予算特別委員会速記録第三号

○小宮委員長 西崎つばさ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、菅野副委員長着席〕

○西崎委員 初めに、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 地震や風水害をはじめ、様々な施策をレベルアップしているということは評価すると、我が会派の代表質問でも述べたところでございますが、一方で、違和感があるのが、五つの危機の一つとされている感染症対策です。コロナの脅威や教訓を踏まえるということの重要性そのものは理解をいたしますが、強靱化プロジェクトに含める必要性があるんでしょうか。感染症にも強いまちをつくる、感染症にもと、最初からついでに感すら出ているわけです。
 ここでいう感染症は、コロナに限ったものではないですよね。すると、示されているように、二十年先の二〇四〇年代まで、密を避け、安心して集える空間に価値が置かれているとも限らないわけです。感染症には、直接接触による感染経路もあれば、水や食品など媒介物による経路もあります。
 じゃあ、どういう対策が出ているのかと中を見ていくと、KK線の再生、キッチンカーによるにぎわいの創出、公園の整備などなどですね、あ、なるほどとはならないわけですよ。
 ほかにも、感染症に強いまちをつくるとして様々な事業が挙げられていますけれども、なぜこれらがプロジェクト内に位置づけられたのか、その考え方について伺います。

○中村政策企画局長 都はこれまでも、大規模な風水害や首都直下地震などの様々な災害への備えを着実に講じてまいりました。
 しかしながら、この間の、大規模災害にも匹敵する、むしろはるかに超える新型コロナの感染拡大は、全世界で六百八十万人を超える方の命を奪うなど、社会経済活動に甚大な影響を及ぼしました。一方で、人々の意識や行動にも大きな変化をもたらしております。
 こうしたことから、都市の強靱性を高めるためには、今後も新たに発生が見込まれます感染症への対応力の向上が不可欠な要素となっております。
 このため、密を避け、安心して集えるとともに、感染リスクを心配せず、快適に移動できる都市の実現に向け、ゆとりある都市空間や様々な交通手段、多様な働き方、住まい方など、感染症にも強いまちをつくることを、本プロジェクトの対策の柱として位置づけたものでございます。

○西崎委員 コロナの教訓を踏まえることは大事だとも、私も申し上げております。それぞれの事業のそもそもの必要性まで否定をするつもりはございません。ただ、やはり感染症を強靱化プロジェクトの一部に据えても、説得力がどうしても欠けると思うんです。
 現時点では、まだコロナのインパクトが大きいですけれども、これが五月に五類に移行して、一年後、二年後、十年後、これ、しっくりくるのかというと、少し疑問があります。
 じゃあ、もう一つ伺いますけれども、今回、リーディング事業として、船を活用した交通手段の多様化が挙げられています。これも感染症対策としては、相当唐突感があります。
 さらに、これは、どういう内容なのかと説明するために、強靱化プロジェクトの本編に、舟運イメージとして記載されているのが、こちらの写真です。これ、写真間違ったわけじゃないですよね。これがどう対策になるのかというのはちょっと分からないですし、もっというと、日本のコロナ初期に最も問題となったのがあのクルーズ船だったことを思うと、これ、皮肉にもほどがあるんじゃないかと思うわけです。
 そこで、船を活用した交通手段の多様化が感染症にも強いまちにどう寄与するのか、見解を伺います。
   〔発言する者あり〕

○中村政策企画局長 本プロジェクトでは、感染症にも強いまちに向けて、二〇四〇年代に目指す姿として、ゆとりある都市空間や様々な交通手段、多様な働き方、住まい方の実現などを掲げてございます。
 写真ご紹介いただきましたけど、船や自転車などを活用した交通手段の多様化やオフピーク通勤の促進等は、混雑を避け、安心できる距離を保って移動できるなど、今後も都市にとっての脅威でございます感染リスクの低減に寄与することから、本プロジェクトに位置づけたものでございます。

○西崎委員 オープンエアじゃないかみたいな声、聞こえましたけど、先ほどの写真を見せられて、本当に感染リスクを心配せず移動できる環境整備につながるか、どうしても疑問があります。
 しつこいようですけど、私は、舟運の推進自体は否定しません。ほかにも、プロジェクト内にある住宅団地の再生も、既存ビルのリノベーションも、外堀の水質改善も、それぞれの事業そのものを否定しているわけじゃないんですよ。ただ、このTOKYO強靱化プロジェクトに感染症を位置づけて進めていくには無理があるんじゃないですかということを指摘したいんです。
 この際、感染症にも強いまちをつくるとして挙げられている事業については、もう切り離して、個々に施策の必要性を検討した上で実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○中村政策企画局長 都市の強靱性を高めるためには、感染症への対応力の向上が不可欠な要素となっております。そのため、密を避け、安心して集える空間や感染リスクを心配せず移動できる環境の整備が重要でございます。
 こうした観点から、道路空間の活用や公園、水辺の整備によるゆとりある公共空間の創出、自転車や船による交通手段の多様化などの施策を本プロジェクトで強化し、共通の目標に向けて、一体的、総合的に展開することで、実効性を高め、感染症にも強いまちを実現していく、こういう考え方でございます。

○西崎委員 もうこれ以上はやめますけれども、個々に適切な取組を適切な規模で進めていただくよう、改めて求めておきたいと思います。
 次に、さきの委員からも質問がありました育業中スキルアップ支援事業について伺います。
 まだ記憶に新しいと思いますけれども、国会におきましては、育休中のリスキリングを支援するという岸田総理の発言に批判が殺到し、大炎上する事態となりました。
 この背景には、育休中にそんな余裕はない、育児の大変さが分かっていないという声に加えて、家事や育児などの無償労働が軽視されているんじゃないかということや、育休から職場にただ戻ってくる、それだけじゃ迷惑であるという、そういう誤ったメッセージを発信しかねないという指摘がございます。
 今回、構図としては同じような事業が計上されているわけでありますけれども、この育業中スキルアップ支援事業の目的や考え方について伺います。

○坂本産業労働局長 育業により職場を離れる場合、仕事で使うスキルやノウハウなどの変化から取り残されることに不安を持つ方もおります。
 都は来年度より、そうした方の希望に応じ、仕事に関わる知識などに関し、時間を有効に活用して習得できるよう、その経費を負担する企業に対し、支援を行います。

○西崎委員 希望に応じてということではありますけれども、育業中の人々にプレッシャーをかけるような事業になってはいけないし、そうした社会の雰囲気に加担することも避けなければならないと思います。確かに不安を持つ方っていうのはいると思います、育業中に。でも、やっぱり変えなきゃいけないのは、その不安を生み出す社会の方だと思います。
 知事は所信表明で、子育ての経験は、仕事をはじめ様々な場面で大きな糧となるはずですと発言をされています。私も、今、三人の子育て中ですし、全く同意をいたします。誤解を恐れず申し上げれば、育業自体が一種のリスキリングではないかと思います。だからこそ、知事の認識と本事業が矛盾しないのか、懸念をするものです。
 そこで、育業とリスキリングの兼ね合いについて知事の見解を伺います。

○小池知事 育業によりまして職場を離れる場合には、仕事で使うスキルやノウハウなどの変化から取り残されるという不安を持つ方もいらっしゃるのも事実だと思います。また、一方で、自らのスキルアップなどに挑戦したいとの希望を持つ方もいらっしゃる。時間を有効に活用して、育児もし、そして、仕事の力も高めるという希望を持つ方に後押しを進めるというものでございます。
 思うんですけれども、この育業のときの話は、女性の話だとみんな思っていないでしょうか。男性も育業を取るんですよ、その間にスキルアップをするんですよ、そして子育てをするんですよということを後押しをしていきましょうという社会をつくる、これが私たちのメッセージです。

○西崎委員 知事からメッセージを受けました。繰り返しになりますが、育業自体がすばらしいことなんだということ、これ、全く私、同意いたしますので、これを進めるということに、私は全く否定をするものではないです。むしろ推進をしたいと思いますので、この事業を推進していくに当たって、社会の誤解や変なプレッシャーにつながることのないよう、改めて求めておきたいと思います。
 次に、少し都区財調に触れてまいります。
 新年度に向けた都区財調協議が座礁状態にありまして、これはいろいろな要因があるわけですが、前提として、都と区の児童相談所のすみ分けをきちんと確認しておく必要があると思います。
 そこで伺います。特別区が児童相談所を設置する場合、区立児童相談所と東京都の役割はどのように整理をされているのか、都との関係も含めて伺います。

○西山福祉保健局長 特別区が、児童福祉法等に基づく児童相談所設置市として政令で指定を受けた場合は、法令に定める児童相談所業務等を実施することとなります。
 都は、児童相談所の設置を予定する区の設置計画を確認するとともに、区職員を研修として受け入れ、人材育成を支援しています。
 また、児童相談所の開設後は、広域的観点から、一時保護所や児童養護施設等を都区で相互に利用するほか、区の児童相談所が担当する家庭を、都の児童相談センターの医師や児童心理司等が専門的観点から支援しています。

○西崎委員 連携や支援も行っていますけれども、設置区においては、いわゆる移管十六事務を含めて、基本的には区が業務をしているということですよね。明らかに役割は整理をされていると考えます。
 しかしながら、今回の財調協議において、都は、事務配分または役割分担の大幅な変更には当たらないとしています。
 そこで、改めて、配分割合の変更に対する都の見解を伺います。

○野間総務局長 都区財政調整におけます配分割合を変更する際の原則は二つございます。一つは、平成十二年に都区で合意した都区制度改革実施大綱に定める都と特別区の事務配分または役割分担に大幅な変更があった場合でございます。もう一つは、地方自治法施行令に規定されております、特別区の財源に、年度を超えて引き続き著しい過不足が生じる場合でございます。
 今年度の協議では、この財調制度上の二つの原則に基づき検討した結果、配分割合の変更には当たらないものでございます。

○西崎委員 配分割合の変更について都区間で合意しているのは、平成十二年の大綱のみだと思います。
 確かに、地方自治法施行令第二百十条の十四にも規定はありますけれども、これらを合わせて二つの原則であるという主張の根拠、これ、盤石ではないと思います。現に特別区側は、それぞれ独立した変更事由であるという姿勢を貫いています。
 私も、先行三区の児童相談所、全て訪問して話を伺ってまいりましたが、既に児相を設置した区では、これまでの都児相よりもさらに身近な自治体として児童相談業務が順調に進められています。
 平成二十八年に児童福祉法等が改正された際の法の趣旨を実現するという観点を踏まえても、都には財調協議により真摯に対応していただくことを求めておきます。
 ここからは、少子化対策について伺います。
 三十年前から指摘をされている問題、そして、我々もかねてから重要性、緊急性を訴えてきた問題ですが、都が率先をして踏み込んだ対策を打ち出したということは、まずは前向きに受け止めたいと思います。
 一方で、現状の把握、そして方向性の検証、そして政策の効果の測定については、きちんと準備しておく必要があると考えます。
 まず初めに、合計特殊出生率が全国最低の一・〇八という現状に対する認識と原因についての見解を伺います。

○山下子供政策連携室長 少子化は想定を上回るペースで進行しておりまして、全国最低の合計特殊出生率である都の状況は、とりわけ深刻であります。
 少子化の要因は、未婚化、晩婚化、高い子育て費用、仕事と育児の両立の困難さ、雇用の不安定化など多岐にわたっておりまして、多面的な対策が必要であると認識しております。

○西崎委員 合計特殊出生率、ここからはちょっと略してTFRと呼ばせていただきますけれども、これが全国最低である状況は深刻であるという見解をいただきました。確かに、人々が望む人数の子供を産み育てられないという現状は、改めていかなければならないと私も強く思います。
 一方で、果たして東京都の少子化対策が全国最低で、日本で最も子供を産み育てづらい自治体なのかというと、それは注意して見る必要があると思います。
 少子化の要因は多岐にわたっているというお答えでありましたけれども、ここでは、都のTFRが低い水準となる原因として、人口移動が見落とされがちなのではないかという指摘をしたいと思います。
 改めてTFRの算出方法を確認いたしますが、十五歳から四十九歳の年齢ごとに、女性の人口を分母、出生数を分子として得られた数字、つまり出生率を足し上げていくものです。
 世間では、八十万人を切ったという分子となる出生数の低下が問題視されておりますけれども、実は東京都の出生数は三十年間ほとんど減っていません。一方で、分母となる十五歳から四十九歳の女性人口、これは三十年増加しています。
 単純化するためにパネルを用意いたしました。皆様のお手元の資料と同じものでございます。ある年齢の出生率について、上の例1のように、女性人口が四万人で出生数が四千人だと、出生率は〇・一ということです。ここに、人口一万人が流入したとします、この下の例2の部分でありますけれども、女性人口五万人で出生数四千人、変わらない場合は〇・〇八、これ人口増だけで低下をするという、こういう図式があります。
 じゃあ、四万人から五万人、率にして二五%増の人口移動なんて、そんなの起こるわけないでしょうと思われるかもしれませんが、例えば、昨年一月の東京都の女性人口を見ると、二十二歳は約六万八千二百人、二十三歳は約八万一千五百人になっておりまして、二〇%近くの差が実際にあるんです。ここに流入してきた人々の多くは、仕事のため、働くために東京にやってきていると思われ、直ちに出産するというケースは非常に少ないと考えられます。
 今年に入って、東京都が再び転入超過という報道がありましたけれども、コロナ禍においても、女性に限れば、一貫して転入超過が続いています。専門家の指摘では、バブル崩壊後、二十七年で九十万人以上、その大半が二十代前半の未婚女性というような指摘もされておりまして、こうした中で、TFRが、東京都の少子化の現状を正しく示してきたのか、これ、慎重に考える必要があると思います。
 そこで、人口移動がTFR、合計特殊出生率にもたらす影響について見解を伺います。

○山下子供政策連携室長 合計特殊出生率を計算する際に、分母に当たりますのは十五歳から四十九歳の女性の数でございます。
 令和三年の我が国の女性一千人当たりの年間出生数は、二十歳から二十四歳で二十・八、二十五歳から二十九歳で七十二・二、三十歳から三十四歳で九十六・二、三十五歳から三十九歳で五十五・五でございます。
 同じく令和三年、同じ年の都の女性の人口移動でございますけれども、年間出生数が、先ほど申しましたとおり、比較的少ない二十歳から二十四歳で、約二万七千人の転入超過であります一方、年間出生数が比較的多い二十五歳から三十九歳では約七千人の転出超過となっております。
 こうした状況を踏まえますと、人口移動が都の合計特殊出生率に、その数字に影響を及ぼしている可能性はあるというふうに考えてございます。

○西崎委員 数字も幾つか挙げて試算をしていただきましたけれども、人口移動がTFRに影響している可能性があるという認識をお示しいただいたことは、非常に重要であると思います。
 誤解のないように申し上げますが、TFRが低くても大丈夫といっているわけではありません。ただ、数字の特性に鑑みて、全国最低であることを直ちに悲観すべきものなのかは冷静に考えなければならないということを申し上げています。
 さて、一方で、少子化の度合いを測るための別の指標として、完結出生児数があります。厚生労働省の定義では、結婚持続期間十五年から十九年の夫婦の平均出生子供数、つまり結婚した夫婦の最終的な子供の平均を示しています。
 そこで、東京都の完結出生児数の推移について伺います。

○山下子供政策連携室長 完結出生児数は、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査におきまして、九つの地域ブロックに分けて集計されております。都は、その東京圏の中に含まれております。
 この東京圏の完結出生児数の推移でございますが、平成二十二年は一・八二、平成二十七年は一・七六、令和三年は一・六七となっております。

○西崎委員 私も厚生労働省に問い合わせたり、いろいろ調べたんですが、今のお答えにあったように、東京都だけの統計というのは取られておらず、分からないんですよ。つまり、都内の完結出生児数、夫婦当たりの子供の数が低下しているかというのは分からないんです。先ほどいった合計特殊出生率、これも、その数字の特性に注意しなければならないという、これが現状です。
 じゃあ、やっぱりそもそも結婚する夫婦が減っているんだろうと、そういう声もあるかと思いますし、今回の予算案には、是非はさておき、結婚に向けた支援や機運醸成の事業が盛り込まれておりますけれども、これも数字をちゃんと見る必要があると思います。
 確かに、東京都の生涯未婚率、これ、全国見ても高いわけですが、都内の婚姻数は、コロナで激減した直近を除くと三十年間でほぼ横ばいですよ。母数が増えているんでしょうというかもしれませんが、婚姻率、これ、三十年間全国トップの座を守り続けていますよ。このあたりの数字をきちんと理解しておかなければならないと思います。
 こうしたことを踏まえ、これから少子化対策を加速していくに当たっては、例えば、先ほどの完結出生児数について東京都の状況を独自に調査するなど、少子化対策の効果について、より測定しやすいデータを継続的に捕捉し、PDCAサイクルを回していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山下子供政策連携室長 施策の検証を行い、その結果を踏まえてバージョンアップを図ることは重要でございます。
 都は、都民へのアンケートなど調査を行うとともに、幅広い分野の専門家から、長期的な視点も踏まえた分析をいただき、検証を行う仕組みの導入を検討してまいります。

○西崎委員 昨日も同じような見解を示されておりましたけれども、ぜひ具体的な手法を検討していただきたいと思います。
 次に、子供の事故予防について伺います。
 子供の安全に関する消費者や事業者などのプラットフォーム、Safe Kidsが二月十六日にスタートをいたしました。私も説明会に参加させていただきまして、非常に取組に期待をしております。
 一方で、あくまでプラットフォームができた段階にすぎませんので、今後、より多くの消費者や事業者の参加を促すなど、これからの取組が重要と考えますが、今後の展開について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は、子供の事故を減らすため、消費者が製品の安全性に関する情報を気軽に投稿し、事業者がその情報を生かすなどの交流型プラットフォーム、Safe Kidsを民間団体と協働して構築し、先月運用を開始しました。
 多くの消費者、事業者の参加を得るため、SNS等による広報や子育て関連サイトでの紹介、製品安全に関心の高い事業者に対する働きかけなどを行っております。
 今後、製品の安全性を体験できるモニターの募集やアクセス解析等を通じまして、活発な情報交流を促進してまいります。

○西崎委員 プラットフォームという特性上、多くの方が参加することで、より効果が上がると思いますので、ぜひ、鋭意取り組んでいただきたいと思います。
 このSafe Kidsで、製品の安全に関する情報が共有されていくと、事業者が改善を求められるということも多々出てくるかと思います。そこで、都としても、そうした子供の安全に向けた製品の改善や開発を行う事業者への支援が必要だと思いますけれども、これ、さきの委員からも質問がありましたので、ここで一点だけ付け加えさせていただきますと、注意しなければならないのは、おもちゃとか遊具、ベビーベッド、子供服とか、そうしたいわゆる子供向けの製品の安全を図るというのは当たり前ですけれども、それだけじゃなくて、机とか、椅子とか、ドアとか、家にある家電とか、食器とかあらゆる製品、商品の開発において、子供の安全への意識づけをしていくということは非常に重要であると思いますので、併せて力を入れていくようにお願いをしたいと思います。
 続けて、セーフティ・レビュー事業について伺います。
 これまで、子供の事故はなかなか減ってこなかったというわけですけれども、不幸にも発生してしまった事例をストック、分析して、科学的、客観的に対策を講じていくという取組がようやく始まろうとしています。
 この事業において肝となるのは、事故情報をデータベースとして一元管理するということでありますが、その対象を広げようと思うと、相当幅広いと思います。
 そこで、どういった範囲から、どのように情報を収集していくのか伺います。

○山下子供政策連携室長 子供の事故は、年齢や発達段階により大きく異なり、事故種別も変わることから、予防策を検討する上で、幅広い事故情報の収集、共有が必要でございます。
 しかし、現状では、製品事故や学校などでの事故、日常生活における事故など、様々な子供の事故情報データが個別に存在しております。
 このため、都は来年度から、個別の事故情報を集約いたしまして、データの一元管理に向け、子供の事故情報データベースの構築を開始いたします。
 収集すべきデータの範囲や収集の具体的な方法につきましては、有識者の意見を踏まえて、関係機関と連携しながら進めてまいります。

○西崎委員 細かな手法は今後ということでありますが、かなり幅広い対象を念頭に置いているということを伺えました。ぜひ貪欲に取り組んでいただきたいと思います。
 あわせて、ヒヤリ・ハットの重要性を指摘させていただきたいと思います。
 ヒヤリ・ハットは、たまたま損害がなかっただけで、実際によくないことが起こってしまったものであり、事故と同じ類いであると考えるべきだと思います。
 ヒヤリ・ハットについては、生活文化スポーツ局の事業でも、テーマを設定して調査を行いレポートをまとめておりまして、これも重要な啓発資料となっておりますけれども、ここでは少し別の角度から申し上げたいんですが、せっかく事故情報をデータベースで一元管理する取組を進めていくのであれば、様々な現場で発生したヒヤリ・ハットについても、極力、事故情報と同じように事例を集めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山下子供政策連携室長 都では来年度、エビデンスベースの事故予防策の構築に向けまして、ヒヤリ・ハット事例から重大事故まで様々な事故情報を収集し、分析、検証してまいります。
 収集の対象となります事故情報は、統計的な基礎データだけではなくて、具体的な事故事例も想定しておりまして、専門家や関係機関の意見を踏まえ、検討してまいります。

○西崎委員 すばらしいと思います。詳細は今後ということですけれども、ヒヤリ・ハット事例まで対象として検討しているということは、課題の本質に迫る取組になるのでないかと期待をするものでございます。
 さらに踏み込んでお聞きをします。子供の事故で見逃せないのが学校における事故です。先ほど対象については、学校等の事故も触れていただいておりましたけれども、都立の学校であれば比較的把握しやすいものの、都内には、多数の区市町村立の小中学校、そして私立の学校が存在をいたします。
 一例として挙げますけれども、今から十五年前、二〇〇八年に杉並区の小学校で、六年生の児童が屋上の天窓から転落して亡くなるという大変痛ましい事故が発生をいたしました。当時、その後の調査で、実は同様の事故が全国で多数発生していたということが分かりまして、文部科学省から通達まで出されましたけれども、その二年後には、今度、鹿児島県で同じ転落事故が発生しています。どちらも、ほかの事故の教訓が生かされなかったということです。
 繰り返しになりますが、セーフティ・レビュー事業では、多くの情報を収集して再発防止に努めることが重要です。都の直接の監督が及ばない区市町村立学校や私立学校での事故情報もきちんと把握し、データベース化すべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○山下子供政策連携室長 来年度、都が構築を開始する子供の事故情報データベースは、学校での事故情報も含め、幅広い子供の事故情報を集約していくこととしておりまして、今後、子供の事故情報を保有する関係局や関係機関等と具体的な連携体制につきまして検討してまいります。

○西崎委員 学校の事故情報も含めて、今後、具体的な連携体制をしいていただけるものと受け止めました。防げる事故を確実に防ぐために、ぜひ徹底をしていただきたいと思います。
 個人的な話で恐縮ですけれども、私、NPOが主催する子ども安全管理士という資格の講座を一年ほど受けておりまして、本当に偶然なんですけれども、今朝、認定をいただけるとのメールをいただきました。別にこれ何に使えるという資格ではなくて、子供のリスクマネジメントの知識と技術を学んで、それを周囲に広げて子供の安全を守っていこうという趣旨のものです。私にとりまして、それぐらい思い入れのある分野であって、今日も質問させていただいているということです。
 ふだん、あまりこういう質問しないんですけれども、最後にお聞きをしたいと思います。
 昨年の加速に向けた論点整理から、今回のこども未来アクションにかけて検討されてきた子供の事故予防に向けた施策、これ、多くの専門家や有識者、そして、今日はこの委員会室にもいらっしゃいますけれども、議員連盟の全国の同志たちからも高い注目を集め、期待をされています。
 こうした思いを持って、都の取組を見ている人々や子育てに関わる事業者や現場の方々、そしてまた保護者の方々、そして何よりも、未来を担う子供たちに向けて、子供の事故予防に対する知事の決意、ぜひお聞かせいただけませんでしょうか。

○小池知事 子供は、様々な挑戦を通じて、成功や失敗を繰り返しながら成長していきます。成長、発達、それぞれの段階に応じて、子供たちが思い切りチャレンジができる安全な環境を創出していくことが何より重要でございます。
 エビデンスベースの事故予防策をつくり上げ、子供に優しい安全な社会を実現してまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。
 私も引き続き子供の成長を応援する政策を追い求めていくということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○菅野副委員長 西崎つばさ委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十六分休憩

ページ先頭に戻る