予算特別委員会速記録第二号

   午後七時十分開議

○菅野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 和泉なおみ委員の発言を許します。

○和泉委員 日本共産党都議団を代表して、予算特別委員会の総括質疑を行います。
 知事が新年度予算案で、ゼロ歳から十八歳まで一人当たり月五千円の給付を所得制限なしで行う〇一八サポートの実施をはじめ、子供、子育て支援を拡充したことは歓迎します。経済的支援のさらなる拡充強化が必要です。その大きな焦点となっているのが学校給食です。
 葛飾区では、いち早く給食費無償化に踏み出しました。子供さんが小学校に通っていて、これから第二子の出産を控えている女性は、物価高騰で生活に係る何もかもが値上がりしている中、さらなる子育てに係る費用に不安を抱えていると語り、給食費の無償化は本当に助かると語っています。
 知事は、二月二十一日の本会議で、少子化対策、子育て支援のため、大胆に教育費の負担軽減を図ることが重要だと答弁しました。教育費に給食費は当然含まれると思いますが、いかがですか。給食費についても大胆な負担軽減が重要ではありませんか。知事の答弁を求めます。

○小池知事 学校給食法におきましては、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することと、このようにされております。
 区市町村立小中学校の学校給食費につきましては、設置者である区市町村が決定をしておりまして、保護者負担の軽減策などにつきましても、区市町村の判断により行われていると、このように認識をいたしております。
 なお、学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。

○和泉委員 保護者の負担、区市町村の判断、国の責任、東京都以外は全部持ち出して東京都が全く出てこない、冷たい答弁だと思います。大胆な教育費の負担軽減を図ると語った知事の本気度が問われます。
 給食費の未納袋を子供たちに手渡さなくてはならない先生方からは、人目を気にしたり、恥ずかしそうに袋を隠す子供たちの姿にいつも心が痛むという声が届いています。
 学校給食法は、第十一条で経費の負担について定めています。学校給食に要する施設整備費や人件費などは自治体などの学校設置者の負担とし、それ以外の経費は児童生徒または保護者の負担としています。けれども、これは食材費などの負担を保護者に義務づける規定ではありません。
 区市町村立小中学校の給食費の保護者負担について、都が区市町村に補助を行うことは法的に可能だと思いますが、いかがですか。

○浜教育長 昭和二十九年に発出された文部事務次官通達では、学校給食法等の規定について、経費の負担区分を明らかにしたもので、例えば保護者の経済的負担の現状から見て、地方公共団体、学校法人その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではないとされています。

○和泉委員 ここが重要だと思うんです。東京都は、学校給食の無償化が都内でも大きな流れになりつつあることについて、区市町村の判断で行っていることだ、学校給食費の支援は国の責任と負担によるべきものだという答弁を繰り返しています。
 しかし、今答弁されたように、学校給食費の無償化など負担軽減に取り組む区市町村に対して、東京都が財政支援をすることは学校給食法の下でも認められています。どの自治体でも無償化できるように都として踏み出すことを強く求めておきます。
 東京都は今年度、都立学校の給食への支援を実施しています。その意義について認識を伺います。いかがでしょうか。

○浜教育長 物価が高騰する中にあっても、必要な栄養バランス等を確保した給食を提供する必要がございます。
 今年度は、国の臨時交付金を活用し、都立学校において給食費の支援を行っております。

○和泉委員 つまり、支援は給食の質の維持向上に役立つということなんです。
 先ほど教育長自身が答弁されたように、学校給食法は、地方公共団体が児童の給食費の一部を補助することを認めています。財源確保など国の責任だと答弁されましたが、区市町村学校については、設置者である区市町村が決めると、先ほど知事も答弁されました。
 であるならば、都立学校の設置者である東京都の判断でできることではありませんか。少なくとも学校設置者として、特別支援学校をはじめとした都立学校の給食費の無償化に踏み出すべきです。これも厳しく求めておきます。
 次に、聞こえの支援です。
 全ての世代にとって重要ですが、高齢化が進む東京でますます力を入れていくべき課題です。高齢者の二人に一人は難聴だと推計されています。
 都内で補聴器購入費への補助などを行う区市町村が年々増えているのは、多くの住民の切実な願いであることの表れです。さらに実施を増やし、内容を充実させていくために東京都の役割は重要です。
 都は、高齢者の補聴器購入費への補助などに取り組む区市町村を包括補助で支援しています。さらに支援を強化し、加齢性難聴の早期発見や補聴器利用の促進を図ることが重要だと思いますが、いかがですか。

○西山福祉保健局長 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援をしており、今後、区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討することとしています。

○和泉委員 よりよい制度にするために、医師会や耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などから意見を聞いて、相談して検討することが大事です。障害者や高齢者の団体からも意見を聞くべきです。
 そして、補聴器への支援を包括補助から取り出して補助率などを拡充することや、早期発見のための健診や相談支援、適切に補聴器の調整が行われるための仕組みづくりなども含めて検討することを求めるものです。
 続いて、江東区にある都立のゴルフ場、若洲ゴルフリンクスについて、都政の重要課題に絞って質問します。
 港湾局所管で、東京港埠頭株式会社が指定管理者として長年にわたり運営しています。アクセス良好な都市のゴルフ場で、岡本綾子氏が監修した名門コースということもあり、人気が高く、日本一予約の取りづらいゴルフ場ともいわれています。
 若洲ゴルフリンクスの予約はどのように行われているんでしょうか。

○矢岡港湾局長 若洲ゴルフリンクスの予約は、ウェブもしくは電話にて先着順により受け付けております。

○和泉委員 予約の電話を何十回かけてもつながらない、インターネットもつながりにくい、毎日そういう状況です。利用する皆さんは、コンサートなどのプレミアチケットを取るような大変な苦労を毎回されています。
 ところが、地元の江東区長ほか一部の政治家が優先的に利用しているのではないか、口利きがされているのではないかという声が都民から寄せられています。都政の信頼に関わる重要課題です。
 港湾局長はこうした声を聞いたことがありますか。また、そのような事実を把握していますか。

○矢岡港湾局長 ご指摘の事実は承知してございません。
 引き続き、適正な利用に努めてまいります。

○和泉委員 我が党は独自に、取扱い厳重注意という前提で、若洲ゴルフリンクスの利用実績、具体的には、令和二年度には山崎区長が十五回、三年度には十四回のプレーをしていたという口利きの実態があること、そして、その改善策として、先着順による不公平感を解消するため抽せん制に移行する、電話受付を廃止して、人を介する予約ができない新システムを導入するなどが港湾局内部で検討されているとの証言を得ました。
 武市副知事に伺います。都政の重要課題です。若洲ゴルフリンクスについて、江東区長ほか一部政治家への口利きの事実があることを把握していますか。その改善策として、港湾局が抽せん制への移行、新システムの導入などの検討を行っていることは把握していますか。武市副知事、いかがですか。

○武市副知事 ご指摘の点については承知はしておりませんが、都民の皆様から、利用が取りづらいと、そういう声が上がっているということは聞いておりまして、その点について見直すべきだということについては、そういう議論をしているところでございます。

○和泉委員 若洲ゴルフリンクスを運営する埠頭株式会社には、特別に予約を受け付ける東京都OBの担当者がいて、利用あっせんの窓口になっていたと聞いています。それは事実ですか。

○矢岡港湾局長 そうしました事実は承知してございません。
 若洲ゴルフリンクスは、従来から予約が取りにくい、電話がつながらないという都民の声があることから、指定管理者に対しまして、既に予約システムの見直しを指示し、着手しているところでございます。

○和泉委員 港湾局内は改善策の一つとして、現在、予約業務を担っている埠頭株式会社の担当者を異動する体制の見直しも検討していると、こういう証言も得ています。
 区長選挙直前の四月十一日には、江東区ゴルフ連盟の山崎会長杯という江東区長の名を冠したコンペが、八十名という大きな規模で若洲ゴルフリンクスを会場に行われます。このコンペの予約も優遇されたという情報があります。都立の施設として、公平、公正な運営に改めるべきことを厳しく求めておきます。
 続いて、神宮外苑再開発の問題について伺います。
 神宮外苑再開発は、再開発中止を求める声、見直しを求める声が様々な分野から燎原の火のごとく広がっています。にもかかわらず、知事は二月十六日に再開発事業の施行認可を出しました。いかに知事が聞く耳を持たないかの証左だといわなければなりません。今からでも認可を取り消すべきです。その立場から質問します。
 まず、知事に伺いますが、神宮外苑地区のスポーツクラスターとしての意義をお答えください。

○小池知事 都は、臨海、神宮外苑、武蔵野の森、駒沢、この四つの地区をスポーツクラスターと位置づけまして、スポーツイベントの開催などを通して、都民のスポーツへの関心の向上と地域や経済の活性化を図ることといたしております。
 このうち、神宮外苑の地区につきましては、歴史と風格を継承しながら、地区一帯のまちづくりを通じて、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていく、このようなことといたしております。

○和泉委員 世界に誇れるスポーツ拠点を目指すための再開発だといわれました。スポーツ拠点としてさらなる発展を目指すともいわれました。けれども、それは都民向けの後づけの理屈にすぎません。
 この再開発計画は、土地所有者の明治神宮や開発事業者の三井不動産などの思惑とともに、二〇一二年頃から、東京都の当時オリ・パラ担当だった佐藤広副知事と安井技監らが森喜朗元首相と手を組んで開発計画の絵を描いて、都民に隠して進めたものです。その動機も目的も東京五輪を利用した利権のための再開発計画にほかなりません。
 秩父宮ラグビー場について伺います。
 今回の再開発で、秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所が入れ替わるのはなぜですか。

○福田都市整備局長 日本スポーツ振興センター、JSCが所有しております秩父宮ラグビー場は、施設全般の老朽化が進んでおりまして、経年による劣化や耐震補強への対応、ユニバーサルデザインの導入などが課題とされております。
 明治神宮が所有しております明治神宮野球場も竣工後九十五年余りが経過し、施設の老朽化が著しい上、競技環境、観戦環境ともに陳腐化が進んでおりますが、年間を通して数多くの試合や大会が実施されております。
 このため、民間事業者は競技の継続性に配慮し、ラグビー場と野球場等の位置を入れ替えて連鎖的に建て替え、競技空間の拡張、ゆとりある観客席の確保、ユニバーサルデザインの導入など、世界に誇れる水準の競技環境、観戦環境を備えた施設として更新することとしております。

○和泉委員 公式には今の答弁のように説明されています。しかし、実際は違います。
 お手元の資料〔1〕、これをご覧ください。我が党が二〇一八年三月に情報公開請求して明らかにした文書です。今では都市整備局のウェブサイトで公開されています。
 平成二十四年、二〇一二年の五月十五日、当時の佐藤広副知事と安井技監が森喜朗氏を訪ねて、神宮外苑再開発の東京都が考えているイメージについて衆議院議員会館で説明した記録です。このとき既に神宮球場とラグビー場の敷地を入れ替える計画になっています。
 安井技監は、その利点の筆頭に明治神宮所有地の商業的な利用増進を挙げています。それを聞いた森氏は、すばらしい案じゃないかと絶賛し、港区は喜ぶんじゃないかなと述べています。つまり、神宮球場が青山通り近くにあった方が、明治神宮にとっても、港区にとっても上がりがいいということです。ラグビーの聖地、秩父宮ラグビー場への敬意などみじんも感じることができません。
 秩父宮ラグビー場は、ラグビー選手たちが数々の名試合を繰り広げ、ラグビーファンや関係者たちの感動の記憶が堆積し、思い出が語り継がれてきた場所です。ご存じのように、西の花園、東の秩父宮といわれる日本に二つしかないラグビー専用スタジアムです。
 新しく建設されるラグビー場は、ラグビー専用スタジアムですか。

○福田都市整備局長 ご答弁の前に、お配りいただきました今のご説明ありましたけれども、これにつきましては、商業的な利用増進、それから両競技の中断を回避、競技の継続性ということで、両競技の中断を回避というところが大きかったと思います。
 これにつきましては、商業的な利用増進につきましては、来場者の多い野球場を青山通り近くに配置することによって、沿道の商業機能との連携も図られ、商業的な利用が増進されることを示しているのではないかと思われます。
 ラグビー場につきましては、日本スポーツ振興センターが策定した新秩父宮ラグビー場(仮称)基本計画では、我が国のラグビーを象徴するスタジアムとして、選手が最高の高揚感を感じ、観客はどこからでも見やすいなど、訪れた人々が一体感を感じるラグビー場を目指すこととされております。
 さらに、ラグビーを主たる用途といたしますが、ラグビー以外のスポーツ競技や各種イベントでも使いやすい施設とし、神宮外苑地区のにぎわい創出に寄与することとされております。

○和泉委員 私、先ほど何ていったかというと、その利点の筆頭に商業的な利用増進を挙げているというふうにいったんです。確かに競技の継続性、このことにも書いてありますよ。けれども、そのことをもってしては、青山通りに移転して港区が喜ぶというところにつながらないんです。港区が喜ぶのは、神宮球場が青山通り沿いに移転してくるからなんですよ。
 ラグビー以外のスポーツや各種イベントでも使いやすい施設になる。つまり、ラグビー専用スタジアムではなくなるんです。それを象徴するのが屋根の問題です。建て替え後のラグビー場に屋根をつけるのは、ラグビー大会よりもイベントなどの利用を優先するためです。
 私たちは、ラグビーの元日本代表選手だった平尾剛さんに話を聞きました。平尾氏は、ラグビーは青々とした芝生の上で、どんな天候にも対応できるようにプレーするのが基本だと。どのように天気を味方につけるかもラグビーの醍醐味だと熱く語ってくれました。
 実際に、当初の計画では、ラグビー専用スタジアムとして屋根はありませんでした。これがその証拠です。ご覧ください。(パネルを示す)新ラグビー場に屋根はありません。ところがその後、ラグビー協会から突如、全天候型という話が持ち出され、さらにラグビー専用スタジアムの言葉もなくなり、全天候型だけが残って屋根をつけることになりました。
 メディアでは、ラグビー協会から全天候型という話を持ち出させるなどということができるのは、ラグビー協会に強い影響力を持つ森喜朗氏しかいないと報道されています。
 ラグビー大会時の座席数が大幅に減らされたのも重大な問題です。秩父宮ラグビー場の座席数は現在二万五千席です。建て替え後の収容人数は何人ですか。

○福田都市整備局長 日本スポーツ振興センターによりますと、新ラグビー場の収容人数は、誰もが不自由なく安全に利用しやすいユニバーサルデザインの導入や、国際大会などに求められる競技環境、観戦環境にふさわしい施設水準を踏まえ、PFI事業者の提案において、ラグビー大会時は約一万五千五百人、その他のイベント時は最大二万五百人と聞いております。
 なお、全天候型になった経緯につきましては、令和二年九月、ラグビーフットボール協会から文部科学大臣に対し、スポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革指針を踏まえて、多目的な用途が可能な全天候型施設とするよう要望があり、その後、スポーツ庁が開催するラグビーの振興に関する関係者会議において、全天候型のラグビー場の整備の方針が示されたと聞いております。

○和泉委員 この秩父宮ラグビー場をどのようなものにしようかという関係会議が開かれていたんです。最後までラグビー協会は専用スタジアムとすることにこだわっていました。けれども、ある時点から、結局、第三回の会議ではラグビー専用スタジアムという言葉が消えてしまうんです。
 今、答弁にあったように、ラグビー専用スタジアムとして一番大事な、ラグビー大会時の収容人数は二万五千人から一万五千五百人に約一万席、何と四割も減らされます。花園ラグビー場の収容人数は二万七千人です。けれども、最初からこんな計画だったわけじゃないんです。
 お手元の資料〔3〕、赤で下線を引いた部分をご覧ください。秩父宮ラグビー場を整備運営する日本スポーツ振興センター、JSCは、二〇一九年四月時点では、ラグビーの聖地としてのレガシーを次世代に引き継ぐため、ラグビー専用スタジアムとして整備すると明記していました。そして、当初の計画では、現況どおり、座席数約二万五千席としていました。
 ところが、その後再提出された計画で、店舗を入れ、巨大スクリーンも設置することになった結果、肝腎のラグビー大会では一万五千五百人の座席しか確保できなくなってしまったんです。
 ラグビー元日本代表の平尾剛氏は、屋根がついたのも人工芝も多目的に使用するためであり、これはつまり収益を上げるためのものです、収容人数が激減したのも音楽イベントなどで使用する巨大スクリーンを立てるためで、徹頭徹尾、金のためです、ラグビーの試合を行うことが脇に追いやられており、ラグビーというスポーツの価値に何ら配慮していないと厳しく指摘しています。
 知事、ラグビー元日本代表、この平尾剛さんの言葉をどう受け止めますか。知事、いかがですか。

○福田都市整備局長 日本スポーツ振興センターによりますと、この収容人数につきましては、誰もが不自由なく安全に利用しやすいユニバーサルデザインの導入、それから、国際大会などに求められる競技環境、観戦環境にふさわしい施設水準を踏まえたものということでございます。
 このJSCは、日本ラグビーフットボール協会との協議を踏まえ、JSCが策定した業務要求水準書の中で、スタンド席で一万五千四百二十二席以上、フィールドを利用したアリーナ席で五千席以上を収容できることが観客席の条件になったとJSCから聞いております。

○和泉委員 観客席の規模というのは、その時々の試合、大会の規模、それから、それぞれの一つ一つの試合の規模、それによって観客収容人数が上下します。一万五千五百あれば国際大会が必ず開けるというものではないんです。おおよそ国際大会決勝戦は、この新ラグビー場では開けないということになりかねないんです。本来、スポーツの拠点にすると、ラグビーの聖地を守るというんだったら、国際大会の決勝戦ができるぐらいの規模をなぜ検討しなかったんでしょうか。
 秩父宮ラグビー場は、戦後間もない頃、当時の関東ラグビー協会の会長や各大学のOBが私財をなげうって造ったスタジアムです。ある者は時計やカメラ、ある者は家のじゅうたんを売って、心のふるさとを築き上げようと建設資金に充てたことが、JSCのホームページにラグビー場の歴史として記されています。
 再度、知事に伺います。先ほど、さらなるスポーツの拠点として発展させると、そうおっしゃいました。西の花園と並び、東のラグビーの聖地とされる秩父宮ラグビー場が、ラグビー専用スタジアムとはいえないものに変わってしまう。これで胸を張って、世界に誇れるスポーツ拠点の整備だなどといえますか。
 先人たちの苦労も含めて、ラグビーの聖地として受け継がれてきたその歴史まで根こそぎ壊してしまうような計画に痛みを感じませんか。知事、いかがですか。

○福田都市整備局長 ラグビー場につきましては、ラグビーを主たる用途とすることは全く変わっておりませんで、JSCが策定した新ラグビー場(仮称)基本計画では、新ラグビー場の四つのコンセプトの第一に、我が国のラグビーを象徴するスタジアムが掲げられておりまして、ラグビーの聖地として親しまれてきた歴史を次世代に継承し、ラグビーをプレーする人、見る人、支える人にとって快適な施設として、ラグビーの魅力を引き出すことができるスタジアムを目指すとしております。
 また、併せて第二として、様々なシーンに対応できる誰もが心地よいスタジアムが掲げられておりまして、他のスポーツの競技や各種イベントなど様々な用途に対応が可能で機能的であり、かつユニバーサルデザインにも配慮するなど、誰もが使いやすい全天候型のスタジアムにするということで、スポーツクラスターの形成やにぎわいの創出に寄与することが示されております。
 そうした将来像に向けて事業が進められているものと考えております。

○和泉委員 主たる用途がラグビーなのは当たり前じゃないですか。主たる用途からラグビーをやることが外れたら、もはやラグビー場といわないじゃないですか。何をいっているんですか。
 先ほど局長は、ラグビーのよさを広く知ってもらうんだと、そのようにおっしゃいました。けれども、日本代表の平尾さんは、青空の下でやるからこそ、そして、どうやって天気を味方につけるか、それもラグビーの戦略の一つであり、醍醐味なんだと、そういうふうに語っていらっしゃるんです。間違いなく新ラグビー場では、このラグビーの醍醐味が失われてしまうということになるんじゃありませんか。
 知事、もう一度伺います。このようなラグビー場に整備し直してしまう、徹頭徹尾、金のため、それでラグビーの聖地といえるでしょうか。ラグビー専用スタジアムとして守ることが今求められているんじゃないですか。いかがですか。

○福田都市整備局長 新ラグビー場につきましては、基本的には、所有者であります日本スポーツ振興センターが、ラグビー協会などとも意見交換をしながら判断していくものと考えております。

○和泉委員 何いっているんですか。二〇一二年に東京都と森喜朗さんが、ここの再開発計画を持ち込んだんじゃないですか。何をいっているんですか。
 秩父宮ラグビー場の整備運営事業者を選ぶ入札の結果も実に不可解なんです。昨年八月に事業者選定の結果が発表されました。入札結果の概要をパネルにしました。ご覧ください。お手元の資料では〔4〕です。
 注目すべきは入札金額です。落札した鹿島建設、三井不動産グループが、ほかの二者より圧倒的に安い。その結果、技術点では三者の間にそれほど開きはないのに、価格点で大きな差をつけて落札しています。入札に敗れた事業者は、ここまで価格を抑えられるのか、悔しさを通り越して驚いたと語ったと報じられています。なぜ、このような低価格の入札ができたんでしょうか。
 それには理由があります。落札した三井不動産は、ラグビー場整備の発注者であるJSC同様神宮外苑再開発の当事者で、この再開発で超高層の業務商業ビルを建てる計画です。
 そこで伺います。神宮外苑再開発では、開発地区内で容積率の移転が行われます。新ラグビー場から容積の移転は行われますか。

○福田都市整備局長 神宮外苑地区では、まちづくり指針を踏まえ、都市計画法に基づく地区計画により、絵画館を望む眺望景観や風致の保全、中央広場周辺の広がりのある景観形成を図る観点から、イチョウ並木周辺や新野球場、新ラグビー場等の容積を低く抑える一方、青山通り沿道等については、にぎわいを形成するため容積率を高く設定するなど、地区内で容積率を適正に配分しております。

○和泉委員 長々と答弁されましたけど、私の質問に対するのは最後の一言だけいいんです。容積率移転されるんです。
 ご答弁のように、新ラグビー場などから、容積率が三井不動産と、それから本社ビルを建て替える伊藤忠の方に配分されます。この容積率の移転で、三井不動産はより大きな建物を造ることができ、より大きな収益を得ることができるということになります。
 この恩恵を見込むことができるのは、三井不動産が参加するグループだけなんです。三井不動産は再開発事業者としての立場を最大限利用して、ほかの二つのグループには到底まねのできない破格の低価格で入札できた、そういうことじゃないんでしょうか。
 発注者のJSCも、受注者の三井不動産も、同じ外苑再開発事業の施行者仲間です。知事、これでは、施行者仲間同士の出来レースの入札ではないかといわれても仕方ないんじゃありませんか。知事、どう思われますか。

○福田都市整備局長 今回の開発計画は、まちづくり指針で示した将来像の実現を図るため、公園まちづくり制度の適用により都市計画公園の区域を変更し、商業、業務、交流施設の整備等によるにぎわいの創出を図ることとしております。
 また、地区計画によって絵画館を望む眺望景観や風致の保全、中央広場周辺の広がりのある景観形成を図る観点から、イチョウ並木周辺や野球場、新ラグビー場等の容積を低く抑え、青山通り沿道等のにぎわいを形成するため容積率を高く設定するなど、地区内で容積率を適正に配分しているものでございます。
 なお、再開発等促進区による容積率の適正配分は一般的な開発手法でございます。
 また、入札結果のお話がありましたけれども、新ラグビー場のPFI事業者の選定については、JSCの責任でJSCが適切に対応すべきことと考えております。JSCによりますと、事業者公募に当たって、事業提案の検討に必要となる情報は、入札説明書等により入札参加者に対してひとしく提示しているため、再開発事業の地権者等が入札参加することに問題はないとのことでございます。

○和泉委員 入札に参加することが可能だと、問題ないというご答弁でしたけれども、注目すべきはその価格なんですよ。なぜこれほどの差をつけて低い価格で入札をすることができたか、そこを私は伺っているんです。(福田都市整備局長発言を求む)聞いていませんよ、まだ何も。まだ聞いてないですよ。
 再開発の施行者である、事業者である、その立場を大いに利用して、このラグビー場の施設の整備、それから運営、そこを安く抑えることができたのではないですか、これができるのは、再開発そのものの事業者である三井不動産だからではないですか、その恩恵にあずかったからこそ、これほど低い価格で入札することができたのではありませんか、知事、どう思われますか、このように私、聞きました。知事、いかがですか、答えていただけませんか。

○福田都市整備局長 入札金額については、私どもは答える立場にございません。評価する立場にもございません。
 JSCによれば、入札参加者に対してひとしく提示しているため、入札参加に不平等が生じることはなく、問題ないということでございます。

○和泉委員 これだけいっても、この数字を見ておかしいと思わない方が不思議じゃないんでしょうかね。これ、民間がやることだから私たち関係ありません、JSCがやることです。だけれども、神宮外苑は都市計画公園です。公の施設、公共性の高い事業ということになるんじゃないですか。
 そこでの取引がこんな状態で行われている、そのことに対して何もいわない。適正性が疑われている、それなのに何もいえないという東京都の姿勢はあまりにも情けない。
 神宮外苑再開発ではイチョウ並木の保全に関心が集まっていますが、新ラグビー場予定地に隣接する貴重な建国記念文庫の森、通称文庫の森の樹木も伐採されます。
 パネルをご覧ください。鬱蒼とした風格のある、これが文庫の森です。次のパネル、これが今の現況です。樹木移植の準備のため、公開を中断させていただきますと書かれて閉鎖されました。
 事業者が新宿区に申請した樹木の伐採数と内訳はどうなっていますか。

○福田都市整備局長 神宮外苑地区は、都市計画法に基づき風致地区に指定されておりますが、風致地区は、指定区域内の良好な自然的景観を保持することにより都市環境の保全を図るものであり、都の風致地区条例において、区域内で一定の行為を行う場合は区市の許可を受けることとなっております。
 本件については新宿区の所管であり、区によれば、お尋ねの樹木の本数については、大部分が低木であり、面積をベースに推定値を算出すると、およそ三千本とのことでございます。

○和泉委員 今、およそ三千本というふうにいわれましたけど、私、内訳も聞いたんですよ。お答えがなかった。代わりに答えましょう。高中木の伐採は三十本、その他、低木の伐採は二千九百九十八本。三千本以上が伐採されるんです。知事の責任は重大だと思いますよ。
 文庫の森一帯は、樹木伐採などの規制が厳しい風致地区A地域やB地域でした。それが、伐採許可が出しやすいS地域へと変更されています。変更したのは誰ですか。東京都ですか、新宿区ですか。

○福田都市整備局長 新宿区において変更しております。

○和泉委員 今ご答弁あったように、変更したのは新宿区です。先ほども新宿区が所管だというふうに、局長、お答えになりました。
 しかし、東京都が新宿区に対してS地域への変更を依頼したのではありませんか。いかがですか。

○福田都市整備局長 風致地区条例に基づく許可権限につきましては、二〇一四年、平成二十六年四月より、従来、都で許可していたものを、全て許可権限が区市に移譲されております。
 都は、まちづくり指針に沿って、スポーツクラスターの形成等を推進するに当たり、風致地区の区域が複数の区にまたがっていることから、条例に基づく許可の審査に関する基準等の統一的な運用を図るため、地域区分のS地域への変更等を関係区に依頼したものでございます。
 なお、このまちづくり指針は、有識者や地元新宿区等の関係者から成る検討会での検討を踏まえて策定したものでございます。

○和泉委員 新宿区が所管なんだと、三千本の伐採許可は新宿区がやったんだと、そういうふうにお答えになりましたけれども、今ご答弁にあったように、東京都が新宿区に対して伐採しやすいS地域への変更を依頼したんですよ。
 少し字が小さいですけれども、パネルを用意しました。お手元の資料では、〔5〕、〔6〕が該当します。二〇二〇年二月、都市整備局まちづくり推進担当部長名で新宿区に対し風致地区の地域区分の変更を依頼しています。伐採の規制を緩めるように誘導したのは、ほかならぬ東京都自身です。
 拡大コピーしてありますが、S地域の規制内容を、再開発計画に合わせてさらに緩和することまで依頼しています。しかも、どう緩和するのか東京都が一言一句、案を示して、そのとおりのものが今、新宿区のホームページに掲載されています。事実上、東京都の指示によって書き換えられたようなものです。
 知事に伺います。東京都は、都民の誰も知らないところで法令に基づく基準を都合よく変更して、神宮外苑再開発を強引に進めています。知事、こんなことが許されるんですか。開発に合わせて都合よく変えてよいなら、基準や規制は一体何のためにあるんですか。知事の答弁を求めます。

○福田都市整備局長 都からの依頼につきましては、神宮外苑地区のまちづくり指針、有識者や地元新宿区等の関係者から成る検討会での検討を踏まえて策定したこのまちづくり指針に沿って、スポーツクラスターの形成の推進を図るに当たって必要な手続等を依頼したものでございます。
 この風致地区条例の中で規定された範囲内でできることを依頼したものでございます。

○和泉委員 風致地区条例の中でできる範囲のものをとおっしゃいましたけれども、国立競技場を造るときに、S地域をS甲地域、S乙地域とわざわざ分けて、伐採しやすいように、このときにも基準緩和しているんです。今回さらに、それでも足りないということで、S丙地域なるものをわざわざつくって、そうして基準を緩めているんですよ。とんでもない話じゃないですか。
 都市計画は百年の計といわれます。まさに神宮外苑は、先人たちが百年後、百五十年後の姿を描いて今日の私たちに残してくれた宝です。
 再開発計画の見直しを求めるオンライン署名は十一万八千人を超えています。「菊とバット」などの野球に関する著作も多いロバート・ホワイティングさんが呼びかけた神宮球場の現地でのリニューアルを求める署名には、一万七千人を超える方たちが賛同署名しています。
 先ほど来、私が話に出しているラグビーの元日本代表選手、平尾剛さんも、ラグビー場の建て替えに反対するオンライン署名を立ち上げて、一か月で一万五千人を超える方たちが賛同署名しています。
 南青山の幼稚園、小学校の保護者たちは、事業者が住民説明会を開催すること、イチョウ並木を名勝指定することを求める陳情書を港区長らに提出しました。
 また、イコモス日本委員会は、三井不動産などの事業者が環境影響評価審議会に提出をした評価書に、文庫の森の環境影響評価を含め、虚偽があると指摘しています。
 神宮外苑は、渋沢栄一氏をはじめとする先人たちの努力でつくられ、百年の歴史を重ねてきました。小池知事は、その先人の努力も、百年の歴史も台なしにした知事として名を残すことになりかねません。本当にそれでいいんですか。神宮外苑再開発の施行認可を今ここで踏みとどまって取り消すことを、重ねて厳しく求めておきます。
 次に、五輪の問題です。
 神宮外苑再開発を進めた当時の佐藤広副知事は、その後、組織委員会の副事務総長を務め、現在、清算法人の四人の清算人の一人です。森喜朗元首相は、その後、組織委員会の会長を務めました。そして今、東京五輪をめぐる根の深い問題、負のレガシーが次々明らかになっています。
 二月二十八日に公正取引委員会が、テストイベントに関して談合があったとして六社を告発し、地検が同日起訴しました。五輪をめぐる受託贈収賄に続いて、五輪やスポーツの価値をおとしめる重大なことだと思いますが、知事は、開催都市の長として、この事態をどう受け止め、どう対応しようとしているんでしょうか、伺います。

○小池知事 国際大会の開催には都民、国民の信頼が何よりも重要で、これらの事件はその信頼を損なうものでございます。
 とりわけ談合事件でございますけれども、その重大性に鑑み、速やかに調査チームを設置、現在、外部有識者の下で調査を進めているところでございます。
 また、組織委員会元理事の事件につきましては、公判により事実関係が明らかになると、このように考えております。
 なお、今後の国際大会に向けましては、有識者会議で議論をいただきまして、ガイドラインとして既に公表しております。

○和泉委員 事実を明らかにするために、都は積極的に役割を果たす必要があるというふうに思いますが、知事、いかがですか。

○中村政策企画局長 国際大会には都民、国民の信頼が重要でございます。
 都は、地検、公取委の捜査がございました清算法人に対しまして、捜査への全面的な協力を求めてまいりました。
 また、都としても速やかに調査チームを立ち上げまして、現在、外部有識者の専門的な見地から調査を進めており、都としても有識者をサポートしているところでございます。

○和泉委員 先ほどのご答弁から、事実を明らかにするために、都も積極的な役割を果たす必要があると思いますが、知事いかがですかと伺いました。ここで知事が答弁に立っていただけないということ自体、この問題でも知事の本気度が問われるんじゃないでしょうか。今の局長答弁も、私はまだまだ不十分だと思いますよ。
 五輪の談合問題を取り上げた我が党の代表質問のうちで、都の職員の関与に関する四つの質問に対しては、都は、捜査に関わることであり、答弁は差し控えるとして具体的に答弁しませんでした。つまり、捜査の対象になっているということじゃないですか。
 驚いたのは、二〇一八年一月から三月頃、吉村財務局長は組織委員会大会運営局の局長だったことに間違いないかという質問に対して、捜査に関わることであり、答えは差し控えるとしたことです。
 吉村財務局長の組織委員会での当時の役職は、都の職員名簿などで公表されているものです。それがなぜ捜査に関わることで答弁できないのか、到底理解できません。捜査当局から話してはいけないというふうにいわれているんですか。

○中村政策企画局長 都は、捜査活動に協力すべき立場でございまして、捜査に関することを発言することにより、刑事手続における事実認定に支障を生じさせることのないよう、お答えを差し控えたものでございます。

○和泉委員 職員名簿に公然と載っていることが、なぜ捜査に関わるんですか、なぜ捜査に支障が出るんですか、そこが分からないというふうに申し上げているんです。公表されている役職を答弁することがなぜ捜査の事実認定に支障を生じさせるのか、誰が聞いても理解できないと思いますよ。
 組織委員会の大会運営局は、当時、第一局と第二局に分かれていました。二つの局に分かれていたのは、いつからいつまででしょうか。

○中村政策企画局長 清算法人からは、平成二十八年一月一日から平成三十年六月三十日まで、大会準備運営第一局と大会準備運営第二局を置いていたと聞いております。
 清算法人によりますと、平成二十八年頃は、大会開催基本計画を基に具体的な準備に着手するフェーズにあった時期であり、また、平成三十年頃は、計画段階から実践準備段階へフェーズが移行する時期であり、それぞれ組織改正を行ったと聞いております。

○和泉委員 今、大会準備運営局が第一局、第二局に分かれていたのは平成二十八年一月一日から平成三十年六月三十日までだったと清算法人から聞いているというご答弁ありました。
 都の職員名簿によれば、二つの局に分かれる二〇一六年一月一日の直前、吉村財務局長は大会準備運営局長でした。これに間違いありませんね。二つの局に分かれた後、二〇一八年三月末まで、吉村財務局長は大会準備運営第二局長でした。これも事実ですね。
 公表されている役職の確認ですから、吉村局長、お答えください。

○中村政策企画局長 ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○和泉委員 先ほど来申し上げていますけど、役職名、公表されているものなんですよ。
 もう一回繰り返しますよ。吉村局長に聞きますよ。二つの局に分かれる直前まで、吉村財務局長は大会準備運営局長でしたね。二つの局に分かれた後、二〇一八年三月末まで、吉村財務局長は大会準備運営第二局長でした。これに間違いありませんね。

○中村政策企画局長 重ねてのご答弁で恐縮でございますが、ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○和泉委員 どうしてもご本人からお答えがいただけないようですね。
 毎日新聞が二月十六日に報道したところによると、逮捕された元次長、森泰夫氏が、入札実施前に応札意向をまとめた一覧表を上司だった大会運営局長に見せたと供述しています。時期は二〇一八年一月から三月頃とのことです。
 この時期だとすると、吉村財務局長が第二局長だった時代ではありませんか。この元局長というのは吉村財務局長のことですね。

○中村政策企画局長 重ねてでございますが、ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○和泉委員 吉村財務局長のことになると、全て捜査に関わることであるのでお答えできないと。これどういうことかというふうにいいますと、要するに、吉村局長は捜査対象になっていたということではないんですか。だから答えられないわけですよ。
 毎日新聞は、一覧表を見せた局長は、現在は出向元の都の幹部を務めていると報道しています。テストイベント計画立案等業務委託契約を所管していたのは第一局です。第一局の局長は東京都の職員名簿には記載がありませんから、都の職員ではないと思われます。
 この時期、吉村財務局長は組織委員会の、先ほども申し上げたとおり大会準備運営第二局長でした。逮捕された電通出身の森泰夫氏は大会準備運営第一局次長でした。この時期の元局長で出向元の都の幹部となっているのは吉村財務局長以外にいないんです。
 吉村財務局長は、毎日新聞の取材にはいろいろ話していますよね。メディアの取材には答えて、議会で答えられないというのはおかしいんじゃありませんか。森泰夫氏から、入札実施前に応札意向をまとめた一覧表を見せられた大会運営局長というのは吉村財務局長ですね。お答えください。いかがですか。

○中村政策企画局長 ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○和泉委員 毎日新聞に答えられたのに、議会になると途端に捜査に関わるからといって答弁できない。おかしいんじゃありませんか。
 もう一度伺いますよ。吉村財務局長、入札前の一覧表を見せられたというのは、吉村財務局長ではないんですか。

○中村政策企画局長 重ねての答弁になりまして恐縮でございます。ご質問につきましては、捜査に関わることでございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○和泉委員 東京都がこの談合事件を知らなかったのか、知らないなんていうことが本当にあり得るのか、都民はそのことにも疑念を持っているんですよ。今の質疑を通しても、東京都が関与していたのではないか、知っていたのではないか、その疑いはますます強くなりました。
 財務局長に伺います。談合した電通など六社に対して、都はどのような措置を取ったのでしょうか。

○吉村財務局長 逮捕並びに起訴の当日に指名停止処分をしております。

○和泉委員 自分に関する質疑には答えませんけど、企業に関する質問には答弁に立つわけですね。
 公正取引委員会が二月二十八日に発表した五輪東京大会テストイベントの談合に関わる告発の文書では、二〇一八年二月頃から同年七月頃までの間、東京都内の組織委員会事務所等において、面談等により、入札談合が行われたとされています。驚くことに、組織委員会の事務所の中で堂々と談合が行われていたということなんです。
 当時、談合の現場になったこの組織委員会の事務所には、吉村財務局長をはじめ、多くの都の職員が派遣されていたはずです。その下で、都の職員の誰一人、談合に気づかなかった、知らなかった、そういうことがあり得るのか。先ほども述べましたけど、多くの都民はその点に疑念を抱いているんです。
 都は、潮田副知事をトップとする都の内部調査チームを設置し、昨年十二月末に、当面の調査状況についてという文書をまとめています。速やかに調査チームを立ち上げたと、先ほど知事も答弁されました。
 ところが、その中身は極めてお粗末だといわなければなりません。派遣した都の職員百人から聞き取りをしたにもかかわらず、その結果が何ら示されていないんです。
 当面の調査状況によれば、職員の聞き取りが全部終了した後に、確認できた事実や分析し明らかになった課題などを公表するというふうにしていますけれども、いつまでに聞き取りを終わらせ、いつ公表する予定ですか。潮田副知事、いかがですか。

○中村政策企画局長 調査チームの事務局としてお答えさせていただきますが、現在、外部有識者の下で、第三者の専門的な見地から、課題の抽出や分析を行っていただくなど、調査を深掘りしてございます。
 調査の状況にもよりますが、調査結果は速やかに取りまとめていただくようお願いしているところでございます。

○和泉委員 もちろん、速やかにチームを立ち上げたと、知事は先ほど答弁されたんだから、いつまでもだらだら調査するつもりではないんだろうというふうに思うんですよ。だからこそ、いつまでに調査を終わらせて、いつ公開する予定なのかというふうに伺いました。
 もう一度伺いますよ。いつまでに聞き取りを終わらせ、いつ公表する予定ですか。

○中村政策企画局長 こちらにつきましては、捜査の状況にもよりますが、調査結果については速やかに取りまとめていただくと考えております。

○和泉委員 いつまでに終わらせるのか、その結果をいつ公表するのかということについては、答えていただけない。
 都が開催し、大量の職員を派遣してきた事業です。都職員の関わりをうやむやにせず、調査、公表しなければ、信頼は回復できない。このことを肝に銘じるべきです。
 談合問題の調査について、知事は施政方針表明で、組織委員会のガバナンスや運営状況について、外部有識者を中心に調査を進めていると述べられました。しかし、代表質問の答弁では、外部有識者の下で調査を進めていると変わりました。この違いは一体何でしょうか。
 知事、施政方針表明での表現は訂正する必要があるんじゃありませんか。

○中村政策企画局長 調査チームは、ヒアリングや事実関係において確認すべき事項等につきまして、有識者から指導助言をいただき、これらにより収集した情報を有識者に提供してございます。
 各有識者は、調査チームから提供された情報等に基づきまして課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っております。
 都としては、徹底した調査を行えるよう有識者をサポートしております。

○和泉委員 あたかも外部有識者による調査のようにいっていますけれども、それでは、この調査チームの責任者というのは誰なんですか。

○中村政策企画局長 組織委員会が発注した業務の契約をめぐり談合が行われた疑いがあるとの報道を受けまして、都は、事態の重大性に鑑み、速やかに事実確認を行うことといたしました。その際、別法人である清算法人に協力を求めて、円滑に調査を進めるためには、共同実施事業等を通じて組織委員会の実務を理解している都が主体となる必要がございました。
 そこで、昨年十一月、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げ、今後の調査の基本となる規程や契約手続等の事実確認を行い、十二月末に当面の調査状況を取りまとめ、公表をいたしました。
 さらに、現在は、外部有識者の下で、第三者の専門的な見地から、課題の抽出や分析を行っていただくなど、調査を深掘りしているところでございます。

○和泉委員 今ご答弁にあったとおり、潮田副知事がトップなんです。このチームの責任者は潮田副知事ということになります。
 現在は外部有識者の下で調査を実施しているというのであれば、その調査チームの設置要綱はあるんでしょうか。

○中村政策企画局長 都は、テストイベントに関わる談合報道を受け、組織委員会の規程や契約手続等についての事実確認を行うこととし、調査チームを立ち上げました。
 本調査チームは、課題の状況に応じて機動的に対応する必要があり、その目的から永続的な組織ではないため、要綱によらず、庁内の意思決定を経て立ち上げたものでございます。
 その後、有識者の専門的な見地から調査を深掘りするため、有識者それぞれから指導助言をいただくよう、要綱によらず、庁内の意思決定の上、依頼したものでございます。

○和泉委員 外部有識者の下で調査をしているというふうに繰り返しいわれますけれども、調査チームのトップは元オリ・パラ局長の潮田副知事です。
 外部有識者は潮田副知事の下で働いているわけです。外部有識者が主体の調査ではなく、都が主体の調査であることも、ただいまの答弁から明らかになりました。
 また、外部有識者による調査チームであれば、あるはずの設置要綱がないこと、庁内の意思決定で動いているということも、ご答弁にあったとおりです。外部有識者を中心に調査を進めているとか、外部有識者の下で調査を実施しているというのは、都がいかにも第三者調査を行っているかのような印象操作にほかなりません。
 贈賄疑惑で前代表が逮捕されたKADOKAWAは、弁護士を委員長とした外部有識者など、利害関係を有しない委員による第三者委員会を立ち上げて調査を行いました。このような事件の背景にある会社の風土にもメスを入れて、今後同じ過ちを繰り返さないための教訓を引き出し、その報告書を公表しています。そこには、会社への信頼を取り戻す決意が見られます。
 内部調査ではなく、外部有識者による第三者機関の設置、徹底調査、検証と公表、これなくして新たなスポーツイベントを実施することに対する都民、国民の信頼は得られません。
 フェアプレーで多くの人々に感動を与えるスポーツと、利権にまみれた政治や企業の癒着の闇をきちんと断ち切る。そのことこそ、開催都市の都に課せられている責務です。知事の責任において、第三者機関を設置し、徹底した調査、検証を行い、事実を公表するよう強く求めて、次の質問に移ります。
 英語スピーキングテストの問題です。ESAT-Jです。
 ESAT-Jの都立高校入試への活用は、公平性、公正性の担保ができないと中止を求める声が広がっているにもかかわらず、都教育委員会は強行しました。都民の理解が得られているといえない状況で、子供たちの未来に関わる問題だという重要性も顧みず、一旦立ち止まることすらしない都教委の姿勢に対して、厳しく抗議するものです。
 特に、当事者である中学三年生たちが、周りの声が聞こえた、周りの生徒の解答をまねることが可能だったなど、多数の証言をしているにもかかわらず、その声を全く聞かず、解答に影響を与えるような事例はなかったといい張る、あるまじき状況です。
 例えば、保護者の会の証言ビデオで体験を語ってくれた中学生は、絵を見て、レストランは建物の何階かを答える問題で、スタートボタンを横の子がかなり遅らせて押していました、みんながツーと答えたのを聞いた後、セカンドと答えていて、周りがおおっとなりました、スタートボタンを遅らせて押せば、みんなの答えを確認してから答えられてずるいと思いましたと話しています。
 音の漏れについて、これらの具体的で信憑性ある証言を無視する都教委の姿勢は許されるものではありません。
 解答に影響なかったという根拠として、都教委は、試験を運営した事業者や会場に配置した都職員、区市町村教育委員会からの報告や聞き取りを挙げました。一体どんな報告をもって判断したのか、子供の証言を完全に否定し無視したのですから、きちんと示して都民に説明するのは当然のことです。
 まず、区市町村教育委員会の報告についてです。
 これは、都教委の区市町村教育委員会からの報告、聞き取りをまとめたものです。(パネルを示す)都民の方が情報開示請求で入手しました。聞き取った内容は、六十二区市町村、全部黒塗りです。何をもって子供たちの証言を否定したのか、これでは全く分かりません。
 知事は、情報公開は都政大改革の一丁目一番地だといいました。その認識は変わっていませんね。知事に確認します。

○小池知事 変わっておりません。

○和泉委員 知事は、情報公開は一丁目一番地だと、その認識は変わっていないと、そして、それが都政大改革を推進していくんだとというふうに、かつてそのようにおっしゃっていました。
 しかし、都教委が子供たちに耳を貸さず、解答に影響する事例はなかったと判断した根拠となる重要な資料、実際には原則開示といいながらも、実態は違っているんですよ。
 繰り返しになりますが、都教委が子供たちの声に耳も貸さなかった、解答に影響する事例はなかった、そう判断した根拠になる先ほどの資料、併せて、原則開示というなら開示すべきではありませんか。
 知事、いかがですか。これ見て、都政大改革の一丁目一番地、こんな真っ黒の資料を出しておいて、そういい切れますか。開示すべきじゃありませんか。知事、いかがですか。

○浜教育長 テスト終了後に、区市町村教育委員会から状況を聞き取った結果、教育委員会からは、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことはなかったとの報告を受けたとの回答や、中学校から意見や報告は受けていないとの回答がございました。

○和泉委員 だったら黒く塗る必要ないじゃないですか。全部明らかにしたらいいじゃないですか。そうして、これが私たちがそう答えた根拠ですと、はっきりいえばいいじゃないですか。この真っ黒に黒塗りにした資料が開示されると、このこと自体が、都教委が果たして本当にちゃんと聞き取りを行っているのか、そういう報告は本当になかったといえるのか、そこに疑いを持たせることになるんですよ。
 都教委は説明責任を果たしていません。都教委の都合のよい運営に支障を来すということは、それをもって情報を開示しないというのは許されることではありません。
 私たちは、区市町村教育委員会に直接、都教委に何を報告したのかと聞きました。先ほど、解答に影響を与えるような報告はなかったというふうに教育長は答弁されましたけれども、ある教育委員会は、声が聞こえたという生徒からの訴えが校長を通じて報告されていたので、都教委に伝えたと教えてくれました。また、ある教育委員会は、生徒の解答が周りに聞こえてしまう状況があったという中学校があったので、それを都教委に報告したとのことでした。
 そういう報告をしてきた区市町村教育委員会もあるんじゃありませんか。いかがですか。

○浜教育長 大勢が発語するテストですから、声がするのはすると思いますが、解答に影響を与えるようなことはなかったとの報告を受けております。

○和泉委員 生徒の解答が周りに聞こえてしまう状況があった、そういう状況があったら受験生たちは動揺しませんか。その動揺は解答に影響しませんか。子供たちの内心まで入っていって、解答に影響がなかったとなぜいい切れますか。
 解答の声が聞こえたという子供たちの声がある。先ほど私は冒頭でもご紹介しました。レストランは建物の何階か、これを答える問題で、横の子がスタートボタンをかなり遅らせて押していました、みんながツーといったのを聞いた後、セカンドと答えていて、周りがおおっとなりました。周りに全部聞こえているということじゃないですか。
 解答の声が聞こえたという子供たちの声があることを都教委に伝えている区市町村教育委員会があったということは間違いないですね。いかがですか。

○浜教育長 先ほどもお答えいたしましたとおり、解答に影響のあるようなことはなかったという報告を受けております。
 スピーキングテストの実施状況につきましては、テストはイヤーマフにより外部の音を遮断するとともに、ホワイトノイズの音を流して周囲の音声を聞こえにくく処理をして実施しております。
 こうした環境で多くの受験生が一斉に発語している中で、特定の解答を聞き分けて、それをまねて自分の解答を左右させること、出題音声の音量を下げて自分への出題を聞こえなくすることによって、故意に得点を、不正に得点をしようとすることなどが現実的とは考えにくいと考えておりまして、中学校からは、解答に影響を与えるようなことはなかったという報告になっているものと考えております。
 また、このような報告を都教育委員会は区市町村教育委員会から受けております。
 また、都教育委員会は、テスト終了時に、事業者及び現地に配置した都職員からの報告でも、受験教室等では、音声は聞こえても発言内容を聞き分けることはできず、解答に影響を与えることはなかったことを確認しております。

○和泉委員 子供たちが真実を語っていないとでもいいたいんでしょうか。二重に子供たちを傷つける発言だと思いますよ。
 子供たちが証言している、区市町村からも報告があった、深刻に受け止めて対応するのが当たり前じゃありませんか。それをせず、解答に影響を与えていないといい張る、都合の悪い開示文書は黒塗りにして都民に隠す、これが教育委員会のやることですか。
 もう一枚開示資料があります。(パネルを示す)受験会場に配置した都職員からの報告で、これも都教委が解答に影響を与える事例はないという根拠にしている資料です。
 終了や警備の履行確認をしたという単純な報告は開示されていますが、肝腎の生徒の様子や運営に関する課題や気づいた点が、二十一の会場から、中にはかなり長い文章での報告があったと思われるにもかかわらず、全部黒塗りです。先ほどの資料より、これはもっとあからさまなんですよ。何か書いてあっただろうなというところが黒塗りになっているんです。
 昨年度のプレテストでのトラブルなどの報告は、内容を都民に開示し、各会計決算特別委員会にも資料として提出しました。今回なぜ出さないんですか。

○浜教育長 今お示しいただいている資料、今のご質問は事前にお知らせいただいておりませんので、どの資料のことか、元の資料を見ておりませんので、非開示にした理由を今ここでご説明することはできません。

○和泉委員 きちんと答えられないということですよ。何らかの報告があったと思われる、そこを隠しておいて、この黒塗りの資料を見ていなくても、東京都の職員がどういう報告をしたかというのは見ているはずですよ。開示された黒塗りの資料を見ていなくても、元の資料は見ているはずです。答えられないはずがないんですよ。
 大体、公平性、公正性が疑われる、そう指摘されている入試だからこそ、透明化して公平、公正であることを都民に示す必要があるんです。子供たちの証言を否定し、解答に影響しなかった、トラブルはなかった、そういうんだったら、その根拠となる報告ぐらいきちんと開示すればいいじゃないですか。
 知事に伺います。選抜の公平性の問題に詳しい東京大学大学院教授の中村高康氏は、メディアのインタビューに答え、都教委は十分な説明をしていない、ESAT-Jに次々と疑念が生まれるのは、都教委が情報を隠し過ぎているからだと度々指摘しています。この二つの開示資料を見ても、私もまるっきりそうだと思います。
 情報をきちんと都民に示して説明すればいいんです。知事、いかがですか。今からでも開示しませんか。

○浜教育長 事業運営上、支障のあるものを除き、原則として全ての情報を公表しております。

○和泉委員 英語スピーキングテストは、知事も一緒に推進してきました。答弁に立たないのは本当に無責任だと思います。
 入試は、公平、公正であることが担保されて初めて信頼され、合格であっても、たとえ不合格であっても、その結果を受け入れることができるんです。
 中村教授は、スピーキングテストの実施は簡単ではなく、専門的な知識や経験が必要です、ところが推進者はそうした中身についての情報は出さずに、グローバルな時代にスピーキングが大事という、ふわっとした理念を前面に打ち出して進めようとすると、ESAT-Jを批判しています。
 テストの実施方法にしても、今回の報告にしても、それを開示しないのは、試験を受けた子供たち、証言した子供たちを裏切るものだと厳しく指摘しておきます。
 加えて、そもそも報告を上げた都職員が、会場内の一体どこにいたのかという問題です。
 試験時間中の都職員の仕事は、生徒から預かった携帯電話の管理ですから、試験の教室にはいなかったということを私たちは複数の試験監督や生徒に確認しています。試験中の教室にいなかった都教委の職員が、周りの生徒の解答がヘッドホン越しに聞こえたかどうかなど、分かるはずがないんです。
 改めて確認しますが、試験会場に配置した都の職員は、テストの実施時間中、試験が行われている部屋の中にいたんですか。

○浜教育長 テスト当日、都職員は、受験状況の確認や生徒の携帯電話等通信機器に関する業務のほか、教室の中や廊下の巡回を行っており、このことにより実施状況を確認しています。
 また、教室で試験監督を行っている事業者からの報告においても、解答に影響を与えるような事例は確認されておりません。

○和泉委員 それぞれの役割に応じて携帯電話の管理をしていたというのは、要するに常時教室の中にいたわけではないということですよ。つまり、教室の中のことについて、はっきりとした根拠にならない根拠を持ち出して、都教委は子供たちの声を否定し、議会の本会議で答弁したということじゃないですか。
   〔浜教育長発言を求む〕

○菅野副委員長 浜教育長……

○和泉委員 都教委は--聞いていません。都教委は、区市町村教育委員会からの報告……

○菅野副委員長 浜教育長……

○和泉委員 都職員や事業者からの報告、いろいろ持ち出していますが、結局、解答に影響を与える事例はなかったと断定できる根拠などないということです。にもかかわらず、公平、公正ではなかったと証言している多くの子供たちの声を聞こうともせずに否定をして、ESAT-Jを入試に使ったことは許されません。真摯に反省をして、来年度以降はきっぱりと中止することを強く求めるものです。
 そして、試験当日の証言だけではありません。本来、耳を傾け、尊重すべき子供たちの声を都教委が一貫して無視し、聞き取りも行っていないことは大問題です。SNSや署名、新聞への投書など、中学生たちは懸命に声を上げてきました。
 東京都こども基本条例に、子供を権利の主体として尊重し、意見を聞き、その意見が施策に適切に反映されるようにすることを条例は求めています。
 子供たちに直接関わる施策を行う都教委こそ、この立場を重視し、子供たちの声を聞く必要があると思いますが、いかがですか。

○浜教育長 都教育委員会と区市町村教育委員会の間で、また、区市町村教育委員会と管下中学校の間では、スピーキングテストに限らず日常的に意思疎通を行う、必要な情報を共有する仕組みができております。
 その中で、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことがなかった、中学校からの意見や報告は受けていないという報告を受けております。
 区市町村教育委員会に対しては、テスト終了後に、こうした日常的なコミュニケーション方法のほかに、改めて聞き取りを行って、このようなことの報告を受けております。

○山下子供政策連携室長 こども基本条例のお話がございましたので、私から答弁させていただきます。
 東京都こども基本条例第十条に規定されておりますとおり、条文のことを正確に申し上げますが、子供が社会の一員として意見を表明することができ、その意見が施策に適切に反映されるよう、都はそうした環境整備を図るものとする、このように認識をしております。
 こうした認識の下、私どもとしては、先般策定いたしましたこども未来アクションの策定過程におきましても、子供の意見をヒアリング等により把握するなど、子供との対話を実践してきたところでございます。

○和泉委員 教育長は、先ほど来、解答に影響を与えるような報告はなかったということを繰り返されました。
 私がこども基本条例について伺ったときにも、その答弁を繰り返されました。けれども、子供政策連携室長は、子供は社会の一員として意見を表明することができ、その意見が適切に反映されるよう、東京都は努力しなければいけない、環境整備しなければいけない、そのようにお答えになりました。これこそ、私は、都教委に対してしっかりと胸に刻んでいただきたい。
 こども基本条例は、子供が社会の一員として意見を表明することができる。そして、東京都は、その意見を正面から受け止めて施策に反映しなければいけない。それがこども基本条例の立場なんです。
 もう一度伺います。
 この試験において、少なくとも解答に影響を与えることがなかった、そういう根拠にした資料ぐらいは全て開示するべきではありませんか。いかがですか。

○浜教育長 先ほどもご答弁申し上げたとおり、子供の声につきましては、聞き取り方について条例で定められているわけではないと考えておりまして、中学校、区市町村教育委員会を通じてテスト終了後に報告を求めておりまして、その結果、管下の中学校から、解答に影響を与えるようなことはなかった、あるいは、中学校から意見や報告は受けていないという報告を受けたものでございます。

○和泉委員 先ほど幾つかの教育委員会から、都教委に対して報告を上げたということも私は紹介したじゃないですか。何でそういうことが繰り返し繰り返しいえるんですか。
 板橋区では、中学校一年生の生徒が陳情を区議会に出しました。ESAT-Jは、中学生に具体的な意見調査、アンケートを取っていません、公立受検に使うのは、公教育に必要な公平性が明らかに守られていません、塾、ベネッセの家庭教材など、金銭面による差も出てきてしまいます、実際、私の周りには、塾などに行けていない人もいます。その生徒はこう述べて、入試に使用しないよう都教委に求めてほしいと訴えているんです。
 中学生自身のこの声を受け止めるべきじゃありませんか。いかがですか。

○浜教育長 都教育委員会といたしましては、日常的に区市町村教育委員会と連携を密にしながら、全ての事業に取り組んでおります。

○和泉委員 子供の声を聞いてくれという話をしているんですよ。それぞれの学校や教育委員会と連絡を密にしているかどうかを聞いているんじゃないんです。
 そして、子供の意見を聞くというのは、都教委が聞きたいことを聞くということじゃないんですよ。子供がいいたいことを聞くということなんです。正当に取り上げて、誠実に対応していくことです。
 子供たちは、そして、保護者も、関係者も、専門家も、納得していません。公平ではない、家計状況により差が出てしまうと、子供たちも疑問の声を上げている英語スピーキングテストを、来年度は一、二年生にまで拡大する予算を都は計上しています。
 本来、強制できるはずもない中学生と中学校に押しつけて、負担を増やして、振り回すことはやめ、きっぱり中止することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

○菅野副委員長 和泉なおみ委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後八時四十六分休憩

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