予算特別委員会速記録第四号

   午後五時五十分開議

○高倉副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 かつまたさとし委員の発言を許します。

○かつまた委員 初めに、都の水害対策について質問をいたします。
 都は、昨年十二月、TOKYO強靱化プロジェクトを発表いたしました。プロジェクトは五つの柱から成り、一つ目の柱が、激甚化する風水害から都民を守るとなっております。
 この激甚化する風水害で忘れられないのが、二〇一九年に首都圏、そして東京を襲った台風十九号であります。この台風十九号は、伊豆半島に上陸し、西日本から東日本にかけて、広範囲に大雨や強風をもたらせました。多摩川沿いの狛江市では、床上、床下浸水が二百五十棟以上発生、世田谷区二子玉川駅周辺においては、多摩川の無堤防地域から氾濫し、周辺地域に多大な被害をもたらせました。さらに大田区では、多摩川の田園調布(上)水位観測所において、計画高の水位を大きく上回り、上沼部排水樋門では、樋門を閉鎖したことにより、浸水被害が発生をいたしました。
 当時、私は区議会議員であり、災害後、公明党国会議員と現地を視察するとともに、地元大田区長と国土交通省を訪れ、当時の赤羽国土交通大臣に多摩川の水害対策について要望をいたしました。それにより、国においては、多摩川の改修費用の予算がつき、令和元年から令和六年にかけて、大田区地域の約六キロにわたり、多摩川の川底を二メートル掘削する作業が現在も行われております。
 一方、都においては、令和四年第一回定例会で、浸水被害のあった上沼部排水樋門の改善を求めました。その際には、都も努力する旨の答弁をいただいております。
 そこで、上沼部排水樋門の具体的な改善について答弁を求めます。

○奥山下水道局長 上沼部排水樋門における改善対策としましては、豪雨時における樋門操作時の安全を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の転落防止柵のかさ上げなどを実施いたしました。
 また、樋門の操作や維持管理を委託している大田区や世田谷区と定期的に樋門の操作や情報連絡訓練を実施しております。
 さらに、多摩川の水位が計画高水位まで上昇しても、雨水を排水できるよう、既設のポンプゲートの能力を増強するとともに、区役所からも遠方操作が行える機器を整備するため、来年度から工事に着手いたします。

○かつまた委員 既設のポンプゲートを増強するということで、大変、地域では安全・安心が大幅に進んだと思います。下水道局の迅速な対応に感謝し、その取組を高く評価をいたします。
 その上で、この上沼部排水樋門に隣接する沼部排水樋管について質問をいたします。
 この沼部排水樋管は、丘陵地となっている国分寺崖線の南の端である沼部地域や鵜の木地域の高台に降った雨水を、丘陵地の高低差を利用し、沼部幹線や鵜の木幹線を通し、雨水を低地に運び、沼部排水樋管を通り、多摩川に排水する仕組みとなっております。
 しかし、二〇一九年の台風十九号の際には、多摩川上流域の八王子市において、累計降雨量六百十八ミリの降雨があり、大田区では、多摩川の水位が計画高を超えたため、沼部排水樋管を閉鎖、それにより行き場を失った雨水が、下水道管の圧力を高め、近隣のマンホール蓋を壊し、この地域に内水氾濫の被害をもたらせました。
 そのため、東京都は、今後の対策として、二〇一九年十二月八日に地域説明会を行い、この地域にあるマンホール蓋を圧力が解放できるものに付け替え、マンホールの蓋が飛ばない仕組みといたしました。
 さらに、大田区は、今後、台風十九号と同様な台風がこの地域を襲った場合に備え、道路から下水道管に流れる雨を少しでも多く取り込めるように、雨水ますについても、既存のコンクリート蓋からグレーチング蓋に取り替え、矢口ポンプ所により多くの雨を流せる仕組みをつくりました。しかしながら、この台風十九号と同じような雨が降った場合には、再びこの地域に大きな浸水被害が発生することが懸念をされます。
 こうした中、都は昨年十二月にTOKYO強靱化プロジェクトを発表しましたが、下水道局では、時間降雨七十五ミリに対応する施設を整備していくと聞いております。
 この機会に、当該地域においても、新たな排水ポンプを設置する、もしくは土地の高低差を利用し集めた雨水の一部を分岐させ、矢口ポンプ所につながる新たな下水道管を設置し、時間降雨七十五ミリに対応するべきであると考えますが、都の見解を求めます。

○奥山下水道局長 下水道局では、昨年三月に下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、区部の目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップし、区部全域を対象に、一定の条件の下で流出解析シミュレーションを実施いたしました。
 その結果、ご質問の沼部排水樋門の流域につきましては、床上相当の浸水がまとまって発生していないことから、一時間七十五ミリ降雨に対しても、一定の雨水排除能力を備えていることが確認されております。
 今後も、樋門の操作管理などを適切に行うとともに、地元区とも連携を図り、浸水被害の軽減に努めてまいります。

○かつまた委員 浸水対策の強化は、都民の安全・安心を守る上で大変重要な取組となります。これまでの災害経験を生かす取組、そして、今後も計画的に浸水対策を進めていただきたいことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、新空港線、蒲蒲線を含めた蒲田駅周辺のまちづくりについて質問いたします。
 この新空港線、蒲蒲線は、単にJR蒲田駅と京急蒲田駅間の約八百メートルをつなぐ路線ではなく、国際競争力に資する、答申百九十八号の六路線に位置づけられ、特に新宿や池袋など、東京の西側から羽田空港に乗り入れることができる東京都としても大変重要な路線であります。
 私は、この新空港線、蒲蒲線について、二〇二二年の第一回定例会一般質問で取り上げ、事業化に向けて不可欠な都区間の早期費用負担割合の決定を求めました。その結果、昨年六月、大田区と東京都の費用負担の合意がなされたことを高く評価をいたします。
 現在、工事着手に向け準備が進められており、昨年十月十四日鉄道の日に、区と東急電鉄の出資の下、第三セクターである羽田エアポートライン株式会社が設立し、事業が動き出しました。
 あわせて、この新空港線の整備を契機として、区は蒲田駅周辺を中心としたまちづくりを展開していくこととしています。
 昨年十二月には新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会において、区は、鉄道と魅力的なまちづくり宣言を行い、区の強みである鉄道網を充実させ、羽田空港を擁する自治体としてのポテンシャルを最大限に生かしつつ、魅力的なまちづくりを持続的に進めていく決意を示しました。
 その一つの形として、現在、大田区鉄道沿線まちづくり構想の策定に向けた取組が精力的に進められており、地元は、新空港線の整備に向けて、ますます盛り上がりを示しております。蒲田駅前のロータリーの改修も目に見える形で始まり、駅前商店街の皆様から、期待の声が高まっております。
 そこで、本路線の事業化に向けた区などの熱心な取組に対して、都としてもしっかりと対応していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○福田都市整備局長 新空港線は、国の答申において、東急東横線などとの相互直通運転を通じ、国際競争力強化の拠点である新宿や東京都北西部等と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。
 昨年十月、本路線の整備主体となる第三セクターが大田区と鉄道事業者により設立され、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、事業化に向けた取組が進められております。
 都といたしましては、技術的観点から適宜助言を行うなど、引き続き、事業化に向けた関係者による協議、調整を支援してまいります。

○かつまた委員 よろしくお願いします。
 次に、民間医療機関の特別療養環境室に係る費用、いわゆる差額ベッド代について質問いたします。
 私は、二〇二二年の第一回定例会一般質問で、二〇二〇年三月五日付の厚生労働省通知をお示ししながら、病院側は、常に差額ベッド代が発生しない病室と差額ベッド代が発生する病室の双方を用意し患者へ提示し、その選択は、患者自身、もしくはその家族に委ねなければなりませんが、現実にはその徹底が不十分であり、トラブルになるケースが多々ありますと取り上げました。
 福祉保健局長からは、病院の特別療養環境室について、国の通知では、同意書による同意がない場合、患者本人の治療上の必要により入室させる場合、病棟管理の必要性等から特別室に入室させた場合等は、料金を求めてはならないとされております。都は、こうした情報を患者の声相談窓口のホームページに掲載し、都民へ周知するとともに、都内病院に対しても情報提供しています。また、相談窓口で対応した相談、苦情等のうち、不適切な事例が認められた場合には、厚生労働省へ情報提供し改善につなげるなど、引き続き適切な医療提供体制の確保に努めてまいりますと答弁をいただきました。
 まず、都の患者の声相談窓口に寄せられる過去五年間の医療費に関する相談件数と、そのうち、差額ベッド代に関する相談件数を明らかにしていただきたいと思います。

○西山福祉保健局長 患者の声相談窓口に寄せられた直近五年間の医療費に関する相談件数は、年平均で約七百件でございます。
 このうち、特別療養環境室の料金、いわゆる差額ベッド代に関する相談件数は、平成二十九年度が百三十二件、平成三十年度が百五十五件、令和元年度が百九十一件、令和二年度が二百四十六件、令和三年度が二百三十九件でございます。

○かつまた委員 今の答弁から、医療に関する相談のうち、差額ベッド代についての割合がだんだん高くなっているということが分かりました。
 私は、この差額ベッド代について、公明党国会議員と連携し、二〇二二年四月二十五日の参議院決算委員会で、公明党塩田参議院議員に取り上げていただきました。
 塩田議員からは、患者本人の治療上必要な場合など、実質的に患者の選択によらない場合などは差額ベッド代を患者に請求してはならない、しかし、現実的には差額ベッド代が請求されてしまうケースが多く起きている、厚生労働省としても、患者本人の了承なしに差額ベッド代が発生しないよう、体制強化に取り組んでいただきたいと厚生労働大臣に質問をいたしました。
 大臣からは、二年に一度の診療報酬改定の際に発出する通知で繰り返しお示ししており、さらに、不適切な事例については、地方厚生局において事実関係の確認を行うとともに、必要に応じて医療機関に対する指導を行っている旨の答弁をいただきました。
 国においても、このような取組を行っていただいておりますが、残念なことに、差額ベッド代について、先日ご相談をいただきました。ご自分が選択していないにもかかわらず、差額ベッド代が発生しない部屋が空くまで、特別室に入室を勧められたとのことでした。私は、この相談者に、都議会定例会でのやり取りや厚生労働大臣の答弁内容をお伝えしました。その後、この相談者は、このやり取りを病院担当者に伝えたところ、担当者からは、差額ベッド代を徴収しないとの連絡をいただいたそうです。このように、現実的にはまだまだ患者の希望によらない差額ベッド代が請求されている事例があります。
 昨年、第一回定例会で、厚生労働省の通知に基づく医療機関の差額ベッド代に関する都の対応について質問をいたしましたが、その後の都の取組について答弁を求めます。

○西山福祉保健局長 都は、特別療養環境室の料金を患者に求めてはならない場合として、患者の同意がない場合や治療上の必要がある場合などの具体例をホームページに掲載しているほか、相談者からの相談内容等を記載した文書により、医療機関等に改めて周知をしてございます。
 また、特別療養環境室の料金に関する相談が患者の声相談窓口に寄せられた場合は、問題解決に向け、相談者に必要な助言を行うとともに、当該医療機関等へ適宜情報提供をするなど、患者、都民と医療機関等との信頼関係が構築されるよう、支援をしてございます。

○かつまた委員 医療制度について質問、相談を受けるケースが多々あるわけなんですけれども、時には、都の患者の声相談窓口を紹介するケースがありますが、ほとんどの方が、この患者の声相談窓口の存在をご存じないです。
 本年二月、東京都政策企画局発行の保健医療に関する世論調査を拝見いたしました。その中の医療情報サービスの認知度に関する事項で、知り得る都の事業で認知度が一番高い事業が、東京消防庁救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の認知度で、三八・八%あるのに対し、医療安全支援センター、患者の声相談窓口への認知度が一・七%となっており、認知度の低さがうかがえます。
 患者の声相談窓口は、大変重要な事業であります。長年取り組んでいる事業であると思いますけれども、一・七%とは、あまりにも認知度が低過ぎます。認知度が高い救急相談センター、シャープ七一一九は、平成十九年六月一日に開設し、十六年前からその取組を行っておりますが、患者の声相談窓口は、何年前から取り組んでいる事業なのでしょうか。

○西山福祉保健局長 患者の声相談窓口は、二十二年前である平成十三年五月に設置をしてございます。

○かつまた委員 今の答弁にもあるように、十六年前から始めている救急相談センターが三八・八%あるのに、二十二年前から始めている患者の声相談窓口は一・七%ということであります。
 相談等の施策は、開設して終わりではなく、その上で、都民の皆さんが利用されるのが大変重要であるというふうに考えます。そのためには、都民の認知度を上げる必要があります。
 患者の声相談窓口の認知度を上げるための都の取組について見解を求めます。

○西山福祉保健局長 都はこれまで、患者の声相談窓口の役割や相談の流れなどを記載したパンフレットを作成し、都内全ての病院や保健所等へ重ねて配布をするとともに、ホームページにも同様の内容を掲載し、よくある相談事例も紹介するなど、都民に周知をしてまいりました。

○かつまた委員 努力はしてきたということなんですけれども、認知度の高い東京消防庁救急相談センター、シャープ七一一九事業は、これまでポスターやリーフレット等の紙媒体による広報活動に加え、TVerやユーチューブ、マグネットシールなどで、都民の認知度を上げる取組を行っていると伺いました。また、シャープ七一一九というインパクトのある電話番号を案内しています。
 こうした救急相談センターの取組に限らず、他の機関においても、認知度を上げるため、普及啓発の取組を一層進めてもらうことを要望いたしますが、都の見解を求めます。

○西山福祉保健局長 患者の声相談窓口の認知度向上に向け、都は、今後、区市町村にもホームページでの情報発信を強く働きかけるとともに、毎年九月の世界患者安全の日などに合わせて、より多くの方に窓口を知っていただけるよう、効果的な普及啓発を行ってまいります。
 さらに、多くの方が使用しているSNSなど様々な媒体を活用し、工夫を凝らしながら、積極的な広報に取り組むことで、患者の声相談窓口の一層の周知を図ってまいります。

○かつまた委員 ぜひ早急な取組をよろしくお願いします。
 次に、難病支援について質問をいたします。
 昨年十二月に成立した改正難病医療法により、三百三十八ある指定難病の患者が受けられる医療費助成の開始日が、申請日から、重症と診断された日に前倒しされ、本年十月から実施されることとなりました。
 ただし、申請日から遡れる期間は一か月を原則とし、入院や緊急の治療が必要だった場合などは最長三か月といたしました。これにより、難病患者さんは、助成を受けられる対象期間が広がる可能性があり、患者にとって朗報であります。
 医療機関で、申請書類について、厚生労働省によると、申請に必要な診断書を患者が準備するまで二週間以上かかるケースも少なくなかったとしており、私が以前勤めていた大学病院でも、同様に書類の作成には時間を要したことを記憶しております。
 また、来年四月から、一年ごとの更新が必要な受給者証とは別に、症状の程度に関係なく、全ての指定難病患者を対象にした終身有効な登録者証が発行されます。
 この登録者証は、医療費助成を受けている都内十万人の指定難病患者だけでなく、医療費助成の対象とならない軽症の指定難病患者も持つことができます。この登録者証が発行されることで、難病患者さんにはどのようなメリットがあるのでしょうか、お伺いをいたします。

○西山福祉保健局長 今回の法改正により、全ての指定難病患者に新たに登録証が発行されるため、医師の診断書がなくても、区市町村の障害福祉サービスやハローワーク等の就労支援サービスが円滑に受けられるようになります。
 また、登録者証を発行する際に、医療費助成を申請していない軽症の難病患者等の情報も指定難病データベースに登録されることになります。
 これにより、症状が抑えられている時期のデータや軽症から重症化に至るデータが蓄積され、難病研究の促進や治療方法の開発に資することが期待されております。

○かつまた委員 国の難病医療法の改正でありますが、都としても、漏れなく難病患者さんに法改正を伝えることが重要です。
 今後の広報についてどのように取り組む予定なのか、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 今回の改正内容を難病患者へ効果的に伝えるには、主治医を通じて患者に周知するなど、日頃から患者の診療を行う医療機関の協力を得ることが重要でございます。
 このため、都は来年度、改正内容についてのリーフレットを作成し、都内約六千二百か所の難病指定医療機関へ配布をするとともに、東京都医師会等の関係機関を通じて周知をいたします。
 加えて、医療費助成の対象者へ毎年送付する更新手続の案内や難病ポータルサイトに改正内容を記載するなど、あらゆる機会を活用し、丁寧に周知をしてまいります。

○かつまた委員 ぜひ、パンフレットとともにポスターなども作成をしていただき、医療機関の待合室に掲示をしていただくと、より情報が広報されると思います。また、難病患者さんにとって、よりよい、使い勝手のよい制度となることを要望し、次の質問に移ります。
 次に、人権施策について質問をいたします。
 東京都が昨年十一月からスタートさせたパートナーシップ宣誓制度について、都議会公明党は全力で推進をしてまいりました。申請者は既に六百組を超え、当事者からは、制度創設が高く評価をされております。
 今年二月、公明党の山口那津男代表が、LGBTQプラスの情報発信拠点である新宿のプライドハウスを訪問し、意見交換をしてまいりました。その際、都議会公明党も同行をいたしました。
 自治体の自殺対策計画、孤独、孤立対策の中に、LGBTQプラスへの配慮について明確に記述し、取組を進めてほしいとの強い要望がありました。
 性的マイノリティー施策を進めている都において、自殺対策においても、性的マイノリティーへの対応を明記して取り組んでいくべきと考えますが、現在の状況をお伺いいたします。

○西山福祉保健局長 自殺の背景には、生活困窮や家庭問題、性的マイノリティーなど様々な要因があることから、都は、今月末に公表予定の次期東京都自殺総合対策計画で、生きることの包括的な支援として、幅広い分野で自殺対策を強化いたします。
 性的マイノリティーの方については、社会や地域の無理解や偏見などによって自殺念慮を抱える場合もあることから、多様な性に関する都民の理解に向けた普及啓発や性自認及び性的指向に係る専門相談の取組を次期計画に明記し、具体的な対策を進めてまいります。
 あわせて、インターネットの検索連動型広告で、性的マイノリティーの方が抱える悩みに関するキーワード等を充実させ、相談窓口等の情報が着実に届くようにすることで、必要な支援につなげてまいります。

○かつまた委員 都議会公明党は、昨年の予算特別委員会で、パートナーシップ制度の創設に合わせて、配偶者の記述がある条例、規則を精査し、必要な対応を図るよう提案をいたしました。
 それを受け、都は、昨年第四回定例会でも、性的マイノリティーに配慮する内容の条例改正を行いました。
 全庁で様々な全体計画、個別計画等がありますが、それぞれについて、性的マイノリティーの観点から精査を行い、対策を明記していく必要があると思います。
 小池知事の見解を伺います。

○小池知事 性的マイノリティー当事者の方々は、生活上で様々な困り事に直面しておられ、都政の各分野において、その軽減を図っていくことは重要でございます。
 都では、令和元年度、性的マイノリティー施策の今後の方向性を明らかにいたしております。性自認及び性的指向に関する基本計画を策定いたしました。
 また、基本計画を踏まえまして、各分野の個別計画におきましても、当事者に寄り添った施策を盛り込むなど、必要な取組を進めてまいりました。
 現在、基本計画の改定に向け検討を行っておりまして、改定を契機に、性的マイノリティー施策の推進を図るという観点から、全庁横断の会議を活用いたしまして、各局の施策を点検し、発展させてまいります。

○かつまた委員 ぜひ全庁横断でよろしくお願いいたします。
 次に、町会、自治会への支援について質問をいたします。
 地域活動が希薄化する中、共生社会の中核として、なくてはならない存在が町会、自治会であります。私も十数年前から町会の一員として活動させていただいており、現在は、副会長として活動をさせていただいております。
 現在、町会、自治会は、加入者減少や高齢化に伴う役員の減少が課題となっております。
 そこで、まず、町会、自治会が抱えるこれらの課題解決に向けた都の認識と取組について見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 町会、自治会の活性化を図るためには、地域における多様な主体と連携をし、外部の視点を取り入れた活動を行うことも有効でございます。
 そのため、都は、ITやスポーツ等の得意分野を持つ人に、町会、自治会活動の一部を手伝ってもらう事業として、まちの腕きき掲示板を開始いたしました。
 さらに、今年度からは、町会、自治会の事業を企業やNPO、大学等と協働して実施できるよう、区市町村やつながり創生財団と連携し、新たな支援、町会・自治会応援キャラバンを展開しております。

○かつまた委員 私の地元大田区も、来年度から都と連携して、このまちの腕きき掲示板や町会・自治会応援キャラバンを実施する意向であると聞いておりますが、地域でどれだけ多くの人にこの事業に関心を持ってもらえるかが鍵だと考えます。
 そこで、これまでの取組の中で見えてきた課題、また、それを踏まえた今後の展開について見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 参加をした町会、自治会からは、新たな視点での取組につながり、非会員の方々も活動に関心を寄せるようになったなどの声がある一方、地元企業は、都の事業のことを知らないために、もっと周知すべきとの意見もございまして、まず、本事業に関する認知度を高めていく必要がございます。
 そのため、来年度は、つながり創生財団が地域の企業やNPO、大学等を訪問し、事業の趣旨を丁寧に説明して、協力を得る団体の掘り起こしを行ってまいります。
 あわせて、事業の成果を地域に広く周知し、町会、自治会と企業や団体が交流するイベントも開催して、多くの協働につなげてまいります。

○かつまた委員 町会、自治会活動は、地域の共生社会の担い手との側面がある一方で、防災、減災の観点からも大変重要な組織であると認識をしております。
 十万人を超える死者や行方不明者が出るなど甚大な被害をもたらした関東大震災の発生から、今年の九月で百年目の節目となります。今こそ、こうした災害の教訓を生かして、様々な取組を行っていかなければならないと考えます。
 阪神・淡路大震災では、家屋の閉じ込めなどで救助を必要とした人のうち、約八〇%が家族や近隣住民によって助け出されました。また、東日本大震災では、津波から避難した人の多くが家族や近隣住民の声かけなどで一命を取り留めたそうです。
 ある防災専門家は、自助、共助、そして近助の力が防災、減災に必要であるとおっしゃっております。しかし、町会、自治会の役員たちの高齢化が進んでおります。とりわけ災害時には若い方々の力が必要となるため、町会、自治会が日頃から行う防災訓練等に、若い世代や非会員への参加促進が求められております。
 そこで、キャラバンを使って町会、自治会の防災活動を応援すべきと考えますが、都の見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 町会、自治会からは、防災訓練に若い方々の参加が少ないといった相談を多く受けてございます。
 今年度のキャラバン事業では、学習支援を行っている地域のNPO等との協働を促し、新たな工夫が加わったことで、例えば家族で楽しめる防災イベントが開催され、子育て世代が多数参加するといった事例も出てまいりました。
 来年度は、参加する町会、自治会にこうした事例も提案し、地域の特色に応じて、NPO、商店街など多様な団体との連携による防災活動の活性化を図ってまいります。

○かつまた委員 こうした共助、近助の根幹となる地域力を高めるには、まずは都民一人一人の防災意識を向上させる自助の取組が重要であります。
 かねてより、行政サービスにおいてアプリが果たす役割は大きいと考えており、都庁でも、これまで複数のアプリが生まれてきました。その中でも、総合防災部が提供する東京都防災アプリは、風水害に備えて防災行動を整理できるマイタイムラインや地域の危険度を知るマップなど防災を身近に感じる機能を掲載しており、自助の取組に役立つものと考えます。
 そこで、都民の防災意識を高めるため、さらに東京都防災アプリを利用してもらえるよう工夫を凝らすべきと考えますが、見解を求めます。

○野間総務局長 東京都防災アプリはこれまで、防災情報の拡充や検索のしやすさなど、都民が気軽に利用できるよう改良を重ねてまいりました。
 また、アプリの活用を促進するため、リーフレットの配布やSNSでのPR動画の配信など積極的な広報活動に取り組んでまいりました。
 来年度は、命を守るために必要な最新の知識を盛り込んでリニューアルする「東京防災」、「東京くらし防災」のデジタル版を搭載するなど、アプリのさらなる充実を図ってまいります。
 あわせて、セミナーや訓練等様々な機会を通じてアプリの魅力を紹介することで、普及拡大につなげてまいります。

○かつまた委員 次に、多様な他者との関わりの機会創出事業について質問をいたします。
 この事業は、先日の総括質疑で我が会派のまつば政調会長が取り上げましたが、改めて質問をいたします。
 都は、来年度から新たな取組として、保護者の就労の有無にかかわらず、子供を保育所等に受け入れる仕組みを創設する案を発表いたしました。
 この取組は、対象を原則ゼロ歳から二歳とし、乳幼児期からの他者との関わり合いが子供のよりよい成長につながることを重視した施策であります。
 この制度について、先日、私立幼稚園を運営している理事長さんからご相談をいただきました。この制度は、保育所の空きスペースを利用して実施されると聞いています、私立幼稚園もこのスキームに加えてほしいとお話を伺いました。
 そこで、改めて伺います。受入れ対象施設を保育所等としておりますが、幼稚園や小規模事業者も対象になるのでしょうか、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 本事業は、より多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、認可保育所のほか、幼稚園や小規模保育事業など、多様な場所で実施をいたします。
 今後、生活文化スポーツ局をはじめとする関係各局や区市町村と連携をして取り組んでまいります。

○かつまた委員 都内の幼稚園はこれまで、受入れ対象を原則三歳から、プレで二歳からということで預かっている園もあると思いますが、原則三歳からとしております。
 今回の新事業では、これまでの受入れの原則対象外であるゼロ歳から二歳児を対象としているため、幼稚園では新たな仕組みづくりが必要となります。
 三歳以上のお子様を主に受け入れている幼稚園をはじめ、より多くの施設でこの事業が実施していただけるよう周知していくことが必要であると考えます。見解を求めます。

○西山福祉保健局長 都は本年一月、待機児童対策協議会の場を活用し、区市町村に事業の概要を説明いたしました。
 今後速やかに実施要綱等を発出し、本事業の活用を働きかけるとともに、幼稚園や保育所等の事業者への周知を依頼してまいります。
 あわせて、事業者が本制度の詳細を理解し円滑に実施できるよう、補助要件等をQ&Aに取りまとめ、都のホームページ等で周知をしてまいります。

○かつまた委員 次に、アレルギー疾患について質問をいたします。
 アレルギー疾患は、国民の二人に一人が罹患し、症状の改善や悪化を不定期に繰り返す慢性疾患でありますけれども、その多くは、医療機関で適切な治療を受けることができれば症状のコントロールが可能といわれております。
 そのため、症状が悪化した場合等に専門的医療を提供する拠点病院等と、症状が安定した場合の医療を提供する地域の医療機関が連携し、患者を支える体制が必要であります。
 都議会公明党の令和二年第三回定例会代表質問での提案を受けて、都が令和二年度に実施をした医療実態調査によると、病院の二割から四割、診療所の一割から二割が、患者紹介できる医療機関がない、または分からないと回答するなど、連携が進んでいない状況が確認されています。
 この調査結果を踏まえて、都は今年度、アレルギー疾患医療連携を進めるための検討を行っていくとのことですが、その状況について答弁を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は今年度、アレルギー疾患の専門的な医療を提供する拠点病院等や日常的な医療を担う診療所等の医師、患者団体の代表などにヒアリングし、アレルギー疾患に関する医療連携の手法について検討をいたしました。
 その結果、拠点病院等が地域で適切な医療を受けられる診療所等を患者に紹介できる環境の整備や、医療機関同士が患者の治療内容の情報を共有するための仕組みづくりなどが必要であることが明らかとなりました。

○かつまた委員 今明らかになったそういった事例を踏まえながら、今年度、都はどのように地域の医療機関と拠点病院等の医療連携体制を整備していくのか見解を求め、私の質問を終わります。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は来年度、二か所の拠点病院等と連携先となる診療所等を選定し、アレルギー疾患医療連携事業を実施いたします。
 具体的には、診療所等が実施可能な検査や治療内容等の情報を拠点病院等に提供するとともに、東京都アレルギー情報navi.に掲載をいたします。あわせて、診療所等の医師に連携手法についての研修を実施し、患者の症状に応じた適切な連携先を選択できる環境を整えるとともに、患者が自身のアレルギー情報や治療内容等を記録できる手帳を作成いたしまして、医師に提示できるようにいたします。
 これらの取組を着実に実施し、アレルギー疾患の医療連携体制を整備してまいります。

○高倉副委員長 かつまたさとし委員の発言は終わりました。(拍手)

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