予算特別委員会速記録第四号

○小宮委員長 菅原直志副委員長の発言を許します。
   〔委員長退席、菅野副委員長着席〕

○菅原委員 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
 昨年六月の都議会定例会の一般質問にて、孤独、孤立対策を取り上げて、小池都知事からは、社会情勢の変化を的確に捉え、国や関係機関との連携も強化しつつ、人々の不安や困難に寄り添った包摂的な社会の実現に向けて全庁を挙げて取り組む、こういう答弁をいただきました。
 先週、三月の三日、国は、孤独・孤立対策推進法案を閣議決定いたしました。地方自治体に対しても、孤独、孤立対策を検討する官民協議会を設ける努力義務を課すようです。
 本年一月に公表された東京都の「未来の東京」戦略version up二〇二三では、重点政策の一つとして孤独、孤立対策を取り上げています。
 まずは、都における孤独、孤立の問題に対する認識と、今回強化を図った内容について伺います。

○中村政策企画局長 核家族や価値観の多様化等により社会構造が大きく変化し、人と人とのつながりは希薄化の一途をたどってきております。
 こうした中で、コロナの長期化がありまして、孤独、孤立の問題が顕在化、深刻化している。このようなことから、誰一人取り残さない社会の実現に向け、取組の強化が必要となっております。
 これまで、組織横断の孤独・孤立対策プロジェクトチームで検討を進めており、今回の戦略のバージョンアップでは、自殺総合対策計画の改定や、子供、子育て家庭向けのバーチャルな居場所づくりなど、包括的、分野横断的な取組を拡充しております。
 さらに、困難を抱える若者や女性、ひきこもりの方々等、個々の状況に応じたきめ細かい支援も盛り込ませていただきました。
 今後とも、国の動きも注視しながら、人々に寄り添った施策を推進してまいります。

○菅原委員 今回は、孤独、孤立を軸に、都が取り組むべき課題について質疑をいたします。まずはトー横問題です。
 東京都は、青少年問題協議会の中で、犯罪被害のリスクを抱える青少年対策についてとして取組を始めます。まずは、この課題に取り組む基本的な認識を確認します。
 いわゆるトー横には全国から子供たちが集まるため、都民ではない子供たちが多いと想定されます。都に住民票があろうがなかろうが、都が抱える問題であることは間違いありません。東京の問題として全ての子供たちと向き合うべきで、都としての総合的な取組が必要と考えています。
 青少年問題協議会を立ち上げ、検討を開始した経緯と今後の予定について伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 青少年が、いわゆるトー横で児童買春などの犯罪被害に遭う事案等が発生している状況を踏まえまして、都は現在、青少年問題協議会に諮問し、施策の方向性について検討しております。
 今後、同協議会におきましてさらに議論を深め、今年の夏を目途に答申を取りまとめることを目指してございます。

○菅原委員 今年の夏を目途に諮問に対応していくということです。
 都として、トー横の問題を看過することなく対策を講じ始めている点について評価をいたします。検討を着実に進めていただきたいと思います。
 青少年問題協議会の答申を受けて、都が施策を検討するには少し時間がかかると感じます。協議会の議論を待つこともなく、今できることを都が行うことは重要です。
 来年度、都としてのトー横対策について伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は来年度、トー横などの繁華街に集まる青少年の性被害等を未然に防止することを目的としまして、普及啓発事業を実施いたします。
 具体的には、青少年に影響力のあるタレントを活用した啓発イベントや、SNSによる情報発信などを行います。
 今後とも、警察等の関係機関と連携しつつ、各種対策を推進してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 私は、何度もこの歌舞伎町の現場に足を運んで、現状を見てまいりました。
 トー横キッズはただ集まっているだけです。しかし、その隣には多くのリスクがあります。未成年飲酒や喫煙、オーバードーズやリストカット、パパ活と称した売春行為、万引きや強盗などが日常茶飯事です。さらに、ホストやコンセプトカフェでは、未成年の不法な就労や法外な借金などが行われています。
 この不法就労や法外な借金については、東京都の条例などの解釈で取締りができる可能性もあるように思います。今後の取組を要望いたします。
 特定妊婦について伺います。
 特定妊婦の制度は、貧困やDV、若年妊娠などの社会的な事情を抱えている妊婦を自治体が支える仕組みです。
 特定妊婦の中には、住居のない漂流する妊婦もいます。住民票と違う地域に生活している場合もあり、母子手帳すら受け取れない妊婦がいますし、それまでの経験から、そもそも行政や医療とつながることを拒否する妊婦もいます。
 私は、様々な事情を抱える特定妊婦を受け入れ、出産前から出産後まで、議論をしてまいりました。妊婦の自殺の時期は、妊娠二か月が突出して多いということも教えていただきました。特定妊婦に対する基礎自治体の取組は重要で、命を守る崇高な理念の下、着実に行われていると思います。
 特定妊婦が統計上、この十年で八倍に増えている現状や、漂流する妊婦が東京に集まる傾向があることを鑑み、さらなる取組が必要と考えております。
 グラフをご覧いただければと思います。(パネルを示す)例えば国の補正予算により、特定妊婦等支援整備事業、特定妊婦等支援臨時特例事業として、特定妊婦のケアつき居住支援が可能になりました。
 具体的には、民間団体などが運営する、妊婦のケアサポート機能つき一時的な居住地の拡充に活用できるものです。しかし、東京都はこの事業を活用していません。
 都としても、国の事業スキームを活用して、特定妊婦の出産を支え、その後の生活再建を支える取組を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都内では、様々な事情で産前産後の時期を一人で迎える方に対し、妊産婦支援に特化した婦人保護施設が、出産やその後の生活について相談対応も含め支援をしており、都はこの取組に補助をしてございます。
 また、十八歳未満で支援が必要な妊産婦については、児童相談所が婦人保護施設のほか、里親やNPO法人のシェルターなどに一時保護委託し、出産後も母子ともに継続的に支援してございます。
 令和六年に、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行されるに当たり、都は、今後国から示される基本方針に即して基本計画を策定する予定であり、この中で、支援の必要性の高い妊産婦の居場所についても検討してまいります。

○菅原委員 次は自殺対策について伺います。
 新しい自殺総合対策計画の策定の資料を読んでいくと、児童生徒、学生をはじめとする若年層が自殺に追い込まれることを防ぐとして、自殺を防ぐ記述があります。このことは、ぜひ進めていただきたいと思います。
 反面、児童生徒、学生などの若年層が自殺に至った場合、未遂でも既遂でも、本人や家族、遺族への対応も重要になります。
 私は、今まで幾つかの自殺事例に関わる中で、学校側の対応への不満などを聞いてまいりました。
 教育委員会は、自殺予防には力を入れていると思いますが、自殺した後、ポストベンションといいますが、このポストベンションの対応を想定していないのではないかとも感じます。
 このたびの計画策定の中で、自殺未遂への対応や残された方への支援が明記されています。ここに教育委員会や学校現場の対応も組み込むべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、子供に自殺を企図する兆候が見られた場合などに、学校が関係機関等と連携して本人や家族に適切に対応できるよう、文部科学省や都教育委員会が作成した資料の活用を促すなど、教職員の理解を深められるようにしてまいりました。
 自殺に追い込まれるという危機は誰にでも起こり得るとの認識に立ち、今後とも、各学校において自殺対策の取組が確実に行われるよう徹底を図ってまいります。

○菅原委員 私は三十年にわたり、自殺で親を失った子供たちの話を聞いてきました。
 近しい人が自殺をするというのは、人生観を変えるほどの衝撃です。その衝撃的な経験から生まれてくる症状を、悲嘆、グリーフといいます。グリーフは人によってそれぞれ違いますし、時間の経過とともに変化もしていきます。自分ではコントロールできないものです。年齢に関係なく、グリーフを受け止めてくれる環境が必要です。
 私は、学校には、近しい人の自殺という経験をした子供たちに徹底的に寄り添って、一人の悲嘆経験を全力で受け止める力があると思っています。そこから生きる力が生まれてくると信じています。
 令和四年十月に閣議決定された自殺総合対策大綱では、自殺に対する基本認識として、自殺は誰にでも起こり得ると明記されています。さらに、学校、職場での事後対応の促進や、児童生徒の自殺対策に資する教育の実施なども具体的に明記されています。
 東京都は、自殺総合対策の計画の改定を進めていますので、その中で十分に精査していただくよう要望をいたします。
 自殺総合対策計画の改定に当たり、どのような関係部局が関与していくのか、また、計画に掲げた取組を進めるに当たり、関係部局はどのように連携していくのかを伺います。

○西山福祉保健局長 都は今年度、次期自殺総合対策計画の策定に当たり、福祉、経済、労働、教育等の関係機関や区市町村等から成る自殺総合対策東京会議で議論を重ね、福祉保健局のほか、産業労働局、生活文化スポーツ局、教育庁など七局、九十七の施策を計画に盛り込みました。
 今後、計画に掲げる取組を着実に実行するため、関係各局が参加する庁内連絡会議等を通じて施策の進捗状況を確認し、効果的な取組に向けた意見交換を実施するとともに、関係機関が緊密な連携を図り、自殺対策を強力に推進してまいります。

○菅原委員 今ご答弁のあった自殺対策推進庁内連絡会議には期待をします。
 この庁内連絡会議には、庁内の関係各局が参加するとのことですが、福祉保健局や産業労働局は当然として、若者の自殺対策を進める視点から、生活文化スポーツ局や教育庁、交通局が参加していることは重要です。
 さらに、自殺の現場には警察官が立ち会う場合が多いと伺っています。警察官にはゲートキーパー講座の受講を行うことで、未遂の当事者やご遺族への声かけの配慮などを徹底していただきたいと思います。
 また、現場に関わった警察官は強いストレスを感じる場面もあります。職員自身のメンタルヘルスの視点も重要です。
 警視庁も庁内連絡会議のメンバーに入っているとのことですので、さらに取組を進めていただくことを要望いたします。
 知事のリーダーシップの下、自殺対策の取組を進めることが必要と考えます。知事の見解を求めます。

○小池知事 私は、東京大改革二・〇の中で自殺対策の強化を掲げておりまして、その実現に向け、全力で邁進をいたしております。
 自殺の背景は様々な要因が複雑に絡み合っていることから、自殺対策は社会全体で取り組むことが必要であります。
 今月末に公表いたします次期東京都自殺総合対策計画におきましては、生きることの包括的な支援として、幅広い分野で施策を取りまとめております。
 誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けまして、私が先頭に立って、区市町村や関係機関と一丸となり、都民のかけがえのない命を守る取組を進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 多摩動物公園のことを伺います。
 日野市にとって、多摩動物公園は特に重要な観光拠点です。多摩動物公園と日野市が連携することで、地域のにぎわいの創出や活性化が期待できます。
 例えば、定期的なイベントを開催し、地元の農産物の販売や、コロナ禍で増えたキッチンカーなどを出店することで、動物園への来場者にも喜ばれると思います。
 日野市制六十周年を踏まえた多摩動物公園での日野市と連携した記念イベントなどの実施について伺います。

○中島東京都技監 都立動物園では、第二次都立動物園マスタープランに基づき、地元自治体など地域との連携を積極的に進めることとしております。
 多摩動物公園では、本年、地元日野市が市制六十周年を迎えることから、市と共同で記念イベントを五月に開催いたします。
 具体的には、市の観光PRやキッチンカーを活用した地元物産品の販売のほか、多摩動物公園の希少動物に関する講演やガイドツアーなどを実施いたします。
 今後も、地元と連携し、地域の活性化に貢献してまいります。

○菅原委員 このような取組は継続的に行うことも大事だと思います。
 コロナ禍でミニマムツーリズムの考え方が注目されてまいりました。動物園での楽しみ方を多様な視点から検討することを提案いたします。
 例えば千葉県では、動物園に宿泊するグランピングなども始まりました。動物への配慮は当然ですが、敷地の広い多摩動物公園なら、いろいろな可能性が議論されてもいいと思います。
 ミニマムツーリズムの視点から、貴重な観光施設である多摩動物公園において、新たな視点で魅力向上を図ることも有益と考えますが、見解を伺います。

○中島東京都技監 多摩動物公園では、園の魅力向上を図るため、飼育動物の本来の行動を引き出す環境エンリッチメントや地形を生かした行動展示などの工夫を行っております。
 また、日中とは違った動物の様子を楽しめるナイトツアーの開催など、様々な取組を行っているところでございます。
 さらに、来園者の多くは都内の中学生以下であることから、園の内外において自然環境や野生動物の観察会などの体験型プログラムを実施しております。
 こうした取組を通じまして、地域に根差した動物園として、さらなる魅力向上を図ってまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 多摩動物公園への重要なアクセスの路線として、京王線の多摩動物公園駅があります。この多摩動物公園駅の無人化の実証実験が始まる見込みです。
 多摩動物公園駅というのは、子供たちの遠足に使われるなど、駅の構造に不慣れな子供たちの集団が使います。ホームでの転落事故の危険性もあり、懸念の声が上がっています。
 京王多摩動物公園駅の無人化計画と安全性の確保について伺います。

○福田都市整備局長 鉄道駅の安全対策は、安全な運行の責任を負う鉄道事業者が自ら取り組むことが基本でございます。
 駅員の配置については、各鉄道事業者において、駅の状況に応じて適切に対応すべきものでございます。
 お話の京王電鉄では、多摩動物公園駅において、一部時間帯の係員無配置化に関する実証実験を始めるとして、窓口にカメラ付インターホンを設置し、ホーム上にはカメラを増設して近隣駅とつなぐなど、利用者の安全性と利便性に配慮した対策を行った上で、地元への説明会を実施したと聞いております。
 今後は、こうした対策の効果も見ながら、地元の意見も聞き、慎重に段階を踏んで進める計画であると聞いております。

○菅原委員 多摩動物公園駅の無人化が事業者の経営判断としてやむを得ないのであれば、例えばホームドアを整備してからにすべきではないかと思います。都の見解を伺います。

○福田都市整備局長 駅の無人化を行う場合の安全対策は、駅の利用特性などを鑑みて、鉄道事業者が実施すべきものでございます。
 国は、令和四年七月に、駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインを公表し、利用者の安全性、利便性確保に係る具体的な目安を示しました。
 そこでは、望ましい無人駅のイメージとして、遠隔監視装置など情報機器の設置やホームドアの整備などが挙げられ、できることから実施するよう求めております。
 都は、利用者の安全等の確保を図るため、ガイドラインで示された内容も踏まえ、鉄道事業者にハード、ソフト両面から適切な対策を求めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。事業者にハード、ソフトの両面から適切な対策を求めると、貴重な答弁をいただきました。
 今回の新型コロナウイルス感染症の経験から、一度感染症が広がった場合、多くの社会的な経費が投入されるという経験を私たちはいたしました。
 感染を未然に防ぐというワンヘルスの視点からの社会投資というのがありまして、感染症が拡大した場合の経費と比較すると僅か二%、こういう試算もあって注目を浴びています。
 私は、今後も増え続ける動物由来の感染症に対応することも踏まえた取組が必要なのではないかと思います。人、動物、生態系の三つの健康を一つのものとしてみなして守っていくためのワンヘルスという考え方は、感染症だけではなくて生物多様性の保全などにも関わります。
 動物由来の感染症のリスクは高まって、ワンヘルスの考え方が議論されていますが、都としての見解を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、人、動物、生態系の健康を一つと捉えまして、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が広まっております。
 都は、動物由来感染症の発生動向の監視や、感染症の正しい知識の都民に対する啓発、野生動物が生息する自然環境の保全などに取り組んでおります。
 今後とも、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けまして、関係者が互いに連携協力して施策を実施してまいります。

○菅原委員 ワンヘルスとは決して動物だけの話ではなくて、人、動物、環境がお互いに関係し合うという視点で進めていただきたいと思います。まずは、関係する部局で研究を進めていただくことを要望いたします。
 東京都の教員不足の話に移ってまいります。
 今年の春には約五十人の不足がありました。そして、夏休み明けには約百三十人となりました。現在も、大きな改善は難しいという状況だと聞いております。
 教員の確保について、これまでの取組と今後の方向性について伺います。

○浜教育長 教員確保に向けて、都教育委員会は今年度、採用セミナー、TOKYO教育Festa!の初開催や、転職サイトでの社会人向けPRの充実などにより、幅広い層から志望者の掘り起こしを行ってまいりました。
 今後、これまでの取組に加えて、増やす取組としての応募人員増加、減らさない取組としての安心して働ける職場環境の整備、そして教員の負担軽減のための外部人材のさらなる活用を三つの柱として、より複合的な視点から対策を強化してまいります。

○菅原委員 増やす取組、減らさない取組、そして外部人材のさらなる活用、この三本柱で教員を確保するという方向性が示されました。
 ではまず、増やす取組について具体的な内容を伺います。

○浜教育長 教員を増やす取組として、志望者の増加に向けて、多様な層が東京の教員をより目指しやすい仕組みに変えてまいります。
 学生向けには、大学三年生での採用選考の一部前倒しや合格発表の九月下旬への前倒しを行い、受験意欲を喚起してまいります。
 また、社会人向けには、選考時に免許を持たない方も受験できる特例選考について対象を二十五歳まで引き下げるとともに、都を中途退職した教員の復帰を促すカムバック採用を開始いたします。
 さらに、免許取得後、企業等に就職し、実際に教壇に立ったことのない方や教員復帰者が安心して着任できるよう、任用前に講習を実施します。

○菅原委員 次に、減らさない取組ということも提示されました。具体的な内容を伺います。お願いします。

○浜教育長 教員を減らさない取組として、まず、メンタルヘルス面でのサポートを強化するため、臨床心理士等が小中学校を訪問し、その学校の全教員と面談を行うアウトリーチ型相談事業を拡大いたします。
 また、新規採用教員が円滑に職務に取り組めるよう、定年退職した管理職等が小中学校において学級経営等をサポートする取組を拡大します。
 さらに、職員室において、動線や机の配置などを工夫することで教員同士のコミュニケーションの円滑化を図るなど、安心して働ける職場環境の整備を進めてまいります。

○菅原委員 教員を増やすだけではなくて、やりがいを持って働き続けていただくために、教員の負担軽減というのは重要です。そのためには、必ずしも教員が直接行う必要がない業務に、外部人材を積極的に活用していくことが有効です。
 都教育委員会はこれまでも、多くの外部人材を配置し、一定の効果は出てきていると認識していますが、働き方改革を確実に進めていくためには、さらに外部人材の配置を拡大すべきではないでしょうか。
 教員の負担軽減を図る外部人材の活用について、来年度の取組を伺います。

○浜教育長 これまで、スクールサポートスタッフを希望する全ての小中学校に配置してまいりましたが、来年度からは、時間外労働が多い学校に約百人追加配置し、約二千人の配置ができるようにいたします。
 また、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校一年生から三年生までを対象に、学級担任の業務を補佐するエデュケーションアシスタントを一自治体から五自治体に拡大して配置いたします。
 これらの取組により、教員の負担軽減を図り、子供たちと向き合う時間をより多く確保することで教職の魅力を高めてまいります。

○菅原委員 次に、コミュニティスクールについて伺います。
 コミュニティスクールの導入というのは学校改革の一つの手段です。コミュニティスクールは教育委員会が設置するもので、校長が作成する学校運営の基本方針を承認すること、学校運営に対して意見をいえる、教職員の任用に関して教育委員会に意見を述べることができるなどの役割があります。
 まずは、コミュニティスクールの意義と区市町村立小中学校の導入状況について伺います。

○浜教育長 中央教育審議会の答申では、学校が抱える複雑化、困難化した課題を解決し、子供たちの生きる力を育むために、地域住民等の参画を得た学校運営が求められており、地域と共にある学校を実現していく上で、コミュニティスクールは一つの効果的な仕組みとされております。
 コミュニティスクールは平成十六年に制度化され、平成二十九年には、地域との連携、協働体制を組織的、継続的に確立するため、各学校への設置が努力義務とされました。
 都内区市町村立小中学校の導入状況は、令和四年五月一日現在で七百十四校、導入率三八・一%となっております。

○菅原委員 杉並区立桃井第四小学校では、ももしサーモン計画として、第四小学校を卒業した大学生などが、地域の一員として学校を支援するために学校に戻ってくるという取組があります。
 今後、コミュニティスクールを活性化させるためには、このサーモン計画のような取組の視点も取り入れていくべきと考えます。都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会はこれまで、コミュニティスクールの導入事例や優れた取組等を紹介する研修会を開催するなど、コミュニティスクールの導入を推進してまいりました。
 昨年十二月に開催したコミュニティスクール推進フォーラムでは、卒業生である大学生が学校運営に携わっている杉並区立桃井第四小学校の取組や、小学校と中学校で一つの学校運営協議会を設置し、地域住民等により、主体的な学校運営が行われている板橋区立板橋第五中学校と板橋第四小学校の取組を紹介いたしました。
 今後も様々な事例を学校へ紹介することで、コミュニティスクールの意義を伝え、導入促進を図ってまいります。

○菅原委員 学校の運営に地域住民が参画することに対する抵抗というのもあるようですが、地域全体で学校を支える仕組みが定着をすることで、そのような不安も軽減できるように思います。ぜひ進めていただくよう要望をいたします。
 私は、二〇二二年秋の都議会決算特別委員会において、学校の通信簿の在り方というのを取り上げました。
 先日、NHKのニュースでは、通信簿での評価をやめて、児童の成長を認めることに主眼を置いた面談形式を導入しました神奈川県茅ヶ崎市の香川小学校の取組が報道されておりました。私も、昨年秋にこの香川小学校を視察して、状況を伺ってまいりました。
 ここで改めて伺います。小学校における、いわゆる通信簿について、その法的根拠の有無と学校の実態を伺います。また、現在多くの学校で作成されているこの通信簿ですが、その作成、配布する意義を伺います。

○浜教育長 いわゆる通信簿について、法令上の作成義務はありませんが、多くの都内公立小学校において、校長の判断の下に作成し、児童に配布しています。
 通信簿は、学校における学習の成果や課題、生活の状況などについて、児童が定期的に自らを振り返ることを通して、目標を持って次の学びに向かうことができるようにするなどの意義があります。
 また、保護者に学校での状況を理解してもらい、連携して児童を育てることにもつながっています。

○菅原委員 法的根拠のない通信簿の在り方の議論というのは、既に現場では始まっています。既に所見欄を廃止した学校というのも出てまいりました。成長の著しい小学校児童の一瞬を切り取って評価すること、そのこと自体に意味があるのか、こういう声もあります。
 学校が絶対評価として渡した通信簿が、児童にとっては、隣の誰かと比べる資料になっているというのも現実かもしれません。児童の成長のための評価の在り方について、社会全体で考えていくことを提案いたします。
 私は、昨年の一般質問で、生理による体調不良のために登校が難しい女子学生が無理して学校に通っている問題があること、そして、生理による欠席は、単位認定や進級、卒業、進路などの妨げにならないことを周知すべきと提案をいたしました。
 教育委員会からは、都立学校や区市町村教育委員会に周知するなど、積極的に働きかけていく、こういう答弁をいただきました。
 その後、昨年十月には、全都立学校の副校長及び教務主任を対象とした教育課程編成の説明会などで発言するなどの取組をされています。
 今回は、私立学校を管轄する生活文化スポーツ局にも確認をします。
 生理によって体調不良のために登校が難しい児童生徒が、学校を休んだ場合に欠席にならないこと、さらに、生理中の学校プールを休むことなどへの配慮について、私立学校の対応をどのように進めていくのか、答弁をお願いいたします。

○横山生活文化スポーツ局長 体調不良等の生徒に配慮し、個々の生徒の状態に応じて適切に対応していくことが重要でございます。
 私立学校では、それぞれの責任においてよりよい教育活動を目指しており、生徒の健康管理についても学校の判断で適切に行っているものと考えております。
 都といたしましては、各私立学校における取組を一層推進するため、都内の各私立学校が集まる場において、健康管理に関する情報の提供などを行ってまいります。

○菅原委員 次は米粉パンのことを質問いたします。
 昨年六月の一般質問において、学校給食を活用した米粉パンの普及についての提案をいたしました。
 改めて、米粉パンの普及に関する意義について、都知事の見解を伺います。

○小池知事 子供たちに米粉パンなどの国産の食材を活用した食育を行うことは、日本の食文化や生産地への理解を深める上で重要です。
 また、輸入小麦の代わりとなる国産の米粉を使用したパンを活用することで、子供たちが食料の安定的な供給について考えるきっかけにもなります。
 このため、都は令和五年度に、希望する全ての区市町村立学校の学校給食で、米粉パンなどを活用した食育の取組を支援してまいります。
 この取組を通じて、子供たちには、大切な日本の食材に興味、関心を持ってもらいたいと、このように考えております。

○菅原委員 米粉パンを学校教育や食育で一層活用し、子供たちにもそのよさを伝えていくための今後の取組を伺いたいと思います。

○浜教育長 都教育委員会は来年度、希望する全ての区市町村立学校に対し、学校給食で米粉パンなどの国産食材を活用した食育支援を実施いたします。
 実施に当たっては、各学校が米粉の使用量が市販品より多い米粉パンを給食に活用できるよう、関係団体と連携するとともに、それに合う献立や食育の取組事例等を区市町村に紹介いたします。
 また、各学校における生産地や生産者との交流をはじめとした、食育実施に係る費用を支援いたします。
 こうした取組により、子供たちに対する食育を推進してまいります。

○菅原委員 昨日、私たち都民ファーストの会の予算特別委員会のメンバー全員で米粉パンを食べてみました。来年度学校給食で提供される米粉パンは、これより米粉の割合が高くて、もっともちもちしているということを伺いました。
 都内のコンビニでも販売されています。ぜひ、みんなで食べて、米粉パン、日本の食料自給率の大事な問題だと思いますので、考えていこうではありませんか。
 高齢者のことを少し伺います。
 都が今年度から開始した、スマートウオッチなどを用いて、高齢者が健康増進に取り組む事業について質問をいたします。
 私は先月、この事業の一環として、東京都健康長寿医療センターが地元板橋区で実施する追跡健康調査の現場を視察いたしました。
 会場には、体力測定や健康診断を受ける高齢者がたくさん集まって、健診後には、スマートウオッチなどのデジタル機器の説明動画を熱心に拝聴されておりました。この事業への関心の高さが感じられました。
 この事業は、収集した高齢者のデータを分析して、健康長寿医療センターにおいて、健康状態の把握や病気の予兆を察知できるアプリを開発する三年間の事業と聞いています。
 この事業の初年度である今年度の進捗について伺います。

○西山福祉保健局長 今年度は、アプリ開発に向けたデータ収集のため、板橋区や千代田区の協力を得て募集した高齢者や健康長寿医療センターのフレイル外来の患者に対して、スマートウオッチ等を配布してございます。
 現在、約千百名の高齢者が継続的にスマートウオッチ等を装着しており、センターで、日常の脈拍等のバイタル情報や、睡眠時間、歩行速度といった身体活動量のデータ収集を進めてございます。

○菅原委員 今答弁をいただきましたように、既に千百名の高齢者がスマートウオッチなどを装着して、日々大量のデータが収集されています。
 この収集したデータをどのように活用するのか、来年度の取組について伺います。

○西山福祉保健局長 来年度は、スマートウオッチ等から収集したデータを健康長寿医療センターの知見を生かして分析することで、フレイルや要介護など多様な健康リスクとの関係性を解明し、健康リスクを可視化するアプリの開発につなげてまいります。
 アプリの開発に当たりましては、ヘルスケア分野でノウハウを有するスタートアップ企業とも連携し、操作性やデザイン性なども考慮しながら、高齢者が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるものを目指してまいります。

○菅原委員 先日の視察を通して、この施策は、高齢者の本人にも、そしてまた、社会全体にも多くの利益を享受するんだということを感じました。
 五年後、そして十年後、このデジタルの仕組み、スマートウオッチ、またはアンクルウオッチもつけていますよね、これらの施策がどのように進んでいくのか本当に楽しみになりました。期待をしています。
 今月の十八日から、JR東日本がオフピーク定期券というものを導入します。
 鉄道の混雑緩和のために、時間別運賃、オフピーク運賃の導入については、かねてから会派として要望を続けてまいりました。
 オフピーク定期の導入には幾つかの課題もあると伺っておりますが、都営交通として、検討状況について伺います。

○武市交通局長 時間帯別運賃は、ピークとオフピーク等、時間帯によって異なる運賃を設定することで需要を分散、平準化させる手法であり、導入に当たりましては、全体として増収にならないことを前提とする国の基本方針が示されております。
 現在、交通局は、都が混雑緩和に向けて設置した研究会に鉄道事業者として参加し、議論しております。
 時間帯別運賃につきましては、相互直通運転を実施している鉄道事業者との連携や、エッセンシャルワーカー等、通勤時間を変更することが困難な方への配慮、システム改修経費など、様々な課題があると認識しておりまして、今後も、国等の動向を注視しつつ議論を進めてまいります。

○菅原委員 このオフピーク通勤の定期については、かなり大きな課題だと思います。ぜひ情報を収集しながら、検討を進めていただきたいと要望いたします。
 最後に、がん対策について伺います。
 東京都は、がん対策推進計画の改定に取り組んでいます。がんの予防、医療に加えて、がんとの共生の理念を具体的な形にすることが求められております。
 来年度の予算でも、がんと就労の両立、アピアランスケアなどが予算化されていることを評価いたします。
 共生の理念の中、がん患者の生活を丸ごと支える姿勢が必要と考えますが、そのためには、患者や家族が抱える悩みを的確に捉えて対応することが重要と考えます。都の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 がん患者やその家族の置かれた状況はそれぞれ異なっており、治療に関する悩みに加え、精神的、社会的な問題など、相談内容は多様化してございます。
 このため、都は、がん診療連携拠点病院等が設置しているがん相談支援センターの相談員に対して、就学や就労をはじめ、ライフステージに応じた相談支援に関する研修や事例検討会などを実施し、対応力の向上を図っています。
 今後、患者ががんと共生し、地域で安心して暮らし続けることができるよう、治療と仕事の両立など、多様なニーズに応じた相談支援のさらなる充実に向け、取り組んでまいります。

○菅原委員 昨日も、私たちの同僚の藤井あきら都議が、がんとの共生の視点から質問をさせていただきました。
 がんママカフェ、地元のがんの自助グループの会合に、私も藤井さんも一緒に伺わせていただきました。
 その中で感じるのは、やっぱり文章に出ているがん患者の悩み以外にも、本当に多様な悩みがあるんだということなんです。ぜひ、がん患者の声というのを重要に、様々な声を重要に捉えていただきたいと思います。
 この当事者の声を聞く取組を進めて、この改定版に反映すべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、東京都がん対策推進計画の改定に向け、今年度、がん患者やその家族に調査をしており、二千人を超える方から回答を得てございます。
 調査に当たっては、患者本人の治療に対する不安や、患者の介護に伴う家族への影響などの実態を把握できるよう、世代ごとに設問を変えるなど工夫して取り組んでございます。
 今後、この調査結果も踏まえ、東京都がん対策推進協議会やそのワーキンググループで、計画改定に向け、複数の患者団体等の委員の意見も聞きながら検討を進めてまいります。

○菅野副委員長 菅原直志副委員長の発言は終わりました。(拍手)

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