予算特別委員会速記録第四号

○小宮委員長 ただいまから予算特別委員会を開会します。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 吉住はるお委員の発言を許します。

○吉住委員 国では、平成二年のいわゆる一・五七ショックを受け、平成六年のエンゼルプランの策定に始まり、新エンゼルプラン、少子化社会対策基本法の制定、そして消費税率の引上げの増収分を財源として、平成二十七年には子ども・子育て支援新制度、令和元年には幼児教育、保育の無償化をスタートさせ、本年四月からはこども家庭庁を発足させるなど、これまで子育て支援、少子化対策ともいえる事業に積極的に取り組んできました。
 そして、その中で特に重点的に取り組んできたのが、保育サービスの充実、待機児童の解消があります。小池知事におかれましても、都政の最重要課題と位置づけて取り組んでこられました。
 しかし、先日の新聞報道にもあるように、日本の出生数は七年連続で過去最少を更新し、少子化に歯止めがかかりません。都においても、令和三年の合計特殊出生率が五年連続減少して一・〇八となっており、単純に年間の出生数だけ見ても、知事が就任された平成二十八年が十一万一千九百六十四人だったのが、令和三年には九万五千四百四人と、五年連続で減少しています。
 当然、この間の新型コロナの影響も大きくあるとは思いますが、これまでの国や東京都などの地方自治体が行ってきた保育園などの待機児童対策が、少なくとも少子化対策という意味では十分に効果を発揮しているとは私には思えません。
 単純に、子育て支援イコール少子化対策ではないことは理解しています。待機児童対策においても、少子化への対応をはじめ、男女共同参画社会の推進や若年労働力の確保など幾つか目的があると思いますが、やはり私は、これまでのやり取りなどを聞いていても、少子化対策としてのウエートが大きかったのではないかと考えています。
 そこで、小池知事に伺いますが、都政の最重要課題として取り組んできた待機児童対策は、少子化対策の一環として取り組んできたという認識でよろしいのでしょうか。お答えください。

○小池知事 国会議員時代から、様々な議連を立ち上げたり、女性活躍、少子化対策に取り組んでまいりました。そして都知事就任後、チルドレンファーストの社会の実現に向け、これまで重ねてきた子供や女性政策の実践に加速度的に取り組んでおります。スピードが問題だと、そして覚悟が問題だと、私は常々思っております。
 この間、待機児童対策をはじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を東京都として率先して行ってまいりました。
 今後とも、それぞれの施策に全力で取り組み、その時々の社会情勢を踏まえながら、先ほどの待機児童対策も含めて、子供を産み育てたいという願いを実現するべく、取組を進めてまいります。

○吉住委員 直接的な表現ではあまりございませんでしたが、知事として少子化対策の一環で取り組んできたというご答弁をいただいたと理解しました。
 次に、少し細かい質問になりますが、現在、保育園児一人当たりの保育にかかっている費用について伺います。
 保育園は、都内の区市町村によって保育士の配置基準などが異なっているので、運営費も異なるとは思いますが、都内の平均で年齢別一人当たり月幾らぐらいの運営費がかかっているのか、分かる範囲で結構ですのでお答えください。

○西山福祉保健局長 区部に所在する定員百人の認可保育所において試算した場合、公定価格と保育士等キャリアアップ補助金を合わせた児童一人当たりの費用の月額は、ゼロ歳児が約二十五万九千円、一、二歳児が約十五万六千円、三歳児が約七万六千円、四、五歳児が約六万六千円となります。

○吉住委員 ご答弁ありがとうございました。今のご答弁は、国の定めた公定価格と都の上乗せ分だけの額でありまして、そのほかにも各区市町村が独自に、保育の質の向上や職員の負担軽減などのために上乗せをしています。
 私の地元新宿区の私立保育園の運営費は、令和三年度決算で、概算一人当たり月額、ゼロ歳児、約三十四万一千円、一、二歳児、二十五万二千円、三歳児、十八万六千円、四、五歳児が十六万五千円となっています。
 公が人の子供を預かるというのは、それだけ責任が重大だということですが、多額の費用がかかっています。保護者の方からは、ゼロ、一、二歳児については所得に合わせて保育料をいただいておりますが、保育園の運営に係る費用の大部分が税金で賄われています。
 続けて質問いたしますが、小池知事就任後の保育関係予算について、年度ごとの予算額と合計額を伺います。

○西山福祉保健局長 保育関係の当初予算額は、平成二十九年度は約一千三百八十一億円、平成三十年度は約一千五百七十七億円、平成三十一年度は約一千七百四十五億円、令和二年度は約一千九百四十六億円、令和三年度は約一千九百八十四億円、令和四年度は約一千九百六十三億円、令和五年度は約二千百六十二億円であり、合計は約一兆二千七百五十八億円となります。

○吉住委員 ありがとうございました。右肩上がりで増えていることが分かります。七年間で約一兆二千七百億円というのも大変大きな数字だと感じました。
 待機児童解消の取組は、冒頭申し上げたように、幾つか目的があると思われますが、少子化対策という観点だけから見れば、費用対効果が低いように思えてしまいます。
 このたび、都では、令和五年度予算で、新たに子供を二人以上持ちたいと願う方の経済負担軽減のために、独自支援策として、第二子の保育料無償化のための百十億円ほどが計上されています。このこと自体を否定するものではありませんが、現状においても保護者負担が二分の一となっています。限られた予算の中での少子化対策としては、十分に効果を発揮するのか不安を感じます。
 所得制限などを設けず、全ての第二子の保育料を無償化することとしている趣旨について伺います。

○西山福祉保健局長 都は、二人以上の子供を育てたいと願う方々をひとしく支援をするため、令和元年から国制度の世帯要件を緩和し、収入や第一子の年齢にかかわらず、第二子の保育料を半額、第三子以降の保育料を無償化する独自の取組を開始いたしました。
 この間、少子化が一層進行しており、子供を二人以上育てたい方の経済的負担をさらに軽減するため、来年度から第二子の保育料を無償化するものでございます。

○吉住委員 二人以上の子供を持ちたいと願う方々をひとしく支援するためということでございました。
 私は、国も東京都も、少子化対策という意味では、ある特定のライフスタイルを応援することだけに重点を置くのではなく、子供を産み育てたいと願うご家庭のニーズを的確に捉えて、バランスよく対応すべきだと思っています。
 国立社会保障・人口問題研究所の全国家庭動向調査によりますと、子供が三歳くらいまでは母親は仕事を持たず育児に専念した方がよいの世帯の中で結婚している、または結婚経験のある女性の賛成割合は、回を重ねるごとに減少傾向にはあるものの、令和元年に公表された第六回調査においても、全体で七一・二%が賛成しています。最も割合の低い三十歳から三十九歳であっても、五三・二%が賛成しているとのことです。
 私は、男女を問わずといわせていただきますが、家庭を持ち、自分の子供を持つのであれば、特に乳幼児期は、でき得ることならば在宅で、自分の手で子育てをしたいと思う方もかなりの割合でいると思っています。
 ここで、先日、ある幼稚園児の保護者の方が私にしてくださった話を引用します。
 私は、自分の産んだ子供は自分の手で育てたいと思い、仕事を辞め、在宅で子育てに専念してきた。でも、世の中は、保育園に子供を預けて仕事をするご家庭だけをもてはやしているように感じられ、本当に子育ては大変なのに、強い孤独感と劣等感を感じたと涙ながらにお話ししてくださいました。
 私は、在宅子育て家庭をより積極的に支援することにより、よりよい子育て支援、ひいては少子化対策につながると考えます。
 そこで伺いますが、来年度から開始する保育所等における地域の子育て支援事業に五億円の予算が計上されています。数少ない在宅子育て家庭の支援に向けた事業のようにも感じますが、事業開始の経緯や趣旨について伺います。また、円滑な事業の実施に向け、どのように展開していくのか、併せてお答えください。

○西山福祉保健局長 昨年の児童福祉法改正によりまして、区市町村は、身近な子育て支援の場である保育所等において相談機関の整備に努めることとされました。
 都は、これも踏まえ、育児不安を抱える在宅子育て家庭等を支援するため、保育所等に育児相談に応じる場を設ける区市町村への支援を来年度から開始をいたします。
 本年一月、区市町村に対し、事業の概要を説明しており、今後速やかに実施要綱やQ&A等を発出し、保育事業者への周知を依頼してまいります。

○吉住委員 児童福祉法が改正され、令和六年四月から施行されるのに先立って、相談機関の整備が努力義務とされた区市町村を支援するための事業ということです。
 次に、多様な他者との機会の創出について伺います。
 約二十四億円が新たに計上されていますが、先日、他会派の質疑もございましたが、予算案の概要には在宅子育て家庭向けのメニューであるように記載されています。
 事業開始の経緯や趣旨について伺います。また、こちらも円滑な事業の実施に向け、どのように展開していくのか、併せてお答えください。

○西山福祉保健局長 都は、乳幼児期から多様な他者との関わりを持ち、子供が健やかに成長できるよう、幼稚園や保育所等で在宅子育て家庭の子供を定期的に預かる取組を来年度から開始をいたします。
 在宅子育て家庭の中には、育児不安を抱える家庭もあることから、支援が必要な家庭を把握した場合に関係機関につなぐ区市町村の取組も支援をいたします。
 この事業の概要も本年一月、区市町村に説明をしており、今後速やかに実施要綱やQ&A等を発出し、幼稚園や保育所等の事業者に周知するよう依頼をしてまいります。

○吉住委員 この事業が真に在宅子育て家庭を支援するための事業になっていくのか、今後、しっかりと見ていきたいと思います。
 次に、私立幼稚園の預かり保育について伺います。
 幼稚園は、子供たちの興味や関心を大切にし、友達との触れ合いを経験できる場所であり、子供の生涯にわたる心身の発達の基礎を培うところです。
 特に幼稚園児の九割が私立に通っており、私立幼稚園は東京の幼児教育において大きな役割を果たしています。私立幼稚園の教育は園内だけで完結するものではなく、家庭との連携が不可欠です。
 幼稚園でどのような教育を行っているのか、また、家庭においてどのように子育てを行っているのかという情報を幼稚園と家庭がお互いに共有し、子供を育てていくということで、より充実した幼児教育が可能となります。そのため、幼稚園における教育というものは、子供にとっても家庭にとっても極めて重要です。
 しかしながら、先日の代表質問でも我が党から指摘しましたが、急速な少子化など、幼稚園を取り巻く環境は大きく変化しており、園児の確保に苦慮している幼稚園も多いと聞いています。
 私立幼稚園も社会のニーズに応えるべく、様々な取組を実施してきています。その一つが預かり保育であり、約九割の私立幼稚園が預かり保育を実施しています。預かり保育を長時間やっていただければ、保護者の様々なニーズに対応できて効果的な取組であり、園児の確保にもつながります。
 預かり保育を実施する私立幼稚園に対し、都はどのような支援を行っているのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 預かり保育は、幼稚園での教育を望む保護者に機会を提供する上で重要な役割を担っております。
 都は、保護者のニーズに対応して、幼稚園の標準教育時間の前後に保育の必要な子供に対して行う預かり保育や、幼稚園入園前の二歳児以下の子供の受入れなどを行っている園に対しまして、運営費の一部を補助するなど、幅広く支援を行っております。
 特に、年間を通じた長時間の預かりなど、積極的な取組を行っている園に対しましては、TOKYO子育て応援幼稚園として認定をし、都独自に上乗せ補助を行っております。

○吉住委員 都として、二歳児以下の受入れに取り組む幼稚園への支援も行っていることは評価します。
 子育てに手がかかる二歳児以下の子供を持つ世帯への支援の方策として、幼稚園の預かり保育の充実はとても重要です。
 保育を必要とする子育て世帯の着実な利用促進を図るため、利用者の立場も踏まえて、二歳児以下の子供を持つ子育て世帯への都の支援を拡充していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 保育の必要な二歳児以下の子供を幼稚園に預けたいと考える子育て世帯への支援は重要でございます。
 そのため、子育て世帯への支援の充実を図ることができるよう、幼稚園の現場実態や保護者の利用状況、二歳児以下の子供に係る預かり保育の現状を踏まえまして、都の対応策を引き続き検討してまいります。

○吉住委員 少子化対策の一つとして、私立幼稚園を積極的に活用することが重要だと考えます。国の幼児教育無償化において保育園は完全無償になっていますが、幼稚園を利用する保護者には所得制限も含め一部負担が残っており、都の支援を求める現場の声もあります。引き続き、都として、幼稚園及び幼稚園を利用する保護者に対する支援の一層の充実を求めます。
 この辺で少子化対策の関連の質問をちょっと一区切りつけたいと思うんですが、小池知事は先日の所信表明演説の中で、少子化は紛れもなく国の存亡に関わる国家的課題です、だからこそ、国の首都である東京がリーダーシップを取り、発想の転換を導いていかなければなりませんと発言されています。私も同じように感じています。
 しかし、現在、都が進めようとしている子育て支援策は、これまでどおり共稼ぎ家庭に重点が置かれ過ぎているように感じてなりません。実際に、国の調査によれば、おおむねゼロ歳児で七四%、一歳児で四一%、二歳児で三五%が家庭などで子育てしていると思われますし、先ほどお話ししたように、本来であれば、自分の子供はでき得る限り自分の手で育てたいと願うご家庭ももっと多くあるのではないかと考えます。
 子育ては、一昔前までは、祖父母も含めた家族や、映画「三丁目の夕日」にもあるような地域社会の手助けも得ながら行われてきました。しかし、核家族化の進行により、そのような共同養育ともいえる機能が社会全体で低下していく中で、私は、東京都がそれに代わるような子育て支援策に積極的に取り組むことが、少子化対策につながっていくと考えています。
 そもそも多くの子供たちは、特に幼児期にはお父さんやお母さんの近くに少しでも長くいたいと思っていると思います。小池知事がいうチルドレンファースト社会を目指す上でも、そんな子供の気持ちに寄り添った施策を強力に推進していただくよう知事に強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、家庭などに居場所がない青少年の実態把握と支援について伺います。
 青少年は、次代を担う大切な宝であり、健全な成長が望まれます。しかし、現在、家庭などに居場所をなくした青少年たちが繁華街などにたむろする現象が起きています。ただ集まっているだけならば問題は少ないようにも思いますが、悪意のある大人により、青少年が様々な犯罪に巻き込まれる事件も度々発生しています。
 こうした状況の象徴的な場所となっているのが、新宿区歌舞伎町の、いわゆるトー横です。私は昨年の第三回定例会においても質問しましたが、断続的にマスコミで報道されているように、トー横に集まる青少年も犯罪被害に遭ったり、飲酒、喫煙などの問題行動を起こしたりしており、見過ごすことができない状況が続いています。一刻も早い対策の実施が求められています。
 都では、こうした状況を受け、青少年問題協議会を立ち上げ、対策の検討を進めています。この検討を進めるに当たっては、トー横の実態について把握することが必要不可欠です。具体的には、ここでどのような犯罪などが起きているのかということや、青少年がなぜトー横に来訪するのかということを知っておくことが重要だと思いますが、都が現時点で把握しているトー横に集まる青少年の実態について伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都は、いわゆるトー横の実態把握のため、この地域に集まる青少年に関わる関係団体等からヒアリングを実施しております。
 その結果、児童虐待等家庭に問題を抱える者や、学校生活になじめない者のほか、刺激、非日常感を求める者など、様々な背景、事情を有する青少年が集まっているものと承知しております。
 また、警察等関係機関からの情報によりますと、児童買春、薬物の過剰摂取、暴行、窃盗、特殊詐欺への勧誘等の事案が発生していると聞いております。

○吉住委員 今のご答弁でも、現時点で努力されていることは伝わってきますが、トー横においては、同じ人が恒常的に滞留しているわけではなく、流動的で不定期に入れ替わるなど、この地域の実態把握は想像以上に困難が伴うと思います。
 実態把握については、いうまでもなく、それそのものが目的ではなく、問題の本質に少しでも近づき、より効果的に施策を講じるために、しっかりと行うべきものであると考えます。実態把握の手法などを検討の上、もう一歩踏み込んだ把握に努めることが大切だと考えますが、都の見解を伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 トー横に集まる青少年に係る対策を一層効果的に推進するため、より詳細な実態把握を行うことは重要でございます。
 現在、有識者委員等から構成されます青少年に係る重要な問題を調査審議する青少年問題協議会におきまして、実態把握の在り方を含め議論をしていただいており、都は、その答申を踏まえまして、さらなる対策を検討してまいります。

○吉住委員 ぜひしっかりと議論し、一歩踏み込んだ実態解明を進めてもらいたいと思います。
 今年一月の青少年問題協議会において、有識者委員の講演の中で、小児期に受けた虐待などによる心の傷と、大人になって生じる各種問題とは相関関係があるという話を聞きました。
 先ほどの答弁ではそこまで踏み込んでいませんが、私は、トー横に集まる青少年について、虐待などにより心の傷を負った子供がかなりいるのではないかと思っています。この心の傷を負う青少年が一人でも生じないようにするため、もう一歩踏み込んだ対策を検討すべきだと考えています。
 先ほども話に出ました令和四年六月に児童福祉法が一部改正された背景として、その趣旨にもあるように、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況があります。
 児童虐待を未然に防止するためには、早期から家庭に関わり、予防的な支援を行うことも重要な取組の一つだと考えますが、都の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は令和三年度から、予防的支援推進とうきょうモデル事業を開始し、四区市の子供家庭支援センターに専任のケースワーカーを配置し、母子保健部門と一体で支援を行うチーム体制を構築してございます。
 今年度は、専任ケースワーカーが中心となり、家庭訪問や電話などにより、妊娠期から出産後まで、子育て家庭のニーズをきめ細かく把握しながら、継続的に支援をしてございます。
 来年度は、こうした取組の効果を検証してノウハウを取りまとめ、令和六年度以降、他の区市町村に展開をしてまいります。

○吉住委員 令和六年度以降は都内の区市町村に展開していくとのことですが、区市町村の虐待相談件数も増え続けており、虐待対応のワーカーの確保が難しい状況の中、新たにワーカーを配置して取り組んでいただくためには、モデル事業の効果をしっかりと示していく必要があると考えます。
 どのように事業の効果を検証し、区市町村に展開していくのか伺います。

○西山福祉保健局長 本事業では、東京都医学総合研究所への委託により、データ分析に基づく効果検証などを実施してございます。
 具体的には、面談や家庭訪問、相談支援などについて、対象家庭を、現行のサービスを受けるグループと支援プランに基づくサービスを受けるグループに分け、サービスの効果や当事者の満足度等のデータを収集し、比較検証してございます。
 来年度は、この検証結果等を踏まえまして、区市町村が効果的に取組を進められるよう、専門職向けの支援マニュアルや研修プログラムを作成してまいります。

○吉住委員 しっかりと取り組んでいただければと思います。
 次に、親としての準備学習、親性を育む取組について伺います。
 親性とは、親の性と書きます。近年は、核家族化とそれに伴い地域の人間関係が希薄になる中で、実際に育児を見たり体験したりするなどの養育や育児について学習することがないまま親になることが多くなり、親としての役割や行動に問題が生じる一因になっているといわれています。
 このような現状を踏まえ、次の世代である中高生に、子供への愛情や子育ての知識、技能など、親性を育む取組が必要だと考えます。
 そこで、学校において中高生が幼児と交流する活動の一層の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 子育てなど親や家族の果たす役割を学ぶ教育は、学習指導要領に基づき、家庭科等で実施することとなっております。
 例えば中学校や高等学校では、幼児の発達における家族の関わり方について理解を深める学習を行ったり、近隣の保育所や幼稚園の園児と一緒に遊びながら体験的に学んだりしています。
 都教育委員会は、こうした学習の一層の充実を図るため、効果的な指導事例を区市町村教育委員会や都立高等学校に周知するなど、学校の取組を後押ししてまいります。

○吉住委員 次に、学校における体験活動の充実について伺います。
 先日の第一回定例会の我が党の代表質問において、学校における体験活動の機会を提供する事業についての質問に対し、教育長から、来年度も全ての公立学校、私立学校を対象に、多様な体験活動の機会を提供していくと答弁がありました。
 しかしながら、今年度実施した子供を笑顔にするプロジェクトの実施状況を見てみますと、公立学校は約八割が活用したのに対し、私立学校は一割強にとどまっています。
 そこで、来年度は、より多くの私立学校から手が挙がるよう積極的に活用を促していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 本年度実施をしました子供を笑顔にするプロジェクトに参加した私立学校からは、ふだん学校ではなかなかできない体験ができた、新たな気づきを得た生徒が多く楽しい時間となったなどと評価する声が寄せられております。
 令和五年度におきましては、さらに多くの私立学校が本事業を活用できるよう、事業内容の周知時期を早めるとともに、利用実績のある学校の声を紹介することも含めまして、都内私立学校関係者が多く集まる会議など、あらゆる機会を通じて周知を図ってまいります。

○吉住委員 昨年の九月に私立中高の設置者の先生方に伺ったところ、子供を笑顔にするプロジェクトの事業そのものの存在を知らないとのことでした。教育庁が主導の事業とはいえ、生活文化スポーツ局にも予算がついています。
 本日開幕するWBC、ワールド・ベースボール・クラシックへも、この取組を活用して一万一千人の子供たちが参加しますが、参加校は公立学校百十四校に対して、私立学校は一校にとどまっています。来年度はしっかりと私立学校にも周知を行っていただき、より多くの子供たちが貴重な経験ができるよう、この取組を積極的に広げていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、出火防止対策について伺います。
 都は、来年度予算案に、感震ブレーカーを木造住宅密集地域の対象世帯に配布する事業として、二十一億円余りを計上しました。新たな被害想定でも、同時多発火災の発生など、火災による甚大な被害の様相が明らかになっており、出火防止対策の取組を進めることが重要であることはいうまでもありません。
 我が会派も業界団体からいろいろと話を聞いていますが、感震ブレーカーには様々な種類があり、それぞれメリット、デメリットがあることから、例えば在宅医療機器を使用する世帯での留意事項など、都民にも分かりやすい丁寧な説明が必要です。
 また、三十二万個を配布するとなれば、おのずと機器の種類も限られてくるため、信頼性のある機器をしっかり確保する必要がありますが、その確保は可能なのでしょうか。また、同様の取組を進める区市町村との連携も不可欠です。
 そこで、信頼性のある機器の必要数の確保や配布時の都民への丁寧な説明、同様の取組を進める区市町村との連携などの課題を踏まえて、本事業が都民にとって一層有効な施策となるよう取組を進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○野間総務局長 出火防止に効果的な感震ブレーカーを適切に利用することは、延焼などの被害を軽減する上で重要でございます。
 このため、感震ブレーカーの配布に当たりましては、国のガイドラインで定める出火予防性能を満たす製品を必要数確保いたします。
 また、配布時に、設置により期待される効果等をリーフレット等で丁寧に周知するとともに、適切な利用方法や有用性について都民の理解を促してまいります。
 さらに、配布時期や方法につきましては、町会、自治会と緊密に連携を図るとともに、区市町村とも十分な調整を行ってまいります。

○吉住委員 しっかりとよろしくお願いいたします。
 次に、東京都若年被害女性等支援事業について伺います。
 私は、昨日の質疑を聞いていて改めて疑問に思うのが、なぜ都は、この事業に関して、委託事業とはいえ、あまりにもチェック体制が補助事業や他の委託事業と比べイレギュラーなものになっているのかということです。都は、委託事業であっても、事業内容の報告や領収書などのチェックなどの必要性については、初めは認識していたのではないかと思っています。
 二〇二三年一月二十五日付の夕刊フジによりますと、元都議が、二〇一八年、Colabo側から事業円滑化の必要性などの訴えを受けたといいます。都の担当部局からヒアリングを受け、前向きな対応を要望した経緯があります。このため、元都議は、私の行動が都監査委員が指摘した問題につながった可能性があることは重く受け止めている、ただ、支援事業の目的は非常に意義がある、徹底的な検証と適正化で、本来の運用がなされるよう尽力したいと語ったとあります。
 そこで、この事業開始時期と現在までの間で、受託団体に対するチェック体制において変化があった点があるのか伺います。

○西山福祉保健局長 若年被害女性等支援事業は、平成三十年度に国のモデル事業として、国の補助要綱に基づき、都は民間団体に委託をして開始しました。
 都は仕様書で、事業実績について、四半期ごとに事業実施状況報告書により報告を求め、アウトリーチの実施回数、声かけ人数、相談人数などを確認してございます。
 また、関係機関連携会議やケース会議等において取組状況を把握するとともに、必要に応じて現場の状況を確認してございます。

○吉住委員 変化があった点はなかったというようなご答弁なんでしょうか。
 次に、元都議の都への申入れについて、報道、ご自身のブログでも発言されていますが、改めてどのような内容であったのか伺います。

○西山福祉保健局長 本事業について、様々なご意見をいただいてございます。

○吉住委員 私の質問としますと、元都議が都へ申入れしたということについてどのような内容だったかという質問なんですが、その点について、もう一度お答えいただけますか。

○西山福祉保健局長 様々なご意見をいただいているということでございます。

○吉住委員 その元都議からの申入れがあったかなかったかということについても、お答えはできないというようなことでよろしいんですか。

○西山福祉保健局長 本事業について、様々なご意見をいただいているということでございます。

○吉住委員 このやり取りをずっと続けていても仕方ないので、感想だけを申し上げて。
 二〇一六年の九月の所信表明において、小池知事は、誰が、いつ、どこで、何を決めたのか、何を隠したのか、原因を探求する義務が私たちにはある、都議会の皆様と知事、職員がなれ合いや根回しで事を丸く収めるのではなく、都民の皆様の前で決定過程をつまびらかにご覧いただくと述べられておりました。本件においても同様の対応を当然していただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、行政手続のデジタル化について伺います。
 都は、東京全体のDXを強力に推進するため、様々な取組を進めています。行政手続をオンラインで申請できるものも増えてきましたが、都民の方々からは、まだまだ窓口に行かなければならないものもあり、さらなるデジタル化を期待する声もいただいています。
 推進計画では、約二万八千の全ての手続のデジタル化を進めることとしており、令和五年度までの三か年で七割のデジタル化を目標としています。
 そこで、行政手続のデジタル化の取組状況と、デジタル化を進めるに当たっての課題について伺います。

○久我デジタルサービス局長 都は、来年度までの推進計画に基づき、行政手続のデジタル化を進めております。
 今年度は、都立霊園の使用許可や下水道の技術資格者講習の申込み、中小企業向けの雇用に関する助成金など、全庁の幅広い分野のデジタル化を実施し、今年度末までに全体計画の約六割に当たる約一万八千の手続について完了する見込みでございます。
 それぞれの手続のデジタル化に当たりましては、手続を所管する職員にオンライン申請の入力フォームの作成方法を学んでもらうほか、業務フローそのものを見直すBPRを実施する必要がございます。
 また、公印を用いる文書につきましては、前提として公印のデジタル化が必要でございます。

○吉住委員 本年度末までの約六割のデジタル化に向け、各局と連携して進めているとのことですが、次年度は目標である七割のデジタル化の達成に向け、さらに取組を推進していく必要があります。
 また、デジタル化を進めるに当たっての様々な課題もあることが分かりました。こうした課題への対応は、各局の自立的な取組だけではなかなか進まないこともあると思います。
 デジタルサービス局がしっかりと各局をサポートし、デジタル化を進めていく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○久我デジタルサービス局長 まず、デジタル化の前提となる業務の見直し、BPRの推進のため、実施手順書を作成し、説明会を行うとともに、件数の多い手続については、専門人材が伴走型支援を実施してまいりました。
 来年度は支援対象を拡大するとともに、各局の好事例集を作成し共有するなど、支援を強化してまいります。
 また、オンライン申請導入のための職員向けの研修会を開催するとともに、申請フォームの作成支援の対象を補助金にまで拡大いたします。
 さらに、公印につきましては、オンラインで発出する通知文書を対象として、電子署名を導入してまいります。
 これらの取組を通じ、行政手続のデジタル化を推進してまいります。

○吉住委員 都民の方々の利便性向上を図るため、全庁を挙げてデジタル化の取組をさらに推進していただくよう、強く要望いたします。
 次に、区市町村における行政手続のデジタル化について伺います。
 都が目指す東京全体のDXを実現するためには、住民により身近な区市町村における行政手続のデジタル化も急務です。
 私の地元である新宿区でも、手数料などの納付に交通系電子マネーやQRコード決済を導入するなど、区民の利便性の向上を図っています。また、電子申請の導入を積極的に進め、区民の皆様が窓口に来庁することなく、二十四時間申請可能とするため、行政手続のオンライン化を進めています。
 デジタル化を進める上で重要になるのが、先ほどもご答弁の中にあったBPRですが、区市町村においても、やはりノウハウが少ないと聞いています。
 そうした中で、都では、昨年度から区市町村においてBPRを推進していくための支援を始めていると聞いています。
 これまでの都の支援状況と来年度の取組について伺います。

○久我デジタルサービス局長 都では、子育てや介護などの区市町村に共通する手続につきまして、デジタル人材が自治体職員と共にBPRを進め、業務の効率化を進める取組をこれまで計十四団体に実施してまいりました。
 例えば、保育事業者への補助金について、デジタルツールを活用して算定を自動化した新宿区の事例や、学童クラブの申請受付をオンライン化し、入所判定を自動化した文京区の事例などがあります。
 現在、こうしたノウハウをまとめたハンドブックの作成を進めており、来年度はこれを活用して、BPRに関する区市町村職員向けのワークショップを行うなど、好事例を共有することで横展開につなげてまいります。

○吉住委員 これまでの都の支援状況について、よく分かりました。これからも、区市町村を支援する中で得られたノウハウを広く自治体間で共有するなど、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 こうした施策を一層推進していくには、それを担う職員の能力開発、意識改革が欠かせません。地域の変化に柔軟に対応し、自らがデジタルの力で変革を生み出すDXを推進できる職員を育成していくことが重要だと考えます。
 都は今年度、オール東京で都や区市町村職員のデジタル力を向上させるため、東京デジタルアカデミーを開講いたしましたが、区市町村はこれに非常に期待を寄せています。
 そこで、区市町村職員のデジタル力向上に向けた具体的取組について伺います。

○久我デジタルサービス局長 都は今年度、区市町村職員向けに、DXの基礎やデジタルツールの活用をテーマとした勉強会や研修会を計四十八回開催し、約二千四百名が参加いたしました。
 来年度は、サイバーセキュリティやデータ利活用など、要望の多いテーマを研修カリキュラムに加えて充実を図るとともに、DXの視点から、業務の見直しについて、都と区市町村の職員が共に議論する研修を新たに実施いたします。
 さらに、GovTech東京が、区市町村職員向けの研修プログラムや教材選定の支援を行うとともに、講師として専門人材を派遣いたします。
 これらの取組により、区市町村職員のデジタルスキルの向上につなげてまいります。

○吉住委員 区市町村のデジタル化を進めるためには、現場の課題に即したBPRの実践と、それを支える職員の育成が重要です。
 今後も、都が目指す東京全体のDXを実現するため、区市町村の取組をしっかり支援していただくよう改めて要望し、質問を終わります。(拍手)

○小宮委員長 吉住はるお委員の発言は終わりました。

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