予算特別委員会速記録第二号

   午後三時五分開議

○菅原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 福島りえこ委員。

○福島委員 都民ファーストの会東京都議団を代表し、質疑に入ります。
 令和五年度予算案は、代表質問でも取り上げたとおり、東京の未来を見据え、日本を牽引する予算となっています。
 一方、都税収入が好調な状況から、東京だからできるとか、自治体間の格差が広がる、東京富裕論につながるなどの声も聞かれますが、こうした積極的な施策展開を支えているのは、知事が就任以来進めてきた東京大改革にほかなりません。東京大改革の旗の下、未来を見据えた財政運営にどのように取り組んできたのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 高齢化の進行、都市の強靱化、産業構造の転換への対応など、東京が抱える課題は一層の高度化が見込まれております。景気に翻弄されやすい財政構造を持つ都が、こうした課題の解決に向けまして、積極的な施策の展開を図っていくためには、持続可能な財政運営は不可欠であります。
 こうした考えの下で、知事就任以来、東京大改革の信念を掲げて、ワイズスペンディングの取組を徹底し、強固な財政基盤の堅持に取り組んでまいりました。
 具体的には、約五千ある全ての事業に終期を設けまして、徹底的な見直しを行うなど評価制度の充実を図り、七年間で六千九百億円の財源の確保につなげてまいりました。
 また、都債の発行抑制によりまして、都民一人当たりの残高は、平成二十八年度の四十三万円から令和五年度末には三十四万円へと減少する見込みであります。
 こうした不断の見直しを重ねたからこそ、都民にとって真に必要な施策を積極的に講じることが可能となっております。
 今後とも、改革の歩みを止めることなく、東京を世界の中で輝き続ける都市へと昇華させてまいります。

○福島委員 予算編成の一環として、都は昨年度から、目標の達成度や外部有識者の意見を踏まえ、新たな事業の構築など施策全体の方向性を評価する政策評価と、一つ一つの事業を検証し、効率性、実効性を向上させる事業評価を一体的に実施をしています。
 私たちはこれに対し、統計的な分析手法の導入、いわゆるエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、EBPMの推進を求めてきました。解決したい課題の多くは複数の要因が影響しており、これらを切り分け、個別事業の効果を測る方法として統計分析は欠かせません。
 都は令和五年度予算編成の政策評価において、外部有識者の意見を取り入れつつ、回帰分析や共分散分析など、専門的な統計分析に新たに取り組みました。私たちの要望により、大きな一歩を踏み出したと評価をしております。
 国家予算並みの予算を扱う東京都が、政策評価におけるデータ分析の取組に加え、分析をしたという事実をしっかりと発信していくことは、国内のEBPMの推進に大きな意義を持つと考えます。
 令和五年度予算編成の政策評価で実施したデータ分析の結果について、都庁内や都民に対して伝えることで、こうした取組をさらに広げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉村財務局長 令和五年度予算編成では、政策評価における事業の効果検証に際し、各分野の有識者からの意見の聴取に加えまして、行政管理等の専門家からデータを用いた合理的な分析手法についても助言を受けまして、統計的に有意な差があるかを検証するなど、より客観性の高い評価に取り組んでまいりました。
 こうした取組を継続的に実施することはもとより、より成果重視の視点から実効性、効率性の高い施策の構築につなげていくため、さらに拡大していくことが重要と考えてございます。
 そのため、今年度に実施いたしました統計分析の事例を取りまとめ、各局と共有するとともに、都民へ分かりやすく情報を発信していくなど、引き続き制度の一層の充実を図ってまいります。

○福島委員 都には、政策面に加え、政策効果検証においても、国内を牽引していただくことを望みます。
 続いて、私たちの重点領域に関する予算について、順に取り上げてまいります。
 最初は、私たちが会派結成以降、最重点領域として取り上げてきた子供、子育て、そして教育分野です。
 まず、来年度予算案に、私たちの求めに応じて都が創設した出産応援事業、赤ちゃんファースト事業を来年度も継続すること、さらには、出産、育児の準備にも充てられるよう、切れ目のない支援にブラッシュアップされることを評価いたします。
 この切れ目のない支援として、私たちは、フィンランド発祥のネウボラを参考に、一家に一人の保健師が継続してその家族を担当し、妊娠から出産、子育てに関するあらゆる相談にワンストップで対応する体制を求めてきました。
 これに応え、都は令和四年度から、妊娠期から就学まで継続して寄り添い、様々な支援をコーディネートする人材を育成するとうきょう子育て応援パートナー事業を開始、来年度から本格実施するとしています。
 母子保健分野と児童福祉分野といった行政の縦割りや、職員の異動などに子育て家庭が振り回されることのないよう、徹底して子育て家庭に寄り添う支援を展開していくべきですが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は今年度、区市町村の母子保健部門と児童福祉部門が共通で使用するアセスメント基準や効果的な支援の実施に向けた研修プログラムを作成しています。
 来年度は、チーム体制で子育て家庭に継続的な支援を行えるよう、母子保健部門に心理職などの専門職や児童福祉部門との調整を行う職員を配置する区市町村を支援するとともに、これらの職員に専門的な研修を実施いたします。
 こうした取組により、両部門が一体となって妊娠期から子育て家庭に寄り添い、子育て家庭が切れ目のない支援を実感できる体制を構築してまいります。

○福島委員 この切れ目のない支援という観点から、さきの定例会において、私たちは、認証保育所、これを子育て支援の拠点とするように求めて、これに対して、都からは、支援や制度の見直しを検討するとの答弁を得ています。
 待機児童が解消されつつある中、柔軟な一時預かりや学齢期の受入れ、そして、医療的ケア児や発達障害を持つ子供たちの受入れなど、新たな取組を構築しようとする認証保育所を支援し、子育て家庭の課題解決拠点としての役割も高めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、認証保育所について、短時間利用への対応や学齢児の受入れを行える仕組みを設けるほか、医療的ケア児の受入れや障害児保育、アレルギー児対応などの取組も支援してございます。
 来年度からは、保護者の育児不安や孤立を解消するため、児童相談所等が継続的な見守りが必要と判断した児童を受け入れる取組に支援を開始いたします。また、より安全な保育環境を確保するため、看護師等を配置できるよう新たな加算を設けます。
 今後、認証保育所が子育て支援の拠点として地域の多様なニーズにより的確に対応できるよう、区市町村と連携しながら一層支援してまいります。

○福島委員 認証保育所を子育て支援拠点として機能強化する、こういったことを評価いたします。
 これまで都は、待機児童の解消、不妊治療の助成、出産応援事業等による産前産後も含めた出産の負担軽減など、国の政策を牽引してきました。来年度予算に向けて、都民の声を受け、私たちが要望し、小池都知事が決断をした所得制限のない子育て支援策、〇一八サポートに関しても、多くのご期待の声をいただいています。
 静かなる有事ともいえるこの少子化問題に対し、国の取組が規模とスピードの両面で不足していることに対し、都の少子化対策費は、小池都知事が就任する前の平成二十八年度に比べて約二・五倍と、その覚悟はこの予算額にも表れています。
 これら政策の実行と並行して、少子化対策の効果検証もまた極めて重要です。しかしながら、さきにも述べたように、要因は複合的であることに加え、長期的な視点も必要であることから、単年度の政策評価、事業評価の枠組みに沿いません。
 そこで、都の大学の知見を活用するなど多岐にわたる専門人材と協働することで、効果検証と次の政策立案につなげる仕組みを構築するべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 少子化対策、これにつきましては、もう長年、国会議員の時代から、婚活・街コン推進議連やフィンランド友好議連の会長を務めるなどなど、数多くの議員連盟の活動を通じまして、女性の活躍、少子化対策などに取り組んでまいりました。
 チルドレンファーストの社会の実現こそ、未来への投資であります。その考えの下で都知事就任後は、これまで重ねてきた子供、女性政策の実践に加速度的に取り組んでまいりました。
 この間、待機児童対策、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行ってまいりました。そして子供政策連携室を設置して、各局連携の下で様々な議論も行ってまいりました。
 今ご議論いただいております来年度の予算編成に当たりまして、今日の危機的な少子化の状況、これを踏まえて、取組をさらに充実強化することといたしました。
 取組の実効性を担保するためには、施策の検証を行って、その結果を踏まえてバージョンアップし続けることが重要であります。
 このため、都は、都民へのアンケートなど調査を行うとともに、幅広い分野の専門家から長期的な視点も踏まえました分析をいただいて、それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくのか、検証を行う仕組みの導入を検討してまいります。
 外部の知見も取り入れながら、より効果的な少子化対策を講じるための不断の見直し、これを着実に行ってまいりますことで、望む人が結婚、出産、子育てしやすい東京の実現を目指してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくか検証する、こういった取組を導入、検討いただけるという、誠に力強いご答弁でした。
 政策評価を行うことは、その分野の専門家、そして研究者の育成にもつながっていきます。都の取組、これを期待してまいります。
 次に、私たちが提案を重ね、世田谷区の都立砧公園に初めて都が整備したインクルーシブ公園、これはもう今や日本中に広がっています。このインクルーシブ公園において、遊具の整備だけではなく、障害のある子もない子も、そしてその家族、さらには、その地域に暮らす多様な方々が参加するインクルーシブなコミュニティの形成につなげること、これが大切です。
 一方、現状では、子供たち同士、そして親も、どのように一緒に遊んだらいいのか分からないということもあるそうです。心のバリアを取り除き、インクルーシブな環境を広げ、インクルーシブな遊びや関わりをサポートする、そんなプレーリーダーが求められています。
 令和五年度より始まるプレーリーダー育成事業においては、インクルーシブな遊びの視点を研修に取り入れ、インクルーシブプレーリーダーの育成を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山下子供政策連携室長 プレーリーダーは、子供と一緒に思い切り遊び、時には相談相手にもなる、子供が信頼を寄せる存在でございます。
 こうしたプレーリーダーが様々な子供と向き合う、いわゆるインクルーシブな視点を持つことは極めて重要でございまして、来年度から実施するプレーリーダーの育成研修において、この視点を取り入れてまいります。
 研修の実施に当たりましては、有識者の知見も活用しながら、国内外の先進事例や専門的な知識等を習得する機会を創出することにより、インクルーシブな視点を備えたプレーリーダーの育成に取り組んでまいります。

○福島委員 ありがとうございます。インクルーシブ公園というハードウエアの整備に加え、それを取り巻くコミュニティの形成に向けた大変重要な取組です。引き続き、検討をお願いいたします。
 子供の権利のうち、国内での取組が不十分であることの一つに、包括的性教育へのアクセスがあります。特に都は、都議会の過去の経緯もあり、若者への性教育の充実が遅れてきましたが、私たちの働きかけにより、平成三十年までに性教育の手引を改定、昨年末には若者の悩み相談を行うユースクリニック、わかさぽが開設されるなど、この領域についても取組がようやく進みつつあります。
 また、さきの定例会で、私たちは、女性や若者の体を守る観点から、緊急避妊薬アフターピルへのアクセス改善を求めました。都からは、関連する情報をより早く、そして分かりやすく得られるように取り組むとの答弁を得ています。
 来年度は、毎日ではありませんが、常設の相談場所を確保するというふうに聞いております。相談場所では、アフターピルを必要とするなど、家族に相談しにくい問題を抱えた若者から相談等があった際に、早期に病院等の関係機関との連携が図られるよう取組を強化するべきですが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都は今年度、とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽを立ち上げまして、十月に電話相談を、十一月には対面相談を開始いたしました。
 対面相談につきましては、新宿や渋谷など会場を変えながら、これまで八回実施をしておりまして、十二月に開催したワークショップには、私自身も参加いたしました。そして若者と意見交換をいたしました。
 来年度は、固定の相談場所を区部に設置をする予定でありまして、若者が気軽に何度でも立ち寄れる場としてまいります。
 また、妊娠の心配など、家族に相談しにくい悩みなどを抱えた若者にも、より一層寄り添えますよう、求めに応じて医療機関などに同行する仕組みを整えるなど、わかさぽの機能強化を図ってまいります。

○福島委員 ここまで子育て世帯に対する経済的支援の拡充や子育て、そして子供や若者の育ちを支える社会環境の整備について取り上げてまいりましたが、少子化の別の要因として婚姻率があり、結婚を望む人が結婚できる環境を整えていくことも重要です。
 近年、特にコロナ禍を経て、出会いにおけるマッチングアプリの占める割合が高まってきています。多数の会員から、AIなどのテクノロジーをバックボーンに相性のよい相手とマッチングすることから、成婚率が高いことが特徴です。
 従来の結婚相談等とは異なるこうしたAIなどのテクノロジーが支えるマッチングアプリを活用した結婚支援について、既存の事業者の知見を生かし、都として後押しをしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 結婚に関心のある人のうち、約七割の人が出会いの機会がないなどの理由で婚活をしていないという実態がございます。
 他県におきましては、行政主体のマッチングサービスをきっかけに活動を始める方が増え、結果として、民間の婚活サービスの需要の掘り起こしにつながったとも聞いております。
 こうした事例を踏まえまして、都は、民間の知見を生かして、AIによるマッチングや交流イベントなどを実施するとともに、業界自主基準ガイドラインに沿った事業者を紹介するなど、民間の婚活サービスに関心を持った方が安心して利用できる環境を整備いたします。
 これらによりまして、活動にちゅうちょしていた方が一歩を踏み出す後押しをしてまいります。

○福島委員 ご答弁いただいた他県の先行事例では、これまで利用していない方の掘り起こしにつながったという情報があるそうです。これらの先行事例も参考に、民間の婚活サービスとも連携しながら、取組の成果を出していただくよう要望いたします。
 次の領域として、医療、介護分野を取り上げます。
 少子高齢化が進む中で、財源の拡大を抑えながらも、享受できるサービスの質を高めていく取組が重要です。
 障害児の中でも、医療的ケア児の小一の壁は深刻です。医療的ケア児とその家族の社会的孤立を防ぐ意味でも、保護者の就労継続を社会で支援していく必要があります。
 都は今年度から、学童クラブで都独自の障害児を受け入れる加算を新設し、医療的ケア児の親の就労支援も目的とした放課後の居場所づくりをする区市町村への支援も創設しましたが、さらなる対策が求められています。
 医療的ケア児の保護者が子育てと仕事を両立し、安心して働き続けられるようにするため、預け先の確保や在宅レスパイト、就労等支援事業の時間の上限の緩和など、就学している児童生徒の放課後の支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 医療的ケア児とその家族が在宅で生活していくには、就労を希望する保護者が安心して働き続けられる環境を整備する必要がございます。
 都は来年度、訪問看護師を家庭に派遣する事業の利用上限時間を年間九十六時間から百四十四時間に引き上げるほか、より多くの区市町村が医療的ケア児の放課後等支援に取り組めるよう、働きかけを強化してまいります。
 また、医療的ケア児の育児経験者が自身の経験を基に保護者からの生活や就労等の相談に対応する取組や、日中預かりサービスを行う事業者に対して都独自に支援する取組を開始するなど、医療的ケア児の保護者の子育てと仕事の両立を支援してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 こういった問題は、今障害児のお子さんを持つ保護者の皆様が、以前は価値観として障害児のために自分の時間を全て尽くすことが是とされていたところから、しっかりと自分が社会に結びついていくことで、障害児をお子さんに持つご家庭がしっかりと社会参画しながら、お子さんにも多くの方と共に関わっていただきたい、そういったお声が出てくる中での環境整備です。しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、私たちは、住み慣れた地で暮らし続けるための地域包括ケアにつながる、在宅で二十四時間体制で医療を受けられる環境整備についても求めてまいりました。これを受けて、都が在宅医療推進強化事業を新規に予算化したことを高く評価をしています。
 在宅医療推進強化事業を進めるに当たり、コロナ禍において、往診医療機関との連携に積極的に取り組み、二十四時間体制を実現した事例を都内の地区医師会にも紹介することで、二〇二五年の地域包括ケアシステムの構築に向け、確実に事業を推進していくべきですが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、区市町村への支援や人材育成などにより推進してまいりました在宅療養をさらに加速するため、来年度新たに、地区医師会を通じた二十四時間の診療体制構築への取組を支援する在宅医療推進強化事業を開始いたします。
 都内全ての地区医師会から成る連絡会で事業の周知を図るとともに、往診医療機関の活用により二十四時間診療の取組が進んでいる好事例等を紹介するなど、地区医師会の本事業への理解と参画が進むよう、積極的に働きかけてまいります。
 在宅療養の実施主体である区市町村とも連携しながら、地域における切れ目のない医療提供体制の安定的な確保に向け、取組を充実してまいります。

○福島委員 さきに述べた往診もそうですが、オンライン診療や服薬など新しい医療サービスを普及させていくためには、医療機関への働きかけと同時に、都民にもその意義を知っていただき、さらには気軽にアクセスできるようにしていく必要があります。
 医療DXの一要素であるオンライン診療やオンライン服薬指導の意義を、都民、さらには医療機関、薬局に、より広く伝えていくことで、それらを選択しやすい環境を整備していくべきですが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 都は、医療機関案内サービス「ひまわり」や薬局案内サービス、「t-薬局いんふぉ」により、都民にオンライン診療やオンライン服薬指導を実施する医療機関及び薬局の情報を提供してございます。
 オンラインによる診療や服薬指導は、患者の移動の負担軽減や待ち時間の短縮など利便性向上に資するほか、医療機関や薬局での感染リスクを避けることができます。
 来年度は、こうした特性や利用手順等を都民に周知する動画を作成するとともに、医療機関及び薬局を対象にオンラインセミナーを開催し、導入事例を紹介するなど、患者、医療従事者双方の理解促進を図りながら、制度のさらなる普及啓発に取り組んでまいります。

○福島委員 オンライン診療や医師による往診などは、実際に使ってみた方からは、使ってみてそのよさが本当によく分かったという声をいただいております。ぜひこういった資源に都民の皆様がアクセスしやすくなるよう取り組んでいただきたいと思います。
 ここまで、在宅医療体制やオンラインサービスの活用など、医療資源へのアクセス改善について取り上げてきました。
 加えて、社会保障の領域で大切なのは、重ねて述べてまいりましたように、支出の増大を抑えつつ、医療や介護の質を高めていくことであり、そのためには、個人の医療データ、パーソナルヘルスケアレコードを収集し、切れ目のない医療提供に向けて最善を図っていく必要があります。その第一歩が本人確認を正確かつデジタルに行うことができるマイナンバーカードの導入であり、今後の進展を期待するものです。
 国は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、来年秋を期限として示しましたが、健康保険証の利用登録が進まないなど、課題も多く聞かれています。
 医療DXの入り口である健康保険証とマイナンバーカードの一体化について、都は積極的に課題克服に努めるなど牽引する役割を果たすべきですが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都民自らデータに基づいて健康を管理し、より良質な医療やケアを受けられるようにするには、医療や保健、介護などの分野でDXを進めることは重要です。
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、医療DXの基盤となるものであり、こうしたメリットを享受することができます。
 このため、都は、区市町村などの各医療保険者や企業の健康保険組合の代表で構成されます保険者協議会と連携して、この取組が進むよう対応してまいります。
 具体的には、区市町村などに対しまして、マイナンバーカードの保険証利用に関する国の補助制度の活用を強く働きかけてまいります。
 また、協議会で好事例を共有するなど、一体化が一層進むように取り組んでまいります。

○福島委員 次の重点領域は、スタートアップと文化で稼ぐ経済政策です。
 海外から選ばれる都市の実現に向けて、スタートアップをはじめとするチャレンジする人や、デジタル基盤への投資は大変重要です。
 中でも私たちは、Society五・〇時代を生きる子供たちが、デジタルを使って価値創造できる側の人、デジタル人材として活躍できるように情報教育の充実を訴えてまいりました。
 私たちの要望を受け、都は、プログラミング教育が必修化した小中学校に一校当たり一名のICTサポーターを配置する予算を確保しています。
 また、今年度より、高校で必修化した情報Ⅰでは、情報の教員向けの研修に加え、外部専門人材の活用も始めています。
 加えて、昨年の予算特別委員会では、知事より、文理問わず、副専攻として選択可能なAI・ロボティクスコースの設置と、都立大の入試において、デジタルを用いて価値をつくる側になるための教科である情報Ⅱ相当のスキルを評価する旨、ご答弁いただきました。
 そこから一年が経過し、さらに強化するべき点について幾つか取り上げてまいります。
 学校のデジタル化が進む中で、学校内のデジタル環境の維持管理や、デジタルを活用した授業を牽引するICTリーダーを務める教師に大きな負担がかかっていると聞いております。
 生徒の一人一台端末が導入され、学校生活における端末使用を日常化していくためには、校内のデジタル化を牽引するこのICTリーダーがその力を発揮できるようにしていくべきですが、見解を伺います。

○浜教育長 都立学校では、一人一台端末の学習環境が整備されたことから、今後は、端末を日常的に活用する授業への転換が求められています。
 このため、全ての教員がデジタルに関するスキルを高められるよう、ICTリーダーが中心となって、授業におけるデジタルの活用方法等の情報共有や、教員に対する校内研修などを行っています。
 今後、デジタル化の進展に伴い、ICTリーダーの役割と業務が一層大きくなることが見込まれることから、都教育委員会は、令和五年度からICTリーダーを担う教員の授業時数を、時間講師の配置により、週当たり四時間までの範囲で軽減できるようにいたします。

○福島委員 デジタル化を進めることは、将来的には教師の皆様の負担軽減につながるところではございますが、今この経過措置として課題になっている一部の教員に対する負荷軽減、こういった取組を打っていただくことを、高く評価をいたします。
 一方、現在お答えいただきましたのは都立学校についてのご回答でございましたが、小中学校のデジタル活用についても、私たちの要望を受けまして、現在、都が進めている時数軽減のメニューの一つである特色ある教育活動、これを活用することで担当教員の時数軽減が可能であるというふうには聞いております。年々実施する規模を今拡大しているというふうに伺っておりますが、この小中学校のデジタル活用も一層進むよう、こちらの事業についても、引き続き推進を要望いたします。
 今春、十七大学がデータサイエンス系学部を新設するとの報道がありました。社会、そして産業界が情報スキルで価値創造をできる人材を必要としています。
 さきに述べたように、都立大学入試におきまして、この情報Ⅱ相当のスキルを評価することをご答弁いただいておりますが、高校でこの春から設置可能なこの情報Ⅱ、これを教育するための環境整備も重要です。
 そこで、令和四年度に情報Ⅰで実施をしたように、令和五年度から開設される情報Ⅱにおきましても、外部人材を活用するとともに、教員に対する研修を行うなどの質を高める取組を行うべきですが、見解を伺います。

○浜教育長 令和四年度から高校の必修科目となった情報Ⅰの指導を充実するため、都教育委員会はこれまで、IT企業の専門家が学校を訪問して実践的な授業を行うなどの取組を行ってまいりました。
 令和五年度には、発展科目である情報Ⅱを確実に指導するため、都教育委員会は、ビッグデータの活用や人工知能の仕組み等を扱う教員向け研修会を開催いたします。
 この研修会では、大学教授などの専門家を招いた講義や指導力の高い教員による模擬授業を行い、より実践的な指導方法を紹介することにより、質の高い授業を実施できるよう支援してまいります。

○福島委員 情報Ⅱにおいても、質を高める取組を行うとのこと、ぜひよろしくお願いいたします。
 さらに加えまして、東京都は、来年度予算において、希望する都立高校生を対象にアプリ開発ソフトを提供し、ワークショップを通じて、このスキルを高めた上でコンテストを行う、こういった予算も計上しました。身につけた情報スキルを使って課題解決に取り組み、友達や先生に使ってもらう経験の場を設けることを、高く評価をいたします。
 私たちはこれまで、都のオープンデータ化を求めてまいりましたが、この活動におきましても、自らが暮らす社会の状況を捉えた様々なデータを利活用することで、よりリアルで、そして豊かな体験に結びつくと考えます。
 そこで、アプリ開発のワークショップにおいても、データ利活用についても、学習するようにするべきと考えますが、見解を伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、令和五年度、都立高校生五千人にモバイルアプリの開発ソフトを提供するとともに、アプリ開発スキルを習得するため、ワークショップを行います。
 また、社会的課題をデジタルで解決するアイデアを競うハッカソンやプログラミングコンテストを開催いたします。
 こうした取組に当たっては、様々なオープンデータ等の活用方法についても紹介をいたします。
 生徒が身近な問題に関心を持ち、デジタルの力で解決する学習の機会を通じて、デジタル人材の育成を図ってまいります。

○福島委員 文科省の調査によれば、小中学校の先生の約二割がいまだこのデジタルデバイスを使った授業に不安を覚えているということです。
 学校教育でプログラミングに興味を持った子供たちがもっとやってみたいと思ったときに、無償で最新のテクノロジーに触れ、さらにはこの専門人材や先輩に相談ができる場所として、いわゆるコンピュータークラブハウスが知られています。私たちはこのような場所を地域に設けることで、こういった子供たちはしっかりと学んでいける、そういったことをご提案させていただきました。
 これに対して、さきの代表質問にて、来年度、新たに子供向けデジタル体験向上プロジェクトを立ち上げるというご答弁をいただいております。
 この子供向けデジタル体験向上プロジェクトを来年実施するに当たり、既存の子供の居場所に併設するなど、より多くの子供たちが参加しやすくなるように取り組むべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○久我デジタルサービス局長 来年度立ち上げる子供のデジタル体験向上プロジェクトは、初歩のプログラミングや創作活動など、子供たちが気軽にデジタルに触れ、楽しむことのできる機会の創出を目指しております。
 子供が参加しやすい場づくりに向けては、学校、児童館など、子供が通い慣れている場所の活用や、企業、大学と連携し、デジタルスキルを持つ大人と楽しく交わりながら学べるなどの工夫が重要でございます。
 現在、国内外の先進事例調査や自治体、NPO等との意見交換を進めており、意欲ある区市町村等の協力も得ながら、子供たちが親しみを持って参加できる場となるよう取り組んでまいります。

○福島委員 先進事例調査に加えまして、自治体、NPOとの意見交換を進めているというご答弁でございました。
 こういった取組において、諸外国においては、民間企業が非常に積極的に参画をしております。
 今この社会におきまして、デジタル人材の不足や、また、人材シェアリング、これまでの質疑におきましても、例えば区市町村にはデジタル人材が足りない、そういったお声が上がってきておりますけれども、そもそもこういった領域に子供たちが興味を持って育っていくこと、これは大変重要です。
 小学校でプログラミングに出会い、そして興味を持った子は、今ほどご答弁にありました身近な場所で仲間とより学ぶことができて、さらに都立高校や都立産業技術高等専門学校に進学すれば質の高い情報教育を受けることができ、さらに、そこで学んだことを都立大の入試で評価してもらえる、都内でそのような環境が整いつつあることを大変うれしく思います。
 ここまで、子供たちの教育に関して、主に情報について述べさせていただいてまいりましたが、今この時期は、都立高校において卒業式が開催されておりまして、私も時間が許す限り参加させていただくようにしております。そこで、送辞に答える形で、卒業生代表者が答辞を述べるんですけれども、非常に印象的な言葉があったので、ご紹介をさせていただきます。
 この春高校を卒業する生徒たちは、本当に二〇二〇年、コロナ禍に入学式を迎えた生徒たちです。大体そのパンフレットには、これまでの三年間の歩みというものが載っているんですけれども、そこには、中止ですとか延期、そういった言葉がたくさん並んでいます。合唱祭は一度もできなかったとか、また、修学旅行については場所を見直して三年生に何とかやった、そういったことが載っておりました。
 そこで、答辞でその高校生が述べたことは、政府からはマスクやお金は届いた。でも、私たちの高校時代の時間、これが私たちは一番欲しかった、そういった答辞がございました。
 はっきりいって、高校生を含むこの若年時代は重症化率が低い、そういった状況にあるにもかかわらず、ある意味、日本全体のハイリスクである方々に感染症を拡大するためのクラスターをつくらないために、日本のために、そういった、この三年間を我々の社会を持続的にするために協力してきてくれた世代だと思います。
 その三年間の高校生活の中で学んだこと、そして友人と協力したことをもって彼らは大学や社会に出ていくわけですけれども、そういったことをこの世代に我々が担っていただいたということを忘れずに、この世代と付き合っていきたいと、私自身も思いましたし、共有をさせていただきました。
 次に、デジタル人材の確保について引き続き申し上げさせていただきます。
 さきの代表質問において、宮坂副知事より、新たに立ち上げるGovTech東京についての答弁がありました。この組織を機能させ、高品質なサービスを生み出していくためには、優秀なデジタル人材をいかに確保するかが大変重要です。
 GovTech東京では、経験豊富な人材に加え、デジタル技術を身につけた若手など、多様な人材を確保できるようにしていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 GovTech東京では、本年九月の事業立ち上げ時には、都庁各局や区市町村のデジタルサービスの開発プロジェクトに参画し、ITベンダー等開発事業者との調整などの技術的サポートを中心に事業を進めてまいります。
 そのため、当初確保する人材としては、プロジェクト管理やシステムの全体設計などに精通し、きめ細かなアドバイスや調整を円滑に行える経験豊富な高度専門人材を想定しております。また、事業展開に応じて、例えば、団体自らサービス開発を行う際には、ソフトウエアやネットワーク等の高い開発スキルを有する意欲ある若手層など、多様なデジタル人材の登用を図ってまいります。

○福島委員 さきに述べた都立産業技術高等専門学校に、昨年春、私は視察に伺わせていただきました。
 ここでは、中学卒業後から情報を専門的に、かつ集中的に学び、そして、この卒業した生徒は、就職後すぐに大企業の情報教育を担うようなケースも出ているというふうに伺っております。高専の卒業生は最も若くて二十歳です。GovTech東京がこのような人材の受皿にもなっていくことを求めます。
 都は、都内のデータを集約するプラットフォーム、TDPFの構築を来年度予算に盛り込んでいます。データの標準化と同様に私たちが大切だと考えているのが、システムの共通化です。
 基礎自治体の行政手続は共通する部分が多く、各自治体が個別にシステムを開発するのは非効率です。システムを共通化することができれば、データも標準化されやすく、こうした取組をGovTech東京がしっかりとサポートしていくべきです。
 都内の行政関連のシステム構築に当たり、CIO意見交換会等を通じ、区市町村の取組を把握するとともに、GovTech東京が協働して取り組み、優れたものについてはその仕様を展開したり、またはOSS化をサポートするなどにより、システムを都内で共通にしていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

○宮坂副知事 区市町村からは、GovTech東京に対して、多くの区市町村に共通するニーズについて、共同でデジタルサービスを開発することにより、コストや開発期間の縮減を期待する声があります。
 そのため、GovTech東京では、専門人材から成るプロジェクトチームが、区市町村の課題や要望を踏まえ、例えば、公共施設の予約管理や乳幼児健診の申込みアプリを開発するなど、オープンソースも活用しながら、自治体と協働した取組を進めます。
 こうして開発したサービスについて、ほかの自治体に積極的に紹介し、横展開を進めることで、都内全体のサービスレベルの向上と効率化を図ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。大変重要なご答弁だと思います。
 行政の制度は、なかなか一者指定などができないこともあり、こういった行政システムも含めて、様々な仕様が乱立する傾向にあります。できてしまったシステムを後からつなぐこと、これに大変なコストがかかっています。もし東京が、こういった基礎自治体の取組をきちんと精査し、よりよいものを展開する、こういった役割を果たすことができれば、さらには、こういったオープンソースなども使って、仕組み化することができれば、これは、実はこの都道府県の仕組みをさらに国が共通化する、そういった仕組みにもつながる取組だと思っております。
 システムが共通化することができれば、しっかりとそこで扱えるデータ、これもきれいな形で入手することができて、これからの、例えば、ビッグデータを使ったAI、そういったものを使った政策の効果検証、さらにはブラッシュアップに大変重要な取組だと思っております。今ご答弁にありました共通化に向けた取組、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、キャッシュレス化でございますが、これも大変興味深い動向です。
 行政機関においては、行政手続の効率化や資産管理のスピード化をもたらします。加えて、将来的には、補助金や給付金をデジタルマネーにすることができれば、条件に合わせた給付を容易に、さらにスピーディーに行えたり、事後の収支報告書関連の書類作成を自動化する、さらには、私の地元、せたがやペイの事例のように、自ら管理できる、そういった電子マネーをつくることができれば、お金の流れに関わる情報を把握し、政策の効果検証ができる可能性も指摘をされています。
 これらは、紙のお金にはできなかった取組です。こういった大きな可能性を秘めたデジタル通貨に係る最新の技術動向を捉えていくため、社会実装に向けた実証実験に積極的に参加をするなどして知見を得ていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○児玉政策企画局国際金融都市戦略担当局長 デジタル通貨には、決済コストの低減や経済全体のイノベーションなどの効果が期待されており、日進月歩で技術開発が進んでいます。フィンテック企業の振興に取り組む都といたしましても、常に最新の技術動向を把握することが重要です。
 このため、都は今年度から、金融機関など約百社が参画するデジタル通貨フォーラムに加入し、ブロックチェーンを活用したデジタル通貨の実用化に向けた実証実験にも参加しているところでございます。
 ここで得られた知見につきましては、金融のデジタライゼーションに向けた施策の検討に活用するとともに、関係局にも共有してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。施策検討に加え、ぜひ、このご答弁にありました関係局に共有をすることで、またそこからニーズを引き出し、このデジタルマネーの、今、プラットフォーム、検討する団体に参加しているということなんですけれども、逆に行政側からはこういうニーズがあるということを積極的に入れ込むことで、使えるデジタルマネーにしていっていただければと思います。
 先日、二月二十七日、そして二十八日に、スタートアップ支援を目的とするCity-Tech.Tokyoが東京国際フォーラムで開催されました。私を含め、我が会派の多くの議員も現地に視察に伺わせていただきました。
 スタートアップ企業のグローバル展開に不可欠な国内外の投資家はじめ関係者によるグローバルなエコシステムが形成されるきっかけとして大変重要であり、まずは端緒に就いたことを評価いたします。
 また、並行して、持続可能な社会の実現を目指したG-NETSメイヤーズ・サミットが開催され、参加都市の首長が、各都市の政策や、そして今後の展望等について発表するなど、そこでも東京都の先進的な取組に多くの注目が集まっています。
 今後、SusHi Tech Tokyoの取組を加速し、海外の先進事例も取り込みつつ、世界に向けて東京のプレゼンスをさらに高めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 感染症、気候危機など、これまでにない大きなうねりの中にある今こそ、変革を起こし、東京から未来を変えていく必要があります。その起爆剤となるのがSusHi Tech Tokyoであります。
 今回が初めての開催にもかかわらず、City-Tech.Tokyoの方では目標の二・六倍となる参加者を得、またG-NETSの方では、世界から三十四都市と、目標を上回る参加が得られました。
 また、これらを同時に開催することで、大きなシナジーも生み出したところでございます。
 今回、コミュニケーションを英語で統一することによりまして、国境を越えて多くの人々が交わり、イノベーションの種がまかれたものであります。これを花開かせ、新たな価値へと結実させてまいります。
 ここで得られました様々なネットワークを生かして、世界的スタートアップイベントの機会などを捉え、オール東京で技術やアイデアを発信してまいります。
 さらに、世界の都市とのワーキンググループを新たに設置いたしまして、都市課題の克服に向けた具体的な議論を進め、連携を深めてまいります。
 こうした成果を踏まえて、SusHi Tech Tokyoを旗印に、来年の五月におきましては、東京のベイエリアを舞台に、未来の都市を体感するイベントを開催いたします。
 持続可能な社会に向けた道筋を東京から指し示すことで世界をリードし、国際的なプレゼンスを高め、国際競争を勝ち抜いてまいります。

○福島委員 まず、コミュニケーションが英語で統一されていること、これは本当に、こういった英語を身につけなければ、こういった国際的な場では活躍できないんだということを国内の人たちにも感じさせる、そういったとてもよい取組だと思いました。
 加えて、このポータブル水再生プラントや観光名所とまち中の回遊を把握するアプリなど、すぐにでも都が活用できそうなサービスについては、都有施設をフィールドとして提供したり、都の公共調達につなげるなど、都には、このCity-Tech.Tokyoの成果を次につなげる、そういった取組を求めます。
 DXやGXなどの産業構造の転換とともに、我が会派はリスキリングの必要性をかねてより訴えてまいりました。そして、東京版ニューディールの一環として提案もしてまいりました。新たに、GXの動向を見据えた人材のグリーンシフトにも取り組むべきです。
 環境関連産業への就職の支援や、さきの定例会でも取り上げたとおり、グリーン分野の人材を重点的に育てる拠点となる職業能力開発センターを選定し、施設、設備をバージョンアップするなど、成長産業であるグリーン分野に人材をシフトさせ、東京の国際競争力を高めていく取組を加速していくべきですが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 将来の成長が見込まれる環境関連の事業分野で活躍する人材を増やすため、求職活動と能力開発の両面から後押しを行うことは重要でございます。
 都は来年度、脱炭素の技術を生かし事業を展開する会社等に求職者が派遣で働いた後、そこで正社員となる支援を五百人の規模で実施いたします。
 また、GXの技術に対応できる人材の育成に向け、職業能力開発センター赤羽校に関し、再生可能エネルギーのシステムを操作する実習を開始いたします。
 さらに、環境に配慮した技術分野の会社への就職に役立つ訓練を行う拠点とするため、赤羽校の建て替えを図ります。
 これらによりまして、東京版ニューディールの成果を踏まえ、環境関連の分野の人材確保を重点的に進めてまいります。

○福島委員 人生百年時代を見据えまして、シニアやプレシニアがより活躍できるようにしていくことも重要です。
 都は、活動する意欲があってもできていない層に向けて、社会参加活動をマッチングするオンラインプラットフォームの構築を予算化しました。これは、コミュニティの強化にもつながる取組であり、高く評価をいたします。
 しかしながら、このプラットフォームが成功するかどうかは、利用者と社会参加活動の双方の数を増やせるかどうかにかかっています。
 リアルにおいてマッチングプラットフォーム的な役割をしてきたシルバー人材センターや社会福祉協議会、そしてボランティアレガシーネットワークなどの取組に今後参加していただくために、これらの団体がマッチングに必要としてきた機能を丁寧にヒアリングし、新たに開発するオンラインプラットフォームに搭載することが有効であると考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 人生百年時代において、高齢者が気軽に就労やボランティアへ参加できる環境づくりが重要でございます。
 このため、都は今年度、社会参加の意欲がありながら活動につながっていないシニア、プレシニアに対して効果的な支援の在り方を検討するため、有識者等で構成する委員会を立ち上げました。自治体や民間の取組事例、高齢者等への意向調査なども参考に検討し、シニア、プレシニアと社会参加活動との広域的なマッチングのためのオンラインプラットフォームを構築することといたしました。
 この構築に当たりましては、区市町村等から意見を聴取するとともに、今後、連携先となるシルバー人材センターや社会福祉協議会等の関係機関が必要とする機能を丁寧に聞き取るなどして、より多くの個人や団体が参加できるよう取り組んでまいります。

○福島委員 私は、都議会議員になる前に、こういった福祉協議会がやっている高齢者支援の取組に三年間ほど参加をしておりました。お隣のお隣のマンションに住んでいる八十代のご高齢の方だったんですけれども、その方の家に一週間に一度行って生活のお世話をするというものです。
 それは、私が望むこれからの社会において、肉親、血縁に頼らない、そういったネットワークができることが、その先の暮らしを豊かにするというふうに信じておりましたので、そういった仕組みを使って、私自身が体験しようと思って三年間続けてまいりました。その方は、その後私は転居をしたんですけれども、都議会議員になったときにおめでとうという手紙を送ってくださっております。
 そこで感じたのは、やっぱり一番最初のマッチングが非常に難しいというお話でした。相性がよくないとやはり問題だそうで、そこは、社会福祉協議会の皆様が、このご家庭であればこの人が大丈夫であろうという、そういった経験に基づいたマッチングをされているわけです。こういったオンラインプラットフォームをつくっていただくときに、そういったノウハウをどこまで取り込んでいけるかということが肝だと考えております。
 このプラットフォームの構築に当たりましては、ビッグデータ分析は当然なんですけれども、やりがいや環境でマッチングする、民間の人材マッチングサービスの取組、こういったことも起きておりますので、こういったことを参考に、双方が満足する、そういったシステムにしていく必要があります。
 プラットフォームの開発に関わる仕様の確定に当たっては、民間で実施している人材マッチングサービスの工夫についても調査すべきと考えますが、見解を伺います。

○西山福祉保健局長 オンラインプラットフォームの構築に当たりましては、来年度実施する基本計画の策定及びシステムの要件定義において、人材マッチングサービスも含め、既存システムに関する情報を幅広く収集し、最適な要件を検討してまいります。

○福島委員 ぜひお願いをいたします。
 では、高齢化や後継者の減少が進む東京の農業においても、人材不足が顕著になっております。一方で、若者の就農意欲が高まっている、そういった報告もございます。新規就農する際の最大の課題は農地を見つけることであり、農地を借りやすい、貸しやすい仕組みをつくっていくことが極めて重要です。
 加えて、農業法人等への就職など、安定した雇用環境を求める方や、テレワークの普及や副業、兼業などの柔軟な働き方と組み合わせる半農半Xを目指す方も出てきています。
 東京農業を支える人材の確保に向けて、新規就農者が農地を借りやすくなるようなさらなる支援を強化するとともに、農業法人等での就農や半農半Xを希望する方など、サポートしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、農業の担い手の確保に向け、新規就農者へのサポートの強化に加え、農作業に従事する人材を雇用し育成する企業への支援を開始いたします。
 具体的には、農業を始める方に生産緑地を長期にわたり貸し出す取組を増やすため、貸主に対し、土地の面積に応じ、奨励金を支給いたします。また、農作物の生産を行う法人が人材や農地の確保を効果的に進めるための相談窓口を設け、助言を実施します。
 さらに、こうした企業が農地を借り上げ、建物を含め整備を行う経費の五分の四の助成を行うほか、従業員の研修経費についても支援を実施いたします。
 こうした法人への就職や副業による就農を目指す人材が、栽培技術を学び、農家とも交流する拠点の整備を図ります。
 これらによりまして、東京農業の人材確保を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 加えて、次に、森林循環についてもお伺いをいたします。
 東京の貴重な森林を守り育てるためには、森林循環を促進するとともに、多摩産材の需要を拡大していく必要があります。
 持続可能な東京の森林循環を実現するため、工務店等が容易に多摩産材の情報を入手できるような環境の整備など、民間住宅における多摩産材の利用拡大を拡充するとともに、先進技術の利用により、多摩産材の供給面の効率化をさらに強化していくべきですが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、多摩産材のPRを強化し、住宅資材での活用を後押しするほか、木材供給の効率化を支援いたします。
 具体的には、多摩産材を幅広く紹介する拠点を区部に新設し、工務店や消費者にきめ細かい情報提供を行います。この拠点では、工務店と製材所のマッチングも後押しをいたします。
 また、多摩産材等を利用し、省エネ性能の高い住宅に改修する場合、東京の農林水産物などと交換できるポイントの提供を二百件の規模で実施いたします。
 さらに、作業の効率化に向け、伐採した木を最先端の技術を用い、自動で丸太に切りそろえる機械等を導入し、事業者に貸与いたします。

○福島委員 東京の農業や、そして林業をしっかりと支援する、そういった予算が組まれていることを確認させていただきました。
 この森林循環におきましては、十分な需要も必要です。
 そこで、木材としての利用のみならず、再生可能エネルギーである木質バイオマスについても、採算性や課題など、今後実用性を研究していくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は、再生可能エネルギーを利用した農業生産の促進に向け、多摩産材で作り出した木質バイオマスの活用を進めます。
 具体的には、多摩産材等を細かく砕いたチップ状の木質バイオマスを燃料とし、農業用のハウスに熱を供給し、野菜の生産を行うほか、発電機を動かし、電力を電気事業者に販売いたします。
 来年度は、多摩地域に新たな農業用のハウスを整備し、それに木質バイオマスを使う機器を設置して、熱と電力の供給等を開始いたします。また、これに関し、生産者団体や学識経験者のほか、民間事業者にヒアリングを行い、その効果や収益性の向上に係る取組を進めます。
 今後とも、多摩産材の活用を効果的に進めてまいります。

○福島委員 我々としましては、森林循環に向けた需要の拡大で、この木質バイオマスが果たす役割は大変大きいと考えております。まずは、農業分野で木質バイオマスの活用に取り組むというご答弁でしたが、ぜひ、他分野への展開に関しても、今後検討するように求めます。
 企業における脱炭素化の取組を促進する上で、国際金融面からのアプローチである排出量取引が注目をされています。
 昨年、エジプトで開かれ、知事も出席されたCOP27においても、脱炭素化に向けた手法としてカーボンクレジット取引について議論が交わされたというふうに聞いております。
 都としても、脱炭素社会の実現に向けて、こうした世界的な動きに遅れることなく、企業における排出量の削減と資金調達の新たな手法となる排出量取引の活用に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京のカーボンニュートラルを効果的に進める上で、様々な企業が最大限のCO2削減を行い、その成果を他の会社にも提供し、産業全体の脱炭素化に結びつけるという視点は重要です。
 世界では、CO2の排出量などを金融市場により取引する仕組みも立ち上がっています。ゼロエミッションの加速に向けて、排出削減の努力と金融システムを組み合わせる工夫は必要です。
 国内におきましては、排出量を取引するJ-クレジット制度を使い、新たな市場を開く準備が進んでおりまして、これに東京の企業が速やかに参加できるよう後押しをしてまいります。
 都内の中堅や中小の会社が、J-クレジットの取引を活用する場合の知識の提供や費用の負担を抑える支援を行ってまいります。また、排出量取引の活性化に向けました海外展開についてリサーチを進めます。
 こうした着想の大切さにつきまして、先日のロンドン訪問でのロード・メイヤーとの面談を通し、改めて確信をしたところであります。
 将来に向け、東京が環境先進都市として世界に存在感を発揮できますよう、国際金融の機能も高め、その活用を図りながら、着実に取組を進めてまいります。

○福島委員 小池都知事が、世界的な潮流をしっかりと視野に入れた上で、こういった取組を進められていることをお答えいただきました。
 そして、その小池百合子東京都知事が進めております太陽光パネルの設置、これは我々としても、発生した電力を蓄電池やヒートポンプ給湯器等を用いて自宅で使えるようにしていくこと、これは、自家消費できることというのは、この脱炭素への寄与、そして災害対策、さらには電気代の高騰対策と三つの意味で、大変意義ある取組だと考えております。
 一方で、都内で、土地を分割して戸建てを建てることが多いために、隣家との距離が近くなってしまって、ヒートポンプ給湯器などの稼働時の低周波音などが原因で、近隣住民との騒音トラブルになるケースが過去には起きてきました。
 都民の理解や共感を得ながら再エネ機器等の導入を推進するために、例えば、今後行うこの補助金の申請において、業界団体等が設けた施工ガイドライン等に準拠することを求めるなど、近隣住民の生活環境配慮も重要です。
 今後、導入が加速する太陽光発電を有効活用していくためにも、生活環境に配慮しつつ、自家消費をさらに推進する取組が必要だと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 太陽光発電設備による電力を自家消費することは、再エネ電力の有効活用や停電時の電力確保に貢献するため、脱炭素でレジリエントな住宅の促進に重要でございます。
 そこで、都は今年一月から、蓄電池導入の補助率を大幅に引き上げるとともに、再エネ機器等の補助に当たっては、施工ガイドライン等への準拠の誓約を求めることとし、住宅関連団体を通じた周知等を開始したところでございます。
 今後、さらなる自家消費の促進のため、太陽光発電の電力を利用できるエコキュートも同枠組みで補助対象といたします。
 こうした取組を通じまして、生活環境に配慮しながら、再エネの有効活用を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。

○福島委員 都が、私たちの意向を踏まえまして、補助金という仕組みを使って、施工ガイドラインに準拠を求めていくと、こういった仕組みをつくっていただくことで、生活環境に配慮しながら、再エネの自家消費を促す、そういった仕組みとなってきて、これは非常に評価できる内容だと思っておりますし、さらには、こういった取組が、ちゃんと都民に伝わるように、「広報東京都」などでも注意喚起していただいたこと、これも高く評価をしております。
 今後は、この機器の設置時だけではなくて、既に設置済みの機器も含めた運用においても、この設置事業者などが、設置者及び近隣住民の意見を真摯に受け止め、そして対応するよう、都が要請等をしていくことを求めます。
 次に、災害対策としてのグリーンインフラを取り上げてまいります。
 令和元年東日本台風など頻発する豪雨により、全国各地で毎年のように水害が発生をしております。地表がアスファルト等で固められている都市部では、雨水が短時間で低地に流れ込み、浸水被害を引き起こします。河川や下水道などの整備に加えて、その場で雨水を浸透させて流入速度を抑える貯留浸透施設の整備、これを流域対策と呼びますが、これについても強化をしていくことが必要です。
 そこで、現在の東京都豪雨対策基本方針に示された流域対策の目標値である時間十ミリ、これに対する現状の実施状況についてお伺いいたします。

○福田都市整備局長 気候変動の影響により激甚化、頻発化する豪雨から命と暮らしを守るためには、対策の強化が必要でございます。
 都では、東京都豪雨対策基本方針を策定し、河川や下水道整備、流域対策等の取組を定め、総合的な治水対策を推進し、過去の台風においても一定の効果を発揮いたしました。
 流域対策については、例えば、区部では、目標降雨である時間七十五ミリのうち十ミリを分担しており、地元自治体と連携して推進してまいりました。
 基本方針に定めた豪雨対策を強化する神田川など九流域におきまして、時間十ミリに相当する対策量六百五十四万立方メートルを令和十九年度までの目標としております。
 令和二年度末までの進捗率は約六割となっており、おおむね順調に推移しております。

○福島委員 おおむね計画どおりというご答弁でした。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、現行水準の一・一倍となる時間八十五ミリの対策を進める必要があるとされており、流域対策についても、時間十ミリから、さらに強化していく必要があるというふうに考えております。
 シンガポールやニューヨーク等の諸都市、そして、国内では、私の地元世田谷区などの自治体では自然の遊水機能を保全、活用する雨庭や建物緑化など、従来の流域対策にとどまらない、そして見た目にも魅力のある雨水浸透策であるグリーンインフラを推進しています。
 私たちの働きかけにより、TOKYO強靱化プロジェクトには、風水害対策として、グリーンインフラのキーワードが新たに追加をされました。今後、例えば、都立公園に雨庭を設けるなど、都の率先した取組が期待されますが、現状では、都有施設にどれだけ浸透機能を追加できる余地があるかなどは把握していないというふうに伺っております。
 そこで、東京都豪雨対策基本方針の改定に当たっては、諸外国や国土交通省、さらには、先進自治体の取組にも学びつつ、流出抑制策としてグリーンインフラの観点を加え、施策の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○福田都市整備局長 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方でございます。
 雨水貯留浸透施設は、雨水を地下に浸透させる機能を有し、グリーンインフラの趣旨に合致する施設であり、都はこれまでも、基本方針に基づき、道路や学校、公園、庁舎などの都が管理する施設の更新時等に雨水貯留浸透施設の設置を行うことや、区市町が設置する浸透施設等に対して補助を行うなど、流域対策を促進してまいりました。
 今後、豪雨対策基本方針の改定に当たりましては、グリーンインフラの趣旨も踏まえ、雨水流出抑制対策の強化に向け、都や地元自治体が管理する施設における取組なども含め、幅広に施策を検討してまいります。

○福島委員 これまでも、都有施設等の更新時に取組を行ってきたということでございますが、今ご答弁にあったように、このグリーンインフラの趣旨も踏まえ、さらに幅広に検討されるということで、期待をいたします。
 これまで、グリーンインフラの推進が難しかった理由の一つに、浸透機能を評価すること、これがございました。実は、この領域に関しては、研究事例も増えてきておりますので、調査研究を併せて要望させていただきます。
 次に、都心の緑の確保について伺います。
 ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどでは、都市づくりにおいて、緑や公園へのアクセスを数値目標として設定するなど、都市づくりにおいて、緑の重要性が位置づけられています。
 特に、シンガポールでは、屋上緑化、壁面緑化に加え、中空階や屋内の緑化をも実現した緑化建築、グリーンビルディングが普及し、立体的緑化を実現しています。また、一昨年、シンガポール・グリーンプラン二〇三〇を策定し、二〇三〇年までに、年間の植樹本数を二倍とする、百万本の植樹を達成し、さらには、全ての居住地から徒歩十分の距離に公園を造る、こういった高い目標を設定して、都市の魅力創造に力を入れているというふうに聞いております。
 再開発で緑の総量を減らさず増やしていく取組、使われなくなったインフラ等を緑化し活用する取組、緑化建築等の立体的な緑の創出を支援推進するなど、こうしたあらゆる開発機会を利用し、都市空間の中に戦略的に緑を創出し、東京の新しいまちづくりを推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京が世界から選ばれ、世界をリードしていく、そのためには、人々の活力と都市の成長を生み続けるとともに、都市づくりの様々な機会を捉えまして、都心の緑を保全、創出し、安らぎや潤いのある快適な都市環境を形成することが必要です。
 都はこれまで、民間事業者による都市再生を適切に誘導し、生物多様性に配慮したまとまった緑を創出しておりまして、大規模開発の多い都心の三区で、緑被率は増加をしております。
 今後、海外の先進事例も参考としながら、例えば、ベイエリアにおきましては、建物の中間階や低層部のテラスなどにおいて、緑の質や量の評価に新たな視点を取り入れて、人々が憩う緑の空間として、立体的な緑の充実を図ってまいります。
 銀座を走るKK線におきましては、世界から注目される観光拠点を目指しまして、豊かな緑に囲まれた空中回廊として、早期開放に向けて取り組んでまいります。
 あらゆる方策を駆使して、世界に誇るゆとりと潤いに満ちた東京を実現し、東京の国際的なプレゼンスを高めてまいります。

○福島委員 現在、都は、緑あふれる東京プロジェクトを推進、緑被率やみどり率など平面的な指標を用いていますが、例えば、緑がどの程度目に入るかを示す緑視率を用いれば、立体的な緑の価値が高まります。
 都民のクオリティー・オブ・ライフ、QOL向上のため、都民が求める緑の在り方を反映した指標を検討していただくよう要望いたします。
 海外の先進都市では、公園や緑を核にまちづくりを行い、治安や生活環境を改善し、都市の魅力を高めている、こういったお話をさせていただきました。このような世界的な潮流の中で、私たちの提案に対し、二〇一八年に、都は、都立公園大改革を掲げましたが、最も期待をする民間活用については、一部の都立公園で部分的にパークPFIの取組が進められているだけにとどまっています。
 パークPFIやその他の官民連携手法を積極的に活用し、民間が公園を企画、整備し、運営していく取組を拡充するべきです。そうした観点から、改めて戦略と実効性ある都立公園大改革を推進するため、外部有識者や民間委員を入れて、抜本的な見直しと取組の加速を行うべきですが、知事の見解を伺います。

○小池知事 都民の貴重な財産である都立公園を、民間の発想を生かし、より親しみや楽しみを感じる公園へと変え、東京の魅力につなげていくことは重要です。
 都はこれまで、誰もが遊べるインクルーシブな遊具広場の整備や民間と連携したカフェなどの設置、四季を通じた大花壇や照明による演出など、新たな取組を推進してまいりました。
 現在、明治公園などにおきまして、パークPFI制度による公園整備を実施しておりまして、日比谷公園大音楽堂におきましても、この制度を活用して、新たな整備を進めてまいります。
 来年度には、社会状況の変化も捉えまして、学識経験者や都民の意見などを聞きながら、都立公園の整備運営の基本となるマスタープランを一年前倒しで改定をいたします。
 今後、ほかの自治体の好事例も参考に、大胆な民間活用も含めて検討を進め、都立公園大改革の取組を加速してまいります。

○福島委員 公園の魅力を評価する指標として、私からは、ロケーションデータの活用を提案いたします。これは、スマートフォン等から取得する位置情報を基に、どんな属性の人たちがどのように動いたかを分析できるものです。
 私たちが考える都民にとって価値ある公園は、多様な都民が立ち寄り、条件が整えば長く過ごしたくなる、そんな公園であり、利用者の数、属性、滞在時間などで評価できると考えます。公園に関する様々な取組が奏功しているかどうかの評価にデータ分析を導入するなど、取組の確実なブラッシュアップを求めます。
 まちづくりにおいては、ハード面の整備に加え、そこで暮らす都民や民間企業が参画し、行政や大学等が支える公民学が連携したまちづくり組織も重要です。
 先行事例として有名なのが、柏の葉まちづくりで中心的な役割を果たしているアーバンデザインセンター、UDCであり、長野県も県としてこれを導入しています。
 こうした取組に必要なのが、人材と資金の持続性です。都心では、民間ディベロッパーの支援を受けることもできますが、特に多摩地域におきましては、行政側のサポートが不可欠です。
 多摩のまちづくりを推進していく上で、公民学が連携したまちづくり組織の組成が重要だと考えますが、多摩のまちづくり戦略での取組の方向性について見解を伺います。

○福田都市整備局長 多摩地域では、人口減少が見込まれる中、新しい働き方、暮らし方など価値観が変化しており、まちの抱える課題は多様化、複雑化しております。
 多摩地域の発展に向けては、行政だけでなく、企業や大学など、地域のまちづくりに関わる多様な主体と連携して解決を図る必要がございます。
 そのため、公民学が連携して多摩のまちづくりの促進を図る仕組みとして、地元自治体が活用できるプラットフォームを都が新たに構築し、取組を支援してまいります。
 これらを含め、今月中に多摩のまちづくり戦略の基本的な考え方を示した後、年内に成案を取りまとめ、魅力あふれる多摩地域の実現に向け取り組んでまいります。

○福島委員 公民学が連携したまちづくりを促進するためのプラットフォームを新たに構築する方針を評価いたしますが、さきにも述べたように、多摩地域においては、資金面の支援が必要であり、今後の支援制度の構築を求めます。
 次に、多摩地域のホームドア整備の加速について伺います。
 ホームドアの整備の補助対象を決める際の基準として、都は、駅の利用者数を用いてきました。このために、相対的に利用者数の少ない多摩地域では、ホーム上や駅周辺の環境から、早期に整備するべき駅においても取組が遅れてきました。
 二〇一八年に、我が会派から補助基準の見直しを提案、都は、利用者十万人未満の駅にも補助の対象を拡大しましたが、都の求めに応じ、JRなど私鉄各社から示された整備計画によれば、対象となる駅は限られています。
 今般、三月十八日より、鉄道各社は、ホームドアなど、この整備に充てられる運賃上乗せ制度を利用し、多くの路線で十円値上げを実施しますが、この機を捉えて、整備を一気に加速するべきです。
 東京都の補助制度を維持することと併せて、JR等私鉄各社の整備計画の加速を求め、特に遅れている中央線や京王線などの多摩地域のホームドア整備が二〇二〇年代中に進むよう、各社の運賃上乗せを契機に取組を加速するべきですが、見解を伺います。

○福田都市整備局長 都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、鉄道事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度からは、補助対象駅の拡大など、支援策を拡充しております。
 国は、都市部では、利用者の負担も得て、駅のバリアフリー化を加速するため、令和三年に新たな料金制度を創設いたしました。都内では、JR東日本など五つの事業者が、この制度を活用した二〇三〇年代半ば頃までの長期的な計画を公表しております。
 都は、この機も捉え、さらなる整備の加速を図るため、補助制度を継続するとともに、事業者に整備計画の充実、前倒しを求めるなど、ホームドアの早期整備を働きかけてまいります。

○福島委員 運賃上乗せに加えて、都の補助を継続させることは、非常に大きなインセンティブであり、鉄道事業者との整備の加速を具体的に協議していただくよう求めます。
 コロナ禍で減少した公共交通の乗客の減少が回復する中、都営地下鉄は、民間鉄道会社に比べて、乗客の戻りが遅れているというふうに聞いています。
 厳しい経営状況を鑑み、都は今年度、都営交通の経営に関する有識者会議を設置、経営改善の検討を進めていますが、運輸事業の収益強化はもとより、商業、サービスや不動産など関連事業まで含めた抜本的な見直しが必要です。
 外部の知見を取り入れ、運賃収入の増加、収益の多角化、コスト削減などを徹底的に行い、都営交通の経営を立て直すべきですが、見解を伺います。

○武市交通局長 交通局では、経営計画二〇二二に基づき、旅客誘致や経費の縮減など、収支両面から経営改善に努めておりますが、想定より鈍い乗客数の回復や電気料金の高騰などにより、事業環境は厳しさを増しております。
 こうした中、既存の枠組みや手法にとどまらず、幅広い見地から方策を検討するため、有識者会議を設置し、議論を進めております。
 これまでの二回の会議では、行動変容による利用状況の変化を捉えたサービスの提供や将来の収益につながる投資の必要性、運賃設定や負担の在り方など、様々なご意見をいただいております。
 来年度は、事業ごとに議論を深め、不動産や駅構内店舗など関連事業につきましては、臨時の委員も委嘱して議論を行うなど、経営改革に向けて取り組んでまいります。

○福島委員 市場経営についてもお伺いいたします。
 昨年、今後五年間の施策と財政計画を示す東京都中央卸売市場経営計画が策定をされました。
 そもそも、中央卸売市場の取扱額が長期的に減少する中で、従来の約二倍の規模の豊洲に移転したことから、市場経営は当初から大幅な経常赤字になることが見込まれていました。築地市場の有償所管替えで、見かけ上、市場会計が得た六千億円は、本来都民の資産であり、市場の赤字補填に使われてよいものではありません。
 今後、コロナ禍から脱却する中で、市場経営の改善についても、早期に取組の果実を得ていく必要があります。
 令和二年には、有識者会議である市場の活性化を考える会から、民間経営手法の活用可能性を検討するべきとの指摘を受けており、市場経営計画においても言及されています。この間、検討してきた民間経営手法の活用可能性について、具体的にどのような取組を行っていくのか、見解を伺います。

○河内中央卸売市場長 市場を取り巻く環境が変化する中におきましても、中央卸売市場が重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財務基盤の確保が必要でございます。
 そのため、令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画では、経営改善の取組の一つとして、民間経営手法について、アウトソーシングの拡大や施設運営の手法などの研究を進めた上で、都における活用可能性の検討を行うこととしております。
 現在、民間経営手法につきまして、大阪府中央卸売市場の運営形態など、他都市における事例等の研究を行うとともに、市場会計の財政状況や他の経営改善策などと合わせて、業界との意見交換を始めております。
 こうした取組により、市場会計の収支改善を図り、都民に対する円滑で安定的な生鮮品等の供給を確保する役割を着実に果たしてまいりたいと考えております。

○福島委員 市場の活性化を考える会の議論まとめでは、市場別の収支状況をはじめ、現場施設の運用実態を経常的に把握、分析、管理するべきという指摘があります。早期の対応を求めます。
 都民の安全・安心に関して幾つか伺います。
 関東大震災から百年の節目である本年、都は、東京強靱化プロジェクトを策定、推進するとともに、防災DXの一環として、災害時都民台帳システムを新たに計上しました。
 防災DXの一環として、このシステムにより、被災者の状況を各区市町村がそれぞれ把握するだけではなく、都として一元的に管理、把握し、適切に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

○野間総務局長 大規模災害の発生時、都は、広域的な視点から、都民の住居の確保や経済面での生活再建、各種復興計画の策定などの業務を担っており、都内の被災者の状況を把握し、一日も早い再建につなげることが重要でございます。
 こうしたことから、都は、各区市町村が発災時に個別に作成、保有する被災者のデータを都及び区市町村間で共有するシステムを新たに構築いたします。
 このシステムによりまして、家屋の被害状況や配慮すべき事項等のデータを各自治体の枠を超えて一元的に把握することで、生活再建と復興業務に係る施策を速やかに進めていくことが可能となります。

○福島委員 災害時都民台帳システムの内容についてご答弁いただきました。
 一方で、今後は、発災直後についても、DX、これを進めることが重要であると考えます。
 令和三年五月の災害対策基本法の改正におきまして、避難行動要支援者を対象とした個別避難計画の作成、これが努力義務化されまして、区市町村で作成が進められています。しかしながら、この要支援者に関する情報というのは日々変わってまいりますし、これを更新する方法や、もしくはこの災害発生直後の状況把握、これはかねてより困難であることが指摘をされてきました。
 デジタルを活用することにより、これらの解消が見込まれます。防災DXのさらなる対象拡大を求めます。
 次に、災害時のトレーラーハウスの活用についても伺います。
 東日本大震災以降、プレハブなどの仮設住宅設置だけではなくて、より機敏に設置ができ、移動が可能なトレーラーハウスやコンテナハウスを災害時に活用する取組が出てきています。
 例えば、熊本地震などでは、平時はキャンプ施設などで利用していたトレーラーハウスを災害時の住宅等に利用した事例や、長野県でも、豪雨災害の際にトレーラーハウスを住居として活用した事例があります。
 災害時の仮設住宅などの設置は、都がハウスメーカーなどの事業者と協定を結んでいますが、プレハブ等の仮設建設によるものだけではなく、トレーラーハウスやコンテナハウスなどを活用することで、住宅や集会所として提供できるように体制を構築するべきですが、見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 近年の地震や水害による応急仮設住宅としまして、トレーラーハウスやコンテナハウスが、一部の地方自治体で採用された実績があることは承知をしております。
 都では、応急仮設住宅等を迅速に提供するため、公的住宅や民間賃貸住宅の空き住戸のストックを活用するほか、必要に応じまして、大規模災害の発生時には建設型の応急仮設住宅を提供することとしております。
 トレーラーハウスなどによる応急仮設住宅に関しましては、他県等における協定締結の状況や設営上の課題などを整理しているところでございまして、今後は関係事業者からもヒアリングを進め、対応などについて検討してまいります。

○福島委員 他県の事例を参考に検討するとの答弁を評価します。今後はさらに、平時は他用途に活用しながら、災害時には住居をはじめ、災害対応拠点機能や福祉交流機能の拠点等に活用できるよう、関係局で検討を深め、対応を進めることを要望いたします。
 次の安全に関する質問として、先日、本会議の代表質問において、東京こどもすくすく住宅認定制度を通じて、この子育て支援に資する住宅政策を進めるように求め、都からは認定住宅に対して、一戸当たり最大二百万円を上限に、整備費などを支援していく旨の答弁がありました。
 この認定制度による支援を高く評価をしますが、ベランダの手すりから室外機までの距離が六十センチ以上といった条件があり、その認定条件を満たせない場合にも、安全柵の設置など、安全対策を講じる必要があると考えます。
 都は、こどもすくすく住宅認定制度において、マンション事業者や賃貸住宅オーナーを通じて、子育てに配慮された良質な住宅の供給を促進していくこととしていますが、その一方で、こうした認定制度は、既存の分譲マンションの区分所有者には、活用しづらいものがあると考えます。
 子供の安全の確保は待ったなしであり、そうした分譲マンションの区分所有者に対し、子供の安全性の向上を図る取組を後押しするべきと考えますが、見解を伺います。

○山口住宅政策本部長 子供の転落事故など家庭内での事故が依然として発生する中、分譲マンションの居住者が安全に暮らせるよう支援していくことが重要でございます。
 そのため、都は来年度から、区分所有者等を対象に、「子供を守る」住宅確保促進事業を開始しまして、子供の安全性の向上を図るための改修等を促進してまいります。
 具体的には、ベランダに置くエアコンの室外機が足がかりとならないような柵の設置や指挟み防止機能のついた扉への改修等に要する費用の一部を直接補助しまして、子育て世帯の住まいの安全の確保にきめ細かく取り組んでまいります。

○福島委員 最後になりますが、東京二〇二〇大会に関連して質問をいたします。
 私たちはかねてより、組織委員会のガバナンスの問題を繰り返し指摘をしてまいりました。既に二〇一六年には、都の都政改革本部も、組織委員会に対する都の関与や情報公開などガバナンス改善の必要性を問題提起していたものの、当時の組織委員会の森喜朗会長は、我々は東京都の下部組織ではない、都の監理団体となることはあり得ないと発言し、都の拠出金のうち五十七億円を都に返還するなど、外部からのチェックを避ける対応を繰り返してきました。
 このような中、今日多くの不正が明るみになりましたが、報道によると、大規模スポーツイベントの経験者が不足する中で、特定の人物に権限が集中した、理事会や経営会議、そして調達管理委員会は、事務局の決めた方針や結果を追認するだけだったなどの問題点が、関係者の証言として指摘をされております。
 都は、既に調査チームにおいて調査を進めていますが、現在どのような課題が議論されているのか伺います。

○中村政策企画局長 組織委員会のガバナンス、コンプライアンスについては、これまで様々な場面で議論がなされてまいりました。
 都政改革本部や組織委員会におけるエンブレム選考過程に係る調査等においては、結果第一主義に浸った仕事の進め方や重大な公益事業を担う組織委員会の公正性や透明性への認識の不足、経営全般の在り方に対する都の指導監督の必要性などの課題が指摘されております。
 調査チームにおいては、こうした課題や事件の背景、組織の問題等も含めて、外部有識者の専門的見地から議論、分析を行っていただくなど、調査を深掘りしております。
 都としては、徹底した調査が行えるよう、有識者をサポートしております。

○福島委員 贈収賄事件や談合事件について、本来、組織委員会自らが検証し、改善策を策定するべきでした。
 その組織委員会の事務総長でもあった方も名を連ねる清算法人は、例えば、その時々に関わった理事などに話を聞くなど、必要な対策を進んで行うべきと考えます。
 談合事件の捜査が進む中で、組織委員会の業務や組織運営がどうであったのか、受注事業者や国や民間からの派遣職員等への聞き取りも含め調査を行うとともに、清算法人に対して主体的な対応も働きかけるべきですが、見解を伺います。

○中村政策企画局長 都はこれまで、清算法人に対して、捜査に全面的に協力するよう働きかけるとともに、契約手続等の確認や規程等関係書類の提供などを求め、調査チームへの協力を得てまいりました。
 今後、組織委員会におけるガバナンスの実態や課題等の分析を深めるため、捜査に支障が生じない範囲で、組織委員会の元幹部や受注事業者、他団体からの派遣者など、都派遣職員以外からの聞き取りを含めた都の調査への協力を求めてまいります。
 さらに、清算法人として主体的な対応を行うよう働きかけてまいります。

○福島委員 大会運営には多額の公費が投入されており、受注事業者が談合で不当な利益を得ていた場合は、その損害を賠償させる必要があります。
 さきの代表質問において、都は、談合による排除命令等に基づき、事業者に対する損害賠償請求を行うなど、法令にのっとり対処するよう清算法人に求めるとしており、適切な損害賠償請求を行った上で、都として、清算法人に対し、公費を返還させる必要があります。
 また、こうした業務は、清算法人が担うことになりますが、清算法人任せにして、不十分な対応や安易な妥協をすることは許されません。
 今後、損害賠償請求や公費返還等を迅速かつ適切に行えるよう、清算法人における体制の確保や都としてのチェックの仕組みを講じるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 談合が確定した場合には、適切に損害賠償請求や公費返還の対応を行うことが、都民の信頼と納得を得る上で不可欠であります。そして、こうした対応の実効性を確保する業務体制が重要です。
 都は、大会運営や組織委員会の実務に経験と理解を有する都の職員を清算法人に派遣することや、法的対処につきましてチームで集中的に検討できるよう、都の職員が清算法人の職を兼職するなど、清算法人の体制確保に向けた支援を検討いたします。
 都におきましても、清算法人が行う損害賠償請求、公費返還等への対応につきまして、適切に関与やチェックができますよう、体制の確保を図ってまいります。

○福島委員 大変重要なご答弁をいただきました。引き続き、この清算法人の取組を都がしっかりとチェックをしていっていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会をめぐる汚職の数々は、大会成功に向けて真面目に取り組んできた関係者、そして、期待するとともに都税を通じて開催資金を担った都民に、まさに泥を塗る行為で、許しがたい行為です。
 私は、これらの汚職に加担した人物が、長らくこの業界で仕事をしてきたシルバーグレーばかりであることに留意する必要があると考えます。そして、圧倒的に経験が不足している行政側の人材が、このような人材をハンドリングするのが難しいであろうことは想像に難くありません。
 一方で、国際スポーツ大会を東京で開催することは、東京の都市としての活力やプレゼンスの向上につながります。また、東京二〇二〇大会でもそうであったように、そうした大会に都職員が関与することは、通常の業務では得られない経験を積み、成長する機会にもなります。本来は、こういった国際大会では経験を積める、そういった中堅、若手がどんどんその責任ある立場をやっていく、そういった必要があると考えます。
 都が国際スポーツ大会に引き続き関与していくに当たり、東京二〇二〇大会を教訓に、二〇二五年には開催が予定されている世界陸上やデフリンピックにおいては、スポーツ行政を牽引する人材が、経験、成長できる貴重な機会と捉え、生かしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 二〇二五年に開催される世界陸上及びデフリンピックを通じまして、都の職員が都庁内では得難い貴重な経験を積むことは、今後のスポーツ施策をリードし、さらには都政を牽引する人材の育成につながり、有用でございます。
 例えば、デフリンピックでは、大会の運営実務を担う都スポーツ文化事業団に、東京二〇二〇大会の経験を有する都職員などを派遣することといたします。
 競技会場の運営や国内外の関係者との調整などを幅広く経験させ、スキルアップを図ってまいります。
 また、大会開催を通じて、事業団に国際大会の運営に必要な知見も蓄積することができます。
 両大会の開催を通じて得られた都職員の経験や知見を、大会後、他の国際スポーツ大会や競技団体の支援に活用し、誰もがスポーツを楽しめるスポーツフィールド東京を実現してまいります。

○福島委員 都のスポーツ文化事業団を、実務を通じてスポーツ行政人材育成の場として活用する、新たな、そして未来を見据えた取組に期待をいたします。
 以上、私は、今回の質疑で、そして各所で、評価や検証を求めてまいりました。
 私は、現在、都議会議員として二期目、小池都知事が掲げる東京大改革の旗印の下、改革意欲を持ってここに集った一人であります。そして、その前職として、二十二年間ではありますが、研究開発の現場にいたというバックボーン、これを持つ私が、都民のために政治に持ち込めることは何かと常に考えてまいりました。
 研究開発は実験ありきです。そして、答えがあるかどうかは、あらかじめ自然が決めていて、知恵を巡らし、実験をして、すなわち自然の胸を借りながらたどり着くという感覚があります。
 私は、その研究開発において製品化、これを実現することができたわけですけれども、千三つといわれるように、実は私がそういった製品化に関われたのは、やっぱりプロセスだけじゃなくて、この自然界に解があったところにたどり着くことができた、ある意味、運に恵まれていたというふうに考えております。シミュレーション技術も進展はしていますが、最後はやっぱり実際にやってみて確かめる、これがとても大事です。
 机上で仮説をつくって実験することで、必ずそこには発見があります。発見というと聞こえはいいんですけれども、実はその多くは、事前に気づけたはずなのに、自然に教えられるということが大半ですが、中には、時々思っていなかったこと、新しい発見があります。それが発明や発見につながります。つまり、机上検討じゃ駄目なんです。やって初めて新しいもの、そして創造的なものは生まれてきます。偶然から発明や発見につながったという話を皆様もよく聞かれると思いますが、頭で考えて、網をかけた範囲の外に答えがあった、そういうことはよくあります。
 二〇一九年、そして二〇二一年のノーベル経済学賞は、EBPM、これが受賞対象でした。世界が政策を適用した結果、社会がどうなったかを科学的に見て、次の政策に生かす取組を求めています。
 少子高齢化が進むこの日本において、針の穴を通すようなこの政策、ここを乗り越えるための政策のブラッシュアップに、ぜひこういった取組を生かしていく必要があります。
 都知事が掲げるスピード感を持ってまずはやる、そして、アジャイルに取り組むという方針は、これまでの持続性や確実性を旨とした行政の大改革、このように私は考えております。社会課題解決に向けて政策を考え、実行し、そして、その結果がどうなったか、都民に向き合い、都民の胸を借りて、政策をブラッシュアップしていく政治、これが私の考える都民ファーストです。
 減点のための評価ではなく、価値を生み出すためのプロセスの評価に、楽しく、そしてイノベーティブに取り組んでいただくことを求めて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○菅原副委員長 福島りえこ委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十五分休憩

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