予算特別委員会速記録第三号

   午後六時十分開議

○菅原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 白戸太朗委員の発言を許します。

○白戸委員 先週開催されましたスタートアップ支援のイベント、City-Tech.Tokyoに行ってまいりました。
 会場の雰囲気や運営などが国際イベントにふさわしいものになっていました。何より、イベントの公用語が全て英語で、会場では日本語より英語でのコミュニケーションのシーンが非常に多いように感じました。日本の中の東京で活動するのではなくて、世界の中の東京として世界に向けて発信し、世界から人、情報、資金を集められる都市を目指していくべきであるのを再認識いたしました。
 そう、グローバル教育とは、英語教育だけのことではなく、世界の中で日本人としてのアイデンティティーと広い視野を持ち、多文化の方々と適切なコミュニケーションを図っていける人材の育成であります。
 もちろん、その入り口に語学の獲得があり、さきの議会での我が会派の代表質問にも、小中高学校の英語教育に関し、年代にふさわしい取組を進めていく姿勢を示していただいたように、語学の習得から、それを使って何をするかということに中心が移ってまいります。
 そんな一環として、本年度、都教育委員会は、海外でなければ得られない様々な体験の機会を創出することなどを目的として、都立高校生を初めてUAEやパリに派遣し、研修を行いました。
 こうした実績を踏まえ、令和七年度までの三か年で千人以上の高校生を世界各国に派遣するということですが、来年度の都教委の取組について伺います。

○浜教育長 来年度、都教育委員会は、都立学校の生徒の海外派遣先を、これまで実績のある北米、オセアニアなど英語圏はもとより、中東、東南アジアなど様々な国や地域に広げ、国際的な視野から多様な価値観を持つ人々と協働して、よりよい社会を築いていく力の育成に向けた取組の充実を図ってまいります。
 多くの都立学校生徒が海外において現地の高校生と互いの国の文化を紹介し合ったり、世界が抱える共通の課題解決に取り組む最先端の施設を視察したりする機会を通して、世界の一員としての自覚を高められるようにしてまいります。

○白戸委員 単に言葉の問題ではなく、文化や慣習の違いなども理解しながらコミュニケーションしていく難しさと面白さを体感することは大変重要で、どんどんと海外での壁にぶつかっていただきたいと思います。
 さらに注目すべきは、今年度、都立高校の生徒とろう学校の生徒が一緒にパリを訪問して学んできたと聞きました。
 事前学習では、聴覚障害のある生徒が高校生に手話を教えたり、パリでは現地の高校生と多様なコミュニケーションにより、互いの文化について紹介し合ったということです。
 こうした機会は、障害のあるなしにかかわらず、お互いを理解しながら、共に理解し、支え合う社会をつくっていく大きな一歩であり、それが海外に赴く場面でも実現できたことは極めて意義があり、すばらしい取組であると高く評価いたします。
 今後、ろう学校の生徒のみならず、他の特別支援学校の生徒についても、都立高校の生徒と一緒に海外で学ぶ機会を持てるようにしていくことが大切と考えますが、都教委の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、パリへの派遣を来年度も継続して実施することとしており、派遣に当たっては、都立高校生やろう学校の生徒に加え、新たに盲学校の生徒を参加対象とするなど、人数の拡大を図ってまいります。
 また、そのほかの国や地域との交流においても、都立高校生と特別支援学校の生徒が共に参加する機会を設けるなど、障害の有無を超えて共生社会の実現に貢献しようとする意識や態度を育む取組を充実させてまいります。

○白戸委員 共通のハードル、共通の目標に向けて、こうやって多様な生徒たちが共に取り組むことは、相互理解のためにも大変有効な取組であったと思われます。ぜひ、このような派遣の形を今後も継続いただきたいと思います。
 共生社会の推進に当たっては、聴覚障害の方々が活躍する二〇二五年のデフリンピックは絶好の機会と考えます。大会開催に向けて、ろう学校の教育を一層充実させるとともに、大会を契機とした共生社会の実現に向けて、広く聴覚障害理解に関する教育を推進していくことが重要と考えますが、取組を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は来年度、ろう学校へデフアスリートや国際手話通訳等を招聘し、生徒のパリへの派遣等と併せてデフリンピックに向けた教育を充実させます。
 また、広く障害理解を促す教育を推進するため、ろう学校の児童生徒の意見を取り入れながら、聴覚障害理解に関する映像教材を作成いたします。作成した映像教材は小学校、中学校、高等学校などでの活用を促し、デフリンピック開催を契機とした共生社会の実現に向けて取組を推進してまいります。

○白戸委員 パラリンピック同様、このデフリンピック開催により、これまで意識しなかった社会課題が見えてきます。そんな課題に光を当てて取り組んでいくことに開催意義というのがあると考えております。
 また、我が会派では、テクノロジーの力でバリアを超えていく社会の実現を目指して、インクルーシブテクノロジーとして、障害のある方の暮らしを支えるデジタルやテクノロジーの導入をあらゆる分野で検討するように、特にデフリンピック大会開催を好機として加速するように対応を求めてまいりました。
 障害の有無に関係なく、特性を生かして取り組むことができるフィールドとして、eスポーツに着目する動きも出ています。
 そこで、障害の程度の様々な要因により、思うように運動ができない方に特性に合わせたデバイスを用意することで、eスポーツなどを通じて障害の有無にかかわらず楽しみ、活躍し、交流する機会を創出するべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 外出が困難ではあるものの、体を動かす意欲のある障害者がスポーツに参加する機会があることは重要でございます。
 都は今年度初めて、障害のある方が遠隔操作ロボットにより、福祉施設等にいながら競技への参加や試合を観戦するなど活動する機会を提供いたしました。
 来年度はこの取組を拡充するほか、新たにeパラスポーツ事業を開始いたします。具体的には、障害者自身が操作できるよう、個々の状態に合わせて加工した機器を福祉施設等に提供するとともに、障害のある方とない方との交流戦を実施いたします。
 今後とも、最新の技術も活用し、障害の有無にかかわらず誰もがスポーツを競い、楽しめる環境を整備してまいります。

○白戸委員 テクノロジーというのは、健常者の生活の利便性を高めるというのはもちろんですが、障害を補うこともできます。ぜひ、このような取組を加速して、インクルーシブな社会を推進していただきたいと考えます。
 昨年、我が会派からの提案で、コロナ禍で活動の制限された子供たちに体験活動をしてもらおうという場をつくろうという目的で開始されました子供を笑顔にするプロジェクト、これは千七百十七校という多くの学校で開催され、多くの子供たちに笑顔が届けられたのではないかと思います。
 また、明日から始まるWBCの試合を、都内百十五校、約一万一千人の児童生徒が観戦し、試合前セレモニーにも参加させていただけるということで、私が児童になりたいぐらいです。ご協力をいただいている関係者の皆さんに感謝するとともに、この事業を進めて本当によかったと感じております。
 このように、前向きなお話は多々聞いているものの、都が予算をかけて行った事業なので、その振り返りをきちんとしておくことも重要です。
 我が会派は、令和四年第四定例会の代表質問においても、このプロジェクトの総括についてお尋ねし、プログラムの選択理由や期待する効果を順次アンケートによって集約、外部有識者の知見も活用しながらプロジェクトを総括していくということを聞きました。
 年度末までまだ体験活動が実施されている最中でございますが、現時点でどういった傾向や専門家からの見解があったのか伺います。

○浜教育長 体験内容については、芸術文化、アスリートとの交流に続いて、協働して課題解決、他者理解、共生などの体験を選択する学校が多くありました。
 学校アンケートでは、子供たちに笑顔で前向きになってもらう、集団活動が制約された中でコミュニケーション力やチームワークを育む、この機会にふだんはできない体験をさせ、視野や関心を広げるなどの狙いを持って実施したとの回答がありました。
 専門家からは、子供の発育における体験活動の重要性、家庭環境による体験格差と学校の体験活動の意義、学校だけでは難しい本物に触れる体験がもたらす効果、集団活動の重要性などについてコメントをいただいております。

○白戸委員 オンライン上ではなくリアルな世界での体験、これは非常に大切で、どれも価値のある時間だったと思います。中でもコミュニケーションやチームビルディングなどは、まさにコロナ禍の教育現場でできていなかったことであり、貴重な機会になったのではないでしょうか。
 それでは、今年度の実績や総括を踏まえ、令和五年度は体験事業をどのように展開していくのか伺います。

○浜教育長 社会経済活動が日常を取り戻していく中で、様々な家庭環境にある子供たちに学校が多様な体験の機会を提供することが重要であり、令和五年度においても、全ての公立学校、私立学校を対象とした体験事業を実施してまいります。
 体験内容については、今年度の総括を踏まえ、来年度は、協働して課題解決に取り組む体験や、他者理解、共生社会に資する体験、科学、技術に触れる体験を充実させることとし、積極性、協調性、コミュニケーション力など子供たちの豊かな心の育成につながるよう取り組んでまいります。

○白戸委員 学校が提供するからこそできる体験とは、やはり集団生活の中でどのように考えて行動するかということがあると思います。
 このように、能動的に関わるようなプログラムを中心に行っていくことは、今の子供たちにとって非常に大切な教育であると考えます。ぜひ来年度も子供たちに、リアルで自主的に関与し、心揺さぶられるような体験をさせてあげてください。
 生徒の教育の充実を考える際に、現在の教員の超過勤務は深刻で、早急に状況の改善を図っていかなければいけない、教員の成り手がさらに減少してしまうということが懸念されています。
 改善の一環として、部活動の地域連携、地域移行が挙げられており、日本全国でその取組が来年度よりいよいよ始まるところです。
 先日の我が会派の代表質問に、都教委は、来年度より区市町村における部活動の中核を担う総括コーディネーターや、スポーツ、文化芸能団体、外部人材との調整を行うコーディネーターの配置を支援していくという答弁がございました。
 教員は多忙で、外部人材を探す時間も、そしてそのコネクションにも乏しい場合があることから、このような人材が入ってくれることは部活の地域連携、地域移行に向けて非常に明るい話題で、重要な役割を果たすのではないかと考えます。
 この区市町村における総括コーディネーターやコーディネーターの配置を促進していくために、来年度、都教委はどのように取り組んでいくのか伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、本年度末に策定する推進計画の中に、区市町村に配置する総括コーディネーターや中学校に配置するコーディネーターの具体的な役割などを示すとともに、来年度は、コーディネーター等の経費の一部を区市町村に対し補助するなど、部活動の地域連携や地域移行が円滑に行われるよう支援してまいります。

○白戸委員 適切な人を探し出して適切に配置していく。これまで前例が少ない事業だけに、この作業に特化した人材が入ってもらえるというのは、学校としても非常にありがたいと思います。
 が、一方で、外部の指導者が子供たちを指導するようになってくると、指導者の質の担保、これが大きな課題になってくると思います。私の地元でも、これに関しては様々な声を聞いております。学校側にも、どのように外部の指導者を活用し、学校との連携を図っていくのか、これもまだ手探りな状態であることも確かです。
 そんな観点からしますと、このコーディネーターの活用方法、これは非常に重要で、来年度、都立中学校において試行的に行う部活動の地域連携、地域移行に向けた取組の中で、コーディネーターなどの有効な活用方法について検証していくべきだと考えますが、取組を伺います。

○浜教育長 来年度、部活動について、人材確保のノウハウを持つ政策連携団体である東京学校支援機構、TEPROが総括コーディネーター等の業務を担い、都教育委員会として、都立中学校の一部の部活動の地域連携や地域移行を検証する実証事業を行ってまいります。
 また、これらの事例を区市町村にも周知することにより、都内公立学校全体の取組を後押ししてまいります。

○白戸委員 事例が少ないからといって進めなければ何も進みません。だからこそ、このような実証実験をしっかりと進めていくこと、大切だと思います。そして、この実証実験の中で、当該の子供たちからの声もしっかり聞くことが大切です。
 部活は外部に移行しても、子供たちの教育の一環であることは変わりません。結果を追い求め過ぎて勝利至上主義になったり、肝腎の学校生活に悪影響を与えるものにならぬよう、しっかりと配慮いただけるようお願いします。
 そして来年度、都教委は中学校だけでなく、高校においても、部活動の地域連携、地域移行の導入を試みていくと聞いておりますけれども、取組を伺います。

○浜教育長 来年度、都教育委員会は、都立高校六校の一部の部活動における休日等の運営を民間事業者に委託するなど、専門性の高い指導者から技術指導を受けられるようにするとともに、教員の負担軽減を図ってまいります。
 こうした取組の成果を踏まえ、今後都立高校における部活動の在り方について幅広く検討してまいります。

○白戸委員 これは実にすばらしい取組だと思います。高校の部活動においては、生徒の要望のレベルと指導者の技術、技能、そして方向性を合わせることが非常に重要なんですが、なかなかうまくマッチングできてないというのが多いようです。ぜひ、高校にこそこの地域連携、地域移行は進めるべきだと考えます。
 ただ、先生によっては非常に熱意を持ってこの部活指導されている方もいらっしゃいます。私自身も、そんな先生に出会えたことで人生に大きな影響を与えていただきました。そうした部活動に前向きに取り組みたい先生たちの思いもしっかりと酌み取りながら進めていただきたいと思います。
 続きまして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの競技大会会場となった海の森水上競技場は、都心から車で僅か二十分程度の距離にありながら、ゲートブリッジを目の前にして海に囲まれ、豊かな緑と広い空を満喫できるすばらしい空間であります。
 しかも、この東西の締切り堤において、外洋からは遮断されて広大な、静穏なこの水面がつくり出されることに加えて、観客席、宿泊施設、食堂、合宿所、こういったものを有するなど、水上スポーツの聖地となり得る施設ではあります。
 しかし一方、メディアなどでは年間一・六億円程度の赤字が見込まれるという、負の施設であるという批判もありますが、私は何度も現場に行き、あの広い空を見ると、この施設の可能性をひしひしと感じるところではあります。
 そもそも、行政が造る施設は、採算性だけが望まれているのではなく、社会性も大切です。都民の使用頻度、健康への寄与、教育への貢献、都市プロモーション、災害時の使用、シビックプライドの醸成など、様々なものが求められるのも忘れてはいけないと思います。
 その観点で考えると、この二〇二〇大会では無観客で開催されたこともあり、都民の皆様にはせっかくの施設をあまり身近には感じられておらず、利用にもまだまだハードルがあり、誰もが利用しやすい施設とはいいにくいかもしれません。今後、多くの方々に使ってもらう施設とすることはこれ必須であります。
 昨年の再開業以降、既に競技団体の大会や音楽イベントが開催されており、メディアの報道などでも知られているところではありますが、実際に使用しているのはまだまだ一部に限られており、その原因の一つに、ボートやカヌーをはじめとした水上スポーツの練習などでも個人で利用できるというのがほとんど知られていない、あまり知られていないと。そして、個人利用の案内も不十分であると考えます。
 また、個人利用促進を考えるならば、もう少しこのライフスタイルに合わせた利用の方法の検討も必要なのではないかと考えます。この個人利用の促進に向けて、どのように今後取り組んでいくのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 海の森水上競技場のさらなる活用に向けましては、競技大会やイベントなどの団体利用に加えまして、練習や宿泊など、個人の利用を促進していくことが重要でございます。
 都は指定管理者と連携し、施設の持つ雄大な景観や水上競技の様子の動画を作成して、魅力を発信いたします。あわせて、水上スポーツの競技団体等のネットワークを活用しながら、積極的に案内をすることで、社会人や学生などに個人での利用を呼びかけてまいります。
 また、利用可能時間につきましては、今後、夜間照明設備を整備するとともに、ニーズに応じて柔軟な運営を行うことにより、個人でも利用しやすい環境整備に取り組んでまいります。

○白戸委員 週末がイベントなどで予約が取りにくいというのは理解できるんですが、平日は、広い水面があるんです。できる限り多くの方が使えるような配慮も必要です。
 また、今は実は九時から十七時という時間帯なんですけれども、これでは一般の社会人は使える人、もうかなり限定されます。早朝、夕方、こういったところを開放することによって、より多くの人が使いやすくなると思います。
 そして、開放の時間もそうです。予約の仕方もそうです。使い方もそうです。まだまだ工夫の余地があると思います。と同時に、それを知ってもらう努力もぜひよろしくお願いします。
 二キロです。二キロの直線にわたるフラットな広い水面、多くの水上スポーツにとって魅力的な場所であり、競技の強化の観点もそうですが、複数の競技が同時に利用することも可能だと考えます。
 私自身、昨年こちらで開催されましたアクアスロン大会に参加しまして、泳いで、走って、体をもってこの施設の活用の可能性、感じてまいりました。また、ライフセービングなどの競技団体からも、練習会場として非常に興味があるという話も聞いております。
 海の森水上競技場の持つ強みを生かして、二〇二〇大会で実施されたボートやカヌーだけじゃなくて、様々な水上スポーツでの利用を促進し、有効活用を図ることによって、このレガシーとしての真価が発揮されると考えますが、どのような取組をしていくのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 海の森水上競技場では、今年度、ボートやカヌーだけではなく、トライアスロン、ドラゴンボートなどの利用実績もありまして、来年度も大会等での利用が見込まれております。
 都は、指定管理者と連携して、海の森水上競技場を利用する競技団体と意見交換を行う懇談会等を開催しておりまして、新たに利用の意向がある団体にも参加をいただく予定でございます。
 今後はさらに、ホームページやSNSにより幅広く水上スポーツを行う団体向けに情報発信をするとともに、積極的に営業活動も行うなど、大会や練習利用の活用促進に向けて取り組んでまいります。

○白戸委員 海の森水上競技場は、多くの水上スポーツが利用できる可能性豊かな水域であり、幅広いスポーツに開放し、まさに水上のスポーツパークとして、水上スポーツの裾野拡大、都民の健康に資する施設にしていただきたいと思います。
 さて、この海の森水上競技場のもう一つの魅力は、実は水面だけじゃなくて、水面に沿って、約十三ヘクタールに及ぶ広大な陸域なんですね。大会後の改修工事では、イベント広場、そして芝生広場が整備されるとは聞いておりますが、この水上競技場、水面ばかりじゃなくて、この広いオープンスペースをいかに生かすのか、もう少し検討すべきじゃないかと思います。
 音楽系の大規模なイベントなどは検討されているというのは聞いておりますけれども、それ以外にも、大都会の中の自然を感じられる貴重な空間、可能性はあるのではないかと。今後、陸域での幅広い活用について、どのような取組を進めていくのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 海の森水上競技場では、TOKYOスポーツレガシービジョンに基づきまして、昨年の一部再開業以降、スポーツ利用のほか、音楽ライブやロケ地利用など、ユニークベニューとしても活用を進めております。
 来年度以降、広大な陸域のある施設特性を生かしまして、キャンプ、バーベキューをはじめ、集客力のある大規模フェスティバルの開催、海の森公園と連携した野外コンサートやライトアップ等ナイトタイムイベントの誘致など、魅力的な事業を検討しております。
 また、外部有識者等から成る専門委員会を設置し、さらなる活用方法について検討を進めており、様々なアイデアの早期実現に向けて取り組んでまいります。

○白戸委員 キャンプ、バーベキュー、いいですね。楽しみです。
 水面を競技などで利用している場合であっても、利用調整によっては、陸域を活用した別イベントなども可能であると考えております。水上スポーツだけでなくて、この施設の特性を最大限に活用して、様々な目的で都民の皆様が楽しめるにぎわいのある施設にしていくことこそ、冒頭に述べました施設の社会性を高めるということにつながると思います。ぜひ大きく門戸を開き、都民に愛される施設にしていただきたい、このように考えます。
 続いて、そのお隣、海の森公園について伺います。
 現在も整備が進められておりますけれども、ちょうど先週末にプレオープンベントが開催されまして、私も参加させていただきました。当日はすばらしい天候で、広い空の下、地元の小学生による吹奏楽の演奏に加えまして、移動動物園とかアウトドアクッキングなど数多くのプログラムが実施されまして、本当に気持ちのいい、活気あふれる、心地のよい時間でした。
 都心の近くにありながら広大な草原を有する貴重な公園であり、また、先ほどから議論させていただいております水上競技場も隣接していることから、スポーツに関するイベントの実施にすごく適した場所であると、改めて感じたところでございます。
 そこで、海の森公園において、都民の健康増進につながるスポーツイベントを積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。

○矢岡港湾局長 現在整備を進めている海の森公園は、都内でも有数の広大な空間を有しており、その特性を生かして、来園者の健康増進につながる取組を進めることは重要でございます。
 このため、都は、親子参加による鬼ごっこイベントを実施するとともに、現在開催中のプレオープンイベントにおいても、青空ヨガや子供たちも安心して楽しめるドッチビーを行うなど、来園者の健康増進につながるスポーツプログラムの実施を推進してきたところでございます。
 今後も、海の森公園の特性を生かし、来園者が気軽に参加できるスポーツプログラムを実施するとともに、水上競技場と連携したスポーツイベントの開催等にも取り組んでまいります。

○白戸委員 ふだん都会に生活しているからこそ、あの空の広さ、広いスペース、魅力的でございます。ぜひ公園の特徴を生かした活用、よろしくお願いします。
 公園には様々な目的がありまして、その一つにスポーツとの親和性を高めることがあります。そして、従来の公園に少しの工夫を加えることでその利便性が増し、利用促進につながります。例えば駒沢公園のように、走路を明確にし、距離表示を入れるだけでランナーの数が増えました。
 その観点で考えますと、都立公園の中でも、工夫次第でさらに活性化し、都民に愛される公園にできるところもあるのではないでしょうか。
 例えば小金井公園、これは広く緑に恵まれており、ランナーたちにも有名な公園でございます。ただ、地元ランナーなどからは、距離表示があったり、ランニングコースとして整備してもらうともっと走りやすいのになというような声もいただいております。
 公園の景観を変えることなく、安価な予算でスポーツ環境を整える工夫をさらにしていくべきと考えますが、見解を求めます。

○中島東京都技監 小金井公園は、日頃から気軽に運動ができる場として地域に親しまれており、多くの方がランニングを楽しんでいます。ランナーの利便性向上を図るため、このたび、初心者用のサイクリングコースを活用することといたしました。
 具体的には、自転車利用に支障の少ない早朝と夕方にランナー優先の利用時間帯を新たに設け、併せてコースの路面にランナー用の距離表示を行います。
 来年度の実施に向け準備を進めておりまして、今後も公園の状況に応じて施設利用の工夫を図るなど、利用者のニーズに対応してまいります。

○白戸委員 大きな施設を造るというだけではなくて、あるものを上手に工夫して利便性が向上し、その公園の価値が高まることもあります。公園に求められる様々な要素を検討しながらより有効な公園利用を進めていくことは、都民からさらに使われ愛されるという公園の社会性を高めていくわけで、今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、葛西臨海公園の水族園について伺います。
 まず、葛西臨海水族園の新施設については、その施設の目的を考えますと、これは当然のことなんですが、自然との共存をコンセプトで行うことになっています。環境への配慮はもとより、既存施設を生かしながら、公園全体と調和した施設となるようになっています。
 まず、既存施設とのつながりを含めて、この新施設にどのように取り組んでいるのか伺います。

○中島東京都技監 新施設は、既存施設の老朽化等に対応するため新たに整備するものでございまして、自然との共存をコンセプトに、隣接する芝生広場を中心に既存施設と連携しながら建設することとしております。
 整備に当たりましては、正門から既存施設のガラスドームが展望できる配置とし、新旧施設の間には、移植された樹木を配した共生の杜エリアを設け、自然豊かな環境の中で回遊できるようにいたします。
 こうした新施設の整備を通じまして、葛西臨海公園の魅力の向上を図ってまいります。

○白戸委員 環境へも配慮し、公園全体の魅力を高める事業が進められているということです。
 しかしながら、昨今この葛西臨海水族園の新施設整備に当たっては、SNSなどを中心に様々な情報が飛び交っております。その中には、千四百本の樹木を伐採するとか、太陽光パネルを設置するために樹木を伐採するというそんな情報も出回っております。
 もしこれが事実であれば、当初のコンセプトから随分異なるものでありまして、計画の変更を強く求めるところであります。自然のすばらしさを伝えるべき施設が自然を損なうようでは、これ本末転倒でございます。加護できるところではありません。
 そこで確認しますが、この情報について都の取組、見解を伺います。

○中島東京都技監 葛西臨海水族園の新施設の整備に当たりましては、芝生広場を中心に建設し、樹木への影響に配慮することとしております。
 整備に当たり支障となる樹木については、可能な限り、伐採ではなく共生の杜エリアなどへ移植するよう、現在、新施設の設計を進めているところでございます。
 また、太陽光パネルについては、環境負荷低減を目的に新施設の屋上を有効活用して設置するものでして、都有施設においても率先的に取り組むという都の設置方針にも沿ったものでございます。

○白戸委員 なるほど。まずは、新施設は芝生広場を中心に計画しているということ、どうしても計画にかかってしまう樹木は移植を前提に進めて、その移植場所の選定も進んでいるということ、また、太陽光パネルはあくまでも建物の上、建物の屋根にしか設置されず、木々には影響ないということが確認できました。若干、SNS上に誤った情報が出ているということも分かりました。
 ただ、この整備事業は、都民にとっても非常に関心の高いものであります。だからこそ、様々な意見や注目も集まっているわけで、都は、この新施設の魅力や事業の進捗に関する正確な情報を、丁寧に、積極的に情報発信していただきたいと思います。
 さて、いよいよ自転車に入りたいと思います。
 自転車推進が都市計画に重要で、当然の流れであることは、世界の潮流を知る方ならいうまでもないでしょう。先日は、アムステルダムの中央駅の地下に一万一千台の駐輪場がオープンし、私はその施設の規模と美しさに驚かされました。
 ロンドンでは先週、市内の車の交通量を自転車が上回ったという報告がありました。一九九九年以降、自動車の数は六四%減少しましたけれども、自転車の数は、何と三八六%増加しているそうです。パリでは、多くの市内幹線ルートにおいて、車線の半分を自転車走行空間に変更するという大胆な施策が行われております。
 また、この季節、今日はちょっと暖かいですけれども、この季節、道路がいてつく寒さのフィンランド、デンマークなどでは、車道よりも先に自転車道の除雪が進められるそうです。
 いずれにしても、車中心の社会といえる日本から見ると驚くような話なんですけれども、環境問題はもちろん、今後の都市交通を考えた場合、その移動距離や目的に合わせてモビリティーを選択し、車の全体量をコントロールしていくというのは世界の当然の流れです。
 そんな中で、小池知事を筆頭に、この東京都の自転車施策も大きく進み出しています。二〇二一年度末で、自転車通行空間として整備された延長も都内で約三百七十キロになり、自転車から見る景色も随分と変わってまいりました。
 三十年ほど前には、日本の道路において自転車の存在は認知されていなかったので、どこも走るところがなくて、逆にいうと、だからどこを走ってもいいんじゃないかという、そんな状況だった。ところが、今は走るべきところが示され、そのルールをしっかりと理解して走るという、ステージが変わってきたなというのを感じるところです。
 そんな都の自転車推進の象徴としまして、GRAND CYCLE TOKYOが昨年誕生いたしました。そのプロジェクト第一弾として、昨年十一月にレインボーライドが臨海部で開催されました。これまでは自転車が走ったことないレインボーブリッジ、そして臨海部のトンネルなどを走るイベントは、参加者はもちろんですけれども、レインボーブリッジ封鎖をキーワードに多くの都民が話題にしたのは記憶に新しいところです。
 そこで、まず、このプロジェクトの今年度の実施状況、伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 昨年十一月に、GRAND CYCLE TOKYOプロジェクトの第一弾といたしまして、自転車ライドイベント、レインボーライドを臨海部で実施いたしました。当日は、約二千人がレインボーブリッジ上を自転車で駆け抜け、その様子が多くのメディアに取り上げられました。
 また、開催後に実施したアンケートでは、参加者の九割近くから、自転車の魅力を実感できた、次回も参加したいとの回答をいただいております。
 来年度も参加者の満足度をさらに高めるべく、準備を進めてまいります。

○白戸委員 レインボーライドは私も走らせていただき、初めてレインボーブリッジを堪能させていただきました。当日は残念ながら冷たい雨でしたが、参加者は早朝からお台場に集まり、楽しそうに走っていたのが印象的でした。
 また、仕事柄、規制のコントロールなどどうしても細かく見てしまうんですけれども、今回は、前例のない許認可に関係者の尋常ではない努力を感じるシーン、もう幾度もありまして、関係者の皆様には本当に感謝でしかありません。
 参加の皆さんにもお話を聞かせていただきました。僕が予想していた以上に喜びの声が多くて、本当に寒かったんですけれども、これだけみんな喜ぶのかという感じでした。アンケートで九割以上の方が前向きなコメントであったというのも納得いたします。これで、逆に雨が降っていなかったらどうなってしまうのかと、逆に今後の期待に胸が膨らみながら、ちょっと心配にもなってしまいます。
 また、今回印象的だったのは、参加者の多くが、いわゆるママチャリであったりシェアバイクであったりと、サイクルスポーツをふだんから愛好している方ではなくて、どちらかというとふだんは移動手段として自転車を使っているような人が楽しんでくれたことに大きな意味があったと考えます。
 このように、今回のレインボーライドで改めて自転車の魅力や価値、さらに、東京の新たな魅力が都民に伝わったことは間違いありません。そこで、このGRAND CYCLE TOKYOプロジェクトを今後も発展、拡大していくべきと考えますが、来年度における具体的な取組について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 令和五年度は、GRAND CYCLE TOKYOプロジェクトを発展、拡大させます。
 まず、臨海部のレインボーライドにつきましては、来年度も十一月二十三日に開催をいたします。
 さらに、多摩地域において、東京二〇二〇大会のレガシーコースを活用した本格的な自転車ロードレースを十二月三日に開催する予定でございます。
 また、ロードレースの開催に合わせまして、ハンドサイクル等の試乗会、交通ルールを学ぶ安全教室などを開催し、自転車の魅力に触れる機会を提供いたします。
 こうした取組を通じまして、自転車の活用促進、東京の魅力発信を図ってまいります。

○白戸委員 今後、引き続き開催していくということで、自転車の魅力だけではなくて、さらに東京の魅力をしっかりと発信していただきたいと思います。
 さらに、多摩地域の二〇二〇大会レガシーにおいては、サイクルロードレースは、もう、これ大変貴重で、これをさらに盛り上げるような今回の企画は、多摩地域の皆様にとっても、自転車ファンの皆様にとっても、非常にすばらしい試みだと考えます。
 ただ、非常に交通量が多い、少なくない地域でこういった競技を行うというのは簡単ではありません。これは本当に難しいことだと思います。それだけに、関係者の皆様には、地域の理解を得ながら丁寧に進めていただくようお願いします。
 また、このような機会を捉えて、自転車を乗る方に交通ルールやマナーの理解促進を図ることも大切です。自転車は、車と違って免許制度がありません。だからこそ、ルールの周知が難しいのも現状でありまして、このような機会を捉えていくことは非常に重要です。ぜひイベントと併せて、しっかりと進めていただきたいと思います。
 また、自転車に乗る方だけではなくて、同じく道路を共有するドライバーの方々にも、自転車との道路のシェアについて理解を深める機会を増やしていただきたい。駐車車両や幅寄せなど、道路上で車の動きに怖い思いをしているサイクリストは少なくありません。しっかりと認知を深めてもらうことで、ハードだけではなくてソフト面における車道の交通安全対策など、警視庁をはじめとした横断的な取組、要望しておきます。
 さて、自転車は都民にとって身近な移動手段であり、環境にも優しく、交通渋滞対策にも有効です。さらに健康にもよいことから、この活用の取組には大きな可能性があるとは考えます。
 そうした意味で、GRAND CYCLE TOKYOプロジェクトの可能性は大きく、その役割も重要になってくると考えますが、今後どのように発展させていくのか、知事の見解、伺います。

○小池知事 GRAND CYCLE TOKYOでは、昨年実施いたしましたレインボーライドとともに、来年度新たに、国内では希少な市街地での自転車ロードレースを多摩地域で開催をいたします。これらに加え、都内の自治体と連携しましたスポーツサイクルスクールや、子供自転車教室などを年間を通じて実施をいたします。
 さらに、民間団体などが主催するイベントにもGRAND CYCLE TOKYOの名称を積極的に活用してもらいまして、サイクルスポーツのムーブメントを都内全域で広げてまいります。
 環境に優しく、健康にもいい自転車をさらに身近に感じてもらえますよう、これらの取組を積極的に展開をして、自転車への関心、注目度を高めてまいります。そして、誰もが楽しく安全に自転車を活用できる社会の実現を目指してまいります。

○白戸委員 イベントを開催するだけではなく、これを機に多面的な魅力発信と安全啓発を行っていくことは大切です。
 自転車の安全といいますと、道路交通法の改正により、四月一日から始まる新しいヘルメット着用の努力義務。私も競技中とかトレーニング中に何度か転倒しまして、ヘルメットが割れたことがありますので、このヘルメットの重要性、非常にというよりも痛いほど体で理解しておりますが、このヘルメット着用の努力義務、東京都としてどのように対応していくのか伺います。

○小西生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、国に先駆けまして、条例において全世代のヘルメット着用について努力義務を規定し、警視庁や区市町村等と連携しながら、その必要性を周知するなど啓発に努めてまいりました。
 今後、改正道路交通法の施行を踏まえ、改めて都内の全ての高校にリーフレットを配布し、自転車通学時の着用について広く呼びかけていくなど、啓発の強化に取り組んでまいります。
 また、GRAND CYCLE TOKYOプロジェクト等のイベントの機会を捉えまして、ヘルメット着用について積極的に発信してまいります。

○白戸委員 ぜひ、高校生だけではなくて大人にもしっかりと啓発をしていただきたいと思います。
 日本の自転車保有台数は約八千万台ということで、世界で三番目といわれています。さらに、都内においても移動距離が五キロ未満であれば最も早く効率的な移動手段といわれていまして、モビリティーとしての可能性、計り知れません。が、残念ながら、その活用や安全対策はまだまだこれからやるべきことが少なくありません。
 都がイベントや教室を開催し、その認知拡大やルールへの理解はもちろんですが、自転車という文化に対する社会的な理解を深めていけるよう進めていただけるようお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)

○菅原副委員長 白戸太朗委員の発言は終わりました。

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