予算特別委員会速記録第六号

○宇田川副委員長 藤井とものり委員の発言を許します。
   〔宇田川副委員長退席、委員長着席〕

○藤井委員 それでは、東京都議会立憲民主党を代表いたしまして、締めくくり総括質疑を行わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 初めに、補正予算に関連をしてお伺いをいたします。
 補正予算案は、ウクライナ危機を発端とする原油価格高騰を踏まえ編成されましたが、ガソリン価格は上昇の一途をたどっており、これが四月以降も続けば国民生活や企業活動に深刻な影響を与えかねません。
 国におきましては、私ども立憲民主党は、トリガー条項発動によるガソリン価格引下げや期間限定の消費税減税などを提案しておりますが、小池知事におかれましても、三月三日にウクライナ情勢への対応について国に対して要望されたと伺っております。
 知事が今回迅速に補正予算を提案されたことは評価いたしますが、一地方自治体としての対応には限界があることも事実であります。
 今後とも、国への要望や補正予算の編成など、日々変化する情勢の中でスピーディーかつ有効な対応を行う必要性があろうかと思いますが、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 ウクライナ情勢の悪化に伴いまして、資源価格の高騰などによって、我が国においても幅広い産業への影響が懸念されているところでございます。
 そのため、いち早く国に対して緊急要望を行いまして、また、それとともに、今般、原油価格高騰等の影響を踏まえました補正予算を編成するなど、迅速な対応を行ってきているところでございます。ご審議もいただいております。
 今後とも情勢を注視しつつ、適切に対応してまいります。

○藤井委員 現在、都内のガソリン価格は百六十円台半ばを推移しているところであります。百七十円を超える部分において二十五円の補助金が石油元売に出されてもなお、そのような水準になっているわけであります。
 もしかすると、トリガーが発動されて、さらに二十五円分のガソリン税の上乗せ分の課税が停止されてもなお、ガソリン価格は高騰を続ける可能性すらあります。
 都民の生活を守ることに責任を負う知事として、国はようやくトリガー解除に向けて重い腰を上げようとしている状況にありますので、国に対して、スピーディーに対応するよう、知事から一層働きかけていただくよう、会派として重ねて要望をいたしたいと存じます。
 次に、東京の経済成長についてお伺いをいたします。
 二〇一六年十二月に策定された都民ファーストでつくる新しい東京では、二〇一四年度九十五兆円の都内GDPを百二十兆円にするということを掲げておられました。
 一昨年の二月十日には、二〇一九年度の見込額として百七・七兆円を公表していましたので、今年もそろそろ二〇二一年度の見込額が公表されていてもおかしくないと思うのでありますけれども、最新の都内GDPはどの程度と見込まれるのか、見解を伺います。

○村松総務局長 当該年度の都内総生産の見込額は、二年前の確報値をベースに、その後の各種統計調査の結果から伸び率等を推計し算出しているものでございます。
 しかしながら、都内のコロナウイルス感染状況に伴う景気動向等が不透明でございますことから、正確な推計には技術的な困難を伴うため、現在、都内総生産の見込額の算出を見合わせているところでございます。
 なお、直近の見込額は、令和二年二月に公表いたしました令和元年度の百七兆七千億円でございます。

○藤井委員 コロナの影響により、今技術的な困難を伴うため算出を見合わせているというような答弁でありました。
 もとよりGDPというのは非常に重要な経済指標であります。時系列で比較をすることで都内経済がどのような状況にあるのかということが把握することが可能にもなりますので、早い段階で把握をしていただきますように要望をいたしたいと存じます。
 最新の都内GDPは二〇一九年度の百七兆円という答弁でありましたけれども、二〇一四年度以降の伸び率を見ましても、二〇二〇年度までに百二十兆円に達するとは思えないわけであります。
 また、予算特別委員会の資料第3号を見ますと、一人当たりの国内総生産、これは国全体の数字でありますけれども、ここ十年でおおむね増え続けているわけでありますけれども、一方で、一人当たりの都内総生産については横ばいの状態にあるといえます。都税収入は堅調であるものの、都内GDPが伸び悩んでいるということであります。
 申し上げるまでもなく、経済は重要であります。今後、東京の経済成長に対してどのように向き合っていこうとされておられるのか、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 世界の競争が激しさを増しております。一方で、この中で我が国の地位は後退しつつあるといわざるを得ません。強い危機感を持ちチャレンジを続けなければ、持続可能な成長を実現することはできない。
 そして、日本の成長を創出するためにも、東京が先頭に立って挑戦をするという思いを持ちながら、二〇二〇実行プランでは東京の成長戦略の大きな方向性を提示いたしまして、様々な取組を進めてきたところでございます。
 そして、「未来の東京」戦略、そのversion upでも、イノベーションを生み出すスタートアップの育成、また国際金融都市戦略など、世界から選ばれる都市に向けた政策を展開しているところでございます。

○藤井委員 答弁の中で、スタートアップ育成や国際金融都市戦略に触れられました。
 もちろん、都がスタートアップや金融業の育成に対して一定役割を担わんとする志は理解をするものでありますが、他方で、こうした産業や経済の成長に対して行政が主導することによって産業が成長した事例というものはそれほど多くなく、むしろ失敗した事例は少なくありません。
 特定産業や事業者を決め打ちし、補助金を投じ産業育成を図るという従来型の手法から脱却し、冒頭に申し上げましたガソリン税や消費税などの減税、あるいは意義を失った規制の撤廃といった手法を通じ、民間企業の自律的な成長を促す成長戦略へと転換していくことも重要と認識をしておりますので、この点意見として申し添えたいと存じます。
 次に、四年度予算、財政全般についてお伺いをいたしてまいります。
 まず、基金残高について確認をいたします。
 東京都は、四年度末時点において、特定目的基金も含めた基金全体残高として一兆六百七十九億円、そのうち使途が限定をされない財政調整基金として三千九百二十七億円を見込んでいます。平成二十九年度において、基金残高が二兆七千五百五十六億円であったことを考慮すると、六〇%以上減少するということになるわけであります。
 特に、一兆円近い財調基金を足かけ二年でほぼ取り崩したコロナ禍の経験を踏まえますと、財調基金残高に不安を感じざるを得ないわけであります。
 税収が好調なときこそ回復をさせていくべきだと思いますけれども、残高の確保に向けた見解についてお伺いをいたします。

○吉村財務局長 新型コロナの状況や緊迫するウクライナ危機など情勢が変化する中、迅速かつ的確に対策を講じつつ、未来を切り開く施策を継続的に実施していくためには、その裏づけとなる財政基盤の確保が不可欠でございます。
 そのため、令和四年度予算では、三つのシティ実現に向けた基金を約五千億円活用する一方で、財政調整基金への積立てを行い、基金全体で約一兆円の残高を確保しております。
 加えて、事業評価の取組を通じまして、一つ一つの事業の無駄をなくす取組を徹底するなど、財源の確保を図っているところでございます。
 今後も、こうした努力を積み重ね、基金の残高確保に努めるなど、持続可能な財政運営に向けた取組を進めてまいります。

○藤井委員 都は、リーマンショックのような急激な税収減を想定されてこられたと思いますけれども、コロナ禍を経験した今、莫大な財政出動を伴う事態への備えについても、基金残高の想定に加え、検討する必要性があることを申し述べたいと存じます。
 次に、財政収支の長期推計についてお伺いをしてまいります。
 この推計でも重要なファクターであり、また「未来の東京」戦略を実行していく上でもベースとなりますのが人口であります。
 今年一月一日時点の都内における推計人口は一千三百九十八万八千百二十九人であり、一年間で四万八千五百九十二人減少いたしました。人口が減少したのは実に二十六年ぶりだそうであります。
 今回の事象は新型コロナによる影響が考えられ、こうした傾向が継続をするかは不透明でありますけれども、大切なことは、コロナ後は回復をするといった楽観論ではなく、人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少を前提とした下方修正を含めた財政の長期推計見直しが必要であると考えますけれども、見解を伺います。

○吉村財務局長 財政収支の長期推計は、中長期的な財政見通しを基とした財政運営を行っていくため、都財政を取り巻く環境変化を見据え、今後の財政収支を推計したものでございます。
 推計に当たりましては、今後の生産年齢人口の減少や老年人口の増加などを踏まえた上で、経済成長率についても上位、中位、下位の三つのシナリオを設定し、収支ギャップの振れ幅を推計しております。
 本推計の結果を踏まえつつ、社会情勢の変化等も注視しながら計画的かつ戦略的な財政運営を行ってまいります。

○藤井委員 収支ギャップの振れ幅を推計しながらというご答弁でありましたけれども、そういったことも含めましても、やや楽観的なシナリオ過ぎるのではないかなというような印象を拭えないわけであります。
 財政推計を行う上で重要でありますのは、先ほども申し上げましたが、人口であり、とりわけ生産年齢人口であります。
 これまで東京は、出生率は低いものの、地方都市から進学や就職を契機に若者が出てくると。若年人口を吸収することで発展をしてきたといえるわけであります。しかし、地方においては、東京に出てくる若者自体が減る、あるいはいなくなるというような時代をこれから迎えることになります。さらに、昨今のコロナ禍で、東京、とりわけ二十三区から関東圏を中心に人口の流出が起きているということでもあります。
 少なくとも東京は、人口も税収も右肩上がりというような楽観論は、やはり払拭をすべきではないかということを意見として申し上げたいと思います。
 次に、希望出生率と出生率のギャップを埋める少子化対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 東京都は、出生率二・〇七を将来的方向性とし、子供を産み育てたいという都民の希望をかなえる社会を目指すとされておられます。
 結論から申しますと、東京都の二〇二〇年の合計特殊出生率は一・一三と全国で最も低く、これまでの子育て支援策では、希望する子供の数、あるいは理想の子供の数を実際に産み育てられる東京の実現には至ってないわけであります。
 結婚、出産、あるいは子供を何人持つかといったことは、ライフステージにおける各個人の自由な選択に委ねられるべきであり、本来的には政治が個人的なことに介入すべきではないとも考えるわけでありますけれども、少子化が進めば、やがて経済も社会保障も地域コミュニティも持続可能なものではなくなってしまうということも厳然たる現実であろうかと思います。
 少子化に対して立ち向かわんとされている知事のご決意、またご見解をお伺いいたしたいと存じます。

○小池知事 次の世代、次世代に幸せと希望に満ちた社会を引き継ぐ。そのために少子化の問題には正面から向き合っていかなければなりません。
 「未来の東京」戦略におきましては、出生率二・〇七、これは要は人口を維持する象徴的なというか、基本的な数字になるわけですが、二〇四〇年代に向けて目指すビジョンとして掲げております。
 待機児童の解消に向けた保育サービスの大幅な拡充、そして妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援など、多面的な取組を精力的に推進をしております。
 今回の政策のバージョンアップにおきましては、総合的な子供政策の推進を掲げたところでございまして、子供や子育て家庭に寄り添った様々な政策を全庁を挙げまして進めてまいります。

○藤井委員 ご答弁ありがとうございます。
 子供、子育て家庭を社会全体で支え応援をしていくということのためには、保育所整備だけではない子育て全般の支援策を充実させていくことが重要であろうかと存じております。
 この点、とうきょうママパパ応援事業の新規拡充部分、保育園に通っていない一、二歳児を持つご家庭に対して時短家電の購入支援を行う予算が計上されていることは一定理解をいたしますし、実際に保護者の方からは評価をする声も多くいただいているわけであります。
 しかし、行政が行うべきことは、食洗器や洗濯乾燥機を配ることでもなく、東京都で幼い子供を育てる大変さ、心が折れそうになったときに支える継続的な支援を実施することであると考えております。
 私は、持続的、継続的に子育てを支援するためのサービス給付について、より一層拡充していくことが重要であろうかと思いますけれども、都の見解を伺います。

○中村福祉保健局長 都は、第二期子供・子育て支援総合計画において、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の仕組みづくりや乳幼児期における教育保育の充実など、五つの目標を掲げまして、福祉、保健、医療、雇用、教育など、様々な分野の施策を展開しておりまして、地域において安心して子育てができるよう、引き続き区市町村とも連携しながら施策を推進してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。
 次に、補助率十分の十の事業についてお伺いをいたしたいと思います。
 四年度予算を概観いたしますと、十分の十補助が散見をされるわけであります。
 私は、全額補助で自己負担のないやり方は、事業者によるコスト意識や主体的な経営判断をゆがめかねず、ひいては事業の継続性に悪影響を及ぼしかねないと率直に憂慮をしているわけであります。
 かつて都は、補助金関係事務適正化委員会を設置し、行政の簡素化、効率化を目指すため補助金総覧を作成、データベース化されました。補助金一覧は今も作っておられるかと思いますが、このときの都財政に対する強い危機感は今も持ち続けておられるのでしょうか。
 補助の妥当性を考えるときに、対象経費や金額、補助率は妥当かつ明確な根拠に基づくのか。ほかの手法でなく、補助によることが最適であるのかなど、検討すべき要素は多々あろうかと存じます。
 十分の十補助の考え方について、都の見解を伺います。

○吉村財務局長 都は、政策課題の解決に向けまして、多様な主体の取組を促進するため、補助事業を活用しております。
 補助率につきましては、国の基準に都の実態を踏まえ上乗せする場合や、都独自の施策において、喫緊の課題への対応としての必要性から、対象事業費の全額を補助する場合もございます。
 その上で、各補助金につきましては、毎年度の予算編成の中で、時代の変化を踏まえた必要性の検証、費用対効果、補助率の適正化などの観点から積極的に見直しを図っております。
 令和四年度予算編成に当たりましても、各局に対して、特に補助率が二分の一を超える事業については、制度創設時の趣旨に立ち返り、高率補助の必要性等を十分検証することを求めているところでございます。
 引き続き、適切な補助事業の構築に取り組んでまいります。

○藤井委員 補助率二分の一を超える事業について、必要性を十分検証するよう求めているというような答弁があったかと思います。ましてや、十分の十の自己負担なしの補助金というのは、いわば禁じ手ともいわれ、あくまでも例外的な措置であるべきであろうかと存じます。
 全額補助が目立つ状況について、都として十分検証し、柔軟に見直されていかれることを意見として申し上げたいと存じます。
 ここまで、令和四年度予算について、都財政の将来への備えや見通し、人口減少、補助事業の在り方についてお伺いをいたしてまいりました。この二年、コロナ対策に明け暮れた感もございますけれども、コロナ禍を克服したからといって、東京の未来は決してばら色といえないのではないでしょうか。
 都が向き合うべき課題はほかにもたくさんございます。先ほどの質疑で取り上げた少子高齢化、人口減少への備え、ウクライナ危機など国際情勢への対応、いつ何どき発生するとも限らない首都直下型地震への準備、困難を抱える人への支援についても積極的に取り組む必要があります。
 これらの課題に適切に対応するためには、健全な財政基盤を維持する必要性がございます。ウクライナ危機による税収減、突発的な財政需要などのリスクを踏まえた今後の財政運営について、知事の見解を伺います。

○小池知事 社会情勢は刻一刻と変化しております。その中で、財政環境の先行きについては楽観視できる状況にはございません。そのような中にありましても、都は喫緊の課題に迅速的確に対応していく。それに加えて、誰もが自分らしく輝く段差のない共生社会の実現に向けた取組など、未来を切り開く様々な施策を積極的に展開していくことが重要です。
 これらの施策を安定的かつ着実に実施していくためには、健全な財政基盤の堅持が不可欠であります。こうした考えの下で、令和四年度予算におきましては、将来も見据えて、基金残高を確保するとともに、都債発行の抑制に努めまして、財政対応力を培っているところでございます。
 今後も、都政に課された使命、これを確実に果たしていくために持続可能な財政運営を行ってまいります。

○藤井委員 この質問項目の最後に、財政について一言懸念をしている点について申し上げますが、財政規模についてであります。令和四年度の一般会計は総額七兆八千十億円ということであり、これは過去最大の歳出総額であることについて、都は予算説明の場などで言及をされておられると思います。
 見方を変えますと、予算の肥大化を招いてしまっているのではないか、膨張化を招いているのではないかという点が懸念をされるわけであります。全ての行政サービスにはすべからくコストを要します。当然ながら、誰かが負担をするということにもなります。
 不測の事態に備える、また、将来世代に負担を押しつけないために、歳出を引き締め、健全財政の維持に一層意を用いていただきたいと存じます。
 次に、コロナ対策についてお伺いをいたします。
 四年度予算においても、私たち立憲民主党が再三求めてきた東京都におけるコロナ対策の検証が計上されておりません。そのことにより、経済的損失、都民の生業圧迫、非正規労働者の失業など、弱い立場にある方々に、より重い負担を強いていることを都として認識し、改めての検証を行うことを求めたいと存じます。
 ようやく、蔓延防止等重点措置は解除となりましたが、リバウンド警戒期間でも一部対策は残ります。今回の対応について十分検証をすることで次に備えるという観点から質疑を行わせていただきます。
 以前から指摘がございましたが、今回の蔓延防止等重点措置において、最も多く聞かれましたのは、飲食店における営業制限は必要であったのかというまちの声であります。協力金を渡し、休業や営業時短にご協力いただくやり方は、コロナ禍初期においてはある程度効果を上げたかもしれませんし、事業者の理解、都民の支持も十分あったと認識をしております。
 しかし、オミクロン株は急速に蔓延し、感染経路も多様化いたしました。この特徴に鑑みれば、早期にオミクロンの特徴に沿った対策にシフトしていれば、飲食店経営を圧迫し、多くの関連事業者を苦しめずに済んだのではないか、そんな思いを私自身、封じ込めることができないわけであります。
 私たちは、令和二年第四回定例会の代表質問で、予算四百億円の飲食店営業時短、しっかりと効果検証を、これまでと同じ対応が効果を発揮するのか、定量的に検証すべきと訴え、その後も機会を捉え、都の検証を求めてまいりました。
 そこで、オミクロン株感染爆発による蔓延防止等重点措置において、なぜ飲食店に営業時短要請を行ったのか、その根拠について説明を求めるものであります。都の見解を伺います。

○村松総務局長 専門家の知見では、長時間の会食におけるマスクなしの会話などにより、感染リスクが高まるとともに、夜間滞留人口の増加は感染拡大の要因になり得るとされております。
 こうしたことを踏まえて、飲食店等に対して営業時間の短縮等を要請してきたところでございます。
 今回のオミクロン株による感染拡大においては、新規陽性者数や濃厚接触者がかつてないほど急増し、社会経済活動の停滞が懸念されました。また、感染が高齢者に伝播し、入院患者や重症患者が増え、医療提供体制も厳しい状況となっていたことから、専門家の意見も踏まえて、重点措置期間中は継続して飲食店等に対し営業時間の短縮を要請してきたところでございます。
 多くの飲食店にご協力いただいた結果、夜間滞留人口や新規陽性者数が減少するなど、営業時間の短縮の効果が現れたものと認識しております。

○藤井委員 飲食店の協力により、新規陽性者が減少するなど営業時間の短縮の効果が現れたという答弁でありましたけれども、もちろん、この結果として新規陽性者が減ったことは事実でありますが、それが営業時短による成果であるという因果関係を立証することは簡単なことではありません。
 しかし、私たちが求める検証は、いち早く事態のアウトラインを把握し、感染拡大の起点となる場所や活動を特定し、必要十分な対策を迅速に講じ、対策を練るためにも欠かせないものと考えております。
 次に、第六波における新規陽性者の感染経路はどのような場所でのどんな活動であったのか、多いものからお示しをいただきたいと思います。答弁を求めます。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 本年一月四日から三月十四日までの新規陽性者全体の感染経路別の割合は、同居する人からの感染が約二五%、施設等が約七%、職場等が約三%、会食が約一%、その他が約三%で、不明が約六二%となっております。
 なお、モニタリング会議におきまして、専門家から学術論文を引用し、アルコールの提供を伴う飲食店における滞留が、その他の施設に比べて感染リスクが圧倒的に高い旨の報告がされております。

○藤井委員 答弁の中で、モニタリング会議でアルコールの提供を伴う飲食店における滞留が感染リスクを圧倒的に高めているというような話がございました。この流行の主体となるウイルスの特性に応じて、その都度検証、見直し、進化をさせていかなければなりません。
 オミクロン株は感染拡大のスピードが極めて速く、飛沫や換気の悪い場所におけるエアロゾル感染とされております。一方で、事業者、都民の皆さんのご協力、ご努力で、アクリル板、換気、黙食、マスク会食などもかなり定着をしてきているところであります。
 オミクロンの流行に対して、飲食店に営業時間を制限することでどれだけの効果があったのか、一方で、経済損失、多額の税投入といった相応の犠牲、そしてコストを払ったことも事実であります。都としての検証と対策の進化を改めて求めておきたいと思います。
 また、私がかねてより疑問を抱いてきたことに、早々に都立施設を閉めてしまうという措置がふさわしいのかということがございます。都立施設は、社会活動を維持する上で不可欠な施設が大半を占めるわけであります。
 知事は、社会は止めない、感染は止めるけど社会は止めないとおっしゃっておられました。都が施設を閉める対応に矛盾を感じる方も多く、都民、事業者に示した基準と都自らで基準が異なるようにも見えたわけであります。
 これまでの都立施設を休館してきた意図と効果について見解を伺いたいと思います。

○野間政策企画局長 本年一月、感染力の強いオミクロン株が急速に拡大し、医療提供体制の逼迫のみならず、社会活動の基盤すら揺るぎかねない事態に陥ることも危惧される状況にございました。
 また、医療提供体制を強化するとともに、都民、事業者、行政が一体となって、この危機感を共有し、感染防止に対する強い意識と自主的な取組により、感染拡大を防いでいくという基本的な考え方の下に、都として対策を打ち出したところでございます。
 この対策の一環であります都庁の率先行動として、都立施設につきまして、スポーツ施設、図書館や美術館、博物館の企画展等を除き休館といたしたところでございます。

○藤井委員 次に、コロナ病床の確保についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。
 東京都保健医療計画によりますと、東京都内には病床全体で十二万七千四百二十二床、そして精神科を除いた一般病床は八万九百二十三床という状況であります。一方で、都立、公社病院は十四病院で七千三百七床、そして、そのうち一般病床五千九百九十三床、これは都内全体の数で割り返しますと七・四%という数字にすぎないわけであります。
 一方で、三月十六日現在の確保コロナ病床七千二百二十九床のうち、都立、公社病院は二千二百十床、三〇・五七%、コロナ病床の三割を都立、公社で確保しているという計算になるわけであります。
 都内における民間病院の割合は九割を超え、全国の八割より高くなっているわけであります。感染症医療提供体制を確保する上で、都立、公社病院だけではなく、民間病院の活用は極めて重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 都はこれまで、都立、公社病院や独立行政法人の病院、大学や民間の病院などに対し、その機能や役割に応じて、コロナ病床の確保を要請してまいりました。
 また、病床の効率的な利用を図るため、新型コロナ治療後の患者の転院を受け入れる回復期支援病院について、民間病院を中心に協力を求めてきております。
 都の新型コロナに係る医療提供体制はこうした官民様々な医療機関の総力により確保されております。

○藤井委員 本来は知事の影響下というか、指揮命令下にある都立、公社病院に病床確保の負担を強いるというような形ではなく、民間病院も含めて、公正、公平な形でコロナ病床確保に係る負担を分かち合うということが理想であろうかと思います。
 また、これは法制度上の制約もあるわけでありますけれども、病床確保については、これはあくまでもお願いベースということでありまして、なかなか強制力を、いざというときは強制力を働かし得るというような制度になっていないこともございます。
 いずれにいたしましても、未知の感染症の拡大という非常時において、医療提供体制が迅速に確保できないというのは大きな課題であります。
 もともと東京都の民間病院は二百床未満の中小病院が四百五十四病院を占めており、いわゆる高度医療を提供するような病院では、慢性的な医師、看護師不足がございます。こうした課題もあり、非常時に際して影響を及ぼしているわけであります。
 加えて、医師等確保、医療資源の配分、役割分担の明確化により、現有資源、医療資源を最大限活用できるようにするなど、喫緊に取り組むべき課題も多いと考えております。
 東京都保健医療計画の中間見直しでも、感染症医療体制の強化が取組として挙げられております。次期保健医療計画は令和五年度に策定することになりますが、今後、新興、再興感染症が発生した際にも、迅速かつ的確に対応することができるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 令和三年七月に公表いたしました東京都保健医療計画中間見直しでは、新興、再興感染症が発生した際の迅速な相談、受診、検査体制の整備や保健所との連携、各医療機関等の役割や患者の病態に応じた医療提供体制の確保などについて検討することとしており、今後示される国の基本方針等も踏まえ、対応してまいります。

○藤井委員 次に、児童相談所についてお伺いいたします。
 平成二十八年の児童福祉法改正によって、特別区でも区独自の児童相談所を設置できるというふうになったわけであります。各区が児童相談所の設置を表明する中、私の地元であります練馬区は、児童福祉司など人材確保に限界がある、施設入所などの広域対応が求められるなどを理由として、当初から設置しない意向を明らかにしていたわけであります。
 こうした中、都は四年度予算案で、都立練馬児童相談所を令和六年度に開設する予定を明らかにいたしました。地元選出の議員としては、今回の対応をありがたく思う一方でありますけれども、都議というのは東京全体を考えて仕事をしていくという使命を負っているわけでありますので、児童相談所を設置しようと考えていた区がやる気を失ってしまって、東京都に任せればよいと考えることにもなりかねないのではないかということが懸念をされるわけであります。
 なぜ、練馬区への設置であったのか、都の見解を伺いたいと存じます。

○中村福祉保健局長 国は昨年七月、児童相談所の設置基準を政令等で新たに設定しておりまして、管轄人口が百万人を超える児童相談所は新設等による管轄区域の見直しが求められております。
 現在、練馬区を所管する児童相談センターの管轄人口は二百万人を超えており、その中でも練馬区は約七十四万人と最も人口が多いことに加え、地理的条件、交通事情などを総合的に勘案し、都の児童相談所を設置することといたしました。

○藤井委員 この児童相談所に関連をいたしまして、四問質問通告をしていたんですが、時間の関係もありまして、最後に、この項に関連をして知事にお伺いをしたいと思います。
 二〇一八年九月の代表質問で、私は、体制強化は児童虐待、虐待死ゼロを目指すための手段にすぎないのではないかということを述べさせていただきました。
 児童虐待の相談や通告の件数は増加の一途をたどっております。虐待から子供を守るため、全力を挙げて取り組むべきと考えますけれども、改めて知事の決意をお伺いいたしたいと存じます。

○小池知事 深刻化する児童虐待、これについて迅速かつ的確に対応するため、都はこれまで、児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、虐待対策班の設置、一時保護所の拡充など、児童相談所の体制強化を図ってまいりました。
 また、経験豊富な虐待対策ワーカーを配置するなど、子供家庭支援センターの強化に取り組む区市町村を支援いたしております。
 今後とも、児童相談所の体制強化、区市町村や地域の関係機関との連携を一層進めまして、児童虐待の防止に全力を挙げて取り組んでまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、高校生医療費助成事業についてお伺いをいたしたいと思います。
 高校生等への医療費助成制度について、私たち会派は、子育て世帯の経済的負担の軽減策の一つとして前向きに評価をしているわけでありますけれども、一方で、私たち都議会においては、平成二十九年三月三十日に、全会派一致で子供の医療費等の負担軽減に関する意見書を採択し、国会及び政府に対して、国の責任において統一的な子供の医療費助成制度を創設することを求めたわけであります。
 こうした経緯を踏まえるのであれば、本来であれば、子供の医療費助成については国の責任の下で創設されることが望ましいとも考えられるわけであります。
 そこで、都独自に高校生の医療費助成制度を創設する意義について見解を伺いたいと存じます。

○中村福祉保健局長 高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの健康をコントロールし、改善できるよう支援することは重要であります。
 このため、都は、子育てを支援する福祉施策の充実に向け、来年度予算案に高校生等への医療費助成事業の準備経費を計上し、現在、区市町村への説明を行っているところであります。

○藤井委員 次に、経費についてお伺いしたいと思うのですが、小学生、中学生に係る義務教育就学児医療費助成の令和四年度予算は、市町村分だけで三十六億円ということであります。知事の説明によりますと、五年度予算に必要な経費は、これを基に人口比であったり、特別区の分や年齢階層別一人当たりの医療費などを考慮すれば、試算をすることができると思います。
 都は、高校生等の医療費助成の事業費をどのように見込んでいるのかお伺いをいたします。

○中村福祉保健局長 高校生等医療費助成の事業費は、義務教育就学児医療費助成の令和四年度予算案の額を基に、令和三年一月現在の高校生世代の人口等で推計いたしますと、約五十億円程度と試算されます。

○藤井委員 十分の十助成で、約五十億円の事業費を要するという答弁であったわけであります。
 やはり懸念をされますのは、十分の十の補助がなくなった三年後、区市町村は医療費助成をやめるわけにはいかないという点であります。これは見方によれば、実施主体である区市町村に有無をいわせないやり方で、区市町村の考える力、創意工夫を奪いかねないと、こういうものでもあろうかと思っています。
 一方で、国は、独自の医療費助成を行う自治体に対して、国民健康保険に対する国庫支出金の減額調整、一種のペナルティーを課してきたわけであります。いわゆる過剰診療、コンビニ受診といったことを誘発する、こんな考え方に基づいたものであるように伺っております。
 この子育て世帯の経済的負担の軽減は、我が会派としても積極的に進める立場であるわけでありますけれども、今回の制度創設には課題はないのか、実施主体である区市町村に対しても丁寧な説明が求められると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 高校生等医療費助成について、事業の実施主体である区市町村から早期に都の考え方を示すべきとのご意見もあり、先日、都として基本的な枠組みをお示ししたところでございます。
 この考え方を区市町村長との会議等で説明するとともに、区市町村のシステム改修経費の内容など、実施に当たっての具体的な課題も含め調整することとしております。

○藤井委員 これは、あらゆる施策、政策には光もあれば影もあり、功罪相半ばするということも常であるわけであります。区市町村に対しまして、一層丁寧に説明をされることを改めて求めたいと存じます。
 時間もなくなってきたんですけど、無電柱化と住宅政策については、それぞれ質問を通告していたんですが、住宅政策の中で、住宅セーフティーネットと家賃補助についてはお伺いをしたいと思います。
 最後に伺いたいと思います。住宅確保要配慮者に対しては、都営住宅だけではなく、民間物件を活用した住宅セーフティーネットを設立しているわけでありますけれども、制度の効果が大きく上がっているとは必ずしもいえません。
 都民が健康で文化的な生活を営む上で、住宅は必要不可欠な基盤ですが、制度の役割は重要となっております。住宅セーフティーネットと家賃補助の実施に関する知事の見解を伺います。

○小池知事 住宅は生活の基盤であり、成長と成熟が両立した未来の東京の実現のためにも、都民の居住の安定を確保するということは重要です。
 都営住宅をはじめとする公共住宅の活用に加えまして、東京ささエール住宅の供給促進など、民間賃貸住宅を活用した施策を展開することによって、重層的な住宅セーフティーネットの構築を進めて、引き続き、都民の安定した居住の確保を図ってまいります。
 家賃の補助でございますが、財政負担の問題や生活保護制度との関係など多くの課題がある、このように考えております。

○三宅委員長 藤井とものり委員の発言は終わりました。(拍手)
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十九号議案まで及び第百十三号議案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、明日は午前十一時から理事会を議会運営委員会室で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十分散会