予算特別委員会速記録第三号

○菅原副委員長 慶野信一委員の発言を許します。
   〔菅原副委員長退席、高倉副委員長着席〕

○慶野委員 一昨年になりますけれども、我が党で、青年、学生を対象に独自の政策アンケートを行いました。その際に最も多かった要望、困難な状況、これが奨学金の返済に対する要望でございました。私は、党の青年局長として、当事者の学生と共に、当時、大変多忙だった小池知事にお時間いただきまして、緊急の要望をさせていただきました。しっかり耳を傾けていただいて、学生に寄り添っていただいたことをこの場をお借りして御礼いたします。
 その後、私の一般質問や会派の代表質問におきまして、中小企業が若手人材確保に悩んでいるということと、学生、新卒の若者が奨学金の返済に困っている、こういう状況をマッチングさせていくべきと、こういう要望を代表質問、一般質問で重ねて求めてまいりました。
 そして、昨日、まつば委員の質疑で確認したように、奨学金の返還支援事業が今、東京都で行われているわけでございます。
 そして、二番目に要望が多かったのが、若者の家賃に対する支援が欲しいという家賃補助の要望でありました。これも私は、一般質問や我が会派の代表質問を通して、公明党として重ねて求めてまいりました。そして、今定例会の代表質問におきましては、産業労働局長から家賃補助をしていく旨の答弁を得たところであります。
 そこで、この家賃補助、中小企業に就職する若者に対する家賃補助の、その事業内容を確認させていただきます。

○坂本産業労働局長 中小企業が若手の人材を採用し、その定着を図るため、従業員の生活面での満足度を高める取組を計画的に進めることができるよう、都は、新たなサポートを実施いたします。
 この支援の中で、会社が若手の社員のために住宅を新たに借り上げる場合の経費について、その二分の一を、年間二百万円を上限に助成いたします。

○慶野委員 知事の深いご理解と産業労働局の推進力、本当に感謝いたします。
 若手の社員が就職に至っても、定着をしない、離職をしないように、こうしたサポートも必要になってまいります。
 食のサポートを行っている福利厚生、これは満足度が高い。さらに、健康経営に取り組んでいる中小企業は離職率が低いというデータもあります。
 そうした観点から、食と健康、これについてもサポートしていくべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 中小企業による若手人材の確保等に向けた支援では、従業員に栄養バランスのよい食事を提供する場合や、健康の維持や向上に結びつくサービスを提供する取組を新たに行う場合、それぞれ年間五十万円を上限に、二分の一の助成を実施いたします。
 また、これらを社員のための住宅の借り上げと併せ全て行い、総合的なサポートを進める場合、年間三百万円まで助成をいたします。

○慶野委員 食と健康で五十万、五十万、家賃に二百万、合計三百万やっていっていただけるということで、これは若者、奨学金を抱えていたり、東京で働いていく、家を持って働いていく、こうしたことに困難を抱えている若者にとっては、もう本当に助かる東京都の新たな施策になっていくことと思います。
 こうした政策を実行していく上でも、これが短期間、単年度で終わってしまっては元も子もありません。こうした事業が、企業におけるサポートを、一過性ではなくて継続して取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 中小企業が若手の従業員の定着を図る上で、その生活面の満足度を高める取組を継続して行うことは重要でございます。
 都の支援では、会社への助成を三年にわたり行うことができるほか、専門家を派遣し、若手の社員の定着につながる一定の期間の取組となる計画づくりに向け、助言を行います。

○慶野委員 昨日の奨学金の事業でも、フリップを使いながら説明させてもらいましたけれども、こうした事業、どんなにいい事業があってもなかなか使ってもらえない、もしくはそれが実効性がなかなかついてこないということで、人数がまだまだ少ない状況ということもありました。
 今回のこの家賃補助事業も、多くの企業に手を挙げていただいて、そしてそれを多くの学生が、こういう制度を使っている中小企業に就職したいというふうに促していくことが大事になってまいります。
 今、専門人材を使っていくというお話ありましたけれども、会社に人材が定着していくためのこの事業、企業の取組内容を細かく確認し、助言していくためには、人事や労務の制度づくりに精通した社会保険労務士等を活用して、この制度を使うための申請書づくりから、また、アドバイスから、全てにわたるサポートをしていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都の支援では、若手の社員が少なく、その採用を効果的に進める必要のある中小企業に対しまして、社員が安心で快適な生活を送る環境をつくる取組を後押しいたします。
 このため、仕事と生活の両立を進めるための様々な知識を持つ社会保険労務士などの専門家を会社に派遣し、福利厚生の充実に向けた計画づくりに関し、助言を行います。

○慶野委員 ありがとうございます。
 今回確認したこの事業と、また、昨日の奨学金の返還事業、質問はいたしませんけれども、併用が可能ということで確認をさせていただきました。広く各企業が用いていけるように、また、若手人材が確保されて定着していけるように、この事業の実効性をますます高めていっていただきたいと思います。
 次に、障害者施策について質問させていただきます。
 私は、数年前、一般質問で、ある方からの相談を基に障害者手帳のカード化を求めてまいりました。障害の種類によっては、必要なページを開いて、必要な行政サービスを受けるときにそれを提示するのが困難だと、また、長期間保持することで汚れたり破れたりしてしまう、こうした声がありました。
 さらに、愛の手帳などは、都道府県によって名称も違う、形も違う。コンサートで入場の身分証明のために見せたところ、これは何のカードだか手帳だか分からないと、アルバイトの検札の方からはそれが認識がされていなくて、コンサートに入ることができなかったと、こういう声をいただいて、カード化を私は求めてまいりました。
 しかし、これは厚生労働省の省令によって紙のタイプでの発行が決まっておりましたので、我が党の国会議員と連携を取りながら、令和二年四月に省令改正を国の方で行っていただいた上で、そして、私は都議会で、一般質問の中で速やかにカード化をと求めて、令和二年十月に、東京都ではカード型の発行が開始されました。
 まず、確認ですけれども、カードで発行が可能になってから選択できるようになったわけですが、障害者手帳の発行の実績と、それに対するカードを選択した割合を教えてください。

○西山福祉保健局長 都は、これまで紙の形式のみであった障害者手帳について、国の省令改正を踏まえ、令和二年十月からカード形式の手帳を希望に応じて選択できるようにいたしました。
 昨年四月から十二月までの手帳の交付実績と、そのうちカード形式を選択した割合ですが、身体障害者手帳が二万四千七百七十六件で約六八%、愛の手帳が六千五百四件で約七四%、精神障害者保健福祉手帳が六万六千九百七十六件で約四六%となっております。

○慶野委員 身体障害が約七割、愛の手帳は七割以上、そして、精神障害者保健福祉手帳が約四六%ということでした。
 いずれにいたしましても、カードが選択可能になったことで七割を超える方々が基本的にはカードで求めてきたということですが、精神障害者保健福祉手帳は、他の手帳に比べてカード形式を選ばなかった方がやや多い、カードを選んだ方がやや少ないというのかな、そういう状況でありましたけれども、この精神障害者保健福祉手帳は、ほかにも課題が見受けられます。
 こういうご相談がありました。精神障害者手帳というのは、法令で二年ごとの更新が定められておりますけれども、三か月前から更新手続ができる。精神障害を患っている方ですから、三か月前から更新手続にきちっと行くとは限りません。そして、手続をしてから早くても約二か月、遅いときには三か月半かかるといわれております。三か月前から更新が可能になっても、期限切れぎりぎりに手続をすると、出来上がるまでに三か月も空白ができてしまうと。精神障害の方が、三か月間、身分を証明するものがなくて行政サービスも受けられないというようなことがあって困っていますと、そういう相談がありました。
 この精神障害者手帳、二年に一回の更新に、基本的には区市町村も都も更新のお知らせをしておりません。更新の申請が遅くならないように、三か月前から更新準備ができるように、空白期間が生じないように、行政手続などで不利益が生じないように、周知の方法が重要だと考えますけれども、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、法令等により二年間と定められており、有効期限の三か月前から更新手続が行える旨を手帳に記載するとともに、都のホームページで周知をしてございます。
 また、更新手続の案内や有効期限に関する注意喚起のチラシを作成し、手続を行う区市町村の窓口などで配布をしてございます。

○慶野委員 駄目なんですよ。ホームページで知らせていますとか、手帳そのものに書いてあります、ある意味では責任を果たしているといえるかもしれませんけれども、例えば運転免許証、三年とか、ゴールド免許で期間が長いとかあったにしても、基本的に更新の日は誕生日であって、三年後の誕生日と決まっていたって、我々なかなかそんなこと意識していません。警視庁さんから更新のはがきが来て、ああ、そろそろ更新だと気づくわけです、我々健常者でさえ。
 それを、精神障害で日常の生活でさえ困難を抱えている方々が、カードに書いてあるでしょうと。そんなことで不利益を生じるようなことがあってはなりません。
 民間の事業であっても、例えば宅急便なんかは、お届け先の住所、電話番号が携帯電話になっていると、私も知りませんでしたが、携帯にLINEで、今日お届けしますとチャリンと入ってきます。もしくは金融機関で、お支払いの期日ですよってなると、スマートフォン、携帯にショートメールでそういう連絡が来ます。携帯電話の番号で登録していると自動的に通知がされるようになっております。
 いろいろな状況あるでしょうから、希望する方だけでも、住所も連絡先も分かっているわけですから、こうしたショートメール、SMSといわれるようなものを活用して、三か月前に、更新の時期が近づいていますと知らせられるような仕組みづくりをしていただきたいということを求めておきます。
 さらに、この障害者手帳のカード化に当たりまして、私が先ほど申し上げたとおり、精神も含めて、身体と愛の手帳と、どこに行っても障害者手帳だと分かるように、同じ形で、同じデザインで、統一のフォーマットで発行すべきということを本会議で求めて、東京都はそのとおりに実行してくださいました。
 しかし、なかなか、見本で見せてもらったり、紙で、こういうものになりますというものでお知らせはいただいたんですが、当事者の方に、障害者手帳カードを見せてという機会はなかったので、確認が遅れておりましたけれども、ある方から相談をいただきました。
 手帳の発行に際してカラーで写真を撮って、その写真を提出したにもかかわらず、発行されてきた障害者手帳は白黒だったということなんです。これは、カラーだからいいとか白黒だから駄目とか、そんな話をしているんじゃありません。
 国で出しているマイナンバーカードとか運転免許証も含めて、様々行政機関が出しているカード、とっくの昔にカラーで出てきています。何で障害者だけ、カラーで提出した写真が白黒で出てくるような、そういう対応をしているのか。東京都が障害者差別をしていると疑われてもおかしくないような状況だと思います。
 速やかにカラーで発行する準備を進めるべきと思いますけれども、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 障害者手帳は長期にわたって使用するため、国は耐久性や偽造防止を求めており、都は早期にカード化を図るため、耐久性等が確実である白黒のレーザー印刷により発行することといたしました。(発言する者あり)
 今後、耐久性等の観点から、カラー印刷が可能であることなどをさらに確認の上、検討を進め、来年度には、カラー写真によるカードの発行ができるよう取り組んでまいります。

○慶野委員 一言付け加えようと思いましたけれども、カラーで発行していくというご答弁でしたので、同僚議員のやじだけで済まさせていただきたいと思います。
 次に、地元の話題になりますけれども、荒川区には古くから、昔は汚水処理場、今は水再生センターといっていますけれども、荒川区にある三河島水再生センターは、我が国で最初の近代下水道施設であります。これは運用開始から百年以上が経過して、国の重要文化財にも指定されております。
 三河島水再生センターは老朽化が進んでおり、施設の再構築が必要とされておりますが、止めることのできないインフラです。そうした中で、三河島水再生センターの再構築計画についてお尋ねいたします。

○奥山下水道局長 下水道局では、下水道施設の老朽化対策と併せて、耐震性や維持管理性の向上などを図るため、再構築を計画的に推進しております。
 このうち、水再生センターの再構築では、工事期間中の水処理能力などが不足することから、先行して代替施設を整備しております。
 ご質問の三河島水再生センターにおきましては、近接する東尾久浄化センターに水処理施設を先行的に整備し、三河島水再生センターに流入している下水の一部を処理することで、再構築を進めてまいります。
 今後は、荒川区との協議などを行い、令和七年度までに東尾久浄化センターの水処理施設の整備に着手いたします。

○慶野委員 近くにある土地を使って、東尾久の浄化センターを先に、先行で整備をして、ここの運用を開始してから三河島を整備し始めるということでした。
 三河島の現在の水再生センター、広大な土地のその上は覆蓋化されて公園となっております。荒川自然公園といって、自然豊かな公園にした上で、さらには運動場、野球場、テニスコートといった、池があったり、多くの区民に親しまれた上で、さらには、高いところにありますから、高くなっていますから、施設の上に、上部に設置してあるので、避難所としても準備がされております。
 東尾久の新たな浄化センターも、その設備が完成した後には覆蓋化して、上部を尾久の原公園として利用していくべきと思いますけれども、見解を求めます。

○中島東京都技監 隅田川沿いに位置する尾久の原公園は、区部東部の水と緑のネットワークを形成する拠点であるとともに、避難場所として防災上も重要な都立公園でございます。
 これまで、草地広場など子供の遊び場や、トンボ池やデッキ等の自然観察の場のほか、防災機能の向上を図るため、非常用照明や防災トイレなどを整備してまいりました。
 隣接する東尾久浄化センターの水処理施設は覆蓋化される予定でございまして、完成後、その上部を公園として整備してまいります。

○慶野委員 浄化センターを整備、覆蓋化して公園にする。
 その公園にするときは、隣の都立尾久の原公園とその背中に流れている隅田川、今ここスーパー堤防になっておりますから、スーパー堤防の高さまで盛土をして台地を造って、命を守る丘にしてもらいたいというふうに思います。見解を求めます。

○中島東京都技監 本公園の拡張整備に当たりましては、水処理施設の上部に公園整備のための盛土を行うこととなっておりまして、その際に、地盤面がスーパー堤防の高さとなるようにしていきます。
 今後、地元区や下水道局と連携を図りながら、都民に親しまれる公園づくりに取り組んでまいります。

○慶野委員 ありがとうございます。
 時間のかかるハード整備でありますけれども、この覆蓋化される面積、七ヘクタールと聞いております。七百メートル四方にもわたるような面積になりますから、ここは地元の荒川区とも協議をしながら、ただの都立公園が広がりましたで終わらないような、荒川区が求める使用方法もしっかり検討に組み込んでいただきたいと思います。
 次に、災害時の物流について確認をさせていただきます。
 平時から各家庭における備蓄を促し、自宅に安全にとどまれる方にはとどまっていただく必要があります。在宅避難をする上で必要となる物資の備蓄を都民に促すため、都が備蓄ナビなどの取組を進めていることは承知をしております。
 しかし、激甚災害の場合は、備蓄での対応と並行して、行政による物資の調達、提供が必要となってまいります。
 被災者が必要とする物資を確実に避難所等へ輸送するために、実効性のある体制を確保していくべきと考えます。見解を求めます。

○野間総務局長 都は、発災時、国や他道府県からの支援物資を受け入れ、区市町村の地域内輸送拠点等まで輸送することになります。
 必要とされる物資を供給するため、昨年度から、全国レベルで物資の輸送や調達を支援するシステムを導入し、区市町村のニーズと支援物資を効率的に需給調整できる仕組みを確保いたしました。
 また、今年度は、このシステムを活用し、多摩広域防災拠点において、物流事業者と連携し、物資の受入れや払出しについての実動訓練を実施いたしました。
 今後は、訓練を通じて浮き彫りになった課題を踏まえ、マニュアルの改善等を図ることにより、オペレーションの実効性を一層高めてまいります。

○慶野委員 避難所までの輸送を確保していく方策、今述べていただきましたが、今日はこの先を言及したいと思うんですが、とどまる避難、在宅の避難、こうしたことを新たに東京都が進めていくに当たっては、あえてとどまる方が多く出てくるのと同時に、とどまることしかできない、避難所まで物資を取りに行くこともできない、こうした方も出てくることが想定されます。
 様々な連携の中で、避難所まで物資が届きました、自衛隊が来ました、水が届きました。だけど、タワマンの上の方にいる方や、ご高齢の方、障害のある方、こうした方々にも支援物資を届けていくような、まさにラストマイル、これを東京都は検討していかなければいけないと思います。
 今日は、一つ提案をさせていただきたいんですが、小池知事が求めてきた新しい生活様式、今回のコロナ禍で、様々な新しい生活様式といえるものが生まれてきたと思いますけれども、今日取り上げさせていただきたいのは、フードデリバリーサービス、多くの方が自宅にいなければならない、とどまらなきゃいけない。それから、飲食店がお客さんが来なくて困っている。こうしたことをマッチングさせたのが、スマートフォン一個あれば、欲しいお店に注文をして、すぐに届けていただけるというフードデリバリーサービス。
 これは今までも、しばらく前からありましたけれども、まだまだ私たちの生活になじみがなかったので、コロナ禍になった直後は、多くの方が、それこそ自転車のルール、マナー、こうしたことで後ろ向きな報道をされることも多々ございましたが、最近は完全に社会インフラ化してきたといっても過言ではないと思います。そうした後ろ向きな報道も、見ることはかなり減ってきたという印象を私は持っておりますけれども、こうしたフードデリバリー、社会インフラというからには、スマートフォンで、私はここにいます、これが欲しいといえば、それが家まで届いてくる、最後のラストマイルに活用する方法というのはないのだろうかということで、フードデリバリー業界の最大手の会社と懇談をしてみました。
 現在、全国に配達パートナーは十万人以上いるそうです。東京都内だけで六万人を超えるパートナーがいる。そして二十代、三十代の方が多くて、全国平均で、ぽちっとスマホで注文した瞬間から二十九分で全ての配達が完了している。
 二〇二一年末に社内で独自のアンケートをしたそうです。配達パートナー一万三千人の回答の結果によると、多かった二つは何かというと、社会的地位の低さ、世間からいろいろいわれてきてしまったということ、それと社会貢献がしたいと。この二つが何と、フードデリバリーに従事する方々、本業にしている方もそうだし、ギグワークの方もそうかもしれません。何でこんなに一生懸命やっているのに、一部のマナーを守らない仲間のために悪いいわれ方をしてしまった。議会でも、都議会でもそういう発言も見受けられました。そうした中、配達パートナーは、社会的地位と、社会貢献をしたい、こういう声がありました。
 そこで、避難所に届いた物資が、各ご家庭、とどまっている方々に確実に届くために、東京で六万人、全国で十万人といるこの配達パートナー、道路が復旧してきた、自転車や歩きで動けるようになってきた、そういうときには、被災者対応を行う区市町村や様々な関係機関と連携しながら、物資輸送手段として今後検討すべきと考えますが、見解を求めます。

○野間総務局長 災害時には、広域輸送基地から地域内輸送拠点等に物資を輸送する東京都と、地域内輸送拠点等から被災者への物資の提供を行う区市町村が相互に連携しながら支援を行うこととなってございます。
 このため、都は、物資輸送に関する区市町村との連絡会を開催し、地域内輸送拠点の運営や物流事業者との連携方法等について意見交換等を行ってまいりました。
 区市町村にとっては、発災時に在宅避難を行う被災者等に対する物資の提供方法が重要な課題となるため、引き続き都が開催するこの連絡会において、被災者への物資支援の在り方について、幅広く議論を重ねてまいります。

○慶野委員 今、大変重要な新しい見解を示していただきました。
 発災時に在宅避難を行う被災者等に対する物資の提供方法が課題であると、総務局長が明確におっしゃいました。これを今後検討していくという状況に入っていくと思います。
 さらに、自転車や歩きでの配達だけにとどまらずに、昨年の十月には新たに法改正がされまして、自転車よりも輸送力、スピードもある軽自動車の貨物輸送、これは商用車とか商用バンでなければ、商業用のナンバー、黒ナンバーが取れなかったわけですけれども、法改正がされました。乗用車の軽自動車、乗用軽自動車で営業用のナンバーが取れるように十月に法改正されて、年内二か月だけで二千台を超える登録があったそうであります。こうした一般の方々の力を有効活用していけるように、今後検討を重ねていただきたいと思います。
 駆け足で、次に参ります。
 次に、環境についてであります。
 国に先駆けて実施したディーゼル車規制、さらに工場へのばい煙規制など、大気環境改善に東京都は率先して取り組んでまいりました。さらに、昨年九月に策定した東京都環境基本計画において、都民の関心も高い微小粒子状物質、いわゆるPM二・五について従来よりも厳しい目標を掲げるなど、大気環境の改善に向けて取り組んでいるところであります。
 空に壁はありません。大気汚染物質は、都県境を越えて東京に到達する、もしくは逆もあり得ます。都単独での取組には限界があると思います。大気環境改善に向けて、九都県市や関東近県など周辺自治体と連携を深めていくとともに、都民や事業者の関心を高めていく取組を進める必要があると考えますが、見解を求めます。

○栗岡環境局長 大気環境のさらなる改善に向けては、周辺自治体や都民、事業者など多様な主体と連携、協働し、共に取組を進めていくことが重要でございます。
 そのため、都は、周辺自治体とともに大気汚染物質の削減対策を検討する連絡会を設け、汚染物質の移動状況の把握や発生源の特定に取り組むなど、広域的な対策を推進してございます。
 また、大気環境改善に関する都民、事業者の機運醸成に向けてClear Sky事業を展開しており、来年度は新たに、子供や若年層向けに、大気環境改善に資する身近な取組などを分かりやすく説明した動画等を作成するなど、事業内容を拡充して実施してまいります。
 今後、新たな取組も着実に実施しながら、大気環境のさらなる向上を図ってまいります。

○慶野委員 ありがとうございました。
 次に、東京湾の水質についてですが、汚濁の原因の八割は生活排水由来だと聞いております。水環境の改善には、都民自らが主体的に取り組んでいくことが必要であります。
 今年度公表された第九次東京湾水質総量削減計画に示したとおり、都民の行動を変えていくために促していっていただきたいと思います。
 一問飛ばします。
 次に、海の環境保全、水質改善、大気の改善、東京都はしっかり取り組んでまいりました。そして、目に見える大きさのごみについては、港湾局さん一生懸命、毎日毎日ごみを拾って、船によって集めていただいております。取っていただいております。
 浮遊するごみの清掃は行われておりますが、清掃作業では対応が厳しいのが、発生した時点で既に細かく、微細になっているプラスチック、一次マイクロプラスチックです。ビニール袋やビニールのストローといったものは二次マイクロプラスチック。海洋に出て、紫外線とか風雨によって次第に小さくなっていくものに対して、発生した瞬間から微粒子になってしまっている。これは防ぎようがありません。
 世界の海に流出するマイクロプラスチックは、国際自然保護連合の推計によると、発生した時点で五ミリ以下の一次マイクロ、これは年間百五十万トンであるという推計が出ております。そして、この百五十万トンのうち、二八%が自動車のタイヤの粉じんであるということなんですね。
 今日ここで私が提案したいのは、車はエンジン性能の向上、内燃機の燃焼効率の向上、もしくは水素や電気、こうしたことによって、排出されるガスそのものは抑制されてまいりました。世界の先進国を筆頭に、法規制もされております。
 ところが、一切の法規制もないのがタイヤ、回収率ゼロなのがタイヤ。新品時には溝が大体八ミリはあるものが、走っていくうちに、知らず知らずに徐々に減っていって、残り一・六ミリになるとスリップサインというものがあって、交換の目安になります。六・四ミリ減っていく間、タイヤのかすがぼろぼろこぼれているのを見たことがある人はおりません。走りながら本当に小さく空に舞いながら、もしくは道路に落ちてきて、雨と一緒に川に、海に流れていく。一次マイクロプラスチックは回収不可能だし、出てしまったら、全部それが海洋汚染になる。魚等がそれを食べてしまえば、行く行くは私たちの体内にそれが入っていくということになってまいります。
 こうした中、法規制もない、回収方法もないという状況ですが、タイヤと併せてブレーキ、これも高速で回転するブレーキローター、鉄のローターに、ブレーキパットがばあっとやって、中にはアスベストも入っているようなものもあります。鉄粉、粉じんが飛び散ります。これも回収はゼロです。
 こうしたものが、海洋にあるマイクロプラスチック年間百五十万トンのうち二八%を占めているという、こういう状況にあって、タイヤをはじめとした排出ガス以外から発生する粉じんの削減への取組を、都も開始する必要があると考えますけれども、見解を求めます。

○栗岡環境局長 都内では、ディーゼル車規制等により、自動車排出ガス由来のPMは大きく減少したものの、タイヤやブレーキなど排出ガス以外から発生する粉じんにつきましては、ZEVの普及が進んでも、引き続き発生するものと考えられます。
 安全運転や燃費向上を目的に、加速、減速の抑制等を行うエコドライブは、タイヤやブレーキ等の摩耗低減にもつながります。都は、九都県市と連携し、効果や具体的なポイントを記載したホームページやチラシ等により、幅広くエコドライブの普及啓発を行っております。
 EUにおきましては、排出ガス以外から発生する粉じんについて、規制に向けた動きがあることは承知してございます。国においても、ブレーキ粉じんの調査方法の検討が行われてございます。
 今後、都は、業界関係者等から知見を収集、蓄積してまいります。

○慶野委員 法規制もないし、回収方法もまだ見当たらない。そうした中で、都は、業界関係者から知見を今後は収集、蓄積していくという大事な答弁でありました。
 空を守り、水を守り、そして土壌も守っていく。環境問題というのは、全てが相互に関連しております。今日こうした問題提起させていただいた課題を含めまして、幅広い環境課題にしっかりと今後取り組んで、持続可能な都市東京をつくっていくための知事の見解を求めます。

○小池知事 東京の持続的な成長と、より良質な都市の環境の確保のためには、エネルギーの脱炭素化はもとより、新たな課題を含む幅広い分野におけるさらなる施策の深化が必要でございます。
 都は、昨年九月に環境基本計画を改定しまして、PM二・五の二〇三〇年目標を強化するなど、都民、事業者の共感を得ながら、各分野の環境課題の包括的な解決を図る施策を展開いたしております。
 東京が五十年、百年先も豊かさにあふれる持続可能な都市であり続けるため、都民、事業者等との連携、協働を一層強化いたしまして、あらゆる施策を総動員してまいります。

○慶野委員 ありがとうございました。ぜひ、知事が先頭に立って、美しい東京都をしっかりと守っていただきたいというふうに思います。
 次に、東京港の交通混雑についてであります。
 国際貨物の九九%は、港を利用する船での輸送であります。コンテナ輸送をする業界にとりまして、この東京港の大渋滞、大混雑は積年の課題となっております。
 確認のために、東京港のコンテナふ頭で混雑が発生する原因は何だとお考えでしょうか。

○矢岡港湾局長 首都圏の生活と産業を支える東京港では、近年、貨物処理能力を大幅に超える量のコンテナ貨物を取り扱う状態が続いており、その結果、コンテナターミナルでの貨物の引渡し作業に時間がかかっている状況にあります。
 加えて、荷主はトラック事業者に対して、コンテナターミナルから引き取った貨物を朝一番に納品するよう指示する傾向があるため、納品前日の午後、特に夕方にコンテナ車両がターミナルへ集中しております。
 こうしたことがコンテナターミナル周辺で交通混雑が発生する主な原因であると認識しております。

○慶野委員 夕方に翌日分を取りに来たその大渋滞、私も十二月末に現地を視察してまいりました。事業者さんと共に並んでみました。四時間並びました。こうしたことが年間何度も起きているという状況であります。
 今、混雑の原因は、時間が集中するということと、貨物処理能力をそもそも超えているという、この二つがあるということです。これに対してターミナル運営事業者はどのような対応を行っているでしょうか。

○矢岡港湾局長 通常、コンテナターミナルの現場では、コンテナ貨物について船への揚げ積みとトラックへの受渡しを同時並行で行っております。
 一方、世界の主要港を結ぶコンテナ船は、国外の港での混雑や台風等の影響で運航スケジュールが大幅に乱れることがあり、その結果、コンテナ船の東京港への寄港が異常に集中することがございます。
 こうした場合、グローバルなサプライチェーンの維持、回復に向けて、ターミナル運営事業者は、船への貨物の揚げ積みを優先して対応しております。
 このため、運営事業者は臨時の作業体制を確保するなど、できる限りの対応をしているものの、トラックへの受渡しに要する時間が通常より長くなると聞いております。

○慶野委員 不確定要素が多いということと、処理能力以上のコンテナ貨物を取り扱っているということです。原因が分かっているならば、ターミナルの整備を行って、さらに既存のふ頭の再整備も進めていくべきと思います。見解を求めます。

○矢岡港湾局長 増加するコンテナ貨物取扱量に適切に対応するためには、新規ふ頭の整備等を進め、港湾機能の抜本的な強化を図ることが必要でございます。
 このため、都は、中央防波堤外側地区において、平成二十九年にY1ターミナルを、令和二年にY2ターミナルをそれぞれ新たに供用開始したところであり、来年度はY3ターミナルの整備を進めてまいります。
 また、増加するアジア貨物の取扱拠点である青海コンテナふ頭においては、一ターミナル当たりのヤード面積の拡張や、効率的な荷役機械への更新など、ターミナル営業を続けながら再編整備を進め、貨物処理能力の強化を図ってまいります。

○慶野委員 駆け足ですみません。
 今年度からは、国が開発したシステムを使って予約制をしております。九つのターミナルのうち、現在二つで予約制にしております。この予約を拡大してください。見解を求めます。

○矢岡港湾局長 東京港のふ頭周辺の交通混雑を解消するためには、ゲート前待機時間の削減に効果のあるコンテナ搬出入予約制の取組を拡大していくことが重要でございます。
 一方で、東京港には一日に約一万台のトラックが来場しており、予約制の導入により現場のオペレーションに多大な影響が生じる可能性があることから、専門的な知見の下、効果検証と改善を図りながら慎重に対応していく必要がございます。
 このため、都は、来年度から新たに、専門家による相談体制を整えるなど、予約制を導入しようとする事業者を強力に後押しすることで、実施ターミナル数を二か所から五か所へ拡大することを目指します。
 今後も都は、東京港が首都圏を支える国際物流拠点としての役割を果たしていけるよう、取組を進めてまいります。

○高倉副委員長 慶野信一委員の発言は終わりました。(拍手)

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