予算特別委員会速記録第四号

○小宮委員長 中田たかし委員の発言を許します。
   〔委員長退席、菅野副委員長着席〕

○中田委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず、関東大震災から百年で、東日本大震災から十二年ということで、改めて防災の意識を高めていかなければいけないという観点から、まず防災について質問をいたします。
 いつどこで災害に遭うかは誰にも分からない中で、夜であれば自宅で家には備蓄がある、また近くの避難所に逃げることができるなど、移動に、また避難に移りやすい場面もあれば、仕事中、旅行中に被災することも考えられます。
 東京都は、私の地元であります渋谷をはじめ、住んでいる住民の人口よりも昼夜問わず遊びに来る、また仕事に来る人口の多い地域が多くあり、その観点からも帰宅困難者対策に力を入れていかなければいけないと考えております。
 現状で、都は、東京都帰宅困難者対策ハンドブックを作って、一斉帰宅の抑制などを求めています。その中で、今回新たに被害想定が策定され、四百五十三万人もの帰宅困難者が発生するとされています。
 これまで述べたように、東京都の防災対策において帰宅困難者対策は重要な政策と考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 大都市におきまして巨大地震が発生いたしました際、救出救助活動を円滑に実施するためには、大量に見込まれる帰宅困難者への対策が重要でございます。
 都はこれまで、帰宅困難者対策実施計画を策定しまして、一時滞在施設の確保、そして事業者などとの連携、SNSなどを活用した普及啓発などを進めてまいりました。
 現在、新たな被害想定を踏まえまして、一斉帰宅の抑制、安否確認と情報提供、一時滞在施設の確保、帰宅支援を四つの柱といたしまして、実施計画の改定を進めており、この計画に基づいて都民の安全・安心を着実に確保してまいります。

○中田委員 実施計画を改定とのことで、早期の計画改定を求めるとともに、計画をつくるだけでは宝の持ち腐れになってしまいますから、この計画を企業、来街者に周知を広めていただくことを求めます。
 そして、帰宅困難者対策として、現在、帰宅困難者対策オペレーションシステムを開発中でありますが、その内容や活用について伺います。

○野間総務局長 帰宅困難者対策オペレーションシステムは、大規模災害時の帰宅困難者の滞留状況、災害発生状況等について情報を収集し、リアルタイムで情報発信することで、帰宅困難者対策を的確に行うことを目的としてございます。
 今年度は、システムの基本的な機能や性能を検討し、設計を行うとともに、訓練等で一部の機能について実際に運用し、検証を行ったところでございます。
 引き続き、帰宅困難者に適切な避難行動を促すための情報提供の手法などを検討し、開発を進めてまいります。

○中田委員 早期の実用化を求めるとともに、この運用については、災害時に必要とする方々に着実に届くように、様々なアプリとの連携などオペレーションシステムの開発を求めます。
 さらに、東京はマンションが多い地域です。古い一軒家がなくなるたびにマンションが次々と立ち並ぶ現状が都心部にはありますが、我が会派の代表質問の答弁にて、防災訓練などの取組を行っているマンションに対しアンケート等を行いまして、このうち東京とどまるマンションに登録する場合は、コミュニティ活動の醸成に資する防災備蓄資器材の整備費用の一部を支援いたしますと答弁がありましたが、防災訓練などしっかりできていないマンション、また管理組合がしっかりしていないマンション、また自治会等のコミュニティがなかなかないマンションなど、地方から多くの人々が集まるこの東京のマンションだからこその問題が多くあると考えますが、このようなマンションに対しても、防災という観点からしっかりとした支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 都は、マンション管理ガイドブックにおいて、火災や地震、風水害等に備えるため、管理組合が取り組むことが望ましい事項を記載しまして、ポータルサイト等を通じて啓発を行っております。
 来年度は、自主防災組織の立ち上げなど管理組合の防災力向上を図るため、マンション管理士の団体と連携しまして、専門講習を受講した管理士の派遣を開始いたします。
 あわせまして、災害時でも生活継続しやすい東京とどまるマンションの登録も促進してまいります。

○中田委員 今ご答弁にあった東京とどまるマンションですが、この五年間で登録が七件ということです。これではやっていないのと同じではないかといわざるを得ません。
 やるからにはしっかりと広めていく、防災という観点からでは様々な政策が待ったなしで、いざ震災が起きたときに、今やっている最中だった、開発中だったという話では話になりませんから、この点についても子育て施策と併せて、東京都には加速度を上げていただくことを要望いたします。
 次に、中小企業支援について、まち場の飲食店の目線から質問をさせていただきます。
 ロシアのウクライナ侵攻による小麦の原材料高、また原油高で、二〇二二年から長引く値上げが二〇二三年も止まりません。
 帝国データバンクによりますと、四月までに一万五千品目、さらには、八月には二万品目を超える値上がりが予定されているとされています。二〇二二年の同じ時期と比べると約三倍のペースで推移しています。
 さらには、内容量を減らして価格を据え置く実質値上げなども増えています。このことは多くの家計を直撃しており、さらに、中小企業へも多くの影響を与えています。
 また、卵の値上がりも大変頭を悩ませます。飼料の高騰や鳥インフルエンザの流行で、二月の卸売価格は去年のおよそ二倍になっています。一キロ当たり三百二十七円と過去最高値を更新しており、全国展開するファミリーレストランでは、二月二十八日から卵を使った一部のメニューの休止や内容変更を行うような対応に迫られています。
 ここまで現状の社会情勢を述べてまいりましたが、夏までにさらに多くの品目が値上がりするとされている中で、物価高騰、原油高騰が中小企業に与える影響について、知事の認識を伺います。

○小池知事 事業活動に必要な原材料などの高騰によって、中小企業の経営に影響が生じています。こうした状況を乗り越えまして、事業を継続できるよう支援を行うことは必要です。
 中小企業を経営と金融の両面から下支えするため、省エネによりコストを抑える様々な取組にサポートを行いますほか、制度融資により資金繰りを支援いたしております。
 これらにより、中小企業の経営を支えてまいります。

○中田委員 続けて、賃金の点から質問をいたします。
 今年の春闘がスタートしましたが、賃上げの動きがどこまで広がるのか、連日いろいろな報道がされています。
 都内の信用金庫が取引先の中小企業七百社余りに聞き取り調査を行ったところ、賃上げの予定がないと回答したのは七〇%余りにも上ったことが分かりました。逆に、別の調査では、全国の中小企業を対象に実施したアンケートで、主に東京都内に本社を置く企業の約六割が、二〇二三年の春闘で賃上げを予定していると回答がありました。
 どちらの数字を取るかで見方は大きく変わりますが、私たちが着目しなければいけない点は、六割が賃上げするということは、残りの四割が賃上げをされないということです。
 どちらの数字も賃上げができる企業、できない企業が出てきていますが、上げたくても上げられない、そうやって悩んでいる経営者、上げてほしくても会社の経営を考えるといい出せない社員、このままでは格差がさらに拡大してしまうおそれがあります。
 その中で、社員が一人、二人の中小企業の賃上げについて、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業が事業の発展に向け生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要でございます。
 このため、都は、中小企業が効率的な設備を導入する支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を引き上げております。
 これによりまして、中小企業の従業員の処遇改善を後押しいたします。

○中田委員 今年一月の全国における企業倒産件数は、九か月連続で前年同月期を上回っており、増加傾向が鮮明となっていますが、その中でも特に目立つのが物価高倒産であると帝国データバンクが発表しています。
 原料や燃料、原材料などの仕入価格上昇、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁ができなかった値上げ難により収益が維持できなかった、倒産に至ったケースが、一月では、二〇一八年に調査開始以来最多の五十件とされています。
 例えば、飲食店での話をしますと、生ビール一たる千円もの値上げが行われました。ブロックチーズは、今年の四月からキロ単価で五百円値上がりします。
 飲食店におけるメニューの価格設定は来店動機に直結する大事な要素であることから、値上げは慎重に行わなければならず、仕入価格が上がったからといえ、何度も値上げできるものではありません。
 産業労働局はいろいろな支援を行っておりますが、小規模、個人経営の飲食店では、今産業労働局が行っている共同購入に対する補助を使えない事業者が多くいます。物価が上がり、仕入れ値がどんどん上がってしまっている中で、仕入れ値を価格転嫁できていない飲食店支援について、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 仕入価格の上昇によりまして、中小企業の経営に影響が生じております。
 これまで都は、厳しい経営環境に直面する飲食事業者に対し、専門家による助言を行い、必要となる経費について、その三分の二に支援を行っております。
 こうした取組により、引き続き飲食事業者の経営を下支えいたします。

○中田委員 今、局長がいわれた支援は、コロナ禍から始まったもので、一社一回しか使えません。コロナ禍で苦しんで、それを脱却するために支援を使ったが、今度は物価高、原油高の壁に当たってしまって、今、さらに困っている事業者は増えています。
 事業者の状況は刻一刻と変わっているからこそ、新たな支援の創設、また、現状の支援の再度利用等を改めて要望をさせていただきます。
 続いて、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の不正についてお聞きをします。
 都道府県が休業や営業時間を短縮した飲食店に協力金を支払ってきましたが、新聞報道で、東京を含む多くの都道府県で不正受給があり、未回収金額があると報道されました。
 新聞報道では、九月末時点で不正受給額が約三億三千五百万で、未回収額は二億六千六百万となっていましたが、現状、飲食店向けの感染拡大防止協力金の支給実績と併せ、不正受給の件数及び金額についてお伺いをいたします。

○坂本産業労働局長 感染拡大防止協力金は、この一月末時点で約百三十九万八千件の申請を受け付け、約百三十七万三千件の支給決定を行い、支給額は約一兆九千六百二十五億円となってございます。
 また、協力金の支給の決定を受けた申請者が、偽りその他不正の手段により、協力金の支給を受けようとした事実が判明した場合、支給決定の取消しを行ってまいりました。
 都が不正受給と判断して支給決定を取り消した件数は二百五十六件、金額は三億三千六百六十九万七千円でございます。

○中田委員 直近の数字で、一月末時点で約三億三千六百万の不正受給があったとのことでしたが、産業労働局として、不正受給を防止するため、また、申請後にどのような対策に取り組んできたのか、また、不正受給が判明した場合の対応についても併せてお伺いをいたします。

○坂本産業労働局長 都は、申請内容について疑問がある場合、現地確認等によりまして、受給要件を満たしているかを確認しました。また、区市の保健所等と連携し、申請者が提出した営業許可書の照合を行うほか、総務局による各店舗の見回り情報を活用し、営業実態の確認を行うことで適切な支給に結びつけてまいりました。
 不正受給が明らかになった際には、警察等の関係機関に相談するとともに、協力金の返還と併せて違約金の請求を行うなど、厳正に対処いたしました。

○中田委員 迅速に支給しなければいけないというコロナ禍の差し迫った飲食店の状況の中で、手続を様々簡素化し、多くの飲食店の経営を救ってきた、この感染拡大防止協力金ですが、税金で支払われたものです。未回収額に関しては、警視庁とも連携をしっかりしていただき、しっかり回収を行っていただくことを求めます。
 そして、飲食店、事業者支援ですが、事業者に対して支援策を用意しても、その制度が事業者に届かなければ利用をされません。来年度、支援情報検索サイトを構築するとのことですが、現在、運用をしております新型コロナウイルス感染症支援情報ナビサイトでは、都民、事業者が助成金などの情報を容易に入手できるように案内をしています。
 このノウハウを生かし、来年度構築する各種支援策の検索サイトは、都民、事業者に分かりやすい情報提供を行っていくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、羽田新飛行ルートについて質問をいたします。
 今日、今、この天候で、この時間ですと、私の地元の渋谷でも多くの飛行機が飛んでいることだと思います。
 国が設置しています羽田新飛行ルートに係る固定化回避検討会では、海岸沿いに曲線を描きながら下りてくる、アメリカ、ジョン・F・ケネディ空港のような飛行方式など参考に検討が進められており、地元でも海上ルートへの見直しを求める声が多いです。
 現状、都として固定化回避検討会にどう関わっているのでしょうか。また、今後、羽田新飛行ルートの固定化回避にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○福田都市整備局長 国は令和二年、地元区の意見等を踏まえ、羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策について多角的に検討する会を設置し、検討を進めております。
 都は、この会に参加はしておりませんが、結果についてはその都度公表されており、騒音軽減や技術的な観点から検討が進められているものと承知しております。
 都は、国に対し、飛行経路の運用に関して、騒音影響の軽減をはじめ様々な対策を求めてきており、引き続き、丁寧な情報提供と騒音、安全対策の実施を求めてまいります。

○中田委員 国では、夏から秋にかけて素案の策定結果を発表するとしていますが、今答弁にありましたように、地元区の意見を踏まえて設置されました固定化回避検討会ですから、東京都としては積極的にこの会議にも首を突っ込んでいってほしいと要望をさせていただきます。
 また、渋谷区上空を南から北、つまり羽田空港方面から飛んでいる飛行機もあると地域から声が出ています。その事実、理由は東京都として把握しているか、見解を伺います。

○福田都市整備局長 航空機が空港への着陸進入中に機体の着陸態勢が整わない場合、航空機を空港に安全に着陸させるため、パイロットや管制官の判断により、やむを得ず着陸をやり直すゴーアラウンドを行うことがございます。
 国からは、このゴーアラウンドにより、渋谷区上空を北上する航空機があると聞いております。

○中田委員 着陸のやり直しということは理解しました。もちろん今までも飛んでいたのかもしれませんが、日々飛んでいる飛行機に悩まされるようになった都民、区民の皆さんは大変敏感になっています。そのことからも、改めて、今答弁されたことなどを都民の皆さん、区民の皆さんに周知されることを要望させていただきます。
 次の質問ですが、私の地元の渋谷区の恵比寿地域や広尾地域では、飛行機の騒音に悩まされている方がいます。自宅で約八十デシベルもの騒音を計測することも多々あるとのことであり、約八十デシベルというと、鉄道の線路脇、また、飛行機の機内と同じ程度の騒音となります。
 その中、東京都は環境確保条例が制定されており、この条例の中では、騒音の程度を住居地域では四十デシベルから五十デシベルとしています。また、国にも環境基準があり、その中で住居地域は五十七デシベル以下とされています。
 これらの基準を羽田新飛行ルートを飛ぶ飛行機は守ることができているのかと地域の方々から声がありますが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 環境確保条例では、工場等から生じる騒音を規制対象としてございまして、航空機騒音については規制対象外でございます。
 一方、航空機騒音は国が環境基準を定めてございまして、一日の騒音エネルギーの総和から求めた時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenの年平均値でございまして、住居系地域であれば五十七デシベル以下としてございます。
 都は、この基準を適用する地域を空港周辺の生活環境を保全する観点から指定し、基準の適合状況を確認するための調査を行ってございます。
 また、新飛行経路の運用に伴う騒音の状況を把握するため、渋谷区内二地点を含めた新飛行経路のほぼ直下の五地点を追加して調査を実施してございます。
 令和二年及び三年度のLdenの年平均値は、いずれの調査におきましても環境基準値を下回ってございます。

○中田委員 都の環境確保条例では、航空機の騒音が対象外であるとのことでしたが、特にそのような条文を読み取れるところは正直ございませんでした。
 大阪府池田市や兵庫県川西市などでは、環境保全条例等において、航空機騒音の防止に関する規定などが設けられていますから、東京都としてもしっかりと検討をしていただきたいと思います。
 航空機騒音は、地元でも非常に関心事になっております。引き続き、騒音調査を実施していただき、環境基準を超えるようなことがあれば、関係機関に対して改善を要請していただくとともに、また、環境基準の指定の地域、先ほど局長からも答弁がありましたけれども、この地域も羽田新飛行ルートを飛ぶようになってから見直しの検討会がありましたが、今、中断をされています。しっかりと環境基準の指定の地域の見直しの早期実現を強く要望させていただきます。
 また、騒音だけではなく、落下物の問題があります。パネルも用意をさせていただきましたが、飛行機からとは断定されませんでしたが、飛行機から氷塊が落下した疑いがあります。
 加えて、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ航空需要も、水際対策の緩和、国内旅行の需要拡大に伴って、都心上空を低空飛行する飛行機も増便するのではないかと不安があります。
 ちなみに、この氷塊が落下した地域は、この都庁からもすぐそばのオペラシティの隣のテニスコートです。なので、この東京都庁に氷塊が落下していた可能性もあるともいえます。
 今後、航空需要の回復により都心の低空を飛行する飛行機の増便はあるのでしょうか。また、その際の飛行ルート下への影響はどのように変わるか、東京都の見解を伺います。

○福田都市整備局長 国からは、国内線の便数についてはほぼ回復しており、水際対策緩和により国際線も今後回復していく傾向にあると聞いております。
 国はこれまでも、低騒音機の導入促進や、着陸時の進入角度の引上げによる騒音影響の軽減、また、世界的に類を見ない落下物防止対策の航空会社への義務づけ、航空機のチェック体制の強化による安全管理の徹底に努めてきており、引き続き、着実な騒音、安全対策の実施に取り組むとしております。

○中田委員 どのような影響があるのかという質問だったんですが、なかなかお答えをいただけなかったというところでありまして、先ほども環境局の答弁にあった騒音エネルギーの総和の話に戻ると、一日に飛ぶ飛行機が増えることによって、エネルギー量ももちろん増えるので、環境基準を超えてくる可能性があるので、しっかりとその点はモニタリングを行っていただき、超えた場合は即時国への要望を行っていただきたいと思います。
 この羽田新飛行ルートは、渋谷区や新宿区でも半数以上の自治会長、町会長が反対署名に賛同しています。署名活動を踏まえ、渋谷区議会では、新飛行ルートの運用停止を国に求める意見書を全会一致で可決をしました。新宿区議会でも、地方空港の活用による飛行経路の分散化や海上ルートを活用するよう求めた決議が可決をしました。
 そのことからも、都民の安心・安全を守る立場である知事として、この声に向き合っていき、しっかりと行動していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○福田都市整備局長 将来にわたり東京が国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには、羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
 新飛行経路について、都民の皆様から、騒音や落下物に対する不安など、様々なご意見があることは承知しております。
 都は、引き続き国に対して、騒音、安全対策の実施と丁寧な情報提供を求めてまいります。

○中田委員 ぜひ、知事には、しっかりと答弁をしていただきたかったですが、本当にお答えいただけなかったのは大変残念です。
 飛行ルート直下の自治体では、議会、町会、住民と、見直し、反対の声が本当に多く上がっています。都民の命と暮らしに関わる大きな問題ですので、しっかりと向き合っていただき、国に働きかけを行っていただくことを要望させていただき、次の質問に移ります。
 次に、交通施策について伺います。
 地下鉄駅で日本一深い場所にある都営大江戸線の六本木駅は、最も深いホームが地表から四十二メートルの地下七階になります。
 この六本木駅のエレベーターが故障して使用停止となっておりましたが、その経緯について伺います。

○武市交通局長 大江戸線六本木駅のエレベーターのうち、地下五階と地下一階を結ぶ一基が、昨年十二月十七日に故障しました。直ちにメンテナンス会社に復旧を指示したところ、駆動装置の交換が必要となりましたが、当該エレベーターは既に日本から撤退した海外メーカー製で、装置を海外で製作しなければならず、調達に時間を要することが判明しました。
 そのため、お客様への影響を考慮し、移動距離が比較的短い、同じメーカーのほかのエレベーターの装置を転用することといたしまして、故障したエレベーターを十二月二十三日に復旧させました。
 装置を取り外したエレベーターは、先月二十七日から運転を再開いたしました。

○中田委員 駅のバリアフリー設備は、重要なインフラの一部といっても過言ではないです。この六本木駅は一日の乗降者数が約六万人です。ベビーカーの親子連れや車椅子の利用者もいる中で、そのエレベーターが二か月もの間、クリスマス、お正月と多くの人がまちを行き交う中、使用できなかったことは、都民、来街者の方々に大変な迷惑をかけたと思います。
 そもそもその海外メーカーの撤退をいつ知ったのか、また、撤退することを知った上で、交通局としてどのような対策を取ったのか、また、今後どのようにしていくのか伺います。

○武市交通局長 平成二十七年一月に、当該海外メーカーから、日本での営業業務を同年五月末に終了するとの通知がありました。
 これを受け、交通局では、メンテナンスを担う国内メーカーに指示し、定期的に交換が必要となる部品を確保してまいりました。
 また、平成二十八年度より、大江戸線環状部を中心に、五十二基ある同社のエレベーターについて速やかに更新を進め、六本木駅以外の五十基につきましては更新を完了いたしました。
 六本木駅の二基につきましては、令和元年度以降、二回更新工事を発注しましたが、メーカーの技術者不足などにより契約不調となったため、保守点検を着実に実施し、安定的な運転に努めるとともに、早期の更新に向けて準備を進めております。

○中田委員 新聞報道によりますと、交通局の担当者のコメントで、国内撤退は想定していなかったと答えています。また、別の取材では、この海外企業を選んだ理由として、大量発注で安価に購入できたからとしています。
 このコメントからも分かるように、リスクヘッジへの意識があまりにも低いというところに驚いてしまいます。入札の段階で、将来的なリスクへの対応も含めて検討が必要であったのではないかといわざるを得ません。
 今回、交通局で問題が起こりましたが、この話は、都有施設どこでも起こり得る問題であると考えています。海外企業が日本を撤退することだって、日本企業が倒産することだってあり得ます。
 また、問題はエレベーターだけではなく、発電機であったり、その他設備でも起こり得る問題であるからこそ、都としてリスクヘッジをしっかりとしていかなければいけないと考えます。
 不具合が生じてからの修繕を行う事後保全ではなくて、他の都有施設においては、故障等の不具合により都民サービスに影響が出ないよう施設の状況をしっかりと把握し、予防保全型の維持管理を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉村財務局長 都有施設は、都民サービスを提供する場でございまして、その建物機能の維持保全は重要でございます。
 特に日常的な維持管理につきましては、劣化の程度が軽微な段階で修繕を施し、効率的に長寿命化を図っていくことが必要でございます。
 そのため、例えば設備機器等の保守点検業務委託については、維持保全業務標準仕様書におきまして、点検の作業項目や内容、周期などを定めるほか、点検結果を踏まえた長期修繕計画等の見直しについて、受託者から助言を受けられることとしてございます。
 また、維持管理を担当する職員への定期的な講習会を実施し、関係法令の周知や設備機器に関する情報共有を行うなど、維持修繕に係るサポートを実施しております。
 今後とも、定期的、長期的な維持更新、管理を適正に推進してまいります。

○菅野副委員長 中田たかし委員の発言は終わりました。(拍手)

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