予算特別委員会速記録第三号

○小宮委員長 ただいまから予算特別委員会を開会します。
 初めに、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 この際、本件に対し発言の申出がありますので、これを許します。

○尾崎委員 日本共産党を代表し、委員外議員の発言の申出について意見を述べます。
 我が党はかねてより、議員の発言の機会はひとしく保障されるべきであると主張してきました。
 都議会では、予算の審査が予算特別委員会と各常任委員会に分割付託されていて、予算特別委員会に委員を出していない会派は、自分が所属する常任委員会に分割付託された部分しか予算審議することができません。少数会派には予算全体の審議に対する発言の機会が保障されていないということになります。
 都民に選挙で選ばれ、都民の願いを前に進めるために、来年度の予算の審査について、会議規則に沿って発言を申し出るのは当然のことです。
 よって、上田令子議員の委員外議員の発言の申出は認めるべきだと考えます。
 以上です。

○小宮委員長 発言は終わりました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小宮委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定いたしました。

○小宮委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案まで及び第百十号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 川松真一朗委員の発言を許します。

○川松委員 私からは、都民の皆様、都内事業者の皆様はじめ、多くの方に納税をしていただいている。そして、集まってきた税金は一体誰のためのものであるのか。小池知事のためでもなく、都庁舎のためでもなく、納税されたお一人お一人のものだと、そういう認識の下に、今日は様々な項目について質問をしてまいります。
 また、時間に限りがございますので、答弁していただきたい局長の方、早く出てきていただいて、そして関係のない答弁はやめていただくようにお願いをして、始めてまいります。
 昨日の我が党、菅野政調会長の質疑に続きまして、まず、減税について伺ってまいります。
 コロナとの闘い、これは次のステージに向けて動き出しているわけですが、一月の消費者物価上昇率は四十一年ぶりの高水準となるなど、目の前の都民の皆様の暮らしは依然として厳しい状況が続いています。
 先般の本会議代表質問におきまして、三宅幹事長から、また、そして昨日の菅野政調会長からも、減税という手法によって支援を行うことは、迅速かつ効果的な経済活性化の手法の一つなんだということを重ねて指摘いたしました。
 令和四年度の最終補正予算案の審議に当たっても、増えた税収や余った予算などを基金にためるだけでいいのか、今苦しい状況にある方に手を差し伸べるという選択肢についても比較検討するべきではなかったのかということを先般の財政委員会で私は申し上げました。
 新年度予算の編成に当たっても、中長期的視点を持つことや、将来世代のことを考えることは当然必要です。しかし、忘れてはいけないのは、目の前の厳しい状況で疲弊されている都民の皆様への支援策が十分なのかどうかということです。
 これまで我が会派は、一つの方策として減税について提言しているわけですけれども、こうした観点からまず確認いたします。
 仮に、私たちが提言をしている個人都民税二〇%減税を行った場合、令和五年度当初予算ベースで影響額は幾らになるのか、また、都税収入における割合はどれほどになるのかを伺います。

○小池主税局長 令和五年度当初予算における都税収入は約六・二兆円であり、そのうち個人都民税所得割及び均等割の税収は約九千七百億円となっております。
 仮に個人都民税二〇%の減税を行った場合、約千九百億円の減収が発生いたします。都税収入に占める割合は三・一%であります。

○川松委員 令和五年度の都税収入はおよそ六・二兆円ということで、減税による影響額というのは、都税収入全体だとおよそ三%ということです。影響額であるおよそ千九百億円という金額の響きは、とても大きな金額になりますけれども、都財政の規模からすると、そこまで大きなウエートを占める金額ではなくて、減税に必要な財源を捻出することは不可能ではないように思います。
 そこで、昨日の質問と重複する部分もあるのですけれども、一度お聞きしますが、財源は確保できると仮定した上で、現下の状況を踏まえ、一時的でもいいんですよ、私たちがいっているのは、恒久的じゃなくて時限的ということで個人都民税二〇%減税を提言していますけれども、これはできないのか、主税局長に改めて伺います。

○小池主税局長 個人都民税は、住民が地域社会の費用を広く負担するという考え方から設けられているものであります。都民生活の支援として個人都民税を減税することについては、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、非課税となる所得が一定以下の方に対しては減税の効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと認識しております。
 また、個人都民税は、地方税法に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて課税、徴収しており、個人都民税の減税を実施する場合には、都内全ての区市町村において税務システムの改修が必要になるという課題もあると考えております。

○川松委員 私は、できるかできないかを聞いたんですよ。税制やシステム上の課題をるる述べられているようなことを、私、聞いているわけじゃないんですね。
 ですから、今聞いていることだと、課題はお答えになっているわけですから、個人都民税の減税はできないという答弁ではない。つまり、できるわけなんです。
 また、住民税の減税は非課税の方に効果が及ばないということもお話しされていますけれども、減税というものを単体で考えるとそうなるんです。減税と非課税世帯への支援をパッケージにするという視点になれば、今いった課題も乗り越えられると思います。
 できない理由を列挙するのではなくて、課題がある中でも、知恵を絞ってどうすれば進めることができるか、これが小池知事が目指している都政の姿なんじゃないですか。
 次、減税した場合の都財政への影響についても確認しておきますが、先ほどの減税の影響額について、令和四年度最終補正予算で基金へ積み増しを行った額に占める割合、加えて、令和五年度予算における基金全体の残高及び財政調整基金の残高に占める割合を伺います。

○吉村財務局長 令和四年度最終補正予算では、三つのシティ実現に向けた基金に三千七百七十四億円の積み増しを行いました。
 また、令和五年度末時点において、基金全体の残高見込みは一兆六千九百三十五億円であり、このうち財政調整基金の残高見込みは五千六百三十八億円でございます。
 お話にありました千九百億円という影響額につきまして、四年度最終補正予算での積み増し額に占める割合は五〇%、五年度末基金残高に占める割合は一一%、財政調整基金の残高に占める割合は三四%でございます。

○川松委員 ありがとうございます。基金残高に占める割合は一一%程度だけれども、財政調整基金の残高に占める割合は三四%に上る。減税によって財政調整基金が千九百億円も減ってしまうと、財務局としては心細いんだということは理解できます。
 しかし、私が注目したいのは、令和四年度の最終補正予算で、都は、使途の限定されている基金に四千億円も積み立てて貯金をしたんですよ。つまりこれ、令和四年度余ったお金を四千億円貯金したんですね。仮にこの一部を財政調整基金に積んでおけば、財政対応力を十分に維持したまま、減税の原資を確保することはできたんじゃないんですか。
 常々申し上げておりますが、恒久的に減税を行うべきだということを私たちは主張しているんじゃないんです。苦しい生活、経営にあえぐ都民の皆さん、少なくとも今の経済が元に戻るまでの時限でも、一度チャレンジしてみてはどうですかという提案をし続けてきているんです。
 これまでのやり取りでは、都が真剣に、こういった都民の皆さんの現状を感じて、このことに向き合っているとは思えませんけれども、冒頭いったように、納めていただいた税金は納税者のものだという感覚であるならば、余ったお金は納税者の方に還元するような方策をやっぱり考えてほしいです。
 一度集めた税金は自分たちのものだ、都庁のものだという、この前例踏襲の役所的な発想から抜けられないままであったら、この未曽有の困難をどうやって乗り越えていくんですか。
 令和五年度も、四年度に実際に起こったように、税収が上振れする、あるいは歳出精査によって財源が確保できる可能性十分にあります。こうした際に、これまでのように、ためる、将来に向けてためるの一択ではなくて、今、目の前の困っている都民の皆さんにお返しするという発想を持っていただきたいと考えます。
 昨日の我が会派の菅野政調会長の質疑において、将来を見据えても都財政は一定の財政対応力を維持できているという認識、示されていたじゃないですか。
 そこで、令和五年度予算を編成した今、先ほどお聞きした影響額を踏まえて、減税に対応可能な財政状況だと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉村財務局長 都の歳入の大宗を占めます都税収入は、令和二年度に前年度比四千億円の減収となるなど、景気の動向に左右されやすい不安定な構造でございます。また、都は、地方交付税の不交付団体であることから、他の自治体以上に自立的な財政運営が求められております。
 世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による経済の下振れリスクなど、景気の先行きを見通すことが困難な中、将来に向けて強固な財政基盤を堅持していくことが重要であり、都財政にとって、年額一千九百億円の減収による影響は非常に大きいものと認識してございます。
 また、そもそも、減税により、都債の発行に際し国からの制約がかかることになり、財政運営上の制限を受けることになるほか、減税の効果が及ばない低所得者が生じるという課題があるものと認識してございます。

○川松委員 最後の部分に関しては、パッケージという方策もあるよというお話をしたばっかりでこの答弁はちょっと残念ですね。
 結局、今の話というのは、将来への備えが重要だという話なんですよ。私たちがいっているのは将来じゃなくて、今、目の前なんですよ。五年後、十年後の前に、あしたのこと、都民の皆さんのことを考えてくださいということをいっているんです。
 今もなお、コロナ禍に加えて、物価高騰やエネルギー価格の高騰で追い打ちをかけられているんですよ、都民の皆さん。そういった方々を支えることよりも、財源の確保と財政基盤の維持の方が重要というニュアンスの財務局長の答弁。財務局長の頭の中に都民の皆さんの姿が少しでもあれば、もっと違う答弁になるんじゃないんですか。
 昨日の菅野政調会長の質疑の中で、小池知事は、財源の確保に向けて、マイナスシーリングや施策の終了など、あらゆる手だてを講じたと答弁されていました。今お話しした都債の発行だってマイナスシーリングしているということは、都債の発行を抑制できるじゃないですか。
 改めて聞きますけれども、令和五年度予算編成においてマイナスシーリングを設定した考え方と、その取組による縮減額について伺います。

○吉村財務局長 限られた財源の中、積極的な施策展開を推進していくためには、予算要求の段階におきましても、無駄をなくす取組を一層強化する観点から、各局における主体的な見直しを促すことが重要でございます。
 そこで、令和五年度予算編成では、事業実績が目標を大きく下回るものや、執行率が一定の水準に達していない事業など、さらなる見直しが必要な事業につきまして、各局と調整し、原則としてマイナス一〇%のシーリングを設定することで、施策の新陳代謝を促すこととしており、この取組による縮減額は約百億円となってございます。

○川松委員 今おっしゃったような見直しを図る取組は確かに重要です。
 ただ、一方、知事が唐突に表明をされたお子さん方への五千円給付事業は、当然のことではありますが、お子さんがおられない方々には恩恵はないにもかかわらず、千二百六十一億円という金額が令和五年度予算に盛り込まれ、単年度で終わる予定の事業ではないというように聞こえてきます。
 継続して行う予定の事業に一千億円以上の金額を充てることができるにもかかわらず、私たちがいっているコロナ禍、あるいはエネルギー価格高騰など、時限的に、もしくは単発の措置でも構わないので対応してほしいという都民の声にどうして応えられないのでしょうか。
 余った税金は自分たちのものではなくて、都民の皆様のもの、納税者の皆さんのものだという視点に立ち、思い切った取組を検討していくことが重要だと考えます。
 減税という手だては一つの手法であって、これと同様の効果を伴う施策を様々な形で講じていくことは可能だと思います。全ての都民が実感できる大胆な支援策について知恵を出し合いながら、具体的な検討を進めていただきたいと思うわけですが、改めて念を押しておきますけれども、今の東京都では減税することはできます。可能だということを何度も確認してきましたし、今日も確認いたしました。そして、財源もあります。ということは、小池知事の決断一つです。〇一八サポートも、太陽光パネルの義務化も、知事の独断でやったわけですから。
 納めた税金は都庁職員のものではなくて都民のものだ、納税者一人一人の顔を思い浮かべて、まさに都民ファーストの精神で減税の決断を求めさせていただき、次の質問に移ります。
 次は、技術職員の確保という視点で何点かお聞きします。
 東京の都市強靱化など、次世代のまちづくりという観点で技術職員が必要な事業は今後も増加していくであろうということはいうまでもありません。平成十年代など、過去において職員定数を削減した時期もありました。
 近年、ICT職などの確保に力を入れていることが目立っていますが、都市生活の基盤となるインフラを支える専門職、こちらも重要です。今後、各種施策を進めるに当たって、定数は、十年前対比で、土木職は二百十人、率では約一五%の増、建築職は九十人、率では一九%の増となっています。
 そこで、近年の技術職員採用動向について、申込者数や倍率の推移を伺います。

○初宿人事委員会事務局長 人事委員会では、例年春に採用予定者数が最も多く、大学卒業程度の能力実証として、Ⅰ類B一般方式の採用試験を実施しております。
 この試験の土木区分の申込者数は、十年前の平成二十五年度が六百四十三人、直近の令和四年度は三百十一人です。また、最終合格者数に対する受験者数の倍率は、平成二十五年度が二・八倍、令和四年度は一・五倍となっております。
 この間、申込者数、倍率ともに減少、低下しており、建築、機械、電気の区分についてもおおむね同様の傾向となっております。

○川松委員 つまり職員採用に関しては、なかなか応募者が確保しにくい現状認識ということを今伺ったわけですね。
 国や民間企業に負けないように人材を確保していくためには、様々な取組が必要だと誰もが考えると思いますけれども、今申込者が減っているという答弁がありましたが、様々な方に志望してもらえるように、まずは試験制度の見直しが必要だと思いますが、認識を伺います。

○初宿人事委員会事務局長 今月、採用試験の主軸でありますⅠ類B採用試験の見直しについて公表したところであり、来年度から速やかに実施いたします。
 具体的には、事務職である行政区分のほか、土木、建築、機械、電気の区分の合格者は、合格後三年間、自らの意思で採用年度を柔軟に選択できるようにいたします。このことにより、採用試験合格後に、大学院を修了してから入都するなど、受験者の多様なキャリア選択が可能となります。
 さらに、土木、建築、機械、電気の区分で、春の試験とは別に、九年ぶりに秋にも試験を実施いたします。
 こうした取組を通じて、志望者のチャレンジ意欲を喚起するとともに、受験機会を拡大し、技術職の受験者の増加を図ってまいります。

○川松委員 年間を通じて、既に数多くの試験を実施している人事委員会でも、採用試験の主軸となる試験で新たな取組に着手しているということが分かりました。
 一方で、現代の人材獲得競争が激しい中で、未来の東京について必要な人材の確保が大切になります。折しもニュースで伝えられるように、民間企業では賃上げの動きも活発化しています。都庁職員の給与は、人事委員会勧告に基づいて給与が決まるというのは大前提ですが、原理原則を突っ張るだけでは、専門人材の確保というのはかなり難しくなるのは目に見えていますよね。
 都市強靱化は、安全・安心な東京を構築すること、ひいては都民の皆様の命と財産を守るためにあるんだと。この政策は柱になっているわけです。この仕事に従事していく方々が、いや、公務員は割に合わないなといって民間に流れていけば、まさに未来の東京の公益性というのは損なわれることになるわけです。
 聞くところによると、オリンピック・パラリンピック大会組織委員会に出向していた職員が、民間に魅力を感じ、離職したというケースも一定数あると伺っています。
 私、コロナの流行のときにも大分繰り返し主張してきましたけれども、結局、現場でハードな職に当たっていたとしても、公務員だからという理由で、現場の皆さんの負担増に対して特別な手当を打つことができませんでしたよね。結果、保健所の保健師さんたち、看護師の皆さんの離職も増えているというふうに耳に入ってきます。
 そういう前例や原則にとらわれることなく、働きやすい職場づくり、選ばれる職場づくりが今の都庁に求められていると考えますけれども、見解を伺います。

○野間総務局長 都はこれまでも、時差勤務やフレックスタイム制の導入、テレワークの活用など、時間や場所にとらわれない柔軟で多様な働き方を推進してまいりました。
 また、ライフ・ワーク・バランスを支援する制度を整備するとともに、全管理職がイクボス宣言を行い、職員が生活と仕事を両立できる職場づくりを進めてございます。
 さらに、男性職員の育業を促進するため、一月以上の育業等を勧奨してございます。
 引き続き、働き方改革を進め、魅力ある職場環境を整備してまいります。

○川松委員 今、都庁の職場環境の改善、働きやすい職場づくりに向けた取組を確認しましたが、いわゆるZ世代といわれる今の学生たちには、安定、終身雇用、首にならないなど、一昔前の公務員のイメージは響かないんじゃないかと思うんですよね。
 学生はよく企業を研究し、就職先を選択しています。企業の情報や実態も、SNSなどあらゆる情報源を通じて、昔と比べて格段に手に入りやすくなりました。
 そうした学生が都庁に目を向け、都庁を志してくれるよう、試験制度や処遇の見直し、職場環境、働きがいなどあらゆる面から体制を抜本的に見直して、民間との人材獲得競争に負けない都庁へと生まれ変わっていくことが必要だと考えます。
 今後、今の歩みをより一層加速させ、様々な観点から制度や職場環境を見直し、学生などに選ばれる都庁に生まれ変わっていくべきと考えますが、認識を伺います。

○野間総務局長 都が多くの志ある技術人材から選ばれるためには、人事制度の見直しや、職員の働き方改革などの様々な取組に加え、自らの成長を実感できる魅力ある都庁を実現することが重要でございます。
 そのためには、業務を通じた職員の技術力向上、育成や、民間企業等との人事交流、海外研修など、職員が成長し続ける環境を充実させていくことが不可欠でございます。
 加えまして、こうした都庁の魅力を採用市場に発信するとともに、人事委員会と連携し、民間企業志望者や転職者もチャレンジしやすい採用の仕組みを構築してまいります。

○川松委員 当面の対応について伺いましたが、民間企業では国境を越えた人材獲得が進む中、中長期の対応を考える上で、海外の取組も参考にすべきであると考えていましたら、この質問の調整をしていたら、総務局も人事委員会も僕に何もいってこなかったけれども、人事委員会の事務局長が最近ニューヨーク市を訪問されていたというふうに聞いています。
 だから、そこの人事制度等の調査研究も聞きますよ。この後聞きますけれども、その前に、まずは今月から新卒採用の広報活動が解禁となった民間企業での採用手法について、人事委員会事務局長の見解を伺います。

○初宿人事委員会事務局長 人材獲得競争が激化しておりますけれども、そういった中、民間企業では、採用予定者の大学生、それから大学院生に対しまして、職層別やスカウト型など、多様な採用手法で人材確保に動いていると認識をしております。
 従来は、総合職として一括して採用し、その後に配属先を決めるという方法が一般的でございました。お話の、今月から始まりました民間企業での新規採用職員採用におけます広報活動では、例えば経理、財務といいました職層別採用が増えてきているとの印象を持っております。
 これは、キャリア教育の浸透などを背景といたしまして、大学院生や大学生の配属先へのこだわりが強くなってきていることに対応し、入社後のキャリア形成がしやすいことを強調した採用活動の一つであるというふうに認識をしております。

○川松委員 ありがとうございます。ということで、ニューヨークには人事委員会と総務局、都市整備局の職員も行かれたということであります。
 このまさに人事制度等の調査研究を行ったことについて、またコロナ対策も含めて、このニューヨーク市に皆さん方が訪問されて、一体何を得て、そして今後に生かしていくのかということを、通告にありませんでしたけれども、お聞きします。

○初宿人事委員会事務局長 まずは一言、今年度予算として海外出張の貴重な経験を積ませていただきましたことを、都議会をはじめといたします都民の皆様に心から感謝を申し上げます。
 ご質問ですが、この経験で得ましたのは、まず、私、都の人事制度で、職務専念義務免除として認められております献血。実は私自身、日米通算で百八回目となります献血を入国した翌日の土曜日に姉妹友好都市のニューヨーク市で行いました。そこで医師、看護師の業務範囲が日本と異なることを体験いたしました。
 そして、ニューヨーク市役所でのヒアリングでございましたけれども、人材の流動性が高く、同じポストで長期間勤めるということはまれでありまして、職員は自身の興味や能力に合わせて、民間企業も含めました新たなポジションに随時応募していくというようなキャリアアップ、キャリアのステップアップですね、これを図っていることを知りました。
 特に今回質問の対象になっております専門職、特に技術職につきましては、専門的な知識が必要であるということを反映いたしまして、給料が高く、そして専門職であることが魅力となっていることも知りました。
 なお、都人事委員会では、先ほど答弁しましたけれども、受験者の多様なキャリア形成が可能となる採用年度の柔軟化、そして一部の試験区分での秋試験の実施といたしました試験制度の見直しを行いまして、都庁の職員採用試験の魅力向上に努めております。

○川松委員 せっかくそうやって海外で学んできたことがあるんだったら、事前のときからいろいろと教えてもらえれば、もっと質問の組立ても変わったと思いますけれども、そういったことも含めて、都民に必要な行政サービスが確実に行き渡るように、優秀な人材を着実に採用できるよう、不断の見直しを期待しまして、次の質問に移ります。
 自殺対策です。
 昨年の児童生徒の自殺者数が五百十二人と過去最多となりまして、文部科学省は二月二十八日、児童生徒の不安や悩みの早期発見など、自殺予防の取組を求めるということになったわけですね、教育委員会の皆さん方には。
 具体的には、長期休業明けの時期に自殺が増加するのではないかということでございまして、アンケートや教育相談など、学校現場、頑張ってくださいということです。
 私は、いわゆる相談する相手がなかなかいないという方に対しては、一人一台端末を持って、SNSなどを活用して、相談環境の中で整備をして、早期発見して、解決に導くということで提案をしてきたわけですけれども、教育委員会の中の学校では、全てが、配られたタブレットなど端末はSNS禁止になっていなくて、SNSを使ってもいいという学校があるわけですね。これは全国的に見ても極めてすばらしい取組なんです。
 ですから、これがほかの学校にもどんどん広がって、SNSで気軽に相談ができる、我々からすれば、早く見つけられる体制をもっと強化していただきたいということを教育委員会にまず要望します。
 その上で、子供の自殺の要因として家庭問題が挙げられることが多いわけですが、従来だと民生委員や児童委員、こうした方々が相談に乗ってきたわけですが、高齢化が進んで担い手不足が指摘されています。
 こうなってくると、現代に即したつながりの在り方が必要なんじゃないかと思いますけれども、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 自殺の背景は、様々な要因が複雑に絡み合っていることから、地域や学校などで、困難を抱える方の周囲の人々がゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につなぐことが重要でございます。
 このため、都はこれまで、ホームページやSNSなどによる普及啓発に加えまして、職場でゲートキーパーの養成研修に活用できる動画などを作成してまいりました。
 さらに今年度は、自殺リスクの高い方と接する機会の多い医師や薬剤師等を対象に、ゲートキーパー養成研修を開始いたしました。
 来年度は、スキルアップに向けた研修も新たに実施するほか、より多くの方が受講できるよう、オンデマンドでの配信も実施をいたします。

○川松委員 助けを求めようとしていない、助けを求める選択肢すら思い浮かばない子供たちを早期に発見して支援につなぐということで、今のお話だとか、様々な取組が必要だと思いますけれども、今後のことも含めて、こういった見解、どうなのかお伺いします。

○西山福祉保健局長 都は、悩みを抱える方を早期に適切な支援につなげるため、インターネットの検索連動型広告を用いて相談窓口を案内する取組を実施してございます。
 今年度は、昨今の社会情勢の変化等により、自殺リスクの高まりが懸念されることから、検索連動型広告の効果的な運用に向けた調査研究を実施しております。
 今後、親との関係や市販薬への依存などの悩みを抱える子供たちに効果的に訴求できるキーワードや、相談行動を促すための広告文などに関する報告書を取りまとめ、区市町村や民間団体にも提供するなど、関係機関と連携して子供たちを守る取組を進めてまいります。

○川松委員 ありがとうございます。特に三月、今月は本当に自殺対策ということでは大変に重要な時期であるというふうにいわれていますから、福祉保健局も、教育庁の皆さん、関係各機関、この点について緊張感を持って取り組んでいただきたいということを要望します。
 次に、若年被害女性等支援事業について伺ってまいります。
 まず初めに、この事業については、住民監査請求が平成二十八年八月一日以来六年ぶりに受理をされたことで、都民のみならず、全国的に注目が集まってきました。
 その中で先般、二月二十二日の都議会本会議一般質問におきまして、我が党の浜中都議が小池知事にこの事業等の認識を伺いましたけれども、知事は質問をスルーし、お答えになりませんでした。しかし、先週、三月三日の定例記者会見では、同様の内容の記者からの質問に対して、国からの委託事業ですと、まるで人ごとかのような答弁をされたわけです。
 都民全体の奉仕者であり、その意思を代表する性質を持つ存在の議員の、しかも本会議場における質問はスルーしたけれども、記者の質問には答えるという姿勢には、私だけではなくて、多くの方が憤りを感じられたということをまず申し上げます。
 その上で、そもそも知事が答えた、これは国からの委託事業ですというのは、発言として間違いだと思うんですね。実施主体が東京都ですので、記者会見で語られた内容は間違いだと思いますけれども、これ、黒沼副知事、私の認識で合っていますよね。これ、国からの委託事業ですか。

○黒沼副知事 本事業は、東京都が事業主体となって、国の補助に基づいて実施する事業というふうに認識しております。

○川松委員 ということは、あの知事の会見での発言というのは間違いであったということです。
 これは国の実施要領にも、東京都の実施要領にも、実施主体は都道府県であり、そして東京都というふうに書いてあるので、ここまで住民監査請求も通って、みんなが注目されているのに、福祉保健局はどうやって知事に説明してきたのか、そのことからしても疑問が浮かぶわけですよ。
 かつ、この勧告。監査の勧告というのは、一般的には法的拘束力とか強制力は有していないといいますけれども、勧告を受けた相手方というのは、これを尊重しなければならない義務があるわけですが、局としてはこの勧告をどうやって受け止めたんですか。

○西山福祉保健局長 令和四年十二月二十八日に監査委員から通知された若年被害女性等支援事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとすることなどの勧告につきまして、真摯に受け止め、局として調査をしたものでございます。

○川松委員 真摯に受け止めて調査をした結果、対象団体の人件費が新たに一千三百万かかっていたことが判明したわけですけれども、それを事業対象経費から外したんですよね、福祉保健局。なぜ外したんですか。

○西山福祉保健局長 調査において、社会保険料等の案分比率を算出するため、全ての賃金台帳及び振込履歴を確認したところ、都事業に従事している職員の給与は二千二百四十七万九千円でございましたが、そのうち、都事業の経費を管理している台帳に記載されていたのは八百八十万四千円でございました。
 団体としては、残りの千三百六十七万四千円については都事業の範囲外と整理していたとして、事業対象経費から除外したものでございます。

○川松委員 じゃあ、都事業と団体側の自主事業というのは、やっていることは別なんですか。

○西山福祉保健局長 都事業として委託をしている範囲につきましては、都の事業でございます。自主事業というのもやってございますが、そこは明確に分けて行うように私どもとしては指導してございます。

○川松委員 まず、その認識が監査委員会の勧告の読み間違いをしていると思います。
 監査委員会がいったのは、東京都が委託契約をするに当たっての仕様書に書かれている中身を作業をするに当たって、団体は幾ら使ったんですか、それを出してくださいというのが監査主文の(1)に入っていた、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を出してくださいということですよね。
 今回だったら、契約額が二千六百万円ですと。二千六百万円の内側か外側かを見ているんじゃないんです。内側でもかかった経費なんです。二千六百万から上に行ったとしても、かかった経費なんです。
 本来だったら、福祉保健局は全て丸々出さなきゃいけなかったんじゃないんですか。どうしてそういうふうに局長は思わなかったんですかね。

○西山福祉保健局長 この事業に関しましては、二千六百万円を上限として委託契約を結んでございます。その中で、今回、監査事務局からは、監査事務局で調査した二千九百万円について調査をするようにということがございまして、二千九百万円を調査したところ、領収書等々全部一つ一つチェックをしたところ、それが二千七百万円でございました。
 したがいまして、都としては、委託の上限額である二千六百万円を額として確定したものでございます。

○川松委員 だから、そこが違いますということをいっているんですね。
 じゃあ、聞きます。今回の二千六百万の中に、例えば備品とかも入っていましたよね。自主事業で行われている事業については、公金が注入されている備品は使っていないんですか。こっちが公金です、こっちは自主事業ですといっていたら、この公金の部分の備品を使っていたらおかしくなりますよね、今の局長の説明だったら。

○西山福祉保健局長 まず、備品の購入費については、計上している部分もありますけれども、基本的に公費で買いました備品については、都といたしましては、自主事業では使わないように指導してございます。

○川松委員 使わないように指示をしているんじゃなくて、今回の再調査の中でそこまでチェックされたんですかと聞いています。教えてください。

○西山福祉保健局長 今回は、監査の依頼によりまして、領収書ですとか台帳等について、会計上の支出についてチェックをしてございます。

○川松委員 監査がいったのは、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとすることです。今の話では客観的に検証できないじゃないですか。やっぱりおかしいと思いますよ。再調査として成立していないと思います。
 ここをもう一度、福祉保健局として真摯に向き合って、監査勧告は一回だけで、再調査の再調査はないからとこういうことを出してきたんじゃないかというふうに疑念を抱かれちゃいますから、もう一度局として改めて向き合った方がいいと思いますよ。
 一方で、今後、この間の本会議の質問の中でも突然、福祉保健局は、これは委託事業から補助事業に変えますという話になりましたが、補助事業に変えるに当たって、国と協議しているという話がありましたけれども、いつから国と協議して、どんなことを協議しているんですか。

○西山福祉保健局長 この事業は、事業開始から五年が経過をいたしまして、公的機関と団体の連携体制も成熟をし、若年女性への支援に取り組む団体も増加しております。
 今後、事業効果を高めるため、より多くの団体が規模にかかわらず活用できるスキームが必要となってきたことから、令和六年度の新法施行に合わせまして、補助事業化に向け検討することとしておりましたが、今回の住民監査請求における監査からの意見なども踏まえまして、事業の見直しを図る観点からも、早期に補助事業へ移行することといたしました。
 本年一月、国に対して要綱改正の申入れを行ったところ、二月に、国から令和五年度に補助事業として実施できるよう要綱改正するとの回答がありましたので、補助事業とすることとしたものでございます。

○川松委員 その要綱改正は行われたんですか。

○西山福祉保健局長 現在、国において要綱改正の手続を進めているということで伺っております。

○川松委員 今、局長に課長がそのようにお話をされたと思いますが、昨日の加藤厚労大臣の閣議後会見においては、現行要綱下での補助事業は可能という発言がありました。
 現状の厚労省要綱、子発〇三二九第九号ですけれども、実施主体は、都道府県、指定都市、中核市及び一般市とする。なお、委託等とすることができると。皆さんがよく使う等。この中で補助ができるということになっていますが、一体厚労省と何を調整する必要があって、どんな協議を行ったのか。今食い違っていますけれども。

○西山福祉保健局長 令和五年度の児童虐待・DV対策等総合支援事業費の交付要綱において、若年女性等の支援事業について間接補助も交付対象となるというふうに改正が進められているところでございます。

○川松委員 かみ合っていないんですけど、加藤大臣は現状でも補助にできますよということをいっています。
 また、昨日の閣議後会見で、国は、そもそもこの事業を五〇%負担しているわけですが、今回再調査の結果、今いったように、本来だったら監査の委員会の勧告も、我々も、委託の仕様に関わっている事業に幾らかかっているかだから、千三百万を抜くんじゃなくて、全部入れた上で、これが仕様に係る委託事業ですよと。その中の案分がどうなんだ、どうですか。だから、これは二千六百万とか、二千七百万とか、二千九百万で切るんじゃなくて、出てきた数字を全部出して、本来だったら再調査報告を福祉保健局はしなきゃいけなかったんだけれども、閣議後会見でこういわれましたよ。
 費用案分が適切になされておらず、過大に事業経費として計上されていたものがあったという認識を示して、何と、補助金適正化法の趣旨を踏まえた対応が必要か検討すると大臣が発言をしています。
 この法律の第十二条は、補助事業者等は、各省各庁の長の定めるところにより、補助事業等の遂行の状況に関し、各省各庁の長に報告しなければならないとありますが、東京都は監査勧告を受けた再調査結果について、厚生労働省に報告をされたんでしょうか。あるいは今後報告する予定はあるんでしょうか。

○西山福祉保健局長 まず、今回の調査の結果についてでございますが、台帳に記載されている二千九百五万七千円のうち、本事業の実施に必要な経費の実績額は二千七百十三万一千円と特定をいたしましたが、この中には事業として不適切なものは認められませんでした。
 事業経費として認められない経費が百九十二万六千円ありましたが、そのうち百六十七万四千円は、管理台帳の誤記や、領収書の宛名が個人名であるなど、会計処理上の誤りでございました。これ以外は領収書の一部の提示がなされなかったため、不適切かどうか確認はできませんでした。
 勧告では、本事業として不適切と認められるものがある場合や、委託料の過払いが認められる場合には、過去の事業年度においても精査を行うということで、返還請求等の適切な措置を講じることとされているものでございます。
 この情報につきましては、厚生労働省の方にも情報提供してございます。

○川松委員 この委託の金額をめぐってということに関しては、もう一度また厚生委員会でやっていただきたいと思います。
 さらに、この契約を見ていったときに気になるのは、公法上の契約に類する契約というフレーズを使って、前年度に受託をしていた四団体がそのまま自動的に受託し、かつ受託金額も大幅にアップする、これが不透明なんですよ。
 改めて、公法上の契約に類する契約は一体どんな契約なんでしょうか。

○西山福祉保健局長 本事業のそうした位置づけにつきましては、国の定める基準に基づいて、全国一律の内容で契約することを求められていることから、地方自治法に基づき処理するものとして行っているものでございます。
 なお、随意契約につきましては、本事業では、アウトリーチ支援で声かけをした方や、居場所を利用していた方などに対して、本人の状況に応じて、自立に向け、継続して支援を行うこととしておりまして、この四団体は、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会において、団体の強み、特徴を生かして支援を行っているか、行政の各支援機関等と連携協力しながら実施しているかなどの観点から、令和三年度の状況を審議し、適格と判断されたことから、随意契約としたものでございます。

○川松委員 これは随意契約なんでしょうか。確かにおっしゃるように、地方自治法が定める契約の相手方の選定については、入札による競争だったり、競り売り、そして随意契約というものがありますね。
 でも、事業者選定のプロセス、今いわれた評価委員会というのは、これ、いわゆる随意契約で、ほかの局の皆さんも随意契約をやられると思いますけれども、ふだん出てくる随契の選定委員会要領と当てはめると、ちょっと違うんじゃないかと思うんですね。
 皆さん方が公法上の契約と類する契約という謎のルールを使って、どんどんどんどん自動的に契約しちゃうから、ずっとこの間検証してきました。
 福祉保健局の会計の方に、一体これはどうなのと大分前に聞きましたけど、今日まで回答がなかったから、私、聞いているんですが、随意契約というのは、例えば決裁文書にちゃんと随意契約の文言が入っている。今回は入っていません。随意契約の手続に必要な随契の理由書や見積経過書の添付、ほかの随意契約は東京都庁内でもあるけれども、皆さん方がやられた契約には添付されていません。
 そして、今お話しされた評価委員会というのは、要領を見ても分かりますけれども、実施中の事業評価が目的であって、次年度業務の適格性を評価するものではないんです。
 ですから、今いっているこの契約に評価委員会が適格だからと、それで今度随契の要領を満たしているんですというならば、明らかに評価委員会の評価を目的外使用しているといわざるを得ません。間違っていますか。

○西山福祉保健局長 繰り返しのご答弁になりますけれども、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会において、三年度の履行状況等を審議し、適格と判断をされたことでございます。
 また、あわせまして、四年度は、対象者との関係性の定着度など、事業の継続性を考慮して、令和三年度に委託した四団体に継続して委託したものでございます。

○川松委員 繰り返しになっても、福祉保健局の正当性というのは全然誰も理解できないですよ。地方自治法に基づかれた随意契約であるならば、随意契約の手続プロセスをちゃんと踏まなきゃいけないじゃないですか。評価委員会、あるいはほかの局だって、皆さん、随意契約の場合、そうやって手続を踏んでいますよね。
 前年度の事業評価を見て、この団体はちゃんとしているから来年もオーケーですよ、随意契約で。そして、金額もアップしますよ。これが成立しちゃったら何でもオーケーになっちゃいますよ。福祉保健局は、ほかの契約も含めて、全部こういう独自のルール設定でやってきたんですか。ほかの契約にもこういったものはあるんですか。

○西山福祉保健局長 本事業では、アウトリーチ支援で声かけした方や、居場所を利用していた方などに対して、本人の状況に応じて、自立に向け、継続して支援を行う、こういう事業でございます。そうした特性から、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会も設置いたしまして、判断をしてまいりました。

○川松委員 武市副知事、今のようなプロセスで随意契約を結ぶことを東京都はよしとしているんですか。明らかに随意契約のプロセスとして、前年度の契約でちゃんとやってくれたから、事業継続だから。それでも、ほかの局、皆さん随意契約の手続を踏んでいますよね。
 今の福祉保健局のやり方はオーケーとしているんですか、副知事。

○武市副知事 申し訳ございません。私、個別の詳細な状況までちょっときちんと把握しておりませんので、この場で正しい、正しくないを判断できる状況にございません。申し訳ございません。

○川松委員 では、この地方自治法施行令百六十七条の二で定める契約については、財政委員会でも改めて聞かせていただきます。
 今度、予算が、例えば令和三年度は二千六百万円なんだけれども、四千五百万円に増額するんですね。これを例えば資料104号、私の要求した104号を見ていただきたいんですが、これは予算の検討経過というふうなタイトルです。
 私が要求したのは、令和三年度の実績を踏まえて、令和四年度予算づけをした根拠となる資料一式。これは議事録だとか、メモだとか、メールだとか含めて、一式というのを求めてきたんですけど、出てきた資料は、これまでの流れで、これが資料なんですか。これが増額した根拠なんですか。福祉保健局内、少子社会対策部内、育成支援課内、局、部、課いずれでも議論してこなかったんですか。これは議会に出された資料ですからね。

○西山福祉保健局長 まず、本事業が令和四年度に倍増された状況でございますけれども、本事業は、令和四年度の国の概算要求におきまして、相談者の増加や困難ケースの増加などの実態がある中で、職員の研修機会確保のための代替職員雇い上げ費用、居場所における生活支援員の増員や警備体制の確保などの経費が増額をされました。
 これを踏まえまして、都といたしましても、相談対応の質の向上や、より安全・安心な居場所の提供に向けて、事業を取り巻く状況を勘案し、所要の経費を措置したものでございます。
 その過程で、局内では、令和四年度の予算については、令和二年度と三年度の第一・四半期の実績や、受託団体からヒアリングした事業の現状と課題、国の概算要求の増額等を踏まえまして検討いたしました事業を所管する部内で検討の上、局内で検討を経て、予算編成過程の中で財務局へ説明を行い、予算措置が認められたものでございます。

○川松委員 それ、僕は局内とかの議事録とか記録を出してくださいということですが、予算を増額する、二千六百万円からおよそ四千五百万円、大きな金額ですよね。増額するに当たって、局内、部内、課内の会議で議事録、私はメモの類いでもいいとお願いしましたけれども、それさえも残っていない。口頭の世間話みたいなので決めちゃったんですか。

○西山福祉保健局長 繰り返しのご答弁になりますけれども、令和二年度と三年度の第一・四半期の実績ですとか、受託団体からのヒアリング、事業の現状、国の概算要求の増額等を踏まえまして、部内、局内、各過程で検討を経て、財務局へ説明を行ったものでございます。

○川松委員 公法上の契約に類する契約ということで、福祉保健局独自のルールで団体を選び、そして金額に関しては、議事録もない、メモもない。ということは、僕らからすると正式な会議とは思えませんけれども、皆さん方の内輪の話で予算の増額も決めたというふうにいわざるを得ません。
 次に、資料107号、私が要求した部分の107号ですが、受託している四団体の主な活動地域の特徴を示していただきました。ここに出ているのは、新宿、渋谷、秋葉原ということになりますが、私が求めたのは、そういった地域にどんな危険があるのかという点で特徴を聞いたのですが、出てきたのは、一つがAVや性風俗のスカウト、一つが繁華街の路上客引きとなっていますが、明らかに新宿歌舞伎町と秋葉原ではまちの様子は違いますよね。
 だとすると、同じ若年被害女性を支援するという事業だけれども、アプローチの仕方、支援の方法は違うと思うんです。
 さらにいえば、受託されている四団体それぞれが得意、不得意があると思うんですけれども、例えば、さっきからずっとおっしゃっているアウトリーチということですけれども、この事業の柱となっているわけですが、ある団体の令和三年の実施状況報告書を見ると、学校、関係機関へ六十一か所、六千三百七十三枚リーフレットを送付となっています。つまり、リーフレットを配ったことがアウトリーチになっているんですね。
 ほかの団体の報告書を見ると、夜間の巡回バスを出して、声がけした人数三千三百五十三名というふうに記載されていました。当然、そのアウトリーチの先には相談支援というものもありますけれども、学校やそれぞれの機関に送付をする、リーフレットを配ります、六千枚配りましたから六千人にアウトリーチしましたという報告と、夜間、巡回バスを出して直接声がけをした三千人で、同じような指標で議論をされて、同じように予算がついていく過程というのは、やっぱりこれ、都民の皆さんからしたら理解できないと思います。
 明らかに取組がばらばらなのに、明確なKPI設定がなされていない。でも、委託料は皆同じ。この違和感。本当にこんなアバウトな感じで、局長、いいんですか。

○西山福祉保健局長 本事業では、支援対象者の状況や団体の活動方法、活動場所が様々なことから、各団体はそれぞれの強みを生かしながら実施をしてございます。
 この事業の本来目的である困難な問題を抱えた若年女性の自立支援につなげる、こういった観点から、アウトリーチ支援、居場所での支援、自立支援を一体的に行うよう、仕様書で規定をしてございます。
 また、本事業における各団体の履行状況につきましては、四半期ごとに相談件数、居場所の提供人数や事業実績額などを、事業実施状況報告書により確認をしてございます。

○川松委員 例えば、今いったように、いろんな課題がありますよと。当然それは契約の在り方もそうだし、団体の選び方もそうだし、今いった団体の中身もそうなんですが、例えば委託から補助に変える。契約の在り方を委託から補助に変えるということを突然、本会議場で局長が述べられて、その論を福祉保健局は押し出そうとしていますが、私は、契約の在り方以前に、そういった事業の中身をチェックする、お金がどういうふうに使われているのか管理するという福祉保健局側が変わらなければ、委託から補助に変わったところで、そこに出てくる登場人物は同じだから変わらないと思います。
 委託はあくまでも東京都が主体となっています。東京都が主体で、本来は東京都がやるべきものなんだけれどもお願いしますという事業です。でも補助に変わったら、相手方が主体で、東京都がサポートするということになりますけれども、局長、改めて福祉保健局内の仕事の在り方、チェックの仕方を先に見直した方がいいと思いますけれども、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 本事業は、繰り返しのご答弁になりますけれども、アウトリーチ支援、居場所での支援、自立支援を一体的に実施することを要件としてございますが、事業効果を一層高めるためには、より多くの団体が規模にかかわらず活用できるスキームが必要となってまいりました。
 このため、都が一律の枠組みを示す事業ではなく、補助事業として、各団体の活動を一定の基準に基づき支援することを検討しておりまして、六年の新法施行に合わせまして制度構築する予定でございましたが、早期に見直しを図るために、国と協議の上、令和五年度に補助事業とすることとしたものでございます。
 なお、補助事業化に当たりましては、全ての団体の事業実績等について、改めて精査を行っていくものでございます。

○川松委員 繰り返しになりますがといっていますが、私の質問は繰り返していませんからね。違う質問をしていますよ。
 大体、監査勧告に、そもそも一人一回当たりの上限金額を設けるなど、委託料の使途について合理的な基準を設けること、また、宿泊については、その人数や目的、宿泊数などを報告させることとあったのに、これはすっ飛ばして、新たに補助事業にしますといっていることがおかしいんじゃないんですかと。
 こちらの勧告に関してはどうやって受け止めているんですか。真摯に受け止めて調査したけど、真摯に受け止めて事業内容を変えるということはないんですか。

○西山福祉保健局長 勧告につきましては真摯に受け止め、調査をしたものでございます。また、こうした勧告も踏まえまして、来年度、補助事業化にすることとしたものでございます。

○川松委員 若年被害女性を支援するということを私は反対しているのではなくて、公金を使ってそういう支援事業をやるんだったら、しっかりと管理をされている、透明性を担保するということなんですよ。
 じゃあ、今いっているように、予算案計上の関連事業費についてですが、今回の再調査の結果を受けて、補助事業化を決定するまで、補助事業者の公募等、具体的な執行は行わないという理解でよいでしょうか。

○西山福祉保健局長 来年度につきましては、現在、補助要綱等の設定の準備をしているところでございます。

○川松委員 さっき、補助事業にすれば、より幅広い団体にもお願いできるんじゃないか、それはありだと思いますよ。地域も特定せず、多くの皆さん方で、いろんな人たちがアウトリーチする支援があるんだったら、それを最初から取り入れればよかったと私は思うんですよ。
 だけど、特定の四団体がいて、去年ちゃんとやってくれたから今年もやってもらいましょうみたいな決め方をしてきた。このプロセスは、局長、補助になったとしても改めてほしいです。もっと透明性を持って団体選考してもらいたいと思いますけれども、それは答えられないですか。

○西山福祉保健局長 本事業は、公的機関と民間団体の密接な連携によりまして、委員もおっしゃられました困難を抱えた若年女性の自立を支援する重要な取組でございます。
 事業開始から五年が経過し、官民の連携体制も成熟し、支援に取り組む団体も増加していることから、規模にかかわらず、様々な団体のノウハウを活用できるよう、国と協議の上、来年度、補助事業化をいたします。
 補助事業化に当たりましては、事業を開始した平成三十年度から令和二年度までの全ての団体の事業実績等について改めて検証し、それを踏まえ、事業の公益性、信頼性を担保できるよう、対象事業者の要件や補助対象経費、補助基準額等を厳格に設定いたします。
 新たな制度の創設に向けまして、着実に準備を進めてまいります。

○川松委員 補助事業者の相手側の透明性を求めているんじゃないんですよ。福祉保健局の透明性を求めているんです。
 おかしいじゃないですか。随意契約の、しっかりとした地方自治法に定められたいろんな手続があって、ほかの局がやっていることを福祉保健局はやっていない。予算の増額を決めるための公的な記録がない。だけど、団体、去年やったからいいです、金額も上げちゃいますって、こんなことを繰り返ししていたら、補助事業にして相手方の透明性を担保したところで、またいろんな人たちから文句いわれますよ。
 自分を律するということは福祉保健局は考えていないんですか。

○西山福祉保健局長 法律、規則に基づいて事業を実施するのは当然のことと考えてございます。引き続き、真摯に事業を進めてまいりたいと思います。

○川松委員 今、法律、規則という話が出ましたから、これは次の各委員会でも、法律、規則を調査させていただきます。
 では、今まで、今日議論してきた、明らかに福祉保健局はおかしな動きがありますよ。局内の動き、国との協議、知事への説明、これ、ずさんとしかいいようがない体制が浮き彫りになったわけですが、次年度の事業については、これまでの局内の体制、常識、前例など、全てを見直して、受託団体のことも含めて、ゼロベースで事業の在り方、事業者選定を行っていただきたいと考えますが、局長の決意を教えてください。

○西山福祉保健局長 まず、補助事業化に当たりましては、事業の公益性、信頼性を担保できるように、対象者の要件や補助対象経費、補助金額を厳格に設定をし、補助申請があった事業者については、補助要綱に照らしながら、個別に判断をしてまいりたいと思います。

○川松委員 時間ももうなくなってきましたけれども、改めていいますが、税金は納めていただいた皆さんのものだという意識を持って、その納めていただいた皆さん方が納得される使い方を、しっかりとプロセスを踏んで、当然意見が分かれるところはありますよ。でも、それは民主主義の場でこうやって議会で議論をして、表に出して、そのプロセスが正しいか見るわけですけれども、どう考えたって福祉保健局のプロセスは誰にも理解されないと思います。
 独自のルールで契約を結んでいる。独自のルールで増額も決めちゃっている。そして、監査勧告までも独自のルールで読み解いて、私たちはこう考えましたから、私たちが考えた結果で再調査報告しましたと。これはおかしいと思います。
 監査委員会がいった勧告に対しての必要な措置を知事が出したわけですけれども、そのままじゃなくてもいい、逐条解説は書いてあります。だけど、この幅があったら、これくらいしか必要な措置をしていないんですよ。やっぱり勧告に対しての全部の幅を持って必要な措置をすることによって、この事業は透明性が担保される。そして、そのことによって、委託から補助に変わったとしても、信頼される福祉保健局になるのかと思います。
 もう一度、局内で、皆さん方がやってきたこと、今年度だけじゃなくて、過年度分も含めて、自分たちが正しかったのか、このプロセスは正しいのかということを議論していただいて、次年度の事業に取り組んでいただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○小宮委員長 川松真一朗委員の発言は終わりました。

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