予算特別委員会速記録第三号

○小宮委員長 渋谷のぶゆき委員の発言を許します。

○渋谷委員 まず、立川広域防災基地について伺います。
 立川駅の北方にあります、この立川広域防災基地は(パネルを示す)第二次世界大戦後、在日米軍が使用していた旧日本陸軍航空隊の立川飛行場跡地に整備された拠点であり、国の災害対策本部予備施設のほか、陸上自衛隊の駐屯地、警視庁や東京消防庁の方面本部などの防災機能が集積しており、都の施設としても、立川地域防災センターや多摩広域防災倉庫などが整備されております。
 国はこの拠点を、南関東地域に広域的な災害が発生し、首都機能に甚大な被害が生じた場合を想定した総合的な防災基地として位置づけています。
 そこで、まず、都の防災対策における立川地域防災センター及び多摩広域防災倉庫の役割や位置づけについてを伺います。

○野間総務局長 立川地域防災センターは、発災時には、多摩地域の防災活動の拠点となる施設であり、国や自治体等との情報連絡や、東京都防災センターのバックアップ機能を有しております。
 また、隣接する多摩広域防災倉庫とともに、災害用の備蓄物資を保管する機能に加え、発災時に国や民間事業者等から届く支援物資を受け入れ、区市町村へ輸送する広域輸送基地としての役割を担っております。

○渋谷委員 両施設が、都の防災において重要な役割を担っていることを確認しました。しかし、どちらの施設も都の組織が常駐しておらず、平時は人もまばらであり、十分活用されていないのではないかという声も聞きます。
 そこで、これらの施設を平時においても訓練などにより有効に活用すべきと考えますが、現在の取組状況を伺います。

○野間総務局長 立川地域防災センターに隣接する災害対策住宅の職員は、発災時に立川地域防災センター及び多摩広域防災倉庫に参集することとなってございます。
 このため、住宅の職員を対象に初動対応訓練を定期的に行い、発災時にその機能を迅速に発揮できる体制の構築を図っております。
 さらに、多摩広域防災倉庫では、物流事業者と連携した物資の受入れや、輸送に係る実動訓練や図上訓練を行っております。

○渋谷委員 災害時を見据えて訓練等を重ねることは重要ですが、平時の防災拠点としても、例えば立川地域防災センターを多摩市町村の防災対策の支援拠点と位置づけるなど、ぜひ有効活用を検討していただくよう求めます。
 災害時を見据えたオペレーションの具体化も重要です。都では、立川地域防災センターに隣接する災害対策住宅に職員を配置し、夜間、休日の発災時に防災センターを速やかに立ち上げる体制を確保していると聞きます。立川地域防災センターは、いざというときに都の現地対策本部が置かれるなど、防災上極めて重要な施設です。
 そこで、立川地域防災センターが、平日の日中においても速やかに機能を発揮できる体制を整備すべきと考えますが、見解を伺います。

○野間総務局長 立川地域防災センターの機能を早期に発揮するため、その運営要員を確保してございます。
 このため、住宅に入居している各局の職員が不在となる平日の日中においても速やかに本センターを立ち上げられるよう、総合防災部の職員を継続して派遣し、毎日、初動対応訓練を実施するなど、発災時の体制強化を図ってございます。

○渋谷委員 立川地域防災センターについては、その防災機能強化に向け、常設の防災センター機能を備えるよう求めて、次の質問に参ります。
 立川広域防災基地の大きな問題が、アクセスに弱点を抱えているということです。この立川広域防災基地にアクセスする道路が立川三・一・三四号線です。この道路は極めて重要な道路であるにもかかわらず、いまだ事業化に至っておらず、長年の課題となっております。防災基地の南側で鉄道と交差しておりまして、鉄道の高架化など何らかの対策を取る必要があり、計画が進まない状況です。
 かつて、我が会派の代表質問に対し、立川三・一・三四号線の整備については、事業化に向けて検討を進めるとの答弁がありました。長年、事業推進を求めてきた本路線について、都が、今回、会議体を設置するとのことでした。
 そこで、会議体設置に至った経緯と、今後の検討内容についてを伺います。

○中島東京都技監 立川三・一・三四号線は、これまで地元市等からの事業化に向けた要望を踏まえまして、道路構造や周辺道路との接続方法などについて検討してまいりました。
 都は、TOKYO強靱化プロジェクトの策定を機に、事業化に向けた検討をさらに進めるため、立川広域防災基地へのアクセス強化に資する本路線をリーディング事業に位置づけ、関係者との協議を進めました。
 その結果、課題解決に向け、関係者が一堂に会して協議することに理解が得られたことから、来年度、新たに会議体を設置することといたしました。
 都市計画では本路線は平面構造となっておりまして、今後、鉄道との立体交差構造や事業手法などについて検討を進めてまいります。

○渋谷委員 立川三・一・三四号線については、トンネルではなく平面が基本になること、鉄道の立体交差などについて会議体を設置して検討を一段進めることが分かりました。
 立川広域防災基地へのアクセス強化のためには、ただいま答弁のあった区間の整備だけでなく、新奥多摩街道の南側から先に計画されている仮称富士見四ツ谷橋の整備が必要です。この橋は、多摩川を渡り、南多摩と北多摩を結ぶ極めて重要な橋梁です。仮称富士見四ツ谷橋の今後の整備について伺います。

○中島東京都技監 仮称富士見四ツ谷橋は、多摩川をまたいで日野市と立川市を結び、南多摩と北多摩の地域間連携を強化する重要な橋梁でございまして、第四次事業化計画に位置づけられております。
 立川三・一・三四号線の整備に合わせまして、本橋梁を新設することで、立川広域防災基地と南多摩地域が直結され、広域的な防災性が大きく向上いたします。
 本橋梁は、多摩川の護岸をまたいだ構造となり、橋梁の前後区間で沿道敷地との高低差が生じることから、航空測量の成果を基に、来年度は地形的な条件を踏まえた道路の構造などについて検討いたします。
 今後とも交通の円滑化や防災機能の向上に寄与する橋梁の整備を着実に推進してまいります。

○渋谷委員 立川広域防災基地の重要度を考えますと、今後は、こちらの日野バス停付近に中央自動車道のスマートインターチェンジをつくり、高速道路網と接続することの検討も必要なのではないかと考えます。
 都の今後の取組を求めて、次の質問に移ります。
 道路は、都市の骨格を形成し、防災機能の強化にも寄与する極めて重要な都市基盤施設です。都内の都市計画道路の整備状況は、令和三年三月末現在で、区部は完成率六六%、多摩地域は六二・二%となっており、やや多摩地域が低い状況です。
 そこで、多摩地域における都市計画道路の現在の取組状況についてを伺います。

○中島東京都技監 これまで都は、都市計画道路を計画的、効率的に整備するため事業化計画を策定し、地元市等と連携して道路整備を推進してきております。
 令和三年三月末現在、多摩地域の都市計画道路は、都市高速道路や自動車専用道路を除くと千四百二十七キロメートルございまして、このうち八百八十九キロメートルが完成し、百四十キロメートルが事業中でございます。これら事業中区間が整備されますと、完成率は約七二%となる見込みでございます。

○渋谷委員 多摩地域の都市計画道路の完成率を高めるには、時間がかかる用地取得のスピードアップを図っていくことが重要です。用地取得に携わる人員は限られていると考えますが、地元市と連携するなど、いろいろ創意工夫を凝らしながら用地取得を進める必要があります。
 そこで、多摩地域の道路事業の用地取得を促進させるために、どのような取組を行っているのか伺います。

○中島東京都技監 多摩地域においては、今年度、約百六十か所で道路事業の用地取得に取り組んでおりまして、その促進を図るため様々な取組を行っております。
 具体的には、事業効果の早期発現を図るため、課題解決に向けた方策を明確にし、計画的な用地取得と進行管理を徹底しております。
 さらに、困難案件については、本庁の専門チームにより集中的に取り組みますとともに、任意での契約が困難な場合は、土地収用制度も活用しているところでございます。
 また、道路整備保全公社の活用を図るほか、地元市とは用地取得の委託や担当職員の受入れなどによりまして、密接に連携しております。
 引き続き、こうした取組により、多摩地域の用地取得を積極的に推進してまいります。

○渋谷委員 多摩地域の道路整備を推進するためには、都道だけでなく、市町村道の整備も推進することが重要です。
 これまでも我が会派は、都道や国道に比べ整備が遅れている市町村道への新設や改良費の補助とともに、橋梁やトンネル等の老朽化対策への補助金拡充を求めてまいりました。多摩地域のさらなる発展のために、財政の厳しい市町村に対して、市町村道の整備や維持管理に継続的な支援を行うことが重要です。
 そこで、市町村道の整備、老朽化対策等を支援する市町村土木補助について、都の取組を伺います。

○中島東京都技監 都は市町村に対し、道路整備に係る施工上の技術的支援を行いますとともに、市町村道の新設及び橋梁等の老朽化対策に対し、市町村土木補助による財政的支援を実施しております。
 このうち、橋梁や道路施設の点検に係る補助につきましては、令和四年度までの時限措置として行ってまいりましたが、市町村からの要望も受け、来年度以降は時限措置を撤廃して実施していきます。
 こうした取組により、今後とも市町村道の整備や道路施設の老朽化対策を支援してまいります。

○渋谷委員 市町村道の整備等への支援については分かりました。
 多摩地域のさらなる発展に向けては、道路整備を推進し、その効果を最大限発揮することが重要です。
 そこで、多摩地域の道路整備に対する都の考えを伺います。

○中島東京都技監 多摩地域は、四百万人が暮らし、緑豊かで活力と魅力にあふれる地域であり、さらなる発展を図るためには、日々の生活を支え、交通、物流機能の強化や、地域の防災性向上等に寄与する道路の整備が極めて重要でございます。
 例えば、多摩南北主要五路線の一つである調布保谷線では、甲州街道から埼玉県境までがつながり、所要時間の約三割短縮や沿道開発の促進など、継続的に広域的な効果をもたらしております。
 道路整備は一朝一夕に進むものではございませんが、一たび完成すると、都道や国道、市町村道が一体となって、絶大な効果を永続的に発揮いたします。
 今後とも、多摩地域の持続的な成長の礎となり、都民の安全を守る道路整備に積極的に取り組んでまいります。

○渋谷委員 多摩の道路整備に関する都の引き続きの取組に期待し、次の質問に移ります。
 史跡玉川上水について伺います。
 玉川上水は、江戸時代初期に完成した延長約四十三キロメートルに及ぶ導水路であり、その開渠部分が国の史跡に指定された貴重な文化遺産です。私の地元である東久留米市と清瀬市には、その玉川上水から分水している野火止用水が流れており、緑豊かな自然の色彩を味わわせてくれています。
 玉川上水の水路沿いにも、都民にとって身近で快適な水と緑の空間が形づくられています。
 水道局では、玉川上水を適切に保存し、管理するため、平成二十一年度に史跡玉川上水整備活用計画を策定しています。この計画の期間は十年間でしたが、整備を継続する必要から、当面延長していると聞いています。
 水道局としても、十年以上にわたって様々な取組を行ってきたことと思いますが、水路やのり面の多くは自然を残した素掘りであり、この間、その形状や樹木の状況などが大きく変化しています。
 そこで、今後も貴重な文化遺産である玉川上水を適切に保存していくためには、これからの整備の進め方について改めて検討していくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○古谷水道局長 史跡玉川上水を良好な状態で次世代に引き継ぐため、水道局では、特に保全が必要な中流部を対象として、史跡玉川上水整備活用計画を策定し、水路やのり面の保全、名勝小金井桜の保存、復活などの取組を進めております。
 具体的には、のり面の補強工事、水路や樹木の適正な管理などを実施してまいりましたが、ケヤキ等の巨木化が進むとともに、近年、勢力の強い台風による倒木被害の増加、寄生虫により樹木が枯れるナラ枯れなど、新たな課題が発生しております。
 このため、これまでの取組を検証するとともに、来年度は専門家の知見も活用しながら、史跡玉川上水のより適切な管理方法について、具体的に検討を進めてまいります。

○渋谷委員 江戸東京の発展を支えた史跡玉川上水を適切に保全して、次の世代に受け継いでいくことは、我々の責務と考えます。ただいま、玉川上水の保全管理について具体的な検討をしていくという答弁がありましたが、この際、その検討結果を反映させて、史跡玉川上水整備活用計画の改定に着手していただくよう求めて、次の質問に参ります。
 島しょ地域の観光について伺います。
 東京の島しょ地域は、豊かな自然と独自の文化を持ち、観光地としてさらに発展する可能性を秘めたエリアです。島の重要な産業の一つである観光をさらに盛り上げていくことは、島の経済活性化のために極めて重要な取組です。
 この点において、海外では、富裕層の人々がスーパーヨットとも呼ばれるクルーザーで様々な観光地を訪問していますが、こうした船舶が東京の島にも寄港できるようになれば、富裕層による観光や飲食、土産物の購入など大きな経済効果が期待できます。
 都は、島しょ地域へのスーパーヨットの寄港が可能となるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○矢岡港湾局長 海外の富裕層が利用します、いわゆるスーパーヨットの島しょ地域への寄港を実現させることは、島の経済の活性化に資するとともに、世界へ東京の島の魅力を広く発信することにもつながるため、重要であると認識しております。
 このため、都は来年度、世界のスーパーヨットの主な寄港先や所有者等に関する調査を進め、運航状況の把握に努めてまいります。また、スーパーヨットの寄港先として人気がある地中海の離島などに職員を派遣し、マリーナ等の施設に関する調査を実施した上で、島しょ地域でスーパーヨット受け入れるに当たって必要となる港湾施設や受入れ体制等について検討を行います。
 今後、これらの検討結果を踏まえ、地元町村や観光関係者と連携して、島の観光PRを行うなどの取組も進めつつ、スーパーヨットの寄港実現を目指してまいります。

○渋谷委員 島しょ地域へスーパーヨットの寄港が可能になれば、大きな経済効果が見込め、観光の起爆剤となります。ぜひ取組を推進するよう求めて、次の質問に移ります。
 大江戸線の延伸について伺います。
 東京の緻密な鉄道ネットワークは、我が国の成長を牽引する経済活動を支える基盤であり、機能強化を図ることが極めて重要です。
 都においても、複数の路線について調整が整ったものから順次事業に着手することとしており、この中に大江戸線の延伸も含まれています。
 かねてより我が会派は、様々な機会を捉え、延伸の早期実現を強く求めてまいりましたが、このような中、先日、大江戸線延伸に関する庁内検討組織を立ち上げるとの方針が示されたところであります。
 そこで、その狙いや今後どのように検討を進めていくのか、鉄道行政全般を所管し、この組織のトップとなる武市副知事に伺います。

○武市副知事 大江戸線の大泉学園町までの延伸につきましては、国の答申において、区部北西部と都心部とのアクセス利便性の向上に資するとの意義が示されております。
 一方、鉄道事業として成り立つためには収支採算性の確保について十分に見定める必要があり、今年度、交通局では、将来の旅客需要について調査を実施しております。
 来年度は、まずは事業化に当たっての課題を明確にしていくため、さらなる調査を基に、関係局から成る検討組織において検討を行ってまいります。課題を明らかにした後、その解決の方向性などについて引き続き検討してまいります。
 練馬区とも一層連携を図り、協議、調整を重ねながら鋭意検討を深めてまいります。

○渋谷委員 大江戸線延伸の早期実現を求めまして、次の質問に移ります。
 公立小中学校は、子供たちの学習の場であるとともに、災害時には避難所にもなる地域の重要な拠点です。そのため、子供たちの安全確保を図るとともに、避難所としての機能を果たすことができるよう、まずは早急に耐震対策を行う必要があると考えます。
 都ではこれまで、学校施設の耐震対策への支援を実施してきていると聞いていますが、学校施設の耐震対策の現状と今後の取組について伺います。

○浜教育長 都内公立小中学校の躯体の耐震化についてはほぼ完了しており、体育館のつり天井や照明などの耐震対策の実施率は九七・九%、その他普通教室等の窓ガラスや照明などについては七八・九%でございます。
 都教育委員会は引き続き、各学校における耐震対策の早期の完了を目指し、区市町村を支援してまいります。

○渋谷委員 災害時に学校が避難所となった場合は、多様な地域住民が利用することになるため、誰もが使いやすい設備を備える必要があります。
 しかし、学校施設の多くは第二次ベビーブーム前後に建設され、その老朽化が問題になっており、特に学校のトイレについてはまだ和式のトイレも残され、家庭のトイレとの違いも大きく、子供たちを含め多くの人々から利用しづらいと聞きます。
 都は平成二十九年度から、防災機能強化のため学校のトイレ整備に対する支援を行っていますが、都内の公立小中学校におけるトイレ洋式化の現状についてを伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、公立小中学校のトイレ洋式化率を令和四年度末までに八〇%以上とすることを目標に、平成二十九年度から区市町村に対し支援を行っております。
 事業を開始した平成二十九年四月一日時点で五七・二%であったトイレ洋式化率は、令和四年四月一日時点で七七・七%となっております。

○渋谷委員 一方、国は、国土強靱化のための五か年加速化対策において、小中学校のトイレ洋式化を令和七年度までに行うよう求めています。
 都は、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

○浜教育長 近年の気象災害の激甚化等を背景に、避難所として活用される公立小中学校は、年齢や障害の有無等にかかわらず、誰もが安全・安心かつ快適に利用することができるよう、トイレ洋式化などの整備が急がれます。
 そのため、都教育委員会は、各学校におけるトイレの洋式化をはじめとした防災機能の強化に向け、区市町村の取組を支援してまいります。

○渋谷委員 都の取組を令和七年度まで継続し、トイレ洋式化を完了するように求めまして、次の質問に参ります。
 中小企業の新製品の開発への支援についてを伺います。
 高い技術力を持つ中小企業の力を生かし、東京が抱える社会的な課題の解決につながる製品の開発を後押しすることは有意義なことと考えます。
 例えば、少子化対策に注目が集まる中、中小企業が様々な素材を応用できる高い技術を生かし、子供の行動特性や不測の事態などに配慮した安全性の高い製品の開発を行うことなどが考えられます。
 しかし、中小企業の中には、自社の技術を子供の安全や安心に生かす知識が不足しているなどの理由から、取組が困難な場合も多いと聞いています。
 そこで、中小企業が子供の安全や安心を支える製品を開発できるよう支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、子供の安全・安心の確保に向けた中小企業による商品開発と販路開拓への支援を開始いたします。
 具体的には、中小企業に子供向けの製品の安全性を高めるノウハウを提供するセミナーの開催や専門家の派遣を行います。また、そうした専門家の助言に基づき製品開発を行う場合の経費の三分の二に上限一千五百万円まで助成を実施いたします。さらに、開発した商品の販路開拓に必要な経費に関し、その二分の一を三百五十万円まで支援いたします。
 これらによりまして、子供の安全と安心を確保した中小企業の製品の普及を後押しいたします。

○渋谷委員 都の今後の取組に期待をいたします。
 コロナ禍による事業活動の停滞や多くの就職面接会が中止となった影響により、障害者の新規就職件数は大きく落ち込みました。昨年度は一定程度上昇しましたが、コロナ禍前には回復していない状況です。また、昨年十二月に国が発表した都内の民間企業の障害者雇用率は二・一四%となっており、着実に上昇しているものの、まだまだ十分とはいえない状況です。今後、法定雇用率は二・七%まで引き上げられることとされており、東京都としても取組の強化が必要です。
 そこで、都は、就労希望のある障害者が一人でも多く企業に就職できるよう、マッチング機会の拡大に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 障害者の方が、その適性や能力に応じ活躍できるよう就職の支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、就職を目指す障害者と企業とのマッチングに向け、ハローワークと連携し、今年一月、大規模な就職面接会を実施いたしました。これには約二百社の企業が参加し、会場では、特別支援学校の生徒が職業教育で習得した技能を実演するほか、優れた職場環境づくりのモデル事例の紹介などを行ったところでございます。
 来年度は、こうした取組を多摩地域においても実施し、障害者の就職支援の充実を図ります。
 これらによりまして、障害者の雇用を促進してまいります。

○渋谷委員 就業機会の拡大と併せて重要なのが職場定着支援です。これまで障害者を雇用したことのない企業にとっては、障害者を採用したものの、共に働くためのノウハウがなく、定着が難しいケースもあります。東京都も様々な支援を用意し、障害者の就労をサポートしていますが、企業は日々の業務に追われ余裕がなく、そういった支援があるということを知らない企業もまだまだあると思います。
 そこで、都は、障害者を採用した企業が利用できる行政の支援を伝え、活用を促すことにより、障害者の職場定着の取組を一層進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 障害者が就職した職場で働き続け、力を発揮することができるよう、その定着の支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、障害者の働き方と職場環境づくりの両面に詳しい七十七名の専門家を東京ジョブコーチとして会社に派遣をしております。これによりまして、職場の実情に応じた障害者の適切な受入れを後押しするほか、現場に出向き、仕事を円滑に行えるようサポートを実施しているところです。
 来年度は、こうした仕組みの活用を広げるため、会社を訪問してサポート内容などを紹介する二名の推進員を新たに設置いたします。
 こうした取組によりまして、障害者の職場定着を支援いたします。

○渋谷委員 企業が障害者雇用を増やしていく上では、障害者が担うことのできる仕事の幅を広げていくことが重要です。デジタル化やペーパーレス化の進展によって、障害者が現在担っている業務が、今後減少していってしまうのではないかとの懸念があります。
 一方で、コロナ禍において発生した除菌作業や資料の電子化に伴う資料のPDF化作業など、時代のニーズに応じて新たに生まれている業務も多数あります。
 また、発達障害者の方が高い集中力や分析力を活用してIT業界で活躍しているような事例もあります。今後、一層障害者雇用が拡大していくことを見据え、障害者の業務を開拓し、事例の展開を図るとともに、新たな可能性を追求すべきと考えます。
 そこで、都は、障害者の担う業務を開拓し、横展開を図るとともに、活躍の幅を広げる取組を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 障害者の中には、高い集中力と分析力を持つ方がおり、そうした特性などを生かし、IT企業等での就職を推進することは重要でございます。
 このため、都は来年度、発達障害の方を雇用し、その定着を図ったIT企業の先進事例をウェブ等により幅広く紹介いたします。また、そうした障害を持つ方が中小企業五社でそれぞれ働く機会を設け、これにより採用や職場定着の知識やノウハウを確保し、その内容の発信を行います。
 また、デジタル化の進展により、障害者の仕事に変化が生ずることが見込まれます。こうした新たな状況に適切に対応した業務の事例を取りまとめ、企業に提供いたします。
 これらによりまして、障害者の就労を後押ししてまいります。

○渋谷委員 デジタル化の進展のほか、コロナ禍なども相まって社会環境は目まぐるしく変化しており、企業のニーズもそれに応じて変わってきています。今後も、障害者がそれぞれの特性を踏まえて活躍できるよう、都の一層の取組に期待いたします。
 今後のまちづくりにおいては、誰もが暮らしやすいまちに向けて、バリアフリーのまちづくりが必要です。まちの中には、いまだに様々なバリアがあります。こうしたバリアを取り除いていくため、区市町村でバリアフリーマスタープランと基本構想を作成することになっていますが、まだ作成していない市区町村もあると伺います。
 市区町村の作成状況についてを伺います。

○福田都市整備局長 移動等円滑化の促進に関する方針、いわゆるマスタープランやバリアフリー基本構想は、バリアフリー法において市区町村が作成するよう努めるものとされております。
 マスタープランは、市区町村が駅とその周辺地区などにおいて、面的、一体的なバリアフリー化の方針を示すものでございます。基本構想は、同様の地区において、公共交通機関や建築物等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するために、具体的な事業計画として策定するものでございます。
 令和五年二月末時点における策定状況は、マスタープランが三市三区の二十七地区、基本構想が十市二十一区の九十八地区で策定済みとなっております。

○渋谷委員 都内の自治体、特に多摩地域の市町村では、いまだ作成に至っていない自治体も多いことが分かりました。
 バリアフリーのまちづくりを推進するためには、計画策定が不可欠と考えます。策定が進まないことには、人材がいない、財政的に厳しいなど様々な事情があるようです。
 都としても、計画策定の促進に向けて、都内の自治体への支援に取り組んでいただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○福田都市整備局長 まち全体のバリアフリー化を進めるには、市区町村がマスタープランや基本構想を策定し、関係者が連携して取り組むことが重要でございます。
 都は、これらの計画の策定を促すため、地元自治体へ策定経費を補助するとともに、地元自治体が設置する協議会に参画し、技術的支援を行っております。
 加えて、今年度は、庁内で連携し、様々な支援策を手引として取りまとめるほか、計画策定時の基礎データとなる生活関連施設の地理情報を提供いたします。さらに、来年度から、計画の更新に対しても補助を開始いたします。
 都はこうした取組の強化により、まちの面的なバリアフリー化を促進してまいります。

○渋谷委員 現在、仮称多摩のまちづくり戦略の策定に向けて検討が始まっていると聞きます。
 多摩地域のまちづくり計画としては、平成十年に多摩の心(しん)育成・整備計画が策定され、平成二十一年には多摩の拠点整備基本計画が策定されました。
 こうした計画の中で多摩の拠点づくりが進んできましたが、今後の駅周辺などの拠点づくりについては、多摩のまちづくり戦略においてどのように進める考えか伺います。

○福田都市整備局長 これまで都は、多摩地域の発展に向けて、豊かな自然や多くの大学、研究機関の集積などを生かし、にぎわいや活力に満ちた拠点の形成に努めてまいりました。
 令和三年に都市計画区域マスタープランを改定し、駅周辺において中核的な拠点や地域の拠点を位置づけることで、都市機能の集積を図り、成長と成熟が両立した多摩の実現に向け取り組んでおります。
 今後、多摩のまちづくり戦略においてもこれらについて多摩地域を牽引する拠点として位置づけていきまして、駅周辺などで魅力やポテンシャルを生かして特色ある拠点づくりを進める地元自治体の取組を支援してまいります。

○渋谷委員 我が国の人口減少が進む中、多摩地域は、今後人口減少が予測されており、想定によると、人口は二〇二五年をピークに、二〇四〇年には多摩地域は三百九十一万人まで減少する予想であり、人口減少問題は様々な分野に大きな影響を与える重大な問題です。
 今後の多摩のまちづくりにおいては、この人口減少問題に正面から向き合う必要があります。あわせて、少子高齢化、DXの進展など社会の変化に着目し、ハードとソフトが調和した持続的に発展するまちづくりを目指していくべきと考えます。
 時代の変化に対応した、仮称多摩のまちづくり戦略策定についての都の見解を伺います。

○福田都市整備局長 人口減少が見込まれる中、新しい働き方、暮らし方の浸透など、時代の変化に対応し、多様化する課題を解決するためには、地域のまちづくりに関わる様々な主体と連携を図ることが重要でございます。
 そのため、インフラ整備などハード面の取組に加え、公民学が連携してまちづくりを促進する仕組みとしてプラットフォームを都が新たに構築し、計画から実施、運営段階まで継続的にまちづくりを支える仕組みを確保し、ソフト面からも地元自治体の取組を支援してまいります。
 これらを含め、今月中に多摩のまちづくり戦略の基本的な考え方を示した後、年内に成案を取りまとめ、魅力あふれる多摩地域の実現に向け、取り組んでまいります。

○渋谷委員 次に、多摩東京移管百三十周年について伺います。
 明治二十六年に多摩が東京府に移管されてから、多摩地域では、節目ごとに多摩の一体感を高める取組が行われてきました。
 百周年においては、TAMAらいふ21が開催され、移管百二十周年には、多摩国体に合わせて多摩フェスティバルが開催されましたが、それぞれの開催の成果について伺います。

○野間総務局長 平成五年の多摩東京移管百周年記念事業、TAMAらいふ21では、多彩な事業が多摩全域で繰り広げられました。本事業を通じて、市民のネットワークが多数誕生し、また、地域の振興を考えるプログラムなど、市町村が一体となって取り組み、市町村連携の契機となりました。
 平成二十五年の百二十周年の際には、多摩の魅力発信プロジェクトを立ち上げ、スポーツ祭東京二〇一三と連携し、多摩フェスティバルを開催するとともに、多様な媒体による多摩の魅力発信事業を開始いたしました。本プロジェクトでは、現在に至るまで、多摩の多様な魅力を発信し続けてございます。

○渋谷委員 多摩東京移管百周年、百二十周年における取組を通じて、多摩地域の魅力が発信され、成果が引き継がれていることが分かりました。
 百三十周年である本年は、多摩地域の一体感を高めるとともに、多摩地域外の人にも多摩をPRし、多摩のさらなる発展に向けた取組を行う好機であると考えます。
 多摩東京移管百三十周年記念行事の開催が予定されていますが、どのような取組を行うのかを伺います。

○野間総務局長 多摩東京移管百三十周年となる節目の年であるこの機を捉えまして、地域住民が多摩の魅力を再発見するとともに、より多くの人が多摩地域の魅力に触れ、多摩への好感を高めるイベントを開催いたします。
 多摩の全市町村のブースを設けまして、地域それぞれの魅力をPRするとともに、多摩産食材を使った飲食提供やデジタル技術も活用した親子等で多摩の魅力を楽しめる体験など、百三十周年記念にふさわしいプログラムを実施いたします。
 市町村と緊密に連携して、多摩全域を盛り上げる機運を醸成し、多摩振興を一層推進してまいります。

○小宮委員長 渋谷のぶゆき委員の発言は終わりました。(拍手)

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