健康を支える企業の環境整備を促すことで、キャリア構築も支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、働く女性が職場において直面する健康上のテーマを把握するためのアンケートをオンラインにより実施いたします。
 また、企業に対し、女性社員の健康の維持や向上のための取組に関する調査をウェブにより実施します。
 これを通じ、女性社員の健康について、優れたサポートを行う会社の事例を集め、幅広く紹介いたします。

○竹井委員 男女格差の問題を突き詰めると、単身女性の課題への対応にもつながります。高齢単身女性の貧困問題も含めて、幅広い政策での支援が必要になると考えます。よろしくお願いします。
 さて、今回の予算では、出会い、結婚への希望をかなえる支援等、十三億円が計上されています。目標を掲げにくい施策であると同時に、これが一たび少子化対策だといわれると、非常に違和感を覚えます。男性も女性もその人らしく生きることができて、その結果が結婚という形であるべきであって、子供を産み増やす目的のために官製婚活のような形を取るのは、私には違和感があります。
 推進するべきは、ジェンダーギャップを取り除き、多様性を尊重し、女性も男性もその人らしく生きられる社会をつくっていくこと、そして若者が経済問題で結婚したくてもできないという環境を変えることだというふうに考えます。
 さて、次に、同性婚について伺ってまいります。
 二月二十一日の西沢けいた議員の同性婚を認める法改正の代表質問に、知事は、法整備は国において議論がなされるものと、地方自治体は無関係といわんばかりの答弁をなされました。
 都のパートナーシップ制度は、同性パートナーと家族になりたい当事者に寄り添い、日常生活でのサービスや手続を円滑化するもので、法律婚のカップルと同様の法的保護はありません。法改正の壁は残っています。
 岸田首相は、同性婚を社会が変わってしまうと答弁されました。同性婚に否定的と捉えられています。首相補佐官のひどい差別発言と相まって、当事者には本当に酷な状況になっています。
 ご存じかと思いますが、ニュージーランドの元国会議員、モーリス・ウィリアムソンさんの同性婚に賛成する有名な演説の中にこんなフレーズがあります。この法案は、愛し合う二人が結婚でその愛を認められるようにするという、ただそれだけのこと、当事者からすればすばらしいもの、残りの我々からすれば昨日と同じ日々が続くだけ、法案が成立しても、あしたも太陽は昇る、世界はそのまま続いていく、だから大ごとにしないでください。
 知事は、多様性の輪を大きく広げるとして、パートナーシップ宣誓制度を創設されました。大変重要なことです。
 知事にお聞きいたします。
 知事は、岸田首相と同様、同性婚により社会が変わってしまうと否定的にお考えですか。同性婚について知事の見解を伺います。

○小池知事 都はこれまでも、誰もが認め合う共生社会を実現するため、人権尊重条例などに基づいて、多様な性に関する啓発などの推進、そして相談体制の充実を図ってまいりました。
 昨年十一月に運用を開始したパートナーシップ宣誓制度におきましては、これまでに六百組を超える方々に受理証明書を交付し、困り事の軽減などに役立てていただいております。
 ご質問の法整備を含む同性婚につきましては、法律でございます、国において議論がされるものと改めて申し上げておきます。

○竹井委員 ご答弁をありがとうございます。でも、政治家として社会が変わってしまうと否定的な立場を取られるのですかとお聞きしていますので、ぜひもう一度お答えをお願いします。

○小池知事 今お答えしたとおりでございます。都でできることをやっております。

○竹井委員 大変残念です。政治家として、社会が変わってしまうのかという否定的な立場を取るのかという質問でありましたので、ぜひ明確なお答えをいただきたかったなと思います。
 日本は、主要七か国で唯一、同性婚を認めていない国です。立場を明確にして、パートナーシップ制度をつくった地方自治体の長として、法改正による課題解決に向けて動いていくのは自然なことだというふうに思いますので、ぜひご一考いただきたいというふうに思います。
 次に、がん対策について伺います。
 AYA世代のがん患者への支援について伺います。
 私もいわゆるAYA世代にがんに罹患した一人です。子供たちもまだ小さく、悲観的な気持ちになったこともありました。通院時も病室でも同世代の患者さんはほとんどいない状況で、お互いの悩みを相談したり、情報交換もしづらい状況でした。
 AYA世代のがん患者の多くは、経済的な問題に直面します。とりわけ、在宅で介護サービスを利用する場合、介護保険の対象外のため、全額自己負担となってしまいます。AYA世代のがん患者への介護サービスについて支援すべきです。
 また、加えて、この間、私は経済的負担の重いウィッグ等の購入費や、まあアピアランスケアですね、がん治療後の不妊療法費用などの支援についても提案をしてまいりました。
 AYA世代のがん患者に対する支援について取組を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、AYA世代のがん患者の療養環境充実に向け、介護保険制度と同様の支援が受けられる仕組みを構築するよう、国に提案要求をしています。
 また、生殖機能温存治療費助成事業を実施するとともに、来年度からアピアランスケア支援事業を開始するなど、AYA世代の多様なニーズに応じた取組を進めてございます。

○竹井委員 都は、介護サービスについては、国への提案要求にとどまっていますが、千葉市では、四十歳未満のがん患者の介護サービス利用費用を助成しており、和歌山県や鹿児島県など県単位でも取り組んでいます。国への要求にとどまらず、都として、ぜひとも実現させていただきたいと思います。
 二〇二一年十二月の中村議員の代表質問で、コロナ禍のワクチン接種で職域での取組が意識されたことを踏まえ、職域でのがん予防対策に積極的に取り組むべきだと主張いたしました。
 昨今、国においても、職域におけるがん検診受診率向上と、治療と仕事の両立支援を企業連携で推進していく取組が進んでいます。
 東京都として、職域でのがん検診に積極的に取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、職域におけるがん予防対策を推進するため、東京商工会議所と連携し、がん検診受診の重要性などについて、健康経営アドバイザーを通じて、企業の経営層に啓発をするとともに、従業員の健康に配慮した企業の取組を支援する職域健康促進サポート事業を実施しています。
 引き続き、職域のがん検診の実施状況等を把握しながら、企業や働く世代への普及啓発等を通じて、がん予防に取り組んでまいります。

○竹井委員 次に、デフリンピックの準備について伺います。
 昨年末に会派で明石市を視察した際、駅前のパピオスあかしという市の各種相談窓口が入ったビルにある全ての窓口に筆談ボードがあり、総合案内所の近くには手話フォンが設置され、JR明石駅の案内所にも筆談ボードがあるなど、そこかしこに聞こえない人に対する配慮がされていました。
 東京都としても、二〇二五年のデフリンピックを見据え、より多くの窓口で手話や筆談ボードやアプリの活用などを通じて、全ての聴覚障害者が不自由なく案内、相談を受けられる体制を整備するとともに、あわせて、民間での筆談対応も進むよう、筆談対応ができることを示すマークの周知もすべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、都庁舎や事業所の窓口等で聴覚障害者のコミュニケーションを支援するため、タブレット端末等を活用し、文字情報や筆談、遠隔手話通訳を利用できる環境を整備しております。
 また、障害者の差別解消に関するハンドブックなどで、筆談の方法や筆談マーク等を紹介しており、事業者団体に周知するなど、引き続き聴覚障害者の情報コミュニケーションに関する取組を進めてまいります。

○竹井委員 案内窓口、相談窓口だけでなくて、都民の多くが聴覚障害を理解し、聞こえない人にフレンドリーな環境を整備する必要があります。
 東京二〇二〇大会では、学校教育でオリ・パラの精神を学び、育む教育に力を入れましたが、デフリンピック大会を契機に、より踏み込んだ障害理解教育を実践すべきです。
 例えば、二〇二五年までに全ての高校生が片言の手話ならば理解し、実践できるようになるなど、言語としての手話の普及も図るべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、来年度、ろう学校の児童生徒の意見を取り入れながら、聴覚障害への理解を深めるための映像教材を作成し、都内公立小中高等学校等での活用を促していくこととしております。

○竹井委員 当事者の意見を聞いて、取り入れていくということでした。大変重要なことだと思います。よろしくお願いします。
 手話への言及はありませんでしたけれども、言語としての手話への理解を深めていくことも重要だというふうに考えます。
 昨年末、会派の視察では、同じ会派の斉藤りえ都議とも同じホテルに泊まりましたが、改めて、聞こえない人に配慮したホテルの必要性を感じました。
 例えば、火災などの緊急事態を知らせる非常ベルはもちろん、来訪を伝えるドアのノック音やモーニングコールなどを光などで伝えるような配慮がなされるべきです。今はスマホなども利用はできますけれども、実はそのときスマホの電源が切れるというアクシデントがあって、なかなか連絡が取れなかった、そういう思いがあります。
 二〇二五年にデフリンピックを迎えるに当たって、万全の準備を整えるべきだと思いますが、ホテルなど宿泊施設の聴覚障害者への配慮に向けて、福祉保健局長と産業労働局長の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで、宿泊施設における工夫として、客室内の聴覚障害者へ円滑に連絡するため、ドアのノック音等を点滅や振動等により室内に伝える信号装置の貸出しや、メールによる携帯電話への情報発信などを行うことを記載し、事業者に周知をしてございます。

○坂本産業労働局長 これまで都は、障害のある方が宿泊施設を安全で快適に利用できるよう、客室等のバリアフリー化を支援してまいりました。
 具体的には、施設の改修や備品の購入について補助を行い、聴覚などに障害のある方にも使いやすい客室などの整備を促進しております。
 これによりまして、聴覚に障害のある方に配慮した環境を整えてまいります。

○竹井委員 デフリンピックに向けましては、文教委員会の斉藤議員の質疑にもありましたけれども、国際的な手話人材の育成、活用を含め、コミュニケーションは大会運営の肝になってまいります。
 インフラ、教育、コミュニケーション促進などなど、デフリンピックに向けてやるべきことは山積をしています。
 二〇二五年東京デフリンピック大会の開催を通じ、東京にどのようなレガシーを残していくのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 デフリンピックを契機にいたしまして、社会の多様性や包摂性を一層高め、共生社会実現への弾みとしていくことが重要でございます。
 大会の開催を通じまして、手話人材の育成や障害の理解を促す教育の推進、さらには、日本の最新技術を活用したユニバーサルコミュニケーションを促進いたします。
 これらの取組を通じまして、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京の実現を目指してまいります。
 なお、先ほどのご質問で、聴覚障害のある方に、ドアのノックをしたときにライトがつくように、そんな工夫をしているホテル、この、前のホテルもそうでございますし、それらを支援していくという体制を取っております。

○竹井委員 大変重要かつ力強い決意の答弁をいただきましたし、また、ホテルのご紹介もいただきました。そういうユニバーサルルームというんですかね、そういう部屋を設けているホテルもあるように聞いています。ただ、なかなか全体として、まだ数も少ないように思いますが、そういった実態もしっかり把握をしていただきたいということも要望しておきます。
 インフラ部分、ホテルの一例を挙げましたけれども、ホテルに限らず、例えば交通機関などなど、インクルーシブなまち東京の名に恥じないインフラ整備がされますように、今後、より一層取組が進むように期待をしたいと思います。実態の把握もよろしくお願い申し上げます。
 次に、不健全図書の名称変更をという質問をさせていただきます。
 東京都青少年健全育成条例では、不健全図書を指定し、区分して販売するという仕組みです。区分することに異論はないものの、不健全と社会的に排除するような表現にクリエーターから異論が出ています。
 自身の表現、著作物に不健全との呼称を用いられることは、表現者として大変な苦痛であることは容易に想像できるところです。ひいては表現活動の萎縮にもつながりかねず、都の表現活動に対する基本的な姿勢をも問われかねません。
 条例を改正し、適切な呼称に改めるべきだと考えますが、見解を伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 東京都青少年の健全な育成に関する条例は、青少年の健全な育成を図ることを目的としております。
 青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類については、青少年の健全な育成を阻害することを意味する不健全なという表現を用い、不健全な図書類と呼称しており、この表現は条例の目的に照らして適切なものと考えております。

○竹井委員 ちょっとなかなか質問、平行線なのかなと思っておりますけれども、本件に関しては非常に多くの漫画家の皆さんからのご要望があって、社会の注目を集めています。見直してほしいという声が大きなうねりになってきていますので、私たちは、引き続き見直しを求めてまいります。
 次に、インボイスによるフリーランス等の方々への影響についてです。
 立憲民主党は、インボイス制度の中止を求めており、都議会でも意見書を提案するなど、反対の立場から取り組んできています。
 インボイス制度については、フリーランスや一人親方などから悲痛な声が届いています。中でもアニメ産業に欠かせない声優さんは、年収三百万円以下の零細な個人事業主が七割とのことです。オウンリスクと思いがちですけれども、やりたい人に対して仕事が限られ、発注企業と零細な事業主とは、情報、交渉力に大きな差があることから、契約、取引に係る下請法や独占禁止法の問題も生じかねません。
 声優はスタジオが集中する東京の職業だともいわれます。東京問題ともいわれるんです。この問題に寄り添うため、相談窓口を設置するなど考えてもいいと思います。
 インボイス実施による都内個人事業主に係るこうした懸念について、都としてはどのように認識し、対処していくのか伺います。

○坂本産業労働局長 フリーランスの方が安心して業務を担うためのサポートは必要でございます。
 このため、都は、発注者との契約上の問題等で支援が必要な場合、専門の相談員が解決に向けたサポートを行っております。

○竹井委員 おっしゃっていただいた相談体制は、コロナ禍でできたものかなというふうに思いますが、インボイスでは声優さん、建設業の一人親方なども含めて、一方的な契約の打切りや値下げなど、大きな懸念がありますので、都としてもインボイスの相談にも丁寧に対応していただきたいですし、寄せられた相談から課題を把握して、ぜひ国にも物申していっていただきたいと思います。
 インボイスは中止すべきですが、そもそも産業を支える人に公平、公正な取引は、経済の好循環や産業、東京の発展につながると考えますので、しっかりお願いしたいと思います。
 さて、都は、アニメを活用したスタンプラリーなどの観光振興、つい先日開催された東京アニメアワードフェスティバル二〇二三の共催、制作会社の海外展開の支援、マンホールの蓋にアニメを使う取組の支援など、アニメコンテンツ産業が集積する地の利を生かした取組を行っています。
 東京、特に多摩地域はアニメ制作会社の四割近くが集積しているともいわれています。JR中央線や、私も住んでおりますが、西武沿線には多くの制作会社があって、東京、ひいては多摩地域の地場産業といっても過言ではありません。都として、しっかりと後押ししていただきたいと思います。
 日本のアニメコンテンツ産業は、世界的に大きな存在感があり、二兆円もの黒字を計上する有力な輸出産業ですが、グローバル市場では中国や韓国が躍進し、相対的なシェアは低下ぎみです。
 そこで、東京が中心地であるアニメコンテンツ産業の発展、躍進に向けた知事の所見を伺います。

○小池知事 世界で根強いファンを持つアニメに関連する産業の成長を促すため、その国際競争力を高めることは必要でございます。
 都は、優れた企画力を持つアニメ制作会社が海外の見本市に出展する支援など、事業者の外国でのプロモーション活動を後押ししております。
 こうした取組により、東京のアニメ関連産業をサポートしてまいります。

○竹井委員 知事からも大変力強い答弁をいただきました。繰り返しますが、声優は収録スタジオが集中する東京固有といってもいい職業であって、日本が世界に誇るアニメ産業を支える方々です。この方々を大切にしなければ、アニメ産業の発展もないと思います。
 しかし、インボイス実施を契機に三割が廃業を検討しているそうです。こういう現状をしっかりと捉えて、都の施策を推進し、国にもぜひ意見をしていっていただきたいと思います。
 次に、ネットリテラシーについて伺います。
 大手回転ずしチェーンにおける迷惑行為の動画が拡散され、持ち株会社の時価総額が一時百七十億円近く下がるなど、経営にも大きな損害を与えたのは記憶に新しいところですが、三・一一をやゆする不謹慎動画、ホームレスに嫌がらせをする動画など、未成年がSNSに不適切な投稿をして炎上する事件が後を絶ちません。
 厳しく批判された少年が学校を自主退学するなど、たたき過ぎだとの議論も起こりました。しかし、ネットの世界では、デジタルタトゥーと呼ばれるように、一度投稿されたものは完全に消去することは難しく、後々就職や結婚、友人関係などに影響を及ぼしかねず、投稿した子供たち自身が大きな負の遺産を背負うことになります。
 子供たちに対して、SNSの適切な使用法について指導することが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、子供たちがSNSで思いがけないトラブルに巻き込まれず利用できるよう、平成二十七年度から補助教材、SNS東京ノートを都内全公立学校に展開し、情報モラル教育を推進してまいりました。
 小中学生向けには、SNSへの投稿のリスクなどを学べる動画教材を令和三年度末に制作いたしました。
 さらに、教員向けには今年度、子供たちのネットリテラシーを高める好事例を指導資料、学びのアップデートに掲載し、都内全公立学校に配信しました。
 SNS東京ノートは、毎年内容を更新しており、動画教材や教員向け指導資料と併せて活用し、今後とも子供たちが将来ネットで情報を適切に発信できるよう学校を支援してまいります。

○竹井委員 SNS東京ノートは、毎年内容を更新しているということでした。今まさに炎上していること、軽々しく考えていると大変なことになるよ、そういうリスク、子供たちにも分かってもらわねばならないと思います。
 SNS東京ノートの次の更新の際には、ぜひこうした炎上の事例、それから将来にわたってリスクがある、そういうことについて入れていただきたい、確信しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、英語スピーキングテストについて伺いたいと思います。
 英語スピーキングテスト、ESAT-Jを高校入試に活用することについて、生徒、保護者、専門家などから多くの疑問の声、反対の声が上がっているにもかかわらず、入試活用されたことは大変残念です。
 試験当日の、他人の解答が聞こえたとの訴えについて、都教委は、試験の結果には影響を与えていないという答弁を繰り返し、生徒からの聞き取り調査をするべきとの指摘には、区市教育委員会を通じて聞いているというお話、直接子供の声を聞かないのは、先ほどもお話がありましたこども基本条例違反ではないかという指摘には、聞き取り方まで条例に定められているわけではないから問題ないと、東京都の教育のトップの言葉とは思えないような答弁でした。
 音声データの開示請求が始まりました。周りの音を消して−−そのこと自体が様々な声が録音されていたことの証左になると思いますが、周りの音を消して提供するのではなくて、採点者が聞いたままの音声を開示すべきだと思います。
 この間、都教委は、都合よくアチーブメントテストと入試を使い分けてきましたが、一緒のテストなんですけれども、その二つの言葉を使い分けてきたと思います。アチーブメントテストであるならば、生徒の今後の学習にきちんと役立たせるべきです。
 卒業式の直前に解答を配るだけでは、現場の先生方も指導のしようがありません。開示申請する人もしない人も、音声データを開示して役立たせるべきではありませんか。
 中三生、そして入学した都立高校それぞれで今後の学習にどのように生かしていくのかについて伺います。

○浜教育長 スピーキングテストを受験した中学三年生に対しては、今後の学習に役立つよう必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度などの観点別の評価結果を記載した資料を提供しております。
 これに加え、希望する全ての生徒に対しオンラインで音声データを提供することにより、自分の音声と解答例を照らし合わせ、学習の成果に基づいた目標を立てられるようにするなど、テストの結果を話すことの力の向上に活用することが可能となる仕組みとしております。
 さらに、都立高校では、海外交流、プレゼンテーションコンテスト、全校でのオンライン英会話を実施するなど、使える英語力の強化に向けた取組を拡充してまいります。

○竹井委員 それであれば、なおさら全ての生徒が自分の音声データを聞いて、自分の力の向上に活用するようにしていくべきではないんでしょうか。
 合格者の開示請求は、もう本人たちが高校生になってからです。本人たちも忘れてしまう頃ですよね。アチーブメントテストであるならば、最大限に活用できるようにするべきだというふうに考えます。
 来年度は、中一、中二の生徒たちにこのテストを受けさせるとのことで、三十五億円の予算が計上されています。今年度の五億円に比べ七倍の予算となりました。
 そもそも、まず中三の入試に使ってから中一、中二にもテストを導入するというのは順番が逆ではありませんか。この予算があるんだったら、語学学習の基本である少人数のスピーキング授業の実践などに使うべきだと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 スピーキングテストは、義務教育修了段階において、授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実を図ることを目的に実施したものでございます。
 来年度は、中学校における全ての学年でスピーキングテストを実施することにより、小学校から継続して生徒が学んできた学習の到達度を各学年で客観的に把握し、中学校や高校における指導に活用してまいります。
 なお、中学校では既に英語の授業において、少人数、習熟度別の指導、ペアワークやグループワークなど様々な学習形態を工夫しているほか、ICT機器の活用により英語が堪能な地域人材や他校の生徒等と英語を用いた交流を実施するなど、学習集団の規模にかかわらず、様々な形態の指導を効果的に行うことにより、英語を話す力を伸ばしています。

○竹井委員 この一年半にわたって、私たちはスピーキングテストの受検への導入に反対の声を上げてきました。しかし、都教委は、次から次へと湧いてくる疑問と瑕疵を認めてきませんでした。
 高校受検において、学力試験とスピーキング試験の相関関係があるかどうか不明であるにもかかわらず、不受験者に学力試験から類推した他人の得点の平均点を与えるという前代未聞の措置が行われました。
 都教委は、何の裏づけもなく、合理的で最善の方法であると繰り返されますけれども、私たちが指摘してきた逆転現象について、平均点を与えた人数とそのことで前後の受検生に与えた影響など、全て検証を行うべきであると考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 スピーキングテストにおける不受験者の措置は、吃音等の障害のある生徒や病気などでテストを当日受験できなかった生徒などが著しく不利にならないよう、入試において最も参考になり得る本人の英語学力検査の得点を基に、テストに相当する点数を算出し、付与するものでございます。
 こうした措置は、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する都立高校入試においては必要な対応であり、合理的で最善の方策でございます。
 なお、不受験者には、そもそもスピーキングテストの点数がないわけであります。そのために、こうした点数の算出方法を定めているのでありまして、逆転現象という考え方自体、成り立たないものと考えております。

○竹井委員 障害のある生徒、病気の生徒の話をされるんですけれども、それだけじゃなくて、私たちは、受験機会が与えられなかった子たちもいますよね、すなわち、ESAT-J実施日以降の転入生や、私立学校から直前に都立希望した生徒たちです。
 そして、逆転現象についても、様々な専門家が声を上げて、都教委に対しても意見を述べられている、これはもうご存じないわけはないのですから、成り立たないと切り捨てるのであれば、専門家が指摘することを客観的にデータを用いた上で否定してほしいと思います。
 もしも、都教委がこの施策をよりよいものにしていこうという、そういう気概を持っていらっしゃるのであれば、実際の生徒の生の声や現場の先生方の声、不備を指摘する声にも真摯に耳を傾けていただいて、採点ミスもありました、まだちょっと説明を受けていませんけれども、その原因究明も行って、全てのデータを開示して検証を行うべきだと考えます。
 議会で指摘してきた不備や瑕疵について、検証を行うべきですが、見解を伺います。

○浜教育長 スピーキングテストは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより適切に実施されていることを確認しており、テストの結果を都立高校入試に活用したところでございます。
 今後、使える英語力の育成に向けて、生徒の英語力や教員の指導力向上を図るため、さらに効果的に活用できるようスピーキングテスト事業を実施してまいります。

○竹井委員 物事、事業をやるときには、検証というのは必ず必要だと思うんです。検証ということは絶対おっしゃらないんですよね。だったら、これだけ議会や専門家から指摘が入るわけないんです、その疑義や瑕疵がなければですね。私たちはそう思っていますので、これだけ議会や専門家から指摘が入っているんだから、とにかくきちんと受け止めて検証していただきたい。そこからです。
 それでなければ、今回七倍もの予算をかけてやるべきではないし、私たちがずっと受検に使わないでくださいといっていますけれども、来年、使ってはならないんだろうというふうに思います。検証をしていただきたい。全てのデータをきちんと開示して、私たちに納得できる形でご説明をお願いしたいと思います。
 最後に、高齢者施策について伺いたいと思います。
 先日、都庁の隣の東京都福祉保健財団で、次世代介護機器の体験展示コーナーを視察してきました。
 ベッドから落ちそうな高齢者を検知したり、高齢者が目覚めたことを知らせるなど、介護スタッフの負担軽減につながる介護機器を実際に見せていただいたり、体験をさせていただきましたし、実際に力仕事で足腰の負担を軽減するマッスルスーツなども着て体験をさせていただきました。
 こうした次世代介護機器の導入促進を積極的に進めるなど、介護現場の負担軽減、高齢者のQOLの向上に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、介護事業者に対し、職員の負担軽減とサービスの質の向上を目的に、移乗介護機器、見守り支援機器等の次世代介護機器の導入経費を補助しています。
 また、専門家の助言の下に機器を体験利用できる展示スペースを設置するほか、導入事例を紹介するセミナーなども開催しており、引き続き次世代介護機器の活用を促進してまいります。

○竹井委員 高齢者のニーズに即した新ビジネスの創出につきまして、新規事業として一億円を計上されています。
 高齢者のニーズに即したビジネステーマには、住まいや介護、健康づくりや趣味、娯楽など多様ですが、いずれにしても社会課題の解決に向けて、現場のニーズ、お困り事を掘り起こして、共有して問題解決に取り組んでいくという必要があるのではないでしょうか。
 現場との共同作業による高齢者のニーズに即した新ビジネスの創出に向けての見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業がその技術力を生かし、シニア市場でのビジネス展開を図る取組への支援を開始いたします。
 具体的には、様々な機関と連携して高齢者のニーズを把握し、それに対応した製品やサービスの開発を進める中小企業の必要経費に助成を行います。また、都がそうした商品を活用することなどにより、販路開拓を後押しいたします。
 これらによりまして、中小企業を支援してまいります。

○竹井委員 また、今回の予算では、新たに高齢者のQOL向上のためのデジタル活用支援として、市区町村と連携し、公民館などにスマホの相談や交流のスペースを開設し、スマホをきっかけにしたつながりを創出することが盛り込まれています。
 一方で、NTTドコモをはじめ、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルなど通信大手もシニア向けのスマホ教室を開催しており、スマホ教室をきっかけに外出するようになったとか、同じ趣味の人と知り合いになれたなど、生きがい創出、つながり創出にも役立っているとも聞いているところです。
 そこで、改めて行政が高齢者のデジタル活用支援に取り組むことの意義について見解を伺います。

○久我デジタルサービス局長 デジタル化が進展していく中で、誰一人取り残されず、その恩恵を享受できる社会を実現するため、都は、デジタルに不慣れな高齢者向けの様々なデジタルデバイド対策を実施しております。
 区市町村等とも連携しながら、高齢者に身近な施設でデジタルについて相談、交流ができる場の設置や、定期的な相談会を実施してまいります。

○竹井委員 高齢者の皆さんも身近なところでそういった相談、そして交流ができるということで、これは非常によい施策だというふうにも思っているところであります。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔菅野副委員長退席、委員長着席〕

○小宮委員長 竹井ようこ委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、三月二十二日は午前十一時から理事会を議会運営委員会室で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後七時三十三分散会

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