予算特別委員会速記録第四号

   午後三時三十分開議

○小宮委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 土屋みわ委員の発言を許します。

○土屋委員 よろしくお願いいたします。
 先週三日は、日本では桃の節句、ひな祭り、昨日八日は国際女性デー、世界では三月を女性史月間として、これまでの女性の歴史や貢献、活動などに焦点を当てる期間となっています。
 そこで、まず、女性活躍について伺います。
 フェムテック、女性の健康をテクノロジーで解決する世界、二〇一六年、七年ほど前に、金融分野の解決にはフィンテック、教育分野ならエドテックという言葉ができたように、フェムテック、この名前をつけることで新しいマーケットをつくり、存在感を上げようとしてできた言葉ですが、そこから僅か数年の間に、テクノロジーを使って女性の健康問題や悩みを解決するサービスや商品が市場に増えてきています。
 こうした中、企業における女性活躍のハードルの一つとなっているのが、女性特有の健康問題です。生理痛や更年期障害で体調が万全ではない女性に対するサポートが重要であります。
 都は来年度、女性活躍のためのフェムテック開発への支援や、働く女性のウエルネスを向上させていく取組を新たに実施するとしており、これら事業について確認をしてまいりたいと思います。
 働く女性の活躍を後押しする上で、フェムテックを生かした製品の活用を図ることは大変効果的なことだと思います。
 まず、来年度、都が実施するフェムテック開発支援・普及促進事業について、事業の目的と内容をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 女性特有の健康問題を解決するため、フェムテックの製品やサービスの開発と事業化を支援し、その普及を進めていくことは重要でございます。
 このため、都は来年度、新たにフェムテック製品等を生み出す五件の取組への支援を実施いたします。
 具体的には、技術開発に要する経費や事業化に必要となるマーケティング等の費用に助成を行うほか、新たな取引先を確保するための展示会への出展などについても支援を行います。
 こうした取組によりまして、フェムテックの製品等の開発とその普及を着実に後押しをいたします。

○土屋委員 都がフェムテックの活用に向けた第一歩を踏み出すことは非常に重要なことと考えます。
 一方、フェムテックには明確な定義や業界の統一基準がないことや、守るべき法令などに関する知識が十分でないことから、現在出回っている製品やサービスには、その有効性などが疑われるものもあると聞いています。
 そこで、フェムテック分野での新規の事業を行うに当たり、支援する五件のプロジェクトをどのように採択していくのか見解を伺います。

○坂本産業労働局長 中小企業がフェムテック製品等を生み出す上で、その安全性や利用者からの信頼を確保することは重要でございます。
 都が来年度から実施をする支援では、様々な技術や健康を高める効果などに詳しい複数の専門家などが審査を行う仕組みといたします。
 これによりまして、中小企業の製品開発などを後押しいたします。

○土屋委員 本事業の実施に当たっては、働く女性が抱えるニーズをどのように把握して、採択につなげていくかがポイントであると考えます。
 都は来年度、新たに女性のウエルネス向上事業を開始し、女性の健康問題などについてアンケート調査などを行うとしていますが、具体的にどのような取組を進めるのかお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 働く女性が健康を保ち、仕事で十分に力を発揮することのできる職場環境を整えることは重要でございます。
 このため、都は来年度、職場において直面する健康上のテーマを正確に把握するため、労働関係の団体とも協力し、女性の社員向けにオンラインによるアンケートを実施いたします。また、企業に対し、経済団体と連携し、女性社員の健康の維持や向上のための取組に関する調査をウェブにより実施いたします。
 これを通じ、働く女性の健康について優れたサポートを行う会社の事例を集め、幅広く紹介いたします。

○土屋委員 来年度、フェムテック開発支援・普及促進事業に採択される五件は、都が新たに開始する事業の最初の支援先であり、大変意義深いものとなります。都がフェムテックを生かした製品、サービスとして、いわばお墨つきを与えるものともいえるわけですが、ただ市場として未成熟な分野のため、どのようなプロジェクトを採択するかは非常に重要であります。
 相談することが難しい女性の健康に関する課題について、女性のウエルネス向上事業などによって集めた女性の意見もしっかりとフェムテック事業に生かすとともに、様々な関係者の声も聞き、より効果の高いプロジェクトの選定につなげていっていただきますよう、そして、都民のニーズに応え、有効性の高い製品やサービスを生み出すことにつながる取組となることを要望いたします。
 国は、二〇二〇年代の可能な限り早期に、指導的地位に占める女性の割合を三〇%程度とする目標を掲げていますが、都の令和三年度男女雇用平等参画状況調査によりますと、都内企業において管理職に占める女性の割合は一六・四%にとどまっています。
 企業の現場からは、女性活躍の重要性についての理解は進みつつも、具体的な行動にはつながっていないとの声も聞こえていますが、こうした課題も踏まえ、女性管理職の活躍促進に今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 これまで都は、企業が女性社員の育成等に関する目標と取組内容を定める行動計画をつくる場合、研修やコンサルティングを行ってまいりました。また、経営者の意識啓発を進めるため、女性が能力を発揮することで経営にもたらされるメリットなどを学ぶセミナーも実施をしております。
 今後は、女性の育成等の行動計画を着実に実現できるよう、コンサルティングを拡充いたします。これによりまして、働く女性の活躍を後押ししてまいります。

○土屋委員 女性が自らの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく働くことができるよう、さらなる後押しが必要と考えます。
 都は、企業における女性管理職等の活躍を推進するため、新しく有識者会議を設けるとのことですが、具体的な内容についてお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 都は、国の税金や社会保障の仕組みのほか、会社組織の実態などをテーマとする有識者会議を新たに設け、今月、第一回目を開催いたします。これによりまして学識経験者や経営者、働き手の代表等をメンバーとして選任し、女性管理職を増やす上での課題などを検討いたします。
 その議論を踏まえまして、国への提案要求を行うほか、女性管理職の活躍事例を幅広く発信するイベントを経済団体等と連携して開催いたします。
 これらによりまして、職場における女性の活躍を後押ししてまいります。

○土屋委員 女性活躍の推進は、都政の重要な課題であり、都民の関心も非常に高い取組であります。その中で、この新たな有識者会議について、今月開催予定でありながら、いつ、どのようなメンバーで、どのくらいの規模でやるのかを聞いても、まだ決まっていないといいます。
 今日、今月も既に三分の一弱経過しておりますが、詳細について明らかにならない現状、すなわち来年度事業について審議するこの委員会の場で、これら議論ができない状況であるということは非常に残念です。一刻も早く有識者会議メンバーの選任を進め、公表の上、実のある議論を始めていただくことを強く要望いたします。
 日本では、女性の方が非正規雇用の割合が高く、男女間の賃金の格差も存在し、さらには管理職の割合が低いなど、女性の活用がまだまだ進んでいない状況にあります。
 その要因には、家事、育児の負担が大きいなど、様々な課題が存在しますが、その一つには、女性特有の健康課題もあります。
 女性の活躍を推進するためには、フェムテックを生かしたさらなる女性の働きやすい環境整備が急務と考えますが、フェムテックの可能性と今後の活用に向けた取組について、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 いまだ十分に生かし切れておりません女性の力、これを最大限に引き出して、その活躍を促進すること、それは東京の成長と発展の原動力となります。
 女性が個性や能力を発揮できる職場環境の整備に向けまして、心身の不調を解決するフェムテックの活用は有効です。中小企業の優れた技術力を生かしまして、フェムテックの製品、そしてサービスを生み出し、普及を図る取組をしっかりと支援をしてまいります。
 ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントなどにおきまして、フェムテックの情報提供を行うとともに、先駆的な活用事例も紹介してまいります。
 フェムテックを広げまして、職場環境の向上に結びつけ、女性活躍を加速してまいります。

○土屋委員 私が金融機関や資産運用会社と意見交換する中で、海外の機関投資家は、日本でのESG経営の実態をつぶさに検証すると、女性の経済参画と政治参画の指数、いわゆるジェンダーギャップがあまりにも低いことが幾度となく指摘されていると聞いております。
 また、政府、内閣府男女共同参画局がガバメントリレーションの先頭に立ち、矢継ぎ早に政策を打ち出す中、都の政策は、大都市として各国の機関投資家も注視しているとも伺っています。
 このような外部環境の期待に応える具体的な政策が必要である中、都としても、このフェムテックがより広く良質な状態で普及することをしっかりと後押ししていっていただきたいと思います。
 女性が活躍し、かつ安心して子育てをするためには、男性の働き方の見直しも重要であります。子育て世帯への経済的な対策に加え、夫の家事、育児時間が短いことや、協力的でないという多くの声を踏まえ、男性の育児参加を進めることが欠かせません。
 我が国の男性の育児休業取得率は一三・九七%であり、女性の八五・一%と比べて大幅に低い状況にあります。職場に迷惑をかけられないという思いから、男性は取りたくても取れない現状がうかがえますが、特に中小企業では、代替要員を確保するような余裕がないのも実態であります。
 昨年、都は、育児休業の愛称、育業を発表しましたが、名前を変えただけでは現状は変わりません。男性の育業が進まない現状を変えるために、具体的にどのように取り組むのか見解をお伺いいたします。

○山下子供政策連携室長 都は、愛称、育業の普及に加えまして、男性の育業を推進する企業の取組を積極的に発信するとともに、企業に対し、育業に係る助言を行う専門家の派遣や、育業中の従業員の代わりとなる人材確保の経費への支援等を行っております。
 今後はこうした取組に加えまして、育業に関する企業の先進事例をハンドブックで公開するとともに、二名以上の男性の従業員が一定の期間育業した企業に対しまして、奨励金を支給する制度を新たに開始いたします。
 さらに、家事、育児を担う男性向けに子育てデジタルブックを作成いたします。
 このように様々な手だてを講じることで男性の育業を後押ししてまいります。

○土屋委員 先進事例の発信や企業への奨励金などにより、男性の育業を推進していくということですが、そもそも育児をする男性にとっての環境整備は十分とはいえない状況です。
 例えば、ショッピングモールなどの一部の新しい商業施設を除き、まち中や公共施設、公共交通などにおいて、男性トイレにベビーベッドが設置されていない場合も多く、男性が乳児を連れて外出する際におむつ替えの場所に困るとの声が私のところにも寄せられています。
 都は、男性の育業を推進していく中で、男性の育児参画するためのインフラ整備などの環境づくりを進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山下子供政策連携室長 育業を推進していくためには、お話のように男性が子連れで安心して外出できる環境整備を進めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、おむつ替えができるスペース等を設置した施設を認証、周知する赤ちゃん・ふらっと事業などを進めてまいりました。
 今後は、官民連携で子供目線で取組を進めるこどもスマイルムーブメントに参画する一千三百を超える企業、団体等に対しまして、男性も育児に活用できるスペースの設置等を積極的に呼びかけていくほか、区市町村包括補助事業の活用によりまして、身近な地域での育業に資する環境の整備を図ってまいります。

○土屋委員 育児休業中のスキルアップ支援について伺います。
 政府は、人への投資の支援パッケージを五年で一兆円に拡大し、リスキリングへの支援を抜本的に強化していく中で、ライフステージのあらゆる場面において学び直しに取り組もうとする際に、本人が希望した場合には、それをしっかり後押しできる環境整備を強化していくこととしています。
 育児休業を取得し、一定期間仕事から遠ざかることによって、キャリアの停滞を招くことを懸念する方も少なからずおり、都としても、こうした方が安心して育児休業を取得できるよう、職場環境の整備を支援していくことが重要です。
 そこで、都は、育児と仕事の両立に向けて、来年度、育業中のリスキリングを希望する従業員をしっかりと後押しすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 育業によりまして職場を離れる場合、仕事で使うスキルやノウハウなどの変化から取り残されるという不安を持つ方もいらっしゃいます。一方で、これまでにないスキルアップなどに挑戦したいという希望を持つ方もいらっしゃいます。
 日々の育業に取り組みながら時間を有効に活用し、仕事の能力を高める努力をする方を後押しするというものであります。
 こうした方が復帰後の職場で活躍して、仕事のやりがいを一層高めることは、育業の成果の一つともなります。そうした学びの機会をつくる企業を応援する、そのことで育児に、仕事に、共に輝ける社会をつくり上げてまいります。

○土屋委員 復帰後に会社に貢献したいという思いを抱いている人は多いと聞きます。そういった人たちが状況に応じて学びの機会を得られるよう支援をしていっていただきたいと思います。
 次にですが、先日、他会派の質問で、国の地位後退をご認識されているという旨のご答弁が知事よりありましたが、「国際金融都市・東京」構想に基づくこれまでの取組の成果に関するご認識と、今後の取組の方向性、また、国際金融都市構想の実現の可能性について、知事の所見をお伺いいたします。

○小池知事 国際金融センターを取り巻く環境でございますが、世界の国際金融センターを取り巻く環境は激動の中にございます。
 グローバルな動向を注視して機敏に対応していかなければ、国際金融都市としての東京の飛躍はなかなか難しいものもございます。
 こうした認識の下で、全国に先駆けまして、東京は、東京グリーンボンドを発行したり、また東京金融賞を通じたフィンテック企業の育成などに取り組んでまいりました。
 また、先月、私自身、ロンドンを訪問いたしております。金融系企業の東京進出、グリーンファイナンスでの連携の強化など、着実に成果を上げております。
 来年度予算には、サステーナブルファイナンスの急拡大などの世界の潮流も踏まえまして、トランジションボンドの発行の支援、デジタル証券の発行支援など、新たな施策を盛り込んでおります。
 世界をリードする国際金融都市へと着実に進化を遂げるべく、国とも連携しまして、取組を一層強化していく、そのことで東京の成長、そして持続可能な社会の実現につなげてまいります。

○土屋委員 東京市場の置かれた国際的な地位の低下は、いかんともしがたい状況だと思います。世界時価総額ランキングで、一九八九年のバブル期では、ランキングトップファイブを日本企業が独占しており、上位五十社のうち、ランクインした日本企業は三十二社、そのうち十七社が金融機関でした。
 バブル期の経済政策において、金融機関が日本の成長を牽引してきたわけですが、二〇二三年の世界時価総額ランキングでは、五十社中、日本企業は一社もランクインしておりません。
 二〇二二年、昨年ですが、唯一ランクインしていたトヨタ自動車は五十二位と、日本企業が隆盛を誇っていた時代と、まさに隔世の感があります。
 また、時価総額十兆円を超える企業数は、アメリカが九十五社、中国は当局の規制強化により十七社に減少しているものの、日本はたった五社のみであります。
 そして、昨年四月に改革のために再編した東京証券取引所ですが、最上位市場であるプライム市場の一社当たりの時価総額は、欧米市場の三分の一にとどまり、株価が解散価値割れの企業も四割に上り、海外マネーを呼び込む魅力に乏しく、欧米の背中はなお遠いというのが実情であります。
 ほかにも東京市場の地位低下を語る数字、材料はたくさんありますが、都の担当部署とやり取りをしていると、都の東京市場の現状認識はあまりにも楽観的過ぎませんでしょうか。
 もちろん東京都として、国際都市東京を目指すべきですし、その一環として、東京国際金融都市構想を持つべきだと思います。しかし、挙げられている施策は、あまりにも総花的で、時流を追い過ぎているのではないでしょうか。もっと現状を直視して、根本的な施策を、国とも協力して抜本的な策を講じていく、検討すべきではないでしょうか。
 都はこれまで、国とはどういった連携をしてきたのか、そして今後どのような連携が必要と考え、実行していくのかお伺いいたします。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 都はこれまで、金融系外国企業の誘致に向けて、東京に進出を希望する企業への相談対応や、ライセンス取得に係る英語解説書の作成などで国と協力してきました。
 また、都が主催するセミナーへの金融庁幹部の登壇や国との人事交流など、連携を積み重ねております。
 今後は、世界の潮流となっているサステーナブルファイナンスの活性化など、様々な分野で一層連携を深め、国際金融都市の実現に向けた施策の実効性を高めていきます。
 具体的には、来年度、脱炭素に資するトランジションボンドの発行支援や、都民の金融リテラシー向上等の事業において、軌を一にする国と密接に連携を図ってまいります。

○土屋委員 ロンドンには、投融資、資産運用など、多面的な国際金融センターの伝統があり、国際金融の共通言語が英語であるというベースの上に、当時のサッチャー首相が規制緩和、ロンドンに働く外国人バンカーへの税制優遇措置など、市の発展を国を挙げて支援してきました。ロンドン市場の今日は、ロンドン市の力であるわけではなく、国を挙げての支援あってのものであります。
 都の国際金融都市を本当に実現したいというのであれば、多大なる国のバックアップが必要です。そのためには、国との良好な関係構築をはじめ、東証の改革など都が全面支援し、国を動かすような気概で、東京市場の失地回復のために大胆な施策をぜひ打ち出していっていただきたいと思います。
 世界の都市総合力ランキング二〇二二で、東京は二〇一六年から七年連続で三位という順位でしたが、今回三位を維持しつつも、総合スコアを大幅に落とし、四位のパリと僅差となっています。
 その中で、経済の指標であるGDP成長率、優秀な人材確保の容易性、法人税の低さにおいて東京のスコアは低く、研究開発における留学生数も低調でありました。
 グローバル人材を維持するには、留学生や外国人居住者のために多言語化、そしてインターナショナルスクールなどの環境整備を進める必要があります。そして、これらの課題の中でも特に重要なのは、外国資本とグローバル人材の誘致だと思います。
 東京が目指す国際金融都市として東京が発展していくためにも、海外企業の誘致を加速させていくことは重要課題の一つであります。東京でビジネス展開をする際に必要なコストが高いために、進出を断念する企業も少なくありません。
 東京では、特区制度により、税制優遇措置が適用される場合があるものの、要件が研究開発用に限定されるなど、あまり有効なものとはいえません。特にアジア諸国の中でも、東京の人件費やオフィス賃貸費用などは高い傾向にあり、相当の運転資金をためておかなければ、早い段階でビジネスが失敗に終わる可能性もあるため、東京は必ずしも進出の魅力があるとはいえない状況です。
 こうした中、来年度より、金融機関と連携して海外企業を誘致する新たな事業を開始するとのことですが、本事業の意義についてお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 東京の産業の活性化に向け、海外企業の誘致を進め、都内の中小企業との取引等に結びつけることは重要でございます。
 このため、都は、金融機関などの外国の取引先に係る情報やネットワークを活用し、海外企業を誘致する取組を開始いたします。
 具体的には、金融機関が外国の拠点等を通じ収集した様々な情報を基に、東京に進出し、スタートアップや中小企業との取引の見込まれる海外企業を選定いたします。
 こうした企業に対し、金融機関と共に誘致の働きかけを行い、進出が実現した場合、法人登記の手続やオフィスの借り上げなどに必要となる経費の三分の二に助成を行います。
 これによりまして、海外企業の誘致を効果的に進めてまいります。

○土屋委員 外国資本の参入障壁をなくすには、法人税、人材不足、煩雑な行政手続、そして規制、許認可制度などの改善が必要でありますが、税制面などは国の管轄となりますが、改めてではありますが、国としっかりと連携をして、外国企業にとって魅力的な東京となるよう環境整備を行っていただきたいと思います。
 日本は、ロンドンなどと違い、英語教育、IT教育や金融リテラシー向上など、都は、ロンドンにある競争基盤が整っていないがゆえに、国際金融都市実現はなかなか難しいと感じているところではありますが、国際金融都市を目指している東京として、この東京の地位を高めるためにも、また、都民の豊かな暮らしを支えるためにも、都民の金融リテラシーを向上させる、そのための環境を整備することが必要であると考えます。
 都民の金融リテラシーを向上させることの重要性について、都の見解と今後の取組についてお伺いいたします。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 大変申し訳ありません。先ほどの答弁の中で、国との連携の中で、規制や税制の見直しをこれまで国に要望してきた点を申し忘れておりました。大変申し訳ありませんでした。
 それでは、ただいまのご質問についてでございますが、金融リテラシーの向上は、適切な家計管理や安定的な資産形成などにつながるものであり、都民の豊かな暮らしの実現を支える上で重要であります。
 都は、幅広く都民の金融への関心を喚起するために、金融知識を学べる動画を作成するとともに、若者向け金融セミナーの開催などに取り組んでまいりました。
 来年度は、著名人をアンバサダーに任命して、金融に関する情報発信を行うとともに、学校、企業の要請に応じて、金融や経済に詳しい講師を年間百件程度派遣する新たな事業を開始いたします。
 こうした取組を通じて、都民の金融リテラシーの向上を図ってまいります。

○土屋委員 先ほど国との連携の質問をした際、都民の金融リテラシー向上などの事業において、軌を一にして国と連携を図っていくとのご答弁がありましたが、今のご答弁では国との連携の話はなかったのですが、金融リテラシー向上事業では、国とどういった連携をしていくのか具体的に教えてください。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 国におきましては、日銀等と協働しまして、私の記憶が、もしちょっと不正確だったら申し訳ありませんが、令和六年度に金融教育の機構を立ち上げるというふうに聞いております。
 そういった中で、都が先行して事業を行いますので、実際に国等が行う場合には十分連携を図ってまいりたいと考えております。具体的には、講師の派遣等の点で協力ができるかと思っております。

○土屋委員 ありがとうございます。多くの都民に金融知識を身につけていただくことは非常に重要ではありますが、都民に広く金融取引を促すのであれば、都庁では特段規制はないとお伺いしておりますので、まずは都庁の職員の皆様が積極的に株式投資を行っていただければと思います。
 次に、グローバル人材についてです。
 グローバル化に伴い、また先ほど来、国際金融都市を目指すならば、グローバル人材の確保は非常に重要であります。
 さきの代表質問において我が会派は、学校教育を通してグローバル人材を育成していくことの重要性を訴えたところでありますが、都教育委員会は、目指すべきグローバル人材として、どのような姿を描いているのかお伺いいたします。

○浜教育長 都教育委員会は、外国語を使いこなしながら、広い視野や多様な人々と協働する力を持ち、豊かな国際感覚を身につけて世界を牽引していくことができる人材を目指すべきグローバル人材の姿として捉えております。

○土屋委員 グローバル化が叫ばれ始めていた十年、二十年前から、日本は本気でグローバル人材の育成をしてきませんでした。そのため、今や日本はグローバル人材の後進国となりつつあります。
 世界で活躍できる真のグローバル人材の育成については、これまでの課題を踏まえ、外国の人と自信を持って英語で会話することのみならず、都の目指すグローバル人材を育てるためには、さらなる環境整備を行うべきと考えます。
 そこで、取組を数値等で効果検証して、どのようなアプローチが適切なのかをはかり、それに応じた施策を実施していくことが必要と考えますが、都教育委員会の認識をお伺いいたします。

○浜教育長 都教育委員会は、「未来の東京」戦略において、二〇三〇年度までに実用英語技能検定三級程度の英語力を有する中学生の割合と、準二級程度の英語力を有する高校生の割合をそれぞれ八〇%以上にすることを目指すこととしています。
 今後、英語で話す力を身につけさせる指導や、海外の人々と関わる取組をさらに充実させる必要があることから、中学校英語スピーキングテストを一、二年生にも広げて実施したり、都立学校の生徒が海外の生徒等と交流する機会を拡充したりなどの取組を進めてまいります。
 これらを通して、英語をツールとして使いこなしながら多様な人々と協働して課題を解決していく力を育成してまいります。

○土屋委員 グローバル人材の育成は、待ったなしの状況です。真のグローバル人材育成に向け、語学教育と人材教育とをしっかりと推し進めていただくことを要望し、次に移ります。
 文部科学省の調査では、東京都の公立小中学校の不登校の子供の数は、平成二十五年から連続して増加しており、また、都立高校においても、不登校の生徒は減少しない傾向にあります。
 こうした実態を踏まえ、都教育委員会は、区市町村が不登校の小中学生のために設置している教育支援センターへの支援や、不登校経験のある高校生などが通うチャレンジスクールの開校など、様々な取組を進めてきたところでありますが、不登校の子供を減らすためには、これらの取組に加え、さらに対策を強化する必要があると考えます。
 本定例会の代表質問において、我が会派からは、不登校の子供が教室に戻ることができるようにするための取組について尋ねたところ、小中高等学校において、学校の別室で子供に対応する支援員を新たに配置するとの答弁をいただきました。
 都教育委員会は、この支援員をどのように配置し、どのように取り組むのかお伺いいたします。

○浜教育長 来年度、都教育委員会は、別室であれば登校できる子供に対して、一人一人に応じた学びを保障できるよう、不登校の子供が多い小中学校二百九校、高等学校十七校に校内での別室指導支援員を配置いたします。
 この支援員は、子供の悩みや不安に寄り添い、相談を受けたり、教室とオンラインでつないで受ける授業の補助や、習熟度に合わせたドリル学習の支援など、個に応じた指導を行います。

○土屋委員 校内での別室指導支援員は、多くの学校に配置することが分かりましたが、支援員が配置されている学校はいいのですが、支援員が配置されていない学校でも、支援員の取組を参考として、不登校の子供の学習が着実に進められるよう対応していくべきと考えますが、都教育委員会の取組をお伺いいたします。

○浜教育長 来年度、都教育委員会は、校内での別室指導支援員による効果的な実践事例を収集し、データベースを作成して全ての学校で取組を共有できるようにいたします。
 このデータベースは、教職員が、例えば友人関係、生活リズム、学力など、不登校の背景等に関するキーワードを入力すれば、個々の子供に応じた支援の事例が閲覧できるよう工夫をいたします。

○土屋委員 不登校の個々の対応事例を収集していくことは、教員の対応力向上のみならず、根本解決につながる要因分析なども行いやすくなることから、できるだけ多くのデータを収集していただきたく思います。
 そして今後は、教育庁だけではなく、他局と横連携を図り、要因別にケアを行うアクションプランなどをつくっていっていただきたいと思います。
 次に、今定例会の我が会派の代表質問で、大人の伝統芸能体験について質問をしたところですが、子供たちの芸術体験も大切なことであります。
 都はこれまで、子供向けの体験事業として、伝統芸能や音楽、ダンスなどを実施してきましたが、新たな時代を生きる子供たちにとって、XRなど、デジタルテクノロジーを活用したアート表現に触れられることも重要であります。
 都は昨年、アート、デジタルテクノロジー、デザインの創造拠点、シビック・クリエイティブ・ベース東京を開設し、デジタル技術とアートに親しんでもらう取組などを展開していますが、子供や若者の体験の機会をさらに広げていくべきと考えます。
 シビック・クリエイティブ・ベース東京における子供、若者向けの取組が重要でありますが、都の見解をお伺いいたします。

○横山生活文化スポーツ局長 シビック・クリエイティブ・ベース東京では、子供や若者を対象に様々な体験プログラムを実施しております。
 人気のクリエーターを講師に招き、ロボットのプログラミングやゲームを通じてAIを学ぶワークショップなどを二十回近く開催いたしまして、千人を超える子供たちが楽しみながら創作活動に挑戦しております。
 また、大学生向けには、コンピューターによるデザインの基礎を学び、共同制作を行うプログラムも開催いたしました。
 来年度は、子供たちが企画から携わる夏休みのプログラムを実施するなど、内容を充実させまして、子供や若者が新たな表現に挑戦できる環境をつくってまいります。

○土屋委員 シビック・クリエイティブ・ベース東京では、様々な体験プログラムを通じて、子供たちから大学生までが楽しみながら新たな表現に挑戦していることが分かりました。
 今後、体験事業のさらなる充実を図っていくとのことですが、デジタルを活用したアートへの取組は多くの可能性を秘めています。
 この創造拠点では、ワークショップなどの体験プログラム以外にも、デジタルとアートが融合した幅広い事業展開を行うべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○横山生活文化スポーツ局長 この拠点では、トークイベントやセミナーを開催し、アーティストやクリエーターなどをゲストに迎えまして、メタバースなど、アートとデジタルテクノロジーの最先端の情報を提供しております。
 また、次世代を担うアーティストに対しまして、制作費支援に加えまして、トップクリエーターによるメンター制度の導入など、新たな表現の創出を後押ししております。
 今後は、企業や大学とアーティストとの交流など、国内外に広く開かれた創造拠点を目指してまいります。

○土屋委員 芸術文化は、全ての人々に感動や喜びだけではなく、新たな価値をもたらします。世界の潮流を捉えながら、この新たな取組が都市の魅力を高め、東京の文化を切り開いていっていただきたいと思います。
 次に、商店街振興について伺います。
 商店街は、住民の買物の場であるとともに、人と人との交流や子供の見守りなど、多様な機能を有しており、都民の日常生活に欠かせない存在です。
 私の地元世田谷にも百二十八の商店街がありますが、こうした商店街が持続的に発展していけるよう、都では商店街振興組合や任意の組織への加入を後押ししています。しかしながら、高齢化やコロナ禍の影響などもあり、これらの組織そのものが年々減少している状況です。
 こうした中、商店街が今後とも社会の変化に対応し、まちのにぎわいをもたらす重要な役割を果たしていけるよう、商店街組織の活動を支援していくことが重要であります。
 商店街振興組合などの組織を活性化させていく取組を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○坂本産業労働局長 商店街は、住民の日々の買物の場であるとともに、地域のコミュニティの核として重要な役割を果たしております。こうした商店街の発展を図る上で、そこで営業する店舗の連携を強化することは必要でございます。
 これまで都は、商店街の連合組織が地元の商店街と連携し、商店の加入促進を呼びかけるパンフレットの作成などに取り組む場合に支援を行ってまいりました。
 来年度は、商店街振興組合などが商店の加入促進に向け、地域の一体感とにぎわいを創出するイベントを開催する経費につきまして、都が十二分の七、地元自治体が三分の一を助成する制度を開始いたします。
 これによりまして、商店街の活性化を後押ししてまいります。

○土屋委員 都には引き続き、商店街組織の活性化や商店街に加入する店舗を増やすための取組への支援にしっかりと取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 私からも減税についてお伺いいたします。
 今定例会では、代表質問において三宅幹事長から、コロナ禍や物価高騰などの厳しい状況が続く中、都民に迅速かつ効果的に支援が行き届くよう、必要な対策を講じるべきと知事に伺いました。
 また、予算特別委員会においても菅野政調会長から、物価高騰などが落ち着き、厳しい経済状況が回復するまでの時限的な支援策として、今こそ減税を実施すべきと申し上げ、昨日の川松議員の質疑においても、令和五年度予算ベースでの減税の影響額を踏まえて、減税が可能かどうかについて、税制面、財政面から追及を行ったところであります。
 これまでの質疑を通じて、減税を行うことへの課題や問題意識についてはお伺いするものの、個人都民税の減税はできないという答弁はなかったものと認識しております。
 以前から申し上げておりますが、国の調査では、東京の中間層世帯の経済的豊かさは全国最下位であります。その上、コロナや物価高騰などの影響を受け、多くの都民の方々が全国でも最も厳しい状況に置かれているといっても過言ではありません。
 そこで、改めて、これまでにお聞きしている課題等は承知の上でお伺いいたしますが、こうした中間世帯層への支援として、実際に都の権限で個人都民税の二〇%減税することが技術的に可能なのかどうか、主税局長にお伺いいたします。

○小池主税局長 都は、地方税法で定められている標準税率を個人都民税の税率として都税条例で規定しており、税率を変更する場合には、条例の改正が必要となります。
 また、個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と合わせて課税、徴収しております。このため、個人都民税の減税を実施し、また、終了する際には、都内の全ての区市町村においてそれぞれ税務システムの改修が必要となるため、相応の費用と時間を要するものと考えております。
 都民生活の支援として個人都民税を減税することについては、所得が一定以下の方に対しては減税の効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。

○土屋委員 課題に対しては知恵を出し合いながら、より迅速かつ効果的に支援が行き届くよう、様々な取組と組み合わせながら対策を講じていくことが重要であると考えます。
 我が会派の、命を守る、東京を動かすというスローガンの下、都民の暮らしを守り、東京の経済の活性化につながる減税を含め……

○小宮委員長 土屋みわ委員の発言は終わりました。(拍手)

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