予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○小宮委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁を行い、また、マスクの着脱をされる場合には、速やかに行っていただけますようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 菅野弘一副委員長の発言を許します。

○菅野委員 それでは、まず私の方から、今東京は、コロナ感染症対策の見直しやロシアのウクライナ侵攻に端を発する燃料高騰と物価高騰への対策、深刻化する少子化、激甚化する自然災害への対応から、二酸化炭素の削減、情報化の推進など、多様な課題に直面をしています。多くの課題が錯綜して、いずれも迅速な対応が求められています。
 こうしたときこそ、都庁各局が、これまでの知見を生かして、都の事業として合理性があり、実効性に富む政策を事業化して、都内全域で区市町村と連携しながら、各地域の実態に即した形で事業を展開していくという都政運営の基本を忘れてはなりません。
 こうした観点から、まず、都の行財政運営についてお伺いをいたします。
 令和五年度の一般会計当初予算案は、八兆円を超える予算規模となり、過去最大となりました。その内容は、少子化対策や災害対策をはじめ、多くの新規事業や拡充事業が盛り込まれています。こうした積極財政を可能としているのは、好調な税収によるところが大きいと思います。
 そこでまず、過去最大の規模となった令和五年度の都税収入と令和六年度以降の見通しについて、どのように考えていらっしゃるのか、主税局長に伺います。

○小池主税局長 令和五年度の都税収入は、企業収益の堅調な推移に伴う法人二税の増などにより、六兆二千十億円と二年連続の増収となっております。
 今後の景気につきましては、ウイズコロナの下で持ち直していくことが期待されるものの、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるとされております。
 令和六年度以降の都税収入の見通しにつきましては、こうした景気動向や国の税制改正の動き等、様々な状況を踏まえて注意深く見極めていく必要があるものと認識しております。

○菅野委員 足元の税収増により、将来を鑑みず予算を措置することは、後の世代に大きな負担を強いることにもつながりかねません。直近でも、コロナ禍で令和二年度の税収が大きく落ち込むなど、過度な税収頼みはリスクを伴います。
 また、コロナ禍においては、国からの手厚い財政支援がありましたが、今後、危機的な事態が発生した場合に同様の支援が受けられる保証はありません。
 そこで、まずお聞きします。
 コロナとの長きにわたる闘いから共存に向けて動き出している中、今ある財源力で将来を見据えたとき、十分であると考えていらっしゃるのでしょうか。都財政に対する現状認識について、財務局長に伺います。

○吉村財務局長 都は、コロナ禍や物価高騰の長期化など、百年に一度といわれる危機の最中にあっても、都民生活と東京の経済を守るため、刻一刻と変化する状況を見極めながら、機動的に対策を講じてまいりました。
 こうした中にありましても、歳出精査の徹底はもとより、基金残高の確保や都債の発行抑制に努めるなど、将来を見据えた財政運営を行ってまいりました。
 こうした取組を通じまして、基金残高は令和五年度末で一・七兆円とリーマンショック前とほぼ同水準の残高を確保できる見込みでございます。
 また、起債依存度は三・六%と地方全体と比べ低水準を維持しており、五年度末の都債残高は前年度末より減少する見込みでございます。
 こうしたことから、都財政は持続可能な財政運営の観点から、一定の財政対応力を有しているものと考えてございます。

○菅野委員 マスクを外させていただきますが、財政対応力を維持できているとのことですけれども、例えば都債は将来世代に負担を負わせることにもつながるなど、急に発行額を増やせるわけではありません。こうした観点から重要となるのは、歳出予算が必要以上に膨張することがないように、編成過程での事業の見直しをしっかりと行うことだと思います。
 そこで、令和五年度予算編成において、歳出の見直しにどのように取り組んだのか確認を求めるとともに、財源の継続的な確保を含め、中長期的な視点に立った財政運営を進めていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

○小池知事 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げたいと存じます。
 二月十六日、名誉都民である北浦雅子様が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、ご質問にお答えしたいと思います。
 まず、出生数が急減し、また、自然災害が激甚化するなど、都政はあらゆる分野におきまして、戦後最大の試練を迎えているという状況でございます。
 こうした中にありましても、東京が成長と成熟が両立した都市へ進化していくためにも、従来の発想を打ち破る大胆な施策を積極的に展開しつつ、将来を見据えて強固な財政基盤を堅持していく必要がございます。
 こうした考えに立ちまして、令和五年度予算案につきましては、少子化対策や都市の強靱化をはじめとして、未来への投資に大胆に財源を振り向けたところでございます。
 あわせまして、外部有識者を活用して、より客観性の高い評価を実施するなど、政策評価、事業評価の取組を強化しまして、施策の新陳代謝を一層促進させております。
 さらに、マイナスシーリングや施策の終了、転換など、財源の確保に向けまして、あらゆる手だてを講じましたほか、一定の基金残高を確保すると同時に、都債の残高を減少させるなど、積極的な施策の展開と持続可能な財政運営の両立を図っております。
 今後とも、中長期的な視点に立ちまして、将来にわたる施策の展開を支えるため、歳入歳出の両面から不断の見直しを徹底した上で、財政対応力にさらに磨きをかけてまいります。

○菅野委員 知事がご答弁でもおっしゃったように、今回、大胆な様々な施策を本当に思い切り講じていただいていると思います。この予算案、マイナスシーリングなど、あらゆる手だてを講じ当初の要求をスタートしたわけですが、当初の読みとは違って、想像以上に税収が伸びたということも背景にはあって、今回の少子化対策も含めて、こうした知事の思いが政策にしっかり打ち出せたのだろうと思います。
 いずれにしても、来年度以降も中長期的な視点を持って、今、知事もおっしゃいましたが、しっかりと引き続き強固な財政基盤を維持していただくよう、注意深く進めていただくことを求めておきます。
 それでは、次に、少子化対策についてお伺いします。
 先週、厚生労働省は、令和四年一年間の出生数が前の年より四万人余り減って、明治三十二年の統計開始以来、過去最少になったと発表しました。出生数が八十万人を割るのは初めてのことです。
 その背景に、子供を二人以上持ちたいと願う夫婦が、願いとは裏腹に、これからの子育てや教育の出費など、経済的な理由などで二人目以降の出産を諦める、二人目の壁が障害になっているとの報道がありました。
 都は、過去最大の予算をバックに、都独自の支援策として〇一八サポートや第二子の保育料の無償化を提案するなど、少子化対策として、出会いから出産、子育てまでの各種施策を打ち出されていますが、その効果は少子化に歯止めをかけるために十分な施策と考えられているのか、知事の所感を伺いたいと思います。

○小池知事 私は、国会議員時代から婚活・街コン推進議員連盟を立ち上げたり、また、数多くの議員連盟、ほかにもございます。そこでは女性活躍や少子化対策に取り組んでまいりました。
 チルドレンファーストの社会の実現こそ未来への投資だと、そうした考えの下で、都知事に就任いたしましてからは、これまで重ねてまいりました子供や女性政策の実践に加速度的に取り組んでまいったところでございます。
 この間、待機児童対策をはじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行ってまいりました。子供政策連携室を設置して、各局が連携をしまして、そして様々な議論も行ってまいりました。想定を超えるペースで進展する少子化でございますが、日本社会の存立基盤を揺るがす重大な危機でございます。現状は一刻の猶予も許されないとの認識の下、都としてなし得る対策を迅速に講じることといたしております。
 高い子育て費用や仕事、そして育児の両立の困難さなど、これらはもとより少子化の要因は複合的でございます。そのため、課題に応じました多面的な取組を展開して、二人以上の子供を持ちたいと願う方を含めまして、望む人誰もが安心して子供を産み育てられる東京の実現を目指してまいります。
 新年度の予算案につきましては、結婚支援や不妊治療の充実、子育てや教育に係る経済的支援の強化、結婚予定者への都営住宅、公社住宅の提供など、ライフステージを通じました幅広い対策を盛り込んでおります。

○菅野委員 知事からは、非常に今回の少子化対策に対する様々な思いというか、それが全て今回の施策には盛り込んで、それにかけているというようなお言葉がございました。
 ちょっとここで、今の二人目の産む話ということについての実務的な部分で、ここでお聞きしておきたいと思います。
 夫婦が二人目を産む決断を促すためには、中長期的に様々な要因を分析して、将来に向けた総合的な支援策が必要で、強く打ち出すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○山下子供政策連携室長 少子化は、課題が複雑に絡み合っており、先般公表した、東京都の少子化対策の現在におきましては、少子化に関する各種データの分析をお示ししております。
 その中で、例えば夫婦が理想の子供の数を持たない理由といたしまして、経済的な事情が多いことなどが明らかになったことから、子育てや教育に係る経済的支援の充実などの対策を新年度予算案に盛り込んだところでございます。
 一方で、少子化対策は効果が出るまでに息の長い取組が求められ、実効性ある施策を的確に講じていく上では、さらなる要因分析が欠かせません。
 そのため、来年度は、様々な分野の有識者から知見をいただくとともに、若者や子育て家庭が抱える課題やニーズの把握などを通じまして、多面的な考察を深め、幅広い対策の充実につなげてまいります。

○菅野委員 先ほど知事から強い少子化対策への思いがございました。ここで、特にその中でも今回話題になっております〇一八サポート事業についてお伺いしたいなと思っています。
 本年年明けの一月四日、職員に対する知事の訓示によって突然発表される形となった〇一八サポート事業でありますけれども、この経緯について、重要な事業ですので、改めて確認をしておきたいと思います。
 まず、この事業は子供政策連携室や福祉保健局による予算要求には入っていたのでしょうか。

○西山福祉保健局長 令和五年度の当初予算には入ってございませんが、その後、要求をしたものでございます。

○菅野委員 もう一人、子供の方は。

○山下子供政策連携室長 秋口の財務局に対する要求には、子供政策連携室としては要求はしてございません。

○菅野委員 それでは、財務局に伺いたいと思います。
 財務局査定においても予算計上はされていなかったと思いますけれども、いかがでしょうか。

○吉村財務局長 今、両局長からございましたとおり、当初要求にはございませんでした。
 一月四日に子供政策連携室が発出いたしました少子化対策に係る新規事業の構築についてを踏まえまして、福祉保健局として事業の検討を行ったものと認識してございます。
 福祉保健局からの追加要求を受けまして、知事査定を経まして、令和五年度当初予算案に所要の経費を計上させていただきました。

○菅野委員 一月四日に子供政策連携室から発出されたというようなお話が、今、財務局長からございましたけれども、一月四日に知事が訓示の中で突然発表した形になったわけですが、ちょうどタイミングが同日なんですが、これは例えば知事自らが、やっぱりその段階ではお考えになって、その場で発出された事業というふうな理解をしてもよろしいのか、知事に伺いたいと思います。

○小宮委員長 知事、お答えになられますか。

○小池知事 先ほども対策につきましては長年温めてまいったということを申し上げました。婚活・街コン議員連盟をはじめ、女性の活躍、少子化対策に取り組んでまいってきたものでございます。
 かねてより、チルドレンファーストの社会の実現こそ未来への投資であるということで、加速度的に子供、女性政策の実践に取り組んできたところでございます。
 この間、待機児童対策をはじめとして、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を率先して行い、そして子供政策連携室を設置して、各局連携の下で様々な議論を行ってきたという経緯がございます。
 来年度の予算編成に当たりましては、今日の危機的な少子化の状況を踏まえて、取組をさらに充実強化することとして、全庁を挙げて子供施策の強化に当たってまいりました。その一環として、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、所得制限は設けずに、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付することとしたわけでございます。
 今後とも、それぞれの施策を全力で取り組み、その時々の社会情勢を踏まえつつ、子供を産み育てたいという願いを実現するべく、取組を進めてまいります。

○菅野委員 今の答弁、いろいろと思いは語っていただいたと思うんですが、その中で判断をしたというか、〇一八サポート事業が必要だというふうに考えたということで、知事のお考えであるというふうには私の方では取れるんですが、いずれにしても一月四日、同日付で局から発出されて、また同日の朝に職員への訓示という形のタイミングからも、知事の強い思いがそこに伝わったのだとは思いますけれども、その日にそのお考えが発表されたというふうに理解をさせていただきます。
 この〇一八サポート事業、数ある少子対策の中でも知事の目玉事業であり、都民の期待も高いと思います。
 しかし、一方で、所得制限もなく一千二百億円もの巨額の費用が伴うことになります。都民の中には、まだ制度の中身がちょっと分かりづらい部分はあるんですが、ゼロ歳の子供が十八歳になるまで、仮に十八年間もらえるのかなというような声も聞くところであります。
 知事は、この〇一八サポートの事業の必要性をいつ頃まで必要なのかということを考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。

○小池知事 先ほどもご答弁申し上げましたように、今後とも、それぞれの施策を全力で取り組んで、その時々の社会情勢を踏まえながら、子供を産み育てたいという願いを実現すべく、取組を進めてまいります。

○菅野委員 いつ頃までという、やっぱりこういった大きなお金を使うわけですから、ある意味、目標でもいいんですけれども、こういうような状態になったら、そこまではやっていきたいとか、そういうことが何か分かれば教えてもらいたいと思ったんですが、いかがでしょうか。

○西山福祉保健局長 今日の危機的な少子化の状況を踏まえまして、これまで取り組んできた少子化対策をさらに充実強化し、その一環として本事業を実施することといたしました。
 今後とも、その時々の社会情勢を踏まえつつ、様々な施策に取り組んでまいります。

○菅野委員 その状況を見ながら、その時々というか、多分予算は単年度主義だということかもしれませんけれども、ただ、強靱化プロジェクトじゃないんですけど、やっぱり少子化もかなり思い切った決意を持って中長期的、それこそそういうスパンを定めて目標をつくっていかないと、なかなか難しいのかなと。それだけでも難しいのかもしれませんけれども、思います。
 そして、年間一千二百億円もの税金を投入する事業なわけですから、仮に、例えば取りあえず今回はやりますということになれば、来年ですか、一月に六万円一括でということがこの間発表されましたが、六万円もらって終わりなのかということにもなってしまいますし、続けるということになれば、今後やっぱりそれだけの財源を継続的に確保していかなきゃならない。
 今回のような状況ならいざ知らず、先ほど申し上げたように、この先、東京がどういった歳入構造というか、歳入の状態になるか分かりませんので、そうした中で、しっかりとした財源確保も含めて考えていく必要がありますので、その辺をしっかりと踏まえて取り組んでもらいたいと思います。
 やはり本当なら明確な目標や事業の終期をぜひお示しいただいて、都民のお金を使う以上、責任ある計画づくりをしていただきたいと思うわけです。中途半端なばらまきと捉えられないように、もはや一刻の猶予もない重要な少子化対策には、明確な目標を持って取り組んでいただきたいと思います。
 都民に説明のできる効果的な少子化対策を強く要望させていただいて、この質問は終わらせていただきます。
 次に、少子化と同様に、総合的に取り組まなければならない課題は、超高齢社会への対応だと思います。
 高齢者がいかに健康で、安心して住み慣れた地域に暮らし続けることができるのか、それを支えるのがまさに介護人材であります。
 しかし、過去六年間の都内における介護職員の賃金推移を見ますと、三十万円から三十三万円へと三万円程度の上昇にとどまっています。都によるキャリアアップ支援策を実施している保育士の賃金は、同じ過去六年間で二十八万円から三十七万円へと九万円程度上昇しています。
 我が会派も要望して、今年度より介護職員の家賃補助の拡充が図られましたが、介護職の賃金を都として上乗せして支援するなど、介護人材の確保に真剣に取り組むべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○西山福祉保健局長 国は、介護報酬の処遇改善加算等を拡充し、平成二十一年度から令和元年度までに月額七万五千円の賃金改善を図り、昨年二月からは、さらに月額九千円相当の引上げ措置を行ってございます。
 都は国に対し、介護事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求してございます。
 また、介護職員の宿舎借り上げへの支援に加え、職場体験や資格取得支援、デジタル機器等の導入経費補助など様々な取組を実施しており、来年度は、新たに分身ロボット等の導入により介護現場のDXを一層推進するなど、介護人材の確保、育成、定着に向け、総合的に取組を進めてまいります。

○菅野委員 来年度の少子化対策予算というのは、本年度よりも五割以上増しの四千八百五十億円、それに比べまして高齢対策予算は微増の二千四百八十六億円にとどまり、新規事業の規模も内容も小粒といわざるを得ません。少子化だけではなく、高齢化社会をどう支えるのか、偏りのない政策も心がけてほしいと思います。
 それでは、先ほども述べましたが、国の統計開始以来、出生数が初めて八十万人を下回りました。二〇一七年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した予測では、八十万人を下回るのが二〇三〇年だったので、予想を上回るペースで少子化が進んでいる状況であります。
 歯止めがかからない少子化が進行する中で、私立幼稚園の経営は定員割れなどから年々厳しくなっています。
 さらに、今回、東京都が突然発表した保育料の第二子以降無償化によって、ゼロ歳児から保育園に通う児童が増加し、そのまま卒園まで通うことによって、三歳児から多くの児童が通う幼稚園には大打撃といえます。
 都として、意欲を持って様々な取組を実施する幼稚園をしっかり支援していく必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○横山生活文化スポーツ局長 私立幼稚園は、都の幼児教育において重要な役割を担っており、都はこれまでも、経常費補助をはじめ、様々な補助の拡充を図ってまいりました。
 また、各園の教育水準の向上を一層促進するため、幼児教育の内容等の改善、幼児教育を担う人材の育成などの取組に対して補助を実施しております。
 さらに、各園の様々な取組に不可欠な教職員の処遇改善につきましても、国の直接補助の事業が終了した後も各園の負担割合が変わらないよう、都の支援を拡充しております。
 今後とも、現場の声を聞きながら、各園の多様な取組を幅広く支援し、私立幼稚園の振興に努めてまいります。

○菅野委員 残念ながら、今のご答弁では私立幼稚園に対する支援が十分とはいえません。今回の予算案では、〇一八サポート、保育料の第二子無償化をはじめとして、多くの子育て予算が盛り込まれています。
 しかしながら、私立幼稚園に対する予算増額や新規事業はほとんど見当たりません。独自の建学の精神を持って子供たちを育成する私立幼稚園に対して、少し冷たいのではないでしょうか。
 局長も現場の声を聞きながら、私立幼稚園の振興に努めるといわれるのであれば、私立幼稚園をもっと支援すべきだと思います。
 今後、在宅子育て家庭への支援や私立幼稚園へのさらなる支援を求めて、次の質問に移ります。
 この質疑の最後に、改めて〇一八サポートでございますが、さっき私、ちらっといいかけたんですが、例えばの話だったんですけれども、極端な話、来年度限りになることがあるのかどうか、ちょっとそこの可能性について伺いたいと思います。

○小池知事 先ほどもお答えいたしましたように、今後とも、それぞれの施策を全力で取り組んで、その時々の社会情勢を踏まえながら、子供を産み育てたいという願いを実現すべく、取組を進めていくものでございます。
 また、国におかれましても、今、異次元の少子化対策というのを進めておられると聞いておりますので、それなども見ながら進めるということでございます。

○菅野委員 少なくとも来年では終わらないと。今のお言葉からも、とても少子化は収まらないと思いますので、来年では終わらないということで考えております。
 それでは、次に、新型コロナウイルスに話を移しまして、今後の対応について伺います。
 まず、今後の対応の中で、皆さん気になるのがマスク着用の考え方でございます。政府は、一月末に新型コロナウイルス五類感染症への移行方針を示して、二月十日にはマスク着用の考え方の見直しについて公表しました。いよいよ三年以上にわたるコロナ対応の出口が見えてきたようでもあります。
 国の動きを受けて、都は、マスク着用の見直しに係る都の対応について、都民の命と健康を最優先に、かつての日常を取り戻すだけでなく、コロナとも共存した活気あふれる東京を確かなものにする、すなわちサステーナブルリカバリーを方針として、マスクの着脱は個人の主体的な判断を尊重することとしました。
 現在、マスク着用の見直しに向けて、事業者は業種別ガイドラインを見直すなど準備を進めていますが、五類移行前の来週三月十三日から取扱いが変わることなどから、事業者や都民からは戸惑いの声も聞かれます。
 新たなマスク着用の考え方について、都民や事業者の不安や混乱を招かないよう、都として周知すべきですが、見解を伺いたいと思います。

○野間総務局長 マスクの着用は、三月十三日以降、個人の判断に委ねられることになるため、都は、各個人の判断に資する情報提供を行うこととしてございます。
 具体的には、一人一人の判断を尊重することを基本としつつ、高齢者等重症化リスクの高い方がいる場面や感染対策上の理由で事業者から求められた場合など、着用が必要となる状況を周知いたします。
 また、マスク着用見直し後の業種別ガイドラインを都のホームページに掲載することで、業界団体の取組も周知してまいります。
 こうした情報を幅広く発信することで、都民、事業者に混乱が生じないよう努めてまいります。

○菅野委員 ぜひ現場の皆様の声に耳を傾けて、都民、事業者の皆様に寄り添った丁寧な広報や呼びかけを行っていただくよう重ねて要望しておきます。
 次に、五類移行後の都民、事業者への情報発信も大事だと思います。新型コロナウイルスは、五月八日をもって五類感染症に移行するとされていますが、移行後もコロナの属性が変化するわけではありません。
 これまで感染拡大防止に多大な協力をしていただいた都民、事業者の皆様は、移行後も感染には不安を覚え、いかなる対策が必要なのか否か戸惑うことが想定されます。また、人口が密集している都心部と島しょ部とでは行うべき感染対策に違いが出ると思います。
 都は、引き続きコロナ関連の情報などをきめ細かく周知していくべきですが、五類感染症に移行した後、都民、事業者に対して、都としてどのように情報発信を行うのか伺いたいと思います。

○野間総務局長 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが五類感染症へ変更されることに伴いまして、現在、感染対策を定めている基本的対処方針や業種別ガイドラインが廃止となります。
 このため、都は、自主的に感染対策に取り組むこととなる都民、事業者が混乱することなく社会経済活動を円滑に進めていけますよう、国に対し、感染対策の指針や行動規範などを改めて示すことを要望してございます。
 今後も専門家の意見を踏まえまして、都民、事業者が行う感染対策に関する情報や移行後の保健、医療提供体制などを分かりやすく発信してまいります。

○菅野委員 よろしくお願いいたします。
 次に、学校での対応についても伺います。
 文部科学省では、卒業式において児童生徒及び教職員はマスクを外すことを基本とすることや、歌唱の際はマスクの着用など、一定の感染症対策を講じた上で実施することなどの方針を示していますが、今回、都立学校では歌唱を行わないと聞いています。
 文部科学省の方針を受けて、都教育委員会は、都立学校の卒業式について、どのように対応することとしたのか伺いたいと思います。

○浜教育長 都教育委員会は、本年二月十日の文部科学省からの通知を受け、都立学校の卒業式において、来賓や保護者等にはマスクの着用をお願いするが、児童生徒及び教職員にはマスクを外しての参加を基本とすることにいたしました。
 なお、都教育委員会は、昨年十二月に、都立学校に対し新型コロナウイルス感染防止対策として、昨年度に引き続き歌唱を行わない方針を示しておりました。
 これを踏まえまして、多くの学校で既に卒業式の実施計画が策定されており、この方針を変更することによって準備に支障を来すことや、大学入試を控えている生徒の感染を懸念する声も聞かれていることなどから、歌唱については行わないことといたしました。

○菅野委員 現場の不安と混乱を避けての対応だというふうなお答えですが、一方で、国の方針とは異なる対応であったという部分が、報道等でそういったことも記事がありました。親御さんも含めて現場の理解をしっかりと得られるように、さらなるご対応をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、国は、三月十三日以降、個人の主体的な選択を尊重して、マスクの着用は個人の判断に委ねることを基本として、学校については四月一日以降の教育活動の実施に当たって、マスクの着用を求めないことを基本とすることとしています。
 これを受けて、都内公立学校における対応、これはどうなっているのか伺いたいと思います。

○浜教育長 都教育委員会は、国の方針に従い、四月一日以降、都立学校における教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないことを基本といたします。マスク着用の考え方の見直しに伴う留意事項等につきましては、今後、国から通知される予定でございます。
 国からの通知を踏まえ、都立学校向けのガイドラインの改定を行い、各学校に速やかに周知するとともに、区市町村教育委員会に対しても参考として送付をいたします。
 なお、児童生徒にマスクの着脱を強いることや着用の有無による差別、偏見がないよう、引き続き適切に対応してまいります。

○菅野委員 ぜひ児童生徒や保護者に不安や混乱を起こさないよう、先ほどと同じように、学校現場とも引き続き丁寧に対応していただくことをお願いいたします。
 それでは、次に、新型コロナの今後の医療相談体制について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症への対応は、五月八日に感染症法上の現在の二類相当から五類への移行ということで、一つの節目を迎えます。今後は、コロナの医療体制をいわば有事体制から平時の体制へと戻すことになります。国から近日中に医療提供体制の具体的な方針が示される予定でありますけれども、そこで伺います。
 都は、五類感染症に対応する平時の医療体制に円滑に移行していくために、どのように取り組むのかを伺いたいと思います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都は、五類への移行に当たりまして、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、段階的に進めることとしております。
 具体的には、高齢者や妊婦などのハイリスク層を守るとともに、感染拡大時に機動的に対応できるよう備えを講じてまいります。また、発熱患者の健康相談や自宅療養者の体調悪化時の相談機能を併せ持つセンターを設置いたします。
 さらに、より多くの医療機関がコロナ患者を受け入れられるよう、医療機関に対し院内感染対策の施設整備や備品購入等を補助するほか、地域の医療従事者に対する研修の実施をいたします。
 入院調整についても、医療機関同士での調整に移行していくため、各病院の病床の状況等の情報を共有する仕組みを検討してまいります。
 こうした取組により、五類への移行を円滑に進めてまいります。

○菅野委員 ハイリスク層を守りつつ、感染拡大へも備える、医療機関へも支援をしていくとの答弁がありました。今後、国が示す方針を踏まえながら、都としてより具体的に医療相談体制を構築していくことになると思います。
 歴史に残るような三年間の有事の対応を平時に戻していくことは、決して簡単なことではないと思います。都民の不安を解消しつつ、円滑に移行することを要望して、次の質問に移ります。
 次は、防災関係に話を移します。
 本年は、関東大震災から百年であります。この節目の年に、東京の強靱化に向けて新たな一歩を踏み出し、強い決意を持って取り組んでいかなければなりません。
 昨年末に公表されたTOKYO強靱化プロジェクトでは、風水害や地震などの危機ごとに、ハード、ソフト両面で取組を強化し、概算ではありますが、将来の事業規模も提示されています。また、強靱化に向けた将来の道筋が明確にされており、骨太な計画となったことを評価します。
 一方で、今回示された事業規模の意義を明らかにしておく必要もあります。
 まず、この事業規模はどのような考え方で整理されたのか伺います。

○中村政策企画局長 TOKYO強靱化プロジェクトでは、東京が直面する風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶及び感染症の五つの危機や複合災害に対し、二〇四〇年代に目指す強靱化された東京の姿を実現するため、都が展開すべき事業を取りまとめております。
 具体的には、これらの危機の克服に効果が期待でき、都が主体的に実施、関与する事業を対象としており、事業規模は概算で二〇四〇年代までに十五兆円、今後十年間で過去十年間の一・五倍となる六兆円と見込んでおります。

○菅野委員 対象事業の考え方をあらかじめ明確にしていることが分かりました。また、災害への備えに対して、過去と比べても大胆に投資されていることも分かりました。
 この十五兆円の中には、これまで進めてきた地震や風水害への対策に加え、電力や通信の途絶への対策など幅広い取組も含まれております。
 調節池や防潮堤など、都のインフラ整備を着実に進めていくことはもちろんですが、災害時のライフラインとして、電力などエネルギーやスマホなどの通信環境の確保という視点も非常に重要であります。
 災害時の電力や通信の確保について、本プロジェクトにおいてどのように強靱化に取り組むかを伺います。

○中村政策企画局長 災害時に電力、通信等のライフラインを確保することは、都民生活や社会経済活動の維持のために重要でございます。
 こうした観点から、本プロジェクトでは、これまで築き上げてきた安全・安心な東京を強靱化に向けてさらにレベルアップするため、災害時の電力、通信等への不安を解消する対策にも重点的に投資いたします。
 具体的には、再エネ設備や蓄電池など、自立分散型電源の確保を促進するほか、衛星通信の活用による通信困難地域の解消など、今後十年間で六千億円を投じ、関係事業者と連携しながら、災害時の電力、通信等の確保に向けた施策を強力に推進いたします。

○菅野委員 今回のプロジェクトでは、ライフラインが止まるリスクも含めて災害への備えを講じていくことが分かりました。大事なのは、計画をつくって終わりではなく、将来を見据えたプロジェクトとして、しっかりと前に進めていくことであります。
 一方で、インフラ整備には非常に長い時間とコストを要します。これまでの一・五倍の事業規模をその時々の経済状況に影響されずに中長期にわたって展開していくためには、国とも連携しながら財源を確保し、事業を加速するための制度を充実する必要があります。加えて、事業の着実な推進に向けた体制の確保も求められます。
 こうした観点も踏まえ、東京の強靱化の確実な実現に向けて、TOKYO強靱化プロジェクトの実効性をより高めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、次の百年も都民の安全・安心を確保できる東京を実現する、そのためにはこのプロジェクトを将来にわたって効果的に展開しなければなりません。
 こうした考えの下で、東京強靱(じん)化推進基金を創設いたしまして、財源として戦略的に活用してまいります。
 また、事業の執行のより一層の迅速化、技術職員の確保、育成など、執行体制の強化に取り組んでまいります。
 一方で、首都東京の強靱化でございますが、日本全体を災害に強くするものでございまして、国に対して必要な財源の安定的、継続的な確保や確実な配分を求めてまいります。
 加えまして、高台まちづくりの加速に向けました新たな仕組みの導入など、国と連携しながら必要な制度の拡充や創設を図りまして、施策をレベルアップしてまいります。
 こうした取組でプロジェクトの実効性を高め、強靱で持続可能な東京を実現してまいります。

○菅野委員 ぜひ知事のそうした強い思いで、技術職員の確保もそうですし、やっぱり国と連携、これをしっかりと進めていただいて、このプロジェクト、しっかりと実現していただくよう、よろしくお願いいたします。
 続いて、マンションの耐震化について伺います。
 先月六日に発生したトルコ、シリアの震災から一か月がたちましたが、いまだに多くの人が行方不明となっております。捜索活動の進展を願うばかりであります。
 先日の一般質問で、我が会派の林議員が、今後の分譲マンションの耐震の取組について質問をさせていただきました。ピロティーの改修など、様々な助成についてそのとき答弁をいただきました。
 この耐震改修等を実施する際の課題の一つが費用の負担であります。管理組合は資金面で余裕のあるところばかりではありません。耐震化に必要な資金を計画的に積み立てていくことや、資金計画の作成というものが欠かせないと思います。
 こうしたハード面でのこれまでの対応に加えて、切迫する大地震に対してどのような備えをすればよいのか、そして、大地震が発生してしまった後にどのように行動すればよいのか、こうしたことについて、管理組合に対して必要な情報を提供し、防災意識を高めることも重要であります。
 マンションの震災対策に当たっては、耐震改修を中心としたハード面での支援を実施してきましたが、この取組を拡充することに加え、今後ソフト面での支援も充実が必要と思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○山口住宅政策本部長 マンションの耐震改修を進めるため、都はこれまで、建築士等の専門家を派遣しまして、改修計画案の作成や概算費用の提示等の支援を行ってまいりました。
 耐震改修の実施には費用負担への不安の声もあることから、取組を一層促進するため、来年度から、専門家派遣の支援メニューに耐震改修を見据えた長期修繕計画の見直しや、それに応じた資金計画作成に対する助言を追加しまして、改修費の計画的な準備を促してまいります。
 あわせまして、自主防災組織の立ち上げ等、管理組合の防災力向上のため、マンション管理士の団体と連携しまして、専門講習を受講した管理士の派遣を開始するなど、ハードとソフト両面にわたりマンションの震災対策を推進いたします。

○菅野委員 今年は都民の防災意識が一層高まると感じます。その機会に、ぜひマンションの耐震化を一層推し進めていただくことをお願いいたします。
 あわせて、マンション防災の普及啓発でございます。
 東京では、都心や湾岸エリアはもとより、郊外でもいわゆるタワーマンションが増加しています。
 現在、都は十年ぶりに地域防災計画を見直していますけれども、マンションの住民や管理組合などに対して、積極的な普及啓発によって、平時から必要な自助、共助の取組を促していかなければならないと思います。
 それぞれのマンションの住民や管理組合が自分事として防災対策にしっかりと取り組むことが、地域防災力の向上には必要だと思います。
 そのためにも、まず、それぞれのマンションにおいて防災対策をしっかり行うことが重要であり、こうした取組が進むように効果的な普及啓発を進めるべきですが、見解を伺います。

○野間総務局長 都はこれまで、防災アプリや東京備蓄ナビ等を活用し、長期間の生活必需品の備蓄など、マンション特有の対策について普及啓発に取り組んできました。
 また、管理組合等が行う防災マニュアル作成や訓練などの共助の取組を、セミナー等で周知に努めてまいりました。
 今般の被害想定見直しを踏まえ、現在改定を行っている東京都地域防災計画に、減災のための主な取組の一つとしてマンション防災を位置づけました。
 今後とも、セミナーなどの内容の充実を図るとともに、より多くのマンションの管理組合等や住民に対して、平時からの防災活動への取組やセミナーへの参加について、区市町村等と連携した周知を検討してまいります。

○菅野委員 地域防災という意味では、次に質問します町会、自治会の役割というのは非常に重要だと思います。
 町会、自治会は、防犯、防災、高齢者の見守りなど、地域の中で本当に重要な役割を果たしてきておりまして、地域コミュニティの中核を担っています。
 しかし、近年は、役員の高齢化、また、新しく建設されたマンションの若い居住者がなかなか町会に加入せず、地域とのつながりが少なくなっているというのが問題となっています。
 さらには、長らく続くコロナ禍で活動が止まっていて、これまで続いてきた祭りやイベントなども中止が相次ぎ、中には廃止になってしまうようなものがあって、地域コミュニティそのものが弱体化しているのが現状です。
 そこで、まずこの町会、自治会に対して、これまで都はどのような支援策を講じたのか伺いたいと思います。

○横山生活文化スポーツ局長 これまで都は、地域コミュニティの活性化に向けまして、町会、自治会の活動を地域の底力発展事業助成によって支援してまいりました。
 コロナ禍にありましても、町会、自治会の活動を可能な限り継続できるよう、感染防止対策の普及啓発事業への助成や、町会、自治会が新規住民や若い世代との交流を図れるよう、デジタル化の支援も行ってまいりました。

○菅野委員 都も様々に支えてきたことは分かりますが、町会、自治会の置かれている状況はかなり深刻であります。
 今年は関東大震災百年の節目でもあります。今回の地域防災計画の改定でも、新たに町会、自治会活動の活性化が地域防災力向上の柱の一つとして明記されています。
 誰にも身近な災害への対策を強化することをきっかけとして、マンションの若い方々も町会、自治会に加入するような取組が必要ですが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は今年度、町会、自治会が地域住民に向け、防災対策に係る情報提供と併せて防災グッズを配布する取組を支援してまいりました。
 来年度は、関東大震災百年の節目を契機に、町会、自治会が災害への備えを見直し、必要な防災備蓄品を購入する経費を補助いたします。
 こうした取組を通じまして、いざというときに町会が頼りになる存在であることを、未加入の方々も含め、広くPRしてまいります。
 都として、町会、自治会活動への支援のみならず、加入促進に資する取組もしっかり検討してまいります。

○菅野委員 なかなか、いろいろ課題は多いんですが、都としてもぜひ町会、自治会活動への加入促進に資する取組をぜひ検討して進めていただきたいと思います。
 ここから環境に関する質問に移ります。
 まず、太陽光パネル義務化についての話からお願いいたします。
 我が会派はこれまで、事業の全体規模や効果、人権問題、リサイクルなどについて、繰り返し都の姿勢を質してきました。
 家庭部門の再エネ整備は急務であり、太陽光発電が脱炭素化に向けた有効な取組と理解はしていますが、都民の理解が進んでいないことが義務化の最大の課題と指摘してまいりました。
 本日は、条例改正後の取組や進捗とともに、様々な課題への対応について、改めて確認をしていきたいと思います。
 最初に、都民理解についてでございます。
 条例改正案は可決されたものの、都民、事業者からは様々な声が寄せられており、本当に理解が深まっている状況といえるのでしょうか。
 この間、新制度について様々な広報を行ってきたと都は説明していますが、都民の理解は進んでいるのか、また、来年度どのように取り組むのかを知事にお伺いしたいと思います。

○小池知事 この新しい制度でございますが、二〇三〇年に新築住宅の六割に太陽光パネルの設置を目指すという国の目標とも軌を一にするものでございます。
 条例施行までの二年間ですが、都民、事業者の理解と共感を育むためにとりわけ大切な期間でございます。そのため、相談体制の充実、住宅購入層を中心として、年代別など対象に応じました戦略的な広報を実施いたしております。
 一月に開設しましたワンストップ相談窓口には、これまで約七百件の相談が寄せられております。そして、そのうちの約三分の二が補助制度の対象は何か、また、金額などについての問合せでございまして、住宅の環境性能の向上に向け、具体的に検討いただけているもの、このように認識をいたしております。
 令和五年度でございますが、ウェブターゲティング広告など、様々な媒体を通じました継続的な広報や時期を捉えました集中的な広報に加えて、太陽光パネルの維持管理など、技術面に関する専門の電話相談窓口を新たに開設いたします。
 さらに、ハウスメーカーなどが顧客に対しまして、住宅の断熱、省エネ、再エネ性能を説明する際に活用できる普及啓発ツールの作成など、あらゆるチャネルにより広報を展開してまいります。
 こうした取組を通じて、環境性能の高い住宅への都民の理解を深めることで、太陽光発電ムーブメントを醸成してまいります。

○菅野委員 都民、事業者の理解なくしては円滑な制度の施行はあり得ません。引き続き、丁寧で分かりやすい広報に取り組んでいただくことを要望しておきます。
 次に、事業の全体像と費用対効果について伺います。
 条例施行に向けては、事業の全体像や費用対効果を明確にして、その妥当性や必要性を丁寧に説明すべきであります。
 さきの我が会派の代表質問に対して、二〇三〇年に向けて一千五百億円の基金により、新築住宅への太陽光パネル設置などを推進することで、CO2削減効果は家庭部門で必要な削減量の約三%に当たる三十万トン、また、経済効果として二千億円以上を期待できるとの答弁がありました。
 二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けては、家庭部門で九百四十二万トンのCO2を削減する必要があります。その全体像や必要な財源を明示した上で施策を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、家庭部門での一層の省エネ対策と再エネ利用拡大は不可欠でございます。
 都は、断熱、省エネ性能の高い住宅や省エネ家電への買換えに対する支援等を通じまして、家庭の省エネ対策を加速してまいります。
 また、家庭での再エネ利用拡大に向け、住宅への太陽光発電設備導入等に加えまして、系統からの再エネ電力の供給拡大にも取り組んでまいります。
 令和五年度予算案では、主要事業で約八百四十億円を計上し、このうち新築住宅への再エネ設備設置推進に係る事業費は約二百億円となってございます。
 二〇三〇年に向けては、最新の技術開発動向等を踏まえまして、様々な対策を推進する必要があるため、現段階で設置可能な再エネ設備等につきまして、必要な財源を基金に計上してございます。
 今後とも、CO2削減の進捗状況や最新の動向等を踏まえながら、あらゆる施策を総動員してまいります。

○菅野委員 ご答弁からは、要は二〇三〇年までの家庭部門での対策全体で必要な財源は分からないということであります。
 確かに、多岐にわたる対策費用を精緻に積み上げていくのは難しいと思いますが、できる限り具体的に二〇三〇年までの全体のロードマップを描いた上で、住宅への太陽光パネル設置だけに注力することなく、効果的な施策を展開することを強く要望しておきます。
 次に、太陽光パネルの製造過程における人権問題について伺います。
 これまで、第三回、第四回定例会における我が党の質問に対し、都からは、太陽光発電協会と会員企業は、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努める旨を宣言したとの答弁や、同協会と連携協定を締結し、人権尊重に関する取組を進めていくんだという答弁がありました。しかし、こうした取組によって人権問題の解決につながるのか、疑念が残ります。
 例えば、取組宣言については、海外メーカーを含む全ての事業者が宣言を行っているのか、また、連携協定についても、具体的な取組やその成果への期待も見えてきません。
 サプライチェーン上での人権問題は、国の取組が重要であると理解しつつも、国に先駆けて太陽光パネル設置の義務づけを行った都だからこそ、実効性を伴う取組を実施すべきだと考えますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 持続可能な社会の実現に向けては、企業の責任ある人権尊重への継続的な取組が重要でございます。
 昨年十月に太陽光発電協会が行った取組宣言におきましては、海外メーカーも含む主要なパネルメーカーが賛同してございまして、人権問題に対する企業の主体的な取組姿勢が示されてございます。
 また、現在、都は、連携協定に基づき、人権尊重などSDGsに配慮した事業活動の促進に向けた取組に着手してございます。
 具体的には、国のガイドラインを踏まえた業界独自の取組基準を、本年四月末の策定に向けて後押ししてまいります。
 加えて、人権尊重に関する研修を継続的に実施するほか、パネルメーカー等との意見交換を重ねるなど、同協会と協働し、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。

○菅野委員 宣言も取組基準も、実際に機能しなければ意味がありません。都は、業界団体と連携を図って、積極的かつ継続的な取組を進めることを強く要望します。
 次に、リサイクルについて伺います。
 家庭用の太陽光発電設備は、廃棄時、一度に排出される量が少なく、場所や時期が散発的なため、リサイクルのルートが確立しづらいとの課題が指摘されてきました。
 しかし、環境局長は業界団体の新年会で、太陽光パネルのリサイクルを行いますと明言していました。具体的にどのようにリサイクルをするのか、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 住宅用太陽光パネルの二〇三〇年代半ば以降の本格廃棄を見据えまして、現時点から効率的なリサイクル体制を整えていくことが重要でございます。
 そのため、関係事業者で構成する協議会で、住宅用パネルの収集運搬を実際に行い、効率的な運搬方法の検討や素材別リサイクルの検証等を進めてまいります。
 また、今年度実施したリサイクル施設の現地調査や処理コストに関する実態把握などの結果を踏まえまして、埋立処分と比べ割高となるリサイクル費用への補助を来年度から開始いたします。
 こうした取組を通じまして、住宅用パネルをリサイクルルートへ誘導し、将来の本格廃棄を見据えた高度循環利用を促進してまいります。

○菅野委員 将来廃棄されるパネルは必ず増加していきます。設置義務づけをした都が、しっかりと将来を見据えたリサイクル体制を準備していくことを要望します。
 さて、我が会派は、太陽光発電を含めた再生エネルギーの推進には、国と歩調を合わせて推進していく立場です。
 しかし、パネル設置の義務化だけが先行し、現時点でも都民の皆様に納得いただける状況にはないというのが我が会派の認識です。
 太陽光パネルの義務化について、引き続き都民の皆様のご意見に耳を傾けるとともに、事業の全体像と対費用効果、環境対策としての効果、リサイクル体制、人権問題など様々な課題について、今後とも議論をしてまいりたいと思います。
 次に、既存住宅の省エネ対策について伺います。
 家庭のCO2削減対策には住宅などへの太陽光発電の導入推進も重要ですが、まずは日常生活でのエネルギーの消費を減らす、すなわち住宅の省エネ対策を徹底して進める必要があります。
 まさに新築住宅については、建築物省エネ法の改正により、二〇二五年度に断熱などの省エネ性能の義務化が開始されるなど、一定の対策が進むことが期待できます。
 一方で、都内には七百万戸の既存住宅があり、その対策が極めて重要ですが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 既存住宅の省エネ化には、断熱性能向上が有効である一方、都内住宅ストックのうち、窓を高断熱化した住戸は二割にとどまってございます。
 このため、都は、省エネ効果が高い窓等の断熱化への支援を強化してございまして、今年度の申請数は前年度同期比で三割以上増加してございます。
 今後、居住空間全体の断熱性を高めるため、これまでの窓、ドアに加えまして、壁や床等の高断熱化も補助対象とするなど、対策をさらに強化してまいります。
 こうした取組を、地域工務店等とも連携し、広く都民に活用を働きかけることで、脱炭素で健康的な暮らしができる住宅への改修を推進してまいります。

○菅野委員 都は、新築だけではなく、都内に存在する膨大な住宅ストックの省エネ対策を強化していくことが確認できました。
 住宅の断熱化は、二〇三〇年カーボンハーフの実現とともに、ヒートショックの防止など都民の健康にも資する住宅が増えていくことにつながるため、ぜひ施策を都民にしっかりと伝えていただき、着実に利用してもらうことを期待しておきます。
 次に、集合住宅へのEV充電設備の普及について伺います。
 昨年の国内乗用車新車販売台数に占めるEV割合が過去最高を記録するなど、EV市場は拡大を見せ始めています。このEV普及を強力に推し進めるためには、EVユーザーの利便性の観点からも、自宅で充電できる環境の整備が不可欠であります。
 特に東京では、多くの都民が居住する集合住宅における充電インフラの整備を推進する必要があります。
 このことは令和三年第一回都議会定例会において私が質問いたしましたが、集合住宅に充電設備を設置する際には、設置工事に加え、配線工事や新たに受変電設備が必要なケースがあって、設置後においても充電料金の徴収方法など様々な検討を行う必要があるという課題があり、また、管理組合でも、そうした専門的なことが分からないという声を聞いているという答弁でした。
 また、都内の集合住宅に多い機械式駐車場、特にタワーマンションなんかそうなんですが、ようやくメーカー各社の開発が進んで、充電設備の設置が可能になってきたものもあります。ただし、平置き駐車場に比べて工事費用が非常に高額だと聞いております。
 こうした集合住宅特有の課題を受け止めて、円滑に導入を行うためのサポートが必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○栗岡環境局長 集合住宅には都民の多くが居住してございまして、EV充電設備の普及拡大に向けては様々な課題があり、設置が進みにくい集合住宅への対策が重要でございます。
 昨今、初期負担ゼロサービスや課金システムの提供など、管理組合の負担軽減に対応する多様なビジネスが誕生してございます。
 都は、こうした事業者との連携を強化しており、設置を希望する管理組合に対しまして、今月相談会を実施いたします。
 さらに、来年度は、管理組合が設置を検討する際の調査費用の支援を開始するとともに、機械式駐車場への設置支援における工事費の上限額を引き上げてまいります。
 こうした取組によりまして、集合住宅における充電インフラの普及を加速してまいります。

○菅野委員 ぜひ集合住宅の居住者に対するそうした支援を一層進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 我が会派はこれまで、空き家対策について、空き家の利用促進に向けた区市町村の取組への支援や民間活力を活用した情報提供の充実など、要望を行ってまいりましたが、世帯数の将来的な減少や、空き家予備軍の存在などにより、今後さらなる空き家の増加が懸念されています。
 また、昨年第四回定例会で、既存住宅市場の活性化に向けた取組をさらに進める必要があることを主張しましたが、こうしたことは、空き家問題の解決のためにも効果的であると思います。
 都は、こうした中、新たに策定する東京における空き家施策実施方針において、既存住宅市場での流通促進を視点の一つと捉えて、空き家問題の抜本的な解決を目指していくとしていますが、どのように空き家対策を進めるのか伺いたいと思います。

○山口住宅政策本部長 世帯数の減少や、空き家予備軍の存在などによりまして、空き家のさらなる増加が懸念される中、その発生原因や建物の状態などに応じた対策が必要でございます。
 そのため、新たな実施方針の下、買取り再販事業者等が建物状況調査等を行い、良質な住宅に改修し、適正に評価して販売する取組に対しまして、改修費等を補助することなどにより、既存住宅の流通促進を図ります。
 あわせまして、地域資源としての空き家の利活用や利活用見込みがない空き家につきましては、除却等を促進するなど、空き家対策を総合的に推進いたします。

○菅野委員 今回の取組で空き家対策がさらに強化されて、より進んでいくことを願って、次の質問に移りたいと思います。
 次に、教員確保について伺いたいと思います。
 今年度当初、都内の公立小学校でも五十人程度の教員不足が発生しました。この教員不足は全国的な課題となっていて、状況の改善を図るため、国は今年度、教員の勤務実態や働き方改革の取組状況について把握するための調査を六年ぶりに実施しました。
 今後は、その調査結果を踏まえて、教職給与特別法の改正も視野に入れた教員の処遇改善の検討が進められていくようでありますが、学校現場を持つ都は、国の取組を待つことなく、確保策を進めていくべきだと思います。
 大切なことは、教員の数のみに注力するのではなく、先月改定された教員の資質の向上に関する指標に記されているとおり、熱意と使命感、豊かな人間性と思いやりに加えて、多様性に配慮した人権意識といった高い資質を兼ね備えた教員の確保だと思います。
 そこで、今後、都はどのように教員を確保するのか、取組について伺います。

○浜教育長 教育への熱意や使命感等の資質を備えた教員を確保するには、志望者の裾野を広げ、より多様な層から選考できるようにすることが重要でございます。
 このため、都教育委員会では、来年度、選考制度を見直し、学生の負担軽減に向けた大学三年生での一部前倒し受験の導入や、選考時に免許を持たない方も受験できる社会人選考の年齢要件の緩和、都を中途退職した教員が復帰しやすいカムバック採用の新設などを行います。

○菅野委員 採用選考の制度改善など、東京の教員を目指しやすい仕組みをあらゆる場面で行うことは評価します。
 他方、教員を増やす努力と同時に必要なのは、減らさない取組や、外部人材の活用といった教員の負担軽減だと思います。
 文教委員会でも議論されているように、現在の教員が置かれている仕事環境は、長時間労働や地域対応など多忙を極めていて、働き方改革や教員支援体制の取組がぜひ必要と思います。
 そこで、今後の取組を伺いたいと思います。

○浜教育長 教員の負担軽減に向けては、スクールサポートスタッフの配置の拡充や、専門性の高い人材を小学校の外国語や体育等の授業で活用する社会の力活用事業の拡大など、外部人材の一層の活用を図ってまいります。
 また、教員が安心して働き続けられるよう、臨床心理士等が小中学校を訪問して全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を実施する自治体数を拡大するほか、定年退職後の教員を活用し、新規採用教員の授業力の向上に向けた支援体制を強化いたします。

○菅野委員 今回の教員不足の解消は、東京都の教育行政を進めるに当たり重要な取組の一つだと思います。
 ぜひ小池知事にも、都教育行政の先頭に立っているんだというご認識をいただいて、この問題にも積極的にお取り組みいただくよう要望させていただきたいと思います。
 それでは、次に、国際スポーツ大会の誘致、開催について伺います。
 国際スポーツ大会の開催は、トップアスリートの活躍を間近で観戦することで都民のスポーツへの興味や関心を高めるとともに、都民のまちににぎわいをもたらして、地域や経済の活性化にも資するものです。
 東京二〇二〇大会を契機に整備された新規恒久施設をはじめ、優れた競技施設を多く有する都は、様々な国際大会を開催できる高いポテンシャルを秘めており、都立施設の活用の観点からも、より積極的に国際大会の開催を支援していくことが重要です。
 今後、都立施設を活用した国際スポーツ大会の誘致、開催をさらに促進していくべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 国際大会の開催は、競技施設をはじめとする東京二〇二〇大会のレガシーのさらなる発展につながり、スポーツの振興と東京のプレゼンス向上にも寄与いたします。
 都は、多種多様な大会が東京で実現されるよう、誘致及び開催を支援し、選定の際は、特に新規恒久施設など都立スポーツ施設の活用を重視し、観戦招待など都民がスポーツに触れられる機会の提供にも努めております。
 令和五年度は、国際大会の開催を推進する新たな部を立ち上げます。
 今後とも、本制度により都立施設での開催が決定した車椅子ラグビーのアジア・オセアニア大会、視覚障害者柔道のグランプリ大会を含め、都内で開催される国際大会を後押ししてまいります。

○菅野委員 国際スポーツ大会の開催がもたらす様々な価値の中でも、特に次世代を担う子供たちに感動や夢を与えられることは、東京の未来にとって重要だと思います。
 今後の国際大会では、東京二〇二〇大会で十分に実現できなかった学校観戦やアスリートとの交流など、子供たちを対象とした取組を推進していくことが求められます。
 都が国際大会を支援するに当たっては、子供たちの参画に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 子供たちが世界のトップアスリートの活躍に触れる機会を創出し、感動や興奮を届け、夢と希望を育むことは重要でございます。
 都は、国際大会の支援に当たり、スポーツ振興に資する取組を促進することとしておりまして、昨年のパラバドミントン世界選手権では、都内小中学校等の子供たち延べ約三千人が観戦し、スポーツの魅力を体感してもらいました。
 令和五年度に開催を予定している大会におきましても、引き続き主催者と連携をし、学校観戦や競技体験等を実施することとしております。
 今後とも、次世代を担う子供たちの育成に資するよう、様々な形で大会へ参画できる機会の創出を図ってまいります。

○菅野委員 今の答弁にもありましたけれども、都は国際大会支援に当たって、競技団体と連携して子供たちの参画機会を設けていると思います。
 二〇二五年に東京で開催される世界陸上とデフリンピックは、世界各国から集まるアスリートの熱戦を間近で見て応援するまたとない機会であります。
 先月、本会議における我が会派の三宅正彦議員の代表質問に対し、知事は、両大会の開催を通じ、子供たちに夢や感動を届けるとともに、開催地ならではの大会の参画機会を提供していくと答弁されましたが、両大会において、子供たちの参画という視点で取組をどのように具体化していくのか、その意義と併せて伺いたいと思います。

○横山生活文化スポーツ局長 世界陸上やデフリンピックが東京で開催される機会を捉えまして、子供たちの参画を実現することが重要でございます。
 例えば、競技会場のバックヤードツアー、エスコートキッズ等の役割の提供、トップアスリートの学校訪問や陸上教室などの取組が考えられます。
 こうした取組は、子供たちが大会を通じて新たな視野を広げるとともに、自信と勇気を培い、スポーツのすばらしさを感じるといった効果が期待されます。
 今後、都は、両大会の大会運営組織と連携しながら、大会の特性等も踏まえて具体化をし、子供たちが大会に積極的に参画することを強力にサポートしてまいります。

○菅野委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 ここで、デジタルの方にちょっと話を移します。
 まず、自治体システムの統一、標準化について伺いたいと思います。
 区市町村のデジタル化に向けて全国で取り組まれている主要二十業務の標準化、共通化では、令和七年度までにシステムを再構築し、政府が整備するクラウドへの移行が求められていますが、都内区市町村では、大都市ならではの特徴に起因する課題も多いと聞いています。
 昨年の第四回定例会で私が代表質問で尋ねたところ、都と区市町村が参画するチームにおいて、都の専門人材と共に検証していくとのことでありましたが、その状況と今後の対応を伺いたいと思います。

○久我デジタルサービス局長 都が区市町村と共に検証を進めてきたワーキンググループでは、システム規模が大きく複雑な区部などの自治体は、処理件数も多く、独自サービスを提供していることから、今回の標準化、共通化だけでは効率化や費用対効果が十分に見込めないことや、国が提供するガバメントクラウドへの接続には、自治体ごとにネットワーク整備を要するなどの課題が明らかになりました。
 こうした課題を踏まえ、今後、国に対して、区市町村の実情を踏まえた標準システムの検討や、財政上の措置などについて求めてまいります。
 また、GovTech東京と共に、ガバメントクラウドに接続する共同ネットワークの整備など、技術面での支援を行ってまいります。

○菅野委員 今後とも、国との協議を行いつつ、都がしっかりとサポートしていくよう強く要望しておきます。
 標準化をはじめとした自治体DXを進めるに当たり、職員の確保は自治体共通の課題ではありますけれども、より深刻な状況にあるのが島しょ町村であります。
 一方で、島しょ町村だからこそ積極的にデジタル技術を活用して、地域の魅力やポテンシャルを高めていくことが重要であり、まずは、それを支える役場のデジタル化に取り組んでいかなければならないと思います。
 そこで、島しょ町村に対してどのようにデジタル化を支援していくのか伺いたいと思います。

○久我デジタルサービス局長 CIOフォーラムやオンラインによる定期的な意見交換の中で、島しょ町村からは、行政手続のデジタル化の必要性を感じながらも、専門知識がある職員も少なく、また、現地に開発事業者が常駐していないため、機動的な対応が難しいなどの声がありました。
 島しょ町村が直面する具体的な課題をより詳細に把握するため、今月、三つの自治体に都のデジタル人材が出向き、ヒアリングを実施いたします。
 来年度は、自治体の要望に応じてGovTech東京の専門人材を定期的に派遣し、職員の育成や役場でのツールの活用、地域のデジタル施策の推進など、町村の取組をきめ細かくサポートしてまいります。

○菅野委員 都とGovTech東京がサポートし、デジタルを活用した島しょ町村の魅力向上を推進していくように、ぜひ強く要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ここから、エネルギー価格や物価の高騰対策などについて伺いたいと思います。
 中小企業へのエネルギー価格や物価の高騰対策でございますが、ロシアによるウクライナ侵攻から一年が経過し、エネルギー価格は高い状況が続いています。
 コロナが終息し、経済回復局面を迎える中でこうした状況が続くことは、事業活動に大きな足かせとなっています。
 また、原材料価格高騰や半導体などの不足も相まって、企業の現場からは、仕入れ値の上昇が続き収益を圧迫している、部材の不足により納期が間に合わないといった悲痛な声を多く聞きます。
 都は、こうした中小企業の現場の状況を踏まえ取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 これまで都は、エネルギーの利用の多い冷凍設備を持つ中小の事業者等に対しまして専門家を派遣し、その助言により省エネ効率の高い設備の導入に必要な経費の五分の四を、一千万円を上限に助成をしてまいりました。
 また、中小企業の加入する業界団体が共同で原材料を確保し、仕入れのコストも抑える取組に関しまして、その経費の五分の四を、上限三百万円まで支援をしております。
 これらに加えまして、来年度、省エネを効果的に進める節電マネジメントの方法を紹介するセミナーを開始するほか、そうした取組で成果を上げた企業の事例の収集や発信に力を入れてまいります。
 これらによりまして、中小企業の事業活動を適切に支えてまいります。

○菅野委員 中小企業は、またエネルギーコストの削減に向けて、空調の管理や消灯の徹底など身近な省エネや節電を行う一方、新たな設備投資などの取組は、資金やノウハウの不足などによって十分に進められない状況にもあります。
 エネルギー価格高騰の収束が見えない中でも中小企業が安定して経営を続けるためには、中長期的な視点に立ったコスト削減の取組への支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、中小企業がエネルギーを安定して確保し事業を継続できるよう、専門の窓口を設け、相談対応を開始いたします。
 また、技術に詳しい専門家が現場に出向き、中小企業の実情に合わせたきめ細かい助言を行います。
 さらに、そうしたアドバイスに基づき、小型の風力発電機や蓄電池の導入などを行う場合、その経費につきまして最大四分の三、一千五百万円までの助成を行います。
 これに加えまして、中小の事業者の所有するオフィスビルのエネルギー利用を効率化するため、省エネ診断に基づき建物の改修などを行う場合、その経費の三分の二を、三千万円を上限に支援いたします。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実に後押ししてまいります。

○菅野委員 一方で、燃料高騰に直面する公衆浴場は大きな打撃を受けて、厳しい状況が続いています。
 昨年の第三回定例会での補正予算により、燃料費補助を行ったところでありますが、今後も支援を続けていくべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は、原油価格高騰の影響を大きく受けている公衆浴場の経営を支援するため、今年度、太陽光発電装置の設置等に係る補助率や限度額を引き上げるとともに、新たな利用者開拓に向け、無料クーポンの配布等を実施いたしました。
 また、国の臨時交付金を活用し、燃料費への緊急支援を行ったところでございます。
 先般、国による電気・ガス価格激変緩和対策事業が開始されましたが、都としては、その効果を注視しつつ、公衆浴場のエネルギー効率化に向けた照明設備のLED化や高効率空調機設置等への支援を行うとともに、利用促進に向けた取組も進めてまいります。

○菅野委員 ぜひ、これまでご答弁いただいた事業者への支援策がしっかりと効果を発揮するかどうかも検証した上で、新年度以降もご対応を続けていただくようお願いをいたします。
 また、このエネルギー価格の高騰、物価の高騰というのは東京に限ったことではありません。コロナ禍でテレワークが進み、東京から地方へ転出する人が増えて、東京一極集中も緩和されると思いましたが、今やまた転入超過が続いています。
 しかし、日本全体の発展に向けては、東京対地方という構図ではなくて、共存共栄を目指すことが大切で、地方発展に東京がどれだけ貢献するかが問われています。
 東京の都市活動の維持に不可欠な水や電力などは、例えば八ッ場ダムや地方の発電所にその多くを依存しながら成り立っています。
 こうした地方からの恩恵に対し、東京はどのように貢献していくのか、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 東京と地方は、相互に支え、高め合うパートナーとして、共存共栄を図ることで我が国の持続的成長を実現していくことが重要であります。
 水、食料、エネルギーなど一大消費地である東京は、地方からの供給に支えられながら、首都として日本経済の牽引役を担っています。
 都は、全国の中小企業の販路の拡大や国産木材の需要創出、お米の粉である米粉の活用に加えて、東京に集まる情報、資金と他の地域の資源、技術など、双方の強みを結びつけた新たな価値の創出など、地方の活性化にも資するよう取り組んでまいりました。
 コロナの終息に伴います消費、インバウンドの回復などが見込まれる中、今後とも、全国各地との連携を深め、東京、そして日本全体の発展につなげてまいります。

○菅野委員 地方への貢献について、知事からご見解を伺いました。都民生活に不可欠な電力も実は地方に依存しています。
 また、エネルギー価格や物価の高騰については、国や都も支援策を講じていますが、予断を許しません。
 特に電力については、価格の高騰とともに安定供給への懸念もあり、政府も年末に、安全性確保と地域の理解を大前提とした上で、六十年以上の原発の運転を可能とすることや、次世代原発の建設などの方針を示しました。
 今定例会の我が会派の三宅正彦幹事長が代表質問において、原子力発電の再稼働を含めたエネルギー問題について知事の見解を質したところ、国レベルで議論、検討が行われるべきと、他人事といってはちょっと強いかもしれませんが、のようでした。
 電力などエネルギー高騰に多数の都民や事業者が苦しむ中、エネルギーの大消費地である東京の知事として、政治家として、原発稼働に関してどのようにお考えになっているか、再度、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 原発についてのお尋ねでございます。
 まず、エネルギー政策そのものは、国策そのものでございます。先ほどお尋ねありました人口問題もそうでございます。
 やはり国がしっかりとその政策を進めていく。そして、安全の確認をどうしていくのかなどなど、まず、国がしっかりとその立ち位置、そして考え方を明確にすべきであると、このように考えています。

○菅野委員 大東京というか、本当に、人口もそうですし、エネルギーや電力もそうですが、大消費地でもあります。そうした意味では、本当に地方の負担の上に、ある程度、我々の生活も成り立っているという部分もございまして、そういった中での様々な都民の負担をまた減らしていくことも重要であります。
 電気料が上がらないような、そうした施策も、あと持続的にエネルギー供給ができるようなことも含めて、様々な策も講じていく。国もいろいろ検討はしているわけでございますが、知事も東京都のリーダーとして、政治家として、一定の何かそういったお考えを示していただければ大変うれしかったということを申し上げておきます。ぜひ今後ともよろしくお願いをいたします。
 それでは、続いて、まず、シニア層の就業支援、就業者数に占める六十五歳以上の割合は十八年連続で増加しています。都内でも約九十万のシニアの方が働いています。
 さっきの、今進めている少子高齢化の対策により、中小企業を中心に人材の確保が喫緊の課題となっている中で、豊富な経験を持つシニアの方の就労支援は非常に重要だと思います。
 そこには、例えば男性の育児休業も増えている中で、若い世代の育児との両立を応援していくためにも、一方で、シニアの活躍が望まれているのではないかと思います。
 しかしながら、現状、六十五歳以上のシニアのうち就業している方は全体の四分の一にとどまっています。
 シニアの引退理由には、老後はゆっくりしたいなど納得して引退するケースもありますが、一方で、希望する仕事がない、希望する仕事があったけど雇ってもらえないなど、働く意思があるにもかかわらず引退してしまうケースがあります。
 こうしたシニアの力を引き出し、生き生きと活躍していただくことは、人生百年時代における東京都の経済成長の原動力となると考えます。
 そこで、セカンドキャリアとして就労を希望するシニアが円滑に就労し、職場に適応できるよう、再就職に向けたより一層の後押しを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は来年度、大企業などで新たな事業展開の知識や経験を身につけたシニア人材が、中小企業で円滑に実力を発揮するノウハウを学び、就職する後押しを行います。
 具体的には、再就職を目指すシニアが、これまでの経験やスキルを中小企業の職場で生かすための効果的な方法を学ぶセミナーを開きます。これに合わせまして、就職を実現したシニアや経営者との意見交換の場を設け、新たな職場で働く気持ちの切替えを促します。こうした取組を年六回実施し、シニアの就労をきめ細かく支援いたします。
 また、シニアが中小企業で派遣により働き、仕事の進め方を身につけ、職場の雰囲気に触れ円滑に就職を実現する後押しを五百名の規模に拡充いたします。
 こうした取組によりまして、シニアの就業を支援してまいります。

○菅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 また、今度は、今、観光も大分戻ってきましたので、その部分についてもちょっと伺いたいです。
 ようやく我が国も、今月から外航クルーズ客船の受入れが再開しました。令和二年に開業した東京国際クルーズターミナルでも、今月二日に初の外航クルーズ客船を受け入れて、今月だけでも六隻の外航クルーズ客船が来訪すると聞いています。
 クルーズ客船の寄港は東京に大きな経済効果をもたらすものであり、今後、東京の観光の大きな切り札の一つとして盛り上げていくものと思います。
 そうした状況から、インバウンドは本当に増加傾向にありますが、まだまだコロナ禍前の水準まで完全に戻ったとはいえません。回復途上の段階にあるとも聞いています。
 今後のインバウンドの本格回復に向けては、海外からの旅行者にも人気が高い伝統文化など、観光資源により東京の魅力をさらに高め、世界中から東京に人々をさらに呼び込んでいくことが重要であります。
 そこで、都は、文化等のコンテンツを活用した観光振興を推進すべきと考えます。見解を伺います。

○坂本産業労働局長 海外から数多くの旅行者を誘致する上で、地域の優れた文化を効果的に活用した取組への支援は重要でございます。
 これまで都は、地元の観光協会等が文化芸術団体と協力し、伝統的な芸能などを活用したイベントを行い、集客に結びつける取組に必要な経費の二分の一を最大一千万円まで助成をしております。
 来年度は、この支援の充実を図り、助成率を三分の二に引き上げ、一千三百万円まで助成をいたします。
 また、ホテルや旅館が外国人旅行者向けに伝統文化を体験できるプログラムを作成する取組や、そのために施設改修を行う場合に必要となる経費に対し、最大一千五百万円まで三分の二の助成を開始いたします。
 これらによりまして海外からの観光客の誘致を進めてまいります。

○菅野委員 今度は、先日のですね、スタートアップについてちょっと伺いたいと思います。先日、City-Tech.Tokyoの現場を視察しました。
 世界各国から三百以上のスタートアップが集まって、英語でのプレゼンテーションや海外の投資家などとのトークセッションが行われていました。また、多くのスタートアップ関係者が会場に訪れてきており、盛り上がりを感じました。
 世界に通用するスタートアップを育てていくことは、都、そして日本の成長に不可欠だと思います。
 我が会派の代表質問では、様々な支援策をワンストップで提供する支援拠点の整備を進め、世界市場で打ち勝つスタートアップを育てていく旨の答弁がありました。
 既に東京には官民の様々な支援拠点があります。そこで支援プログラムが提供されています。
 都が設置する拠点は、これらと競合するのではなく、それぞれの取組を全体として生かし、関係者の協力を得て、オール東京で育てていくことが重要です。
 都は、新たな拠点をどのように位置づけしているのか伺います。

○吉村政策企画局スタートアップ戦略担当局長 来年度整備に着手する新たな拠点は、グローバルな視点で国内外のスタートアップが集い交流するとともに、投資家や実業家、支援機関、国、大学など様々な関係者をつなぐ結節点の役割を果たすことを構想しております。
 そこでは幅広い助言者、メンターとの対話を通じまして、スタートアップのイノベーションを生み出してまいります。
 また、起業への後押しや外国人の国内活動への支援を包括的に提供するほか、若者が起業に親しむ場の役割も果たしてまいります。
 都内各地の拠点とも連携いたしまして、多様な支援プログラムを提供するなどによりまして、エコシステムの大きなネットワークをつくり上げ、アジアのゲートウエーを目指してまいります。

○菅野委員 都が整備する拠点は国内外のスタートアップを呼び込み、様々な関係者をつないでいくという答弁をいただきました。都だけで行うのではなく、民間の力も生かすという視点は重要であり、しっかりと行っていただきたいと思います。
 これまでの代表質問でも、スタートアップ政策を進める上で、国や経済団体、都内に数多くある大学などと連携し、オールジャパンで実効性の高い施策を進めていくべきと指摘しました。
 今回視察したCity-Tech.Tokyoでも、スタートアップ担当大臣や関係省庁の方がセッションに参加するなど、国との連携が図られているのを確認しました。また、全国各地の都市もブースを出すなど、オールジャパンの意識も見られました。
 そこで、世界に向けて打って出るため、こうした連携をさらに強固にする必要があります。幅広い連携の下で共通のプラットフォームを築き上げていくなど、具体的な取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村政策企画局スタートアップ戦略担当局長 スタートアップ支援に関わる様々な関係者が一丸となって戦略を推進するため、昨年十二月に皆が一堂に会するサミットを開催し、連携の意識を共有いたしました。
 さらに、一月のキャリアフェアや先日のCity-Tech.Tokyoでは、数多くの事業者や国、自治体などの関係者が参加し、交流を深めたところでございます。
 こうして築いた関係を生かし、日本のスタートアップの情報を世界中に分かりやすく届けるため、共通のデータベースやダッシュボードを関係者と協力して整備いたします。
 戦略に盛り込んだ様々な施策を国とも連携して展開し、スタートアップの成長を後押ししてまいります。

○菅野委員 スタートアップに限らず、新たなことを始めるためには、連携こそ大事だと思います。国、自治体、民間との調整を東京都が率先してイニシアチブを発揮し、牽引していくことをお願いしておきます。
 それで、先ほどのスポーツとまたちょっと関連して、日本で開催された二〇〇二年サッカーワールドカップ、二〇一九年のラグビーワールドカップ、世界から多くの人が来日し、まちじゅうがにぎわいを見せました。
 こうした大会を目的で訪れる外国人旅行者は、滞在中に国内を観光することが一般的であります。このような外国人旅行者に東京の魅力を感じてもらい、リピーターとして再度東京を訪れてもらうことが地域の活性化に結びつくと考えます。
 そこで、都は、イベントの誘致を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京に海外からの来訪者を増やす上で、国際的に有名な集客力のあるイベントの誘致を図ることは効果的でございます。
 これまで都は、イベントを開催できる優れた会場や設備のほか、周辺の魅力的な観光スポット等について、ウェブサイトやMICEの専門誌を通じPRを行ってまいりました。
 来年度は、新たに海外から文化やスポーツなどのイベントの誘致に向け、主催者に対し周辺の観光スポットを巡るツアーや伝統文化を体験する機会などを提供いたします。
 また、イベントの開催時には、来訪者向けに歓迎の気持ちを伝える屋外PRや、観光案内を行うボランティアの派遣などを実施いたします。
 これらによりまして、海外からのイベント誘致を進め、観光振興に結びつけてまいります。

○菅野委員 ぜひ様々な形で、インバウンドを含め、東京の経済を引き上げていくような策をしっかりとお願いいたします。
 一方で、先ほどから申し上げておりますとおり、原材料などの価格高騰で、中小零細事業者の経営は厳しい状況に直面しています。従業員の賃上げの要請が強まる中で、現場の経営者からは、仕入価格の上昇により利益が減少していて賃上げを行う余裕もないという切実な実態も寄せられています。
 厳しい状況を乗り越え、従業員の収入増加につなげるためには、デジタル技術の活用や働き方の見直しなどにより、生産性を高めることが必要だと思います。
 都は、企業現場における賃上げにつながる支援を行ってきていますが、来年度に向けてさらに強化すべきと考えます。見解を伺いたいと思います。

○坂本産業労働局長 これまで都は、中小零細企業が生産性向上を目的に、専門家の派遣を受けてIoT等のデジタル技術を活用した設備を導入する際、三百万円を上限に助成する取組において、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を二分の一から四分の三に引き上げて支援をしております。
 また、専門家の助言によりまして勤務やキャリア形成の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者等に対しまして奨励金を支給しておりまして、来年度は、その規模を千二百社に拡充いたします。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業の支援を進めてまいります。

○菅野委員 それでは、これまで物価高騰とか、こういった経済の対策等についてもいろいろと伺ってまいりましたが、最後に、減税についてお伺いしたいなと思います。
 一昨年の都議選において、我が会派は、命を守る、東京を動かすをスローガンに、十六の柱をお示ししました。その中で、コロナ禍で傷ついた経済再生の特効薬として、減税を提案しました。
 アフターコロナになりつつありますが、エネルギーや物価高騰で都民や事業者の厳しい状況は続いています。
 今定例会の代表質問においても、我が会派の三宅幹事長より、こうした都民生活の苦しい実情を踏まえ、減税を含め必要な対策を講じるべきと知事の見解を求めたところ、機を逸することなく必要な手だてを講じ、直面する様々な危機から都民生活と東京の経済を守り抜くとの答弁がありました。
 東京は豊かと思われがちですが、中間層の可処分所得は全国最下位です。我が会派が提案している個人都民税などの減税により、目の前の苦しい状況に置かれている都民、事業者に対して生活や事業活動を応援することで、経済活動の活性化にもつながる迅速かつ効果的な手法の一つだと思います。
 物価高騰などが落ち着き、厳しい経済状況が回復するまでの時限的な支援策として、今こそ個人都民税など減税を実施し、都民生活を支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 ただいま、減税の対象としてご提案のありましたのは個人都民税でございます。個人都民税は都税収入の約二割を占めておりまして、財政運営上、重要な役割を果たしております。
 都民生活の支援として個人都民税を減税するということは、高額所得者ほど減税額が大きくなる一方で、所得が一定以下の方に対しては効果が及ばないなど、税の公平性の観点から課題があるものと、このように認識をいたしております。
 都といたしましては、引き続き、都民生活をしっかりと守り抜いていくため、国の動向や経済状況などを見極めながら、機を逸することなく的確に対策を講じてまいります。

○菅野委員 知事は、今回、所得制限をつけずに毎月五千円を交付する〇一八サポート事業を行うわけですが、この実施に関して、子供を産み育てたい、その願いを都が本気で応援していくというメッセージであると第一回都議会定例会の知事施政方針の中で表明されています。
 その意味では、対象年齢を特定して現金を配布する事業よりも、減税こそ、まさに東京都民、都内事業者の皆様に対する分け隔てない力強いメッセージになるのではないかと思います。
 そのことを改めて指摘をさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小宮委員長 菅野弘一副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

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