予算特別委員会速記録第二号

   午後五時十分開議

○高倉副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 まつば多美子理事の発言を許します。

○まつば委員 令和五年度予算案には、都議会公明党が一昨年の都議選の政策目標で掲げたチャレンジエイトのうち、第二子の保育料無償化、高校生世代までの医療費無償化、さらには私立中学校等の授業料負担軽減や帯状疱疹ワクチン接種への助成、耐震改修への補助の拡大など、都議会公明党のこれまでの政策提言や要望が幅広い分野で反映されており、高く評価をいたします。
 しかしながら、こうした都民の暮らしを守り抜くための重要な政策が一過性のものであってはなりません。それを裏づける財政運営が盤石なものかどうかが重要となります。
 そこで、まず、都財政の現状と今後の財政対応力について掘り下げて質疑を行うことで、こうした政策の継続性を確認していきたいと思います。
 最初に、今後の財政対応力を考える上で振り返っておかなければならないのは、コロナ禍での財政需要の増加についてであります。
 この間、都は、都議会公明党の政策提言を踏まえ、累次にわたる補正予算を編成し、コロナ禍に柔軟に対応してきました。都民の命を守るための施策には、ちゅうちょせず財源を投下すべきことは自明の理であり、今後もこうした突発的な財政需要を想定した財政運営を行わなければなりません。
 そこで、令和二年度から令和四年度における年間のコロナ対策経費と国の財源、都の財源の内訳について説明を求めます。

○吉村財務局長 令和二年度決算における医療提供体制の確保や社会経済活動を支える取組など、コロナ対策経費は全体で一兆七千四百六億円でございまして、このうち、国からの財源が全体の四五%で七千八百九十八億円、都の財源が残りの五五%で九千五百八億円となっております。
 令和三年度決算におけるコロナ対策経費は全体で二兆五千六百二十八億円、このうち、国からの財源が八四%で二兆一千四百十一億円、都の財源が一六%で四千二百十七億円でございます。
 また、令和四年度の予算額では、コロナ対策経費全体で一兆一千九百三十八億円、このうち、国からの財源が七二%で八千五百七十五億円、都の財源が二八%で三千三百六十二億円となっております。

○まつば委員 ただいまのご答弁で、ポイントが二つあると思います。
 一点目は、都の財政負担としては令和二年度が最も多く、実に一年間で一兆円もの財源を投入しましたが、このコロナ初年度に、都は公明党の要請を受けて、ちゅうちょない対応で未知のウイルスとの闘いを展開し、国をもリードすることができたということであります。
 二点目は、都のコロナ対策で、令和三年度決算額では国が八四%、令和四年度では国が七二%の負担をしたと。こうした国との財政的な連携もあってこそ、対策の効果が発揮されたものであると、この二点を思っております。
 事実、令和三年六月補正予算の編成に際して、財政調整基金が一時枯渇寸前、二十一億円にまで減少したことは、まだ記憶に新しいところでもあります。今後も、自然災害や新たな感染症など突発的な財政支出があっても、十分に対応できる強固な財政基盤を堅持しなければなりません。
 そこで、都の財政運営における基金の重要性について、令和五年度末における基金全体の残高見込み、財政調整基金の残高見込みと併せて知事の認識をお伺いいたします。

○小池知事 都の歳入構造は、法人二税の占める割合が高く、景気動向の影響を受けやすい特徴を有しております。リーマンショックの際には、一年間で約一兆円もの税収減に見舞われたところであります。
 加えて、都は地方交付税の不交付団体でもあり、他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていかなければなりません。突発的な財政需要や税収減などのリスクに備えつつ、百年先も豊かさにあふれる持続可能な東京を築き上げてまいります。
 そのためには、強固な財政基盤の堅持が不可欠であり、中でも基金は、財政運営上重要な役割を担っています。こうした認識の下、令和四年度最終補正予算におきまして、新たに三つの基金を創設するなど、基金残高の確保に努めておりまして、五年度末における基金全体の残高は一・七兆円、財政調整基金の残高は六千億円となる見込みでございます。
 高齢化の進行や都市の強靱化、産業構造の転換など、東京が抱える課題への対応を図りつつ、今後とも都民の暮らしを守るための積極的な施策を継続的に展開をしていくことができますよう、基金の戦略的な活用を含め、持続可能な財政運営に努めてまいります。

○まつば委員 都の財政運営における基金の重要性について、まさに都議会公明党の考えとも一致するものであります。
 一方で、特に財政調整基金については、リーマンショックにより一年間で一兆円の税収減、あるいはコロナ対策で一兆円の財政支出などの経験を踏まえますと、まだまだ十分ではないといわざるを得ません。
 一時、二十一億円の残高見込みにまで減少した財政調整基金の残高が、六千億円程度にまで回復してきた点については評価をいたしますが、様々なリスクに備え、さらなる基金の積立てなどの努力の一層の強化を改めて求めるものであります。
 また、もう一つ重要な視点として、施策の新陳代謝を高める取組について質問をします。
 都は、令和五年度の新規事業について、マイナスシーリングや事業評価の取組、施策の終了、転換により約二千四百億円の財源を確保し、未来への投資を行ったとしています。
 中でも、都議会公明党が推進をしてきました複式簿記・発生主義による公会計制度も分析のツールとして活用した事業評価の取組により、継続的に事業見直しを行っていくことが重要だと考えております。
 そこで、これまでの事業評価の取組の経緯と財源確保額の推移について説明を求めます。

○吉村財務局長 事業評価は、財政再建期に集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして再構築したものでございます。限られた財源の中で都政の諸課題に対応するため、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組の徹底へとつなげております。
 評価に当たりましては、資産等のストック情報や減価償却費などを含めた真のコスト情報を明らかにする新公会計制度を分析のツールとして活用するとともに、全ての事業に終期を設定し事後検証を徹底するなど、毎年度、創意工夫を凝らしながら着実に実績を積み重ねてまいりました。
 こうした取組によりまして、令和五年度予算編成では約一千百四十一億円の財源を確保し、事業評価の取組を開始した平成十九年度以降十七年間の合計で、約八千八百億円の財源確保へとつなげてまいりました。

○まつば委員 事業評価の取組によりまして、これまでの合計で約八千八百億円、令和五年度は一千百億円を超える財源確保につなげたとの答弁でありました。
 公明党が推進してきた複式簿記・発生主義による公会計制度を分析のツールとして活用した事業評価により、継続的に財政対応力を高めてきたこれまでの取組が、今回の子育て施策の大幅な拡充などへとつながったものと評価をしております。
 引き続き、役割を終えた事業はきちんと終わらせ、重点的に取り組むべき事業に財源を回す、こうした事業の新陳代謝を高める取組を一層強化することで、重要な施策を継続的に実施していくための財政対応力を強化していくことを改めて強く求め、次の質問に移ります。
 次に、耐震化促進税制について質問をいたします。
 都議会公明党が度重ねて訴えてきた新耐震基準の耐震化について、さきの代表質問におきまして、都議会公明党は令和五年度の予算案での対応について見解を求めました。都は、診断や設計、改修について、旧耐震と同様の助成を開始するとの答弁があったところでございます。
 現在、旧耐震基準の家屋については税制面から支援し、災害に強い東京を実現する目的で、固定資産税と都市計画税の減免を行っています。
 そこで、令和五年度から助成を開始することから、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も耐震化促進税制の軽減対象に加えることができないのか、都の見解を求めます。

○小池主税局長 都は、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する旧耐震基準に基づき建築された住宅を令和六年三月三十一日までに耐震改修した場合に、国の減額制度に上乗せをし、固定資産税及び都市計画税の減免を行っております。
 平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も、耐震化促進税制の軽減対象に加えることについては、都の新たな助成制度及び区における助成制度の導入状況等との整合性や、減免対象となる建物の確認方法といった課題がございます。令和五年度末に適用期限を迎える国制度の動向も注視しつつ、関係局とも連携しながら、制度と実務の両面から、課題解決に向けた検討を行ってまいります。

○まつば委員 様々課題があるということでございましたが、やはりしっかりとこの新耐震基準の住宅の改修、これを行っていくことは必要でございますので、ぜひ税制面からの検討を行っていただきたいということを改めて強く申し述べさせていただきます。
 続きまして、子供、子育て施策について質問をさせていただきます。
 私は、二〇〇五年十二月の一般質問より、チルドレンファーストの社会実現を目指して質疑を繰り返し行わせていただいてまいりました。
 特に、ゼロから二歳の子供の育ちにつきましては、都議会公明党は、新宿せいが子ども園を視察いたしまして、子供が子供たちの中で学びながら成長する姿に感銘を受けたことから、その後の二〇二〇年の予算特別委員会で、集団保育のことも含め、福祉的な視点、教育の視点といった行政の枠組みや施策を超えた踏み込んだ議論を始めることが必要であると質問をいたしました。
 それに対して小池知事は、子供の未来についての議論をするための新たな会議体を立ち上げていくと答弁をされまして、こども未来会議が設置され、有識者が中心となり、幅広い議論が開始をされました。
 そして、二〇二一年には、都議会公明党が原案を作成した東京都こども基本条例が成立をいたしまして、子供施策を総合的に推進する体制として子供政策連携室が設置され、その際、取り組むテーマの六つのうちの一つに、集団保育が位置づけられたわけであります。
 これまでの保育は、保護者の就労支援策としての側面が強調されてきましたが、本来の保育とは子供が主役であるべきであり、親子関係だけでは得られない集団保育の効果を、子供たちの健全な発育のために保障することが本来の保育の役割だと考えています。
 昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、親の就労の有無にかかわらず、子供の最善の利益のために必要なものは何か、現行の法律や制度の壁を乗り越えて検討していくことが求められると主張させていただきました。また、昨年の第四回定例会、さきの第一回定例会でも具体的取組について質問させていただいています。
 今回、都が公表したこども未来アクションにおいて、就労の有無に関わらない集団保育を取り上げたことは都議会公明党の主張を受けたものであり、チルドレンファースト社会実現に向け大きく前進するもので、高く評価するものです。
 幼児教育、保育の充実に向け、望めば全てのご家庭で集団保育の効果が享受できる社会の実現が望まれますが、改めて、親の就労の有無に関わらない集団保育の実現に向けた知事の決意と基本認識をお伺いいたします。

○小池知事 子供は、未来を担うかけがえのない存在であります。チルドレンファーストの視点から社会全体で子供を大切に育むことは、私たちに課せられた責務であります。
 好奇心旺盛な子供たちが、発達の早い段階からできるだけたくさんの学びや経験の機会に触れることは、未来を切り開き、生きる力を育む上で重要です。
 このため、就労の有無といった親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から幼児教育、保育の在り方を捉え直し、子供を主体とした子育ち支援に取り組んでまいります。

○まつば委員 知事より、親の事情ではなく、子供の最善の利益という観点から幼児教育、保育の在り方を捉え直し、子供を主体とした子育ち支援に取り組んでいくとの答弁がありました。
 その具体的取組として、来年度予算案に、親の就労の有無にかかわらず子供を保育所等に受け入れる新たな仕組みの創設が盛り込まれたことは、子供、子育て施策の大きな転換であり、大きな一歩であります。
 そこで、具体的な事業の内容と課題について質問していきたいと思います。
 まず、前提として、現在の都内就学前児童人口の推移と都における保育の状況について確認をしたいと思います。
 こちらのパネルをご覧ください。委員の皆様、また理事者の皆様方には資料をお配りさせていただいていますので、ご覧いただきたいと思います。これは、都内の就学前児童人口の推移です。
 平成二十六年、二〇一四年から令和四年、二〇二二年までをまとめています。東京都の施策の充実もあり、就学前児童人口は増加をしてまいりました。増加をしてまいりましたが、減少に転じました。これは、この三年間のコロナ禍の影響があるというふうに考えられると私は思っております。少子化が進む中で、社会全体で子供たちを育み、よりよい環境をどうつくっていくのかが、ますます重要になっているということであると考えています。
 次のパネルをご覧いただきたいと思います。これは、年齢別保育等の状況でございます。
 上に認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、幼稚園、家庭等というふうに分かれています。家庭等は、青い色で塗らせていただいています。三歳では、家庭等という方は五・八%、今申し上げたいずれかの施設で幼児教育、保育を受けていらっしゃる方々が九四・二%になります。
 しかし、二歳では三四・七%が、一歳では四一・二%がご家庭で養育をされているということが分かります。兄弟が多く、また近所に子供たちがおり、子供が子供たちの中で自然に成長していた時代、そこから変わりまして、お母さんと子供、二人で一日を過ごすご家庭も増えていることから、就労の有無にかかわらず子供を保育所などに受け入れる環境整備が必要だと、このように考えています。この現状を踏まえて、具体的に質疑をさせていただきます。
 来年度予算の新規事業の親の就労の有無に関わらない集団保育、事業名は多様な他者との関わりの機会創出事業となっておりますが、この事業では、受入れ対象施設を保育所等としていますが、幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象になるのか。また、対象となる場合、幼稚園などに対して事業について周知をしていくことが重要でありますが、この点について生活文化スポーツ局に見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 この事業では、都内の幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象となっております。希望する園が事業に円滑に参加できるよう、事業主体となる各区市町村と連携して周知を行うとともに、都から私立幼稚園団体に対しても重ねて情報提供を行うなどの取組を行ってまいります。

○まつば委員 幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象になるというご答弁でした。
 それでは、これらの施設も含めて、利用料はどうなるのかということであります。
 さきの東村幹事長の代表質問では、都議会公明党が提案をしてきた第二子の保育料の無償化が知事の英断で来年度予算に計上されたことから、この事業においても同様の対応を取るべきであることを主張させていただき、福祉保健局長から答弁を得たところですが、一部報道では、利用料は保護者が負担をするとされていたことから、改めて利用料の考え方を確認したいと思います。利用料について、具体的な答弁を求めます。

○西山福祉保健局長 本事業における利用者負担額は、幼稚園や保育所等の施設種別を問わず、原則、一日当たり二千二百円、月額四万四千円を上限に、各施設において設定することとしてございますが、家庭の経済状況等にかかわらず、より多くの児童が利用できるよう、低所得者世帯等の利用者負担を軽減いたします。
 具体的には、年収三百六十万円未満の世帯や要支援家庭等を対象に、区市町村が利用料の負担を軽減する場合、都が経費の一部を補助いたします。

○まつば委員 今のご答弁ですと、要支援家庭と年収三百六十万未満世帯などを対象に無償化を図っていくと、そういう旨の答弁でした。
 来年度から保育料の第二子無償化がスタートすることもあり、本事業を利用する家庭の利用料についても、低所得世帯に加え、第二子以降については無償化することを改めて提案をいたしますが、都の見解を求めます。

○西山福祉保健局長 本事業は来年度から開始する取組であり、保育所等での実施状況や在宅子育て家庭のニーズ等も把握しながら、利用料も含め、今後の事業の在り方について検討してまいります。

○まつば委員 さきの代表質問と全く同じ答弁でございましたが、先ほどパネルをご覧いただいたとおり、親の就労の有無により、保育料、そして利用料が異なることになることから、本年十月より第二子の保育料の無償化がスタートするに当たり、この事業名でありますが、多様な他者との関わりの機会創出事業、こうなっておりますが、親の就労の有無に関わらない集団保育、これについても第二子以降の利用料の無償化を強く要望をさせていただきます。
 さて、来年度の予算案では、この事業は二十四億円となっています。実施施設数及び受入れ児童数の見込みについて、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 本事業の実施施設数は、一時預かり事業を実施している約千三百施設のうち、二割が取り組むと想定して約二百六十と見込んでございます。
 受入れ児童数については、週一回から二回、多いケースでは週四回など、施設が実情に応じて受入れ頻度を定めることとなりますが、年間延べ六十二万四千人を想定してございます。

○まつば委員 ご答弁で、二百六十施設を見込んでいるということや、また、お一人のお子さんの受入れ日数についても、週一回とかまた週四回とか、保育所や幼稚園、認定こども園などそれぞれの園の考え方を生かして進めていくことになると、そういったことだと理解をいたしました。
 来年度から新たにスタートすることから、なるべく多くの保育所や幼稚園などが取組ができるよう、福祉保健局並びに生活文化スポーツ局が連携をしていただいて、区市町村ともよく情報共有をしながら進めていただきたいと思います。
 その上で、この予算規模でございます。今後、事業を継続して実施していくに当たっては、都民ニーズの把握、これは大事なことだというふうに思っています。
 昨年の予算特別委員会で出産応援事業のアンケート調査とその分析について取り上げましたが、お子さんが誕生された大多数のご家庭に、このアンケートはお答えをいただいています。こうしたアンケートも活用することは有効ではないかと思います。
 そこで、今年度のアンケートの分析に関する取組状況について説明を求めるとともに、来年度、子育てニーズを幅広く把握し、就労の有無に関わらない集団保育であるこの事業の参考にすべきと考えますが、都の取組について見解を求めます。

○西山福祉保健局長 出産応援事業のアンケートでは、世帯構成などの基本的な項目について伺うとともに、都の子供、子育て施策の認知度や活用状況、要望などについて調査をしてございます。
 今年度は、世帯構成などを集計し、居住地域別の子供の人数等の状況について分析したほか、子育てに関するアンケート結果を母子保健事業等の参考にしてございます。
 今後も施策の参考とするため、適宜項目の見直しを行いながら、子育て家庭のニーズを把握し、事業の検討に活用してまいります。

○まつば委員 このアンケートを活用して、事業の検討に活用していくというご答弁をいただきました。ぜひ、希望するご家庭の子供たち全てを受け入れることができる施設の規模感がどういうことになるのか、また、利用料、そうしたことについて、ニーズ調査を含めて今後の事業の検討を行っていただきたいと思います。
 本日は、今後継続的に事業を進めていただくために質疑をさせていただきましたが、来年度、まず、新しい取組がスタートするということでございますので、それについては評価をいたしまして、期待をさせていただいているということを申し上げさせていただきます。
 次に、東京都認証保育所への支援について質問をいたします。
 認証保育所は、東京都独自の制度として平成十三年に発足して以来、東京都の支援の下、これまで保育施策の一翼を担ってきました。令和四年四月一日現在、認証保育所設置数は、A型四百六施設、B型五十八施設、合計四百六十四施設となっており、東京都の保育にはなくてはならない存在となっています。
 制度発足から二十年以上が経過し、認証保育所として長く運営している認証保育所では一部施設の老朽化が進み、改築や改修の必要に迫られている施設もあります。東京都では、そうした認証保育所に対して修繕費等の補助を行っていますが、現行の修繕費等補助金の上限額は二百五十万円と聞いており、これでは大規模な修繕や移転等が困難と思われます。
 そこで、現在、認証保育所について、都は、定員増を行う際の改修費等を最大三千七百万円助成していますが、今後については、老朽化した施設の改修や移転等に伴う経費に対しても柔軟に補助すべきと考えますが、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 都はこれまで、認証保育所の増床や移転に要する改修経費等について、定員増を伴う場合に補助し、事業者の負担軽減を図ってまいりました。
 認証保育所は、都の保育施設の重要な柱の一つとして、大都市特有の多様な利用者ニーズに対応し、保育サービスの充実に貢献をしてございます。
 認証保育所が、引き続きよりよい保育環境でサービスを提供できるよう、定員増を伴わない施設の改修や移転等について、補助制度の柔軟な運用を検討してまいります。

○まつば委員 認証保育所は、親の就労等に関係なく、保育を必要とする子供であれば誰でも利用することができ、これまでも都の保育ニーズに応えてきました。こうした認証保育所の利点を生かしていけるよう、認証保育所への支援をしっかり行っていただきたいと思います。
 次に、助産所における妊婦健康診査について質問をいたします。
 昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、私は、妊婦健診の受診票が医療機関での利用が可能となっている一方で、助産所の場合は後から償還払いを受ける手続をしなければならないという現状について、東大和市での具体例を挙げて説明をいたしました。
 その際、助産所における妊婦健康診査の受診票利用について、都内全域で進めるよう求めたところ、都は、区市町村単位での取組が進むように通知すると答弁をしました。また、あわせて、他県の事例も把握して、今後の参考にするとの答弁でした。
 そこで、助産所における妊婦健康診査の受診票に関して、その後の取組について説明を求めます。

○西山福祉保健局長 都は、昨年四月、助産所での妊婦健康診査について、助産所と自治体が個別に契約することで、受診票の利用が可能であることを区市町村に通知しました。
 これを受け、複数の自治体が実施に向けた具体的な検討を始め、府中市、国分寺市、福生市の三市が新たに取組を開始し、現在、五市で受診票が利用されてございます。
 また、助産所で県内共通の受診票等を利用可能としている他県の事例について聞き取りを行い、それらを参考に、都が関係団体と一括で契約する手法を区市町村に提案をいたしました。その上で、区市の代表との検討会を昨年十一月と本年一月に開催し、都内共通の方法で進める方向性を取りまとめました。

○まつば委員 検討会を実施して方向性を取りまとめたとのことですが、受診票の助産所での利用を速やかに開始すべきと考えますが、見解を求めます。

○西山福祉保健局長 都は現在、助産所で行う検査内容や助産所と医療機関との連携など、助産所での受診票利用の際に整理が必要な事項について、区市町村や関係機関と具体的に協議をしております。
 引き続き協議を進め、来年度には妊婦健康診査の受診票を助産所でも活用できるよう取り組んでまいります。

○まつば委員 速やかに実施ができるように取組を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、教員への支援策について質問をいたします。
 東京都教育委員会では、担任のいないクラスが発生するなど教員の不足が課題になっています。
 都議会公明党は、都教育委員会が必要な教員を確保できるように、途中退職した教員経験者の復帰を促進するカムバック採用の新設など教員を増やすための対策を提案し、それを受け、都教育委員会が取組を進めていることを評価したいと思います。
 一方、厳しい環境の中で働く現職の教員を守り、支え、支援していくことも重要です。
 教員の中には、業務が多忙であることなどから、メンタル面で疲れ、病気休職に入ったりする方も多いと聞いています。教員がふだんから悩みなどを気軽に相談でき、心身の健康を維持できるような環境をつくることが大切であります。
 都教育委員会は今年度から、教員を対象にアウトリーチ型の相談事業を新たに開始しています。来年度はこの相談事業を拡充するとともに、働きやすい職場環境の整備にもつながるような取組にしていくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会は、教員のメンタルヘルスサポートを強化するため、今年度、臨床心理士等が小中学校を訪問し、その学校の全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を二自治体で開始いたしました。
 来年度は、対象を三十自治体に大幅に拡大するとともに、小学校において、病気休職から復帰する全教員を対象とした相談事業も新たに開始いたします。
 本事業では、学校ごとに面談結果を分析し、職場の現状や改善点をまとめ、区市町村教育委員会や各学校に提供することで、教員が安心して働ける環境づくりを推進してまいります。

○まつば委員 また、新規採用した教員への支援も重要であります。
 令和三年度に都教育委員会が新規に採用した教員のうち、一年以内に離職した人の割合は約四%でした。高い志を持って着任した新規採用教員が、一年を待たずに離職してしまうということは誠に残念なことであります。
 教員が安心して継続的に活躍できるようにするためには、新規採用教員への支援こそが重要であると考えますが、都教育委員会の取組について見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会では、学級担任として全教科を担当する小学校で、全ての新規採用教員に対し、日頃の業務の悩みなどを相談しやすいよう、アウトリーチ型の相談事業を新たに開始いたします。
 また、小中学校を巡回して、新規採用教員に対し授業の進め方や子供への接し方等についての助言を重点的に行うため、定年退職した管理職等を新たに確保いたします。
 こうした取組により、新規採用教員が安心して職務に取り組める環境を整えます。

○まつば委員 昨年の第四回定例会における公明党の代表質問に対し、都教育委員会から、産休、育業代替教員を、産休や育業の期間より前倒しで任用できるようにするとの答弁がありました。
 国も同様の方針を示していますが、国は前倒し任用を年度当初に限っていますが、都教育委員会は年度内のいつでも任用できるようにするとの答弁でした。
 国の方針を上回る意欲的な取組になりますが、その内容や狙いについて具体的な説明を求めます。

○浜教育長 国は、小中学校における産休等取得に係る代替教員を確保するため、年度当初に限り前倒し任用できることとしており、八月以降の産休等は対象となりません。
 一方、都は、高等学校、特別支援学校を含む全ての公立学校を対象に、産休等の開始時期によらず最大四か月前から、いつでも代替教員を前倒しで任用できることといたします。
 年間を通じた柔軟な前倒し任用により、代替教員が確保できたタイミングで任用することが可能となるとともに、産休等を取得する教員と代替教員との十分な引継ぎ期間を確保することができます。
 こうした取組により、教員が安心して出産、育児に専念できるとともに、子供にとっても安定的な教育環境を整えてまいります。

○まつば委員 都教育委員会として、引き続き代替教員の確保に努めていただくよう求めておきます。
 次に、夜間中学と定時制高校の連携について質問をいたします。
 区市町村が設置する夜間中学では、多くの外国につながる生徒が通っており、年齢も多岐にわたります。
 国においては、公明党の主導で法律を制定し、全ての都道府県において夜間中学を設置することを目指しており、令和四年四月現在、公立の夜間中学は十五都道府県に四十校設置されています。
 全国的な設置が促進される中、まず、都における夜間中学の現状について見解を求めます。

○浜教育長 都内には夜間学級を設置する中学校が八校あり、令和四年五月現在、二百十四名の生徒が在籍しています。そのうち、約八割の生徒が中国語やネパール語等を母語とする外国籍の生徒でございます。
 学校においては、生徒の日本語の習得状況に合わせてクラス分けを行うなど、きめ細かい指導を実施しています。
 また、卒業生の半数以上が定時制高校に進学しており、こうした生徒の多くは、日本国内で安定的に働ける就職の実現を目指し、夜間学級在籍時から継続して日本語や教科の学習を行っています。

○まつば委員 一方、定時制高校には、在京外国人枠を設定する全日制高校に定員の関係で入学できない外国につながる生徒の多くが通っております。多様性が求められる現代社会において、国籍にとらわれず、様々な課題を抱える生徒を受け入れる定時制高校の存在はとても大切です。
 また、増加する日本語指導が必要なクラスにおいては、中学の三年間だけでは日常会話の習得がやっとであり、教科を学ぶための日本語を習熟するには高校までの継続した学習が必要です。
 都が、六年間の一貫した教養教育で総合的な学力を養い、個性や創造性を伸ばすために設置した中高一貫校のように、継続した学習が可能となるような仕組みを構築し、多様性に富んだグローバル人材を輩出していくべきと考えます。
 そこで、将来の新たな人材群輩出に向けて、夜間中学と定時制高校の連携を強化する取組を行うべきと考えますが、教育庁の見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会はこれまで、区市が設置する中学校夜間学級の日本語指導が必要な生徒を支援するため、日本語学級を設置する学校への教員配置や、高校への進学に当たって、全日制高校八校において在京外国人枠を設定した入試を実施しています。
 今後、外国人生徒等に対する支援を強化するため、夜間学級に対する日本語指導員や通訳などの人材の紹介を行います。
 また、中学校の夜間学級卒業後に定時制高校等に進学する生徒に対し、切れ目のない継続的な支援を行うため、日本語指導方法や就職等に関する意見交換など、夜間学級と定時制高校等とのより具体的な連携方策について検討してまいります。

○まつば委員 夜間学級と定時制高校等とのより具体的な連携方策について検討するという、大変重要な答弁を得ました。ぜひ進めていただきたいと思います。
 続きまして、経済対策について質問をいたします。
 初めに、令和三年度に都議会公明党が提案をし、そして、都が令和三年度に補正予算を組んでスタートをした奨学金の返済支援による中小企業の人材確保支援、この事業について質問をいたします。
 パネルをご覧いただきたいと思います。この事業をちょっとご説明をさせていただきますが、まず、この〔1〕でございます。本事業は、まず、この事業を希望する中小企業等が登録をしまして、ホームページで魅力をPRします。そして〔2〕、各企業において本事業の利用を希望する大学生等を面接し、採用を決定します。そして〔3〕、ここがポイントでございますが、一年間の勤務継続を確認の後、都が二分の一、中小企業等が二分の一を負担して、奨学金返済費用相当額の一部を三年間にわたり助成をするという事業でございます。
 助成額は三パターンありまして、年十万円掛ける三年で三十万円、年二十四万円掛ける三年で七十二万円、年五十万円掛ける三年で百五十万円。中小企業がどのパターンを取るかを決めるということであります。
 これまでの取組と実績については、先日の本会議の質問で明らかにしたところでございます。これまで百三十社の中小企業が登録し、学生等の内定も二十人とのことでした。
 その上で、令和五年度は、本格的に予算一億三千万円、採用学生数も二百人分を予定しています。
 対象となる中小企業は、一つ目は、建築、土木、測量技術者を採用する場合、二つ目は、IT業界の情報処理、通信事業者を採用する場合、三つ目は、ものづくり業界の開発事業者を採用する場合、いずれも人材の確保が難しいという実情があります。中小企業からは、すばらしい事業である、活用したい、こういった声も届いています。
 しかし、学生の利用実績はまだ二十名を超える程度であり、まずは、学生や卒業生にこの事業もっと知ってもらう必要があります。そのために、この事業の利用を始めた方々をしっかり支援し、事業の魅力を多くの学生に伝えていくべきですが、都の見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を行っております。
 この支援について、現在まで百三十の中小企業が参加し、建築の設計担当者やプログラマーのほか、製品開発のエンジニアなど、中小企業で採用することが難しい技術職に、二十六名の就職の内定が実現をしたところでございます。
 今後は、就職した方が一年間の勤務を経て、奨学金の返済負担を抑えるに当たり、本事業の効果的な利用方法について、きめ細かい相談対応を行います。
 また、大学等の学生向けの出張講座や説明会で事業を使うメリットを紹介するなど、学生による利用を増やす取組を進めます。
 これによりまして、中小企業の人材確保を支援してまいります。

○まつば委員 奨学金の負担軽減と、また、中小企業の人材確保の両方を支援するこの事業であります。積極的な展開をお願いいたします。
 続いて、就労支援、特に女性の就労支援について質問をいたします。
 私はこれまで、東京しごとセンター内で託児ができる環境整備や、女性しごと応援テラスの設置など提案をしてきました。
 こうした中、コロナ禍では、飲食サービス業などで働く非正規雇用の方々が影響を受け、厳しい状況に直面をしてきました。再就職に当たっては、自宅から離れた場所での就職活動やスキルアップに多くの時間を割くことができない方もおられることから、再就職に向けた多くの選択肢を提供し、安定した就労につなげていくことが重要であります。
 都は、様々な事情を抱える女性が、それぞれの状況に応じて自宅等でも就職の準備に取り組めるよう、就労支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、育児や介護などにより仕事を離れた女性が、限られた時間を活用し、効果的に就職活動を行う後押しを継続的に実施いたします。
 具体的には、再就職を目指す女性に対し、オンラインにより就職のサポート経験の豊かな専門家が助言を行う取組を開始いたします。これによりまして、就職活動や家庭と仕事の両立に役立つノウハウをきめ細かく提供をいたします。
 また、再就職を円滑に進め、家庭との両立を図りながら職場で活躍する女性社員のモデル事例のほか、そうした女性の受入れを進める会社をウェブで紹介いたします。
 さらに、求人の増える時期に合わせ、来年一月、五千人が参加するオンラインのセミナーも開催いたします。
 これらによりまして、女性の就業を後押ししてまいります。

○まつば委員 公明党は、女性が活躍の場を広げる可能性がある分野であることから、女性デジタル人材育成に重点を置いて取り組むことを提案してきました。都は、デジタル分野のスキルアップを図る支援などを展開してきましたが、もう一歩踏み込んだ能力開発が重要だと考えています。
 そうした観点から、昨年の第四回定例会で都議会公明党は、今後、より一層女性の活躍を進めていくため、非正規で働く女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるように支援を強化することを求めました。都からは、支援について検討するとの答弁を得ています。
 そこで、都は、女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるよう、学習から就職までを伴走型できめ細かく支援を行っていくべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、高度なIT技術を使う女性のプログラマーを育成するため、東京しごとセンターで能力開発と就職支援を一体的に行う取組を百名の規模で開始いたします。
 具体的には、非正規雇用や求職中の女性向けに、IT業界等でプログラミングの業務を行う場合の仕事内容や勤務の状況をきめ細かく紹介するガイダンスを開きます。
 これに参加された方に対し、限られた時間を効果的に活用し、eラーニングにより高度なプログラミングの技術を習得できる半年間の訓練を実施いたします。
 また、受講生一人一人に専門家がつき、訓練を適切に進めるための助言を行います。
 さらに、訓練の途中から、就職を見据え、求人企業の紹介を行う仕組みとします。
 これによりまして、デジタル分野での女性の活躍を後押しいたします。

○まつば委員 新たな事業を展開していくということでございましたので、よろしくお願いいたします。
 全ての女性が自分らしく働くことができる社会の実現には、企業内における理解はもとより、社会保障などに関わる制度も含め、様々な障壁を取り除いていく必要があります。
 特に、配偶者を持つ非正規雇用で働く女性の六割が、いわゆる年収の壁を意識して就業を調整しているとの民間調査の結果も出ており、自ら就労の機会を制限する結果を招いています。この点については、公明党は今国会において、その対応策を提案しているところでありますが、様々な角度からの取組が必要であると思っております。
 また、社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を三〇%とする政府目標に、国内企業における女性管理職の割合は、いまだ九・四%であり、職場における女性リーダーの活躍は後れを取っています。
 都におきましても、東京都防災会議の女性委員が一人もいなかったり、また、審議会委員における女性委員の割合が都道府県の中でも下位であったりとしていましたので、私は、十八年間の都議会の質疑の中で度々取り上げ、少しずつ改善が図られてきましたが、小池知事就任以来、大きく改善され、都における女性活躍が進んできていることを実感いたします。
 そうしたことからも、都は、今後、今申し上げました課題に正面から向き合い、新しく設置する有識者会議でもしっかり取り上げていくべきです。あわせて、機運醸成などを進めていくとのことですが、具体的な取組について見解を求めます。

○坂本産業労働局長 働く女性が、国の税金や社会保険の仕組みを理由に勤務時間を抑える状況を減らすとともに、社内でマネジメントを担う立場に就く割合を増やすことは重要でございます。
 このため、都は、就労や生活に関する国の諸制度や会社組織の状況などをテーマとする有識者会議を新たに設け、今月、第一回目を開催いたします。これによりまして、学識経験者や経営者、働き手の代表等が議論を行い、その中で、女性の就業に関わる年収の壁や女性管理職を増やす上での課題等も検討いたします。
 これらの議論を踏まえ、国への提案要求を行うほか、働く時間と収入の関係についての理解を深め、女性管理職の活躍事例も幅広く発信するイベントを経済団体等と連携して開催いたします。
 これらによりまして、職場における女性の活躍を後押ししてまいります。

○まつば委員 新しく設置する有識者会議、期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、東京しごとセンターの機能強化について質問します。
 デジタル化の進展などにより産業構造の転換が進む中、年齢や性別にかかわらず、就労を希望する全ての方が必要となる知識やスキルを身につけ、希望する分野で活躍できるよう、都の就労支援施設や職業能力開発施設の機能強化を進めていくことが重要であります。
 昨年の第四回定例会で、就職支援をワンストップで行う東京しごとセンターに、職業訓練を行うしごとセンター校を開設すると、こういう答弁をいただいています。都の職業能力開発センターは、八割を超える高い就職率となっており、しごとセンターを利用する求職者の方が職業訓練施設を活用して就職に結びつける取組は効果的であると考えます。
 その上で、私が課題認識を持っておりますのは何かと申しますと、この職業能力開発センターの受講者に占める男女比であります。現在、女性の割合は三割にとどまっています。そうしたことから、東京しごとセンターには女性応援テラスもあり、多くの女性が訪れることから、来所した方々へも職業訓練を案内し、受講を促していくことも考えられます。
 都は、東京しごとセンター校の設置を契機に、東京しごとセンターを訪れる求職者支援を強化すべきと考えます。あわせて、女性の求職者への支援についても見解を求めます。

○坂本産業労働局長 東京の産業の担い手を育成するため、能力開発に取り組むきっかけを増やし、優れた職業訓練を受け、確実に就職できるよう支援をすることは重要でございます。
 このため、都は、東京しごとセンターの建物内に、多様な実習を見学し体験できる仕組みを持つ訓練校を新設することとし、令和六年度の開設を目指します。これによりまして、しごとセンターを訪れる様々な年代の求職者が、その意欲や適性に応じ、能力開発に関心を持つよう後押しを行います。
 女性の求職者については、センターの専門のアドバイザーが希望や状況を聞き、相談に乗り、それに応じた実習を体験する案内を行います。また、都内十三の職業能力開発センター等も紹介し、職業訓練につなげてまいります。
 こうした取組によりまして、能力開発を通じた就業を支援いたします。

○まつば委員 例えば女性応援テラスにいらっしゃった方が、同じ建物内にある職業訓練校を見学をし、実習をし、そしてこういった仕事のスキルを身につけたいと、そういうような希望に沿って職業能力開発センターなども紹介をしていくという新しい取組でありますので、これは令和六年度の開設ということでございますが、しっかりと準備を進めていただきたいと思います。
 次に、被災地の経済振興についてであります。
 今週十一日に、東日本大震災発災後十二年目を迎えます。東京が福島県から電力の供給などの恩恵を被ってきたことに改めて感謝をし、被災地応援ツアーについて質問をします。
 東日本大震災後、都議会公明党は直ちに現地に入り、現地の要望を受け、当時の石原知事に申入れをし、知事の即断でスタートをしたのが被災地応援ツアーであります。
 この被災地応援ツアーが開始されてから十一年が経過をしました。この被災地応援ツアーにより、福島県の観光需要は、一時、震災前の八〇%まで回復をしましたが、新型コロナの影響により事業が停止をし、また観光需要は落ち込んでしまいました。被災地は、また厳しい状況に置かれてしまっています。
 こうした中、これまで停止していた被災地応援ツアーが昨年十月に再開をされました。事業再開により、福島県の復興が加速することを期待するとともに、来年度についても事業を継続するよう、昨年十二月、我が党から知事宛てに要望書を提出したところであります。
 このような状況を踏まえ、令和五年度も引き続き、福島県に対する被災地応援ツアーを実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。

○坂本産業労働局長 被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年九月より開始をいたしました。
 令和二年の十二月に、感染拡大の影響によりまして事業を停止しましたが、昨年十月に、全国旅行支援の活用に合わせて再開をしたところでございます。
 これによりまして、今年度、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分につきまして、その費用の一部を助成しております。また、都内の学校の福島への教育旅行や、県が浜通り地方などの振興に向け推進するホープツーリズムへの支援も進めております。
 来年度につきましても、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等を踏まえまして被災地応援ツアーを実施し、震災復興を後押ししてまいります。

○まつば委員 これは引き続き、私たち、このことについてはずっと提案をし続けていきたいと、このように思っております。
 続きまして、芸術文化施策について質問をいたします。
 都議会公明党は、一昨年、コロナ禍での経験を踏まえた新たな芸術文化政策の立案を提案し、昨年三月に東京文化戦略二〇三〇が策定をされました。この文化戦略の実効性を高め、真に東京の芸術文化振興に寄与するため、都議会公明党は、昨年の第四回定例会で三点にわたって質問をさせていただきました。
 一点目は、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援するサポート体制の構築であります。都からは、アーティスト等の活動を支援するサポートセンターの設置などについて検討していくとの答弁があったところでありますが、今回、新年度予算案に、仮称東京芸術文化活動サポートセンター設置の予算が盛り込まれております。
 設置されるサポートセンターは、多様な相談に対応し、ワンストップが可能となる機能を整備すべきと考えますが、サポートセンターの概要について見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 アーティスト等の持続的な活動を支え、新たな活動につなげていくため、サポートセンター機能を整備いたします。オンラインを活用した相談窓口を設置し、ジャンルや経験を問わず、多くのアーティストやスタッフからの契約や著作権をはじめとした法律相談などに対応いたします。
 また、都の助成事業に加え、国や民間の事業やフェスティバル、アワードの情報を一元的に提供をいたします。
 さらに、確定申告や資金調達など、活動に必要なノウハウやスキルを身につけられる講座等も実施をいたします。
 今後、外部の専門家などとも連携をし、アーティスト等を支援するハブとして総合的にサポートを行ってまいります。

○まつば委員 このサポートセンターを使い勝手のよい、アーティストの皆さんの役に立つセンターとして整備運営していただきたいと思います。
 その上で、文化戦略には、世界における芸術文化の創造拠点の存在が例示されていますが、芸術文化薫る東京としていくためにも、国内外に向けて、ここが東京の芸術文化の拠点といえるような拠点整備を今後検討していただくことを要望します。
 二点目は、地域の芸術文化活動への支援であります。
 地域における芸術文化活動の躍動は、東京の芸術文化の裾野を広げ、一層東京の魅力を高めていくものと考えます。
 東京のここかしこに芸術文化の活気を生み出すために、地域での芸術文化活動にさらなる支援を拡充していくべきと考えますが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 東京の芸術文化におきまして、地域で活動する団体や担い手の方々の多彩な活動は、大きな魅力となっております。
 そのため、来年度から、地域の文化団体やNPOなどが行う文化活動に対する助成の規模を拡充するとともに、多くの方々が参加し、地域の活性化にもつながる事業には、新たに二百万円の区分を設定し、支援を強化いたします。
 さらに、今年度から開始した二千万円が上限の芸術文化の魅力を創出する助成も活用し、まち中を舞台にした大規模なフェスティバルなどを支援することで、地域の魅力を発信してまいります。
 こうした様々な規模の活動にもきめ細かな支援を行うことで、東京の芸術文化全体の活力向上につなげてまいります。

○まつば委員 三点目は、子供たちが芸術文化に親しむ機会の創出であります。
 豊かな感性の子供たちが本物の芸術文化に触れることは、心を育み、人間性を高めることにもつながっていきます。
 今、子供、子育て施策が都政の柱の一つでもありますが、子供が芸術文化に親しむ環境づくりも、大事な子供、子育て支援の一つであると考えます。
 芸術文化団体等とも協力しつつ、子供が芸術文化に親しむ環境づくりを一層充実させていくべきですが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都では、東京文化戦略二〇三〇におきまして、キッズ・ユース・プロジェクトを掲げ、子供や若者が良質な芸術文化に触れる機会を提供しております。
 子供たちのミュージアムデビューを応援するプログラムや、演劇や音楽のプロのアーティストと舞台作品をつくり上げる事業など、様々な取組を展開してまいりました。
 来年度は、教育庁の体験事業に協力をいたしまして、芸術文化団体等と連携をし、例えば、演者との交流やバックステージツアーといった、鑑賞にとどまらない、心に残る体験メニューを充実するなど、子供たちがより深く芸術文化に親しむ環境づくりを進めてまいります。

○まつば委員 続きまして、結婚支援事業について質問をします。
 この事業は、都議会公明党の栗林のり子前議員が、平成二十四年、二〇一二年ですが、提案して始まった事業であり、小池知事就任以来さらに力が入り、都議会公明党も、これまでも事業の実施を応援してきたところでございます。
 また、東京都は、昭和八年、東京市のときから平成八年まで、東京都結婚相談所を運営しておりまして、途中から委託事業になりましたが、六十二年間の歴史があるということもあります。その時代、時代に即して事業を展開していくことは大変重要なことだと思います。
 都は来年度、結婚支援事業の新たなステージとして、出会いの機会の創出に乗り出すということであります。
 出会いの機会の創出は大事なことですが、結婚という人生を選択することに対する不安や様々な障壁により、ちゅうちょされる場合もあります。当然、結婚に関しては個人の自由な選択であることはいうまでもありません。
 その上で、結婚を望む方の様々な悩みに寄り添っていくことは大事なことです。結婚に関する悩みや相談に応じる結婚相談窓口が必要だと考えます。デジタルの活用も含めて、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都のアンケートでは、結婚に関心を持ちながらも、出会いの機会がないことや将来への不安などから、婚活に至っていない人が多いという状況がございます。
 都は来年度、結婚支援マッチング事業におきまして、出会いの機会の創出に合わせ、ウェブにより気軽に相談できる事業も実施をいたします。
 具体的には、イベントやセミナーなどその人に合った婚活方法の紹介やコミュニケーションに関する助言、将来の子育てなどへの支援策も案内し、相談者の不安や悩みに応えてまいります。
 こうした取組を通じまして、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない人の後押しをしてまいります。

○まつば委員 この結婚支援については、小池知事が国会議員時代からも、婚活、結婚支援ということで様々力を入れられてきたと、このように伺っておりますし、また、知事になられてからも、この分野については、様々なイベントなども含めて取り組まれてこられたと。私もそういった場にも参加もさせていただいてまいりました。
 そこで、急なんですけれど、小池知事から、ぜひ、この結婚支援、婚活支援に対しての思いを語っていただきたいと思います。

○小池知事 婚活支援につきましては、知事就任以来、様々なイベントなどを催すなどして、また、民間と連携しながら様々な機会をつくってまいりました。
 今、少子化の一つの原因として、未婚化、晩婚化ということがいわれております。特に未婚化の部分については、やはり出会いの機会をいかにしてつくるのか、リアル、そしてAIなども活用したマッチングなど様々な、時代に応じた方法もあろうかと思います。
 いずれにしましても、それは個人の自由ではございますけれども、まず、その機会をつくる、また、そうやって結婚に対しての様々な社会的、そして生活、働き方、これらを取り巻く環境を整えていくということも必要ではないかと思い、都として、今後とも応援を、後押しをしていきたい、このように考えております。

○まつば委員 突然ご答弁いただきましたが、小池知事の結婚支援、婚活支援という思いを語っていただきました。
 確かに知事がおっしゃるとおり、時代に即したということは非常に重要でございまして、そういった意味では、知事もおっしゃいましたが、AIなどの活用ということも大事になってくるというふうに思います。
 今、結婚相談窓口、相談支援につきましても、デジタルということでご答弁もいただいたところでございますが、この点についてデジタルサービス局にもご答弁いただきたいと思います。
 結婚相談など、都民を対象に相談やアドバイスを行うサービスでは、最近注目を集めている対話型AIなど最新技術の活用が期待をされています。こうした各局のサービスが効果的なものになりますように、デジタルサービス局が企画段階から技術面のサポートをしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いをいたします。

○久我デジタルサービス局長 来年度から、各局が重点的に取り組むDX案件について、当局が企画立案段階から参画し、上流工程からの協働体制により、質の高いサービス開発に取り組みます。
 当局のデジタル人材が有している様々な専門分野の知見を生かして、効果的なサポートを行ってまいります。例えば、結婚や子育ての相談やアドバイスでは、AIを活用して最適な情報提供や相談対応につなげてまいります。
 また、蓄積されたデータを分析して支援ニーズを把握し、施策にフィードバックするなどの取組を進めてまいります。対話型AIなど日々進化する最新技術の動向も取り入れながら、都民に真に役立つサービス創出に向けて取り組んでまいります。

○まつば委員 ぜひ生活文化スポーツ局と、また、デジタルサービス局と連携も取っていただきながら、この分野の取組が進むようにまた要望をさせていただきます。
 続いて、住宅政策について質問いたします。
 最初に、都営住宅についてでございます。
 現在、都営住宅で外国人居住者の方々も増えておりまして、自治会対応への支援について、これが大事になっておりますので、その点、質問をさせていただきます。
 我が党は、さきの本会議一般質問において、ウクライナから避難された方々への支援策として好評を得ている翻訳端末機を、それ以外の都営住宅の自治会についても、希望がある場合には積極的に貸与するよう求め、前向きな答弁を得たところであります。
 その上で、団地内の住まい方などのルールを記載した住まいのしおりは、現状、日本語のほか、中国語、英語、ハングルの四か国語のみ作成されていますが、団地の自治会役員の方が、貸与された翻訳端末機を用いて会話を試みる際に、事前に紙媒体による居住ルールの説明が相手方に届いていれば、会話の成立に伴う負担も大きく軽減されるはずだと思います。
 都は、今後、入居者の国籍の多様化に応じて住まいのしおりの対応言語の数を増やすべきと考えます。
 また、公社住宅でも同様の取組を進めるべきと考えますが、併せて見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都営住宅、公社住宅では、外国人を含め居住者が住まい方のルールを守り、自治会等に協力しながらコミュニティの維持を図っていくことが必要でございます。
 これまで、四か国語の冊子、チラシの配布や、東京都住宅供給公社の窓口におきまして、通訳端末の使用等により、外国人居住者に対しまして日常生活上のルールを周知してまいりました。
 今後、自治会等が外国人居住者に説明を行う場合の課題を確認することなどによりまして、都営住宅、公社住宅とも、現行の四か国語以外の言語を用いる居住者への住まい方ルールの周知につきまして、対応を検討してまいります。

○まつば委員 次に、高齢化の状況が特に著しい都営住宅でのコミュニティ支援について質問をします。
 都は、この点で、我が党の提唱を受けまして、墨田区などで地元に立地する大学と連携し、希望する学生の都営住宅への入居によって、団地内のコミュニティ支援を図る取組をスタートさせています。足立区などでは、区内の六大学との協議を開始していると聞きます。
 本事業は、団地のコミュニティ支援に役立つ優れた取組であると思っております。
 都は、本事業が末永く安定して継続できますよう、あくまで地元自治体と大学との連携が成立することを前提に、他の都営住宅においても積極的に進捗を図るべきと考えます。見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都営住宅の居住者の高齢化、単身化が進む中で、団地自治会の活動や地域の活性化を図ることは重要でございます。
 都は現在、都内六つの大学と連携しまして、学生が都営住宅に入居して自治会活動を支援する取組を進めております。
 墨田区内の団地では、学生が自治会と協力して、共用部分の清掃や資源回収運動に継続的に取り組むなど、活性化に貢献しております。都は、自治会と学生との円滑なコミュニケーションを図るため、定例的な懇談の場を設けまして、必要なサポートを行っております。
 今後は、この取組につきまして、地元自治体とも連携を図りながら、さらなる大学の参加を働きかけ、他の都営住宅においても積極的に推進してまいります。

○まつば委員 現在、都や都内区市町村によるキャッシュレス決済を前提にした電子商品券事業の普及の影響から、比較的高齢者が多い都営住宅においても、公社住宅や都営住宅での使用料への口座振替だけでないキャッシュレス決済の導入を望む声が高まっています。
 都は、既に我が党の提案を踏まえ、クレジットカードによる都税の支払いを導入しています。
 DXを推進する都は、キャッシュレス決済の進展が進む昨今の社会的動向も踏まえ、公社住宅や都営住宅において、コンビニなどでも支払いを可能とすることを視野に、クレジットカードなどでの使用料の支払いが可能となるようにすべきと考えますが、見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都営住宅使用料及び公社住宅家賃の支払いにつきましては、居住者の利便性や収納率の向上につながる方法とすることが重要でございます。
 現在、都営住宅で約八割、公社住宅で九割以上の居住者が、指定の金融機関からの口座振替を利用しております。
 今後、都営住宅では、令和八年度を目途に再構築を進めております都営住宅管理総合システムにキャッシュレス決済機能を反映できるよう、使用料の支払い方法について検討してまいります。公社住宅では、来年度から敷金など入居時の初期費用の支払いにおきまして、クレジットカード決済を導入いたします。また、家賃等につきましても、キャッシュレス決済ができる方法を検討してまいります。

○まつば委員 積極的な取組のご答弁がありました。よろしくお願いいたします。
 次に、子育てに適した住宅の推進について質問します。
 都議会公明党は、平成十七年の第一回定例会の代表質問で、子育て支援住宅制度の導入を取り上げて以来、都にまだ制度が誕生していないときから、子育て支援における住宅政策の重要性をいち早く指摘し、その充実をリードしてきたところであります。
 しかし、補助制度は、まだ四区市でしか実施をされていません。都は、来年度予算において、既存の認定制度を再構築するとしています。
 再構築に当たっては、急増するマンションからの幼児の転落事故対策に必要なベランダへの補助錠の設置など、乳幼児を不慮の事故から守る安全性の確保を図るための工夫を最優先に、広く活用が進む事業とすべきと考えますが、見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 都はこれまで、子育てに適した優良な住宅の供給に意欲的な事業者に対しまして、認定制度により後押ししてまいりました。
 来年度は、さらに供給を加速させるため、認定基準の適合度合いに応じて認定モデルを三段階に拡大するとともに、各モデルに応じた補助限度額等を設定した上で、整備費に対して直接補助を行いまして、幅広い事業者の取組を促します。
 各モデルとも安全に関する基準の適合を必須とし、現在策定中の新たな認定基準におきまして、ご指摘のバルコニー等からの転落防止のための窓への補助錠の設置等を盛り込むことについて、制度の開始に向け検討してまいります。

○まつば委員 加えて、現在の制度では、様々な条件の全てをクリアすることが補助の前提要件とされています。
 子育てに適した特徴を備えた住まいという点で、フルスペックの住まいだけ推奨するのではなく、様々なラインナップの住まいとして提供できれば、本制度の活用がより進むものと期待します。
 具体的な補助内容について、見解を求めます。

○山口住宅政策本部長 補助の実施に当たりまして、各認定モデルに応じ、分譲と賃貸、新築と改修の区分ごとに補助額等を設定いたします。
 具体的には、子供の安全性の向上に特化したセーフティーモデルでは、賃貸住宅の新築及び改修で一戸当たり最大五十万円、専有部や共用部における子育てに配慮した設備等を事業者の判断により幅広く選択できるセレクトモデルでは、同様に最大百万円、設備等のさらなる充実に加えまして、居住者の交流機会創出等のソフト面も重視したアドバンストモデルでは、同様に最大二百万円を補助いたします。
 こうした取組によりまして、事業者の創意工夫を生かしながら、子育てに配慮した住宅の供給を推進してまいります。

○まつば委員 次に、パラスポーツとデフスポーツの振興について質問します。
 パラスポーツやデフスポーツの裾野の拡大のためには、聴覚障害者などが日常の練習の際にも必要な音声以外での情報提供への配慮や、車椅子などの身体障害者などが利用しやすいエントランスや建物内での施設間移動におけるバリアフリー化などの点でも、官民問わず改善が進むよう、環境整備を働きかけるべきと考えます。見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、スポーツ施設におけるスタッフの配慮や小型ホワイトボードを使用した情報伝達方法の工夫等の好事例を掲載したマニュアルの周知に取り組んでまいりました。
 今年度、東京二〇二〇大会や障害者差別解消法改正等を契機とした事例を収集し、改定を進めております。
 来年度は、新たに、希望する区市町村スポーツ施設に対してアドバイザーを派遣し、障害のある方のスポーツ施設の利用促進に向けた改善等の取組を後押ししてまいります。
 また、民間スポーツ施設には、新たなマニュアルを活用した研修を実施し、きめ細かく普及を図ってまいります。
 こうした取組などを通じまして、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめるよう、環境整備を一層促進してまいります。

○まつば委員 また、特にデフリンピックでは、あと二年余りの間にアスリートの育成を急ぐ必要があり、時間的猶予はありません。
 身体能力に優れ、運動への関心が高い若手のデフ人材や、ろう学校の部活動スポーツで活躍する生徒などへの掘り起こしや声かけを急ぐ必要があります。
 都は、聴覚障害の当事者団体や一般の競技団体、特別支援学校などとの連携を深め、積極的なアプローチで次世代を担う選手の掘り起こしを行うべきと考えますが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、国際大会等を目指すパラアスリートを輩出するための体験会を実施しており、今年度から、聴覚障害者も対象に加えました。
 バドミントンと自転車の体験会を実施したところ、その中から競技団体主催の強化合宿への参加者が出るなど、新たな選手発掘につながりました。
 来年度は、デフスポーツの体験会を二回実施し、体験できる競技数も拡大いたします。
 さらに、チラシ配布やポスター掲示、ウェブ広告の配信に加え、一般の競技団体等にも周知広報の協力を一層働きかけ、より多くの聴覚障害者の参加を促してまいります。

○まつば委員 さらに、デフスポーツの場合、オリ・パラアスリートのような支援スキームの整備は、まだ端緒に就いたばかりであります。
 都は、個々のデフアスリートを支える人やデフスポーツ競技団体の支援を行うべきと考えますが、見解を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまで、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を図るため、都の認定選手と共に競技に参加する一部のスタッフに、大会参加費等を支援してまいりました。
 来年度は、コーチやトレーナー、競技指導を受ける上で必要となる手話通訳者など、選手を支える様々なスタッフに対象を拡大し、最大十万円の経費支援を行います。
 また、デフスポーツの中央競技団体が都内で行う競技大会の開催や普及啓発イベント等に対しまして、一団体当たり二百五十万円を上限とする補助事業を開始いたします。
 今後とも、こうした取組を通じて、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を後押ししてまいります。

○まつば委員 最後に、防災対策について一問お伺いいたします。
 女性視点の防災ブックである「東京くらし防災」でございます。
 都議会公明党が小池知事に提案し、発行された「東京くらし防災」は、きめ細かい目線からまとめられたものであり、これまで多くの都民の皆様に活用されてきました。
 発行から五年が経過し、来年度にリニューアルをするということですが、その実施に当たっては、これまでの災害などから得られた経験や被災された方々の声を踏まえ、専門的な知見に基づき一層役立つ内容とし、都民の皆様お一人お一人が、その情報を基に防災対策を進められるよう取り組むべきですが、見解を求め、質問を終わります。

○野間総務局長 都は「東京くらし防災」のリニューアルに向け、先月、要配慮者に関する防災の専門家や出版物の編集者など、六名の委員から成る編集・検討委員会を新たに設置いたしました。
 第一回の委員会では、多くの命を守るため、女性に加え、高齢者や障害者など、様々な立場の人々が発災時に抱える課題を知る機会にすべき、取るべき行動がより具体的に分かる記述とすべきなど多くの意見をいただいております。
 引き続き委員と議論を重ね、リニューアルした「東京くらし防災」を全世帯へ配布し活用していただくことで、自助、共助のさらなる促進につなげてまいります。

○高倉副委員長 まつば多美子理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十八分休憩

ページ先頭に戻る