予算特別委員会速記録第五号

○小宮委員長 ただいまから予算特別委員会を開会します。
 初めに、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席し、発言したい旨の申出がありました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小宮委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定しました。

○小宮委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案を一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月九日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 伊藤しょうこう理事の発言を許します。

○伊藤委員 それでは、〇一八サポート事業から伺います。
 この事業は、ゼロ歳から十八歳までの子供に対して毎月五千円、年間で合計六万円を配るというものです。少子化対策の中でも目玉事業として注目されていますが、千二百億円という巨額の費用を要するため、我が会派は過日の総括質疑にて、いつまでこの事業を実施するのかただしたところ、いつまで実施されるのか全く明らかにされませんでした。単年度の計上では、少子化対策とはいえません。改めて、計画性を持った事業となるよう努めていただきたいと申し上げておきます。
 そこで、再度確認します。
 少子化対策については、我が会派は、国や市区町村と緊密な連携を図りながら展開すべきと考えています。今回の〇一八サポートの突然の発表には、都内の区市町村や各議会でも様々な声が寄せられています。
 多摩地区では、依然として課題となっている高校生までの医療費助成など、これだけの予算を充当するなら、ほかの施策に充てるべきという声も少なからず聞こえてきます。
 〇一八サポートを検討するに当たり、区市町村の意見を伺ったのか、また、今後、事業実施に当たり、区市町村とどのような連携を図っていくのか伺います。

○西山福祉保健局長 都は、日頃から区市町村と意見交換し、連携しながら、子供と子育て家庭に対する様々な支援策に取り組んでおります。
 〇一八サポートについては、この間、事業の概要や今後のスケジュール等を区市町村に情報提供しており、引き続き区市町村の意見も聞きながら、事業実施に向け着実に準備を進めてまいります。

○伊藤委員 順番が全く逆だと思います。事業を決めてから伝えるのではなく、区市町村と連携しながら様々な子育て支援策に取り組むというなら、企画段階からきちんと相談して進めるべきと指摘しておきます。
 次に、この〇一八サポート事業は、所得制限なしという点でも注目されたところですが、いわゆる所得制限のあるなしについては、国民の間でも意見が分かれているところです。
 こちらのパネルが、子供のいる世帯の年間収入状況です。
 それでは、〇一八サポート事業を所得制限なしとした理由について、知事の見解を伺います。

○小池知事 お尋ねの〇一八サポートでございますが、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けず、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するものでございます。
 本事業など、子供、子育て政策を総合的に推進し、子供を産み育てたいという願いを支援していくものでございます。

○伊藤委員 所得制限なしとした理由について、知事からは、子供、子育て政策を推進し、子供を産み育てたいという願いを支援していくということでした。
 しかし、過日の本会議や総括質疑においても、それならば他の施策も所得制限を撤廃すべきという質疑もありました。
 それでは、児童手当や医療費助成など、各種の子育て支援策には所得制限が設けられていますが、所得制限を設ける意義について、福祉保健局長に伺います。

○西山福祉保健局長 都の施策における所得制限など、支援の対象範囲の設定に当たりましては、それぞれの施策の目的などを踏まえて適切に判断すべきものでございます。
 例えば都の医療費助成制度は、一定の自己負担を前提とする国の医療保険制度の下において、子育てを支援する福祉施策の一環として所得制限を設けて実施してございます。

○伊藤委員 つまり所得制限のあるなしは、福祉施策として適切に判断すべきとのことでした。
 それでは、〇一八サポート事業は、福祉ではなく、子供を産み育てたいという願いを支援する知事からのプレゼントと理解しました。
 パネルをご覧ください。さて、東京では、子供のいる世帯の年間収入状況を見ますと、一千万円以上の世帯が二割にもなります。こちらですね、こちらの方ですね。子供一人一人に着目するという考え方は重要ですが、年収三百万円未満の家庭にも六万円、例えば年収三千万円を超える家庭にも六万円。年収三百万円未満の家庭でも六万円、三千万円でも六万円。これは、都民のお金を使う給付の在り方として公正、正当といえるのか、若干疑問に思います。
 少子化対策として効果的な施策といえるのか、知事に見解を伺います。

○小池知事 この予算特別委員会でも何度も申し上げてまいりましたが、私は、国会議員時代から数多くの議員連盟を立ち上げて、女性活躍、少子化対策に取り組んでまいりました。
 都知事に就任しましてからも、チルドレンファーストの社会の実現に向けて、これまで重ねてきた子供、女性政策の実践に加速度的に取り組んでいるところでございます。
 この間、待機児童対策はじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、そして子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行ってまいりました。高い子育て費用、仕事と育児の両立の困難さなど、少子化の要因は複合的でございます。
 来年度予算におきましては、今日の危機的な少子化の状況を踏まえまして、都としてなし得る対策を迅速に講じることといたしまして、ライフステージに通じた幅広い対策を盛り込んだところでございます。
 そして、その一環といたしまして、子供一人一人の成長をひとしく支えるために、所得制限は設けず、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付するということといたしたところでございます。
 今後とも、子供を産み育てたいという願いを社会全体で支え、子供の笑顔であふれる東京を実現してまいります。

○伊藤委員 少子化対策としてなし得る施策を何でもやるという意気込みは必要です。しかし、都民のお金で実施するので、〇一八サポート事業は、本当に効果的な少子化対策となるのか、早急に将来計画を示していただくことを強く求めておきます。
 次に、ふるさと納税について伺います。
 ふるさと納税には、例えば被災地への寄附など、純粋に自治体を応援したいとの気持ちから行うものもある一方で、肉や米など返礼品目的も多く、返礼品競争になっている現状があります。
 加えて、平成二十年度の導入以降、他の自治体への住民税の流出額が増加しており、令和四年度では、東京都だけで五百七十一億円、区市町村分も合わせると約千四百三十億円にも上る税収が都内から失われています。
 このような大きな減収により、自治体の行財政運営に大きな影響が生じかねないということは十分に知られていないと思います。よって、ふるさとを応援するという本来の趣旨に沿った制度に近づけることが重要です。
 ふるさと納税の具体的な課題について、都民に対してしっかりと周知するとともに、国に対して制度の見直しを求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ふるさと納税でございますが、居住地の自治体の行政サービスに使われるべき税収が寄附金を通じて他の自治体に移転をしており、受益と負担という地方税の原則から見ましても好ましいものではない、このように認識をいたしております。また、返礼品競争が続いているなどの課題もございます。
 都は、以前から国に対しまして制度の見直しを要望してまいりました。都としては、今後も、ふるさと納税の課題につきまして、都民の方々にご理解いただく取組を進めるとともに、国に対しまして寄附本来の趣旨を促す制度となるよう見直しを求めてまいります。

○伊藤委員 平成二十年の制度導入の際には、知事も都内選出の国会議員でした。東京の大切な税収が地方に流出することがないよう、しっかり国と連携を取っていただくようお願いします。
 次に、新型コロナ五類移行後の入院調整について伺います。
 先日の我が会派の予算特別委員会代表質問では、新型コロナの五類への移行に当たり、円滑に進めることを求めたところです。
 その後、今月十日に政府対策本部は、新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等の方針を公表しました。それは、入院措置を原則とした特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行するというものです。その一方、直近の感染拡大時には救急の逼迫も経験しました。
 それでは、都は、この国の方針を踏まえ、今後入院調整をどのように構築していくのか伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、今般の国の方針を踏まえながら、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう高齢者等医療支援型施設を継続し、救急要請にも対応するとともに、重症、中等症Ⅱの患者や妊婦など特別な配慮が必要な方につきまして、当面、入院調整本部による調整を継続いたします。
 あわせて、医療機関同士の入院調整を促進するため、現行システムを改修し、外来患者を診療した医療機関が、コロナ患者を受入れ可能な入院先の病床の状況を把握できるようにいたします。同時に、医療機関同士による入院調整の取組状況や課題を把握いたしまして、確実な移行に結びつけます。
 今後、こうした内容を盛り込んだ移行計画を策定し、秋以降は、医療機関が重症、中等症Ⅱの患者を含む全ての方に対応できるよう、戦略的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 マスクの着用も、基本的に個人の判断となりましたが、まだ慎重な方も多いようです。これまで感染の波を繰り返してきましたので、移行計画や実行についても、都民の安全・安心を最優先で対応することを求めます。
 次に、ウクライナ避難民の支援について伺います。
 昨年二月、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まり、都は、翌三月に避難民の受入れを表明し、支援を開始しました。現在でも、都内には六百名弱の避難民が生活しているそうです。
 しかし、ウクライナの情勢は予断を許さない状況が続いています。避難民も帰国の見通しが立たず、避難生活が長期化する中、心身ともに疲労も蓄積していると思います。
 当初は、住居や生活資金などの不安がほとんどだったでしょうが、現在では、例えば就労といった定住に向けた悩みも出てくるなど、避難民のニーズも幅広くなってきているそうです。また、中には母国での経験を生かしてプラネタリウムの解説員となった方もいるそうですが、不安を抱える人も多いと思います。
 そこで、都は、このような状況を受け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 避難生活の長期化に伴い、避難民のニーズも多様化しておりまして、会社経営の経験のある避難民自らが、他の避難民の就労をサポートするなどの取組も出てきております。
 これまで都は、都営住宅で東京みんなでサロンを開催し、地元住民との交流の機会の提供や、ウクライナでなじみのあるサッカーの観戦招待なども行ってきております。つながり創生財団では避難民を採用し、相談や通訳などに取り組んでもらっております。
 引き続き、区市町村や支援団体等と連携し、困り事や不安を丁寧に聞き取るとともに、多様化するニーズにもきめ細かく対応するなど、より一層の支援の充実を図り、地域で安心して生活できるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 不安を抱えて暮らしている方、もちろん大勢いらっしゃると思います。引き続き丁寧に寄り添っていただいて、支援に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、障害者就業促進モデル入札について伺います。
 共生社会の実現を目指す上で、障害がある方の社会参加を後押ししていくことは重要です。こうした中、障害者の雇用と就労を拡充させるべく、財務局においてモデル入札を実施しています。令和三年度から試行を始め、障害者を作業員として従事させ、支援するサポーターを配置要件に発注しています。二年間で十件の都立学校の清掃業務委託に適用し、雇用実態は八から十八時間程度と聞いています。
 しかし、まだまだ障害者の就労促進のモデルとはいえないと思います。ビルメンテナンス団体からも、モデル入札は評価するが、障害者の勤務日数や時間が少ない、障害者雇用の拡大につながる内容としてほしいとの声も寄せられています。
 また、試行案件は都立学校のみですが、都有施設はそれ以外に多数あり、さらなる拡大を見込むことができます。そのためには、各局とこれまで以上に連携を図っていく必要がありますが、モデル入札の一層の活用に向けた今後の取組について見解を伺います。

○吉村財務局長 モデル入札の案件数拡大や業務に従事する時間を増やすなど、内容の充実に向け試行の実績を積み上げながら、受発注者双方の理解促進を図ることが重要でございます。
 今後、モデル入札を実施した案件を対象に、履行の実績や改善へ向けた意見など現場の声をアンケート形式で把握し、今後の案件選定に生かすとともに、定例的な会議体等を通じまして庁内に周知を図り、取組の意義や成果についての認知度を高めてまいります。
 こうしたことを通じまして、引き続きモデル入札の着実な実施に取り組んでまいります。

○伊藤委員 現場の声も聞きながら、拡大に向けて取り組むことを確認しました。ぜひモデル入札の課題を整理して、改善を図りながら、全庁を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、介護人材対策について伺います。
 さきの総括質疑でも、超高齢社会を支える介護人材の確保が、東京では依然厳しい状況にあり、都として、国の全国一律の介護報酬改定に対する要望を続けるだけではなく、この課題に正面から取り組むべきと指摘をいたしました。
 来年度は、令和六年度から三年間の計画となる第九期の東京都高齢者保健福祉計画を策定する重要な年となります。
 介護人材対策について、一歩進んだ施策の検討が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 高齢化の進展に伴い、介護ニーズの増大が見込まれる中、介護サービスを担う人材の確保、定着、育成が重要でございます。
 このため、都は、高齢者保健福祉計画において、介護人材対策の推進を重点分野の一つに位置づけ、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員の宿舎借上げやデジタル機器等の導入に取り組む事業所への支援など、様々な取組を実施してございます。
 令和六年度からの次期計画の策定に当たりましては、これまでの取組の成果や課題を踏まえるとともに、有識者や介護現場からの意見や要望も聞きながら、介護人材対策の効果的な施策を検討してまいります。

○伊藤委員 現場に携わる介護現場の声を聞きながら、介護人材対策について、再来年度から計画策定に生かすということです。ぜひ、介護という大変な仕事ですが、やりがいを持って、働く方々にとって希望の持てる施策となるよう検討をお願いします。
 続いて、摂食障害について伺います。
 摂食障害は、食べるという行動に症状が現れる心の病気です。全国の摂食障害の外来患者は約二十一万人、入院患者は約一万人と推計されています。若年者に多く、女性にも多く見られます。また、患者の一割から二割が慢性化するといわれており、近年では、患者の高齢化も指摘されています。
 つまり、摂食障害は誰でもかかり得る病気であり、心身の成長や日常生活に大きな支障を来し、命に関わる場合もあるそうです。
 よって、できるだけ早く専門の機関に相談し、必要な治療や支援につなぐ取組が重要ですが、摂食障害について、都における今後の取組について伺います。

○西山福祉保健局長 都は、摂食障害に関する相談支援体制の充実を図るため、各都道府県が一か所指定し、患者や家族への専門的な相談や治療、関係機関への助言や連絡調整、都民向けの普及啓発などを行う摂食障害支援拠点病院の設置に向け、来年度、検討を開始いたします。
 有識者による委員会を設置して、医療機関等を対象に、摂食障害の治療や支援に係る実態調査を行い、その結果も踏まえ、拠点病院を中心とした支援体制の在り方などを検討してまいります。
 こうした取組を通じ、摂食障害の患者が早期に必要な治療や支援を受けられる環境を整備してまいります。

○伊藤委員 東京都精神科病院協会の会長にご意見を聞いたところ、東精協の病院にも研修指導などを行い、多くの病院で対応可能にしていただきたい、実態把握とニーズの判断もポイントとお聞きをいたしました。ぜひ早期に都と民間と連携をして、支援体制を求めます。
 次に、若年被害女性等支援事業について伺います。
 これについて、福祉保健局では、公法上の契約に類する契約という局独自の解釈で契約を進めてきたことが問題となっています。局長は、これを随意契約といい切ったわけですが、各局別質疑を通じて、随意契約の透明性を担保するためにある東京都の契約に関わる規則に違反していることも明らかになりました。
 公金の支出管理がどうなっているのか、都民の多くが注目している中で、そもそも都庁の局内でのプロセスに不備があったことは問題です。そうなると、これは瑕疵のある状態として、契約そのものの正当性が疑われることになります。
 福祉保健局は、契約の権限がないにもかかわらず契約締結をしました。このようなケースでは、契約が無効になる可能性も指摘されていますが、契約の責任権限者である知事は、相手側に返金を求めるのか、それとも、規則違反でありますが追認するのか、財務局長の考えを伺います。

○吉村財務局長 本件につきまして、福祉保健局に対してヒアリングを行ったところ、契約自体は法令に定める随意契約の要件を満たしており、自治法には反しておらず有効であり、事業の公正性を欠くようなものではございません。
 また、委任手続につきましても、本契約は、契約の相手方の決定に当たりまして、民間団体が持つ若年女性支援のためのノウハウや遂行能力等を、事務事業を熟知している局において専門的観点から選定することが合理的であり、個別的委任を行って、所管局において契約事務を行うことが適切な契約であることから、実質的な委任の要件を満たしております。
 その上で、この契約につきまして、相手方との関係において有効と認識しております。

○伊藤委員 つまり、契約そのものは認めるということと理解をしました。
 しかし、本来契約の権限は知事にあり、今回その権限を勝手に福祉保健局が使ったという前代未聞の事態となります。福祉保健局内には経理の部隊もいますので、高額な契約行為を進めるに当たって、誰一人として気づかなかったのか疑問が残ります。それぐらい、福祉保健局のいう公法上の契約に類する契約というのは、問題と思われるプロセスです。誰か現場の者が勝手に推し進めたのか、組織的に承知の上で進めたのか、見極める必要があります。
 三月八日の我が会派の質疑では、本事業以外にも公法上の契約に類する契約はあるのかどうかをお聞きしましたが、福祉保健局長は答弁されませんでした。
 改めてお聞きします。福祉保健局内のほかの事業でも、公法上の契約に類する契約はなされているのか伺います。

○西山福祉保健局長 契約事務手続については、現在、精査、点検を進めており、今後必要な改善に取り組んでまいります。

○伊藤委員 既に十日以上たっていますので、精査、点検中ということは、随分遅いなというふうに思います。
 一方で、財務を所管する武市副知事にも先般同様にお聞きしましたが、副知事からは、分からないという趣旨の答弁がありました。
 時間もたちましたので、改めてお聞きしますが、各局において、規定に抵触するおそれのある独自のルールに基づく契約はあるのかお答えください。

○武市副知事 若年被害女性等支援事業契約につきましては、先日の質疑を受けて財務局に調査を指示し、報告を受けたところでございます。
 契約自体は、法令に定める随意契約の要件を満たしており、地方自治法には反しておらず契約としても有効であり、事業の公平性を欠くようなものではございませんでした。契約締結権限につきましては、事業の性格から個別委任の必要性が認められる契約であり、実質的な委任の要件を満たしておりました。
 一方で、規則等に定める事務手続上の課題がありましたことから、既に、福祉保健局において契約事務の点検を行うこととしており、今後必要な改善を図ってまいります。
 他の局におきましては、お話のような同種の事例は現時点では確認されておりません。
 引き続き、契約事務を総括する財務局をはじめ、各局が連携して適正な契約執行に取り組んでまいります。

○伊藤委員 お答えいただきましたが、他ではないということですが、いずれにしても、福祉保健局の中で何が行われていたのかを明白にする責任が知事にはあります。
 金曜の記者会見で、地方自治法上の問題はないと知事はいい切りましたが、この公法上の契約に類する契約が随意契約と呼べるものなのかも含めて、改めてお願いします。
 これまで我が会派は、契約に係る規則については、少なくとも三つの規則に違反する可能性があることを述べてきました。
 令和三年に実施した企画提案方式も地方自治法上は随意契約ですから、選定後に随意契約の手続をする自治体が多いのですが、企画提案方式の手引にのっとる方法で福祉保健局が契約を進めている形跡が確認できていません。
 このことも含めて、福祉保健局の契約方式が随意契約なのかどうかを審議している過程にもかかわらず、知事が記者会見で、地方自治法上の問題はないといったからには、今後、知事の責任で、いつ、誰が、どのようにして公法上の契約に類する契約という言葉を使い、承認してきたのか、そしてこれは何なのか、内部よりは第三者による徹底的な調査を行い、都民の皆様が納得する報告を求めます。この調査が完了するまで、次年度の契約は進められないものと考えますので、急ぎお願いしたいと思います。
 次に、教育について、知事に伺います。
 知事は、施政方針の中で、グローバルな環境で活躍ができる力を育てるとして、英語力の東京という看板が立つほどに英語教育を強化すると語られました。
 しかし、教育についての知事の関心や発信が英語ばかりであることをとても危惧しています。英語を話すことも、豊かな表現力を身につけることも、そのために不可欠なのは、私たちの言葉や思考の基礎となる国語力と考えます。
 しかしながら、ここ数十年、小中における国語の授業時間は様々な要因から減少しています。
 真の国際人を育てるならば、小中学生のうちに、自国の秀でた文学や文化を知る国語力を育むことこそ重要と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 グローバル化が進む社会におきまして、子供たちが活躍するためには、まず、子供たちが我が国の伝統や文化を理解し、その上で言語や文化、価値の違いを超えて、関係を構築するためのコミュニケーション能力を身につけることが大切です。
 そのためには、国語力を高め、自分の意見をきちんと述べるための論理的な思考力や、相手の意図を正しく把握し感じ取る力、自分の考えや思いを表す表現力などを育むことが重要です。
 今後とも、国際社会を生きるために必要な力を育み、世界に羽ばたくグローバル人材を輩出してまいります。国語力、そして英語力、両方が必要だと、このように思います。

○伊藤委員 国語教育も重要との認識をお示しいただきました。
 また、英語ができるだけでは国際社会では認められません。世界は今、感染症や戦争の勃発、経済の混乱や環境破壊など、百年に一度といわれる厳しい状況に直面しています。
 しかし、そうしたときこそ、私たち日本人が古来培ってきた利害や損得だけではない、人の道として守るべきこと、大切なことは、世界に通ずる重要な価値であることを改めて評価し、尊重すべきと考えます。
 世のため人のために働く、惻隠の情、卑怯を憎む心、正義感など、これらは世界に誇る日本人の資質です。そうした人間性を育む道徳教育を推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 予測困難な時代におきまして、子供たちは自らの希望や意思に基づいて人生を選択していく力、また、社会をよりよいものにしていくために何をすべきか自ら考える力を身につける必要がございます。そして教育には、その素地を養うことが求められております。
 そのため、学校における道徳教育では、自立した一人の人間として、他者と共によりよく生きる基盤となる道徳性を子供たちに育んでいくことが重要です。
 今後も、知、徳、体を一体的に育み、家庭、地域も含めた社会全体で、未来の東京を担う子供たちを育ててまいります。

○伊藤委員 国語力や道徳教育についての知事の認識をお聞きしました。
 世界が激変する中で、心豊かにたくましく生きていくための基礎は、国語力や道徳力にあると考えます。その認識の下、各種教育施策を展開することを期待しています。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 先般の予算特別委員会において、我が会派の菅野副委員長は、中長期にわたり展開するTOKYO強靱化プロジェクトの実効性を高めるべきとただしたところ、知事からは、基金や国費といった財源の確保、技術職員の確保、育成、国と連携した制度の拡充などについて答弁がありました。これは、このプロジェクトを安定的、継続的に推進していく知事の決意が示されたものと受け止めています。
 一方で、このプロジェクトは、気候変動や首都直下地震など各局の施策にまたがる共通の課題に対して、今後の防災対策の羅針盤となるものとも理解しております。災害の危機から都民を確実に守り抜く備えをしっかりと講じるためには、全庁横断的な推進体制を維持し、各局が同じ考えの下、実施する必要があります。
 そこで、このプロジェクトで掲げた理念や施策の方向性を各局の事業に反映させるためにどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○中村政策企画局長 いつ起こるかしれない災害に万全の備えを講じるため、TOKYO強靱化プロジェクトを全庁一丸となりスピード感を持って実施していかなければなりません。
 そのため、全庁共通の前提条件となります共通の目線を踏まえまして、二〇四〇年代に目指す到達点に向け、気候変動を見据えた防潮堤、河川堤防のかさ上げ、木造住宅やマンションの耐震化促進など、実施手法やスケジュール等を具体化し、個別の施策や事業の実施計画に速やかに反映してまいります。
 今後、本プロジェクトの着実な推進に向け、副知事や関係局長で構成する推進会議の仕組みを活用し、施策を展開することで、気候変動や地震等の脅威に対し、強靱で持続可能な東京を実現してまいります。

○伊藤委員 今後、二〇四〇年代に目指すべき東京の実現のためには、関係局が連携を密にして、プロジェクトをさらにブラッシュアップすることこそ必要と指摘をしておきます。
 次に、市町村下水道事業の支援について伺います。
 我が会派の代表質問に答える形で、都は、市町村の管理する公共下水道の浸水、震災対策の事業に対し、新たな補助制度を創設するとの表明がありました。市町村負担分の二分の一を補助するこの新制度は、多摩地域の下水道の強靱化のレベルアップやスピードアップを図る上で、大変有意義な制度です。
 しかし、各市町村では、合流や分流の処理方式や被害想定の違い、また対策工事の進捗にも差異があるなど、様々な課題を抱える現状があり、この補助制度創設を受けて、事業の前倒しや計画の見直しなど行い、本補助制度の活用を検討する市町村も出てくるものと考えられます。
 そこで、都は、多摩地域の下水道の強靱化に向けて、市町村の実態に即した効果的な制度運用をすべきと考えますが、見解を伺います。

○奥山下水道局長 都は、TOKYO強靱化プロジェクトに基づき、市町村下水道における浸水、震災対策のレベルアップ、スピードアップを図るため、令和五年度から、市町村が負担する費用の二分の一を支援する新たな補助制度を創設することといたしました。
 本制度につきまして、市町村への全体説明会や個別ヒアリングを実施しており、今後、市町村が策定する下水道強靱化計画の作成や事業の実施に向けまして、市町村ごとの実情を踏まえた本制度の活用方法や技術面の相談等に丁寧に対応してまいります。
 今後も、市町村と密に連携し、東京の下水道の強靱化につなげてまいります。

○伊藤委員 本制度の基となるTOKYO強靱化プロジェクトは、いつ起きてもおかしくない災害に対応するためのものです。一刻も早く多摩地域の下水道がレベルアップするために、市町村の個別の事情に応じた支援を求めます。
 また、このテーマは、昨年急逝された西山賢都議も力を入れていました。ぜひよろしくお願いします。
 次に、盛土の安全対策について伺います。
 令和三年七月に静岡県熱海市で大雨に伴い盛土が崩落し土石流が発生したことにより、甚大な人的、物的被害に見舞われました。
 その後、国は、危険な盛土を全国一律の基準で包括的に規制するため、隙間のない規制、安全性の確保、責任所在の明確化、実効性ある罰則の措置をポイントに法改正を行いました。
 都は、盛土規制法が法令のはざまとなっている課題等の解決に有効との認識を示しており、令和五年度末までに基礎調査を完了し、地元区市町村の意見を聞きながら、令和六年度中に規制区域を指定する予定です。
 そこで、盛土規制法の運用に向けた都の検討状況と、都民の安全確保に向けた今後の取組について伺います。

○福田都市整備局長 危険な盛土等による災害を防止するためには、法を適切に運用するための基準づくりと、法の実効性を高めるための取組を進めることが重要でございます。
 都は、本年一月、学識経験者から成る専門家会議を設置し、地域特性を踏まえた規制区域の指定基準に加え、区域内の盛土の許可基準等を検討しております。
 実効性の確保に向けては、不適正な盛土を効率的に把握するために、令和五年度、多摩地域を対象に衛星データ等を活用した不適正盛土の検知を試行いたします。
 こうした取組により、関係局や地元市区町村とも連携しながら土地所有者等に指導するなど、盛土規制法を適切かつ有効に運用し、盛土による災害を防止してまいります。

○伊藤委員 盛土による事故や災害は、都民に対して重大な危険となります。答弁にもありましたが、関係局や地元区市町村ともしっかり連携し、土地所有者にも指導するなど、盛土による災害防止を着実に進めることを求めます。
 次に、水害時のLPガスボンベの流出防止対策について伺います。
 LPガスは、災害時には給湯、発電で被災生活を支えるなど、重要なエネルギー源の一つです。
 その一方で、近年の激甚化する水害時には、ガスボンベの流出事故が各地で発生しています。国は、流出防止対策のため、一メートル以上の浸水想定地域に設置した既存のボンベは、チェーンの二重がけなど安全機器設置を販売事業者に義務づけ、その期限は令和六年六月に迫っています。
 こうした中、都は、安全機器の導入補助制度を創設いたしました。よって、浸水想定の都内約二十万世帯への設置を速やかに進める必要があります。
 そこで、都は、LPガスボンベの安全機器の早期設置に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○栗岡環境局長 水害によるLPガスボンベの流出に備えるためには、安全機器設置は急務でございまして、事業者やLPガス利用者の機器設置に対する理解促進が重要でございます。
 そのため、都は本年二月にLPガスの業界団体や専門家、販売事業者との準備会合を実施し、補助対象となる機器要件等の詳細の検討を進めてございます。また、安全機器の設置工事の集中などによりまして、ベルト等の在庫や施工業者の不足が生じないよう、関係事業者等に対しまして、予算案の内容について説明を行っているところでございます。
 今後、ガス利用者向けに安全機器設置に関するリーフレットを作成するなどして、業界団体や販売事業者等と連携しながら、利用者の理解促進を図ってまいります。
 こうした取組を着実に進め、LPガスボンベの流出防止対策を推進してまいります。

○伊藤委員 災害はいつ起きるか分かりませんので、対策を効果的に進めるためにも、業界団体に加え、地域に精通した区市町村とも連携して実施することを要望しておきます。
 次に、帰宅困難者一時滞在施設へのLPガス発電機の導入についても伺います。
 一時滞在施設は、買物客など行き場のない帰宅困難者を発災後三日間受け入れる施設です。そして、その三日間は電力が途絶えることを想定し、各施設での備えが必要です。特にガスは、あらかじめ備蓄をしておけば、災害時に発電など使用できる有益な燃料です。
 都では、都立一時滞在施設において、投光器とカセットガス式の発電機を配備していますが、現在より長期保存が可能で容量が大きく、取替えの手間が大幅に減るLPガスを使用する発電機もあります。
 今後、発電機の設置をどのように対応するのか伺います。

○野間総務局長 都は現在、都立一時滞在施設について、夜間の円滑な施設運営のため、投光器とともにカセットガス式の発電機を配備してございます。
 カセットガスは、軽量で持ち運びが容易である一方、使用時間が短く、頻繁に交換が必要なことなどから、他の発電機への変更について検討してまいりました。
 今年度から、揮発油を燃料とするものなど様々な方式を比較検討した結果、使用時間が長く、災害時において、より利便性の高いLPガスボンベ式の発電機を配備することとしてございます。
 今後も、新規に指定する都立一時滞在施設に配備してまいります。

○伊藤委員 現在使用しているカセットボンベ方式は、三日間、すなわち七十二時間稼働するには、二時間に一回交換が必要とも聞いています。使用期限が切れた場合に順次対応することを求めております。
 続きまして、都におけるサイバーセキュリティ対策の強化について伺います。
 国は、昨年末に策定した国家安全保障戦略において、特に国や重要インフラなどの安全等を確保のため、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させる方針を示しました。そして、今年一月には、内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を立ち上げ、情報収集や分析力の強化を進めるとのことです。
 都においても、都民生活や情報資産を守る責務を担うため、交通、上下水道など重要インフラのさらなるセキュリティ対策の強化をする必要があります。
 国が対策を強化する中、都としても、さらに対策の強化を進める必要があると考えますが、取組を伺います。

○久我デジタルサービス局長 都は来年度、サイバー攻撃の高度化、巧妙化に対応するため、重要インフラや機密性の高い情報を取り扱う庁内各局のシステムなどを対象とした新たな対策を開始いたします。
 具体的には、攻撃者の視点でシステムの脆弱性を検証するテストを実施するとともに、実際のシステムを運用している担当者を対象とするオーダーメード型の訓練を行います。各局と協力してこうした取組を進め、重要システムのさらなる堅牢化や攻撃への対応力を向上させてまいります。
 引き続き、国や関係機関と緊密に連携し、サイバーセキュリティ対策の強化に向け、不断の取組を行ってまいります。

○伊藤委員 都における対策を確認しましたので、区市町村における対策についても伺います。
 サイバーセキュリティ対策の強化は、都に限った課題ではなく、より身近な区市町村でもその備えが不可欠です。
 インターネット回線については、都と区市町村が共同してセキュリティ対策を講じているそうですが、端末や業務システムのネットワークを含め、区市町村のシステム全体への対策の徹底が求められており、より支援の強化が必要ですが、都の見解を伺います。

○久我デジタルサービス局長 区市町村では、セキュリティに関する高度な知見を有する人材の確保に課題があり、システム全体を見据えた対策の強化に向けた支援を求める声が多くございます。
 このため、都は来年度、新たに区市町村のニーズに応じ、セキュリティ対策の現況調査を行い、ネットワークの脆弱性などの課題を抽出いたします。これを基に、専門人材による伴走型支援により対応を進めてまいります。
 これに加え、最新の知見を反映した共通のセキュリティポリシーや実施手順を整備し共有するとともに、職員への研修などを行ってまいります。
 GovTech東京との協働により効果的な支援を行い、オール東京のサイバーセキュリティ対策の強靱化を図ってまいります。

○伊藤委員 サイバー攻撃による脅威は急速に高まっています。都民の安全・安心を守るためにも、市区町村の取組を積極的に支援し、東京全体のセキュリティ対策の強化を図ることを強く要望しておきます。
 続きまして、次に、再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。
 これまで我が会派は、太陽光パネルの設置義務化について、再三再四その必要性等について確認してきました。太陽光発電の設置は、脱炭素化に向けた有効な取組ですが、あくまで再エネ発電の一つです。よって、常に全体目標を見据えた議論と事業展開が必要です。
 都は、二〇三〇年までに再エネ電力の利用割合を五〇%程度とする目標を立てていますが、太陽光の義務化が目標どおり進んでも、義務化で得られる発電量は、目標達成に必要な電力量の一%未満にすぎません。
 それでは、目標達成に向けて、義務化などでのパネル設置以外の残りのエネルギーをどう確保していくのか、その道筋を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 都は、二〇三〇年再エネ目標の達成に向け、建物等への再エネ設備を最大限設置することによりまして、電力量の四%程度の再エネ電力を確保することに加え、系統を通じて供給される電力の再エネ化を進めてまいります。
 そこで、来年度、再エネ発電設備を新設し、都内に供給する小売電気事業者に設備導入等経費の二分の一を補助する事業を開始するなど、再エネ電源開発への支援を強化してまいります。
 また、小売電気事業者に対しまして、都内へ供給する電力の再エネ割合に係る目標設定や進捗状況の報告を求め、公表する制度を強化してまいります。あわせて、再エネ電力の利用を促すため、キャップ・アンド・トレード制度等の条例制度を強化してまいります。
 今後とも、需給両面からあらゆる施策を総動員して再エネ利用の拡大を加速してまいります。
 なお、本事業につきましては、産業部門に比べ削減が遅れている家庭部門の強化に資するものでございます。

○伊藤委員 これまでも質疑をしてきましたが、具体的に二〇三〇年までの全体のロードマップを描いた上で、太陽光パネルだけでなく、効果的な施策を展開することを強く要望しておきます。
 次に、太陽光パネルの製造過程における人権問題について、さきの予算特別委員会における代表質問も踏まえて伺います。
 我が会派が憂慮しているのは、中国の新疆ウイグル自治区において強制労働が行われているのではないかという懸念への対応です。
 これまでの質疑を通じて、サプライチェーン上の人権配慮に向け、都と業界団体が協働して、国のガイドラインを踏まえた業界独自の取組基準の策定に向けた検討を開始しているとの答弁がありました。
 しかし、この取組基準とは具体的にどのようなものを想定しているのかが明らかではなく、実際に機能するものであるのかが重要です。サプライチェーン上の人権配慮について、策定予定である取組基準の内容に加え、制度開始までの取組を明らかにすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 国連の指導原則によりますと、国家には人権を保護する義務が、企業には人権尊重の責任がございます。事業活動における人権配慮に向けては、国際標準にのっとった国のガイドラインを踏まえ、企業の取組を促すことが重要でございます。
 策定予定の取組基準は、パネル製造過程等におけるサプライチェーンを可視化した上で、人権への負の影響を特定、評価し、その防止、軽減を図る取組である人権デューデリジェンスの実施等を促すものでございます。
 都は、今後、本基準に基づきまして、PDCAサイクルによる企業の適正な取組と定期的な情報公開を促すとともに、人権研修の継続実施や企業との意見交換を重ねてまいります。国や業界団体と連携し、本基準を適宜見直しながら、SDGsを尊重した企業の事業活動を促進してまいります。

○伊藤委員 取組基準の策定に当たっては、国際的に求められる人権尊重に取り組めるよう、業界団体と十分に議論すべきと考えます。
 また、取組基準は、つくるだけでなく、実際に機能するものであるかが重要です。都が実効性のある取組を推進することを求めておきます。
 さて、質問では、新疆ウイグル自治区で行われている人権問題について伺いましたが、残念ながら答弁がかみ合いませんでした。
 ウイグルの人権問題は世界的な問題となっており、東京都がこの問題についてどのような立場を取るのか極めて重要です。
 そこで、東京都は、ウイグルにおける人権問題についてどのような見解を持っているのか、人権問題を所管する総務局長、見解をお聞かせください。

○野間総務局長 先ほど環境局長が答弁申し上げたとおり、国家には人権を保護する義務がございます。企業には人権を尊重する責任がございます。人権は、多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重されるべきでございます。
 また、様々な人権に関する不当な差別は許されないという認識でございます。

○伊藤委員 直接ウイグルのご答弁ではありませんでしたが、人権差別は許されないということでした。いずれにしても、総務局も環境局も連携してこの人権問題に取り組むことを求めておきます。
 次に、住宅用太陽光発電設備のリサイクルについても伺います。
 太陽光パネルの義務化により、将来廃棄されるパネルや蓄電池も増えることが予想されます。こうした設備がしっかりとリサイクルできる資源循環の流れを推進することが重要です。
 住宅用の太陽光パネルについては屋根に設置されるため、高所かつ狭い場所での撤去作業や、一件当たりの廃棄量が少なく、収集運搬等が非効率なため、事業用と比べ費用が割高になるといわれています。パネル義務づけを進める都は、こうした課題を踏まえ、リサイクル体制の構築に責任を持って取り組むべきと考えます。
 そこで、二年後の義務化施行に向けて、どのようにリサイクルに取り組むのか、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 太陽光パネルや蓄電池等の設備は、将来の本格廃棄を見据え、環境負荷の少ない効率的なリサイクル体制を整えていくことが重要でございます。
 都は、平成三十年度から検討を開始し、今年度、解体業者等関係者による協議会を立ち上げ、住宅用パネルについて、取り外しマニュアル等を策定するとともに、首都圏のリサイクル施設をホームページで紹介してまいりました。
 また、調査等により、住宅用のパネルのリサイクル費用は、埋立処分と比べ一キロワット当たり二万五千円程度割高になっていることが明らかになりました。
 そのため、その費用につきまして来年度から補助を行い、リサイクルへの流れを確実なものにしてまいります。
 加えて、今後は、蓄電池も含めた廃棄実態の把握に努め、将来の住宅用太陽光パネルや蓄電池等の効率的なリサイクル体制の検討を進めてまいります。

○伊藤委員 パネルの設置義務づけをした都が、しっかり近い将来を見据えたリサイクル体制を準備していくことを望んでおきます。
 引き続き、太陽光パネルの設置義務化については、都民の理解の促進、事業の費用対効果、人権問題、リサイクルと、我が会派が指摘した問題に引き続き注視してまいります。
 次に、ZEVの普及促進について伺います。
 ZEV、すなわちゼロエミッションビークルとは、走行時に二酸化炭素などの排出ガスを出さない電気自動車や燃料電池自動車などの車です。
 世界的に、自動車の脱炭素化、脱ガソリン車の動きが急速に進み、各国の自動車メーカーは、ZEVの開発に大きくかじを切り始めています。
 都も、二〇三〇年に新車販売される乗用車の半数をZEVとする目標を掲げ、購入に対する支援を行い、普及を進めています。そして、徐々にZEVの車種も増えていますが、ガソリン車と比較して車の種類は限られており、必要に応じた車種を選択できないのも実情です。
 よって、目標実現のためには、ユーザーの負担軽減に加え、ZEVを開発、販売する自動車メーカーとの連携を強化した取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の脱炭素化を進める上で、ZEVの種類を増やし、そうした供給に向けた機運を高めることは必要でございます。
 これまで都は、様々な企業がZEVを購入する場合の経費を抑えるための支援を行ってまいりました。
 来年度、都は、ZEVの導入を図る会社が、業務の内容に応じた車両を購入し、その台数を増やすための支援を開始いたします。
 具体的には、ZEVについて、車種の多さなどにより販売実績の高い自動車メーカーから購入する場合、その経費への助成額に最大で十万円の上乗せを行います。
 これによりまして、メーカーがZEVの車種と販売を増やす意欲を高めるよう後押しをいたします。

○伊藤委員 これまで日本の自動車メーカーは、技術力を生かし、ガソリン車やハイブリッド車の分野で世界をリードしてきましたが、ZEVでもリードできるよう、各メーカーの取組を都が後押しすることを要望しておきます。
 続きまして、バイオ燃料について伺います。
 カーボンニュートラル社会の実現に向け、エネルギーの利用における環境負荷の低減が必要であり、ビルや工場に加え、運輸における対策も重要です。
 バイオ燃料は、燃焼時にCO2を排出するものの、原料となる植物等が成長の過程の光合成によりCO2を吸収することから、カーボンニュートラルを実現できるエネルギーとして注目されています。
 しかし、その普及拡大に向けては、コストの低減が大きな課題です。
 事業化に向けて必要となるコストの低減を図るためには、需要の拡大と生産体制を含めた供給能力の向上を両面で進めることが不可欠です。
 このような課題を解決し、バイオ燃料の事業化を促進していくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、バイオ燃料の普及に向け、その生産量を増やす取組のほか、バスや船舶、航空機などモビリティー分野での活用を進める事業者への助成を開始いたします。
 具体的には、バイオ燃料をバスなどのエンジンを動かすため軽油と混合する場合や、国の規定にのっとりジェット燃料に混ぜて作るつくるSAFなどにつきまして、その生産能力の向上や活用に必要となる経費の三分の二に助成を行います。
 また、トラックなどでバイオ燃料のみを使い輸送を行う場合、その利用の負担を抑えるため、補助率を五分の四に引き上げます。
 これらによりまして、バイオ燃料の普及を後押しいたします。

○伊藤委員 事業化促進への取組を確認しました。ミドリムシ由来など様々な次世代バイオ燃料の技術革新が進んでいますので、カーボンニュートラルに向けて取組を進めることを求めておきます。
 次に、花粉症ゼロ対策について伺います。
 都内における今年の花粉の飛散量は昨年の二・七倍、過去十年で最大とのことです。今や都民の二人に一人が花粉症を患い、悩まされています。
 都は、副知事を本部長に花粉症対策本部を平成十七年に設置し、発生源対策や保健医療対策など、局を横断して取組を進めてきました。
 そこで、まず、杉花粉発生源対策について伺います。
 花粉の主な発生源は、戦後に多く植えられた杉やヒノキの人工林です。特に成長した杉などは花粉を多く飛散させるそうで、木材利用可能な時期を迎えた杉などを計画的に伐採することが、花粉対策にも重要です。
 それでは、都が取り組んできた発生源対策の内容と実績、また、こうした取組により、杉花粉の飛散量はどれだけ減少したのか、併せて伺います。

○坂本産業労働局長 都は、杉花粉発生源対策として、全国に先駆け、杉やヒノキを伐採し、花粉の少ない杉等に植え替える取組を計画的に進めております。
 これまで多摩地域の約三万ヘクタールを対象に、約七百五十ヘクタール、約百十万本の杉とヒノキを伐採してまいりました。これによりまして、普通の杉に比べ、花粉をつくり出す量が百分の一以下となる杉等への植え替えを行い、それに応じ飛散の量を減らしております。
 また、都民や企業と協力し、花粉の少ない森づくり運動を展開しております。この取組におきましては、会社と協定を結び、三十七か所の企業の森におきまして、社員による植林等を行ってきました。これらの企業や都民等から累計で七億円を超える募金を集め、伐採などの経費として活用を図っているところでございます。

○伊藤委員 三万ヘクタールのうち約七百五十ヘクタール、百十万本を伐採したと。それで花粉量百分の一の杉を植えているということでしたが、これでは、対象の三万の七百五十ヘクタールは二・五%ということですから、道半ばというより、かなり遠い道のりと感じます。
 私も、伐採、搬出現場を実際に見学したことがありますが、多摩地域の森林は急峻であるため、おわんをひっくり返した山のような形状では、伐採、搬出が難しく、また、林業事業者の数も大幅に減少していると聞いています。杉林等の森林整備を加速するための課題と今後の取組についても伺います。

○坂本産業労働局長 花粉症は、都内に加え近隣県の杉も原因となり、都県域を越える対応が必要となります。
 こうした中、都は率先し、発生源対策となる森林整備を促進するため、木材を伐採し搬出する人材の育成や、作業効率化を支援しております。
 来年度は、林業の事業者が、木材の伐採に関し高い技術を持つ会社に従業員を研修派遣する経費への助成を開始いたします。また、急傾斜地で木材を搬出する技術に係る資格取得のための講習会を開催いたします。さらに、作業の円滑化に向け、ワイヤーによる木材の運搬をリモコンで操作する高性能の機械をオーストリアから導入し、四月より現場で活用いたします。
 また、今後、伐採した木を最先端の技術で丸太に切りそろえる機械等も導入し、事業者に貸与するなど、作業の一層の効率化を進めてまいります。

○伊藤委員 今年の予算案では、多摩産材の活用に向けて、伐採、搬出技能向上対策など、一ページにわたって新規事業が幾つもありましたので、発生源対策にしっかり取り組むことを求めます。
 続いて、花粉症の予防、治療に関する取組についても担当局長に伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、都民が花粉症対策を適切に行えるよう、花粉の飛散状況の観測と解析を行い、飛散開始時期や飛散数等の情報を公表するとともに、花粉症の基礎知識やセルフケアの方法、根治も期待できる舌下免疫療法等の情報を東京都アレルギー情報navi.やリーフレット等で提供しております。
 さらに、症状に応じまして適切な医療を提供できるよう、日常的な医療を担う診療所等の医師に研修を実施いたしまして、知識の普及や技能の向上を図るほか、専門的な医療を提供する拠点病院等と診療所等との連携体制の整備に取り組んでおります。
 引き続き、花粉症の発症予防や症状の軽減に向け、取り組んでまいります。

○伊藤委員 花粉症ゼロにつきまして、発生源対策と予防、治療の取組を確認しましたので、ここで知事に伺います。
 知事は、平成二十九年の衆議院選のときに、希望の党の公約として花粉症ゼロを掲げていましたが、残念ながら、今も多くの都民が花粉症に悩まされています。知事としての公約ではなかったかもしれませんが、花粉症ゼロは、政治家としての小池知事のお考えであったと思います。
 花粉症で苦しむこの季節には、小池知事は花粉症をゼロにするといってくれていたけど、どうなったのと、都民にいまだに聞かれます。よって、花粉症ゼロ対策への取組を一層加速させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京の花粉症は、都内だけではなく近隣県の杉も原因となっておりまして、その効果的な対応を進めるため、都県境を越える取組こそ重要でございます。
 都におきましては、全国に先駆けて多摩地域の杉の伐採を進める一方、関東地方をはじめとする各地の知事と話し合いまして、国に効果的な対策を加速するように働きかけております。
 ちなみに、近年、二〇一九年参議院の議員選挙などにおきまして、御党、自由民主党は、総合政策集の中で、花粉症ゼロ社会を目指しますとの目標を掲げておられます。その実現に向けまして、本格的に取り組む必要があるということでございまして、御党でもぜひともご努力いただきたいと思います。
 都におきましては、花粉の発生を抑えるため、杉等の伐採や搬出を担う高度な人材を増やすほか、オーストリアから作業を効率化するための最新の機械、これを導入するなど、取組の一層の強化を進めてまいります。ちなみに、オーストリアの山も大変急峻ということであります。
 また、都民が花粉症の症状を軽減できますよう、花粉の飛散状況や治療に関する情報を提供するほか、症状に応じて適切な医療を受けられる体制づくりに取り組んでおります。
 これらによりまして、花粉の少ない森づくり、そして花粉症の予防や治療のための取組を着実に行ってまいります。

○伊藤委員 花粉症ゼロ対策は多くの都民が期待をしています。対策本部まで設置しているのですから、知事が先頭に立って取り組むことを求めておきます。
 次に、エネルギー、物価高騰対策について伺います。
 ウクライナ情勢の先行きは不透明であり、深刻な資源価格の上昇や、円安に伴う急激な物価高騰により、あらゆる業種の経営は厳しさを増しています。
 国においては、自民党が、支援の対象外であった特別高圧電力やLPガス料金への負担軽減をはじめ、エネルギーや食料品価格高騰への追加対策に向けて岸田首相に提言を行い、対策の検討が進んでいます。
 今後、都においても、エネルギー価格や物価の高騰に苦しむ中小企業に寄り添い、国の取組を効果的に活用しながら、安定した事業活動が継続できるよう力強く後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 これまで都は、エネルギーや原材料の価格高騰の影響を受ける中小企業に対しまして、コスト削減につながる設備投資の経費に助成を行ってまいりました。また、節電を効果的にマネジメントし、電気料金の減少にも役立つサポートも行っております。さらに、原材料等のコスト負担に必要な運転資金などのニーズに対応するため、制度融資による支援も実施しております。
 来年度は、これらに加えまして、中小企業が再生可能エネルギーを自らつくり利用することで、電気料金の負担軽減にもつながる取組を後押しいたします。
 今後、中小企業に係るエネルギーや原材料の価格高騰等につきまして、これからの国の動向や対策も踏まえ、適切に対応いたします。

○伊藤委員 これからの国の動向や対策も踏まえ、適切に対応すると確認をいたしました。これまでも補正予算など、都では支援策を機動的に行ってきましたので、都民や事業者の実態を注視し、国と連携の上、対応をお願いいたします。
 次に、中小の建設業への支援について伺います。
 都内の建設業は、材料費などの高騰に苦しみ、特に、下請の中小零細企業は価格転嫁が難しい状況で、先行きを不安視する声が多く寄せられています。また、建設業は、労働基準法の時間外労働の上限規制が令和六年四月より適用される、いわゆる二〇二四年問題に直面しています。労働時間を削減するためには、新たな人材確保の必要がありますが、厳しい労働環境というイメージもあるなど、担い手の不足が深刻化しており、業務効率を高めることが喫緊の課題であります。
 都は、中小の建設業が将来への希望が持てるよう、働き方の改善や現場を支える人材育成の支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小の建設業が時間外労働の上限規制の導入に対応できるよう、現場での働き方の改革を進め、人員を確保し、業務を効率化する取組を後押しすることは重要でございます。
 このため、都は来年度、中小企業に専門家を派遣し、会社の働き方の見直しについて助言を行うほか、法令のルールなどの知識に関し、きめ細かく情報提供を行います。
 また、セミナーによりまして、工期に合わせ、より多くの人員を円滑に確保するノウハウや事例の紹介を行います。
 さらに、中小企業が社員にDXを学ぶ機会を提供するための経費につきまして、支援の規模をこれまでの倍の六百件といたしまして、作業現場での業務の効率化等につなげます。
 これらによりまして、中小の建設業の支援を進めてまいります。

○伊藤委員 中小零細の建設業者は、地元のインフラ整備に大いに貢献するとともに、大雪の際の道路の除雪や風水害の倒木除去、道路の緊急補修など、とても助かる存在です。先ほど答弁いただいたように、都における積極的な後押しをお願いしておきます。
 次に、中小企業支援のビジネスチャンス・ナビについて伺います。
 コロナ禍は、ビジネスにおいても急速なデジタル化を促し、オンライン会議や展示会、電子契約など、新たな仕組みが生まれました。つまり、これまで以上にオンラインでの仕組みや情報をいかに活用していくかが、企業の成長の鍵となります。
 そして、現在の状況に先駆けて、オンライン上で発注情報などを提供してきたのがビジネスチャンス・ナビです。
 我が会派はこれまでも、一層の取組拡大を求めてきましたが、具体的な商談につながることこそ重要です。そこで、今年度の取組状況を確認するとともに、来年度の支援についても伺います。

○坂本産業労働局長 東京二〇二〇大会の開催に向けつくり上げたビジネスチャンス・ナビによりまして、都は現在、中小企業の取引拡大の後押しを着実に進めているところでございます。
 今年度は、ナビを利用できる事業者を増やすため、幅広い取引先を持つ民間事業者に委託をし、その働きかけにより、新たに約四千百の会社を確保し、四万三千を超える登録を実現しました。これらによりまして、中小企業向けの発注は、千三百件程度増え約三千五百件となっております。
 来年度は、中小企業に出向き、営業担当者向けに、ナビの利用面の使いやすさを調べるユーザーテストに関しまして、その内容をシステム改修に生かす取組を倍増します。また、産業交流展等の出展者をナビの事業者に紹介し、商談を行うサポートも行うこととしております。

○伊藤委員 利用拡大が続いていると思いますが、引き続き、都内の中小企業の支援にビジネスチャンス・ナビを活用して、その運用も利用事業者の声もフィードバックして改善することを求めておきます。
 次に、多摩地域へのMICE誘致について伺います。
 東京で開催された国際会議の実績は、区部と比べて多摩地域は多くありません。交通アクセスの利便性を考えれば、開催地に区部を選ぶこともやむを得ませんが、我が会派はこれまで、こうした課題を克服できる方策の必要性について主張してきました。
 多摩地域には、豊かな自然など様々な魅力があり、世界にPRしてMICEの誘致にしっかりつなげる必要があります。
 また、昨年開設した多摩地域の大規模なMICE施設も有効に活用し、地域と一体となって多摩の魅力発信に取り組み、着実にMICEの開催件数を増やすことが重要です。
 そこで、都は、多摩地域へのMICE誘致を一層推進すべきと考えますが、今年度の取組内容と今後の支援策を伺います。

○坂本産業労働局長 これまで都は、多摩地域などで開かれる国際会議の数を増やすため、その誘致や開催時に必要となる経費に対し支援を行ってまいりました。また、会議の出席者などに観光ツアーや地域の文化を体験するプログラムを提供しているところでございます。
 来年度は、多摩でMICEを開催する場合、参加者が空港から会場のあるエリアまで貸切バスなどで移動する経費に対し、最大六百万円までの助成を開始いたします。
 また、国際的な企業の会議やその報奨旅行の誘致などに向けた支援を拡充することによりまして、多摩エリアでのMICEの開催の働きかけを強化いたします。
 今後とも、地元の関係者と連携しながら、多摩地域へのMICE誘致を進めてまいります。

○伊藤委員 コロナ禍が落ち着き、国内の移動や海外からの訪日も以前に戻りつつあります。多摩地域の地元自治体や商工会議所、観光コンベンション協会などともしっかり連携して、多摩地域のMICE促進を求めておきます。
 次に、鳥インフルエンザ対策について伺います。
 今シーズンは、高病原性鳥インフルエンザが、例年をはるかに上回るペースで全国的に広がっています。
 養鶏農家で一たび発生すると、周辺農場への感染拡大を防ぐため、飼育している全ての鶏の殺処分はもとより、近隣の農場にも移動制限が課せられるなど、養鶏農家の経営に大きな影響を与えます。
 全国に比べれば小規模であるものの、百羽から二万羽程度の飼育規模で、都内には五十一戸の養鶏農家があり、栄養豊かで新鮮な卵などを都民の食卓に届けてくれています。
 都は、養鶏農家の経営を守るため、鳥インフルエンザの発生防止に向け、きめ細かな対応を行うべきと考えますが、取組を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、鳥インフルエンザの流行に先駆け、秋口から養鶏農家に対し、消毒の徹底のほか、ウイルスを持つ野鳥の侵入を防ぐネットの設置などを行うよう指導をしております。
 今年度は、鳥インフルエンザの全国的な感染拡大を受け、養鶏農家での発生防止に向けた対策を強化しているところでございます。
 具体的には、養鶏農家に消毒薬等を無償で提供するとともに、改めて消毒の徹底を図るよう指導いたしました。また、近隣県の養鶏場で発生した際、その周辺にある都内農家に対し、鶏に異常がないことを確認するとともに、東京の全ての養鶏場に、文書やメールで感染防止に向けた注意喚起を行っております。
 こうした取組によりまして、鳥インフルエンザの発生予防を徹底してまいります。

○伊藤委員 先日、多摩動物園内で鳥インフルエンザが発生した際にも、近隣の養鶏農家へ迅速に注意喚起をしていただきました。引き続き警戒を怠ることなく対応をお願いしたいと思います。
 次に、都民への対応についても伺います。
 鳥インフルエンザは、鳥から人への感染は極めて低いそうですが、今般の世界的な拡大の中で、海外では、人への感染や死亡例も、まれではありますがあるようです。
 今のところ、日本国内では発症、死亡例はないようで、過剰に心配する必要はないと考えますが、万が一の発生に備えることは必要です。
 都内で鳥インフルエンザの疑いのある患者が発生した場合、都は感染拡大を防ぐためにどのような対応を取るのか伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 鳥インフルエンザは、鳥から人に感染することはまれであり、国内での患者発生はこれまで確認されておりませんが、都は、患者の発生を迅速に把握し、感染拡大を防ぐ体制を整えております。
 具体的には、感染した鳥と直接接触するなど、感染が疑われる患者が発生した旨の報告を医療機関から受けることとなっており、その報告を受けた場合、保健所は直ちに疫学調査を行いまして、患者に待機を要請いたします。
 健康安全研究センターでは、感染の有無の検査を行いまして、検体搬入後、六時間以内に判定をいたします。
 鳥インフルエンザの感染が確定した場合には、患者を感染症指定医療機関へ速やかに移送するとともに、接触者には厳重な健康観察を行うなど、感染拡大の防止に向けた封じ込め対策を講じてまいります。

○伊藤委員 新型コロナというウイルスにより、国内外とも三年以上にわたり甚大な影響を受けました。新しいウイルスへの備えは万全にしていただくよう求めておきます。
 次に、言語障害のある中学生への支援について伺います。
 昨年の予特や委員会質疑において、我が会派の議員より、中学校で言語障害のある生徒に対する通級を設置できないことや、併せて区市町村のニーズを把握した支援を検討すべきとただしたところ、教育長からは、小学校で通級を利用した生徒の配慮内容の引継ぎは、区市町村教育委員会に改めて周知し、中学校での吃音への理解と支援の一層の充実を促す、また、今後の中学校での適切な支援の在り方について区市町村教委のニーズを把握していくとの答弁がありました。
 そこで、都教育委員会が把握したニーズなどの状況や、その状況を踏まえて、今後どのように対応していくのか伺います。

○浜教育長 都教育委員会が令和四年五月に行った調査で、言語障害のある中学生に対し、何らかの支援や指導上の工夫等を実施していると回答した区市町村が四十地区ございました。
 また、通級による指導も選択肢の一つとする意見のほか、教員の指導力向上、小学校での指導情報の共有、専門的なサポートが必要などの意見がございました。
 都教育委員会は、今後、通級による指導が必要な中学生が適切に指導を受けられるよう、区市町村との調整を進めてまいります。また、通級の有無にかかわらず適切な支援が行われるよう、特別支援担当や初任者等の研修を充実するとともに、小学校までの指導法引継ぎの重要性や、専門性のある特別支援学校のセンター的機能の活用を周知いたします。
 こうした取組により、言語障害のある中学生の支援の一層の充実を推進してまいります。

○伊藤委員 言語障害のある中学生の支援の一層の充実を推進するとのことですので、ぜひ生徒の実情に合った支援を求めておきたいと思います。
 最後に、減税について申し上げます。
 今定例会においては、代表質問から予算特別委員会までの質疑を通じて、我が会派が主張する減税による都民等への支援について、何度となく都の姿勢を伺ってきました。しかし、その答弁は、残念なことに何回も聞いてきた課題を繰り返すばかりでした。
 個人都民税を減税しても非課税世帯には効果が及ばないことが課題との答弁がありましたが、低所得者への支援は、減税とは別に着実に行うべきであり、減税ができない理由にはなりません。
 つまり、この間の質疑ではっきりしたことは、個人都民税の減税は不可能ではないということです。あとは知事の決断により、減税を行うことはできるのです。
 これまで申し上げましたが、国の調査によると、東京の中間層世帯の経済的豊かさは全国最下位です。そこに、コロナ禍に加え、物価高騰などの影響を受ける多くの都民が、全国で最も厳しい状況に置かれているともいえます。
 都民から集めた税金は、都民のために使うべきものです。都の行政活動は、都民や事業者が納めた税金で成り立つことを改めて肝に銘じていただき、現状に苦しむ都民、事業者を守るため、ばらまきではなく、減税をはじめ思い切った取組が重要です。
 我が会派は、命を守る、東京を動かす、このスローガンの下、都民の暮らしを守り、東京の経済の活性化につながる減税を今こそ実施すべきと改めて提言申し上げまして、私の質問を終わります。

○小宮委員長 伊藤しょうこう理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十八分休憩

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