予算特別委員会速記録第六号

○福島副委員長 まつば多美子委員の発言を許します。
   〔福島副委員長退席、中嶋副委員長着席〕

○まつば委員 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めて、間もなく一か月が経過しようとしています。世界中から強い抗議が巻き起こっているにもかかわらず、攻撃は激しさを増すばかりです。
 ウクライナでは、市民の普通の生活現場が攻撃にさらされ、女性や子供たちを含む多くの市民の尊い命が奪われています。ロシア軍は、即時撤退するよう改めて強く求めるものです。
 戦火を避けようと、ウクライナから国外に避難している人は数百万人に及んでおり、日本にも、親族や知人を頼って避難してきています。東京都は、全力を挙げて、受入れ支援をしていくべきです。
 都議会公明党は、本委員会の代表総括質疑で、ウクライナからの避難者に対し、都営住宅の提供を提案しました。これに応え、都が、即座に都営住宅提供や生活支援に着手したことを評価するものです。
 一方、原油や原材料の高騰、ロシアへの経済制裁により、東京の経済にも大きな影響が及んでいます。それに迅速に対応するよう、都議会公明党は、三月十五日、小池都知事に緊急要望を行いました。
 予算特別委員会に新たに付託された令和四年度補正予算案には、都議会公明党の緊急要望が随所に反映されており、東京の経済や都民生活を守るために、早期の執行を強く求めるものです。
 それでは、まず、ウクライナ関連の経済対策から質問します。
 ウクライナ危機に伴う都内経済への影響から、中小企業など事業者の経営を支援するため、新たな制度融資の実施を提案し、三月十五日から受付がスタートしました。
 都内の事業者は、長引くコロナ禍の中で、ウクライナ危機による二重の打撃を受けており、新たな制度融資については、そうした状況を十分に配慮し、利用しやすく、効果のあるものにする必要があります。
 都議会公明党は、知事緊急要望で、利子補給など新たな制度融資での支援を強化するよう求めましたが、都の対応について見解を求めます。

○坂本産業労働局長 ウクライナ情勢の影響により、中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
 このため、都は、緊急の制度融資メニューを今月十五日から開始をしており、新年度も四月から三か月間実施いたします。
 都は、約百六十三億円を金融機関等に預託し、銀行などがこれを活用し、四百八十億円の融資を行うことを可能といたします。
 また、この借入れに関わる企業の負担を抑えるため、信用保証料について、都は、小規模事業者に対して四分の三、その他の事業者に対して三分の二を引き続き助成いたします。
 今後、東京の産業を取り巻く状況の推移を見極めながら、利子補給を含めた中小企業への様々な支援について検討してまいります。

○まつば委員 燃料高騰で大きな影響を受けている運輸交通関連の事業者を支援するためにも、ガソリン税を一時的に下げるトリガー条項の凍結解除を国に働きかけるべきと考えます。
 国においては、与党などが凍結解除を検討することで一致し、ワーキングチームで検討することになりました。
 原油高騰の状況を踏まえれば、トリガー条項の凍結解除は必要と考えます。実際に凍結解除となった場合、全国自治体の減収見込みは、年間で約五千億円以上と報道されていますが、都の財政への影響はどの程度と想定されるのか、また、それについての都の対応について見解を求めます。

○吉村財務局長 原油価格の高騰は、経済活動や都民生活に大きな影響を及ぼしており、現在、国において、いわゆるトリガー条項の凍結解除について議論されているものと認識しております。
 お尋ねのトリガー条項の発動による都財政への影響額は、対象となる期間にもよりますが、一年間継続した場合、軽油引取税と地方揮発油譲与税の合計で、約百九十億円程度の減収が見込まれます。
 今後、国におきまして、トリガー条項の凍結解除による経済への効果に加えまして、減収となる自治体への財源補填等についても、セットで議論されるものと考えており、国の動向や社会経済情勢等を注視してまいります。

○まつば委員 トリガー条項の凍結解除は、原油高騰対策として必要であると、このように思っております。一方で、都としても、運輸交通関連業界を支援するべきであると思います。
 都内のバス事業者やタクシー事業者に対する支援について見解を求めます。

○坂本産業労働局長 ウクライナ情勢による原油価格の高騰が続く中、運輸関連の会社は、事業運営で燃料代の占める割合が高いため、経営に大きな影響が生じる懸念がございます。
 都は、今月十五日から専門家を中小企業に派遣し、電力料金等の削減に役立つ助言を行うほか、これに基づき、機器などを導入する経費に助成を行っております。
 価格高騰の長期化が経営に及ぼす影響を踏まえ、都は、助成金の支援の規模を三倍にまで拡充いたします。この事業によりまして、運輸関連の営業所へ省エネに詳しいアドバイザーを派遣し、所内で使う電気等のエネルギーを抑える助言とその実現に必要な経費の助成を進めてまいります。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業をサポートしてまいります。

○まつば委員 ウクライナ危機による経済への影響で、離職せざるを得ない都民に対しても、新たな支援が必要と考えます。
 知事への緊急要望で、職や住居を失い生活に困窮する方々に対して、緊急一時宿泊場所の確保や必要な資金の貸付けを要請いたしました。
 都議会公明党はこれまで、TOKYOチャレンジネットの事業を推進し、困窮されている方々への支援を拡充してまいりました。
 ウクライナ危機が長期化する様相にあり、生活に困窮する方々が増えてくることから、都は、緊急一時宿泊場所や必要な資金への支援を大幅に拡充すべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 ウクライナ危機による物価上昇などにより、仕事や住まいを失う方が増加するおそれがあることから、都は、TOKYOチャレンジネットに緊急生活相談窓口を速やかに設置いたしました。
 さらに、影響の長期化を考慮し、年間を通じてこの相談窓口を設置するとともに、緊急的な一時宿泊場所についても、利用者の増が見込まれることから、規模を倍増することといたしました。
 また、チャレンジネットの支援対象者の生活に必要な資金を貸し付けるサポート特別貸付の上限額を二十万円から三十万円に引き上げ、借入れしやすくするなどの見直しを図り、生活に困窮する方の支援に向けた取組をより一層推進してまいります。

○まつば委員 ロシアの生産シェアが大きい小麦などの原材料価格も急騰し、小麦関連の製品の価格急騰が懸念をされております。
 こうした状況の中、地域で食を支援する活動を進めているフードパントリーや子供食堂にも影響が及ぶ可能性があります。
 フードパントリーや子供食堂など、地域における重要な活動に支障を来すことがないよう、都は支援を進めるべきと考えます。具体策について見解を求めます。

○中村福祉保健局長 ウクライナ危機による原油や食料等の価格上昇を通じて、都民生活に影響が生じることが想定される中、地域における食の支援活動は重要であります。
 このため、都は、生活に困窮する方に食を提供し、適切な支援機関へつなぐフードパントリーを運営する区市町村社会福祉協議会や民間団体等に緊急的な支援を行うことといたしました。
 具体的には、これまでの立ち上げ経費の補助に加えまして、食料調達や輸送などに係るランニングコストや設備購入の経費等につきまして、一か所当たり約二百万円を上限に補助をいたします。
 また、地域で食事を提供する子供食堂に対しましても、実施回数を増やすなど活動の充実や、立ち上げに必要な設備に係る経費などを、一か所当たり五十万円を上限に、区市町村を通じて支援いたします。

○まつば委員 次に、ウクライナからの避難者の方への都営住宅の提供についてでございます。
 さきに行われました予算特別委員会の代表総括質疑で、都議会公明党は、ウクライナからの避難者について、日本政府が受け入れる方針を示したことから、受入れ時には、住宅や食料の支援、子供の避難民の教育に関する配慮など、きめ細やかな支援が必要であり、まずは都として、都営住宅などを提供すべきだと求めました。
 これに対し、知事からは、国から都営住宅等の提供について要請があった場合には、国と連携しまして、都としてウクライナの方々を支援してまいりますとの答弁を得たところです。
 都内の親戚、友人を頼って、既にウクライナから避難してきた方々が、都営住宅に入居後、生活に困らないよう、必要な備品の準備などに配慮した上で、国からの要請を待たず、速やかに都営住宅を提供すべきと思いますが、現在の準備状況と併せて見解を求めます。

○榎本住宅政策本部長 都は、ウクライナからの避難を余儀なくされ、当面の住まいの確保が困難な方を対象に、都営住宅を無償で提供することとし、既に百戸を確保いたしました。
 都が開設した相談窓口には、東京に避難された方々から、今後の住まいについての相談が寄せられておりまして、都営住宅への入居を希望する方が速やかに入居できるよう、照明器具やガスコンロ、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、布団、カーテン等の用意を始めております。
 今後、避難者の方が置かれている個別の事情や要望等を丁寧に聞き取りまして、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。

○まつば委員 考えられる全ての対応を行っていただくよう要望いたします。
 次に、子供政策について質問をいたします。
 子供たちにとって優しい社会は、全ての人に優しい社会になるとの信条で、私は、初当選以来十七年間、チルドレンファーストを掲げて、都議会の場でも発言をしてきました。昨年の第一回定例会には、都議会公明党が原案を作成したこども基本条例が全会一致で可決、成立し、今まさに都政における子供施策は大きな転換点を迎えていると思います。
 東京都こども基本条例の原案の作成過程は、私も悩み抜く中でつくり上げてまいりました。子供の権利に関する専門家の先生方にご助言をいただいたことが大きな力となりました。国連子どもの権利条約の一般原則である子供に対するあらゆる差別の禁止、子供の最善の利益の確保、生命、生存、発達への権利、子供の意見の尊重を前文に記しました。そして、子供は、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である、社会の宝である子供は、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があると明記しました。また、本条例では、子供に関する各分野において重視すべき基本的視点について、一元的に規定し、子供に関する施策を総合的に推進する体制を整備することを都の責務としています。
 都は、本年二月に公表した「未来の東京」戦略 version up 二〇二二において、政策のバージョンアップの一つとしてチルドレンファーストを掲げ、子供政策を総合的に推進する体制を構築するため、来年度から、子供政策連携室を新設することとしていることを評価するものです。
 私が、一昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑の場で提案し、その後実現をされましたこども未来会議では、福祉、教育など、従来の枠組みにとらわれない、エビデンスに基づいた議論が展開されてきましたが、こうした幅広い視点からの問題提起が、子供政策連携室のコンセプトにもつながっていくものと考えております。
 子供や子育て家庭が直面している課題は、多分野にわたり、複雑化、複合化していることから、新たな体制が、庁内各局と連携しながら、子供政策を総合的に推進していくことは、とても重要であると思います。
 これに加えて、重要なことは、これまで光が当たらなかった分野横断的な政策課題に対しても、真正面から向き合っていくべきだと考えます。例えば、現状では、親の就労の有無や長短によって、保育園に入ることができるかどうかが決まります。
 一方で、核家族化が進展する現在、とりわけ東京では、子育て家庭の孤立は課題であり、コロナ禍の中では、より深刻な状況になっています。ゼロ歳から三歳未満まで、数時間程度であっても、集団保育は、子育て家庭の孤立を防ぐとともに、乳幼児期から子供同士が関わり合うことで、子供たちの健全な発達につながるともいわれています。
 親の就労の有無にかかわらず、子供の最善の利益のために必要なものは何かという観点から、現在の法律や制度の壁を乗り越えて検討していくことが求められていると思います。
 チルドレンファーストの社会の実現に向けて、子供や子育て家庭の実情を踏まえ、子供政策を総合的に推進するとともに、子供を中心に置いた先進的な政策に果敢にチャレンジしていくべきと思いますが、小池知事の決意を伺います。

○小池知事 大いなる可能性を秘めた、かけがえのない存在である子供、その子供をチルドレンファーストの視点に立って、社会全体で守り、育て、明るい未来を紡いでいく、これが我々に課せられた責務であります。
 こうした強い思いを持って、子供政策連携室を新たに設置し、子供や子育て家庭が直面する課題に向き合って、分野横断的に子供政策の企画立案、総合調整を図ってまいります。
 また、従来の枠組みにとらわれず、子供の笑顔のために真に求められるものは何だろうかという過程から、新たな取組の検討を進めてまいります。
 国内外の先進的な子供施策の調査研究を踏まえまして、幅広い視点から、こども未来会議で議論を深めてまいります。
 子供政策連携室を核にいたしまして、子供たちが、将来に夢と希望を持って生き生きと活躍できる東京の実現に向けて、都庁の総力を挙げまして、子供政策を強力に推進してまいります。

○まつば委員 ただいま知事から、子供政策連携室で新たな取組の検討を進めていく、こういうご答弁をいただきました。子供政策連携室を核に、子供たちが、今と将来に希望を持って、生き生きと活躍できる東京となるよう、私もまた力を尽くしてまいります。
 次に、東京都こども基本条例に関して二点質問をいたします。
 東京都こども基本条例について、私は、普及啓発を行っていくべきであると提案をしてまいりました。都は来年度、子どもの権利条約やこども基本条例について普及啓発をするとしていますが、子供自身や周囲の大人が、条例の内容を理解できるよう、分かりやすく的確なメッセージを発信すべきであると考えます。
 普及啓発に当たりましては、様々な媒体を用いて、効果的な発信を行うべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 子供が、あらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備するというこども基本条例の理念を実現するためには、子供をはじめ、全ての都民に条例の内容を理解していただくことが必要であります。
 都は来年度、編集検討委員会を設置し、子供の年齢や発達段階に応じて、条例の内容などを説明する数種類のリーフレットを検討するとともに、子供たちにメッセージが届くよう、多様な媒体の活用など効果的な情報発信の手法を検討いたします。
 子供たちの意見も聞きながら、普及啓発ツールを有効に活用して、学校や関係機関、区市町村と連携し、様々な機会を捉えて、条例の趣旨を広く周知してまいります。

○まつば委員 区市町村においての取組について伺います。
 子供の意見表明や参加の促進、権利擁護の充実を図る取組が少しでも前に進むよう、区市町村補助の実施に当たっては、これまで既に取り組んできた区市町村がさらなる充実を図ることや、初めて取り組む区市町村が最初の一歩を踏み出せるよう後押しするような仕組みとする工夫が必要と考えますが、どう制度設計をしていくのか、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 都は、子供の意見表明、参加の促進や権利擁護の充実に取り組む区市町村を包括補助で支援しておりまして、現在、六区市がこの補助を活用して、子供会議など子供が参加する仕組みづくりや子供の権利を守る子供相談室の運営などに取り組んでおります。
 来年度は、この六区市も含めまして、子供の権利を尊重し、擁護するための施策を計画して、新たな取組を開始する場合、補助率を現行の二分の一から十分の十に引き上げます。
 多くの区市町村でこの取組が進むよう、具体的な取組事例を示すとともに、対象となります事業の要件などについて、区市町村の意見を聞きながら検討し、幅広く支援してまいります。

○まつば委員 ここからは、子供施策、また、子育て支援についての個別事業について質問をいたします。
 まず初めは、東京都出産応援事業です。
 この事業は、コロナ禍において、子供を産み育てるご家庭を応援、後押しするために、新生児一人当たり十万円分の育児用品や子育て支援サービス等を提供する事業であり、多くの都民の方から喜びの声を伺っております。
 都議会公明党は、小池知事に予算要望し、また、開始時期を昨年の一月からに前倒ししていただくよう要望するなど、この事業の取組を応援してまいりました。
 そこで、東京都出産応援事業の実施状況について答弁を求めます。

○中村福祉保健局長 都は、コロナ禍において、不安を抱えながら出産、育児に臨む方々を社会全体で後押しするため、子供一人当たり十万円分の子育て支援サービスや育児用品などを提供する東京都出産応援事業を今年度から開始しております。
 先月末までに約八万五千世帯に活用されており、都が育児を応援してくれてありがたいなど、数多くの感謝の声をいただいているところであります。
 また、都民の具体的なニーズを把握して施策の参考にできるよう、利用登録の際に、専用ウェブサイトで、年代や居住地域などのほか、都の子供、子育て施策の利用状況や子育て支援に関するご意見や要望などにつきまして、アンケートを実施しているところでございます。

○まつば委員 実施されているアンケートについてもご答弁をいただきました。専用サイト上にもこうあります。都の子育て支援等の情報を行うとともに、アンケートを実施することにより、具体的な子育てニーズを把握し、今後の施策立案に生かしていく、こうあります。
 また、私も、昨年の予算特別委員会において、貴重なアンケートを施策に生かしていただきたいと質疑をいたしました。当時、吉村福祉保健局長、現財務局長でございますが、答弁をいただきました。その答弁は、回答結果については、今後の効果的な施策展開につなげられるよう、妊娠期や出産前後、子育て期など、それぞれのステージに応じたニーズを把握するため、定期的に集計、分析をしていく、こういうご答弁でございました。
 私も、多くの都民の方から、このアンケートの項目が、回答項目が少し多いので少なくしてもらいたい、こういうようなお声もありましたが、そのたびごとに、皆様の貴重なお声を東京都の政策に生かすために、ぜひご協力していただきたい、このように申し上げてきたところでございます。
 今のご答弁で、八万五千世帯に上る方々が、この出産応援事業、赤ちゃんファーストを活用されたということでありますので、併せてアンケートも八万五千世帯の方々が回答をされているということになると思います。
 年代や居住地域など、世帯の状況もお聞きしている内容のアンケートであります。また、来年度も、この出産応援事業、赤ちゃんファーストは継続されるという事業でありますことから、大変にこれからも多くの皆様のお声をいただくことになります。アンケートの内容も見させていただきましたが、都の施策については、福祉保健局の所管事業が中心であります。
 今後は、全庁的な子供施策という視点から、他の所管事業も含めた内容にするなど、より都政に生かしていただく、そういう内容に改善することも必要であると思いますし、また、アンケートの分析もスピード感を持って行い、施策への反映を行っていく必要があると思います。
 事業開始から一年を迎えようとしていることもあり、八万五千世帯ものアンケートの分析についての状況についてお伺いしたいところでございますが、今日は答弁を求めません。
 新生児がおられるご家庭のこれほどの多くの方々のアンケートは、貴重な都の財産であると思います。これをしっかりと施策に生かすべきであると考えますが、局長の見解を求めます。

○中村福祉保健局長 このアンケートは、出産応援事業を利用していただきます年間約十万世帯を対象に行うものでございまして、利用登録した全ての家庭から確実にご回答をいただき、都の施策についての認知度や活用状況、要望などを直接確認できる極めて重要な貴重なツールであると認識しております。
 いただいたご意見を踏まえまして、速やかに対応可能な子育て支援情報の提供方法などの改善を行っているところでございますが、今後さらに、アンケートの内容を居住地域や年代等と併せ、しっかりとニーズの分析をいたしまして、施策構築に生かしてまいりたいと考えております。
 また、来年度、子供政策連携室が設置されることも踏まえまして、関係各局と連携し、様々な分野で子育て家庭のニーズが施策に反映できるよう、分析結果を最大限活用してまいります。

○まつば委員 今朝、都民の方からお声が寄せられました。東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストで、おむつを申し込んだそうです。今日、そのおむつが届いたそうなんですが、その段ボールに、このような貼り紙がありましたということです。ドライバーの皆様へ、いつもありがとうございます、この商品は、大切な贈物ですので丁寧に運んでくださいますようお願いいたします、東京都というものでございまして、とてもすてきなメッセージで、本当に心が温かくなったということでした。このように、多分、心ある職員の方が、こういうメッセージを考えてくださったのかなと、そのようにも思っておりまして、こういう東京都から、また知事からの真心というのが都民の皆様に届いていると感じました。あわせて、それに応えるように、都民の皆様はアンケートにお声を寄せていただいております。そのことを大事に事業を進めていただくように、改めて求めておきます。
 次に、妊婦健診について質問いたします。
 妊婦健康診査は、妊婦さんと赤ちゃんの健康状態を定期的に確認し、安全で安心な出産のために重要なものです。
 妊婦健診については、妊娠期間に最低限必要とされる十四回の健診に対して公費助成がされています。検査については、東京都が、区市町村や関係機関の合意により、都内全域において十四回分まで共通受診票を用いて都内医療機関での受診体制を取っています。
 まず、妊婦健康診査受診票を用いた現在の健康診査の仕組みについて答弁を求めます。

○中村福祉保健局長 都内では、現在、妊娠届出を行った妊婦に区市町村が受診票を交付いたしまして、都内医療機関での妊婦健康診査の際にこの受診票を提出することで公費負担による受診が可能となっております。
 平成二十一年度から、公費負担額を超えた場合などを除きまして、十四回まで自己負担なく受診が可能となっており、令和三年度の公費負担額は、一回目の健康診査が一万八百五十円、二回目以降は五千七十円となっております。
 助産所や都外の医療機関で受診する場合は、原則として受診票による公費負担の対象外でございまして、償還払いで対応しております。

○まつば委員 今、ご説明いただきましたけれども、この東京都で行っている受診票については、公益社団法人東京都医師会に加入する医療機関、また、東京都医師会に非加入ではありますが、診療科目として産婦人科を掲げる都内の医療機関において利用が可能になっています。
 助産所での出産または里帰り出産の場合は、出産後に、妊婦健康診査に要した費用の自己負担分について、償還払いを受ける手続が必要になります。都内の助産院で共通受診票が利用できないかとのお声が都議会公明党に寄せられております。助産所においても、都内全域で受診票を利用できるようにしていただきたい、このように思っております。
 その上で、このような課題をまずは解消できないかということで質問をいたします。
 現在、東大和市と東村山市、隣り合わせの市ですが、東大和市の妊婦さんは、受診票を使えずに、償還払いの手続を後からしないといけない状況にあります。片や、東村山市の妊婦さんは、受診票を使えるという状況があります。同じ都民で、しかも隣接した市で、受診票が使える方と償還払いをしなければならない方がいることは、解消すべき大事な私は事柄だと思います。
 これにつきましては、東大和市の公明党の女性議員は、この問題を市議会で取り上げております。私も議事録を読みましたが、本当に魂の籠もった質疑でありました。市からの答弁は、都が区市町村統一要綱を定めており、それに基づいて、市も妊婦健康診査実施要領を定めていることや、都に限定される医療機関で使える受診票であることなど、様々答弁があり、前へ進まない状況になっております。これは区市町村だけの問題ではなく、こうしたことから、都にも、この問題を解決する責任があると私は考えております。
 そこで、助産所においても受診票を使えるようにすべきでありますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 現在把握していますところですと、都内では、八王子市と東村山市が、独自に市内及び近隣市の助産所と契約を締結いたしまして、受診票を使用して妊婦健康診査を受診できる体制を取っております。
 助産所での受診票の取扱いを早期に都内全域で統一するには事務処理上の課題もございますが、今後、妊婦の方の利便性の向上に向けまして、区市町村での取組が進むよう、八王子市や東村山市のような、助産所での受診時に償還払いを不要とする取扱いについて、各自治体の判断で可能であることを通知いたします。
 また、他道府県において償還払いを不要とする取扱いとしている事例についても把握し、今後の参考としてまいります。

○まつば委員 一歩前進の答弁だと受け止めさせていただきました。
 都議会公明党は、双子などの多胎児支援も進めてまいりました。多胎児を妊娠している妊婦さんの健康診査は、公費負担のある十四回の範囲に収まらない場合があると聞いております。
 そこで、支援を充実すべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 多胎妊婦は、単胎妊婦に比べまして妊婦健康診査の受診間隔が短く、公費負担を行っている十四回を超えることがあります。
 このため、都は来年度から、多胎妊婦の十五回目以降の健診費用を負担する区市町村を新たに支援してまいります。
 具体的には、健診に要する費用のうち、妊婦一人当たり五回を上限に、区市町村負担分の二分の一を補助することといたしております。

○まつば委員 次に、ヤングケアラー支援について伺います。
 中高生などが、社会的な支援を効果的に活用できずに、家族の介護などに追われ、心身共に負担を背負い込むヤングケアラーといわれる状況の存在が課題となっております。
 このため、我が党は、さきの本会議において、福祉保健局長に対策を求め、自らがケアラーであることを自覚し、救いの手を求めることすらできないでいる子供たちの発見に向け、調査を実施し、子供家庭支援センターや学校など関係機関に結びつける支援マニュアルを作成するといった前向きな答弁を得たところであります。
 子供たちが家族の世話などに追われている背景には、介護だけでなく、家族の病気や障害、ひとり親などの様々な要因があります。その範囲は広範に及ぶものでありますが、どの課題であっても、区市町村には、その専用の相談機関、支援の制度が存在しています。
 学校において、ヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげることはもとより、子供がヤングケアラーについて知り、いざ困ったときには、相談できる窓口があることや行政サービスを受けられることについて理解できるようにすべきであると考えます。教育長の見解を求めます。

○藤田教育長 学校では、教員が子供の生活リズムの乱れや服装、忘れ物の状態等の変化を捉え、関係機関と連携し、ヤングケアラーへの支援を行っているところでございます。
 こうした対応に加えまして、子供自身が、家族のケアや家事に対する過度の負担を担っているということに自ら気づき、自分から支援を求めることができるようにしていくためには、子供がヤングケアラーについて理解できるような働きかけを行っていく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、ヤングケアラーの現状や利用できる支援サービスに関する資料を作成し、区市町村の担当者と連携して行う福祉に関する授業で、その活用を促し、子供自身の気づきや理解につなげてまいります。

○まつば委員 次に、ソーシャルスキルトレーニングについて質問します。
 知的障害児者の方々の社会参加を進めるためには、対人関係などの点で、誤解から関係性がこじれてしまう危険を未然に回避し、それぞれの方々の個性や可能性を適正に理解していただくための社会参加のための練習、ソーシャルスキルトレーニングが必要です。
 せっかく就職できても、そうしたスキルを身につけていなかったために、職場で誤解を招き、自らも心に傷を負って、退職せざるを得なかったり、引き籠ってしまう事例が多い現状にあります。
 横浜市の青葉区には、知的障害のある女児だけが通う放課後デイサービスの施設があり、中山議員をはじめ我が党の議員も視察に訪れました。成長過程に応じて、望ましい人間関係を維持しながら、性にまつわるトラブルに対処するためのスキルの訓練を行っており、都内からも通うことを希望し、夏休みなどのオープン参加期間に、親子で体験するとのことでありました。都内でも、同様の役割を果たせる施設の充実を望む声が高まっています。
 また、福祉保健局の心身障害者福祉センターには、長年をかけて、性にまつわるトラブルを回避するためのソーシャルスキルトレーニングの分野で優れた指導力を培い、やはり我が党の議員が仲介役となって、地域の障害者施設での学習会の講師となり、高い評価を得ています。しかし、優れた指導力を持つ指導員の高齢化も進んでおり、次世代への技術や経験の継承、普及が必要です。
 障害児者が社会参加を図る上では、障害者の就労先の量的な拡大に加え、こうしたソーシャルスキルトレーニングの質の向上と広範な利用の拡大が必要です。
 都は、放課後等デイサービスなどにおいて、学齢期の障害児などが良好な対人関係やマナーなど、社会生活におけるスキルを身につけるための訓練機会を提供されるよう、施策を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 知的障害のある方などが、地域で自立した生活を送るには、対人関係や自己管理などのスキルを身につけることが重要でありまして、適切な支援や訓練を行える人材の育成が必要であります。
 都は今年度、障害児通所事業所等に対しまして、こうした訓練の実施状況などを調査したほか、学識経験者等から現状と課題などの意見を聴取しております。
 今月には、区市町村や事業所の職員等を対象に、支援事例の紹介などを行う講演会を開催するとともに、来年度からは、福祉、医療、教育などの関係者による検討会を設置し、今年度の調査結果を分析し、支援の在り方について検討してまいります。

○まつば委員 以上で子供施策、また、子育て支援策に関連しての質疑は終えますが、提起させていただきました課題について、都は、真剣に取り組んでいただくことを強く申し上げておきます。
 続きまして、防災対策について質問をいたします。
 近年、全国的に自然災害が頻発しておりまして、その規模も激甚化しています。
 過去の災害では、防災計画の策定や防災対策の決定など、様々な意思決定過程において、女性の参画が十分に確保されておらず、女性の視点に立った防災対策が十分に行われているとはいえない状況にありました。
 都の防災対策の根幹となる重要な計画である東京都地域防災計画は、東京都防災会議において、その内容が決定されますが、私が、この問題を最初に提起させていただいた二〇一三年当時、東京都防災会議には、女性委員が一人もいませんでした。その後、私自身、都議会の場で、何度も提案を重ねてまいりましたが、都においてもそれを受け止め、段階的に委員構成の見直しを図ることにより、東京都防災会議における女性委員の数は増えてきております。パネルをご覧いただきたいと思います。防災会議委員に占める女性委員の割合の推移です。
 一回目の条例改正が行われた際に、自主防災組織や学識経験者からの登用ができるようにしたわけですが、猪瀬知事のときで、当時、現在の村松総務局長が総合防災部長のときであったと記憶をしております。
 次に、二回目の条例改正は、小池知事によりまして改正をされたものです。ただ、これご覧いただきますと、都道府県の平均と比べますと、まだ、この女性委員の割合は低い状況になっております。
 次に、二月十六日現在の東京都防災会議の委員数のパネルをご覧いただきたいと思います。東京都防災会議委員七十二名中女性委員は僅か八名にとどまっています。
 こうした状況を踏まえ、私は、昨年十一月の総務委員会で、被害想定実施後の新たな地域防災計画の検討に当たり、東京都防災会議への女性委員の任用を一層充実していただくよう要望しました。
 その上で、改めて確認をしたいと思います。東京都防災会議は、災害対策基本法第十四条に基づき設置する附属機関であるため、委員の職指定があります。
 東京都男女平等参画推進総合計画における都の審議会等の女性任用率算定の考え方について見解を求めます。

○武市生活文化局長 都の審議会等におきましては、専門性や多様性などの観点から、幅広い意見を都の政策、方針決定過程において反映するため、学識経験者、専門的知見を有する方など、様々な立場の委員を任用しております。
 女性委員任用率につきましては、審議会等の設置根拠となっている法律や条例等の規定において役職が指定されている委員、区市町村の長などは、都の裁量で決めることができないため、男女を問わず算定対象外とした上で目標値を定めまして、女性委員の積極的な任用を図っているところでございます。

○まつば委員 もう一度パネルをご覧いただきたいんですけど、今のご説明ですと、この下の二つの段の指定公共機関、指定地方公共機関及び自主防災組織、学識経験者、ここの二つの枠ですね、ここの登用が、女性任用率の算定になってくると、このように理解をいたしました。
 そうしますと、どのようになるかというと、現状、ここの部分で任用率を見た場合でも、一回目、二回目の条例改正で割合は増えていますけれども、まだ、女性任用率の算定部分とされているところについても、割合が低いということがよく分かっていただけると思います。
 都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、新たな地域防災計画に、女性や高齢者、障害者の視点など、多様な視点を反映させるべきであると提案させていただきました。
 そこで、改めて、今定例会で提案されております東京都防災会議条例の改正の狙いについて、小池知事にお伺いをいたします。

○小池知事 東日本大震災や熊本地震など過去の大規模災害の教訓として、女性や要配慮者などの視点に立った避難所の運営や備蓄品の確保などの必要性が明らかになりました。
 このため、都はこれまで、東京都防災会議条例を二度改正いたしまして、女性委員の拡大を図り、避難所における乳児用液体ミルクの確保や避難所管理運営の指針の改定など、女性や要配慮者などの視点を踏まえた対策を進めてまいりました。
 今後の地域防災計画の修正に当たりましては、計画の実効性を向上させるために、医療や福祉、ボランティアなど、防災に関わる様々な分野から、女性等の視点を取り入れてまいります。
 このため、防災会議条例を改めて改正をし、女性をはじめとした多様な視点を反映できる体制を構築することといたしました。
 こうした取組によりまして、災害への備えをより一層強化し、都民の安全・安心の確保に向けて全力で取り組んでまいります。

○まつば委員 知事から、女性をはじめとした多様な視点を反映できる体制を構築することとしたと、意義を語っていただきました。
 また、乳幼児液体ミルクにつきましては、小池知事の先見性ある取組で、これは進んだ話でございますし、また、女性視点の防災ブックにつきましては、私ども都議会公明党、提案させていただいて、「東京くらし防災」の発行など、そういった意味で、女性視点ということも進んできたと、このように考えております。
 この東京都防災会議の体制とともに、地域防災計画の内容は、総務局をはじめとする各局の職員の方々の実務的な検討を経てつくられているものと思います。このため、検討過程においても、庁内各局の女性職員の参画を進め、女性視点での防災対策の重要性について、都庁各局にその意義を根づかせることが重要であります。
 そこで、新たな地域防災計画の策定に当たり、その検討段階において、女性の視点を踏まえた検討を進めていくべきであると考えますが、都の見解を求めます。

○村松総務局長 女性の視点に立った防災対策を進めるため、熊本地震などの被災地支援の経験を有する女性職員を集めたプロジェクトチームを新たに設置いたします。
 このプロジェクトチームでは、各職員の被災地での経験を生かし、現在の地域防災計画を改めて点検するとともに、避難所運営の改善や災害用物資の充実など、防災対策の実効性を高めるための検討を全庁横断的に進めてまいります。
 さらに、実際に被災した住民の方や被災地での支援経験が豊富なボランティアの方からも、女性から見た被災現場での課題等をお聞きすることなどによりまして、幅広い女性の視点を計画の検討段階から積極的に取り入れてまいります。
 こうしたきめ細かな取組を通じて、女性の視点を取り入れた防災対策をより一層充実強化させてまいります。

○まつば委員 次に、水害対策について質問します。
 二〇〇五年の集中豪雨では、杉並区内において二千三百三十七世帯の床上床下浸水という甚大な被害が発生をいたしました。
 私も、実際に浸水している現場に直行し、救援活動などをしながら、二度とこのような被害を起こしたくないと、心の底から決意をしたのが、二〇〇五年九月四日でございました。そして、この十七年間質問に立つたびに、善福寺川の水害対策について取り上げてまいりました。
 この間、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施をはじめ、善福寺川調節池の完成などの河川整備が、建設局により着実に進められてきたことを高く評価いたします。今後、さらに善福寺川上流部での浸水被害を早期に解消するためにも、新たな調節池の整備に向けた取組をより一層加速していく必要があります。
 また、先日、河川の水位や映像を都民に分かりやすく伝える水防災総合情報システムの説明を受けましたが、水害から住民の命と財産を守るためには、住民の迅速な避難に資するソフト対策を強化するなど、ハード、ソフト一体となった取組を進めることが重要でございます。
 そこで、ハード、ソフト両面からの善福寺川における洪水対策について伺います。

○中島建設局長 善福寺川では、豪雨に対する安全性を高めるため、これまで都は、護岸や調節池の整備を着実に進めてきております。
 今年度は、大成橋下流等で護岸整備を進めますとともに、和田堀公園調節池では、取水施設が完成し、今月末に稼働を開始いたします。さらに、青梅街道などの地下を活用したトンネル式の新たな調節池の基本設計を進めておりまして、令和四年度は、概略的な施工計画の検討等を実施してまいります。
 これらの対策に加え、住民の迅速な避難につながるソフト対策も重要でございます。このため、来年度は、河川監視カメラを二か所で増設し、映像を公開いたしますとともに、区の監視カメラの映像についても、都の水防災総合情報システムから直接アクセスできるよう改良してまいります。
 こうしたハード、ソフト両面からの取組により、善福寺川の豪雨対策を一層推進してまいります。

○まつば委員 我が党は、先日の本会議一般質問で、大規模水害時の首都高速道路の高架部の活用を求め、都技監から前向きな答弁を得たところであります。
 こうしたことから、都がまず取り組むべきは、緊急避難先としての首都高速活用の際のルールづくりであります。
 都は、国との連携はもちろんのこと、関係自治体と協力して、実際の緊急避難に際しての必要なルールの策定を急ぐべきと考えます。見解を求めます。

○上野東京都技監 首都高は、災害時に救援物資の輸送などを確保する役割がある一方、大部分が高架構造であることから、大規模水害時に、やむを得ず逃げ遅れた方々の命を守る緊急的な安全確保先としての活用が考えられます。
 こうした中、本年一月、国や関係自治体などが参加する高台まちづくりワーキンググループにおきまして、首都高をはじめとする道路高架部等を災害時の警戒レベル五における緊急安全確保先の一つとして検討していくことを関係者で確認いたしました。
 引き続き、地域の実情を踏まえ、救援物資の輸送などの機能の確保との関係などに加え、首都高への安全な避難誘導のルールづくりにつきましても検討を進め、早期の活用に向け、取り組んでまいります。

○まつば委員 次いで、荒川第二、第三の調節池の整備の前倒しと併せて、大規模水害の被害の未然防止のために急ぐべきは、高台まちづくり事業の進展、拡大であり、この点も、先日の我が党の本会議質問で、都からは前向きな答弁があったところです。
 その上で、現在、この高台まちづくりのモデル事業の実施地区は、江戸川区内の三か所となっておりますが、今後は、江東五区をはじめとする、希望する自治体の要望に応え、モデル事業の実施地域の拡大を図るべきであります。見解を求めます。

○上野東京都技監 高台まちづくりにつきましては、国との連絡会議で取りまとめたビジョンを踏まえ、地区特性を踏まえた事業化の推進に向けて、現在、国や関係区と共に、江戸川区の三つの地区について先行的に検討しております。
 一方で、それぞれの区の行政区域全体を対象といたしました高台まちづくりの方針につきましても検討を進めており、例えば、足立区では、災害に強い拠点づくりの観点から検討しております。今後、全体方針の検討を深度化するとともに、新田地区をモデル地区に追加するなど、高台まちづくりが実践できるよう、都としても国と共に取り組んでまいります。
 国やワーキンググループに参画する関係七区と連携し、検討対象の拡大を図りながら、水害に対して安全な高台まちづくりを推進してまいります。

○まつば委員 次に、公園整備について質問いたします。
 初めに、滝山公園について質問をいたします。
 都立滝山公園は、いわゆる丘陵地公園として位置づけられています。滝山城は、戦国時代の武将北条氏照により、自然の地形を巧みに利用し築城され、巨大な空堀で主郭部を囲んでいる中世城郭の最高傑作ともいわれています。そして、今もその遺構をよく残しています。
 そのようなことから、都議会公明党は、二〇〇九年の予算特別委員会において、滝山城の発掘、復元を提案し、当時の道家建設局長は、文化庁や都、八王子市の教育委員会などと調整し、発掘、復元について検討してまいりますと答弁いたしました。
 都は、この答弁を受け、まずは機運を醸成することから始める必要があるとし、お手元にお配りさせていただきましたマップにありますように、十五か所の遺構説明板を設置していただきました。また、遺構がよく見えるようにと、遺構の下草刈りも実施し、遺構見学路も設置していただきました。さらに、市も、遺構説明板の主要な箇所に、当時の模様を再現するARアプリも設置していただいております。このような取組が突破口となり、来園者は、年々増加しています。
 そして、滝山城址は、二〇一七年に、続日本百名城に選定され、二〇二〇年には、日本遺産文化財構成要素に認定され、築城五百年を迎えました。
 東京都建設局は、都議会公明党と毎年協議をしながら、今日までできることを懸命に実施してきていただきました。この労苦には感謝をしたいと思います。
 その上で、様々な機運が醸成された今日、滝山公園は、丘陵地公園から史跡公園へと踏み出し、滝山城址の遺構の保存と活用の両立を図りながら、公園整備を進めていくべきと考えます。そして、そのための計画を策定すべきと考えますが、建設局長の見解を伺います。

○中島建設局長 都立滝山公園は、多摩川沿いの加住丘陵の東端部に位置し、雑木林などの自然豊かな公園でございまして、その一部は、国の史跡滝山城跡に指定されております。
 これまで都は、城跡の遺構を来園者に分かりやすく伝えるため、空堀やくるわなどの草刈りや間伐を重点的に行いますとともに、解説板の設置等を進めてまいりました。一方で、一部の遺構については、長年の風雨等による影響も確認されていることから、修復等に取り組む必要がございます。
 このため、来年度から、計画的な修復等による遺構の保存や一層の活用を図ることを目的に、文化財保護法に基づく保存活用計画の策定に着手いたします。
 引き続き、国や地元市等と連携しながら、滝山城跡の貴重な遺構を適切に次世代に継承していくため、史跡の保存活用を含めました滝山公園の整備に取り組んでまいります。

○まつば委員 このお配りしました滝山城マップでございますが、長年取り組んでまいりました我が党の東村幹事長が、小池知事や理事者の皆様、そして委員の皆様にご覧いただきたいとの思いで、取り寄せて本日お配りしたものでございますので、ぜひまた後ほどご覧いただければと思います。
 また、次に、私の地元の和田堀公園について質問をさせていただきます。
 私は、動物との共生社会に向けて取り組んでまいりました。中でも、長年、都立公園へのドッグランの設置、このご要望を杉並区の皆様からいただいてまいりました。一昨年の予算特別委員会で、都が、十二の都立公園でドッグランの設置を完了していることを確認した上で、新しい手法での取組を促し、和田堀公園へのドッグラン設置を要望させていただきました。
 先日、杉並区から、都立公園内に区営のドッグランを整備する旨の発表があり、区は、和田堀公園での設置を検討しております。都と区が連携して、ドッグランを設置することを進めてきた私としても、着実に計画を進めていきたいと思っております。
 そこで、和田堀公園における杉並区営ドッグラン設置に関する協議状況についてお伺いいたします。

○中島建設局長 都立公園にドッグランを設置する場合には、設置可能な場所の確保、駐車場の確保、ボランティア団体等の協力、近隣住民の理解の四つを全て満たす必要がございます。
 都が計画いたしました十二公園への設置は完了しておりますが、このたび杉並区から、和田堀公園において区自らがドッグランを設置し、運営することについて、申入れがございました。これを受けまして、都は、ドッグランの設置に必要な条件を満たすことを前提に、現在、設置可能な場所の選定や運営管理の方法等について区と協議を行っております。あわせて、近隣住民の理解を得られるよう、丁寧な説明を行うことを区に求めているところでございます。
 都立公園では初めてとなる区市町村が運営するドッグランの設置に向けまして、引き続き、区との協議を進めてまいります。

○まつば委員 都立公園で初めてとなる区市町村が運営するドッグランの設置に向けてと、こういうご答弁をいただきました。ぜひ和田堀公園で、杉並区が運営をするドッグラン設置、着実に進めていただくよう協議をよろしくお願いをいたします。
 次に、女性の活躍推進について質問いたします。
 初めに、公共交通機関での安全対策についてでございます。
 今定例会の代表質問で、内藤交通局長から、都営交通において、女性専用車両の導入拡大を検討していくと答弁がありました。
 女性専用車両の導入拡大には、他の車両の混雑助長や相互直通運転を行う各社との調整など、誰もが利用する公共交通機関であるがゆえの様々な課題があることは認識しております。
 一方、ますます卑劣化する痴漢被害から女性を守ることは喫緊の課題であります。社会全体で撲滅の機運を高めていくべきであり、公共交通事業者においても、さらなる取組が必要であると考えます。
 その意味でも、女性専用車両の導入拡大は、単に移動に当たっての安心空間をつくるだけではなく、痴漢被害の未然防止に向けた訴求力の高い取組の一つといえます。
 早期に女性専用車両を拡大していくためにも、例えば、他の鉄道事業者と相互直通運転をしていない大江戸線から、具体的な検討を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○内藤交通局長 都営地下鉄では、痴漢行為を防止するため、痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅係員等によるホーム監視、車内防犯カメラの整備、さらには新宿線での女性専用車両の運行を継続的に実施してきたところでございます。
 痴漢は犯罪で、決して許されない行為でありますが、都営地下鉄でも依然として一定の被害の申出を受けている状況にございます。
 こうした中、コロナ禍以降、各路線の混雑率は全体的に低下しており、女性専用車両の導入拡大に伴う他の車両への影響は、比較的小さくなると想定されるところでございます。
 導入拡大に向けまして、まずは利用者の規模が最も大きく、痴漢通報件数も相対的に多い大江戸線を対象に、朝ラッシュ時間帯の詳細な利用実態や新宿線への導入で得られた知見、ノウハウ等を踏まえながら検討してまいります。
 多くのお客様のご理解とご協力を得ながら、誰もが安心して利用できる環境づくりを推進してまいります。

○まつば委員 大江戸線を対象に、女性専用車両の導入の検討を進める旨の答弁がありました。一日も早い実現をお願いいたします。
 次に、就業支援です。
 コロナ禍では、非正規雇用の多くの女性が雇い止めにより職を失うなど、厳しい状況に直面することになりました。
 都議会公明党は、昨年の第四回定例会の代表質問において、こうした女性の再就職に向けては、希望に合致した正規雇用による就業先の確保のほか、育児や介護の両立など、様々なニーズがあることを踏まえ、多くの企業とのマッチング機会を創出するよう求めました。
 この件でございますけれども、都は、厳しい雇用環境に置かれている女性の早期の再就職を実現するため、マッチング機会の充実を図るなど、就業支援を強化すべきと考えますが、見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、コロナ禍で雇い止めなどにより離職した女性の再就職をサポートするため、新たなマッチング支援を実施いたします。
 具体的には、育児や介護と両立を図ることのできるテレワーク等の多様な勤務形態を導入し、女性が働きやすい職場をつくり表彰された企業など、約二百社が参加する大規模な就職面接会を開催いたします。この会場では、セミナーを実施し、非正規から正規雇用での再就職に役立つ資格取得等の情報の提供も行います。これに加えまして、ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントを一体的に開催し、女性が柔軟な働き方などを学ぶ機会を提供いたします。
 これらの取組によりまして、女性の早期の再就職を後押ししてまいります。

○まつば委員 次に、女性のデジタル人材の育成についてであります。
 都は来年度、デジタル人材プロジェクトを展開し、年間一万人のデジタル人材を確保、育成するとしています。
 DXの進展により、今後さらなる人材不足が見込まれるデジタル分野の担い手を確保、育成するには、女性の能力開発による人材育成が欠かせません。
 しかし、これまで、小売業や飲食業などでパソコンなどをほとんど使う機会がなかった方や、出産や育児により退職して、これから再就職を目指す方にとっては、デジタル関連の技能の習得は、技術的にも心理的にもハードルが高いものと思われます。
 また、都議会公明党はこれまで、保育つきの職業訓練を提案するなど、女性が安心して能力開発支援を受けられるよう求めてきました。
 都は、デジタル分野の職務経験の少ない女性求職者に対し、デジタル人材としての基礎的な知識、技能を習得していただくため、育児中の女性も参加できる能力開発支援を行うべきと考えますが、都の見解を求めます。

○坂本産業労働局長 都は来年度、女性が実践的なデジタルスキルを習得する職業訓練を開始し、DXに対応できる人材を積極的に採用するIT企業等への就職をサポートいたします。
 具体的には、デジタル分野の業務経験の少ない女性が、事務処理ソフトの操作からクラウドを用いた業務運営や、さらにローコードを使ったシステム開発までを短期間で学ぶ訓練を三百人の規模で実施いたします。この訓練を身近な場所で受講できるよう、都内十か所に託児サービスつきの会場を設け、育児中の女性も参加しやすい取組といたします。
 また、訓練修了後、パソコンやWi-Fi機器を貸与し、eラーニングによるスキル向上を支援いたします。
 こうした取組により、女性がデジタルスキルを身につけ、就業できるよう後押しをしてまいります。

○まつば委員 働き方改革に伴う都の休日・全夜間診療事業の継続でございますが、これは、都として、休日・夜間診療事業を今回も継続ができるようにするために、時間外労働の上限規制適用後も、引き続き、大学病院から医師が派遣され、地域の医療体制が確保できるよう、現段階から国に対して働きかけを行うべきと考えますが、見解を求めます。

○中村福祉保健局長 医師の働き方改革を推進するため、令和六年四月から時間外労働の上限規制が適用されることになっておりまして、現在、医療機関において適切な労務管理に向けた取組や医師労働時間短縮計画の策定などが進められております。
 都は、医療機関に医業経営や医療労務管理のアドバイザーを派遣するなど、計画策定を支援しているところでございます。
 また、大学医局からの医師確保が困難となり、医師不足による救急医療の縮小などの地域医療に影響が生じないよう、国に対し、医師の働き方改革の取組状況を検証することや医療機関の経営状況を踏まえた実効性のある支援を行うことなどを提案要求してまいります。

○まつば委員 最後に、パラスポーツについて伺います。
 都議会公明党は、デフリンピックの東京招致を目指し、公明党東京都本部の中に支援委員会を設置し、団体と意見交換を重ねるとともに、都に調査を進めることを求めてきました。
 デフリンピックは、ブラジル大会がございます。このデフリンピックの開催に向けて、取組を加速するためにも、ブラジル大会の状況を把握すべきと考えますが、小池知事の見解を求めて、質問を終わります。

○小池知事 都はこれまで、パラスポーツの国際大会を支援するため、様々な調査を実施してまいりました。
 中でも、デフリンピックにつきましては、聴覚障害者のための総合的な国際大会であること、国の財政支援をはじめ、様々な関係者の協力が必要であることなどございますが、パラスポーツの一層の発展とともに、共生社会の実現につながると考えております。
 五月に開催予定のブラジル大会でございますが、開催地のカシアスドスル市における競技、輸送などの具体的な運営状況を調査いたします。また、聴覚障害者の大会ならではの情報保障などのアクセシビリティーへの対応や配慮につきまして、実態を把握いたします。
 こうした調査なども踏まえまして、都としてのデフリンピックへの対応を速やかに検討してまいります。
 今後とも、様々なパラスポーツの国際大会が、東京で開催できるように取り組んでまいります。

○中嶋副委員長 まつば多美子委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時二十六分休憩

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