予算特別委員会速記録第三号

○菅原副委員長 斉藤やすひろ委員の発言を許します。
   〔菅原副委員長退席、高倉副委員長着席〕

○斉藤委員 初めに、東京都の生物多様性戦略について質問をします。
 このコロナ禍の中の二年間で世界を見ますと、もう一つのCOPといわれるCOP15が開催されておりました。二〇二一年、中国の昆明市で、そして、昨年暮れにはカナダのモントリオールで開催されたこの国際会議、生物多様性を議論する締約国会議ですが、日本も当然参加しております。
 ここで大事なことが決まりました。生物多様性が回復軌道に乗ること、保全だけでなく回復軌道に乗せること、そして、各国が力を合わせて、陸や海の国内の三〇%の保全を、保護を行うというサーティー・バイ・サーティーという国際合意がなされました。
 これを受けまして、国も、次期国家戦略を間もなく、この三月中に発表する予定でございますが、続いて、東京都も、東京都の生物多様性地域戦略を改定すると仄聞しています。
 この戦略に当たりましては、SDGsのときと同様に、啓発と機運醸成が極めて重要でございまして、私は、この生物多様性の保全、回復の鍵を握るのは都民お一人お一人、そして企業や全ての方々を巻き込んでの危機の共有と実践行動だと思います。
 私は、地元の目黒区で、生物多様性に配慮したまちづくりを目黒区が掲げておりますけれども、我が党が推進してできました江戸のみどり復活事業、こういった補助金を活用しながら、小学生や地元住民の参加型の様々な活動をしております。
 私も、その一つ、区立の菅刈公園というところで行われておりますNPO法人菅刈ネット21、私も会員でございますが、一緒になって、生物多様性の環境学習をしたり、樹林調査を子供たちとしたり、そういう地道な活動をしてまいりました。
 他方、生物多様性の保全、回復は、経済活動と密接に関わってきます。そして、資源循環の取組とも関わっておりまして、環境団体やボランティアの方々だけでなく、企業など経済のあらゆる担い手と共に、気候変動の問題と一緒に取り組むべき重要課題であります。
 先月、G-NETS及びCity-Tech.Tokyoが開催されまして、環境が重要なテーマになったと伺っております。
 人類の持続可能性の鍵を握っているのは都市である。そこで、気候変動問題と並ぶこの重要課題に当たっても、東京都がリーダーシップを発揮していくべきと思っております。持続可能な社会の創出に向けての知事の決意をお伺いします。

○小池知事 「未来の東京」戦略が目指す持続可能で生物多様性に富んだ都市をつくるためには、今を生きる私たち、我々が共通の課題認識の下で行動を起こさなければなりません。
 昨年末のCOP15では、二〇三〇年までに生物多様性を回復軌道に乗せるため、ビジネス分野での取組強化が盛り込まれるなど、多様な主体による行動の加速が今後の鍵を握っていると、ご指摘のとおりであります。
 先日開催いたしましたG-NETSやCity-Tech.Tokyoでは、各国の都市やスタートアップなどが参加しまして、生物多様性を含む環境分野の知見と技術の交流など、東京から新たな価値を世界へと発信をいたしました。
 こうした国内外の動向も注視しながら、新たに策定をいたします生物多様性地域戦略を踏まえて、都民、NPO、企業、大学等、多様な主体と連携して、生物多様性の保全と回復などの取組を進め、持続可能な社会を実現してまいります。

○斉藤委員 環境先進都市の知事といたしまして、ぜひ力強いリーダーシップを発揮いただきたいと思います。
 この東京都生物多様性戦略の策定におきましては、今、都民と共に中小企業の取組が特に重要になると考えます。これらの企業は、生物多様性の恵みを商品やサービスなどとして広く提供し、私たちの暮らしを支えてくれています。
 企業活動において、原材料の調達などのサプライチェーンの中で、生物多様性への配慮は重要です。こうした取組に加え、例えば飲料水メーカーが採水地となる山林を保全し、地下水を涵養する取組は、同時に土砂災害の防止にもつながっていくわけです。
 このような自然の機能を活用した社会的課題解決に寄与する取組であるネーチャーベースドソリューションズ、いわゆるNbSの視点も、生物多様性に配慮した企業の活動として重要であるとともに、そうした企業活動を消費者である都民が知ることで、生物多様性に配慮したエシカルな商品選択などの行動につながっていくと考えます。
 そこで、こうしたNbSの取組について、多くの企業が実践できるよう促すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 企業によるいわゆるNbSの取組を推進するためには、その意義や重要性を企業が理解し、実践できるよう、都は、啓発や機運醸成を行っていくことが重要でございます。
 現在策定中の地域戦略では、緑地における雨水浸透や植物の蒸散作用など、自然が有する多面的な機能を、防災や暑さ対策など、様々な社会的課題の解決に活用するNbSの取組を広めていく必要があるとしてございます。
 そのため、来年度新たに、NbSを実践している企業の取組事例をホームページ等で紹介するとともに、実践企業が参加する普及啓発イベントを開催してまいります。
 この中で、取組のきっかけや内容とその効果などを幅広く収集、発信し、企業の機運醸成と都民の意識向上を図ってまいります。
 こうした取組によりまして、NbSを実践する企業の裾野を広げ、自然と共生する社会を目指してまいります。

○斉藤委員 NbSという言葉は難しいですが、要するにグリーンインフラとか、そういう大きな話以外にも賢く消費をすることで、そうした生物多様性に対する配慮ができるということであります。
 中小企業はどうでしょうか。中小企業の経営者は、現場の日々の仕事を回す人材だけではなくて、今は金融機関を相手にSDGs融資ですとか、デジタルですとか、脱炭素ですとか、様々な新しい言葉に閉口している方も多くおられます。J−クレジット、大変これも理解が大切です。
 こうしたデジタルや脱炭素など、ESG投資の潮流を踏まえた中長期の課題に対応できる人材の確保、これを競って今求めている企業があります。
 私は、創業から約八十年にわたり続いてきた中小企業の経営者が、こうした時代に、後継者がいない、社内で育てる時間はなかった、今さら社外から確保したいけれども、ノウハウも資金力もないというふうに嘆いているお声、これ、相手は信用金庫の支店長に話している話でしたが、そうした姿を見てまいりました。
 都議会公明党はこれまで、この孤独ともいえる経営者の右腕となる、経営者の支援の視点からの人材確保の仕組みづくりを繰り返し都に求めてまいりました。
 昨年の第三回定例会での我が党の質問に対して、都は、支援を検討すると明言し、そして、来年度、その予算案にデジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーションの時代を担う専門・中核人材戦略センター事業として一億二千万円を計上したことを評価します。
 都は、企業からの相談を待つだけでなくて、担当者が企業に出向いていって、そしてその悩みを聞き、経営面のサポートができる機関とも連携しながら、この人材のマッチングから定着まで着実に支援をしていくべきであります。新しい専門・中核人材戦略センターの具体的な仕組みを伺いたいと思います。

○坂本産業労働局長 中小企業が新たな事業展開や社内の体制整備の中心となる人材確保を図ることは、経営上の重要な課題でございます。
 こうした中核人材の確保を目指す中小企業からの相談に応じ、都は、採用の方法やその計画づくりに関し、窓口等で様々な助言を行ってまいりました。
 来年度は、金融機関や経済団体などと協力し、専門家が中小企業に出向き、中核人材の必要性を説明した上で、そのマッチングから定着までを一貫してサポートいたします。
 また、採用に当たり民間の人材紹介のサービスを利用する場合等に必要な経費に対しまして、最大三分の二の助成を行います。
 さらに、大企業などで力を培った人材とその採用を図る中小企業との交流会なども開催いたします。
 これによりまして、中小企業の中核人材の確保を後押ししてまいります。

○斉藤委員 環境の話から急に産業労働局の局長の話ということで、えっ、どうしてと思ったかもしれませんが、時代はこういうことでありまして、この中小企業の経営者の側に立って、そうしたことが分かる人材を、力のある人材をマッチングさせる、それを東京都はぜひとも推進していただきたい。
 雇用就業部と、そして商工部が一体となって、金融機関などは、商工部の方が顔が見える関係があるかと思いますが、しっかりとこういった事業を推進して、企業を応援していただきたいと思うわけでございます。
 続きまして、防災関係でございます。
 近年、毎年のように記録的な大雨に見舞われる中、全国で多くの甚大な水害が発生しています。
 私の地元目黒区を流れる目黒川は、今でこそ桜の名所、間もなく桜まつりが久しぶりに開催されますが、こうした目黒川、過去を遡れば、幾度となく浸水被害が発生してきた暴れ川でございました。大きな被害をもたらした話を住民の方々から伺っております。
 平成に入りまして、平成十四年に荏原調節池が完成してからは、幸い、川からの溢水は発生しておりませんけれども、近年の豪雨の状況を踏まえますと、水害対策は喫緊の課題でございます。
 都においては、TOKYO強靱化プロジェクトを策定いたしまして、激甚化する風水害から都民を守るため、河川整備をさらに推進することとしています。
 こうした背景を踏まえ、今年度事業化した新たな目黒川流域調節池につきましても、着実に進めていくことが重要であります。
 この調節池は、環状七号線の地下広域調節池と接続をして整備するものと聞いています。環七のこの地下調節池は、白子川、石神井川、神田川の各流域にまたがっていて、調節池の容量を相互に融通することで、時間百ミリの局地的短時間豪雨にも効果を発揮するというふうに聞いております。
 この効果の大きい環七の地下広域調節池と目黒川流域の調節池とを連結することで、治水上の安全性がさらに高まるものと期待をしております。
 そこで、目黒川流域調節池につきまして、環七の地下広域調節池と連結することによる効果及び令和五年度の取組について伺います。

○中島東京都技監 仮称目黒川流域調節池は、年超過確率二十分の一規模の降雨に対応するため整備するものでございまして、河川整備計画に位置づけた上流三支川の調節池をトンネル式で一体的に整備する貯留量約四十七万立米の施設でございます。
 本調節池は、環状七号線地下広域調節池と連結することで、総容量約百九十万立米の施設として機能いたします。これにより、調節池容量の相互融通機能が目黒川流域まで拡充され、より広範囲の豪雨への対応も可能となります。
 令和五年度は、引き続き、将来の地下河川化も見据え、立て坑の構造や工法の比較検討などを進めますとともに、関係機関との協議などを実施してまいります。
 こうした取組により、豪雨に対する安全性を高めてまいります。

○斉藤委員 白子川、石神井川、神田川、そして目黒川の四つの流域にまたがっている、この安全度が向上することが分かり、大いに期待する、評価をするものでございます。
 都は現在、気候変動を踏まえた河川施設のあり方検討委員会において、地下河川を含めた新たな整備手法の検討を進めていると聞いております。
 私としては、この環状七号線地下広域調節池や目黒川流域調節池がつながって、洪水を東京湾まで導いて海に出していく、この地下河川がいよいよ動き出すんだなと、大いに期待をしているものでございます。都民の生命、安全・安心を確保するため、ぜひとも実現をしていただきたいと思います。
 続きまして、マンション防災について質問したいと思います。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、マンション住民には、地域避難所への避難抑制、そして、在宅避難が継続と明記されております。在宅避難が可能となるようなマンション住民の防災意識の向上と総備蓄の促進が課題となるわけであります。
 これまで総務局は、東京防災セミナー、こういったものを企画実施してまいりましたが、都内マンション数は、平成二十九年度のデータでは約五万棟もある中で、このセミナーの参加枠は三百四十件にすぎない。今後、都は、セミナーの内容を見直し、さらに質を上げることで、受講者を増やしていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○野間総務局長 都はこれまで、東京防災学習セミナーや東京防災ホリデーセミナーの中で、マンション防災のコースを設け、マニュアル作成や備蓄の必要性などについての講義を実施してまいりました。
 今年度公表した新たな被害想定では、長期間エレベーターが停止したり、トイレが使えなくなるなど、マンションにおける様々な防災上の課題が示されました。
 このため、来年度は、マンション防災について、従来のセミナーの内容を充実させ、マンションに精通した専門講師を派遣するとともに、最新の情報も取り入れながら、より質の高い講義を実施してまいります。

○斉藤委員 この防災セミナー、自治会や町会の方々などにももちろん呼びかけておられますが、オーナーズマンションの場合は管理組合が非常に重要だと思います。まずはこの組合の方々が積極的に受講していくことが重要。
 そして、できれば全体を一つにまとめるんじゃなくて、コースがあるのは分かっているんですが、マンションに特化した、そういったセミナーをこの四月から、もう待ったなしで開始していただきたいと要望しておきたいと思います。
 日常的にマンション管理組合や管理会社及び不動産業界と顔が見える関係なのは一体誰なんでしょうか。総務局総合防災部には限界があります。私は住宅政策本部であると考えております。
 そこで、マンション防災を徹底するためには、平時からマンション施策を展開している住宅政策本部の取組を、総務局総合防災部や関連団体と連携しながら一層強化するべきであると思いますが、都の見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都は、分譲マンションの適正管理や円滑な再生の促進を通じまして、良質なマンションストックの形成を図ってまいりました。
 来年度は、耐震化の取組の強化に加えまして、倒壊の危険性が高いピロティー階の改修等の後押しや、管理組合の防災力向上等を支援する事業を開始するほか、名称を変更した東京とどまるマンションの普及などに積極的に取り組んでまいります。
 関係局や区市町村、マンション管理に関わる団体等と緊密に連携しながら、災害時における安全な居住の持続に向けて着実に施策を展開してまいります。

○斉藤委員 東京とどまるマンション、すばらしい施策の再構築だと思いますが、これは代表質問でも質問させていただきました。
 災害時はトイレの問題が大変であります。
 都は、簡易トイレなどの備蓄支援だけでなく、例えば、排水管の被害状況の把握方法、これは簡易でもとにかく使えるか使えないかを即断しなきゃいけません。あるいは排水管の早期復旧はどうしたらいいんでしょうか。工事事業者との連携はどうしたらいいんでしょうか。こうした在り方の対処方法なども整理して、ぜひガイドラインをつくるべきと提案をしておきたいと思います。
 次に、住まいの問題では、空き家対策について質問したいと思うんですが、都内の世帯数は二〇四〇年を境に減少していきます。
 現在、既に六十五歳以上であって、高齢者単身世帯が住む戸建てとマンションの持ち家のことを空き家予備軍というふうに呼んでおります。今後ますますその増加が懸念されます。
 東京都は、東京における空き家施策実施方針を公表したところですが、この空き家予備軍、二つの老いです。住んでいる方と建物の二つの老いが同時に進行していく。所有者の高齢化については、住まいの終活ともいえる、相続、売却、賃貸、いろんな悩みがありますが、こういうことに関しまして、所有者や相続される方が抱える課題への対応が重要でございます。
 都は、ワンストップ相談事業を実施しておりますが、専門家の派遣なども行っております。評判もいいです。感謝の声もあります。その一方で、やはり相談実績を見ますと、まだまだ十分とはいえない数字です。相談窓口があっても、都民に伝わって、それが活用されなければ、ないのと同じ。
 そこで、この事業を都民にもっと知ってもらい、さらに活用していただくよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 これまで都は、民間事業者が行う空き家ワンストップ相談窓口への支援を通じまして、相談対応を強化してまいりました。
 空き家問題の解決のためには、相談対応の実効性を一層高めていくことが不可欠でございまして、来年度は、旧耐震基準の建物や地域活性化施設としての利活用など、より困難度の高い相談の解決に対する民間事業者へのインセンティブを拡充いたします。
 また、税務部門と連携しまして、本年六月に送付予定の固定資産税等の納税通知書に、新たに空き家の利活用に関するチラシを同封して啓発を図るとともに、ワンストップ相談窓口の活用を促すことによりまして、相談窓口のさらなる利用促進を図ってまいります。

○斉藤委員 主税局と連携しながら納税者の方に固定資産税——これ活用がしっかりしていないと税が上がっていくという今法案が国会でも用意されているようでございます、三月三日に閣議決定、ニュースになっておりました。そういった情報をどうやって届けるかということの一つのアイデアですばらしいと思います。
 目黒区の場合は、特定空き家のように全く放置されている空き家というのは本当にないです。大体、相続の関係ですとか、リフォームを希望する方が多い地域でございます。
 適切なリフォームを行うことで、住まいの健康寿命というか、長く住み続けられる家にしていくことも重要であるわけですが、このリフォームに関しましては、目黒区では独自のリフォーム補助金、助成金をつくっております。これを拡充してほしいという声がある一方で、リフォームに関するというか、耐震化、省エネ化、バリアフリー化など、東京都も様々な支援事業があるんですが、書類が多くて、申請手続も分からないし、また、事業者の選び方が分からない、だまされたらどうしよう、そういった声があるわけです。
 そこで、都民が安心して住宅リフォームに取り組めるよう、普及啓発を強化するべきであると思いますが、都の見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都はこれまで、都民が安心して住宅リフォームを行えるよう、ガイドブック等により普及啓発を行ってまいりました。
 今般、リフォームの促進に向けまして、計画から工事等の流れに沿って、補助金や相談窓口などの情報を分かりやすく紹介する内容に全面改定いたしました。
 今後、区市町村や東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの会員団体等と連携しまして、都民への普及啓発に取り組みます。
 あわせまして、リフォーム後の戸建て住宅をモデルハウスとして公開する取組におきまして、都民の主要な居住形態であるマンション等も対象に加えるなど、リフォームの効果を体感できる場を広く提供してまいります。

○斉藤委員 この愛着のあるおうち、こうした住まいに世代を超えて住み続けていくということはとても大切なことなんですが、多くのケースは既に家族はほかのところに住まいがあって、相続人であるんですけど、そこには今さら住めないという方もおられます。
 その場合には、当然売却をしたい、流通に流したいというニーズが生じるわけですが、なかなか日本というのは、新築に対しまして既存住宅の流通がなかなか難しい、広まっていません。
 そこで、都として、売りに出したいという物件があった場合に、既存住宅の流通促進に向けた取組を強化するべきであると思いますが、最後にこれ、空き家関係で聞きたいと思います。

○山口住宅政策本部長 既存住宅の流通促進に向けましては、建物状況調査や既存住宅売買瑕疵保険、住宅履歴情報の三つの仕組みの活用とともに、既存住宅の価値の適正な評価が重要でございます。
 都はこれまで、既存住宅の売買に当たって参考となるポイントをまとめた東京既存住宅ガイドブックなどによる普及啓発を進めるとともに、国に対して、既存住宅流通の活性化に向けた提案要求を行ってまいりました。
 来年度は、民間事業者によります既存住宅を良質な住宅に改修して適正な評価の下で販売する取組や、建物状況調査等の三つの仕組みに関する普及啓発の取組に対する支援を開始しまして、都民が既存住宅を安心して売買できる市場環境の整備を図ってまいります。

○斉藤委員 しっかりこの空き家の未然防止に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 続きまして、自由が丘のまちづくりについて質問したいと思います。
 自由が丘、皆さんどのようなイメージを持たれるでしょうか。これは日本最大級の商店街がもちろん広がっているんですが、古くは文化村といって、多くの作家、青い山脈などの石坂洋次郎さん、陽のあたる坂道という名作がありますが、昭和の初期から、非常に地域の方々が愛し、そして愛されてきた自由が丘、そのまちが今、まち全体が古くなっている。
 建物の老朽化、車歩道は非常に未分離であり、なかなか人と車が共生できない。商業施設の活力維持も課題です。そうした中で、待っていられないということで、民間再開発が先行して進み始めています。
 まちの声を聞きますと、歩行者が安心して歩きやすい環境にしてほしい、商店街を南北に分断する踏切を改善してほしい、除却してほしいというか、立体化してほしい、はしご車など緊急車両が通れない非常に桁の低い架道橋というものが電車のところにありますけれども、これを改善してほしいなどの声が多く寄せられております。
 こうした民間の動きや声を受けまして、地元目黒区は、緑豊かな、ウオーカブルなまちづくりに向けた自由が丘未来ビジョンというものを策定、発表いたしました。
 そして、周辺の道路や鉄道といった都市基盤と一体となることを目指して、まちづくりと一体的に取り組むことを目指しまして、自由が丘駅周辺地区都市基盤整備構想(案)というものを発表したところであります。今、議会でもそれが議論されていると思います。
 私は、この駅周辺の課題を総合的に解決するためには、都市基盤の整備を含め一体的に取り組むことが必要で、特に東急大井町線と東横線の二線に乗り入れがあり、さらに、まちの更新には鉄道立体化について積極的に取り組んでいく必要があると考えています。
 自由が丘駅周辺については、ウオーカブルなまちづくりを進めるためにも、鉄道立体化が望ましい姿だと考えますが、まず、自由が丘駅周辺地区都市基盤整備構想の策定に当たりまして、これまで東京都が行ってきた支援を確認したいと思います。

○福田都市整備局長 東急大井町線、東横線の自由が丘駅付近は、都の踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられております。
 鉄道立体化は、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区が主体となり、地域の将来像やまちづくり方針等について検討する必要がございます。
 また、本区間は、未整備の都市計画道路と三か所で交差しており、道路整備計画との整合も、まちづくりと併せて地元区が検討していく必要がございます。
 都は、地元の目黒区が都市基盤整備構想案の策定に向け、令和三年度から実施してきた検討に対し、国と共に助言を行い、技術的な支援を実施してまいりました。

○斉藤委員 目黒区がつくった構想ですが、国と東京都が技術的な支援をしてきたということでございます。東京都もしっかり入っているということです。
 実は、この自由が丘駅周辺は、平成十六年度に策定された東京都の踏切対策基本方針の中には、鉄道立体化の検討対象区間に選ばれています。選ばれていますが、策定から十五年が経過しているわけですね。
 ウオーカブルなまちづくりや都市基盤強化を推進する国の動向も含めまして、踏切を取り巻く環境は、この十五年間、十六年間の間に大きく変わっているというふうに思います。
 そこで、この踏切対策についての来年度の都の検討内容を伺いたいと思います。

○福田都市整備局長 都は、踏切対策基本方針策定後も鉄道事業者等と連携し、踏切対策を進めてまいりましたが、都内には千五十か所程度の踏切が存在し、交通渋滞やまちの分断などの課題が残されております。
 基本方針策定後十五年以上が経過し、各踏切の状況や取り巻く環境は変化していると考えられます。
 来年度、都は、基本方針における重点踏切を対象に現地調査を行い、これまでの対策実績や、踏切問題の改善状況を把握し、方針の検証を行います。

○斉藤委員 検証する——何のために調査するかというと検証を行って、分析をされて、新しい方向にまた踏み出していくことを期待したいです。
 人中心のまちづくりが重視される時代になりました。自由が丘が目指すべきウオーカブルなまちづくりを考える上で、商店街の中心にある踏切除去によりまして、商店街の分断を解消するメリットなど、自由が丘駅周辺における鉄道立体化の必要性は、より一層高まっていると思います。
 東急大井町線と東横線の鉄道立体化につきましては、私の地元目黒区の悲願であります。隣接する世田谷区の悲願でもあります。地域の声やまちづくりの機運上昇の機会を捉え、早期事業化をするべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○福田都市整備局長 都内の鉄道立体化については、これまでも、地元自治体による沿線まちづくりの検討状況や交差道路の整備計画の具体化などを十分に踏まえ、事業化等に取り組んでまいりました。
 本区間は、東急大井町線と東横線の三つの駅を含み、目黒区と世田谷区にまたがる区間のため、両区が歩調を合わせて沿線まちづくり等に取り組むことが必要でございます。
 来年度、両区は連携し、大井町線、東横線の開かずの踏切解消に向け、まずは調査などを実施すると聞いております。
 都は、地元区が行うまちづくりや道路整備計画の具体化等の取組を引き続き支援し、適切に対応してまいります。

○斉藤委員 適切に対応というのは、やるというふうに私には聞こえるんです。ぜひとも早期に事業化を望みたいと思います。
 東急は新空港線、蒲蒲線もございます。空港に乗り入れていく路線がある。そして、三月十八日には相鉄線と東急が相互乗り入れいたしまして、東横線から新幹線の新横浜に行けるようになる。こういった大きな変化が今起こっているわけでございます。
 国際立地競争力の強化、大田区も力を入れています。そうした観点からも、また、国も注目しているこの自由が丘駅周辺の再構築、改めて鉄道立体化の早期事業化を強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は、いよいよ始まりますワールド・ベースボール・クラシックでございます。
 私は、日本代表の優勝を心から応援していきたいと思います。そして、今年の秋はどうでしょう。ワールドカップ・フランス大会二〇二三が開催される年です。ラグビーのワールドカップ、秋には必ず盛り上がっていく、盛り上げていく、そういう決意でございます。
 二〇一九年の日本の大会を契機に、都内各地のラグビースクールへ入会される方が大変に増えております。私の地元目黒も協会が発足し、スクールの活動を開始しております。
 小学生のミニラグビー唯一の全国大会は、ヒーローズカップというのもございますが、そこのお手伝いもしております。
 二〇一九年大会では、世田谷区ラグビースクールが優勝し、二〇二一年大会では、江東ラグビースクールが全国大会で優勝し、小池知事にも表敬訪問させていただいております。ありがとうございます。
 今年の関東地区大会は、私の地元駒沢オリンピック公園での開催が決定しておりまして、主催者一同、大変喜んでいるところでございます。
 しかしながら、なかなか競技をする場所、練習する場所もなく苦しんでいる中で、レガシーとして、ぜひともラグビーの公式戦ができる新たな球技場建設を求める声が、二〇一九年前後からずっと寄せられてまいりました。
 そこで、まず、これまでの進捗状況を伺いたいと思います。

○中島東京都技監 都は、代々木公園など三公園の球技場について、天候による影響を受けにくい人工芝を導入するとともに、ラグビーやサッカーの公式試合の基準に適合するよう、改修や新規整備を進めております。
 昨年十一月には、代々木公園の球技場の改修が完了し、高井戸公園では、今年の夏頃の供用開始を目途に、新施設の整備を行っているところでございます。
 また、現在改修を進めております府中の森公園につきましては、令和六年度に供用を開始する予定でございます。
 引き続き、多くの都民がスポーツに親しめる公園づくりに取り組んでまいります。

○斉藤委員 他の競技もあります。ラグビー専用とはなかなかいえませんが、サッカーとともにどんどん造っていただきたいと思います。
 二〇一九年のワールドカップ東京の開催に当たっては、都が被災地の少年少女ラガーたちを東京にお招きして、都内のラグビースクールの代表と交流会を実施いたしました。
 また、ワールドカップの翌年の二〇二〇年からは、我が党の提案を受けて、TOKYO RUGBY MONTH、少年少女への育成、そして普及啓発など、そういったことを目的とした事業を実施いたしまして、東京のラグビーの機運の醸成の大きな力になったと確信しております。
 来年度は、こうしたレガシーを引き継ぎまして、今年のワールドカップ・フランス大会をきっかけに新たに少年少女がラグビーに親しめる機会を提供するとともに、被災地交流、三・一一を忘れてはなりません、二〇一九年ワールドカップの舞台として世界に復興をアピールする場ともなった岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムで、ぜひ実施することを提案いたしますが、都の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 レガシーを継承し、東京のラグビー機運を高める取組は重要でございます。
 都は今年度、TOKYO RUGBY MONTHにおいて初めて、女子を対象とした交流体験イベントを代々木公園で行ったほか、東京のリーグワンチームによるプレシーズンマッチを駒沢オリンピック公園に一万人の観客を集めて実施をいたしました。
 来年度は、体験会等を継続するとともに、ワールドカップ・フランス大会のパブリックビューイングを実施し、機運のさらなる醸成を図ります。
 さらに、被災地との交流事業につきましては、岩手県での実施を計画しておりまして、被災地との絆がより強固なものとなるよう取り組んでまいります。

○斉藤委員 ぜひ岩手県と交流をいたしまして、防災教育なども含めて、大いに友情を温めていただきたいと思うわけです。
 昨年十二月の代々木公園の女子のイベントに私も参加をさせていただいたんですが、原宿駅近くで、とても私も日頃は行かないエリアでございましたけれども、参加した少女たちは大変に楽しそうでした。
 ぜひとも地の利も生かしまして、今後は、神奈川、埼玉、千葉などのガールズの、女子のチームとの交流イベントなども提案しておきたいと思います。東京協会と連携しながら行っていただきたいと思います。
 続きまして、学校への新聞複数配備についての話をしたいと思います。
 実は、民主主義の教育におきまして、新聞というものはとても重要だということで、軽減税率の対象にもなったわけですが、国は、主権者教育に新聞が果たす役割と重要性を認識して、学習指導要領にその重要性を明記するとともに、平成二十四年度から学校図書館図書整備等五か年計画で、地方財政措置を講じているところなんです。
 それぞれ小学校二紙、中学校三紙、高校五紙と目標も決まっていまして、配備費用として百九十億円を地方交付税交付金として財政措置をしています。
 また、東京都二十三区内では、新聞販売店で構成されております東京都の新聞販売協同組合では、小中学校への無償の譲渡を行っているところなんです。
 こうした状況の中で、都は、今年度実施した子供読書活動推進に関する調査におきまして、都内の公立学校での新聞の配備状況を調査しておりまして、新聞の配備率は小学校六〇%、中学校が七三・九%、高校が一〇〇%と、比較すると小中学校がまだ低いわけでございます。
 そのため、今後、都内の小中学校での新聞配備の充実を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会では今年度、国の学校図書館図書整備等五か年計画を踏まえ、都内公立小中学校における学校図書館等への新聞の配備状況と併せ、その活用状況を調査いたしました。
 各学校では、国語、社会、総合的な学習の時間における調べ学習等での活用を図るとともに、新聞記事と関連図書を並べて展示し、児童生徒の興味、関心を喚起するなど、今回の調査により様々な新聞の活用事例が集められました。
 今後は、国の計画と併せ、これらの活用事例について各学校に周知し、新聞配備の促進が図られるよう、区市町村教育委員会と連携して取り組んでまいります。

○斉藤委員 ぜひ寄附に頼らない形で、東京都下の地方交付税の交付金の及ばない小中学校につきましては、各地域と協力して配備を推進していただきたいと思うわけでございます。
 残りの時間、ぜひ目黒の都道についてお話をしたいと思うんです。
 まず、補助二六号線、これは骨格幹線道路でございまして、目黒通りと駒沢通りを南北に結ぶ新設道路です。電柱の地中化や広域道路ネットワークの形成など、様々な効果が期待されるんですが、これはもう始まってから十六年目を迎える年であります。
 本区間の開通は、目黒区民の悲願でありまして、一刻も早い完成に向け取組を加速させるべきですが、この補助第二六号線の現在の状況と来年度の取組について伺いたいと思います。

○中島東京都技監 現在、目黒通りから駒沢通りまでの七百六十メートルの区間で事業中でございまして、令和五年一月末時点の用地取得率は約九九%となっております。
 このうち、駒沢通りから油面通りまでの約四百六十メートルの区間では、事業効果の早期発現のため、昨年六月に歩道部分を先行的に開放いたしました。
 また、目黒通りから油面通りまでの区間では、今年度、排水管設置工事を実施しており、来年度は、電線共同溝設置工事や街路築造工事などを進めることとしております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進してまいります。

○斉藤委員 時間が参りました。特定整備路線として、補助四六号線というものもあります。これは災害対応のための道ですが、地域の方々には大変に協力いただいています。信号機、横断歩道などの設置も含めまして、ぜひご協力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

○高倉副委員長 斉藤やすひろ委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十四分休憩

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