予算特別委員会速記録第四号

○菅野副委員長 次に、たかく則男委員の発言を許します。
   〔菅野副委員長退席、高倉副委員長着席〕

○たかく委員 それでは、順次質問させていただきます。
 最初に、医療的ケア児への支援について伺います。
 現在、都内では、医療的ケアの必要なお子さんは約二千名、私の地元世田谷区にも約百九十人いらっしゃると聞いております。
 私は、区議会議員のときより、医療的ケア児の家族の方からいろいろな相談をいただき、区内で受入れできる保育園や学校の整備、また、ショートステイができる障害者施設の拡充等に取り組んでまいりました。
 その中で、医療的ケアが必要なお子さんが、地域で個々の心身の状況に応じて安心して生活するためには、在宅生活を支えるサービスの充実が重要であると実感いたしました。
 現在、東京都では、都議会公明党の要望を受けて、重症心身障害児者や医療的ケア児等の在宅レスパイト・就労支援事業を行っております。
 この事業は、看護師が自宅に訪問し、家族が行っている医療的ケアを行うものであり、現在、年間九十六時間が利用限度であります。月にすると八時間、週にすると約二時間程度であり、利用者の方からは、時間数を拡大してほしいとのお声をたくさんいただいております。
 私も、昨年の厚生委員会でも質問させていただきましたが、この医療的ケア児の保護者支援は大変重要であり、時間数を拡大し、医療的ケア児とその家族へのさらなる支援を求めるところでありますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、医療的ケア児等の家族の休養や就労を支援するため、訪問看護師を家庭に派遣し、家族に代わって一定時間医療的ケア等を行う区市町村の取組を、在宅レスパイト・就労等支援事業で支援してございます。
 来年度からは、保護者のニーズ等を踏まえ、利用上限時間を年間九十六時間から百四十四時間に引き上げ、医療的ケア児とその家族に対する支援の充実を図ってまいります。

○たかく委員 令和五年度からは、年間九十六時間から百四十四時間に拡充されることは大変評価させていただきます。
 在宅レスパイト・就労支援事業を進めるに当たっては、まず、家族に代わって在宅で医療的ケアを担う看護師、そして訪問看護ステーションの存在が重要であります。
 そのためには、地域で医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションを拡充することが急務と考えます。見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は現在、医療的ケア児等への訪問経験がない看護師等を対象に、特有の症状や、症状に応じた在宅看護の方法などの講習を実施してございます。
 来年度からは、より多くの看護師が医療的ケア児に対応できるよう、呼吸管理などの基礎的な看護技術を学ぶ実技研修や、訪問看護に同行する実践的な研修を実施いたします。
 また、医療的ケア児に新たに対応する訪問看護ステーションに対して、必要な備品購入等への支援も行うなど、こうした取組を通じて、ステーションのさらなる拡充を図ってまいります。

○たかく委員 都議会公明党では今まで、訪問看護ステーションを拡充するために、看護師の実践的研修や受入れ支援などを求めてまいりました。
 新年度、訪問看護ステーションが拡充することにより、医療的ケア児への支援が大きく前進するものと期待いたします。
 また、都議会公明党はいち早く医療的ケア児支援センターの設置を提案し、昨年九月に、都立大塚病院内と都立小児総合医療センター内に開設され、運営が開始されました。
 開設された医療的ケア児支援センターにおいては、ご家族、また、区市町村からはショートステイの情報を求める相談が寄せられているとのことです。
 私も、医療的ケア児の家族から、ショートステイを申込みするのに大変苦労しているとのお声も聞いております。
 福祉保健局が令和三年度に行った、医療的ケア児の家族を対象とした実態調査でも、必要だが不足しているサービスとして、約四割がショートステイを挙げておりました。
 医療的ケア児やその家族への在宅生活を支える上で家族のレスパイト、行事への参加などで介護ができない場合など、このショートステイの充実は必須と考えます。見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、障害児とその家族の在宅生活を支えるため、病院や重症心身障害児の入所施設などで、重症心身障害児を主な対象とする短期入所の体制整備を図ってございます。
 来年度から、医療的ケア児に対応できる短期入所をさらに拡充するため、病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象として、人員配置や医療機器の整備への支援を行うとともに、開設時のポイントなどを紹介する説明会や、個別の事前相談、訪問を行い、事業実施を働きかけてまいります。
 こうした取組により、医療的ケア児とその家族が在宅で安心して暮らすための環境整備を一層進めてまいります。

○たかく委員 次に、都立特別支援学校における医療的ケア児に対する支援について伺います。
 特別支援学校では、都議会公明党の提案により、医療的ケア児の入学前から、保育所などの就学前施設等に看護師を派遣し、健康観察を行うことで、入学後の保護者付添いの時間を短縮していくモデル事業を実施しておりますが、早急に全校で本格実施すべきと考えます。
 また、その際には、看護師を保育所等に派遣する間も、校内で医療的ケアを実施する看護師が不足しないよう対応すべきと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 都立特別支援学校では、医療的ケア児の入学後に保護者の付添い期間を短縮する事業を実施しており、入学前から学校看護師が保育所等を訪問し、健康観察を実施するとともに、医療的ケアの内容の引継ぎを受けています。
 このように、看護師が保育所等を訪問し、学校を離れている間も、校内における在校生の医療的ケアを安全に実施できる体制を確保する必要がございます。
 そこで、都教育委員会は、必要となる非常勤看護師を追加配置することで体制を整え、令和五年度から本事業を本格実施いたします。

○たかく委員 令和五年度から本格実施するとのことです。
 まずは保護者の付添い期間の短縮を徹底することが重要でありますが、児童生徒の体調が安定しない等の理由で、付添い期間が長くなってしまう場合も想定されます。
 医療的ケア児支援法の趣旨を鑑みれば、やむを得ず保護者に付添いを依頼する場合でも、保護者が離職しなくて済むように、テレワーク等で学校で仕事ができるスペースなどの環境の確保が必要と考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 付添いが継続している児童生徒についても、一人一人の体調の安定状況等を確認しながら、順次校内での保護者の付添いがなくせるようにしています。
 それでもなお付添いが続く場合には、テレワークにより就労を継続する保護者を支援するため、校内において新たにモバイルWi-Fiルーターを貸与するとともに、モデル校にテレワークブースを設置することにより、テレワーク環境を整備してまいります。

○たかく委員 新たにモデル校にテレワークブースを設置するということで、大きく前進するものと期待いたします。
 保護者の負担は付き添うことだけではありません。特別支援学校では、児童生徒が医療的ケア専用通学車両に乗車できるまでの間は就学奨励費により福祉タクシーが使用されておりますが、費用が学期ごとの精算になっているため、多い人では一学期間で六十万円近く立替えになり、かなりの負担と聞いております。
 医療的ケア児が安心して通学できるよう、立替分を毎月にでも精算できるようにすべきと考えます。
 また、修学旅行等の宿泊学習では、医療的ケア児の保護者は付添いを求められておりますが、その際の費用は保護者負担となっています。
 こうした経済的な負担を軽減すべきと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 特別支援学校への就学に関する経費については、就学奨励費の支給により負担を軽減しています。
 医療的ケア児が利用する福祉タクシー料金は就学奨励費の対象であり、これまで学期末の精算としていましたが、令和五年度からは申請に応じて随時精算を可能といたします。
 また、宿泊学習の保護者付添い経費につきましては、これまで家庭の収入に応じて保護者負担が生じていましたが、家庭の収入によらず全額を就学奨励費で負担するよう改善いたします。
 これらにより、医療的ケア児の就学に関する経済的負担を軽減してまいります。

○たかく委員 福祉タクシー料金については、学期末を待たずに必要なときに精算可能。また、修学旅行等の宿泊学習での保護者付添い経費も全額就学奨励費で負担することになり、大きく保護者の負担軽減が図られることになりました。
 医療的ケアの必要なお子さんやその家族の方々が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるインクルーシブな社会の実現を目指す上では、今後ともさらなる支援が必要であり、着実な体制整備の推進を求めて、次の質問に移ります。
 次に、結婚支援について伺います。
 人口動態統計速報によりますと、昨年の出生数が初めて八十万人を下回り七十九万人台となりました。
 国立社会保障・人口問題研究所が二〇三〇年と推計していた八十万人割れは、八年ほど速いペースで少子化が進んでおります。
 このまま行けば、二十数年後にも、日本の人口は一億人を下回ることになるとの予測も出ております。
 少子高齢化が進展、六十五歳以上の高齢者の人口がピークになることで起こり得る問題を総称して、二〇四〇年問題といわれています。
 二〇四〇年以降は、労働人口が激減して労働力不足が深刻になるだけではなく、年金や医療費などの社会保障費も大幅に増大することが予想され、厚労省の試算でも、昨年度の社会保障給付費約百三十一兆円が二〇四〇年には約百九十兆円に増大することが予測で出ております。
 そういった意味からも少子化対策は待ったなしであり、公明党は昨年十一月に、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを発表。子供の幸せ最優先社会を目指し、少子化、人口減少の克服に向けた具体策を示したところであります。
 最初に、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の成長に至るまでの切れ目のない子育て支援の重要性について、知事のご所見を伺います。

○小池知事 少子化は想定を上回るペースで進行しておりまして、その要因には、未婚化、晩婚化、教育費、住居費の負担、仕事と育児の両立の困難さ、雇用の不安定化など、多岐にわたっております。
 このため、結婚支援の拡充をはじめ、ライフステージを切れ目なく支援する対策を充実強化いたしまして、迅速に取り組んでいくことといたしました。
 結婚を希望する人々が一歩踏み出せるよう背中を後押ししてまいります。妊娠、出産から、生まれた子供が健やかに成長するまで、継続的に寄り添って支えていく、こうした考えに立ちまして、少子化対策を強力かつ迅速に推し進めて、望む人誰もが、結婚、出産、子育てをしやすい社会の実現を目指してまいります。

○たかく委員 今、知事から、様々な施策を行うことが重要との答弁をいただきました。
 少子化の要因には未婚化、晩婚化、子育てにお金がかかるなど要因は様々あると考えております。
 要因の一つである未婚の課題について、内閣府が実施した調査では、未婚者に結婚していない理由を聞いたところ、男女とも、適当な相手に巡り会わなかったが五七%と過半数を占めておりました。
 二〇二〇年国勢調査による東京都の五十歳時未婚割合は、男性三二・二%、女性は二三・八%、いずれも全国一位。男性は約三人に一人、女性は約四人に一人が五十歳を過ぎても一度も結婚をしていないという状況であります。
 あくまでも結婚というのは、個人が自分の人生観に基づいて決定するものであり、するしないというのは個人の自由であります。
 しかし、結婚を希望しながら、もう一歩踏み出せないでいる方への後押しをするということは重要なことだと私は思っており、結婚に向けた機運醸成に取り組んでいくことが大事なことと考えております。
 結婚支援については、私の先輩の栗林元都議が平成二十四年の予算特別委員会で取り上げて推進してきました。
 知事も国会議員の頃から結婚支援に力を注ぎ、知事就任後も、結婚に向けた機運醸成に邁進してこられたとお聞きいたしました。
 来年度予算では新たに、出会いのきっかけ創出プロジェクトとして、交流イベントを実施するとしておりますが、来年度は、各局の持つ資源を有効活用するなど、庁内連携をさらに進めるとともに、民間の知恵もフルに生かして、東京都ならではの交流イベントにすべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は来年度、都の有する資源を最大限生かした多様な交流イベントを開催いたします。
 例えば、競技場で一緒にスポーツ体験を楽しむとか、隅田川や東京湾でのクルージングなど、東京の魅力を体感しながら交流するイベントを検討しております。
 実施に当たりましては、アイデアを民間から募集し、結婚を望む人が気軽に楽しく参加できるよう工夫いたします。
 今後、こうした取組が、より効果的に実施できるよう庁内連携を強化いたしまして、都を挙げて結婚への応援機運を高めてまいります。

○たかく委員 ありがとうございます。交流イベントは、民間からのアイデアを募ることになりますが、生活文化スポーツ局が中心となって、ぜひ、参加してみたいと思う魅力あふれるイベントにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、最近では、マッチングアプリで出会い、結婚につながっている人も多くなっております。
 一方、アプリで知り合った人からマルチ商法に誘われるなど、マッチングアプリを悪用した若者の被害が増えており、私のところにも相談が来ております。
 マッチングアプリを利用する本人にとっても、また、家族にとってもまずは安心・安全が何よりも重要であります。
 利用者が被害に遭わないよう取組を都が行うことが重要と考えておりますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 マッチングアプリの利用につきましては、業界では、自主基準ガイドラインを作成しております。都は、これに基づき運用している事業者の紹介なども行います。
 一方、アプリで知り合った人から、投資などのもうけ話を持ちかけられて、借金を勧められ、高額な契約をさせられたなどの相談が増えております。
 そのため、来年度は、利用に関してさらなる注意喚起を行うとともに、消費者トラブルについての相談対応を強化いたします。
 これらの取組によりまして、婚活に関心のある人が、安心して利用できる環境を整備してまいります。

○たかく委員 マッチングアプリを利用する人が安心して利用できるよう、しっかり取り組んでいただくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、スケートボード施設の整備について伺います。
 東京二〇二〇大会では、新たに採用されたスケートボード競技において、日本は、男子、女子ストリートで金メダル獲得、合計五つのメダルを獲得し、日本中に大きな感動を与えました。
 私は、昨年夏にオリンピック会場であった有明アーバンスポーツパークに伺い、東京二〇二〇大会一周年イベントのスケートボード都民体験会に参加いたしました。
 会場では、有名選手も出場されていて、子供から大人までたくさんの人でにぎわって、スケートボードの熱気を実感した次第です。
 昨年度、東京都では、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえ、また、多くの方からの要望を受け、都立公園におけるスケートボード場の整備を拡充することとなりました。
 今年度は、都立公園でのスケートボード広場の整備に向けた設置場所や整備内容についての調査を実施しているとのことですが、調査結果を踏まえ、今後どのように整備に取り組んでいくのかお聞きいたします。

○中島東京都技監 都立公園では、東京二〇二〇大会後の人気の高まりなどを踏まえ、スケートボードができる広場を拡充することとしております。
 今後の整備に向けまして、今年度は、利用に伴う騒音の影響や安全に利用できる場所などを調査し、公園利用者や地域住民の理解を得られるような施設の条件を検討してきました。
 来年度は、候補となる場所、施設の内容、管理運営の在り方などを示した基本的な考え方を取りまとめ、それに基づき設計に着手する予定でございます。

○たかく委員 今の答弁では、基本的な考え方を取りまとめ、それに基づき設計に着手する予定とのことです。
 スケートボード施設整備を早期に進めることを要望いたします。
 新規の施設整備も重要でありますが、既存の施設を充実させることも必要であります。
 都立公園内で最初にできたスケートボードパークは駒沢公園です。駒沢公園のストリートスポーツ広場、いわゆる通称SS広場には、地元のスケーターの人たちが一九九〇年代から自主的に利用し、競技スペース確保のために粘り強く東京都との交渉を重ね、当時の石原都知事に働きかけ、二〇一一年に正式な施設となったと聞いております。二〇一六年には、防音とけが軽減のために路面を円滑にするリニューアル工事が行われました。
 先日私も現地視察に伺いましたが、土日はたくさんのスケーターでごった返している状況でした。
 私は、このSS広場の立ち上げから関わってこられた地元の利用者の方から、この混雑緩和のためにパークのさらなる拡充、そして、六年経過し路面塗装も傷んでいるところもあることより、利用者がけがなどしないよう安全なパークにしてほしいとの要望もいただいております。
 都立公園初、スケートボードの聖地といわれるこの駒沢公園SS広場こそ、今まで以上に都民に親しまれ、安全かつ快適に利用できるスケートボードパークとして再整備を含め、検討していくべきと考えますが、見解を伺います。

○中島東京都技監 駒沢公園のスケートボードを楽しめる広場は、大変人気があり、特に休日には多くの方に利用されております。
 このため、日頃より利用者が安全かつ快適に利用できるよう、施設の維持補修等を適切に行いますとともに、混雑時には利用者間で譲り合うルールを設定するなど、安全な管理に努めているところでございます。
 今後、施設の老朽化や公園の利用状況などを踏まえまして、さらに利用しやすい広場となるよう取り組んでまいります。

○たかく委員 利用者のニーズをしっかりとヒアリングしていただき、この駒沢公園のSS広場がよりよい施設となるよう、そして、皆さんから本当に喜んでいただける施設となるよう取り組んでいただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、調節池等の整備促進と下水道事業の浸水対策について伺います。
 二〇一九年の台風十九号では、世田谷区内の多摩川流域で溢水、そして内水氾濫など大きな被害が発生いたしました。
 私はそのとき、消防団員として夜遅くまで地元の警備に着任し、朝一で多摩川の浸水した現場に駆けつけて、その状況を見て、さらなる水害対策の必要性を痛感いたしました。
 こうした被害を受け、水害に対する住民の関心は高まってきており、私どもの地元を流れる野川、仙川においても新たな調節池を整備してほしいとの要望をいただいております。
 野川については、令和三年度に野川大沢調節池が稼働していますが、野川沿いには、より多くの調節池が必要であり、また、仙川については、調節池が整備されていない状況であります。
 東京都は一月に、「未来の東京」戦略version up二〇二三を公表し、調節池整備を着実に進めるとしております。
 河川氾濫を防ぎ、水害から都民の命と暮らしを守っていくためには、野川、仙川の調節池の整備をより一層スピードアップしていくことが重要でございます。
 野川、仙川の新たな調節池整備に向けた取組について伺います。

○中島東京都技監 水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要でございます。
 野川流域河川整備計画では、野川において総容量約八十万立米、仙川において約二十六万立米の新たな調節池の整備を位置づけております。
 現在、その候補地や構造形式の選定などの検討を進めておりまして、このうち仙川で、来年度、貯留量約四万立米の仮称仙川第一調節池を事業化し、関係機関との協議を進めながら、基本設計を実施していきます。
 今後、新たな調節池の事業化に向けた検討を加速し、野川流域の安全性を高めてまいります。

○たかく委員 仙川の新たな調節池の事業化により、水害対策が強化されるとのことです。野川流域河川整備計画に位置づけられている必要な調節池がまだまだ残っているために、今後一層の調節池の整備を進めるよう要望いたします。
 そして、下水道事業における浸水対策についてです。
 近年、集中豪雨の頻発や台風の大型化などにより全国各地で浸水被害が多発しております。
 これからも気候変動の影響により降雨量が増加していくことも予想されており、さらなる下水道浸水対策の強化が求められております。
 世田谷区には、坂道やくぼ地などの地形が多く、そのような場所では過去にも何度も浸水被害が発生しております。
 そのために、私は、令和三年度の一般質問において、下水道局の経営計画二〇二一から新たに追加された世田谷区野毛地域などの三地区の検討状況について質疑いたしました。当該三地区については、経営計画二〇二一の期間である令和七年度までの着手を目指すとの答弁をいただきましたが、その後も調査設計などが着実に進められていると聞いております。
 浸水対策は、大規模な下水道施設の整備が必要となり、事業用地の確保や対外調整など時間がかかることからも、下水道局では、昨年、下水道浸水対策計画二〇二二を策定し、世田谷区内の代沢、八幡山、南烏山の三地域を含む都内十地区を新たな重点区域に選定し、計画的に浸水対策を推進することになりました。
 TOKYO強靱化プロジェクトの推進に合わせ、下水道事業の浸水対策をスピードアップ、レベルアップして取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○奥山下水道局長 下水道局では、長期的な視点で浸水対策を推進するため、昨年三月に計画期間を十五年とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定いたしました。
 本計画では、区部の目標整備水準を一時間五十ミリ降雨から七十五ミリ降雨へとレベルアップするとともに、浸水実績に加え、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水のまとまった発生が予測された地域を対象に、十地区を新たに重点地区として位置づけました。
 このうち、お話の世田谷区内の三地区において、今年度から調査設計に取り組んでおり、他の地区につきましても、早期事業化を図ってまいります。
 今後、来年度改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、気候変動に対応した浸水対策をさらに進めてまいります。

○たかく委員 集中豪雨の頻発や台風の大型化などで浸水被害が多発している昨今、戦略的な下水道浸水対策をスピードアップして、また、レベルアップして進めていくことを求め、次の質問に移ります。
 次は、消防団活動について伺います。
 消防団は、日頃から仕事を持ちながら、災害が発生した際には地域防災のリーダーとして、平常時、非常時を問わず、地域に密着し住民の安心と安全を守る重要な責務を担っております。
 私も十五年前から世田谷消防団の一員として活動させていただいております。
 さて、各消防団の分団には、可搬ポンプや可搬ポンプ積載車を格納する分団格納庫があります。
 格納庫以外に災害時のポンプ車や資機材の格納、また、分団会議や災害時の分団員の待機する分団本部が必要でありますが、地元世田谷区においては、その分団本部がない分団もあります。
 地元の分団からは分団本部施設の早期の整備を強く求められております。現在の特別区での分団本部の設置状況を含め、見解を伺います。

○清水消防総監 特別区消防団の分団本部施設は、平時はもとより、大規模災害時等に消防団員が参集し、長時間の活動を行うための拠点として重要な施設でございます。
 このため、東京消防庁では、分団本部施設の規模、機能及び設備が十分でない分団や老朽化の著しい施設を優先して整備に取り組んでおりまして、現在、面積要件などの基準を満たす施設は、全体の約八五%に当たる三百七十五棟でございます。
 今後、都有地のさらなる活用を図るとともに、各区をはじめ関係機関と連携して用地を確保するなど、分団本部施設の計画的な整備に努めてまいります。

○たかく委員 災害時における分団本部は、消防団員が参集し、長時間の活動を行う上で必須の施設であります。特別区消防団の分団本部は、まだ六十四か所、六十四棟が未整備と聞いております。
 分団本部の整備促進を強く求め、次の質問に移ります。
 次は、木密地域の不燃化の取組について伺います。
 今年は関東大震災から百年目の節目の年になります。
 自然災害の危機に直面する中にあっても、都民の生命と財産を守り、日本を支える首都東京の機能や経済活動を維持していくために、東京都は昨年十二月、TOKYO強靱化プロジェクトを策定いたしました。
 国の地震調査委員会によると、首都直下型地震の発生確率は今後三十年で七〇%とされており、災害対策は喫緊の課題です。
 東京都は、東日本大震災の発生も踏まえ、燃え広がらない、燃えないまちの実現を目指す、木密地域不燃化十年プロジェクトを平成二十四年にスタート。令和二年に、防災都市づくり推進計画を改定し、不燃化特区制度を令和七年度まで五年間延伸し、重点整備地域を中心に整備地域の不燃化を加速させることにしております。
 現在、東京都では、令和十二年度までに全ての整備地域において不燃領域率七〇%の達成を目指すとしており、不燃化特区制度を活用しながら六四%まで向上してきたとのことであります。
 世田谷区でも五地区で不燃化特区制度を活用しながら、木密地域の不燃化を積極的に進めておりますが、いずれもまだ七〇%には到達できておりません。
 今まで以上に不燃化を加速させる上からも、今後、重点整備地域を含む整備地域全体への支援をさらに充実、拡充すべきであります。
 不燃化特区制度の効果に対する都の認識と併せて見解を伺います。

○福田都市整備局長 不燃化特区制度は、重点整備地域において、老朽建築物の除却や建築設計への助成など特別な支援を行うことで、重点整備地域外の整備地域よりも不燃領域率を向上させ、市街地の不燃化を確実に牽引してまいりました。
 さらなる不燃化に向け、不燃化特区制度の支援メニューに、来年度から、建築工事への助成を新たに追加いたします。
 あわせて、重点整備地域外の整備地域でも、新たに、老朽建築物の除却や建築設計への助成などの支援を開始いたします。
 これらの取組により、木密地域の不燃化を加速してまいります。

○たかく委員 今、答弁で、新たに建築工事費の助成を実施するということについては、我々、この世田谷でも不燃化特区を進める上で大きな前進になると考えております。
 こうした事業を着実に進めていくためにも、まずはそこに住む都民の皆様に、取組を知ってもらうことも重要です。しっかりと区と連携をしながら、しっかり取り組んでいただきたいことを要望いたします。
 それから、大規模地震や大型台風などの自然災害では、電柱倒壊による道路閉塞や断線等により、避難や救急活動への支障、また、停電や通信障害が生じており、無電柱化の推進は喫緊の課題であり、重点整備地域での私道等の無電柱化の取組を着実に加速させるべきです。
 取組の課題を踏まえ、見解を伺います。

○福田都市整備局長 木密地域では、震災時における避難や消火、救援活動をより効果的に進めるため、区道に接続する私道等の無電柱化を推進することが重要でございますが、私道等は幅員が狭く、権利関係が複雑であるなどの課題がございます。
 都は今年度から、重点整備地域において、私道等における無電柱化に対する補助を開始しており、まずは、無電柱化計画のある路線に接続する私道等について、区が行う土地権利調査等を支援しております。
 来年度から、災害時の危険度が高いエリアである、整備地域と防災再開発促進地区を補助の対象地域に追加し、無電柱化のさらなる面的展開を図ってまいります。

○たかく委員 区と連携して進めていただくことを要望いたします。
 最後に、障害者施設での工賃アップに向けた取組について伺います。
 以前より私は、障害者施設に伺い現場の声をお聞きし、障害者の工賃向上に向けた取組を区議会でも取り上げてまいりました。
 障害のある方が、しっかりと工賃向上に向けて取組をしていく上でも、販路拡大、これを進めていくことは重要であります。
 しかし、三年前からの新型コロナウイルス感染症の影響で、イベント等も開催されなくなって、そこでの売上げが大幅に減少している状況で、今、大変に障害者施設は厳しい状況にあります。
 私の地元世田谷区では、区内の障害者施設で作ったパンやクッキーなどを区が主催するイベントや区立の施設等で販売されています。
 東京都の施設においても、例えば都営交通の駅構内では五か所で障害者施設の物品の販売を実施していると聞いております。
 今後、都立高校においても福祉事業所への販売場所の提供が進むように取り組むべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 都立学校では、現在、二十三校において障害者施設で製造したパンなどの食品の出張販売等が行われております。
 出張販売等が行われている学校からは、手作りで、非常に丁寧に作られているのが分かる、価格が安く、味もよいなどの声が聞かれます。
 今後、都教育委員会は、こうした学校の事例について、多くの都立学校に紹介するなど、各学校の実態に応じた取組が促進されるよう、情報提供を行ってまいります。

○高倉副委員長 たかく則男委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩します。
   午後三時十一分休憩

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